JP7281656B1 - 圧縮装置 - Google Patents

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Abstract

圧縮水素を生成する圧縮装置は、電解質膜、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード、前記電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード、前記アノード上に積層されたアノードセパレーター、および前記カソード上に積層されたカソードセパレーターを含む、少なくとも1つの圧縮ユニットを備え、前記積層された方向において、一方の端に位置する前記アノードセパレーター上に設けられたアノード端板と、他方の端に位置する前記カソードセパレーター上に設けられたカソード端板と、前記カソード端板と前記他方の端に位置するカソードセパレーターとの間、または、前記アノード端板と前記一方の端に位置するアノードセパレーターとの間に設けられた板状部材とを備え、前記板状部材には、圧縮水素を溜めるための凹部と、前記凹部の外周を囲む溝部とが設けられ、前記溝部には、シール材と、前記シール材の外縁に隣接し、前記シール材を囲むリング材と、が設けられ、前記溝部の外周面および前記リング材の外周面はともに、前記溝部の開口に向かって広がるように勾配が設けられている。

Description

本開示は圧縮装置に関する。
近年、地球の温暖化などの環境問題、石油資源の枯渇などのエネルギー問題から、化石燃料に代わるクリーンな代替エネルギー源として水素が注目されている。水素は燃焼しても基本的に水しか生成せず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されず、かつ窒素酸化物などもほとんど排出されないので、クリーンエネルギーとして期待されている。また、水素を燃料として高効率に利用する装置としては燃料電池があり、自動車用電源向け、家庭用自家発電向けに開発および普及が進んでいる。
例えば、燃料電池車の燃料として使用される水素は、一般的に、数十MPaに圧縮された高圧状態で車内の水素タンクに貯蔵される。そして、このような高圧の水素は、一般的に、低圧(常圧)の水素を機械式の圧縮装置によって圧縮することで得られる。
ところで、来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素を高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用し得る技術開発が求められている。特に、燃料電池の普及促進には水素供給インフラを整備する必要があり、水素を安定的に供給するために、高純度の水素を製造、精製、高密度貯蔵する様々な提案が行われている。
そこで、例えば、非特許文献1には、水の電気分解によって水素および酸素の分離が行われ、電解質膜を介して低圧の水素から高圧の水素が生成される差圧式高圧水電解装置(以下、水電解装置)が提案されている。
水電解装置は、水を電気分解によって水素および酸素を発生させるべく、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に設けられたアノード触媒層およびカソード触媒層と、これらの触媒層の両側に設けられた、アノード給電体およびカソード給電体と、が配設されている。なお、カソード触媒層およびカソード給電体を含むカソード、電解質膜、および、アノード触媒層およびアノード給電体を含むアノードの積層体を膜-電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
そして、非特許文献1の水電解セルは、MEAと、MEAを保持するとともに、水の供給、余剰水の排出および酸素の流通のための常圧流路を備えるアノードセパレーターおよび樹脂枠と、高圧の水素排出のための高圧ガス流路を備えるカソードセパレーターと、によって構成されている。
また、水電解装置では、カソードで生成する高圧の水素量に合わせて、水電解セルが複数積層されており、積層体の積層方向両端には電圧を印加するための端子が設けられ、これにより、水電解セルに電流を流すことができるとともに、アノード給電体に水が供給される。すると、MEAのアノード側において、水が電気分解によってプロトンが生成される。プロトンは、電解質膜を透過することでカソード側に移動し、カソード給電体で電子と再結合することで高圧の水素が生成される。そして、水素は、カソードセパレーターに設けられた高圧ガス流路を介して水電解装置から排出される。一方、アノード側では、アノードで生成された酸素が、余剰の水ととともにアノードセパレーターおよび樹脂枠に設けられた常圧流路を介して水電解装置から排出される。
ここで、水電解装置では、水電解によって得られた水素を圧縮するので、カソード給電体側の水素ガス圧が高圧になる。これにより、セパレーターなどが変形することで、水電解セルを構成する各部材間の接触抵抗が増加する可能性がある。
そこで、非特許文献1では、水電解装置において、締結部材(ボルト)を用いて、複数の水電解セルを含む積層体をエンドプレート(両端板)によって密着させる構造が提案されている。また、上端のエンドプレートと積層体の上端に対応するセパレーターとの間には、密閉空間が存在しており、この密閉空間には、高圧の水素が導入されている。さらに、この密閉空間には弾性体(バネ)が設けられている。
以上の構成により、水電解セル中の高圧ガスによって、セパレーターなどが外側に膨らむように変形する応力がこれらの部材に作用しても、弾性体の反力および密閉空間の高圧水素ガス圧力によって、上記変形を抑制することができる。
特許文献1には、低圧の水素含有ガスがアノードに供給され、電気化学的にプロトンのみが電解質膜を透過することで、カソードで高圧の水素が精製される電気化学式水素ポンプが提案されている。なお、電気化学式水素ポンプの電気化学セルの構成は、アノード流体が水素含有ガスであること以外は、非特許文献1の水電解セルの構成と同様であるので説明を省略する。
特許文献1においても、上記と同様、カソード給電体側の水素ガス圧が高圧になることで、セパレーターなどが変形すると、電気化学セルを構成する各部材間の接触抵抗が増加する可能性がある。そこで、特許文献1では、上下端のエンドプレート(両端板)と隣接するセパレーターとの間の空間に、カソードで生成された高圧の水素を導入することで、上記変形が抑制されている。
特開2019-218624号公報
「差圧式高圧水電解セルの気密構造に関する研究」本田技研工業株式会社Honda R&D Technical Review vol.25 No.2(Oct 2013)
本開示は、一例として、圧縮水素を溜めるための凹部をシールするシール材のシール性を従来よりも改善し得る圧縮装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本開示の一態様(aspect)の圧縮装置は、電解質膜、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード、前記電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード、前記アノード上に積層されたアノードセパレーター、および前記カソード上に積層されたカソードセパレーターを含む、少なくとも1つの圧縮ユニットと、前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電圧印加器と、を備え、前記電圧印加器により電圧を印加することで、アノードに供給されるアノード流体から取り出されたプロトンを、電解質膜を介してカソードに移動させ、圧縮水素を生成する圧縮装置であって、前記積層された方向において、一方の端に位置する前記アノードセパレーター上に設けられたアノード端板と、前記積層された方向において、他方の端に位置する前記カソードセパレーター上に設けられたカソード端板と、前記カソード端板と前記他方の端に位置するカソードセパレーターとの間、または、前記アノード端板と前記一方の端に位置するアノードセパレーターとの間に設けられた板状部材とを備え、前記板状部材には、圧縮水素を溜めるための凹部と、前記凹部の外周を囲む溝部と、が設けられ、前記溝部には、シール材と、前記シール材の外縁に隣接し、前記シール材を囲むリング材とが設けられ、前記溝部の外周面および前記リング材の外周面はともに、前記溝部の開口に向かって広がるように勾配が設けられている。
本開示の一態様の圧縮装置は、圧縮水素を溜めるための凹部をシールするシール材のシール性を従来よりも改善し得る、という効果を奏することができる。
図1は、実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。 図2は、図1のバイポーラプレートおよび水素ポンプユニットの一例を示す図である。 図3は、図2のバイポーラプレートの分解斜視図を示す図である。 図4は、図2のバイポーラプレートを上方から見た図である。 図5は、図1の第1圧力形成部材の一例を図1のバイポーラプレートおよび水素ポンプユニットと共に示す図である。 図6は、図5の第1圧力形成部材の分解斜視図を示す図である。 図7は、図5の第1圧力形成部材を上方から見た図である。 図8は、図1の第2圧力形成部材の一例を図1のバイポーラプレートおよび水素ポンプユニットと共に示す図である。 図9は、図8の第2圧力形成部材の分解斜視図を示す図である。 図10は、図8の第2圧力形成部材を上方から見た図である。 図11は、Oリングの内部に存在する高圧のカソードガスによってOリングの一部が隙間内にはみ出す現象の一例を示す図である。 図12は、図1の第1圧力形成部材の一例を示す図である。 図13は、図1の第1圧力形成部材におけるOリング溝およびリング材の一例を示す図である。 図14Aは、構造解析で使用した2次元解析モデルの一例を示す図である。 図14Bは、構造解析による結果の一例を示す図である。 図15は、図1の第1圧力形成部材におけるOリング溝およびリング材の一例を示す図である。 図16は、構造解析による結果の一例を示す図である。 図17は、図1の第2圧力形成部材の一例を示す図である。
非特許文献1は、上側の端板の底面中央部に、円筒状の大きな凹部が形成されており、上端側のセパレーター全体を凹部内に挿入させ、これにより、端板とセパレーターとで、高圧ガスを導入するための密閉空間が形成されている。しかしながら、上記密閉空間をシールするためのシール構成については十分に検討されていない。
