(第1実施形態)
図1は、電動アシスト自転車(以下では「自転車10」)の外観である。自転車10は、その本体を構成するフレーム12、フレーム12に回転可能に取り付けられる車輪である前輪14および後輪16、ならびに、前輪14の向きを変更するために操作されるハンドル18を備える。自転車10はさらに、ハンドル18に取り付けられる操作装置である一対のブレーキレバー20F,20R、前輪14に制動力を与える制動装置22F、および、後輪16に制動力を与える制動装置22Rを備える。なお、前輪14および後輪16の直径は、実質的に同じである。
各制動装置22F,22Rは、例えばディスクブレーキである。各制動装置22F,22Rは、車輪と一体的に回転できるようにハブ24F,24Rに固定されるディスクローター26F,26R、一対のブレーキパッド(図示略)、および、ブレーキパッドをディスクローター26F,26Rに押し付けることによって、ディスクローター26F,26Rの回転を制動するキャリパ28F,28Rを備える。
一対のブレーキレバー20F,20Rのうちの一方のブレーキレバー20Fは、前輪14を制動するためのキャリパ28Fに接続されている。他方のブレーキレバー20Rは、後輪16を制動するためのキャリパ28Rに接続されている。各キャリパ28F,28Rは、対応するブレーキレバー20F,20Rが操作されることにより、ブレーキパッドを介してディスクローター26F,26Rを挟み込む。これにより、車輪の回転が制動される。
ブレーキレバー20F,20Rは、ハンドル18に取り付けられるベース部21A、ベース部21Aに回転可能に連結されるレバー部21B、および、レバー部21Bに連結されるピストン(図示略)を備える。ブレーキレバー20F,20Rが操作された場合、力が加えられていないときのレバー部21Bの位置である初期位置から、レバー部21Bがベース部21Aに対して変位する。
自転車10はさらに、後輪に駆動力を伝達する駆動機構30を備える。駆動機構30は、フレーム12に着脱可能に固定されるドライブユニット32、および、ドライブユニット32に回転可能に取り付けられるクランク軸34を備える。ドライブユニット32は、クランク軸34から入力される人力駆動力にアシスト力を付加するアシストモータ36、および、複数の機械要素を収容するハウジング38を備える。アシストモータ36は、電気モータであり、ハウジング38に設けられる。アシストモータ36は、ハウジング38の内部空間に設けられてもよい。自転車10はさらに、アシストモータ36に電力を供給するバッテリ40を備える。バッテリ40は、フレーム12に取り付けられる。
駆動機構30はさらに、クランク軸34に連結される一対のクランクアーム42、および、クランクアーム42に回転可能に取り付けられる一対のペダル44を備える。駆動機構30はさらに、ワンウェイクラッチ46(図2参照)を介してクランク軸34と連結されるフロントスプロケット48、後輪16のハブ24Rにフリーホイール(図示略)を介して回転可能に取り付けられるリアスプロケット50、ならびに、フロントスプロケット48およびリアスプロケット50に巻き付けられるチェーン52を備える。
クランクアーム42を前回転させる人力駆動力がペダル44に入力される場合、クランクアーム42およびクランク軸34がフレーム12に対して一体的に前回転し、クランク軸34の回転がフロントスプロケット48に伝達され、フロントスプロケット48の回転がチェーン52によりリアスプロケット50および後輪16に伝達される。一方、クランクアーム42を後回転させる人力駆動力がペダル44に入力され、クランクアーム42およびクランク軸34がフレーム12に対して一体的に後回転する場合、ワンウェイクラッチ46によりクランク軸34の回転がフロントスプロケット48に伝達されない。
アシストモータ36は、クランクアーム42を前回転させる人力駆動力に応じて第1の方向に回転する。アシストモータ36が第1の方向に回転する場合、アシストモータ36の回転が減速機構(図示略)およびワンウェイクラッチ54(図2参照)を介してフロントスプロケット48に伝達される。このため、人力駆動力にアシスト力が付加される。
図2は、自転車10(図1参照)の電気的または機械的な接続関係を示す。なお、図2の破線は、自転車10の電気的な接続関係を示している。また、図2の実線は、自転車10の機械的な接続関係を示している。
自転車10は、ドライブユニット32(図1参照)を含む複数の機械要素により構成される自転車用装置56をさらに備える。自転車用装置56は、アシストモータ36によって駆動され、キャリパ28Fから前輪14(図1参照)に与えられる制動力を制御するABSユニット58F、ならびに、アシストモータ36およびABSユニット58Fを制御する制御装置60を備える。ABSユニット58Fは、ハウジング38の内部空間に収容される。
ABSユニット58Fは、作動油を供給し、キャリパ28Fに油圧を与えるポンプ62、および、作動油が溜められるリザーバ64Fを備える。ポンプ62は、例えばピストンポンプまたはギアポンプ等によって実現される。アシストモータ36とポンプ62との間には、自転車用装置56の構成要素であるワンウェイクラッチ66が配置されている。ポンプ62は、ワンウェイクラッチ66を介してアシストモータ36に機械的に接続されている。
