JP7279834B2 - 磁気センサ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、磁気センサ装置に関する。
近年、種々の用途において、物理量(例えば、移動体の回転移動や直線的移動による位置や移動量(変化量)等)を検出するための物理量検出装置(位置検出装置)が用いられている。この物理量検出装置としては、外部磁場の変化を検出可能な磁気センサと、磁気センサに対する相対的な位置を変化させ得る磁界発生部(例えば磁石)とを備えるものが知られており、外部磁場の変化に応じたセンサ信号が磁気センサから出力される。
磁気センサとしては、被検出磁界を検出する磁気センサ素子が基板上に設けられているものが知られており、かかる磁気センサ素子としては、外部磁場の変化に応じて抵抗が変化するスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子(GMR素子、TMR素子等)等が用いられている。
スピンバルブ型の磁気抵抗効果素子は、外部磁場に応じて磁化方向を変化させ得る自由層と、磁化方向が固定されてなる磁化固定層と、自由層及び磁化固定層の間に介在する非磁性層とを少なくとも有する積層構造により構成される。このような構造を有する磁気抵抗効果素子においては、自由層の磁化方向と磁化固定層の磁化方向とのなす角度により当該磁気抵抗効果素子の抵抗値が定まる。そして、外部磁場に応じた自由層の磁化方向が変化し、それによる自由層及び磁化固定層の磁化方向のなす角度が変化することで、磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化により、外部磁場の変化に応じたセンサ信号が出力される。基板上に設けられているスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子は、基板の面に平行な方向の磁界に対して感度を有するように構成される場合が多い。
一方で、磁気センサにおいては、基板上に設けられているスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子によって、基板の面に垂直な方向の磁界を検出するような要求もある(特許文献1参照)。上記磁気センサとしては、磁石の位置を検出するために用いられるものがある。この磁気センサにおいては、磁気抵抗効果素子が設けられている基板の上方に磁石が設けられており、磁気抵抗効果素子と磁石との間に軟磁性体が設けられている。この軟磁性体は、磁石が発生する磁界の成分のうち、基板面に対する垂直方向の垂直磁界成分を、磁気抵抗効果素子が感度を有する基板面に平行な方向の磁界成分に変換し、変換された磁界成分が磁気抵抗効果素子に印加される。
上記磁気センサにおいて、磁石から発生し、磁気抵抗効果素子に印加される磁界は、垂直磁界成分の他に、基板面に平行な方向の水平磁界成分を含む。この場合、軟磁性体によって変換された磁界成分の他に、磁石から発生する水平磁界成分も磁気抵抗効果素子に印加されることになる。そのため、本来検出すべき磁界成分(軟磁性体によって変換された磁界成分)の強度に応じた磁気センサからの出力にノイズを生じさせてしまったり、磁気センサの感度が低下してしまったりするという問題がある。
上記課題に鑑みて、本発明は、本来検出すべき磁界成分以外の磁界成分の影響を抑制することができ、検出精度を向上させてなる磁気センサ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、第1方向に沿って入力される入力磁界を受けて、前記第1方向に直交する第2方向に沿って出力磁界を出力する磁界変換部と、前記出力磁界が印加され得る位置に設けられている磁界検出部と、前記第2方向に沿った外部磁界を遮蔽する複数の磁気シールドとを備え、前記第1方向に沿って見たときに、前記磁界変換部は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向における長さが前記第2方向における長さよりも長い形状を有し、前記第1方向に沿って見たときに、前記磁気シールドは、前記磁界変換部及び前記磁界検出部と重なる位置に設けられており、前記第1方向に沿って見たときに、前記複数の磁気シールドは、前記第2方向に沿って並列していることを特徴とする磁気センサ装置を提供する。
上記磁気センサ装置において、前記第1方向に沿って見たときに、前記磁気シールドは、前記第2方向における最大長さが前記第3方向における最大長さよりも短い形状を有していてもよい。
上記磁気センサ装置は、複数の前記磁界検出部を備え、前記第1方向に沿って見たときに、前記複数の磁界検出部は、前記磁界変換部の短手方向の中心を通る軸線であって、前記磁界変換部の長手方向に沿った前記軸線を中心とする線対称の位置に設けられていてもよい。
上記磁気センサ装置において、前記磁界検出部は、磁気抵抗効果素子を含み、前記磁気抵抗効果素子は、前記第2方向に磁化が固定されている磁化固定層と、印加される前記出力磁界に応じて磁化方向が変化する磁化自由層とを有していてもよい。
上記磁気センサ装置において、前記磁界検出部は、複数の前記磁気抵抗効果素子を含み、すべての前記磁気抵抗効果素子の前記磁化固定層の磁化は、略同一方向に固定されていてもよく、前記磁界検出部は、TMR素子又はGMR素子を含んでいてもよい。
本発明によれば、本来検出すべき磁界成分以外の磁界成分の影響を抑制することができ、検出精度を向上させてなる磁気センサ装置を提供することができる。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、本実施形態に係る磁気センサ装置において、必要に応じ、いくつかの図面中、「X方向、Y方向及びZ方向」を規定している。ここで、X方向及びY方向は、本実施形態における基板104の第1面104A及び第2面104B(図2参照)と実質的に平行な平面内における互いに直交する方向であり、Z方向は、基板104の厚さ方向(基板104の第1面104A及び第2面104Bに直交する方向)である。
