JP7266268B2 - 塊状ガス含有氷の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ファインバブル状のガスを含む水を急速凍結させるガス含有氷の製造方法及びこの製造方法で製造されるガス含有氷に関する。
ファインバブル状(マイクロ・ナノバブル状)状の気体を含有した水の有用性が広く知られるようになり、近年、さらにはその応用としてガスを過飽和に含有する氷(ガス含有氷)についても注目されている。
ガス含有氷の製造技術として、これまでにも様々な報告がある。例えば、特許文献1には、マイクロバブル状のオゾン含有水を、密閉容器に入れ加圧して、冷却するオゾン含有氷の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、酸素を溶解した水を冷却、凍結して酸素含有氷を製造する方法が開示されている。また、特許文献3には、二酸化炭素、窒素又は酸素等の含有したマイクロバブルガス含有氷の製造方法が開示されている。
また、水素は、水に対して溶解度が低く、かつ、拡散性の高いことからス含有氷の製造が困難であったが、本発明者は、水に過飽和にファインバブル状の水素ガスを含有させたファインバブル水を製氷容器に充填し、これを液体窒素で強制的に凍結を行うことにより、冷却時における水とガスとの分離が回避され、ガスを高濃度に含有するガス含有氷を製造することに成功している(特許文献4参照)。
特開2005-77040号公報 特開2004-205186号公報 特開2007-225127号公報 WO2017/082305
ところで、ガス含有氷を使用するに当たり、保管・輸送する際には内部のガスをできる限り放出させないようにするために塊状であることが好ましく、さらには大きさ、形状が揃っていることが求められている。また、飲食用途等でガス含有氷を使用する際にも、内部のガスを徐放させるために塊状とし、大きさや形状が規格化されて揃っているものが好ましい。
このようにファインバブルとしてガスを含有し、規格化された大きさ、形状の塊状のガス含有氷に対する一定のニーズがある。
上述のとおり、特許文献4の製造方法では、液体窒素で強制的に凍結することにより、水とガスとの分離を回避させて氷に過飽和にガスを含有させることができるが、製氷容器の内部で、氷にひびや割れが発生したり、粉砕したりするという技術的課題が生じた。この課題は、原料ガスとして酸素や窒素等の水素以外のガスを使用した場合にも同様であった。
かかる状況下、本発明の目的は、溶存ガス含有量により多量のガスを内包し、かつ、ひびや割れが発生することが抑制された所定の大きさの塊状のガス含有氷を再現性よく製造する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水に過飽和にファインバブル状の原料ガスを含有させ、特定の製氷容器に充填して、液体窒素中に浸漬する時間を制限することにより、氷のひびや割れの発生が回避され、原料ガスを高濃度に含有するガス含有氷が製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ファインバブル状の原料ガスを過飽和に含有する原料ファインバブル水を、仕切られた複数の製氷領域を有するアルミパウチ容器に充填する工程と、
液体窒素の中に、原料ファインバブル水を充填したアルミパウチ容器を浸漬させて、急速凍結して製氷する工程と、を有し、
前記アルミパウチ容器における前記仕切られた複数の製氷領域のそれぞれの容積が、4mL以上120mL以下であり、かつ、液体窒素の中へのアルミパウチ容器の浸漬時間が45秒未満であるガス含有氷の製造方法。
<2> 前記アルミパウチ容器における前記仕切られた複数の製氷領域のそれぞれが、原料ファインバブル水を充填した際に略球形である<1>に記載のガス含有氷の製造方法。
<3> 原料ガスをファインバブルとして含有する<1>または<2>に記載のガス含有氷の製造方法。
