JP7272525B2 - スライディングゲート装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固定プレートとスライドプレートとの間に面圧を負荷する状態とその面圧負荷を解除する状態とを切り替えることが可能なスライディングゲート装置に関する。
従来、溶鋼容器の底面の出湯口に設けられたスライディングゲート装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。スライディングゲート装置は、固定プレートと、スライドプレートと、を備えている。固定プレート及びスライドプレートにはそれぞれ、溶鋼容器内の溶鋼が流通する貫通孔が設けられている。上記のスライディングゲート装置は、固定プレートとスライドプレートとの間に面圧を負荷しながら、スライド装置としてのシリンダによるスライドプレートのスライド移動によって両プレートを相対的に移動させて両プレートの貫通孔同士の連通と非連通とを切り替えることが可能である。貫通孔同士の連通と非連通とが切り替わると、溶鋼容器の出湯口に挿入されたインサートノズルのノズル孔が開閉される。これにより、溶鋼容器からの溶鋼流量が制御される。
上記のスライディングゲート装置は、面圧制御機構を備えている。面圧制御機構は、スプリングによる面圧を受ける面圧バーをシリンダで進退させることによって、固定プレートとスライドプレートとの間にスプリングによる面圧を負荷すると共に、その面圧負荷を解除することが可能である。具体的には、この面圧制御機構は、スライディングゲート装置での溶鋼流量の制御中は、両プレート間からの溶鋼漏れを防止するため、面圧バーをシリンダで後退させて両プレート間に面圧を負荷する。また、プレートの交換を行うときは、面圧バーをシリンダで前進させて両プレート間の面圧負荷を解除する。
上記したスライディングゲート装置において、面圧バーがシリンダで後退されると、面圧バーの係合部が、スプリングを内蔵したスプリングケースに設けられたローラに係合することで、そのスプリングによる面圧が固定プレートとスライドプレートとの間に負荷される。また、面圧バーがシリンダで前進されると、面圧バーの係合部とスプリングケースのローラとの係合が解除されることで、上記したスプリングによる面圧の負荷が解除される。
特開2011-212702号
上記の如く、インサートノズルのノズル孔の開閉のためにシリンダで面圧バーが進退されると共に、プレート交換のためにシリンダで面圧バーが前進されるスライディングゲート装置では、インサートノズルのノズル孔の開閉制御中に面圧負荷が解除される事態が生じないように構成することが重要である。かかる構成が施されないと、インサートノズルのノズル孔の開閉制御中に意図せず面圧バーが前進された場合、その面圧バーの係合部とスプリングケースのローラとの係合が解除され、インサートノズルのノズル孔の開閉制御中に誤って、固定プレートとスライドプレートとの間のスプリングによる面圧負荷が解除されるおそれがある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、固定プレートとスライドプレートとの間に面圧を負荷した状態でのインサートノズルのノズル孔の開閉制御とその面圧の負荷と解除との切替制御とを同じスライド装置によるスライド移動により実現しつつ、インサートノズルのノズル孔の開閉制御中にその面圧負荷が解除されるのを確実に回避することが可能なスライディングゲート装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、溶鋼容器の溶鋼を注湯するインサートノズルのノズル孔に連通する固定側貫通孔を有し、前記溶鋼容器に対して固定される固定プレートと、前記固定側貫通孔に連通し得るスライド側貫通孔を有し、前記固定プレートに対して摺動可能に所定方向にスライド移動され、前記固定プレートに対するスライド移動によって前記固定側貫通孔に対する前記スライド側貫通孔の連通と非連通との切り替えにより前記ノズル孔を開閉するスライドプレートと、前記スライドプレートを着脱可能に保持するスライダーケースを前記所定方向にスライド移動させるスライド装置と、前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に面圧を負荷する面圧負荷状態と、前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に面圧を負荷しない面圧無負荷状態と、を切り替える面圧制御機構と、を備え、前記面圧制御機構は、前記固定プレートに対して前記所定方向へ移動可能に支持される支持バー部材と、前記支持バー部材と前記スライダーケースとの間に着脱可能に装着され、装着により前記支持バー部材と前記スライダーケースとを互いに連動させる連結状態と、非装着により前記支持バー部材と前記スライダーケースとを非連動とする連結解除状態と、を切り替える連結ブロック治具と、前記支持バー部材が前記スライダーケースとの連動により前記固定プレートに対して所定相対位置関係まで移動された場合に、前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に面圧を負荷する力を発生するバネ部材と、を有する、スライディングゲート装置である。
この構成によれば、面圧制御機構は、固定プレートとスライドプレートとの間に面圧を負荷する面圧負荷状態と、その面圧を負荷しない面圧無負荷状態と、を切り替える。面圧制御機構が有する連結ブロック治具は、固定プレートに対して所定方向へ移動可能に支持される支持バー部材とスライダーケースとの間に着脱可能に装着される。その連結ブロック治具が装着されると、支持バー部材とスライダーケースとが互いに連動し(連結状態)、また、その連結ブロックの装着が解除されると、支持バー部材とスライダーケースとの連動が解除される(連結解除状態)。かかる構成においては、支持バー部材を、スライダーケースとの連結状態で固定プレートに対して所定方向へ移動させることができると共に、スライダーケースとの連結解除状態で固定プレートに対して固定させることができる。支持バー部材がスライダーケースとの連動により固定プレートに対して所定相対位置関係まで移動されると、バネ部材により固定プレートとスライドプレートとの間に面圧が負荷される。従って、インサートノズルのノズル孔の開閉制御と面圧の負荷と解除との切替制御とを同じスライド装置によるスライド移動により簡素な構成で実現することができる。また、インサートノズルのノズル孔の開閉制御中は連結ブロック治具の装着が解除されていれば、支持バー部材がスライダーケースと連動することはなく固定プレートに対して所定相対位置関係から外れることは回避される。従って、インサートノズルのノズル孔の開閉制御中に面圧負荷が解除されるのを確実に回避することができる。
