以下、添付図面等を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
以下、主に図1、図2A、図2B、及び図3を参照して、第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態による活動量計としての歩数計10の外観を説明する図である。図示のように、歩数計10は、略矩形の薄型の板状(カード形状)に形成される。また、筐体11の一の長辺11a(図1における下側に位置する長辺)寄りであって、且つ一の短辺11b(図1における右側に位置する短辺部)寄りの位置(図1における右下側の位置)には、後述の発光装置30を構成する一対のLED30a,30b、及び操作部30cが設けられている。
筐体11は、数ミリ以下、例えば2ミリ以下程度の薄型のカード形状(一般的な非接触ICカード相当の厚さ)に形成される。すなわち、後述する内部構成部品12を収容する歩数計10の全体の厚さも薄型のカード形状に形成されている。
本実施形態の歩数計10は、通勤、通学、及びレジャーなどの日常生活において利用者によって携帯され、当該利用者の歩行又は走行による歩数を検出する機能、及び検出した歩数を情報として外部に出力する機能を有する。
そして、歩数計10は、薄板状の筐体11に後述する内部構成部品12が組み込まれることで構成される。したがって、歩数計10は全体的として、筐体11の厚さと同様に例えば2ミリ以下程度の薄型のカード形状で形成されることとなる。特に、本実施形態では、このような薄型カード形状の歩数計10を、後述する内部構成部品12の態様によって実現している。以下、内部構成部品12の態様について説明する。
図2Aは、内部構成部品12の配置態様を概略的に示す斜視図である。また、図2Bは、内部構成部品12の配置態様を概略的に示す平面図である。
図2A及び図2Bに示すように、歩数計10の筐体11の内部構成部品12は、基板13と、受電回路14と、二次電池16と、を含む。そして、本実施形態では、これら基板13、受電回路14、及び二次電池16が、筐体11内において略同一平面上に並列に配置される態様をとっている。各構成部品の詳細について説明する。
本実施形態の基板13は、処理部としての処理チップ22と、記憶部としてのメモリ24と、給電IC(Integrate circuit)26と、電力制御回路28と、上述の発光装置30と、操作部30cと、加速度センサ32と、通信IC34及び通信アンテナ36から構成される通信部33と、が設けられている。
さらに、図3は、内部構成部品12における電気的な接続を説明するブロック図である。図示のように、内部構成部品12は、処理チップ22に対して、メモリ24、給電IC26、電力制御回路28、発光装置30、加速度センサ32、及び通信部33が通信可能に接続されている。
受電回路14は、二次電池16の充電のための電力を外部電源から受けるための回路である。すなわち、受電回路14は、非接触充電手段として機能する。特に、本実施形態の受電回路14は、いわゆる電磁誘導方式に従う電力搬送を実現するための誘導コイル14aと、給電IC26の端子に接続される配線14bと、を有する。この構成により、外部電源から受ける磁束により誘導コイル14aで生じる誘導起電力が、配線14bを介して給電IC26に伝送される。
二次電池16は、例えばリチウムイオン二次電池等により構成される。特に、二次電池16は、一枚の単位セル又は複数の単位セルを積層してなる積層電池により構成される。なお、二次電池16が積層電池により構成される場合には、当該二次電池16の全体の厚さが、基板13若しくは受電回路14の厚さ(チップまで含めた)以下、又は同程度となる枚数でセルが積層される。また、二次電池16の端子には、受電回路14からの電力の入力、及び基板13上の各部品の電力の出力を可能とするように配線接続がされている。
処理チップ22は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置として構成される。処理チップ22は、加速度センサ32で検出される検出値D1に基づく加速度信号Ksから歩行ステップを検出し、歩数データHsを算出する。
なお、処理チップ22は、必要に応じて、予めメモリ24に記憶させた利用者の身体データ(身長及び体重等)を参照して、取得した歩数データHsに基づく消費カロリーなどの利用者の体動を示唆するパラメータを算出するように構成されても良い。
また、処理チップ22は、二次電池16の充電残量を表す充電残量信号を電力制御回路28から受信するとともに、操作部30cへの操作が行われたことを示す操作検出信号を発光装置30から受信する。なお、この構成に代えて、処理チップ22は、二次電池16の端子電圧から直接充電残量を判定しても良い。そして、処理チップ22は、操作検出信号を受信すると、発光装置30における一対のLED30a,30bを、充電残量に応じて予め定められる発光態様で発光させる。
メモリ24は、例えば、不揮発性記憶部(ROM;Read Only Memory)、及び揮発性記憶部(RAM;Random Access Memory)などにより構成される。メモリ24は、処理チップ22で実行される処理に用いる各命令を一時的に記憶させる主記憶装置、及び当該処理を実行するためのプログラム及び算出された歩数データHsを中長期的に記憶する補助記憶装置として機能する。
給電IC26は、外部電源から受電回路14を介して受けた電力を所望の電圧に調節して電力制御回路28に供給する制御を行う。
電力制御回路28は、給電IC26から受けた電力の二次電池16への供給を制御する回路である。また、電力制御回路28は、二次電池16から処理チップ22、メモリ24、発光装置30、及び加速度センサ32等の電子部品に供給する電力を制御する。
発光装置30は、上述した一対のLED30a,30b、及び操作部30cにより構成される。ここで、上述のように、一対のLED30a,30bの発光態様は、処理チップ22により制御される。操作部30cは、押しボタンスイッチ等の機械式スイッチ又はタッチパネル等のセンサ式スイッチにより構成され、利用者により適宜操作される。
本実施形態において、例えば、処理チップ22は、操作部30cが操作されることを示す操作検出信号を受信した際に、歩数計10の使用にあたり二次電池16が十分な充電残量であるか否かを判断する観点から定まる第1閾値以上の場合には、一対のLED30a,30bの双方を点灯させる。
また、処理チップ22は、上記操作検出信号を受信した際に、二次電池16の充電残量が上記第1閾値未満であって、歩数計10の使用することができる程度の量であるか否かを判断する観点から定まる第2閾値以上の場合には、一方のLED30a又はLED30bの内の定められた一方のみを点灯させる。一方、処理チップ22は、二次電池16の充電残量が第2閾値未満である場合には、一対のLED30a,30bの双方を消灯させる。なお、第2閾値は、第1閾値よりも小さい。
これにより、利用者は所望のタイミングで操作部30cを操作して一対のLED30a,30bの発光態様を確認することで、二次電池16への充電が必要か否かを把握することができる。
