JP7265232B2 - ゲート装置、管理サーバ、出入国審査システム及び出入国審査方法 - Google Patents

Description

本発明は、ゲート装置、管理サーバ、出入国審査システム及び出入国審査方法に関する。

空港において入国審査が行われる。当該入国審査の担当官は、パスポートに貼付された顔写真と面前の人物の顔を比較し、パスポートの顔画像と面前の人物の顔が一致しない場合に当該人物の出入国を許可しない。

また、近年では、上記入国審査を自動的に行う装置が導入されている。例えば、特許文献１に開示されたゲート装置は、パスポートに貼付された顔画像とゲート装置の面前に立つ人物の顔画像の照合結果により当該人物の出入国を審査する。

特開２０１９－０７１１２６号公報

日本国における入国審査では、審査対象者の国籍に応じて審査内容が異なる。具体的には、日本国籍を有する人物（日本人）の入国審査では指紋の採取は不要である。対して、外国籍を有する人物（外国人）の入国審査では指紋の採取が必要である。

このように、審査対象者の国籍に応じて入国審査の内容が異なる。上記審査内容の相違には、当然に入国審査を自動的に行う装置（以下、自動入国審査装置と表記する）も対応している必要がある。そのため、日本人を対象にした自動入国審査装置と外国人を対象にした自動入国審査装置が入国審査エリアに設置されている必要がある。しかし、このような対応は、スペースの限られた入国審査エリアでは許容されない。時間帯等により利用者の国籍に偏りが生じ、使用頻度の低い装置を大量に設置すると入国審査システム全体の効率（スループット）が低下する。

上記問題への対応として１台の自動入国審査装置が日本人と外国人の審査に対応することが考えられる。しかし、このような対応では国籍に応じて審査内容が異なることから、自動入国審査装置が審査に要する時間も国籍によって異なり、審査を待つ利用者（自動入国審査装置に並ぶ審査待機者）の不満を引き起こす。審査待機者は、複数の装置のうちいずれの装置の審査が早く終了するのか分からない。その結果、審査の遅い装置に並んだ利用者は、自身が選択した装置よりも審査が早く終了する装置の存在を不満に思うことになる。このような問題のため、１台の自動入国審査装置にて異なる国籍の利用者に関する審査機能を同時に有効とすることには問題がある。

本発明は、入国審査システムの効率化に寄与する、ゲート装置、管理サーバ、出入国審査システム及び出入国審査方法を提供することを主たる目的とする。

本発明の第１の視点によれば、出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づきゲート装置の動作モードを決定する、管理サーバと通信する、通信部と、審査対象者の出入国審査に関する動作モードを前記管理サーバが決定した動作モードに切り替える、切り替え部と、を備える、ゲート装置が提供される。

本発明の第２の視点によれば、出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定すると共に、前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知する、管理サーバが提供される。

本発明の第３の視点によれば、利用者の出入国を審査する、少なくとも１以上のゲート装置と、出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、前記少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定する、管理サーバと、前記管理サーバは、前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知し、前記ゲート装置は、前記通知された動作モードにて審査対象者の出入国を審査する、出入国審査システムが提供される。

本発明の第４の視点によれば、利用者の出入国を審査する、少なくとも１以上のゲート装置と、前記少なくとも１以上のゲート装置と接続された管理サーバと、を含むシステムにおいて、出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、前記少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定し、前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知し、前記通知された動作モードにて審査対象者の出入国を審査する、出入国審査方法が提供される。

本発明の各視点によれば、入国審査システムの効率化に寄与する、ゲート装置、管理サーバ、出入国審査システム及び出入国審査方法が提供される。なお、本発明の効果は上記に限定されない。本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。

一実施形態の概要を説明するための図である。 第１の実施形態に係る入国審査システムの概略構成の一例を示す図である。 第１の実施形態に係る照合サーバの処理構成の一例を示す図である。 ゲート利用者データベースの一例を示す図である。 第１の実施形態に係る照合サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。 第１の実施形態に係る管理サーバの処理構成の一例を示す図である。 渡航者データベースの一例を示す図である。 第１の実施形態に係る動作モード決定部の動作を説明するための図である。 第１の実施形態に係るゲート装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 第１の実施形態に係るゲート装置の処理構成の一例を示す図である。 照合要求の一例を示す図である。 第１の実施形態に係る指紋取得部の動作を説明するための図である。 第１の実施形態に係るゲート制御部の動作を説明するための図である。 第１の実施形態に係る入国審査システムの動作の一例を示すシーケンス図である。 第１の実施形態に係る入国審査システムの動作の一例を示すシーケンス図である。 第２の実施形態に係るゲート装置の処理構成の一例を示す図である。 デジタルサイネージの表示の一例を示す図である。

はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、特段の釈明がない場合には、各図面に記載されたブロックはハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表す。各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号（データ）の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。

一実施形態に係るゲート装置１００は、通信部１０１と、切り替え部１０２と、を備える（図１参照）。通信部１０１は、出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、計算された利用者の比率に基づきゲート装置の動作モードを決定する、管理サーバと通信する。切り替え部１０２は、審査対象者の出入国審査に関する動作モードを管理サーバが決定した動作モードに切り替える。

上記管理サーバを含む出入国審査システムでは、当該管理サーバが、特定期間における利用者全体に対する特定の国籍を持つ利用者の比率を計算する。管理サーバは、当該計算された比率に基づき、ゲート装置１００の動作モード（例えば、日本人を審査する第１の動作モード、外国人を審査する第２の動作モード）を切り替える。管理サーバは、出入国審査を受ける第１の国籍の利用者（例えば、日本人）が増えると予測した場合には、当該第１の国籍の利用者に関する出入国審査を担うゲート装置１００の数を増やす。管理サーバは、出入国審査を受ける第２の国籍（第１の国籍以外の国籍；例えば、外国人）の利用者が増えると予測した場合には、当該第２の国籍の利用者に関する出入国審査を担うゲート装置１００の数を増やす。管理サーバは、前記計算された利用者の比率に応じてゲート装置１００の動作モードを適切に選択することで、出入国審査システムのスループットを向上させることができる。

以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。

［第１の実施形態］
第１の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。

図２は、第１の実施形態に係る入国審査システムの概略構成の一例を示す図である。図２を参照すると、入国審査システムには、複数のゲート装置１０－１～１０－３と、照合サーバ２０と、管理サーバ３０と、が含まれる。

なお、以降の説明において、ゲート装置１０－１～１０－３を区別する特段の理由がない場合には単に「ゲート装置１０」と表記する。また、図２には３台のゲート装置１０を図示しているがシステムに含まれるゲート装置１０の台数を限定する趣旨ではないことは勿論である。入国審査システムには、少なくとも１台以上のゲート装置１０が含まれていればよい。

ゲート装置１０は、利用者の出入国に関する審査手続きを自動的に行う装置である。ゲート装置１０は、開閉可能に構成されたゲートを備えている。ゲート装置１０は、自装置の面前に位置する人物が入国審査を通過したと判断した場合に、ゲートを開門して利用者の通過を許可する。このように、ゲート装置１０は、利用者の入国審査の結果に応じてゲートを制御する。

ゲート装置１０は、審査内容の異なる入国審査に対応している。具体的には、ゲート装置１０は、日本人の入国審査を自動的に行う機能と、外国人の入国審査を自動的に行う機能と、を備える。ゲート装置１０は、これら２つの機能を同時に（並行して）有効とすることはなく、いずれか一方の機能を有効にして入国審査を行う。なお、以降の説明において、日本人の入国審査を自動的に行う際の動作モードを「日本人審査モード」、外国人の入国審査を自動的に行う際の動作モードを「外国人審査モード」と表記する。