一実施形態に係るスライディングゲート装置の注湯位置A(同図(A))及び注湯停止位置B(同図(B))での各配置図である。 実施形態のスライディングゲート装置が備える面圧制御機構の分解図である。 実施形態のスライディングゲート装置(但し、面圧が解除されている面圧無負荷状態)の斜視図である。 実施形態のスライディングゲート装置(但し、面圧が解除されている面圧無負荷状態)の側面図である。 実施形態のスライディングゲート装置(但し、面圧が負荷されている面圧負荷状態を実線で、かつ、面圧が解除されている面圧無負荷状態を破線で、それぞれ示す。)の上面図である。 実施形態のスライディングゲート装置の図5に示すVI-VI断面図である。 実施形態のスライディングゲート装置の面圧無負荷状態での斜視図である。 実施形態のスライディングゲート装置の面圧無負荷状態での面圧制御機構が有するスプリングボックスの状態を表した断面図である。 実施形態のスライディングゲート装置の面圧負荷状態での斜視図である。 実施形態のスライディングゲート装置の面圧負荷状態での面圧制御機構が有するスプリングボックスの状態を表した断面図である。 実施形態の面圧制御機構が有する連結ブロック治具の斜視図である。 実施形態の連結ブロック治具が支持バー部材とシリンダジョイントとを連結する状態を表した断面図である。 実施形態のスライディングゲート装置の面圧無負荷状態での側面図(但し、一部は断面図)である。 実施形態のスライディングゲート装置の面圧無負荷状態から面圧負荷状態への移行中での側面図(但し、一部は断面図)である。 実施形態のスライディングゲート装置の面圧負荷状態での側面図(但し、一部は断面図)である。
以下、本発明のスライディングゲート装置の具体的な実施形態について、図面を用いて説明する。
一実施形態に係るスライディングゲート装置1は、図1に示す如く、取鍋やタンディッシュなどの溶鋼容器2に取り付けられる装置である。溶鋼容器2は、鋳造用の高温の溶融金属である溶鋼が収容される例えば鉄板製の容器である。溶鋼容器2の容器内側には、耐火材としてのれんがが配設されている。
溶鋼容器2の底部には、貫通孔2aが設けられている。溶鋼容器2の底部には、インサートノズル4が貫通孔2aを貫通するように取り付け固定されている。インサートノズル4は、貫通するノズル孔4aを有している。インサートノズル4は、溶鋼容器2に収容されている溶鋼をノズル孔4aを通じて流出・注湯するための注湯用ノズルである。インサートノズル4は、高い耐火性を有する材料(例えば、アルミナやカーボンなど)により形成された、連続鋳造を可能とする部材である。
スライディングゲート装置1は、インサートノズル4に対応して設けられている。スライディングゲート装置1は、固定プレート10と、スライドプレート11と、マウンティングプレート20と、スライド装置30と、ボトムプレート40と、を備えている。スライディングゲート装置1は、スライドプレート11をスライド装置30により固定プレート10に対してスライド移動させてそれらの貫通孔同士の連通と非連通とを制御することにより、インサートノズル4のノズル孔4aを開閉させてインサートノズル4からの溶鋼の流出を制御する装置である。
固定プレート10及びスライドプレート11はそれぞれ、板状に形成されたれんが部材である。固定プレート10とスライドプレート11とは、互いに上下に重ねられて配置されている。具体的には、固定プレート10は、溶鋼容器2の底部側に配置されていると共に、スライドプレート11は、その固定プレート10に対して下方に隣接して配置されている。スライドプレート11は、固定プレート10に対してその対向面に沿って摺動しながら所定方向X(以下、スライド方向Xと称す。)にスライド移動可能である。スライドプレート11がスライド方向Xにスライド移動すると、インサートノズル4のノズル孔4aが開閉される。
固定プレート10は、マウンティングプレート20を介して溶鋼容器2に対して固定される板状のプレートである。固定プレート10は、マウンティングプレート20ひいては溶鋼容器2に対して着脱可能に保持されている。固定プレート10は、溶鋼が流通する貫通孔10aを有している。貫通孔10aは、溶鋼容器2に収容された溶鋼を外部の鋳型などに注湯するために設けられている。貫通孔10aは、インサートノズル4のノズル孔4aの内径とほぼ同じ内径を有している。溶鋼容器2側への固定プレート10の固定は、貫通孔10aがインサートノズル4のノズル孔4aに連通する位置関係が成立するように行われる。尚、固定プレート10は、マウンティングプレート20との接触面に緩衝材としてのクッション材やブリキ板が取り付けられたものであってよい。
マウンティングプレート20は、図2に示す如く、板状に形成されている。マウンティングプレート20は、溶鋼容器2に取り付け固定されている。尚、溶鋼容器2へのマウンティングプレート20の取り付けは、ボルトやブラケットを用いて行われればよい。マウンティングプレート20には、固定プレート10を収納する凹溝21が設けられている。マウンティングプレート20は、固定プレート10をその凹溝21に収容しかつ貫通孔10aを貫通させた状態で保持している。
スライドプレート11は、固定プレート10ひいては溶鋼容器2に対してスライド方向Xにスライド移動可能な板状のプレートである。スライドプレート11は、スライド装置30が有するスライダーケース31に対して着脱可能に保持されている。スライドプレート11は、溶鋼が流通する貫通孔11aを有している。貫通孔11aは、溶鋼容器2に収容された溶鋼を外部の鋳型などに注湯するために設けられている。貫通孔11aは、インサートノズル4のノズル孔4a及び固定プレート10の貫通孔10aの内径とほぼ同じ内径を有している。
スライドプレート11には、注湯用ノズル5が取り付け固定されている。注湯用ノズル5は、スライドプレート11の、固定プレート10に対向する対向面側とは反対側である背面側に配置されている。注湯用ノズル5は、高い耐火性を有する材料(例えば、アルミナやカーボンなど)により形成された、連続鋳造を可能とする部材である。注湯用ノズル5は、溶鋼が流通するノズル孔5aを有している。ノズル孔5aは、インサートノズル4のノズル孔4aなどの内径とほぼ同じ内径を有している。スライドプレート11に対する注湯用ノズル5の固定は、ノズル孔5aがスライドプレート11の貫通孔11aに連通する位置関係が成立するように行われる。
スライド装置30は、スライドプレート11を固定プレート10ひいては溶鋼容器2に対してスライド移動させる装置である。スライド装置30は、スライドプレート11のスライド移動を、油圧シリンダ或いはモータなどの駆動源を用いて行うものである。スライド装置30によるスライド移動は、スライドプレート11が固定プレート10の対向面に沿って摺動しながらスライド方向Xへ直線的に行われる。
