以下、本明細書で使用される用語の定義を提供する。
180°逆パルス 組織領域におけるスピンを反転させて、MR信号をリフォーカスすることができるようにするRFパルス。
180°パルス 正味の磁場ベクトルをB0に対して逆平行に傾けるRFパルス
90°パルス 正味の磁場ベクトルをB0に対する横断面に傾けるRFパルス
3T 3テスラ
A/D アナログ・ディジタル変換器
AD アルツハイマー病
ADC 拡散強調画像法で測定された平均拡散係数
断熱パルス励起 断熱パルスは、6つの不均質性及び周波数オフセット効果に対して比較的感度の低い、振幅及び周波数変調されたRFパルスの種類である。
ASL 動脈スピン標識
AWGN 加法性白色ガウス雑音加法性白色ガウス雑音(AWGN)は、自然に発生する多くのランダム処理の効果を擬態するために情報理論において使用される基本雑音モデルである。
BPH 良性前立腺肥大症
生検 生検は、より詳しく検査するために体から採取された組織のサンプルである。
BOLD 血液内酸素レベル依存
C/N コントラスト対ノイズ、信号レベル全体ではなく、構造要素間の信号の違いに基づく画質の測定値
CAWGN 複素数値加法性白色ガウス雑音
CBF 脳血流
化学シフト MR信号に寄与する核の異なる分子環境に起因する、MR共振周波数のわずかな変化。
CJD クロイツフェルト・ヤコブ病
クラッシャー傾斜 パルスの不完全性によって生成されるスプリアス信号を減少させるために、180°RFリフォーカススライス選択パルスの両側に適用された傾斜。
CSF 脳脊髄液
CVD 脳血管疾患
DCE ダイナミックコントラスト強調
DEXA 二重エネルギーX線吸収法は、2つの異なるエネルギーのX線ビームを使用して骨塩量密度を測定する手段である。
DSC 動的磁化率コントラスト
DTI 拡散テンソル画像法
DWI 拡散強調画像法
エコー 90°励起パルスに180°リフォーカスパルスが続いて、エコー時に場の不均質性及び化学シフトの影響をなくす、RFパルスシーケンス。
周波数エンコード MRIにおける空間位置の周波数エンコーディングが、機械傾斜コイルによって誘発される補助的磁場を使用することによって達成される
ガウス雑音 ガウス雑音は、ガウス分布としても公知の正規分布の確率密度関数と等しい確率密度関数(PDF)を有する統計ノイズである。
傾斜パルス k値のエンコードを変更するための機械磁場傾斜のパルシング
傾斜セット 信号を空間的にエンコードするために、又は選択した方向に特定の位相ラップを設定するために、主に使用されるMRスキャナのボアの周りのコイルの組
GRE 傾斜リコールドエコー
インターリーブ取得 単一のTR内で連続的に励起される多数のVOIからの信号取得
アイソクロマット(Isochromat) 同じ周波数で共振する微視的スピン群。
k空間 MR画像の2次元又は3次元のフーリエ変換。
k値係数 フーリエ級数におけるそれぞれの特定のk値の相対荷重を反映するフーリエ級数又は変換の係数。
k空間 MR画像の2次元又は3次元のフーリエ変換。
k値 テクスチャー場にある構造要素のスペーシングを反映するk空間内の点の1つ。
k値選択パルス サンプリングされた方向に沿って特定のk値エンコードを選択するために使用される傾斜パルス
k空間値のライブラリー 組織の特徴付けのために組織の特定の領域において取得されたk空間係数の正味の集まり
機械傾斜 MRスキャナにおいて傾斜コイルの組を使用することによって課すことができる磁場傾斜
MRE 磁気共鳴エラストグラフィ - 音響せん断波を使用し、且つMRIを使用してそれらの伝播を画像化して、軟組織のスティフネスを測定する画像化技術。
MRI 磁気共鳴画像法
MRS 磁気共鳴スペクトロスコピー
MS 多発性硬化症
MTI 磁化移動画像法
ノイズフロア 信号の理論上、ノイズフロアは、ノイズ源の全てと測定システム内にある不要な信号との和から生じた信号の測定である
NMR 核磁気共鳴
PET 陽電子放射断層撮影法は、陽電子放射性の放射性トレーサを使用して体内の機能プロセスの三次元画像を生じる機能的画像化技術である。
位相コヒーレンス(空間的) 共通のVOI内での複数の測定値又は複数のk値に言及するとき、サンプルが測定基準系に対して同じ位置を有することを示す
位相エンコード 横方向磁化ベクトルに特定の位相角を与えるために位相エンコードが使用される。特定の位相角は、位相エンコーディング傾斜内の横方向磁化ベクトルの位置、傾斜の大きさ、及び傾斜適用の持続期間に依存する。
位相ラップ 位相エンコードされたサンプルに沿った横方向磁化の位相のヘリカル状摂動
ピッチ スクリューのピッチに関して、k値エンコードの方向に沿った位相ラップのタイトネス
プロファイル 信号強度の一次元プロット
RF 無線周波数電磁信号
半結晶質テクスチャー 1つ以上の方向に沿って規則的なスペーシングを示すテクスチャー
スライス(スラブ) 非ゼロの厚さの平面部を示すために区別せずに使用される
スライス選択的リフォーカシング RFパルスの帯域幅が傾斜の方向に沿って厚さを選択し、及びRFパルスが正味の磁化ベクトルをその平衡位置から傾けるような、スライス選択的傾斜とRFパルスとの組み合わせによる、スピンのリフォーカシング。RFパルスと同じ周波数で処理するスピンのみが影響を受ける。
SE スピンエコー
SNR 信号対雑音比
スポイラー傾斜 クラッシャー傾斜を参照
T2 原子又は分子レベルでの自然な相互作用から生じる横方向磁化の減衰に対する時定数と定義される。
T2* いずれかの実際のNMRの実験において、横方向磁化が、自然の原子及び分子機構によって予測されるよりも遥かに早く減衰する。この率は、T2*(「T2-アスタリスク」)で示される。T2*は、「観察された」又は「実効」T2とみなされ得るが、第1のT2は、撮像される組織の「自然の」又は「真の」T2とみなされ得る。T2*は、常に、T2以下である。
TBS 海綿骨スコアは、骨の健康を評価するために、DEXA信号中に骨の微細構造と相関させるためのテクスチャーパターンを探す技術である
TbTh 骨測定のための骨梁の厚さ。
TbSp 骨測定のための骨梁スペーシング。
TbN 骨測定のための骨梁数。
TE スピンエコーシーケンスは、2つのパラメータを有する。エコー時間(TE)は、90°RFパルスと、最大のエコーに対応するMR信号サンプリングとの間の時間である。180°RFパルスは、時間TE/2に適用される。繰り返し時間は、2つの励起パルス間の時間(2つの90°RFパルス間の時間)である。
テクスチャー周波数 テクスチャーにおける単位長さ当たりのテクスチャー波長の繰り返し数
テクスチャー波長 テクスチャーにおける構造要素間の特徴的なスペーシング
TR スピンエコーシーケンスは、2つのパラメータを有する。エコー時間(TE)は、90°RFパルスと、最大のエコーに対応するMR信号サンプリングとの間の時間である。180°RFパルスは、時間TE/2に適用される。繰り返し時間は、2つの励起パルス間の時間(2つの90°RFパルス間の時間)である。
ベクトル結合傾斜 傾斜コイルの組の任意のベクトル結合の結果生じる磁場傾斜
VOI 関心体積
窓関数 信号処理では、窓関数(アポディゼイション関数又はテーパリング関数としても公知)は、いくつかの選択した間隔外でゼロ値である数学的関数である
X線回折 X線回折は、結晶の原子及び分子構造を特定するために使用されるツールである。
本明細書で開示される実施形態は、微細な生物学的テクスチャーを、生体内で非侵襲的に高分解能測定及び評価することを可能にし、疾患の発症及びある範囲の病状の進行に応答するテクスチャー形成及び/又は変化の監視を可能にするMRベースの技術を提供する。この同じ方法は、他の生物系及び物理系における微細なテクスチャーの特徴付けに適用され得る。微細なテクスチャーのMRベースの分解能を、生体内画像法において以前には達成できなかったサイズスケールにすることができる。
標準的なMR「画像法」では、解剖学的構造又は器官の広範な領域の形態は、組織タイプ/器官毎にコントラストを誘発するパルスシーケンスを使用することによって撮像される。画像を得るために、信号は、個々のボクセルにわたって平均する必要があり、そのため、ボクセルのサイズが画像分解能を設定する。
この画像化は、例えば、画像中の器官の局所的な点に出現する腫瘍などの病変付近の組織コントラストに対して感度が高い。又は、画像は、器官が変化し、おそらく健康な器官に対して大きくなったことを示し得る。そのようなものとして、基本画像は、解剖学的構造であり、及び任意の局所的な病状は、この解剖学的画像に現れる。
3次元画像を取得するために、データ取得は、複数の空間的に隣接するスライスの取得、すなわち直接的な3次元データセットとしての取得によるものであり得る。実際には、2次元スライスが信号レベルの「マップ」であり、マップの個々のピクセルが個々のボクセルである。各ボクセルの信号レベルは、適用されるコントラスト機構に依存する。そのため、各ボクセルの相対的な信号レベルが画像を形成する。しかし、実際には、これは、ボクセルの明るさのマップであり、解剖学的構造の領域にわたって形態的変化を直接示すことを意図するとき、画像と呼ばれる。
代わりに、マッピングは、MR信号の明るさに影響を及ぼす間接的な量の表示を作成するものである。形態ではなく、見かけの拡散係数、又は部分異方性、又は器官のスティフネスなど、推測される組織の特性のマップである。そのようなものとして、マップされる量を作り上げるボクセル内の明るさは、「画像」も形成し、一般の慣習では、これは、マップと呼ばれる。そのようなマップは、同じ解剖領域からの画像と比較されることが多い。これは、例えば、画像中の例えば脳で明るく見える腫瘍領域をその領域内の拡散係数と比較できるようにする。
用語画像化及びマッピングは、本明細書の説明では交換可能に使用され、且つ必ずしも形態の「ピクチャー」画像の再生を試みずに、表示又は操作するための結果として生じるデータセットを指し得る。
方法は、本明細書では組織の検査に関する生物系について説明されるものの、製造における又は岩石の様々なタイプを特徴付けるための地質学における材料特性の測定など、ある範囲の産業目的における微細構造の評価と、微細構造/テクスチャーの測定が必要とされる他の使用法とに等しく適用可能である。
本明細書で開示される実施形態は、MRI分解能を制限する要因である対象の動きの影響が無視できるようになるほどに十分に高速で必須データを取得することにより、微細なテクスチャーの生体内分解能のこの著しい改善を達成する。この高速な取得は、複数のパルスが使用される場合、1つのTR内又は1つの励起パルス内において、インクリメントに - 単一の箇所、向きで及び一度に1つの又は選択された組又は範囲のk値で - データを取得することによって達成される。関心k値を選択するためにエンコーディング傾斜を適用した後、データは、傾斜をオフにして取得され、エンコードされたk値で信号を複数回繰り返し取得して、それに続いて電子雑音を減少させるために平均化できるようにし、従って動きによる不鮮明さが発生し得る前に個々のk値のロバストな測定を可能にする。組織内に存在するか、又は組織内のテクスチャースペーシングの連続スペクトルの発生に向けて、より大きい組の選択されたk値での測定を作り上げるために、TRの取得は、必要な回数繰り返され得、実空間及び必要なk空間の所望の範囲に広げるために必要に応じてエンコードを変更する。各TRから出力された1つ以上のk値で測定された信号の組は、動きの影響なく、繰り返しを平均する能力に起因して、ここでは高SNRであり、及び関心測定は、画像の生成ではなく、テクスチャースペーシングであるため、TR間の位相コヒーレンスの欠如に関心がない。
その最も単純な形態では、本明細書で開示される実施形態は、病変、器官、器官内のある箇所、骨の特定領域又はサンプリングするための罹患器官のいくつかの領域など、特定の関心組織領域を含む内部体積内からMR信号を取得することからなる。この内部体積は、限定されるものではないが、数例を挙げると、交差するスライス選択的リフォーカシング、適切な傾斜と組み合わせたフェーズドアレイ送信を使用する選択的励起、関心領域外の組織からの信号をスクランブルするための断熱パルス励起、外部体積抑制シーケンス、及び関心組織を物理的に隔離することを含む、内部体積内でスピンを選択的に励起する他の方法を含む、いくつかの方法の1つによって励起され得る。
いくつかの実施形態では、関心体積(VOI)の画定後、傾斜は、オフにされ、及び受信機BW及びサンプリング長によって広がりが画定される、特定のk値に中心がある信号の複数のサンプルが取得される。この測定は、画像を生成するために必要に応じてk空間の全てをマップしようとするのではなく、k値の組及びVOI内の特定の方向においてのみ繰り返される。特定のk値の信号の1つ以上のサンプルは、単一のTR又は励起パルス中に取得ブロック内で取得され、及びそれに続いて、k値は、インクリメント又はデクリメントされ、同じTR又は励起パルス中に望まれるような他のk値でのさらに複数のサンプルを可能にする。この方法は、数ミリ秒の時間期間にわたる各関心k値での複数のサンプリングを可能にし、対象の動きから免れている。その後、プロセスは、さらなるTRにおいて繰り返され得、特定のk値での信号取得間の動きの条件は、VOIが関心組織領域内に留まることのみである。テクスチャー周波数の振幅スペクトルの構成は、空間的にコヒーレントに取得する必要なく達成され得る。関心量は、サンプル体積に存在する様々なk値(テクスチャースペーシング)の相対強度であるため、取得体積が代表的な組織サンプル内に留まる限り、ブロック間のいずれの動きも測定を損なわない。組織に含まれるk値のスペクトルを構成する間、内部的に励起された体積が他の組織体積に形成されるほど十分に大規模な動きの場合、かなりロバストでリアルタイムのパイロットアルゴリズム及び取得アルゴリズムの使用は、内部で選択的に励起された体積の総再位置決め及び適切な組織に留まれなかったデータセットの拒絶に使用され得る。
器官又は解剖学的構造内の又はそれにわたる複数の位置でのテクスチャーのサンプリングを可能にするVOIの再位置決めは、器官による病状の変化を決定できる。取得されたデータは、位置決め画像を基準にして空間的にマッピングされ得る。VOIが、連続的なTR内で動かされ得るか、又はインターリーブ取得が、信号が次のTRよりも前に回復する時間中に追加的な体積を励起させることにより、単一のTR内で行われるかのいずれかである。条件は、連続的なVOIが新しい組織で励起されること、以前のスライスの選択に重なり合わないことである。病状の空間的変動は、この方法によって決定され得る。これは、測定が長期的に繰り返される場合、器官の病状の時間的な進行を監視するためにも使用され得る。
サンプル体積におけるプレワインド位相に対するパルスシーケンスのカスタマイズは、関心最高k値での信号の測定をエコーピークに位置決めし、ここで、信号は、最強であり、最善のSNRの測定を提供する。
研究中の体積内における、取得軸が様々な方向に沿って向けられ、様々な角度で且つ直線方向又は湾曲のいずれかの様々な経路に沿って位置合わせされた状態でのk値での信号のサンプリングは、テクスチャー、特にニューロンのミニカラムなど、特定の方向に半順序構造を備えるテクスチャーに関する重要な情報を生じ得る。カラムのスペーシングに関連付けられた信号対k値の測定は、垂線の両側でのサンプリング方向のわずかな変化がそのk値に関する信号の大きさの急速な減少を示すため、サンプリング経路のアライメントに極めて感度が高い。信号最大の両側での取得経路の揺動は、病状によって誘発されるランダム性の測定値を生じさせ、これは、信号対k値ピークの幅によって示され得る。
データ取得のために傾斜がオフにされた状態では、帯域幅を特定の化学種に合わせることは、研究中の構造の化学組成が分かっているとき、構造情報を強化し得る。
本明細書で開示される実施形態は、血流を標的とする時間依存性のコントラストスキームと併用され得る。これらのコントラスト技術のいくつかは、血液内酸素レベル依存(BOLD)画像法、動脈スピン標識(ASL)画像法、及び動的磁化率コントラスト(DSC)画像法である。これらの方法は、血管系を強調するために様々な技術を使用するため、CVD(脳血管疾患)及び腫瘍増殖を含む多くの病状に関連付けられる血管系のテクスチャーの変化が測定され得る。
本明細書で開示される実施形態は、DWI、DTI及びMTIを含む様々な新規のMRコントラスト機構と併用されて、拡散技術に関するパラメータ選択向けのフロントエンド情報及びそれらの組織健康の測定値との相関も提供し得る。
1つのブロックを取得するための合計時間が約ミリ秒である、単一のk値の信号の高速の繰り返し測定は、患者及び機械の動きによって誘発される不鮮明さを無視できるレベルまで低減させ、従来、生体内でアクセスできなかった微細なテクスチャーのロバストな評価を可能にする。(対照的に、標準的なMR画像取得時間は、持続時間が遥かに長く、その間、患者は、完全に静止したままであるように求められる。)VOIを画定する励起された組織は、いかなる組織の動きとも一緒に動くため、1つのTR又は励起パルス内での取得は、対象の動きにほぼ影響を受けない。選択される各k値で測定される信号のSNRは、ブロック内の各k値における個々のサンプルを組み合わせることによって著しく改善され、ここで、この平均化は、対象の動きを気にせずに行われ得、この動きは、ブロック内の個々のサンプルの高速での順次式取得に起因して除去される。
SNRのこの著しい改善は、本明細書で開示される実施形態が、画像形成に必要な多数の空間的にエンコードされたエコーを取得するのではなく、微細なテクスチャーの病状の特徴を決定するために関心k値での信号の取得のみに重点を置いているために可能にされる。データマトリクスの著しい減少は、標的にしたk値でのコヒーレントな繰り返し回数を増加させることができ、従ってSNRを著しく改善できる。
ある範囲のテクスチャースペーシング内のエネルギー密度は、テクスチャー波長に比例するか、又はk値に反比例する - すなわちk値が高いほど、関連の信号強度は低くなる。本明細書で開示される実施形態を使用することによって可能にされた高速取得は、T2及びT2
*の影響が信号振幅を低下させる前に、最初は低い信号であるk値を取得するために、特定のk値での取得の繰り返し回数を合わせることができる。このようにして、雑音消去のために平均される各繰り返しのSNR(又はそれに続くTRからのk値の測定値と組み合わされる前に空間 - 位相 - 補正された)は、この閾値を上回る。異なるk値での取得サイクル間に動きがあることは、各取得が組織の関心体積(VOI)内にある限り、問題にならない。特許請求される方法が、組織のテクスチャーにおける、病状によって誘発される変化の評価のみを標的とするため、画像法において必要とされるような、データ取得のサイクル全体にわたる位相コヒーレンスは必要ない。
いくつかの利点は、減少した体積(VOI)における単一のk値サンプリングに対して傾斜がオフにされた後のデータの取得によって生じる。適切なパルスのシーケンシングにより、エコー記録窓が、信号レベルはエコーピークで最も高いため、関心最高k値によって記録が開始されるように設計され得る。これにより、生体内MR画像法では現在達成できない微細構造の記録が可能になる。
さらに、T2*は、傾斜がオフにされていると長くなるため、より長い取得時間が可能になることによってSNRが改善される。これは、増加したサンプル数Nの取得を可能にする。
コイル組み合わせも、各k値に対してより高いSNRを有することによって単純にされ、従ってSNR全体を著しく改善する。これは、MRIの傾向が、多くの小さい要素コイルで構成されたコイルアレイに向かっているため、特に有益である。本明細書で開示される実施形態で標的とされている取得体積が小さいため、サンプル体積にわたる位相の補正は必要ではない。複数の要素チャネルを組み合わせるために、各コイルに関する1つの位相及びゲイン値のみが必要とされる。これらは、コイルを最も高いSNRで最も重く重み付ける最大比合成(MRC)方法、又は他の複数信号組み合わせ方法を使用して組み合わされ得る。(所与のコイルアレイの要素の位相及びゲインは、一度ファントムから決定されてから、患者のデータに適用され得る。)
標準的なMRI走査での信号取得及びデータサンプリングは、複数のエコーの複素数値サンプルを取得することによって行われる一方、傾斜シーケンスを同時に、並びにエコーを順々に適用する。画像法は、複数の次元の1つの次元に関する周波数エンコードに依存する。なぜなら、これは、一点ではなく、各位相エンコードによってk空間内での1つのラインの取得を可能にするからである。3次元画像化に関し、k空間内の2つの次元は、通常、位相エンコードに依存して、目標としたk空間の充填を生成し、3番目の次元が周波数エンコードされる。画像化での位相エンコード取得は、通常、位相エンコードの各方向において約256個のk値の取得を伴い、従って比較的時間のかかるプロセスである。臨床的なMRI走査では、画像を生成するのに約10~15分かかる。画像構成での目標は、十分なk空間カバレージを取得して、2次元又は3次元フーリエ級数の係数全てを埋めることであり、このため、標準的なMR分解能は対象の動きによって制限される。
本明細書で開示される実施形態は、画像生成に重点を置いている標準的なMRデータ取得とは正反対である。画像形成は、求められる大きいデータマトリクスを取得するために必要な長い時間にわたる対象の動きから生じる不鮮明さに直面する。本明細書で開示される実施形態の標的は、画像ではなくテクスチャーであるため、対象の動きに対する唯一の条件は、サンプリングされた体積が、データを取得する間、同様の組織特性の領域内に留まることである。これは遥かに厳しくなく、及び可能な動きの規模が十分に大きいため、及び時間的順序はリアルタイムの動きの評価及び補正技術によって簡単に補正されるため、構造的な位相コヒーレンスの条件よりも目標を達成するのが簡単である。本明細書で開示される実施形態の取得速度は、ほとんどの場合、リアルタイムの動きの補正が全く必要ではないものであり得るようなものである。テクスチャー測定値を抜き出そうとするために、他の方法は、画像の後処理に重点を置いたが、本明細書で開示される実施形態は、画像生成の必要性を除去し、代わりにテクスチャーを直接測定することに重点を置き、従ってより感度が高く且つロバストな測定を可能にする。
多くの場合、k空間サンプリングは、傾斜セットの存在下でのエコーのサンプリングと同義であると考えられる。本明細書で開示される特定の実施形態では、k空間充填のための手法は、標的とした病状でのテクスチャーの評価に必要なk値の組のみを取得することであり、データは、傾斜がオフにされた後に取得される。この方法は、雑音低減のために平均化するために、単一のk値の繰り返しのそのような高速取得を可能にし、それにより、対象の動きは、データを劣化させない。
個別にk値をサンプリングすることから生じるSNRの大きい改善、単一のTR又は単一の励起パルスにおいて取得された選択されたk値の組の多くの繰り返しと併せて、傾斜がオフにされた後の取得は、SNRをさらに著しく改善でき、従って測定のロバスト性を増大させる。これを以下の記載で説明する。
改良されたSNRのこれらの同じ利点は、信号取得中に傾斜をオンにして達成され得、傾斜が十分に低い限り、k値の展開する範囲にわたって取得できるようにする。信号は、データ取得中、k空間内の小さい範囲にわたって特定の軌跡をもたらすために使用される低い傾斜が存在する際に取得され得る。
MRエコーサンプリングは、特定のサンプル対時間依存性エコーの時間を提供する。エコーは、(周波数エンコード軸に対して)同時に及び(位相エンコード軸に対して)以前に適用される傾斜に含まれるだけでなく、サンプルの異なる化学種に関連付けられるアイソクロマット、並びにスピン-スピン相互作用に関連付けられるエンベロープ(T2&T2*)を含む。
従来の周波数エンコードされたスピンの取得は、サンプルに時間変化傾斜を課し、これは、予め決められた経路に沿ってk空間を効果的に移動する。直線的なサンプリングでは、経路は直線に沿っている。
周波数エンコードは、所与のk値において測定値を1つのみ生成する - 所与の時点において、エコーの取得されたサンプルは、特定のk空間の位置におけるフーリエ係数に対応する1つの値を表す。次のエコーサンプルは、異なるk空間の位置における値を表し、次のk値は、同時に適用される傾斜の勾配に依存する。対応するk値に十分な信号がある限り、この手法は良好に機能する。しかしながら、関心信号が、ノイズフロアに近いか又はさらにはそれを下回る場合、通常、追加的なサンプル及びそれに続いて後処理が必要とされる。
周波数エンコードされた傾斜の読み出しにおいてノイズフロアを低減させる1つの方法は、傾斜の強度を小さくし、且つ受信機の帯域幅を低くすることである。受信機の帯域幅を狭くすることは、実際、雑音レベルを下げ、及びより低い信号レベルの検出を改善する(用語kBTBに比例する、kBは、ボルツマン定数に対応し、Tは、ケルビン温度に対応し、及びBは、Hzでの受信機の帯域幅に対応する。)しかしながら、これは、より大きい化学シフトアーチファクトを犠牲にして実現される。
化学シフトアーチファクトは、生物学的サンプル内の異なる化学種に関連付けられる異なるアイソクロマットの結果として生じる。周波数エンコードされたk空間の読み出しでは、わずかに高い周波数で共振するそれらの化学種は、像空間におけるそれらの実際の位置から、周波数が大きくなる方向へ変位しているように見える。空間周波数エンコーディング傾斜が浅い場合、明白な変位はかなり大きいものであり得る。
そのようなものとして、化学シフトアーチファクトを最小化するために、傾斜の勾配は、一般に、可能な限り険しくされて、明白なシフトを狭い範囲内(すなわち像領域の1又は2ピクセル内)に最小化する。しかしながら、そのため、これは、より大きい周波数範囲に対応するために、より広い受信機の帯域幅を必要とする。これは、同様に、受信帯域幅に比例するレベルにおいて、ノイズフロア全体を大きくする。
周波数の読み出しが、一般的に、傾斜の強度と、雑音レベルと、化学シフトアーチファクトとを強制的に交換する結果となる。
信号取得における雑音低減のための共通の技術は、信号の繰り返しのサンプリング、及びそれに続く複数の測定値の組み合わせによるものである。線形ノイズ源、例えばガウス雑音では、この技術は、信号でのランダム雑音の消去によってSNRを改善し、その消去効果は、サンプル数Nと共に大きくなる。
この消去技術による雑音低減は、静止している対象に都合がよい。しかしながら、動きによって誘発される不鮮明さは、非線形効果であるため、個々の測定が大きい空間位相角を通してシフトした(研究しているテクスチャー/構造的な波長に対して)信号の組み合わせは、SNRの改善とはならない。動きを補正するかなり標準的な技術は、実空間でのMR強度データを見て、及び重なりを最大にするために、互いに対して連続的なトレース/画像を再登録することである。白色雑音の減少のように、これらの再登録された信号の線形結合は、動きによって引き起こされる不鮮明さを減少させると仮定する。しかしながら、これは、個々の取得それぞれでのSNRが十分に高い場合にのみ機能する。低いSNRサンプルの再登録は、推定された位置において大きい分散を生じる。閾値理論は、元の信号がある雑音閾値未満であるとき、再登録された信号を非線形の不鮮明さと結合することは、信号のエラーを増やすのみであると定義している。
対象の動きによって取り込まれた非線形性は、より高いk値において増える。なぜなら、動きによって誘発されるテクスチャーの位相シフトはkによって増加するためである - すなわち、関心構造のサイズが小さくなるにつれ、動きの悪影響がより深刻になる。これは、結合される複数のサンプルは、十分に短い期間で取得される同じ取得シーケンスに由来する必要があり、サンプル間に無視できる程度の動きが確実にあることを暗示する。
クラメール・ラオの下限(Cramer-Rao Lower Bound)は、推定値の剰余分散の下限に必要なサンプル数についての洞察、すなわち加法性白色ガウス雑音(AWGN)におけるSNR対サンプル数ついての洞察をもたらす。AWGNにおける低ソースのSNRに関し、有用なSNRを得るために、多数のサンプルを平均する必要がある。当初の仮定は、複数回の取得が行われてから平均して、より高いSNRを達成し得ることである。(CRAMER,H.;“Mathematical Methods of Statistics”;Princeton University Press,1946.RAO,C.R.,“Information and the accuracy attainable in the estimation of statistical parameters”;Bulletin of the Calcutta Mathematical Society37,1945。)
図面を参照して説明すると、トレース102で示した出力SNRと、トレース104で示した必要なサンプル数との比較である図1のグラフは、高い入力SNRでは、低雑音測定を生じるために、単一のサンプルで十分であることを示す。より低いSNRでは、雑音の寄与を「平均にする」ために、複数のサンプルが必要とされる。サンプルを組み合わせる能力は、複数のサンプル取得プロセス中、基本的な関心信号は比較的一定であると明白に仮定する(すなわち、変化する唯一の成分は、雑音である)。
図2のグラフは、信号モデル(トレース202)によるシミュレーションであり、入力SNR(トレース204)を提供し、入力雑音レベルが3mV rmsであることを前提として、k空間における位置に応じて20dBのSNRを生じるために必要なk値のサンプル数(トレース206)を示す。スペクトルエネルギー密度は、一般的に、k-1に比例するため、適切なSNRを維持するために、より高い空間周波数(より高いk値)でより多数の入力サンプルが必要とされる。シミュレーションのための雑音レベルは、k=2サイクル/mmで約10dBのSNRに調整される(λ=500μm)。
上記で指摘した通り、このタイプの平均化は、データ取得の一時的な期間にわたって発生する標的組織の変位又は変形のない、純粋に静的なサンプルで可能である。しかしながら、生体内の適用では、患者が協力的な場合でも、自然な動きが発生する。関心テクスチャースペーシングが減少するため、動きの悪影響はより深刻となる。さらに重要なことに、このタイプの平均化は、基本的な信号が取得にわたって同じであり、及びゼロ平均の複素数値加法性白色ガウス雑音(CAWGN)のみが変化するという仮定に基づいている。信号自体が変化する場合、結果は、雑音の平均だけでなく、基本的な信号N個の異なるバージョンの平均となり、これは、あまりSNRを改善しない。
低SNRサンプルを使用して動きを推定及び補正することは、推定された位置の高い分散を生じる。これは、同様に、「補正された」取得における大きい分散を生じさせ、及びこれらの取得が平均されるとき、SNRに予期した増加を生じない。これは、複数のサンプルが同じ取得シーケンスに由来する必要があり、そこでは、サンプル間の動きは極めて小さいことを暗示する。これは、本明細書で開示される実施形態によって可能にされる。
問題は、より短い構造波長ではより深刻になる。当分の間無雑音の2つの取得を考慮すると、そのうちの一方は、量dだけ変位されている。所与のk値に関し、それらを平均しようとする試みは、
Y(2πk):=S(2πK)[1+e-2πkd]/2 (0.1)
(式中、S(2πk)は、複素数値信号であり、及びY(2πk)は、2つの取得の平均を表す)
を生じる。
これは、
Y(2πk):=S(2πK)e
-jπkdcos(πkd) (0.2)
と表わされ得、これは、変位dに起因する振幅の減衰及び位相シフトの両方を示す。大きさの減衰をフロア値aに制限することにより(ここで、0<a<1)、dを
に制限する。
これは、所与の大きさの誤差に関し、kの値が増えるにつれて許容可能な変位が小さくなることを示す。これは、関心テクスチャースペーシングが小さいほど、データ取得中に許容され得る動きが小さくなるためである。
この問題に対処するために、本明細書で開示される実施形態において代替的な手法が取られ、この方法は、周波数エンコードされた読み出しを省き、且つ特定のk空間の点をサンプリングすることであり、1度に単一の空間的位置及び向きで各関心k値において1つ又は複数の測定値を取得する。
標準的なMRの実行での所与の取得内には、エコーで取得されたM個のサンプルがある。各k値でのサンプルの取得の代わりに、N≦Mのそれらのサンプルは、特定のk値における(複素数値の)基本的な信号値を推定するために使用され得る。1つの取得データ内の複数のサンプルは、時間的に遥かに近いため、複数の取得データにわたってよりも、遥かに動きの心配が少ない状態で、組み合わされ得る。
エコー全体を使用して1つのk値を測定する場合、受信帯域幅は、基本的なNMRスペクトル内の最も豊富な共振ピークを通過し、且つそれを上回る周波数を減衰するように調整され得る。
直線的なMRSスペクトル(構造的位相エンコードがない)を取ることは、H2O(化学シフトがδ=4.7ppm)、並びに脂肪中で生じる炭素-水素結合(例えばCH3、CH2、CH=CHなど)に対応するピークから主になるスペクトルを生じさせ、炭素-水素結合は、それぞれ0.9~5.7ppmに及ぶ異なる化学シフトがあり、最も豊富な共振は、δ=1.3ppmで生じる脂肪鎖中のCH2からくる。
