JP7272855B2 - 多層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ集合体および多層カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

多層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ集合体および多層カーボンナノチューブの製造方法 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 平成30年5月22日掲載、https://www.tpr.co.jp/ir/news.html 平成30年5月23日~平成30年5月25日開催、自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2018横浜 平成31年1月16日~平成31年1月18日開催、第11回オートモーティブワールド クルマの先端技術展内第9回クルマの軽量化技術展 平成31年1月30日~平成31年2月1日開催、nano tech 2019 第18回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議 平成31年2月27日~平成31年3月1日開催、第10回国際二次電池展
本発明は、多層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ集合体および多層カーボンナノチューブの製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube: CNT)は、グラフェンシートを丸めた1層若しくは2層以上の円筒構造を持つナノスケールの材料である。グラフェンシートを丸めた1層の円筒構造を持つ単層カーボンナノチューブ(Single-Walled Carbon Nanotube: SWCNT)は、電気的特性、熱的特性、光学特性、水素貯蔵能および金属触媒担持能などの各種特性に優れている。また、SWCNTは、カイラル指数(n,m)により決定される幾何構造により、金属性あるいは半導体性となる。このため、SWCNTは、電子デバイス、蓄電デバイスの電極、MEMS部材および機能性複合材料のフィラーなどの材料として注目されている(特許文献1を参照)。
一方、グラフェンシートを丸めた2層以上の円筒構造を持つ多層カーボンナノチューブ(Multi-Walled Carbon Nanotube: MWCNT)は、熱的安定性および化学的安定性に優れた特性を備えている。MWCNTは、その表面を修飾しても、内部の円筒構造を維持できCNTとしての特性をも発揮できる。MWCNTを含めたCNTは、一般的に、水および有機溶剤等の溶媒、あるいはポリマー溶液中に混合困難な材料である。しかし、MWCNTの表面を酸化することによって当該表面にカルボキシ基を結合させ、さらに塩化チオニルと反応させてカルボニル基を当該表面に生成させることで、CNTとしての特性を維持しながら、上記溶媒あるいはポリマー中にMWCNTを分散させることが容易になる(特許文献2を参照)。
CNTは、例えば、アーク放電法、レーザーアブレーション法、化学気相成長法などにより製造可能である(特許文献3を参照)。これらの製造方法の内、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition: CVD)法は、SWCNTおよびMWCNTのいずれのCNTの製造にも利用でき、かつ前二者の方法と比べて大量生産に適していることからCNTの低コスト化を可能とする。CVD法は、さらに、触媒と反応ガスとを流しながら触媒表面にCNTを生成させる流動層型CVD法(気相触媒CVD法ともいう)と、反応容器内に触媒を担持した基板を配置して反応容器内にガスを供給して基板上にCNTを生成させる固定層型CVD法(触媒担持CVD法ともいう)と、に大別される(特許文献4を参照)。一般的に、流動層型CVD法は、固定層型CVD法に比べて、量産性に優れた製法である。
特開2014-166936号公報 特開2006-193380号公報 特表2014-521589号公報 特開2019-014645号公報
ところで、アーク放電法、レーザーアブレーション法あるいはCVD法によって製造できるCNTの長さは、100~200μmを限界としていた。この原因の一つに、触媒の寿命が短いことを挙げることができる。このような触媒の寿命を長くするCVD法として、スーパーグロース法と称する製法が開発された。この製法は、微量の水分を原料ガスに添加することにより、触媒の活性及び寿命を著しく長くし、数百μmから1mmの長尺のSWCNTの製造を可能とする。
しかし、MWCNTの製造においては、依然としてミリオーダの長さを有する製法は確立されていない。少層でかつミリオーダー(1mm以上)の長さを有するMWCNTは、金属不純物濃度が低く高純度であるためにバッテリの導電助剤としての使用に優れた効果を奏し、また、ネットワーク性に優れているために成形体にしたときに高強度の成形体を構築可能である。また、樹脂やゴム中にMWCNTを添加する場合には、少量にて優れた導電性能あるいは熱伝導性を発揮する材料として期待できる。
本発明は、上記期待に応えるべく、少層で長尺の多層カーボンナノチューブ及びその集合体を得ることを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る多層カーボンナノチューブは、炭素原子が六角ハニカム状に配列したグラフェンシートの筒を同軸状に2層以上有するカーボンナノチューブであって、透過型電子顕微鏡による像の観察に基づく最外層の直径が3nm以上15nm以下であって、走査型電子顕微鏡の像の観察に基づく長さが1.0mm以上である。
(2)別の実施形態に係る多層カーボンナノチューブは、好ましくは、長さ方向において、走査型電子顕微鏡による像の観察に基づく平均周期が0.5μm以上2.0μm以下のウェーブを形成している。
(3)上記目的を達成するための一実施形態に係る多層カーボンナノチューブ集合体は、炭素原子が六角ハニカム状に配列したグラフェンシートの筒を同軸状に2層以上有する多層カーボンナノチューブの集合体であって、透過型電子顕微鏡による像の観察に基づく最外層の平均直径が6nm以上12nm以下であって、走査型電子顕微鏡の像の観察に基づく平均長さが1.4mm以上である。
(4)別の実施形態に係る多層カーボンナノチューブ集合体は、好ましくは、多層カーボンナノチューブ集合体中の多層カーボンナノチューブの長さ方向において、走査型電子顕微鏡による像の観察に基づく平均周期が0.5μm以上2.0μm以下のウェーブを形成している。
(5)別の実施形態に係る多層カーボンナノチューブ集合体は、好ましくは、金属含有率が250ppm以下である。
(6)上記目的を達成するための一実施形態に係る多層カーボンナノチューブの製造方法は、
金属触媒を表面に担持した基板を反応容器内に保持して化学気相成長法により多層カーボンナノチューブを製造する方法であって、
平滑板の表面に、前記金属触媒を担持するための担持膜を形成し、
マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、パラジウム、インジウム、スズ又はこれらの内の1以上を含む合金から成る金属触媒を前記担持膜上に担持し、
前記金属触媒から成る触媒膜を前記担持膜の表面に形成した1または2以上の前記基板を前記反応容器内に配置し、
前記反応容器内を不活性ガス若しくは酸化ガスの雰囲気下にし、
前記反応容器内を前記多層カーボンナノチューブの合成温度まで加熱し、
前記触媒膜を還元作用のあるガスの雰囲気にさらすことによって、前記触媒膜を粒子化し、
前記触媒膜の表面に接触するように前記基板の一端から他端に向かって、水素と炭化水素とを少なくとも含む原料ガスを、前記触媒膜上で前記炭化水素の熱分解を促進可能な温度であって前記合成温度より低い温度に予熱しながら導入し、かつ前記反応容器内を前記基板の前記一端から前記他端の方向に気流を生じるように非還流方式にて一方的に排気しながら、
前記炭化水素を熱分解して前記基板の前記触媒膜の表面に多層カーボンナノチューブを成長させる方法である。