ワンウェイクラッチ66は、アシストモータ36の出力軸が第1の方向とは反対の第2の方向に回転する場合に、アシストモータ36の回転をポンプ62に伝達する。このため、アシストモータ36が第2の方向に回転する場合、ワンウェイクラッチ66を介してポンプ62が駆動される。一方、ワンウェイクラッチ66は、アシストモータ36の出力軸が第1の方向に回転する場合に、アシストモータ36の回転をポンプ62に伝達しない。なお、自転車用装置56はさらに、アシストモータ36とポンプ62との間の動力伝達経路に、減速機構(図示略)を備えてもよい。
ABSユニット58Fはさらに、キャリパ28Fに与えられる油圧を調節する第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fを備える。第1のバルブ68Fは、ブレーキレバー20Fとキャリパ28Fとを接続する管路に配置される。第2のバルブ70Fは、キャリパ28Fとリザーバ64Fとを接続する管路に配置される。
第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fは、電磁弁または電動弁によって実現される。各バルブ68F,70Fが電磁弁によって実現される場合、電力の浪費を抑制する観点から、電力を与えていないときに開放される電磁弁を第1のバルブ68Fとして利用し、電力を与えていないときに閉鎖される電磁弁を第2のバルブ70Fとして利用することが好ましい。制御装置60が各バルブ68F,70Fの開閉を制御することにより、キャリパ28Fに与えられる油圧が制御される。
キャリパ28Fに与えられる油圧が大きい場合、キャリパ28Fがディスクローター26F(図1参照)に近づけられる。この場合、キャリパ28Fがブレーキパッドを介してディスクローター26Fを挟み込み、前輪14の回転が制動される。一方、キャリパ28Fに与えられる油圧が小さい場合、キャリパ28Fがディスクローター26Fから離れる。このため、前輪14の回転が制動されない。
ポンプ62から供給される作動油は、第1の管路72F、第2の管路74F、および、第3の管路76Fを流動する。第1の管路72F、第2の管路74F、および、第3の管路76Fは、それぞれ3本に分岐した管路である。第1の管路72Fの各端部は、ブレーキレバー20F、ポンプ62、および、第1のバルブ68Fに接続されている。第2の管路74Fの各端部は、キャリパ28F、第1のバルブ68F、および、第2のバルブ70Fに接続されている。第3の管路76Fの各端部は、ポンプ62、リザーバ64F、および、第2のバルブ70Fに接続されている。
ABSユニット58Fはさらに、第1の管路72Fに配置される第1の逆止弁78F、および、第3の管路76Fに配置される第2の逆止弁80Fを備える。第1の逆止弁78Fは、ポンプ62からブレーキレバー20F側に作動油を流し、その反対側に作動油を流さない役割を持つ。第2の逆止弁80Fは、リザーバ64F側からポンプ62側に作動油を流し、その反対側に作動油を流さない役割を持つ。このため、ポンプ62が駆動することにより、リザーバ64Fに接続されている第3の管路76Fから第1の管路72Fに作動油が供給される。ポンプ62が駆動されると、第1の管路72Fの油圧が昇圧する。また、第2のバルブ70Fが開放されている場合、ポンプ62の駆動にともない第2の管路74Fから第2のバルブ70Fを介して第3の管路76Fに作動油が流入する。
自転車10はさらに、ブレーキレバー20Fの操作状態を検出する第1検出装置82F、前輪14の回転状態を検出する第2検出装置84F、および、後輪16(図1参照)の回転状態を検出する第2検出装置84Rを備える。第1検出装置82Fおよび各第2検出装置84F,84Rは、制御装置60と電気的に接続されている。
第1検出装置82Fは、ユーザによってブレーキレバー20Fのレバー部21B(図1参照)が操作されているか否かを検出するためのセンサである。第1検出装置82Fは、例えばブレーキレバー20Fに取り付けられる角度センサである。角度センサは、例えばポテンショメータ、磁気センサ、光学センサ等によって実現される。第1検出装置82Fは、ベース部21A(図1参照)に対するレバー部21Bの角度である操作角度を検出することにより、ブレーキレバー20Fの操作状態を検出する。なお、角度センサが磁気センサによって実現される場合、ベース部21Aに設けられる磁気センサがレバー部21Bに設けられる磁石の動きを検出する。
第2検出装置84Fは、例えば前輪14付近のフレーム12(図1参照)に取り付けられる磁気センサ、および、ディスクローター26Fまたは前輪14のスポークに取り付けられる磁石を含む。第2検出装置84Fは、磁気センサが磁石を検出することによって、前輪14の回転状態である回転速度を検出する。前輪14とともに回転する磁石は、前輪14の周方向に複数設けられてもよく、円環状に形成されて、周方向に交互に異なる極性に着磁されてもよい。
第2検出装置84Rは、例えば後輪16付近のフレーム12に取り付けられる磁気センサ、および、ディスクローター26Rまたは後輪16のスポークに取り付けられる磁石を含む。第2検出装置84Rは、磁気センサが磁石を検出することによって、後輪16の回転状態である回転速度を検出する。後輪16とともに回転する磁石は、後輪16の周方向に複数設けられてもよく、円環状に形成されて、周方向に交互に異なる極性に着磁されてもよい。
制御装置60は、各第2検出装置84F,84Rにより検出された前輪14および後輪16の少なくとも一方の回転速度の検出結果に基づいて、自転車10の速度である車速を演算する。制御装置60は、各第2検出装置84F,84Rの検出結果のうち、回転速度の高い検出結果に基づいて、自転車10の車速を演算する。