なお、本実施形態に係る磁気センサ装置において、必要に応じ、いくつかの図面中、「X方向、Y方向及びZ方向」を規定している。ここで、X方向及びY方向は、本実施形態における基板104の第1面104A及び第2面104B(図2参照)と実質的に平行な平面内における互いに直交する方向であり、Z方向は、基板104の厚さ方向(基板104の第1面104A及び第2面104Bに直交する方向)である。
本実施形態におけるカメラモジュール100は、例えば、光学式手振れ補正機構とオートフォーカス機構とを備えるスマートフォン用のカメラの一部を構成するものであり、CMOS等を用いたイメージセンサ200と組み合わせて用いられる(図1及び図2参照)。
カメラモジュール100は、駆動装置と、レンズ102と、筐体103と、基板104とを備える(図1及び図2参照)。駆動装置は、レンズ102を移動させる機能を有する。駆動装置は、本実施形態に係る磁気センサ装置を含む。筐体103は、駆動装置を保護する機能を有する。基板104は、第1面104A及びそれに対向する第2面104Bを有する。
レンズ102は、その光軸方向をZ方向に平行とするような姿勢で、基板104の第1面104Aの上方に配置されている。基板104は、レンズ102を通過した光を通過させる開口部(図示を省略)を有する。カメラモジュール100は、レンズ102及び基板104の開口部を通過した光をイメージセンサ200に入射させるように、イメージセンサ200に対して位置合わせされている。
駆動装置は、第1保持部材105と、第2保持部材106と、複数の第1ワイヤ107と、複数の第2ワイヤ108とを備える(図2参照)。第2保持部材106は、レンズ102を保持するものであり、例えば、その内部にレンズ102を装着可能な筒状の形状を有していればよい。
第2保持部材106は、第1保持部材105に対して一方向、具体的にはレンズ102の光軸方向(Z方向)に平行な方向に位置変更可能に設けられている。本実施形態において、第1保持部材105は、その内部にレンズ102と第2保持部材106とを収容可能な箱状の形状を有する。複数の第2ワイヤ108は、第1保持部材105と第2保持部材106とを接続し、第2保持部材106が第1保持部材105に対してZ方向に沿って相対的に移動可能なように、第2保持部材106を支持している。
第1保持部材105は、基板104の第1面104Aの上方において、基板104に対してX方向及びY方向の少なくとも一方向に位置変更可能に設けられている。複数の第1ワイヤ107は、基板104と第1保持部材105とを接続し、第1保持部材105が基板104に対してX方向及びY方向の少なくとも一方向に沿って相対的に移動可能なように、第1保持部材105を支持している。基板104に対する第1保持部材105の相対的な位置が変化すると、基板104に対する第2保持部材106の相対的な位置も変化する。
駆動装置は、複数の磁石(第1~第8磁石21~28)及び複数のコイル(第1~第6コイル31~36)を備える(図1及び図3参照)。第1磁石21及び第2磁石22は、Y方向に沿ってレンズ102をそれらの間に挟むようにして配置されている。第3磁石23及び第4磁石24は、X方向に沿ってレンズ102をそれらの間に挟むようにして配置されている。第5~第8磁石25~28は、それぞれ、第1~第4磁石21~24の上方(+Z方向)に配置されている。第1~第8磁石21~28は、第1保持部材105に固定されている。
第1磁石21、第2磁石22、第5磁石25及び第6磁石26は、それぞれ長手方向をX方向に向けた直方体形状を有している。第3磁石23、第4磁石24、第7磁石27及び第8磁石28は、それぞれ長手方向をY方向に向けた直方体形状を有している(図1及び図3参照)。第1磁石21の磁化方向H(図6参照)及び第6磁石26の磁化方向は+Y方向であり、第2磁石22及び第5磁石25の磁化方向は-Y方向である。第3磁石23及び第8磁石28の磁化方向は+X方向であり、第4磁石24及び第7磁石27の磁化方向は-X方向である。
第1コイル31は、第1磁石21と基板104との間に配置され、第2コイル32は、第2磁石22と基板104との間に配置されている(図2参照)。第3コイル33は、第3磁石23と基板104との間に配置され、第4コイル34は、第4磁石24と基板104との間に配置されている。第5コイル35は、第1磁石21及び第5磁石25とレンズ102との間に配置され、第6コイル36は、第2磁石22及び第6磁石26とレンズ102との間に配置されている。第1~第4コイル31~34は、基板104の第1面104Aに固定され、第5コイル35及び第6コイル36は、第2保持部材106に固定されている。
第1コイル31には、主に第1磁石21から発生される磁界が印加され、第2コイル32には、主に第2磁石22から発生される磁界が印加され、第3コイル33には、主に第3磁石23から発生される磁界が印加され、第4コイル34には、主に第4磁石24から発生される磁界が印加される。
第5コイル35は、第1磁石21に沿ってX方向に延びる第1導体部351と、第5磁石25に沿ってX方向に延びる第2導体部352と、第1導体部351及び第2導体部352の一端部同士及び他端部同士をZ方向に接続する2つの第3導体部353とを含む(図4参照)。第6コイル36は、第2磁石22に沿ってX方向に延びる第1導体部361と、第6磁石26に沿ってX方向に延びる第2導体部362と、第1導体部361及び第2導体部362の一端部同士及び他端部同士をZ方向に接続する2つの第3導体部363とを含む(図4参照)。
第5コイル35の第1導体部351には、主に第1磁石21から発生される磁界の+Y方向の成分が印加される。第5コイル35の第2導体部352には、主に第5磁石25から発生される磁界の-Y方向の成分が印加される。第6コイル36の第1導体部361には、主に第2磁石22から発生される磁界の-Y方向の成分が印加される。第6コイル36の第2導体部362には、主に第6磁石26から発生される磁界の+Y方向の成分が印加される。