照合サーバ２０は、上記ゲート装置１０による入国審査を実現するための装置である。例えば、照合サーバ２０は、ゲート装置１０を利用可能な利用者に関する情報（以下、ゲート利用者情報と表記する）を記憶する。具体的には、照合サーバ２０は、利用者の生体情報と当該利用者に対して発行されたパスポートの機械読取領域（Machine Readable Zone；ＭＲＺ）に記載された情報（以下、ＭＲＺ情報と表記する）を対応付けて記憶する。

利用者の生体情報には、例えば、顔、指紋、声紋、静脈、網膜、瞳の虹彩の模様（パターン）といった個人に固有の身体的特徴から計算されるデータ（特徴量）が例示される。あるいは、利用者の生体情報は、顔画像、指紋画像等の画像データであってもよい。利用者の生体情報は、利用者の身体的特徴を情報として含むものであればよい。

パスポートのＭＲＺに記載された情報（ＭＲＺ情報）には、利用者の姓名、国籍、性別、生年月日、旅券番号、有効期間満了日等が含まれる。

管理サーバ３０は、ゲート装置１０の動作モードを管理する装置である。管理サーバ３０は、入国審査を受けると想定される利用者の国籍の割合に基づきゲート装置１０の動作モードを決定する。より具体的には、管理サーバ３０は、利用者の国籍割合（国籍比率）に基づき稼働中のゲート装置１０のうち動作モードを切り替えるゲート装置１０を決定する。管理サーバ３０は、決定した動作モードをゲート装置１０に通知（設定）する。なお、以降の説明において、入国審査を受けると想定される利用者の特定の国籍における割合（利用者全体における邦人の割合、又は、利用者全体における外国人の割合）を「特定国籍利用者率」、又は、単に「利用者比率」と表記する。

ゲート装置１０、照合サーバ２０及び管理サーバ３０は、有線又は無線の通信手段により相互に通信可能に構成されている。照合サーバ２０、管理サーバ３０は、ゲート装置１０と同じ空港内に設置されていてもよいし、ネットワーク（クラウド）上に設置されていてもよい。また、図２では、照合サーバ２０と管理サーバ３０は異なる装置として記載されているが、これらのサーバは同じ装置に実装されていてもよい。

［入国審査システムの概略動作］
続いて、図２を参照しつつ、第１の実施形態に係る入国審査システムの概略動作について説明する。

管理サーバ３０は、航空会社から渡航者情報を取得する。管理サーバ３０は、取得した渡航者情報に基づき、入国審査の対象となる利用者における日本人数、外国人数に関する割合を計算する。

ここでは、利用者全体に対する日本人の割合を特定国籍利用者率（利用者比率、日本人比率）として計算する。但し、利用者率の計算を限定する趣旨ではなく、外国人の割合が利用者比率として計算されてもよい。あるいは、特定国籍利用者率は、入国審査を受ける日本人数に対する外国人数の比率、又は、外国人数に対する日本人数の比率と捉えることもできる。

管理サーバ３０は、利用者比率に基づき、ゲート装置１０の動作モードを決定する。例えば、日本人比率が高ければ、管理サーバ３０は、日本人審査モードで動作するゲート装置１０の数を多くする。

管理サーバ３０は、決定した動作モードを各ゲート装置１０の動作に反映する。具体的には、管理サーバ３０は、複数のゲート装置１０のうち動作モードを変更するゲート装置１０に対して「設定切り替え通知」を送信する。当該通知を受けたゲート装置１０は、動作モードを切り替え、新たに設定された動作モードにて利用者の入国審査を行う。

ゲート装置１０は、自身の動作モードを利用者（審査待機者）が確認可能となるような表示等を行う。例えば、ゲート装置１０は、本体や本体から鉛直方向上向きに延伸する支持部（柱）に取り付けられた天井部分に設けられたディスプレイに動作モードに応じた表示を行う。例えば、日本人審査モードで動作している場合には、ゲート装置１０は、「日本人の自動審査が可能です」のような表示を上記ディスプレイに行う。同様に、外国人審査モードで動作している場合には、ゲート装置１０は、「外国人の自動審査が可能です」のように表示を外国人が理解可能な言語（例えば、英語）で行う。あるいは、ゲート装置１０は、「外国人の自動審査が可能です」といった表示を、言語（例えば、英語、中国語）を切り替えながら行う。

入国審査システムの利用者に関するゲート利用者情報が、例えば、利用者の出国前に照合サーバ２０に登録される。つまり、利用者の搭乗日前又は搭乗日当日の出発前にゲート利用者情報が照合サーバ２０に登録される。照合サーバ２０は、ゲート利用者情報を格納するためのデータベースを備え、利用者登録がなされると、当該データベースに各利用者のエントリが追加される。なお、以降の説明において、ゲート利用者情報を格納するためのデータベースを「ゲート利用者データベース」と表記する。ゲート利用者データベースには、少なくとも１以上の利用者の生体情報と、当該少なくとも１以上の利用者に発行されたパスポートの機械読取領域に記載されたＭＲＺ情報と、が対応付けて記憶される。

利用者は、搭乗日に出発空港を訪れる。利用者は、チェックイン、セキュリティチェック等の搭乗のための手続きが終了すると航空機に搭乗する。利用者を乗せた航空機が到着空港（ゲート装置１０が設置された空港）に到着すると、利用者は、ゲート装置１０が設置されたエリア（入国審査場）に移動する。

利用者は、入国審査場に到着すると、ゲート装置１０に向かって移動する。

ゲート装置１０は、利用者が自装置（ゲート装置１０）に近づくと（利用者と自装置の間の距離が所定の距離以下となると）、当該利用者から生体情報を取得（生成）する。なお、ゲート装置１０が取得する生体情報は、照合サーバ２０にゲート利用者情報として登録された生体情報と同種の情報とする。

ゲート装置１０は、当該取得した生体情報を照合サーバ２０に送信する。より具体的には、ゲート装置１０は、上記取得した生体情報を含む「照合要求」を照合サーバ２０に送信する。

照合サーバ２０は、受信した生体情報をキーとしてゲート利用者データベースを検索し、当該受信した生体情報に対応するＭＲＺ情報を特定する。照合サーバ２０は、当該特定したＭＲＺ情報を含む応答（照合要求に対する応答）をゲート装置１０に送信する。

ゲート装置１０は、取得したＭＲＺ情報に基づき審査対象者の国籍を特定する。上述のように、ＭＲＺ情報にはパスポート所持者の国籍が含まれているので、ゲート装置１０は、ＭＲＺ情報から利用者の国籍を知ることができる。

利用者は、ゲート装置１０に到着すると、ゲート装置１０に設けられた読取機（後述する読取機３１６）の上に所持するパスポートをかざす（パスポートを読取機にタッチする）。即ち、利用者は、駅の改札にて交通系ＩＣ（Integrated Circuit）カードをカードリーダに接触させるように、パスポートをゲート装置１０の読取機に接触させる。

ゲート装置１０は、読取機を介してパスポートのＩＣチップに記載された情報の読み出しを試みる。ゲート装置１０は、照合サーバ２０から取得したＭＲＺ情報を用いてＩＣチップの格納された情報の読み出しに成功すると利用者が正しいパスポートを所持していると判断する。

ゲート装置１０は、動作モードが「日本人審査モード」、ＭＲＺ情報から得られる国籍が「日本国」、及び、当該利用者が正しいパスポートを所持している場合には、ゲートを開く。

ゲート装置１０は、動作モードが「外国人審査モード」、且つ、ＭＲＺ情報から得られる国籍が「日本国以外（外国）」である場合、指紋スキャナを利用して指紋の採取を試みる。ゲート装置１０は、画質の問題のない指紋が採取され、且つ、当該利用者（外国人の利用者）が正しいパスポートを所持している場合に、ゲートを開く。

利用者は、ゲートを通過し、入国審査が終了する。

続いて、第１の実施形態に係る入国審査システムに含まれる各装置の詳細について説明する。なお、以降の説明では、照合サーバ２０に登録される生体情報として人の「顔」に関する情報を例に取り説明する。