3T機を使用すると仮定すると、水素の磁気回転比はγ=42.576ΜΗz/Τであるため、化学シフト値は、166Hz(CH2に関して)~600.3Hz(H2Oに関して)の範囲である。600.3Hzを超える(片面の)受信機の帯域幅が使用される限り、H2Oのピークは通過する。基底帯域サンプリングであると仮定すると、これは、サンプリングレート>1.2kHzを暗示する(複合基底帯域サンプリングを使用する場合、これは、理論的に約1/2だけ減少されることに留意されたい。)ここでの要点は、この方法によって狭帯域幅を使用し得ること、及びサンプルレートが約800μsであることである。それにより、信号の雑音は減少され、及び複数回の繰り返しのk値取得データが数ミリ秒で取得され、それにより、取得されたデータが患者の動きを免れるようにする。対照的に、単一の画像取得がTE約30ms、及びTR約500ms~2000msで行われる。信号の平均化に必要なデータを繰り返して取得するために数分間かかり得る - 呼吸、心臓、及び単収縮の動きが動きによって誘発される不鮮明さによって分解能を制限する時間的範囲である。特許請求される方法は、より高いk値(より短いテクスチャー波長)に見られるようなものなど、信号レベルが非常に低いk空間中の複数の領域での値の取得を可能にする - これまで捉えにくいままであった微細なテクスチャー範囲。
信号を最大にするために、多量の非ゼロの周波数が選択される。概して、これは、取得されたサンプルの全ての単なる平均に対応しない。代わりに、特定の関心化学種に対応する関心周波数に「合わせられている」整合フィルターに似ている。
追記として、全NMRスペクトルが抽出されて(全く位相エンコーディング傾斜がない状態で、体積選択のみで)、基本的な信号強度(及び関連の周波数)のベースラインを得ることができ、これは、次に、空間的に変調され、研究中のテクスチャー要素に予期される化学種の知識によるテクスチャー波長への洞察をもたらす。
関心アイソクロマットは、エコーのN個のサンプルを取得し、その後、フーリエ変換を取ることによって抽出され得る。エコーは、傾斜なしで行われるため、関心アイソクロマットにおいて結果として得られる信号の強度は、(複素数値)関心k値係数に対応する。
目標は、テクスチャー波長の相対振幅を抽出することであるという前提で、振幅対テクスチャー波長の測定値がまさに必要な情報である。しかしながら、十分な信号の強度を抽出し、及びそれを基本的なノイズフロアと区別するために、複素フェーザー値が最後まで保存される必要がある。
ノイズフロア、信号強度(化学種が豊富である特定のアイソクロマットにおける)、必要なサンプル数、及び最大許容誤差の関係は、
(式中、σ
2は、ノイズの分散を表し、|A|
2は、関心アイソクロマットの振幅二乗を表し、及び0<ε<1は、推定値の許容可能な誤差を表す)
と概算され得る。さらに、雑音は、ほとんどが生物学的サンプルから供給されると仮定すると、これはさらに、
(式中、NF
effは、受信機の実効雑音指数であり、k
Bは、ボルツマン定数であり、Tは、生物学的サンプルのケルビン温度であり、及びBは、受信機の帯域幅である)
と概算され得る。この場合、Nは、合理的な推定値を生じるために所与の取得データ内で取得される必要があるサンプル数のガイドとして使用され得る。
必要なサンプル数が、1回の取得で利用可能な数を超える場合、単一の取得からの測定値の組み合わせが、取得と取得との間の空間的な再登録前に、信号を最大にするために必要とされ得る。2つ以上の取得データセット間での合理的な推定値及び変位補正が必要とされる。単一のTRブロックからの単一のk値での測定値の組み合わせが、ここで、SNRを増加させるために使用されて、連続的なTR間の再登録が遥かに成功する可能性があるようにし得る。
エコーにおいて取得されたサンプルのセット全体又はTR全体が、k空間での1つの係数の推定値に割り当てられ得るが、最大数よりも少数のエコーサンプルを使用して許容可能な値が推定され得る場合、特定のエコー又はTR内でk空間において2つ以上の係数を取得できる可能性を広げる。
様々なパルスシーケンスが、本明細書で開示される実施形態の例示的な実装例に提供される。例は、並列及び統合した形態で互いに及び他のMR画像化技術と組み合わされて、様々な病状を有する疾患の調査に関連付けられる所望のマイクロ-テクスチャーイメージングを得ることができる。図3は、本明細書で開示される実施形態を使用するデータ取得のためのパルスシーケンスのための例示的なタイミング図を示す。トレース302に含まれるRFパルスは、典型的なMR画像法におけるような、調査中の組織の選択した体積を励起するために使用される。第1のRFパルス304は、トレース306に示される第1の磁場傾斜で傾斜パルス308と同時に送信される。これは、第1の傾斜の向き及び振幅及びRFパルスに含まれる周波数に依存した位置で組織の単一のスライス、又はスラブを励起する。負の傾斜パルスである、パルス310は、規定の厚さのスライス又はスラブ内で励起をリフェーズする。
第1のRFパルス304の振幅の2倍である第2のRFパルス312は、トレース314に表わされる第2の傾斜での傾斜パルス316と同時に送信され、スピンのスライス選択的リフォーカシングを励起し、この第2の組織スライスは、第1の組織スライスと交差する。(この第2のRFパルス312は、正味の磁気ベクトルを、B0に逆平行に傾けるため、スピンの反転及びそれに続くリフォーカシングを生じさせ、従って90°のRFパルスと180°のRFパルスとの間の時間に等しい180度のRFパルスの後の時点で信号エコーを生じる。)初期のより高い値の傾斜パルス318は、傾斜パルス316の開始時には、組織体積にわたって大きい位相ラップを誘発するように設計されたクラッシャー、又は「スポイラー」傾斜である。パルス316の終端における同様の傾斜パルス322は、180度のRF逆パルスの後に来るため、この位相ラップを解除する。このようにして、180パルス自体の不完全性から生じる励起など、180度のRFパルスの前には存在しないいずれの励起もこのプレエンコードを有しないため、第2のクラッシャーによってリフォーカスされず、従って信号に寄与しない。要約すると、適用された第2の傾斜と組み合わされる第2のRFパルスは、この第2の傾斜によって第1のスライスと第2のスライスセットとの交点によって画成された領域において、信号のスライス選択的リフォーカシングを提供する。
トレース314上のエンコーディング傾斜パルス326は、傾斜パルス326の方向に沿って、初期位相ラップ、従ってk値エンコードを設定する。概して、k値のエンコードは、機械傾斜のベクトル結合によっていずれかの方向に向けられるが、可視化を容易にするために第2の傾斜として表わされる。
トレース330によって表わされる第3の傾斜上の傾斜パルス332と組み合わせて適用される第3のリフォーカシングRFパルス328は、第3の交差するスライス選択的リフォーカスを画定して、VOIを画定する。傾斜パルス332は、同様に、クラッシャー傾斜を用いる。
負のプレフェージング傾斜パルス326は、位相を終わらせて、第2の180°のRFパルスに続く信号エコーで、信号取得が高k値で開始し、これは、その後、下記で説明するように、さらなるデータ取得のためにそれに続いてデクレリメントされ得る(又はインクリメントされるか又は向きが変化され得る)。信号のエネルギー密度は、全体的にk-1に比例しているため、この方法は、T2の影響によって多量の全体的な信号減少を引き起こす前に、SNRが低いk値を最初に確実に取得するようにする。
全ての傾斜がオフにされた状態では、受信ゲート333が開放されてRF信号を受信し、これは、図3にトレース336上のパルス334として示されている。トレース336のRF信号は、窓の外側のRF信号の実際の詳細を示さずに、受信ゲート窓に存在する信号のみを示す表示である。トレース324上に示すように、サンプリングは、初期k値340aで始まって、トレース338によって表わされるように発生する。図面の規模では、サンプリングレートは十分に高く、アナログ・ディジタル変換器(A/D)の個々のトリガがトレース338に合流したことに留意されたい。(下記で説明する図4の拡大された時間スケールは、個々のA/Dトリガを示す。)
1つのエコーの小さいサブセットサンプルを使用して十分に推定され得る、対応する係数が十分に大きいk空間の複数の領域では、エコーが記録されている時間中、新しいk値を選択するために、トレース314に示す傾斜パルス342aを適用することによって得られる別のk値の取得が達成される。好適な設定時間後、エコーの別の組のサンプル(ここでは、新しいk値係数から導かれる)が収集され得る。このプロセスは繰り返され得、1つのTR内で、選択した組のk値のそれぞれにおいて複数のサンプルを取得する。複数のサンプルが初期k値340aで取られる。その後、k値選択傾斜パルス342aが適用され、及びその結果得られるk値340bがサンプリングされる。(図中では、第2の傾斜上の、k値をデクリメントする負パルスとして示されているが、実際には、この負パルス及びその後に生じる複数のk値傾斜パルスは、任意のk値又は向きを選択するためにこれらの傾斜の任意のベクトル結合によって設計され得る。)同様に、k値選択傾斜パルス342bは、A/Dによってサンプリングされる第3のk値340cを選択する。各傾斜パルスは位相ラップを変更し、新しいk値を選択する。k値選択傾斜パルス(342c~342f)の適用、それに続く、結果として得られるk値係数の複数のサンプリングは、所望の回数だけ繰り返される。データは取得され続けているが、関心サンプルは、全ての傾斜がオフのときに取得される。スライス及びk値選択に対する傾斜の向きは機械傾斜と一致してもよく、機械傾斜は、B0場と一致してあるか又はそれに対して直角にあるように位置合わせされている。代わりに、取得方向及びk値エンコードは、3つ全ての機械傾斜の軸のベクトル結合である傾斜を使用して選択され得る。
低SNRのk値を測定することが望ましい状況では、プレワインディングエンコーディング傾斜パルスは、測定されるべき第1のk値が、所望の低SNRのk値であるように設定され得る。代わりに、プレワインディング傾斜パルスはゼロに設定され得るため、測定される第1のk値はk0である。k0の測定は、特定のVOIに対するシステムの受信機の感度を決定するため、VOIでのテクスチャーに関わらずアイソクロマットの相対的な優勢さ(例えば、水対液体)を決定するために、又はVOIにおいて測定された他のk値の正規化のために基準値を確立するため、又は他のVOIからのk値との比較のために望まれ得る。さらに、VOIに関する特定の組のk値を集めるための戦略は、第1の組の複数のTRにおいて低SNRのk値(一般により高いk値)を測定し、その後、同じVOIに留まっている間に、他のTRにおいて、k0及び他のより高いSNRのk値を測定することを含み得る。
図3に図表で示すように、信号は、スピンエコーの時点で最大に達する。信号がk値の複数回のRF測定の取得期間中を通して変化しており、k値の准次の測定ブロック間の期間中ではよりその通りであることも図表で示されている。低SNRのk値の測定を最も高いエコー信号と時間的に一致させることは、k値測定のSNRを強化するか、又はより高いSNRのk値をより低いエコー信号と一致させることは、エコー期間中に追加的な有用なk値の取得を集めることができるようにする。用語k値測定は、当技術分野では、k値での信号の測定の「短縮した」用語であると理解される。
図4は、7.25~8.00ミリ秒のRFサンプリング窓338の初期部分の期間中の図3のパルスシーケンスの拡大図を示す。全ての傾斜がオフの状態で立て続けに取られた同じk値の複数のサンプルは、信号の平均化のための入力を提供して、SNRが低いときにAWGNを減少させる。サンプリング窓338の第1のブロック344aでは、複数のサンプル346aが第1のk値340aで取られる。k値選択傾斜パルス342aを適用する期間中、移行サンプル348aが取られる。k値選択傾斜がオフにされていると、複数のサンプル346bが第2のk値340bで取られる。その後、関連の移行サンプル348bと共にk値選択傾斜パルス342bの適用が発生し、及びそれに続いて、傾斜がオフにされた後に、第3のk値340cのサンプル346cを取得する。基本的な信号は、所与の各k値においてデータを取得するために使用された非常に短い時間窓に起因して、動きによる影響が最小限である。データは、傾斜をオフにして取得されるため、化学シフトに関する問題はなく、及び実効T2
*はより長く、信号値を増加させる。
k値選択傾斜パルスが上昇し、安定して保たれた後で、ゼロまで下降する間に取得されたエコーのサンプリングされた値は、必然的に、適用された傾斜の影響を受ける。これらの移行サンプルは、他の興味深い情報を提供し得るが、k値係数の直線的な測定を考慮して使用されない。現在アクティブである傾斜がないときに記録されるサンプルのみがこれに使用される。
各k値において、一貫性のある数のサンプルが取得され得るか、又はk値が減少し、従って信号の振幅が増大するため、少数のサンプルが取得される代替的なシーケンスが用いられ得る。このタイプの取得に設計されたパルスシーケンスを図5に示す。取得で標的とされた各k値の複数のサンプルは、傾斜がオフの状態で立て続けに取得される。これらの繰り返しは、低SNR信号における信号の平均化のための入力を提供する。図3及び図4に示すパルスシーケンスのように、所与のk値に対してデータが取得される非常に短い時間窓に起因して、基本的な信号が動きによって受ける影響は最小限である。
図5に概略図を描かれているサンプル窓344a~344gの複数の部分内にあるサンプルは、k値選択傾斜のアンワインディングパルス342a~342fによってそれぞれ誘発された所与のk値340a~340gに対して取得されたサンプル数に対応する。所与のk値に関連付けられたサンプル数であるNkは、予期されるSNR、組織コントラスト、コントラスト対ノイズ、病状、テクスチャーサイズ、及び/又はテクスチャー帯域幅に基づいて選択され得る。図5に示す例では、サンプル数の減少が、徐々に小さくなるk値(より大きいテクスチャー特徴)に関して取られていることが示され得る。これは、上述の通り、一次信号振幅はk値の減少と共に増大する - エネルギー密度は概してk-1に比例するためである。これと同じ理由から、T2の効果が最小であるとき、より大きいk値がこのスキームにおいて最初に取得され、より長い波長、より高い信号強度、k値が取得の後期で記録される。
エコー及び/又は新しいTRのリフォーカシングは、k空間サンプルのライブラリーを構築するために使用され得る。1つのTR内での複数のk値の取得は、複数のリフォーカシング傾斜及び/又はRFパルスを適用することによって容易にされ、追加的なk値がTR内でサンプリングされ得る時間を増やし得る。これらの後期のエコーは、おそらく、選択した組におけるより低いk値の係数を取得するために使用され得る。なぜなら、一連の値でのそれらのエネルギー密度が一般的により高く、全体的な信号でのT2の減衰の効果が、より高いk値ほどそれらに厳しい影響を与えないためである。このようにして、必要なk空間充填のより大きい部分がより少数のTRにわたって達成され、より高速のデータ取得を可能にし、VOIを再位置決めする必要性を最小限にし得る。
図8は、TRの記録時間を延長するためにスピンエコーリフォーカシングを使用する、本明細書で開示される実施形態の基本的なシーケンスの延長を示す。関連の傾斜パルス804のあるリフォーカシングRFパルス802を適用することにより、スライス選択的リフォーカシングを生じる。適切な設定時間後、第2のサンプリング窓806が受信ゲート808によって開放される。複数のk値選択傾斜パルス810が、選択したk値をインクリメントするために適用され、且つそれぞれの連続的な傾斜パルスをオフにした後、選択したk値の複数のサンプルがサンプリング窓で取得される。関連の傾斜パルス814のある第2のスライス選択的リフォーカシングRFパルス812は、ここでも、スピンを逆にし、且つ多数のk値選択傾斜パルス820においてそれぞれ適用した後、受信ゲート818によって開放された第3のサンプリング窓816においてデータが取得される。図面に示すように、増加した数のk値は、各リフォーカシングによってサンプリングされ得る。リフォーカシングは、信号レベルがT2から低下され且つ他の影響がさらなる信号取得を無効にするまで繰り返され得る。複数の信号エコーを励起することによって記録時間を延長する別の方法は、1つの又は一連の傾斜リコールドエコー(GRE)を使用することである。GREは、静止している不均質性の影響をリフォーカスできない点でSEと異なるため、T2*の影響が繰り返し数を制限する。
利用可能な組織コントラストに加えて、特定の病状に関連付けられたk値は、信号の平均化に必要なサンプル数、Nkの決定の一部である。例として、肝線維症では、適切なテクスチャーの波長は、400ミクロンの範囲であり、すなわち2.5サイクル/mmのk値にある。これは、心臓線維症などの多くの他の疾患の線維化進展において見られるテクスチャースペーシングと同様である。海綿骨における要素のスペーシングはかなり変化するが、関心最小スペーシングは、骨梁要素の幅であり、これは約80ミクロンであり、最大k値を12.5サイクル/mmに設定する。神経病状では、関心テクスチャーの多くは、20サイクル/mmのk値に等しい50ミクロンの規模と非常に微細である。
各病状は、定量的データとして厳密に何が必要かを、すなわち一連のk値のいずれの部分を監視する必要があるかを、及びいずれの分解能及び感度においてかを指示する。一部の病状では、短い(長い)波長特徴は、長い(短い)波長特徴を犠牲にして増加する(例えば肝線維症)。他の病状では、振幅の減少及び短い波長特徴の拡大は、疾患の進行 - 例えば、認知症を進行させる皮質ニューロンミニカラム(約80ミクロンスペーシング)の規則正しい形成の劣化を示す。骨では、年齢が上昇するにつれて、まず、最も高いk値特徴が構造的スペクトルで消失する。次いで、主要な構造的ピークがより低いk値の方にゆっくりとシフトして骨粗鬆症を進行させ、このシフトのペースは、骨折する点まで薄い骨梁要素の割合の増加を加速させる。
得ることができる信号レベルは、ある程度解剖学的構造に依存する。例えば、必要とされる分解能は、脳で最高であるが、頭部の表面近くの皮質は、表面コイルの使用が皮質構造に対する著しい信号ブーストをもたらすことを保証する。肝臓では、関心構造が数十ミクロンではなく数百ミクロン程度であるため、必要とされる分解能は低くなる。しかし、器官は、より深く(コイルからさらに遠い)、測定される信号を減少させる。脊柱データ取得のためのインテーブル(in-table)コイルを使用すると、控えめな信号レベル及び良好な安定化を生じる。また、骨は、高コントラスト標的であるため、SNR条件がそれほど厳しくない。これら全ての理由で、平均化に必要とされる正確な繰り返し数は、標的としたk値範囲を超えて依存する。
図6は、単一のTR又は単一の信号励起パルス内の標的k値の多くの繰り返しを取得するために、特許請求される方法によってもたらされる能力が、ロバストな信号の平均化を可能にして、SNRをブーストすることを実証するシミュレーションを示す。対象の変位速度が30μm/秒であり(実際に数回の走査にわたって臨床的に測定された)、及びサンプリングレート=33.3kHz(ΔTサンプル=30μs)であると仮定すると、平均化するための90個の繰り返しサンプルを十分に迅速に取ることができ、20サイクル/mmのk値(テクスチャー波長=50μm)まででも、取得が動きの影響を免れたままである。
図7は、対照的に、空間的にエンコードされたエコーの取得の従来の手法を使用して、約67Hzのサンプリングレート(ΔTサンプル=15ミリ秒)をもたらす比較的速い傾斜リフォーカスシーケンスであると仮定しても、90回の繰り返しに必要な時間中にわたる対象の動きが、信号と、信号の平均化によるいずれかのSNR改善能力とを著しく劣化させることを示す。状況は、以下の事実により実際には悪い。従来の空間的にエンコードされたエコーを使用して90回の繰り返しを取得することは、いくつかのTRを必要とすることとなり、取得時間が著しく長くなり、及び動きに起因する信号劣化が遥かに激しくなる。最低のk値を除いて、複数のサンプルの組み合わせに起因する潜在的なSNRゲインは、動きの影響によって無効にされた。
k値の十分に大きい選択範囲の取得により、1つ以上の次元における構造的プロファイルの構成が1つの可能性となる。上述の通り、単一のTR若しくは励起パルス又は複数のTR/パルス内のリフォーカシングエコーを使用して、k空間サンプルのライブラリーを構成できる。位相コヒーレンスは、k値が時間的に分離されたTR内で取得され、変位がそれらの間に生じた場合、異なるk値間では維持されないことがあり得る。基本的な興味が特定のk値での信号の相対強度にある場合、これは問題ではない。この値のライブラリーからのプロファイル又は画像の形成が望まれる場合、必要な後処理は、入力として、本明細書で開示される実施形態を使用して各TR内で得られた高SNR測定値を有する。その後、これらの測定値は、プロファイルの構成に向けた、エコー間又はTR間の任意の必要な再登録に対してロバストな入力を提供し得る。例として、ある選択されたk値の組の第1のTR内での選択及び測定は、低k値を有する少なくとも1つによって達成され得る。それに続くTRでは、同じ組のk値の選択は、2つのTR間のデータの再登録を可能にする。その理由は、著しい動きが低k値における位相変化を生じた場合でも、位相シフトは、より高いk値テクスチャーに対するものよりも小さく且つ2つのTR間で相関し得るためである。基本的には、k値が高いほど、対象の動きに起因して位相シフトは大きくなる。k値が大きく異なる状態での、連続的なエンコードからの信号の取得は、それぞれに対する明白な位相シフトを慎重に比較することにより、位相シフトをより良好に推定できるようにする。
これは、X線回折と非常に類似しており、X線回折では、得られた振幅のみの情報(位相なし)が、この振幅のみの情報に基づいて、対応する構造的プロファイルの最善の推定を決定する課題を提示する。問題の解決に向けたアルゴリズムが存在し、成功の機会は、得られたk値係数の範囲、それぞれ平均化された係数のSNR、及びk値の名目上単一値の取得に含まれる値の幅に依存する。この取り組みにおける成功の機会は、対象の動きを免れることに起因して、特許請求される方法を使用すると著しく高まる。
k値データからプロファイルを再構成する能力は、それぞれの単一のk値の取得のスペクトルの幅広さに多少依存する。これは、VOI(関心体積)のサイズ及び形状の影響を受けるが、組織の劣化は、組織内でのテクスチャーのランダム性をより多く生じさせるため、k値及び病状によっても影響を受ける。
VOIの選択 - 器官/解剖学的構造内での形状、寸法、向き、及び位置は、測定されるデータ及びその解釈に影響を及ぼす。VOIの形状は、取得されたデータの有用性を最大にするように選択され得る。データは、異なる方向において、及びVOI内の異なるテクスチャー波長(k値)で取得され得、テクスチャーの異方性を評価できるようにする。テクスチャーは、器官にわたる病状の変化の評価に向けて、単一のTR/励起パルス内にインターリーブされたか又は順次のTRにおいてのいずれかの複数のVOIでサンプリングされ得る。VOIに関する標準的なインターリーブプロセスは、TR内で使用されて、追加的なエンコーディングパルスをベクトル結合傾斜、及びインターリーブされたVOI内のk値に関する関連のk値選択傾斜パルスに適用することにより、追加的なデータを提供し得る。上述の通り、関連のスライス選択傾斜を有する追加的な励起RFパルスは、同じTR内で、それぞれの繰り返し毎にセットされた傾斜で関心体積を励起することによって繰り返し発生され得、各繰り返しにおける傾斜は、TRにおける以前のいずれのVOIとも重なり合わない、新しい組織における励起のための追加的なVOIを画定するために、TRに最初に適用される第1の傾斜パルス308とは別の向きを有する第1の傾斜を少なくとも有する(第1の繰り返しにおける第4、第5及び第6の傾斜、及び続いて起こる、それに続く繰り返しのインクリメントな傾斜)。この応答は、マッピングされ得るか、又は標的とした病状に適切なものが何であれ、いくつかの測定値が取られて平均化される。これは、組織生検のマルチポジショニングと同様である。しかしながら、組織生検の場合、技術の侵襲性が高いという性質に起因して、繰り返し数が制限される。特定のk値においてサンプリングされる構造的振動の最小数は、サンプリングの方向における最小VOI寸法を指示する - 必要な長さは、標的としたk値に反比例して変化する。
ある範囲のk値を標的とするときに構造の適切なサンプリングを確実にするために、サンプリングされた方向におけるVOIの寸法は、標的範囲にある全てのk値に対して一定に保たれ得、その結果、サンプリングされた構造的振動数はk値によって変化する。これは、単純な解決法であり、サンプリング寸法が最低のk値(最長の波長構造)によって設定される必要がある。この手法を使用して、VOIのサンプリング寸法は、その範囲の最高k値に必要なものよりも大きく、従って、そうでない場合に可能なものよりも組織内における局在化をもたらさない。
代わりに、広範に異なるk値におけるデータは、標的とした特定のk値に合わせられて変化するVOIを使用して、連続的なTRにおいて取得され得る。又は、VOIの寸法は、VOI内での異なる方向における取得が特定のテクスチャー周波数(k値)範囲にあるサンプリングに合わせられるように、選択され得る。
同様に、VOIは、一定に保たれ得、及びエンコーディングのためのベクトル結合傾斜及びk選択パルスは、TRからTRに変更されて、特徴のサイズを評価し得る。
場合により、空間ドメイン内で密に局在化し、k空間内の局在化を幅広くすることが望ましい。非立方取得体積を画定することにより、1つのTR内で、VOI内の異なる(直交する又は他の)方向に沿った異なるk値からデータを取得することが可能である。図10の楕円形横断面のVOI902は、そのような1つの可能性である。任意の半径方向に沿った且つ形状の軸に沿った取得は、1つのTR内で可能である。
さらに、線形の又は湾曲した軌跡においてk空間をサンプリングするために、本明細書で開示される実施形態の柔軟性が使用され得る。例えば、テクスチャーは、放射状の線に沿って、又は円弧又はらせんに沿ってサンプリングされて、異なる空間的な方向に沿ったテクスチャーのサイズの情報を引き出し得る。これらの方法は、テクスチャーの異方性、又は皮質ニューロンカラムなどの半結晶質である構造のアライメントに対する感度を決定するために、又は器官における組織の標的とされる範囲内のk値のライブラリーをより迅速に構築するために使用され得る。
1つのTR(すなわち1回の90度の励起)中、k値エンコードは、エンコーディングのために適用されたベクトル結合傾斜、及びk選択パルシングを変更することにより、複数の方向に適用され得る。VOI及びサンプリング方向の正確な形態は、多くのテクスチャー情報を生じるために使用され得る。例えば、健康な組織では束がカラムを形成するため、皮質ニューロン線維束の組織構成は半結晶質である。このため、束に対して垂直なテクスチャースペーシングの測定は、向きに対して非常に感度がある。向きがカラムに対して正確に直角であるとき、非常に鋭い信号最大値が予期され、その最大値から離れるいずれかの回転方向において向きが変化すると、信号は急速に低下する。スペーシング及び組織構成上のインテグリティ(organizational integrity)(病状のマーカ)を測定する1つの方法は、この最大値の周りで取得軸を「揺動」させて、信号強度における共振を探すことである。信号最大値を探すことにより、「テクスチャーの共振」を探すこの手法は、任意の組織領域において適用され得る。病状が組織構成上のインテグリティを低下させる場合、このピークの鋭さが低下し、及び信号最大値が低下する。
同様に、いくつかのテクスチャーにおけるスペーシングのランダム性は、特定の方向又は複数の方向においてサンプリングされる組織の長さを変化させることにより、それに続いて取得の長さの変化を伴って、評価され得る。その長さに選択された値は、このパラメータに対する、測定された係数の感度を試験するために、複数のTRにわたって変化され得る。
VOIは、いくつかの方法により、例えば、例として、交差するスライス選択的リフォーカシング、適切な傾斜と組み合わせてフェーズドアレイ送信を使用する選択的励起、関心領域外の組織からの信号をスクランブルするための断熱パルス励起により選択的に励起され得る。様々な方法に対するパラメータ選択が、SNR最適化に留意することによって行われ得る。例えば、VOIは、図9のVOI904によるように、スライス選択的励起及び2つの追加的な相互に直交するスライス選択的リフォーカスパルスによって生成された。慎重にRFパルスを設計することにより、図10に示すように、VOIの形状は、エッジがスムースであり、且つ窓関数がより近似するように設計され得る。これらの窓関数は、空間周波数に悪影響を与えることなく、体積選択をもたらす。フーリエ理論では、各スペクトル線は、窓関数のフーリエ変換の畳み込みによって不明瞭にされることを想起されたい。エネルギースペクトル密度が低下してSNRに悪影響を及ぼすため、基本的なスペクトルのこの不明瞭を最小限にすることが望ましい。
上述した通り、VOIは、テクスチャー/病状の変化を測定するために、研究中の器官又は解剖学的構造内のある場所から別の場所へ移動され得ることが重要である。この応答は、マッピングされ得るか、又は標的にした病状に適切なように、いくつかの測定値が取られて平均化され得る。これは、組織生検のマルチポジショニングと同様である。しかしながら、組織生検の場合、技術の侵襲性が高い性質に起因して、繰り返し数が制限される。
異なる疾患及び状態は、組織に異なる方法で影響を及ぼす。一般的に、病状の進行は、1)k空間の特定の領域におけるエネルギー密度の損失、及び/又は2)k空間の1つの部分から別の部分へのテクスチャーのエネルギー密度のシフトを伴い、両方の影響とも3)一連のテクスチャーのk値における既存のピークの幅の変化が付随する。例として骨梁構造を使用する - 骨の健康が低下すると、骨梁要素の平均的な分離は広くなり(テクスチャーは、より低いk値にシフトする)、且つより非結晶質になる(k空間のピークが幅広になる)一方、並行して構造要素が薄くなる(スペクトルの異なる部分において、より高いk値へのシフト。)他の組織/器官は、組織のテクスチャーにおいてそれら自体の個々の兆候を有する疾患によって影響を受ける。
本明細書で開示される実施形態を使用して、k空間は、対象の動きによる不鮮明さから生じる信号分解能の損失をなくすように、テクスチャーを明らかにするためにプローブされる。画像を作成するために必要な大きい一連のk値を測定する代わりに、ここで、TR当たりに選択したいくつかのk値の取得に焦点を当て、それぞれの十分な繰り返しによって高SNRを生じる。個々の取得のそれぞれは、単一のk値に集中している。一次では空間的エンコードは、単一の空間周波数正弦エンコードである一方、k値測定の空間周波数選択性を幅広くする効果を有するいくつかの要因がある。k値測定の幅広さ、又は帯域幅に影響を及ぼす1つの重要な要因は、サンプリングされた組織領域の長さである。より長いサンプリング長は、サンプリングされた方向に沿ってより多くのテクスチャー波長を伴い、これは、k値測定の帯域幅を狭める効果を有する。(これは、実際の測定範囲とk空間の測定範囲との間の反比例関係である。)従って、特許請求される方法の態様は、VOI寸法によって決定されるか、又は取得寸法によって決定されるサンプリング長を適切に選択することにより、k値測定の帯域幅を設定する能力である。この方法を使用して、測定の帯域幅は、評価される組織に適切な所望のk空間分解能によって設定され得る。(良好なテクスチャー分解能のための高k値、及び病状によって誘発される変化の高感度の監視のためのk空間における高分解能の両方が必要である。)より高次の構造に関し、予測範囲のテクスチャー波長に分布する狭帯域幅測定の組を選択し得る一方、肝疾患における線維性のテクスチャーの進行など、より無秩序な構造では、単一の又はいくつかの広帯域のk値測定を使用することを選択して、線維性のテクスチャーの進行を監視し得る。
組織に存在する様々なテクスチャーのk値の相対強度、及び研究中のテクスチャー内に存在する一連のテクスチャーのk値に沿ったピークの幅広さの両方の測定が必要である。そのようなものとして、データ取得は、実験パラメータから生じるものではなく、基本的な組織から生じるピークの相対幅を測定できるパラメータ選択を用いて、k空間の特定の1つ又は複数の領域をプローブするように設計され得る。病状によって誘発される組織の変化の最良の測定を生じるために、2つの構成要素及び設計実験の相互作用を認識することが必要である。
動きによってデータが不鮮明になる前の、時間的に近い複数の特定のk値における信号振幅の複数の測定値を取得することにより、テクスチャーの良好な測定値を取得することが望ましく、最小時間で繰り返し測定を行って、平均化に最良の測定値間の相関を可能にする。3次元k空間の1点において多数の測定値を繰り返し取得することの代替例は、傾斜のあるデータを取得することであり、k値が取得中に連続的に変化し、k空間における範囲が傾斜の高さ及びそのパルス幅によって決定されるようにする。kベクトルの大きさを変更することに加えて、データ取得中にその方向も変更され得る。取得にわたる方向及び大きさの変化の組み合わせは、k空間を貫く曲線の軌跡を生じる。このずれが十分に小さい場合、k値は、ある程度相関したままであり、それら値は、SNRを増加させるために、単に平均された場合よりも効率的に組み合わされ得る。従って、取得時における傾斜は、信号スペックル - 個々のスピン信号の様々な位相及び振幅の干渉から生じるデータ取得中に時間変化信号として現れる - を平滑化するために、kベクトルの方向及び大きさを意図的に変更するために使用され得る。取得中にk値の方向及び大きさにおいて選択される変動は、k空間の近傍内の代表的なパワーの概算を得るために、十分に組み合わされた測定値を提供するように選択される。
