以下に、本発明の実施の形態にかかるデータ収集システム、通信システムおよび通信経路制御方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。本実施の形態の通信システムは、端末装置1-1~1-11と、集約装置2-1,2-2と、データ収集システム3と、を備える。データ収集システム3は、メータデータ管理システム(MDMS(Meter Data Management System))4と接続される。集約装置2-1,2-2とデータ収集システム3は、ネットワーク5により接続される。ネットワーク5は、例えば光回線ネットワーク、携帯電話ネットワークであるが、これらに限定されない。
以下、端末装置1-1~1-11のそれぞれを、区別せずに示す場合には端末装置1と記載し、集約装置2-1,2-2のそれぞれを、区別せずに示す場合には集約装置2と記載する。図1では、端末装置1を11台、集約装置2を2台、それぞれ図示しているが、一般には、より多数の端末装置1および集約装置2がデータ収集システム3に接続されているが、ここでは一部の端末装置1および集約装置2を図示している。端末装置1および集約装置2の数に特に制約はない。
複数の端末装置1と複数の端末装置1のうち1つ以上の端末装置1から送信されたデータを集約する複数の集約装置2とは、無線マルチホップ方式により通信を行う。すなわち、複数の端末装置1と複数の集約装置2とは無線マルチホップネットワークを構成する。なお、ここでは、無線マルチホップネットワークを例に挙げて説明するが、有線マルチホップネットワークであってもよい。集約装置2および端末装置1-1~1-11は、経路制御プロトコルに従って周期的に制御メッセージを交換し、経路情報を保持している。経路制御プロトコルの一例は、RPL(IPv6(Internet Protocol version 6) Routing Protocol for Low power and Lossy Networks)であるが、経路制御プロトコルはこれに限定されない。以下、端末装置1-1~1-11から集約装置2へ向かう通信の方向を上り方向と呼び、集約装置2から端末装置1-1~1-11へ向かう通信の方向を下り方向と呼ぶ。
なお、ここでは、端末装置1が、電力量を計量して、計量結果を無線マルチホップ方式により通信を行い、集約装置2およびデータ収集システム3を介してMDMS4へ送信するスマートメータシステムを例に挙げて説明するが、本実施の形態の通信システムはスマートメータシステムに限定されない。本実施の形態は、集約装置2および端末装置1-1~1-11がマルチホップ方式により通信を行い、集約装置2が配下の端末から受信したデータを集約してデータ収集システム3へ送信するシステムであれば、スマートメータシステムに限らず適用可能である。例えば、本実施の形態の通信システムは、ガスの計量結果を収集するシステムで用いられてもよく、監視データを収集するシステムで用いられてもよい。
端末装置1は、それぞれが家庭、事業所等に設置され、家庭、事業所等における電力の使用量を計量し、計量結果を、対応する集約装置2へ向けて送信する。端末装置1には、通信システムに参入する時などには、経路制御プロトコルにしたがって、参入メッセージを送信することにより、近隣の集約装置2までの経路を探索する。端末装置1は、集約装置2までの経路を探索により得ると、得られた経路上の集約装置2を主集約装置として記憶する。また、端末装置1は、経路上または集約装置に障害が生じたときのために、バックアップの経路として、上記の探索した集約装置2とは別の集約装置2までの経路も探索し、探索により得られた経路に対応する集約装置2を副集約装置として記憶する。端末装置1は、主集約装置および副集約装置を決定すると、決定した主集約装置および副集約装置を示す情報を、自身の識別情報とともに集約装置2へ送信する。また、端末装置1は、自身の経路情報も自身の識別情報とともに集約装置2へ送信する。集約装置2は、端末装置1から受信した主集約装置および副集約装置を示す情報と、経路情報とを、端末装置1の識別情報とともに、データ収集システムへ送信する。
各端末装置1が保持している経路情報には、上り方向の経路上の次の端末装置1または集約装置2を示す情報が格納されている。以下、無線マルチホップネットワークを構成する端末装置1および集約装置2のそれぞれをノードとも呼ぶ。また、各スマートメータの上り方向および下り方向の経路上の次の端末装置1または集約装置2を、次のノードと呼ぶ。マルチホップネットワークでは、ホップ数に上限があり、例えば、ホップ数の上限は20であるが、ホップ数の上限はこの例に限定されない。端末装置1は、集約装置2への経路時には、ホップ数が上限以下になる範囲で、集約装置2への経路を探索する。ホップ数は経由する端末装置1に依存する数であり、集約装置2へ直接データを送信する端末装置1のホップ数は1であり、集約装置2までに1つの端末装置1を経由する端末装置1のホップ数は2である。