スライド装置30は、スライドプレート11を着脱可能に保持するスライダーケース31を有している。スライダーケース31は、箱型に形成されている。スライダーケース31には、スライドプレート11を収納する凹溝32が設けられている。スライダーケース31は、スライドプレート11をその凹溝32に収容しかつ貫通孔11aを貫通させた状態で保持している。
スライダーケース31は、シリンダジョイント33を介して駆動源(図示せず)に連結されている。シリンダジョイント33は、図3、図4、及び図5に示す如く、スライド方向Xに延びる角棒状の部材である。シリンダジョイント33は、駆動源とスライダーケース31とを連結させている。上記の駆動源は、シリンダジョイント33を介してスライダーケース31をスライド方向Xに往復移動させることが可能である。スライダーケース31は、マウンティングプレート20及びボトムプレート40に対してスライド方向Xへスライド移動可能である。スライド装置30は、マウンティングプレート20及びボトムプレート40に対してスライダーケース31をスライド方向Xに移動させることで、そのスライダーケース31に保持されているスライドプレート11を固定プレート10に対して摺動させながらスライド方向Xにスライド移動させる。
スライド装置30は、スライドプレート11を、図1(A)に示す如くその貫通孔11aを固定プレート10の貫通孔10aに連通させる位置(以下、注湯位置Aと称す。)と、図1(B)に示す如くその貫通孔11aを貫通孔10aに連通させない位置(以下、注湯停止位置Bと称す。)と、の間でスライド移動させることが可能である。以下、スライドプレート11が注湯停止位置Bから注湯位置Aへ向けてスライド移動するスライド方向Xをスライド方向X+とし、逆のスライド方向Xをスライド方向X-とする。
ボトムプレート40は、略板状或いはフレーム状に形成されている。ボトムプレート40は、マウンティングプレート20に対して溶鋼容器2側とは反対側に配置されている。ボトムプレート40は、マウンティングプレート20との間にスライダーケース31を挟持するように構成されている。ボトムプレート40は、マウンティングプレート20に回動可能に支持されている。
ボトムプレート40は、スライド方向Xの一方側においてスライド方向Xに直交する一辺に沿って延びる軸を中心にして回動可能である。ボトムプレート40は、ヒンジピン22を中心にしてマウンティングプレート20に対して回動される。ヒンジピン22は、スライド方向Xに直交しかつマウンティングプレート20の板面に対して平行な方向(以下、幅方向Yと称す。)に延びている。この回動は、後述する面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間の面圧負荷が解除されている状態で許可され、その面圧が負荷されている状態では禁止される。
ボトムプレート40の回動は、そのボトムプレート40がマウンティングプレート20に対して平行に保たれた状態(いわゆる、閉状態)と略垂直に保たれた状態(いわゆる、開状態)との間で行われる。ボトムプレート40が閉状態にあるときは、スライダーケース31からスライドプレート11を取り出すことができず、また、ボトムプレート40が開状態にあるときは、スライダーケース31からスライドプレート11を取り出すことが可能である。
次に、本実施形態のスライディングゲート装置1における注湯制御を行うための通常動作を説明する。
製品の鋳造が要求されると、溶鋼が収容された溶鋼容器2からその溶鋼を流出させるために、スライド装置30がスライドプレート11を注湯位置Aにスライド移動させる。かかる注湯位置Aでは、スライドプレート11の貫通孔11aが、溶鋼容器2の貫通孔2aに挿入されたインサートノズル4のノズル孔4a及び固定プレート10の貫通孔10aに連通される。この場合、ノズル孔4aが開くので、溶鋼容器2に収容された溶鋼は、インサートノズル4のノズル孔4aから固定プレート10の貫通孔10a、スライドプレート11の貫通孔11a、及び注湯用ノズル5のノズル孔5aを介して流出されて注湯される。従って、スライド装置30によりスライドプレート11の貫通孔11aを固定プレート10の貫通孔10aひいてはインサートノズル4のノズル孔4aに連通させることで、溶鋼容器2内の溶鋼を流出させて鋳造を実現することができる。
また、上記した鋳造の停止が要求されると、スライド装置30がスライドプレート11を注湯位置Aから注湯停止位置Bへスライド移動させる。注湯停止位置Bでは、スライドプレート11の貫通孔11aが固定プレート10の貫通孔10aに連通されない。この場合、インサートノズル4のノズル孔4aが閉じられるので、溶鋼容器2に収容された溶鋼の流出は停止されて鋳造は停止される。
次に、本実施形態のスライディングゲート装置1が備える面圧制御機構について説明する。
本実施形態のスライディングゲート装置1は、面圧制御機構50を備えている。面圧制御機構50は、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧を負荷すると共に、その面圧負荷を解除するための機構である。面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間に負荷される面圧の大きさは、両プレート10,11間からの溶鋼漏れを防止しつつ固定プレート10に対するスライドプレート11の相対移動を許容するように設定されている。
面圧制御機構50は、スライダーケース31をボトムプレート40側からマウンティングプレート20側へ押し付けることで、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧を負荷する。面圧制御機構50は、支持バー部材60と、連結ブロック治具70と、スプリングボックス80と、を有している。
支持バー部材60は、ボトムプレート40にスライド方向Xへ移動可能に支持されている。支持バー部材60は、スライダーケース31のスライド方向Xへの移動時、スライダーケース31に連結されることでスライダーケース31と連動して一体的にスライド移動する状態(以下、連結状態と称す。)と、スライダーケース31との連結が解除されることでスライダーケース31と非連動になりスライダーケース31との一体的なスライド移動が規制される状態(以下、連結解除状態と称す。)と、の何れかの状態になる。支持バー部材60は、カムバー61と、ダイレクトバー62と、を有している。
カムバー61は、スライド方向Xに延在する角棒状或いは帯状の部材である。カムバー61は、ボトムプレート40のスライド方向Xに延びる側面に沿って延びている。カムバー61は、ボトムプレート40の幅方向Y両側の側面それぞれに対応して設けられている。各カムバー61の側面には、カム部63が設けられている。カム部63は、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧を負荷する力を発生させるためのブロック状の部位である。