また、特許文献1は、上下の両端板と隣接するセパレーターとの間の空間に高圧水素を導入することが提案されているが、上記空間のシールするためのシール構成については十分に検討されていない。
そこで、本開示の一態様の圧縮装置は、電解質膜、電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード、電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード、アノード上に積層されたアノードセパレーター、およびカソード上に積層されたカソードセパレーターを含む、少なくとも1つの圧縮ユニットと、アノードとカソードとの間に電圧を印加する電圧印加器と、を備え、電圧印加器により電圧を印加することで、アノードに供給されるアノード流体から取り出されたプロトンを、電解質膜を介してカソードに移動させ、圧縮水素を生成する圧縮装置であって、積層された方向において、一方の端に位置するアノードセパレーター上に設けられたアノード端板と、積層された方向において、他方の端に位置するカソードセパレーター上に設けられたカソード端板と、カソード端板と他方の端に位置するカソードセパレーターとの間、または、アノード端板と一方の端に位置するアノードセパレーターとの間に設けられた板状部材とを備え、板状部材には、圧縮水素を溜めるための凹部と、凹部の外周を囲む溝部とが設けられ、溝部には、シール材と、シール材の外縁に隣接し、シール材を囲むリング材とが設けられ、溝部の外周面およびリング材の外周面はともに、溝部の開口に向かって広がるように勾配が設けられている。
かかる構成によると、本態様の圧縮装置は、圧縮水素を溜めるための凹部をシールするシール材のシール性を従来よりも改善し得る。
具体的には、シール材で凹部がシールされる際に、シール材に当接する部材間には、シール材で囲まれた領域の圧縮水素のガス圧によって隙間が発生する場合がある。この場合、仮に、シール材を囲むリング材が設けられていないときは、シール材の一部が、シール材の内部に存在する圧縮水素のガス圧によって上記の隙間内にはみ出す可能性がある。すると、シール材が破損することで、シール材のシール性が低下する可能性がある。
これに対して、本態様の圧縮装置は、シール材の外縁に隣接するようにシール材を囲むリング材を設けることで、シール材が上記隙間内にはみ出すことが抑制され、その結果、シール材が破損することが改善される。
ここで、以下、溝部の外周面およびリング材の外周面が、溝部の開口面に対して直交する場合におけるシール材のシール性の問題について検討する。例えば、溝部として一般的な円筒溝が形成されているときは、リング材として一般的な円筒状のバックアップリングが使用される。
しかし、上記の場合、シール材が上記隙間内にはみ出すことは抑制されるが、円筒状のリング材が、シール材の内部に存在する圧縮水素のガス圧をシール材を介して受けることに起因して変形しても、リング材が隙間を埋めるようには変形しない場合がある。このため、この隙間を通じて圧縮水素が外部に漏洩しやすくなる。
これに対して、本態様の圧縮装置は、上記の如く、リング材および溝部の外周面が、溝部の開口に向かって広がるように勾配が設けられている。よって、本態様の圧縮装置は、シール材の内部に存在する圧縮水素のガス圧によってシール材に当接する部材間に隙間が発生しても、上記ガス圧は、リング材の外周面を溝部の外周面に対して下方に滑らす方向に作用するので、リング材の一部が、隙間を埋めるように隙間内に進入しやすくなる。これにより、本態様の圧縮装置は、溝部の外周面およびリング材の外周面が、溝部の開口面に対して直交する場合に比べて、上記隙間を通じて、シール材の内部に存在する圧縮水素が外部に漏洩する可能性を低減することができる。なお、隙間内に進入したリング材の一部が破損する可能性はあるが、リング材の存在によりシール材が隙間内にはみ出し破損することは抑制されるので、シール材の内部に存在する圧縮水素が外部に漏洩する可能性は低減される。
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、上記の各態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
(実施形態)
上記の圧縮装置のアノード流体は、様々な種類のガス、液体が想定される。例えば、圧縮装置が電気化学式水素ポンプである場合、アノード流体として、水素含有ガスを挙げることができる。また、例えば、圧縮装置が水電解装置である場合、アノード流体として、液水を挙げることができる。
そこで、以下の実施形態では、アノード流体が水素含有ガスである場合において、上記の圧縮ユニットを備える圧縮装置の一例として、水素ポンプユニットを備える電気化学式水素ポンプの構成および動作について説明する。
[装置構成]
図1は、実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。なお、説明の便宜上、「上」および「下」を同図の如く取っている(他の図面においても同じ)。
図1に示すように、電気化学式水素ポンプ100は、少なくとも一つの水素ポンプユニット10と、第1圧力形成部材44と、第2圧力形成部材46と、電圧印加器102と、を備える。そして、電気化学式水素ポンプ100には、複数段の水素ポンプユニット10が積層されている。例えば、図1では、5個の水素ポンプユニット10が積層されているが、水素ポンプユニット10の個数はこれに限定されない。つまり、水素ポンプユニット10の個数は、電気化学式水素ポンプ100が圧縮する水素量などの運転条件をもとに適宜の数に設定することができる。
また、図1に示す例では、アノードセパレーターとして機能するプレートおよびカソードセパレーターとして機能するプレートが一体化されている。具体的には、バイポーラプレート(双極板)29のそれぞれが、隣接する水素ポンプユニット10のうちの一方のカソードセパレーターとして機能するプレートと、隣接する水素ポンプユニット10のうちの他方のアノードセパレーターとして機能するプレートと、を備える。
ただし、図1に示す如く、最上段のバイポーラプレート29は、カソードセパレーターとしてのみ機能するように構成されている。具体的には、最上段のバイポーラプレート29の上面は、第1圧力形成部材44の空間SCと接触しており、この上面は、水素含有ガスが流れるアノードガス流路が設けられていない。第1圧力形成部材44には、水素ポンプユニット10のカソードで生成された圧縮水素を含むカソードガスを溜めるための空間SCが形成されている。つまり、最上段のバイポーラプレート29の上面は、第1圧力形成部材44の空間SCを封止するための蓋として機能している。
また、最下段の水素ポンプユニット10は、最下段のバイポーラプレート29のカソードセパレーターとして機能するプレートと、第2圧力形成部材46のアノードセパレーターとして機能するプレートとによって、構成されている。具体的には、第2圧力形成部材46の上面には、水素含有ガスが流れるアノードガス流路(図1では図示せず)が設けられている。第2圧力形成部材46には、水素ポンプユニット10のカソードで生成された圧縮水素を含むカソードガスを溜めるための空間SAが形成されている。
なお、以上のバイポーラプレート29、水素ポンプユニット10、第1圧力形成部材44および第2圧力形成部材46の詳細な構成は後で説明する。
図1に示すように、電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット10のそれぞれが積層された方向(以下、積層方向)の両端上に設けられたカソード端板15およびアノード端板16と、締結器17と、を備える。具体的には、アノード端板16は、水素ポンプユニット10の積層方向において、一方の端に位置するアノードセパレーター上に設けられている。カソード端板15は、水素ポンプユニット10の積層方向において、他方の端に位置するカソードセパレーター上に設けられている。なお、締結器17は、電気化学式水素ポンプ100の積層体を構成する各部材を積層方向に締結することができれば、どのような構成であってもよい。例えば、締結器17として、ボルトおよび皿ばね付きナットなどを挙げることができる。締結器17の詳細な構成は第3実施例で説明する。
図1に示すように、電気化学式水素ポンプ100は、カソード端板15と第1圧力形成部材44との間には、流体集配部材11および絶縁板13が上方からこの順に積層されている。なお、第1圧力形成部材44と絶縁板13とは、積層の順番が逆であってもよい。アノード端板16と第2圧力形成部材46との間には、流体集配部材14、絶縁板12および封止板48が下方からこの順に積層されている。
流体集配部材14の側面の適所には、水素ポンプユニット10のアノードから排出される低圧(例えば、常圧~数MPa程度)の水素含有ガスが流出する流出口(図示せず)と、水素ポンプユニット10を適温に制御するための冷却媒体(例えば、水)が流出する流出口(図示せず)と、水素ポンプユニット10のカソードから排出される高圧(例えば、数MPa~数十MPa程度)のカソードガスが通過する排出口14Aと、が設けられている。排出口14Aは、流体集配部材11に設けられたガス経路を介して、第1カソードガス導出マニホールド35に連通している。
第1カソードガス導出マニホールド35は、図1に示す如く、複数のバイポーラプレート29、第1圧力形成部材44、絶縁板13、第2圧力形成部材46、封止板48および絶縁板12の各部材に設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。そして、電気化学式水素ポンプ100は、バイポーラプレート29内に設けられた連絡路(図1の点線参照)を介して、水素ポンプユニット10のそれぞれのカソードから排出されたカソードガスが、第1カソードガス導出マニホールド35で合流するように構成されている。また、電気化学式水素ポンプ100は、第1圧力形成部材44内に設けられた連絡路(図1の点線参照)を介して、第1カソードガス導出マニホールド35と第1圧力形成部材44の空間SCとが連通するように構成されている。さらに、電気化学式水素ポンプ100は、第2圧力形成部材46内に設けられた連絡路(図1の点線参照)を介して、第1カソードガス導出マニホールド35と第2圧力形成部材46の空間SAにカソードガスとが連通するように構成されている。図1では図示を省略するが、流体集配部材14における水素含有ガス流出口および冷却媒体流出口はそれぞれ、上記の各部材に設けられた貫通孔の連なりによって構成される、アノードガス導出マニホールドおよび冷却媒体導出マニホールドのそれぞれと連通している。