端末装置1は、自身が計測した計量結果を、対応する集約装置2へ向けて送信する。ここで、端末装置1が集約装置2へ向けてデータを送信することは、具体的には、各端末装置1が保持している経路情報に基づいて、次のノードへデータを送信することを意味する。各端末装置1は、他の端末装置1からデータを受信すると、受信したデータが集約装置2へ宛てたデータである場合、自身が保持している経路情報に基づいて次のノードへデータを転送する。この転送は、データが集約装置2へ到着するまで経路上の各端末装置1によって順次行われる。下り方向についても、同様に、次のノードへデータが順次転送されることにより、集約装置2から各端末装置1へデータが到着する。下り方向の経路は、例えば、集約装置2により指定される。また、端末装置1は、主集約装置として設定される経路で通信ができない場合には、副集約装置に宛てて、計量結果などを送信する。なお、これらの端末装置1における動作は、一般的なスマートメータネットワークにおける動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図2は、データ収集システム3の構成例を示す図である。データ収集システム3は、マルチホップネットワークに接続され、図2に示すように、通信部31、情報記憶部32、余裕度監視部33、主副情報抽出部34、端末装置選択部35、切替指示部36および表示部37を備える。通信部31は、ネットワーク5を介して集約装置2との間で通信を行う。なお、データ収集システム3は、端末装置1から収集した計量結果を集約してMDMS4へ送信したり計量結果の収集などのために端末装置1および集約装置2を制御したりする機能も有するがこれらの動作については一般的なデータ収集システム3と同様であるため、これらの動作に関する機能部の図示と説明を省略する。
通信部31は、集約装置2から、集約装置2の識別情報と集約装置2に接続される端末装置1の台数とを示す情報を受信し、受信した情報を情報記憶部32へ集約装置情報として格納する。また、通信部31は、集約装置2を介して、各端末装置1に関する情報である端末装置情報を受信し、受信した端末装置情報を情報記憶部32へ格納する。
集約装置情報には、集約装置2の収容可能な端末装置1の台数の上限値までの余裕を示す収容余裕度も含まれる。収容余裕度は、余裕度監視部33によって、各集約装置2に接続されている台数に基づいて算出されてもよいし、集約装置2が収容余裕度を算出して、データ収集システム3へ送信してもよい。収容余裕度は、接続する端末装置1の台数の上限値から現在接続されている端末装置1の数を引いた値の、上限値に対する比率を示す。上限値は集約装置2ごとにあらかじめ定められている。例えば、上限値が100台であり、集約装置2に接続されている台数が30台である場合、収容余裕度は70%である。端末装置情報の詳細については後述する。また、図2では図示を省略しているが、通信部31は、MDMS4など他の装置との間の通信も行う。
余裕度監視部33は、各集約装置2の収容余裕度を監視し、収容余裕度が閾値より低い集約装置を負荷分散対象装置として選択する。主副情報抽出部34は、負荷分散対象装置に接続される端末装置1の主副情報に基づいて、負荷分散対象装置に接続される端末装置1のうち、負荷分散対象装置を主集約装置として設定している端末装置1を抽出する。収容余裕度が閾値より低い集約装置2に接続されている端末装置1の主副情報を参照して、当該集約装置2が主集約装置として設定されている端末装置1を抽出する。主副情報は、負荷分散対象装置に接続される端末装置1から取得した情報であって端末装置1が設定している主集約装置および副集約装置を示す。主副情報は、端末装置情報の一部である。
端末装置選択部35は、主副情報抽出部34により抽出された端末装置1のなかから、端末装置1が副集約装置として設定している集約装置2の収容余裕度に基づいて、接続する集約装置2の切替対象となる切替対象装置を選択する。切替指示部36は、切替対象装置へ、接続する集約装置2を主集約装置と副集約装置との間で切替えることを指示する。詳細には、切替指示部36は、端末装置選択部35によって選択された端末装置1へ、通信部31を介して、主副切替指示を送信する。主副切替指示は、端末装置1が接続する集約装置2の主副を切替えることを示す指示である。端末装置1は、主集約装置と接続中の場合には、接続する集約装置2を副集約装置に切替え、副集約装置と接続中の場合には、接続する集約装置2を主集約装置に切替える。
表示部37は、マルチホップネットワークにおける接続状態を表示したり、各機能部により算出された結果などを表示したりする。
データ収集システム3は、具体的には、計算機システム、すなわちコンピュータである。この計算機システム上でデータ収集システム3が実行する処理が記述されたデータ収集処理プログラムが実行されることにより、データ収集システム3として機能する。データ収集処理プログラムは、本実施の形態の通信経路制御方法を実現するための通信経路制御プログラムを含む。
図3は、本実施の形態のデータ収集システム3を実現する計算機システムの構成例を示す図である。図3に示すように、この計算機システムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
図3において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。制御部101は、本実施の形態の通信経路制御プログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、計算機システムのユーザーが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータなどを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、計算機システムのユーザーに対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する通信回路などである。通信部105は、複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信回路で構成されていてもよい。出力部106は、プリンタ、外部記憶装置などの外部の装置へデータを出力する出力インタフェイスである。なお、図3は、一例であり、計算機システムの構成は図3の例に限定されない。