(7)別の実施形態に係る多層カーボンナノチューブの製造方法は、好ましくは、ヒータに囲まれた空間内に前記基板を配置し、前記ヒータと前記基板との間に気体導入用の配管を配置した装置を用いて、前記水素と炭化水素とを少なくとも含む気体を前記配管に通して予熱しながら前記基板の前記一端から供給する方法である。
(8)別の実施形態に係る多層カーボンナノチューブの製造方法は、好ましくは、前記触媒膜を、粒子化後の中心線平均粗さ(Ra)が0.80nm以上の膜とする方法である。
(9))別の実施形態に係る多層カーボンナノチューブの製造方法は、好ましくは、前記担持膜を、中心線平均粗さ(Ra)が0.37nm以上の膜とする方法である。
本発明によれば、高純度、高強度の複合材料、高導電性あるいは高熱伝導性を要求される材料への適用性が高まる。
図1は、本実施形態に係る多層カーボンナノチューブを説明するための図を示す。 図2は、本実施形態に係る多層カーボンナノチューブの製造方法に用いるMWCNT製造装置の概略的構成を示す。 図3は、平滑板に、担持膜、触媒膜を順に積層する状況の断面図(3A)および基板の触媒膜上にMWCNTが生成した状態の断面図(3B)をそれぞれ示す。 図4は、図2の装置によって基板上にMWCNTを生成させた状態の反応容器内の状態を模式的に示す。 図5は、実施例1で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真(撮影時の倍率:40倍および3万倍)である。 図6は、図5と同様のMWCNTのTEM像である。 図7は、実施例3で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真である。 図8は、実施例4で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真である。 図9は、実施例4,1にて用いた基板の触媒膜の原子間力顕微鏡によるAFM画像(2D画像と3D画像)である。 図10は、実施例5で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真である。 図11は、担持膜の厚さとRaとの関係をプロットしたグラフを示す。 図12は、図11の担持膜のRaと触媒膜の粒子化後のRaとの関係をプロットしたグラフを示す。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.定義
(1)多層カーボンナノチューブ
多層カーボンナノチューブとは、炭素原子が六角ハニカム状に配列したグラフェンシートの筒を同軸状に2層以上備えるカーボンナノチューブを称し、グラフェンシートの筒が1層のみの単層カーボンナノチューブと区別される。
(2)多層カーボンナノチューブ集合体
多層カーボンナノチューブ集合体は、複数の多層カーボンナノチューブを集めたものであり、その数の多寡を問わない。
(3)グラフェンシート
グラフェンシートとは、1原子の厚さのsp2結合炭素原子のシートであって、炭素原子が六角形の格子構造をとっているシートをいう。
(4)担持膜
担持膜とは、担持層とも称し、触媒を担持させるために形成された膜をいう。担持膜は、その担持膜を付ける板の表面と反応した膜あるいは当該表面と反応していない膜のいずれでも良い。多層カーボンナノチューブは、平滑板/担持膜/触媒膜の三層構造を持つ基板における触媒膜の表面に生成する。
(5)触媒膜
触媒膜とは、触媒層とも称し、金属触媒が担持膜上に堆積してなる膜である。
(6)原料ガス
原料ガスは、多層カーボンナノチューブを生成するための原料となる気体をいう。原料ガスは、炭素源の炭化水素の他、水素も含む。また、原料ガスは、キャリアガスとしての不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス)を含んでも良い。
(7)中心線平均粗さ(Ra)
中心線平均粗さとは、算術平均粗さとも称し、粗さ曲線を中心線から折り返し、その粗さ曲線と中心線によって得られた面積を長さで割った値をいう。本願のRaは、ASME Y14.36Mに基づき原子間力顕微鏡(AFM)を用いて求めることができる。
(8)多層カーボンナノチューブの直径
多層カーボンナノチューブの直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって多層カーボンナノチューブの像を観察して測定された多層カーボンナノチューブの最外層の直径をいう。以下、直径を、ナノメータ(nm)の単位で示す。
(9)多層カーボンナノチューブの長さ
多層カーボンナノチューブの長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって多層カーボンナノチューブの像を観察して測定された多層カーボンナノチューブの長さをいう。以下、長さを、ミリメータ(mm)の単位で示す。
(10)多層カーボンナノチューブのアスペクト比
多層カーボンナノチューブのアスペクト比は、多層カーボンナノチューブの最外層の直径に対する多層カーボンナノチューブの長さ(すなわち、長さ/直径)をいう。
(11)多層カーボンナノチューブの平均直径
多層カーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブの集合体と称しても良い)の平均直径は、TEMによって任意に30本の多層カーボンナノチューブの像を選択し、それらを観察して測定された多層カーボンナノチューブの最外層の直径の平均値をいう。以下、平均直径を、ナノメータ(nm)の単位で示す。
(12)多層カーボンナノチューブの平均長さ
多層カーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブの集合体と称しても良い)の平均長さは、SEMによって任意に30本の多層カーボンナノチューブの像を選択し、それらを観察して測定された多層カーボンナノチューブの長さの平均値をいう。以下、平均長さを、ミリメータ(mm)の単位で示す。
(13)多層カーボンナノチューブの平均アスペクト比
多層カーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブの集合体と称しても良い)の平均アスペクト比は、多層カーボンナノチューブの平均長さを平均直径にて除した値をいう。
(14)ウェーブ
多層カーボンナノチューブがその長さ方向にうねりを描いている形態をいう。
(15)平均周期
多層カーボンナノチューブの長さ方向に形成されるうねりが長さ方向と直交する方向に往復振動する場合の波長に相当する長さの平均値(平均波長)をいう。多層カーボンナノチューブの平均周期(平均波長)は、SEMによって多層カーボンナノチューブを観察し、1本の多層カーボンナノチューブの長さ方向に沿って波長を30個任意に選出し、30個の波長の合計距離を30で除して求められた平均値をいう。以下、平均周期を、ミクロンメータ(μm)の単位で示す。
2.多層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブ集合体
図1は、本実施形態に係る多層カーボンナノチューブを説明するための図を示す。
本実施形態に係る多層カーボンナノチューブ(以後、MWCNTとも称する)は、炭素原子が六角ハニカム状に配列したグラフェンシートの筒を同軸状に2層以上有するカーボンナノチューブであって、少なくとも以下の特徴(a)および(b)を有する。
(a)透過型電子顕微鏡による像から観察される最外層の直径(図1中の「D」)が3nm以上15nm以下である。
(b)走査型電子顕微鏡による像から観察される長さ(図1中の「L」)が1.0mm以上である。
この実施形態に係るMWCNTの最外層の直径は、3nm以上15nm以下、好ましくは5nm以上13nm以下である。この実施形態に係るMWCNTの層数は、2層以上15層以下、好ましくは3層以上12層以下、さらに好ましくは3層以上7層以下である。MWCNTは、その先端を閉じたナノホーンをも含み得る。MWCNTの最外層の直径が3nm以上の場合、グラフェンの層数が2層以上になるため、熱安定性および導電性に優れたMWCNTとなる。MWCNTの最外層の直径が15nm以下、さらには13nm以下の場合、MWCNTのアスペクト比が高くなるため、サブミクロンオーダーのポリマー、金属あるいはセラミックスの粒子、繊維若しくはウィスカーとの混合が容易になる。