流体集配部材11の側面の適所には、水素ポンプユニット10のアノードに供給される低圧(例えば、常圧~数MPa程度)の水素含有ガスが流入する流入口(図示せず)と、水素ポンプユニット10を適温に制御するための冷却媒体(例えば、水)が流入する流入口(図示せず)と、水素ポンプユニット10のカソードから排出される高圧(例えば、数MPa~数十MPa程度)のカソードガスが通過する排出口11Aと、が設けられている。排出口11Aは、流体集配部材11に設けられたガス経路を介して、第2カソードガス導出マニホールド36に連通している。
第2カソードガス導出マニホールド36は、図1に示す如く、複数のバイポーラプレート29、第1圧力形成部材44、絶縁板13、第2圧力形成部材46、封止板48および絶縁板12の各部材に設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。そして、電気化学式水素ポンプ100は、バイポーラプレート29内に設けられた連絡路(図1の点線参照)を介して、水素ポンプユニット10のそれぞれのカソードから排出されたカソードガスが、第2カソードガス導出マニホールド36で合流するように構成されている。また、電気化学式水素ポンプ100は、第1圧力形成部材44内に設けられた連絡路(図1の点線参照)を介して、第2カソードガス導出マニホールド36と第1圧力形成部材44の空間SCとが連通するように構成されている。さらに、電気化学式水素ポンプ100は、第2圧力形成部材46内に設けられた連絡路(図1の点線参照)を介して、第2カソードガス導出マニホールド36と第2圧力形成部材46の空間SAにカソードガスとが連通するように構成されている。図1では図示を省略するが、流体集配部材11における水素含有ガス流入口および冷却媒体流入口はそれぞれ、上記の各部材に設けられた貫通孔の連なりによって構成される、アノードガス導入マニホールドおよび冷却媒体導入マニホールドのそれぞれと連通している。
なお、図1の点線で示された連絡路の詳細な構成は後で説明する。
絶縁板13は、第1圧力形成部材44と流体集配部材11との間に挿入されており、これにより、バイポーラプレート29と、流体集配部材11、カソード端板15および締結器17との間が適切に絶縁されている。絶縁板13の素材として、ゴム、樹脂(例えば、PEN、PETなど)、ガラス、ガラスエポキシ材などの材料を挙げることができるが、これらに限定されない。
絶縁板12は、封止板48と流体集配部材14との間に挿入されており、これにより、バイポーラプレート29および第2圧力形成部材46と、流体集配部材14、アノード端板16および締結器17との間が適切に絶縁されている。絶縁板12の素材として、ゴム、樹脂(例えば、PEN、PETなど)、ガラス、ガラスエポキシ材などの材料を挙げることができるが、これらに限定されない。
封止板48は、第2圧力形成部材46の空間SAを封止するための蓋として機能しており、これにより、空間SAに溜まった高圧のカソードガスが封止される。封止板48の素材としては、ステンレス、金、チタン、ゴム、樹脂(例えば、PEN、PETなど)、ガラス、ガラスエポキシ材などの材料を挙げることができるが、これらに限定されない。ただし、封止板48の素材として、ステンレスを用いる場合は、耐酸性および耐水素脆性などの特性に優れているSUS316Lを使用することが望ましい。また、封止板48の素材として、樹脂などの絶縁部材を用いる場合は、封止板48と絶縁板12とが一体化されていてもよい。
電圧印加器102は、水素ポンプユニット10のアノードとカソードとの間に電圧を印加する装置である。具体的には、電圧印加器102の高電位が、アノードに印加され、電圧印加器102の低電位が、カソードに印加されている。電圧印加器102は、アノードおよびカソード間に電圧を印加できれば、どのような構成であってもよい。例えば、電圧印加器102は、アノードおよびカソード間に印加する電圧を調整する装置であってもよい。このとき、電圧印加器102は、バッテリ、太陽電池、燃料電池などの直流電源と接続されているときは、DC/DCコンバータを備え、商用電源などの交流電源と接続されているときは、AC/DCコンバータを備える。
また、電圧印加器102は、例えば、水素ポンプユニット10に供給する電力が所定の設定値となるように、アノードおよびカソード間に印加される電圧、アノードおよびカソード間に流れる電流が調整される電力型電源であってもよい。
なお、図1に示す例では、電圧印加器102の低電位側の端子101が、最上段のバイポーラプレート29に接続され、電圧印加器102の高電位側の端子103が、第2圧力形成部材46に接続されているが、これに限定されない。電圧印加器102の低電位側の端子101は、第1圧力形成部材44に接続されていてもよい。
ただし、図1に示す如く、電圧印加器102の低電位側の端子101を最上段のバイポーラプレート29に接続することで、最上段のバイポーラプレート29よりも上方に配された第1圧力形成部材44に対して、金メッキなどの表面処理が不要となる。これにより、第1圧力形成部材44の製造コストを低減することができる。
さらに、図1に示す例では、最上段のバイポーラプレート29および第2圧力形成部材46が集電板と兼用されている。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、プレートの兼用化によりプレートの個数を削減できるので、装置の製造コストを低減することができる。
また、電気化学式水素ポンプ100においては、流体集配部材11、第1圧力形成部材44、バイポーラプレート29、第2圧力形成部材46および流体集配部材14はいずれも、高圧の圧縮水素に曝されるので、これらの部材は、SUS316Lで構成されている。これは、SUS316Lが様々な種類のステンレスの中で耐酸性および耐水素脆性などの特性に優れているからである。これに対して、カソード端板15、アノード端板16および締結器17はいずれも、水素に曝されないので、これらの部材は、SUS316Lよりも安価なクロムモリブデン鋼(例えば、SCM45)で構成されている。
<バイポーラプレートおよび水素ポンプユニットの構成>
図2は、図1のバイポーラプレートおよび水素ポンプユニットの一例を示す図である。
図3は、図2のバイポーラプレートの分解斜視図を示す図である。具体的には、バイポーラプレート29を構成する一対の部材を図2のA-A部から斜視した図、および、両者を一体化した図が示されている。なお、図3では、説明の便宜上、MEAおよびOリングを省略した図が示されている。
図4は、図2のバイポーラプレートを上方から見た図である。具体的には、バイポーラプレート29を構成する部材を図2のB-B部から平面視した図が示されている。
上記のとおり、水素ポンプユニット10のそれぞれにおいて、バイポーラプレート29が、隣接する水素ポンプユニット10のうちの一方のアノードセパレーターとして機能するプレートと、隣接する水素ポンプユニット10のうちの他方のカソードセパレーターとして機能するプレートと、備える。図2に示す例では、上段側のバイポーラプレート29の一部が、カソードセパレーターを構成するとともに、下段側のバイポーラプレート29の一部が、アノードセパレーターを構成している。
以下の説明では、カソードセパレーターとして機能するプレートをカソードセパレーター29Aといい、アノードセパレーターとして機能するプレートをアノードセパレーター29Bという。
ここで、図3に示すように、バイポーラプレート29のそれぞれにおけるカソードセパレーター29Aとアノードセパレーター29Bとは面接合により一体化されている。例えば、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bは、一対の金属プレートの拡散接合などで接合することができる。なお、「拡散接合」とは、JIS規格によれば、「母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法」と定義されている。
また、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bが面接合する前における、アノードセパレーター29Bの接合面には、水素ポンプユニット10の温度を適温に調整するための冷却媒体が流れる冷却流路60が設けられている。この冷却流路60の両端はそれぞれ、冷却媒体導入マニホールド61および冷却媒体導出マニホールド62のそれぞれと連通している。
図2に示すように、水素ポンプユニット10は、電解質膜21と、アノードANと、カソードCAと、カソードセパレーター29Aと、アノードセパレーター29Bと、枠体28と、面シール材40と、を備える。そして、水素ポンプユニット10において、電解質膜21、アノード触媒層24、カソード触媒層23、アノード給電体25、カソード給電体22、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bが積層されている。
アノードANは、電解質膜21の一方の主面上に設けられている。アノードANは、アノード触媒層24と、アノード給電体25とを含む電極である。
カソードCAは、電解質膜21の他方の主面上に設けられている。カソードCAは、カソード触媒層23と、カソード給電体22とを含む電極である。
ここで、一般的に、電気化学式水素ポンプ100では、カソード触媒層23およびアノード触媒層24が電解質膜21に一体的に接合された触媒層付き膜CCM(Catalyst Coated Membrane)が使用されることが多い。
そこで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、触媒層付き膜CCMのアノード触媒層24およびカソード触媒層23のそれぞれに、上記のアノード給電体25およびカソード給電体22がそれぞれ設けられている。
以上により、電解質膜21は、アノードANとカソードCAとによって挟持されている。
電解質膜21は、プロトン伝導性を備える高分子膜である。電解質膜21は、プロトン伝導性を備えていれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜21として、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、例えば、電解質膜21として、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができる。
アノード触媒層24は、電解質膜21の一方の主面に接するように設けられている。アノード触媒層24は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