ここで、本実施の形態の通信経路制御プログラムが実行可能な状態になるまでの計算機システムの動作例について説明する。上述した構成をとる計算機システムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMドライブまたはDVD-ROMから、通信経路制御プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、通信経路制御プログラムの実行時に、記憶部103から読み出された通信経路制御プログラムが記憶部103に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態のデータ収集システム3としての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、データ収集システム3における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、計算機システムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
図2に示した余裕度監視部33、主副情報抽出部34、端末装置選択部35および切替指示部36は、図3の制御部101により実現される。図2に示した情報記憶部32は、図3に示した記憶部103の一部である。図2に示した通信部31は、図3に示した通信部105により実現される。図2に示した表示部37は、図3に示した表示部104により実現される。
次に、本実施の形態の動作について説明する。図4は、本実施の形態の通信経路制御方法の概念を説明するための図である。図4では、集約装置2-1~2-4と、集約装置2-1に接続されている端末装置1-1~1-16とが図示されている。集約装置2-1~2-4と、集約装置2-1に接続されている端末装置1-1~1-16との図4における位置は、厳密な地理的な位置を示しているわけではないが、おおよその地理的な位置に基づいている。したがって、集約装置2-1~2-4は、互いに近隣に存在する集約装置である。
集約装置2-1,2-2,2-3,2-4の識別情報をそれぞれA,B,C,Dとする。図4において、端末装置1-1~1-16を示す矩形のなかには、端末装置1-1~1-16のそれぞれの主集約装置および副集約装置を「主集約装置の識別情報/副集約装置の識別情報」の形式で示している。たとえば、端末装置1-1は、主集約装置が識別情報Aの集約装置2-1であり、副集約装置が識別情報Dの集約装置2-4である。主集約装置および副集約装置は、各端末装置1-1~1-16が、通信システムの参入時などに、経路探索により決定してこれらを示す情報を保持している。また、各端末装置1-1~1-16は、通信システムへの参入時だけでなく、経路探索を通信障害時、データ収集システム3から指示された定期的なタイミングなどに行い、主集約装置および副集約装置の情報を更新することもある。
図4に示した例では、端末装置1-2,1-4,1-8は、集約装置2へ直接データを送信する。端末装置1-1,1-3は、端末装置1-2を介して集約装置2へデータを送信する。端末装置1-5,1-9は、端末装置1-4を介して集約装置2へデータを送信する。端末装置1-7,1-11は、端末装置1-6、端末装置1-5および端末装置1-4を介して集約装置2へデータを送信し、端末装置1-6は、端末装置1-5および端末装置1-4を介して集約装置2へデータを送信する。端末装置1-10は、端末装置1-9、および端末装置1-4を介して集約装置2へデータを送信する。端末装置1-13は、端末装置1-12および端末装置1-8を介して集約装置2へデータを送信し、端末装置1-12は、端末装置1-8を介して集約装置2へデータを送信する。端末装置1-15,1-16は、端末装置1-14、端末装置1-12および端末装置1-8を介して集約装置2へデータを送信し、端末装置1-14は、端末装置1-12および端末装置1-8を介して集約装置2へデータを送信する。なお、以下、説明の簡略化のため、識別情報Aの集約装置2-1、識別情報Bの集約装置2-2、識別情報Cの集約装置2-3、識別情報Dの集約装置2-4をそれぞれ集約装置A、集約装置B、集約装置C、集約装置Dとも呼ぶ。
図4に示すように、端末装置1-2,1-4,1-5,1-8,1-9,1-12,1-14は、主集約装置が集約装置Aであり、副集約装置が集約装置Bである。端末装置1-15は、主集約装置が集約装置Bであり、副集約装置が集約装置Aである。端末装置1-10,1-13は、主集約装置が集約装置Aであり、副集約装置が集約装置Cである。端末装置1-16は、主集約装置が集約装置Cであり、副集約装置が集約装置Aである。端末装置1-1,1-3,1-6,1-11は、主集約装置が集約装置Aであり、副集約装置が集約装置Dである。端末装置1-7は、主集約装置が集約装置Dであり、副集約装置が集約装置Aである。
このように、各端末装置1は、自律的に主集約装置および副集約装置を探索して、主集約装置および副集約装置を保持している。経路の探索時には、電波の強度などに応じて選択する経路が決定され、かつホップ数に上限があるので、一般には、主集約装置および副集約装置ともに、端末装置1に近いものが設定される。本実施の形態では、このように、端末装置1が自律的にすでに探索済みの主集約装置および副集約装置を用いて、収容余裕度が閾値未満となった集約装置2に接続されている端末装置1を、副集約装置に接続するよう指示することで、集約装置2の負荷を分散させる。各端末装置1は、集約装置2の負荷の分散のために経路の探索を行う必要はなく、単に保持している情報を用いて接続先の集約装置2を切り替えるだけでよい。これにより、トラフィックを抑制して集約装置2の負荷を分散させることができる。また、データ収集システム3は、端末装置1の副集約装置の情報を参照して、負荷を分散させるべき集約装置2の近隣にどの集約装置2があるかを把握しているので、各集約装置2の地理的な位置関係を地図情報を用いる必要もなく、集約装置2に近い集約装置2を算出する処理も不要である。
