JP7278032B2 - フュージョンフュエルを製造するための改質剤を生成する改質剤生成装置およびそれを収納しているコンテナ - Google Patents
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Description
本発明のいくつかの実施形態を説明するために本明細書に用いられている用語および表現の意味を、以下に説明する。
本発明の一側面は、フュージョンフュエルを石油燃料から製造するための改質剤を、水から生成する改質剤生成装置である。当該改質剤生成装置は、上記原水に電圧を印加することによって液体の水分子の一部を電離させるプラズマ生成槽を備えている。上記改質剤生成装置の一実施形態が、図1を参照して、以下に説明される。図1は、本発明の一実施形態に係る装置の構成を示す概略図である。
プラズマ処理タンク1は、水に電圧を印加することによって液体の水分子の一部を電離させる処理を実行するタンクである。プラズマ処理タンク1には、高電圧印加用の電極(少なくとも一対)が挿入されている。プラズマ処理タンク1の本体(のうち少なくとも内表面)は、絶縁材料によって作製されている。例えば、プラズマ処理タンク1は、約1000Lの用量を有しているステンレス(SUS304)製のタンクである。当該タンクの側面には、内部を視認するための円形の窓が設けられている。
プラズマ処理タンク1に供給される水(この項目では「材料」と記載する)は、改質剤生成装置10を設置した地域において、多量かつ容易に入手可能な水である。したがって、上記材料の一般的な例は、当該地域の原水(多くの場合に、精製なしに、陸上で多量に入手できる淡水(例えば、上水(水道水)、河川および湖沼にある水、ならびに地下水))である。上記材料には、不純物(特に無機物)を、少なく含んでいる水、または不純物を実質的に含んでいない水が、好ましく使用される。したがって、不純物の含有量に応じて、原水は、上記材料として使用される前に、当業者に周知の方法(例えば蒸留およびろ過)によって精製水(例えば純水)に変えられ得る。
カルシウム:<300mg/L(0.03質量%)
シリカ:<300mg/L(0.03質量%)
マグネシウム:<300mg/L(0.03質量%)
亜鉛:<1.0mg/L(0.0001質量%)
アルミニウム:<0.2mg/L(0.00002質量%)
鉄:<0.3mg/L(0.00003質量%)
銅:<1.0mg/L(0.0001質量%)
TOC:<3mg(0.0003質量%)。
改質剤生成装置10は、コンテナ5に収納されている一体型の改質剤生成ユニットとして、形成されている。当該改質剤生成ユニットは、例えば、図1に示されている管7aおよび7bを取り外すことによって、輸送用のコンテナと同様に扱われ得る。したがって、当該改質剤生成ユニットがコンテナ5に収納されていることによって、当該ユニットの、製造地域から稼働地域への輸送、稼働地域における設置および稼働開始が容易である。さらに、改質剤生成ユニットの増設は容易である。新たなユニットの増設作業は、新たなユニットを、設置済のユニットに載置または並置することによって終わる。
本発明の一側面は、フュージョンフュエルを石油燃料から製造するための改質剤を、水から生成する方法に関する。当該方法は、上記水に電圧を印加することによって液体の水分子の一部を電離させる工程を含んでいる。当該工程は、例えば、改質剤生成装置10を用いて実施される。
(1)上記バッチ処理または(3)によって生成された改質剤の一部(850L)を、管7bを通して、プラズマ処理タンク1から送り出す(5分間)。
(2)管7aから水(850L)をプラズマ処理タンク1に入れる(5分間)。
(3)プラズマ処理タンク1における水および改質剤の混合物に3000Vの電圧を印加する(数分~10分間)。
上記改質剤生成ユニットは、世界中のあらゆる地域に設置され得る。管7aからプラズマ処理タンク1に供給される水の水質は、当該ユニットの設置される地域ごとにまったく異なる。当該水質の良否が、プラズマ処理タンク1の運転条件をほぼ決める。当該ユニットの設置を予定している地域において多量かつ容易に入手可能な水の水質をあらかじめ試験することが、上記改質剤生成方法にとって好ましい。水質の試験方法は周知なので、詳述しない。
例えば上記水質試験の結果として、ある地域において多量かつ容易に入手可能な水が、改質剤の生成に支障を来す(特に、項目(水)に記載の基準のいずれかを満たさない)と分かったとき、当該水は精製される。つまり、改質剤生成方法において、精製水が、プラズマ処理タンク1に供給される。水の精製方法は周知なので、詳述しない。
項目4および5に述べられている装置および方法によって生成された改質剤は、油(石油燃料)と混合される。一例として、改質剤および軽油の混合物(1:1の容積比)から、実施例に証明されている通り、当該混合物とほぼ同じ容積を有している、JIS規格に準ずる「軽油」(水を実質的に含んでいない)が生成される。したがって、上記改質剤は、その名称の通り、石油燃料を改質することができる。
