JP7278505B1 - 光学センサチップ、光学センサシステムおよび測定方法 - Google Patents

光学センサチップ、光学センサシステムおよび測定方法 Download PDF

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Abstract

光学センサチップ(21k)は、第1の光信号を外部から入力するスポットサイズ変換部(211A)と、第1の光信号を検体(100)の状態に応じて変化させる変化部(213)と、第1の光信号を外部に出力するスポットサイズ変換部(216A)と、第2の光信号を外部から入力するスポットサイズ変換部(216B)と、変化部(213)が検体(100)の状態に応じて変化させた第1の光信号と第2の光信号とを合波する合波部(214)と、合波部(214)が合波した光信号を外部に出力するスポットサイズ変換部(211B)と、を備える。

Description

本開示は、光学センサチップ、光学センサシステムおよび測定方法に関する。
近年、検体の状態を非破壊で測定する技術が普及している。例えば、特許文献1には、光学センサおよび光スイッチを備えた検出装置が記載されている。当該検出装置は、複数の被測定物が光スイッチにそれぞれ接続され、光スイッチを制御して被測定物を切り替えることで、光学センサが被測定物の測定を行うものである。
国際公開第2015/015149号
特許文献1に記載された検出装置が備える光学センサでは、複数の被測定物をそれぞれ測定するために、光スイッチを用いて被測定物を順に切り替える必要がある。このため、特許文献1に記載された光学センサを複数個用いても検体の複数の箇所の状態を一括して測定できないという課題があった。
本開示は、上記課題を解決するものであり、検体の複数の箇所の状態の一括した測定に用いることができる光学センサチップを得ることを目的とする。
本開示に係る光学センサチップは、コネクタによって自由な接続形態が可能な光学センサチップであって、光ファイバを介して第1の光信号を外部から入力する第1のインタフェース部と、第1の光信号を検体の状態に応じて変化させる変化部と、光ファイバを介して第1の光信号を外部に出力する第2のインタフェース部と、光ファイバを介して第2の光信号を外部から入力する第3のインタフェース部と、変化部が検体の状態に応じて変化させた第1の光信号と第3のインタフェース部が入力した第2の光信号とを合波する合波部と、合波部が合波した光信号を外部に出力する第4のインタフェース部と、を備える。
本開示によれば、複数の光学センサチップを接続した光学センサユニットに検体を配置し、光学センサユニットを伝搬させた光信号を各光学センサチップで検体の状態に応じて変化させる。これにより、検体の状態に応じた光信号の変化分を解析して、各光学センサチップが検出した検体の状態を特定できるので、本開示に係る光学センサチップは、検体の複数の箇所の状態の一括した測定に用いることができる。
実施の形態1に係る光学センサシステムを示す構成図である。 図2Aは、光学センサユニットを図1のA-A線で切った断面を示す断面矢示図であり、図2Bは、検体が配置された光学センサユニットをA-A線で切った断面を示す断面矢示図である。 実施の形態1に係る光学センサシステムを具体的に示す構成図である。 実施の形態1に係る光学センサチップおよび光導波路を具体的に示す構成図である。 実施の形態1に係る光学センサシステムにおける送信前の第1の光信号と第2の光信号の受信信号との時間波形を示す波形図である。 実施の形態1に係る測定方法を示すフローチャートである。 光学センサユニットにおける光信号の流れを示すフローチャートである。 変化部を示す構成図である。 光学センサチップの動作を示すフローチャートである。 検体が配置されていない光学センサユニットの光学センサチップを伝搬する光信号の波長と強度との関係を示すグラフである。 検体が配置された光学センサユニットの光学センサチップを伝搬する光信号の波長と強度との関係を示すグラフである。 検体が配置された光学センサユニットにおける光学センサチップの位置と検体の水分量との関係を示すグラフである。 実施の形態1に係る光学センサシステムの変形例(1)を示す構成図である。 実施の形態1に係る光学センサシステムの変形例(2)を示す構成図である。 変化部の変形例1を示す構成図である。 変化部の変形例2を示す構成図である。 図17Aおよび図17Bは、光送受信部および受信信号解析部の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る光学センサシステムの変形例(3)を示す構成図である。 実施の形態2に係る光学センサシステムを示す構成図である。 実施の形態2に係る光学センサシステムにおける送信前の第1の光信号と第2の光信号の受信信号との時間波形を示す波形図である。 実施の形態3に係る光学センサチップおよび光導波路を示す構成図である。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る光学センサシステム1を示す構成図である。図1において、光学センサシステム1は、光学センサユニット2を用いて検体の状態を測定するシステムである。光学センサシステム1は、固体、液体または気体の検体の状態を測定するものであり、検体は、人または動物といった生体であってもよい。また、検体の状態とは、光学センサユニット2が有するZ個の光学センサチップ21が測定可能な状態であり、検体内部の状態または検体周辺の状態も含まれる。例えば、検体内部または検体周辺の温度、検体の水分量または検体から加わる圧力である。
光学センサユニット2は、光ファイバ22によって各々が接続されたZ個の光学センサチップ21から構成されている。kは、1以上Z以下のいずれかの自然数である。例えば、図1に示すように、Z個の光学センサチップ21は、送信側の光ファイバ22Aと受信側の光ファイバ22Bにより、光学センサチップ21から光学センサチップ21までが連なって配置および配線されたユニットである。検体は、光学センサユニット2の光学センサチップ21に接触して配置されるか、その近傍に非接触で配置される。
光学センサユニット2において、Z個の光学センサチップ21の接続形態は、図1に示したものに限定されるものではなく、自由な接続形態が可能である。例えば、複数の光学センサチップ21が一纏まりに接続され、そのうちの1つの光学センサチップ21と光送受信部3とが接続されてもよい。Z個の光学センサチップ21は、直接もしくは他の光学センサチップ21を介して、光送受信部3と接続されてもよい。
光学センサシステム1は、検体の表面または検体が配置される面に、光ファイバ22を介して光学センサチップ21から光学センサチップ21までのZ個の光学センサチップ21をそれぞれ連なって設けた装置であってもよい。光学センサチップ21と光学センサチップ21k+1との間で、光ファイバ22Aおよび22Bを通して光信号が入出力されるので、検体の状態の検出信号に電気信号を用いず、光学センサチップごとにセンサ回路部を設けなくても、検体の状態を検出することが可能である。
光ファイバ22は、送信側の光ファイバ22Aおよび受信側の光ファイバ22Bにより構成される。なお、光ファイバ22は、送信側と受信側との両方の機能を兼ねた1本の光ファイバであってもよい。光学センサユニット2におけるZ個の光学センサチップ21のうち、一方の端部にある光学センサチップ21は、光ファイバ22Aを介して光送信部31と接続され、光ファイバ22Bを介して光受信部32と接続されている。他方の端部にある光学センサチップ21は、光ファイバ22Aを介して光終端6Aと接続され、光ファイバ22Bを介して光終端6Bと接続されている。
光送受信部3は、光送信部31、光受信部32、および変調信号生成部33を備える。光送信部31は、光ファイバ22Aを通じて、光学センサチップ21に第1の光信号を送信する。変調信号生成部33は、光源である発光素子が出射した光を変調するための、予め定められた変調方式の電気変調信号を生成し、光送信部31および識別部41に出力する。光送信部31は、電気変調信号に基づいて、発光素子が出射した光を変調した第1の光信号を、光学センサチップ21に接続された光ファイバ22Aへ出力する。
変調信号生成部33が生成する変調信号は、伝搬信号の往復時間を計測可能な変調信号であればよく、例えば、パルス変調信号、周波数変調信号または位相変調信号等を用いてもよい。光送信部31が生成する第1の光信号は、例えば、予め定められた一つの波長の光信号であり、強度特性、位相特性または周波数特性のいずれかを変調した電気信号が印加される。予め定められた一つの波長の値は、変化部213の共振波長の設計値である。第1の光信号は、変化部213の共振波長の設計値に対応する波長が含まれていれば、複数の波長を有する、すなわち、複数の波長が多重された光信号であってもよい。
なお、第1の光信号を変調しない場合、光送受信部3は、変調信号生成部33を備えていなくてもよい。
光受信部32は、光ファイバ22Bを通じて光学センサチップ21から第2の光信号を受信する。光受信部32は、受光素子を備えており、受信した第2の光信号を受光素子が電気信号に変換する。発光素子および受光素子は、別々に設けられてもよいし、発光素子および受光素子が一つに組み込まれた光学センサであってもよい。光送受信部3は、光学センサユニット2とは別に設けられてもよいし、光学センサユニット2に設けられてもよい。例えば、光送受信部3は、光学センサユニット2の一部に設けられたInP基板に集積されてもよい。
光学センサチップ21において、光終端6Aは、光反射が極めて小さくなるように、光ファイバ22Aの端部に施された部分である。光学センサチップ21から光学センサチップ21に順に伝搬してきた第1の光信号は、光終端6Aにおいて終端される。また、光学センサチップ21において、光終端6Bは、光反射が極めて小さくなるように、光ファイバ22Bの端部に施された部分である。第2の光信号は、光終端6Bにおいて終端される。光終端6Aおよび6Bは、送信用と受信用とを兼ねた一つの光終端であってもよい。
受信信号解析部4は、光受信部32が受信した第2の光信号の受信信号を解析することにより、光学センサユニット2に配置された検体の状態を測定する。また、受信信号解析部4は、識別部41および解析部42を備える。
識別部41は、第2の光信号の受信信号を用いて個々の光学センサチップ21を識別する。例えば、識別部41は、変調信号生成部33が生成した電気変調信号に基づいて、第2の光信号の受信信号を検波し、その波長値を読み取ることにより、変調された光学センサチップ21の識別番号kを特定する。これにより、識別部41は、個々の光学センサチップ21を識別する。
解析部42は、第2の光信号の受信信号を解析することにより、光学センサユニット2に配置された検体の状態を光学センサチップ21ごとに特定する。例えば、解析部42は、光学センサチップ21の識別番号kを用いて識別した光学センサチップ21ごとの受信信号の強度差を読み取ることにより、光学センサチップ21の周辺にある検体の状態を特定する。表示部5は、受信信号解析部4から検体の状態の測定結果を入力し、入力した測定結果を表示する。