なお、二次電池16の充電残量に応じて設定される発光装置30の発光態様は、上述の例に限らない。すなわち、利用者が操作部30cを操作した際に二次電池16の充電が必要であるか否かを把握できるように、二次電池16の充電残量に応じて視覚的に区別可能であるならば、他の発光態様が設定されても良い。
また、発光装置30は、充電中であることを視覚的に区別可能とする表示を行うように構成されてもよい。例えば、LED30a,30bの内の一方を充電残量に応じた発光態様に設定し、他方を充電中と充電完了の間で異なる発光態様(点滅と点灯など)に設定しても良い。
加速度センサ32は、利用者の歩行又は走行などに起因して歩数計10に生じる加速度の検出値D1を加速度信号Ksとして処理チップ22に出力する。加速度センサ32は、例えば公知の3軸加速度センサにより構成される。
通信部33の通信IC34は、通信アンテナ36を介して歩数計10と外部との間の通信を制御する。また、通信アンテナ36は、外部からの無線信号を受信する。特に、通信部33は、上述のメモリ24に記憶された歩数データHs又は体動に関するパラメータ等を含む情報を、リーダライタ等の外部通信手段に対して通信アンテナ36を介して出力する。
したがって、歩数計10により得られた歩数データHsを適宜、外部サーバーに集約して歩数計10を所持する利用者の歩数データHsに基づく体動(活動)に関する情報の統括的な分析及び管理が可能となる。
以上説明した本実施形態の歩数計10の内部構成部品12である基板13、受電回路14、及び二次電池16が、並列に配置されているので、歩数計10の厚さを比較的薄く形成することができる。
以上、説明した本実施形態の歩数計10によれば、以下に説明する作用効果を奏する。
本実施形態によれば、筐体11と、筐体11内に配置された内部構成部品12と、を備えた活動量計としての歩数計10が提供される。特に、内部構成部品12は、加速度センサ32、加速度センサ32による検出値D1に基づいて活動量(歩数データHs)を演算する処理部としての処理チップ22、及び記憶部としてのメモリ24を備えた基板13と、二次電池16と、二次電池16への充電を行う受電回路14と、を含む。そして、本実施形態の歩数計10では、基板13、受電回路14、及び二次電池16が筐体11内において略同一の平面上に並列に配置される。
このように、内部構成部品12である基板13、受電回路14、及び二次電池16が略同一の平面上に並列に配置されることで、内部構成部品12を収容する筐体11の厚さを小さく構成することができる。結果として、歩数計10の全体の厚さも小さくすることができる。
特に、本実施形態では、歩数計10の内部に配置する電池が二次電池16として構成されている。このため、従来の歩数計に用いられていたボタン電池のような一次電池と異なり、電池の電力残量が低下したことによる電池交換が要求されなくなる。このため、本実施形態の歩数計10の構成であれば、従来必要であった電池交換用の蓋部にかかる構造を省略することができる。すなわち、本実施形態の構成であれば、従来の蓋部にかかるヒンジ又はねじ止め部など、歩数計に対して一定以上の厚みを強いていた構造を省略することができる。
結果として、歩数計10の全体の厚さを、例えば数ミリ、特に2ミリ以下程度の薄型カード形状に相当する程度まで小さくすることができる。これにより、歩数計10を日常的に携帯することによる利用者への負担を抑制することができる。
より詳細に説明すると、歩数計10を含む活動量計は利用者の日常生活における活動量を検出する用途であるため、利用者に対して通勤、通学、又はレジャーなどの目的にかかわらず比較的高い頻度でこれを携帯することが要求される。したがって、活動量計が例えば数cm程度の厚みのように、一般的に携帯することの観点から小型と考えられるサイズであったとしても、携帯時に利用者の負担になることが考えられる。
特に、このような活動量計は、利用者の体動をより高精度に検出する観点から、衣服のポケット若しくはバックに収容した状態で持ち歩くこと、又は手首や首などに直接的又はケース等を介して間接的に装着して携帯されることが一般的である。このような携帯の態様を考慮すれば、たとえ数cm程度の厚みでも利用者に与える負担は少なく無いことが想定される。また、利用者がランニング等の運動時に手首や首などの身体の一部に活動量計を装着する場合には、当該運動による振動で活動量計と利用者の身体との間の頻繁な接触が生じることが想定される。そのため、従来携帯していなかったものを携帯し始める状況も鑑みて、活動量計が数cm程度の厚みであったとしても、利用者がストレスを感じることとなる。
このような状況に対して、本実施形態では、数ミリ程度の薄型カード形状の歩数計10が提供されることで、上述した歩数計10の携帯の態様においても、利用者の負担及びストレスを軽減することができる。
特に、数ミリ程度の厚さの歩数計10であれば、一般的に利用者が日常的に携帯するキャッシュカード、クレジットカード、電子マネー用のICカード、又は社員証などのIDカード、又は名札などのカード類と同程度の厚さである。このため、利用者は、財布、バック、又は衣服のポケットなどに歩数計10を収容して携帯する場合には、日常的に所持するカード類を携帯した場合とほぼ同様の感覚を覚える。すなわち、利用者は、上記カード類以外の物を所持又は着用している感覚をほぼ覚えることなく、歩数計10を日常的に携帯することができる。
さらに、本実施形態における薄型カード形状に構成された歩数計10であれば、幼児又は小学生などの低年齢の利用者においても、保育施設若しくは幼稚園、又は小学校で着用する名札のホルダなどに対して、違和感無く一体的に組み込める。このため、低年齢の利用者に対しても、日常的に着用する名札以外の物を所持又は着用することに起因する負担又はストレスを与えることなく、歩数計10を日常的に携帯させることができる。
また、本実施形態において受電回路14は、二次電池16への充電を非接触充電により行う非接触充電手段(誘導コイル14a)として構成される。これにより、二次電池16の充電を行うためのコネクタ及び充電ケーブルなどの有線による充電構造を省略することができる。そして、このように、充電構造を省略できる分、筐体11内の厚さ方向において要求されるスペースをさらに削減することができる。すなわち、歩数計10の厚さのさらなる削減を容易に実現することができる。
なお、利用者に対する負担を与える程度に歩数計10の厚さが増大しなければ、本実施形態の歩数計10において、上記非接触充電手段として構成される受電回路14に代えて、二次電池16への充電を通常の有線で行うための構成を受電回路14として設けても良い。例えば、受電回路14が、充電ケーブル及びコネクタ等などの有線による充電を行うための構造物により構成されても良い。
すなわち、本実施形態の歩数計10は、主として、基板13、受電回路14、及び二次電池16が平面上に並列に配置される構成により、当該歩数計10が薄型のカード形状をとる態様を実現している。したがって、上述した有線の充電を行うための充電構造である接続インターフェースを設ける場合に占められる厚さ方向のサイズが、歩数計10を薄型のカード形状に形成するという作用を大きく損なわない範囲であれば、このような充電構造を採用することが可能である。