図5は、図4に示した接続状態における集約装置情報の一例を示す図である。上述したように集約装置情報は、集約装置2の識別情報(集約装置識別情報)、接続する端末装置1の台数、収容余裕度を含む。情報記憶部32には、図5に示すように、集約装置2ごとに、これらの情報が格納される。集約装置2は、例えば、定期的にまたは情報に変更があったときに、集約装置2の識別情報と接続する端末装置1の台数とを示す情報をデータ収集システム3へ送信する。ここでは、余裕度監視部33が、集約装置2から送信された、接続する端末装置1の台数に基づいて収容余裕度を算出して、集約装置情報に収容余裕度を付加するとして説明するが、収容余裕度は集約装置2で算出されて集約装置2からデータ収集システム3へ送信されてもよい。なお、図5に示した例では、説明を簡略化するために、集約装置2-1の収容する端末装置1の上限値を17台とし、集約装置2-2~2-4の収容する端末装置1の上限値を20台としているが、上限値はこの例に限定されず、一般にはもっと大きな数値である。
図5に示した例では、集約装置A,B,C,Dの収容余裕度は、それぞれ5.9%、50%、40%、30%である。ここで、収容余裕度に関する閾値を10%とすると、図5に示した例では、集約装置Aの収容余裕度が閾値より低いことになる。収容余裕度が低い集約装置2は、集約装置2の処理能力の限界に近づいているため、集約装置2に接続される端末装置1を減らして負荷を分散させることが望ましい。本実施の形態では、このような場合に、データ収集システム3が、収容余裕度が低い集約装置2に接続する端末装置1の一部を、近隣に存在する他の集約装置2に接続するよう主副切替指示を送信する。このとき、データ収集システム3は、収容余裕度が低い集約装置2に接続する端末装置1のホップ数と、副集約装置の情報とを参照して、ホップ数が多くかつ副集約装置の収容余裕度が高い端末装置1を優先して、主副切替指示の送信対象として選択する。
図6は、図4に示した接続状態における端末装置情報の一例を示す図である。図6に示すように、端末装置情報は、端末装置1の識別情報(端末装置識別情報)、接続先集約装置、主集約装置、副集約装置および経路情報を含む。端末装置1の識別情報、接続先集約装置、主集約装置および副集約装置の各情報は、各端末装置1から送信される。端末装置1から送信された情報が、集約装置2に到着するまでに他の端末装置1で転送される場合、転送した端末装置1が自身の識別情報を、この情報に付加していく。これにより、集約装置2は、各端末装置1の経路情報を取得することができる。データ収集システム3は、集約装置2から、端末装置1の識別情報、接続先集約装置、主集約装置、副集約装置および経路情報を取得する。なお、ここでは、端末装置1-1の識別情報を1とし、端末装置1-2の識別情報を2とするといったように、端末装置の符号の枝番号を、各端末装置の識別情報とする。なお、図4では、集約装置Aに接続される端末装置1のみを図示しているが、集約装置B,C,Dにも一般には、端末装置1が接続されている。したがって、端末装置情報には、図6に示すように、集約装置Bに接続されている端末装置1などの情報も含まれる。
図4と図5を参照すると、集約装置Aの近隣に存在する集約装置B,C,Dのうち、集約装置Bが、収容余裕度が最も高い。データ収集システム3は、集約装置Aに接続している端末装置1の端末装置情報の副集約装置を参照することにより、集約装置Aの近隣に集約装置B,C,Dが存在することがわかる。したがって、データ収集システム3は集約装置Aに接続している端末装置1のうち、副集約装置として集約装置Bを設定している端末装置1を優先して集約装置Bへ接続させるようにすると、集約装置2間の負荷を分散させることができる。また、このとき、ホップ数が少ない端末装置1を別の集約装置2へ接続させるように接続の切替を行うと、他の端末装置1への影響が大きくなると予想されるので、ホップ数の多い端末装置1を優先して接続の切替を行う。ホップ数は、経路情報から求めることができる。
例えば、図4に示した端末装置1-1~1-16のうち、ホップ数が最も多いのは、端末装置1-11である。端末装置1-11が副集約装置として設定している集約装置Dは、収容余裕度が30%であり閾値以上であるため、データ収集システム3は、端末装置1-11を、まず、主副切替を行う対象として選択する。次に、ホップ数が多いのは、端末装置1-6,1-10,1-13,1-14である。これらを、副集約装置として設定している集約装置2の収容余裕度の高い順にならべると、端末装置1-14,1-10,1-13,1-6である。したがって、データ収集システム3は、集約装置Aに接続する端末装置1の数が目標の接続台数となるまで、端末装置1-14,1-10,1-13,1-6の順に、主副切替を行う対象として選択する。目標の接続台数は、負荷の高い集約装置2に接続する端末装置1を減らす場合に、当該集約装置2に接続する端末装置1の台数をどの程度まで減らせばよいかを示す数値である。例えば、上限値の70%を目標の接続台数とすると、集約装置Aの場合は、目標の接続台数は11.9台となるので、現在接続されている端末装置1の数が16台であることから5台減らせばよい。