<4> 原料ガスが、酸素、オゾン、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水素のいずれか、またはこれらの混合ガスである<1>から<3>のいずれかに記載のガス含有氷の製造方法。
<5> 液体窒素の中へのアルミパウチ容器の浸漬時間が15秒以上30秒以下である<1>から<4>のいずれかに記載のガス含有氷の製造方法。
<6> 前記アルミパウチ容器における製氷領域が10個以上20個以下である<1>から<5>のいずれかに記載のガス含有氷の製造方法。
<7> <1>から<6>のいずれかに記載の方法で製造された塊状のガス含有氷。
<8> 直径が1cm以上6cm以下である<7>に記載のガス含有氷。
<9> 含有ガスが酸素、オゾン、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水素のいずれか、またはこれらの混合ガスである<7>または<8>に記載のガス含有氷。
本発明によれば、内部にガスを含有し、ひびや割れのない、大きさ、形状の揃った塊状のガス含有氷が提供される。
実施例で用いたアルミパウチ容器の外観写真である。 実施例で用いたアルミパウチ容器の製氷領域(断面)を示す写真である。 塊状のガス含有氷(酸素、浸漬時間30秒)の写真である。 破砕したガス含有氷(酸素、浸漬時間60秒)の写真である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
本発明は、ファインバブル状の原料ガスを過飽和に含有する原料ファインバブル水を、仕切られた複数の製氷領域を有するアルミパウチ容器に充填する工程と、
液体窒素の中に、原料ファインバブル水を充填したアルミパウチ容器を浸漬させて、急速凍結して製氷する工程と、を有し、
前記アルミパウチ容器における前記仕切られた複数の製氷領域のそれぞれの容積が、4mL以上120mL以下であり、かつ、液体窒素の中へのアルミパウチ容器の浸漬時間が45秒未満であるガス含有氷の製造方法に関する。
なお、以下の説明において、ファインバブル状の原料ガスを過飽和に含有する原料ファインバブル水を、仕切られた複数の製氷領域を有するアルミパウチ容器に充填する工程を「工程(1)」、液体窒素の中に、原料ファインバブル水を充填したアルミパウチ容器を浸漬させて、急速凍結して製氷する工程を「工程(2)」と称す場合がある。
本発明のガス含有氷の製造方法における特徴は、複数の製氷領域のそれぞれの容積が4mL以上120mL以下(好適には10mL以上50mL以下)であるアルミパウチ容器を使用し、液体窒素の中へのアルミパウチ容器の浸漬時間が45秒未満としたことにある。
このような特定の製氷領域を有するアルミパウチ容器を使用し、当該製氷領域に原料ファインバブル水を充填し、特定の時間で液体窒素冷却を行うことによって得られるガス含有氷は、ひびや割れがない塊状であって、微細気孔の内部にガスを含有して全体が白濁するほど多量のガスを内包することができる。微細気孔を多く含む構造の氷は機械的強度が弱く、凍結の時に発生する応力により、割れたり粉砕したりする傾向にあるが、本発明の製造方法であれば、液体窒素による急冷であっても、微細気孔を保持しつつ、氷のひびや割れがほぼ生じない。
この理由については現段階では明らかでない点もあるが、アルミパウチ容器の仕切られた製氷領域の容積を、4mL以上120mL以下(好適には10mL以上50mL以下)とすることにより、内部まで均等に冷却され、かつ、応力も均等に発生するため、凍結時のひび割れの発生を回避し、液体窒素への浸漬時間を45秒以下(好適には15秒以上30秒以下)に制限することによって氷の微細破壊を回避できているものと推測される。
また、アルミパウチ容器は、仕切られた製氷領域が、原料ファインバブル水を充填した際に略球形であるアルミパウチ容器であることが好ましい。原料ファインバブル水を充填した際に略球形であると、より均等に冷却されるため、氷の微細破壊の発生がより起こりづらく、均質なガス含有氷を得ることができる。
なお、本発明において「略球形」とは完全な球形以外を含む概念であり、断面が楕円であってもよいものとする。
