JP7270980B2 - 植物養生システム - Google Patents
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Description
[1] その内部に植物体が収容されて養生される植物体養生部と、
前記植物体養生部の内部と連通するとともに、無菌状態の培養液を流通させる培養液供給流路と、
前記培養液供給流路を減圧させる減圧部と、を備え、
前記培養液供給流路の内部を前記減圧部によって減圧することにより無菌状態の培養液を前記培養液供給流路を介して前記植物体養生部内に流通させる、植物養生システム。
[2] 前記培養液供給流路は、前記植物体養生部と連通する第一の開口と前記減圧部と連通する第2の開口との間から前記第一の開口上に突出する凸部を有する、[1]に記載の植物養生システム。
[3] 前記培養液供給流路において前記凸部が前記第一の開口に隣接する位置に配置されている、[2]に記載の植物養生システム。
[4] 前記培養液供給流路は、連通する前記植物体養生部へと無菌状態の培養液を流入させるガイド部材を有する[3]に記載の植物養生システム。
[5] 培養液に対してろ過処理を行うことにより無菌状態の培養液を生成するろ過処理部をさらに備える[1]から[4]のいずれか一つに記載の植物養生システム。
[6] 前記植物体養生部の内部への空気の流通を許容する空気供給部をさらに備える請求項1から5のいずれか一つに記載の植物養生システム。
[7] 前記植物体養生部が袋体である、[1]から[6]のいずれか一つに記載の植物養生システム。
図1は本実施形態の植物養生システム100の概要を示す図である。また、図2は図1中の破線部200を拡大した図である。
本実施形態の植物養生システム100は、植物体養生部101と、培養液供給部103と、無菌ろ過処理部105と、培養液供給流路107と、減圧部109と、空気供給部121とを備える。図1、2において、破線の矢印は、培養液の流れを示している。
このような容器や構造物としては、例えばガラス容器や、オートクレーブ処理などの滅菌処理を行うことが可能な素材で形成されている袋体などを挙げることができる。
また、本実施形態に係る植物体養生部101は、植物の種類などにもよるが、例えば植物体の培養に必要な光の波長域に対して透過性を有するものとすることが好ましい。
本実施形態に係る培養液は、特に限定されないが、例えば、炭素源を含む培養液とすることができる。炭素源とは、植物が培養液から吸収し資化できる炭素源(二酸化炭素を除く)を意味する。炭素源として、具体的には、スクロース、グルコース、フルクトースなどの糖や低分子化したでんぷんやセルロースおよび核酸物質、脂質、蛋白質等の炭水化物を挙げることができる。
培養液における各成分の濃度などは培養される植物の種類などに応じて適宜変更可能であり、特に限定されない。
無菌ろ過処理部105は、特に限定されないが、例えば、微生物等を除去可能なメンブレンフィルターなどの除菌用フィルタを用いて構成することができる。当該除菌用フィルタとして、具体的にはミリポア(登録商標)フィルターやマイレクス(登録商標)フィルターなど市販の除菌用フィルタを挙げることができ、特に限定されない。
得られた無菌培養液は、連通する培養液供給流路107に供給される。
また、培養液供給流路107の他方の端部においては、開口115を介して減圧部109と繋がっている。
さらに、培養液供給流路107は、開口111と開口115の間の開口111と隣接する位置から開口111上に突出する凸部113を有する。
培養液供給流路107は、例えば、オートクレーブ処理などの滅菌処理への適用性、耐液体性、耐圧性などを考慮して流路を形成可能な素材を用いて構成することができ、特に限定されない。具体的には、プラスチック、鉄、アルミ、合金、セラミック、ガラス、石、難溶解性のパルプ、またはゴムなどで形成されているチューブを用いて培養液供給流路107を構成することができる。また、培養液供給流路107の大きさや開口111の大きさなども植物体養生部101の大きさなどに応じて適宜設定でき、特に限定されない。
例えば、培養液供給流路107の内径:0.1mm~10cm(好ましくは1~30mm)、開口111の大きさ:0.01~500m2(好ましくは1~100 m2)とすることができる。
凸部113も、後述のとおり開口111を介して無菌培養液を植物体養生部111内に流入させることができる限りその大きさや形状は特に限定されない。例えば、開口111と重なる面が半円形や四角形である半円柱状や四角柱状とすることができる。また、大きさについても、凸部113が有する開口111と重なる面について、大きさを0.01~500m2(好ましくは1~100 m2)とすることを例示できる。
さらに、開口111の数も特に限定されず、本実施形態では一つ設けているが、複数(例えば2~10個)設けられていてもよく、1~5個が好ましい。
開口111に到達した際、開口111から培養液が植物体養生部101内に流入する。また、凸部113の作用によって無菌培養液の通路移動が物理的に抑制されるので、より効率的に無菌培養液が植物体養生部101内に供給される。なお、減圧部109を作動させたときの減圧の程度については特に限定されず、例えば培養液供給流路107や植物体養生部101を構成する素材などに応じて適宜設定すればよい。例えば、絶対圧で100,000~0.1Pa(好ましくは10~10000pa)とすることを例示できる。
なお、本実施形態においては、液滴などからの減圧部109(真空ポンプ)保護の観点から、フィルタ131とトラップ133を培養液供給流路107と植物体養生部101との間に配置している。一方で、これらフィルタ131やトラップ133を設けなくともよく、特に限定されない。
培養液供給流路107に供給された無菌培養液は、開口111から植物体養生部101内に流入する。このとき上述の凸部113の作用により、無菌培養液はより効率的に植物体養生部101内に流入する。よって、凸部113は、連通する植物体養生部101へと無菌状態の培養液を導入させるガイド部材、ということもできる。