次に、本実施の形態のデータ収集システム3における動作の詳細について説明する。図7は、本実施の形態の通信経路制御の全体処理手順を示すフローチャートである。図7に示した処理は、例えば、一日に1回行われる。また、集約装置2が新たに追加されるなど通信システム内の構成に変化があったときも図7に示した処理が行われてもよい。図7に示した処理が行われるタイミングはこの例に限定されない。図7に示すように、まず、余裕度監視部33が、平準化対象の集約装置(以下、対象CCとも呼ぶ)、すなわち負荷分散対象装置を選定する(ステップS1)。
次に、主副情報抽出部34が、対象CCが収容する端末装置1から、対象CCが主集約装置に設定されている端末装置1を抽出する(ステップS2)。すなわち、主副情報抽出部34は、対象CCが収容する端末装置1のうち主集約装置に接続している端末装置1を抽出する。次に、端末装置選択部35が、主副情報抽出部34によって抽出された端末装置1のなかから、切替対象の端末装置1を選択する(ステップS3)。切替対象の端末装置1とは、接続する集約装置の主副の切替えの対象となる端末装置である。次に、切替指示部36が、端末装置選択部35により選択された端末装置1へ主副切替指示を、通信部31を介して送信する(ステップS4)。
次に、図7に示した各ステップの詳細な動作について説明する。図8は、図7のステップS1の処理である、対象CCの選定処理手順の一例を示すフローチャートである。余裕度監視部33は、集約装置情報を参照し、全集約装置2の一覧リストを生成する(ステップS11)。詳細には、余裕度監視部33は、情報記憶部32に格納されている集約装置情報を参照し、集約装置情報に記憶されている集約装置2の識別情報を抽出することにより、全集約装置2の一覧を示す一覧リストを生成する。
余裕度監視部33は、一覧リストのなかから、一台の集約装置2を選択し(ステップS12)、選択した集約装置2の収容余裕度を取得する(ステップS13)。ステップS13では、詳細には、余裕度監視部33は、情報記憶部32に格納されている集約装置情報を参照し、選択した集約装置2の収容余裕度を抽出する。
次に、余裕度監視部33は、取得した収容余裕度が閾値より低いか否かを判断する(ステップS14)。収容余裕度が閾値より低い場合(ステップS14 Yes)、余裕度監視部33は、当該集約装置を平準化対象リストに記憶し(ステップS15)、一覧リストの全ての集約装置2を評価したか、すなわち一覧リストの全ての集約装置2に関してステップS13,S14を実施したか否かを判断する(ステップS16)。なお、ステップS15では、詳細には、一覧リストには、集約装置2の識別情報が記憶される。以下、各リストに各装置が記憶されると記載した場合、詳細には、各リストに各装置の識別情報が記憶されることを意味する。一覧リストの全ての集約装置2を評価した場合(ステップS16 Yes)、余裕度監視部33は、対象CCの選定処理を終了する。余裕度監視部33は、対象CCの選定処理を終了すると、主副情報抽出部34、端末装置選択部35および切替指示部36へ、平準化対象リストを渡す。
ステップS14で、収容余裕度が閾値以上の場合(ステップS14 No)、余裕度監視部33は、処理をステップS16へ進める。また、ステップS16で、一覧リストのうち評価していない集約装置2がある場合(ステップS16 No)、余裕度監視部33は、処理をステップS12へ戻し、ステップS12からの処理を繰り返す。2回目以降のステップS12では、余裕度監視部33は、一覧リストのなかから、未だ選択されていない集約装置2を選択する。
図9は、図7のステップS2の処理である、対象CCを主集約装置に設定している端末装置1の抽出処理手順の一例を示すフローチャートである。主副情報抽出部34は、平準化対象リストから一台の集約装置2を選択する(ステップS21)。主副情報抽出部34は、選択した集約装置2と接続している端末装置1を抽出する(ステップS22)。詳細には、主副情報抽出部34は、情報記憶部32に記憶されている端末装置情報を参照して、接続先集約装置が、ステップS21で選択した集約装置2となっている端末装置1を抽出する。主副情報抽出部34は、抽出した端末装置1から1つを選択する(ステップS23)。
次に、主副情報抽出部34は、選択した端末装置1の主副情報を取得する(ステップS24)。詳細には、主副情報抽出部34は、情報記憶部32に記憶されている端末装置情報から、選択した端末装置1の主集約装置および副集約装置を示す情報を取得する。
次に、主副情報抽出部34は、端末装置1が接続中の集約装置2が主集約装置であるか否かを判断する(ステップS25)。詳細には、主副情報抽出部34は、ステップS23で選択した端末装置1の主集約装置が、ステップS21で選択した集約装置2であるか否かを判断する。
端末装置1が接続中の集約装置2が主集約装置である場合(ステップS25 Yes)、主副情報抽出部34は、当該端末装置1を、接続中の集約装置2ごとの切替候補リストに記憶する(ステップS26)。切替候補リストは、接続先の集約装置2を切替える端末装置1の候補を示すリストであり、主副情報抽出部34が集約装置2ごとに保持する。
次に、主副情報抽出部34は、抽出した端末装置1を全て評価したか否かを判断する(ステップS27)。詳細には、主副情報抽出部34は、ステップS22で抽出した端末装置1の全てに関して、ステップS24,S25の処理を行ったか否かを判断する。抽出した端末装置1を全て評価した場合(ステップS27 Yes)、主副情報抽出部34は、平準化対象リストの全ての集約装置2を処理したか否かを判断する(ステップS28)。詳細には、主副情報抽出部34は、平準化対象リストの全ての集約装置2をステップS21で選択済であるか否かを判断する。平準化対象リストの全ての集約装置2を処理した場合(ステップS28 Yes)、主副情報抽出部34は、主集約装置に接続している端末装置1の抽出処理を終了する。主副情報抽出部34は、主集約装置に接続している端末装置1の抽出処理を終了すると、切替候補リストを端末装置選択部35へ渡す。
