以下本発明を電子スロットル装置に用いた実施例を、図に基づいて説明する。なお、本発明は上述の通り、EGRバルブ、ディーゼルエンジン吸気通路圧力制御弁、燃料電池用負圧制御バルブ等、絞り弁装置として幅広く利用可能である。従って、スロットルシャフトやスロットルバルブ等の名称は本発明を電子スロットル装置に用いた場合の例で、シャフトやバルブの用途はスロットルに限定されるものではない。
図1は電子スロットル装置の縦断面図で、この図1に基づいて電子スロットル装置1の概要を説明する。電子スロットル装置1はエンジンルームに配置され、エンジンに吸入される吸気の流量を制御する。ドライバーのアクセルペダル操作や、エンジンの回転状態等に応じて、図示しないエンジンコントロールユニットが最適な吸気量を演算して、演算結果に応じた回転量をモータ100に出力する。
モータ100は、ボデー300のモータ空間330に配置され、モータ100の回転は、モータシャフト101に圧入固定されたモータピニオン102から減速機構200に伝達される。減速機構200は、図2に示すように、中間ギヤ201の大径歯車202がモータピニオン102と歯合する。中間ギヤ201は中間シャフト203を中心として回転自在に保持されている。中間シャフト203はボデー300の嵌合穴301に圧入固定されている。
中間ギヤ201の小径歯車204が、バルブギヤ210の外周に円弧状に形成された歯部211と歯合しており、モータピニオン102の回転は中間ギヤ201を介してバルブギヤ210に伝達される。従って、減速機構200は、モータピニオン102、中間ギヤ201の大径歯車202と小径歯車204、及びバルブギヤ210の歯部211により構成される。減速割合は、凡そモータシャフト101が28回転する毎にバルブギヤ210の1歯部211が時計回り若しくは反時計回りに進むこととなる。
バルブギヤ210のコップ状中心部212の内周には、半円弧状の磁石220及び221が配置され、磁石220、221により磁気回路が形成される。バルブギヤ210のコップ状中心部212の奥部(図1の右方)には円盤状のレバー401が配置されている。そして、磁石220、221とレバー401はバルブギヤ210にインサート成形されている。
レバー401はスロットルシャフト402の端面にカシメ固定される。従って、バルブギヤ210は、レバー401を介してスロットルシャフト402に連結し、バルブギヤ210の回転がスロットルシャフト402に伝達される。スロットルシャフト402には、円盤状のスロットルバルブ400がスクリュー403により固定されており、スロットルバルブ400は、その回動に応じてボデー300に形成された吸気通路320の開口面積を増減させる。
ボデー300の開口端303(図1に於いて左側)は、カバー500によって覆われている。カバー500は、ポリブチルテレフタレートなどの樹脂で成形されており、図3に示すように、所定部位にリブを形成して強度を得ている。カバー500のうち、スロットルシャフト402の軸線に対応する位置には、ホールICからなる一対の回転角センサ510が配置されている。回転角センサ510はカバー500に固定されているが、その外周にバルブギヤ210にインサート成形された一対の円弧状磁石220、221が配置され、そして、磁石220、221はスロットルシャフト402の回動に応じてスロットルシャフト軸線周りを回動するので、磁気回路はスロットルバルブ400の回転角に応じた位置に変化する。回転角センサ510は、この磁気回路の変化に起因する磁力の変化を検知して、スロットルバルブ400の開度を検出する。そして、検出した位置情報を、図示しないエンジンコントロールユニットにフィードバックする。
スロットルシャフト402はスロットルバルブ400を挟んで両側に配置された軸受405、406によって、ボデー300に回転自在に支持されている。軸受405は滑り軸受であり、軸受406はボールベアリングである。ボデー300のスロットルシャフト402用開口部302は、軸受405を挿入するための開口で、プラグ310によって覆われている。
ボデー300にはバルブギヤ210を収容する空間321が形成されており、この空間321にはスロットルシャフト402を付勢するコイルリング450が配置されている。コイルスプリング450は円筒状をしており、両端が径方向外側に折れ曲がって突出している。そして、ボデー300の係止面及びバルブギヤ210の係止面にコイルスプリング450の両端が所定のプリロードをもって係止している。なお、460、461はコイルスプリング450の両側に配置されるガイドで、コイルスプリング450の捩り移動をガイドするものである。
モータ100の力がバルブギヤ210に伝わらない状態では、コイルスプリング450の付勢力によって、スロットルバルブ400は吸気通路320を閉じる中間位置に保持される。ただ、この中間位置では、故障時の退避走行が可能なように、吸気通路320を全閉にすることはなく、所定量の吸気は流入できるようになっている。
この中間開度からスロットルバルブ400を全開側に回動させる際には、コイルスプリング450の一方のスプリング端が係止されて、リターン側の付勢力を生じ、モータ100はこのリターン側付勢力に抗してスロットルシャフト402を回動させる。
逆に、中間開度からスロットルバルブ400を全閉側に回動させる際には、コイルスプリング450の他方のスプリング端が係止されて、オープン側の付勢力を生じる。そして、モータ100はこのオープン側付勢力に抗してスロットルシャフト402を回動させる。
次に、この電子スロットル装置1を構成するモータ100の各構成を詳細説明する。
図4に示すように、モータヨーク110は両端が開口した円筒状となっている。モータヨーク110は、1~2mm程度の厚さの冷間圧延鋼を曲げ生成して形成する。従来の一般的なモータヨークは、コップ状に深絞り成形していたため、成形型も10以上必要で、従って、成形工程も多数となり、製造コストが嵩む原因となっていた。それに対し、本例のモータヨーク110は平板材からの曲げ成形であるので、成形が容易になり製造コストの低減が図れ、かつ、素材も安価にすることができる。