カム部63は、楔状に形成されている。カム部63は、スライド方向Xに対して平行な水平面63aと、スライド方向Xに対して傾斜する傾斜面63bと、を有している。水平面63a及び傾斜面63bは、カム部63におけるスライド方向X及び幅方向Yの双方に直交する方向(以下、上下方向Zと称す。)側の二面のうちマウンティングプレート20側とは反対側の面に形成されている。
傾斜面63bは、水平面63aよりも、スライドプレート11が注湯停止位置Bから注湯位置Aへ向けてスライド方向X+にスライド移動する際に後述の係合部84が先に接触する側に設けられている。傾斜面63bは、スライド方向Xに対して例えば5°-10°(好ましくは6°)だけ傾斜している。水平面63aと傾斜面63bとは、スライド方向Xにおいて連続するように形成されている。カム部63は、カムバー61の側面に着脱可能かつ交換可能に取り付けられている。尚、カムバー61へのカム部63の装着は、例えばボルトを用いて行われればよい。
ボトムプレート40には、ローラ41が設けられている。ローラ41は、ボトムプレート40の本体部に回転可能に支持されている。ローラ41は、二つのカムバー61に対応して、ボトムプレート40の幅方向Yの両側それぞれに設けられている。ローラ41は、ボトムプレート40の幅方向Yの片側において、上下方向Zにカムバー61の厚さ分だけ離間して二個一対設けられていると共に、その二個一対がスライド方向Xに所定距離離間して配置されるように二対設けられている。
ローラ41の回転は、ボトムプレート40の側面に対して幅方向Yに延びる支持軸を中心にして行われる。上記のカムバー61は、上下方向Zに離れて配置された一対のローラ41の間に挿入されていると共に、スライド方向Xに離れて配置された二対のローラ41それぞれに挿入されていることで、それらのローラ41によりスライド方向Xに移動可能にガイドされている。
ダイレクトバー62は、幅方向Yに延在する角棒状の部材である。ダイレクトバー62は、二つのカムバー61を連結する。ダイレクトバー62は、二つのカムバー61と一体的にスライド方向Xに移動する。ダイレクトバー62は、上下方向Zに貫通する嵌挿孔62aを有している。嵌挿孔62aは、連結ブロック治具70の外形に合致する形状に形成された孔である。嵌挿孔62aには、連結ブロック治具70が嵌挿される。
シリンダジョイント33は、上下方向Z側の二面のうちマウンティングプレート20側とは反対側のダイレクトバー62に対向する面に凹んだ凹溝34を有している。凹溝34は、ダイレクトバー62の嵌挿孔62aを嵌挿した連結ブロック治具70の先端部が嵌る溝である。凹溝34は、連結ブロック治具70の先端部の幅方向Yの幅に合致する溝幅を有していると共に、連結ブロック治具70の先端部のスライド方向Xの幅よりも大きな溝長を有している。すなわち、凹溝34は、スライド方向Xに延びる長孔状に形成されている。凹溝34は、シリンダジョイント33におけるそれぞれ鉛直方向に立つ四つの周縁部により囲まれている。連結ブロック治具70は、先端部が凹溝34に嵌ったとき、図13-図15に示す如く、スライド方向X+,X-のうち少なくとも何れか一方の周縁部34a,34bと隙間を介して離間する。
連結ブロック治具70は、支持バー部材60とスライダーケース31との連結状態と連結解除状態とを切り替える治具である。連結ブロック治具70は、図11及び図12に示す如く、ダイレクトバー62の嵌挿孔62aに嵌挿可能でかつシリンダジョイント33の凹溝34に嵌合可能なブロック状に形成されている。連結ブロック治具70は、作業者が持ち運び可能に取手部71を有している。連結ブロック治具70は、支持バー部材60(具体的には、ダイレクトバー62)とスライダーケース31(具体的には、シリンダジョイント33)との間に介在して装着し得る。連結ブロック治具70は、ダイレクトバー62及びシリンダジョイント33に対して着脱可能である。
面圧制御機構50は、連結ブロック治具70が支持バー部材60とスライダーケース31との間に装着されている場合に、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷されていない面圧無負荷状態(図7及び図8に示す状態)からその面圧を負荷することが可能であると共に、逆にその面圧負荷状態(図9及び図10に示す状態)からその面圧負荷を解除することが可能である。
連結ブロック治具70は、スライダーケース31のスライド方向Xへの移動時、シリンダジョイント33の周縁部34a,34bの何れか一方に当接されてスライド方向Xに押圧される状態と、周縁部34a,34bの何れにも当接せずスライド方向Xに押圧されない状態と、の何れかの状態になる。連結ブロック治具70がシリンダジョイント33の周縁部34a,34bの何れかに押圧されると、支持バー部材60とスライダーケース31とが連結されることで、支持バー部材60とスライダーケース31とが互いに連動して一体的にスライド移動する。また、連結ブロック治具70がシリンダジョイント33の周縁部34a,34bの何れかに押圧されていない状態では、支持バー部材60とスライダーケース31との連結が解除されることで、支持バー部材60とスライダーケース31とが非連動になり支持バー部材60とスライダーケース31との一体的なスライド移動が規制される。
スプリングボックス80は、スプリング81を収容する箱状に形成された部材である。スプリングボックス80は、ボトムプレート40の幅方向Y両側の側面それぞれに対応して設けられている。各スプリングボックス80は、複数(例えば図8に示す如く5個)のスプリング81を並列に収容している。スプリング81は、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧を負荷するためのバネ力を発生し得るバネ部材(弾性体)である。スプリング81は、バネ力を上下方向Zに発生する。スプリング81は、スプリングボックス80内で複数が並列に並ぶように配置されており、所望の面圧が負荷されるのに必要な所望のバネ力を発生し得る。
スプリングボックス80は、図6、図8、及び図10に示す如く、スプリング81の一端が固定される固定部82と、スプリング81の他端が固定される板状の可動部83と、を有している。固定部82は、マウンティングプレート20に固定され或いはマウンティングプレート20に一体形成された部位である。可動部83は、固定部82に対して、スプリング81が伸縮する上下方向Zに変位することが可能な部材である。固定部82と可動部83との間には、スプリング81の発生するバネ力が付与される。
可動部83には、係合部84が設けられている。係合部84は、バー85を介して可動部83に連結されている。バー85は、スプリングボックス80におけるスライド方向Xの両端側に一つずつ設けられている。バー85は、上下方向Zに延在する略棒状の部材である。バー85は、スライド方向Xの端位置に存在するスプリング81の中心を通って固定部82を貫通している。バー85は、一端側で可動部83に締結されており、その一端とは反対側の他端側で係合部84に連結されている。