ステップS25で、端末装置1が接続中の集約装置2が主集約装置でない場合(ステップS25 No)、主副情報抽出部34は、処理をステップS27へ進める。ステップS27で、抽出した端末装置1のうち評価していない端末装置1がある場合(ステップS27 No)、主副情報抽出部34は、ステップS23からの処理を再び実施する。ステップS21で選択されている集約装置2に関する2回目以降のステップS23では、主副情報抽出部34は、当該集約装置2に関してステップS22で抽出された端末装置1のうち、未だ選択されていない端末装置1を選択する。ステップS28で、平準化対象リストのうち処理していない集約装置2がある場合(ステップS28 No)、主副情報抽出部34は、ステップS21からの処理を再び実施する。2回目以降のステップS21では、主副情報抽出部34は、平準化対象リストのうち未だ選択されていない集約装置2を選択する。
図10は、図7のステップS3の処理である、切替対象の端末装置の選択処理手順の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、端末装置選択部35は、まず、平準化対象リストから一台の集約装置2を選択する(ステップS31)。
次に、端末装置選択部35は、選択した集約装置2の切替候補リスト内の端末装置1をホップ数が多い順にソートし、同一ホップ数の端末装置をさらに副集約装置の収容余裕度が高い順にソートする(ステップS32)。詳細には、端末装置選択部35は、情報記憶部32の端末装置情報を参照し、選択した集約装置2の切替候補リスト内の各端末装置1のホップ数を求める。そして、切替候補リスト内の端末装置1をホップ数が多い順にソートする。さらに、端末装置選択部35は、情報記憶部32の端末装置情報を参照し、ホップ数が同一の端末装置1の副集約装置を取得する。端末装置選択部35は、情報記憶部32の集約装置情報を参照し、取得した副集約装置の収容余裕度を取得し、ホップ数が同一の端末装置1を収容余裕度の高い順にソートする。
次に、端末装置選択部35は、ソート後の切替候補リストから、リストの順に、副集約装置の収容余裕度が閾値以上の端末装置1を1台選択する(ステップS33)。次に、端末装置選択部35は、選択した端末装置1を切替対象リストに記憶する(ステップS34)。端末装置選択部35は、切替対象リストの件数すなわち端末装置1の台数が目標の切替台数に到達したか否かを判断する(ステップS35)。目標の切替台数は、接続する集約装置2を切替える端末装置1の台数の目標値であり、目標の接続台数と現在接続している端末装置1の数とによって決まる。具体的には、現在接続している端末装置1の数から、目標の接続台数を減じた値が、目標の切替台数である。
切替対象リストの件数が目標の切替台数に到達した場合(ステップS35 Yes)、端末装置選択部35は、切替対象の端末装置の選択処理を終了する。端末装置選択部35は、切替対象の端末装置の選択処理を終了すると、切替対象リストを切替指示部36へ渡す。切替対象リストの件数が目標の切替台数に到達していない場合(ステップS35 No)、端末装置選択部35は、切替候補リスト内の端末装置1を全て評価したか否かを判断する(ステップS36)。切替候補リスト内の端末装置1を全て評価した場合(ステップS36 Yes)、端末装置選択部35は、平準化対象リストの全ての集約装置2を処理したか否かを判断する(ステップS37)。平準化対象リストの全ての集約装置2を処理した場合(ステップS37 Yes)、端末装置選択部35は、切替対象の端末装置の選択処理を終了する。端末装置選択部35は、切替対象の端末装置の選択処理を終了すると、切替対象リストを切替指示部36へ渡す。
ステップS36で、切替候補リスト内の端末装置1のうち評価していない端末装置1がある場合(ステップS36 No)、端末装置選択部35は、ステップS33からの処理を再び実施する。ステップS31で選択されている集約装置2に関する2回目以降のステップS33では、端末装置選択部35は、当該集約装置2に関する切替候補リスト内の端末装置1のうち、ステップS33で未だ選択されていない端末装置1を選択する。ステップS37で、平準化対象リストのうち処理していない集約装置2がある場合(ステップS37 No)、端末装置選択部35は、ステップS31からの処理を再び実施する。2回目以降のステップS31では、端末装置選択部35は、平準化対象リストのうち未だ選択されていない集約装置2を選択する。
例えば、集約装置2の収容する端末装置1の台数の上限値が100台であり、この集約装置2に92台の端末装置1が接続されており、収容余裕度の閾値が10%であったとする。このとき、この集約装置2は、収容余裕度が10%より低いため、平準化対象リストに記憶される。そして、この集約装置2に対応する切替候補リスト内の端末装置1のうちホップ数が最も多い端末装置1のホップ数が10であり、切替候補リスト内にはホップ数が10の端末装置1が10台、ホップ数が9の端末装置1が20台記憶されているとする。この場合、まず、ステップS32では、ホップ数が10の10台の端末装置1が切替候補リストの最上部に配置され、次にホップ数が9の20台の端末装置1が、切替候補リストに配置される。さらに、ホップ数が10の10台の端末装置1は、端末装置1の副集約装置の収容余裕度の高い順にソートされて、切替候補リストに記憶される。目標の切替台数が、10台以下であれば、ホップ数が10の端末装置1のなかから、端末装置1の副集約装置の収容余裕度の高い順に、主副の切替対象となる端末装置1が切替対象リストに記憶される。ただし、副集約装置の収容余裕度が閾値より低い端末装置1については切替対象リストに記憶しない。また、目標の切替台数が、10台より多い場合には、ホップ数が10の端末装置1に加えて、さらに、ホップ数が9の端末装置1のなかから、端末装置1の副集約装置の収容余裕度の高い順に、主副の切替対象となる端末装置1が選択される。このような動作が繰り返されて、目標の切替台数となるまで、主副の切替対象となる端末装置1が選択される。