スペックルを低減させるためにk値を変化させることは、単一の又は複数のエコー内で達成され得る。研究中のk値の大きさによって画定されたk空間内の球では、k値は、k定数の大きさを保ちながら、球の表面にわたってベクトルをスイーピング(sweeping)させることにより、又は同じ角度方向が維持され、且つkの大きさが変更され得ることにより、又は両方が同時に変更されることにより変更され得る。
スペックルの効果を低減させるために、これらの変動は、通常、調査中の特定の組織に関する測定値間に有意の相関がある、kの大きさ又は方向のいずれかからの十分に小さいずれである。
空間周波数の主成分は、測定される組織が高結晶質のテクスチャーでない限り、それら全ての測定値(それらは相関している)において同じである。しかし、微晶質又は非結晶質構造の通常の回折パターンは、スペックルが多い。従って、k空間の同じ領域においていくつもの点をサンプリングすることにより、それらは、スペックルパターンを低減させるように最適な平滑化をもたらすように選択された様々な方法で組み合わされる。その結果、変動を平均することから、より良好及びよりロバストな測定となる。
スペックルを低減させるか又はk空間において幅を合わせるように、k値を「ディザリング」するためのいくつもの手法が用いられ得る。第1の手法は、一定のkの大きさと、取得する期間中に傾斜をオンに保ちながら、ある角度範囲にわたってスイーピングすること、且つスペックルを排除するために、相関情報を使用して測定値を組み合わせることとを用いる。代わりに、取得の期間中に傾斜はそのままのオン状態にして、且つ予期される相関を使用して測定値を組み合わせることにより、k空間における同じ方向は維持され得るが、大きさは変更され得る。さらに別の代替例として、大きさ及び方向の両方が同時に又は一連の取得にわたって変更され得、本質的に、特定のk値の周りの「狭い」領域における構造での雑音の低減及び代表的なkの大きさのより良好な評価の両方をもたらすために、すなわちスペックルを低減させるために、他の2つの代替例を同時に実行する。)
雑音低減の平均化のために、異なるkの大きさの測定値を組み合わせる場合、1つの半径(大きさ)から、傾斜のワインドアップ(wind-up)からの次の半径までの位相シフトがある。リフェージングは、平均化の前に達成され得る。
非結晶質構造において異なる大きさの測定値を組み合わせることは、異なる角度測定値を組み合わせることよりもよく知られている。ここで、高速サンプリングによって熱雑音を低減させるスキームに加えて、スペックルに起因する変動(これは、たとえ実信号が空間周波数の良好な評価を混乱させるとしても)が低減され得る。
従って、動的k空間取得が用いられる。取得モードは、様々なk空間の箇所における信号の信号対雑音比(SNR)に基づいて動的に選択される。信号取得に適用される傾斜、後取得受信帯域幅、及び使用される推定アルゴリズムは、k空間において予測されるSNR値に基づいて動的に調整されて、取得時間及び後処理されたSNRを最適にする。高SNRの領域では、所与のk値における単一サンプルが十分な推定値となり得る。これは、kが迅速に変更される(大きい傾斜に起因して)ときに受信チェーンにおける比較的速い信号の変化に対応するために、比較的広い受信帯域幅を必要とする。
SNRが中程度から低い領域では、傾斜の大きさは、それに続くサンプルが同一のk値において取られはしないが相関されるように低減され、これは、次に、その範囲のk値内にある基本的な信号の値の推定を改善するために使用され得る。
相関は、プロファイル空間において選択される窓形成に起因してk空間に導入され得る。SNRを改善するために、ADCからの一連のサンプルを組み合わせることができるようにするために、連続的なサンプル間の相関は、プロファイル空間での窓形成の適切な選択によって高められ、より短い窓は、k空間における一連の値間をより大きい相関距離に追いやり、及びより長い窓は、サンプルとサンプルとの相関をより低くする。プロファイル空間における窓形成によってk空間内の隣接する点の相関を誘発することは、多くの場合、低SNR環境において基本的なテクスチャーを測定するのを促進し得る数学的ツールである。基本的には、窓形成はデータを不鮮明にするため、k値のパワースペクトルはk空間を通して不明瞭にされて、一連の測定値は、SNRを高めるためにより簡単に平均化され得る/組み合わされ得る。
非常に高いSNR環境では、ある範囲のk空間にわたる実際のテクスチャーのパワー分配の測定が望ましいため、可能な限り大きい窓が使用される。実(プロファイル)空間においてサンプリングされた領域が長いほど、非結晶質テクスチャーを測定するときの測定値がより正確になる。k空間において相関を誘発するために、窓形成により、サンプリングされた領域を減少させることは、実際に、特定の望ましい測定点を不明瞭にする。
しかしながら、測定を容易にするが、窓形成による相関の誘発は、多かれ少なかれ、測定の標的である基本的なテクスチャーから生じる、k空間における基本的な相対パワー密度プロファイルを不鮮明にする。k空間におけるサンプル間のスペーシング(アナログ・ディジタル変換器の速度及び傾斜の大きさによって決定される)が狭まるため、相関が増し、これは、より良好に推定するために後取得の処理において使用され得る。さらに、これらの領域における受信帯域幅が減少され得、これにより、さらにノイズフロアを低減させる。
SNRが著しく低い領域では、取得の期間中ゼロ(及び/又は非ゼロ)傾斜で、特定のk値における、測定される信号レベルの複数の取得値が取られ得る。従って、複数回の取得が最適に組み合わされて、特定のk値に関する推定をもたらし得る。
例示的なハイブリッドパルスシーケンスを図11に示す。この特定のシーケンスは、リフォーカスされたエコー(RARE)型シーケンスによる高速取得の例であり、その場合、3つの別個のエコーにわたり、図示の通り3つの異なるレベルの傾斜が取得に使用される。所望のVOIを選択するための図示のパルスシーケンス及びkに対する初期位相ラップは、図3において説明されるようなものであり、及び図11において一致した符号が付されている。VOIを確立するためのこの例示的なパルスシーケンスは、本明細書で開示される様々な例において用いられるが、VOIの決定は、例として、相応の時間変化傾斜が適用された時間変化RFパルスを含む、多数の手法のいずれかによって行われ得る。同様に、VOIの決定に用いられるパルスシーケンス中又はその後、エンコーディング傾斜パルスは、初期k値の選択に適用され得る。データ記録は、|k|>>0である領域の値を取得することによって開始し、信号がそこで最小であり、及び最初に取得される必要があることを前提とする。第2のエコーサンプル値は、|k|>0と関連付けたが、その信号レベルは、依然として比較的小さく、及びロバストなSNRを提供するために、複数の測定値の組み合わせを必要とする。最終的なエコーサンプル値は、対応する信号が最大である、|k|~0付近の近傍において、|k|に関連付けた。これは、1回の取得でゼロ及び非ゼロ傾斜の両方を使用するこのハイブリッド手法を、どのように使用し得るかの一例にすぎないことに留意されたい。異なる量のk値のワインドアップ(傾斜の大きさ及びパルス持続時間によって決定されるような)は、以下説明するように、複数のエコーではなく、1つのエコーにおいて取得され得る。異なるk値のワインドアップの複数の組み合わせも1つのエコー内で取得され得る。さらに、図面において、RFパルスを用いるようなリフォーカシングが開示され、傾斜リフォーカシングも用いられ得る。
パルスシーケンス/信号取得の拡大されたスケールでの詳細を図12に示す。このシーケンスでは、RFパルス328と、同時の傾斜パルス332とからの第1のエコーは、図3に関して既に説明したものと同様のパルスシーケンス、及び傾斜=0での複数のサンプルの取得、及びk値選択傾斜パルス1100a、1100b及び1100cによるk値のインクリメントを使用する。これにより、k空間における所与の箇所の複数の値をサンプリングし、その後、それらの値は、最適に組み合わされる。これは、値が著しく小さく、従って著しく低いSNRを有するk空間の領域には適している。これは、一般に、|k|が大きい場合に発生する。
RFパルス1102と、同時の傾斜パルス1104とからの第2のエコーは、時間依存性の位相エンコードの機能を果たす小さい非ゼロ傾斜1106をもって取得される。小さい傾斜は、k空間にサンプルを誘発する傾斜であると定義され、これらのサンプルは、サンプルが高度に相関するように十分に近接して間隔を空けられ得る。その後、これらのサンプルは、結果として生じるSNRを改善するために、高いサンプル間相関を利用する推定器によって後処理され得る。定量的に、例示的な「小さい」傾斜は、エンコーディング傾斜パルスの大きさの20%までである。図に示すように、k空間における比較的小さい近傍Δkにおいて、複数の値のサンプルが取得される。Δkのスペーシングは、VOIの窓に起因して、近傍のサンプル間に高相関があるように選択され得る。相関は、k空間の近傍にわたって信号レベルの最適な推定を生成するために推定アルゴリズムにおいて活用される。これは、低SNRを有するk空間の領域に適切であるが、その値は、窓関数によって誘発された相関に起因して、小さい近傍においてk空間にわたってゆっくりと変化する。
RFパルス1108と、同時の傾斜パルス1110とからの第3のエコーは、比較的大きい時間依存性の位相エンコード傾斜1112をもって取得される。本明細書で用いられるより大きい傾斜は、k空間において、研究中のk空間の近傍にわたってより低い相関度を有する一連の測定値を生じる。この場合、SNRの改善に利用可能なサンプル間相関はより低い。値が、開始するのに高SNRを有する(より低いテクスチャー周波数(低いk値)領域に見られるようなものなど)k空間の複数の箇所のサンプリングには、より大きい傾斜が用いられ得る。図面に示すように、k空間にわたって比較的広く間隔を取られ、窓関数によって課せられるようなサンプル間相関の十分外側にあるサンプルは、パルス全体にわたって生成される。これは、信号レベルが比較的高く且つ高SNRを記録できる、k空間における値の高速取得に適切である。この場合、k空間にある所与の点における単一サンプルは、十分に高い信号を提供する。しかしながら、そのようなより高いSNRの領域では、より大きい傾斜が用いられ得、且つデータサンプルの選択されたバーストが高速で記録され得る。これらのバーストは、それぞれバースト内でかなりのサンプル間相関を有し、且つ上述のより低い傾斜の取得に説明したものと同様の結果を計算できるようにする。これは、より大きい傾斜のあるK空間のラインに沿って移行する一方、相関を維持するために、近接して間隔を空けられたk値においてデータのブロックをサンプリングするとみなされ得る。
非ゼロ傾斜の取得は、k空間において曲線の経路にわたってスイーピングできる。時間増分Δt、傾斜の大きさG、w(X)、及び取得されるサンプルの総数Nの賢明な選択により、「高」相関の近傍がM<Nとなるように調整され得る。これは、次に、各出力推定に対してM個のサンプルのサブセットを使用することにより、k空間内の多様な個別の値を推定できるようにする。VOIによって画定された組織領域内からのテクスチャーデータは、非ゼロ傾斜によって取得されて、k空間内の近傍内でのk値のパワー密度の局所分布を決定できるようにし得る。取得時に実行される傾斜パルスでサンプリングされるk空間の範囲は、傾斜の高さ及び傾斜パルス幅(パルス持続時間)によって決定される。k空間における信号サンプル間のスペーシングは、傾斜の大きさ及びサンプリングレート(アナログ・ディジタル変換器の最大速度によって制限される)によって決定される。そのため、k空間における一連のサンプル間の相関は、サンプル間のスペーシング、対象の動き、物理的な空間に取得をひとまとめにするために使用される窓及び基本的なテクスチャーによって決定される。
取得パラメータを選択する有用な方法は、組み合わされる値の組内で必要とされる相関度を参照する。繰り返し構造(テクスチャー)の波長は、テクスチャーに関連付けられるk値の逆数と定義される、すなわちλtexture=1/ktexture。SNRの改善をもたらすために値[測定値]の組を組み合わせることができるようにするために、基本的なテクスチャー信号は、互いに対しλtextureの有意の割合によって位相がシフトされるべきではない。例示的な実施形態では、組み合わされるサンプルの組の全体における位相シフトは、2πの80%以下である必要がある。
MR画像法における分解能は、画像取得時の対象の動きによって限定される。この限界は、非協力的な患者ではかなり重大になり得る。患者の動き/協力に加えて、本発明に相当する例示的な分野であるMR画像法において達成可能な分解能は、組織コントラスト、器官、コイルタイプ、コイルへの近さなどのいくつかの要因に依存する。約5mm未満の範囲の構造のロバストな画像は問題があり、及び約1mm未満のものはいずれも、型にはまった臨床画像法の範囲外である。これは、病状の進行に応じて、約5mm~10μmの範囲の多くの組織テクスチャーが進行し且つ変化し、従って、これらのテクスチャーの測定は、多くの診断情報を提供し得るため、明らかな欠点である - これらの組織変化は、ほとんどの場合、疾患の第1の前兆である。ここで開示する方法で標的にするのは、約5mm~10μmのこのテクスチャー波長範囲である。
組織のテクスチャーを測定するために、解像され得る実空間の波長範囲、すなわち特定の病状に関するテクスチャーの波長は、数mm~数ミクロンの範囲である。この範囲は、患者の動きに起因して画像が入手できなくされる(不鮮明にされる)範囲である。例示的な実施形態では、kが1/波長であると定義されるため、約0.2mm-1~100mm-1の範囲のk値が関心テクスチャーを定義するために用いられる。これは、関心k空間の領域をまとめ、及び傾斜の大きさ及びエンコーディング傾斜パルスの持続期間を規定して、位相ラップを誘発し、特定のk値及び向きのための、並びに初期に選択されるk値の近傍の測定に適用される非ゼロ傾斜のための空間的エンコードを作成する。サンプル取得及び後処理のための本明細書の実施形態の方法は、全てk空間において実施され得る。実空間における唯一の局在化は、VOIの位置決めである。テクスチャーを測定するために - すなわち、実空間において選択される点の周りのk空間の近傍内でパワー分配を決定するために、実空間における1つの点の周りの近傍のみがサンプリングされる。
必要とされる正確な範囲は、標的とする病状によって変化する。例えば、
骨の微細構造における骨粗しょう症の進行。例として、健康な骨から骨粗しょう症の骨への平均的な骨梁スペーシング(TbSp)の変化は、約0.3mm~3mmの波長範囲に入る。k値の等価の範囲は、0.34mm-1~3.4mm-1である。肝線維化疾患での監視によれば、肝組織テクスチャーにおいて、健康な膠原が強調された血管と血管とのスペーシングから、小葉と小葉とのスペーシングが顕著な組織テクスチャーになる病的状態に変化する。血管対血管の範囲は、0.4mm~1.5mmであり、0.67mm-1~2.5mm-1のk値となる一方、小葉と小葉とのスペーシングは、約1mm~4mmであり、0.25mm-1~1mm-1のk値となる。腫瘍部位の周りでの血管原性血管系(Angiogenic vasculature)の進行は、一般に、約100μm;k=10mm-1の健康な血管のテクスチャースペーシングから変化する。その混とんとした性質に起因して、血管原性血管系におけるスペーシングは、約10μm~1mm又は1mm-1~100mm-1の広範囲にわたる。皮質ニューロンのスペーシングに関する認知症関連の変化の診断評価は、高k値の測定を伴い、健康な構造は約100μmのスペーシングすなわちk=10mm-1である。構造のランダム性が増した状態でのこの値の約10~20%の変動は、疾患を示す。
従って、取得パラメータは、(1)傾斜の大きさ/持続期間が、標的組織テクスチャーに存在するパワー密度を検査することが望ましいk空間の近傍に広がるkエンコードの範囲を生成し、(2)組み合わされるサンプルが、組み合わされるサンプルのブロックの取得時間にわたる対象の動きに起因する著しい不鮮明さがないように、時間的に十分に近くに発生する必要があり、及び(3)許容量の動きが調査中のk空間の近傍(すなわち波長)に依存するように選択され得る。
非ゼロ傾斜の標的VOI内からのテクスチャーデータの取得は、k空間における初期k値の近傍内でのk値のパワー密度の局所変動の決定を可能にする。各傾斜パルスにおいてサンプリングされるk空間の範囲は、傾斜の高さ及びパルス幅によって決定される。k空間におけるサンプル間のスペーシングは、傾斜の大きさ及びサンプリングレートによって決定される。
これらのパラメータは、(1)対象の動きが、測定されるテクスチャーに対してデータを有意に不鮮明にし得る前に、有意なSNRの改善に向けて組み合わせるための十分なデータの取得を可能にし、(2)SNR≧0.5dBを維持するために、組み合わされる取得からのk値のブロックにわたって十分な相関を保証し、及び(3)テクスチャーにk値のパワー密度が存在することが望ましいk空間の範囲を設定するように選択される。
SNRの改善のために再び組み合わされる一連の信号サンプルのブロックは、重なり合わなくても、又は以下説明するように、選択された数の点又は例えば測定値1~4、2~5、3~6を組み合わせるために使用されるスライディングブロックなどによって重なり合い得る。さらに、各ブロックのサンプル数は、k空間における取得の範囲にわたってブロックごとに変動し得、組み合わされるサンプル数のこの変動は、ロバストな測定を提供するのに十分なSNRを維持するための十分な相関の条件によって決定される。概算の雑音レベルが信号入力の欠如した状態での雑音の測定を含む、産業界に周知のいくつかの方法によって独立して決定され得る。
1回のエコー、TR、又は走査内での異なる大きさの複数の傾斜のあるデータの取得は、k空間の様々な標的領域において組み合わされた信号の最良のSNRを可能にするように選択されている連続的な傾斜の大きさによって達成され得る。SNRを改善するために、ADCからの一連のサンプルを組み合わせることができるようにするために、連続的なサンプル間の相関は、プロファイル空間における窓形成の適切な選択によって増大され得、より短い窓は、k空間における一連の値にわたってより大きい相関距離に追いやり、及びより長い窓は、サンプルとサンプルとの相関をより低くする。選択される窓の幅は、より短い窓に影響する、k空間における多くのサンプルにわたる相関に対する望み、及び特に高度に非結晶質のテクスチャーを測定するとき、ロバストな測定をもたらすために、実空間において十分な範囲のテクスチャーをサンプリングする必要性の両方によって画定される。
k空間においてブロックで取得される信号の後取得の組み合わせ、組み合わされるサンプルの数は、組み合わされる個々の信号間の相関がSNR≧0dBを達成するのに十分であるという条件によって決定される(相関のレベルは、対象の動き、傾斜の大きさ、サンプリングレート、窓の形状、及び基本的なテクスチャーによって決定される)。
非ゼロ傾斜の取得の使用は、個々のスピン信号の変動する位相及び振幅の干渉から生じる信号スペックル - これは、データ取得時の時間変化信号として現れる - を平滑化するために、データ取得時、ある範囲にわたってkベクトルの方向及び大きさを意図的に変更するために用いられ得る。データ取得時にk値の方向及び大きさにおいて選択される変動は、SNRが0dBの状態で、k空間の近傍内での代表的なパワーを推定するために、十分に組み合わされた測定値を提供するように選択され、ここで、その近傍は、近傍の重心の3次元方位及び大きさの20%以内である。
非ゼロ傾斜の適用によって生じた設定された近傍にわたるkの変化の補正は、特定の組のk測定値に、禁止されたkエンコードを用いることによって達成され得る。さらに、ある期間内に及び選択されるVOIから取得されるkの測定値の組内での相関は、患者の動きによって誘発されるデータの位相シフトが標的テクスチャーのk値範囲に対応する波長の50%未満となるように、生物学的な動きが十分に小さくなるように期間を選択することによって誘発され得る。代わりに、個々の測定値と、所望のSNRが達成され得る設定される推定との間に十分な相関があるように窓関数が選択され得る。
さらに拡大されたスケールでの非常に低いSNR取得モードの詳細は、図13に示される。シーケンスのこの部分では、サンプルゲートが開放しており、それによりサンプル1118を生じる領域1116内の初期値1114a、k値選択傾斜パルス1100aによって誘発される第2の値1114b、k値選択傾斜パルス1100bによって誘発される第3の値1114c、及びk値選択傾斜パルス1100cによって誘発される第4の値1114dにおいて、k値は一定である。これは、同じk値の複数回の信号の繰り返しが高速でサンプリングされ、それら全てが1つの推定に組み合わされる、上述したパルスシーケンスである。
さらに拡大されたスケールでの低SNR取得の詳細は、図14に示される。シーケンスのこの部分では、k値は、サンプルゲートが開放しているときに領域1122を記録する際に存在する非ゼロ時間依存性の位相エンコード傾斜1106に起因にして、トレースセグメント1120によって示されるように、ゆっくりとではあるが変化することに留意されたい。しかしながら、k空間にわたるサンプル1124の範囲は、窓関数に起因して値が高度に相関される、比較的コンパクトな近傍である。
さらなる拡大されたスケールでの高SNR取得の詳細は、図15に示される。シーケンスのこの部分では、k値は再度、領域1128にあるサンプルゲートが開放している期間中に存在する非ゼロ時間依存性の位相エンコード傾斜1112に起因して、トレースセグメント1126に示すように変化する。k空間にわたるサンプル1130の範囲は、依然として比較的コンパクトな近傍であるが、窓関数によって課されるサンプル間相関外にある。
非ゼロ傾斜での低SNR及び高SNR取得モードは、標準的な周波数エンコードされたMRIシーケンスと異なる。なぜなら、適用される傾斜は、位置、すなわち周波数エンコーディングを確立するために使用されるのではなく、k空間の比較的広い近傍にわたっていくつもの個々のサンプルを高速で取得するために時間依存性の位相エンコードとして使用されるためである。
上述の通り、傾斜取得は、図16に示すように、複数回のエコーではなく、1回のエコーで取得され得る。ここでも、kのための初期位相ラップ及び所望のVOIを選択するための図示のパルスシーケンスは、図3で説明したようなものであり、且つ図16において一致した符号が付されている。
図16及びより大きいスケールの図17で示すように、k値は、初期値1614a、k値選択傾斜パルス1600aによって誘発される第2の値1614b、及びk値選択傾斜パルス1600bによって誘発される第3の値1614cにおいて一定である。k値は、図12の例でインクリメントされるのとは対照的に、デクリメントされることに留意されたい。これは、同様に、同じK値での信号の複数回の繰り返しが高速でサンプリングされる1622a、1622b及び1622c(それら全てが1つの推定値に組み合わされる)という既に説明されたパルスシーケンスである。
同じエコー内でのシーケンスの第2の部分では、k値は、サンプリングの期間中に存在する非ゼロ時間依存性の位相エンコード傾斜1606に起因して、トレースセグメント1620によって示すように、ゆっくりとではあるが変化する。しかしながら、k空間にわたるサンプルの範囲1624は、比較的コンパクトな近傍であり、ここで、値が高度に相関されている。
同様に依然として同じエコー内にあるシーケンスの第3の部分では、高SNR取得が実施される。k値は、ここでも、サンプルゲートが開放している期間中に存在する非ゼロ時間依存性の位相エンコード傾斜1608に起因して、トレースセグメント1626によって示すように変化する。k空間にわたる範囲1628は、依然として、比較的コンパクトな近傍であるが、窓関数によって課されるサンプル間相関外にある。
図18に(及び図19により大きいスケールで)示すように、ここで、kのための初期位相ラップ及び所望のVOIを選択するための図示のパルスシーケンスが図3に説明され且つ図18において一致した符号を付されているが、時間依存性の位相エンコードの機能を果たす、低い非ゼロの大きさの傾斜1802が適用され、及びデータサンプル1804は、トレースセグメント1808に見られる、既に説明したように高相関を有しゆっくりと時間変化するk値のための初期k値1806から得られる。初期位相ラップは、低SNR領域に対応する大きさの初期k値を提供するように選択され得る。
同様に、図20に(及び図21により大きいスケールで)示すように、k値領域を設定するために所望のVOI及び初期位相ラップを選択するためのパルスシーケンスが示され、及び図3に説明されているようなものであり、且つ図20において一致した符号が付されている。時間依存性の位相エンコードの機能を果たす、より大きい非ゼロの傾斜2002が適用され、及びデータサンプル2004が、トレースセグメント2008に見られる、より迅速に時間変化するk値のための初期k値2006から得られる。初期位相ラップは、より高いSNR領域に対応する大きさの初期k値を提供するように選択され得る。エンコーディング傾斜326は、標的テクスチャーにおいて最低又は最高のk値にワインドアップするために用いられ得、及び非ゼロの大きさの傾斜パルスが必要な方向(kを増加する又は減少する)に課されて、k空間におけるテクスチャーを定義するための他方の限界値に達する。
取得されるサンプルは、窓関数によって課されるサンプル間相関外にあり得る。しかしながら、k値のための信号レベルは比較的大きく、及び高SNRを有する。さらに、既に説明したように、例としてサブセット2010a、2010b、2010c及び2010dにおけるサンプルの高速取得は、サブセット内のサンプルが十分に相関されたままとし得、及び予め決められた又は予期したテクスチャーを有する構造において所望のデータを提供し得るように達成され得る。多くの一連の値は、組み合わせることができるが、組み合わせによってSNRを改善するように十分に相関される(平均化は、組み合わせの1つの単純な形態である)。そのため、組み合わされたデータ点の組を使用して、取得全体におけるパワー分配を特徴付け、VOI内の基本的なテクスチャーのより良好な測定値を得る。
上述の通り、言い換えは、第2の90-180-180励起(TR)における低位相変化に基づいて、低k値及び高k値を分離する。SNRは、連続的に取得される信号の再登録による連続的なk値サンプルのスマートな組み合わせによって傾斜オン取得で最大にされる。データは、波長が十分に長く、対象の動きが再登録によって簡単に補正され得る、ある範囲のk空間にわたって取得される - すなわち、このk範囲の測定値に誘発される位相シフトは、テクスチャー波長よりも遥かに小さい。低k値信号は、代替的なリフォーカシングシーケンス、又は一連の励起(TR)においてサンプリングされ、信号の取得は、より高い関心k値範囲からである。TE長の波長測定を使用して、測定にわたり、動きによって誘発される位相シフトを決定する。その後、その位相シフトは、再登録前に、より高いkデータに適用される。
いくつもの相関が空間的な窓形成によって暗示される。
g(x)が1次元の(実数値の)信号に対応する場合、k空間における対応する関数は、フーリエ変換により、
として与えられる。これは、フーリエ対(Fourier pair)として、
g(x)⇔G(2πk) (2)
として表わされることが多い。
窓形成は、g(x)の範囲を、コンパクトサポートの有限領域に限定するプロセスであるが、そのような方法で窓形成を行うことは、切り詰めによって(人為的に)導入された非連続性に起因するスペクトルアーチファクト(spectral artefacts)を最小限にすることである。
窓関数に使用される特定の形状に関わらず、窓の幅とそのスペクトルとの間には反比例関係がある。これはフーリエ関係式
に起因する。
2つの関数を乗算することは、それらそれぞれのスペクトルを畳み込みする効果を有し、すなわち
f(x):=g(x)h(x)⇔F(2πk)=G(2πk)*H(2πk) (4)
である。
畳み込みは、スペクトルが入力信号であったとしても、スペクトルの線形フィルタリングであると考えられ得る。
項
は、G(2πk)スペクトルに対する低域フィルターのような機能を果たし、信号を平らにする傾向を有する。αの値が大きいほど、低域フィルターは狭くなる。これは、F(2πk)の隣接する値間に有意な相関を生じる。
フィルタリングされる入力の雑音サンプルを観察する推定器は、よく研究されており、及び最適な推定を生成するために適用され得る;ウィナー(Weiner)フィルター、カルマン(Kalman)フィルターなど。
動的取得モードが用いられ得、ここで、
Xは、像空間における3次元ベクトルに対応し、
g(X)は、所与の3次元空間位置における像の値に対応し、
Kは、3次元ベクトルに対応し、
G(K)は、像gのk空間における値に対応する。
初めに簡単にするために、この信号の時間依存性は無視され、これは、順次に、T1、T2、T2*、並びに異なるアイソクロマット(Isochromat)(体積内の異なる化学種)などに起因する信号の寄与に依存する。結局、これらの影響が考慮される。
依拠する基本原理は、以下の通りである。
一般的に、G(K)のSNRは|k|=0において最高であり、その後、|k|が増加するにつれて、低下する
SNRが低下する速度は、一般に、SNR∝|k|-α(式中、αは、1~3の範囲内にある)で表わされる。
サンプリングレートは、傾斜の大きさと組み合わされて、所与のVOIに対するk空間におけるサンプルスペーシング(Δk)密度を設定する。
傾斜の大きさが減少すると、サンプル密度は増大する(すなわちΔkが減少する)。
像空間における窓形成のサイズに依存して、対応する相関があり得る。
一般化された場合、空間座標とk空間との間の単純化されたMRI関係は、
(式中、
rは、メートル(m)単位での実数値の3次元の空間座標を表し、
I(r)は、空間座標rの非負数実関数である像を表し、
kは、サイクル/メートル(m
-1)単位での実数値の3次元のk空間座標を表し、
S(k)は、I(r)のフーリエ変換を表し、且つ一般的に、kの複素数値関数である)
によって与えられる。及び積分は、3次元の空間平面全体にわたる。
要するに、S(k)は、像の関数I(r)の3次元のk空間における対応する値を表す。
同様に、k空間座標は、時間の関数であり、及び一般式
(式中、
は、値42.576MHz/Tのプロトンの磁気回転比であり、
g(t)は、T/m単位での傾斜の強度を表す、時間の実数値の3次元関数である)
を有する。この関数は、プロトンスピンを何らかの望ましい方法で操作することを目的とするパルスシーケンスの一部としての設計入力である。
式(7)における積分は、所与の値tに対するk(t)の値が傾斜関数の以前の全ての履歴の積分として計算されることを示す。技術的には正しいが、これを
と表わすことが好都合であることが多い。
ここで、t0が好都合な開始時間を表す場合、k(t0)は、t0における対応するk値であり、及び積分の下限はt0で開始する。
時間への依存をより明確にするために、式(6)は、
と表わすことができる。S(t)は、g(t)においてエンコーディングされる傾斜シーケンスと関連して行われるMRIエコー実験中に取得するであろう複素数値の基底帯域信号を表す。
一般性を失うことなく、k、g及びrは、
k=[k
xk
yk
z]
T
g=[g
xg
yg
z]
T
r=[r
xr
yr
z]
T (10)
としてデカルト成分に分解され得る。また、式9は、
と表わされる。
概して、k(t)は、時間の関数としてK空間内の曲線の経路を表す。
初めに、初期概念の説明を容易にするために、評価は、k(t)=[k
x(t)0 0]
Tと仮定することによって1次元に沿って制限される。そのため、式(11)は、
に単純化される。ここで、
及び式(8)は、
に単純化される。
であると定義する。これは、時に、
R(k)⇔ρ(x) (16)
と表わされる。簡潔に示すために、R(k)及びρ(x)は、フーリエ変換対である。(12)と(15)とを比較することにより、S(t)は、単に、
S(t)=R(k(t)) (17)
で表わされる様々なフーリエ係数にわたる時間依存性のプログレッションであることが分かる。ここで、時間値tと対応するK空間座標とのマッピングは、式(14)によって与えられる。
一般的に実際のMRI装置において受信信号Inをモデル化するために、所望の信号及び雑音の組み合わせがアンテナによって受信される。その後、その信号は、フィルタリング、増幅、ダウンコンバート、サンプリング、及び量子化される。
具体的な詳細は機械依存性であるが、単純なモデルは、機械の出力を次の通りに表すように展開され得る。Y(t)が、関心信号及び雑音信号の組み合わせを、
Y(t)=S(t)+W(t) (18)
(式中、
S(t)は、式(17)において与えられ、
W(t)は、分散σw
2の複素数値のゼロ平均の加法性白色ガウス雑音プロセスである、すなわちE{W(t)}=0及びE{W(t)W*(t+τ)}=σw
2δ(τ))
として表わすようにする。
その後、受信信号Y(t)は、均一にサンプリングされる。
Y
n=Y(t)│
t=n・Δt=R(k(t))│
t=n・Δt+W(t)│
t=n・Δt (19)
これは、より単純に、
Y
n=R(k
n)+W
n (20)
(式中、
シーケンスk
nは、
によって与えられる)
と表わされ得る。
を定義する。その後、(21)は、より単純に、
k
0=k(t)│
t=0
k
n+1=k
n+Δk
n+1 (23)
と表わされ得る。
この場合、要するに、シーケンスknは、傾斜関数のサンプル間の積分によって決定されるインクリメントのシーケンスによって定義される。
等式(20)、(22)及び(23)は、本明細書で開示される異なる傾斜条件下にある信号を説明するために用いられ得る。