係合部84は、バー85の他端側に回転可能に支持された円形の回転体(ローラ)である。係合部84は、可動部83と一体で上下方向Zに変位することが可能である。係合部84は、ボトムプレート40の幅方向Yの両側それぞれに、カム部63に対応してスライド方向Xに所定距離離れて二つ設けられている。各係合部84は、スライドプレート11が注湯停止位置Bから注湯位置Aへ向けてスライド方向X+にスライド移動する過程でカム部63に接触するように配置されている。係合部84の回転は、ボトムプレート40の側面にて幅方向Yに延びる支持軸を中心にして行われる。
係合部84は、カムバー61のカム部63に接触して係合することが可能である。係合部84とカム部63との係合・非係合は、後に詳述する如く、マウンティングプレート20すなわち固定プレート10に対する支持バー部材60のスライド方向Xの位置に応じて変化する。係合部84は、その内端(図10などに示す下端)で、傾斜面63bに接することが可能であると共に、水平面63aに係合することが可能である。
係合部84がカム部63の傾斜面63bに接触せずかつ水平面63aにも係合しない場合、スプリング81は中立状態にあり、そのスプリング81からカム部63に伝達されるカム部63を押し下げる力はほぼゼロである。このため、支持バー部材60がボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力は発生せず、ボトムプレート40とマウンティングプレート20との間にスライダーケース31を挟持する力は作用しないので、面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間に負荷される面圧はほぼゼロである。
係合部84がスライドプレート11のスライド移動により傾斜面63bに接触すると、その後、そのスライド過程でスプリングボックス80内の可動部83が固定部82に対して相対変位してスプリング81が中立状態から収縮し、そのスプリング81からカム部63に伝達されるカム部63を押し下げる力が徐々に大きくなる。このため、支持バー部材60がボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力が発生して、ボトムプレート40とマウンティングプレート20との間にスライダーケース31を挟持する力が作用するので、面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間に負荷される面圧が徐々に増大する。
そして、係合部84が水平面63aに接触して係合した場合、スプリング81が収縮される量は最大となり、面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間に負荷される面圧は最大となる。
次に、本実施形態のスライディングゲート装置1が備える面圧制御機構50の動作について説明する。
スライディングゲート装置1の組み立ては、マウンティングプレート20側の係合部84が、ボトムプレート40に移動可能に支持された支持バー部材60のカム部63に接触しないように行われる。かかる組み立てが行われると、面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧は負荷されず、その面圧負荷は解除されている。このとき、支持バー部材60の嵌挿孔62aとシリンダジョイント33の凹溝34とは、上下方向Zで互いに連通する。
上記の如く嵌挿孔62aと凹溝34とが上下方向Zで互いに連通している場合(具体的には、更に溶鋼容器2が傾転された状態すなわちマウンティングプレート20が奥側に位置しかつボトムプレート40が手前側に位置する状態)では、それらの嵌挿孔62a及び凹溝34への連結ブロック治具70の嵌挿・挿入が可能である。連結ブロック治具70が支持バー部材60の嵌挿孔62aに嵌挿されかつシリンダジョイント33の凹溝34に挿入されると、支持バー部材60とスライダーケース31とが互いに連動してスライド移動することが可能である。尚、図13に示す如く連結ブロック治具70がシリンダジョイント33の周縁部34aに当接しているときのスライドプレート11のストローク位置を基準位置ゼロとする。
上記の組み立て後、固定プレート10とスライドプレート11との間への面圧負荷が要求されると、作業者の手動操作により連結ブロック治具70が支持バー部材60の嵌挿孔62aに嵌挿されかつシリンダジョイント33の凹溝34に挿入され、その後、スライド装置30がスライダーケース31ひいてはスライドプレート11をスライド方向X+にスライド移動させる。凹溝34に挿入された連結ブロック治具70と周縁部34bとの間に隙間があると、上記のスライド方向X+へのスライド移動の当初は、シリンダジョイント33の凹溝34内を連結ブロック治具70が移動するので、支持バー部材60とスライダーケース31とが連結されず、支持バー部材60とスライダーケース31との一体的なスライド移動が規制されている(連結解除状態)。
そして、図14に示す如くシリンダジョイント33の周縁部34bに連結ブロック治具70が当接すると(例えば、スライドプレート11のストローク位置=80mm)、それ以後は、その周縁部34bがその連結ブロック治具70をスライド方向X+に押圧するので、支持バー部材60とスライダーケース31とが連結され、支持バー部材60とスライダーケース31とが互いに連動して一体的にスライド移動する(連結状態)。支持バー部材60がスライダーケース31と一体的にスライド移動すると、そのスライド過程でその支持バー部材60のカム部63がマウンティングプレート20側の係合部84に接触して係合される。かかる係合が生じると、スプリング81から支持バー部材60へボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力が付与されて、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷される。
カム部63と係合部84との係合当初は、係合部84がカム部63の傾斜面63bに接触する。この場合、スプリング81から支持バー部材60へ付与されるボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力は小さく、固定プレート10とスライドプレート11との間に負荷される面圧は小さい。そして、カム部63と係合部84との係合が進行すると、図15に示す如く係合部84がカム部63の水平面63aに接触する(例えば、スライドプレート11のストローク位置=200mm)。この場合、スプリング81から支持バー部材60へ付与されるボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力は最大となり、固定プレート10とスライドプレート11との間に負荷される面圧は最大となる。このとき、支持バー部材60の嵌挿孔62aとシリンダジョイント33の凹溝34との連通は、維持されている。