図2Aは、光学センサユニット2を、図1のA-A線で切った断面を示す断面矢示図である。図2Bは、検体100が配置された光学センサユニット2を、A-A線で切った断面を示す断面矢示図である。図2Aおよび図2Bに示すように、光学センサユニット2において、複数の光学センサチップ21が連なる方向に隣り合っている光学センサチップ21同士は、光ファイバ22Aおよび光ファイバ22Bによって接続されている。
光学センサユニット2における光学センサチップ21上には、図2Bに示すように、検体100が配置される。光学センサチップ21は、例えば、シリコンフォトニクス技術に代表される微細加工技術を用いて製作された光導波路によって構成される。光学センサチップ21は、検体100の状態に応じて、第1の光信号の強度、位相または周波数の少なくとも一つを変化させる。
図3は、光学センサシステム1を具体的に示す構成図である。図3において、光学センサユニット2は、Z個の光学センサチップ21が連なって接続されて構成されている。光学センサチップ21から光学センサチップ21Z-1は、スポットサイズ変換部211A、スポットサイズ変換部211B、光路分岐部212A、変化部213、合波部214、光路長付加部215A、スポットサイズ変換部216Aおよびスポットサイズ変換部216Bを備える。
スポットサイズ変換部211A、211B、216Aおよび216Bは、光ファイバにおける光分布の広がりの大きさであるスポットサイズと導波路におけるスポットサイズとを変換する光学素子である。スポットサイズ変換部211A、211B、216Aおよび216Bは、例えば、導波路により構成されたスポットサイズコンバータである。上記の導波路は、例えば、シリコン導波路である。
スポットサイズ変換部211Aは、光送信部31または前段に配置された光学センサチップ21k-1から光ファイバ22Aを伝搬してきた第1の光信号のスポットサイズを、光学センサチップ21の内部の導波路に合わせて変換する。スポットサイズ変換部211Aは、光学センサチップ21が備える第1のインタフェース部の一例である。
なお、光学センサチップ21は、第1の光信号のスポットサイズを変換せずに入力してもよい。例えば、光学センサチップ21は、スポットサイズ変換部211Aを介さずに、光ファイバ22Aとチップ内部の導波路が接続された構成であってもよい。この場合は、第1のインタフェース部は、チップ内部の導波路と光ファイバ22Aとの接続点である。
スポットサイズ変換部216Aは、第1の光信号のスポットサイズを光ファイバ22Aに合わせて変換し、スポットサイズを変換した第1の光信号を、光ファイバ22Aに出力する。スポットサイズ変換部216Aは、光学センサチップ21が備える第2のインタフェース部の一例である。
なお、光学センサチップ21は、第1の光信号のスポットサイズを変換せずに出力してもよい。例えば、光学センサチップ21は、スポットサイズ変換部216Aを介さずに、チップ内部の導波路と光ファイバ22Aとが接続された構成であってもよい。この場合は、第2のインタフェース部は、チップ内部の導波路と光ファイバ22Aとの接続点である。例えば、光学センサチップ21において、第1の光信号が伝搬する経路に光路長を付加することにより、第1の光信号は、予め定められた遅延時間で伝搬する。
また、光学センサシステム1において、個々の光学センサチップ21が光路長付加部215Aを有していなくても、光学センサチップ21から光学センサチップ21まで伝搬した第1の光信号には、個々の光学センサチップ21の内部の光経路に応じた遅延が生じる。これらの遅延時間を解析することにより個々の光学センサチップ21を伝搬した光信号を特定することが可能である。
スポットサイズ変換部216Bは、後段に配置された光学センサチップ21k+1から光ファイバ22Bを伝搬した第2の光信号のスポットサイズを、光学センサチップ21の内部の導波路に合わせて変換し、スポットサイズを変換した第2の光信号を光学センサチップ21の内部に出力する。スポットサイズ変換部216Bは、光学センサチップ21が備える第3のインタフェース部の一例である。
なお、光学センサチップ21は、第2の光信号のスポットサイズを変換せずに入力してもよい。例えば、光学センサチップ21は、スポットサイズ変換部216Bを介さずに、光ファイバ22Bとチップ内部の導波路とが接続された構成であってもよい。この場合は、第3のインタフェース部は、チップ内部の導波路と光ファイバ22Bとの接続点である。
スポットサイズ変換部211Bは、検体の状態に応じて変化させた第1の光信号と第2の光信号とが合波された光信号のスポットサイズを光ファイバ22Bに合わせて変換し、スポットサイズを変換した光信号を光ファイバ22Bに出力する。スポットサイズ変換部211Bは、光学センサチップ21が備える第4のインタフェース部の一例である。
なお、光学センサチップ21は、光信号のスポットサイズを変換せずに出力してもよい。例えば、光学センサチップ21は、スポットサイズ変換部211Bを介さずに、チップ内部の導波路と光ファイバ22Bとが接続された構成であってもよい。この場合は、第4のインタフェース部は、光ファイバ22Bとチップ内部の導波路との接続点である。
光路分岐部212Aは、入力した第1の光信号を変化部213と光路長付加部215Aとに分岐する。ここでは、光学センサシステム1が第1の光信号の遅延を解析して個々の光学センサチップ21を識別するので、光路分岐部212Aは、単一波長の第1の光信号を入力すると、入力した第1の光信号の一部を変化部213に分岐し、入力した第1の光信号の残りの一部を光路長付加部215Aに分岐する。なお、分岐比は問わない。
また、光学センサシステム1が第1の光信号の波長を解析して個々の光学センサチップ21を識別する場合、複数の波長を有した第1の光信号から予め定められた波長の信号成分を選択して変化部213に出力する光路分岐部を、光路分岐部212Aとして用いてもよい。例えば、光路分岐部212Aが、複数の波長を有した第1の光信号を光路長付加部215Aに分岐するとともに、第1の光信号が有する複数の波長値から、変化部213の共振波長の設計値に対応する波長値を有する第1の光信号を選択し、選択した第1の光信号を変化部213に分岐する。
変化部213は、光学センサチップ21に入力された第1の光信号の特性を、検体100の状態に応じて変化させる。第1の光信号の特性には、例えば、強度特性、位相特性または周波数特性が含まれる。変化部213は、第1の光信号の強度特性、位相特性または周波数特性の少なくとも一つを変化させる。
例えば、変化部213は、光導波路であるリング共振器により実現される。なお、変化部213は、第1の光信号の特性を、検体100の状態に応じて変化させるものであればよく、光導波路により構成された位相シフタ、周波数シフタまたはこれらを組み合わせた光学素子であってもよい。また、変化部213は、リング共振器、マッハツェンダ干渉計(MZI)、または、これらを組み合わせたものであってもよい。
これらの構成を有した変化部213であっても、第1の光信号の特性を、検体100の状態に応じて変化させることが可能である。
変化部213で検体の状態に応じて変化した第1の光信号をスポットサイズ変換部216Aから出力してもよい。この場合、光学センサチップ21の隣にある光学センサチップ21k+1は、光学センサチップ21の変化部213が検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号を、さらに光学センサチップ21k+1の変化部213が検体100の状態に応じて変化させる。そのため、受信信号解析部4は、複数の変化部213の影響を受けていることを考慮する必要がある。
複数の変化部213が一つの光学センサチップ21に設けられてもよい。この場合、複数の変化部213は、第1の光信号の特性を、検体100の互いに異なる状態に応じて変化させるものであってもよい。例えば、複数の変化部213が直列に接続されたセンサ群を、一つの光学センサチップ21に設ける。直列に接続された複数の変化部213のうち、ある変化部213は、第1の光信号の特性を、検体100の温度に応じて変化させ、別の変化部213は、第1の光信号の特性を、検体100の水分量に応じて変化させ、さらに別の変化部213は、第1の光信号の特性を、検体100から加わる圧力に応じて変化させる。
合波部214は、検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号とスポットサイズ変換部216Bが入力した第2の光信号とを合波させる。変化部213が変化させた第1の光信号と第2の光信号とが合波された光信号は、スポットサイズ変換部211Bに出力される。光学センサチップ21が備えるスポットサイズ変換部211Bは、合波部214が合波した光信号を、第2の光信号として光学センサチップ21k-1に出力する。
光路長付加部215Aは、第1の光信号を遅延させるための光路長を有した光路である第1の光路長付加部である。例えば、光学センサチップ21が備える光路長付加部215Aは、第1の光信号の光路に光路長を加算することで、光学センサチップ21k-1から入力した第1の光信号の相対的な伝搬時間を遅延させ、光学センサチップ21k+1に出力するための第1の光信号としてスポットサイズ変換部216Aに出力する。
なお、光路長付加部215Aは、光学センサチップ21の内部ではなく、光学センサチップ21と光学センサチップ21k+1との間を接続する光ファイバ22Aに設けてもよい。この場合、光路長付加部215Aは、例えば、光信号が遅延されるように光ファイバ22Aを加工したものであってもよい。
光学センサチップ21において、スポットサイズ変換部211Aと光路分岐部212Aとの間、光路分岐部212Aと変化部213との間、光路分岐部212Aと光路長付加部215Aとの間、変化部213と合波部214との間、および、光路長付加部215Aとスポットサイズ変換部216Aとの間をそれぞれ光学的に接続する導波路は、スポットサイズ変換部211Aによりスポットサイズが変換された第1の光信号を伝搬する。スポットサイズ変換部216Bと合波部214との間、および合波部214とスポットサイズ変換部211Bとの間をそれぞれ光学的に接続する導波路は、スポットサイズ変換部216Bによりスポットサイズが変換された第2の光信号を伝搬する。
コネクタ7Aは、光学センサチップ21が備えるスポットサイズ変換部216Aに接続された光ファイバ22Aと、光学センサチップ21と隣り合う光学センサチップ21k+1が備えるスポットサイズ変換部211Aに接続された光ファイバ22Aとを、光学的に接続する光コネクタである。また、コネクタ7Bは、光学センサチップ21k+1が備えるスポットサイズ変換部211Bに接続された光ファイバ22Bと、光学センサチップ21k+1と隣り合う光学センサチップ21が備えるスポットサイズ変換部216Bに接続された光ファイバ22Bとを、光学的に接続する光コネクタである。
光学センサチップ21において、スポットサイズ変換部211Aとスポットサイズ変換部211Bとで一つのインタフェース部を構成し、スポットサイズ変換部216Aとスポットサイズ変換部216Bとで一つのインタフェース部を構成してもよい。