自転車10はさらに、ハンドル18(図1参照)に取り付けられ、アシストモータ36の動作モードを切り替えるために操作される操作部86、および、人力駆動力を検出するトルクセンサ87を備える。操作部86およびトルクセンサ87は、制御装置60と電気的に接続されている。トルクセンサ87は、例えばクランク軸34とフロントスプロケット48との間の動力伝達経路に設けられる。トルクセンサ87は、例えば歪センサまたは磁歪センサ等によって実現される。
操作部86は、アシストモータ36の動作モードを選択するためのアシスト選択スイッチ(図示略)を備える。アシスト選択スイッチによって、アシストモータ36の動作モードがアシストオンモードに設定される場合、トルクセンサ87の検出結果に応じてバッテリ40(図1参照)からアシストモータ36に電力が供給される。一方、アシスト選択スイッチによって、アシストモータ36の動作モードがアシストオフモードに設定される場合、人力駆動力をアシストモータ36によって補助しない。
操作部86はさらに、ABSユニット58Fを作動可能な状態にするABS作動モードと、ABSユニット58Fを作動させない状態にするABS非作動モードとを切り替えるためのABS作動切替スイッチ(図示略)を備える。制御装置60によるABSユニット58Fの制御は、ABS作動切替スイッチによってABS非作動モードからABS作動モードに切り替えられることにより実行される。なお、制御装置60によるABSユニット58Fの制御は、アシスト選択スイッチの操作に依存しない。
制御装置60は、第1検出装置82Fおよび各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、アシストモータ36の出力および回転方向を制御する。制御装置60は、マイクロプロセッサおよびメモリを含み、メモリに記憶されているプログラムをマイクロプロセッサが実行することによって動作する。制御装置60は、第1検出装置82Fおよび各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの開閉状態を第1のパターン、第2のパターン、および、第3のパターンのいずれかに切り替える。表1は、各パターンにおける第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの開閉状態を示している。
第1のパターンは、第1のバルブ68Fが開放され、第2のバルブ70Fが閉鎖されている状態である。第2のパターンは、第1のバルブ68Fが閉鎖され、第2のバルブ70Fが開放されている状態である。第3のパターンは、第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの両方が閉鎖されている状態である。なお、操作部86によってABS非作動モードに設定されているときは、第1のパターンが選択されている。
第1のパターンが選択されているとき、ブレーキレバー20Fが操作されることにより、ブレーキレバー20Fのピストンが第1の管路72Fおよび第2の管路74F内の作動油を圧縮する。すなわち、第2の管路74Fの油圧が昇圧され、キャリパ28Fに与えられる油圧が大きくなる。このため、ブレーキレバー20Fが操作されることにより、キャリパ28Fがブレーキパッドを介してディスクローター26Fを挟み込み、前輪14の回転が制動される。
第2のパターンが選択されているとき、第2の管路74F内の作動油が第3の管路76F内に移動するため、第2の管路74Fの油圧が減圧される。このため、キャリパ28Fに与えられる油圧も減圧され、前輪14に与えられる制動力が弱められる。第3の管路76Fの作動油は、リザーバ64Fおよびポンプ62に流入する。なお、第2のパターンでは、第1のバルブ68Fが閉鎖されているため、ブレーキレバー20Fを操作したとしても第2の管路74Fの油圧が変化しない。このため、前輪14に与えられる制動力がブレーキレバー20Fの操作に依存しない。
第3のパターンが選択されているとき、第2の管路74F内の作動油が第2の管路74Fに保持されるため、第2の管路74Fの油圧が保持される。このため、キャリパ28Fに与えられる油圧も保持され、前輪14に与えられる制動力が一定に保持される。なお、第3のパターンでは、第1のバルブ68Fが閉鎖されているため、第2のパターンと同様に前輪14に与えられる制動力がブレーキレバー20Fの操作に依存しない。
図3および図4は、制御装置60により実行されるABS作動制御のフローチャートである。制御装置60は、操作部86によってABS作動モードに設定されることにより、図3および図4に示す処理を開始する。すでにABS作動モードに設定されているときには、制御装置60の電源をオンにすることによって、図3および図4に示す処理を開始する。制御装置60の電源は、操作部86によってオンおよびオフが切り替えられる。ここでは、操作部86によってアシストオンモードが選択されている場合について説明する。
制御装置60は、人力駆動力に応じてアシストモータ36を第1の方向に回転させる。また、各バルブ68F,70Fの開閉状態は、制御装置60により切り替えられるまで第1のパターンが維持される。