事前のある程度の傾斜アクティビティによって「プレフェーズ(pre-phased)」されているが、ここで、傾斜は、もはや図12、図14及び図15に対して上記で説明した通りゼロに保持されておらず、エコーのサンプルの収集は、以下の通り分析され得る。
その場合、信号は、式(20)によって
Y
n=R(k
n)+W
n (24)
として与えられ、及びk
nは、式(21)により、
として与えられる。
測定値は、非ゼロ傾斜レジームにおいて発生しているため、積分項はもはやゼロではなく、これは、シーケンスknがもはや一定ではないこと、及び従ってシーケンスR(kn)がもはや一定ではないことを暗示する。
I(r)の基本的な構造に対して仮定をしていないため、R(kn)の値間にはいずれかの特定の構造又は関係があるとの暗示はなされ得ない。これは、非常に低いSNR環境において有用な信号を推定したいとき、本出願人らを明らかに不利な立場にする。
像領域において乗法的窓関数を適用することにより、R(kn)の値に構造が課され得る。これは、2つのフーリエ変換恒等式を活用する(leveraging)ことによって達成される。1つの領域における乗法は、逆数領域(reciprocal domain)における畳み込みに対応する。以下のフーリエ対を定義する。
v(x)⇔N(k)
ρ(x)⇔R(k)
ζ(x)=Z(k) (26)
そのため、1つの領域における積は、逆数領域におけるコンボルーションに対応する。
v(x)=ρ(x)ζ(x)⇔N(k)=R(k)*Z(k) (27)
1つの領域におけるスケーリングは、逆数領域における逆スケーリングに対応する。ζ(x)⇔Z(k)である場合、
である。
窓形成関数は、一般に、像空間を有限のコンパクトな関心領域に制限する一方、同時に、窓自体に起因する、対応する像スペクトルに対する悪影響を最小限にするために使用される。当業者は、それぞれがそれら独特の特徴の組を有して開発された多様な窓関数があることを認識するであろう。
説明のために、最も基本的な窓関数:
を検討する。対応するフーリエ変換は、
によって与えられ、これは、フーリエ対
Π(t)⇔sinc(f) (31)
と表わされることが多い。等式(28)を使用して、わずかに一般化されたバージョン及びそのフーリエ対は、
である。等式(27)を使用して、窓のプロファイル及びフーリエ対は、
である。基準として等式(24)を使用して、サンプリングされるMRI信号は、
Y
n=N(k
n)+W
n (34)
と表わされ得る。これは、(33)を使用して、
と表わされ得る。ここで、コンボルーション積分は、明確に展開された。
knで取られたコンボルーション積分の値は、もはやR(kn)の1点のみの関数ではない。各点knに対し、コンボルーション積分は、knを中心とするR(k)の値の加重和を計算する。k空間の近傍の範囲は、パラメータXに反比例する。Xの値が小さいと、k空間における近傍の幅は増加する。
本明細書の実施形態に対し、関心値の領域の範囲は、k空間の値k
0、k
1、k
2、・・・k
N-1の集合に対応する。
を定義する。これらは、従って時間間隔Δt及び関数g(τ)の関数である。
例えば、g(τ)=G(式中、Gは、正定数である)と、単純な仮定を行うと、knは、k空間の一部分にわたる均一なサンプリングにすぎず、及び
kn=k0+nGΔt (37)
によって与えられる。この場合、kmin及びkmaxは、
kmin=k0
kmax=k0+(N-1)GΔt (38)
によって与えられる。
k空間の単純なサンプリングが選択され得るが、特に必要なわけではない。実際、不均一な及び/又はさらには非単調なサンプリング戦略が有用であり得る適用例があり得る。
理想的には、パラメータX(及び窓関数)は、knの近傍にわたる加重和の結果が、
N(kn)≒C
(式中、Cは、複素数値定数であるが、有意なスペクトル分解能を失うようなほどに範囲は広くない)
となるように「十分に広い範囲」となるように、選択される。
本明細書で開示される実施形態の目的のために、「小さい」非ゼロ傾斜は、所望の窓に基づいて決定され得る。式(10)から、
である。
プロファイルの公称中心点が、点x
0を中心とするようにシフトされたと仮定する。その結果、
となる。これは、k空間における各点が、オフセットx
0に比例する複素空間において回転されることを示す。
傾斜は正定数であるため、式(39)により、
k
n=k
0+nGΔt (43)
であると仮定され得る。(42)に代入することにより、
を生じる。ここで、初期位相オフセットθ
0及び位相インクリメントΔθは、
θ
0:=-2πk
0x
0
Δθ:=-2πGΔtx
0 (45)
によって与えられる。
適切に特定された窓形成関数の適用に起因して、R(k
n)≒Cが近傍内の複素定数である場合、後取得推定器は、最終的な推定値に組み合わせ且つそれを生成する前に、最初に、オフセットしている位相インクリメントe
jnΔθを、
の各取得サンプルに乗算する。
Δθの推定値は、より低いk値(SNRがより高い)にわたって窓プロファイルで取られたk空間サンプルのシーケンスから得られ得る。
相関は、窓形成によって既に説明したような1つのパラメータとして誘発され得る。実数値の窓関数ζ(x)によるプロファイルρ(x)の乗法は、フーリエ関係式
v(x)=ρ(x)ζ(x)⇔N(k)=R(k)*Z(k) (46)
によるk空間におけるコンボルーションに対応する。
Z(k)は、複素数値出力信号N(k)を生じるために、k空間において複素数値信号R(k)に適用される線形フィルターのインパルス応答として処理される。
出力信号R
NN(K
1,K
2)の自己相関関数は、入力信号R
RR(K
1,K
2)の自己相関の関数として、及びインパルス応答Z(k)は、
として表わされ得る。
式(47)は、基本的な信号R
RR(K
1,K
2)の自己相関関数が通常分かっていないため、不都合である。R(k)は、白色雑音の広い意味での定常プロセスであり、及び自己相関を
R
RR(K
1,K
2)=σ
R
2δ(K
1-K
2) (48)
として表わすという単純な仮定が行われる。この仮定では、(47)は、
R
NN(K
1,K
2)=σ
R
2R
ZZ(K
2-K
1) (49)
に単純化される。ここで、R
ZZ(K)は、インパルス応答Z(k)の自己相関関数であり、且つ
によって与えられる。
k対時間のマッピングは、以下の通りにマッピングされる。
k
n=k
0+nGΔt (51)
正規化相関
は、基本的なサンプル点が相関される程度を測る。低SNRレジームでは、サンプルの全てにわたって高相関が望まれるため、下界:
を設定する。
等式(50)及び(53)は、窓関数インパルス応答Z(k)と、傾斜の強度Gと、サンプル間隔Δtと、サンプル数Nと、相関下界ηminとの間の規定的な関係を提供する。
例えば、窓関数が、
であると定義されると仮定する。ここで、Π(x)は、下記で定義する標準的ないわゆる矩形関数であり、及びXは、定数である。
インパルス関数Z(k)は、フーリエ変換
によって与えられる。
対応する正規化相関関数η(K)は、
η(K)=sinc(XK) (57)
によって与えられる。
相関を、この場合、(53)により、η
min=0.95によって下界となるように制限する場合、
η
min≦sinc(X・N・G・Δt) (58)
という条件を生じる。これは、テイラー級数の最初の2つの項を使用することにより、
と近似され得る。これは、反転され、且つ(58)に適用されて、
を生じ得る。ここで、これは、傾斜の強度G、サンプル間隔Δt、及びサンプル数Nの積の上界を明白に表す。
一般に、サンプル間隔Δt、及びサンプル数Nは、他の検討事項によって決定される。これらを所与のものとして考えると、最大傾斜レベルは、
によって与えられる。
この場合、非ゼロ傾斜データ取得に関し、傾斜Gが、計算された上界を下回る限り、取得されるサンプルは、規定された相関レベルを有する。この条件は、本明細書の目的のために、「小さい傾斜」レベルと定義される。
この限界値を越えるサンプリングは、より低いサンプル相関を生じるため、潜在的な後取得SNRゲインは小さくなる。「より大きい」傾斜は、この条件において動作すると定義され得る。傾斜の決定は、(1)インパルス応答における「メインローブ」の形状(及びある程度は、幅)に影響する窓関数の選択(例えば矩形、Tukey、ハミングなど)、(2)窓の範囲の選択(プロファイル領域の範囲が大きいほど、インパルス応答における「メインローブ」は狭くなる)、(3)自己相関関数を生じ得るインパルス応答、(4)サンプルが含まれる必要がある、k空間における有効幅を決定する所望の相関レベル、及び(5)実際のサンプリング近傍サイズを決定する、サンプリングレート*サンプル数*傾斜サイズ(この数が、要素(4)内に含まれる数によって制限されている限りであることに留意すること)を含む、いくつものパラメータによる影響を受け、傾斜は「より低い傾斜レベル」レジームに留まる。
例示的な実施形態は、テクスチャー波長対VOI取得軸の長さの比を一定に維持する。標的にしたk値が変化するため、VOI取得軸の長さは、対応するテクスチャー波長対取得長の比が一定のままとなるように、変化する。ここでの目的は、サンプリングされるテクスチャー「細胞」の数を一定に保つことである。このようにして、k空間Δkにおける特定の点において観察される差分拡大が、RFパルスの有限幅又は傾斜パルスのエッジなど、実空間においてサンプリングされる長さ以外の源から生じることが予想される。
MRベースの診断技術は、組み合わされ得る。非常に微細な組織構造を見るように設計されているいくつかのMRベースの技術は、基本的な構造の間接的な測定値のみを提供するのみであるため、いくつかの病状における解釈を困難にし得るデータを提供する。拡散強調画像法及び磁気共鳴エラストグラフィ(MRE)は、2つのそのような技術である。この仮出願の方法は、直接測定するため、多くの場合、微細なテクスチャーのより良好な測定値を提供し、且つ場合により診断能力を高める相補的なデータを提供する。複合的な取得技術は、テクスチャー、従って病状のよりロバストな測定を提供し得る。
開示の実施形態は、磁気共鳴エラストグラフィ(MRE)と組み合わせて使用され得る。現在のところ、MREの主要な適用例は、治療に対する反応、進行、生検の必要性などを決定する、肝疾患の診断としてのものである。標的とする病状は線維化進展であるが、この技術は、これを、組織の硬化を測定することによって間接的に測定する。多くの場合、線維化進展を、他の硬化によって誘発される状態、例えば門脈圧亢進症及び炎症と区別することは困難である。さらに、機能低下した(compromised)肝臓から生じることが多い肝鉄過剰が、低信号、従って、誘発される機械的な波の不適切な可視化を生じる。
開示の実施形態は、肝臓における線維化進展の直接的な測定を提供し、そのようなものとして、肝線維化疾患の様々なトリガの場合、疾患の進行又は治療に対する反応に関する追加的なデータを提供する。他の間接的な測定値、例えばMRE、DTI、DWIなどを較正するために、標的とする解剖学的構造内の局所測定を提供する。
開示の実施形態は、腫瘍において、拡散強調画像法と組み合わせて、又はそれに置き換えて使用され得る。高精度で腫瘍のエッジを検出する能力は、正確な外科的除去を容易にする。開示の実施形態を使用して、データは、VOIにおいて、血管原性血管系の領域のエッジを探すために、腫瘍領域にわたって選択された方向に沿って取得され得る。
治療に対する反応を判断するために腫瘍の内側を測定する能力は、目的とする介入に役立つ。後者の例として、メラノーマ腫瘍の免疫療法は、T細胞浸潤に起因する腫瘍の膨張を誘発し、これは、構造的なMR走査では、悪性腫瘍増殖と同様に見える。従って、治療を継続するかどうかを決定することは困難である。腫瘍内及びその周囲の血管系の状態を調べる能力は、増殖が癌性であるか又は免疫系反応によるものかの識別を可能にする。開示の実施形態は、現在使用されている、解釈が困難であることが多いDTI測定値の局所較正も提供する。
開示の実施形態は、腫瘍学において、骨分解(bone degradation)測定として使用され得る。放射線及び/又は化学療法は骨の健康を損なうことが多いことがよく知られている。癌治療に起因する骨の変化の測定は、治療を調整し且つ骨の健康を保護するための介入が必要であるかどうかを決定するのに役立つ。
現在、乳癌の手術及び治療に続けて、患者は、乳房組織を撮像するために、定期的にMRスキャナにかけられる。そのような検査の視野内には胸骨があるため、海綿骨への変化を測定し、従って骨の健康の尺度を得るためにこの方法の短い追加シーケンスを容易に適用可能となる。
腫瘍学に開示の実施形態を使用できる可能性のさらなる例として、開示の実施形態を使用して、進行、タイプ、及び治療に対する反応を段階付けするために、腫瘍の形成及び進行に応答して乳管増殖の過形成的進行を測定し且つ定量化し得るか、又は腫瘍を取り囲む血管系の血管新生増殖を測定し且つ定量化し得る。乳房手術後の継続的な治療は、エストロゲンレベルの低下を伴うことが多く、骨の健康をさらに損ない、且つそのようなものとして、骨の監視のためのMR走査の照会が一般的である。本明細書で開示される方法の使用は、海綿骨構造を直接測定することにより、骨の健康のロバスト且つ詳細な評価を可能にする。
開示の実施形態は、ビッグデータ及び機械学習スキームも補完する。開示の方法は、より疾患について学び、個々の患者及び特定の疾患に対する予測力を高め、及び様々な集団の傾向に留意するために、大量の医療データ集合体間の比較に使用する傾向を補足する。ビッグデータ/機械学習と併せて、本出願の方法を使用することの利点は、
開示の実施形態の適用例からの出力測定が未知の病状の集団で比較され得、例えば、標的k値にわたるパワースペクトルの変動が同じ集団での大腿骨骨折の発生と比較され得;皮質ニューロン束におけるテクスチャーのパワー分配が測定され、且つアルツハイマーのミニメンタルステート検査、脳萎縮のMR画像法又はAD若しくは他の認知病状の他の評価での成績と相関され得ること;肝臓の様々な箇所でのテクスチャーパワー分配対k値が大規模な集団での肝疾患の他の推論、例えば生検、身体検査、血液検査、MR画像法又はMREと比較され得ること;
大きい集団での機械学習の使用が病状における特定のバイオマーカの決定を可能にすること;
ビッグデータ及び機械学習を使用して有用な相関を作る能力が、開示の実施形態の方法によってもたらされるような高SNR測定入力で遥かに良くなること;
機械学習の使用が、例えば、疾患が、病変組織に現れる特定のk値での強い信号の出現によって規定される場合を示し得ること
を含む。
疾患の進行に伴う、肉眼で見える病状に先立って、病気に冒された組織において細胞レベル付近での病状の変化が生じる。例えば、骨疾患では、骨折は、骨梁要素の進行中の進行性菲薄化の下流の影響であることが多い。肝疾患などの軟組織疾患では、線維性構造が、病気に冒された器官において長い時間かかって進展し、最終的に硬変を生じる。及び神経学では、脳における組織テクスチャーが、白質及び灰白質の両方において、疾患の発症及び進行に応答して変化する。微細な組織のテクスチャーに影響を及ぼすものなど、疾患における早期の変化を測定する能力は、早期診断を可能にするため、より早期の治療、治験に含めるための標的化対象、及び治療に対する反応の高感度の監視を可能にする。
本明細書の実施形態は、疾患の発症及び早期の進行に伴う疾患における病状の変化の臨床的にロバストな測定を提供するその能力にもかかわらず、組織テクスチャーのこの直接的且つ高感度の測定を可能にし、必要な診断能力を提供する。
開示の方法の最も価値ある特徴の1つは、MRIに適用される最も対照的な方法と併用され得ることである。この方法は、画像とは対照的に、テクスチャーの測定となるため、組織テクスチャー要素間にコントラストを有することのみが必要である。このコントラストは、特定の病状での組織コントラストを最適にするために選択される多くの方法で生成され得る。組織テクスチャーの測定は、対象の動きを極めて免れることに起因して高空間分解能を生じる。本明細書で先に開示した方法の取得時間は短く、テクスチャーデータは、様々なシーケンスにおいて画像取得が組み入れられて取得され得る。
例えば、実際上、海綿骨要素自体からの信号がない骨では、脂肪から高信号を生じる標準的なT1パルスシーケンスが、骨と骨髄との間に必要な高コントラストを提供する。従って、本明細書の方法を用いるテクスチャーの測定は、T1コントラストで適用されるときに骨に高感度を生じ得る。T2コントラストは、石灰化骨の周囲に、信号を提供するような脂肪がほとんど残っていないことがあり得るとき、骨病変が溶解性であるか又は硬化性であるかを決定する流体を強調するために使用され得る。T2強調画像法は、腹腔病変撮像、脳内の鉄沈着の撮像、及び心臓撮像を含む多数の適用例を有するため、本明細書で先に開示した方法との併用により、これらの器官/病状における組織テクスチャーを強調できるようにする。
MRIコントラスト生成は、時間の経過と共に一層高機能になってきている。ガドリニウムなどの外因性造影剤に加えて、標準的なT1、T2、T2*、プロトン密度コントラスト、反転回復シーケンスがある。いくつかの技術が画像化における脂肪抑制に使用され得る。多くの新しいコントラスト技術は、機能的コントラストに依存することが多く、病状に関わる異なる組織を強調するために開発されてきている。血管系及び血液の流れを可視化する方法である、MR血管造影法は、血管の密度及び透過性を評価するために、MR信号飽和、又は流れている血液中に誘発された位相コントラストを利用する。BOLD(血液内酸素レベル依存)コントラストは、活性している脳領域を撮像するために、血液中の代謝変化を使用する。DWI(拡散強調画像法)及びDTI(拡散テンソル画像法)の両方の拡散強調は、増加する疾患範囲における病状を評価するために使用され、標的組織の微視的状態を反映する信号を提供する。病状を評価するための、ASL(動脈スピン標識)は、脳を通る、磁気標識された血液(内因性コントラスト)の拡散をトレースし、灌流イメージングを使用して、毛細血管における血液の微小循環、機能的反応の別の測定値を評価する。これらのコントラストスキームの両方において、血流の時間的経過に腫瘍付近の血管系の状態の評価が続く。なぜなら、これは、グリオーマ及び他の腫瘍の診断の重要な特徴であるためである。血管は、通常の脳組織よりも腫瘍内及びその周囲に多く存在し、及びより大きい血液体積を有する傾向がある。より高悪性度の腫瘍も、血液量が多い傾向があり、及び細胞外基質高分子の分解及びリモデリングは、血液脳関門の完全性の損失を生じさせ、これは、造影剤の漏出として見られる。これらの測定値は、特にグリオーマにおける腫瘍の悪性度及び予後の重要な生物学的マーカである、腫瘍の血管新生の程度を捕捉し得る。信号コントラストのピーク付近での、本明細書で開示される方法の適用は、血管の密度及びサイズの直接的な測定をもたらし、腫瘍内又はその近傍での血管新生の程度をロバストに測定する相関データとして、微細な規模の血管系テクスチャーの直接的な測定をもたらす。このように組み合わされて、脳卒中及び腫瘍などの神経病状を段階付けするための病的な血管発生のロバストな測定が行われ得る。
例として、拡散強調は、その最も簡単な形式、DWIにおいて、水分子のランダムなブラウン運動を使用して、MR画像にコントラストを生成する。病状と拡散との間の相関は複雑であるが、一般的に、濃細胞組織は、より低い拡散係数を示す。高分子、線維、及び膜などの障害物も、組織での水の拡散に影響を及ぼす。従って、水分子拡散パターンは、組織状態に関する微視的な詳細を明らかにし得る。組織の領域にわたる水拡散率の差を測定することにより、局所的な病状を反映する拡散率のマップが作成され得る。拡散強調は、いくつかある病状の中で特に、腫瘍の特徴付け、血管系分類、及び脳虚血の診断/監視において、特に有用である。脳内での虚血性梗塞、膿瘍、及びいくつかの腫瘍は、非常に制限された拡散を生じる。嚢腫及び水腫は、拡散をほとんど制限しない。
拡散画像は、データ解釈にいくつかの問題が生じ、その中でも最も顕著なものは、以下の通りである:1)長い拡散傾斜は、エコー時間TEを長くし、SNRを低下させる、2)必要とされる高拡散傾斜は、スキャナ内の金属表面に渦電流を生じさせ、これにより信号に歪みを引き起こす、3)低信号振幅は、一辺が約2.5mmの比較的大きいボクセルを使用することを必要とするため、低分解能である、4)シーケンスは、設計によって動きに対して高感度であるため、データ記録は非常に高速である必要がある。従って、複数回の取得からの信号の平均化によってSNRを増大させる能力は限定される。さらに、部分異方性(FA)を決定するために、少なくとも6個の異なる方向が必要であるため、動きに対する感度は、取得の過程にわたってデータ解釈を困難にする原因となり得る。5)拡散強調信号の解釈は、容易ではない。組織、特に脳における水拡散プロセスを調節する正確な機構は明確には理解されていないため、測定された拡散係数は、多くの源から生じ得る。自由拡散に対するバリヤ及び制限に関する測定から推測されるものは、基本的な組織病状に関するいくつかの仮定に基づく。これは、細胞膜、細胞小器官、細胞間隔、軸索密度、神経膠密度、ミエリン状態などを含む、多くの形態を取り得る。6)各DWIボクセルは平均を表し、標準的なボクセルサイズは、一辺が約2~2.5mmである。ボクセル内の平均拡散係数(ADC)の変化を解釈するために、組織均質性、及び拡散変動を引き起こす構造のタイプなどのいくつかの仮定を行う。
本明細書で開示される方法は、1つのTR内で、単一のVOI内又は複数のインターリーブされたVOI内での取得を必然的に伴う。データは、画像を形成するために、空間的なエンコーディング傾斜を使用せずに取得される。これは、取得時間を有意に短くし、且つk空間において標的を絞られた取得と組み合わされて、対象の動きを免れることができるほどに十分に高速で必須データを取得できるようにする。単一体積取得の複数の測定値が研究中の解剖学的構造にわたってマッピングされ得るが、各測定値は、単一体積内で迅速に取得される。高SNRは、動きの影響が入り込む前に各標的k値を繰り返し測定する時間があるため、この単一体積技術によって保証される。VOIは、単一のTRにわたってデータを取得するとき、対象の動きと一緒に動く。動きを免れる必要があるために、十分な高速での取得に保つための条件により、データが取得される繰り返し数及びk値の数/範囲が制限される。
標準的なDWIの動きに対する高感度、間接的又は推測による測定であること、及びその低SNRが組み合わさって、臨床の場で望ましいほどロバストな測定にしない。拡散コントラストを使用するときのデータ取得への、本明細書で開示される実施形態の使用は、エコー時間が依然として長いが、データ取得は、信号の動きによる不鮮明さが最小限にされるほど十分に高速であるため、動きの問題を軽減し得る。さらに、追加的なデータは、T1又はT2強調などのコントラストに依存して、走査時に開示の方法によって取得され得る。標準的なDWI画像、本明細書で開示されている方法による拡散強調取得、及びコントラストを使用する方法によって取得されるデータは、全て機械学習アルゴリズムに入力され、測定値間の相関を決定し、及び病状のデータ及び転帰に対して3つの測定値全てを相関させ得る。転帰データとの相関は、時間がかかるが、開示の実施形態の能力の最良の評価を提供するであろう。パルスシーケンスの要素のタイミングの変更に加えて、余分なRF及び/又は傾斜パルスを追加する、拡散強調のようなコントラスト機構と開示の実施形態とを組み合わせるための2つの考えられる方法は、1)例えば、単一ボクセル内又は複数のボクセルによってマップされた領域内での拡散強調強度の取得であって、その領域は、その後、任意の他の標準的なコントラスト強調により、開示の実施形態を使用して得られたテクスチャー測定値が重ね合わせられる、拡散強調強度の取得、又は2)開示の実施形態を使用してテクスチャー測定値の取得にコントラストをもたらすために、拡散強調のような新規のコントラスト機構の使用である。この取得は、単一VOI内又はここでも組織の1つの領域にわたる複数のVOI内で行われ得る。
長いエコー時間及び患者の動きに対する感度に起因して、ほとんどの拡散強調は、高速エコー-プラナー撮像法パルスシーケンスを使用して行われ、比較的高速のデータ取得をもたらす。しかしながら、単発のEPI(約10ピクセルのシフト)によって化学シフトアーチファクトが強調される。
さらに、病変を不明瞭にし得る明るいDWI信号を生じる、脂肪を通る水の動きがあまりないため、脂肪抑制は、DWIデータ取得の一部として使用されることが多い。
下記でさらに詳細に説明する、本明細書で開示される方法の一実施形態では、180°パルスの期間中に生成される雑音信号の集中を排除するために、180°傾斜の両側にクラッシャー傾斜を使用する。これらのクラッシャー傾斜を拡散強調傾斜と置き換えることにより、拡散強調信号並びにそれに続く制限されたk値信号の両方の取得を可能にする。そのようなものとして、拡散強調は、VOIにおける測定となる。
DTI(拡散テンソル画像法) - 高度に配向された組織、例えば神経及び白質路では、拡散は、好ましくは一方向に沿って発生し、神経/軸索路に沿った拡散は、トラックに直交する向き(across-track orientation)の拡散よりも遥かに好ましい。組織内の方向性、又は異方性の程度は、病状の指標である。なぜなら、多くの神経学的状態が皮質ニューロンのミニカラムの配列などの神経構造の正常な状態を劣化させるか、又は脳において白質路を形成する軸索の脱髄によって正常な状態の劣化に至るためである。異方性拡散では、拡散コントラストの値は、方向によって変化する。この異方性は、病状の進行の測定値であるため、複数の方向における拡散コントラストの測定値を使用して、組織構造から生じる「部分異方性」を生じ得、従って、病状の進行の測定値を提供する。実際には、少なくとも6個の同一線上にない傾斜を使用して部分異方性を測定し、対称的な9×9のマトリクス、「拡散テンソル」をもたらし、その固有値は、3つの直交する方向に主拡散軸を生じる。
脳における病状を診断及び監視するために拡散の異方性を使用することと共に、脳を横断してマッピングされた拡散テンソルを使用して、白質路の経路を描写し得る。これは、トラクトグラフィーと呼ばれる。本明細書で開示されている方法の考えられる適用例は、標準的なT1又はT2コントラストを使用して、又は拡散強調と併せて開示の実施形態を使用して、多発性硬化症(MS)の影響を受けた白質路内のテクスチャーを測定して、標準的なDTI取得と相関する、機械学習のための入力に対する測定値の異方性を決定することである。
本明細書で開示される方法は、検査中の特定の組織に適用可能であり得るコントラストを使用して組織テクスチャーを得る能力を提供する。コントラストは、測定中の多相の生物サンプルにおける成分組織タイプ間のコントラストを強める上述の機構のいずれか1つを使用して、適用される。続いてより詳細に説明するように、コントラスト機構及びその適用例は、NMR誘発パルスシーケンス内の様々な個所で発生し得る。図3及び図8に関して説明するものなどのパルスのシーケンシングを使用して、関心体積(VOI)は、複数の時間変化無線周波数信号及び適用される傾斜を用いて選択的に励起される。同様に図3及び図8に関して説明するようなエンコーディング傾斜パルスは、位相ラップを誘発するために適用されて、特定のk値及び向きのための空間的エンコードを作成し、特定のk値は、VOI内の組織の予期したテクスチャーに基づいて決定される。時間変化する一連の取得傾斜が開始され、例えば、図8、図11、図16又は図18に関して前述したようなk値エンコードの3次元k空間を通る時間変化軌跡を生じる。この場合、k値セットは、VOIの像を生じるために必要なそのサブセットである。特定のk値でエンコードされたNMR RF信号の複数の一連のサンプルは、同時に記録される。その後、記録されたNMR信号サンプルは後処理されて、軌跡によって決定されるセット中のk値に関する信号対k値のデータセットを生じる。
本明細書の方法の適用のための第1の組織は、骨である。生活の質に対する影響は巨大であるが、骨折の可能性に関する感度が高い評価のための正確且つ非侵襲的な方法は、存在しない。X線吸収に依存する、現在の代表的な標準的な測定、DEXAは、骨の面密度を測定する。骨折を予測する骨の強度の主要決定要因は、骨梁微細構造(trabecular microarchitecture)であり、その測定は、現在、生体内で利用できない。開示の実施形態は、この測定を可能にする。
骨分解は、疾患、癌治療、摂食障害、及び老化/生活様式を含む、いくつかの要因に起因して発生する。骨梁構造は骨に侵食するため、3つの主要な形態計測の数字 - 骨梁要素の厚さTbTh、骨梁細胞の繰り返しのスペーシングTbSp、及びTbSp及びTbThから決定され得る冗長な数字である骨梁数TbN - が変化する。TbThは、骨分解とともに連続的に低下する。最終的に、骨梁要素又は支柱骨が折れるとき、TbSpの局所値には不連続点がある。骨は、時間と共に異方的に分解し、異方性は、大部分において、耐荷重応力の影響によってドライブされる。骨疾患が進行すると、TbSpは、主耐荷重方向に沿って、この方向に対して直角の方向よりも、速く増加し、2つの測定値間の変動は、骨分解のマーカとなる。骨の形態計測の異方性の発生に加えて、骨梁スペーシングTbSpの測定値の変動は、骨梁支柱骨(trabecular strut)の菲薄化に起因して、骨折する点まで増加し、TbSpの測定値に不連続点を生じる。
骨の健康の最も確実な測定値は、骨梁要素の厚さであり、これは、測定に必要な空間分解能のために、生体内で直接測定することは現在不可能である。
開示の実施形態は、この測定を可能にする。その理由は、この方法は、菲薄化する骨梁において、TbThの測定に必要な分解能を、さらなる分解を評価するために測定され得るTbSpにおける突然の不連続点がある範囲付近で数十ミクロンまで下げるからである。骨折する点まで骨梁が細いため、折れている骨梁要素に起因して、TbSpを増加させるための突然のシフトが信号分布対k値において見ることができるはずである。さらに、TbSpの異方性の程度は、骨折の可能性の相関測定値として使用され得る。データは、標的骨領域内にVOIを位置決めし、単一のTR内での又は複数のTRにわたるデータを取得して、TbTh及びTbSpが及ぶk値の適切な範囲にわたる取得を可能にすることにより、開示の実施形態を使用して取得され得る。1つのTR内で迅速に取得されたデータは、平均されて、SNRを改善し得、この場合、唯一の条件は、データが同様の骨組織から取得されることである。
必要なコントラストは骨と骨髄との間である。T1強調は、骨髄で高信号を提供し、骨は、無視できるMR信号を提供する。代わりに、T1コントラストの強調を生じるIRシーケンスが使用され得る。骨を撮像するために、拡散強調を使用していくつかの作業が行われる - これは、開示の実施形態を使用するときに考えられるコントラスト機構である。
健康な骨では、TbSp及びTbThは、病変骨における場合よりも大きさが近くなる。これは、図22A及び図22Bから、健康な骨の画像(図22A)を高度の骨粗しょう症の骨の画像(図22B)と比較することによって分かる。この関係の正確な形態は幾分変化し、これら2つの形態計測的パラメータの差は、病状にわたり、例えば股関節部におけるよりも脊柱において大きくなる。これら2つの形態計測的パラメータの測定値における差の増加は、疾患の進行のマーカを提供する。
2つの測定値の区別がこのように大きくなるため、骨粗しょう症の骨におけるTbSp及びTbThの両方を測定するために、k空間の2つの空間的に分離する領域における信号データの取得を含む。健康な骨では、複数の傾斜を使用してk空間内のある領域を選択する場合、いくつかの骨格領域において、信号対k値の分布にTbTh及びTbSpの両方を含む領域を画定することが可能である。骨疾患が進行すると、TbThの百分率変化のように、TbSpの測定値の変動が大きくなる。さらに、疾患の進行につれてTbSpが大きくなり(より幅広なスペーシング)、及びTbThは狭くなる。従って、これらの分布のそれぞれの中心は、病状が亢進するにつれて次第に分離する。傾斜の大きさ又はVOI窓形成によって広げられる、傾斜がオン又は傾斜がオフの取得、又はそれら2つの組み合わせのいずれかを使用して、これらの分布の全体的な形状が決定され得る。これらの広げられた分布をリアルタイムに使用して、k空間の領域を決定し、連続的なTRにおいてより細かくサンプリングし得る。
必要に応じて、データは、各TR内で複数のインターリーブVOIを使用して取得され得る。この方法は、骨の領域内での特定のk値における信号の変動性を決定できるようにする。異なるVOIから取得されるデータは、マッピングされ得、分布内で、値/色/アイコンが信号又はピークk値に、又はTbThのピーク位置及びTbSpのピーク位置にそれぞれ関連するk値の差に割り当てられる。時間変化傾斜によって確立される特定のk値及びk値セットは、例示的な適用例において、0.01mm~5mmの範囲のTbSp及びTbThを含み得る。
本明細書で開示される方法は、例えば、従来のT1、T2又はプロトン密度コントラスト、又は流れ又は拡散コントラストMR画像法によって特定される骨病変の箇所内及びその周囲に適用され得、その領域内の海綿骨の状態を評価する。ここで興味を引くことは、病変タイプの決定である。病変は、びらん性腫瘍(erosive tumor)を示すか、又は炎症/分解した骨の領域にある病変は、骨折を取り囲んでいるか。いくつかの病変は、危険であり、及びびらん性腫瘍であり、いくつかの病変は良性である。病変の領域での複数のVOIにおける、開示の実施形態によるデータの取得は、骨梁構造が近傍で分解されているかどうか、及び空間的及び時間的の両方において、分解がどのように進行したかを決定できるようにする。さらなるバイオマーカは、病変のMR画像を機械学習アルゴリズムに入力し、且つそれらをTbTh、TbSp、TbN、異方性、及び測定値の変動性の骨梁データと相関させることによって導き出され得る。画像上の病変の出現が骨の病状の特定の程度と関係し得るため、この新規の方法により、MR画像の診断内容は改善され得る。