上記の如く固定プレート10とスライドプレート11との間への面圧負荷が完了すると、連結ブロック治具70がシリンダジョイント33の凹溝34及び支持バー部材60の嵌挿孔62aから取り外されると共に、マウンティングプレート20が上方に位置しかつボトムプレート40が下方に位置するように溶鋼容器2が直立される。そして、溶鋼容器2を用いた鋳造が行われ、この鋳造過程で注湯位置Aと注湯停止位置Bとの間でのスライドプレート11のスライド移動が実施される。
上記の鋳造時は、支持バー部材60とシリンダジョイント33との間に連結ブロック治具70は存在しないので、支持バー部材60がボトムプレート40ひいてはマウンティングプレート20に対して移動することはない。このため、支持バー部材60のカム部63とマウンティングプレート20側の係合部84との係合は解除されないので、固定プレート10とスライドプレート11との間への面圧負荷は維持される。
次に、例えばスライドプレート11又は固定プレート10の交換やスライディングゲート装置1のメンテナンスなどが要求されると、マウンティングプレート20が奥側に位置しかつボトムプレート40が手前側に位置するように溶鋼容器2が傾転された状態で、まず、作業者の手動操作により連結ブロック治具70が支持バー部材60の嵌挿孔62aに嵌挿されかつシリンダジョイント33の凹溝34に挿入される。
その後、スライド装置30がスライダーケース31ひいてはスライドプレート11をスライド方向X-にスライド移動させる。このスライド方向X-へのスライド移動の当初は、連結ブロック治具70とシリンダジョイント33の凹溝34の周縁部34aとの間に隙間があり、その凹溝34内を連結ブロック治具70が移動するので、支持バー部材60とスライダーケース31とが連結されず、支持バー部材60とスライダーケース31との一体的なスライド移動が規制されている(連結解除状態)。
そして、シリンダジョイント33の周縁部34aが連結ブロック治具70に当接すると、それ以後は、その周縁部34aがその連結ブロック治具70をスライド方向X-に押圧するので、支持バー部材60とスライダーケース31とが連結され、支持バー部材60とスライダーケース31とが互いに連動して一体的にスライド移動する(連結状態)。この支持バー部材60とスライダーケース31との一体的なスライド移動によって、支持バー部材60のカム部63とマウンティングプレート20側の係合部84との係合が解除されると、スプリング81から支持バー部材60へ付与されるボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力が消滅して、固定プレート10とスライドプレート11との間の面圧負荷が解除される。
上記の如く固定プレート10とスライドプレート11との間への面圧負荷の解除が完了すると、連結ブロック治具70がシリンダジョイント33の凹溝34及び支持バー部材60の嵌挿孔62aから取り外されると共に、マウンティングプレート20に対するボトムプレート40の回動が許可される。この回動が作業者の手動操作によりなされると、ボトムプレート40が開状態となり、ボトムプレート40とマウンティングプレート20とが大きく離間する。このため、スライダーケース31に保持されているスライドプレート11や、マウンティングプレート20に保持されている固定プレート10の脱着が可能となり、それらのプレート10,11の交換が可能となる。
そして、上記の如くプレート10,11の交換が行われた後は、上記の手順とは逆の手順で固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷される。具体的には、プレート10,11の交換後、ボトムプレート40がマウンティングプレート20に対して開状態から閉状態へ向けて回動されると共に、連結ブロック治具70が支持バー部材60とシリンダジョイント33との間に装着され、その後、面圧制御機構50による支持バー部材60とスライドプレート11との連動したスライド移動により固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷される。
このように、本実施形態のスライディングゲート装置1においては、連結ブロック治具70が支持バー部材60とシリンダジョイント33との間に介在している状態で、スライド装置30によるスライダーケース31のスライド移動がスライド方向X+へ行われた場合、面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷される。一方、連結ブロック治具70が支持バー部材60とシリンダジョイント33との間に介在している状態で、スライド装置30によるスライダーケース31のスライド移動がスライド方向X-へ行われた場合、面圧制御機構50により上記の面圧負荷は解除される。
また、面圧制御機構50による固定プレート10とスライドプレート11との間への面圧負荷が完了していると共に、連結ブロック治具70が支持バー部材60とシリンダジョイント33との間から取り外されているときは、スライド装置30によるスライダーケース31のスライド移動が注湯位置Aと注湯停止位置Bとの間で行われることで溶鋼容器2のインサートノズル4のノズル孔4aが開閉制御されても、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧を負荷する状態は維持される。
従って、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷された状態でのインサートノズル4のノズル孔4aの開閉制御と、その面圧の負荷と解除との切替制御と、をそれぞれ同じスライド装置30を用いたスライダーケース31のスライド方向Xへのスライド移動により実現することができ、一つのスライド装置30によるスライド移動で実現することができる。このため、上記のノズル開閉制御及び面圧負荷解除切替制御の双方を実現するうえで全体構成を簡素化することができる。
また、面圧制御機構50による面圧無負荷状態から面圧負荷状態への移行は、連結ブロック治具70が支持バー部材60のダイレクトバー62とスライド装置30のシリンダジョイント33との間に介在していなければ実現されない。すなわち、連結ブロック治具70がダイレクトバー62とシリンダジョイント33との間に介在している状態で、スライド装置30によりスライドプレート11がスライド方向X+にスライド移動すると、その連結ブロック治具70がシリンダジョイント33の周縁部34bからスライド方向X+へ押圧されて、支持バー部材60とシリンダジョイント33とが互いに連動してスライド移動し得るので、その支持バー部材60のカム部63がマウンティングプレート20側の係合部84と係合する位置に到達することができる。カム部63と係合部84とが係合すると、スプリング81から支持バー部材60へボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力が付与されて、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷される。