カソード触媒層23は、電解質膜21の他方の主面に接するように設けられている。カソード触媒層23は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
カソード触媒層23およびアノード触媒層24の触媒担体としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛などのカーボン粒子、導電性の酸化物粒子などが挙げられるが、これらに限定されない。
なお、カソード触媒層23およびアノード触媒層24では、触媒金属の微粒子が、触媒担体に高分散に担持されている。また、これらのカソード触媒層23およびアノード触媒層24中には、電極反応場を大きくするために、プロトン伝導性のイオノマー成分を加えることが一般的である。
カソード給電体22は、カソード触媒層23上に設けられている。また、カソード給電体22は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、カソード給電体22は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソードCAおよびアノードAN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。なお、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カソード給電体22として、カーボン繊維で構成した部材が用いられている。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの多孔性のカーボン繊維シートでもよい。なお、カソード給電体22の基材として、カーボン繊維シートを用いなくもよい。例えば、カソード給電体22の基材として、チタン、チタン合金、ステンレスなどを素材とする金属繊維の焼結体、これらを素材とする金属粒子の焼結体などを用いてもよい。
アノード給電体25は、アノード触媒層24上に設けられている。また、アノード給電体25は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。さらに、アノード給電体25は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソードCAおよびアノードAN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形を抑制可能な高剛性であることが望ましい。
具体的には、アノード給電体25の基材として、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス、カーボンなどを素材とした繊維焼結体、粉体焼結体、エキスパンドメタル、金属メッシュ、パンチングメタルなどを用いてもよい。
アノードセパレーター29Bは、アノードAN上に積層された部材である。カソードセパレーター29Aは、カソードCA上に積層された部材である。
アノードセパレーター29BのアノードAN側のアノードANに対向する面の中央部は、アノード給電体25が接触している。そして、この中央部に、図4に示す如く、平面視において、サーペンタイン状のアノードガス流路30が設けられている。アノードガス流路30の両端はそれぞれ、アノードガス導入マニホールド31およびアノードガス導出マニホールド32のそれぞれと連通している。
カソードセパレーター29AのカソードCA側のカソードCAに対向する面の中央部には、凹部が設けられ、この凹部内に、カソード給電体22が収容されている。つまり、凹部は、水素ポンプユニット10のカソードCAで生成された圧縮水素を含むカソードガスを溜めるための空間S(図3参照)に相当する。
ここで、図3に示すように、アノードセパレーター29Bには、カソードガスが流れる第1カソードガス導出マニホールド35と、カソードガスが流れる第2カソードガス導出マニホールド36と、カソードセパレーター29Aの凹部(空間S)から流入したカソードガスを第1カソードガス導出マニホールド35および第2カソードガス導出マニホールド36のそれぞれに導くための連絡路37および連絡路38のそれぞれと、が設けられている。
具体的には、連絡路37は、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bが面接合する前におけるアノードセパレーター29Bの接合面上の流路溝で構成されている。この流路溝は、平面視において、カソードセパレーター29AのアノードAN側の主面に設けられたOリング溝50およびOリング溝51を跨ぐように直線状に延伸している。そして、流路溝の一端が、カソードセパレーター29Aの凹部(空間S)の底面の縁部近傍で上下に延伸する連通孔70を介して、当該凹部内と連通している。流路溝の他端が、第1カソードガス導出マニホールド35に接続されている。連絡路37は、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bが面接合で一体化されることで適切にガスシールされる。
電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作中、カソードCAで生成された高圧のカソードガスは、カソードセパレーター29Aの凹部(空間S)内に溜まり、その後、カソードガスは、図3の点線矢印で示す如く、空間Sから連通孔70および連絡路37をこの順に流れて、第1カソードガス導出マニホールド35に供給される。
連絡路38は、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bが面接合する前におけるアノードセパレーター29Bの接合面上の流路溝で構成されている。この流路溝は、平面視において、カソードセパレーター29Aに設けられたOリング溝50およびOリング溝52を跨ぐように直線状に延伸している。そして、流路溝の一端が、カソードセパレーター29Aの凹部(空間S)の底面の縁部近傍で上下に延伸する連通孔71を介して、当該凹部内と連通している。流路溝の他端が、第2カソードガス導出マニホールド36に接続されている。連絡路38は、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bが面接合で一体化されることで適切にガスシールされる。
電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作中、カソードCAで生成された高圧のカソードガスは、カソードセパレーター29Aの凹部(空間S)内に溜まり、その後、カソードガスは、図3の点線矢印で示す如く、空間Sから連通孔71および連絡路38をこの順に流れて、第2カソードガス導出マニホールド36に供給される。
このようにして、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター29Bの連絡路37および連絡路38のそれぞれを通じて、カソードセパレーター29Aの空間Sからアノードセパレーター29Bの第1カソードガス導出マニホールド35および第2カソードガス導出マニホールド36のそれぞれに高圧のカソードガスを適切に供給することができる。
なお、本例では、連絡路37および連絡路38、および、連通孔70および連通孔71はそれぞれ、平面視において、第1カソードガス導出マニホールド35の中心と第2カソードガス導出マニホールド36の中心とを結ぶ直線上に設けられているが、これに限定されない。連絡路および連通孔の配置位置および形状は、カソードセパレーター29Aの凹部(空間S)から流入したカソードガスをカソードガス導出マニホールドに導くことができれば、どのような箇所および形状であってもよい。また、連絡路および連通孔の個数は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
以上のカソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bは、例えば、チタン、ステンレス、金などの金属シートで構成されていてもよいが、これに限定されない。例えば、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bの基材は、カーボン、または、表面に金属膜が形成され樹脂などで構成されていてもよい。なお、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bをステンレスで構成する場合、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bの素材としてSUS316Lを使用することが望ましい。これは、SUS316Lが様々な種類のステンレスの中で耐酸性および耐水素脆性などの特性に優れているからである。
このようにして、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bによって、上記のMEAを挟むことにより、水素ポンプユニット10が形成されている。
ここで、図2に示すように、カソードCAの外周を囲むOリング45が設けられている。具体的には、カソードセパレーター29Aには、カソードCA側の主面上に、平面視において、当該主面のカソードCAに対向する領域を囲むOリング溝50が設けられ、Oリング45が、Oリング溝50に保持されている。これにより、カソードCAに存在する高圧のカソードガスは、Oリング45によってシールされ、Oリング45で囲まれた領域内から外部に漏れることが適切に抑制される。
また、Oリング溝50は、電解質膜21のカソードCA側の主面のうち、カソードCAが設けられていない領域に面している。図2に示す例では、電解質膜21は、カソードCAが収容された凹部の側壁を跨ぐように幅広に設けられ、Oリング45は、電解質膜21の幅広部に当接するように設けられている。Oリング45(他のOリングも同じ)として、例えば、耐酸性および耐水素脆性の視点からフッ素ゴム系のOリングを用いることができるが、これに限定されない。
枠体28は、電解質膜21の外周を囲むように設けられた部材である。枠体28の基材として、例えば、耐酸性および耐水素脆性の視点からフッ素ゴムなどを挙げることができるが、これに限定されない。なお、絶縁性の枠体28により、水素ポンプユニット10内における、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29B間を適切に短絡しにくく構成することができる。