T2コントラストは、開示の実施形態と併用されて、腫瘍での骨病変において流体を強調し、それを溶解性又は硬化性のいずれかに分類し得る。そのような病状では、石灰化骨の周りには、信号を提供するための脂肪/骨髄がほとんど残っていないことがあり得る。腫瘍での骨病変では、通常、流体、及び様々な炎症状態の骨髄の混合物がある。硬い骨の外側から信号を生じるために、プロトン密度が使用され得る。代わりに、拡散強調は、流体が染み込んだ骨髄位相における水分子の拡散に基づいて信号を戻す。
上記で開示した様々な方法を適用する、骨における信号対k値のデータを取得するための開示の実施形態の使用は、骨の健康を評価するためのいくつかのバイオマーカを生じる。骨の異なる個所にある複数のVOIにおける、及びテクスチャーエンコード傾斜の異なる向きによる、TbSp、TbTh、及びTbNの測定は、形態計測的パラメータの大きさ及び変動、骨の耐荷重軸に対する方向でのそれらの変動、及び局所的な及びより大きい骨領域にわたる測定値における変動性の情報を生じる。例えば、進行した疾患における局所的な1つの向きにおけるTbThの測定は、病状を明らかに反映するが、取得されるデータの和を組み合わせることにより、骨の健康に対してより感度の高いマーカが導き出され得る。
しかしながら、特徴/バイオマーカの開発又は抽出のために相関データが必要とされる。骨折の可能性の最高の内容の予測値は、骨折の履歴である。骨生検も非常に感度が高いが、これは高度に侵襲的なバイオマーカであるため、この処置は稀である。DEXAは、骨の健康に関して現在の代表的な基準であるが、これは面骨密度を測定し、及び骨梁構造(trabecular architecture)に対して不感能である。従って、これは、最良でも骨折の可能性の可もなく不可もない予測値である。しかしながら、十分に大きいサンプルでは、この測定規準法は、診断的定義に関する相関を高め得る。総合すれば、DEXAデータ及び患者の骨折の履歴は、開示の実施形態によって導き出される出力データ全体と相関させるための高いレベルの学習の枠組みを提供し、開示の実施形態からの感度の高い診断ツールの定義を可能にする。
特徴の抽出を探すために個別に比較することにより、取得データからバイオマーカを導き出そうとするのではなく、機械学習アルゴリズムは、複数の測定値間の最良の相関データを提供し、且つ非管理モードで使用されるとき、バイオマーカの開発のためのデータから特徴を抽出するために比較され得る。
さらに、TbThと、異方性データと、TbSp及びその変化の測定値との間の相関に加えて、対象からの骨折データがこれらの測定値と相関され、また、機械学習アルゴリズムを使用して、骨折の可能性に関するマーカを開発する。バイオマーカは、信号対k値のデータから、機械学習アルゴリズムにそれを入力し、且つそれを、例えば、同じ患者からの骨折発生データ、DEXA測定値、又は骨生検レポートデータと相関させることによって直接導き出され得る。
線維症の浸潤にさらされる肝組織又は他の組織には、開示の実施形態の第2の使用例を提供する。肝疾患の根本原因は複雑であり且つ様々であるが、疾患の顕著な特徴は、肝臓内での線維の沈着の発現である。疾患の発症及び進行は、肝構造へのタンパク質沈着、主に膠原線維の蓄積が増加していくことが特徴的である。線維化進展は、疾患が治療されないままである場合、短期的には、治癒を促すが、治癒反応自体が問題となり、過剰なタンパク性物質は、器官の正常機能を妨げる。肝疾患の場合、このプロセスは、検査を受けないままであると硬変まで進行する - 結果として癌腫及び/又は肝不全を伴う。このような理由で、ある範囲の管理オプションが利用可能である時点である早期の肝疾患診断が最適である。肝組織に対する、疾患によって誘発された病状変化を評価するための、開示の実施形態の使用は、肝臓の健康を検査するためにオーダーされるルーチンのMR検査に、低コストで、非侵襲的で迅速な追加物を提供する。ここで、肝線維症に焦点を当てるが、病状、及び開示の実施形態の適用は、線維症の浸潤によって特徴付けられる、ある範囲の疾患のものと同様である。これらの疾患の部分的なリストは、心臓線維症、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、膵炎、腎疾患である。さらに、前立腺疾患などの病状は、疾患の進行に応答してタンパク質沈着が消える。メカニズムは逆となるが、診断及び監視に必要な組織テクスチャー評価は同じである。
生検は、肝疾患診断での現在の代表的な基準であるが、器官内でのサンプリング誤差、著しい読取誤差、及び無視できない合併症発現頻度(morbidity)、及びさらには死亡率が生検を最適な診断法ではないものにする。十分な統計では、肝臓内での線維化進展は、空間的ばらつきが大であることを前提とすると、多くのサンプルが必要とされる。しかしながら、生検技術の侵襲性が高いという性質に起因して少数のサンプルのみが取られ得る。
線維症の進行の正確な評価が必要とされるが、現在のところ、病状は別として、これを直接測定できるものは存在しない。肝機能検査、超音波、又はMR画像法によって肝疾患が診断可能になる頃までに線維症はかなり進行している。依然として可逆的であるとき、早期に疾患の進行を追跡できる診断法が必要とされている。線維性構造の測定への、開示の実施形態の適用は、直接的及び非侵襲的な測定であり、多サンプルの、疾患の発症、進行、及び治療に対する反応の長期にわたる監視を可能にする。
肝臓では、他の線維性疾患のように、器官内に特定のパターンで膠原が蓄積し、基本的な構造要素を「デコレート」する。肝組織は、多数の隣接する単位、すなわち「小葉」で構成され、その構造は、中心静脈及びその周囲で六角形パターンの門脈で図示されている(下記の図を参照)。そのようなものとして、健康な肝臓では(線維化進展がない=F0段階)、組織テクスチャー特徴のサイズの信号分布中に現れる大きい寸法のものは、これらの要素間のスペーシングから生じる - 約0.5mm~0.7mmの範囲。疾患の発症では、線維化進展は、門脈三管で始まり、その後進行して、最終的に門脈三管を中心静脈に結び付けるブリッジを形成する(段階F1~F3)。これらのブリッジは拡大し且つ融合して、線維の沈着によって囲まれた再生組織の島を形成する。このプロセスでは、組織テクスチャー内での血管と血管との構造的スペーシングは、小葉と小葉とのスペーシングによって次第に置き換えられるようになる(段階F3~F4)。従って、疾患の進行を示す明確なマーカは、テクスチャー波長の分布内をより短い波長からより長い波長へ(k値の低下)シフトしていることであり、このシフトは、約0.5mm~約2mm、及びそれよりも長いことも多い。進行中の疾患に応答して小葉の表面に膠原が蓄積し、及びさらには小葉内の肝細胞がデコレートされるようになるため、小葉自体が主テクスチャー特徴となり、及び小葉間の繰り返しのスペーシングは、k空間におけるパワー分配の顕著な繰り返しの幅になる。この変化は、疾患の進行の過程で次第に起こり、テクスチャー波長におけるパワー密度を健康な範囲から約2~3mmの特徴のサイズまでシフトさせる(k値に対して反比例)。このテクスチャー波長のシフトに伴う顕著なテクスチャー特徴は、組織学研究からよく知られている。
肝疾患をその早期に診断するために、健康な肝臓に予期されるものから、疾患の発症及び進行を示すより長い波長(より低いk値)へのk値の関数としての信号のシフトは、開示の実施形態を使用して追跡され得る。特定の時点におけるこの測定は、疾患の進行及び治療に対する反応の弧に沿った、テクスチャー波長の所望範囲の全体にわたる個々のk値において連続的なサンプルを取得するか、又は代わりに傾斜をデータ取得の期間中に適用して、k空間における所望範囲に及ぶようにし得るかのいずれかによって行われ得る。これらの2つの取得方法のハイブリッドの組み合わせも使用され得る。
様々な肝構造をデコレートする膠原と基本的な組織との間のコントラストが、内因性コントラスト又は外因性コントラストのいずれかを使用して得られ得る。線維症からの信号は、線維性構造での含水量が高いことに起因して、標準的なT1画像法では暗く、及びT2画像法では明るくなり得る。Gd造影剤の使用は、T1を短くし、T1強調では、線維症は、背景組織に対して明るく見える。より高いコントラストは、よりロバストな測定に役立つ。しかしながら、これらのコントラスト機構は、線維症と基本的な組織との間のコントラストを提供するため、標準的なMR画像法は、早期疾患を特徴付ける様々な肝構造における線維化進展のパターンを識別するように十分な分解能にできない。患者の動きは、息止めしての撮像又は呼吸同期法(respiratory triggering)を使用するときでも画像を不鮮明にする。標準的なMR画像法を使用すると、肝疾患は、肝臓が不可逆的に損傷され得る時点である、より進行した段階で評価され得るにすぎない。進行した疾患は診断可能であるが、治療の正当化及び反応の監視に必要なものは早期診断である。
多様なMR画像法をベースにした技術は、造影剤を使用する又は使用しない従来のT1及びT2コントラストに加えて、肝線維症の評価に使用されてきている。MRE(磁気共鳴エラストグラフィ)、拡散強調画像法(DWI)、及びMR灌流イメージングは、肝疾患に関する何らかの情報を生じ得るが、いずれもより早期の疾患ではロバストに診断できない。それらの主な問題は、線維化進展の代理マーカに依存していることである。MREは硬化の測定に依存し、灌流イメージングは血液灌流パラメータを測定し、DWI(拡散強調画像法)は肝組織内の水のADC(見かけの拡散係数(Apparent Diffusion Coefficient))を測定する。これらのパラメータの全ては、線維化進展に加えて、多くの要因、例えば炎症、門脈圧亢進症、脂肪症、水腫、鉄過剰、及び肝灌流の変化に応答して変化する。現在のところ、早期疾患の線維化進展を測定する直接的な方法はない。標準的なMRコントラスト方法を使用する、線維化進展の測定に関するk値でのロバストな分解能を達成する能力を提供することにより、開示の実施形態は、早期肝疾患における疾患状態を評価できるようにする。
開示の実施形態を新規にするその特徴の1つは、ほとんどのコントラスト機構と併用できることである。この方法の1つの適用例は、拡散強調コントラストを使用する拡散強調との併用であるが(下記の図23参照)、標準的なDWIにおいて取得される画像全体ではなく、早期疾患における線維の沈着のk値範囲のみで信号を取得する。信号取得に、開示の実施形態を使用することにより、データは、拡散強調MR画像法で可能なものよりも遥かに精細な空間分解能で取得される。測定中のテクスチャーは、部分体積画像法(partial volume imaging)による影響を受けた平均測定値ではなく、実際の線維の凝集塊間の、線維でデコレートされた構造の規模である。線維の沈着は、水に対する拡散係数を低下させ、線維症の領域におけるより低いADC(見かけの拡散係数)は、周囲組織よりも明るい信号をもたらす。開示の実施形態と併せて拡散強調を使用することによって得られる構造的な信号は、高度に局在化された水拡散を測定する。従って、小葉単位が、境界が描写されていないものから、六角形の境界の膠原デコレーションへ変わり、その後、小葉全体を満たすために、境界における水拡散が妨害され、拡散強調信号強度を増強する。病状が亢進すると、拡散コントラストを使用することにより、テクスチャーの固有の特徴が得られ得る。拡散強調傾斜を位置決めするための2つの手法は、図24及び図25に示す通りである。kに関する所望のVOI及び初期位相ラップを選択するための図示のパルスシーケンスは、図3に説明した通りであり、及び図24及び図25において一致した符号が付されている。図24は、第2の180°スライス選択パルスの両側の拡散強調傾斜2402、2404の位置を示すが、図25では、拡散強調傾斜2502、2504が、第1の180°スライス選択パルスの前、及び第2の180°スライス選択パルスの後に位置決めされて、同じTEに対して、その対を最後の180°スライス選択パルスの両側に配置するときに利用できるよりも長い拡散時間をもたらす。
図24及び図25に関して説明した統合パルスシーケンスは、DTI(拡散テンソル画像法)と同様に、複数の軸に沿って適用された拡散傾斜を用いて繰り返され得る。そのため、出力データセットは、拡散テンソルの開発を可能にし、細胞レベルの変化を反映する組織内の水流経路の反映であるFA(部分異方性)の決定を可能にする。
線維性のテクスチャーの進行は、Gdなどの外因性の作用物質を使用して又は使用せずに、コントラスト、例えばT1又はT2強調と併せて、本明細書で開示されている方法を使用しても評価され得る。実空間及びk空間の両方における局所的なサンプリングの使用により、本明細書で開示される方法は、必要なk値において信号の高速取得を可能にし、肝臓内での特定の箇所での病的組織テクスチャーのロバストな評価を可能にする - 対象の動きに誘発され、現在のMR画像法を制限する不鮮明さを生じていない、その箇所に存在するテクスチャー周波数の測定値を提供する。本明細書で開示される方法を使用して、呼吸の動きの問題は、必須データの取得速度によって回避される。肝臓内での病状の変動性をサンプリングするために、図26に示すように、1つのTR内でのインターリーブ取得、又は別々の複数のTRでの測定のいずれかを使用して、VOI2602a~2602dが肝臓内の様々な個所に位置決めされ得る。本明細書で開示される方法を使用することにより、特定のk値又はk値範囲におけるデータ取得を通して、画定された各VOI内でテクスチャーコヒーレンスが維持されるため、信号平均化によるSNRの最大化を可能にする。必要に応じて、それに続くTRにおいて同じ個所でのサンプリングが繰り返し行われて、疾患の進行段階を評価するために、その箇所における線維症の浸潤の程度の平均測定値を取得し得る。肝疾患における線維化進展の様々なMRベースの測定値の全ては、テクスチャー測定値のための本明細書の実施形態のためのバイオマーカの開発に向けてデータを相関させるために機械学習を使用して、且つバイオマーカの開発に向けた特徴の抽出のためにテクスチャーデータに適用される非管理モードで機械学習を使用して、集団にわたって血液ベースで生検、MRE、身体検査データと組み合わされ得る。
肝疾患への適用は、ここである程度詳細に説明されたが、他の線維性疾患の評価は、開示の実施形態によって可能にされる。線維化進展は、肺疾患(例えば嚢胞性線維症、特発性肺線維症)、心筋線維症、筋線維症、膵線維症及び腎疾患の特質である。さらに、上述の通り、前立腺疾患などのいくつかの疾患は、タンパク質沈着の減少を誘発する。
肺疾患診断は、疾患が取り得る形態の範囲が大きいことが障害になっており、そのそれぞれは、基礎にある病因、予後及び必要な治療が異なる。特発性肺線維症(IPF)は、肺機能の進行性の低下によって特徴付けられる、肺の慢性的な、最終的には死に至る疾患である。肺の瘢痕及び気嚢間の間質性肺空間内での線維性組織の形成は、疾患の発症に関連付けられる一次損傷である。末梢気道及び血管も影響を受け得る。診断は、現在、高分解能コンピュータ断層撮影(HRCT)を使用する画像化と併せて、他の病状を除外することにより、肺機能検査、ストレス検査、血中ガス分析、患者の病歴である。IPF診断は、肺生検によって裏付けられ得るが、組織学は、領域毎の著しい変動を示し、高いサンプリング誤差を生じる。さらに、生検は、侵襲性が高い処置であり、複数のサンプルが必要な場合には組織の傷害が悪化させられる。
IPFは、肺胞上皮細胞の反復性の損傷から生じる異常な創傷治癒過程の結果であると考えられている。これは、線維芽細胞の作用をトリガし、これは、肺胞の劣化に関連付けられる、「すりガラス」のポケットを形成する、肺の間隙内での膠原の異常且つ過度な蓄積、線維性組織形成を生じる。最小限の炎症は、COPDから区別する、この病状を決定する特徴である。
組織学的に、IPFは、異なる割合の間質炎、線維芽細胞巣及び確立された線維症及び蜂巣が存在することによって特徴付けられ、これらは、全て正常な肺実質領域と共存している。この異質性は、生検による診断を問題のあるものにする。IPFの特徴の高分解能CT(HRCT)の所見は、蜂巣を含むテクスチャーの変化及び主に肺末梢及び下葉を巻き込む構造の乱れを含む。約50%の場合、HRCTは、IPFの診断を確信できるのに十分であり、肺生検を回避し得る。残りの50%の患者では、HRCTの所見は、比較的非特異的であり、及び他の間質性肺疾患のものを擬態し得る。Souza et al.,“Idiopathic Pulmonary Fibrosis:Spectrum of High-Resolution CT Findings”,American Journal of Radiology,Dec.2005
IPFの早期診断は、この進行性疾患の長期の臨床転帰の改善の前提条件である。早期に治療すると、IPFの転帰は、他の形態の間質性肺炎よりも良好である。特発性間質性肺炎は、IPFの形態を取り得るか、又はいくつかの他の形態の肺炎の下で様々な症状及び予後で分類され得るかのいずれかである。主に診断で必要なことは、肺疾患をIPFと他の形態の肺疾患とで区別することである。肺病状をより感度高く撮像する能力は、早期診断及びそれに続く治療の監視を可能にする。しかし、コンピュータ断層撮影から利用可能な分解能は、限定されている。1回の息止め中のデータ取得でも、心臓の拍動性の動き及び息止めの不履行によって深刻に損なわれる。
MRIは、肺を撮像するための臨床的手段として最近現れた。同調可能な組織コントラストを可能にすること、及び機能的な情報を得る能力と併せて、非侵襲的測定であり、複数回の繰り返しの測定を可能にする。小児の撮像、妊娠中の患者の場合又は研究目的のために、電離放射線が不要であることは、MRIを好ましいモダリティにしている。
しかしながら、肺実質の物理的性質は、肝又は脳などの組織のものと非常に異なる。低密度の組織及び組織と空気との磁化率の差は、それぞれ非常に低い信号及び高速ディフェーズにつながる。実質のエッジにおける高度に不均質な局所磁場から生じるこのディフェーズは、1.5Tにおいて2ミリ秒以下の短さでのT2*値を生じる。従って、使用中のパルスシーケンスは、短いTE値を可能にするためにリフォーカスするGE(傾斜エコー)に依存する。しかしながら、短いT2*は、短期間での信号取得も可能にする。分解能の観点から良いが、記録された信号が低く、肺実質のMRIを非常に困難にする。
CTは、病変肺組織の画像に現れるすりガラス領域の基本的な構造を分解できない。
病状の明らかな指標は、肺内に、「すりガラス」病状と呼ばれることが多い、もやのかかった、まだらな見かけを有する領域が出現することである。いくつかのタイプの肺疾患では、一般用語COPDの下で、肺組織内でのこの特殊な模様の出現が炎症に関連付けられる。IPFでは、肺胞での線維症の発生に関連付けられる。すりガラス領域の画像での肉眼的な見かけの基礎となる微細な組織のテクスチャーは、病状の様々な形態を区別することを支援し、且つ治療の設定を支援し得るが、MRIもCTも必要な分解能を提供しない。しかしながら、この区別は、開示の実施形態を使用して行われ得る。
顕微鏡スケールで、肺疾患における炎症に関連付けられる組織の変化は、曇ったパッチ内で比較的同質であり、サブmmスケールで空間的なテクスチャーを示さない。しかしながら、通常炎症との関連が最小限で発生する疾患の症状であるIPFは、顕微鏡スケールにおいて、まだらなテクスチャーの特徴を約0.5~1mmの繰り返しで表示する。このテクスチャーの原因となる線維性膠原の発生からの信号は、低いが、流体を含む膠原と、主に気嚢である非常に低密度である基本的な肺組織とのコントラストは、画像化を可能にする。従って、精密検査の一部として、開示の実施形態は、肉眼的に明らかにされた肺内の病的領域の根拠をなす微細なテクスチャーの特徴を明らかにするために顕微鏡のように使用できる。
肺疾患のタイプの決定のための非侵襲的測定として、開示の実施形態は、画像化によって達成不可能なスケールでデータを提供する。現在の診断測定 - 肺機能検査、ストレス検査、血中ガス分析、患者の病歴、画像及び適用される場合には生検 - とのAI/機械学習アルゴリズムによる組み合わせは、開示の実施形態からのバイオマーカ抽出及びデータセットに埋まっている様々なテクスチャーの特徴の較正を可能にする。
開示の実施形態を使用する健康な肺胞の測定は、肺胞壁が約10μmであり、気嚢の中心が信号を生成せず、及び空気壁境界における磁化率の差が、非常に高速のディフェーズを生じることに起因して困難である。しかしながら、AI/機械学習アルゴリズムが、上述の通り、データ解釈を最適にするために使用されるとき、開示の実施形態は、肺胞及び疾患の進行に固有のテクスチャーの変動を直接測定するために使用され得る機会が明らかにある。
さらに、肺癌の診断に向けて、開示の実施形態は、肺小結節の近傍での、悪性の疑いのある血管系の状態を評価できる。リスクの高い集団で肺小結節を評価するために現在使用されているCTは、最近の分析で97%を上回る偽陽性率を有し、不要な追跡処置及び懸念を生じていることが分かった。Castellino,“Lung Cancer Screening-Benefits Few,May Harm Many”,Medscape Jan 30 2017。
肺は、自由呼吸中に著しく動き、及び息止めしても、疾患形態を識別できる非常に微細なテクスチャー特徴と比較して動きが大きいが、開示の実施形態は、VOIが画定されたら、この動きの影響を受けない。開示の実施形態でのデータ取得速度(<1分)は、自由呼吸モードでこの方法を実行する能力と組み合わされると、処置を標準的なMR肺走査に組み込むことを簡単にする。Wild et al.,“MRI of the lung”(1/3),Insights in Imaging 2012。
肺疾患の兆候の無数の形態及び適切な治療を決定し、反応を監視するためにそれらを区別する必要性を考慮すると、病状に関するより多くの情報が必要である。いくつかの症状レベル検査があるが、医学では、CT画像及びMR画像にわたる変動性に高く重み付けしている。しかしながら、疾患の発症の最も早い前兆である、顕微鏡レベルで組織の変化を見る能力は、今まで利用可能でなかった。開示の実施形態の使用により、そのような能力をもたらす。
この測定から最大の情報を得るために、現在の方法によって得られた診断情報は、このデータを、開示の実施形態によって得られたデータと一緒に機械学習アルゴリズムに組み込むことにより、訓練セットとして使用され得る。学習セットの主な駆動要素は、新しいデータと相関されるときの疾患の転帰であるものの、肺機能の測定、ストレス検査、画像、血中ガス分析、患者の病歴及び生検は、全て好適な候補である。
心不全の最も一般的な組織学的特徴の1つは、線維性結合組織による心筋のびまん性置換又は浸潤である心筋線維症である。壁を硬化させ、収縮性を低下させ、且つ全体的な心臓の機能を弱らせるこの線維化進展は、心疾患のほぼ全ての形態に関連付けられる、世界的に深刻な健康問題である。心臓の重要な細胞タイプである心臓線維芽細胞は、健康な細胞外基質の責任を負う。しかしながら、損傷されると、これらの細胞は、筋線維芽細胞表現型に変形し、且つ心臓線維症に寄与し、心筋内の間質空間に結合組織の過度の蓄積を生成する。線維症は、心臓の有害転帰の独立した主要な予測因子であると示されてきた。しかしながら、心疾患患者を正確に表現する正確な臨床的手段がない。
心臓線維症の評価は、生検及び染色法によって行われ得る。しかしながら、生検は、極めて侵襲的であり、サンプリング誤差によってその感度を制限し、且つ左心室全体は、サンプリングできないため、正確な臨床的な病状評価が制限される。
心臓機能が低下した患者に対する非侵襲的画像法に心血管磁気共鳴(CMR)を使用することがここ10年で増えた。現在使用されている2つの主要な方法は、遅延ガドリニウム造影(LGE)MR及び同様にGdコントラストに基づくT1マッピングである。
心筋線維症のLGEは、心筋線維性組織内の毛細血管密度の低下から生じるGdの長期ウォッシュアウトに基づく。線維性組織内でのガドリニウム濃度の上昇によってT1の短縮を引き起こし、これは、従来の反転回復傾斜エコーシーケンスに基づいてCMR画像に明るい信号の強度として現れる。これにより、線維性心筋と正常な心筋との区別をもたらす。
他部位の臨床用途では、LGEには、絶対信号レベルの問題がある。絶対定量に関するその精度も、強度閾値などの画像設定に対する過敏さに起因して限定されている。現在のところ、LGE CMRは、心筋置換線維症を測定するための最も正確な方法であるが、その感度は、びまん性間質線維症の評価に限定されている。
線維化進展の第2のMRI測定は、組織中の水分子の分子環境の変動から生じる、ポストGdコントラストT1緩和時間の変動に基づく。傷ついた心筋のポストコントラストT1値は、線維性組織中でのガドリニウムコントラストの保持に起因して、正常な心筋のものよりも著しく短い。そのようなものとして、T1マッピングは、正常な心筋から病的な線維症を正確に識別でき、且つ線維化進展を定量化できる。T1緩和時間は、ある組織タイプから別の組織タイプへだけでなく、同じ組織でも、その生理病理学ステータス、すなわち炎症、水腫又は線維症が調査中の組織に存在するかどうかに依存して著しく変動する。従って、領域にわたるT1のマッピングは、病状の空間的分布に関する情報を提供する。標的組織の特有の特性は、ガドリニウム造影剤によって誘発されるT1短縮のレベルを決定し、信号強度に特有の違いを生成する。
しかしながら、心筋線維症のポストコントラストT1値は、正常な心筋のものと著しく異なるが、T1分布は、著しく散乱され、且つこれにより、症状が軽い線維症での疾患状態に関するその感度が制限される。
今まで臨床データが希少であったが、T1マッピングとCMR-LGEとを組み合わせた適用は、心筋組織の健康のより正確な評価を提供すること及び患者集団における心血管リスクを層別化することを支援し得、深刻な心臓の機能不全の発症前に無症状の心筋の変化を検出する。しかし、これらの技術の欠点は、脳内でのGdの保持に起因して最近生じたGd注入の抑制と組み合わされることにより、心筋線維症の評価において、特許請求される方法の潜在的な役割をタイムリーにする。開示の実施形態は、治療戦略を改善することを支援し且つそれらの効果をより直接的に監視できるようにする、微細な組織の特徴付けを提供し得るため、臨床転帰を改善する。そのように強化された測定は、遥かに必要とされる治療を探求することを支援する。
さらに、MRIを使用する初期心疾患の心臓線維症の量の空間分解能は、測定の時間中における心拍動によって深刻な妨害を受ける。ガウス雑音と異なり、動きは、非線形効果であるために平均化できない - 電子雑音低減のために平均化前に再登録できるようにする十分な信号レベルである必要がある。治療に対する反応を診断及び監視できるようにするために、発病から進行した病状までの心臓線維症の進行の範囲の全体にわたってテクスチャー変化を評価できる、より感度の高い(より高いSNR)非侵襲的技術が必要とされている。開示の実施形態はこの能力を提供する。Travers et al.,“Cardiac fibrosis-the fibroblast awakens”,Circulation Research,March 2016;Bronnum and Kalluri,“Cardiac fibrosis:cellular and molecular determinants”,Chapter 29 of Muscle,Vol.1;Konduracka et al.,“Diabetes- specific cardiomyopathy in type 1 diabetes mellitus:no evidence for its occurrence in the era of intensive insulin therapy”.European Heart J.2007;Mewton et al.,Assessment of myocardial fibrosis with cardiac magnetic resonance:,Journal of the American College of Radiology,Feb.2011
心臓のMRIは、複数回の繰り返しの測定を可能にし、治療に対する反応を追跡する。関連する形態学的情報、例えば壁の厚さ、水腫、心筋の瘢痕及び灌流(例えば静止状態及びストレス中)は、全て健康状態の肉眼的な測定である。これらの測定値を得るための基本的な撮像プロトコル、例えばLGE及びT1マッピングは、CMRの確立を支援した。しかしながら、現在の診断にない指数は、顕微鏡レベルで発症及び病状の変化の進行、具体的には心臓内で線維症の進展を追跡する能力である。
心疾患の遥かに強力な診断を提供するために、両技術からのデータセットが組み合わされ得る。開示の実施形態の使用は、微細なテクスチャーの特徴の直接測定を可能にする。T1減衰/Gd注入手段と併用され得るが、Gdの使用を排除する最近の動きは、内因性コントラスト、例えばT1、IR及び拡散強調の利用を必然にし得る。同様に、Gd又は内因性コントラストのいずれかを使用するT1マッピングデータは、マップされたものと同じ領域を網羅するように位置決めされた複数のVOIにおいて取得されるテクスチャー測定値と比較され得る。インターリーブされたシーケンスとしての2つの技術の適用は、同じ組織の箇所で2つの測定値が取得されることを保証する。このようにして、開示の実施形態によって取得されたテクスチャー信号は、T1マッピングと比較され得、直接的なテクスチャー測定値及び分子環境の両方の決定を可能にし、両方の測定値は、病的な線維化進展のレベルの評価を可能にする。2つの技術からのデータは、身体検査からの心機能の他の測定値、膠原由来の血清ペプチドの血清濃度並びに心エコーの定量分析と併せて、機械学習アルゴリズムに供給され得、疾患の進行及び治療結果の遥かに明白な評価を提供する。
GdベースのLGEは、進行中の病状の第3層の評価を提供し得る。機械学習による情報抽出を最適にするために他の診断と組み合わせるためである。技術のこの組み合わせは、特許請求される方法によって提供された高分解能の直接測定を考慮すると、疾患進行の評価を充実させ得、治療に対する反応の決定及び疾患予後を可能にする。
前立腺癌は、アメリカ人男性に2番目に多い癌の死因である。現行の方式では、血液検査で高い前立腺特異抗原(PSA)血清レベルを示している男性又は検査で前立腺機能不全に関する他の症状を示す男性に前立腺の生検検査が薦められている。生検は、痛みを伴い、感染及び出血などの重篤な合併症の危険があり、且つ読取誤差及びサンプリング誤差に起因して診断上の問題をはらんでいる。処置は、経直腸超音波(TRUS)ガイダンスを使用して、前立腺からランダムに採取される12個の針サンプルを必要とする。器官には、様々なサイズのいくつかの腫瘍が存在することが多い。サンプリングのランダムな性質に起因して、腫瘍は針のいずれとも交わらないことがあり、疑われている癌の攻撃性の定量化を問題のあるものにする。TRUSガイド針生検は、前立腺前部癌病変が閉塞されているため、腫瘍がかなりの大きさになるまで検出を困難にするため、臨床的に有意な腫瘍の25%~30%を見落とす。3MRIは、不要な前立腺癌生検を回避することを促進し得る、AuntMinnie.com 1/25/17 http://www.auntminnieeurope.com/index.aspx?sec=sup&sub=mri&pag=dis&ItemID=613926;4 El Sevier,Ltd.open access articles,H.U.Ahmed et al.,1/19/17,http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)32401-1。
さらに、侵襲性が高い生検処置は、癌が存在しないときに指示されることが多い - 最近の調査では、前立腺生検に送られた4人に1人を上回る男性に、処置が必要なかったことを示している。また、癌のない又は良性の癌の男性に誤った診断がつくことがあり、そのため、全く延命効果がなく且つ深刻な副作用があるにもかかわらず治療される。過剰診断及び過剰治療が診療で増えてきている。A Quarter of Prostate Cancer Biopsies May Not Be Necessary,Xuan Pham,Lab Roots,Jan 2017,https://www.labroots.com/trending/cancer/5107/quarter-prostate-cancer-biopsies;2 Imaging Guided Prostate Biopsies Miss Apical Cancer Lesions,Medscape 1/25/17 http://www.medscape.com/viewarticle/874873?src=wnl_edit_tpal&uac=156182MR。その結果、米国予防医学専門委員会(the US Task Force on Preventive Health Care)は、PSA検査からのリスクがその利益よりも重いという立場を取った。明らかに、正しい診断を行い、及び根拠がなく且つ侵襲性の高い処置及び治療を回避するために、ここでは追加的な情報が必要とされる。