なお、上述した例では、端末装置選択部35は、切替候補リスト内の端末装置1を、ホップ数の多い順にソートした後に、端末装置1の副集約装置の収容余裕度の高い順にソートするようにしたが、切替対象の端末装置1の選択順は、この例に限定されない。例えば、端末装置選択部35は、切替候補リスト内の端末装置1を、ホップ数の多い順にソートした後に、副集約装置の収容余裕度が閾値以上という条件を満たせば、ソート順に端末装置1を切替候補リストに記憶してもよい。また、例えば、端末装置選択部35は、切替対象リスト内の端末装置1のうちホップ数が定められた値以上のものを抽出し、抽出した端末装置1を副集約装置の収容余裕度の高い順にソートし、ソートした順に端末装置1を切替対象の端末装置1として選択してもよい。また、この場合も、副集約装置の収容余裕度が閾値より低い端末装置1は切替対象から除外する。なお、ここでは、副集約装置の収容余裕度が閾値より低い端末装置1は切替対象から除外する例を説明したが、この除外は行わなくてもよい。これは、当該集約装置2に関しても平準化対象リスト内に記憶されており、接続する端末装置1を減らす処理が行われるからである。
図11は、図7のステップS4の処理である、主副切替指示の送信処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、切替指示部36が、まず、平準化対象リストから一台の集約装置2を選択する(ステップS41)。次に、切替指示部36は、選択した集約装置2の切替対象リストから一台の端末装置を選択する(ステップS42)。切替指示部36は、通信部31を介して、選択した端末装置1に主副切替指示を送信する(ステップS43)。主副切替指示を受信した端末装置1は、現在設定されている副集約装置を主集約装置に設定し、現在設定されている主集約装置を副集約装置に設定する。これにより、端末装置1の接続先の集約装置2が切替えられる。
切替指示部36は、切替対象リスト内の全ての端末装置1に切替指示を送信したか否かを判断する(ステップS44)。切替対象リスト内の全ての端末装置1に切替指示を送信した場合(ステップS44 Yes)、切替指示部36は、平準化対象リストの全ての集約装置2を処理したか否かを判断する(ステップS45)。平準化対象リストの全ての集約装置2を処理した場合(ステップS45 Yes)、切替指示部36は、主副切替指示の送信処理を終了する。
ステップS44で、切替対象リスト内の端末装置1のうち切替指示を送信していない端末装置1がある場合(ステップS44 No)、切替指示部36は、ステップS42からの処理を再び実施する。ステップS41で選択されている集約装置2に関する2回目以降のステップS42では、切替指示部36は、当該集約装置2に関する切替対象リスト内の端末装置1のうち、ステップS42で未だ選択されていない端末装置1を選択する。ステップS45で、平準化対象リストのうち処理していない集約装置2がある場合(ステップS45 No)、切替指示部36は、ステップS41からの処理を再び実施する。2回目以降のステップS41では、切替指示部36は、平準化対象リストのうち未だ選択されていない集約装置2を選択する。
以上の処理により、本実施の形態のデータ収集システム3は、収容余裕度が閾値より低い集約装置2に接続される端末装置1のうち各経路の末端に近く、かつ副集約装置の収容余裕度が高いものから優先して、接続する集約装置2を切替えさせることができる。なお、上述した処理により集約装置2を切替えた端末装置1が、下位の端末装置1から送信されたデータを、切替え前の集約装置2に転送していることもある。例えば、図4に示した例で、端末装置1-6に主副切替指示が送信され、端末装置1-6が接続する集約装置2を集約装置Aから集約装置Dに切替えたとする。端末装置1-7は、主副切替指示を受信していないため、集約装置Aと接続しようとするが、端末装置1-6は端末装置1-7へ集約装置Aへの転送が不可であることを通知する。これにより、端末装置1-7は、集約装置2への経路情報を有している近隣の端末装置1を探索して集約装置Aへの経路情報を得る。近隣に集約装置Aへの経路情報を持つ端末装置1が存在しなかったり、ホップ数が上限を超えたりする場合には、端末装置1-7は、集約装置Dとの接続を試みる。端末装置1-7は、通信障害などにより主集約装置である集約装置Dではなく副集約装置である集約装置Aと接続していたとしても、時間の経過により集約装置Dと通信が可能となっている場合もある。端末装置1-7は、集約装置Dと通信できなかった場合には、集約装置2を探索する探索処理を実施する。
このように、主副切替指示が送信された端末装置1より下位に端末装置1が存在すると、目標の切替台数以上の切替えが行われることもあるが、本実施の形態では、厳密に集約装置2の接続台数を管理して平準化するのではなく、負荷が集中している集約装置2の負荷を抑制できればよいので、目標の切替台数と実施の切替台数が多少異なっていても問題ない。