例えば、コネクタ7Aおよびコネクタ7Bを一つの光コネクタとし、この光コネクタを光ファイバ22Aと光ファイバ22Bとで共用する。これにより、スポットサイズ変換部211Aとスポットサイズ変換部211Bが一つのインタフェース部となり、スポットサイズ変換部216Aとスポットサイズ変換部216Bが一つのインタフェース部となる。
このように構成することで、光学センサチップ21を設置するための部品点数が削減され、かつ設置作業も簡素化される。
図4は、光学センサチップ21および光導波路を具体的に示す構成図である。図4において、スポットサイズ変換部211A、211B、216Aおよび216Bは、SSC(Spot-Size-Converter)である。光路分岐部212Aおよび合波部214には、MMI(Multi-Mode Interference)型または方向性結合型の光カプラを用いることができる。変化部213には、リング共振器、位相シフタ、周波数シフタまたはこれらを複合した光学素子を用いることができる。光路長付加部215Aには、導波路型の遅延光回路を用いることができる。光ファイバ22Aおよび22Bは、光導波路で代替することが可能である。
図5は、光学センサシステム1における送信前の第1の光信号Sの時間波形と光受信部32が受信した光信号である受信信号S1およびS2の時間波形とを示す波形図であり、第1の光信号Sはパルス信号である。変調信号生成部33がパルス変調信号を生成して、パルス変調信号を光送信部31に印加することにより、図5に示す第1の光信号Sが生成される。第1の光信号Sは、光学センサユニット2において光学センサチップ21から光学センサチップ21を伝搬することにより、光学センサチップ21を識別するための処理が行われ、検体100の状態に応じて特性が変化される。
光学センサチップ21において、光路分岐部212Aは、スポットサイズ変換部211Aが入力した第1の光信号を変化部213と光路長付加部215Aとに分岐する。光路長付加部215Aおよびスポットサイズ変換部216Aを伝搬した第1の光信号は、光学センサチップ21に接続された光終端6Aによって終端される。
一方、変化部213は、検体100の状態に応じて第1の光信号を変化させる。合波部214は、検体100の状態に応じて第1の光信号と、スポットサイズ変換部216Bが入力した第2の光信号とを合波した光信号をスポットサイズ変換部211Bに出力する。スポットサイズ変換部211Bは、光ファイバ22Bに合わせてスポットサイズを変換した合波信号を、第2の光信号として光学センサチップ21Z-1に出力する。
図5において、光学センサチップ21を識別するための処理は、第1の光信号の光路に光路長を付加する処理である。第1の光信号は、各光学センサチップ21において、光路長付加部215Aが付加した光路長に対応する伝搬時間で遅延する。これにより、光学センサチップ21から出力される第2の光信号には、各光学センサチップ21における遅延による時間差が生じる。
例えば、図5に示すように、受信信号S1は、元々の第1の光信号Sに対し時間差ΔT1が生じており、受信信号S2は、元々の第1の光信号Sに対し時間差ΔT2が生じている。識別部41は、元々の第1の光信号Sに対する受信信号S1およびS2の時間差ΔT1およびΔT2を解析することで、受信信号S1を出力した光学センサチップと受信信号S2を出力した光学センサチップとを識別することが可能である。識別部41は、光学センサチップ21に予め定められた識別番号kを受信信号S1およびS2にそれぞれ対応付ける。
また、光学センサシステム1において、個々の光学センサチップ21が光路長付加部215Aを有していなくても、チップ内部の光経路に応じた遅延が生じる。これらの遅延時間を解析することにより、個々の光学センサチップ21を伝搬した光信号を特定することが可能である。光学センサチップ21から光学センサチップ21まで伝搬した第1の光信号には、個々の光学センサチップ21の内部の光経路に応じた遅延が生じる。これらの遅延時間を解析することにより、個々の光学センサチップ21を伝搬した光信号を特定することが可能である。
第1の光信号は、位相変調されたものであってもよいし、周波数変調されたものであってもよい。例えば、変調信号生成部33が、周波数変調信号を生成して、周波数変調信号を光送信部31に印加することにより、周波数変調された第1の光信号が生成される。この第1の光信号を光学センサチップ21に送信することにより、光受信部32は、周波数変調された光信号を受信する。光受信部32は、受信信号についてヘテロダイン検波を行って、受信信号ごとの周波数シフト量を特定する。
受信信号S1と受信信号S2に合波されている第1の光信号Sは、検体100の状態に応じて変化する。図5に示す例では、検体100の状態に応じて第1の光信号の強度が減少することにより、受信信号S1は、元々の第1の光信号Sに対して強度差ΔPが生じており、受信信号S2は、受信信号S1よりも大きな強度差が生じている。解析部42は、識別部41が光学センサチップ21を識別すると、受信信号S1およびS2と第1の光信号Sとの強度差を解析することにより、各光学センサチップ21における検体100の状態を特定する。受信信号の解析方法は、受信信号の強度解析に限定されるものではなく、位相特性または周波数特性の解析であってもよい。
次に、実施の形態1に係る測定方法について説明する。
図6は、実施の形態1に係る測定方法を示すフローチャートであり、光学センサシステム1の動作を示している。光送信部31が、検体100が配置された光学センサユニット2における光学センサチップ21に第1の光信号を送信する(ステップST1)。例えば、光送信部31は、複数の光学センサチップ21が連なって接続された光学センサユニット2における一方の端部の光学センサチップ21に第1の光信号を送信する。
次に、光受信部32が、連なった複数の光学センサチップ21を伝搬してきた光信号を、光学センサチップ21から受信する(ステップST2)。光受信部32は、受信した光信号から受信信号を生成し、受信信号を識別部41に出力する。識別部41は、受信信号を解析することにより、受信信号に対応する光学センサチップ21を識別する(ステップST3)。この後、解析部42は、識別部41が識別した光学センサチップ21ごとに受信信号を解析することにより、光学センサチップ21ごとに検体100の状態を特定する(ステップST4)。
図7は、光学センサユニット2における光信号の流れを示すフローチャートであって、光学センサユニット2は、Z個の光学センサチップ21が連なって接続されているものとする。光学センサユニット2には、検体100が配置される。光送信部31が、光源が出射した光を用いて第1の光信号を生成し、光学センサユニット2における一方の端部の光学センサチップ21に対して第1の光信号を送信する(ステップST1a)。
検体100に含まれる水分を検出する場合、Z個の光学センサチップ21がそれぞれ備える変化部213の共振波長として水の吸収波長帯の波長が設定される。光送信部31は、Z個の光学センサチップ21の変化部213に設定されたZ個の波長を多重化した第1の光信号を光学センサチップ21に送信する。これにより、第1の光信号は、光学センサチップ21から光学センサチップ21を伝搬する。
光学センサチップ21ごとの光路分岐部212Aは、第1の光信号を変化部213と光路長付加部215Aとに分岐する(ステップST2a)。光学センサチップ21において、光路長付加部215Aは、光路長を付加することにより第1の光信号を遅延させて光学センサチップ21k+1に出力する(ステップST3a)。これにより、第1の光信号は、光学センサチップごとに遅延時間が付加されながら、光学センサチップ21から光学センサチップ21まで伝搬する。
光学センサユニット2において、第1の光信号は、Z個の変化部213をそれぞれ伝搬する(ステップST4a)。変化部213は、検体100の状態に応じて第1の光信号を変化させ、当該第1の光信号を合波部214に出力する。光学センサチップ21が備えるスポットサイズ変換部216Bは、光学センサチップ21k+1から第2の光信号を受信し、第2の光信号を合波部214に出力する(ステップST5a)。
光学センサユニット2を第1の光信号が伝搬している間、変化部213は、検体100の状態に応じて第1の光信号の特性を変化させる。例えば、水の吸収波長帯が共振波長として設定された変化部213において、波長多重された第1の光信号の波長成分のうち、水の吸収波長帯の波長成分が、検体100の水分により吸収されて、第1の光信号の強度が低下する。
光学センサユニット2において、検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号とスポットサイズ変換部216Bが入力した光信号である第2の光信号とが、Z個の合波部214をそれぞれ伝搬する。合波部214は、検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号と第2の光信号を合波する。光学センサチップ21において、スポットサイズ変換部211Bは、第1の光信号と第2の光信号が合波された光信号を光学センサチップ21k-1に出力する(ステップST6a)。
光受信部32は、第1の光信号と第2の光信号が合波された光信号を光学センサチップ21から受信して識別部41に出力する。識別部41は、変調信号生成部33が生成した変調信号と光受信部32が受信した光信号の受信信号とを用いて、受信信号に対応する光学センサチップ21を識別する(ステップST7a)。
例えば、識別部41は、変調信号により特定される元々の第1の光信号(送信前の第1の光信号)のパルスの伝搬と受信信号のパルスの伝搬とを比較することにより、第1の光信号に対する受信信号の伝搬時間を算出する。識別部41には、光学センサチップ21ごとの光路長付加部215Aが付加した光路長に対応した伝搬時間と光学センサチップ21の識別番号kとが対応付けて登録されている。識別部41は、伝搬時間に対応する識別番号kを特定することにより、受信信号に対応する光学センサチップ21を識別することができる。また、識別部41は、識別番号kに対応する光学センサチップ21の位置も特定可能である。
解析部42は、受信信号を解析することにより、検体100の状態を光学センサチップ21ごとに特定する(ステップST8a)。例えば、第1の光信号が、水の吸収波長帯の波長を含む複数の波長が多重された光信号であり、光学センサチップ21が検体100の水分量を測定するものである。この場合、変化部213において、第1の光信号の波長成分のうち、水の吸収波長帯の波長成分が、検体100が有する水分により吸収されて第1の光信号の強度が低下する。
解析部42は、元々の第1の光信号の強度と受信信号の強度との差分の値を用いて、検体100が配置された光学センサユニット2における、光学センサチップ21の位置に対応した水分量を特定する。例えば、解析部42には、第1の光信号の強度変化量と水分量との関係が予め設定されている。第1の光信号の強度変化量は、第1の光信号の強度と受信信号の強度との差分値に相当する。解析部42は、当該差分値を用いて、光学センサチップ21ごとに検体100の水分量を特定することができる。