曲げ成形時には、図5及び図6に示すように、両端間に所定幅のスリット111が形成されている。この状態で、図1や図4に示すように、ボデー300の開口端303側からモータ空間330に圧入される。モータ空間330の奥部は圧入ができるよう小径部311となっており、また、この小径部311の端部及び/又はモータヨーク110の端面112はテーパとなっていて、スムーズに圧入ができるようになっている。圧入により、モータヨーク110は縮径され、図7及び図8に示すように、スリット111が閉じられる。
なお、図5の例ではスリット111は直線状であるが、他の形状としても良いことは勿論である。図9に示すように、ジグザグ形状スリット1111としてもよく、図10に示すように、入れ子形状スリット1112としてもよい。図9のジクザグ形状スリット1111では、モータヨーク110の軸方向及び周方向での位置合わせができ、平板材を円筒形状に曲げ成形した際の形状が安定する。また、図10の入れ子形状スリット1112は、径が縮まる方向と広がる方向の双方に規制ができ、円筒形状が安定する。
モータヨーク110の断面形状も図6のような円筒状に限らず、図11に示すように、平坦部116を備えるトラック状としてもよい。トラック状とすることで、モータヨーク110の回転方向の位置が規制でき、円弧部117に配置されたマグネット120の位置を容易に決めることができる。そのため、モータヨーク110及びマグネット120をボデーに組付けた後で着磁する場合に、着磁ヨークとマグネット120の相対的な位置を最適な位置にできる。
また、上述の図1、図4、図7の例では、モータヨーク110をボデー300のモータ空間330の最奥面312に当接させることで、モータヨーク110の軸方向の位置決めをしたが、図12に示すように、位置決め用のヨークフランジ118をヨーク110の開口端303側の端部に形成して、このヨークフランジ118をボデー300の開口端303に当接させることで、軸方向の位置決めをしてもよい。コンミテータ130やブラシホルダ140などの電気部品は、開口端303側に配置されるので、ヨークフランジ118により位置決めを行うと、位置決め精度を向上させることができる。
なお、ヨークフランジ118は、平板を曲げ成形した後、板の両端面を溶接して、モータヨーク110を円筒状に成形した後で形成する。また、ヨークフランジ118は、モータヨーク110を円筒材料として、円筒材料の端部を成形して形成することもできる。
ボデー300のモータ空間330の最奥面312での位置決めが、高精度を得にくい場合には、図13に示すように、ボデー300に位置決め用の段差313を形成して、モータヨーク110の端面112をこの段差313に当接させるようにしてもよい。尤も、治具等で所定の位置精度が確保できる場合には、図14に示すように、モータヨーク110をボデー300の小径部311に圧入するのみで、ボデー300の最奥面312とモータヨーク110の端面112との間に隙間をもたせることも可能である。図14の例では、モータヨーク110の軸方向の一部のみをボデー300に圧入しているので、圧入荷重が低減でき、圧入時のモータヨーク110変形が抑えられる。
以上の例では、モータヨーク110の圧入を、ボデー300のモータ空間330内の奥部で行っていたが、図15に示すように、モータヨーク110のうちマグネット120が配置される位置での圧入としてもよい。むしろ、マグネット120の配置される部位での圧入とした方が、モータヨーク110とボデー300との間の隙間をなくすことができ、マグネット120をボデー300に組付けた後で着磁する際に、ボデー300、モータヨーク110、マグネット120の隙間が最小のため、エアギャップが小さくなり、着磁の際の磁束が向上し、モータ性能の向上が図れるので、マグネット120配置位置での圧入が望ましい。この場合は、ボデー300のモータ空間330内のうち、マグネット120に対応する部位に縮径部315を形成して、この縮径部315の端部及び/又はモータヨーク110の端面112をテーパ状として、スムーズに圧入ができるようにしている。
ボデー300の縮径部315は、図16に示すように、周方向においてもモータ空間330のうちマグネット120と対応する部位にのみ形成するようにしてもよい。この方が、マグネット120をボデー300に組付けた後で着磁する際に、ボデー300、モータヨーク110、マグネット120の隙間が最小のため、エアギャップが小さくなり、着磁の際の磁束が向上し、モータ性能の向上が図れる。かつ、モータヨーク110とボデー300との周方向の接触面積が減って、圧入荷重を低減することができ、圧入時のモータヨーク110の変形を抑制できる。
磁気回路形成の観点からは、上述のスリット111は磁気回路を阻害する恐れがあり、望ましくない。そこで、不可避的にスリット111が形成される場合には、図17に示すように、スリット111はマグネット120に覆われる位置とする。これにより、磁気回路がスリット111によって遮断されるのを防ぐことが可能である。
上述した回転角センサ510は磁石220、221の磁力に基づいてスロットルバルブ400の回動位置を検出するものであるので、マグネット120からの磁力がスリット111から漏れ出ることは望ましくない。そこで、不可避的にスリット111が形成される場合には、図18に示すように、スリット111はマグネット120の背面で、かつ、回転角センサ510よりなるべく離れた位置に配置させる。
また、図12の例ではモータヨーク110のボデー開口端303側にヨークフランジ118を形成したが、図19に示すように、ボデー最奥面312側にヨーク底部119を形成してもよい。底部119を形成することにより、モータヨーク110の強度を高めることができ、モータヨーク110をボデー300に圧入するときの荷重を高めることができ、モータヨーク110の保持強度を高めることが可能である。ヨークフランジ118や底部119を形成するには、曲げ成形した板材を溶接するため、またはモータヨーク110を円筒材料として、円筒材料の端部を成形してヨークフランジ118や底部119を形成するため、スリット111の発生を抑えることができる。
また、上述の例では、モータヨーク110はアーマチャコア150及びブラシホルダ140を覆っているが、モータヨーク110の軸方向長さを短くして、アーマチャコア150のみ覆うようにしてもよい。さらには、図20に示すように、マグネット120のみを覆う長さとしてもよい。