また、図1等に示した歩数計10の筐体11における正面部(LED30a,30bが設けられている面)を、利用者の個人情報(ID情報)が印刷された表示面として構成しても良い。これにより、本実施形態の歩数計10を、歩数データHsを取得する用途にとどまらず、利用者のID情報を提示するための用途にも使用することができる。
また、上述した処理チップ22及びメモリ24を一体として含むマイクロコンピュータを採用して、上述した各IC回路の機能を実現しても良い。
(第2実施形態)
以下、図4~図7を参照して、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
特に、本実施形態では、利用者が歩数計10を、ストラップ等により首などの身体から首に吊り下げて携帯する状況において、当該利用者の歩行又は走行以外の要因による歩数計10の揺動に起因して、加速度センサ32の検出値D1にノイズが含まれることを抑制する観点から好適な構成を有する歩数計10が提供される。
図4は、本実施形態の歩数計10の内部構成部品12の配置態様を概略的に示す平面図である。なお、図4においては、説明の便宜上、筐体11の輪郭を破線で示している。
図4に示すように、本実施形態の歩数計10では、基板13上において加速度センサ32が設けられる位置が、第1実施形態の歩数計10と異なっている。
より詳細には、本実施形態の加速度センサ32は、基板13上において、筐体11の一方の長辺11cに近く且つ長辺11cの略中央位置に設けられる。特に、加速度センサ32は、筐体11の2つの短辺11b,11dの中点を結ぶ直線よりも長辺11cに近い側に位置する。
より詳細には、加速度センサ32は、基板13上において、通信部33よりも長辺11cに近い位置であって、長辺11cの伸長方向の略中央位置(受電回路14と二次電池16の間の略中間位置)に配置されている。このような位置に加速度センサ32を配置した技術的意義について説明する。
図5及び図6は、加速度センサ32の位置に応じたノイズ発生の原理を説明する図である。図5及び図6においては、利用者が首にかけるストラップ80に止め具90を介して歩数計10を取り付ける態様を想定する。特に、図5及び図6に示す態様では、歩数計10の筐体11の長辺11cにおける中央位置における吊り下げ支持部10aに、止め具90が取り付けられる。
さらに、図5及び図6では、本実施形態に係る加速度センサ32を破線で示し、その配置位置を「センサ位置A」と称する。また、比較例として、筐体11の一の短辺11dと長辺11aとの合流位置の角部に配置することを想定した加速度センサ32´を仮想線で示し、その配置位置を「センサ位置B」と称する。
図5及び図6に明示するように、止め具90とセンサ位置Aの間の距離は、止め具90とセンサ位置Bの間よりも短い。すなわち、センサ位置Aは、センサ位置Bよりも止め具90に近い位置に設けられる。
ここで、利用者がストラップ80を首に掛け、止め具90を介して歩数計10を支持して携帯する場合、歩数計10は止め具90の位置を支点として吊り下げられた状態となる。したがって、利用者の動きなどに起因して、止め具90の位置を通る2つの回動軸の周りに歩数計10を揺動させる回転力が生じる。
より詳細には、止め具90の位置を通過して紙面直交方向に延在する回動軸回りの回転方向Rd1に沿った回転力、止め具90の位置を通過する長辺11cの伸長方向を回動軸とした場合の回転方向Rd2に沿った回転力、又はこれら回転方向Rd1の回転力及び回転方向Rd2の回転力を合成した方向の回転力が生じることが想定される。
ここで、図6では、図面の簡略化の観点から回転方向Rd1の回転力によって、歩数計10が揺動している状態を一点鎖線で示している。回転方向Rd1の回転力は、支点となる止め具90の位置からの距離の縦方向成分(以下、「Y軸距離」とも称する)が大きくなるにしたがって大きくなる。したがって、当該Y軸距離が相対的に小さいセンサ位置Aの加速度センサ32は、Y軸距離が相対的に大きいセンサ位置Bの加速度センサ32´に比べて、回転方向Rd1における揺動変位が小さくなる。
したがって、センサ位置Aに配置された加速度センサ32の検出値D1には、利用者が、止め具90を介して歩数計10が支持されたストラップ80を首に掛けて装着するシーンにおいて、利用者の歩行又は走行以外の要因によって生じる揺動変位の影響が反映され難くなる。すなわち、利用者の歩行又は走行以外の影響によるノイズが検出値D1に含まれることを好適に抑制できる。
図7は、歩数計10が回転方向Rd1に沿って揺動している場合における加速度センサ32の検出値D1と加速度センサ32´の検出値D2の波形を示すグラフである。
図7に示すように、検出値D1は、検出値D2に比べて平均的に波形の変位が小さくなっている。すなわち、加速度センサ32の検出値D1の波形は、加速度センサ32´の検出値D2の波形と比べ、ノイズに起因する変位の変動が少ない。したがって、処理チップ22が加速度センサ32の検出値D1に基づいて算出する歩数データHsは、加速度センサ32´の検出値D2を用いて作成する歩数データHs´に比べて、利用者の歩行又は走行により定まる値がより高精度に反映されることとなる。
また、センサ位置Aは、支点となる止め具90の位置からの距離の横方向成分(以下、「X軸距離」とも称する)も、センサ位置BのX軸距離に比べて小さい。このため、回転方向Rd2の回転力も相対的に小さくなるため、当該回転力に起因する回転方向Rd2における揺動変位も小さくなる。したがって、加速度センサ32がセンサ位置Aに設けられたことで、回転方向Rd2に沿った揺動変位に起因してノイズの影響も抑制することができる。
結果として、本実施形態の歩数計10におけるセンサ位置Aに加速度センサ32を配置した構成によれば、回転方向Rd1及び回転方向Rd2を合成してなる止め具90の位置を支点とした任意の方向の揺動変位に起因するノイズの影響を抑制することができる。
以上、説明した本実施形態の歩数計10によれば、以下に説明する作用効果を奏する。
本実施形態の歩数計10は、利用者が歩数計10を吊り下げ保持するための支点となる吊り下げ支持部10a(止め具90の取り付け位置)を備える。そして、加速度センサ32は、基板13上において、吊り下げ支持部10aの近傍位置であるセンサ位置Aに設けられる。
なお、近傍位置とは、吊り下げ支持部10aからの直線距離(X軸距離の2乗とY軸距離の2乗の和の平方根)が所定距離以下の範囲となる筐体11内の位置を意味する。
特に、この所定距離は、利用者が歩数計10を吊り下げ保持している状態で、吊り下げ支持部10aを通過する任意方向の回動軸周りの揺動(回転方向Rd1の揺動、回転方向Rd2の揺動、又は回転方向Rd1及び回転方向Rd2を合成した方向の揺動)に起因する検出値D1に含まれるノイズを抑制する観点から定まる。
これにより、加速度センサ32の検出値D1に、利用者の歩行又は走行以外の影響によるノイズが含まれることを抑制できる。結果として、処理チップ22が、当該検出値D1に基づいて算出する歩数データHsの精度をより向上させることができる。