表示部5は、解析部42から検体100の状態の測定結果を入力し、入力した測定結果を表示する(ステップST9a)。例えば、解析部42が、光学センサチップ21ごとに特定した検体100の水分量の2次元分布を算出して、測定結果として表示部5に出力する。これにより、表示部5は、検体100の水分量の2次元分布をグラフ表示することが可能である。
検体100から圧力を検出する場合、複数の光学センサチップ21には、光学センサチップ21ごとに異なる共振周波数が設定される。すなわち、光学センサチップ21は、個々に設定された周波数で共振するように構成されている。光学センサチップ21の導波路に検体100から圧力が加わると、導波路が歪んで共振条件が変化する。これにより、光学センサチップ21に設定された周波数で共振する光信号の割合が変化する。解析部42が、この割合の変化を解析することにより光学センサチップ21ごとに検体100からの圧力を検出することができる。
光学センサチップ21には、Z個の光学センサチップ21に割り当てられた複数の共振周波数が多重化された光信号が入力される。光学センサチップ21に入力された光信号は、連なって接続された複数の光学センサチップ21を順に伝搬する。検体100から圧力が加えられた光学センサチップ21において、光信号の共振条件が変化する。これにより、光学センサチップ21ごとに検体100からの圧力を検出することができる。また、解析部42は、光学センサユニット2における光学センサチップ21の位置を特定するので、検体100からの圧力の2次元分布を測定可能である。この場合、表示部5は、検体100からの圧力の2次元分布をグラフ表示する。
図8は、変化部213を示す構成図である。図8に示す変化部213は、リング共振器である。リング共振器は、図8に示すように、リング形状の導波路2132である。変化部213には、導波路2132の曲率半径Rおよび導波路実効屈折率neffに応じた共振波長が設定される。導波路実効屈折率neffは、導波路2131上にマイクロヒータを配置するか、シリコン以外の異なる磁性体を積層することにより、変更可能である。
変化部213は、2π×R×neff=m×λという関係を満たしている。mは整数である。λは、光学センサチップ21が備える変化部213に設定された共振波長である。Z個の光学センサチップ21のそれぞれが備える変化部213には互いに異なる共振波長λが設定される。ここで、共振波長λの設定とは、導波路2132を、波長λで共振する曲率半径Rと導波路実効屈折率neffにより構成することを意味する。
光学センサユニット2を用いて、検体100の内部またはその周辺における水分を検出する場合、Z個の光学センサチップ21のそれぞれが備える変化部213には、水の吸収波長帯の波長λが設定される。すなわち、光学センサチップ21の変化部213に波長λが設定され、光学センサチップ21の変化部213に波長λが設定され、光学センサチップ21の変化部213には波長λが設定される。
図8において破線で囲んだ領域Bは、導波路2131と導波路2132が近接している領域である。変化部213に入射した第1の光信号のうち、変化部213に設定された波長λの信号成分は、領域Bにおいて導波路2132に伝搬し、波長λ以外の波長λ(≠λ)の光信号成分は、導波路2131をそのまま伝搬して変化部213から出射される。
波長λの光信号は導波路2132を周回して共振し、その間に、導波路2132上に配置された検体100あるいは導波路2132に近接して配置された検体100の周辺へ透過する。検体100の内部または検体100の周辺の箇所に水分が含まれていた場合、透過してきた波長λの光信号成分が水に吸収されるので、波長λの光信号の強度は、水分量に比例して低下する。解析部42は、第2光信号の強度変化を解析することにより検体100の水分量を測定可能である。
これまで、受信信号の遅延時間の違いを解析して各光学センサチップ21を識別する場合を示したが、受信信号に含まれる波長の違いを解析して各光学センサチップ21を識別してもよい。この場合、光学センサチップ21は、スポットサイズ変換部211Aとスポットサイズ変換部216Aとの導波路に光路長付加部215Aを備えない。
図9は、光学センサチップ21の動作を示すフローチャートであり、Z個の光学センサチップ21が接続されて構成される光学センサユニット2を用いて検体100の内部または周辺の水分量を検出する場合を示している。Z個の光学センサチップ21のそれぞれに設定されたλからλの波長が多重化された連続光である第1の光信号が、光学センサチップ21に送信される。光学センサチップ21に送信された第1の光信号は、光学センサチップ21から光学センサチップ21までを順に伝搬する。
光学センサチップ21k-1から出力された第1の光信号は、光ファイバ22Aを伝搬して、光学センサチップ21に出力される。光学センサチップ21が備えるスポットサイズ変換部211Aは、第1の光信号のスポットサイズを、光学センサチップ21の内部の導波路に合わせて変換する。ここまでの処理がステップST1bである。
光学センサチップ21において、第1の光信号は、光路分岐部212Aにより変化部213とスポットサイズ変換部216Aに分岐される(ステップST2b)。光路分岐部212Aが第1の光信号を変化部213に分岐すると(ステップST2b;B1)、第1の光信号は、変化部213に入射される。
リング共振器である導波路2132は、変化部213に入射された第1の光信号から、波長λの信号成分を抽出する(ステップST3b)。変化部213に入射された第1の光信号の波長λが波長λの信号成分である場合(ステップST3b;YES)、図8に示した領域Bにおいて、変化部213が第1の光信号から波長λの信号成分を抽出し、導波路2132を周回して共振する(ステップST4b)。
リング共振器を周回する間、第1の光信号の波長λの信号成分は、水分量に比例して強度が低下する(ステップST5b)。リング共振器を周回した信号成分は、再び、導波路2131に戻り、変化部213から出射される。また、領域Bにおいて、波長λ以外の波長λの信号成分は、第1の光信号から抽出されず(ステップST3b;NO)、第1の光信号の波長λ(≠λ)の信号成分は、そのまま導波路2131を伝搬して、変化部213から出射される。
光学センサチップ21において、スポットサイズ変換部216Bは、光学センサチップ21k+1から第2の光信号を入力する。合波部214は、第2の光信号と変化部213から出射された第1の光信号とを合波する(ステップST6b)。スポットサイズ変換部211Bは、合波部214が合成した光信号のスポットサイズを、光ファイバ22Bに合わせて変換する(ステップST7b)。
光学センサチップ21において、スポットサイズ変換部211Bがスポットサイズを変換した光信号は、光ファイバ22Bを通じて光学センサチップ21k-1に出力される(ステップST8b)。このようにして、第1の光信号が合波された光信号は、光学センサユニット2において、光学センサチップ21に向けて順に伝搬する。
光路分岐部212Aが第1の光信号をスポットサイズ変換部216Aに分岐した場合(ステップST2b;B2)、スポットサイズ変換部216Aは、第1の光信号のスポットサイズを光ファイバ22Aに合わせて変換し、第1の光信号を、光学センサチップ21k+1に出力する(ステップST9b)。
図10は、検体100が配置されていない光学センサユニット2の光学センサチップ21を伝搬する第1の光信号の波長とその強度との関係を示すグラフである。図10において、横軸は、第1の光信号に含まれる波長であり、縦軸は、第1の光信号の波長ごとの強度である。光学センサユニット2には、検体100が配置されておらず、検体100の内部または周辺に存在する水による第1の光信号の吸収がない。このため、図10に示すように、水の吸収波長帯の波長λ~λを有するZ個の第1の光信号の強度は強度Pで一定である。
図11は、検体100が配置された光学センサユニット2の光学センサチップ21を伝搬する第1の光信号の波長とその強度との関係を示すグラフである。図11において、横軸は、第1の光信号に含まれる波長であり、縦軸は、第1の光信号の強度である。光学センサユニット2に検体100が配置された場合、検体100の内部に存在する水分が、第1の光信号における波長λの信号成分を吸収する。
例えば、波長λの信号成分は、検体100が配置されていないときの強度Pよりも低い強度Pとなり、波長λの信号成分は、検体100が配置されていないときの強度Pよりも低い強度Pとなる。第1の光信号が、光学センサチップ21から光学センサチップ21を伝搬することにより、第1の光信号に含まれる波長λの信号成分が、検体100の水分に吸収されたことを意味する。
解析部42は、Z個の光学センサチップ21のそれぞれに設定された共振波長λの信号成分の強度の変化量(P-PおよびP-P)を解析することで、検体100の内部またはその周辺に存在する水分量を測定することができる。
図12は、検体100が配置された光学センサユニット2における、光学センサチップ21の位置と検体100の水分量との関係を示すグラフである。解析部42は、光学センサチップ21に送信された第1の光信号のパルスと光学センサチップ21から受信された第2の光信号のパルスとから算出した伝搬時間差を用いて、光学センサユニット2に設定されたXY座標系の光学センサチップ21の位置を特定する。
解析部42は、光学センサチップ21の各位置に対応する検体100の水分量を測定し、光学センサチップ21の位置ごとの水分量を示す情報を測定結果として、表示部5に出力する。表示部5は、例えば、図12に示すように、XY座標系の光学センサチップ21の位置ごとの検体100の水分量を示す3次元グラフを表示する。
図12では、光学センサチップ21の位置ごとの検体100の水分量を検出する場合を示したが、Z個の光学センサチップ21は、検体100の複数種類の状態に応じて、入力した光信号の特性を変化させてもよい。例えば、光学センサユニット2は、検体100の温度に応じて第1の光信号の特性を変化させる光学センサチップ、検体100の水分量に応じて第1の光信号の特性を変化させる光学センサチップ、および、検体100からの圧力に応じて第1の光信号の特性を変化させる光学センサチップが含まれる。
Z個の光学センサチップ21は、一部が、検体100の水分量に応じて光信号の特性を変化させる光学センサチップであり、残りが、検体100の温度に応じて光信号の特性を変化させる光学センサチップであってもよい。
変化部213は、検体100の水分量に応じて第1の光信号の特性を変化させるリング共振器と、検体100の温度に応じて第1の光信号の特性を変化させるリング共振器とを備えてもよい。これにより、一つの光学センサチップが、検体100の複数種類の状態に応じて第1の光信号の特性を変化させてもよい。
光学センサユニット2は、検体100の複数種類の状態のそれぞれに応じて第1の光信号の特性を変化させる、複数の光学センサチップが連なって接続されたものであってもよい。例えば、検体100の温度を検出する光学センサチップと、検体100の水分量を検出する光学センサチップと、検体100からの圧力を検出する光学センサチップとが、光ファイバ22を介して光学的に接続されたものである。