駆動装置は、第1コイル31及び第2コイル32のいずれか一方の内側において基板104に固定された磁気センサ10と、第3コイル33及び第4コイル34のいずれか一方の内側において基板104に固定された磁気センサ10とを備える。本実施形態において、2つの磁気センサ10は、それぞれ第1コイル31の内側及び第4コイル34の内側に配置されている(図5A、図5B参照)。この2つの磁気センサ10は、手振れの影響を低減するためにレンズ102の位置を変化させるためのセンサ信号を出力する。
第1コイル31の内側に配置されている磁気センサ10は、第1磁石21から発生される磁界を検出し、第1磁石21の位置に対応したセンサ信号を出力する。第4コイル34の内側に配置されている磁気センサ10は、第4磁石24から発生される磁界を検出し、第4磁石24の位置に対応したセンサ信号を出力する。各磁気センサ10の構成については、後述する。
駆動装置は、磁石41と、磁気センサ42とを備える(図1及び図3参照)。磁気センサ42は、自動的に焦点合わせを行う際にレンズ102の位置を検出するために用いられる。磁気センサ42は、第1磁石21の端面21Aと第4磁石24の端面24Aとの近傍において基板104の第1面104Aに固定されている。磁気センサ42は、例えば、ホール素子、AMR素子、GMR素子、TMR素子等の磁気抵抗効果素子等を含んでいればよい。
磁石41は、磁気センサ42の上方において、第2保持部材106に固定されており、直方体形状を有している。第1保持部材105に対する第2保持部材106の相対的な位置がZ方向に平行な方向に変化すると、第1保持部材105に対する磁石41の相対的な位置もZ方向に平行な方向に変化する。
ここで、駆動装置の動作について説明する。
駆動装置は、光学式手振れ補正機構及びオートフォーカス機構の一部を構成する。駆動装置、光学式手振れ補正機構及びオートフォーカス機構は、カメラモジュール100の外部の制御部(図示を省略)によって制御される。
駆動装置は、光学式手振れ補正機構及びオートフォーカス機構の一部を構成する。駆動装置、光学式手振れ補正機構及びオートフォーカス機構は、カメラモジュール100の外部の制御部(図示を省略)によって制御される。
光学式手振れ補正機構は、例えば、カメラモジュール100の外部のジャイロセンサ等によって、手振れを検出できるように構成されている。光学式手振れ補正機構が手振れを検出すると、制御部は、手振れの態様に応じて基板104に対するレンズ102の相対的な位置が変化するように、駆動装置を制御する。これにより、レンズ102の絶対的な位置を安定させて、手振れの影響を低減することができる。なお、基板104に対するレンズ102の相対的な位置は、手振れの態様に応じて、X方向及びY方向に変化する。
オートフォーカス機構は、例えば、イメージセンサ200又はオートフォーカスセンサ等によって、被写体に焦点が合った状態を検出できるように構成されている。制御部は、被写体に焦点が合った状態になるように、駆動装置によって、基板104に対するレンズ102の相対的な位置をZ方向に変化させる。これにより、自動的に被写体に対する焦点合わせを行うことができる。
光学式手振れ補正機構に関連する駆動装置の動作について説明する。
制御部によって第1コイル31及び第2コイル32に電流が印加されると、第1磁石21及び第2磁石22から発生される磁界と第1コイル31及び第2コイル32から発生される磁界との相互作用によって、第1磁石21及び第2磁石22が固定されている第1保持部材105は、Y方向に移動する。その結果、レンズ102もY方向に移動する。また、制御部によって第3コイル33及び第4コイル34に電流が印加されると、第3磁石23及び第4磁石24から発生される磁界と第3コイル33及び第4コイル34から発生される磁界との相互作用によって、第3磁石23及び第4磁石24が固定されている第1保持部材105は、X方向に移動する。その結果、レンズ102もX方向に移動する。制御部は、2つの磁気センサ10によって検出される第1磁石21及び第4磁石24の位置に対応する信号に基づいて、レンズ102の位置を検出する。
制御部によって第1コイル31及び第2コイル32に電流が印加されると、第1磁石21及び第2磁石22から発生される磁界と第1コイル31及び第2コイル32から発生される磁界との相互作用によって、第1磁石21及び第2磁石22が固定されている第1保持部材105は、Y方向に移動する。その結果、レンズ102もY方向に移動する。また、制御部によって第3コイル33及び第4コイル34に電流が印加されると、第3磁石23及び第4磁石24から発生される磁界と第3コイル33及び第4コイル34から発生される磁界との相互作用によって、第3磁石23及び第4磁石24が固定されている第1保持部材105は、X方向に移動する。その結果、レンズ102もX方向に移動する。制御部は、2つの磁気センサ10によって検出される第1磁石21及び第4磁石24の位置に対応する信号に基づいて、レンズ102の位置を検出する。
オートフォーカス機構に関連する駆動装置の動作について説明する。
基板104に対するレンズ102の相対的な位置をZ方向に移動させる場合、制御部は、第1導体部351では+X方向に電流が流れるように、第2導体部352では-X方向に電流が流れるように、第5コイル35に電流を印加し、第1導体部361では-X方向に電流が流れるように、第2導体部362では+X方向に電流が流れるように、第6コイル36に電流を印加する。これらの電流と第1磁石21、第2磁石22、第5磁石25及び第6磁石26から発生される磁界とによって、第5コイル35の第1導体部351及び第2導体部352と第6コイル36の第1導体部361及び第2導体部362とに、Z方向のローレンツ力が作用する。これにより、第5コイル35及び第6コイル36が固定されている第2保持部材106は、Z方向に移動する。その結果、レンズ102もZ方向に移動する。なお、基板104に対するレンズ102の相対的な位置を-Z方向に移動させる場合には、制御部は、第5コイル35及び第6コイル36に、上述したZ方向にレンズ102を移動させる場合と逆方向の電流を印加させればよい。