この実施形態におけるMWCNTの長さは1.0mm以上である。当該MWCNTの長さは、好ましくは1.0mm以上2.5mm以下、より好ましくは1.5mm以上2.5mm以下、さらにより好ましくは2.0mm以上2.5mm以下である。MWCNTの長さが1.0mm以上の長尺になると、ゴム、樹脂、あるいはその他のMWCNTより低導電率の材料と混合した際に、MWCNTの長さが1mm未満の短尺MWCNTと比べて、同じ含有率であっても高い導電性を発揮できる。短尺MWCNTの場合、多くのMWCNTを数珠つなぎで接触させて所定の導電性を発揮できるのに対し、長尺MWCNTの場合には少数の接触にて同じ導電性を発揮できるからと考えられる。ただし、MWCNTの長さが2.5mmを超えると、MWCNTを金属、樹脂、ゴムあるいはセラミックス中に分散させようとすると、大きな塊を形成しやすくなり、不均一な分散となる傾向がある。このため、MWCNTの長さについては、1.0mm以上2.5mm以下の方が好ましく、1.5mm以上2.5mm以下の方がさらに好ましく、2.0mm以上2.5mm以下の方がさらにより好ましい。
MWCNTのアスペクト比は、6万6666以上であり、好ましくは10万以上、さらに好ましくは13万3333以上である。また、MWCNTの好ましい長さが1.0mm以上2.5mm以下、さらに好ましくは1.5mm以上2.5mm以下、さらにより好ましくは2.0mm以上2.5mm以下であることを考慮すると、MWCNTのアスペクト比は、好ましくは6万6666以上83万3333以下、さらに好ましくは10万以上83万3333以下、さらにより好ましくは13万3333以上83万3333以下である。MWCNTのアスペクト比は、12万以上50万以下であっても良い。
MWCNTの集合体は、MWCNTの最外層の平均直径が6nm以上12nm以下あるいは7nm以上12nm以下であるのが好ましく、9nm以上12nm以下であるのがより好ましい。「平均直径」は、透過型電子顕微鏡の像に存在する任意に選択される30本のMWCNTから測定した最外層の直径の平均値である。平均直径が6nm以上の場合、グラフェンの層数が4層以上のMWCNTの比率が高くなるため、熱安定性および導電性に優れたフィラーとなる。また、平均直径が12nm以下、さらには11nm以下の場合、アスペクト比の大きなMWCNTの比率が高くなるため、サブミクロンオーダーのポリマー、金属あるいはセラミックスの粒子、繊維若しくはウィスカーとの混合が容易になる。このため、ゴム、樹脂、金属あるいはセラミックス中にMWCNTを分散させた複合材料を製造しやすい。
MWCNTの集合体は、MWCNTの平均長さが1.4mm以上2.5mm以下であるのが好ましい。「平均長さ」は、走査型電子顕微鏡の像に存在する任意に選択される30本のMWCNTから測定した長さの平均値である。平均長さが1.4mm以上の場合、アスペクト比の大きなMWCNTの比率が高くなるため、同じ含有率であっても高い導電性を発揮できる。また、平均長さが2.5mm以下の場合、MWCNTの凝集塊の比率が低くなるので、ゴム、樹脂、金属あるいはセラミックス中へのMWCNTの均一分散が容易となる。
MWCNTの平均アスペクト比は、好ましくは11万6666以上41万6666以下、より好ましくは11万6666以上27万7777以下、さらにより好ましくは、18万以上24万以下である。平均アスペクト比が大きいほど、ゴムや樹脂などに混合する際に、より少量で強度、導電性若しくは熱伝導性を高めることができ、金属不純物含有率の減少にもつながる。ただし、アスペクト比が大きすぎると、均一に混合することが難しくなり、凝集塊を生じる可能性もある。このため、通常の混合方法を用いる場合には、平均アスペクト比は、上述のような上限を有する方が好ましい。
MWCNTのBET比表面積(ガス吸着による多点法)の値は、好ましくは、200m/g以上675m/g以下、より好ましくは225m/g以上450m/g以下である。BET比表面積は、複数の多層カーボンナノチューブをサンプルに得られる。MWCNTは、カルボキシ基のような官能基を有していても良い。
この実施形態に係るMWCNTは、以後に述べる製造条件によって、その長さ方向において、0.5μm以上2.0μm以下の平均周期、より狭い範囲では0.8μm以上2.0μm以下の平均周期にてウェーブを形成したものとなる。上記のような非常に短い周期のウェーブを有するMWCNTは、長周期のウェーブ、極端にはウェーブが無いストレートなMWCNTに比べ、金属フィラー、有機ポリマーのフィラー、無機フィラーとMWCNTとの接触機会が多くなるため、上記フィラーとの混合がより容易になる。
MWCNTの集合体中の金属含有率は、好ましくは、250ppm以下である。金属含有率は、MWCNT(金属を含む)の全質量に対する金属の占める質量の比率を意味する。金属は、主に、触媒金属に由来する。MWCNTが従来よりも長尺であるため、MWCNTを触媒膜の根元から引き抜いて金属触媒を含んでいても、金属含有率を従来よりも低くすることができる。なお、MWCNTを触媒膜から離れた位置でカットすれば、金属含有率をゼロ若しくはゼロに限りなく近くすることもできる。
MWCNTの集合体のG/D比は、好ましくは0.8以上である。G/D比は、一般に、CNTの結晶性の高さ(不純物の少なさ)の指標となり、大きいほど結晶性が高く(グラファイト以外の不純物が少なく)、また、欠陥が少ないことを意味する。G/D比は、ラマン分光光度計を用いて測定されるラマンスペクトルのG-bandのピーク強度をD-bandのピーク強度で除した値である。G-bandは、ラマンスペクトルの1590cm-1付近に現れるグラファイト構造に由来のピークである。D-bandは、ラマンスペクトルの1350cm-1付近に現れる欠陥由来のピークである。
3.多層カーボンナノチューブの製造方法
(1)製造装置
図2は、本実施形態に係る多層カーボンナノチューブの製造方法に用いるMWCNT製造装置の概略的構成を示す。
本願において、多層カーボンナノチューブの製造方法は、多層カーボンナノチューブ集合体の製造方法と言い換えても良い。
本実施形態に係るMWCNT製造装置(以後、「装置」という。)1は、第1容器10と、原料ガス供給容器20と、ポンプ30と、を備える。第1容器10は、その内部空間11に、第2容器12を備える。第2容器12は、CVD法によって原料ガスの反応を経てCNTを合成するための反応容器である。第1容器10と第2容器12との間には、装置1の上方から見て環状のヒータ13が配置されている。ヒータ13は、第2容器12の上下方向(縦方向)に3段で配置されている。これは、第2容器12の縦方向(上下方向)の温度をできるだけ均一にするためである。ただし、ヒータ13は、1個、2個あるいは4個の環状ヒータであっても良い。ヒータ13は、後述の基板のみを加熱するものではなく、第2容器12の内部全体を加熱する加熱手段である。
第2容器12は、密閉可能な容器であり、MWCNTを合成(生成あるいは製造ともいう)するための反応容器である。第2容器12は、その底部に台座14を備える。台座14は、その上面に、3枚の基板15を、隙間をあけて立設する。基板15は、3枚に限定されず、1枚、2枚あるいは4枚以上でも良い。第2容器12は、原料ガス容器20からの原料ガスを基板15の上方に導入可能な配管17を備える。配管17は、第2容器12の底部からヒータ13の近傍に沿って略垂直上方に延びてから曲がって、基板15の上端と略平行に延出する逆L字形状を有する。配管17は、基板15の上端と対向する側に、基板15の片面に沿って原料ガスを供給可能に噴出可能な孔18を備える。この実施形態では、第2容器12は、3枚の基板15を台座14上に立設している。このため、配管17は1個以上の孔18を有している。配管17は、第2容器12の内壁に固定される略逆J字形状の支持部材19によって固定されている。配管17は、ガスの流れる方向にて孔18より上流側に、バルブ26を備える。バルブ26は、配管17に対してT字を形成するように分岐の配管を接続している。当該分岐の配管は、原料ガス若しくはポンプ30からの排ガスをヒータ13で予熱せずに第2容器12内に導入する場合に使用される。