検体100の温度の検出に光学センサチップ21を用いる場合、変化部213には、図8に示したように、温度変化ΔTに伴い実効的な曲率半径Rが変化する導波路2132が用いられる。例えば、導波路2132は、曲率半径の変化量ΔRと共振波長のシフト量Δλとの対応関係を示す関係式である、2π×ΔR×neff=m×Δλを満たす。解析部42は、第1の光信号と第2の光信号との共振波長のシフト量Δλに基づいて、導波路2132の曲率半径の変化量ΔRを算出し、ΔRを用いて温度変化ΔTを算出する。これにより、光学センサチップ21は、検体100の温度を検出可能である。
図13は、光学センサシステム1の変形例(1)である光学センサシステム1Aを示す構成図である。図13に示すように、光学センサユニット2は、ベッド200に敷設されており、検体は、ベッド200に横たわった人100Aである。人100Aがベッド200に横たわることにより光学センサユニット2上に人100Aが配置される。光学センサシステム1Aは、ベッド200に横たわった人100Aの状態を測定する。
解析部42は、光学センサユニット2における、光学センサチップ21ごとの第1の光信号の特性変化に基づいて、人100Aの体温、発汗量または寝相を測定することが可能である。例えば、解析部42は、光学センサチップ21の位置ごとの人100Aの発汗量およびその時間変化を測定し、測定結果を表示部5に出力する。これにより、表示部5は、人100Aの発汗量の分布の時間変化をグラフ表示することができる。
図14は、光学センサシステムの変形例(2)である光学センサシステム1Bを示す構成図である。図14に示すように、光学センサユニット2は農地に埋設され、検体100は、農地の土壌100Bである。光学センサシステム1Bは、農地の土壌100Bの状態を測定する。例えば、解析部42は、光学センサユニット2において、光学センサチップ21ごとの第1の光信号の特性変化に基づいて、土壌100Bの温度、水分量または栄養成分を測定する。
例えば、土壌100Bの二酸化炭素濃度またはカルシウム濃度を検出する場合、Z個の光学センサチップ21のそれぞれが備える変化部213には、二酸化炭素またはカルシウムの吸収波長帯の波長λが設定される。検体100の水分量の測定と同様に、リング共振器を周回して共振した第1の光信号の強度が、土壌100Bの二酸化炭素濃度またはカルシウム濃度に応じて低下する。
解析部42は、第1の光信号の強度変化に基づいて、光学センサチップ21の位置ごとの土壌100Bの温度、水分量または栄養成分とそれらの時間変化とを測定し、この測定結果を、表示部5に出力する。表示部5は、例えば、土壌100Bの温度、水分量または栄養成分の分布の時間変化を、グラフ表示する。
図15は、変化部213の変形例1である変化部213Aを示す構成図である。図15において、変化部213Aは、変化部213に対して導波路2133を追加したものである。導波路2133は、リング共振器である導波路2132に近接して設けられた帯状の線路と、その端部に設けられたリング状の線路により構成される。
共振波長λの光信号成分は、導波路2131から導波路2132に伝搬して共振した後に、導波路2133に伝搬し、矢印Cが指す方向に光路が折り返される。折り返された光信号成分は、再度、導波路2132に伝搬して共振した後、波長λの出射光として、図15に示すように、導波路2131を伝搬して出射される。
図16は、変化部213の変形例2である変化部213Bを示す構成図である。図16において、変化部213Bは、第1の光信号の一部を外部に出力し、出力した光が反射された反射光を入力する光学素子である。例えば、変化部213Bは、グレーティングカプラである。変化部213Bから出射された第1の光信号は、外部にある検体100の状態に応じて特性が変化され、検体100で反射されて再び変化部213Bに入力される。検体100の状態に応じて特性が変化した第1の光信号は、スポットサイズ変換部216Aへ出力される。
次に、光送受信部3および受信信号解析部4の機能を実現するハードウェア構成について説明する。図1および図3に示した、光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42の機能は、処理回路によって実現される。すなわち、光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42は、図6に示したステップST1からステップST4までの処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
図17Aは、光送受信部3および受信信号解析部4の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。また、図17Bは、光送受信部3および受信信号解析部4の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図17Aおよび図17Bにおいて、入力インタフェース1000は、受光素子が受信した第2の光信号に対応する電気信号を中継するインタフェースである。出力インタフェース1001は、表示部5に出力される測定結果情報を中継するインタフェースである。
処理回路が図17Aに示す専用のハードウェアの処理回路1002である場合に、処理回路1002は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42の機能は、別々の処理回路で実現されてもよいし、これらの機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
処理回路が図17Bに示すプロセッサ1003である場合、光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ1004に記憶される。
プロセッサ1003は、メモリ1004に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42の機能を実現する。例えば、光学センサシステム1は、プロセッサ1003により実行されたときに、図6に示すフローチャートにおけるステップST1からステップST4の処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ1004を備えている。これらのプログラムは、光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42が行う処理の手順または方法を、コンピュータに実行させる。メモリ1004は、コンピュータを、光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ1004は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically-EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
また、光送信部31、光受信部32、識別部41および解析部42の機能の一部は、専用のハードウェアで実現され、一部は、ソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。例えば、光送信部31および光受信部32の機能は、専用のハードウェアである処理回路1002により実現され、識別部41および解析部42の機能は、プロセッサ1003がメモリ1004に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現する。このように、処理回路はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせにより上記機能を実現することができる。
図18は、光学センサシステム1の変形例(3)である光学センサシステム1Cを示す構成図である。光学センサシステム1Cにおいて、光学センサユニット2は、閉空間内に3次元配置される。例えば、図18に示すように、光学センサユニット2を、円柱状の検体100Cを覆うように設けることにより、光学センサシステム1Cは、検体100Cの全体を測定箇所とすることが可能であり、測定範囲が拡大する。
図18において、光学センサユニット2は、円柱状の検体100Cを覆うように、箱400の全ての内壁面に取り付けられている。検体100Cを箱400の内部に配置することにより、光学センサユニット2は、検体100Cの全ての箇所の状態を検出することができる。例えば、光学センサユニット2を2次元に配置した場合、検体100Cのうち、光学センサチップ21に近接していない部分の状態は検出されないが、光学センサユニット2を閉空間内に3次元配置することにより、光学センサシステム1Cは、検体100Cの全ての箇所の状態を測定することができる。
なお、箱400は閉空間でなくてもよい。例えば、光学センサユニット2は、配管またはトンネルといった一部が開放されている空間内に3次元配置されてもよい。この場合、開放された部分には光学センサユニット2を配置できないが、この部分を除いた検体100Cの周囲には光学センサユニット2を配置できる。このため、光学センサシステム1Cは、光学センサユニット2と対向する検体100Cの全ての部分を測定箇所とすることが可能である。
また、閉空間は、内壁面に光学センサユニット2を設けた段ボールであり、段ボールの内部に、食品が検体100Cとして配置され、光学センサユニット2における光学センサチップ21が、例えば、食品の水分または段ボールの内部の湿度を検出する光学センサチップであるものとする。この場合、光学センサシステム1Cは、光学センサユニット2を用いて段ボールの内部の食品の水分分布または湿度分布を測定することが可能である。食品の管理者は、食品の水分分布または湿度分布の測定結果に基づいて、食品の水分分布または湿度分布の時間変化を認識することができる。また、測定結果は、食品の腐食発生の予測にも利用可能である。
閉空間は、壁面に光学センサユニット2が設けられた浴室であり、浴室内部の雰囲気を検体100Cとしてもよい。すなわち、光学センサチップ21は、浴室内部の雰囲気の湿度を検出する。光学センサシステム1Cは、光学センサユニット2を用いて浴室内部の雰囲気の湿度分布を測定することが可能である。これにより、利用者は、浴室内部の雰囲気の湿度分布の時間変化を認識できる。また、測定結果は、浴室壁面のカビ発生の予測に利用可能である。このように、光学センサシステム1Cは、検体100C全体を測定箇所とすることが可能であり、測定範囲が拡大する。
以上のように、実施の形態1に係る光学センサチップ21は、Z個の光学センサチップ21を接続した光学センサユニットに検体100を配置して、光学センサユニットを伝搬させた光信号を各光学センサチップ21で検体100の状態に応じて変化させる。これにより、検体100の状態に応じた光信号の変化分を解析して、各光学センサチップ21が検出した検体100の状態を特定できるので、光学センサチップ21は、検体100の複数の箇所の状態の一括した測定に用いることができる。
実施の形態1に係る光学センサチップ21において、スポットサイズ変換部211Aとスポットサイズ変換部211Bとが一つのインタフェース部を構成する。スポットサイズ変換部216Aとスポットサイズ変換部216Bとが一つのインタフェース部を構成する。これにより、光学センサチップ21を設置するための部品点数が削減され、かつ、設置作業も簡素化される。