なお、上記所定距離は、歩数データHsの精度を維持する観点から許容できる程度にノイズを抑制する観点から適宜、定めることができる。例えば、加速度センサ32の検出値D1に基づいて作成される歩数データHsに基づく歩行波形と、実際の利用者の歩行又は走行の影響のみに基づく理想的な歩行波形と、の間における一致率(位相又は変位の一致率)の閾値を設定し、設定した一致率の閾値を越えるような吊り下げ支持部10aから直線距離を演算し、これを所定距離としても良い。
また、上記所定距離を設定するにあたり、吊り下げ支持部10aからの直線距離と、歩数計10の筐体11及び内部構成部品12の態様に応じた重量分布と、の関係を考慮しても良い。
例えば、上記重量分布が歩数計10の全領域においてほぼ均一とみなすことができる場合には、吊り下げ支持部10aからの直線距離のみがノイズ抑制に寄与するというモデルとし、吊り下げ支持部10aと、短辺11b,11dの各中点を結ぶ直線と、の間の距離を所定距離に設定しても良い。これにより、吊り下げ支持部10aとセンサ位置Aとの間の直線距離は、最大でも短辺11bの長さの1/2となる。すなわち、センサ位置Aは筐体11の全域において相対的に長辺11cの中点に寄った位置に設定されることとなる。すなわち、上記重量分布が実質的に均一である条件下においては、このように所定距離を設定することで、回転方向Rd1の揺動、回転方向Rd2の揺動、及びこれらが合成された揺動に起因するノイズを抑制する効果を得ることができる。
一方、上記重量分布が吊り下げ支持部10aからの直線距離に応じて異なる場合において、特に、当該直線距離が同じであっても重量密度が大きいほど、回転方向Rd1及び回転方向Rd2における揺動変位が大きくなる。このため、歩数計10内における部品配置の態様などによって、吊り下げ支持部10aからの直線距離が大きい位置における重量密度が相対的に大きい場合に、上記所定距離の設定にあたり、当該重量密度を重み付け要素として考慮しても良い。
さらに、上記実施形態では、吊り下げ支持部10aからの直線距離が所定距離以下となる位置に加速度センサ32を配置する態様について説明した。そして、この態様によれば、回転方向Rd1の揺動、回転方向Rd2の揺動、及びこれらが合成された方向の揺動に起因するノイズを抑制することができる。しかしながら、歩数計10の構成、及び当該歩数計10の吊り下げ保持の対応によっては、回転方向Rd1及び回転方向Rd2の内の一方の揺動変位の成分が、他方の揺動変位の成分と比べて無視できる程度に小さい場合も想定される。このような場合には、実質的にノイズの発生に影響する方向の揺動を抑制する観点から、上記直線距離が所定距離以下となる範囲に加速度センサ32を設けることに代えて、Y軸距離又はX軸距離が所定距離以下となる範囲に加速度センサ32を設けるようにしても良い。
また、上記実施形態では、歩数計10の筐体11に、止め具90が取り付けられる吊り下げ支持部10aが構成される例について説明した。しかしながら、例えば、筐体11を保護用のケースに収容する場合であって、ストラップ80の止め具90が当該ケースに取り付けられる場合には、吊り下げ支持部10aが当該ケースに構成されても良い。
すなわち、歩数計10が、筐体11及びケースを含んで構成される場合には、利用者は、筐体11をケース(例えば名札ケース及びIDホルダなど)に収容した状態で、ストラップ80を首に掛けつつ当該歩数計10を携帯することが想定される。この場合、止め具90が取り付けられる吊り下げ支持部10aは、筐体11上ではなくケース上で構成されることとなる。
しかしながら、このように筐体11がケースに収容される構成の歩数計10であっても、上記実施形態で説明した構成(加速度センサ32を、基板13上における吊り下げ支持部10aの近傍位置に設ける構成)を採用することで、同様に、加速度センサ32の検出値D1に含まれるノイズを抑制することができる。
さらに、上記実施形態では、1箇所の吊り下げ支持部10aに止め具90を取り付けた例、すなわち、歩数計10の揺動を生じさせ得る支点が1箇所である場合について説明した。しかしながら、例えば、筐体11を、衣服に取り付けるピンなどを備えた上記保護用のケース(例えば名札入れ)とともに収容して、これを衣服に装着する場合なども想定される。このような場合は、ピンの形状によっては、筐体11の長辺11cの伸長方向に沿った直線領域が支軸となることも想定される。この場合、長辺11cの伸長方向が回転軸となり、回転方向Rd2の揺動変位が大きくなることが想定される。これに対して、上記Y軸距離(=支軸からの距離)が所定距離以下となる範囲に加速度センサ32を設けて、回転方向Rd2の揺動変位によるノイズを抑制しても良い。
(第3実施形態)
以下、主に図8~図10を参照して、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8は、本実施形態による歩数計10の外観を説明する図である。図示のように、本実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態の歩数計10における発光装置30の構成に加えて又は当該構成に代えて、歩数データHs等の情報をディスプレイ40aに表示する表示装置40と、ディスプレイ40aに表示される情報の切り替えを行う表示指令手段としての表示スイッチ50と、を備えている。
表示装置40のディスプレイ40aは、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイ等で構成される。
表示スイッチ50は、ディスプレイ40aにおける情報の表示状態と非表示状態、及び表示させる情報の種類を切り替えるべく、利用者により操作されるスイッチである。表示スイッチ50は、押しボタンスイッチ等の機械式スイッチ又はタッチパネル等のセンサ式スイッチにより構成される。
本実施形態の表示スイッチ50は、特に、ディスプレイ40aの表示と非表示の切り替えを行うための表示オン・オフスイッチ50aと、ディスプレイ40aに表示される情報の種類を切り替える表示切り替えスイッチ50bと、を有する。
なお、上記表示装置40は、筐体11内において配置され、ディスプレイ40aの表示に必要な電力は二次電池16により供給される。
図9は、本実施形態における歩数計10の内部構成部品12における電気的な接続を説明するブロック図である。
図示のように、本実施形態の内部構成部品12は、特に、表示装置40及び表示スイッチ50が、処理チップ22に対して通信可能に接続されている。すなわち、本実施形態では、処理チップ22が、利用者による表示スイッチ50への操作に基づいて生成される表示指令信号に基づいて、適宜、メモリ24に記憶された情報を読み出してディスプレイ40aに表示する表示制御手段として機能する。
より詳細に、処理チップ22は、上記表示指令信号に基づいて、歩数データHsを表示する第1表示制御モード、歩数データHs以外の情報である利用者のID情報又は年月日情報を表示する第2表示制御モード、及びこれら以外の第3表示制御モードを選択的に切り替える。
図10には、本実施形態におけるディスプレイ40aの表示の切り替え態様を説明する図である。
より詳細には、特に、本実施形態では、図10(a)の表示が第1表示制御モードに基づく表示態様であり、図10(b)及び図10(c)の表示態様が第2表示制御モードに基づく表示態様であり、図10(d)の表示(非表示状態)が第3表示制御モードに基づく表示態様である。