装置1は、水素ガス、炭化水素ガスおよび不活性ガスのそれぞれについて原料ガス供給容器20を備える。これら3個の原料ガス供給容器20は、フローメータ(例えば、マスフローコントローラ: MFC)21およびバルブ22を介して配管23に接続されている。配管23は、第2容器12の底部において、配管17と接続されている。配管23において、全ての原料ガスの合流位置若しくはその合流位置より下流に、バルブ25付きの配管が接続されている。当該配管は、図2(2A)の矢印Aからポンプ30から排出されたガスを導入する場合に使用される。
第2容器12は、基板15の下端より下方位置に、第1容器10の外から貫通して第2容器12の内部に到達する配管31を備える。配管31は、第1容器10の外に配置されるポンプ30と、バルブ32を介して接続されている。ポンプ30は、排気口33を備える。
(2)原料ガス
この実施形態で使用する原料ガスは、水素ガス、炭化水素ガスおよび不活性ガスである。不活性ガスに代えてあるいは不活性ガスと共に酸化ガス(空気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素など)を用いても良い。炭化水素ガスとしては、飽和炭化水素ガス、不飽和炭化水素ガスあるいはそれらの混合ガスを使用できる。炭化水素ガスは、好ましくは、不飽和炭化水素ガスであり、さらに好ましくは、脂肪族不飽和炭化水素ガス、さらにより好ましくは、アセチレンあるいはエチレンである。不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどのガスを例示できる。原料ガスは、不活性ガスを含まなくとも良い。原料ガスの最も好ましい成分は、水素ガスとアセチレンガスと窒素ガスの組み合わせ、または水素ガスとアセチレンガスとアルゴンガスとの組み合わせである。
水素ガスの流量は、好ましくは80slm以上500slm以下、より好ましくは100slm以上360slm以下、さらにより好ましくは120slm以上300slm以下である。ここで、「slm」は、0℃、1atmにおけるL/minで表される流量を意味する。炭化水素ガスの流量は、好ましくは5slm以上150slm以下、より好ましくは10slm以上100slm以下、さらにより好ましく15slm以上80slmである。不活性ガスおよび/または酸化ガスの流量は、好ましくは10slm以上400slm、より好ましくは20slm以上300slm以下、さらにより好ましくは30slm以上200slm以下である。ただし、各ガスの流量の大小関係は、好ましくは、水素ガス≧不活性ガスおよび/または酸化ガス>炭化水素ガスである。
(3)第2容器内の圧力
MWCNTの製造時の第2容器12内の圧力は、好ましくは5kPa以上100kPa以下、より好ましくは10kPa以上80kPa以下である。第2容器12内の圧力は、原料ガスを第2容器12に供給し、ポンプ30にてガスを排気しながら保持される。
(4)MWCNTの合成温度
第2容器12内の空間は、基板15の表面、より具体的には、基板15の最表面に形成された触媒膜上にMWCNTを生成する際に、第2容器12の外側に配置されるヒータ13の通電により、MWCNTを合成可能な温度に加熱される。合成温度は、原料ガス(特に、炭化水素)の種類、触媒の種類に応じて変えることができる。この実施形態における合成温度は、好ましくは350℃以上850℃以下、より好ましくは550℃以上800℃以下、さらにより好ましくは650以上780℃以下である。
(5)原料ガスの予熱
原料ガスは、第2容器12の内部に配置される配管17を通って、孔18から基板15の表面(触媒膜を形成した面)に沿って供給される。原料ガスは、配管17内を通過する際に予熱されるため、触媒膜上にてMWCNTを生成しやすい。原料ガスの予熱は、MWCNTの長尺化にとって重要なファクタである。
本発明者は、原料ガスを予熱せずに第2容器12に供給して、非循環式によってポンプ30から排気する方法を試みた。しかし、その方法では、MWCNT40の長さを従来よりも長くすることはできず、MWCNTを1.0mm以上の長さに成長させることが難しいことがわかった。
一方、原料ガスを予熱して第2容器12に供給して、非循環式によってポンプ30から排気すると、MWCNT40の長さを1.0mm以上に成長させることができることがわかった。原料ガスの予熱は、原料ガス中の炭化水素ガスが第2容器12に供給されて触媒膜15cの表面で熱分解しやすくするのに寄与すると考えられる。予熱は、原料ガスが第2容器12に噴出される位置で測定される温度で、触媒膜15c上において炭化水素の熱分解を促進可能な温度であって、かつMWCNT40の合成温度(=第2容器12内の温度)より低い温度まで加熱されるのが好ましい。また、予熱の温度は、配管17内にて炭化水素が熱分解しない温度でなければならない。例えば、第2容器12内の温度が700~750℃の場合、原料ガスは、350℃以上であって第2容器12内の温度以下で予熱されるのが好ましい。
(6)基板
図3は、平滑板に、担持膜、触媒膜を順に積層する状況の断面図(3A)および基板の触媒膜上にMWCNTが生成した状態の断面図(3B)をそれぞれ示す。
基板15は、平滑板15aの片面に、担持膜15b、触媒膜15cを順に積層した板である。
(6.1)平滑板
平滑板15aは、目視にて平滑な板であれば、必ずしも、鏡面研磨後の精密な平滑度を要しない。平滑板15aは、MWCNT40の合成に要する温度下において、その形状を保持できるのであれば、如何なる種類の材料から構成されていても良い。平滑板15aの好適な材料としては、金属、セラミックス、ガラスあるいはグラファイトを挙げることができる。金属としては、鉄、ニッケル、マンガン、モリブデン、シリコン、コバルト、クロム、タングステン、銅、銀、金、白金、または上記金属の1種以上を含む合金を例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタニア、炭化チタニウム、窒化チタニウムなどを例示できる。ガラスとしては、石英ガラス、青板ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどを例示できる。
(6.2)担持膜
担持膜15bは、金属触媒を担持するための層であって、平滑板15aと触媒膜15cとの間に位置する。担持膜15bは、MWCNT40の合成に要する温度下において膜を維持できるのであれば、如何なる種類の材料から構成されていても良い。また、担持膜15bは、平滑板15a上に供給される単一元素若しくは複数元素(第1元素という)のみ、当該第1元素と平滑板15a表面の第2元素とが結合した金属間化合物、合金若しくはセラミック、上記第1元素と担持膜15bの形成環境下の第3元素(例えば、酸素や窒素)とが結合した金属間化合物、合金若しくはセラミック、あるいは上記第1元素と上記第2元素と上記第3元素とが結合した金属間化合物、合金若しくはセラミックから成る。
担持膜15bの構成材料は、好ましくは、アルミニウム、シリコン、亜鉛、クロム、銅、銀、金、白金またはこれらの金属の内の1以上を含む金属間化合物、合金若しくはセラミックである。例えば、平滑板15aに金属シリコンを用いて、亜鉛をシリコン板に供給して担持膜15bを形成した場合、担持膜15bは、亜鉛、酸化亜鉛あるいはジンクシリケートの膜とすることができる。また、平滑板15aに石英ガラスを用いて、アルミニウムまたはアルミニウムシリコンを石英ガラスに供給して担持膜15bを形成した場合、担持膜15bは、アルミニウム、アルミナ、アルミニウムシリコンあるいはアルミニウムシリケートの膜とすることができる。また、平滑板15aの材料を問わず、担持膜15bを、アルミニウム、アルミナ、アルミニウムシリコンあるいはアルミニウムシリケートの膜としても良い。
担持膜15bの形成は、スパッタ装置を用いた物理蒸着法(PVD法という)、気相反応を利用したCVD法、金属有機化合物や金属塩を含有する液を塗布するコート法、あるいは当該液に平滑板15aを浸漬するディップ法、当該液をインクの形態として印刷するプリント法などによって実現可能である。例えば、物理蒸着法を用いる場合には、アルミニウムやアルミニウムシリコンのターゲットを不活性ガス(正確には不活性ガスがイオン化したもの)などでスパッタし、スパッタされた粒子を平滑板15a上に堆積させて担持膜15bを形成することができる。また、CVD法を用いる場合には、平滑板15aを加熱して、平滑板15aの表面に、水素と塩化亜鉛との混合ガスを供給して、平滑板15aの表面に亜鉛若しくは酸化亜鉛の担持膜15bを形成することができる。また、コート法、ディップ法あるいはプリント法を利用する場合には、アルミニウムを含む金属有機化合物(アルミニウムトリ-n-プロポキシドなど)を含有する液体を平滑板15aに供給後に加熱して、アルミニウムの担持膜15bを平滑板15a上に形成することができる。