実施の形態1に係る光学センサチップ21は、スポットサイズ変換部216Aが出力する第1の光信号を遅延させる光路である光路長付加部215Aと、スポットサイズ変換部211Aが入力した第1の光信号または変化部213が検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号を分岐する光路分岐部212Aを備える。これにより、第1の光信号の伝搬時間を解析することで、光学センサチップ21を識別することが可能である。
実施の形態1に係る光学センサチップ21において、第1の光信号は、予め定められた一つの波長の光信号であり、強度特性、位相特性または周波数特性のいずれかを変調した電気信号が印加されている。このように、光学センサチップ21は、様々な変調信号を測定光として利用可能である。
実施の形態1に係る光学センサチップ21おいて、第1の光信号は、複数の波長の光信号である。光路分岐部212Aは、スポットサイズ変換部211Aが入力した第1の光信号から予め定められた波長の第1の光信号を選択し、選択した第1の光信号を変化部213に出力する。これにより、予め定められた波長の第1の光信号を変化部213に伝搬させることができる。
実施の形態1に係る光学センサシステム1は、光学センサユニット2と、光学センサユニット2における光学センサチップ21のスポットサイズ変換部211Aに第1の光信号を送信する光送信部31と、光学センサチップ21のスポットサイズ変換部211Bから検体100の状態に応じて変化した第1の光信号が合波された光信号を受信する光受信部32と、光受信部32の受信信号を用いて、個々の光学センサチップを識別する識別部41と、光受信部32の受信信号を解析することにより、検体100の状態を光学センサチップ21ごとに特定する解析部42を備える。これらの構成を有することにより、光学センサシステム1は、検体100の複数の箇所の状態を一括して測定することができる。
実施の形態1に係る光学センサシステム1において、解析部42は、第2の光信号の受信信号の強度特性、位相特性、周波数特性または波長特性のいずれか一つを解析することにより、第1の光信号の検体100の状態に応じた変化分を特定する。これにより、光学センサシステム1は、検体100の複数の箇所の状態を一括して測定することができる。
実施の形態1に係る光学センサシステム1において、Z個の光学センサチップ21は連なって接続され、識別部41は、光受信部32の受信信号に含まれる第1の光信号の遅延時間を解析することにより、検体100の状態に応じて変化した第1の光信号と光学センサチップ21とを対応付ける。例えばパルスの第1の光信号の遅延時間を解析することにより、光学センサシステム1は、個々の光学センサチップ21を識別することができる。
実施の形態1に係る光学センサシステム1において、識別部41は、光受信部32の受信信号に含まれる第1の光信号の波長を解析することにより、検体100の状態に応じて変化した第1の光信号と光学センサチップ21とを対応付ける。例えば、複数の波長が多重された連続光である第1の光信号の波長を解析することにより、光学センサシステム1は、個々の光学センサチップ21を識別することができる。
実施の形態1に係る測定方法は、光学センサシステム1の測定方法であって、光送信部31が、光学センサユニット2の端部にある光学センサチップ21のスポットサイズ変換部211Aに第1の光信号を送信するステップと、光受信部32が、光学センサユニット2の端部にある光学センサチップ21のスポットサイズ変換部211Bから、検体100の状態に応じて変化した第1の光信号が合波された光信号を受信するステップと、識別部41が、光受信部32の受信信号を用いて、個々の光学センサチップ21を識別するステップと、解析部42が、光受信部32の受信信号を解析することにより、検体100の状態を光学センサチップ21ごとに特定するステップを備える。この方法により、検体100の複数の箇所の状態を一括して測定することができる。
実施の形態2.
図19は、実施の形態2に係る光学センサシステム1Dを示す構成図である。図19において、光学センサシステム1Dの光学センサユニット2は、Z個の光学センサチップ21が連なって接続された部分と、この部分から、光カプラ8A、光カプラ8Bおよび光路長付加部9を介して分岐したセンサ列とを備える。センサ列は、複数の光学センサチップ21、例えば、光学センサチップ21、光学センサチップ21および光学センサチップ21が連なって接続されたものであり、このセンサ列には、光カプラ8Bおよび光路長付加部9を介してさらに別のセンサ列が分岐している場合もある。
光カプラ8Aは、光学センサチップ21と光学センサチップ21k+1との間に接続された光ファイバ22Aに設けられ、これらの光学センサチップとセンサ列とに接続されている。光カプラ8Aは、光ファイバ22Aを介して、光学センサチップ21から光学センサチップ21k+1に伝搬する第1の光信号を、センサ列に分岐するものである。
また、光カプラ8Bは、光学センサチップ21と光学センサチップ21k+1との間に接続された光ファイバ22Bに設けられて、これらの光学センサチップとセンサ列とに接続されている。光カプラ8Bは、光カプラ8Aと同様に、光ファイバ22Bを介して、センサ列から伝搬してきた第2の光信号を、光学センサチップ21が接続しているセンサ列に分岐するものである。
光路長付加部9は、センサ列を伝搬する第1の光信号を遅延させるための予め定められた光路長を有した光路である第2の光路長付加部である。例えば、光路長付加部9は、信号の伝搬が遅延するように光ファイバ22を加工したもの、または、信号の伝搬を遅延させる光導波路である。センサ列に伝搬する第1の光信号にセンサ列に固有な伝搬時間を加算するために、光路長付加部9は、光カプラ8Aおよび8Bの後段に配置される。なお、光路長付加部9は、センサ列を伝搬する光信号に対して予め定められた伝搬時間を加算することができれば、その配置場所は不問である。
光学センサシステム1Dにおいて光学センサチップ21から光学センサチップ21の部分では、光路長付加部215Aが、光学センサチップ21ごとに光路長を付加し、光学センサチップ21から光学センサチップ21までの光学センサユニットから分岐したセンサ列では、光路長付加部9がセンサ列を識別するための処理としてセンサ列ごとに光路長を付加してもよい。この場合、センサ列を構成する光学センサチップ21は、光路長付加部215Aを備えていなくてもよい。
光送受信部3において、光送信部31は、光ファイバ22Aを通じて光学センサチップ21に第1の光信号を送信する。変調信号生成部33は、発光素子が出射した光を変調するための、予め定められた変調方式の電気変調信号を生成し、光送信部31および識別部41に出力する。光送信部31は、電気変調信号に基づいて、発光素子が出射した光を変調した第1の光信号を、光学センサチップ21に接続された光ファイバ22Aへ出力する。
光受信部32は、光ファイバ22Bを通じて光学センサチップ21から光信号を受信する。光受信部32は受光素子を備えており、光信号を受光素子が電気信号に変換する。発光素子および受光素子は、別々に設けられてもよいし、発光素子および受光素子が一つに組み込まれた光学センサであってもよい。光送受信部3は、光学センサユニット2とは別に設けられてもよいし、光学センサユニット2に設けられてもよい。例えば、光送受信部3は、光学センサユニット2の一部に設けられたInP基板に集積されてもよい。
光学センサチップ21、21および21において、光終端6Aは、光反射が極めて小さくなるように、光ファイバ22Aの端部に施された部分である。光学センサチップ21から光学センサチップ21、21および21のそれぞれに順に伝搬してきた第1の光信号は、光終端6Aにおいて終端される。光学センサチップ21、21および21において、光終端6Bは、光反射が極めて小さくなるように、光ファイバ22Bの端部に施された部分である。第2の光信号は、光終端6Bにおいて終端される。光終端6Aおよび6Bは、送信用と受信用とを兼ねた一つの光終端であってもよい。
受信信号解析部4において、識別部41は、光受信部32が受信した光信号の受信信号を用いて、個々の光学センサチップ21を識別する。例えば、識別部41は、変調信号生成部33が生成した電気変調信号に基づいて受信信号を検波し、その波長値を読み取ることにより、変調された光学センサチップ21の識別番号kを特定する。これにより、識別部41は、個々の光学センサチップ21を識別する。
識別部41は、第1の光信号(送信前の第1の光信号)のパルスの伝搬と光受信部32の受信信号のパルスの伝搬とを比較することにより光学センサチップ21を識別してもよい。この場合、識別部41は、光受信部32の受信信号の伝搬時間に対応する識別番号kを特定することにより、受信信号に対応する光学センサチップ21を識別する。識別部41は、識別番号kに対応する光学センサチップ21の位置も特定可能である。
さらに、識別部41は、第1の光信号(送信前の第1の光信号)のパルスの伝搬と光受信部32の受信信号のパルスの伝搬とを比較することにより、光受信部32の受信信号の伝搬時間を算出する。識別部41には、センサ列ごとに付加された光路長に対応した伝搬時間と、センサ列の識別番号とが対応付けて登録されている。識別部41は、伝搬時間に対応する識別番号を特定することにより、光受信部32の受信信号に対応するセンサ列を識別することができる。また、識別部41は、識別番号に対応するセンサ列の位置も特定可能である。
図20は、光学センサシステム1Dにおける送信前の第1の光信号と光受信部32の受信信号との時間波形を示す波形図であり、センサ列における第1の光信号の遅延を示している。変調信号生成部33がパルス変調信号を生成して、パルス変調信号を光送信部31に印加することにより、図20に示す第1の光信号Sが生成される。第1の光信号Sは、光学センサユニット2におけるセンサ列を伝搬することにより検体100の状態に応じて特性が変化される。
光学センサチップ21、21および21における光路分岐部212Aは、スポットサイズ変換部211Aが入力した第1の光信号を変化部213と光路長付加部215Aに分岐する。光路長付加部215Aおよびスポットサイズ変換部216Aを伝搬した第1の光信号は、光学センサチップ21、21および21に接続された光終端6Aによりそれぞれ終端される。
一方、変化部213は、検体100の状態に応じて第1の光信号を変化させる。合波部214は、検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号と、スポットサイズ変換部216Bが入力した第2の光信号を合波し、スポットサイズ変換部211Bに出力する。スポットサイズ変換部211Bは、光ファイバ22Bに合わせてスポットサイズを変換した第1の光信号を、第2の光信号として光学センサチップ21X-1、21Y-1および21Z-1に出力する。
光路長付加部9は、センサ列を伝搬する第1の光信号に遅延させる予め定められた光路長の光路である第2の光路長付加部である。これにより、第1の光信号は、各センサ列において、光路長付加部9により付加された光路長に対応する伝送時間の分だけ遅延する。光受信部32が光学センサチップ21から受信した光信号には、センサ列における遅延による時間差が生じている。