参考に図1に実施例で使用したアルミパウチ容器の外観写真、図2に製氷領域の内部構造(厚み方向の切断面)を示す写真を示す。
ガス含有氷が内包するガスの種類としては、本発明の製造方法に適用できるガスであれば任意であり、例えば、酸素、オゾン、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水素のいずれか、またはこれらの混合ガスが挙げられる。この中でも、酸素が好適なガスの一例である。
以下、本発明のガス含有氷の製造方法を、各工程に分けて説明する。
「工程(1)」
工程(1)は、ファインバブル状の原料ガスを過飽和に含有する原料ファインバブル水を、仕切られた複数の製氷領域を有するアルミパウチ容器に充填する工程である。
原料ファインバブル水は、原料となる水(以下、「原料水」と記載する場合がある。)に、ファインバブルガスを過飽和に含有させることによって製造される。
本明細書において、「ファインバブル」とは、マイクロオーダー(1~100μm)、ナノオーダー(1μm以下)の直径のガスの微細気泡を意味する。微細気泡の直径の下限は、ガス状であればよく、通常、5nm以上である。特に本発明においては原料ファインバブル水に含まれるファインバブル状のガスは、直径1~50μm程度のマイクロバブルと10nm~300nm程度のナノバブルが混合したものであることが好ましい。なお、一般的に、水中に存在するガスの大きさにより、原料ファインバブル水の外観が異なる。水中に存在するサブミリオーダーのバブルは、目視ができる。マイクロバブルを含有する水は白濁する。水中のナノバブルは目視することはできないが、水にレーザーポインターを当ててみて、軌跡(レーザーの線)が見えるか否かで、ナノバブルの存在が判断できる。
原料水は、特に制限はなく、使用用途に応じて適宜選択される。本発明に係るガス含有氷を、飲食用として使用する場合には、原料水として、水道水、井戸水、ミネラルウォータ等が好ましい。また、原料水として、不純物成分を除去した超純水や蒸留水を用いてもよい。
原料水は、目的とするガス以外の溶存ガスを除去することが好ましい。その方法として、例えば、原料水を含む系内を減圧して溶存ガスを取り除く減圧脱気法等が挙げられるがこれに制限されない。
原料水に供給されるガスは、最終的に製造されるガス含有氷が内包するガスとなる。
ガスの種類としては、本発明の製造方法に適用できるガスであれば任意であり、例えば、酸素、オゾン、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水素のいずれか、またはこれらの混合ガスが挙げられる。この中でも、酸素が好適なガスの一例である。
原料ファインバブル水の製造方法は、水(原料水)に、ファインバブル状のガスを過飽和に含有させることができれば、特に制限はされない。
例えば、ファインバブルを発生させる方式として、対象気体と液体を高速旋回させ、せん断力によりファインバブルを発生させる「気液混合せん断方式」、液中に圧縮した気体を一気に解放させることによりファインバブルを発生させる「加圧溶解方式」、液中のポーラス、オリフィスなどに圧力をかけて気体を通すことによりファインバブルを発生させる「微細孔方式」等が挙げられる。また、ファインバブル状のガスが生成できるならば、上記方法以外でもよい。これらの発生方式は2種以上を組み合わせもよい。
上記ファインバブル発生方式の中でも、気液混合せん断方式がより好ましい。この方式であれば、原料水として、脱気水を必ずとも必要とせず、製造が容易であるため、低コストでの原料ファインバブル水の生産が可能となる。
気液混合せん断方式でのファインバブル発生装置の具体例として、有限会社バブルタンク製「マイクロ・ナノバブル発生装置、型番:BT50」を好適な一例として挙げることができる。この装置を使用すると、直径1~50μmのマイクロバブルと10nm~300nmのナノバブルが混合して含有された原料ファインバブル水を得ることができる。この場合、原料ファインバブル水には、マイクロバブルとナノバブルとが混合して含有されるため、白濁している。