担持膜15bの表面粗さは、触媒膜15cの表面粗さ(本願では、金属触媒の凹凸であって、触媒膜15cの粒子化後のRa)に影響を与える因子の一つである。担持膜15bの表面粗さを小さくすると、上記粒子化後のRaも小さくなる。一方、担持膜15bの表面粗さを大きくすると、上記粒子化後のRaも大きくなる。また、担持膜15bの表面粗さは、担持膜15bの厚さとの相関もある。担持膜15bを厚く形成すると、担持膜15bの表面粗さが大きくなる。
この実施形態では、カーブの少ない真直ぐ若しくは真直ぐに近い形態のMWCNT40から、カーブ周期(「波長」という。図3(3B)を参照。)の短い縮れた形態のMWCNT40までを、峻別して製造可能である。担持膜15bを、中心線平均粗さ(Ra)が0.5nm以上の膜とすると、MWCNT40の長さ方向において、走査型電子顕微鏡による像の観察に基づく平均周期が0.5μm以上2.0μm以下、より狭い範囲では0.8μm以上2.0μm以下のウェーブを形成しているMWCNT40を製造できる。担持膜15bのRaは、好ましくは0.30nm以上、より好ましくは、0.37nm以上、さらにより好ましくは0.50nm以上、もっと好ましくは0.54nmである。また、担持膜15bのRaの上限は、必須ではないが、好ましくは0.86nm、より好ましくは0.90nm、さらにより好ましくは1.00nmである。担持膜15bのRaが上記上限値を超えると、触媒膜15cの粒子化後の粒子が大きくなりすぎ、MWCNT40の最外層の直径が15nmを超えたものが増える傾向にある。このため、平均周期が0.5μm以上2.0μm以下、より狭い範囲では0.8μm以上2.0μm以下のウェーブを形成でき、かつ最外層の直径が15nmを上限とするMWCNT40を生成しやすくするためには、担持膜15bのRaは、好ましくは、0.30nm以上0.86nm、より好ましくは0.37nm以上0.86nm以下、さらにより好ましくは0.37nm以上0.90nm以下、もっと好ましくは0.50nm以上0.86nm、さらにもっと好ましくは0.54nm以上0.86nm以下とする。上記のような平均周期が0.5μm以上2.0μm以下、より狭い範囲では0.8μm以上1.2μm以下のウェーブを有するMWCNT40は、金属、有機ポリマーあるいは無機の粒子とMWCNT40との接触機会を多くし、上記粒子との混合をより容易にする。
(6.3)触媒膜
触媒膜15cは、基板15の最表面に位置し、MWCNT40の生成場所となる膜である。触媒膜15は、金属触媒の粒子から構成されている。触媒膜15cの材料(金属触媒を構成する材料)となる金属は、好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、パラジウム、インジウム、スズ又はこれらの内の1以上を含む合金から成り、より好ましくは、マンガン、鉄、コバルト又はこれらの内の1以上を含む合金である。
触媒膜15cの形成は、前述の担持膜15bと同様、PVD法、CVD法、コート法、ディップ法、プリント法などによって実現可能である。例えば、PVD法を用いる場合には、ニッケルのターゲットをスパッタして、ニッケル粒子を担持膜15b上に堆積させて、触媒膜15cを形成することができる。また、コート法、ディップ法あるいはプリント法を利用する場合には、鉄を含む金属有機化合物を含有する液体を担持膜15bに供給後に加熱して、鉄の触媒膜15cを担持膜15b上に形成することができる。
触媒膜15cの粒子化後の表面粗さは、MWCNT40のウェーブ形成に影響を与える。触媒膜15cの粒子化後の表面粗さを小さくすると、ウェーブの波長は長くなり、真直ぐなMWCNT40を生成しやすくなる。一方、触媒膜15cの粒子化後の表面粗さを大きくすると、ウェーブの波長は短くなり、細かく縮れたMWCNT40を生成しやすくなる。
触媒膜15cの粒子化後の中心線平均粗さ(Ra)を0.80nm以上とすると、MWCNT40の長さ方向において、走査型電子顕微鏡による像の観察に基づく平均周期が0.5μm以上2.0μm以下、より狭い範囲では0.8μm以上2.0μm以下のウェーブを形成しているMWCNT40を製造できる。触媒膜15cの粒子化後のRaは、より好ましくは、0.80nm以上である。また、触媒膜15cの粒子化後のRaの上限は、好ましくは、0.90nm、より好ましくは1.00nmである。触媒膜15cの粒子化後のRaが1.00nmを超えると、触媒膜15cを構成する粒子が大きくなりすぎ、MWCNT40の最外層の直径が15nmを超えたものが増える傾向にある。このため、平均周期が0.5μm以上2.0μm以下、より狭い範囲では0.8μm以上2.0μm以下のウェーブを形成でき、かつ最外層の直径が15nmを上限とするMWCNT40を生成しやすくするために、触媒膜15cの粒子化後のRaは、好ましくは0.80nm以上0.88nm以下、より好ましくは0.80nm以上0.90nm以下、さらにより好ましくは0.80nm以上1.00nm以下とする。上記のような平均周期が0.5μm以上2.0μm以下、より狭い範囲では0.8μm以上2.0μm以下のウェーブを有するMWCNT40は、金属、有機ポリマーあるいは無機の粒子とMWCNT40との接触機会を多くし、上記粒子との混合をより容易にする。
(7)原料ガスの供給及びポンプによる排気
反応容器内への原料ガスの供給と、MWCNT40の合成中におけるポンプ30による排気とは、MWCNT40の長さを1.5mm以上にする上で重要である。具体的には、常に新鮮な原料ガスを第2容器12内に供給することが重要である。
本発明者は、原料ガスを第2容器12からポンプ30を経て再度第2容器12に戻るように原料ガスを予熱しながら循環させる方法、原料ガスを予熱せずに一方的に流す方法(非循環方式)、および原料ガスの予熱をせずに原料ガスを循環させる方法を試みた。しかし、上記3種のいずれの方法でも、MWCNT40の長さを従来よりも長くすることはできず、MWCNT40を1.0mm以上の長さに成長させることが難しいことがわかった。
一方、原料ガスの予熱をし、かつ原料ガスを第2容器12に供給して、非循環式(すなわち、バッチ式)によってポンプ30から排気すると、MWCNT40の長さを容易に1.0mm以上に成長させることができることがわかった。すなわち、原料ガスの予熱と共に重要なファクタは、原料ガスを第2容器12に供給され、ポンプ30にて第2容器12の外に排気されるバッチ式の原料ガス供給方式を採用することが重要である。原料ガスをポンプ30から再び第2容器12内に供給する循環方式に比べて、バッチ式の原料供給方式(非循環方式若しくは非還流方式ともいう)は、常に新鮮な原料ガスを触媒膜15cの表面に供給できるので、触媒の失活を抑止でき、MWCNT40の合成時間を長くすることができると考えられる。
また、MWCNT40の長さを増すためには、原料ガスを触媒膜15cの表面に沿うように基板15の一端からその対向側の他端に向けて供給することも、上述の2つの重要なファクタに次いで重要なファクタとなる。
基板15の表面の略垂直方向から原料ガスを供給し、あるいは基板15の表面と無関係に第2容器12内に原料ガスを供給した場合には、MWCNT40の長さは、最長でも0.9mm程度に留まった。一方、原料ガスを基板15の触媒膜15cの表面に沿うように、基板15の一端(例えば、上端)から他端(上端と対向する下端)に流すと、MWCNT40の長さを容易に1.0mm以上にできることがわかった。なお、ポンプ30による排気は、原料ガスの上記の流れを妨げないように、第2容器12の下方に設置している。すなわち、原料ガスの供給位置を第2容器12の上方に、排気位置を第2容器12の下方にすることで、原料ガスが基板15の表面を、上端から下端に向かってスムーズに流れるようにした。このような原料ガスの流れがMWCNT40のさらなる長尺化に寄与する。