モータヨーク110の機能のうちモータシャフト101の保持等の外郭材としての機能はボデー300が果たすことが可能であるが、ボデー300はアルミニウムのダイキャスト材であるので、磁気回路を形成するには不適である。そのため、マグネット120を覆う部位には鉄材料のモータヨーク110が必要となる。図20の例は、モータヨーク110を必要最小量とした例である。
図1及び図4に戻り、モータシャフト101にはアーマチャコア150が圧入されており、アーマチャコア150にはモータコイル151が巻線されている。アーマチャコア150がモータヨーク110内に配置された状態でモータコイル151はマグネット120と対面する。モータシャフト101にはコンミテータ130も圧入されており、コンミテータ130を覆うようにブラシホルダ140が配置される。ブラシホルダ140に保持されたカーボン製ブラシ141がバネによりコンミテータ130に押し付けられて、給電がなされる。
上述のモータピニオン102は、コンミテータ130より更に開放端303側で、モータシャフト101に圧入される。そして、モータシャフト101は、その両端でモータ軸受160及び161によって、回転自在に支持される。一方のモータ軸受160はオイルを含浸させた焼結金属であり、モータ軸受160は、ボデー300のモータ空間330に繋がるモータ開口部331よりモータ空間330に圧入される。そして、モータ開口部331は、モータプラグ332によって封止される。
他方のモータ軸受161もオイルを含浸させた焼結金属であり、カバー500の軸受空間520に配置されたカラー163によって保持される。なお、カバー500にカラー163を配置したのは、上述の通り、カバー500はポリブチルテレフタレート製で強度不足の恐れがあるためである。カラー163は、鉄、ステンレス、アルミ等の金属でもよく、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化樹脂製としてもよい。
なお、モータ軸受160、161のいずれか一方若しくは両方を、オイルを含浸させた焼結金属に代えて、ボールベアリングとしてもよい。
本例では、モータシャフト101の両端をモータ軸受160、161によって支持しているので、回転支持を良好に行うことができる。特に、従来用いられていた、モータ軸受をモータピニオン102とコンミテータ130との間に配置する例に比べると、本例では、モータ軸受161とコンミテータ130との間にモータピニオン102が介在することとなり、ブラシ141の摩耗粉等の異物がモータ軸受161に流入するのをモータピニオン102が防ぐことが可能となる。
モータ軸受161がオイルを含浸させた焼結金属である場合、高温時にオイルの膨潤により、オイルがモータ軸受161から漏れ出る恐れもあるが、本例のようにモータピニオン102が介在していれば、漏れ出たオイルがコンミテータ130側に流入することが効果的に防止できる。
カラー163は、カバー500の軸受空間520に嵌り合う形状であればよく、図21に示すような円筒状でもよい。モータ軸受161の幅は5mm程度であるので、カラー163の幅もこのモータ軸受161の幅以上あればよい。図21のようにカラー163を円筒状にした場合には、図22及び図23に示すようなカラースリット164を設ければ軸受空間520への挿入が容易となる。
カラー163の形状は、図24に示すように、有底円筒状としてもよい。この形状とすることで、カラー163の強度を高めることができる。加えて、有底円筒状とすることで、カラー163をカバー500と一体にインサート成形することが可能となる。即ち、カラー163の底部165により、カバー500の射出成形時樹脂が軸受空間520に流入するのを防ぐことが可能となる。
カラー163の形状を、図25のように、シルクハット状としてカラーフランジ166付きの有底円筒状としてもよい。カラーフランジ166によってカラー163の強度が一層高まり、インサート成形がよりしやすくなる。
また、図26に示すように、カラー163に段部167を形成して、この段部167によりモータ軸受161の軸方向の位置決めを行うようにしてもよい。段部167に当接させることによって、モータ軸受161の位置精度が向上する。
カバー500のうちカラー161が配置される部位は所定の強度が必要とされるので厚肉部とする必要がある。一方で、カバー500には軽量化も求められる。そこで、図27に示すように、厚肉部502を軸受空間520の周辺部のみとして、それ以外の部位は薄肉部503としてもよい。モータ軸受161に加わる荷重は厚肉部502で支えるので、樹脂の変形によるたわみは抑制できる。なお、薄肉部503には適宜の個所にリブ501を形成して、必要な強度は確保する。
また、前述の例ではカバー500の軸受空間520を、ボデー300とは反対側に突出形成していたが、図27に示すように、ボデー300とは反対側の面をフラットとしてもよい。この面をフラットとすることで、カラー163をインサート成形する際にインジェクションされた樹脂の回り込みを抑制することができる。その結果、樹脂回り込みに起因するウェルドが発生しにくくなり、カバー500の強度が向上する。
更に、図28に示すように、樹脂をインジェクションするゲート505をカバー500の軸受空間520の中心部に設けてもよい。これにより、カラー163の周りに発生するウェルドを抑制することができる。
図29にモータの断面を示すが、ブラシホルダ140はモータヨーク110に圧入される。特に、図30に示すように、ブラシホルダ140は、その全周がモータヨーク110の内面に接するようにして圧入される。
本例では、図29や図30に示すように、ブラシホルダ140の外周は全周にわたってモータヨーク110に覆われて隙間がないので、異物がコンミテータ130やアーマチャコア150側に侵入するのを効果的に防止できる。異物としては、上方に配置されたコイルスプリング450に起因する摩耗粉などがある。
加えて、ブラシホルダ140を全周で圧入固定することで、ブラシホルダ140の位置精度が向上するため、相手側となるカバー500との組付け精度が向上する。その結果、ブラシホルダ140側のターミナル143、144と、カバー500に形成されたターミナル530、531との嵌合性も向上する。
更に、ブラシホルダ140の位置精度が向上することで、ブラシ141の位置精度も向上する。その結果、コンミテータ130に対するブラシ141押圧力も安定し、ブラシ141の摺動性も向上して、モータ100の回転トルクも低減する。同時に、ブラシ141とコンミテータ130との接触もスムーズになって、ブラシ141の振動によるハンチングが抑制される。