基板104に対するレンズ102の相対的な位置をZ方向に移動させる場合、制御部は、第1導体部351では+X方向に電流が流れるように、第2導体部352では-X方向に電流が流れるように、第5コイル35に電流を印加し、第1導体部361では-X方向に電流が流れるように、第2導体部362では+X方向に電流が流れるように、第6コイル36に電流を印加する。これらの電流と第1磁石21、第2磁石22、第5磁石25及び第6磁石26から発生される磁界とによって、第5コイル35の第1導体部351及び第2導体部352と第6コイル36の第1導体部361及び第2導体部362とに、Z方向のローレンツ力が作用する。これにより、第5コイル35及び第6コイル36が固定されている第2保持部材106は、Z方向に移動する。その結果、レンズ102もZ方向に移動する。なお、基板104に対するレンズ102の相対的な位置を-Z方向に移動させる場合には、制御部は、第5コイル35及び第6コイル36に、上述したZ方向にレンズ102を移動させる場合と逆方向の電流を印加させればよい。
基板104に対するレンズ102の相対的な位置がZ方向に変化すると、磁気センサ42に対する磁石41の相対的な位置もZ方向に変化する。磁気センサ42は、少なくとも磁石41が発生する磁界を検出し、磁石41の位置に対応する信号を生成する。制御部は、磁気センサ42によって生成される信号に基づいて、レンズ102の位置を検出する。
続いて、本実施形態に係る磁気センサ装置の概略構成について説明する。
本実施形態に係る磁気センサ装置は、第1コイル31の内側に配置されている磁気センサ10と、磁界発生部としての第1磁石21とを備える。また、本実施形態に係る磁気センサ装置は、第2コイル32の内側に配置されている磁気センサ10と、磁界発生部としての第2磁石22とを備える。以下、第1コイル31の内側に配置されている磁気センサ10と第1磁石21とを備える磁気センサ装置を例に挙げて説明するが、下記の説明は、第2コイル32の内側に配置されている磁気センサ10と第2磁石22とを備える磁気センサ装置にも当て嵌まることは言うまでもない。
本実施形態に係る磁気センサ装置は、第1コイル31の内側に配置されている磁気センサ10と、磁界発生部としての第1磁石21とを備える。また、本実施形態に係る磁気センサ装置は、第2コイル32の内側に配置されている磁気センサ10と、磁界発生部としての第2磁石22とを備える。以下、第1コイル31の内側に配置されている磁気センサ10と第1磁石21とを備える磁気センサ装置を例に挙げて説明するが、下記の説明は、第2コイル32の内側に配置されている磁気センサ10と第2磁石22とを備える磁気センサ装置にも当て嵌まることは言うまでもない。
磁気センサ装置において、磁気センサ10と、第1磁石21とは、第1磁石21が発生する磁界の一部である部分磁界が磁気センサ10に印加され得るように構成されている。この部分磁界は、第1方向としてのZ方向に平行な第1磁界成分H1と、第2方向としてのY方向に平行な第2磁界成分H2とを含む。本実施形態において、第1磁石21の磁化方向HはY方向に平行であり、磁気センサ10に印加され得る第2磁界成分H2の方向は-Y方向に平行である(図6参照)。
上述したように、磁気センサ10は、基板104に固定されており、第1磁石21は、第1保持部材105に固定されている。基板104に対する第1保持部材105の位置がY方向に変化すると、磁気センサ10に対する第1磁石21の相対的な位置もY方向に変化する。磁気センサ10からの出力は、Y方向における、磁気センサ10に対する第1磁石21の相対的な位置に対応する。
磁気センサ10と第1磁石21とは、それらの相対的な位置がY方向に変化すると、第1磁界成分H1が変化するように構成されている。本実施形態においては、第1保持部材105がY方向に移動して、磁気センサ10と第1磁石21との相対的な位置が変化すると、第1磁界成分H1が変化する。
本実施形態における磁気センサ10は、第1磁石21から発生するZ方向の磁界成分(第1磁界成分H1)が入力磁界として入力され、その第1磁界成分H1をY方向の磁界成分(第3磁界成分H3)に変換して出力する磁界変換部11と、磁界変換部11から出力される出力磁界としての第3磁界成分H3が印加され得る位置に設けられている磁界検出部12と、第1磁石21から発生するY方向の磁界成分(第2磁界成分H2)が外部磁界として磁界検出部12に印加されるのを遮るための磁気シールド13とを備える(図7~図10参照)。
磁界変換部11は、軟磁性体により構成される複数のヨーク111を含む。本実施形態において、磁界変換部11が複数のヨーク111を含む態様を例に挙げているが、これに限定されるものではなく、磁界変換部11は1つのヨーク111を含んでいてもよい。
複数のヨーク111は、第3方向としてのX方向の長さがY方向の長さよりも長い形状であって、例えばZ方向に沿って見たときに長方形状を有している。複数のヨーク111は、Z方向に沿って見たときに、それらの長手方向がX方向に平行となるように設けられていてもよく、Y方向に沿って並ぶように設けられていてもよい。本実施形態において、複数のヨーク111の形状、長手方向の長さ及び短手方向の長さは、互いに同一であるが、これらのうちの少なくとも一つが異なっていてもよい。また、各ヨーク111は、X方向において連続しているが、X方向において複数に分割されていてもよい。なお、Z方向に沿って見たときの各ヨーク111の形状としての長方形状は一例であって、この態様に限定されるものではない。例えば、Z方向に沿って見たときの各ヨーク111の形状は、4つの角が89~91°の四角形であってもよいし、4つの角が丸められた長方形であってもよい。
複数のヨーク111は、第3方向としてのX方向の長さがY方向の長さよりも長い形状であって、例えばZ方向に沿って見たときに長方形状を有している。複数のヨーク111は、Z方向に沿って見たときに、それらの長手方向がX方向に平行となるように設けられていてもよく、Y方向に沿って並ぶように設けられていてもよい。本実施形態において、複数のヨーク111の形状、長手方向の長さ及び短手方向の長さは、互いに同一であるが、これらのうちの少なくとも一つが異なっていてもよい。また、各ヨーク111は、X方向において連続しているが、X方向において複数に分割されていてもよい。なお、Z方向に沿って見たときの各ヨーク111の形状としての長方形状は一例であって、この態様に限定されるものではない。例えば、Z方向に沿って見たときの各ヨーク111の形状は、4つの角が89~91°の四角形であってもよいし、4つの角が丸められた長方形であってもよい。