制御装置60は、ステップS1において、第1検出装置82Fの検出結果に基づいて、ブレーキレバー20Fが操作されているか否かを判定する。ステップS1において、ブレーキレバー20Fが操作されていないと判定された場合、ステップS1の処理が再び実行される。一方、ステップS1において、ブレーキレバー20Fが操作されていると判定された場合、ステップS2の処理が実行される。なお、本第1実施形態のように前輪14のみにABS作動制御を実行する場合には、前輪14と対応するブレーキレバー20Fだけを検出対象とする。一方、後輪16のみにABS作動制御を実行する場合には、後輪16と対応するブレーキレバー20Rだけを検出対象とする。
制御装置60は、ステップS2において、人力駆動力に応じてアシストモータ36を第1の方向に回転させている場合に、アシストモータ36の出力を低下させる。そして、制御装置60は、アシストモータ36の出力を低下させることにより、最終的にアシストモータ36を停止させる。
制御装置60は、ステップS3において、各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、自転車10の車速が所定速度以上であるか否かを判定する。所定速度は、例えば時速5km以下の速度が好ましい。ステップS3において、車速が所定速度以上であると判定された場合、ステップS4の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS4において、各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、自転車10の状態が所定の状態であるか否かを判定する。所定の状態は、前輪14の回転速度と後輪16の回転速度との差が所定速度以上になった状態、および、車輪に所定値以上の回転速度の変化が生じた状態の少なくとも一方が成立した状態である。
本第1実施形態のように前輪14のみにABS作動制御を実行する場合には、車輪に所定値以上の回転速度の変化が生じた状態か否かについて、前輪14のみを検出対象とする。一方、後輪16のみにABS作動制御を実行する場合には、車輪に所定値以上の回転速度の変化が生じた状態か否かについて、後輪16のみを検出対象とする。所定の状態が成立した場合は、ブレーキレバー20Fの操作によって制動される前輪14がロックする可能性を示唆している。
ステップS4において、自転車10の状態が所定の状態であると判定された場合、ステップS6の処理が実行される。一方、ステップS3において、車速が所定速度未満であると判定された場合、または、ステップS4において、自転車10の状態が所定の状態でないと判定された場合、ステップS5の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS5において、アシストモータ36から人力駆動力に応じた駆動力が出力されるように、アシストモータ36の出力を戻す。すなわち、制御装置60は、ステップS2において強制的に低下させたアシストモータ36の出力を、人力駆動力に応じた駆動力が出力される状態に戻す。そして、制御装置60は、ステップS5の処理を終えた後、ステップS1の処理を再び実行する。
制御装置60は、ステップS6において、第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの開閉状態を第1のパターンから第2のパターンに切り替える。このため、第1のバルブ68Fが閉鎖され、第2のバルブ70Fが開放される。このため、キャリパ28Fに与えられる油圧が減圧され、前輪14に与えられる制動力が弱められる。
制御装置60は、ステップS7において、アシストモータ36を第2の方向に回転させる。アシストモータ36が第2の方向に回転することにより、アシストモータ36からポンプ62に駆動力が伝達され、ポンプ62が駆動する。このため、第1の管路72Fに作動油が供給され、第1の管路72Fの油圧が昇圧され始める。なお、第1の管路72Fの油圧が昇圧されることにより、ブレーキレバー20Fのレバー部21Bが初期位置に向かって押し戻される。
制御装置60は、ステップS8において、ステップS6の処理を実行してから所定の時間が経過したか否かを判定する。ステップS8において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS8の処理が再び実行される。一方、ステップS8において、所定の時間が経過したと判定された場合、ステップS9の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS9において、第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの開閉状態を第2のパターンから第3のパターンに切り替える。このため、第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの両方が閉鎖される。このため、キャリパ28Fに与えられる油圧が保持され、前輪14に与えられる制動力が一定に保持される。なお、各バルブ68F,70Fが第2のパターンから第3のパターンに切り替えられるまで、キャリパ28Fに与えられる油圧が減圧され続ける。