面シール材40は、アノードセパレーター29BのアノードAN側の主面のアノードANに対向する領域の外周上に設けられている。また、面シール材40は、電解質膜21のアノードAN側の主面のうち、アノードANが設けられていない領域、および枠体28のアノードAN側の主面に面している。図2に示す例では、電解質膜21は、アノードANの外周端を跨ぐように幅広に設けられ、面シール材40の主面と、電解質膜21の幅広部と枠体28の主面とが接触している。面シール材40の基材として、例えば、耐酸性および耐水素脆性の視点からフッ素ゴム、フッ素樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されない。なお、絶縁性の面シール材40により、水素ポンプユニット10内における、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29B間を適切に短絡しにくく構成することができる。
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100においては、電解質膜21と枠体28とを別体で構成しているが、両者を一体化してもよい。また、このような枠体28を設けなくてもよい。例えば、水素ポンプユニット10内における、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29B間は、枠体28を設けなくても、面シール材40で短絡しにくく構成することが可能である。
図2に示すように、カソードセパレーター29Aには、第1カソードガス導出マニホールド35を囲むOリング溝51が設けられている。そして、Oリング41が、Oリング溝51に保持されている。カソードセパレーター29Aには、第2カソードガス導出マニホールド36を囲むOリング溝52が設けられている。そして、Oリング42が、Oリング溝52に保持されている。
ここで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、Oリング41およびOリング42はそれぞれ、アノードセパレーター29BのアノードAN側の主面に当接している。つまり、Oリング41およびOリング42はそれぞれ、両隣のバイポーラプレート29に対応する、カソードセパレーター29Aおよびアノードセパレーター29Bの両方に当接している。そして、面シール材40は、アノードセパレーター29BのアノードAN側の主面のうち、Oリング41およびOリング42が当接している領域上には設けられていない。また、枠体28は、Oリング41およびOリング42が配設されている領域には設けられていない。
具体的には、枠体28には、一対の貫通孔(円形の開口部)のそれぞれの外形が、Oリング溝51およびOリング溝51のそれぞれの外形と同じになるように、貫通孔が形成されている。また、面シール材40には、一対の貫通孔(円形の開口部)のそれぞれの外形が、Oリング溝51およびOリング溝51のそれぞれの外形と同じになるように、貫通孔が形成されている。そして、枠体28および面シール材40に設けられた貫通孔で構成される円柱空間が、Oリング41を収容するとともに、円柱空間に設けられたOリング41の内部が、第1カソードガス導出マニホールド35の一部を構成する。また、枠体28および面シール材40に設けられた貫通孔で構成される円柱空間が、Oリング42を収容するとともに、円柱空間に設けられたOリング42の内部が、第2カソードガス導出マニホールド36の一部を構成する。
<第1圧力形成部材の構成>
図5は、図1の第1圧力形成部材の一例を図1のバイポーラプレートおよび水素ポンプユニットと共に示す図である。
図6は、図5の第1圧力形成部材の分解斜視図を示す図である。具体的には、第1圧力形成部材44を構成する一対の部材を図5のA-A部から斜視した図、および、両者を一体化した図が示されている。なお、図5の第1圧力形成部材44では、説明の便宜上、Oリング45Cのみが示されている。また、図6では、Oリングを省略した図が示されている。
図7は、図5の第1圧力形成部材を上方から見た図である。具体的には、第1圧力形成部材44を構成する部材を図5のB-B部から平面視した図が示されている。
図5および図6に示すように、プレート44Aには、カソードガスを溜めるための空間SCが形成され、プレート44Bには、カソードガスが流れる第1カソードガス導出マニホールド135および第2カソードガス導出マニホールド136と、第2カソードガス導出マニホールド136から流入したカソードガスを空間SCに導くための連絡路138が設けられている。空間SCから溢れたカソードガスは、連絡路137を通じて第1カソードガス導出マニホールド135に導かれる。
ここで、プレート44Aの構成は、以下に説明するOリング45CおよびOリング溝50Cの構成以外は、カソードセパレーター29Aの構成と同様である。具体的には、例えば、カソードセパレーター29Aの空間Sおよびプレート44Aの空間SCは同一形状である。また、カソードセパレーター29Aの連通孔70およびプレート44Aの連通孔170は同一形状であり、カソードセパレーター29Aの連通孔71およびプレート44Aの連通孔171は同一形状である。よって、プレート44Aの構成の詳細な説明は省略する。
また、プレート44Bの構成は、プレート44Bの連絡路137および連絡路138が設けられた面に冷却流路が設けられていないこと、および、プレート44Bの連絡路137および連絡路138が設けられた面と反対側の面にアノード流体流路が設けられていない以外は、アノードセパレーター29Bの構成と同様である。具体的には、例えば、アノードセパレーター29Bの連絡路37およびプレート44Bの連絡路137は同一形状であり、アノードセパレーター29Bの連絡路38およびプレート44Bの連絡路138は同一形状である。よって、プレート44Bの構成の詳細な説明は省略する。
電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作開始後の適時において、カソードCAで生成されたカソードガスが第2カソードガス導出マニホールド136を通過する際に、第2カソードガス導出マニホールド136から分岐したカソードガスは、図6の点線矢印で示す如く、連絡路138および連通孔171をこの順に流れて、プレート44Aの凹部(空間SC)に供給される。なお、空間SCがカソードガスで満たされると、空間SCから溢れたカソードガスは、図6の点線矢印で示す如く、連通孔170および連絡路137をこの順に流れて、第1カソードガス導出マニホールド135に導かれる。
このようにして、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、プレート44Bの連絡路138を通じて、プレート44Bの第2カソードガス導出マニホールド136からプレート44Aの空間SCに高圧のカソードガスを適切に供給することができる。
ここで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、図1および図5に示すように、カソード端板15と他方の端に位置するカソードセパレーター29Aとの間に設けられ、カソードガスを溜めるための空間SCの外周を囲むOリング45Cが設けられている。具体的には、プレート44Aには、空間SCが形成された側の主面(プレート44Aおよびプレート44B間の接合面と反対側の主面)上に、平面視において、空間SCの領域を囲むOリング溝50Cが設けられ、Oリング45Cが、Oリング溝50Cに保持されている。これにより、空間SCに存在する高圧のカソードガスは、Oリング45Cによってシールされ、Oリング45Cで囲まれた領域内から外部に漏れることが適切に抑制される。なお、Oリング45Cが、本開示の「シール材」の一例に対応する。また、プレート44Aが、本開示の「板状部材」の一例に対応する。
さらに、図5の寸法Lおよび寸法LCで示すように、Oリング45Cで囲まれた領域の面積は、Oリング45で囲まれた領域の面積よりも大きい。図5に示す例では、Oリング45Cの外縁で囲まれた領域の面積が、Oリング45の外縁で囲まれた領域の面積よりも大きい。
このようにして、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター29B、アノードAN、電解質膜21、カソードCA、およびカソードセパレーター29Aの積層方向から見る平面視において、Oリング45の外縁は、Oリング45Cの外縁内に収まっている。なお、このとき、上記の積層方向から見る平面視において、Oリング45Cの外縁は、カソードセパレーター29Aの外縁内に収まっている。
<第2圧力形成部材の構成>
図8は、図1の第2圧力形成部材の一例を図1のバイポーラプレートおよび水素ポンプユニットと共に示す図である。
図9は、図8の第2圧力形成部材の分解斜視図を示す図である。具体的には、第2圧力形成部材46を構成する一対の部材を図8のA-A部から斜視した図、および、両者を一体化した図が示されている。なお、図8の第2圧力形成部材46では、説明の便宜上、Oリング45Aのみが示されている。また、図9では、Oリングを省略した図が示されている。
図10は、図8の第2圧力形成部材を上方から見た図である。具体的には、第2圧力形成部材46を構成する部材を図8のB-B部から平面視した図が示されている。
図8および図9に示すように、プレート46Aには、カソードガスを溜めるための空間SAが形成され、プレート46Bには、カソードガスが流れる第1カソードガス導出マニホールド235および第2カソードガス導出マニホールド236と、第1カソードガス導出マニホールド235から流入したカソードガスを空間SAに導くための連絡路237が設けられている。空間SAから溢れたカソードガスは、連絡路238を通じて第2カソードガス導出マニホールド236に導かれる。
ここで、プレート46Aの構成は、以下に説明するOリング45AおよびOリング溝50Aの構成以外は、カソードセパレーター29Aの構成と同様である。具体的には、例えば、カソードセパレーター29Aの空間Sおよびプレート46Aの空間SAは同一形状である。また、カソードセパレーター29Aの連通孔70およびプレート46Aの連通孔270は同一形状であり、カソードセパレーター29Aの連通孔71およびプレート46Aの連通孔271は同一形状である。よって、プレート46Aの構成の詳細な説明は省略する。