［照合サーバ］
図３は、第１の実施形態に係る照合サーバ２０の処理構成（処理モジュール）の一例を示す図である。図３を参照すると、照合サーバ２０は、通信制御部２０１と、利用者情報登録部２０２と、第１の照合部２０３と、記憶部２０４と、を含む。

通信制御部２０１は、他の装置との間の通信を制御する手段である。具体的には、通信制御部２０１は、ゲート装置１０からデータ（パケット）を受信する。また、通信制御部２０１は、ゲート装置１０に向けてデータを送信する。

利用者情報登録部２０２は、ゲート利用者情報を取得し、記憶部２０４に構築されたゲート利用者データベースに当該取得したゲート利用者情報を登録する手段である。ゲート利用者情報の取得には任意の方法を用いることができる。

例えば、パスポートの発行窓口において担当職員がゲート利用者情報を照合サーバ２０に登録してもよい。具体的には、担当職員がスキャナを操作し、パスポートの顔写真とＭＲＺが記載されたページを読み取る。担当職員は、端末（発行窓口に設置されたコンピュータ）を操作し、上記読み取られたデータ（画像データ）を照合サーバ２０に送信する。あるいは、ＵＳＢ（Universal Serial Bus）メモリ等の外部記憶装置を介して上記読み取られたデータが照合サーバ２０に入力されてもよい。

空港におけるチェックイン手続きの際に上記データ（顔写真、ＭＲＺを含む画像データ）が照合サーバ２０に入力されてもよい。具体的には、航空会社の職員が、利用者のパスポートを確認する際、上記顔写真とＭＲＺが記載されたページを、スキャナを用いて読み取る。航空会社の職員が、当該読み取られたデータを端末から照合サーバ２０に向けて送信してもよい。

あるいは、所謂、自動チェックイン機を用いて利用者自身が上記顔写真とＭＲＺが記載されたページを読み取ってもよい。この場合、自動チェックイン機から当該読み取られたデータが照合サーバ２０に向けて送信される。

利用者が、パスポートの顔写真とＭＲＺが記載されたページを撮影し、顔写真及びＭＲＺを含む画像データを取得してもよい。具体的には、利用者は、スマートフォン等を利用しパスポートの顔写真とＭＲＺが含まれるページを撮影する。その後、スマートフォン等から上記撮影された画像データが照合サーバ２０に送信される。

あるいは、外国に渡航した利用者の履歴が保存されたデータベースから上記顔写真とＭＲＺを含む画像データが取得されてもよい。具体的には、過去に有人の出入国ブースにて顔写真とＭＲＺが取得され、データベースに登録されている場合には、当該データベースから上記画像データが照合サーバ２０に送信されてもよい。

利用者情報登録部２０２は、上記説明したいずれかの方法又は他の方法により、利用者のパスポートに記載された顔写真とＭＲＺを含む画像データを取得する。

利用者情報登録部２０２は、取得した画像データに含まれる顔画像から特徴点を抽出する。なお、特徴点の抽出処理に関しては既存の技術を用いることができるのでその詳細な説明を省略する。例えば、利用者情報登録部２０２は、顔画像から目、鼻、口等を特徴点として抽出する。その後、利用者情報登録部２０２は、特徴点それぞれの位置や各特徴点間の距離を特徴量として計算し、複数の特徴量からなる特徴ベクトル（顔画像を特徴づけるベクトル情報）を生成する。

利用者情報登録部２０２は、ＭＲＺ情報が含まれる画像データからＭＲＺ情報を抽出する。具体的には、利用者情報登録部２０２は、光学文字認識（Optical Character Recognition：ＯＣＲ）技術を用いて画像データからＭＲＺ情報を抽出する。

利用者情報登録部２０２は、上記生成された特徴ベクトルと抽出されたＭＲＺ情報を対応付けてゲート利用者データベースに登録する。

図４は、ゲート利用者データベースの一例を示す図である。図４に示すように、顔画像から生成された特徴ベクトルが生体情報として登録される。また、各生体情報（特徴ベクトル）に対応するＭＲＺ情報がゲート利用者データベースに登録される。

第１の照合部２０３は、ゲート装置１０が送信する照合要求を処理する手段である。具体的には、第１の照合部２０３は、照合要求に含まれる生体情報（特徴ベクトル）を照合対象に設定し、ゲート利用者データベースに登録された生体情報との間で照合処理を行う。

より具体的には、第１の照合部２０３は、照合要求から取り出した特徴ベクトルを照合対象に設定し、ゲート利用者データベースに登録されている複数の特徴ベクトルとの間で１対Ｎ（Ｎは正の整数、以下同じ）照合を実行する。

第１の照合部２０３は、照合対象の特徴ベクトルと登録側の複数の特徴ベクトルそれぞれとの間の類似度を計算する。当該類似度には、カイ二乗距離やユークリッド距離等を用いることができる。なお、距離が離れているほど類似度は低く、距離が近いほど類似度が高い。

第１の照合部２０３は、ゲート利用者データベースに登録された複数の特徴ベクトルのうち、照合対象の特徴ベクトルとの間の類似度が所定の値以上、且つ、最も類似度が高い特徴ベクトルを特定する。

第１の照合部２０３は、１対Ｎ照合の結果得られる特徴ベクトル（生体情報）に対応するＭＲＺ情報をゲート利用者データベースから読み出す。第１の照合部２０３は、当該読み出したＭＲＺ情報を、照合要求の送信元のゲート装置１０に送信する（照合要求に応答する）。

例えば、図４の例では、ゲート装置１０から取得した特徴ベクトルＦＶが、ゲート利用者データベースに格納された特徴ベクトルＦＶ１に最も類似し、且つ、類似度が所定の値以上であれば、対応するＭＲＺ０１がゲート装置１０に送信される。

第１の照合部２０３は、上記１対Ｎ照合を実行した結果、照合要求に含まれる生体情報に一致（実質的に一致又は類似）する生体情報がゲート利用者データベースに登録されていなければその旨をゲート装置１０に通知する。例えば、第１の照合部２０３は、「Ｎｏｎｅ」を設定し、ゲート装置１０に応答する。

あるいは、第１の照合部２０３は、ゲート装置１０に対して何らの応答をしないことで、照合要求に含まれる生体情報がゲート利用者データベースに不存在であることをゲート装置１０に通知してもよい。この場合、照合要求を送信したゲート装置１０は、照合サーバ２０から所定期間の間に照合サーバ２０から応答を受信できないことにより、照合要求に含まれる生体情報がゲート利用者データベースに不存在であることを認識する。

記憶部２０４は、照合サーバ２０の動作に必要な各種情報を記憶する。また、上述のように、記憶部２０４にゲート利用者データベースが構築される。

図５は、第１の実施形態に係る照合サーバ２０のハードウェア構成の一例を示す図である。照合サーバ２０は、情報処理装置（所謂、コンピュータ）により構成可能であり、図５に例示する構成を備える。例えば、照合サーバ２０は、プロセッサ２１１、メモリ２１２、入出力インターフェイス２１３及び通信インターフェイス２１４等を備える。上記プロセッサ２１１等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。

但し、図５に示す構成は、照合サーバ２０のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。照合サーバ２０は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス２１３を備えていなくともよい。また、照合サーバ２０に含まれるプロセッサ２１１等の数も図５の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ２１１が照合サーバ２０に含まれていてもよい。

プロセッサ２１１は、例えば、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＭＰＵ（Micro Processing Unit）、ＤＳＰ（Digital Signal Processor）等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ２１１は、ＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）等のデバイスであってもよい。プロセッサ２１１は、オペレーティングシステム（ＯＳ；Operating System）を含む各種プログラムを実行する。