処理チップ22は、初期状態において、図10(d)に示すようにディスプレイ40aを非表示とする第3表示制御モードを実行する。すなわち、第3表示制御モードでは、利用者のID情報などの私的な情報が表示されないため、これらの私的な情報を常に表示しておくことで生じ得る個人情報の漏洩を抑制することができる。
また、本実施形態の第3表示制御モードでは、図示しないスイッチ等を操作して二次電池16からディスプレイ40aへの電源供給を停止する。したがって、第3表示制御モードにおいて二次電池16の充電電力量の消費を抑制することができる。
次に、処理チップ22は、表示オン・オフスイッチ50aへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、図10(a)における第1表示制御モードを実行する。すなわち、処理チップ22は、ディスプレイ40aに歩数データHsを表示する。これにより、利用者は、歩数計10内に記憶された歩数データHsを所望のタイミングで把握することができる。
さらに、本実施形態の処理チップ22は、ディスプレイ40aに図10(a)の表示、図10(b)の表示、又は図10(c)の表示を実行させている際に、表示切り替えスイッチ50bへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、表示の切り替えを実行する。
具体的に、処理チップ22は、ディスプレイ40aに図10(a)の表示をさせている状態で、図8に示した表示切り替えスイッチ50bの左向き矢印キーへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、図10(b)の表示に切り替える。
さらに、処理チップ22は、ディスプレイ40aに図10(b)の表示をさせている状態で、表示切り替えスイッチ50bの左向き矢印キーへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、図10(c)の表示に切り替える。
また、処理チップ22は、ディスプレイ40aに図10(c)の表示をさせている状態で、表示切り替えスイッチ50bの左向き矢印キーへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、図10(a)の表示に切り替える。
一方、処理チップ22は、ディスプレイ40aに図10(a)の表示をさせている状態で、表示切り替えスイッチ50bの右向き矢印キーへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、図10(c)の表示に切り替える。
さらに、処理チップ22は、ディスプレイ40aに図10(c)の表示をさせている状態で、表示切り替えスイッチ50bの右向き矢印キーへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、図10(a)の表示に切り替える。
また、処理チップ22は、ディスプレイ40aに図10(a)~図10(c)のいずれかの表示をさせている状態で、表示オン・オフスイッチ50aへの操作に基づく表示指令信号を検出すると、第3表示制御モード(図10(d)参照)に切り替える。
なお、利用者の誤操作などに起因する意図しない第3表示制御モードへの切り替わりを抑制する観点から、表示オン・オフスイッチ50aへの操作が所定時間以上(例えば3秒以上)継続した場合に、処理チップ22が第3表示制御モードへの切り替えを実行するようにしても良い。
以上説明した表示装置40を備えた歩数計10によれば、利用者は必要に応じて、表示スイッチ50を操作して、表示装置40のディスプレイ40aの表示態様を切り替えることができる。
より詳細には、本実施形態の歩数計10では、取得した歩数データHsを表示する第1表示制御モード(図10(a)参照)と、利用者のID情報又は日時を表示する第2表示制御モード(図10(b)、図10(c)参照)と、表示スイッチ50への操作に応じてディスプレイ40aに表示させることができる。
このため、利用者は、自己の活動量である歩数データHsを把握した場合にはディスプレイ40aに第1表示制御モードに基づく歩数データHsを表示させ、勤務先若しくは通学先などにおいてID情報を提示する必要がある場合又は日時を確認したい場合にはディスプレイ40aに第2表示制御モードに基づくこれらの情報を適宜表示させ、これらの異なる種類の情報を所望のタイミングで把握することができる。
これにより、本実施形態の歩数計10は、基本的な用途である歩数データHsの取得にとどまらず、取得した歩数データHsのディスプレイ40a上における表示、並びに社員証、学生証、名札、及び一般的な身分証明書の用途で用いることのできるID情報をディスプレイ40a上に表示する機能も備えることとなる。
したがって、本実施形態では、歩数データHsの取得及びその表示機能、並びにID情報を提示するID証としての機能の双方を兼備する薄型カード形状の歩数計10を提供することができる。すなわち、本実施形態の歩数計10であれば、利用者が日常的に所持するID証、及び当該利用者の日常的な活動量を好適に反映する観点から日常的に携帯することが推奨される活動量計を統合した一つの薄型のカードとして構成することができる。
以上、説明した本実施形態の歩数計10によれば、以下に説明する作用効果を奏する。
本実施形態の歩数計10では、表示手段としての表示装置40と、表示装置40における情報の表示指令を実行する表示指令手段としての表示スイッチ50と、表示スイッチ50からの指令(操作)に基づいて表示装置40を制御する表示制御手段としての処理チップ22と、をさらに備える。そして、処理チップ22は、表示スイッチ50からの指令に基づいて、検出された歩数データHsを含む第1情報を表示する第1表示制御モード(図10(a)参照)と、歩数データHs以外の第2情報を表示する第2表示制御モード(図10(b)及び図10(c)参照)と、第1情報又は第2情報を表示させない第3表示制御モード(図10(d))と、を切り替える。
これにより、必要に応じて、表示スイッチ50への操作に基づいて、表示装置40のディスプレイ40aの表示を、歩数データHsを含む第1情報と歩数データHs以外の第2情報の間で切り替えることができる。そして、第1情報又は第2情報を表示させない第3表示制御モードを必要に応じて選択することで、歩数計10を長時間の間携帯しつつ第1情報又は第2情報を常に表示させることによるこれら情報の漏洩を抑制することができる。
特に、第2情報が、利用者のID情報などの個人情報保護の観点から漏洩を抑制すべき要求が高い情報を含む場合には、当該第2情報を表示させる必要の無いシーンにおいて、第3表示制御モードを選択することで、当該ID情報における漏洩抑制の要求を満たしつつも、必要に応じてディスプレイ40aの表示を第1情報及び第2情報の間で選択的に切り替えることのできる構成を実現することができる。
特に、本実施形態の第3表示制御モードでは、ディスプレイ40aへの電源供給を停止する。したがって、第3表示制御モードにおいて二次電池16の充電電力量の消費を抑制することができる。結果として、実質的な二次電池16の電力量あたりの歩数計10の使用可能時間を延ばすことができる。