また、面圧制御機構50による面圧負荷状態から面圧無負荷状態への移行は、連結ブロック治具70が支持バー部材60のダイレクトバー62とスライド装置30のシリンダジョイント33との間に介在していなければ実現されない。すなわち、連結ブロック治具70がダイレクトバー62とシリンダジョイント33との間に介在している状態で、スライド装置30によりスライドプレート11がスライド方向X-にスライド移動すると、その連結ブロック治具70がシリンダジョイント33の周縁部34aからスライド方向X-へ押圧されて、支持バー部材60とシリンダジョイント33とが互いに連動してスライド移動し得るので、その支持バー部材60のカム部63がマウンティングプレート20側の係合部84との係合が解除される位置に到達することができる。カム部63と係合部84との係合が解除されると、スプリング81から支持バー部材60へのボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力が消滅し、固定プレート10とスライドプレート11との間の面圧負荷が解除される。
このように、固定プレート10とスライドプレート11との間の面圧負荷状態と面圧無負荷状態とを切り替えるうえで、スライド装置30によるシリンダジョイント33及びスライダーケース31のスライド方向Xへの直線運動を連結ブロック治具70を介して支持バー部材60に伝達して、その支持バー部材60のスライド方向Xへの直線運動に変換する。かかる構成によれば、スライド装置30による押圧力を効率的に支持バー部材60に伝達することができるので、面圧負荷状態と面圧無負荷状態との切り替えの安定化を図ることができる。また、スライド装置30から支持バー部材60への押圧力の伝達構造を簡素化することができるので、部品点数の削減及び高強度化を図ることができる。
また、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷されているノズル開閉制御中は、連結ブロック治具70がダイレクトバー62とシリンダジョイント33との間に介在していない。このときは、スライドプレート11がスライド方向Xへスライド移動しても、支持バー部材60が、そのスライドプレート11に連動せず、ボトムプレート40やマウンティングプレート20に対して移動しないので、支持バー部材60のカム部63とマウンティングプレート20側の係合部84との係合が維持される。この場合、スプリング81から支持バー部材60へのボトムプレート40をマウンティングプレート20に向けて押圧する力は維持されるので、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧が負荷される状態が維持され、その面圧負荷の解除は回避される。
従って、溶鋼容器2のインサートノズル4のノズル孔4aの開閉制御中は、連結ブロック治具70がダイレクトバー62とシリンダジョイント33との間に介在していないことで、その開閉制御中に面圧制御機構50により固定プレート10とスライドプレート11との間の面圧負荷が解除されるのを確実に回避することができる。
この点、本実施形態のスライディングゲート装置1によれば、固定プレート10とスライドプレート11との面圧負荷状態でのインサートノズル4のノズル孔4aの開閉制御と、面圧の負荷と解除との切替制御と、を同じスライド装置30によるスライド移動により実現しつつ、そのノズル孔4aの開閉制御中にその面圧負荷が解除されるのを確実に回避することができる。
スライディングゲート装置1において、固定プレート10とスライドプレート11との間の面圧負荷状態から面圧制御機構50によりその面圧負荷を解除させるうえでは、連結ブロック治具70が支持バー部材60とシリンダジョイント33との間に介在していること、具体的には、連結ブロック治具70がダイレクトバー62の嵌挿孔62aに嵌挿されかつシリンダジョイント33の凹溝34に挿入されていることが必要である。面圧制御機構50による上記の面圧負荷とその解除とを切り替えるうえでは、作業者が、連結ブロック治具70を支持バー部材60とシリンダジョイント33との間に介在させる作業或いはその介在している連結ブロック治具70を取り外す作業を行えば十分である。また、上記の面圧負荷とその解除とを切り替えるうえでは、ブロック状の連結ブロック治具70とは別の面圧負荷/解除用ツールなどをスライディングゲート装置1に取り付けることは不要である。このため、固定プレート10とスライドプレート11との間の面圧負荷とその解除とを切り替えるうえで、コスト低減及び作業負荷の低減が図られている。
更に、固定プレート10とスライドプレート11との間に面圧を負荷するうえでは、支持バー部材60のカム部63をマウンティングプレート20側の係合部84に係合させることが必要であると共に、その面圧負荷を解除させるうえでは、そのカム部63と係合部84との係合を解除させることが必要である。この点、カム部63は、係合部84と接触ないしは係合する、経時変化により消耗する部品である。カム部63は、カムバー61に対してボルトなどで着脱可能かつ交換可能に取り付けられている。このため、カムバー61からカム部63を容易に交換することが可能であり、これにより、カム部63の消耗時にカムバー61全体や支持バー部材60全体を交換するのを不要することが可能である。
ところで、上記の実施形態においては、面圧制御機構50が、ボトムプレート40にスライド方向Xに移動可能に支持された支持バー部材60に設けられたブロック状のカム部63と、マウンティングプレート20に固定されたスプリングボックス80の可動部83に設けられた円形の回転体である係合部84と、を有している。そして、それらのカム部63と係合部84との係合有無により面圧負荷が制御される。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。ブロック状のカム部がマウンティングプレート20側のスプリングボックス80の可動部83に設けられ、かつ、円形の回転体である係合部がボトムプレート40に支持された支持バー部材60に設けられることとし、それらのカム部と係合部との係合有無により面圧負荷が制御されることとしてもよい。この変形形態の構成でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、面圧制御機構50が、水平面63a及び傾斜面63bを有する楔状に形成されたブロック状のカム部63と、円形の回転体である係合部84と、を有する。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。面圧制御機構50が、スライド移動に応じて回転する楕円状或いは滴状のカム部と、水平面のみが形成されたブロック状の係合部と、を有することとしてもよい。この変形形態でも、カム部が支持バー部材60及び可動部83のうち何れか一方に設けられると共に、係合部が支持バー部材60及び可動部83のうち何れか他方に設けられればよい。この変形形態の構成でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