例えば、図20に示すように、光受信部32の受信信号S3は、第1の光信号Sに対して時間差ΔT3が生じており、光受信部32の受信信号S4は、第1の光信号Sに対して時間差ΔT4が生じている。そこで、識別部41は、光受信部32の受信信号S3およびS4の時間差ΔT3およびΔT4を解析することにより、光受信部32の受信信号S3を出力したセンサ列と光受信部32の受信信号S4を出力したセンサ列とを識別することが可能である。また、識別部41は、センサ列に予め定められた識別番号を、光受信部32の受信信号S3およびS4にそれぞれ対応付ける。
第1の光信号は、位相変調されたものであってもよいし、周波数変調されたものであってもよい。例えば、変調信号生成部33が周波数変調信号を生成して、周波数変調信号を光送信部31に印加することにより、周波数変調された第1の光信号が生成される。この第1の光信号を光学センサチップ21に送信することで、光受信部32は、周波数変調された光信号を受信する。光受信部32は、受信信号についてヘテロダイン検波を行い、解析部42は、検体100の状態に応じた受信信号ごとの周波数シフト量を特定する。
解析部42は、光受信部32の受信信号を解析することにより、光学センサユニット2に配置された検体100の状態を、光学センサチップ21ごとまたはセンサ列ごとに特定する。例えば、解析部42は、光学センサチップ21の識別番号kを用いて識別した光学センサチップ21ごとの受信信号の強度差を読み取ることにより、光学センサチップ21の周辺にある検体100の状態を特定する。また、解析部42は、センサ列の識別番号を用いて識別したセンサ列ごとの受信信号の強度差を読み取ることにより、センサ列の周辺にある検体100の状態を特定する。
例えば、光受信部32の受信信号S3およびS4にそれぞれ合波されている第1の光信号Sは、検体100の状態に応じて変化する。図20に示す例では、検体100の状態に応じて第1の光信号の強度が減少することで、受信信号S3は、第1の光信号Sに対して強度差が生じており、受信信号S4は、受信信号S3よりも大きな強度差が生じている。解析部42は、識別部41がセンサ列を識別すると、光受信部32の受信信号S3およびS4と第1の光信号Sとの強度差を解析することで、各センサ列での検体100の状態を特定する。受信信号の解析方法としては、受信信号の強度解析に限定されず、位相特性または周波数特性の解析であってもよい。
表示部5は、受信信号解析部4から検体100の状態の測定結果を入力して、入力した測定結果を表示する。例えば、表示部5は、光学センサチップ21が配置された場所における検体100の状態、および、センサ列が配置された領域における検体100の状態を、グラフ表示する。
また、光学センサシステム1Dにおいて、個々のセンサ列が光路長付加部9を有していなくても、センサ列の光経路に応じた遅延が生じる。これらの遅延時間を解析することにより個々のセンサ列を伝搬した光信号を特定することが可能である。例えば、光学センサシステム1Dが備える光学センサチップ21を伝搬した第1の光信号には、個々の光学センサチップ21の内部の光経路に応じた遅延が生じ、これらが接続されたセンサ列に応じて遅延が生じる。各センサ列の遅延時間を解析することにより個々のセンサ列を伝搬した光信号を特定することが可能である。
これまで、パルスの第1の光信号を光学センサシステム1Dに送信し、光受信部32の受信信号の遅延時間の違いを解析して各センサ列を識別する場合を示した。
一方、複数の波長が多重された連続光の第1の光信号を光学センサシステム1Dに送信し、光受信部32の受信信号に含まれる波長の違いを解析して、光学センサチップ21を識別してもよい。この場合、光学センサシステム1Dは、光路長付加部9を備えていなくてもよい。
以上のように、実施の形態2に係る光学センサシステム1Dは、光学センサユニット2において、光学センサチップ21と光学センサチップ21k+1との間に設けられ、第1の光信号に対して、複数の光学センサチップ21が接続されたセンサ列を識別するための遅延を与える光路である光路長付加部9を備える。
光学センサシステム1Dは、第1の光信号の遅延時間を解析することにより、センサ列を識別することができ、センサ列が配置された場所における検体100の状態を測定することができる。これにより、検体100の状態を測定するための測定範囲を広げることが可能である。
実施の形態2に係る光学センサシステム1Dにおいて、識別部41は、光受信部32の受信信号を用いて、光学センサチップ21間を伝搬する光信号の波長を解析することにより複数の光学センサチップ21を識別する。これにより、光学センサシステム1は、個々の光学センサチップ21を識別することができる。
実施の形態3.
図21は、実施の形態3に係る光学センサチップ21を示す構成図である。図21において、実施の形態3に係る光学センサチップ21は、スポットサイズ変換部211A、スポットサイズ変換部211B、変化部213、合波部214、スポットサイズ変換部216A、スポットサイズ変換部216Bおよび光路折り返し部217を備える。
変化部213は、入力した第1の光信号の特性を検体100の状態に応じて変化させ、特性を変化させた第1の光信号を出力する。第1の光信号の特性には、強度特性、位相特性または周波数特性が含まれる。変化部213は、第1の光信号の強度特性、位相特性または周波数特性の少なくとも一つを変化させる。
例えば、変化部213は、光導波路であるリング共振器により実現される。なお、変化部213は、第1の光信号の特性を、検体100の状態に応じて変化させるものであればよく、光導波路により構成された位相シフタ、周波数シフタまたはこれらを組み合わせた光学素子であってもよい。また、変化部213は、リング共振器、マッハツェンダ干渉計(MZI)、または、これらを組み合わせたものであってもよい。
光路折り返し部217は、変化部213が検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号の一部を伝搬させて合波部214に出力する予め定められた光路長の光路である。例えば、第1の光信号が単一波長を有した光信号のパルスである場合、光路折り返し部217は、検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号の一部を合波部214に出力する。
また、光路折り返し部217は、変化部213が検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号の残りの一部を、合波部214ではなく、スポットサイズ変換部216Aに出力する。例えば、光学センサチップ21において、光路折り返し部217を通過してスポットサイズ変換部216Aに出力された第1の信号は、光学センサチップ21k+1に出力される。
合波部214は、検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号とスポットサイズ変換部216Bが入力した第2の光信号とを合波する。例えば、光学センサチップ21が備える合波部214は、変化部213が検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号と光学センサチップ21k+1から入力した第2の光信号とを合波する。第1の光信号と第2の光信号とが合波された光信号は、合波部214からスポットサイズ変換部211Bに出力される。例えば、光学センサチップ21において、第1の光信号が合波された光信号は、光学センサチップ21k-1に出力される。
検体100の状態に応じて変化した第1の光信号は、光路折り返し部217による折り返しの際に予め定められた光路長の光路を伝搬することにより、送信前の第1の光信号に対して遅延した第1の光信号が合波されている。このため、識別部41は、送信前の第1の光信号のパルスの伝搬と光受信部32が受信した光信号の受信信号のパルスの伝搬とを比較することにより、第1の光信号に対する受信信号の伝搬時間を算出する。次に、識別部41は、算出した伝搬時間に対応する識別番号kを特定することにより、第2の光信号の受信信号に対応する光学センサチップ21を識別できる。識別部41は、識別番号kに対応する光学センサチップ21の位置も特定可能である。
また、識別部41は、光受信部32の受信信号に含まれる第1の光信号の波長を解析することで、検体100の状態に応じて変化した第1の光信号と光学センサチップ21の識別番号kとを対応付けてもよい。
例えば、第1の光信号が複数の波長を有した連続光である光信号である場合に、光路折り返し部217は、検体100の状態に応じて変化した第1の光信号から予め定められた波長の第1の光信号を合波部214に出力する。光路折り返し部217が予め定められた波長の第1の光信号を抽出して折り返す場合、識別部41は、光受信部32の受信信号の波長に対応する識別番号kを特定することにより、当該波長に対応した光学センサチップ21を識別する。
以上のように、実施の形態3に係る光学センサチップ21は、変化部213が検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号の一部を伝搬させて合波部214に出力する、予め定められた光路長の光路である光路折り返し部217を備える。合波部214は、光路折り返し部217である光路を伝搬してきた第1の光信号の一部と、スポットサイズ変換部216Bが入力した第2の光信号を合波する。スポットサイズ変換部216Aは、変化部213が検体100の状態に応じて変化させた第1の光信号の残りの一部を光学センサチップ21k-1に出力する。第1の光信号における検体100の状態に応じた変化分を解析することにより、光学センサチップ21が測定した検体100の状態を特定する。これにより、光学センサチップ21は、検体100の複数の箇所の状態の一括した測定に用いることができる。
また、実施の形態1から実施の形態3に係る光学センサチップ21は、変化部213が光学的な処理により検体100の状態を検出する、また、変化部213以外の構成要素も電気的な処理が不要である。このため、光学センサシステム1、1A~Dでは、個々の光学センサチップ21に電源供給が不要であり、消費電力が低い測定システムを実現することが可能である。さらに、光学センサチップ21は電源のない場所に配置しても、検体100の状態を測定可能であるので、チップ配置の自由度が高い光学センサシステムを実現することができる。
また、図8に示した変化部213を構成するリング共振器は、位相シフタ機能または周波数シフタ機能をそれぞれ有する光学素子に置き換えてもよいし、一つのリング共振器に位相シフタ機能または周波数シフタ機能を持たせてもよい。例えば、リング共振器である導波路2132に対して、導波路2132とは材質が異なる部材を積層することにより、変化部213は、導波路2132に積層された部材の材質に応じて、光信号の特性を変化させることができる。
例えば、導波路2132に磁性体を積層させた場合、導波路2132の周辺に発生する磁界の強度に比例して、導波路2132を周回した光信号の位相が変化する。この光信号の位相変化に応じて導波路2132の導波路実効屈折率neffも変化する。解析部42は、導波路2132における、2π×R×Δneff=m×Δλの関係を用いて、送信信号と受信信号との間における共振波長のシフト量Δλを算出する。