磁界検出部12は、第3磁界成分H3(図15及び図16参照)が印加されることで、第1磁界成分H1の変化に応じた信号を出力する。磁界検出部12は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子120を含んでいればよい。本実施形態において、磁界検出部12は、第1抵抗部R1、第2抵抗部R2、第3抵抗部R3及び第4抵抗部R4を含み、第1~第4抵抗部R1~R4のそれぞれが、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子120を含んでいればよいが、第1~第4抵抗部R1~R4は、それぞれ、複数の磁気抵抗効果素子を直列に接続してなる素子列を含んでいてもよい。図8に示す例において、第1~第4抵抗部R1~R4のそれぞれに含まれる素子列は、直列に接続された16個の磁気抵抗効果素子120を有する。
本実施形態における磁気抵抗効果素子120としては、例えば、TMR素子、GMR素子等のMR素子を用いることができる。磁気抵抗効果素子120は、順に積層された自由層121、非磁性層122、磁化固定層123及び反強磁性層124を含むMR積層体125を有する(図11参照)。反強磁性層124は、反強磁性材料により構成され、磁化固定層123との間で交換結合を生じさせることで、磁化固定層123の磁化の方向を固定する役割を果たす。また、磁化固定層123を、強磁性層/非磁性中間層/強磁性層の積層フェリ構造とし、両強磁性層を反強磁性的に結合させてなる、いわゆるセルフピン止め型の固定層(Synthetic Ferri Pinned層,SFP層)とすることで、反強磁性層124が省略されていてもよい。
TMR素子においては、非磁性層122はトンネルバリア層である。GMR素子においては、非磁性層122は非磁性導電層である。TMR素子、GMR素子において、自由層121の磁化の方向が磁化固定層123の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°(互いの磁化方向が平行)のときに抵抗値が最小となり、180°(互いの磁化方向が反平行)のときに抵抗値が最大となる。
磁気抵抗効果素子120は、Z方向に沿って見たときに略長方形状の複数のMR積層体125が上部リード電極126及び下部リード電極127を介して直列に接続されてなるものであってもよい(図12参照)。なお、図12に示すMR積層体125には、その積層方向(+Z方向、-Z方向)に電流が流れるが、本実施形態における磁気抵抗効果素子120は、MR積層体125の面内方向(例えば+X方向、-X方向)に電流が流れるCIP(Current In Plane)タイプの素子であってもよい。上部リード電極126及び下部リード電極127は、例えば、Cu、Al、Au、Ta、Ti等のうちの1種の導電材料又は2種以上の導電材料の複合膜により構成される。なお、略長方形状とは、Z方向に沿って見たときに、X方向における長さがY方向における長さよりも長い長方形状の他、X方向の長さがY方向における長さよりも長く、4つの角が89~91°の四角形状や、X方向における長さがY方向における長さよりも長く、4つの角が丸められた角丸四角形状等も含むことを意味する。本実施形態において、Z方向に沿って見たときのMR積層体125の形状は、略長方形状に限定されるものではなく、楕円形状、長円形状等であってもよい。
複数の下部リード電極127は、それぞれ細長い略長方形状を有しており、複数のMR積層体125の電気的な直列方向において隣接する2つの下部リード電極127の間に所定の隙間を有するように設けられている。下部リード電極127の長手方向の両端近傍のそれぞれに、MR積層体125が設けられている。すなわち、複数の下部リード電極127上には、それぞれ、2つのMR積層体125が設けられている。
複数の上部リード電極126は、複数のMR積層体125上に設けられている。各上部リード電極126は、細長い略長方形状を有する。上部リード電極126は、複数のMR積層体125の電気的な直列方向において隣接する2つの上部リード電極126の間に所定の隙間を有するように、かつ複数のMR積層体125を直列に接続するように配置され、隣接する2つのMR積層体125同士を電気的に接続する。なお、自由層121と下部リード電極127又は上部リード電極126との間にはキャップ層(保護層)が設けられていてもよい。
Z方向に沿って見たときに、第1抵抗部R1に含まれる複数の磁気抵抗効果素子120及び第4抵抗部R4に含まれる複数の磁気抵抗効果素子120は、磁界変換部11(ヨーク111)の-Y側に配置されており、第2抵抗部R2に含まれる複数の磁気抵抗効果素子120及び第3抵抗部R3に含まれる複数の磁気抵抗効果素子120は、磁界変換部11(ヨーク111)の+Y側に配置されている(図8参照)。複数の磁気抵抗効果素子120は、磁界変換部11(ヨーク111)の短手方向の中心を通る軸線(磁界変換部11(ヨーク111)の長手方向に延びる軸線)を中心とする線対称の位置に配置されている(図8参照)。なお、図8に示す態様に限定されず、少なくとも1つの磁界変換部11(ヨーク111)の上記軸線と当該磁界変換部11(ヨーク111)の+Y側に配置されている磁気抵抗効果素子120との間の長さ(Y方向における長さ)と、その磁界変換部11(ヨーク111)の上記軸線と当該磁界変換部11(ヨーク111)の-Y側に配置されている磁気抵抗効果素子120との間の長さ(Y方向における長さ)とは、互いに実質的に同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。当該2つの長さが互いに実質的に同一であるとは、2つの長さの比が1:0.95~1:1.05程度であることを意味する。また、複数の磁気抵抗効果素子120は、少なくとも1つの磁界変換部11(ヨーク111)の上記軸線を中心として線対称の位置に配置されていなくてもよい。