なお、ブラシホルダ140は、図31に示すように、その外周に段部145を形成して、この位置決め段部145をモータヨーク110の開口端側の面113に当接させるようにしてもよい。これにより、モータヨーク110の開口端側の面113はブラシホルダ140によって覆われることになり、異物侵入の防止効果は一層向上する。加えて、ブラシホルダ140の軸方向の位置精度も一層向上し、ブラシ141とコンミテータ130の双方の軸方向長さを必要最小量に抑えることも可能となり、ひいては、電子スロットル装置1の小型化にも貢献できる。
図32は、図31に示したブラシホルダ140が挿入されたモータヨーク110の正面図である。図33は、図32のモータヨーク110のXXXIII-XXXIII断面を示すが、モータヨーク110には凹部114が2か所形成されており、この凹部114にブラシホルダ140の外周に形成された位置決め凸部142が嵌り合って、モータヨーク110とブラシホルダ140との回転方向の位置決めが行われる。
この例では、ブラシホルダ140の全周での圧入に加え、軸方法と径方向との双方の位置決めが行われる。これによって、位置合わせを一層正確にすることができ、前述のようにターミナルの勘合性を向上し、ブラシの位置精度向上によるコンミテータとの接触もスムーズとなり、さらには電子スロットル装置1の小型化が図れる。尤も、この例のように回転方向規制用の凹部、凸部を設けることは望ましいが、図30の例であっても、ターミナル143、144を用いて位置合わせをすることは可能である。
図34は、ブラシホルダ140の変形例を示す断面図であるが、この例のようにブラシホルダ140に環状の凹部146を形成し、この環状凹部146にモータヨーク110の開口側の端面113を嵌め込むようにしてもよい。樹脂製のブラシホルダ140と金属製のモータヨーク110とでは熱膨張係数が異なるので、温度による変形は、熱膨張係数が大きいブラシホルダ140の方が大きい。図35に示すように、低温時にブラシホルダ140が熱収縮したとしても、環状凹部146の外側面147がモータヨーク110の外周面に密着し、異物の侵入を防止する。逆に高温時にブラシホルダ140が熱膨張しても、環状凹部146の内側面148がモータヨーク110の内周面に密着して、やはり異物の侵入は防止される。
図36に示すように、モータヨーク110に位置決め突起1101を打ち出し成型して、この突起1101にブラシホルダ140のアーマチャコア150側の面を当接させるようにしてもよい。この突起1101により、更に正確な位置合わせが可能となる。
図36の例では、突起1101をブラシホルダ140のアーマチャコア150側の面に当接させたが、図37に示すように、ブラシホルダ140の外周にスリット149を形成して、突起1101をスリット149に嵌め込むようにしてもよい。この突起1101とスリット149の係合により、ブラシホルダ140の周方向の位置決めができる。
ブラシホルダ140は、モータヨーク110に軸方向から圧入されるので、図38に示すように、圧入時に突起1101がスリット149の端面1491に当接している。図38の例では、突起1101とスリット149の係合により、ブラシホルダ140の周方向及び軸方向の位置決めが可能となる。
以上の例では、ブラシホルダ140をモータヨーク110の内部に圧入したが、モータヨーク110ではなく、ボデー300に圧入してもよい。図20の例で説明した通り、モータヨーク110が最小限必要とされるのはマグネット120と対向する部位であり、ブラシホルダ140と対向する部位のモータヨーク110は不要とすることができる。その場合には、図39に示すように、ブラシホルダ140はボデー300に直接圧入する。
このようにボデー300に圧入する場合でも、図40に示すように、ブラシホルダ140はその全周がボデー300に密着して、アーマチャコア150側に異物が侵入するのを防止する。ブラシホルダ140の外周面全面を密着させることで、位置合わせ精度を向上させることができる効果は、図29及び図30で示したモータヨーク110に圧入するものと同様である。
ブラシホルダ140をボデー300に圧入するに際して、図41に示すように、ブラシホルダ140に位置決め用の段部145を設けて、圧入時に段部145がボデー300の開口端303と当接するようにしてもよい。当接によって、ボデー300が覆われて、異物の侵入が抑制される点や、位置精度が向上する点は、図31の例と同様である。
ブラシホルダ140に位置決め凸部142を形成して、図42及び図43に示すように、ボデー300に形成した位置決め凹部304に嵌入してもよい。これにより、軸方向及び周方向の位置決め精度が一層向上することは、図32及び図33の例と同様である。
また、図44に示すように、ブラシホルダ140に環状凹部146を設けて、この環状凹部146にボデー300の環状凸部305を嵌め込むようにしてもよい。図45に示すように、熱収縮や熱膨張による環状凹部146とボデー300のモータ空間330の開口部306との間の隙間をブラシホルダ140の環状凹部外側面147若しくは環状凹部内側面148によりなくすことができるのは、図34及び図35の例と同様である。
図46に示すように、ボデー300に突起306を形成して、この突起306にブラシホルダ140の端面を当接させて軸方向の位置決めを行ってもよく、図47に示すように、突起306をブラシホルダ140のスリット149と嵌め合わせて周方向の位置決めを行ってもよく、図48に示すように、突起306とスリット149との嵌合で軸方向及び周方向の双方の位置決めを行ってもよい。これらは、図36乃至図38の例と同様である。
図39においては、モータヨーク110とブラシホルダ140の間に隙間を形成した状態で、ブラシホルダ140をボデー300に圧入しているが、モータヨーク110の端面にブラシホルダ140を当接させることで、ブラシホルダ140の軸方向の位置決めを行ってもよい。この場合、ブラシホルダ140の軸方向の位置決めのための突起等の形成が不要となり、部品構造が簡略化できる。