上述の具体的な実施形態をまとめると、本発明に係る側面のそれぞれは、以下のように表され得る。
(1)石油燃料からフュージョンフュエルを製造するための改質剤を、水から生成する改質剤生成装置であって、上記水に電圧を印加することによって液体の水分子の一部を電離させるプラズマ生成槽を備えている、改質剤生成装置。
(2)上記電圧が3000~80000Vである、(1)に記載の改質剤生成装置。
(3)上記水が、原水または精製水である、(1)または(2)に記載の改質剤生成装置。
(4)上記水が、300mg/L未満のカルシウム、300mg/L未満のシリカおよび300mg/L未満のカルシウムを含んでいる、(1)~(3)のいずれかに記載の改質剤生成装置。
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の改質水の生成装置をその内部に収納している、コンテナ。
(6)フュージョンフュエルを石油燃料から製造するための改質剤を、水から生成する方法であって、上記水に電圧を印加することによって液体の水分子の一部を電離させる工程を含んでいる、方法。
上述の改質剤生成装置10を用いて、水から改質剤を生成した。生成された改質剤を、市販の軽油(半透明の黄緑)と混合(1:1の容積比)し、フュージョンフュエルの製造を試みた。改質剤生成装置10の運転条件は、以下の通りである。
原水:精製水(不純物含量:カルシウム<300mg/L;シリカ<300mg/L;マグネシウム<300mg/L;亜鉛<1.0mg/L;アルミニウム<0.2mg/L;鉄0.3mg/L;銅<1.0mg/L;TOC<3mg/L)
原水の量:(1段階目、単回のバッチ処理)1000L/バッチ、(2段階目、連続処理)2500L/h(800~900L/20m×3)
印加電圧:30000V
処理時間:(1段階目)2h、(2段階目)1h。
実施例1の条件のうち、原水を水道水(供給元:東京都水道局)に、印加電圧を3000Vに変更し、改質剤生成装置10を用いて、水から改質剤を生成した。実施例1と同様に、1段階目および2段階目の処理から得られた改質剤は、軽油との混合によって、半透明な「軽油」に該当する液体を生じた。
改質剤生成装置10を用いて、原水を処理した。処理した原水を市販の軽油と混合(1:1の容積比)し、フュージョンフュエルの製造を試みた。改質剤生成装置10の運転条件は、以下の通りである。
原水:水道水(供給元:東京都水道局)に、500mg/Lのカルシウムを添加した水
原水の量:500L/バッチ
印加電圧:3000V
処理時間:4h。
改質剤生成装置10を用いて、原水を処理した。処理した原水を市販の軽油と混合(1:1の容積比)し、フュージョンフュエルの製造を試みた。改質剤生成装置10の運転条件は、以下の通りである。
原水:水道水(供給元:東京都水道局)に、500mg/Lのシリカを添加した水
原水の量:500L/バッチ
印加電圧:8000V
処理時間:4h。
実施例1のフュージョンフュエルおよび軽油の外観(上部)、ならびに水、比較例1および比較例2の外観(下部)を図2に示す。図2の上部に示す通り、フュージョンフュエルおよび軽油は、その外観からほとんど区別できない。フュージョンフュエルの色は改質前の軽油よりやや薄いことが、フュージョンフュエルおよび軽油を並べたときに初めて、判別できる。フュージョンフュエルの外観は、表1の結果と一貫している。図2の下部に示す通り、比較例1および2(左および中央)は、しばらく放置されると、水および油に相分離した。したがって、比較例1および2は、単なる水および油の混合物に過ぎなかった。
5 コンテナ
7a 管
7b 管
10 改質剤生成装置
Claims (5)
- フュージョンフュエルを石油燃料から製造するための改質剤を、水から生成する改質剤生成装置であって、
上記水に電圧を印加することによって液体の水分子の一部を電離させるプラズマ生成槽を備え、
前記プラズマ生成槽は、外部と気密に遮断されたタンクと、該タンク内に挿入された少なくとも一対の電極と、
前記タンクに接続され、該タンク内に上記水(但し、プラズマ分解された水は除く)を供給するための管と、
前記タンクに接続され、該タンクから改質剤を送り出すための管と、
を備えている、改質剤生成装置。 - 上記電圧が3000~80000Vである、請求項1に記載の改質剤生成装置。
- 上記水が、原水または精製水である、請求項1または2に記載の改質剤生成装置。
- 上記水が、300mg/L未満のカルシウム、300mg/L未満のシリカおよび300mg/L未満のカルシウムを含んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載の改質剤生成装置。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の改質剤生成装置をその内部に収納している、コンテナ。
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