磁気シールド13は、Z方向に沿って見たときに、磁界変換部11及び磁界検出部12を間に挟むようにして位置する第1磁気シールド131及び第2磁気シールド132を含む(図7~図10参照)。Z方向に沿って見たときに、第1磁気シールド131は、磁界変換部11及び磁界検出部12よりも+Z方向(上方)に位置し、第2磁気シールド132は、磁界変換部11及び磁界検出部12よりも-Z方向(下方)に位置する。第1磁気シールド131及び第2磁気シールド132は、Z方向に沿って見たときに、いずれもY方向における最大長さがX方向における最大長さよりも短い形状を有していればよく、例えば、長方形状、4つの角の角度が89~91°の四角形状、4つの角が丸められた角丸長方形状、長方形の4つの角が面取りされた形状(八角形状)、楕円状を含む長円状、長方形の対向する2つの短辺を円弧状にした形状、台形、平行四辺形、菱形等の形状を有していればよい。なお、第1磁気シールド131及び第2磁気シールド132を含む磁気シールド13が、例えば、4つの角の角度が89~91°の四角形状、台形、菱形等の四角形状を有する場合において、2組の対向する2辺のうちの少なくとも1組の対向する2辺が平行であってもよいし、2組の対向する2辺がいずれも非平行であってもよい。
磁気シールド13は、例えば、軟磁性材料によって構成されていればよい。軟磁性材料としては、例えば、NiFe等が挙げられる。磁気シールド13がNiFeにより構成される場合、磁気シールド13の熱応力を低減するため、磁気シールド13は、Niの割合が35~60質量%の組成のNiFeにより構成されるのが好ましい。このような組成のNiFeであれば、熱膨張係数を小さくすることができる。磁気シールド13の磁気特性も考慮すると、磁気シールド13は、Niの割合が40~60質量%の組成のNiFeにより構成されるのが好ましい。磁気シールド13に求められる性能の一つとして、最大磁束吸収量が大きいことが挙げられる。磁気シールド13の最大磁束吸収量は、磁気シールド13の飽和磁化と厚み(Z方向における寸法)との積に実質的に比例する。磁気シールド13の性能を確保するために、磁気シールド13の飽和磁化と厚みとの積、すなわち単位面積当たりの磁気モーメントは、0.6emu/cm2以上であるのが好ましい。
なお、本実施形態において、磁気シールド13は、Z方向に沿って見たときに、磁界変換部11及び磁界検出部12の上方(+Z側)に位置する第1磁気シールド131と、磁界変換部11及び磁界検出部12の下方(-Z側)に位置する第2磁気シールド132を含むが、磁気シールド13の機能が奏される限りにおいて、第1磁気シールド131及び第2磁気シールド132のいずれか一方が省略されていてもよい。また、第1磁気シールド131及び第2磁気シールド132の少なくとも一方は、Y方向において複数の磁気シールドが並列していてもよい。Y方向において複数の磁気シールドが並列していることで、当該磁気シールドが飽和し難くなる。
本実施形態における磁界検出部12の回路構成は、4つの抵抗部(第1~第4抵抗部R1~R4)をブリッジ接続してなるホイートストンブリッジ回路であればよい(図13参照)。なお、当該磁界検出部12の回路構成は、2つの抵抗部(例えば、第1抵抗部R1及び第2抵抗部R2)を直列に接続してなるハーフブリッジ回路であってもよい。
ホイートストンブリッジ回路は、電源ポートVと、グランドポートGと、第1出力ポートE1と、第2出力ポートE2と、電源ポートV及び第1出力ポートE1の間に設けられる第1抵抗部R1と、第1出力ポートE1及びグランドポートGの間に設けられる第2抵抗部R2と、電源ポートV及び第2出力ポートE2の間に設けられる第3抵抗部R3と、第2出力ポートE2及びグランドポートGの間に設けられる第4抵抗部R4とを含む。電源ポートVには、定電流源が接続されることで所定の大きさの電源電圧(定電流)が印加され、グランドポートGはグランドに接続される。
本実施形態において、すべてのMR積層体125における磁化固定層123の磁化方向(図14~図16に示される実線の矢印)は、互いに同一の方向(+Y方向)に固定されている(図14~図16参照)。なお、すべてのMR積層体125における磁化固定層の磁化方向が互いに略同一の方向に固定されていればよく、この場合において、各MR積層体125における磁化固定層123の磁化方向は、+Y方向に対して10°以内の角度で傾斜していればよい。すべてのMR積層体125は、Z方向に沿って見たときに、X方向に長い形状を有しているため、各MR積層体125における自由層121は、磁化容易軸方向がX方向となる形状異方性を有している。そのため、イニシャル状態(第3磁界成分H3が印加されていない状態)におけるすべてのMR積層体125における自由層121の磁化方向(図14~図16に示される破線の矢印)は、互いに同一であって、磁化固定層123の磁化方向に対する直交方向(+X方向)である(図14参照)。磁化固定層123及び自由層121の磁化方向が上記方向であることで、第3磁界成分H3に応じた第1~第4抵抗部R1~R4の抵抗値変化に伴い第1出力ポートE1及び第2出力ポートE2の電位差が変化し、その電位差の変化としての信号が出力される。
本実施形態に係る磁気センサ装置において、第1磁石21から磁界が発生すると、当該磁界の一部である部分磁界のうちのZ方向に平行な第1磁界成分H1が磁界変換部11により第3磁界成分H3に変換されて出力される。磁界変換部11から出力される第3磁界成分H3は、+Y方向の第3磁界成分H3と-Y方向の第3磁界成分H3とを含む。第1抵抗部R1及び第4抵抗部R4に含まれる磁気抵抗効果素子120には、-Y方向の第3磁界成分H3が印加され、それに応じて自由層121の磁化方向が変化する。一方、第2抵抗部R2及び第3抵抗部R3に含まれる磁気抵抗効果素子120には、+Y方向の第3磁界成分H3が印加され、それに応じて自由層121の磁化方向が変化する(図15参照)。これにより、第1抵抗部R1及び第4抵抗部R4における自由層121と磁化固定層123の互いの磁化のなす角度θ1,θ4は、90°を超える。一方、第2抵抗部R2及び第3抵抗部R3における自由層121と磁化固定層123の互いの磁化のなす角度θ2,θ3は90°未満となる(図15参照)。なお、図15において、破線の矢印は第3磁界成分H3の印加により方向が変化した自由層121の磁化を表し、白抜き破線の矢印はイニシャル状態における自由層121の磁化方向を表している。