また、気液混合せん断方式に加えて、加圧溶解方式を組み合わせた方式によると、ファインバブルを多量に発生させることができるので、短時間で多量のファインバブルガスが溶存した原料ファインバブル水を製造することができる。
より具体的には、水中の溶存ガスを不活性ガス(例えば、窒素)で置換した後に、気液混合せん断方式と加圧溶解方式を組み合わせた方式にて目的とするガスを供給することにより、過飽和にガスを含む原料ファインバブル水を製造することができる。
すなわち、原料ファインバブル水は、気液混合せん断方式、または気液混合せん断方式と加圧溶解方式との組みあわせによって製造されることが好ましい。
原料ファインバブル水は、上記ファインバブルの発生方式を用いて、原料水中に、過飽和のファインバブル状のガスを含有するように、原料水の量、水温、原料水に溶解する溶存ガスの組成や量に応じて、ガスの供給量を調整して製造すればよい。
なお、原料ファインバブル水の製造の時の温度は、後工程で液体窒素での急速凍結を行うことや、ガスの溶解性が向上する点で、10℃以下であることが好ましく、5℃以下であることがより好ましく、2℃以下であることがさらに好ましい。
本発明において、製氷容器としては仕切られた複数の製氷領域を有するアルミパウチ容器が用いられる。アルミパウチ容器は、通常、製造されたガス含有氷の包装容器としてそのまま用いられる。
本発明でいう「アルミパウチ容器」は、2枚のプラスチックフィルムの間にアルミニウム層を挟み込んだシート材料を二枚重ねにしてその周縁をヒートシールしたガス非透過性の可撓性容器である。アルミパウチ容器は、偏平状態にしてその内部に原料ファインバブル水を外気と接触させることなく充填でき、かつ、充填直後に充填口を密閉し、内部からのガス漏洩を完全に抑制することができ、充填した原料ファインバブル水を充填時の状態に維持することができる。
本発明において、アルミパウチ容器を構成するフィルムは液体窒素による冷却を阻害しない限り、アルミニウムと樹脂フィルムの積層フィルム、アルミニウムを蒸着した樹脂フィルムであってもよい。
本発明で使用されるアルミパウチ容器は、例えば、図1、2に示すような、複数の仕切られた製氷領域を有するアルミパウチ容器である。
アルミパウチ容器において仕切られた製氷領域は、それぞれが隣接する他の製氷領域と連通している。これにより、アルミパウチ容器の注水口から供給される原料ファインバブル水はそれぞれの仕切られた製氷領域に充填される。
本発明において、複数の製氷領域のそれぞれの容積は、4mL以上120mL以下であることを必須とする。仕切られた複数の製氷領域に原料ファインバブル水を充填することにより、原料ファインバブル水をより均等に短時間で急速凍結ができる。製氷領域のそれぞれの容積は、下限が4mL以上であり、10mL以上が好ましく、20mL以上がより好ましく、上限が120mL以下であり、100mL以下が好ましく、50mL以下がより好ましい。
上記容積であると液体窒素中に後述する時間(45秒以下)で浸漬しても、製造されるガス含有氷は、微細気孔を保持しつつ、微細気孔のひびや割れが生じること回避できる。
なお、容積が120mLを超えると原料ファインバブル水の均一冷却が困難となり、4mL未満であると実用な大きさの塊状の氷が得ることができない。
アルミパウチ容器の仕切られた複数の製氷領域のそれぞれの複数の製氷領域の形状は、原料ファインバブル水を充填した際に略球形であることが好ましく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、仕切られた製氷領域の数は任意であり、目的に応じて適宜選択される。例えば、図1に示す実施例で使用したアルミパウチ容器は、仕切られた製氷領域の大きさが約3.5cm(直径)の略球形であって、製氷領域の数が16個(3列×5+1個)であるが、これに限定されない。
また、アルミパウチ容器を構成するフィルムの厚みは、ガス非透過となるアルミニウム層を有し、内部に液体を充填、排出することができる可撓性を有する範囲で、液体窒素による冷却を阻害しない範囲で決定される。