メモリ２１２は、ＲＡＭ（Random Access Memory）、ＲＯＭ（Read Only Memory）、ＨＤＤ（Hard Disk Drive）、ＳＳＤ（Solid State Drive）等である。メモリ２１２は、ＯＳプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。

入出力インターフェイス２１３は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。

通信インターフェイス２１４は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス２１４は、ＮＩＣ（Network Interface Card）等を備える。

照合サーバ２０の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ２１２に格納されたプログラムをプロセッサ２１１が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント（non-transitory）なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。

［管理サーバ］
続いて、第１の実施形態に係る管理サーバ３０について説明する。管理サーバ３０は、出入国審査を受ける利用者全体に対する第１の国籍（例えば、日本国籍）を持つ利用者の比率を計算し、当該計算された利用者の比率に基づきゲート装置１０の動作モードを決定する装置である。なお、管理サーバ３０のハードウェア構成は照合サーバ２０のハードウェア構成と同一とすることができるのでその説明を省略する。

図６は、第１の実施形態に係る管理サーバ３０の処理構成（処理モジュール）の一例を示す図である。図６を参照すると、管理サーバ３０は、通信制御部３０１と、渡航者情報取得部３０２と、利用者比率計算部３０３と、動作モード決定部３０４と、記憶部３０５と、を備える。

通信制御部３０１は、他の装置との間の通信を制御する手段である。具体的には、通信制御部３０１は、後述する航空会社サーバ等からデータ（パケット）を受信する。また、通信制御部３０１は、ゲート装置１０に向けてデータを送信する。

渡航者情報取得部３０２は、外国から日本国に到着する航空機を運航する航空会社が管理運用する航空会社サーバ（図示せず）から渡航者情報を取得する手段である。なお、航空会社サーバは、外国から日本国に渡航する渡航者が利用する航空機を運航する航空会社とは異なる会社、団体等が管理運用するサーバであってもよい。

渡航者情報は、外国から日本国に渡航する渡航者に関する情報を含む。渡航者情報には、渡航者のパスポート情報、フライト情報等が含まれる。

パスポート情報は、パスポートの発行国、パスポートの番号、氏名、国籍、生年月日、性別等を含む。

フライト情報は、航空会社、便名、出発地、到着地、出発日時、到着日時等を含む。出発地及び到着地は、それぞれ出発する空港及び到着する空港を意味しうる。

各国の航空会社は、利用者（日本国への渡航者）が航空機を予約する際や搭乗手続き（チェックイン手続き等）の際、上記パスポート情報、フライト情報を取得し、これらの情報を対応付けて渡航者情報とする。

航空会社サーバは、上記渡航者情報を予め定めたタイミングや予め定められた期間等に管理サーバ３０に送信する。例えば、航空会社サーバは、渡航者がチェックイン手続きを終了し、航空機が出発するまでの間に上記渡航者情報を管理サーバ３０に送信する。あるいは、航空会社サーバは、渡航者を乗せた航空機が出発空港を離陸したタイミングや当該航空機が到着空港に着陸したタイミングで上記渡航者情報を管理サーバ３０に送信する。

なお、航空会社が通常設置、管理している既存のサーバが、収集したフライト情報等の送信先を本願開示の管理サーバ３０にするようにすれば航空会社サーバが実現できるので、当該サーバに対する更なる詳細な説明を省略する。

渡航者情報取得部３０２は、取得した渡航者情報を渡航者データベースに追加する。渡航者データベースは、複数の渡航者情報を記憶するデータベースである（図７参照）。

利用者比率計算部３０３は、上記説明した特定国籍利用者率（利用者比率）を計算する手段である。利用者比率計算部３０３は、定期的又は予め定められたイベントの発生等のタイミング等で利用者比率を計算する。例えば、利用者比率計算部３０３は、１時間ごとに利用者比率（例えば、日本人比率）を計算する。あるいは、利用者比率計算部３０３は、システム管理者からの指示に従って利用者比率を計算する。

利用者比率計算部３０３は、渡航者データベースにアクセスし、利用者比率の計算時から所定時間前の間に到着した各航空機の搭乗者の国籍を取得する。利用者比率計算部３０３は、取得した国籍に基づき、上記期間における日本人数を計算する。

利用者比率計算部３０３は、日本人数を利用者の総数（上記期間における日本人数と外国人数の総和）で除算することで利用者比率（日本人比率）を計算する（式（１）参照）。

［数１］
利用者比率（日本人比率）＝日本人総数÷利用者総数
・・・（１）

利用者比率計算部３０３は、計算した利用者比率を動作モード決定部３０４に引き渡す。

動作モード決定部３０４は、利用者比率に基づいてゲート装置１０の動作モードを決定する手段である。具体的には、動作モード決定部３０４は、複数のゲート装置１０のうち少なくとも１台以上のゲート装置１０に関する動作モードを決定する。例えば、動作モード決定部３０４は、利用者比率（日本人比率）が高ければ日本人の入国審査に対応したゲート装置１０の数が多くなるように各ゲート装置１０の動作モードを決定する。対して、動作モード決定部３０４は、日本人比率が低ければ外国人の入国審査に対応したゲート装置１０の数が多くなるように各ゲート装置１０の動作モードを決定する。

例えば、動作モード決定部３０４は、利用者比率と日本人審査モードで動作させるゲート装置１０の数を対応付けたテーブル情報を参照して、ゲート装置１０の動作モードを決定する。例えば、動作モード決定部３０４は、図８に示すようなテーブル情報を参照し、日本人審査モードで動作するゲート装置１０の数を決定する。

動作モード決定部３０４は、日本人審査モードで動作するゲート装置１０の数を決定すると、動作モードを変更するゲート装置１０を決定する。具体的には、動作モード決定部３０４は、日本人審査モードで動作するゲート装置１０の台数を増やす場合には、外国人審査モードで動作しているゲート装置１０から増加分（変更分）の台数を選択する。動作モード決定部３０４は、当該選択されたゲート装置１０に対して動作モードの変更指示を行う。上記の例では、動作モード決定部３０４は、選択されたゲート装置１０に対して日本人審査モードで動作するように設定切り替え通知を送信する。

なお、記憶部３０５には、ゲート装置１０の識別子とゲート装置１０の動作モードを対応付けるゲート装置管理テーブルが格納されており、動作モード決定部３０４は、設定切り替え通知の送信時等に当該管理テーブルを更新する。

記憶部３０５は、管理サーバ３０の動作に必要な情報を記憶する。また、上述のように、記憶部３０５に搭乗者データベースが構築される。

［ゲート装置］
続いて、第１の実施形態に係るゲート装置１０について説明する。

図９は、第１の実施形態に係るゲート装置１０のハードウェア構成の一例を示す図である。図９を参照すると、ゲート装置１０は、プロセッサ３１１と、メモリ３１２と、入出力装置３１３と、通信インターフェイス３１４と、カメラ装置３１５と、読取機３１６と、指紋スキャナ３１７と、ゲート３１８と、を備える。

なお、プロセッサ３１１、メモリ３１２及び通信インターフェイス３１４に関しては、図５を用いて説明した照合サーバ２０の対応する要素と同一とすることができるので詳細な説明を省略する。

入出力装置３１３は、ゲート装置１０に情報を入力するための装置（例えば、タッチパネル）や情報を出力するための装置（例えば、液晶モニタ等のディスプレイ）である。

カメラ装置３１５は、例えば、ゲート装置１０の前方を撮影可能に設置されたデジタルカメラである。カメラ装置３１５は任意の場所に設置することができる。例えば、カメラ装置３１５はゲート装置１０の本体に設置されていてもよいし、ゲート装置１０から離れた場所に設置されていてもよい。カメラ装置３１５は、ゲート装置１０に近づいてくる利用者（特に、利用者の顔）を撮影可能であれば、どのような場所に設置されていてもよい。