また、プレート46Bの構成は、アノードセパレーター29Bの構成と同様である。具体的には、例えば、アノードセパレーター29Bの連絡路37およびプレート46Bの連絡路237は同一形状であり、アノードセパレーター29Bの連絡路38およびプレート46Bの連絡路238は同一形状である。また、プレート46Bには、アノードセパレーター29Bと同様、プレート46Bの連絡路237および連絡路238が設けられた面に冷却流路260(図9参照)が設けられるとともに、プレート46Bの連絡路237および連絡路238が設けられた面と反対側の面にアノードガス流路230(図10参照)が設けられている。よって、プレート46Bの構成の詳細な説明は省略する。
電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作開始後の適時において、カソードCAで生成されたカソードガスが第1カソードガス導出マニホールド235を通過する際に、第1カソードガス導出マニホールド235から分岐したカソードガスは、図9の点線矢印で示す如く、連絡路237および連通孔270をこの順に流れて、プレート46Aの凹部(空間SA)に供給される。なお、空間SAがカソードガスで満たされると、空間SAから溢れたカソードガスは、図9の点線矢印で示す如く、連通孔271および連絡路238をこの順に流れて、第2カソードガス導出マニホールド236に導かれる。
このようにして、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、プレート46Bの連絡路237を通じて、プレート46Bの第1カソードガス導出マニホールド235からプレート46Aの空間SAに高圧のカソードガスを適切に供給することができる。
ここで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、図1および図8に示すように、アノード端板16と一方の端に位置するアノードセパレーター(本例では、プレート46B)との間に設けられ、カソードガスを溜めるための空間SAの外周を囲むOリング45Aが設けられている。具体的には、プレート46Aには、空間SAが形成された側の主面(プレート46Aおよびプレート46B間の接合面と反対側の主面)上に、平面視において、空間SAの領域を囲むOリング溝50Aが設けられ、Oリング45Aが、Oリング溝50Aに保持されている。これにより、空間SAに存在する高圧のカソードガスは、Oリング45Aによってシールされ、Oリング45Aで囲まれた領域内から外部に漏れることが適切に抑制される。
さらに、図8の寸法Lおよび寸法LAで示すように、Oリング45Aで囲まれた領域の面積は、Oリング45で囲まれた領域の面積よりも大きい。図8に示す例では、Oリング45Aの外縁で囲まれた領域の面積が、Oリング45の外縁で囲まれた領域の面積よりも大きい。
このようにして、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター29B、アノードAN、電解質膜21、カソードCA、およびカソードセパレーター29Aの積層方向から見る平面視において、Oリング45の外縁は、Oリング45Cの外縁内に収まっている。なお、このとき、上記の積層方向から見る平面視において、Oリング45Aの外縁は、カソードセパレーター29Aの外縁内に収まっている。
以上のとおり、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット10を構成する部材間の接触抵抗を従来よりも適切に低減し得る。
具体的には、Oリング45Cで囲まれた領域のカソードガスのガス圧は、水素ポンプユニット10における、Oリング45で囲まれた領域のカソードガスのガス圧とほぼ同等の高圧である。また、Oリング45Cで囲まれた領域のカソードガスのガス圧によってカソードセパレーター29Aに付与される荷重は、カソードセパレーター29Aが、Oリング45で囲まれた領域のカソードガスのガス圧に起因してカソード端板15側に撓むことを抑えるように作用する。これにより、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット10を構成する部材間の隙間が発生しにくくなる。
ここで、仮に、Oリング45Cで囲まれた領域の面積がOリング45で囲まれた領域の面積よりも小さいと、平面視において、Oリング45で囲まれた領域の一部が、Oリング45Cで囲まれた領域の中に収まらない。すると、上記領域の一部に対向するカソードセパレーター29Aの部分が、カソード端板15側に撓む可能性がある。
これに対して、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング45Cで囲まれた領域の面積をOリング45で囲まれた領域の面積よりも大きくすることで、平面視において、前者の領域によって後者の領域の全体を収めることができる。このため、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング45で囲まれた領域に対向するカソードセパレーター29A全域に上記の撓み変形を抑える荷重を付与することができるので、水素ポンプユニット10を構成する部材間の接触抵抗を従来よりも適切に低減し得る。
さらに、Oリング45Aで囲まれた領域のカソードガスのガス圧は、水素ポンプユニット10における、Oリング45で囲まれた領域のカソードガスのガス圧とほぼ同等の高圧である。また、Oリング45Aで囲まれた領域のカソードガスのガス圧によってアノードセパレーターに付与される荷重は、アノードセパレーターがOリング45で囲まれた領域のカソードガスのガス圧に起因してアノード端板16側に撓むことを抑えるように作用する。これにより、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット10を構成する部材間の隙間が発生しにくくなる。
ここで、仮に、Oリング45Aで囲まれた領域の面積がOリング45で囲まれた領域の面積よりも小さいと、平面視において、Oリング45で囲まれた領域の一部が、Oリング45Aで囲まれた領域の中に収まらない。すると、上記領域の一部に対向するアノードセパレーターの部分が、アノード端板16側に撓む可能性がある。
これに対して、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング45Aで囲まれた領域の面積をOリング45で囲まれた領域の面積よりも大きくすることで、平面視において、前者の領域によって後者の領域の全体を収めることができる。このため、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング45で囲まれた領域に対向するアノードセパレーター全域に上記の撓み変形を抑える荷重を付与することができるので、水素ポンプユニット10を構成する部材間の接触抵抗を従来よりも適切に低減し得る。
例えば、図5に示す例においては、仮に、Oリング45Cの外縁で囲まれた領域の面積がOリング45の外縁で囲まれた領域の面積よりも小さいと、平面視において、Oリング45の外縁で囲まれた領域の一部が、Oリング45Cの外縁で囲まれた領域の中に収まらない。
すると、上記領域の一部に対向するカソードセパレーター29Aの部分が、カソード端板15側に撓む可能性があるが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、図5に示す如く、Oリング45Cの外縁で囲まれた領域の面積をOリング45の外縁で囲まれた領域の面積よりも大きくすることで、以上のような不都合を軽減することができる。具体的には、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター29B、アノードAN、電解質膜21、カソードCA、およびカソードセパレーター29Aの積層方向から見る平面視において、Oリング45の外縁がOリング45Cの外縁内に収まることで、Oリング45の外縁で囲まれた領域に対向するカソードセパレーター29A全域に上記の撓み変形を抑える荷重を付与することができる。
なお、Oリング45およびOリング45Cのそれぞれの外縁を基準に、以上の領域面積の大小関係を定める理由は、以下のとおりである。
Oリング45およびOリング45Cは、これらに当接する部材の押圧によって上下方向につぶれることでシール力を発揮する。ここで、電気化学式水素ポンプ100の水素圧縮動作中は、図5の拡大図の細い矢印で示す如く、Oリング45C(Oリング45も同じ)に対して内縁から外縁に向かう方向(水平方向)にカソードガスのガス圧力が付与されるので、Oリング45Cは、Oリング溝50Cの側部に密着するように圧縮変形する。すると、Oリング45Cの線径が垂直方向に拡大する方向に、Oリング45Cの弾性力が、Oリング45Cに当接する部材に作用する。換言すると、図5の拡大図の太い矢印で示すように、Oリング45Cの外縁までの領域でOリング45Cに当接するプレート44Aおよびカソードセパレーター29Aのそれぞれには、上記のカソードガスのガス圧およびシール力に起因するOリング45Cの弾性力が上向きおよび下向きのそれぞれの方向に作用する。そして、このことは、Oリング45およびOリング45Cのそれぞれの外縁に基づいて以上の領域面積の大小関係を定めることが、水素ポンプユニット10を構成する各部材に作用する押圧力の導出において適当であることを意味する。
また、図8に示す例においては、仮に、Oリング45Aの外縁で囲まれた領域の面積がOリング45の外縁で囲まれた領域の面積よりも小さいと、平面視において、Oリング45の外縁で囲まれた領域の一部が、Oリング45Aの外縁で囲まれた領域の中に収まらない。
すると、上記領域の一部に対向するアノードセパレーターの部分が、アノード端板16側に撓む可能性があるが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、図8に示す如く、Oリング45Aの外縁で囲まれた領域の面積をOリング45の外縁で囲まれた領域の面積よりも大きくすることで、以上のような不都合を軽減することができる。具体的には、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター29B、アノードAN、電解質膜21、カソードCA、およびカソードセパレーター29Aの積層方向から見る平面視において、Oリング45の外縁がOリング45Aの外縁内に収まることで、Oリング45の外縁で囲まれた領域に対向するアノードセパレーター全域に上記の撓み変形を抑える荷重を付与することができる。
<第1圧力形成部材におけるOリング溝およびリング材の構成>
図11は、Oリングの内部に存在する高圧のカソードガスによってOリングの一部が隙間内にはみ出す現象の一例を示す図である。図12は、図1の第1圧力形成部材の一例を示す図である。