原料ファインバブル水を製氷容器に充填する方法は、特に限定されず、製氷容器のサイズ等に応じて、従来公知の方法を適宜選択すればよい。
「工程(2)」
工程(2)は、液体窒素の中に、原料ファインバブル水を充填したアルミパウチ容器を浸漬させて、急速凍結して製氷する工程である。
原料ファインバブル水を液体窒素温度(-196℃)で強制的に急速凍結することにより、極めて短時間で原料ファインバブル水を凍結することができるため、得られるガス含有氷は全体的に、原料ファインバブル水中のファインバブル状のガスを取り込んだ状態で凍結され、氷の内部に過飽和状態でガスが捕捉され、原料ガスをファインバブルとして含有する。そのため、より高濃度のガスを含有し、全体的に白濁したガス含有氷を製造することができる。
なお、ファインバブル状のガスを過飽和に含有する原料ファインバブル水であっても、徐冷をすると、凍結過程において、ファインバブル状のガスと水(氷)とが分離して、製造される氷においてガス分布が不均一になり、得られるガス含有氷は全体的に白濁せずに透明になる傾向にある。
本発明の製造方法において、液体窒素の中へのアルミパウチ容器の浸漬時間が45秒未満(好適には15秒以上30秒以下)であることに特徴がある。
本出願人が特許文献4(WO2017/082305)で開示したように、原料ファインバブル水と液体窒素とを接触させて急速凍結することによって、凍結途中でのガスと水との分離を回避し、高濃度にガスを含有する氷を製造することができる。なお、特許文献4の水素含有氷の方法では、液体窒素へのアルミパウチ容器の浸漬時間は少なくとも1分以上としていた。この方法では白濁した水素含有氷が確実に製造できるものの、ガス含有氷にひび割れが発生しやすく、さらに浸漬時間が長くなるとガス含有氷が破砕されるという問題が生じる。
本発明の製造方法では、上述した特定の大きさ、形状の製氷領域を有するアルミパウチ容器を使用し、液体窒素への浸漬時間を45秒以下(好適には15秒以上30秒以下)に制限することによって、液体窒素による急冷に起因する氷の破壊を回避できているものと推測される。
浸漬時間の下限値は、製造されるガス含有氷が内部まで凍結する時間であればよく、製氷領域の容積にもよるが、15秒以上が好ましく、20秒以上がより好ましい。浸漬時間が短すぎると、液体窒素浸漬時に完全に凍結せずに液体の水が残存し、その後に残存した水が徐々に凍結するため、氷中のガス分布が不均一になる傾向にある。
液体窒素で急速凍結する方法として、原料ファインバブル水を充填したアルミパウチ容器に液体窒素に浸漬させる方法であればよいが、より確実な方法としては、容器に蓄えられた液体窒素の中に、原料ファインバブル水を充填したアルミパウチ容器を浸漬させる方法である。このように多量の液体窒素中に原料ファインバブル水を充填した製氷容器を浸漬させることにより、アルミパウチ容器全面から均等に急速凍結されるため、得られるガス含有氷の均一性が向上する。
上述の方法で原料ファインバブル水を、液体窒素で急速凍結して得られるガス含有氷は、所定の保存温度(通常、-10℃以下)で出荷まで保存することが好ましい。
また、通常、製造方法で使用したアルミパウチ容器をそのまま包装容器に使用するが、製造されたガス含有氷を多量に保管・輸送する場合などには、製氷に使用したアルミパウチ容器からガス含有氷を取り出し、別の容器に入れてもよい。
本発明の製造方法で得られたガス含有氷は、微細気孔の内部に目的とするガスを含有し、ガスを過飽和に含有して白濁化した原料ファインバブル水と同様に全体的に白濁している。
本発明のガス含有氷の形状や寸法は、使用されたアルミパウチ容器における製氷領域の大きさ、形状により決定される。また、ガス含有氷は目的に応じて粉砕等の二次加工を行って使用してもよい。
なお、水に含まれるファインバブルガスは振動が加わると、ガスが放出されやすいと問題があるが、本発明のガス含有氷は、微細気孔の内部にガスが内包されて保持されているので、振動が加わっても微細気孔が成長することはない。そのため、長期間にわたって氷中にガスを保持することができる。そのため、輸送がしやすいという利点がある。