なお、図39乃至図48の例は、ボデー300の内モータヨーク110周辺部のみを示したが、ボデー300の形状は図1に示す通り、上方部に吸気通路320を備え、下方部にモータ空間330を備える縦長形状で、そのうちのモータ空間330部分のみを示している。このモータ空間330はモータヨーク110の形状に沿った円筒形状となっている。そして、図44や図45の環状凸部305は、ボデー300のモータ空間330の内モータヨーク110周辺部に突出形成している。
以上説明した例では、ブラシホルダ140の外周面1401をモータヨーク110若しくはボデー300と密着することで異物の侵入を防止している。ただ、図49に示すように、ブラシホルダ140の内周面1402はモータシャフト101との間に、シャフト101の回転を阻害しないよう、所定の隙間がある。そこで、ブラシホルダ140に覆い部1403を環状に形成して、この覆い部1403でモータピニオン102の外周を覆って、迷路構造を形成し、異物がコンミテータ130側に侵入するのを防止してもよい。
図49の例では、モータピニオン102を、ピニオンギヤ103の形成されている部分とギヤの形成されない円筒状部104とで形成しており、覆い部1403はモータピニオン102の内円筒状部104と対向させている。そのため、覆い部1403と円筒状部104との間の間隙は常に一定となり、迷路構造として望ましい。ただ、図50に示すように、モータピニオン102の全長にわたってピニオンギヤ103を形成することは可能で、この場合でも迷路構造による異物侵入防止効果は得られる。
また、図50や図51に示すように、覆い部1403の内周面をブラシホルダの内周面1402としてもよい。異物の例としてコイルスプリング450の摩耗粉を挙げたが、覆い部1403のみによる迷路構造であっても、モータピニオン102との隙間を小さくでき、異物侵入防止効果は得られる。
図52に示すように、ブラシホルダ140の覆い部1403の内周面にトラップ溝1404を設け、かつ、モータピニオン102の円筒状部104の外周面にトラップ溝105を設け、両トラップ溝1404、105をずらすことで、迷路構造を構成してもよい。覆い部1403とモータピニオン102との隙間に侵入した異物をトラップ溝1404、105で捕捉することができる。
このトラップ溝1404、105は、覆い部1403及びモータピニオン102にそれぞれ複数形成してもよく、逆に、覆い部1403とモータピニオン102のいずれか一方にのみ形成してもよい。
以上の例では、モータヨーク110のブラシホルダ140側における異物侵入防止効果を説明したが、本例では、モータヨーク110の奥側(図1の右側)でも、円筒状のモータヨーク110は開放しているので、モータ軸受160は直接ボデー300によって支持されている。
ここで、モータ100は電子スロットル装置1に於ける唯一の発熱源であるため、モータ100の温度は周囲温度より5~10℃程度高くなっている。これは、図示しないエンジンコントロールユニットからの信号に基づいてモータ100は頻繁に回転を繰り返すため、また、スロットルバルブ400を所定の位置に保持するためにも、モータ100にはコイルスプリング450からの抗力が常時掛かっており、所定のトルクを得るための駆動力が必要となっているためである。
電子スロットル装置1の配置されるのは、自動車のエンジンルームであるので、雰囲気温度は厳冬期の起動時の低温から、真夏の高速走行時の高温まで大きくばらつくが、いずれの場合であっても、電子スロットル装置1の中ではモータ100の部位の温度が他の部位の温度より高くなる。
本例では、モータコイル151部で発生した熱を、モータシャフト101、モータ軸受160を介してボデー300に直接放熱することができ、放熱性が向上する。特に、モータ軸受160はボデー300に圧入されるので、モータ軸受160とボデー300との接触面積が大きくなり、放熱性の向上に寄与している。
また、モータコイル151部で発生しモータヨーク110に伝熱した熱も、直接ボデー300に放熱することができ、これによってモータ100の放熱性が向上する。モータヨーク110も直接ボデー300に圧入されるので、上記モータ軸受160と同様、接触面積を大きくして、放熱性の向上に寄与できる。
図53に示すように、ボデー300のモータ空間330とモータ開口部331との間には軸受係止部333が形成されており、モータ軸受160はこの軸受係止部333に当接することで、軸方向の位置決めを行っている。モータ開口部331は、ダイキャスト成形されたボデー300に切削加工で成形されているので、軸受係止部333も精度よく成形することが可能である。よって、軸受係止部333に突き当てることで、モータ軸受160の位置精度も高くなる。加えて、モータ軸受160とボデー300との接触面積も大きくなり、放熱性の向上にも寄与している。
さらに、モータ軸受160がオイルを含浸させた焼結金属の場合、高温時に膨潤したオイルの流出が危惧されるが、軸受係止部333により、オイルがモータコイル151側に浸入するのを防止することができる。
なお、図54に示すように、ボデー300のモータ開口部331を段付き形状とし、モータ軸受160を小径部3311に配置し、モータプラグ332を大径部3312に配置してもよい。この場合には、モータ開口部331の段付き部分でモータ軸受160をカシメ固定することができる。カシメ固定とすれば、熱膨張等によりボデー300とモータ軸受160との間の圧入による固定力が低下したとしても、モータ軸受160を確実に保持することができる。
また、図55に示すように、モータプラグ332をモータ軸受160に当接させてもよい。この場合、モータプラグ332によってモータ軸受160の位置ずれを防止することができる。この場合には、モータプラグ332のモータシャフト101と対向する部位に凹部3321を設けて、モータシャフト101との干渉を防ぐことが望ましい。
上述のように、モータ軸受160、161はオイル含浸焼結金属でもよく、ボールベアリングでもよい。図56は、モータ軸受160をボールベアリングとした事例である。ボールベアリングであっても、モータシャフト101からボデー300への放熱は行える。
また、図57に示すように、ボデー300の内、モータ軸受160を支持する軸受支持部334を厚肉に形成してもよい。このように厚肉化することで、モータシャフト101からモータ軸受160に伝達した熱のボデー300への放熱性能を高めることができる。加えて、モータ軸受160をより強固に支持することができ、ゆるみ防止が図れる。かつ、モータプラグ332を圧入する際のボデー300のモータ開口部331の変形を抑制することができる。