図12に示すように、第1圧力形成部材44において、リング材90は、Oリング45Cの外縁に隣接し、Oリング45Cを囲むバックアップリングである。リング材90は、Oリング溝50Cに保持されている。なお、リング材90の材料として、例えば、耐酸性および耐水素脆性の視点からPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などを挙げることができるが、これらに限定されない。ただし、リング材90は、PTFEよりも曲げ弾性率が高い材料で構成する方が適当である。以下の表1には、上記樹脂材料のそれぞれの曲げ弾性率および引張強度に関する物性データが示されている。
Figure 0007281656000001
ここで、Oリング45Cで空間SCがシールされる際に、Oリング45Cに当接する部材間には、Oリング45Cで囲まれた領域のカソードガスのガス圧によって、図11に示す如く、隙間Gが発生する場合がある。この場合、Oリング45Cを囲むリング材が設けられていないときは、Oリング45Cの一部が、Oリング45Cの内部に存在するカソードガスのガス圧によって隙間G内にはみ出す可能性がある(図11参照)。すると、Oリング45Cが破損することで、Oリング45Cのシール性が低下する可能性がある。
これに対して、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング45Cの外縁に隣接するようにOリング45Cを囲むリング材90を設けることで、Oリング45Cが隙間G内にはみ出すことが抑制され、その結果、Oリング45Cが破損することが改善される。
ここで、以下、Oリング溝50Cの外周面およびリング材90の外周面が、Oリング溝50Cの開口面に対して直交する場合におけるOリング45Cのシール性の問題について検討する。例えば、Oリング溝として一般的な円筒溝が形成されているときは、リング材として一般的な円筒状のバックアップリングが使用される。
しかし、上記の場合、Oリング45Cが隙間G内にはみ出すことが抑制されるが、円筒状のリング材が、Oリング45Cの内部に存在するカソードガスのガス圧をOリング45Cを介して受けることに起因して変形しても、リング材が隙間Gを埋めるようには変形しない場合がある。このため、この隙間Gを通じてカソードガスが外部に漏洩しやすくなる。
そこで、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、上記の問題を軽減すべく、リング材90の外周面およびOリング溝50Cの外周面がともに、Oリング溝50Cの開口に向かって広がるように勾配が設けられている。
図13は、図1の第1圧力形成部材におけるOリング溝およびリング材の一例を示す図である。
図13に示す例では、リング材90は、第1リング部90Aと、第2リング部90Bとを備える。
第1リング部90Aは、Oリング45Cの外縁に隣接するようにOリング45Cを囲む円筒部材で構成されている。第1リング部90Aの内側面とOリング45Cの外縁とが接触するとともに、第1リング部90Aの両端面がそれぞれ、Oリング溝50Cの底面およびバイポーラプレート29の主面のそれぞれと接触するように、Oリング溝50C内に配されている。第1リング部90Aの材料として、例えば、PCTFEを用いることができるが、これに限定されない。
第2リング部90Bは、断面が直角三角形である環状部材で構成されている。第2リング部90Bは、断面視において直角を構成する2辺のうちの短辺(角度θに直目するときの隣辺)を含む水平面がバイポーラプレート29の主面と面接触するとともに、上記2辺のうちの長辺(角度θに直目するときの対辺)を含む鉛直面が、第1リング部90Aの外側面と面接触するように、Oリング溝50C内に配されている。そして、第2リング部90Bの断面視における、直角と相対する斜辺を含む傾斜側面は、Oリング溝50Cの傾斜側面と面接触している。第2リング部90Bの材料として、例えば、PEEKを用いることができるが、これに限定されない。
このように、図13に示す例では、第2リング部90Bの傾斜側面が、本開示の「リング材の外周面」の一例に対応する。また、Oリング溝50Cの傾斜側面が、本開示の「溝部の外周面」の一例に対応する。
図13の角度θは、電気化学式水素ポンプ100の運転条件、ならびに、リング材90およびOリング45Cの形状、材質などに基づいて適宜の値に設定することができるが、一例として、約60°程度であってもよい。
以上のとおり、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、カソードガスを溜めるための凹部(空間SC)をシールするOリング45Cのシール性を従来よりも改善し得る。具体的には、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第2リング部90Bの傾斜側面およびOリング溝50Cの傾斜側面が、Oリング溝50Cの開口に向かって広がるように勾配が設けられている。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング45Cの内部に存在するカソードガスのガス圧によってOリング45Cに当接する部材間に隙間G(図11参照)が発生しても、上記ガス圧は、第2リング部90Bの傾斜側面をOリング溝50Cの傾斜側面に対して下方に滑らす方向に作用するので、第2リング部90Bの一部(断面視における角度θを構成する部分)が、隙間Gを埋めるように隙間G内に進入しやすくなる。これにより、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング溝50Cの外周面およびリング材の外周面が、Oリング溝50Cの開口面に対して直交する場合に比べて、上記隙間Gを通じて、Oリング45Cの内部に存在するカソードガスが外部に漏洩する可能性を低減することができる。なお、隙間G内に進入したリング材90の一部が破損する可能性はあるが、リング材90の存在によりOリング45Cが隙間G内にはみ出し破損することは抑制されるので、Oリング45Cの内部に存在するカソードガスが外部に漏洩する可能性は低減される。
また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、リング材91が、第1リング部90Aと第2リング部90Bとを備えるので、第1リング部90Aおよび第2リング部90Bのそれぞれに適した曲げ弾性率の材料を選択することができる。
なお、以上のOリング溝50Cおよびリング材90は例示であって、本例に限定されない。リング材の他の例は、第1変形例で説明する。
[構造解析(シミュレーション)]
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果について、以下の構造解析によって検証した。
<解析ソフト>
以下の構造解析は、市販の構造解析ソフトである「Ansys Workbench(
登録商標)」により行われた。
<解析モデルおよび解析条件>
図14Aは、構造解析で使用した2次元解析モデルの一例を示す図である。
図14Aの解析モデルにおいて、物性条件として、プレート44Aおよびバイポーラプレート29のそれぞれに対応に対応する各解析領域内のメッシュ(図示せず)に対して、SUS316Lの曲げ弾性率を付与した。
第1リング部90Aに対応する解析領域の大きさは、1.25mm×2.4mmであり、物性条件として、この解析領域内のメッシュ(図示せず)に対して、PCTFEの曲げ弾性率(表1参照)を付与した。
第2リング部90Bに対応する解析領域の大きさは、隣辺の長さが1.39mmであって角度θが60°であり、物性条件として、この解析領域内のメッシュ(図示せず)に対して、PKKEの曲げ弾性率(表1参照)を付与した。
上記解析領域以外は空間である。つまり、第1リング部90Aおよび第2リング部90Bのそれぞれに対応する各解析領域と、バイポーラプレート29に対応する解析領域との間には、隙間Gに対応する、0.2mmの空間を設定した。
解析モデルにおいて、境界条件として、第1リング部90Aに対応する解析領域内のメッシュに対して、図14Aの矢印の如く、145MPaの押圧力を付与した。また、以上の部材間の境界に対応する解析領域内のメッシュに対して、摩擦係数として、0.1を付与した。
<解析結果>
図14Bは、構造解析による結果の一例を示す図である。図14Bには、解析領域内のメッシュにおける応力分布のコンター図が示されており、グレースケールの色が淡くなるほど、応力が高い領域である。また、第1リング部90Aおよび第2リング部90Bに対応する解析領域において、応力の計算結果の一例が数値で出力されている。
図14Bで示すように、太い矢印で示す如く、第2リング部90Bに対応する解析領域の角部が隙間Gを埋めるように隙間G内に進入する現象が確認された。この解析領域の上方には、上記現象に起因する空間200が形成されていることがわかる。以上により、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果を構造解析によって検証することができた。
(第1変形例)
第1変形例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明する第1圧力形成部材44におけるリング材190の構成以外は、実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
図15は、図1の第1圧力形成部材におけるOリング溝およびリング材の一例を示す図である。
図15に示すように、リング材190は、Oリング45Cの外縁に隣接し、Oリング45Cを囲むバックアップリングである。リング材190は、Oリング溝50Cに保持されている。なお、リング材190の材料として、例えば、耐酸性および耐水素脆性の視点からPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などを挙げることができるが、これらに限定されない。ただし、リング材190は、PTFEよりも曲げ弾性率が高い材料で構成する方が適当である。
図15に示す例では、リング材190は、鉛直面がOリング45Cの外縁に隣接するようにOリング45Cを囲み、断面が台形である環状部材で構成されている。リング材190は、断面視において水平下面がバイポーラプレート29の主面と面接触するとともに、水平上面がOリング溝50Cの底面に面接触するようにOリング溝50C内に配されている。そして、リング材190の断面視における、鉛直線と相対する斜辺を含む傾斜側面は、Oリング溝50Cの傾斜側面と面接触している。リング材190の材料として、例えば、PEEKを用いることができるが、これに限定されない。