読取機３１６は、パスポートから情報を読み出す装置である。読取機３１６は、パスポートに搭載されたＩＣチップにアクセスする機能と、載置されたパスポートのページをスキャンする機能と、を備える。即ち、読取機３１６は、パスポートのＩＣチップと非接触の状態にて情報（データ）をやり取りするカードリーダとしての機能と、パスポートから画像を取得するパスポートリーダ（スキャナ）としての機能と、を備える。読取機３１６は任意の場所に設置することができる。ただし、読取機３１６は、利用者がパスポートを容易に当該装置に触れることができる場所に設置されるのが好ましい。なお、本願開示では、読取機３１６は、カードリーダとしての機能とパスポートリーダとしての機能を備えるものとして説明するが、これら２つの機能が異なる装置により実現されていても良いことは勿論である。

指紋スキャナ３１７は、人の指紋を取得する装置である。指紋スキャナ３１７は、最大で１０本の指から指紋を採取できる。

ゲート３１８は、利用者が入国審査を通過した場合に、利用者の通行を遮る待機時の閉鎖状態から利用者の通行を許可する開放状態に移行する。ゲート３１８の方式は、特に限定されるものではなく、例えば、通路の片側又は両側から設けられたフラッパーが開閉するフラッパーゲート、３本バーが回転するターンスタイルゲート等である。

図１０は、第１の実施形態に係るゲート装置１０の処理構成（処理モジュール）の一例を示す図である。図１０を参照すると、ゲート装置１０は、通信制御部４０１と、動作モード切り替え部４０２と、動作モード周知部４０３と、生体情報取得部４０４と、を備える。ゲート装置１０は、照合要求部４０５と、パスポート所持判定部４０６と、国籍特定部４０７と、指紋取得部４０８と、ゲート制御部４０９と、記憶部４１０と、をさらに備える。

通信制御部４０１は、照合サーバ２０の通信制御部２０１と同様に他の装置との間の通信を制御する手段である。

動作モード切り替え部４０２は、審査対象者の出入国審査に関する動作モードを管理サーバ３０が決定した動作モードに切り替える手段である。具体的には、動作モード切り替え部４０２は、管理サーバ３０から受信する「設定切り替え通知」に従い、自装置の動作モードを切り替える。動作モード切り替え部４０２は、取得した動作モードを自装置の動作モードを管理するパラメータに設定する。当該パラメータは記憶部４１０に記憶されている。

動作モード周知部４０３は、自装置の動作モードを利用者（審査待機者）に周知するための手段である。例えば、動作モード周知部４０３は、液晶モニタ等のディスプレイに現在の動作モードに応じた表示を行う。

生体情報取得部４０４は、ゲート装置１０を通過しようとする利用者の生体情報を取得する手段である。例えば、生体情報取得部４０４は、カメラ装置３１５を制御し、自装置（ゲート装置１０）に向かって歩いてくる人物の顔画像を取得する。例えば、生体情報取得部４０４は、常時又は定期的に撮影する画像中に利用者の顔を検出すると、当該利用者の顔を撮影してその顔画像を取得する。

生体情報取得部４０４は、撮影した画像に含まれる顔領域のサイズが所定値以上である場合に、当該顔領域を画像から抽出してもよい。この場合、上記所定値（閾値）を適切に調整することで、ゲート装置１０から所定の距離に位置する利用者の顔画像を取得することができる。つまり、ゲート装置１０から遠く離れた位置の利用者が撮影され、顔認証（照合サーバ２０による１対Ｎ照合）に不適な生体情報が照合サーバ２０に送信されることを防ぐことができる。

あるいは、生体情報取得部４０４は、距離センサ等を用いてゲート装置１０と利用者の間の距離を測定し、所定位置に存在する利用者の顔画像を取得するようにしてもよい。

生体情報取得部４０４は、取得した顔画像を照合要求部４０５に引き渡す。

照合要求部４０５は、取得した顔画像に対応する人物の生体情報がゲート利用者データベースに登録されているか否かの照合を照合サーバ２０に要求する手段である。具体的には、照合要求部４０５は、取得した顔画像から特徴量を計算し、当該複数の特徴量からなる特徴ベクトルを生成する（照合サーバ２０に登録された生体情報に対応する特徴ベクトルを生成する）。

照合要求部４０５は、当該生成された特徴ベクトル（生体情報）を含む照合要求を生成し、通信制御部３０１を介して当該生成した照合要求を照合サーバ２０に送信する。

例えば、照合要求部４０５は、自装置の識別子（以下、ゲート識別子と表記する）、特徴ベクトル等を含む照合要求を生成する（図１１参照）。なお、ゲート識別子には、ゲート装置１０のMAC（Media Access Control）アドレスやIP（Internet Protocol）アドレスを用いることができる。

照合要求部４０５は、通信制御部３０１を介して照合要求に対する照合サーバ２０からの応答を受信する。照合要求部４０５は、照合サーバ２０からの応答（１対Ｎ照合により特定された特徴ベクトルに対応するＭＲＺ情報）をパスポート所持判定部４０６、国籍特定部４０７に引き渡す。

パスポート所持判定部４０６は、ゲート装置１０を通過しようとしている利用者が正しいパスポートを所持しているか否かを判定する手段である。具体的には、パスポート所持判定部４０６は、照合要求部４０５から取得したＭＲＺ情報を用いて読取機３１６にかざされているパスポートのＩＣチップから情報を読み取れるか否かを試みる。

ここで、下記参考文献１の「ＩＣ旅券の安全対策」に記載されたように、パスポートのＩＣチップに格納された情報は、同じパスポートに記載されたＭＲＺ情報をパスワードとして暗号化（変換）されている。
＜参考文献１＞
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic_faq.html#11

パスポート所持判定部４０６は、照合サーバ２０から取得したＭＲＺ情報を用いてＩＣチップから情報を読み出せた場合（情報の復号に成功した場合）には、ゲート装置１０を通過しようとする利用者は正しいパスポートを所持していると判定する。

対して、パスポート所持判定部４０６は、照合サーバ２０から取得したＭＲＺ情報を用いてＩＣチップから情報を読み出せない場合には、ゲート装置１０を通過しようとする利用者は正しいパスポートを所持していないと判定する。

このように、パスポート所持判定部４０６は、ＭＲＺ情報を用いてＩＣチップから情報を読み出すことに成功すれば（暗号が復号できれば）利用者が正しいパスポートを所持していると判定する。従って、パスポート所持判定部４０６は、ＩＣチップから読み出した情報の内容を確認してもよいし確認しなくともよい。

パスポート所持判定部４０６は、ゲート装置１０を通過しようとする利用者が正しいパスポートを所持していると判定した場合には、その旨をゲート制御部４０９に通知する。

パスポート所持判定部４０６は、ゲート装置１０を通過しようとする利用者が正しいパスポートを所持していないと判定した場合には、特段の動作は行わない。即ち、ゲート装置１０を通過しようとする利用者が正しいパスポートを所持していないと判定された場合には、ゲート３１８が開門することはない。

国籍特定部４０７は、ゲート装置１０を通過しようとしている利用者の国籍を特定する手段である。具体的には、国籍特定部４０７は、照合要求部４０５から取得したＭＲＺ情報に基づき利用者の国籍が日本国であるのか外国であるのか特定する。国籍特定部４０７は、特定結果（日本国、外国）を指紋取得部４０８及びゲート制御部４０９に通知する。

指紋取得部４０８は、指紋スキャナ３１７を用いて利用者の指紋を取得する手段である。指紋取得部４０８は、動作モードが「日本人審査モード」の場合には特段の動作を行わない。