制御装置60は、ステップS10において、第1検出装置82Fの検出結果に基づいて、ブレーキレバー20Fが操作されているか否かを判定する。ステップS10において、ブレーキレバー20Fが操作されていると判定された場合、ステップS11の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS11において、各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、自転車10の車速が所定速度以上であるか否かを判定する。所定速度は、例えば時速5km以下の速度が好ましい。ステップS11において、車速が所定速度以上であると判定された場合、ステップS13の処理が実行される。一方、ステップS10において、ブレーキレバー20Fが操作されていないと判定された場合、または、ステップS11において、車速が所定速度未満であると判定された場合、ステップS12の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS12において、第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの開閉状態を第3のパターンから第1のパターンに切り替える。このため、第1のバルブ68Fが開放され、第2のバルブ70Fが閉鎖される。このため、ブレーキレバー20Fの操作と連動して前輪14の回転が制動されるようになる。そして、制御装置60は、ステップS12の処理を終えた後、ステップS19の処理を実行する。
制御装置60は、ステップS13において、ステップS4で実行する処理と実質的に同じ処理を実行する。ステップS13において、自転車10の状態が所定の状態であると判定された場合、ステップS14の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS14において、ステップS6で実行する処理と実質的に同じ処理を実行する。そして、制御装置60は、ステップS14の処理を終えた後、ステップS8の処理を再び実行する。なお、制御装置60は、ステップS14の処理を経てステップS8の処理を実行する場合、ステップS14の処理を実行してから所定の時間が経過したか否かを判定する。
一方、ステップS13において、自転車10の状態が所定の状態でないと判定された場合、ステップS15の処理が実行される。制御装置60は、ステップS15において、ステップS12で実行する処理と実質的に同じ処理を実行する。
制御装置60は、ステップS16において、第1検出装置82Fの検出結果に基づいて、ブレーキレバー20Fが操作されているか否かを判定する。ステップS16において、ブレーキレバー20Fが操作されていると判定された場合、ステップS17の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS17において、各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、自転車10の車速が所定速度以上であるか否かを判定する。所定速度は、例えば時速5km以下の速度が好ましい。ステップS17において、車速が所定速度以上であると判定された場合、ステップS18の処理が実行される。一方、ステップS16において、ブレーキレバー20Fが操作されていないと判定された場合、または、ステップS17において、車速が所定速度未満であると判定された場合、ステップS19の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS18において、ステップS4で実行する処理と実質的に同じ処理を実行する。ステップS18において、自転車10の状態が所定の状態であると判定された場合、ステップS14の処理が実行される。一方、ステップS18において、自転車10の状態が所定の状態でないと判定された場合、ステップS19の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS19において、ステップS6の処理またはステップS14の処理を実行してから所定の時間が経過したか否かを判定する。具体的には、各バルブ68F,70Fの開閉状態が第2のパターンに切り替えられた最後の処理から所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間は、例えば第1の管路72Fおよび第2の管路74F内の作動油の量を所定の量まで上昇させるために必要な時間に基づいて予め決められる。所定の量は、例えばステップS6の処理よりも前の状態と実質的に同じ量である。
ステップS19において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS19の処理が再び実行される。一方、ステップS19において、所定の時間が経過したと判定された場合、ステップS20の処理が実行される。
制御装置60は、ステップS20において、アシストモータ36の第2の方向への回転を停止する。このため、ポンプ62の駆動が停止する。制御装置60は、操作部86によってABS作動モードからABS非作動モードに切り替えられるまで、ステップS1からステップS20の処理を繰り返し実行する。なお、操作部86によってアシストオフモードが選択されている場合は、図3および図4に示す処理からステップS2およびステップS5の処理が省略されたABS作動制御が実行される。
図1および図2を参照して、自転車用装置56の作用について説明する。
ユーザは、自転車10に搭乗する前または走行中に操作部86を操作する。操作部86によってアシストオンモードに設定されることにより、ペダル44に入力する人力駆動力に応じてアシストモータ36が第1の方向に回転し、人力駆動力にアシスト力が付加される。
車速が所定速度以上のときにユーザがブレーキレバー20Fを操作した場合、路面の状態、または、ユーザがブレーキレバー20Fを握る強さによっては、前輪14がロックすることがある。このとき、アシストモータ36およびABSユニット58Fが制御装置60により制御され、自転車10の前輪14に与えられる制動力が制御される。具体的には、操作部86によってABS作動モードに設定されることにより、図3および図4に示されるステップS1からステップS20の処理が繰り返し実行される。