最近の研究では、生検前のマルチパラメータのMR画像法(mp-MRI)- 複数のタイプの組織コントラストを使用する走査 - の利益に重点を置いてきている。mp-MRIは、MRIを勧められたケースの1/4で、針生検の必要性を除外することが分かっている。医学的に必要とされる生検と併用されると、標準的な経直腸超音波ガイド(TRUS)生検によって提供されるよりも高い感度で、攻撃的な前立腺癌を高い割合で正しく診断できる。腫瘍攻撃性のマーカであるグリソンスコア(Gleason score)と、MRにおいてDWI(拡散強調画像法)で測定されるようなADC(見かけの拡散係数)との間には逆相関が存在する。さらに、mp-MRI走査はまた、腫瘍をより正確に位置特定し且つそのサイズを正確に測定する能力を示し、攻撃的な癌の検出を改善する。しかしながら、いくつかの良性の異常、例えば線維症、前立腺炎及び瘢痕組織を病変から区別することが難しいことが多い。
mp-MRIを生検と組み合わせることにより、超音波ガイドの生検単独よりも良好な結果を生じるが、これは、依然として100%正確ではない。男性は、依然としてmp-MRI走査及び生検後に監視される必要がある。生検は、より最近のmp-MRI走査で癌が疑われている場合に依然として必要であるが、走査は、生検の必要性を除外するか、又は生検をガイドするかのいずれかを支援して、より少数の及びより良好な生検が行われるようにし得る。
生検の侵襲性が高い性質並びにその診断の欠点のために、前立腺のケアは、侵襲性の低い、高い情報量の診断処置が利用可能であったら、前進しているであろう。mp-MRIによって生検前に提供される追加的な情報は、明確な値に見えるため、この処置に高い密度の情報を追加することは、患者が既にスキャナ内にいるときに大きい利益となる。
前立腺内での正確な腫瘍の局在化及び分類は、凍結手術、強度変調放射線治療、小線源治療又は高密度焦点式超音波療法などの部分治療を可能にし、より全体的な治療を使用する必要があるというよりも、むしろ腫瘍のみを切除する。Xu,et al.,Magnetic Resonance Diffusion Characteristics of Histologically Defined Prostate Cancer in Humans,Magnetic Resonance in Medicine 61:842-850(2009)。
基本的な3つの研究 - T2強調、拡散強調及びDCE(ダイナミックコントラスト強調)走査 - に加えて、mp-MRIが勧められた患者に関し、開示の実施形態は、上述の通り使用されて、前立腺にわたって微小血管の状態を測定し、且つ器官を通して組織テクスチャーを測定するが、これは、器官の健康を反映するためである。
適切に実施されると、開示の実施形態は、前立腺腫瘍の位置特定及びそのサイズ及び攻撃性に関する分類に関して、高価値の診断情報を提供するために使用され得る一方、それらを、老化に関連付けられる一般的な病状であるBPH(良性前立腺肥大症)から区別する。この処置は、腫瘍の局在化及び攻撃性の指示並びに器官にわたる前立腺組織の病状の変化の評価として、前立腺にわたる微小血管系の密度及び形態の測定及びマッピングの両方を含む。
mp-MRIは、一般に、3つの異なるコントラスト機構 - T2コントラスト、拡散強調コントラスト(DWI)及びDCE - を使用し、これは、ガドリニウムなどの外因性造影剤の注入に続く組織画像の時間的経過を辿る。微小血管系のより高い分解能の測定は、開示の実施形態をmp-MRI DCE測定と併用することによって提供され得る。開示の実施形態を使用するデータ取得は、極めて高速であるため、器官にわたって高分解能の微小血管をマップするためのデータは、DCEシーケンスの一部として取得され得る。加えて/代わりに、動脈スピン標識などの内因性の流れのコントラストが、器官にわたるそれらの量、密度及びサイズの測定のため、コントラストを血管に提供するために使用され得る。
前述の通り、方法の特徴の1つは、ほとんどどのコントラスト機構とも併用されるその能力であるため、コントラストによって組織テクスチャーの高分解能測定を目立たせることを可能にする。測定速度は、標的関心体積(VOI)が所望通りのサイズにされ且つ動かされるという事実と共に、<1分の検査で前立腺全体を網羅できるようにし、疾患の進行による微小血管系及び基質組織内の変化を評価できるようにする。T1、T2及びDWIコントラストを開示の実施形態と併用して、上皮領域から間質領域を通って前立腺にわたる組織テクスチャーの変化の評価を提供し得る。これは、物理的な生検の必要性に置き換わることができ、非侵襲的な組織の病状評価を提供する。
さらなる能力は、DTI(拡散テンソル画像法)コントラストを使用することによってもたらされ、そのために、DWI拡散傾斜の方向を変えることにより、組織での水の拡散に影響を及ぼす顕微鏡的変化から生じる組織内での方向の変化を追跡できるようにする。開示の実施形態の適用のためのDTIの使用は、組織の変化の異方性の評価を可能にする。
顕微鏡レベルでは、正常な前立腺は、密な線維筋性間質に埋め込まれた分岐管-腺房腺構造を有する。前立腺癌では、密になった腫瘍細胞が管-腺房構造を破壊し、細胞性によって誘発された拡散抑制に起因して、腫瘍内のADCを低下させる。健康な線維組織中の組織テクスチャーは、数百ミクロン程度の反復距離(波長)を有するが、腫瘍中では数十ミクロン程度である。微細な組織のテクスチャーは、組織学でのBPHの領域においても見えるが、全体的なパターンは、腫瘍領域からのものよりも等方性が劣り、且つそれとサイズが異なり、異方性は、測定において使用される、適用された傾斜の方向を変えることによって測定され得る。従って、テクスチャー信号の明らかな変動は、線維組織を識別するために利用可能であり、癌性対BPH対健康な前立腺の診断を可能にする。開示の実施形態は、これらの組織変化を直接測定できる唯一の非侵襲的な診断である。
良性前立腺肥大症(BPH)は、線維性成分、筋性成分及び腺性成分を有する - 線維組織は、筋性要素と同様に、不規則なパターンに置かれ、結節形成の見かけを与える。腫瘍の領域での細胞性の増加は、前立腺癌の進展を示す、領域のDWIから得られる測定値である見かけの拡散係数(ADC)を低下させる。組織テクスチャーの顕微鏡的構成要素の異方性を強調する拡散コントラストの形態が、開示の実施形態によるデータの取得にコントラストを提供するために使用される場合、FAは、上皮BPHから間質を識別する。
疾患状態の標準的な診断は、症状、血清マーカ、病状測定値及び患者の転帰などの様々な診断測定の比較によって行われることが多い。この最後の指数、患者の転帰は、当然ながら、遡及的である。今日のコンピュータの処理能力の大幅な増加は、現在の電子記憶及び処理能力が複数の診断のより詳細な比較を可能にするため、この比較が行われる方法を変えた。しかし、よりロバストな診断のために、単に様々な診断測定を使用するだけでなく、コンピュータの能力は、機械学習技術を使用することにより、新しい診断からデータを最大限に抽出できるようにする。開示の実施形態を前立腺疾患に適用する際、バイオマーカを、器官中の血管及び周囲組織の特性として得られたパワースペクトルからの特定の特徴として抽出しようとするだけでなく、最高の情報量が全データセットを使用することによってデータから得られ得る。mp-MRI走査から得られた診断データと共に、疾患の進行及び転帰についての逸話のメモが、機械学習コンピュータアルゴリズムに「教える」ための訓練セットとして役立ち、診断の意味を、開示の実施形態によって得られたデータに割り当て得る。疾患を病期決定し、且つ疾患の進行及び攻撃性を診断する。コンピュータは、様々なデータセットに含まれる膨大な量の情報に依存して比較をより行うことができ、結論を出し、且つ疾患を病期決定する。この方法により、最大量の情報をデータから抽出できる。
上皮から間質領域までの前立腺にわたる組織変動性及び病状/腫瘍の進行に起因した局所性を考慮すると、前立腺のほとんどを網羅するような診断としての開示の実施形態の使用は、器官の健康状態を評価する最善の用意ができている。従って、この疾患診断を提供し、且つ進行を追跡する作業の流れは、以下のようなものを見る。
前立腺疾患の疑いを示す症状又はPSAの検査のために、mp-MRIを受けることになっている患者は、様々なコントラスト技術と開示の実施形態を併用しても走査される。
本明細書で説明するようなスカウト画像は、予備的な評価及び較正に用いられ得る。
開示の実施形態は、mp-MRIの一部として行われた時間的経過画像取得によってこの測定値を分散させるmp-MRIに使用される外因性コントラストを使用して、又は血管系の測定のためのコントラストを提供するためのASLなどの内因性コントラストを使用して、前立腺にわたる段階的なVOIにおいて微小血管系 - 密度、体積及び血管サイズ - を測定するために使用される。
mp-MRIに使用される外因性コントラストが、開示の実施形態による測定のための血管コントラストを生成するために使用された場合、コントラストが最大に達してから、標識された血液の塊が前立腺中から出るために減少するため、mp-MRI及び開示の実施形態は、時間的に散在され得る。そうでなければ、ASLなどの内因性コントラストがこの目的に使用され得る。内因性コントラストは、Gdの注入を伴わないため、開示の実施形態の非侵襲性に則している。
他のmp-MRI画像法に加えて、開示の実施形態は、所望の通り追加的なコントラスト方法が適用され得るものの、T1、T2、拡散強調コントラストを使用して、テクスチャーの特徴を取得するために使用される。これらの技術のための傾斜が様々な方向に適用されて、基本的な組織構造の方向性についてこれが病状と関連する構造における1つの成分であるため、何らかのことを学ぶであろう。
各患者に対して、開示の実施形態の様々な適用例から得られたデータの比較を、他の全ての診断と比較して、この方法が最高の疾患特有情報を生じるように「訓練」する。様々な入力情報源は、他の全ての診断、例えばmp-MRIデータ、血清測定、生検、身体検査、超音波、CT(コンピュータ断層撮影及びPET(陽電子放射断層撮影法)を含む。さらに、関連する患者/疾患の病歴が訓練セットに含まれるであろう。この方法により、個々の病状の経過に特有のテクスチャーの特徴が特定され得る。
多くの神経疾患及び神経学的状態は、疾患の発症及び進行のマーカの機能を果たし得る血管成分を有し、診断及び治療を追跡できるようにし、これは、本明細書で開示される方法の別の例示的な実装例を提供する。微小血管における変化を敏感に評価する能力は、病状がかなり進行するまで診断されないことが多い、いくつもの疾患のおける病状の進行の監視を可能にする。
血管新生、既存の微小血管からの新しい血管の形成は、腫瘍の増殖及び転移に必要である。健康な組織に存在する血管の規則正しい形成ではなく、病的な血管新生は、無秩序な、蛇行した血管を形成する傾向があり、遮断されて行き止まりとなった構造が豊富である - 図23参照。血管の直径及び壁の厚さは、血管原性微小血管において非常に変わりやすく、血管の透過性が所々で目立つ。
血管新生は、腫瘍に酸素及び栄養分を供給する必要があるため、例えば、腫瘍の攻撃性は、新生血管密度と密接に相関している。腫瘍部位における血管新生の発生量を評価し且つ血管の形態を特徴付ける能力は、腫瘍の攻撃性を評価できるようにする。腫瘍内及びその周囲の血管原性血管系の程度を決定することにより、外科的除去に必要な境界を決定することが可能になる。同様に、治療に対する反応は、より標準的な状態に戻るために、血管系の測定によって部分的に追跡可能であり得る。血管原性血管発生の程度は、血清マーカを使用して、又は生検によってある程度評価され得る。しかし、生検は侵襲性が高く、及びサンプリング誤差及び読取変動を起こしやすい。
別の例として、認知症のいくつかの形態、中でも注目すべきことに、アルツハイマー病(AD)は、現在、病的な血管発生を伴う大きい血管成分を有すると認識されている。追加的な形態の認知症、例えばハンチントン病(HD)、パーキンソン病(PD)、及び前頭側頭認知症も、機能低下した血管系を有することが分かっている。場合により、認知症の目立った原因は、CVDなどの脳における病的な血管系であるように見える。
慢性炎症は、異常な神経血管構造を生じ得る別の重要な要因であり、透過性及び出血を示す。いくつかの微小血管系の病因は、血液脳関門の透過性に結び付けられる。多発性硬化症、炎症に関連付けられる病状のある脳障害、及び軸索の脱髄は、微小血管の破壊を生じる。脳卒中及びその結果生じる虚血は、体が損傷を治癒しようとするために毛細血管網を修正する血管新生の発生を生じる。血管新生は、血管分布の増加を特徴とするため、神経血管系の構造的及び機能的両方の変化を伴い、血管スペーシングにおけるこの密度の増加、及び高変動性は、脳卒中に続く脳の虚血状態を特徴付けるために使用され得る、期待できるバイオマーカである。これらの状態 - 腫瘍の進行、虚血性脳卒中、及び認知症における脳の病状 - の全てに関し、- 病状の進行の決定、及び治療に対する反応の評価の両方に対して - 脳組織における微小血管系の評価手段が必要とされる。
現在、微小血管系の健康のMRI評価は、通常、灌流イメージングによって行われる。灌流は、微小血管を通る血液の送達を介した組織の洗浄である。血管の状態は血流の動力学を変化させるため、そのような測定は、血管の健康を評価するために使用され得る。灌流MR画像法では、内因性又は外因性のいずれかのコントラストが使用される。外因性コントラストは、通常、Gdベースの造影剤を使用することによって提供される。内因性コントラストは、脳の領域内へ流れる血液が磁気標識されるASL(動脈スピン標識)として公知の技術によって得られる。いずれの場合も、コントラストが撮像面内へ動き且つそこから出るとき、高速画像技術によって一連の撮像が行われる。灌流イメージングなど、動的撮像の重要な特徴の1つは、コントラストが撮像面において最大であるときに取得された画像から、撮像面において造影剤/血液のタグ付けなく取得された画像を控除することにより、微分コントラストが取得され得ることである。
この測定のために造影剤を使用するとき、造影剤の塊が静脈内に注入され、及び造影剤が微小循環を通過するときに連続的に画像が取得される。(造影剤が使用されないときに観察されるものと反対に、T2強調の使用は、造影剤を使用するときに暗い血液を生じさせ、及びT1強調は明るい血液を生じる。)造影剤が撮像組織領域を離れる前に流れの多画像追跡を可能にするように高速データ取得を可能にするために、画像は、通常、EPI(エコープラナー撮像法)として公知の高速MRI取得シーケンスの変形例を使用して取得される。血管の状態を特徴付けるために、様々な流れに関連する量が測定される:(MTT)ボクセルを通過する平均通過時間(mean transit time)、ピーク信号までの時間、CBF(脳血流)、及びCBV(脳血液量)。血管の状態によって変化するこれらの量は、灌流イメージングによって全て測定可能である。造影剤の塊が血液中に存在するか、又はASLを使用するときに磁気標識された血液が撮像面に流入する間に取得された画像の順次式取得に加えて、血液と周囲組織との間のコントラストが最小であるとき、微小血管系を塊又は標識されたスピンが通過することに続いて少なくとも1つの画像が撮られる。その後、この画像は、それよりも早い時点の画像から控除されて、微小血管系からの絶対的な信号レベルの較正を可能にする。複数の画像の取得による時間的な追跡は、流れの特徴付け及び機能低下した血管の領域の決定を可能にする。
血管原性血管系は、健康な血管よりも密度が高く、及びその血管の直径及びスペーシングがより変化する。血管の太さ及びスペーシングにおける高い空間的変動は、血管原性血管系の特徴の1つであり、従って、血管密度の増加と共に血管新生関連の病状のマーカの機能を果たす。しかしながら、灌流イメージングにおける画像分解能は、詳細な血管形態学を決定するほど十分に高くはない。流れのコントラストは、病原性の流れパラメータに起因して、局所的に平均化された信号変動を強調し、血管の形態計測の間接的な評価をもたらす。しかしながら、本明細書で開示される方法は、血管密度、及び血管スペーシングの変動性を直接測定するために使用され、血管原性血管発生の直接的なロバストな評価を提供し得る。組織テクスチャーを開示する信号対k値のデータを取得するために、本明細書で開示される方法を使用することは、血管の形態計測的特徴のロバストな分解能を可能にする。この取得は、シーケンスが一連の多画像取得灌流に注入され得るように十分に高速に、1つのTRにおいて行われ得る。最良の分解能を提供するために、この形態計測取得は、ピークコントラスト付近で行われ、1つのTRでの、又は灌流画像取得によって連続的に又は様々な時点に分散してのいずれかで取得される複数のTRでのいずれかでデータを取得する。
コントラストを使用して及び使用しないの両方での信号対k値のデータを取得する、本明細書で開示される方法によって血管系の示差測定を取得することは、血管系から生じるようなテクスチャー信号の起源を確証することになる。これらの2つの測定を、時間的に可能な限り近くすることにより、2つのデータ取得間の最良の空間的及び位相的な相関値が、血管から生じる信号を正確に強調することを可能にする。
ASLコントラストを使用するときに2つの取得間の時間を短く保つための最良の方法は、以下による。1)プロトン密度コントラストを用いて、特定の撮像面において、本明細書で開示される方法によってデータを取得すること、2)第1の取得に直接続いて、撮像面にごく近い、血流において上流の第2の平面においてスピン標識すること、3)本明細書で開示される方法により、撮像面においてスピン標識されたデータを取得することであって、標識及び第2の取得は、第1の取得に続いて時間が可能な限り近い、取得すること。信号対k値のデータは、傾斜がオンにされた取得又は傾斜がオフにされた取得、又はそれら2つの組み合わせのいずれかを使用して取得されて、k空間における所望の広がりにわたって信号の測定を提供し得る。
測定中の形態計測的パラメータは、有意に変化されることが予想されるため、ある範囲のk値にわたる信号の取得が血管の基本的な構造的な特徴を決定するために必要とされる。信号対k値の分布の幅広さ、及びk空間においてそのピークがある場所は、重要な関心特徴である。ピークは、平均血管密度を評価し、及び幅広さは、血管スペーシングの変動性を評価する。両マーカとも、血管新生を特徴付けるものである。取得は、取得時に傾斜がオンにされているか又は傾斜がオフにされているかのいずれかによって行われ得る。VOIの取得軸の方向における適切な窓形成は、k値の標的とされる広がりにおけるサンプリングを可能にし、正確な窓関数は、k値の範囲にわたる相関の程度を決定する。さらに、ハイブリッド取得が可能であり、ここで、傾斜は、1つのTR内でのデータ取得のある部分に関しオンであり、及び取得の部分においてオフである。ここでの目的は、ある範囲のk値を取得しながら、例えば、高度に相関したk値の組の十分な繰り返しを確実にして、平均化によるSNRの最大化を可能にする一方、十分に高速な取得を確実にして、対象の動きを免れるようにすることである。
代わりに、標準的な灌流イメージングでの、本明細書で開示される方法による時間的に分散させたデータ取得ではなく、本明細書で開示される方法は、病的な流れパラメータを示す領域において血管形態学を直接測定するために、いずれかの血液コントラスト方法と併用され得る。この測定において、血管のスペーシング及び変動性の両方は、血管新生の公知のマーカであり、血管系スペーシングは、病状の程度によってよりランダムになる。コントラストでは、構造的なコントラスト、例えばそれぞれ明るい又は暗い血液を生じるT2強調又はT1強調のいずれかが使用され得る。さらに、動脈スピン標識を含む様々な標準的な方法により、黒い血流及び明るい血流の両方のコントラストが達成され得る。血管のこの構造的な測定は、所望されるだけ多くの取得方向を使用して、所望されるだけ多くの組織領域において実施され得る。血管原性血管系は、高度の異方性を示すことが予期されるため、取得間での取得軸の向きの変化は、病状の別のマーカを提供する。灌流イメージングからの流れのデータと、本明細書で開示される方法の適用例からの構造的な血管データとの相関は、機械学習によって行われ得る。
虚血性脳卒中に関する、又は腫瘍の近傍において血管新生を追跡するために血管構造を評価するための、本明細書で開示されている方法による取得は、病変の近傍において実施され得る。これを達成するために、これらの病変の箇所を画定する画像走査に対する実時間応答を使用して、本明細書で開示される方法によるそれに続く血管構造測定のための箇所を標的にする。複数のVOI/箇所及び複数の取得向きを使用する取得は、画像シーケンスに出現する様々な病変と相関させるために行われ得る。
認知症などの脳疾患に関連付けられる血管の病状を研究するために、VOIは、認知症に関わる皮質領域付近の血管系内に位置決めされ得る。データは、1つのTRで1つ以上のVOIにおいて取得され得る。さらに、パラレルイメージングできるスキャナでは、複数のVOIは、脳血管系の拡張領域をサンプリングするためのデータの同時記録によって画定され得る。例えば、複数の皮質領域に損傷があると思われる認知症では、VOIは、これらの異なる領域に供給する血管系に配置され、及びデータが同時に記録され得る。
診断法開発の通常の道筋は、出力データからのバイオマーカ特定に向けた特徴抽出である。特徴抽出は、特定のバイオマーカを定義し得るが、診断法開発においてバイオマーカを病状と強く相関させるために臨床業務の拡張(年月、コスト)が必要とされることが多い。個々の検査によって導き出されたバイオマーカと転帰との統計的な相関へのこの依存は、初期の試験集団サイズが小さいことがさらに障害になっている。
医療データ分析は、急激に変化している。最近開発された分析技術は、新しい診断方法を使用して取得されるデータの総合的な情報内容の効率の良い決定を可能にする。以前の「雨だれ式の」方法とは対照的に、現在のパターン認識及び機械学習技術は、他の診断内容との迅速な相関を可能にする。このようにして、特徴抽出及びバイオマーカの開発は、人がデータを観察することによってではなく、機械学習によって行われ得る。事実上、1つの特徴(バイオマーカ)を、信号対k値データセットの全体から隔離するのではなく、他の患者のデータと相関させて強い病状の相関を生じる。そのようなものとして、開示の実施形態の取得の結果に焦点を当てると、この努力において使用される機械学習アルゴリズムへの入力として可能な限り最高のSNRを可能にする。
ここで、コンピュータプログラムは、単一の画像内でのパターンの決定並びに他の病歴/診断情報との高効率のデータ相関の実行を得意とする。開示の実施形態の適用例からのデータ出力は、その全体で取られるときに最高の情報内容を提供する。フロントエンドの特徴抽出によって情報内容を削減することではなく、各VOIから取得される信号対k値の分布全体が、現在の標準的な測定によって取られた関連する診断データと一緒に機械学習アルゴリズムに供給される。例えば、相関データは、肝疾患の現在の代表的な標準的な測定である組織学構造画像から導き出された医師の報告、肝機能検査(肝血清)、及び身体検査から導き出される肝疾患の段階付け(F0~F5)であり得る。
代わりに、相関データは、そのような検査のいずれかからの個別の出力であり得る。十分な数の場合、これは、疾患の段階付けにおいてより細かいグラデーションを定義することを可能にする、例えば、各段階間 - F0とF1との間、F0とF2との間、及びF0とF3との間の複数の段階を、この方法を使用して定義することが可能になる。さらに、転帰 - より進行した病状への進行、又は治療によって引き起こされた治癒 - は、本明細書で開示される方法の適用例からのテクスチャー評価と相関させるために、機械学習アルゴリズムに対して相関データを提供し得る。
本明細書で開示される方法によって取得された評価段階は、罹患した肝臓の標準的なMRI形態学画像上にマッピングされ得る。(より簡単に見えるようにするために、アイコンが段階付け番号に取って代わり得る。)これは、器官による疾患の変動の可視化を容易にする。さらに、これらの段階付けの値は、機械学習により、同じ患者で、例えばMRE、標準的なDWI、又は灌流によって取得される画像出力と相関されて、起こり得る相関を追跡し得る。
本明細書の方法を用いる病状評価の最終的な例は、脳組織である。脳の病状は、器官が介入に対して敏感であるため、診断及び治療することが問題になることが多い。さらに、認知及び挙動の変化は長期間に及んで起こるため、基礎病状は、何年も検査されないままとなり得る。ADでは、長い前兆期間があり、分子及び組織レベルにおいて病状の継続的な進行が内在しており、最終的に神経損傷を生じる。大規模臨床試験においていくつかは検査されてきたが、AD又は他の形態の認知症に関する新しい治療法に対する驚くべき承認の欠如があった。集団が年を取るにつれて、疾患に悩むものの数が一層増え、状況は悲惨になる。これらの臨床検査薬のいくつかの否定的な結果は、病状の進行の早期に対象を絞る必要性を強調する。しかしながら、これは、前兆期にいる対象を絞ることができる診断を必要とする。そのような対象を特定する試験は、捉えどころがないままである。
研究により、灰白質は白質よりも早期に認知症の発症及び進行による影響を受けることが示されている。最も早期に劣化されることが分かっている皮質構造は、海馬及び嗅内皮質(entorhinal cortex)であり、病状は、記憶障害及び見当識障害を生じる。脳の3つのT1強調MR画像に画像処理を適用する最近の研究では、海馬の画像でのテクスチャー特徴とMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアとの間の統計的に有意な一致が示されている。テクスチャーは、分解能が不十分であることに起因してMR画像法で直接測定可能ではないが、画像分析測定法は、MMSEスコアの低下との相関に加えて、特定のテクスチャーグラデーションと、海馬におけるグルコースの取り込みの減少、及びそれに続くADのマーカである海馬の収縮とを相関させる。これらのテクスチャー特徴は、画像処理の結果を除いて識別できず、及びそれらの源は分かっていない。研究では、これらのテクスチャーの変化は認知低下に先立ち、及び症状の発生を追跡することを示している。従って、海馬は、病状評価に関するテクスチャーの測定値の、開示の実施形態の適用の良好な標的である。
海馬及び嗅内皮質内での認知症の正確な病因が分からないため、開示の実施形態は、器官 - 海馬又は嗅内皮質のいずれか - 内の組織テクスチャーの詳細な評価をもたらすための十分に完全なデータセットを集めるために使用される。テクスチャー波長の内容及び変動性の両方、並びに向き及び箇所の依存性が測定される。複数のコントラスト方法を使用する(テクスチャーの出所が分からないため)、少なくとも3つの(直交する)方向における、ある範囲のk値にわたる信号取得がテクスチャーを十分に特徴付けるために必要である。VOI寸法を画定することによる器官にわたるデータの取得は、器官に収まるVOIを全体的に異なる個所に収めることができるようにするために、テクスチャーの空間的な変動性を決定できるようにする。数十ミクロンから約1~2mmまでの波長に対応するk空間内のある範囲にわたって信号データを取得することにより、多様なテクスチャー信号が測定の情報内容に確実に寄与するようにする。開示の実施形態は、いずれかのコントラスト機構、例えば反転回復、T1強調の強調された形態、又は拡散強調と併せて使用され得る。
AD病状の程度の評価に向けた、開示の実施形態によって取得されるテクスチャーデータによりもたらされた新規のバイオマーカの予測値は、同じ患者からの、ある範囲の診断情報との相関によって規定され得る。主な相関マーカは、患者の転帰 - すなわちAD又は他の認知症の確定診断 - から引き出される。なぜなら、確定診断は、本出願人らが評価している病状からかなり下流であるものの、これは、最高の診断情報内容を有するためである。追加的な相関が、AD(並びに認知症の他の形態)の進行の証明された且つ継続的なマーカである海馬の収縮の患者のMRI画像データから引き出される。この相関は、可能であれば疾患の進行とともに長期的に行われる。ここでも、海馬における組織テクスチャーの変化は、顕著な認知低下、及びMRIによる体積における測定可能な変化より前から存在すると予期される。第3の相関的なマーカは、疾患の進行の比較的早期にグルコース代謝の低下が発生することが予期されるため、FDG-PETである。第4の相関的なバイオマーカとして、MMSE(ミニメンタルステート検査)は、認知機能及び低下の長期的なデータを提供する。ADの遺伝的素因(Genetic predilection)は、開示の実施形態によって取得されるテクスチャー測定値との相関に対する追加的なマーカを提供する。先のマーカは、下流の相関値(転帰側)を提供するが、遺伝的マーカは、いずれの病状の進行よりも先に存在する。この様々な組のバイオマーカと、広範囲の患者にわたって海馬及び嗅内皮質において開示の実施形態によって取得されるデータとの相関は、AD病状を早期に予測するために、開示の実施形態を使用する診断内容を明確に定義できるようにする。
現在の機械学習アルゴリズムは、開示の実施形態によるMRデータ取得から取得されるように非特異的な特徴の病状レベルを分類できる。そのようなものとして、上記で開示した相関データ源は、機械学習アルゴリズムに入力されて、テクスチャー特徴及び疾患との相関を強調する。
研究により、海馬は、最も早期にAD進行の影響を受ける皮質構造であり得ることが示されているが、脳内でのその深さにより、MR感知コイルからの距離に起因してSNRが低くなる。新皮質内のテクスチャーは、認知症及び他の脳の病状の評価の標的を提供し、これは、頭蓋に近いことに起因してより高いSNRを提供する。健康な脳では、非常に規則正しいニューロン構造が新皮質に見られる。ニューロンは、幅約50ミクロン及びスペーシング80ミクロンの複数の束を形成しており、約80~100個のミエリン化されたニューロンが各束にまとめられている。これは、新皮質組織の組織構造中に見えるミニカラム組織構成である。組織学研究によってAD進行の早期に影響を受けると見られている脳の特定の領域では、このカラム配列は、前駆期を経過する頃にコヒーレンスを失う。これらの変化は、脳全体の萎縮に先立って発生し、AD進行に関して頻繁に使用されるマーカであり、それらを早期診断でより良好に標的にする。さらに、特定の脳領域にわたるミニカラムの菲薄化及びコヒーレンスの損失の時間的な進行は、アルツハイマー病(AD)における混乱した病状の領域選択的な進行を反映する。従って、認知症の各形態は、脳にわたって特定の空間的な進行を辿るため、開示の実施形態を使用する、脳における皮質ミニカラムの空間的変化の追跡は、認知症の分類を可能にする。
健康な脳におけるこれらのミニカラムの構造を図27に示し、組織学構造画像は、ミエリン2702 - ニューロンを被覆するコーティング - を明らかにするために着色されている。図29A~29Cは、束内のニューロン錐体細胞を明らかにするために着色された一連の3つの組織学構造画像である。図29Aは、健康な脳におけるニューロン配列であり、及び図29B及び図29Cは、ADの進行に伴う進行性の病状を示す - カラムのスペーシングが収縮し、及び規則正しい構造が次第にランダムになる。
これらの皮質領域におけるミニカラムのスペーシング及び配列の変化は、疾患の早期の前兆である。この領域における研究は早期段階であるが、他の病状の場合と同様に、基本的な組織の変化は、症状より先行しているはずである。問題は、現在のところ、カラムのテクスチャーにおけるこれらの早期の変化を評価するために必要な分解能に達することができる技術がないことである。開示の実施形態は、この測定を可能にする。
新皮質ミニカラムのスペーシング及び配列の変化を測定するために、開示の実施形態が実装され得る方法がいくつかある。早期の変化を反映するこの測定では、ADの発症、例えば側頭皮質において、挙動に最も早期に影響を及ぼすと思われる新皮質の領域に適用される。これらの領域は脳の外部の新皮質にあるため、脳コイルに強いSNRを生じる。図28は、新皮質2804におけるVOI2802a、2802b、2802c及び2802dの考えられる位置を示す図である。
ミニカラム束を形成するニューロンの軸索成分がミエリン、すなわち脂肪性物質で覆われるため、T1コントラストは、背景組織に対して軸索束を強調するために使用することができ、従って、これらの構造を評価するときのコントラストの良い選択である。
カラムのスペーシングを測定することの難しさは、これらの構造の半結晶性から生じる。健康な新皮質では、これらは、垂直(カラムに対して平行な)方向に高秩序である。その結果、VOIの取得軸は、これらのカラムのいくつかを遮って測定を行う必要があるため、ニューロン束を背景組織から対比させる差分信号は、取得軸の向きに対して極めて感度が高くなる。カラムのスペーシングを測定するために、VOIの取得軸は、カラムの長さに対して垂直に位置合わせされる。わずかな位置合わせのずれによってコントラストが低下する - 測定には正確な向きが必要である。適切な位置合わせを達成するために、取得傾斜角度を約1度又は2度のインクリメント角度にわたって揺動することにより、適切な位置合わせにおける信号の共鳴が生じ、すなわち一連の時間変化傾斜を連続して繰り返して、3次元k空間を通る軌跡を生じさせ、結果として生じるk値セットを特定のk値の周りに向けて共鳴を捜し出す。(皮質のわずかな湾曲が信号振幅対角度のこの共鳴に有限幅を生じることが予期される。)3次元k空間を通る軌跡、及び結果として生じる、最初にエンコードされた特定のk値の10度以内に向けられたk値セットは、例示的な実施形態において用いられる。カラム構造は病状の進行とともにコヒーレンスを失うため、この共鳴の幅は広くなることが予期され、及び最終的に、図29Cの組織学構造画像に示すように、構造が高度にランダムになると消える。
開示の実施形態を使用して、信号の取得は、(名目上は)単一のk値において、又は測定時tに先立って信号を取得するk空間における有限範囲を定義している一群のk値にわたって行われ得る。