対して、指紋取得部４０８は、動作モードが「外国人審査モード」の場合には、利用者の指紋を取得する。例えば、指紋取得部４０８は、利用者に対して指紋を採取するための動作を指示する。例えば、指紋取得部４０８は、図１２に示すような内容のメッセージを液晶モニタ等に表示する。指紋取得部４０８は、指紋スキャナ３１７を制御して指紋画像を取得する。指紋取得部４０８は、取得した指紋画像の品質（画質）を確認し、所定の基準を満たしていればステータスを「指紋取得成功」に設定する。対して、指紋取得部４０８は、取得した指紋画像が所定の基準を満たしていなければステータスを「指紋取得失敗」に設定する。

なお、上記所定の基準には、例えば、指紋の稜線が明瞭に写っている面積（有効面積）の大きさとすることができる。あるいは、取得した指紋画像と予め定めたテンプレート画像を比較し、その一致度（類似度）が上記所定の基準に設定されてもよい。あるいは、指紋画質の判定に機械学習により得られた学習モデルが使用されてもよい。例えば、指紋の鑑識官が基準を満たしていると判断した指紋画像を多数収集し、当該指紋画像にラベルを付与して教師データとして学習モデルを生成することができる。学習モデルの生成には、サポートベクタマシン、ブースティングやニューラルネットワーク等の任意のアルゴリズムを用いることができる。なお、上記サポートベクタマシン等のアルゴリズムは公知の技術を使用することができるので、その説明を省略する。指紋取得部４０８は、取得した指紋画像を学習モデルに入力し、ラベル付きの指紋画像との類似度に応じて指紋画像の品質を判定してもよい。

指紋取得部４０８は、指紋取得失敗の場合には、指紋を再取得する旨を利用者に通知すると共に、指紋の再取得を行う。指紋取得部４０８は、所定の基準を満たした指紋が取得できた場合（ステータスが指紋取得成功の場合）、その旨をゲート制御部４０９に通知する。

ゲート制御部４０９は、ゲート装置１０が備えるゲート３１８を制御する手段である。ゲート制御部４０９は、審査対象者が出入国の審査を通過すると、当該審査対象者が通行可能となるようにゲート３１８を制御する。より具体的には、ゲート制御部４０９は、自装置の動作モード、国籍特定部４０７が特定した利用者の国籍、パスポート所持に関する判定及び指紋取得の結果に基づきゲートの開閉を制御する。

ゲート制御部４０９は、動作モードが「日本人審査モード」、審査対象者の国籍が「日本国」、パスポート所持の判定結果が「正しいパスポート所持」の場合、ゲート３１８を開門する。

ゲート制御部４０９は、動作モードが「日本人審査モード」、審査対象者の国籍が「外国」の場合、ゲート３１８の閉門状態を維持する。外国人の審査に必要な指紋の採取が行われていないので、ゲート装置１０は、当該審査対象者の通行を許可できない。この場合、ゲート装置１０は、外国人の審査に対応したゲート装置１０や有人の審査ブースに移動するように促すメッセージを表示する等の対応をしてもよい。

ゲート制御部４０９は、動作モードが「外国人審査モード」、審査対象者の国籍が「外国」、パスポート所持の判定結果が「正しいパスポート所持」、指紋の採取に成功している場合、ゲート３１８を開門する。

ゲート制御部４０９は、動作モードが「外国人審査モード」、審査対象者の国籍が「日本国」の場合、ゲート３１８の閉門状態を維持するのが望ましい。この場合、ゲート装置１０は、審査を正常に終了することはできるが、本来、日本人が外国人審査モードのゲート装置１０で審査を受けることはできない。そのため、ゲート装置１０がゲート３１８を開き審査対象者（日本人の利用者）の通過を許可すると他の利用者が不満に思うなどの問題が生じる。従って、ゲート装置１０は、日本人の審査に対応したゲート装置１０や有人の審査ブースに移動するように促すメッセージを表示する等の対応を行う。なお、ゲート制御部４０９は、動作モードが「外国人審査モード」、審査対象者の国籍が「日本国」の場合、ゲート３１８を開門しても良いことは勿論である。

上記ゲート制御部４０９の動作をまとめると図１３の通りとなる。

ゲート制御部４０９は、ゲート３１８の通行が許可された利用者（入国審査を通過した利用者）がゲート３１８を通過した後に当該ゲート３１８を閉門する。

［入国審査システムの動作］
次に、第１の実施形態に係る入国審査システムの動作について説明する。

図１４は、第１の実施形態に係る入国審査システムの動作の一例を示すシーケンス図である。図１４を参照し、管理サーバ３０の動作を中心に説明する。

管理サーバ３０は、航空会社サーバから「渡航者情報」を取得する（ステップＳ０１）。

管理サーバ３０は、定期的又は所定のタイミングにて利用者比率を計算する（ステップＳ０２）。

管理サーバ３０は、当該計算された利用者比率に基づいてゲート装置１０の動作モードを決定する（ステップＳ０３）。例えば、ゲート装置１０には、第１の国籍を持つ利用者（日本人）の入国を審査する第１の動作モードと、第２の国籍を持つ利用者（外国人）の入国を審査する第２の動作モードと、が設定可能である。管理サーバ３０は、複数のゲート装置１０のなかから動作モードの変更を行うゲート装置１０を選択する。

管理サーバ３０は、動作モードを切り替えるゲート装置１０に対して「設定切り替え通知」を送信する（ステップＳ０４）。

ゲート装置１０は、取得した設定切り替え通知に従い動作モードを切り替える（ステップＳ０５）。

ゲート装置１０は、切り替え後の動作モードを審査待機者に周知する（ステップＳ０６）。

図１５は、第１の実施形態に係る入国審査システムの動作の一例を示すシーケンス図である。図１５を参照し、ゲート装置１０の動作を中心に説明する。なお、図１５の動作に先立ち、利用者の「ゲート利用者情報」は予め照合サーバ２０に登録されているものとする。

利用者が自装置に近づいてくると、ゲート装置１０は、当該利用者から生体情報を取得する（ステップＳ１１）。例えば、ゲート装置１０は、利用者の顔画像を取得する。

顔画像の取得に成功すると、ゲート装置１０は、利用者の生体情報を含む照合要求を照合サーバ２０に向けて送信する（ステップＳ１２）。具体的には、ゲート装置１０は、顔画像から特徴ベクトルを算出し、当該算出した特徴ベクトルを含む照合要求を照合サーバ２０に送信する。

照合要求を取得した照合サーバ２０は、照合要求から生体情報（特徴ベクトル）を抽出し、当該特徴ベクトルを用いてゲート利用者データベースに登録された生体情報との間で１対Ｎ照合を実行する（ステップＳ１３）。照合サーバ２０は、ゲート利用者データベースに登録された複数の生体情報のうちゲート装置１０から取得した生体情報に最も類似し、且つ、類似度が所定の値以上の生体情報を検索する。

照合サーバ２０は、上記１対Ｎ照合の結果特定されたＭＲＺ情報を含む応答をゲート装置１０（照合要求を送信したゲート装置１０）に向けて送信する（ステップＳ１４）。

ゲート装置１０は、利用者が正しいパスポートを所持しているか否かを判定する（ステップＳ１５）。具体的には、ゲート装置１０は、受信したＭＲＺ情報を用いて読取機３１６にかざされたパスポートのＩＣチップから情報の読み取りを行い、情報が読み取れた場合に利用者は正しいパスポートを所持していると判定する。ゲート装置１０は、パスポートのＩＣチップから情報を読み取れない場合には、当該利用者は正しいパスポートを所持していないと判定する。

ゲート装置１０は、照合サーバ２０から取得したＭＲＺ情報に基づき利用者の国籍を特定する（ステップＳ１６）。

ゲート装置１０は、動作モードが「外国人審査モード」であれば（ステップＳ１７、Ｙｅｓ分岐）、利用者の指紋を取得する（ステップＳ１８）。ゲート装置１０は、動作モードが「日本人審査モード」であれば指紋取得に係る動作を行わない。