このため、ブレーキレバー20Fの操作にともない前輪14がロックしそうになったとしても、制御装置60によりABSユニット58Fが駆動され、前輪14が通常の状態に復帰する。このため、ユーザが走行時にバランスを崩しにくくなる。
また、ABSユニット58Fのポンプ62は、アシストモータ36が第2の方向に回転することにより駆動する。すなわち、アシストモータ36が第1の方向に回転することにより人力駆動力にアシスト力が付加され、アシストモータ36が第2の方向に回転することによりポンプ62が駆動される。このため、アシストモータ36により人力駆動力にアシスト力が付加され、アシストモータ36とは別の駆動源によりポンプ62が駆動される構成と比較して、自転車用装置56が大型化しにくい。このため、自転車10の小型化および軽量化に貢献できる。
第1実施形態の自転車用装置56によれば、さらに以下の効果が得られる。
(1)自転車用装置56は、アシストモータ36を第1の方向に回転させているときにブレーキレバー20Fが操作されると、制御装置60によってアシストモータ36の出力を低下させる。このため、ブレーキレバー20Fの操作にともない前輪14がロックしそうになったときには、アシストモータ36の出力が小さくなっているので、ユーザが走行時にバランスを崩しにくい。
(2)自転車用装置56は、アシストモータ36およびABSユニット58Fが制御装置60に制御されることによって、キャリパ28Fに与えられる油圧が減圧されるとともに、アシストモータ36を第2の方向に回転させてポンプ62を駆動する。このため、キャリパ28Fに与えられる油圧を減圧した後にポンプ62を駆動する構成と比較して、第1の管路72Fおよび第2の管路74Fを流れる作動油の量が所定の量まで早期に上昇しやすい。
(3)自転車10の車輪の回転速度が所定速度未満の場合、すなわち、自転車10の車速が所定速度未満の場合、車輪がロックしたとしてもユーザが走行時にバランスを崩しにくい。自転車用装置56はこの点を踏まえ、制御装置60により車速が所定速度未満の状態であると判定された場合、ABSユニット58Fを駆動させない、または、ABSユニット58Fの駆動を停止する。このため、車速が所定速度未満の場合においてもABSユニット58Fを駆動させる構成、または、ABSユニット58Fを駆動し続ける構成と比較して、電力の浪費を抑制できる。
(4)自転車用装置56は、アシストモータ36およびABSユニット58Fをハウジング38の内部空間に収容している。このため、ABSユニット58Fの一部または全部がハウジング38の外部に設けられる構成と比較して、ABSユニット58Fの保護に貢献できる。
(5)自転車10によれば、ABSユニット58Fの作動にともないキャリパ28Fに与えられる油圧が減圧されることにより、前輪14が通常の状態に復帰した後であっても、ブレーキレバー20Fが操作されている場合は、前輪14が再びロックしそうになることがある。自転車用装置56はこの点を踏まえ、キャリパ28Fに与えられる油圧が減圧されることにより、前輪14が通常の状態に復帰した後において、制御装置60によりステップS16からステップS18の処理が実行される。このため、車輪が再びロックしそうになった場合であってもABSユニット58Fが再び作動するので、ユーザがバランスを崩しにくい。
(第2実施形態)
第2実施形態の自転車用装置56は、以下に説明する点において第1実施形態の自転車用装置56と相違し、その他の点において第1実施形態の自転車用装置56と実質的に同じ構成を備える。なお、第2実施形態の自転車用装置56の説明は、第1実施形態の自転車用装置56と共通する構成に同一の符号を付し、その構成の説明の一部または全部を省略する。
図5は、自転車10(図1参照)の電気的または機械的な接続関係を示す。なお、図5の破線は、自転車10の電気的な接続関係を示している。また、図5の実線は、自転車10の機械的な接続関係を示している。
自転車用装置56は、アシストモータ36によって駆動され、各キャリパ28F,28Rから車輪に与えられる制動力を制御するABSユニットを備える。ABSユニットは、前輪14(図1参照)に与える制動力を制御する第1のABSユニット58F、および、後輪16(図1参照)に与える制動力を制御する第2のABSユニット58Rを含む。各ABSユニット58F,58Rは、ハウジング38の内部空間に収容される。制御装置60は、アシストモータ36、第1のABSユニット58F、および、第2のABSユニット58Rを制御する。なお、第1のABSユニット58Fは、第1実施形態のABSユニット58Fと実質的に同じ構成であるため、その説明の一部または全部を省略する。
第2のABSユニット58Rは、第1のABSユニット58Fと共通のポンプ62、および、作動油が溜められるリザーバ64Rを備える。ポンプ62は、各ABSユニット58F,58Rにおける共通の構成要素であり、各キャリパ28F,28Rに油圧を与える役割を持つ。なお、ABSユニット58F,58R毎にポンプ62を備えてもよい。