本発明のガス含有氷は、原料ファインバブル水に目的とするガスを過飽和に含んだ状態で製氷されるので、原料ファインバブル水と同様の効果を奏する。また、本発明のガス含有氷は、そのまま使用してもよいが、解凍させてファインバブルを含有する水として使用してもよい。
本発明のガス含有氷は、内包するガスに起因して様々な用途で使用することができる。 また、本発明のガス含有氷およびこれを解凍して得られるファインバブル含有水は、飲食用のみに制限されず幅広い用途に適用できる。
以下にガス含有氷(及び解凍したファインバブル含有水)による代表的な作用を記載するが、ガス含有氷(及び解凍したファインバブル含有水)の使用目的はこれらの作用に基づくものに限定されるものではない。
(1)酸素含有氷
飲食用として、冷却と同時に細胞の活性化、免疫力向上、乳酸や脂肪の分解作用等が期待される。また、排水処理等に用いることができる。
(2)オゾン含有氷
生鮮食料品の保存用として、鮮度保持、殺菌、脱臭作用等が期待される。また、殺菌作用を利用して医療分野への応用も期待できる。
(3)二酸化炭素含有氷、
飲料用として、炭酸飲料の炭酸量を増量等が期待される。
(4)窒素含有氷、アルゴン含有氷
反応性ガスが好ましくない環境での冷却用途等(金属部品製造、表面処理の洗浄等)に用いることができる。また、生鮮食品、葉物野菜等の酸化劣化防止用としても用いることができる。
(5)水素含有氷
飲料用として、老化抑制作用、美容作用、疲労回復、ストレス改善、皮膚炎の改善等が期待される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
1.酸素含有氷の製造
1-1.原料ファインバブル含有水の製造
目的ガスとして酸素を含有する実施例の酸素含有氷は、以下の手順で製造した。
原料ファインバブル含有水(酸素)は、有限会社バブルタンク製「マイクロ・ナノバブル発生装置、型番:BT50」とガス溶解器を使用し、原料水(水温21℃、酸素濃度:85%)に対し、ファインバブル状の酸素ガスを流量0.5mL/分で供給することによって製造した。
原料ファインバブル含有水(酸素)をサンプリングして、酸素濃度は溶存酸素計(ハンナ インスツルメンツ・ジャパン株式会社、HI9147)で評価したところ、酸素溶存量は製造後519%であり、1日後では320%であった。
1-2.原料ファインバブル含有水の充填
原料ファインバブル含有水は、アルミパウチ容器(4層ラミネートのスパウト付アルミパウチ、容積:360mL)に充填して密閉した。使用したアルミパウチ容器は16個の製氷領域に仕切られており、それぞれ領域の容積は22.4mLである。原料ファインバブル含有水を充填するとそれぞれの製氷領域は直径約3.5cmの略球形となる。
1-3.原料ファインバブル含有水の急速凍結
液体窒素を入れたステンレス製容器(魔法瓶タイプ、容積50L)を準備し、これに原料ファインバブル含有水を充填したアルミパウチ容器を液体窒素に完全に浸漬するように入れ製氷した。所定の時間浸漬後、アルミパウチ容器を液体窒素から取り出し、アルミパウチ容器に入った酸素含有氷を得た。
液体窒素への浸漬は、浸漬時間の影響を評価するために、浸漬時間15秒、30秒、45秒、60秒、90秒、120秒、180秒で行った。
2.評価
2-1.酸素含有氷の凍結状態の評価
上述の製造方法で得られたアルミパウチ容器を切開し、アルミパウチ容器内部の酸素含有氷の状態を確認した。図3に浸漬時間30秒、図4に浸漬時間60秒の酸素含有氷の外観写真を示す。
浸漬時間15秒、30秒、45秒では塊状の氷が得られていた。浸漬時間30秒では塊状の酸素含有氷は乳白色であり、破砕して観察すると内部まで白濁していた。また、酸素含有氷を破砕した断面を拡大確認すると微細気孔が多量に含まれていることが確認された。浸漬時間30秒の酸素含有氷を、水の中にいれると細かな気泡が発生し、酸素含有氷が解凍されることにより、酸素ガスが放出されていることが確認された。