その後、ゲート装置１０は、ゲート３１８の開閉制御を行う（ステップＳ１９）。具体的には、ゲート装置１０は、利用者が日本人の場合には、当該利用者が正しいパスポートを所持していることが確認できればゲート３１８を開く。対して、ゲート装置１０は、利用者が外国人の場合には、当該利用者が正しいパスポートを所持していることに加え、指紋画像の取得が正常に終了した場合にゲート３１８を開く。

なお、自装置の動作モード（日本人審査モード、外国人審査モード）と審査対象者の国籍（日本国籍、外国籍）が一致しない場合には、ゲート装置１０は、ゲート３１８を開かない。即ち、１の動作モード（日本人審査モード）で動作している際に取得された審査対象者の国籍が第２の国籍（日本国籍以外；外国籍）の場合には、審査対象者の出入国は拒否される。この場合、ゲート装置１０は、国籍に一致したゲート装置１０に向かうように促す等のメッセージを出力する。

以上のように、第１の実施形態に係る入国審査システムでは、管理サーバ３０が、特定期間における利用者全体に対する日本人の比率を計算する。管理サーバ３０は、当該計算された比率に基づき、ゲート装置１０の動作モード（日本人審査モード、外国人審査モード）を切り替える。管理サーバ３０は、入国審査を受ける日本人の数が増えると予測した場合には、日本人の入国審査に対応したゲート装置１０の数を増やす。また、管理サーバ３０は、入国審査を受ける外国人の数が増えると予測した場合には、外国人の入国審査に対応したゲート装置１０の数を増やす。管理サーバ３０により動作モードが制御されるゲート装置１０は、自身の動作モードを審査対象者に周知するような動作を行う。そのため、審査対象者は、各ゲート装置１０の動作モードを容易に把握することができ、自分の国籍に適したゲート装置１０に並ぶことができる。

また、図８に示すようなテーブル情報の内容を最適に選択することで、入国審査システムのスループットを向上させることができる。上述のように、日本人と外国人では入国審査の内容が異なる。そのため、日本人と外国人では１人当たりに要する審査時間が異なる。従って、例えば、日本人比率が５０％の場合に、日本人審査モードで動作するゲート装置１０の数と外国人審査モードで動作するゲート装置１０の数を同数とすると、外国人の審査が停滞する。そのため、日本人比率が５０％であっても、外国人審査モードで動作するゲート装置１０の数を日本人動作モードで動作するゲート装置１０の数よりも多くすることで、両者の審査時間を同等とすることができる。なお、どの程度外国人動作モードで動作するゲート装置１０の数を多くするかについては、日本人及び外国人それぞれの入国審査に要する時間等に応じて決定すればよい。

また、管理者等が、審査の状況をリアルタイムに確認し、図８に示す情報を変更してもよい。あるいは、管理サーバ３０は、各ゲート装置１０が単位時間あたり（例えば、１０分間、１時間）に処理した利用者の数に基づき、動作モードを変更するゲート装置１０の数を決定してもよい。具体的には、ゲート装置１０は、各ゲート装置から単位時あたりの処理数を取得し、日本人審査モードで動作する各ゲート装置１０の処理数と外国人審査モードで動作する各ゲート装置１０の処理数を計算する。管理サーバ３０は、当該計算された２つの処理数（スループット）が実質的に同一となるように、ゲート装置１０の動作モードを決定してもよい。即ち、第１の入国審査システムでは、各ゲート装置１０のスループットを管理サーバ３０にフィードバックし、管理サーバ３０は当該フィードバックされたスループットに基づいてゲート装置１０の動作モードを決定してもよい。

また、第１の実施形態では、ゲート装置１０の利用を希望する利用者の生体情報を事前に照合サーバ２０に登録しておく。その上で、搭乗日になってゲート装置１０の前に利用者が現れると、ゲート装置１０は当該利用者の生体情報を取得し、当該取得した生体情報が照合サーバ２０に登録されているか否かを問い合わせる（生体情報を利用した１対Ｎ照合を照合サーバ２０に依頼する）。当該照合の結果、利用者の生体情報が照合サーバ２０に登録されていることが確認されると、ゲート装置１０は、利用者が提示するパスポートが真に当該利用者のパスポートであるか否かを確認する。具体的には、ゲート装置１０は、照合サーバ２０から顔認証の結果により特定されたＭＲＺ情報を用いて、パスポートのＩＣチップから情報を読み出せるか否かを確認する。さらに、ゲート装置１０は取得したＭＲＺ情報に基づき利用者の国籍を特定する。ゲート装置１０は、利用者が正しいパスポートを所持した外国人であれば当該利用者から指紋を取得した後に、入国審査を終了する。一方、ゲート装置１０は、利用者が日本人であれば正しいパスポートを所持していることが確認できたことを条件に入国審査を終了する。

［第２の実施形態］
続いて、第２の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。

第１の実施形態では、照合サーバ２０に登録されたゲート利用者情報の生体情報とＭＲＺ情報に矛盾（齟齬）がないことを前提としている。ゲート利用者情報を公的機関の職員が登録する場合には、上記矛盾が生じることは想定し難いが利用者がゲート利用者情報を照合サーバ２０に登録する場合には上記矛盾が生じる可能性が僅かに存在する。

上記矛盾が存在すると、正しい入国審査が行えず問題が生じる。第２の実施形態では、ゲート装置１０においても照合処理を行うことでより確実な入国審査を実現する場合について説明する。

なお、第２の実施形態において、入国審査システムの概略構成や照合サーバ２０等の処理構成は第１の実施形態と同様とすることができるので図２や図３等に相当する説明を省略する。以下、第１の及び第２の実施形態の相違点を中心に説明する。

図１６は、第２の実施形態に係るゲート装置１０の処理構成（処理モジュール）の一例を示す図である。図１６を参照すると、図１０に示す構成に対して第２の照合部４１１が追加されている。

第２の照合部４１１は、利用者の生体情報と当該利用者が読取機３１６に接触させたパスポートのＩＣチップから読み出した生体情報が一致するか否かの照合（１対１照合）を行う手段である。

生体情報取得部４０４は、取得した生体情報（例えば、カメラ装置３１５を用いて撮影された利用者の顔画像）を記憶部４１０に格納する。

パスポート所持判定部４０６は、照合サーバ２０から取得したＭＲＺ情報を使ってＩＣチップから情報を読み出すことに成功した場合には、読み出した情報のうち顔画像を第２の照合部４１１に引き渡す。

第２の照合部４１１は、パスポート所持判定部４０６から取得した顔画像と記憶部４１０に格納されている顔画像の照合（１対１照合）を実行する。具体的には、第２の照合部４１１は、２つの画像それぞれから特徴ベクトルを算出する。その後、第２の照合部４１１は、当該２つの画像の類似度（例えば、ユークリッド距離）を算出し、当該算出した類似度に対する閾値処理の結果に基づき、２つの画像が同一人物の顔画像か否かを判定する。例えば、類似度が所定の値よりも大きければ（距離が所定の値よりも短ければ）、第２の照合部４１１は２つの顔画像は同一人物によるものと判定する。

第２の照合部４１１は、１対１照合に成功すると（面前の利用者の顔画像と提示されたパスポートのＩＣチップから読み出した顔画像が一致すると）、利用者は正しいパスポートを所持していると判定する。

なお、第２の実施形態において、国籍特定部４０７は、ＭＲＺ情報から利用者の国籍を特定してもよいし、ＩＣチップから読み出した情報から利用者の国籍を特定してもよい。パスポートのＩＣチップにはパスポート所持者の氏名、国籍等の情報が記録されている。

このように、ゲート装置１０は、利用者から取得した生体情報と、利用者から提示されるＩＣチップから読み出した生体情報との照合が成功した場合に、当該利用者は正しいパスポートを所持していると判定する。即ち、ゲート装置１０は、上記２つの生体情報それぞれから得られる特徴ベクトル同士の距離が所定の距離よりも短く、２つの生体情報が実質的に同一と判断できる場合に、利用者が正しいパスポートを所持していると判定する。