第2のABSユニット58Rはさらに、キャリパ28Rに与えられる油圧を調節する第1のバルブ68Rおよび第2のバルブ70Rを備える。第1のバルブ68Rは、第1のABSユニット58Fにおける第1のバルブ68Fと実質的に同じ構成であり、ブレーキレバー20Rとキャリパ28Rとを接続する管路に配置される。第2のバルブ70Rは、第1のABSユニット58Fにおける第2のバルブ70Fと実質的に同じ構成であり、キャリパ28Rとリザーバ64Rとを接続する管路に配置される。
キャリパ28Rに与えられる油圧が大きい場合、キャリパ28Rがディスクローター26R(図1参照)に近づけられる。この場合、キャリパ28Rがブレーキパッドを介してディスクローター26Rを挟み込み、後輪16の回転が制動される。一方、キャリパ28Rに与えられる油圧が小さい場合、キャリパ28Rがディスクローター26Rから離れる。このため、後輪16の回転が制動されない。
ポンプ62から供給される作動油は、第1のABSユニット58Fにおける第1の管路72F、第2の管路74F、および、第3の管路76Fを流動するとともに、第2のABSユニット58Rにおける第1の管路72R、第2の管路74R、および、第3の管路76Rを流動する。第1の管路72R、第2の管路74R、および、第3の管路76Rは、それぞれ3本に分岐した管路である。
第1の管路72Rの各端部は、ブレーキレバー20R、ポンプ62、および、第1のバルブ68Rに接続されている。第1の管路72Rは、第1の管路72Fにおけるポンプ62と第1の逆止弁78Fとの間の部分に接続されることによって、ポンプ62と接続されている。第2の管路74Rの各端部は、キャリパ28R、第1のバルブ68R、および、第2のバルブ70Rに接続されている。第3の管路76Rの各端部は、ポンプ62、リザーバ64R、および、第2のバルブ70Rに接続されている。第3の管路76Rは、第3の管路76Fにおけるポンプ62と第2の逆止弁80Fとの間の部分に接続されることによって、ポンプ62と接続されている。
第2のABSユニット58Rはさらに、第1の管路72Rに配置される第1の逆止弁78R、および、第3の管路76Rに配置される第2の逆止弁80Rを備える。第1の逆止弁78Rは、第1のABSユニット58Fにおける第1の逆止弁78Fと実質的に同じ構成である。第2の逆止弁80Rは、第1のABSユニット58Fにおける第2の逆止弁80Fと実質的に同じ構成である。
自転車10は、ブレーキレバー20Rの操作状態を検出する第1検出装置82Rをさらに備える。第1検出装置82Rは、第1検出装置82Fと実質的に同じ構成である。第1検出装置82Rは、制御装置60と電気的に接続されている。
操作部86は、各ABSユニット58F,58Rを作動可能な状態にするABS作動モードと、各ABSユニット58F,58Rを作動させない状態にするABS非作動モードとを切り替えるためのABS作動切替スイッチ(図示略)を備える。
制御装置60は、各第1検出装置82F,82Rおよび各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、アシストモータ36の出力および回転方向を制御する。制御装置60は、各第1検出装置82F,82Rおよび各第2検出装置84F,84Rの検出結果に基づいて、第1のABSユニット58Fにおける第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70Fの開閉状態、ならびに、第2のABSユニット58Rにおける第1のバルブ68Rおよび第2のバルブ70Rの開閉状態を個別に切り替える。第2のABSユニット58Rにおける各バルブ68R,70Rの開閉状態の切り替えに関する制御は、第1のABSユニット58Fにおける各バルブ68F,70Fの開閉状態の切り替えに関する制御と実質的に同じである。
制御装置60は、操作部86によってABS作動モードに設定されることにより、図3および図4に示す処理を開始する。
制御装置60は、ステップS1、ステップS10、および、ステップS16において、各第1検出装置82F,82Rに基づいて、各ブレーキレバー20F,20Rが操作されているか否かを判定する。各ブレーキレバー20F,20Rの少なくとも一方が操作されている場合、各ブレーキレバー20F,20Rが操作されていると判定する。
制御装置60は、ステップS6において、第1のABSユニット58Fにおける第1のバルブ68Fおよび第2のバルブ70F、ならびに、第2のABSユニット58Rにおける第1のバルブ68Rおよび第2のバルブ70Rの少なくとも一方の開閉状態を第1のパターンから第2のパターンに切り替える。
制御装置60は、例えばステップS4において所定値以上の回転速度の変化が検出された車輪と対応するABSユニット58F,58Rを作動させる。すなわち、制御装置60は、ステップS4において後輪16に所定値以上の回転速度の変化が生じた状態であると判定された場合、ステップS6において第2のABSユニット58Rにおける第1のバルブ68Rおよび第2のバルブ70Rの開閉状態を第1のパターンから第2のパターンに切り替える。
また、制御装置60は、例えばステップS4において前輪14の回転速度と後輪16の回転速度との差が所定速度以上になったことが検出された場合、回転速度の低い方の車輪と対応するABSユニット58F,58Rを作動させる。すなわち、制御装置60は、ステップS4において後輪16の回転速度が前輪14の回転速度よりも所定速度以上低いと判定された場合、ステップS6において第2のABSユニット58Rにおける第1のバルブ68Rおよび第2のバルブ70Rの開閉状態を第1のパターンから第2のパターンに切り替える。なお、ステップS14においてもステップS6と同様である。