また、基板15を水平に1段あるいは2段以上にして、触媒膜15cの面に沿って原料ガスを供給して、原料ガスを水平方向から排気した場合でも、MWCNT40の長さは1.0mm以上となる。しかし、基板15を第2容器12内に立設して原料ガスを上から下に流す方がMWCNT40をより長くできる。この原因は不明ではあるが、重力の影響が関係していると推測される。触媒の失活の要素が重量の影響を受けて除去されていること、あるいは原料ガスが重力の影響で乱流になりにくくスムーズに触媒膜15c上を流れることなどが要因ではないかと考えられる。
この実施形態におけるMWCNT40の製造方法によれば、炭化水素の分解によってMWCNT40を生成する際の変換率(全ての炭化水素中の炭素がMWCNT40に変換された場合を100%とする)は、平均で30%以上、最高で70%にも達する。かかる変換率は、従来公知の製造方法による変換率(平均で1~2%、最高でも10%)に比べて格段に高い。この要因は、明確ではないが、原料ガスを循環させずに第2容器12内に供給後に一方的に排気するバッチ方式を採用していること、原料ガスを予熱して基板15の表面に供給していること、さらには基板15の表面で原料ガスの乱流化を抑止してスムーズに触媒膜15cに接触させていることなどが関係していると考えられる。この実施形態のようなバッチ式のCVD法では、30~80分間、さらには80分間を超える長時間、MWCNT40の合成を持続できる。このような長い合成時間は、従来のMWCNTの製造(おおよそ10分程度)では不可能であった。この実施形態における長時間にわたるMWCNT40の合成は、MWCNT40の長さを容易に1.0mm以上にするのに寄与している。
図4は、図2の装置によって基板上にMWCNTを生成させた状態の反応容器内の状態を模式的に示す。図4は、図2の一部の構成のみを示す。
図4に示すように、水素(調整ガスとして機能)、窒素(キャリアガスの一例)およびアセチレン(炭素源)の混合ガスを、3枚の基板15の触媒膜15cの面に沿って噴き出して基板15の下端側まで到達させるように流すと、原料ガスと接触する触媒膜15c上に、MWCNT40が生成する。MWCNT40の長さは、従来のものよりはるかに長い1.0mm以上に達する。
(8)MWCNTの製造方法および製造手順
以下、MWCNT40の製造方法および製造手順の代表例について説明する。
この実施形態に係るMWCNTの製造方法は、金属触媒を表面に担持した基板15を第2容器12(反応容器に相当)内に保持して、CVD法によりMWCNT40を製造する方法である。当該方法において、平滑板15aの表面に、金属触媒を担持するための担持膜15bを形成する。次に、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、パラジウム、インジウム、スズ又はこれらの内の1以上を含む合金から成る金属触媒を担持膜15b上に担持する。次に、金属触媒から成る触媒膜15cを担持膜15bの表面に形成した1または2以上の基板15を第2容器12内に配置する。より好ましくは、金属触媒を担持した1または2以上の基板15を第2容器12内に立設する。次に、第2容器12内を減圧してから、不活性ガス若しくは酸化ガスの雰囲気下にする。次に、第2容器12内を合成温度に加熱する。次に、触媒膜15cの表面に接触するように基板15の一端(好ましくは上端)から他端(好ましくは下端)に向かって、還元作用のあるガスを、触媒膜15c上で粒子化促進可能な温度であって、第2容器12内の雰囲気温度より低い温度に予熱しながら導入し、触媒膜15cを還元ガス雰囲気にさらすことによって、触媒膜15cは粒子化する。ここで、還元作用のあるガスとは、好適には、水素である。なお、還元作用のあるガスの予熱は必須ではなく、予熱せずに還元作用のあるガスを触媒膜15c上に導入しても良い。次に、水素と炭化水素とを少なくとも含む原料ガスを、触媒膜15c上で炭化水素の熱分解を促進可能な温度であってMWCNT40の合成温度より低い温度に予熱しながら導入し、かつ第2容器12内を基板15の一端(好ましくは上端)から他端(好ましくは下端)の方向に気流を生じるように非還流方式にて一方的に排気しながら、炭化水素を熱分解して基板15の触媒膜15cの表面にMWCNT40を成長させる。
装置1は、ヒータ13に囲まれた空間内(第2容器12内)に基板15を配置し、ヒータ13と基板15との間に気体導入用の配管17を配置した構造を有する。このため、ヒータ13への通電によって、配管17を流れる原料ガスの予熱と、第2容器12内の加温とを、ヒータ13という1つの加熱手段にて同時に行うことができる。水素と炭化水素とを少なくとも含む気体は、配管17を通過する際に予熱されて第2容器12内に供給され、基板15の一端から他端へと流れる。
以上のように、この実施形態に係るMWCNTの製造方法は、
平滑板15aの表面に、金属触媒を担持するための担持膜15bを形成するステップと、
マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、パラジウム、インジウム、スズ又はこれらの内の1以上を含む合金から成る金属触媒を担持膜15b上に担持するステップと、
金属触媒から成る触媒膜15cを担持膜15bの表面に形成した1または2以上の基板15を第2容器12(反応容器)内に配置するステップと、
第2容器12内を不活性ガス若しくは酸化ガスの雰囲気下にするステップと、
第2容器12内をMWCNT40の合成温度まで加熱するステップと、
還元ガス雰囲気下にするステップ(触媒膜の粒子化ステップとも称する)と
触媒膜15cの粒子化した表面に接触するように基板15の一端から他端に向かって、水素と炭化水素とを少なくとも含む原料ガスを、触媒膜15cの粒子化した表面上で炭化水素の熱分解を促進可能な温度であって上述の合成温度より低い温度に予熱しながら導入し、かつ第2容器12内を基板15の一端から他端の方向に気流を生じるように非還流方式にて一方的に排気しながら、炭化水素を熱分解して基板15の触媒膜15cの粒子化した表面にてMWCNTを成長させるステップと、
を含む。
4.変形例
装置1を90度回転させて、水平の基板15の表面に沿って原料ガスを供給し、基板15の一端から他端に沿って流れるように排気して、MWCNT40を合成しても良い。また、配管17は、第2容器12の内部を通らず、第2容器12とヒータ13との間を通っていても良い。
第2容器12内に設置される基板15の数は、3枚に限定さらず、4枚以上(例えば、40枚)でも良い。配管17は、逆L字形状の1本の配管ではなく、基板15の幅方向に並ぶ2本以上の配管でも良い。そのような場合、孔18は、それぞれの配管17に形成される。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例では、図2に示す構造の装置を用いてMWCNTを製造し、評価に供した。実施例の記載では、実施形態で記載した符号を省略する。
1.分析方法
(1)MWCNTの長さおよびウェービング
合成したMWCNTの長さおよびウェービング(うねり)の度合いは、基板のままあるいは基板から刈り取った後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式:JSM-7800F)により撮影されたSEM像から評価した。MWCNTの長さの平均値を求める場合には、SEM像からMWCNTを任意に30本選択して、長さの平均値を算出した。また、MWCNTのウェービングの度合いとして、波状に進行する波長(周期ともいう)を評価した。1本のMWCNTの周期の各平均値(平均周期)を求める場合には、SEM像からMWCNTの長さ方向に沿って波長を30個任意に選出し、30個の波長の平均値を算出した。
(2)MWCNTの層数および直径
合成したMWCNTの層数および直径は、透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、型式:HF2200)により撮影されたTEM像から評価した。層数の平均を求める場合には、MWCNTの層数を判定可能なTEM像から任意の30視野を選出し、30個の層数の平均値における小数点以下の数字を四捨五入して求めた。また、MWCNTの直径の平均(平均直径)を求める場合には、上述と同様に、TEM像から任意の30視野を選出し、30個の直径の平均値(単位:nmの整数値)を求めた。
(3)成膜の表面粗さ