1:スライディングゲート装置、2:溶鋼容器、2a:貫通孔、4:インサートノズル、4a:ノズル孔、10:固定プレート、10a:貫通孔(固定側貫通孔)、11:スライドプレート、11a:貫通孔(スライド側貫通孔)、20:マウンティングプレート、30:スライド装置、31:スライダーケース、33:シリンダジョイント、34:凹溝、40:ボトムプレート、41:ローラ、50:面圧制御機構、60:支持バー部材、61:カムバー、62:ダイレクトバー、63:カム部、63a:水平面、63b:傾斜面、70:連結ブロック治具、80:スプリングボックス、81:スプリング、82:固定部、83:可動部、84:係合部。

Claims (4)

  1. 溶鋼容器の溶鋼を注湯するインサートノズルのノズル孔に連通する固定側貫通孔を有し、前記溶鋼容器に対して固定される固定プレートと、
    前記溶鋼容器に取り付け固定され、前記固定プレートを保持するマウンティングプレートと、
    前記マウンティングプレートに回動可能に支持されたボトムプレートと、
    前記固定側貫通孔に連通し得るスライド側貫通孔を有し、前記固定プレートに対して摺動可能に所定方向にスライド移動され、前記固定プレートに対するスライド移動によって前記固定側貫通孔に対する前記スライド側貫通孔の連通と非連通との切り替えにより前記ノズル孔を開閉するスライドプレートと、
    前記スライドプレートを着脱可能に保持するスライダーケースを前記所定方向にスライド移動させるスライド装置と、
    前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に面圧を負荷する面圧負荷状態と、前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に面圧を負荷しない面圧無負荷状態と、を切り替える面圧制御機構と、を備え、
    前記面圧制御機構は、
    前記固定プレートに対して前記所定方向へ移動可能に前記マウンティングプレートに支持される支持バー部材と、
    前記支持バー部材と前記スライダーケースとの間に着脱可能に装着され、前記支持バー部材と前記スライダーケースとを互いに連動させる連結状態と、前記支持バー部材と前記スライダーケースとを非連動とする連結解除状態と、を切り替える連結ブロック治具と、
    前記支持バー部材が前記スライダーケースとの連動により前記固定プレートに対して所定相対位置関係まで移動された場合に、前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に面圧を負荷する力を発生するバネ部材と、
    を有し、
    前記支持バー部材は、
    前記ボトムプレートにおける前記所定方向に延びる両側面それぞれに対応して設けられ、それぞれ該側面に沿って延在するカムバーと、
    前記所定方向に直交する方向に延在し、二つの前記カムバーを連結し、前記連結ブロック治具が嵌挿される嵌挿孔を有するダイレクトバーと、
    を有し、
    前記スライダーケース又は前記スライダーケースと前記スライド装置の駆動源とを連結させるシリンダジョイントは、前記連結ブロック治具の先端部が嵌る凹溝を有し、
    前記凹溝は、前記連結ブロック治具の先端部における前記所定方向の幅よりも大きな溝長を有するように前記所定方向に延びており、
    前記連結ブロック治具は、前記支持バー部材と前記スライダーケースとの間に装着されている場合において、前記スライダーケースが前記所定方向にスライド移動するとき、前記凹溝の周縁部に当接される状態と、前記凹溝の前記周縁部に当接されない状態と、の何れかの状態になり、
    前記連結ブロック治具が前記凹溝の前記周縁部に当接される状態では、前記支持バー部材と前記スライダーケースとが互いに連動して一体的にスライド移動し、一方、前記連結ブロック治具が前記凹溝の前記周縁部に当接されない状態では、前記支持バー部材と前記スライダーケースとが非連動になり前記支持バー部材と前記スライダーケースとの一体的なスライド移動が規制される、スライディングゲート装置。
  2. 前記凹溝の前記周縁部は、
    前記凹溝の前記所定方向の一方側に設けられ、前記所定方向の一方側から他方側への前記スライダーケースのスライド移動時に前記連結ブロック治具に当接する第一周縁部と、
    前記凹溝の前記所定方向の他方側に設けられ、前記所定方向の他方側から一方側への前記スライダーケースのスライド移動時に前記連結ブロック治具に当接する第二周縁部と、
    を有し、
    前記面圧制御機構は、前記スライダーケースの前記所定方向の一方側から他方側へのスライド移動に伴って前記第一周縁部が前記連結ブロック治具を前記所定方向の他方側へ押圧することにより、前記支持バー部材が前記固定プレートに対して前記所定相対位置関係に至った場合に、前記固定プレートと前記スライドプレートとの間に面圧を負荷すると共に、前記スライダーケースの前記所定方向の他方側から一方側へスライド移動に伴って前記第二周縁部が前記連結ブロック治具を前記所定方向の一方側へ押圧することにより、前記支持バー部材が前記固定プレートに対して前記所定相対位置関係から外れた場合に、前記固定プレートと前記スライドプレートとの間への面圧の負荷を解除する、請求項に記載されたスライディングゲート装置。
  3. 前記面圧制御機構は、
    前記バネ部材の一端が固定される固定部と、前記バネ部材の他端が固定される可動部と、を有するスプリングボックスと、
    前記可動部に設けられた係合部と、
    前記係合部との係合により前記バネ部材に前記力を発生させるカム部と、
    を有し、
    前記スプリングボックスは、前記マウンティングプレートに取り付けられ、
    前記カム部は、前記支持バー部材に設けられている、請求項1又は2に記載されたスライディングゲート装置。
  4. 前記カム部は、前記支持バー部材の本体部に対して交換可能である、請求項3に記載されたスライディングゲート装置。
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