軸受支持部334を厚肉化することによる剛性向上に代えて、図58及び図59に示すように、軸受支持部334にリブ3341を形成してもよい。リブ3341によっても、軸受支持部334の剛性が上がり、モータ軸受160のゆるみが防止できる。更に、リブ3341により軸受支持部334の放熱面積が増加するため、放熱性の一層の向上が図れる。
なお、上述の例では、ボデー300のモータ開口部331からモータ軸受160を圧入して、モータ軸受160の組付けを行ったが、図60に示すように、ボデー300に軸受係止部335を設けて、モータ軸受160をモータ空間310側から圧入してもよい。この例では、モータ軸受160は軸受係止部335に当接して、軸方向の位置決めがなされる。軸受係止部335は段差形状となっているので、モータシャフト101との干渉は避けられる。
また、上述の例では、モータ軸受160をボデー300に圧入することで、モータ100の放熱性向上を図ったが、図61に示すように、モータヨーク110の底部119を凸状にして軸受保持部1190を形成してもよい。モータヨーク110にモータ軸受160を直接保持することで、モータヨーク110とモータ軸受160との相対的な位置精度を向上させることができる。この図61の例では、モータヨーク110の形状が複雑となるので、モータヨーク110は板材から絞り成形することとなる。
また、図62に示すように、モータヨーク110を折り曲げ形成して、底部119を凹状にして軸受保持部1191を形成してもよく、モータヨーク110とモータ軸受160との相対的位置精度向上は得られる。また、モータ軸受160がオイルを含浸させた焼結金属の場合、高温時に膨潤したオイルの流出が危惧されるが、軸受保持部1191により、オイルがモータコイル151側に浸入するのを防止することができる。
次に、本例の電子スロットル装置1の組付けを説明する。
まず、モータ100の組付けを説明する。モータシャフト101にアーマチャコア150とコンミテータ130を圧入して、アーマチャコア150のスロット内に巻線機を用いてモータコイル151を巻線し、サブアッシーを構成する。
また、モータヨーク110を円筒状に形成し、モータヨーク110に円弧状マグネット120を保持するための保持部1102(図80)を内側に突出形成する。そして、マグネット120をモータヨーク110の内側に配置し、スプリング605(図79、図80)でマグネット120を保持部1102に押し付けてサブアッシーを構成する。
併せて、ターミナル143、144をインサート成形、又は圧入したブラシホルダ140に2つのブラシ141をコンミテータ130側に押圧するスプリングを組付けてサブアッシーを構成する。
ボデー300への組付けは常に一方向から行うので、ボデー300のモータ開口部331側からモータ軸受160を圧入し、ボデー300を反転させる。反転後、モータヨーク110のサブアッシーを開口端303側からボデー300のモータ空間330に圧入する。この時、モータヨーク110をボデー300に圧入した後に、マグネット120とマグネット120を押し付けるスプリング605を組付けてもよい。
次いで、モータシャフト101にアーマチャコア150等を組付けたサブアッシーを開口端303側から組付けて、モータシャフト101をモータ軸受160に支持させる。その後、ブラシホルダ140のサブアッシーを圧入してモータヨーク110の開口部を閉じる。次いで、モータシャフト101にモータピニオン102を圧入する。なお、このモータピニオン102の圧入時にはモータ開口部331より、モータシャフト101を支持している。
次いで、モータ軸受161を組み込んだカバー500を組付けて、ボデー300の開口端303側を閉じ、再びボデー300を反転させて、モータ開口部331をモータプラグ332で閉じる。なお、カバー500の組付けは、以下に説明するバルブギヤ210や中間ギヤ201の組付けに合わせて行う。
以上は、モータ100の望ましい組付けであるが、適宜変更することは可能で、モータヨーク110をボデー300に圧入した後に、マグネット120をモータヨーク内に配置することも可能である。
次に、スロットルシャフト402及びバルブギヤ210の組付けを説明する。
まず、スロットルシャフト402に軸受406を所定位置に圧入しサブアッシーを構成する。またボデー300の開口部302から軸受405を圧入する。次いで、ボデー300を反転させて、スロットルシャフト402と軸受406のサブアッシーをボデー300に挿入し軸受160に支持させ、軸受406をボデー300に圧入する。その後、スロットルバルブ400をスクリュー403でスロットルシャフト402に固定する。
次いで、コイルスプリング450にガイド460、461を組付けてサブアッシーとしたスプリングサブアッシーとバルブギヤ210を、ボデー300の開口端303側から組付ける。バルブギヤ210はバルブギヤ210にインサート成形されたレバー401をスロットルシャフト402にかしめて固定される。
次いで、中間ギヤ201の組付けを説明する。
まず、ボデー300の嵌合穴301に中間シャフト203を圧入し、次いで、圧入された中間シャフト203に中間ギヤ201を遊嵌入する。次いで、回転角センサ510を組み込んだカバー500のガイド穴506に中間シャフト203が嵌り込むようにして、ボデー300にカバー500を組付け、ボデー300の開口端303側を閉じる。その後、再びボデー300を反転させて、開口部302をプラグ310で閉じる。
組付けの概要は以上の通りであるが、本例におけるボデー300とカバー500との組付けについて、以下に詳細説明する。
本例では、図2に示すように、ボデー300の内モータ100側の周辺部に位置決め基準穴307が形成されている。一方、カバー500には図3に示すように、位置決め基準穴307と嵌り合う位置決め基準ピン507が突出形成されている。また、上述の通り、カバー500をボデー300に組付ける際には、中間シャフト203がカバー500のガイド穴506とも係合する。
そして、ボデー300の四隅にねじ穴3001、3002、3003、3004が形成され、カバー500の四隅にもこのねじ穴3001、3002、3003、3004と対向する位置にボルト穴5001、5002、50003、5004が形成されている。カバー500のボルト穴5001、5002、50003、5004は、ボルト締め時の強度を確保するため、穴の周囲に金属製のカラーがインサート成形されている。