担持膜および触媒膜の各粗さは、それぞれの膜を付けた状態のサンプルを用意し、原子間力顕微鏡(BRUKER社製、型式:Dimension Icon)により測定して求めた。
(4)膜厚
担持膜および触媒膜の各厚さは、それぞれの膜を付けた状態のサンプルを用意し、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、型式:ZSX Primus400)により測定して求めた。
(5)MWCNTの比表面積
MWCNTの比表面積(BET値)は、JIS Z8830(ISO 9277)に基づき、比表面積測定装置(株式会社島津製作所製、型式:3Flex)を用いたガス吸着法(多点法)により測定した。
(6)MWCNT中の金属不純物
MWCNT中の金属不純物は、ICP質量分析装置(Thermo Fisher Scientific社製、型式:Element2)を用いて分析した。
(7)MWCNTのG/D比
MWCNTのG/D比は、ラマンマイクロスコープ(RENISHAW社製、型式:inVia)を用いて求めた。具体的には、ラマンマイクロスコープを用いて測定されるラマンスペクトルのG-band(1590cm-1)のピーク強度をD-band(1350cm-1)のピーク強度で除した値を求めた。
2.成膜
(1)担持膜
MWCNTの合成には、平滑板/担持膜/触媒膜の三層構造を有する基板を用いた。平滑板には、幅100mm×長さ100mm×厚さ0.7mmの板状のシリコン基板を用いた。担持膜は、平滑板の片面に積層される膜である。担持膜は、アルミニウムである。担持膜を平滑膜上に形成するために、ターゲットとしてアルミニウムを、スパッタに用いるガスとしてアルゴンガスをそれぞれ用い、マグネトロンスパッタ法によって、平滑板への担持膜の成膜を行った。より具体的には、スパッタ前にスパッタ装置内を減圧して0.02Paに到達後、アルゴンガスを供給した。次に、設定電力:4kW、アルゴンガスの供給流量:500sccm、スパッタ空間圧力:1Paの条件下で、スパッタ時間を変化させて、担持膜の厚さを調整するように成膜を行った。
(2)触媒膜
触媒膜は、平滑板への担持膜の成膜後、担持膜表面に成膜した。触媒膜を担持膜上に形成するために、ターゲットとして鉄を、スパッタに用いるガスとしてアルゴンガスをそれぞれ用い、マグネトロンスパッタ法によって、担持膜上への触媒膜の成膜を行った。より具体的には、スパッタ前にスパッタ装置内を減圧して0.02Paに到達後、アルゴンガスを供給した。次に、設定電力:1.5kW、アルゴンガスの供給流量:500sccm、スパッタ空間圧力:3.5Paの条件下、スパッタ時間を40秒に固定して、成膜を行った。
3.MWCNTの合成・評価
(1)長尺MWCNTの合成実験
「実施例1」
シリコン基板の片面に、アルミニウムをターゲットとして10秒間のスパッタリングを行い、膜厚:1.6nm、Ra:0.2nmの担持膜を成膜した。続いて、その担持膜上に、鉄をターゲットとして40秒間のスパッタリングを行い、膜厚:1.0nmの触媒膜を成膜した。
次に、触媒膜の成膜後の基板を3枚用意し、当該3枚の基板をCVD装置(図2参照)内の石英製の台座(ボートという)上に倒れないように立設した。次に、第2容器(反応容器)を閉め、1Paまで減圧しながら同時にヒータに通電して第2容器内の加熱を開始した。次に、第2容器内の温度が700℃に近くなった時点で、第2容器内に窒素ガスを供給し、第2容器内圧力が90kPaに保持できるように、ポンプによる第2容器内の排気を継続的に行った。
次に、第2容器内が750℃になるまで加熱し、第2容器内に窒素ガスと水素ガスの両方を供給し、第2容器内圧力を30kPaに維持し、その結果、触媒膜の粒子化が生じた。第2容器内の温度が750℃に到達後、窒素ガス、水素ガスおよびアセチレンガスを上記ヒータによる予熱を行いながら、第2容器内の基板の上端から下端に向かって触媒膜表面に沿って供給して、第2容器内圧力を30kPaに保持しながら、基板上へのMWCNTの合成を開始した。窒素ガス、水素ガスおよびアセチレンガスの各供給流量がそれぞれ、100slm、100slmおよび10slmになるように各ガス用のマスフローコントローラは調整された。MWCNTの合成は、約60分間継続して行った。上記3種のガスの混合ガスは、基板上にMWCNTを合成した後、ポンプで装置外に継続して排気された。すなわち、実施例1の合成はバッチ式の合成である。
MWCNTの合成終了後、第2容器内への供給ガスを窒素ガスのみに切り替え、第2容器内圧を90kPaに維持しながら、750℃から室温まで降温した。
次に、第2容器を開放して、基板を取り出した。MWCNTは、長さ、層数、直径、ウェーブの状態、比表面積、G/D比および金属不純物含有率の各種評価に供した。
評価の結果、長さ:1.7~2.1mm、平均長さ:2.0mm、層数:6層、直径:7~10nm、平均直径:9nm、比表面積:364m/g、G/D比:0.9、金属不純物含有率:250ppmのウェーブがほとんどない直線的なMWCNTが得られた。
図5は、実施例1で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真(撮影時の倍率:40倍および3万倍)である。図6は、図5と同様のMWCNTのTEM像である。TEM写真の撮影時の倍率は100万倍である。
「実施例2」
原料ガス中のアセチレンガスをエチレンガスに変え、第2容器内を750℃から700℃に変え、その他の条件を実施例1と同条件として、MWCNTの合成を行った。その結果、長さ:1.0~1.6mm、平均長さ:1.4mm、層数:6層、直径:3~11nm、平均直径:7nm、比表面積:278m/g、G/D比:0.9、金属不純物含有率:221ppmのウェーブがほとんどない直線的なMWCNTが得られた。
「比較例1」
窒素ガス、水素ガスおよびアセチレンガスを、図2の装置の矢印Bから第2容器内に供給することで、予熱せずに、基板の表面へと供給した。その他の条件は、実施例1と同じ条件とした。
得られたMWCNTを評価した結果、長さ:0.3~0.6mm、平均長さ:0.5mm、層数:7層、直径:6~11nm、平均直径:9nm、比表面積:320m/g、G/D比:0.9、金属不純物含有率:870ppmのウェーブがほとんどない直線的なMWCNTが得られた。比較例1の条件では、実施例1よりもMWCNTの合成時間が短く(14分)、実施例1で得られたMWCNTよりも短いMWCNTしか得られなかった。
「比較例2」
窒素ガス、水素ガスおよびアセチレンガスを、実施例1と同様に供給し、供給から5分後にバルブを切り替えて、ポンプから図2の装置の矢印Aに接続して、原料ガスの予熱を行うが、バッチ式ではなく環流式(循環式ともいう)にて基板の表面へと供給した。その他の条件は、実施例1と同じ条件とした。
得られたMWCNTを評価した結果、長さ:0.1~0.4mm、平均長さ:0.2mm、層数:6層、直径:6~11nm、平均直径:10nm、比表面積:280m/g、G/D比:0.7、金属不純物含有率:1300ppmのウェーブがほとんどない直線的なMWCNTが得られた。比較例2の条件では、実施例1よりもMWCNTの合成時間が短く(7分)、実施例1で得られたMWCNTよりも短いMWCNTしか得られなかった。
「比較例3」
窒素ガス、水素ガスおよびアセチレンガスを、実施例1と同様に供給し、供給から5分後にバルブを切り替えて、ポンプから図2の装置の矢印Bに接続して、原料ガスの予熱をせず、かつバッチ式ではなく環流式(循環式ともいう)にて基板の表面へと供給した。すなわち、比較例1と比較例2の両方の条件を満たすようにして、その他の条件は、実施例1と同じ条件とした。
得られたMWCNTを評価した結果、長さ:0.05~0.1mm、平均長さ:0.08mm、層数:8層、直径:7~13nm、平均直径:12nm、比表面積:176m/g、G/D比:0.7、金属不純物含有率:5300ppmのウェーブがほとんどない直線的なMWCNTが得られた。比較例3の条件では、実施例1よりもMWCNTの合成時間が短く(5分)、実施例1で得られたMWCNTよりも短いMWCNTしか得られなかった。
表1は、実施例1,2および比較例1~3の各条件で得られたMWCNTの評価結果を示す。表1中、「Min.」は最小値を、「Max.」は最大値を、「Ave.」は平均値を、それぞれ意味する。表1中のアスペクト比(k)は、単位:1000で示す。表1中の上記内容は、その後の表でも同様である。