第1磁石21から発生する磁界の一部である部分磁界には、Y方向に平行な第2磁界成分H2が含まれる。この第2磁界成分H2のほとんどは、磁気シールド13により吸収されるが、第2磁界成分H2のすべてが磁気シールド13に吸収されるわけではなく、第2磁界成分H2の一部が磁気抵抗効果素子120に印加され、自由層121の磁化方向が変化してしまう(図16参照)。なお、図16において、破線の矢印は第3磁界成分H3の印加により方向が変化した自由層121の磁化を表し、白抜き破線の矢印はイニシャル状態における自由層121の磁化方向を表している。これにより、第1抵抗部R1、第2抵抗部R2、第3抵抗部R3及び第4抵抗部R4における自由層121と磁化固定層123の互いの磁化のなす角度θ1’,θ2’,θ3’,θ4’は、第2磁界成分H2が印加されないときに示すはずの角度θ1,θ2,θ3,θ4(図15参照)よりも小さくなる。その結果、第1出力ポートE1及び第2出力ポートE2のそれぞれの出力が変動してしまうが、本実施形態においては、第1~第4抵抗部R1~R4に含まれるすべての磁気抵抗効果素子120の磁化固定層123の磁化が同一方向に固定され、かつすべての磁気抵抗効果素子120の自由層121のイニシャル状態における磁化が同一方向であるため、第2磁界成分H2の一部が磁気抵抗効果素子120に印加されたときに、第1出力ポートE1の出力の変動量と第2出力ポートE2の出力の変動量とが実質的に同一となる。第2磁界成分H2に起因して第1出力ポートE1の出力の変動量と第2出力ポートE2の出力の変動量とが異なると、磁気センサ装置からの出力がオフセットしてしまうおそれがあるが、本実施形態においては、磁気センサ装置からの出力のオフセットが生じるのを抑制することができる。また、本実施形態においては、イニシャル状態における自由層121の磁化方向が、第2磁界成分H2に直交しているため、磁気センサ装置の感度が低下するのを抑制することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
〔試験例1〕
図6~図10に示す構成を有する磁気センサ10(Sample 1)を用い、第1磁石21と磁気センサ10との距離を、所定の位置から+Y方向及び-Y方向に変動させたときにおける磁気センサ10の出力の変動を、シミュレーションにより求めた。同様にして、当該磁気センサ10における磁気シールド13(第1磁気シールド131及び第2磁気シールド132)を有しないもの(Sample 2)を用い、磁気センサ10の出力の変動をシミュレーションにより求めた。結果を図17に示す。なお、図17において、グラフの横軸は、所定の位置からの+Y方向及び-Y方向における変動距離(D)を表し、縦軸は、磁気センサ10の出力(OP)を表している。横軸(D)におけるゼロは、上記所定の位置を表しており、縦軸(OP)は、第1磁石21と磁気センサ10との距離を変動させたときにおける磁気センサ10の出力と、その所定の位置での磁気センサ10の出力との差分を表している。また、Sample 1において、磁気センサ10に印加される第2磁界成分H2の磁場強度を、第1磁石21から発生する第2磁界成分H2の磁場強度の10%とし、Sample 2において、磁気センサ10に印加される第2磁界成分H2の磁場強度を、第1磁石21から発生する第2磁界成分H2の磁場強度の100%とした。さらに、Sample 1及びSample 2において、第1磁石21から発生する第1磁界成分H1の磁場強度を24.5mT(millitesla)とし、第3磁界成分H3の磁場強度を第1磁界成分H1の磁場強度の15%とし、磁気センサ10の感度を100(mV/V/deg)とした。
図6~図10に示す構成を有する磁気センサ10(Sample 1)を用い、第1磁石21と磁気センサ10との距離を、所定の位置から+Y方向及び-Y方向に変動させたときにおける磁気センサ10の出力の変動を、シミュレーションにより求めた。同様にして、当該磁気センサ10における磁気シールド13(第1磁気シールド131及び第2磁気シールド132)を有しないもの(Sample 2)を用い、磁気センサ10の出力の変動をシミュレーションにより求めた。結果を図17に示す。なお、図17において、グラフの横軸は、所定の位置からの+Y方向及び-Y方向における変動距離(D)を表し、縦軸は、磁気センサ10の出力(OP)を表している。横軸(D)におけるゼロは、上記所定の位置を表しており、縦軸(OP)は、第1磁石21と磁気センサ10との距離を変動させたときにおける磁気センサ10の出力と、その所定の位置での磁気センサ10の出力との差分を表している。また、Sample 1において、磁気センサ10に印加される第2磁界成分H2の磁場強度を、第1磁石21から発生する第2磁界成分H2の磁場強度の10%とし、Sample 2において、磁気センサ10に印加される第2磁界成分H2の磁場強度を、第1磁石21から発生する第2磁界成分H2の磁場強度の100%とした。さらに、Sample 1及びSample 2において、第1磁石21から発生する第1磁界成分H1の磁場強度を24.5mT(millitesla)とし、第3磁界成分H3の磁場強度を第1磁界成分H1の磁場強度の15%とし、磁気センサ10の感度を100(mV/V/deg)とした。