ボデー300とカバー500との組付けは、ボデー300の位置決め基準穴307にカバー500の位置決め基準ピン507を嵌め込むこと、及び、ボデー300側の中間シャフト203をカバー500のガイド穴506と係合させることで、仮組付けを行う。仮組付け後、ボルトをカバー500のボルト穴5001、5002、50003、5004を通して、ボデー300のねじ穴3001、3002、3003、3004にねじ止めすることで最終組付けを終了する。
仮組付け後、最終組付けでボルト締め付けを行う際、ボデー300とカバー500との間には微小な位置ずれが不可避的に生じるが、本例では、ボデー300の位置決め基準穴307とカバー500の位置決め基準ピン507との嵌め合いの方が、ボデー300側の中間シャフト203とカバー500のガイド穴506との係合よりタイトとなるように設定しているので、不可避的な位置ずれは、位置決め基準ピン507を中心としてガイド穴506が微小量ずれることで吸収している。
従来構造では、位置決め基準ピンをバルブギヤ210側の周辺部に形成することが通常であった。これは、回転角センサ510の検出精度を高めるためであるが、バルブギヤ210側(図3の上部)の位置精度を高めるため、結果として、モータ100側(図3の下部)の位置精度が悪くなっていた。
それに対し、本例では、モータ100側に位置決め基準ピン507を形成しているので、モータ100側の位置精度がよく、カバー500のターミナル530、531とモータ100側のターミナル143、144との嵌合部のずれを小さくすることができる。その結果、カバー500のターミナル530、531とモータ100側のターミナル143、144との接触が良好となり、両ターミナル間での耐摩耗性もよくなる。
モータ100側の位置精度が向上する反面、バルブギヤ210側の位置精度は低下することが想定されるが、回転角センサ510の制度は、回転角センサ510からの出力特性をソフトで補正することで補うことができる。
図63は、中間シャフト203とカバー500のガイド穴506との関係を強調して示しているが、中間シャフト203とガイド穴506との間には数ミクロンから数十ミクロン程度の隙間aが不可避的に生じている。上述のようにこの隙間aによって、仮組付けからボルト締めの最終組付けまでの間の位置ずれを許容しているのであるが、この隙間aによって、金属製ボデー300と樹脂製カバー500との熱膨張係数の違いによる熱膨張差を吸収することも可能である。
微小隙間aは、ボデー300の嵌合穴301と中間シャフト203との間に形成することも可能である。図64はこの隙間aを強調して示しているが、隙間aは数十ミクロン程度以下である。この図64の例では、中間シャフト203は嵌合穴301に遊嵌入され、逆に、カバー500のガイド穴506にはタイトに圧入している。なお、中間シャフト203は、カバー500にインサート成型してもよい。
尤も、ボデー300とカバー500との仮組付けは、中間シャフト203とモータ100側に形成された基準ピン507を用いていればよく、図65及び図66に示すように、ボデー300側の中間シャフト203とカバー500のガイド穴506との嵌め合いの方が、ボデー300の位置決め基準穴307とカバー500の位置決め基準ピン507との係合よりタイトとなるように設定してもよい。この場合の位置決め中心は、ボデー300及びカバー500のほぼ中心となるので、モータ100側(図65の下側)の位置精度と、バルブギヤ210側(図65の上側)の位置精度との双方を向上させることができる。
図67及び図68は強調して記載しているが、モータ100側に配置された基準ピン507を楕円形状として、基準ピン507に対応する基準穴307を基準ピン507の長径より径の大きい円形としてもよい。この場合、図69に示すように楕円形状の基準ピン507の長径方向が、中間シャフト203の中心点2031とボデーの位置決め基準穴307の中心点3071とを結ぶ線l1と直交する形状とするのが望ましい。これにより、微小隙間の大きさを、線l1方向(図69で隙間a)に対して線l1と直交する接線方向(図69で隙間b)を小さくすることができる。その結果、ボデー300とカバー500との熱膨張係数の違いに基づく熱膨張差は大きな隙間aで吸収でき、仮組付けからボルト締めによるカバー500の回転は接線方向の小さな隙間bで適切に規制することができる。
図69の例では、基準ピン507はカバー500と一体に樹脂成型するので、楕円形状の形成が容易であるし、基準穴306はボデー300に掘削成形するので、円形の内径が正確に成形できる。
図69の例では、基準ピン507の形状を楕円形状としたが、形状は、線l1に沿う方向の径が直交方向の径より短ければよく、他の形状、例えば小判形状、長方形、ひし形としてもよい。
尤も、上述の例とは逆に、ボデー300に基準ピンを設け、カバー500に基準穴を形成してもよい。この場合、ボデー300に嵌合穴を設け、その嵌合穴に基準ピンを打ち込むこととなる。このように、ボデー300に基準ピンを設け、カバー500に基準穴を形成する変形は、図69の例に限らず、図2及び図3の例でも同様である。
カバー500の組付けが、中心部分にある中間シャフト203を中心にして微小回動することを前提とする場合、図70に示すように、モータ100側のターミナル143、144の形状、及びカバー500側のターミナル530、531の形状もそれに合う形状に工夫できる。
図71にモータ100側のターミナル143を示すが、この形状はモータ100側のターミナル144でも、カバー500側のターミナル530、531でも同様である。即ち、モータ100側のターミナル143、144及びカバー500側のターミナル530、531のいずれか一方が図71に示す音叉形状となり、他方は音叉形状のターミナルに嵌り合う板形状のターミナルとなる。
以下の説明は、モータ100側のターミナル143、144が音叉形状をしており、カバー側のターミナル530、531板形状であるとして、ターミナル形状の説明はターミナル143に基づいて行う。
ターミナル143は音叉形状をしており、先端に一対の係合部1431、1432が形成されている。係合部1431、1432の更に先端部分には係止部1433、1434が突出しており、係止部1433、1434と根元部1435との間に保持空間1436が形成される。