なお、本実施形態では、処理チップ22が、歩数データHsを取得するための処理部としての機能に加えて、ディスプレイ40aの表示を制御する表示制御手段として機能する例を説明した。しかしながら、この構成に代えて、歩数計10内に専用の表示用プロセッサを別途設け、当該表示用プロセッサにより表示制御手段の機能を実現しても良い。また、当該表示用プロセッサと処理チップ22を並列して表示制御手段の機能を実現しても良い。
また、上記図10(a)~図10(d)に示すディスプレイ40aの表示態様は一例であり、適宜、変更が可能である。また、ディスプレイ40aの表示を切り替えるための表示スイッチ50への具体的な操作内容についても、適宜、変更が可能である。
例えば、ディスプレイ40aに第1情報(歩数データHs)又は第2情報(利用者のID等の表示)に基づく表示を実行させている場合に、所定時間以上(例えば数分以上)の間、利用者の表示スイッチ50に対する操作が検出されない場合に、第3表示制御モードを実行するように処理チップ22又は上記表示用プロセッサを構成しても良い。これにより、上述したID情報等の漏洩及び二次電池16の電力消費の抑制効果をより向上させることができる。
さらに、ディスプレイ40aをいわゆる電子ペーパーにより構成することも可能である。ここで、本明細書における電子ペーパーは、反射型ディスプレイ、特にバックライトによる照射無しでも、肉眼で表示内容を視認できる構造を有するディスプレイを意味する。
そして、ディスプレイ40aをこのような電子ペーパーで構成することによって、上記第3表示制御モードにおいても、利用者が認識し得る一定の情報を表示することができる。すなわち、電子ペーパーの場合、第3表示制御モードとして、ディスプレイ40aへの電源供給を停止しつつも、ディスプレイ40aに所定の情報を表示することが可能となる。
なお、所定の情報としては、例えば、図10(c)に示した日時情報、風景写真、及び人物写真等の静止画が該当する。これにより、利用者は、第3表示制御モードにおいて、所望の画像をディスプレイ40aの表示に設定することができる。すなわち、必要な時以外にディスプレイ40aにID情報等の個人情報を表示することを抑制しつつ、二次電池16の電力消費を抑えながら、利用者が好む画像をディスプレイ40aに表示することができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について説明する。なお、上記各実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の歩数計10では、第1実施形態~第3実施形態のいずれかの歩数計10の構成を基本としつつ、上述した通信部33(図2B参照)が、いわゆるパッシブ通信を実現するパッシブ通信手段としても機能する。より詳細には、通信アンテナ36が外部のリーダライタから電波を受信すると、電磁誘導によって通信アンテナ36に電力が発生し、発生した電力により通信IC34が起動する。そして、通信IC34は変換した電力で動作して、予めメモリ24に記憶された歩数計10の利用者を特定するID情報を読み出して、外部リーダに送信する。
このような構成により、外部のリーダライタを用いて、二次電池16の電力を消費することなく、当該歩数計10の利用者のID情報を取得することが可能となる。
したがって、本実施形態の歩数計10の構成によれば、歩数計10のメモリ24に利用者のID情報(例えば、社員番号、学籍番号、学年、又は所属するクラス等)などの利用者を特定し得る情報を予め記録しておくことで、外部の通信手段と歩数計10の通信により、歩数計10の利用者を特定することができる。すなわち、歩数計10を、電子的に利用者のID情報を認証する装置として機能させることができる。
さらに、本実施形態の歩数計10においては、歩数計10の通信部33がパッシブ通信手段としても機能するため、通信のための電力が外部のリーダライタから受信する電波によって確保できる。このため、当該通信に歩数計10の二次電池16の電力を消費する必要が無い。したがって、例えば、歩数計10の二次電池16の電力残量が実質的にゼロとなった状態であっても、歩数計10からID情報を取得することが可能である。結果として、本実施形態の歩数計10は、実用性の高い好適なID装置として機能することとなる。
なお、上述した歩数計10のメモリ24に利用者のID情報を記憶する構成に代え、メモリ24に歩数計10を一意に特定し得る歩数計特定情報を記憶させておき、外部のリーダライタが歩数計10との通信で歩数計特定情報を取得するようにしても良い。そして、この場合、当該歩数計特定情報と利用者のID情報を関連付けたデータベースを用いて、取得した歩数計特定情報から利用者のID情報を特定するようにしても良い。この場合、歩数計10のメモリ24に利用者のID情報が記憶されていないことで、利用者が日常的に携帯する歩数計10を介したID情報の流出を防止することができるため、個人情報の保護の観点からの安全性をより向上させることができる。
以上、説明した本実施形態の歩数計10によれば、以下に説明する作用効果を奏する。
本実施形態の歩数計10は、外部通信手段であるリーダライタとの通信を行う通信部33を備える。特に、通信部33は、リーダライタとパッシブ通信を行うパッシブ通信手段として構成される。
これにより、外部のリーダライタを用いて、歩数計10から当該歩数計10の二次電池16の電力を消費させることなく、当該歩数計10のメモリ24に記憶された情報を取得することが可能となる。すなわち、二次電池16の電力量の残量が実質的にゼロとなっている状態であっても、リーダライタとの通信機能が確保されるため、外部から歩数計10が保持する情報を取得する機能が維持されることとなる。
なお、本実施形態の歩数計10は、メモリ24に歩数データHsとともに記憶させる情報の種類に応じて、当該情報の内容に用いる種々のシステムの要素として組み込むことが可能である。以下に一例を説明する。
例えば、本実施形態の歩数計10は、企業又は学校などの施設において、勤怠管理又は出席管理を行う入退館管理システムの要素として組み込むことができる。具体的に、このような入退館管理システムでは、施設の出入り口にリーダライタを配置し、当該リーダライタを用いて、無線通信機能を備えた社員ID又は学生証などに保持された情報を取得して、当該情報に基づいて勤怠管理又は出席管理を行うことが想定される。
このような入退館管理システムにおいて、歩数計10のメモリ24に予め、勤怠管理又は出席管理を行う対象である利用者のID情報(社員番号、学籍番号、又は所属などの情報)及び必要に応じた他の情報からなる入退館関連情報を記録しておくことで、当該歩数計10を入退館管理システムの要素として組み込むことが可能である。
より詳細には、入退館時にリーダライタで歩数計10から上記入退館関連情報を取得して施設内の所定の管理サーバーに送信することにより、当該管理サーバーおいて取得した入退館関連情報に基づいた勤怠管理又は出席管理を実行することができる。
特に、入退館時にリーダライタと歩数計10の間の通信の際に、上記入退館関連情報に加えて、歩数計10のメモリ24に記憶された歩数データHsも併せて読み取ることができるように、リーダライタ及び歩数計10を構成することもできる。