図15の角度θは、電気化学式水素ポンプ100の運転条件、ならびに、リング材90およびOリング45Cの形状、材質などに基づいて適宜の値に設定することができるが、一例として、約60°程度であってもよい。
このように、図15に示す例では、リング材190の傾斜側面が、本開示の「リング材の外周面」の一例に対応する。また、Oリング溝50Cの傾斜側面が、本開示の「溝部の外周面」の一例に対応する。
以上のとおり、本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、リング材190の傾斜側面およびOリング溝50Cの傾斜側面がともに、Oリング溝50Cの開口に向かって広がるように勾配が設けられている。よって、本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング45Cの内部に存在するカソードガスのガス圧によって、Oリング45Cに当接する部材間に隙間G(図11参照)が発生しても、上記ガス圧は、リング材190の傾斜側面をOリング溝50Cの傾斜側面に対して下方に滑らす方向に作用するので、リング材190の一部(断面視における角度θを構成する部分)が、隙間Gを埋めるように隙間G内に進入しやすくなる。これにより、本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、Oリング溝の外周面およびリング材の外周面が、Oリング溝50Cの開口面に対して直交する場合に比べて、上記隙間Gを通じて、Oリング45Cの内部に存在するカソードガスが外部に漏洩する可能性を低減することができる。
また、本変形例の電気化学式水素ポンプ100では、リング材190が単一の部材で構成されているので、上記のリング材90に比べて、部品点数を削減することができる。
[構造解析(シミュレーション)]
本変形例の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果について、以下の構造解析によって検証した。
<解析ソフト>
以下の構造解析は、市販の構造解析ソフトである「Ansys Workbench(
登録商標)」により行われた。
<解析モデルおよび解析条件>
本変形例の解析モデルおよび解析条件は、実施形態の解析モデルおよび解析条件の参酌により容易に理解できるので説明を省略する。
<解析結果>
図16は、構造解析による結果の一例を示す図である。図16には、解析領域内のメッシュにおける応力分布のコンター図が示されており、グレースケールの色が淡くなるほど、応力が高い領域である。
図16で示すように、リング材190に対応する解析領域の角部が隙間Gを埋めるように隙間G内に進入する現象が確認された。これにより、本変形例の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果を構造解析によって検証することができた。
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第2変形例)
図17は、第2実施形態の第2変形例の電気化学式水素ポンプにおける第2圧力形成部材の一例を示す図である。
図17に示すように、第2圧力形成部材46において、リング材91は、Oリング45Aの外縁に隣接し、Oリング45Aを囲むバックアップリングである。リング材91は、Oリング溝50Cに保持されている。なお、リング材91の材料として、例えば、耐酸性および耐水素脆性の視点からPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
本変形例の電気化学式水素ポンプ100では、リング材91の外周面およびOリング溝50Aの外周面がともに、Oリング溝50Aの開口に向かって広がるように勾配が設けられている。このようなOリング溝50Aおよびリング材91の構成は、上記の第1圧力形成部材44の説明から容易に理解できるので詳細な説明を省略する。
また、本変形例の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果は、実施形態の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果と同様であるので説明を省略する。
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、実施形態または実施形態の第1変形例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
(第3変形例)
上記では、水素ポンプユニット10が積層された積層体の上下方向のそれぞれに、第1圧力形成部材44および第2圧力形成部材46がそれぞれ配置されているが、これに限定されない。積層体の上下方向のいずれか一方にのみ、圧力形成部材が配置されていてもよい。この場合、圧力形成部材が配置されていない側の端板の撓み剛性を、圧力形成部材が配置されている側の端板の撓み剛性よりも高くすることで対向可能である。
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、上記特徴以外は、実施形態および実施形態の第1変形例-第2変形例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
実施形態および実施形態の第1変形例-第3変形例は互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。
また、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更することができる。例えば、電気化学式水素ポンプ100のシール構成は、水電解装置などの他の圧縮装置にも適用することができる。
本開示の一態様は、圧縮水素を溜めるための凹部をシールするシール材のシール性を従来よりも改善し得る。
10 :水素ポンプユニット
11 :流体集配部材
11A :排出口
12 :絶縁板
13 :絶縁板
14 :流体集配部材
14A :排出口
15 :カソード端板
16 :アノード端板
17 :締結器
21 :電解質膜
22 :カソード給電体
23 :カソード触媒層
24 :アノード触媒層
25 :アノード給電体
28 :枠体
29 :バイポーラプレート
29A :カソードセパレーター
29B :アノードセパレーター
30 :アノードガス流路
31 :アノードガス導入マニホールド
32 :アノードガス導出マニホールド
35 :第1カソードガス導出マニホールド
36 :第2カソードガス導出マニホールド
37 :連絡路
38 :連絡路
40 :面シール材
41 :Oリング
42 :Oリング
44 :第1圧力形成部材
44A :プレート
44B :プレート
45 :Oリング
45A :Oリング
45C :Oリング
46 :第2圧力形成部材
46A :プレート
46B :プレート
48 :封止板
50 :Oリング溝
50A :Oリング溝
50C :Oリング溝
51 :Oリング溝
52 :Oリング溝
60 :冷却流路
61 :冷却媒体導入マニホールド
62 :冷却媒体導出マニホールド
70 :連通孔
71 :連通孔
90 :リング材
90A :第1リング部
90B :第2リング部
91 :リング材
100 :電気化学式水素ポンプ
101 :端子
102 :電圧印加器
103 :端子
135 :第1カソードガス導出マニホールド
136 :第2カソードガス導出マニホールド
137 :連絡路
138 :連絡路
170 :連通孔
171 :連通孔
190 :リング材
200 :空間
230 :アノードガス流路
235 :第1カソードガス導出マニホールド
236 :第2カソードガス導出マニホールド
237 :連絡路
238 :連絡路
260 :冷却流路
270 :連通孔
271 :連通孔
AN :アノード
CA :カソード
CCM :触媒層付き膜
G :隙間
S :空間
SA :空間
SC :空間

Claims (1)

  1. 電解質膜、前記電解質膜の一方の主面上に設けられたアノード、前記電解質膜の他方の主面上に設けられたカソード、前記アノード上に積層されたアノードセパレーター、および前記カソード上に積層されたカソードセパレーターを含む、少なくとも1つの圧縮ユニットと、
    前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電圧印加器と、を備え、
    前記電圧印加器により電圧を印加することで、アノードに供給されるアノード流体から取り出されたプロトンを、電解質膜を介してカソードに移動させ、圧縮水素を生成する圧縮装置であって、
    前記積層された方向において、一方の端に位置する前記アノードセパレーター上に設けられたアノード端板と、
    前記積層された方向において、他方の端に位置する前記カソードセパレーター上に設けられたカソード端板と、
    前記カソード端板と前記他方の端に位置するカソードセパレーターとの間、または、前記アノード端板と前記一方の端に位置するアノードセパレーターとの間に設けられた板状部材とを備え、
    前記板状部材には、圧縮水素を溜めるための凹部と、前記凹部の外周を囲む溝部とが設けられ、
    前記溝部には、シール材と、前記シール材の外縁に隣接し、前記シール材を囲むリング材とが設けられ、
    前記溝部の外周面および前記リング材の外周面はともに、前記溝部の開口に向かって広がるように勾配が設けられている、圧縮装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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川崎暢之,針生栄次,石川博之,中沢孝治,岡部昌規,差圧式高圧水電解セルの気密構造に関する研究,Honda R&D Technical Review,株式会社 本田技術研究所 〒321-3393 栃木県芳賀郡,2013年09月01日,Vol.25, No.2,p.131-137
川崎暢之,針生栄次,石川博之,中沢孝治,岡部昌規: "差圧式高圧水電解セルの気密構造に関する研究", HONDA R&D TECHNICAL REVIEW, vol. 25, no. 2, JPN6023003079, 1 September 2013 (2013-09-01), pages 131 - 137, ISSN: 0005030518 *

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