両係止部1433、1434の間の隙間1437は、嵌り合うカバー側のターミナル530の板厚より数十ミクロンから0.1ミリメートル小さくなっている。従って、モータ100側のターミナルとカバー500側のターミナルが係合する場合には、音叉形状をしたターミナルの係合部1431、1432を押し開して、板形状をしたターミナルが保持空間1437に保持される。音叉形状をしたターミナルの係合部1431、1432の弾性変形に伴うバネ力によって、モータ100側のターミナルとカバー500側のターミナルとの係合が保持される。
ブラシホルダ140には凹部14001が形成されており、ターミナル143の根元部1435がブラシホルダ140内に埋没しないようにしている。そのため、係合時に係合部1431、1432が押し開かれたとしても、ターミナル143の変形が直接ブラシホルダ140に加わることはなく、ブラシホルダ140の耐久性を高めている。
本例では、モータ100側のターミナルとカバー500側のターミナルとは、板厚方向が直交するように配置される。図70に示すように、モータ100側のターミナル143、144は、その板厚の方向が中間シャフト203とターミナル143、144とを結ぶ線lと並行となるように配置される。そのため、カバー500側のターミナル530、531は、その板厚の方向はガイド穴506とターミナル530、531とを結ぶ線と直交する方向となるように配置される。
このような配置とすることによって、ボルト締め時にボデー300とカバー500との間に微小量のずれが発生したとしても、ずれによって一対の係合部1431、1432が押し広げられるのを効率的に防止できる。
なお、ターミナルの形状は種々に変更可能で、図72に示すように、ターミナル143に段部1438を形成して、係合部1431、1432の幅を大きくしてもよい。段部1438により、ブラシホルダ140の凹部14001との位置決めが正確になる。また、図73に示すように、段部1439を形成して、係合部1431、1432の幅を小さくしてもより。この場合は、段部1439により根元部1435の周囲に空間ができるので、ブラシホルダ140に凹部14001を設ける必要がなくなる。
カバー500やブラシホルダ140の形状も、種々に変更可能である。図74に示すように、板形状をしたターミナル530の周囲を覆う筒状の保護部5301を形成してもよい。保護部5301の先端をターミナル143の段部1439近くまでブラシホルダ140内に挿入することで、ターミナル143、530を覆い、コイルスプリング450の摩耗粉等に起因する異物がターミナル143、530に侵入するのを防止できる。
なお、上述の例では、ボデー300とカバー500とはボルトにより固定していたが、ボルトに代えリベットやクリップ等の他の固定具を用いてもよい。
上述の組付けにより、電子スロットル装置1が組み立てられた状態を図75乃至図77に示すが、ボデー300は、カバー500とボルト締めされる開口端303はカバー500と同形状の長方形で、モータ空間330とスロットルバルブ400が配置される吸気通路320は共に円筒形状をしている。そして、モータ空間330となる円筒形状と吸気通路320となる円筒形状とは独立しており、両者330、320は連結部360により一部で連結されている。
図11、図17及び図18に示すように、マグネット120はモータヨーク110内に2つ配置され、一方のマグネット120と他方のマグネット120との間には所定の間隔がある。本例では、マグネット120は図76のモータ空間310の左右に配置されている。そのため、両マグネット120間の間隔がボデー300の連結部360に対応する。換言すれば、図75及び図77に示すように、ボデー300のモータ空間330に配置されたマグネット120は、連結部360によって遮ることはない。
電子スロットル装置1の組付け時には、組付けを円滑にするため、マグネット120は着磁されておらず、組付け後に一対の着磁ヨーク600、601によって着磁される。一対の着磁ヨーク600、601は、図78に示すように、一対のマグネット120のそれぞれに対応している。より具体的には、図75のLXXIX-LXXIX線に沿う断面図である図79や、LXXX-LXXX線に沿う断面図である図80に示すように、着磁ヨーク600、601の先端面602、603はボデー300のモータ空間330に対応した円弧状をしており、ボデー300の連結部360に遮られることなく、マグネット120と対向することができる。
なお、図79及び図80に示すように、円弧状のマグネット120はその一端がモータヨーク110の保持部1102に当接し、他端に保持スプリング605が配置されて、保持スプリング605によって保持部1102に押し付けられて位置が保持されている。
図示しないが、着磁ヨーク600、601にはコイルが巻装されており、そのコイルに大電流を流すことによって、電磁石化しその際の磁力によってマグネット120を着磁する。
図79のLXXXI部分の拡大図である図81に示すように、マグネット120は着磁ヨーク600、601の先端を結ぶ線6000の領域内6001に配置されている。かつ、ボデー300のモータ空間330の肉厚は着磁ヨーク600、601と対向する部位では均一厚さとなっている。そのため、マグネット120を均一に着磁することができる。なお、上述のように、ボデー300の連結部360は着磁ヨーク600、601から外れた領域6002に配置されている。
また、図75のLXXXII-LXXXII線に沿う断面図である図82に示すように、ボデー300のモータ空間330の均一厚さは、着磁ヨーク600、601と対向する軸方向の部位でも維持されている。かつ、着磁ヨーク600、601の幅は、マグネット120の軸方向の幅1201より長くなっている。これによっても、マグネット120の均一着磁が達成できる。
以上説明したように、マグネット120の着磁は、アルミニウム製のボデー300に収容されてからでも十分に達成可能であるが、必要に応じボデー300のモータ空間330の内マグネット120に対応する部位を切り欠いてもよい。図83は、モータ空間330に切り欠きを形成して、着磁ヨーク600、601がモータヨーク110と直接対向する例を示している。モータヨーク110が露出するので、着磁ヨーク600、601の着磁効率を向上させることができる。