健康なヒトの脳のミニカラムのスペーシングは約80ミクロンであるため、約70ミクロン~110ミクロンのサンプリングは共鳴をもたらす。例示的な実施形態では、これは、皮質内にVOIを配置し且つ40マイクロメートル~200マイクロメートルの空間的な波長に対応する範囲のk値に空間的エンコードを提供することによって達成される。
開示の実施形態を用いて皮質において測定を行うことは、これらの基本的なステップを伴う:1)コントラスト機構が構造を強調するために選択される。2)信号が取得される個々のk値又はk値の範囲が決定される。3)k値取得のタイミング - 各k値又はk値の範囲における繰り返し回数が決定される。4)VOIのサイズ及び新皮質組織における取得軸の向きが選択される。5)VOIは、皮質の高さの中心に位置決めされ、取得軸をVOIの中間点の上面及び底面に対して平行に可能な限り近くに位置合わせする。6)その後、信号対k値のデータを、傾斜をオンにして又はオフにして取得し、ミニカラムのスペーシングを測定する。文献に示されているようなミニカラムの平均スペーシング(約80μm)を含む広範囲のk値にわたる測定は、幅分布の範囲を保証する。信号強度最大は、取得傾斜がカラムに対して垂直に向けられているときに発生する必要がある。6)その後、取得傾斜は、小さい角度インクリメントで揺動されて、信号共鳴を探す - 信号共鳴の鋭さ対角度のずれがミニカラムの配列を反映する。鋭い共鳴は、規則正しい構造を示す。角度のずれに応じた幅広な共鳴は、カラムの劣化がミニカラムの配列にランダム性を導入したことを示す。7)傾斜を最大信号リターンに位置合わせしてk値の範囲全体をスイーピングして、テクスチャー波長共鳴 - すなわちテクスチャー分布からの信号対k値分布のピーク - を探す。この共鳴は、ミニカラムの配列を決定するためにも使用され得る。信号対k値曲線における鋭いピーク(高q値)は、規則正しい構造を示し、曲線の幅広さは、配列の損失の程度を示す。信号対取得角度において、及び信号対k値分布において共鳴を捜し出すことは、相互作用のプロセスとして達成され得る。
データは、1つのTR内又は複数のTRのいずれかで皮質内又は元のVOIの近くの他の位置において取得され得る。皮質ミニカラムの特徴付けのための最適なVOI決定は、1)VOIが全体的に高さ2~3mmの皮質内に収まる必要があること、2)テクスチャー波長の正確な評価のために、エンコード軸に沿ってテクスチャーを十分繰り返してサンプリングする要求、及び3)信号条件によって決定される。さらに、カラムの方向に沿ってVOIの高さが低いことは、位置合わせの感度を決定する。
エンコード軸に沿ってサンプリングの繰り返し数が少なくなるほど、開示の実施形態によって取得される信号のk空間がより広くなる。データは、信号に寄与するk値の範囲を決定するための窓の幅の選択に依存して、傾斜をオフにして取得され得る。k空間における広がりを十分に小さく保つことは、信号出力における相関を保証する。
ニューロンカラムのスペーシングの変化は、病状の進行/老化を示す。これは、信号のピーク-大きさ対K値分布の長期にわたる監視によって決定され得る。
構造が劣化するため、向きの共鳴は、より幅広くなり、且つより拡散し、より大きい取得角度にわたって広がる。また、構造が劣化するため、信号対k値分布のピークは、より幅広くなり、且つより拡散し、より大きいk値のスパン(波長)にわたって広がる。最終的に、認知症の程度が亢進していることのマーカであるミニカラムの配列の劣化を進行させるいずれの場合にもピークは明確ではない。さらに、疾患を進行させるミニカラムの幅の変化は、病状の別のマーカであるカラムのスペーシングに反映される。
この疾患マーカの変動は、カラム配列の異方性の程度である。病状が進行するにつれてカラム配列が劣化すると、カラムのテクスチャーの異方性の程度も減少し、及び全体的な皮質組織テクスチャーはより等方性となる。異方性の程度は、T1、又は開示の実施形態を使用する他のコントラストを使用することによって測定され得、VOI3002は、上述の通り、図30に示すような2つの皮質表面3004の中間に位置決めされ、及び信号対k値分布を皮質表面に対して垂直(ミニカラムに対して平行)な取得軸と比較し、信号対k値分布は、皮質表面3004に対して接線方向に、従って図30に示すように(ミニカラムに対して垂直に)位置合わせされた取得軸によって得られる。
脳卒中及び脳腫瘍を含む脳の病状における拡散強調の使用は増加している。拡散強調画像法(DWI)は、標的箇所において信号を最初に位相ずれさせ且つその後リフェーズする傾斜を適用することにより、細胞レベルにおける構造の間接的な測定値を提供する。
静止水分子は、第2の傾斜によってリフェーズされるが、2つの傾斜間で動かされたものはリフェーズされないため、信号を生じない。この技術で難しいことは、設計によって動きに対する感度が極めて高いことである。また、長い拡散傾斜を必要とすることから生じる遅延エコー時間に起因する低SNRがあることである。拡散コントラストを使用するときのデータ取得のための開示の実施形態の使用は、エコー時間は依然として長いものの、データ取得は十分に高速で、信号損失及び動きに起因する不鮮明さが最小化されるため、動きの問題を軽減し得る。開示の実施形態は、ミニカラムのスペーシング及び配列/ランダム性を評価するために拡散強調コントラストと一緒に使用され得る。この測定は、拡散傾斜が皮質の表面に対して平行に(ミニカラムに対して垂直に)、その後、皮質表面に対して垂直に(ミニカラム方向に対して平行に)適用されて行われ得る。これら2つの測定は、異方性の評価を可能にし、これは、健康な脳において最高であるため、病状は、カラムが劣化するにつれて等方性が増すようにする。
図30を参照して拡散強調を使用する。ミニカラムが依然として無無傷である場合、傾斜1 3006によって示すような傾斜を適用して低信号を生じる。同様に、ミニカラムが依然として無傷である場合、傾斜2 3008で示すような傾斜を適用して高拡散信号を生じる。
ミニカラムが劣化しているとき、2つの異なる傾斜が互いに接近する信号は、拡散強調信号を除いて、ミニカラムがより高度に劣化するにつれて全体的に多くなる。
この測定の改良は、データ取得、及び拡散テンソル画像法(DTI)と同様の拡散テンソルの発生のための、複数の方向における拡散傾斜の適用によるが、データ取得は、開示の実施形態による。拡散テンソルの発生は、テンソルを生成するための十分なデータを生じるために、拡散傾斜向きの少なくとも6個の同一線上にない方向を使用する必要があり、その固有値は、ミニカラムの配列を反映する、皮質における部分異方性(FA)のレベルを決定する。FAは、カラム組織構成が劣化するにつれて、より等方性の組織構成に向かって動いて変化する必要がある - FA値1は、最高の異方性を示し、及び値0は、基本的な拡散の最大等方性を示すため、カラムのテクスチャーの配列を明らかにする。
他のタイプのコントラスト機構を、開示の実施形態と併用するように、標的k値は、文献からの、及び依然として明らかなテクスチャー波長特徴を規定するほど十分に規則正しいときの測定、及び信号対k値の分布を決定するための事前測定からの、ミニカラムのk空間における近似位置の知識の組み合わせによって選択される。これを達成するための1つの方法は、データ取得時にk空間において十分な広がりを提供するために、傾斜をオンにし、それに続く取得でより細かくサンプリングできるようにすることであるが、この測定は、傾斜をオフにした取得を使用しても行われ得る。
皮質では、水の平均拡散率(MD)は、認知症が亢進するにつれて低下することが分かっている。開示の実施形態を使用して、これが、既に説明した通りミニカラムのスペーシング、配列、及び異方性を測定することにより、ミニカラムの障害に起因するのかどうかが決定され得る。開示の実施形態を使用して得られる信号対k値のデータは、下流の神経病理学的な転帰であるMMSE検査などの認知評価テスト、及び血清及び画像データからの相関データと共に、機械学習アルゴリズムに入力され得る。
アルツハイマーの認知症に加えて、ミニカラム構造の変化、又はミニカラム構造における異常形態は、パーキンソン病、レビー小体認知症、筋萎縮性側索硬化症、自閉症(自閉症スペクトラム障害は、より広く、より密にされたミニカラムに反映されるため)、及び統合失調症(老化によるカラムの通常の菲薄化は発生するようには見えないが、より広く間隔を空けたミニカラムを生じる)、失読症及びADHDでも発生する。従って、開示の実施形態は、これらの状態のいずれかにおける病状の程度を評価するために使用され得る。測定されるデータと病状との相関関係を決定するための機械学習のための相関は、皮質の萎縮のセグメント化、MMSE、観察データからの病状の程度の医師の評価などから得られ得る。
さらに、開示の実施形態は、組織テクスチャーの変化を強調するための静止コントラスト機構、及び脳卒中又は腫瘍関連の病状を示し得るMR画像に現れる病変の近傍における血管系の変化を強調するための流れコントラストと一緒に使用され得る。
研究では、灰白質は、白質よりも早期に認知症の発症及び進行の影響を受けることが示されている。最も早期に劣化されることが分かっている皮質構造は、海馬及び嗅内皮質であり、その病状は、記憶障害及び見当識障害に至る。画像処理を脳のT1強調MR画像に適用する最近の研究では、海馬の画像上のテクスチャー特徴とMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアとの間の統計的に有意な一致が示された。テクスチャーは、分解能が不十分であるためにMR画像法による直接測定は可能ではないが、MMSEスコアの低下との相関に加えて、画像分析測定規準法が、特定のテクスチャーグラデーションと、海馬におけるグルコースの取り込みの減少及びADのマーカであるそれに続く海馬の収縮とを相関させる。これらのテクスチャー特徴は、画像処理の結果を除いて識別できず、及びそれらの原因は分かっていない。研究では、これらのテクスチャーの変化は認知低下に先行しており、及び症状の発症を追跡することが示されている。従って、海馬は、開示の実施形態を適用する場合、病状評価のためのテクスチャーの測定のための良好な標的である。
海馬及び嗅内皮質内の認知症の正確な病因が分かっていないため、開示の実施形態は、器官 - 海馬又は嗅内皮質のいずれか - 内の組織テクスチャーの詳細な評価を提供するための十分に完全なデータセットを集めるために使用される。テクスチャー波長の内容及び変動性の両方、並びに向き及び箇所依存性が測定される。複数のコントラスト方法を使用して(テクスチャーの出所が分かっていないため)、少なくとも3つの(直交する)方向において、ある範囲のk値にわたる信号取得がテクスチャーを十分に特徴付けるために必要である。器官に収まるVOIを全体的に異なる箇所に収めることができるようにするようにVOI寸法を画定することによる器官にわたるデータの取得は、テクスチャーの空間的な変動性を決定できるようにする。10ミクロンから約1~2mmまでの波長に対応するk空間の範囲にわたって信号データを取得することにより、多様なテクスチャー信号が測定の情報内容に確実に寄与するようにする。開示の実施形態は、いずれかのコントラスト機構、例えば反転回復、T1強調が強調された形態、又は拡散強調と併せて使用され得る。
AD病状の程度の評価に向けて、開示の実施形態によって取得されるテクスチャーデータによってもたらされた新規のバイオマーカの予測値は、同じ患者からのある範囲の診断情報との相関によって定義され得る。主相関マーカは、患者の転帰 - すなわちAD又は他の認知症の確定診断 - から引き出される。なぜなら、確定診断は、本出願人らが評価している病状からかなり下流であるものの、これは、最高の診断情報内容を有するためである。追加的な相関は、AD(並びに他の形態の認知症)の進行の証明された及び継続的なマーカである海馬の収縮の患者のMRI画像データから引き出される。この相関は、可能であれば疾患の進行に伴って長期にわたって行われる。ここでも、海馬における組織テクスチャーの変化は、顕著な認知低下、及びMRIによる体積の測定可能な変化よりも前に存在すると予期される。第3の相関的なマーカは、グルコース代謝の減少が疾患の進行の比較的早期に発生することが予期されるため、FDG-PETである。第4の相関的なバイオマーカ、MMSE(ミニメンタルステート検査)は、認知機能及び低下の長期にわたるデータを提供する。ADの遺伝的素因は、開示の実施形態によって取得されるテクスチャー測定値との相関の追加的なマーカを提供する。先のマーカは、下流の相関値(転帰側)を提供するが、遺伝的マーカは、いずれの病状の進行にも先立って存在する。この変動する組のバイオマーカと、広範囲の患者にわたって海馬及び嗅内皮質において開示の実施形態によって取得されるデータとの相関は、AD病状の早期予測のための、開示の実施形態の使用の診断内容を明確に定義できるようにする。
現在の機械学習アルゴリズムは、開示の実施形態によってMRデータ取得から取得されるような非特異的な特徴の病状レベルを分類できる。そのようなものとして、上記に開示する相関データ源は、機械学習アルゴリズムに入力されて、テクスチャー特徴及び疾患との相関を強調する。
疾患分類としての自閉症スペクトラム障害(ASD)は、振る舞いにのみ基づいて診断される。しかしながら、多くの研究でASDの人々の脳の解剖学的差異が報告されている。生体内のこれらの解剖学的変異を測定する能力は、振る舞いにのみ基づいていた診断に病状ベースの診断を追加できるようにし、且つこの症状の基礎にある病因を理解するための情報を与える。
前頭皮質の拡大と共に、大脳皮質の様々な領域におけるニューロンのカラム組織構成の変化が、自閉症に伴うことが見出されている。皮質の中央に広がる神経路は、約80ニューロンの束を形成し、約50ミクロン離間し、カラム組織構成を形成し、カラムは、皮質表面に対して垂直に延びている。この組織構成は、多数の組織学の研究において、正常な発達に見られるものと比較してASDで異なることが示されている。前述の通り、ADの進行にこれらのミニカラムの配列の菲薄化及び劣化が発生する。ASDでは、ミニカラム幅は、正常な脳におけるよりも広く、カラムのスペーシングを減少させ、且つ神経細胞密度が高いことが分かっている。カラムの幅のこの変化は、皮質全体を通して空間的に変動する - これらの変動は、いくつかの研究において、より高次の連合野に限定されており、且つ一次感覚野を補助し、これらの局所的な差異は、認知症状を映し出していることが見出された。ASDは、かなり異質に見えるため、病因を決定して病状を症状と相関させるためにより多くの研究が必要である。
ASDでは、ミニカラムは、正常な脳におけるよりも約5%~10%幅広であることが分かっている。大きい違いではないが、脳内の数十万のミニカラムにわたって、この変異は、脳組織構成における有意差に寄与する。最も顕著には、密度のこの変異は、開示の実施形態によって分解できる必要がある。
構造的変化は、開示の実施形態により、背景の皮質軟組織に対してカラム組織構成を強調するコントラストを使用することによって測定され得る。ここでは、最も関連するコントラストは、ニューロンに由来する軸索路を覆う脂質を明らかにするための、脂肪強調コントラスト、例えばT1又はIRである。ミニカラムの配列の劣化は、ミエリン軸索鞘の劣化に付随し得るため、このコントラストは、病状の進行と共に減少し得る。Casanova and Trippe,“Radial cytoarchitecture and patterns of cortical connectivity in autism,Philosophical Transactions Royal Society B”,2009;Chance and Casanova,Minicolumns,“autism and age:What it means for people with autism”,Autism Science Foundation,August 2015;Donovan and Basson,“The neuroanatomy of autism-a developmental perspective”,Journal of Anatomy,2017;McKavanagh,et al.,“Wider minicolumns in autism:a neural basis for altered processing”,Brain,July 2015;Opris and Casanova,“Prefrontal cortical minicolumn:from executive control to disrupted cognitive processing”,Brain,2014。
カラムの配列の変異を追跡するために適用できる別のコントラスト機構は、拡散強調である。このコントラスト機構は、AD診断におけるその適用について、ある程度詳細に上記で説明した。拡散強調は、水の拡散係数の局所変化を測定し、これらの変化は、顕微鏡レベルでの組織の変異を反映する。画像化におけるその使用において、大きい傾斜が数ミリ秒適用される必要があり、拡散係数の測定値に十分なダイナミックレンジを作り出すための十分な時間を可能にする。これは、T2ディフェーズに起因して、長いエコー時間、従って低SNRをもたらす。そのようなものとして、画像化では、最小ボクセルサイズは、測定に十分なSNRを可能にするために1辺が約2~2.5mmである。
拡散係数の変化を生じる基本的な現象は、顕微鏡スケールであるが、それらの分解能は、画像化では限定されており、十分なSNRを生成するために必要なボクセルのサイズが部分体積効果を生じる。さらに、この技術は、ボクセルで平均化される拡散係数の変化の責任を負う基本となる機構が分かっていないため、間接的である。
開示の実施形態と併せたコントラストとしての拡散強調の使用は、非常に微細な組織のテクスチャーの変化と、病状による拡散係数の変化とを直接つなげることができる。各TRにおいて取得されたテクスチャー波長(k値)を制限することにより、取得は、SNRを高めるために、減少した組のk値において多くの繰り返しを取得するのに十分な時間を提供する。複数の波長/k値でのパワーをプローブすることが望ましい場合、減少した組の測定は、連続的なTRにおいて繰り返され得る。ここでも、k値のこれらの別個の測定値間の位相コヒーレンスは必要でない。ここでの唯一の条件は、VOIが、同様のテクスチャーの特徴を備える組織領域に留まることである。組織テクスチャーが高速で空間的に変化する領域及び/又は無視できない程度の動きが予期される測定では、動きの補正スキームを使用して、それぞれの連続的な測定に対して関心組織領域内で連続的なVOIを再配置する。
微細な組織のテクスチャーのレベルでの変化を明らかにするために、コントラストへ拡散強調をさらに使用することは、DTI(拡散テンソル画像法)スキームを使用することである。この方法では、拡散傾斜が少なくとも6個の同一線上にない方向に適用され、方向拡散場を決定できるようにし、優先的な方向/組織の変化を示す水拡散における異方性の測定値を決定する。
統合失調症では、神経、すなわちニューロン密度の低下は、皮質の、女性では左半球及び男性では右半球に見られる。この密度の低下は、ミニカラムのスペーシングの拡大を明らかにし、且つ皮質のカラム組織構成に正常な加齢の影響がないことを伴う。認知の変化、意識及び機能を扱う多くの神経病理学が、特定の疾患症状で異なり且つそれらを映し出す攻撃を受ける脳領域である皮質カラム配列の変化を同様に伴うことを示すと仮定することは理に適っている。Chance et al.,“Auditory cortex asymmetry,altered minicolumn spacing and absence of ageing effects in schizophrenia”,Brain 2008。
病状を追跡するために皮質ミニカラムの配列及びスペーシングを測定するために、VOIの位置決めは、カラムと背景組織との間に最高のコントラストを生成するために重要である。VOIは、最初に、疾患の進行中に病状が現れると予期される箇所に基づいて、脳内の関心皮質領域に位置決めされる。次いで、健康なカラムのスペーシング及び配列で分かっていることに基づいて、VOIの長さ、取得軸が、いくつかのカラムの繰り返しのサンプリングを可能にするような十分な長さに選択される。カラムから背景への高コントラストを保証するために、VOIの取得軸は、皮質表面に対して可能な限り平行に近く位置決めされる必要があり、カラムと、垂線に可能な限り近い状態で交差する取得軸を生じる。これは、参照画像を使用するのみでは実施することが困難である。最適な方法は、最初に、関心k空間の領域、健康なミニカラムのスペーシングの近くでピークに達した一群の値を選択することである。次に、皮質表面に対して平行にVOIを位置決めする。その後、取得軸の傾きの角度を、選択された向きの両側において約1度刻みで数度だけ変更することにより、最善のアライメントが達成され得、k空間内の選択された群内での信号最大を探す。
VOIの横断面は、健康なカラムのスペーシングが数回程度の繰り返しとなるように選択され得る - より小さい横断面は、より高いコントラストに好ましいだけでなく、信号も低下させる。k空間での広がりは、測定の時間にわたってk空間での取得を広げるように傾斜をオンにして、取得されることによるか、又は段階的なk値を用いて、サンプル空間において窓形成することによるかのいずれかで設定され得る。前者の処置が、より多数のテクスチャーの繰り返しのサンプリングを可能にし、関心パワーがある箇所をより良好に決定するために好ましい。この測定は、k空間内の異なる範囲にわたって繰り返されて、診断測定のために重点を置くk空間領域を決定し得る。
自閉症の診断及び正常な皮質組織からの皮質組織形態の区別のレベルの評価に対する開示の実施形態の能力を最適にするために、機械学習が適用される。そのようなアルゴリズムへの入力は、多数の診断測定から引き出される。開示の実施形態を使用して取得されたデータは、選択されたコントラスト及び取得パラメータと共に、患者の病歴、認知機能検査、試験結果、画像データ及び転帰と組み合わされて、AI/機械学習アルゴリズムによって分析される。
MSは、神経の免疫介在性脱髄によって特徴付けられる、中枢神経系の慢性的な炎症性疾患である。これは、世界中で神経障害の主な原因である。一般に、若年成人の疾患の症例数は、三十代がピークである。疾患のトリガを理解することが困難であることに、疾患の経過が患者毎にかなり異なることが組み合わされる。「臨床的に孤立した症候群」の症状 - 認知症状の発生は、少なくとも24時間続く - の「再発-寛解型」の経過、「二次性進行型」及び「一次性進行型」の疾患の経過がある。レアバリアントは、急性再発を伴って進行する経過を示す「再発進行型」の経過である。MSの特徴であるT2高強度の病変が無症状の個人のMRI検査での偶発的な所見である。A.Katdare and M.Ursekar,“Systematic Imaging Review:Multiple Sclerosis”,Annals of the Indian Academy of Neurology,July 2015。MSで必要とされることは、治療の選択に向けた病状の進行の予後を可能にする診断能力並びに治療の有効性の高感度の測定である。しかし、そのような測定は、様々な症状及び障害の基礎となる様々な病状の経過の明快な理解が欠如していることによって複雑になる。
相次ぐ証拠は、疾患の経過の初期において最大であることが多い永続的な神経損傷のリスクを最小限にするために、MSへの早期介入が必要であることを示している。疾患の進行のより高感度の測定が、疾患の経過を予測し、且つ治療の有効性を評価するために必要とされる。非常に初期の疾患のより高感度の測定が臨床的に必要である。F.Piehl,“Multiple Sclerosis-A tuning fork still required”,JAMA Neurology,March 2017。
MSの研究では、磁気共鳴画像法が主な診断及び研究ツールになっている。先進的な画像化技術は、脱髄、軸索損傷及びその機能及び代謝結果を含め、組織損傷のより正確な特徴付けを提供することを支援する。MS診断の共通基盤は、脳、脳幹及び脊髄での「時間及び空間」における病変の汎発である。従来、病変を強調するためにGd(ガドリニウム)が使用されてきたが、患者の脳内でGdが長期に保持されるという最近の発見により、その使用の安全性が疑問視されている。この造影剤の代替例は、病変を強調するための代替的な方法であるように求められている。さらに、特定の時間的な変動性に縛られるが、白質病変負荷は、障害の症状とわずかにのみ相関する。これは、MSであると診断された人の脳に現れる局所的及び広範な損傷の両方の存在から生じると考えられている。広範な組織損傷を評価し、且つ病変内の組織の変化を評価する方法は、認知変化の予後に向けて基礎病状をよりよく理解し、且つ治療に対する反応を敏感に監視するために必要とされている。しかしながら、病変内及び病変周囲の基本的な組織損傷を測定するために必要な画像分解能は、データ取得の過程の患者の動きに起因して、標準的なMR画像法によって直接入手できるわけではない。大脳のMRIは、WM病変評価から脳全体の微細構造変化まで、MSによって誘発される組織の変化を定量化する目的で進歩しており、現在入手可能なMRI測定法は、依然として集団全体又は個人ベースでのいずれかに対して明快な説明又はその病状の診断を提供していない。より多くの診断情報が必要であることは明らかである。
MRI市場のかなりの部分は、神経及び脳の障害に対する診断の必要性から生じている。“MRI Market Primed for Growth”,Aunt Minnie Europe,2/27/2017。それよりも、MR走査に利用可能な多数のコントラスト機構は、1つのモダリティ内から相補的なデータを取得することを可能にし、基礎病状のより微妙な読み取りをもたらす。しかしながら、ここで欠落していたものは、ほとんどの病状で疾患をドライブする化学変化にすぐに応答する生物学的ファブリックである組織テクスチャーのレベルの直接的な構造的な測定である。いくつかの疾患では、病状をドライブする化学変化が知られており且つ測定可能であるが、他の疾患では、最も早期の測定可能な変化は、組織の構造的なファブリックにおいてである。しかしながら、この変化は、患者の動きによって設定された分解能の限界に起因して画像法によって測定可能でない。従って、MRIは、精巧な組織コントラストを提供するが、疾患の初期の前兆であるサブmmの広範な組織の変化は分解できない。
以前には、MSは、信号を皮質灰白質から脳の他の部分まで送る軸索路の脱髄に焦点を絞って、WM(白質)路及びCNS(中枢神経系)の疾患として特徴付けられていた。しかしながら、多くの最近の画像法及び病状の研究では、灰白質の明らかな関与を指摘している。初期MSに存在すると見なされる皮質脱髄は、不可逆的な障害の病状相関であり得る。灰白質脱髄は、ほとんどのMS患者では広範囲であり、及び灰白質の病変負荷と認知障害との明らかな関連付けがなされている。しかしながら、GM病変の検出は、標準的なMRコントラスト技術では困難であるため、臨床症状との相関には問題が残ったままである。Wegner and Stadelmann,“Grey Matter Pathology and Multiple Sclerosis”,Current Neurological and Neuroscience Reports,2009;Popescu and Lucchinetti,“Meningeal and Cortical Grey Matter Pathology in Multiple Sclerosis”,BMC Neurology 2012;A.Katdare and M.Ursekar,“Systematic Imaging Review:Multiple Sclerosis”,Annals of the Indian Academy of Neurology,July 2015。さらに、従来のMRシーケンス、具体的にはGdコントラストによるT1、T2及びT1は、CNS全体を通してWM病変の検出に関して感度が高いが、患者の動きが、病変の内外での基本的な組織損傷を評価するそれらの能力を制限する。ここで欠落している診断情報は、疾患の結果発生する、- WM路の複数の領域及び皮質領域(GM)の両方における - 脳内の組織テクスチャーの基本的な変化である。患者の動きの影響を受けないことに起因して、開示の実施形態は、この測定を提供し得る。
分子及び細胞レベルを起点とするコントラストを生成するMR技術は、MSに固有の病変及び広範な組織損傷の両方を基本とする組織の変化のより完全な理解を深めるという問題に適用されてきた。これらの非従来の技術、例えば磁化移動画像法(MTI)、拡散強調画像法(DWI)及び拡散テンソル画像法(DTI)は、WM及びGMの疾患によって誘発される劣化の影響の間接的な測定を提供する。これらの測定での困難は、それらが間接的であるため、それらが測定する信号強度の変化が様々な病状関連の組織の変化から生じ得ることである - 特定の根本原因を割り当てることには問題がある。DTIは、脳での神経線維の追跡の役割を良好に果たしており、病状の進行に起因してその路中に現れる肉眼的な孔を露わにする。しかし、微細な組織のテクスチャーのレベル、- すなわち疾患の進行のより早期の及びより高感度の測定 - でのこれらの変化の正確な源を決定できない。病変は、非特異的であり、且つ炎症、脱髄、虚血、水腫、細胞消失、グリオーシスの領域を示し得る。MSの認知の影響を観察する、微細な規模の病状の変化のより良好な理解が必要とされている。
病変のサイズ、数並びに空間及び時間的分布は、疾患進行の評価の明らかな貢献者であるが、T2で強調されたMRIは、病状の特異性及び特定の予測能力が欠如している。
MSでのWM病状は、炎症反応によって占められており、脳を通って延びる神経路を含む軸索を取り囲むミエリン鞘の劣化を生じる。WMでの明確な病変の出現前の、初期段階のミエリン消失の直接測定が、早期の治療に向けた最も有用な診断測定であろう。単一の軸索は約1μmであるため、連合変性が、測定可能な信号を生じるために必要である。求められているマーカは、軸索変性が進行するにつれた、その路に沿ったミエリンの減少である。T1及びT2で強調された画像にWM病変として局所的な劣化が出現する。
MS病状が複雑であることに起因して、単一の診断測定で病状の発症及び進行の根本原因を完全に解明することは期待されていない。これまでになく多くのデータセットを記憶し且つ処理するコンピュータの能力は、1人の患者からの異なるコントラストの条件下で得られた画像データの複数の測定値を使用して、複雑な画像の処理及び解釈を可能にした。さらに、計算能力は、集団全体にわたる患者のメタデータ及び転帰と組み合わせて、異なるMRコントラスト、異なるモダリティによって得られたデータを相関させる機械学習アルゴリズムを使用することにより、新しいMR診断測定からバイオマーカをより正確に導き出すことを可能にした。
より早期の診断を提供し得る、より感度の高い/特異的なMRI診断手法の開発が必要であると共に、情報抽出を最大にするために、後処理の改善が必要とされている。Bakshi et al.,“MRI in multiple sclerosis:current status and future prospects”,Lancet Neurology,July 2008。
診断情報の組み合わせは、特に、AI/機械学習/深層学習アルゴリズムを使用してこれらの測定値を組み合わせる能力を考慮すると、MSにおける基礎病状を明らかにする絶好のチャンスである。しかしながら、データの相関は、単一の測定よりも強力であるが、アルゴリズムへの高い情報量の入力は、その感度及び有効性をドライブする。病気に冒された脳組織の非常に微細なテクスチャーの変化を直接測定するその能力では、開示の実施形態は、MSの進行の高感度の測定を可能にするための重要なデータを提供する。さらに、テクスチャーの形態の高い情報量の測定を提供し、これは、1)他の間接的なMRIパルスシーケンス/コントラスト方法、例えばDWI及びMTIの較正に向けた相関測定値として適用され得るか、又は2)最高の組織コントラストを提供するように選択された任意の特定のコントラスト機構との統合モードで実行され得、MRデータは、最適なコントラストを提供するいずれのコントラスト機構によって組織コントラストが提供されている、開示の実施形態を使用して取得される。これは、標準的なコントラスト、例えばT1及びT2-強調又はさらに進化した測定、例えばDWI又はMTIであり得る。(上述の通り、図24及び図25は、統合DWI/テクスチャーパルスシーケンスを示す)。
MSでの炎症は、神経路の脱髄及び軸索損傷の両方を引き起こす。脳萎縮が続き、且つ皮質の菲薄化に反映され、これは、取得後のセグメント化を使用してMRIにおいて測定され得る。しかしながら、皮質の萎縮が測定可能になる頃までには、著しい神経損傷が既に皮質で発生しており、この萎縮は、総合的な組織損傷を肉眼的に映し出すものである。測定可能な萎縮又は明確な病変の出現前の、初期段階の組織の変化/ミエリン消失の直接測定は、早期の治療を可能にするための診断測定として必要とされている。Fox et al.,“Advanced MRI in Multiple Sclerosis:Current status and future challenges”,Neurologic Clinics,May 2011。
単一の軸索は、約1μmであるため、測定可能な信号を生じるために連合変性が求められる。しかしながら、皮質では、約80個で1組のニューロン束が組織の変化の十分に高感度の測定を可能にし、皮質の菲薄化の基本となる変性を追跡する。これは、アルツハイマー病の進行に固有の皮質損傷とほぼ等価である。配列の欠如及びミエリン分解によって示されるような、これらのカラムの変性は、MSの早期のマーカの1つである。