また、以上述べた例では、収容余裕度が閾値より低い集約装置2に接続され、かつ当該集約装置2を主集約装置に設定している端末装置1のなかから、切替対象の端末装置1を選択した。これに限らず、収容余裕度が閾値より低い集約装置2に接続され、かつ当該集約装置2を副集約装置に設定している端末装置1についても、切替対象の端末装置1に含めてもよい。例えば、上述した処理により、切替対象の端末装置1を選択しても、目標の切替台数に到達しない集約装置2がある場合には、さらに、当該集約装置2を副集約装置に設定している端末装置1のなかから同様に切替対象の端末装置1を選択してもよい。副集約装置と接続している端末装置1は、主集約装置と通信障害が生じた可能性があるが、通信障害が復活している可能性もあるためである。もし、当該集約装置2を副集約装置に設定している端末装置1が主副切替指示を受信して、接続する集約装置2を切替えた後に、切替え後の集約装置2と接続できない場合には、端末装置1は、再度、主副を切替える。
次に、本実施の形態の表示部37における表示画面の例について説明する。表示部37は、データ収集システム3が保持している情報、データ収集システム3が算出した情報などを表示可能である。例えば、表示部37は、情報記憶部32に格納されている集約装置情報および端末装置情報に基づいて、集約装置2に端末装置1をツリー状に示す経路ツリーを表示することができる。
図12は、本実施の形態の表示部37により表示される表示画面の一例を示す図である。図12において、SMは、端末装置1を示し、CCは、集約装置2を示す。図12に示した例では、表示画面の左側に経路ツリーが「CC・SM接続ツリー」として示され、右側に各端末装置1の主副情報が「主CC・副CC一覧」として示されている。経路ツリーは、各集約装置2に接続する端末装置1を示す。経路ツリーを表示する図12では、集約装置2および端末装置1がそれぞれ4台である例を示している。CCの末尾に付加されたA,B,C,Dは、集約装置2の識別情報(ID:IDentifier)を示し、SMの末尾に付加された1,2,3,4は、端末装置1の識別情報を示す。
また、図12に示すように、「CC・SM接続ツリー」では、集約装置2が収容余裕度によって色分けされている。すなわち、表示部37は、経路ツリーにおける集約装置2を当該集約装置2の収容余裕度に応じて色分けして表示する。図12では、ハッチングの違いで色の違いを示している。このように収容余裕度を色分けして示すことにより、ユーザーがどの集約装置2の負荷が高いかを視認することができる。なお、収容余裕度の表示方法は、色分けに限定されず、収容余裕度自体を表示してもよいし、表示する図形の形状の違いなどで示してもよい。また、収容余裕度が閾値より低い集約装置2を強調表示するようにしてもよい。この強調表示は、上述した色分けの一部としてなされてもよいし、色分けとは別になされてもよい。なお、図12では、図の簡略化のため1ホップで接続される端末装置1だけが集約装置2に接続される例を示しているが、一般には各端末装置1の下にはさらに端末装置1が接続される。
図12に示した例では、識別情報がCである集約装置2に、識別情報がそれぞれ1,2,3である3台の端末装置1が接続されている。そして、識別情報がCである集約装置2が、収容余裕度が低い状態である。ここでは、識別情報がCである集約装置2の収容余裕度が閾値より低く、上述した本実施の形態の通信経路制御処理により、識別情報がCである集約装置2が平準化対象リストに追加されて、識別情報がCである集約装置2に接続される端末装置1の一部に主副切替指示が送信されたとする。
図13は、主副切替指示が送信された後に、表示部37により表示される表示画面の一例を示す図である。図13に示した例では、図12に示した状態の後、通信経路制御処理により識別情報がCである集約装置2に接続される端末装置1の一部に主副切替指示が送信された後の状態が表示されている。図13に示すように、識別情報がCである集約装置2に接続されていた識別情報がそれぞれ1,2,3である3台の端末装置1のうち、識別情報が1の端末装置1は識別情報がAの集約装置2に接続先が切替えられており、識別情報が2の端末装置1は識別情報がBの集約装置2に接続先が切替えられている。ユーザーは、表示画面の領域201を確認することで、接続状態が変更されることにより集約装置2の負荷が平準化されたことを把握することができる。また、ユーザーは、表示画面の領域202を確認することで、各端末装置1の主副情報が変更されたことを把握することができる。
端末装置1が密集する場合、近隣の集約装置2の全てが、収容余裕度が閾値より低くなることなども考えられる。このような場合には、本実施の形態の通信経路制御方法を適用しても、端末装置1の接続先の集約装置2を切替えることができないことも考えられる。このようなときには、表示部37が図12、図13で例示した表示画面を表示することにより、ユーザーは、長期間収容余裕度が高いままとなっている集約装置2を把握することができるため、この地域に優先して新たな集約装置2を設置するよう手配することができる。また、収容余裕度が閾値より低いままとなっている集約装置2が存在する場合に、表示部37がその旨を表示してもよい。
以上のように本実施の形態では、データ収集システム3が、収容余裕度が閾値より低い集約装置2を検出すると、当該集約装置2に接続される端末装置1が保持する主副情報を用いて、接続する集約装置2を切替える端末装置1を選択し、選択した端末装置1へ主副切替指示を送信するようにした。これにより、トラフィックを抑制して集約装置2の負荷分散を行うことができる。また、データ収集システム3は、端末装置1が保持する主副情報を用いて、副集約装置の収容余裕度の高いものを優先して主副切替指示の送信対象として選択するので、効果的な負荷分散を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。