Figure 0007272855000001
実施例1の製造条件で得られたMWCNTは、その長さが1.7mm以上の長尺MWCNTであり、最外層の平均直径が9nmの高アスペクト比(21万以上)を有するウェーブのほとんどないMWCNTであることがわかった。また、実施例2の製造条件で得られたMWCNTも、その長さが1.0mm以上であった。バッチ式で原料ガスを予熱して反応容器に供給すると共に、原料ガスを触媒膜の表面に沿って供給することにより、1.0mm以上の長尺で高アスペクト比のMWCNTが得られることがわかった。一方、比較例1~3の製造条件で得られたMWCNTは、いずれも1mm未満(より詳細には0.6mm以下)の短尺で低アスペクト比のMWCNTであった。
(2)長尺・ウェービングMWCNTの合成実験
「実施例3」
平滑板への担持膜の成膜時間を実施例1より長くして、担持膜の厚さを1.6nmから3.0nmに大きくした以外を、実施例1と同じ条件とし、MWCNTの合成を行った。担持膜の厚さを3.0nmとしたときの担持膜の中心線平均粗さ(Ra)は0.37nmであった。触媒膜の粒子化後(以後、単に「粒子化後の」とも称する。)のRaは、0.8nmであった。
図7は、実施例3で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真である。SEM写真の撮影時の倍率は3万倍である。
図7の写真上のMWCNTは、実施例1のMWCNT(図5参照)と比較して、平均周期の短いウェーブ(細かく縮れたウェーブ)がかかっていた。ウェーブの平均周期は、2.0μmであった。
「実施例4」
平滑板への担持膜の成膜時間を実施例3より長くして、担持膜の厚さを3.0nmから4.5nmに大きくした以外を、実施例3と同じ条件とし、MWCNTの合成を行った。担持膜の厚さを4.5nmとしたときの担持膜の中心線平均粗さ(Ra)は0.54nmであった。粒子化後のRaは、0.87nmであった。
図8は、実施例4で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真である。SEM写真の撮影時の倍率は3万倍である。図9は、実施例4,1にて用いた基板の触媒膜の原子間力顕微鏡によるAFM画像(2D画像と3D画像)である。実施例1のAFM画像は、実施例4と比較するために示す。
図8の写真上のMWCNTは、実施例3のMWCNT(図7参照)と比較して、さらに平均周期の短いウェーブがかかっていた。ウェーブの平均周期は、1.2μmであった。また、図9の結果から、担持膜のRaが大きいと、触媒膜の粒子化後のRaも大きくなることがわかった。
「実施例5」
平滑板への担持膜の成膜時間を実施例4より長くして、担持膜の厚さを4.5nmから6.0nmに大きくした以外を、実施例4と同じ条件とし、MWCNTの合成を行った。担持膜の厚さを6.0nmとしたときの担持膜の中心線平均粗さ(Ra)は0.86nmであった。粒子化後のRaは、0.88nmであった。
図10は、実施例5で得られたMWCNT(基板付き)を横から見たSEM写真である。SEM写真の撮影時の倍率は3万倍である。
図10の写真上のMWCNTは、実施例4のMWCNT(図8参照)と比較して、さらに平均周期の短いウェーブがかかっていた。ウェーブの平均周期は、0.8μmであった。
表2は、実施例3~5の各条件で得られたMWCNTの評価結果および担持膜の評価結果を示す。表2では、比較として実施例1の結果も示す。
Figure 0007272855000002
図11は、担持膜の厚さとRaとの関係をプロットしたグラフを示す。図12は、図11の担持膜のRaと触媒膜の粒子化後のRaとの関係をプロットしたグラフを示す。
図11のグラフから、担持膜の厚さが大きくなるほど、担持膜のRaが直線的に大きくなることがわかる。また、図12のグラフから、担持膜のRaが大きくなるほど、その上に積層した触媒膜の粒子化後のRaが当初は大きくなる傾向があるものの、その後ほぼ一定の値に飽和する傾向もあることがわかる。担持膜のRaを増加させることによって、MWCNTのウェーブの周期を短くし、より縮れの細かなウェーブのかかったMWCNTが得られることがわかる。担持膜を、Raが0.37nm以上の膜にすると、金属触媒から成る触媒膜の粒子化後のRaが0.80nm以上の膜にすることができた。その結果、長さ方向において、走査型電子顕微鏡による像の観察に基づく平均周期が0.8μm以上2.0μm以下のウェーブを形成しているMWCNTができた。これらの結果から、MWCNTのウェーブの平均周期を短くするためには、担持膜を厚くしてRaを大きくし、その結果、触媒膜の粒子化後のRaを大きくすると良いことがわかる。
本発明の多層カーボンナノチューブおよびその集合体は、例えば、導電性若しくは熱伝導性の低い樹脂あるいはゴムに混合して導電性若しくは熱伝導性の高い複合材料を製造するためのフィラー; 樹脂、ゴム若しくは金属中に分散せて高強度複合材料を製造するためのフィラー;等に用いることができる。

Claims (7)

  1. 炭素原子が六角ハニカム状に配列したグラフェンシートの筒を同軸状に層以上有するカーボンナノチューブであって、
    透過型電子顕微鏡による像の観察に基づく最外層の直径がnm以上13nm以下であって、走査型電子顕微鏡の像の観察に基づく長さが1.0mm以上で、長さ方向において、走査型電子顕微鏡による像の観察に基づく平均周期が0.5μm以上2.0μm以下のウェーブを形成している多層カーボンナノチューブ。
  2. 炭素原子が六角ハニカム状に配列したグラフェンシートの筒を同軸状に層以上有する多層カーボンナノチューブの集合体であって、
    透過型電子顕微鏡による像の観察に基づく最外層の平均直径が6nm以上12nm以下であって、走査型電子顕微鏡の像の観察に基づく平均長さが1.4mm以上で、長さ方向において、走査型電子顕微鏡による像の観察に基づく平均周期が0.5μm以上2.0μm以下のウェーブを形成している多層カーボンナノチューブ集合体。
  3. 金属含有率が250ppm以下である請求項に記載の多層カーボンナノチューブ集合体。
  4. 金属触媒を表面に担持した基板を反応容器内に保持して化学気相成長法により請求項1に記載の多層カーボンナノチューブを製造する方法であって、
    平滑板の表面に、前記金属触媒を担持するための担持膜を形成し、
    マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、パラジウム、インジウム、スズ又はこれらの内の1以上を含む合金から成る金属触媒を前記担持膜上に担持し、
    前記金属触媒から成る触媒膜を前記担持膜の表面に形成した1または2以上の前記基板を前記反応容器内に配置し、
    前記反応容器内を不活性ガス若しくは酸化ガスの雰囲気下にし、
    前記反応容器内を前記多層カーボンナノチューブの合成温度まで加熱し、
    前記触媒膜を還元作用のあるガスの雰囲気にさらすことによって、前記触媒膜を粒子化し、
    前記触媒膜の表面に接触するように前記基板の一端から他端に向かって、水素と炭化水素とを少なくとも含む原料ガスを、前記触媒膜上で前記炭化水素の熱分解を促進可能な温度であって前記合成温度より低い温度に予熱しながら導入し、かつ前記反応容器内を前記基板の前記一端から前記他端の方向に気流を生じるように非還流方式にて一方的に排気しながら、
    前記炭化水素を熱分解して前記基板の前記触媒膜の表面に多層カーボンナノチューブを成長させる多層カーボンナノチューブの製造方法。
  5. ヒータに囲まれた空間内に前記基板を配置し、前記ヒータと前記基板との間に気体導入用の配管を配置した装置を用いて、
    前記水素と炭化水素とを少なくとも含む気体を前記配管に通して予熱しながら前記基板の前記一端から供給する請求項に記載の多層カーボンナノチューブの製造方法。
  6. 前記触媒膜を、粒子化後の中心線平均粗さ(Ra)が0.80nm以上の膜とする請求項またはに記載の多層カーボンナノチューブの製造方法。
  7. 前記担持膜を、中心線平均粗さ(Ra)が0.37nm以上の膜とする請求項に記載の多層カーボンナノチューブの製造方法。
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