これにより、入退館時における勤怠管理又は出席管理と併せて、利用者の歩数データHsに関する情報も併せて取得することができる。すなわち、当該利用者の歩数データHsを、上記入退館関連情報に含まれるID情報と紐付けて取得することができる。したがって、管理サーバーにおいて、当該利用者の歩数データHs及びこれに基づく消費カロリーなどの活動量の把握及び分析にも資することとなる。結果として、利用者(構成員)の健康管理に一定の責務を負うべき企業又は学校などの組織において、当該構成員の日々の活動量に係るデータを、特別な手続きを経ることなくほぼ毎日実行される勤怠管理又は出席管理と併せて取得することができる。
また、特に第3実施形態で説明した構成に、本実施形態で説明したパッシブ通信手段を採用した歩数計10を上記入退館管理システムに組み込む場合において、入退館時における入退館関連情報及び利用者の歩数データHsの取得タイミングと、ディスプレイ40aにおける表示の切り替えを関連させることもできる。
例えば、企業又は学校などの施設へ通勤又は通学する際には、第3表示制御モードに基づく表示態様(図10(d)参照)を選択しても良い。この場合、入館時(出勤時又は出席時)において、通信することが義務付け又は要求されているリーダライタと歩数計10の間の通信タイミングで第2表示制御モードに基づく利用者のID情報の表示(図10(b)参照)に切り替えても良い。また、退館時(帰宅時)において、通信することが義務付け又は要求されているリーダライタと歩数計10の通信タイミングで利用者のID情報の表示から第3表示制御モードに基づく表示態様に切り替えるように構成しても良い。
これにより、利用者が勤務中又は学校等に滞在している間においてはディスプレイ40aにID情報を表示させて社員証又は名札(ID証)として機能させることができる一方で、それ以外の時間(通勤中、通学中、又は休日等)においてはID情報を表示させないようにすることができる。
すなわち、上記入退館管理システムにおいて、歩数計10のディスプレイ40aに必要とされる時にのみID情報を表示させることができる。結果として、当該歩数計10のID証として機能を確保しつつ、当該ID情報に基づく個人情報の意図しない漏洩も抑制することができる。
(第5実施形態)
以下、特に図11、及び図12を参照して第5実施形態について説明する。なお、上記各実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、第1実施形態~第4実施形態のいずれかの構成を有する歩数計10と、歩数計10の受電回路14に対向させて受電回路14を電力する給電インターフェース100aを備えた充電用バッテリ100と、給電インターフェース100aを受電回路14に対向させた状態で歩数計10を保持するホルダ200と、を備えた活動量計システムとしての歩数計システム300が提供される。
この歩数計システム300は、利用者が歩数計10を携帯するにあたり、当該歩数計10の二次電池16の充電電力量が低下した場合であっても、歩数計10を使用している状態(歩数データHsを取得している状態)のまま、二次電池16への充電が可能となる歩数計システム300を想定している。
ここで、第1実施形態~第4実施形態の歩数計10では、受電回路14が、筐体11の長辺11cに近い位置、すなわち、図1又は図4に示す筐体11の上部領域に位置するように、ホルダ200に保持されている。
充電用バッテリ100は、本体内部に図示しないリチウムイオン二次電池等の電池と、給電インターフェース100aと、を収容して構成される。充電用バッテリ100は、歩数計10の筐体11の長辺11cに対向した状態で、ホルダ200に固定される。
ここで、充電用バッテリ100を構成する電池の容量について任意に設定しても良いが、歩数計10の二次電池16に対して複数回の満充電を実行することができる程度の容量に構成されることが好ましい。
さらに、本実施形態の充電用バッテリ100の本体には、ストラップ100bが取り付けられている。
このストラップ100bは、利用者が当該充電用バッテリ100及び歩数計10をホルダ200ごと保持するべく、首から吊り下げて装着する観点から取り付けられるものである。ストラップ100bは、適宜、当該用途に適したループ径、及び材質によって構成される。
したがって、利用者はストラップ100bを首に吊り下げて装着することで、歩数計10を携帯することができる。そして、この携帯時には、歩数計10の筐体11の上部に位置する領域に、受電回路14が配置されることとなる。
また、給電インターフェース100aは、受電回路14の誘導コイル14aとの間で電力搬送を行うためのコイル等の構成を適宜備える。
ホルダ200は、本実施形態では、内部に歩数計10を収容する空間を有する板状に構成されている。そして、板状のホルダ200の長辺部200bに充電用バッテリ100が着脱可能に固定される。特に、ホルダ200は、歩数計10の受電回路14の誘導コイル14aと、充電用バッテリ100の給電インターフェース100aと、を対向させた状態で歩数計10を保持する。
なお、本実施形態において、「誘導コイル14aと給電インターフェース100aを対向させた状態」とは、誘導コイル14aと給電インターフェース100aが厳密に向かい合った空間配置とされる状態のみならず、誘導コイル14aと給電インターフェース100aの間の電力搬送を効果的に実行する観点から、筐体11内において誘導コイル14aが給電インターフェース100aに相対的に近い位置となっている状態も含まれる。
本実施形態の歩数計システム300の構成によれば、充電用バッテリ100から二次電池16への充電を好適に実行可能となる態様でホルダ200に保持される状態となる。したがって、利用者が充電用バッテリ100に取り付けられたストラップ100bを首に掛けて装着して歩数計システム300を携帯することで、歩数計10を使用しながら充電用バッテリ100によって二次電池16への充電を実行することが可能となる。
以上、説明した本実施形態の歩数計10によれば、以下に説明する作用効果を奏する。
本実施形態では、受電回路14は、利用者による歩数計10の携帯時において筐体11の上部に位置する領域(長辺11cに近い領域)に配置される(図2B又は図4参照)。
また、本実施形態では、第1実施形態~第4実施形態のいずれかの構成を有する歩数計10と、受電回路14に電力を供給する給電インターフェース100aを備えた充電用バッテリ100と、給電インターフェース100aを受電回路14に対向させた状態で歩数計10を保持するホルダ200と、を備えた歩数計システム300が提供される。
これにより、利用者が歩数計10を使用している状態であっても、充電用バッテリ100から二次電池16への充電が可能となるように、歩数計10がホルダ200に保持される状態となる。したがって、利用者は、本歩数計システム300を携帯することで、歩数計10の使用しながら、歩数計10の二次電池16への充電を実行することが可能となる。
次に、図12は、ホルダ200がスタンド400に載置された状態を示している。すなわち、在宅時などのホルダ200を使用していない状態においては、ホルダ200から歩数計10を取り外して、スタンド400にストラップ100bを掛止させて置いておくことができる。特に、充電用バッテリ100に、適宜、商用電源からの充電を可能とする構成を設けることで、スタンド400に歩数計システム300を置いて商用電源から充電用バッテリ100への充電を実行することも可能となる。