図1および図5を参照して、自転車用装置56の作用について説明する。
車速が所定速度以上のときにユーザが各ブレーキレバー20F,20Rを操作した場合、路面の状態、または、ユーザがブレーキレバー20F,20Rを握る強さによっては、前輪14および後輪16の少なくとも一方がロックすることがある。このとき、アシストモータ36および各ABSユニット58F,58Rが制御装置60により制御され、自転車10の車輪に与えられる制動力が制御される。
このため、ブレーキレバー20F,20Rの操作にともない前輪14および後輪16の少なくとも一方がロックしそうになったとしても、制御装置60により各ABSユニット58F,58Rが駆動され、車輪が通常の状態に復帰する。このため、ユーザが走行時にバランスを崩しにくくなる。
第2実施形態の自転車用装置56によれば、第1実施形態により得られる(1)から(5)の効果に加えて、さらに以下の効果が得られる。
(6)自転車用装置56は、前輪14に与える制動力を制御する第1のABSユニット58F、および、後輪16に与える制動力を制御する第2のABSユニット58Rを備える。このため、ブレーキレバー20F,20Rの操作にともない前輪14および後輪16のいずれか一方または両方がロックしそうになったとしても、各ABSユニット58F,58Rが作動することにより、前輪14および後輪16が通常の状態に復帰する。このため、第1のABSユニット58Fおよび第2のABSユニット58Rの一方だけを備える構成と比較して、ユーザが走行時にバランスを崩しにくくなる。
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う自転車用装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
・変形例の制御装置60は、ABS作動制御において、ステップS6の処理とステップS7の処理を同時に実行する。別の変形例の制御装置60は、ABS作動制御において、ステップS7の処理をステップS6の処理よりも先に実行する。
・変形例の制御装置60によれば、ABS作動制御において、図3および図4に示される処理からステップS16からステップS18の処理が省略される。
・変形例の制御装置60によれば、ABS作動制御において、図3および図4に示される処理からステップS19の処理が省略される。この変形例によれば、短時間で油圧の量を上昇させるようにポンプ62を駆動することができる性能が高いアシストモータ36が使用されることが好ましい。
・変形例の制御装置60によれば、図3および図4に示されるステップS4、ステップS13、および、ステップS18の処理において判定される所定の状態から、前輪14の回転速度と後輪16の回転速度との差が所定速度以上になった状態が省略される。
・変形例の第1検出装置82F,82Rは、角度センサに代えて、第1の管路72F,72Rの油圧を検出する油圧センサである。油圧センサは、例えば第1の管路72F,72Rの内壁に設けられる圧力センサによって実現される。
・変形例の操作装置は、ブレーキレバー20F,20Rに代えて、ハンドル18に対してハンドル18の軸線まわりに回転させることにより車輪の回転が制動されるグリップを含む。この変形例によれば、グリップの回転量に応じて車輪に与える制動力が調節される。別の変形例の操作装置は、ブレーキレバー20F,20Rに代えて、ハンドル18に取り付けられるボタンを含む。この別の変形例によれば、ボタンを押す量に応じて車輪に与える制動力が調節される。
・変形例の制動装置22F,22Rは、ディスクブレーキに代えて、例えばリムブレーキまたはカンチブレーキである。
・第1実施形態の変形例の自転車用装置56は、ABSユニット58Fに代えて、後輪16に与える制動力を制御するABSユニット58Rを備える。ABSユニット58Rは、第2実施形態の第2のABSユニット58Rと実質的に同じ構成である。
・第1実施形態の変形例の自転車用装置56によれば、ABSユニット58Fがハウジング38の外部に取り付けられる。図6に示されるとおり、自転車用装置56は、例えばハウジング38の外部に取り付けられるケース88をさらに備える。この変形例によれば、ケース88の内部空間にABSユニット58Fが収容される。なお、第2実施形態においても同様の変形が成立する。第2実施形態の変形例の自転車用装置56によれば、例えば第1のABSユニット58Fおよび第2のABSユニット58Rの少なくとも一方がケース88の内部空間に収容される。
・第1実施形態の変形例の自転車用装置56は、ハウジング38の内部空間にABSユニット58Fのポンプ62を収容し、ハウジング38の外部にABSユニット58Fのその他の要素を配置する。この変形例によれば、ABSユニット58Fのその他の要素は、例えばハウジング38の外部に取り付けられるケースの内部空間に収容される。なお、第2実施形態においても同様の変形が成立する。
・変形例の自転車用装置56によれば、制御装置60によるABSユニット58F,58Rの制御がアシスト選択スイッチの操作に依存される。例えば、アシストオンモードが選択されることによって、必ずABS作動モードに切り替えられる。
・変形例の自転車10によれば、操作部86からABS作動切替スイッチが省略される。この変形例によれば、例えばアシスト選択スイッチによってアシストオンモードが選択されることにより、ABS作動モードに切り替えられる。一方、アシスト選択スイッチによってアシストオフモードが選択されることにより、ABS非作動モードに切り替えられる。