なお、減圧部109の作動中または作動終了後に必要に応じ、空気供給部121から植物体養生部101内に無菌状態にある空気を導入してもよい。
また、培養液を導入するにあたっては、減圧部109により植物体養生部101を減圧するとともに無菌ろ過処理部105に供される培養液に対して加圧するようにしてもよい。培養液を加圧するときの圧力は特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
例えば、本実施形態では培養液を無菌ろ過処理部105に供しフィルタによる無菌処理を行って培養液供給流路107に供給しているが、他の態様とすることもできる。例えば、ガンマ線照射やUV処理、薬品による殺菌消毒などで無菌処理するようにしてもよく、2つ以上の無菌処理が行われるようにしてもよい。また、無菌ろ過処理部105を設けない態様としてもよい。すなわち、予め無菌処理された培養液を培養液供給流路107に供給する態様とすることもできる。
また、一の植物体養生部101に対し、空気供給部121も2以上(例えば1~1000個、好ましくは1~20個)設けられていてもよい。一方、空気供給部121は設けられなくともよい。
厚さ1mm、内径4mmのプラスチック製チューブ(培養液供給流路)、0.22μmの除菌用フィルタ(無菌ろ過処理部)、袋体(植物体養生部)を用いて図1と同等の装置を試作した。袋体内部には植物(オオミズゴケの新芽(枝部および葉部を含む植物体全体))を収容した。高温高圧滅菌をしていないショ糖3%を含むムラシゲスクーグ液体培地を除菌用フィルタに繋げた2000mlの耐圧プラスチック容器に入れ、上部から加圧した。加圧と同時に減圧を行い、除菌用フィルタを通じてプラスチック製チューブ内に無菌培養液を導入した。
Claims (11)
- その内部に植物体が収容されて養生される植物体養生部と、
前記植物体養生部の内部と連通するとともに、無菌状態の培養液を流通させる培養液供給流路と、
前記培養液供給流路を減圧させる減圧部と、を備え、
前記培養液供給流路の内部を前記減圧部によって減圧することにより無菌状態の培養液を前記培養液供給流路を介して前記植物体養生部内に流通させ、
前記培養液供給流路は、前記植物体養生部と連通する第一の開口と前記減圧部と連通する第二の開口との間の前記第一の開口に隣接する位置に配置され、前記第一の開口上に突出する凸部を有する、植物養生システム。 - 前記凸部は、前記培養液供給流路から連通する前記植物体養生部へと無菌状態の培養液を流入させるガイド部材として作用する請求項1に記載の植物養生システム。
- 培養液に対してろ過処理を行うことにより無菌状態の培養液を生成するろ過処理部をさらに備える請求項1または2に記載の植物養生システム。
- 前記植物体養生部の内部への空気の流通を許容する空気供給部をさらに備える請求項1から3のいずれか一つに記載の植物養生システム。
- 前記植物体養生部が袋体である、請求項1から4のいずれか一つに記載の植物養生システム。
- 植物体が収容されて養生される植物体養生部に培養液を供給する培養液供給装置であって、
培養液を貯留し、前記植物体養生部と連通する培養液供給流路に培養液を供給する培養液供給部と、
前記培養液供給流路を減圧する減圧部と、を備え、
前記減圧部が前記培養液供給流路を減圧することにより前記培養液供給部から前記培養液供給流路に流入した培養液が前記植物体養生部に流通し、
培養液は、前記培養液供給部と前記培養液供給流路との間に配置され、培養液を無菌化する無菌化処理部材を介して前記培養液供給部から前記培養液供給流路に流入し、
前記培養液供給流路は、前記植物体養生部と連通する第一の開口と、前記減圧部と連通する第二の開口と、前記第一の開口と前記第二の開口との間の前記第一の開口に隣接する位置に配置され、前記第一の開口上に突出する凸部を有する、培養液供給装置。 - 無菌化処理部材が、ろ過処理により微生物を培養液から除去するフィルタである、請求項6記載の培養液供給装置。
- 前記培養液供給路が前記植物体養生部内に配置されている、請求項6または7に記載の培養液供給装置。
- 前記凸部は、前記培養液供給流路から連通する前記植物体養生部へと無菌状態の培養液を流入させるガイド部材として作用する請求項6から8のいずれか一つに記載の培養液供給装置。
- その内部に植物体が収容されて養生される植物体養生部に前記植物体養生部と連通する培養液供給流路を介して無菌状態の培養液を供給する培養液供給方法であって、
前記培養液供給流路の内部を減圧することにより前記培養液供給流路に前記培養液を流入させ、該流入した前記培養液を前記植物体養生部に流通させ、
前記培養液供給流路は、前記植物体養生部と連通する第一の開口と、前記培養液供給流路を減圧する減圧部と連通する第二の開口と、前記第一の開口と前記第二の開口との間の前記第一の開口に隣接する位置に配置されて前記第一の開口上に突出する凸部を有する、培養液供給方法。 - 植物養生方法であって、
その内部に植物体が収容されている植物体養生部に前記植物体養生部と連通する培養液供給流路を介して無菌状態の培養液を供給し、
前記培養液が供給された植物体養生部内において植物を養生することを含み、
前記培養液は、前記培養液供給流路の内部を減圧することにより前記培養液供給流路に流入され、該流入した前記培養液は前記植物体養生部に流通され、
前記培養液供給流路は、前記植物体養生部と連通する第一の開口と、前記培養液を前記植物体養生部に流通させるときに前記培養液供給流路を減圧する減圧部と連通する第二の開口と、前記第一の開口と前記第二の開口との間の前記第一の開口に隣接する位置に配置されて前記第一の開口上に突出する凸部を有する、植物養生方法。
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