ミエリン分解の定量化の試みに適用されてきた別のコントラスト方法は、磁化移動画像法(MTI)である。ミエリンなどの高分子に結合された水は、それらのMR信号の記録を可能にするにはあまりにも高速で減衰しすぎるため、信号強度を直接測定することは不可能である。しかしながら、脳内の自由水と結合水素プロトンとの間の双極子相互作用により、プロトンの自由溜りと結合溜りとの比の変化が測定され得る。これは、拡散画像法のような、含水量の変化の高感度の測定であるが、変化を引き起こす基本となる機構は、複数の病的現象に起因し得る。MTRは、ミエリン含量に関連付けられたが、例えば水腫及び炎症からの含水量によっても影響されるように、MTRの変化の原因がどのようなものであるかを正確には言えない。MTRは、自由な水素の溜り(含水量)及び結合水素の溜り(例えば、ミエリン中などの細胞膜中のタンパク質及び脂質に結合したもの)の両方の変化によって変化する。組織病理学との比較は、脱髄及び再ミエリン化並びに総合ニューロン密度の両方に適度に良好な相関を示した。従って、ミエリン含量を反映するときのMTRの変化の関連は、全く明快ではない。これは、直接的な構造的な測定のパワーである - 解釈は、コントラスト機構にのみ依存する。Vavasour et al.,“Is the Magnetization Transfer Ratio a marker for myelin in Multiple Sclerosis”,Journal of Magnetic Resonance Imaging,2011。
1つのパルスシーケンス内への開示の実施形態及び拡散強調の組み込みのように、開示の実施形態は、MTIコントラストと直接組み合わされて、コントラストが含水量の変動から生じる構造を強調し得る。
DWI及びDTIの両方は、細胞組織によって邪魔され且つ病状によって変化する水分子の顕微鏡的なブラウン運動又は拡散を測定するが、異なる洞察をもたらす。健康な軸索路では、水は、路に沿って優先的に拡散するが、炎症が軸索変性を引き起こすため、水拡散は、より等方性となる。これらの路の変性は、DTIによって測定されるような、細胞レベルでの水拡散の好ましい方向の変化、すなわち部分異方性(FA)に反映される。DWIは、方向に関わらず、平均拡散能(MD)を測定する。概して、低部分異方性(FA)及び高平均拡散能(MD)がMS病変に見られるが、これらの値は、かなり不均一である。しかしながら、これらの測定値は、推測される - すなわち、拡散の規模及び方向性の低下を観察するために、細胞レベル機構を仮定する必要がある。例えば、拡散の変化は、炎症又は水腫又はミエリン分解の副産物に起因し得る。
脱髄を評価するための別の方法は、マルチエコー記録によるものであり、これは、水/脂肪含量を反映する数値であるT2緩和の測定を可能にする。これは、T2緩和時間測定法として知られており、及び開示の実施形態と統合した形態で使用されるとき、含水量によって識別される組織構造の測定を可能にする。
模範的なMS評価は、T2及びT1強調における病変の可視化を含む - 空間及び時間的に汎発する。これは、長期にわたる記録である。MS病状の異なる態様への感度の高い、異なるMRベースの測定を組み合わせて、不可逆的な障害の積み重ねの基本となる機構の理解を深める。灌流MRIを用いて、脳血流量及び血液量を定量化する。マルチチャンネルレシーバがらせん状に動いて、病変の内部を検査する。脳萎縮測定は、脳の容積の変化を測定するために用いられ、及びWM路損傷との相関を見る。
その後、機械学習アルゴリズムを適用して、現在の診断からの総合データ及び様々なコントラストを用いて開示の実施形態を適用することによって得られたデータ及び取得パラメータ - 組織化された又は組織化されていない - を評価し得る。
提供された例に対して病状の分析に適応するために、開示の実施形態の顕著な特徴は、他のMRIシーケンスとの統合パルスシーケンスモードで実行され得ることである。開示の実施形態の基本的な構造 - 1度に1つの組織箇所での、まばらにサンプリングされたk空間軌跡にわたるデータ取得 - は、ほとんどのコントラスト生成機構と併せて動作可能である。
拡散強調コントラストとの開示の実施形態の使用は、シーケンス内の拡散傾斜の2つの異なる位置決めによる拡散強調及び開示の実施形態を併用する統合パルスシーケンスを示す図24及び図25で開示した。
そのような統合シーケンスは、DTI(拡散テンソル画像法)と同様に、複数の軸に沿って適用された拡散傾斜で繰り返され得る。その後、出力データセットは、拡散テンソルの発生を可能にし、細胞レベルの変化を反映する組織内の水流経路の反映であるFA(部分異方性)の決定を可能にする。
MS病変の分類及び基本的な病的な組織の変化の決定に向けたDWI及びDTIコントラストの両方の適用と併せて、わずかな結合水及び自由水の変化の評価を可能にするシーケンス、MTI(磁化移動画像法)は、病状の進行においてミエリン崩壊及び再生を評価することを支援するために使用され得る。MTI技術の目標は、組織中の結合水対自由水の変化を追跡することである。結合水素プロトンのT2減衰時間は、直接信号を記録できるようにするには速すぎる。代わりに、プロトンの結合溜りの選択的なRF励起が行われ、双極子-双極子相互作用による自由溜りへの後続の励起移動を生じる。これにより、自由溜りを飽和させ、従って後続の標準的なRF MRIパルスの印加に続いて信号が減少される。
拡散強調のように、これは、間接的な技術であるため、測定データに異なる解釈が当てはまり得る - 水の変化は、水腫又は炎症及び脱髄に起因し得る。
病状評価に考えられる1つの技術は、MTI技術を適用し、その後、開示の実施形態及び標準的な組織コントラスト、例えばT1又はT2強調を使用して、同じ組織領域で取得されたテクスチャー測定値に対し、記録された画像を比較することである。この場合、開示の実施形態は、組織劣化の評価を提供し得、これは、MTI技術の病状特有の較正として使用され得る。しかしながら、より強力な代替例は、統合パルスシーケンスであり、ここでは、開示の実施形態は、磁化移動コントラストと併用される - すなわち、異なる結合及び自由水濃度の構造間のテクスチャーコントラストがMTコントラストによって提供されるテクスチャーの高分解能測定値を取得する。この統合シーケンス技術は、測定されるテクスチャー要素に関連付けられる水のタイプ(自由又は高分子に結合されている)が明白に区別される病状に適用され得る。多くの神経疾患、例えばMS及びADでの病状は、ミエリン被覆ニューロン構造の変化を伴う。ミエリンは、結合水素プロトンを含有する。自由水は、ミエリンが劣化するときに動く。従って、この統合シーケンスは、そのような病状に遥かに必要とされる測定値を提供し得る。また、MTイメージングシーケンスを直接適用するのと異なり、組織に適用される統合パルスシーケンス測定値は、組織テクスチャーにおける病状に結び付けられる変化をより明確に理解する情報を与える。
統合パルスシーケンス取得の別の標的は、緩和時間測定法である。組織での病状に結び付けられる変化に関する情報は、RF励起の減衰時間の測定 - T1、T2又はT2*のいずれか - によって得られ得、これは、特定の組織環境に関する情報を提供する。異なる化学的環境において、水素プロトンは、異なる緩和時間を示す。最も一般的に使用される数値、T2減衰時間は、スピン-スピン相互作用に依存する。従って、T2緩和の変化は、組織内の化学的環境を見分けるために使用され得、且つ組織コントラストを強調し得る。例えば、ミエリンは、AD及びMSなどの疾患において分解し、自由水がそこに入る。この変化は、局所的なT2時定数の変化として反映される。T2減衰定数が、信号が減衰するとき、スピンエコーに続いて(又はその前にも)様々な時点のデータを取得することによって得られる。緩和時間測定法では、異なるボクセルで得られた測定は、T2減衰時間内において、病状によって引き起こされることが多い、空間的変動を明らかにする画像を形成するためにマップされることが多い。このマッピングは、患者の動き及びSNRの検討事項によって設定される分解能の限界に左右され、且つ微細な組織のテクスチャーを分解できない。しかしながら、開示の実施形態によってデータを取得するためにパルスシーケンスを使用すること、信号減衰を追跡するために特定のk値の測定を繰り返すことにより、非常に微細な組織のテクスチャーの統合測定が達成され得、T2緩和率が組織コントラストを提供する。その後、基本的なシーケンスは、VOI内の組織の画定及び励起、特定のk値(k空間内の点)までワインドアップするための傾斜パルスの適用及び信号が減衰するときに連続的な時点での信号の測定が付随する。この方法により、情報は、k空間内のその時点に寄与する組織テクスチャーの化学的環境 - すなわちそのk値に関連付けられる周波数で繰り返すテクスチャー構造の組織環境 - で得られる。例えば、水が特定のT2を有するとき、T2減衰率の測定値は、そのk値での信号のパワーに寄与する特定のテクスチャー構造の自由含水量の変化を判断するために使用され得る。
代わりに、k空間内の点の範囲は、単一のTRでサンプリングされ得、様々なk値は連続して測定されるため、その測定は、信号が減衰する間、複数回繰り返されて、各k値での信号減衰を追跡し、且つk値対T2の決定を可能にする。
ヒトの脳において、T2緩和時間測定法は、異常な組織から正常な組織を識別するために問題なく利用されてきている。調査研究でも、早期乳癌検出及び治療に対する反応の監視のために緩和時間測定法の適用の可能性が実証されている。技術は、異常な胸部組織を特定し、それらの明確に異なるT2値により、腺性組織タイプから脂肪を区別するためにも使用されている。Carneiro et al.,“MRI Relaxometry:Methods and Applications”,Brazilian Journal of Physics,March 2006。
この測定は、エコーを形成するために傾斜エコーシーケンスを使用することにより、同様にT2*減衰を見て行われ得る。
T1緩和時間測定法は、T1減衰定数を追跡するために複数のTRが必要とされるが、開示の実施形態との統合シーケンスの組み合わせで行われ得る。これは、取得間の動きが測定のディフェーズを生じ得ることを意味する。しかしながら、VOIが同様の組織環境に留まる限り、必要な測定値は、単純なk値対T1である。さらに、研究中の組織領域が高速で空間的に変わる場合、動きのリアルタイム補正が使用され、VOIが確実に各TRに再位置決めされて組織の同じ領域に留まるようにし得る。同様に、ここでの条件は、テクスチャー位相コヒーレンスを維持することではなく、同じ組織領域に留まることにすぎない。
いくつかの疾患では、開示の実施形態は、MRS(磁気共鳴スペクトロスコピー)と併用されると、相補的なデータを提供して、病状評価を改善し得る。MRSは、特定の代謝活動に使用される自然発生の生化学物質である代謝物の検出を可能にする非侵襲的技術である。一般に測定される代謝物は、クレアチン、イノシトール、グルコース、N-アセチルアスパラギン酸及びアラニン及び乳酸であり、最後の2つは、ある種の腫瘍で上昇する。MRSは、卒中、発作、AD進行及び鬱病の結果の脳腫瘍内での代謝物の相対的変動を研究するために使用され、且つ病状の結果としての筋肉の変化の研究に適用されている。多数の研究で、様々な疾患のある対象における脳(及び筋肉)の代謝の変化が示されているが、現在のところ、MRSは、対象の臨床評価ではほとんど使用されていない。これは、部分的には、臨床現場間の標準化された方法論が欠如していること及び異なる病状間でのスペクトルパターンの重なり(すなわち特異性の相対的な欠如)に起因する。水対代謝物の比が約10,000:1であるとき、通常、水プロトンを飽和することによって達成される水抑制技術が必要とされる。開示の実施形態によって得られたデータをMRSデータと組み合わせることは、分光分析データの較正を支援し、且つこの組み合わせにより、より強力な診断をもたらし得る。この努力により、生検を行わずに高感度及び特異性の代謝情報をもたらし得る。MRIは、腫瘍の位置を突き止め得るが、MRと組み合わされた、開示の実施形態からの情報は、腫瘍の攻撃性及びタイプを明らかにし得、治療の標的化及び監視を可能にする。
一例として、臨床試験では、アルツハイマー病が疑われる患者の脳においてミオ-イノシトールが増加し、及びN-アセチルアスパラギン酸が低下することが判明しており、これは、MCI(軽度認知障害)を通って本格的なADに至る疾患の進行で継続する傾向がある。そのようなものとして、開示の実施形態を使用して測定されるように皮質の組織テクスチャーが変化している、早期疾患に冒されている皮質構造で得られたMRSデータの相関は、病状の進行のマーカとしての代謝物レベルの役割を強化する一方、特定の組織損傷とAD段階との間の相関を創出する。Gao and Barker,“Various MRS application tools for Alzheimer’s Disease and Mild Cognitive Impairment”,American Journal of Neuroradiology,June 2014。
現在までの調査では、局所的な代謝物レベルは、病状進行と相関することが多い正常な組織からの変化を示し得ることが示されている。例えば、腫瘍の空間的に全域にわたる代謝物の特徴の測定値は、腫瘍攻撃性の指標である組織異質性を測定するために分析され得る。開示の実施形態は、同じ腫瘍の全域にわたる血管原性血管系の空間的変動の測定値を提供して、MRSの代謝物の読み取り値を用いて、血管密度の程度と障害とを相関させ得る。
開示の実施形態は、領域の全域にわたって及び通常のスペクトルに対するk空間のパワースペクトルの変化での異質性を探すために用いられ得る。
開示の実施形態をMRSと組み合わせる別の目標は、腫瘍の進行の臨床評価である。腫瘍評価は、放射線治療の標的体積を分類し、且つ決定するために必要とされる。脳腫瘍は、正常な脳組織と著しく異なるMRSスペクトルを示す。さらに、腫瘍領域は、明瞭な代謝物不均質性を示し、悪性度の高い脳腫瘍の壊死性コアからのスペクトルは、活発に成長している辺縁からのものとかなり異なる。腫瘍周囲浮腫は、周囲の脳組織への腫瘍浸潤の領域に見られるものとは大いに異なる代謝物補体を示す。MRSI(MRS画像法)が組織の領域における代謝物の変動性をマップするために使用され得る。しかしながら、空間分解能の限界(約1cm3)は、小さい腫瘍領域の撮像を、比較的大きいボクセルサイズ及び部分体積効果に起因して問題のあるものにする。腫瘍領域の代謝物の明らかな変化は、MRSの適用の可能性を指摘するが、日常的な臨床的手段として受け入れられてこなかった。
MRIは、疑いようもなく、脳腫瘍の検出に利用可能な最も感度の高いモダリティであるが、その特異性が低い - 異なる腫瘍/病変タイプが同様のMRI上の見かけを共有し得る。腫瘍の悪性度の決定又は腫瘍性病変と非腫瘍性病変との区別は、悪性度の高い脳腫瘍が悪性度の低い腫瘍よりも攻撃的に治療される必要があるために重要である。病変が非腫瘍性であると確信的に診断され得る場合、侵襲的な脳生検処置が回避され得、且つ病変病因に依存して異なる治療過程が考えられ得る。従来のMRIを使用する腫瘍と非腫瘍性病変との区別は、難易度が高いことがあり得る。MRIは、脳病変を検出するための感度が高い技術であり、従来のMRIの、特異性及び良性病変と悪性病変を区別するための能力は、限定されている。Horska and Barker,“Imaging of Brain Tumors:MR Spectroscopy and Metabolic Imaging”,Neuroimaging Clinics of North America,August 2010。
開示の実施形態によって得られたデータは、MRI及びMRSによって得られたデータと組み合わされて、病状評価に関するより良好な特異性を提供し得る。開示の実施形態は、微細構造を測定するそれらの能力において、適切な情報を提供して、MRIによって見られるように、腫瘍の全域にわたって、病変の中心から周辺を通り過ぎる血管新生の程度を決定するために腫瘍内及びその周囲の血管系を評価することにより、腫瘍の分類を支援し得、この測定の一部は、周囲組織への血管原性血管系の範囲の評価である。このようにして、攻撃性/非攻撃性の腫瘍の区別は、MRS及びMRIのみを使用して達成され得るものよりも遥かに良好な確実性で行われ得る。例えば、水腫から生じる代謝物の変動は、血管原性血管系と関連付けられるものと非常に異なる組織テクスチャーと関連付けられる。開示の実施形態は、腫瘍にわたる血管原性変化を測定する。
開示の実施形態と追加的な新規のコントラスト方法とを組み合わせる統合パルスシーケンスの適用の典型的な作業の流れは、図31に示すように達成される。
ステップ3102において、関心組織タイプを特定することにより、必要とされる所望のコントラストを選択する。その後、ステップ3104において、T1、T2、T2*、IRなどの標準的なコントラストを使用して、解剖学的構造での局在化のために参照画像が生成される。
ステップ3106において、統合パルスシーケンスにDWI、DTI、ASL、MTIなどの選択されたコントラストを適用し、且つステップ3108において、k空間で局所的なまばらにサンプリングされる、開示の実施形態の高速な取得と、選択されたコントラスト生成機構とを組み合わせている単一の取得シーケンスにおいて、テクスチャー特徴付けのための開示の実施形態を適用する。
MR画像法を用いて達成可能なものよりも遥かに高い分解能測定を可能にする、開示の実施形態の新規の特徴は、1)サンプリングされる体積のサイズが標的疾患/病状によって決定される標的空間的位置におけるサンプリング、及び2)k空間における選択的サンプリングである。MR画像法では、取得は、大きい、空間的にエンコードされた3次元体積において行われ、且つk=0から最高関心k値までの連続的なk空間測定を含む。そのような測定は、患者の動きが特徴の分解能を制限するのに十分に長い時間的経過にわたって非常に大きいデータセットの取得を必要とする。測定をサンプル空間内の1箇所に限定し、且つk空間内の高選択的な領域のみをサンプリングすることにより、開示の実施形態は、患者の動きの影響を受けないようにし、従って1つのTR内で高分解能テクスチャー測定値を取得できるようにする。測定されたテクスチャーデータは、生検によって取得されたものと同様であり、手順は、全く危険を伴わない。さらに、開示の実施形態を使用して、個々の、動きの影響を受けない局所的な測定により、器官全体が網羅され得るため、生検/病状に固有のサンプリング誤差が除去される。
組織テクスチャーを適切に特徴付けるために必要なk空間サンプリングは、疾患及び病状の進行の段階によって変化する。しかし、多くの測定のように、疾患の基礎知識を取得パラメータの選択に使用でき、ある箇所でのk空間におけるパワー分配に関する一般的な情報を提供する「スカウト」取得を使用することにより、パラメータの最適化の向上が達成され得る。例えば、サンプリングされる体積、VOI(関心体積)の最適な長さが研究中の組織中の関心テクスチャー波長によって変化するとき、k空間での関心近似範囲/値の概念は、VOI寸法の選択を支援する。
骨では、例えば、骨梁数が退化と共に低下するため、特徴のサイズ(テクスチャーの数)対サンプリング長の比を比較的一定に保つようにVOIの長さを変更することが好都合である。この場合、TbNは、TbSp又はTbThではなく、TbNがVOI取得長さに対する繰り返し数を決定するときの関心特徴の長さである。ピーク信号のパワーのk空間での相対位置を決定するためのスカウト画像の使用は、VOIの長さの最適な設定を可能にする。
スカウト測定に影響を与えるために、1つの方法は、病状で分かっていることに基づいて最適な組織コントラストを選択し、且つ全体的に、単一の向きの取得で、k空間内でパワーのある箇所を判断するために十分な時間及びTRでデータを取得することである。これらのスカウト測定は、ある範囲の値をスイーピングするために傾斜オン取得を使用して行われ得、k空間内のテクスチャーパワーがある箇所を判断するために十分なSNRを得るためにスイーピングを十分な低速に保つ。従って、スカウト測定は、最初に、健康から疾患の範囲にわたって研究中の組織に関連付けられるテクスチャーk値を疾患に含むように、k空間内で十分な大きさの領域にわたって信号データを取得することによって達成される。その後、いずれの範囲が初期走査での重要性を実証するかのリアルタイムの決定が、より低速の傾斜オン取得によるより詳細な追跡又は測定するための特定のk値の標的化のために選択され得る。そのため、データ取得は、最高の情報量を保持するk空間領域内での、ゼロまで狭くなる範囲に問題なく集中される。この取り組みでは、テクスチャー特徴がほとんどない、テクスチャーが著しく欠如している領域が、疾患の進行に重要であることを覚えておく必要がある。
場合により、病状がk空間の広範な領域にわたる変化を映し出す場合、取得は、領域全体にわたって傾斜をオンにして及び低速サンプリングで行われる。
別の例として、スカウト取得は、緩和時間測定法に関する関心k値を決定するために使用され得る。ほとんどの生物組織のテクスチャーは、非晶質であるため、テクスチャーk値の広がりを表すk空間内の有限群は、傾斜オン取得を使用して特定され得る。これは、テクスチャーパワーがある関心領域を見つけるために、k空間にわたって小区域を連続的にサンプリングすることによって達成され得る。関心k群が決定されたら、その群にわたるRF励起の減衰が信号減衰として測定され得、サンプリングされる領域は、傾斜オン取得を使用して選択される。
スカウト画像は、正確に位置決めするために感度を調査するために使用され得る。
従って、図32に示すように、スカウト取得を使用する処置の流れは、以下を伴う。
ステップ3202において、基本的な組織及び疾患のタイプの知識に基づいてVOIを設定し、且つk空間内のある程度広範な領域にわたって信号データを取得する。領域は、ステップ3204において、測定時にk空間内での取得を広げるために傾斜をオンにして取得するか、又はステップ3206において、段階的なk値を用いて、サンプル空間において窓形成することによってのいずれかで設定され得る。前者の処置は、いずれの箇所に関心パワーがあるかをより良好に決定するために、より多数のテクスチャーの繰り返しのサンプリングを可能にすることから好ましい。この測定は、ステップ3208において、k空間内の異なる範囲にわたって繰り返され得、診断測定のために重点を置くk空間領域を決定する。
ステップ3210において、スカウト取得は、1つ又は複数のTR内において、k空間内の様々な選択される範囲にわたって必要に応じて繰り返され得る。TR間のコヒーレンスの損失は、測定が組織テクスチャーの同様の領域内に留まる限り問題ない。ステップ3212において、ここでは、総再位置決めのために必要に応じてリアルタイムの再位置決めが使用され得る。
このスカウト方法は、ステップ3214において多くの異なる向きで、及びステップ3216において必要に応じて異なる箇所で繰り返され得る。
関心パワーのために得られる情報を使用して、VOI寸法は、ステップ3218において、最低4回のテクスチャーの繰り返し(VOIが短いほど、その寸法にわたってテクスチャーの均質性を維持することが簡単であるものの、それよりも多い方が良好である)のサンプリングを可能にするように選択され得、及びデータは、1つ又は複数のTRにおけるk空間内の顕著な範囲にわたって取得される。
関心特徴は、単なる大きいスペクトルパワーのある範囲にあるだけでなく、そこでは信号強度に明白な欠如があるために、重要である範囲も含むことに留意されたい。
開示の実施形態の様々な適用に関して上記で簡潔に説明したように、医学的な診断の開発及び適用における機械学習は、1)診断の較正及び最適なデータ取得パラメータの決定、2)疾患のバイオマーカの特定、及び3)診断情報の最適な抽出を保証するために、個人及び集団両方の健康な層での診断方法の継続的な使用を容易にするために適用され得る。機械学習は、いずれの出力量/バイオマーカ(海綿骨の厚さなど)が測定されるかが分かっているときの管理学習方法で適用され得るか、又はアルゴリズムが、共通の特徴を探すために与えられるデータセットを探す非管理モードで実行され得るかのいずれかである。前者の場合、管理学習では、新しい診断が公知の量を測定する精度は、ある種のグラウンドトゥルース(ground truth)測定との比較によって決定され、及び機械学習は、診断のためにデータ取得パラメータを最適にするために使用され得る。非管理学習の場合、様々なデータセットで共通の特徴が抽出されたら - 開示の実施形態の場合、テクスチャー波長スペクトルのいくつかの領域でのパワー分配 - それらは、所望の場合、健康/疾患の状態などの標的組織に関する他の公知の情報と相関され得る。
機械学習は、組織テクスチャーの変化が疾患の発症及び進行のマーカである広範囲の疾患の各疾患における診断ツールとしての、開示の実施形態を較正する機器の部分であり得る。この目的のための機械学習の適用は、関連する組織テクスチャーのグラウンドトゥルース測定源を使用することによって容易にされ、病状、現在のところ生体内で測定不能である特徴を追跡する顕著なテクスチャー特徴の決定のための、及び開示の実施形態によって得られた診断データの確証のための入力をもたらす。このグラウンドトゥルースは、疾患における様々な健康及び病状の状態を反映する様々な器官からの組織サンプルを使用することによって提供され得る。動きによる不鮮明さがないため、マイクロCT、病理染色法及びMRIマイクロスコピーなどの技術の使用による、生体外組織の使用により、開示の実施形態の較正のための高品質のグラウンドトゥルースデータセットの生成を可能にする。(Szeverenyi et al.,MR imaging of liver microstructure in hepatic fibrosis and cirrhosis at 11.7T,ISMRM 2016)。
標的疾患の診断において適用するための開示の実施形態の較正のための作業の流れは、図33において、以下の通り説明される:
ステップ3302において、マイクロCT、MRIマイクロスコピー又は病状を使用することにより、選択された組織サンプルから高分解能2次元又は3次元データセットを得る。ステップ3304において、コンピュータシミュレーションを使用して、選択されたコントラスト機構のシミュレーション適用のための入力としてデータセットを使用することにより、これらのデータセットからのテクスチャー特徴付けのために開示の実施形態によってデータ取得をシミュレーションし、複数のシミュレーションされた時間変化無線周波数信号及び適用される傾斜を用いて、シミュレーションされた関心体積(VOI)を選択的に励起し、シミュレーションされたエンコーディング傾斜パルスを適用して、位相ラップを導き出し、特定のk値及び向きのための空間的エンコードを作成し、決定された特定のk値は、VOI内のテクスチャーに基づいており、一連のシミュレーションされた傾斜を開始してk値エンコードを生成し、結果として生じるk値セットは、VOIの像を生成するために必要なもののサブセットであり、k値セットでエンコードされたシミュレーションされたNMR RF信号の複数の一連のサンプルを記録し、且つ記録されたNMR信号サンプルを後処理して、k値セット中のk値に関する信号対k値のデータセットを生成して、VOI内の組織のテクスチャー特徴のシミュレーションを特徴付ける。ステップ3306において、2次元/3次元データセット内の特徴を、テクスチャー特徴付けのシミュレーションされた適用によって得られたこれらの特徴の測定値と比較する。ステップ3308において、組織データセット内に位置決めされた多数のVOIにわたるテクスチャー特徴付けのために、開示の実施形態によるデータの取得をシミュレーションし、且つステップ3310において、このデータに管理機械学習を適用し、終点として標的特徴の測定の最良の分解能を使用して、VOI寸法及び取得方向などの取得パラメータを最適にする。ステップ3312において、特定の疾患マーカを用いて、組織内の様々な画定されたVOIにわたって非管理機械学習を使用し、管理学習に呼び出されるものに追加的な顕著な特徴を特定する。ステップ3314において、機械学習アルゴリズムを使用し、バイオマーカ特定に向けて、それらの特徴を、組織サンプル中の疾患の発症及び進行に関して分かっているいかなる情報とも相関させる。ステップ3316において、疾患診断に向けて、組織バイオマーカを測定するために必要であるまばらにサンプリングされたデータセットを決定する。ステップ3318において、開示の実施形態によって提供される診断評価の強さを決定するために機械学習を使用する。ステップ3320において、グラウンドトゥルースデータセットと比較するために、同じ組織サンプルで、MRスキャナの実際のSNR環境において開示の実施形態によってデータを取得する。ステップ3322において、高分解能でロバストなテクスチャー測定に向けて、取得パラメータの最適化及び開示の実施形態の較正のために上記のステップを繰り返す。
前述の通り、機械学習は、組織タイプの病状の決定を向上させるために、様々な実施形態の組織テクスチャー測定方法を使用して用いられ得る。コントラスト機構は、同様にMR画像化プロセスでの測定のために用いられ得る、多相の生物サンプルにおける成分組織タイプ間のコントラストを強調するために選択される。選択されたコントラスト機構が適用され、及び関心体積(VOI)は、複数の時間変化無線周波数信号及び適用される傾斜を用いて選択的に励起される。エンコーディング傾斜パルスが適用されて位相ラップを誘発して、特定のk値及び向きのために空間的エンコードを作成し、特定のk値は、VOI内のテクスチャーに基づいて決定される。その後、一連の傾斜が開始されてk値エンコードを生成し、結果として生じるk値セットは、VOIの像を生成するために必要なもののサブセットである。k値セットでエンコードされたNMR RF信号の複数の一連のサンプルは、記録及び後処理されて、k値セット中のk値に関する信号対k値のデータセットを生成して、VOI中の組織のテクスチャー特徴を特徴付ける。その後、機械学習がk値セットのテクスチャー波長のパワー密度分布に適用されて、組織の病状の診断のためのバイオマーカを特定する。
方法は、テクスチャー特徴とテクスチャー波長のパワー密度スペクトルの特徴との相関を特定するために機械学習を適用することによってさらに向上され得る。機械学習は、診断データを抽出するための患者の病歴、検査記録、画像、血清マーカ、身体能力及び認知機能検査などの追加的な診断情報源を使用してテクスチャー特徴に適用されて、疾患評価も決定し得る。機械学習は、最終的な診断における様々な診断情報源の重み付けの決定にも適用され得る。
機械学習のための入力は、健康から病変までの組織病状を有する複数の生物学的なファントムを選択することによっても作成され得る。各生物学的なファントムにおいて成分組織タイプ間のコントラストを強調するコントラスト機構は、MR画像化プロセスでの測定のために選択され、及び選択されたコントラスト機構がMRパルスシーケンスに適用される。各生物学的なファントム中の関心体積(VOI)は、複数の時間変化無線周波数信号及び適用される傾斜を用いて励起される。エンコーディング傾斜パルスが適用されて位相ラップを誘発して、特定のk値及び向きのための空間的エンコードを作成し、特定のk値は、VOI内の予期したテクスチャーに基づいて決定される。その後、一連の傾斜が適用されてk値エンコードを生成し、、結果として生じるk値セットは、VOIの像を生成するために必要なもののサブセットであり、及びk値セットでエンコードされたNMR RF信号の複数の一連のサンプルは、記録されて、生物学的なファントムのそれぞれのテクスチャー測定値を提供する。
様々な疾患の適用における開示の実施形態の較正及び最適化に続いて、実施形態によって生じたテクスチャー測定値は、臨床診断ツールとして使用される。以前には測定不能であったサイズ範囲内の高分解能までテクスチャー特徴を測定する能力及び組織の変化が病状進行の非常に高感度の測定であることに起因して、開示の実施形態は、高い情報量のデータを生じる。また、高速であり、従って開示の実施形態は、MRI走査に対して追加するコストが最小限であるため、採用及び使用に対する障壁が低い。そのようなものとして、開示の実施形態は、疾患の臨床診断における重要なドライバーの1つであり、従って適用される様々な他の診断情報源の有効性の重みを付けることを支援し得る。機械学習アルゴリズムは、患者の健康状態評価を目指して、開示の実施形態によって取得されたデータ、患者の病歴、検査記録、画像、血清マーカ、身体能力、認知機能検査及び入手可能な任意の他のタイプの診断情報を含む、複数の関連する取得されたデータ源からのデータを全て相関させるために適用される。患者に関して入手可能な診断情報の範囲は、このデータの集まりを使用する機械アルゴリズムに供給され、最適にされた診断及びアルゴリズムへの様々な診断入力の重要性の重み付けの両方並びに診断の確実性のレベルの評価を提供する。臨床診療において診断の精度及び重みを評価するこの能力は、多くの現在使用されている診断の有効性の決定を目指して、大きい集団の健康のデータセットの層において機械学習を使用することによって知らされる。さらに、他の全てのデータセットとの相関は、開示の実施形態の継続的な較正及び最適化並びに診断データの最大限の抽出を提供する。
特許法の定めるところにより、ここで本発明の様々な実施形態を詳細に説明したが、当業者は、本明細書で開示した具体的な実施形態に対する修正形態及び代替形態を認識する。そのような修正形態は、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲及び趣旨内にある。