一方、浸漬時間60秒以上では乳白色の酸素含有氷が得られていたが、氷は粉々に砕けていることが確認された。また、浸漬時間60秒以上ではアルミパウチ容器の数か所に破損が確認されたことから、浸漬時間が長すぎるとアルミパウチ容器での氷の状態変化に起因して、酸素含有氷の粉砕化、アルミパウチ容器の破損が生じることが明らかになった。
2-2.酸素含有氷の解凍後の水の評価
酸素含有氷を解凍して得られる解凍水の溶存酸素濃度は、JISK 0102 32.1に準じる方法で行った。
簡単に説明すると、液体窒素浸漬時間15秒,30秒及び60秒の酸素含有氷を、アルミパウチの状態で室温(約25℃)の環境下に静置し、完全に解凍したのちにサンプリングし、溶存酸素量を求めた。
溶存酸素量は、液体窒素の浸漬時間15秒の解凍水で122%(DO値:14.5ppm)、浸漬時間30秒の解凍水で169%(DO値:18.4ppm)、浸漬時間60秒の解凍水で112%(DO値:10.9ppm)であった。浸漬時間30秒の解凍水は透明であったが、レーザーポインターによる確認により、ナノバブルが含有されていることが確認された。
[実施例2]
1.アルゴン含有氷の製造
使用するガス種を酸素ガスから、アルゴンガスに変えた以外は、実施例1と同様にしてアルゴン含有氷を得た。
2.評価
浸漬時間30秒で得られたアルゴン含有氷を確認したところ、浸漬時間30秒では塊状のアルゴン含有氷は乳白色であり、破砕して観察すると内部まで白濁していた。また、アルゴン含有氷を破砕した断面を拡大確認すると微細気孔が多量に含まれていることが確認された。浸漬時間30秒のアルゴン含有氷を、水の中にいれると細かな気泡が発生し、アルゴン含有氷が解凍されることにより、アルゴンガスが放出されていることが確認された。一方、浸漬時間60秒で得られたアルゴン含有氷は、氷は粉々に砕けていることが確認された。
[実施例3]
1.水素含有氷の製造
使用するガス種を酸素ガスから、水素ガスに変えた以外は、実施例1と同様にしてアルゴン含有氷を得た。
2.評価
浸漬時間30秒で得られた水素含有氷を確認したところ、浸漬時間30秒では塊状の水素含有氷は乳白色であり、破砕して観察すると内部まで白濁していた。また、水素含有氷を破砕した断面を拡大確認すると微細気孔が多量に含まれていることが確認された。浸漬時間30秒の水素含有氷を、水の中にいれると細かな気泡が発生し、水素含有氷が解凍されることにより、水素ガスが放出されていることが確認された。一方、浸漬時間60秒で得られた水素含有氷は、氷は粉々に砕けていることが確認された。
本発明のガス含有氷の製造方法により、氷の中に目的とするガスを高濃度に含有させることができるため、飲食用をはじめ、様々な分野において有効利用できる。

Claims (3)

  1. 微細気孔の内部に原料ガスを含有し全体が白濁した略球形の塊状ガス含有氷の製造方法であって、
    ファインバブル状の原料ガスを過飽和に含有する原料ファインバブル水を、仕切られた複数の製氷領域を有するアルミパウチ容器に充填する工程と、
    液体窒素の中に、原料ファインバブル水を充填したアルミパウチ容器を浸漬させて、急速凍結して製氷する工程と、を有し、
    前記アルミパウチ容器における前記仕切られた複数の製氷領域のそれぞれが、原料ファインバブル水を充填した際に略球形であり、前記アルミパウチ容器における前記仕切られた複数の製氷領域のそれぞれの容積が、4mL以上120mL以下であり、かつ、液体窒素の中へのアルミパウチ容器の浸漬時間が15秒以上30秒以下であることを特徴とする塊状ガス含有氷の製造方法。
  2. 原料ガスが、酸素、オゾン、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水素のいずれか、またはこれらの混合ガスである請求項1に記載の塊状ガス含有氷の製造方法。
  3. 前記アルミパウチ容器における製氷領域が10個以上20個以下である請求項1または2に記載の塊状ガス含有氷の製造方法。
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