解析部42は、算出した共振波長のシフト量Δλを用いて、導波路2132における導波路実効屈折率の変化量Δneffを算出し、算出したΔneffを用いて磁界の強度を算出する。これにより、光学センサチップ21は、検体100からの磁界の検出に利用可能である。
また、導波路2132は、グラフェンなどのDNAと結合することにより、導波路実効屈折率neffを変化させる部材が積層された導波路であってもよい。これにより、導波路2132の周辺にDNAが存在すると、導波路2132を周回した光信号の位相が変化する。この光信号の位相変化に応じて導波路2132の導波路実効屈折率neffも変化する。磁界を検出する場合と同様に、解析部42は、導波路2132における2π×R×Δneff=m×Δλの関係を用いて、送信信号と受信信号との間における、共振波長のシフト量Δλを算出する。解析部42は、共振波長のシフト量Δλを用いて、導波路2132の導波路実効屈折率の変化量Δneffを算出し、算出したΔneffを用いてDNAの結合量を算出する。これにより、光学センサチップ21は、検体100のDNAの検出に利用可能である。
実施の形態1から実施の形態3に係る光学センサシステムにおいて、光ファイバ22を介して連なって接続されたZ個の光学センサチップ21を蛇行させることにより、光学センサユニット2に様々な形状で光学センサチップ21を配置でき、光学センサチップ21の配置自由度が高く、配置密度が向上する。これにより、実施の形態1から実施の形態3に係る光学センサシステムが備える光学センサユニット2は、従来配置が困難であった狭い空間にも配置可能である。
実施の形態1から実施の形態3に係る光学センサシステムにおいて、変調信号生成部33は、検体100における複数の種類の状態のうち、制御信号によって指定された状態の測定に使用する変調信号を生成し、生成した変調信号を光送信部31に出力してもよい。光送信部31は、制御信号によって指定された状態の測定に対応する変調が施された第1の光信号を生成する。これにより、指定された状態の測定に対応する変調を施した第1の光信号を用いた検体100の状態の測定が可能である。例えば、変調信号生成部33は、制御信号によって検体100の水分量が指定された場合、位相変調信号を生成し、制御信号によって検体100の温度が指定された場合には、周波数変調信号を生成する。これにより、検体100の水分量を測定するために位相変調され、検体100の温度を測定するために周波数変調された第1の光信号を生成することができる。
実施の形態1から実施の形態3に係る光学センサシステムは、外部機器との間で無線信号を送受信する無線信号送受信部と、変調信号生成部33による変調信号の生成を制御する変調制御部を備えてもよい。変調制御部は、無線信号送受信部が外部機器から受信した制御信号を復調し、復調した制御信号を変調信号生成部33に出力する。例えば、変調制御部は、外部機器からの制御信号の信号品質の劣化を補償し、信号品質の劣化を補償した制御信号を、変調信号生成部33に出力する。より具体的には、変復調制御部は、無線伝送中の信号の誤り検出を行い、検出した誤りを補正することにより信号品質の劣化を補償する。無線信号送受信部は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う通信装置、または、WiFiルータである。
なお、各実施の形態の組み合わせまたは実施の形態のそれぞれの任意の構成要素の変形もしくは実施の形態のそれぞれにおいて任意の構成要素の省略が可能である。
本開示に係る光学センサチップは様々な検体の状態の測定に利用可能である。例えば、本開示に係る複数の光学センサチップを、廊下または道路に点在させておくことにより、廊下または道路の周囲の状態を一括して測定することが可能である。
1,1A~1D 光学センサシステム、2 光学センサユニット、3 光送受信部、4 受信信号解析部、5 表示部、6A,6B 光終端、7A,7B コネクタ、8A,8B 光カプラ、9,215A 光路長付加部、21~21、21k-1,21Z-1,21,21,21,21 光学センサチップ,22,22A,22B 光ファイバ、31 光送信部、32 光受信部、33 変調信号生成部、41 識別部、42 解析部、100,100C 検体、100A 人、100B 土壌、200 ベッド、211A,211B,216A,216B スポットサイズ変換部、212A 光路分岐部、213,213A,213B 変化部、214 合波部、217 光路折り返し部、400 箱、1000 入力インタフェース、1001 出力インタフェース、1002 処理回路、1003 プロセッサ、1004 メモリ、2131~2133 導波路。

Claims (13)

  1. コネクタによって自由な接続形態が可能な光学センサチップであって、
    光ファイバを介して第1の光信号を外部から入力する第1のインタフェース部と、
    第1の光信号を検体の状態に応じて変化させる変化部と、
    光ファイバを介して第1の光信号を外部に出力する第2のインタフェース部と、
    光ファイバを介して第2の光信号を外部から入力する第3のインタフェース部と、
    前記変化部が検体の状態に応じて変化させた第1の光信号と前記第3のインタフェース部が入力した第2の光信号とを合波する合波部と、
    前記合波部が合波した光信号を、光ファイバを介して外部に出力する第4のインタフェース部と、を備えた
    ことを特徴とする光学センサチップ。
  2. 前記第1のインタフェース部と前記第4のインタフェース部とが一つのインタフェース部を構成し、
    前記第2のインタフェース部と前記第3のインタフェース部とが一つのインタフェース部を構成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学センサチップ。
  3. 前記第2のインタフェース部が出力する第1の光信号を遅延させる光路である第1の光路長付加部と、
    前記第1のインタフェース部が入力した第1の光信号または前記変化部が検体の状態に応じて変化させた第1の光信号を分岐する分岐部と、を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学センサチップ。
  4. 前記第1のインタフェース部が入力した第1の光信号は、予め定められた一つの波長の光信号であり、強度特性、位相特性または周波数特性のいずれかを変調した電気信号が印加されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学センサチップ。
  5. 前記第1のインタフェース部が入力した第1の光信号は、複数の波長の光信号であり、
    前記第1のインタフェース部が入力した第1の光信号から、予め定められた波長の第1の光信号を選択し、選択した第1の光信号を前記変化部に出力する分岐部を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学センサチップ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複数の光学センサチップを有し、隣り合った光学センサチップ間で前記第1のインタフェース部と前記第2のインタフェース部とが光ファイバを介して接続され、前記第3のインタフェース部と前記第4のインタフェース部とが光ファイバを介して接続され、検体が配置される光学センサユニットと、
    前記光学センサユニットの端部にある光学センサチップの前記第1のインタフェース部に第1の光信号を送信する光送信部と、
    前記光学センサユニットの端部にある光学センサチップの前記第4のインタフェース部から、検体の状態に応じて変化した第1の光信号が合波された光信号を受信する光受信部と、
    前記光受信部の受信信号を用いて、個々の光学センサチップを識別する識別部と、
    前記光受信部の受信信号を解析することにより、検体の状態を光学センサチップごとに特定する解析部と、を備えた
    ことを特徴とする光学センサシステム。
  7. 前記解析部は、前記光受信部の受信信号の強度特性、位相特性、周波数特性または波長特性のいずれか一つを解析することにより、検体の状態に応じた第1の光信号の変化分を特定する
    ことを特徴とする請求項6に記載の光学センサシステム。
  8. 前記光学センサユニットにおいて複数の光学センサチップは連なって接続され、
    前記識別部は、前記光受信部の受信信号に含まれる第1の光信号の遅延時間を解析することにより、検体の状態に応じて変化した第1の光信号と光学センサチップとを対応付ける
    ことを特徴とする請求項6に記載の光学センサシステム。
  9. 前記識別部は、前記光受信部の受信信号に含まれる第1の光信号の波長を解析することにより、検体の状態に応じて変化した第1の光信号と光学センサチップとを対応付ける
    ことを特徴とする請求項6に記載の光学センサシステム。
  10. 前記光学センサユニットにおける光学センサチップ間に設けられ、光学センサチップ間を伝搬する光信号に対し、複数の光学センサチップが接続されたセンサ列を識別するための遅延を与える光路である第2の光路長付加部を備えた
    ことを特徴とする請求項6に記載の光学センサシステム。
  11. 前記識別部は、前記光受信部の受信信号を用いて光学センサチップ間を伝搬する光信号の遅延時間を解析することにより、複数の光学センサチップが接続されたセンサ列を識別する
    ことを特徴とする請求項10に記載の光学センサシステム。
  12. 前記識別部は、前記光受信部の受信信号を用いて光学センサチップ間を伝搬する光信号の波長を解析することにより、複数の光学センサチップを識別する
    ことを特徴とする請求項6に記載の光学センサシステム。
  13. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複数の光学センサチップを有し、隣り合った光学センサチップ間で前記第1のインタフェース部と前記第2のインタフェース部とが光ファイバを介して接続され、前記第3のインタフェース部と前記第4のインタフェース部とが光ファイバを介して接続された、光学センサユニットと、
    光送信部と、
    光受信部と、
    識別部と、
    解析部と、を備えた光学センサシステムの測定方法であって、
    前記光送信部が、前記光学センサユニットの端部にある光学センサチップの前記第1のインタフェース部に第1の光信号を送信するステップと、
    前記光受信部が、前記光学センサユニットの端部にある光学センサチップの前記第4のインタフェース部から、検体の状態に応じて変化した第1の光信号が合波された光信号を受信するステップと、
    前記識別部が、前記光受信部の受信信号を用いて、個々の光学センサチップを識別するステップと、
    前記解析部が、前記光受信部の受信信号を解析することにより、検体の状態を光学センサチップごとに特定するステップと、を備えた
    ことを特徴とする測定方法。
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