図17に示す結果から明らかなように、Sample 1の磁気センサ10においては、Sample 2の磁気センサ10よりも大きな出力を得ることができた。このことから、磁気センサ10に第2磁界成分H2が印加されてしまうことで、磁気センサ10の感度が低下する一方、Sample 1の磁気センサ10のように、第2磁界成分H2を吸収可能な磁気シールド13を有することで、磁気センサ10の感度が低下するのを抑制可能であるということができる。一方で、Sample 2のように第2磁界成分H2に起因して磁気センサ10の感度が低下してしまうと、磁気センサ10の出力を大きく増幅する必要があるが、磁気センサ10の出力を大きく増幅すると、磁気センサ10の出力に含まれるノイズも大きくなってしまうという問題が生じ得る。
〔試験例2〕
上記Sample 1の磁気センサ10において、第2磁界成分H2の磁界強度を増大させたときにおける磁気センサ10の感度の変化率(%)をシミュレーションにより求めた。また、Sample 1の磁気センサ10において、磁界変換部11(ヨーク111)の長手方向をX方向からY方向に変更し、Z方向に沿って見たときに磁界変換部11(ヨーク111)の短手方向における両側(+X側及び-X側)に磁界検出部12(磁気抵抗効果素子120)を配置した磁気センサ(Sample 3)についても、同様にして磁気センサの感度の変化率(%)をシミュレーションにより求めた。なお、感度の変化率(%)は、第2磁界成分H2を印加していないとき(第2磁界成分H2の磁界強度が0mT(millitesla)のとき)の感度に対し、第2磁界成分H2の磁界強度を増大させたときの感度の差分の百分率として求められ得る。その結果、Sample 1においては、第2磁界成分H2の磁界強度が10mTであるときにおける感度の変化率が0.6%であった。一方、Sample 3においては、第2磁界成分H2の磁界強度が10mTであるときにおける感度の変化率が2.7%であった。このことから、本実施形態に係る磁気センサ10によれば、第2磁界成分H2に起因した感度の低下をより抑制可能であることが確認された。
上記Sample 1の磁気センサ10において、第2磁界成分H2の磁界強度を増大させたときにおける磁気センサ10の感度の変化率(%)をシミュレーションにより求めた。また、Sample 1の磁気センサ10において、磁界変換部11(ヨーク111)の長手方向をX方向からY方向に変更し、Z方向に沿って見たときに磁界変換部11(ヨーク111)の短手方向における両側(+X側及び-X側)に磁界検出部12(磁気抵抗効果素子120)を配置した磁気センサ(Sample 3)についても、同様にして磁気センサの感度の変化率(%)をシミュレーションにより求めた。なお、感度の変化率(%)は、第2磁界成分H2を印加していないとき(第2磁界成分H2の磁界強度が0mT(millitesla)のとき)の感度に対し、第2磁界成分H2の磁界強度を増大させたときの感度の差分の百分率として求められ得る。その結果、Sample 1においては、第2磁界成分H2の磁界強度が10mTであるときにおける感度の変化率が0.6%であった。一方、Sample 3においては、第2磁界成分H2の磁界強度が10mTであるときにおける感度の変化率が2.7%であった。このことから、本実施形態に係る磁気センサ10によれば、第2磁界成分H2に起因した感度の低下をより抑制可能であることが確認された。
10…磁気センサ
11…磁界変換部
111…ヨーク
12…磁界検出部
120…磁気抵抗効果素子
13…磁気シールド
131…第1磁気シールド
132…第2磁気シールド
11…磁界変換部
111…ヨーク
12…磁界検出部
120…磁気抵抗効果素子
13…磁気シールド
131…第1磁気シールド
132…第2磁気シールド
Claims (7)
- 第1方向に沿って入力される入力磁界を受けて、前記第1方向に直交する第2方向に沿って出力磁界を出力する磁界変換部と、
前記出力磁界が印加され得る位置に設けられている磁界検出部と、
前記第2方向に沿った外部磁界を遮蔽する複数の磁気シールドと
を備え、
前記第1方向に沿って見たときに、前記磁界変換部は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向における長さが前記第2方向における長さよりも長い形状を有し、
前記第1方向に沿って見たときに、前記磁気シールドは、前記磁界変換部及び前記磁界検出部と重なる位置に設けられており、
前記第1方向に沿って見たときに、前記複数の磁気シールドは、前記第2方向に沿って並列していることを特徴とする磁気センサ装置。 - 前記第1方向に沿って見たときに、前記磁気シールドは、前記第2方向における最大長さが前記第3方向における最大長さよりも短い形状を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ装置。
- 複数の前記磁界変換部が、前記第2方向に沿って並列していることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサ装置。
- 複数の前記磁界検出部を備え、
前記第1方向に沿って見たときに、前記複数の磁界検出部は、前記磁界変換部の短手方向の中心を通る軸線であって、前記磁界変換部の長手方向に沿った前記軸線を中心とする線対称の位置に設けられている請求項1~3のいずれかに記載の磁気センサ装置。 - 前記磁界検出部は、磁気抵抗効果素子を含み、
前記磁気抵抗効果素子は、前記第2方向に磁化が固定されている磁化固定層と、印加される前記出力磁界に応じて磁化方向が変化する磁化自由層とを有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の磁気センサ装置。 - 前記磁界検出部は、複数の前記磁気抵抗効果素子を含み、
すべての前記磁気抵抗効果素子の前記磁化固定層の磁化は、略同一方向に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気センサ装置。 - 前記磁界検出部は、TMR素子又はGMR素子を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の磁気センサ装置。
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