なお、本実施形態では、充電用バッテリ100から二次電池16への充電を非接触充電で行う歩数計10を備えた歩数計システム300を説明した。しかしながら、これに限られず、充電用バッテリ100から二次電池16への充電を有線により実行するための充電ケーブル又はコネクタ等の構造物を備えた歩数計10を備えた歩数計システム300を構成しても良い。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、図2B及び図4に示した歩数計10の基板13、受電回路14、及び二次電池16における配置態様は一例であり、変更が可能である。例えば、図13A及び図13Bに示す配置態様で基板13、受電回路14、及び二次電池16を配置しても良い。すなわち、基板13、受電回路14、及び二次電池16は、歩数計10の厚さを抑制する作用を実現する観点から、歩数計10の筐体11内で平面上に並列に配置された構成であれば、種々の態様をとることができる。
一方で、この筐体11内における平面上の並列配置を基本としつつも、第2実施形態で説明した加速度センサ32の検出値D1に含まれるノイズを抑制する観点から定まる配置、及び第5実施形態で説明した歩数計10の使用時における二次電池16への充電を可能とするための歩数計システム300を実現する観点から定まる配置を適宜考慮することがより好ましい。
また、第1実施形態又は第2実施形態における発光装置30に代えて又はこれとともに、小型スピーカー等の音声出力装置を採用しても良い。すなわち、二次電池16の電力残量が低下したことを利用者に認識させる手段として、発光装置30による視覚的な報知以外に、音声等の報知手段を採用しても良い。
さらに、上記実施形態は、矛盾しない範囲で相互に組み合わせが可能である。
以下、各参考例1~9にかかる活動量計を物品とする意匠について説明する。なお、活動量計は、該活動量計の使用者の安静時を含む日常生活の様々な身体の動きを計測して、一日の消費エネルギー量を測定・記録することができる活動量計である。すなわち、上記各実施形態で説明した歩数計10は、この活動量計の概念に含まれる。
(参考例1)
図14は、参考例1に係る物品としての活動量計の意匠を示す図である。より詳細には、図14(a)~図14(f)は、当該活動量計の形態を、正投影図法により各図同一縮尺で作成した正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、及び底面図で表したものである。なお、底面図(図14(f))は平面図(図14(e))に対して対称形又は同一形である。また、右側面図(図14(d))は左側面図(図14(c))に対して対称形又は同一形である。
また、図15は、参考例1に係る活動量計の意匠の斜視図である。図15から理解されるように、参考例1に係る活動量計の意匠に含まれる相対的に小さい径の2つの円に囲まれる領域は表示部である。また、当該意匠に含まれる相対的に大きい径の1つの円に囲まれる領域は操作部である。表示部は活動量計に内蔵されるLED等の光源の光により発光する。表示部の表示面は、内蔵する光源の光を透過可能な部材で構成される。例えば透明又は半透明な部材で構成されてもよく、不透明な透光部材で構成されていても良い。
(参考例2)
図16Aは、参考例2に係る物品としての活動量計の意匠を示す正面図である。なお、図16Aに示す活動量計の意匠の正面図に対して、正投影図法による当該正面図と同一縮尺で作成される背面図、左側面図、右側面図、平面図及び底面図は、図14(b)~図14(f)に示した各図と一致する。
なお、図16Bから理解されるように、参考例2に係る活動量計の意匠に含まれる相対的に小さい径の2つの円に囲まれる領域は表示部である。また、当該意匠に含まれる相対的に大きい径の1つの円に囲まれる領域は操作部である。表示部は活動量計に内蔵されるLED等の光源の光により発光する。表示部の表示面は、内蔵する光源の光を透過可能な部材で構成される。例えば透明又は半透明な部材で構成されてもよく、不透明な透光部材で構成されていても良い。
(参考例3)
図17Aは、参考例3に係る物品としての活動量計の意匠を示す図である。より詳細には、図17A(a)~図17A(f)は、当該活動量計の形態を、正投影図法により各図同一縮尺で作成した正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、及び底面図で表したものである。底面図(図17A(f))は平面図(図17A(e))に対して対称形又は同一形である。また、右側面図(図17A(d))は左側面図(図17A(c))に対して対称形又は同一形である。
なお、図17Bから理解されるように、参考例3に係る活動量計の意匠に含まれる相対的に面積の小さい四角形により囲まれる領域は、ディスプレイのパネル等で構成される表示部である。表示部は透明である。
(参考例4)
図18Aは、参考例4に係る物品としての活動量計の意匠を示す正面図である。なお、図18Aに示す活動量計の意匠の正面図に対して、正投影図法による当該正面図と同一縮尺で作成される背面図、左側面図、右側面図、平面図及び底面図は、図14(b)~図14(f)に示した各図と一致する。
なお、図18Bから理解されるように、参考例4に係る活動量計の意匠に含まれる相対的に面積の小さい四角形により囲まれる領域は、ディスプレイのパネル等で構成される表示部である。表示部は透明である。
(参考例5)
図19Aは、参考例5に係る物品としての活動量計の意匠を示す正面図である。なお、図19Aに示す活動量計の意匠の正面図に対して、正投影図法による当該正面図と同一縮尺で作成される背面図、左側面図、右側面図、平面図及び底面図は、図14(b)~図14(f)に示した各図と一致する。
なお、図19Bから理解されるように、参考例5に係る活動量計の意匠に含まれる相対的に面積の小さい四角形により囲まれる領域は、ディスプレイのパネル等で構成される表示部である。表示部は透明である。
(参考例6)
図20Aは、参考例6に係る物品としての活動量計の意匠を示す正面図である。なお、図20Aに示す活動量計の意匠の正面図に対して、正投影図法による当該正面図と同一縮尺で作成される背面図、左側面図、右側面図、平面図及び底面図は、図14(b)~図14(f)に示した各図と一致する。
なお、図20Bから理解されるように、参考例6に係る活動量計の意匠に含まれる相対的に面積の小さい四角形により囲まれる領域は、ディスプレイのパネル等で構成される表示部である。表示部は透明である。
(参考例7)
図21Aは、参考例7に係る物品としての活動量計の意匠を示す正面図である。なお、図21に示す活動量計の意匠の正面図に対して、正投影図法による当該正面図と同一縮尺で作成される背面図、左側面図、右側面図、平面図及び底面図は、図14(b)~図14(f)に示した各図と一致する。
なお、図21Bから理解されるように、参考例6に係る活動量計の意匠に含まれる相対的に面積の小さい四角形により囲まれる領域は、ディスプレイのパネル等で構成される表示部である。表示部は透明である。