以上のように、第２の実施形態では、ゲート装置１０に取り付けられたカメラ装置３１５から得られる利用者の顔画像と当該利用者から提示されたパスポートのＩＣチップから読み出した顔画像に関する１対１照合を実行する。ゲート装置１０は、当該１対１照合の結果、本人認証に成功した場合に利用者は正しいパスポートを所持していると判定する。即ち、照合サーバ２０に登録されたゲート利用者情報に矛盾があり第１の実施形態では問題となるような場合にも、第２の実施形態では最終的な本人認証を行うことで、本来、ゲート装置１０を通過してはならない利用者がゲート装置１０を通過することを防止できる。第２の実施形態では、照合サーバ２０における１対Ｎ照合の後にゲート装置１０にて１対１照合を行うことで、ゲート装置１０を通過しようとする利用者が正しいパスポート（自分のパスポート）を所持していることを担保している。

［変形例］
なお、上記実施形態にて説明した入国審査システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。

例えば、照合サーバ２０の持つ機能の全部又は一部がゲート装置１０にて実現されてもよい。あるいは、照合サーバ２０が備えるゲート利用者データベースは他のデータベースサーバに構築されていてもよい。

上記実施形態では、ゲート装置１０が入国審査にて使用される場合について説明したが、ゲート装置１０は出国審査にて使用されてもよい。また、上記実施形態では、日本国に設置されたゲート装置１０が日本人からの指紋採取を行わない場合について説明した。しかし、本願開示は、日本国以外の入国審査にも適用可能であることは勿論である。例えば、国籍Ａの利用者は指紋採取を免除され、国籍Ｂの利用者は指紋採取が必要であるような場合に本願開示を適用できる。即ち、本願開示は、出入国の審査対象者の国籍に応じて審査内容（指紋採取が不要、指紋採取が必要）が変わるような場合に適用可能である。

上記実施形態では、ゲート装置１０と照合サーバ２０の間で顔画像から算出された特徴ベクトルを送受信する場合について説明したが、ゲート装置１０から顔画像が照合サーバ２０に送信されてもよい。この場合、ゲート装置１０から顔画像を含む照合要求が照合サーバ２０に送信され、照合サーバ２０が受信した顔画像から特徴ベクトルを算出して１対Ｎ照合を実行すればよい。あるいは、照合サーバ２０のユーザ情報データベースにも特徴ベクトルではなく顔画像が登録され、照合の都度特徴量が算出されてもよい。

上記実施形態では、１枚の画像に１つの顔領域が含まれることを想定しているが、審査場の状況によっては複数の顔領域が１枚の画像に含まれることがある。この場合、照合サーバ２０は、自装置に最も近い顔領域を抽出し生体情報を照合サーバ２０に送信してもよい。例えば、照合サーバ２０は、各顔領域の面積を計算し面積の最も大きい顔領域を抽出してもよい。あるいは、カメラ装置３１５に奥行方向の距離が測定可能なデプスカメラ等を採用し、カメラ装置３１５からの距離を測定し、より近いほうの人物の顔画像を抽出してもよい。

上記実施形態では、ゲート装置１０は、照合サーバ２０から取得したＭＲＺ情報から利用者の国籍を特定する場合について説明したが、ゲート装置１０がパスポートのＭＲＺから利用者の国籍を直接取得してもよい。

上記実施形態では、主に「顔」を生体情報としてゲート装置１０や照合サーバ２０の動作を説明したが、本願開示で利用可能な生体情報は「顔」に限定されない。虹彩等の他の生体情報を用いることができる。

ゲート装置１０と照合サーバ２０の間のデータ送受信の形態は特に限定されないが、これら装置間で送受信されるデータは暗号化されていてもよい。顔画像や当該顔画像から算出される特徴量は個人情報であり当該個人情報を適切に保護するためには、暗号化されたデータが送受信されることが望ましい。

上記実施形態では、パスポートのＩＣチップからＭＲＺ情報を用いて情報を取得する場合について説明したが、当該本願開示の手法は他の方法にも適用可能である。つまり、パスポートに類似するカード等に搭載されたＩＣチップから情報を読み出す際にＭＲＺ情報に相当する情報が用いられてもよい。

上記実施形態では、管理サーバ３０は、動作モードを切り替えるゲート装置１０に限って「設定切り替え通知」を送信している。しかし、管理サーバ３０は、各ゲート装置１０それぞれの動作モードを決定し、各ゲート装置１０に「動作モード通知」を送信してもよい。各ゲート装置１０は、自装置に設定されている動作モードと管理サーバ３０から通知された動作モードが異なる場合に、管理サーバ３０から通知された動作モードに切り替えてもよい。

上記実施形態では、システムに含まれる各ゲート装置１０は、複数の審査モード（日本人審査モード、外国人審査モード）に対応していることを前提とした。しかし、システムには審査モードが固定されたゲート装置（複数の審査モードを設定できないゲート装置）が含まれていてもよい。換言すれば、管理サーバ３０は、システムに含まれる全てのゲート装置を動作モードの変更対象として扱わなくともよい。即ち、既存のゲート装置１０をシステムに組み込むことも可能である。あるいは、システムに含まれる各ゲート装置１０が複数の審査モードに対応している場合であっても、管理サーバ３０は所定数のゲート装置１０に限り動作モードの変更対象としてもよい。例えば、システムには１０台のゲート装置１０が含まれるが、管理サーバ３０が動作モードを変更可能なゲート装置１０を５台に制限することもできる。その結果、日本人審査モードのゲート装置１０と外国人審査モードのゲート装置１０のそれぞれを所定数確保することでき、利用者比率によらず各審査モードに関する最小限のゲート装置１０を確保することができる。

上記実施形態では、管理サーバ３０は、入国審査システムに含まれるゲート装置１０のそれぞれを動作モードの設定対象としている。しかし、管理サーバ３０は、複数のゲート装置１０をまとめてグループとして管理し、グループ単位で動作モードの設定をおこなってもよい。

管理サーバ３０は、動作モードを切り替えるゲート装置１０を選択する際、各動作モードで動作しているゲート装置１０の位置情報（配置情報）を参考にしてもよい。例えば、管理サーバ３０は、動作モードが異なるゲート装置１０が隣接するようにゲート装置１０の動作モードを選択してもよい。具体的には、管理サーバ３０は、日本人動作モードのゲート装置１０の隣は外国人動作モードのゲート装置１０となるように動作モードを決定してもよい。あるいは、管理サーバ３０は、同じ動作モードのゲート装置１０が固まるように動作モードを決定してもよい。例えば、管理サーバ３０は、審査場の入り口からみて左側には日本人動作モードのゲート装置１０が集中し、右側には外国人動作モードのゲート装置が集中するように動作モードを決定してもよい。

上記実施形態では、利用者一人一人の渡航者情報を管理サーバ３０に入力する場合について説明した。しかし、フライトごとに渡航者情報をまとめて管理サーバ３０に入力してもよい。より具体的には、出発空港に設置された航空会社サーバが、出発した航空機に搭乗している乗客に関する渡航者情報をまとめて管理サーバ３０に送信してもよい。

上記実施形態では、管理サーバ３０は、利用者比率を計算するタイミング以前に空港に到着している利用者の国籍を特定し、ゲート装置１０の動作モードを決定している。即ち、管理サーバ３０は、空港に到着した利用者の実績値に基づいてゲート装置１０の動作モードを決定している。しかし、管理サーバ３０は、空港に到着することが見込まれる利用者の数に基づいてゲート装置１０の動作モードを決定してもよい。即ち、管理サーバ３０は、利用者比率を計算するタイミングから所定期間後に空港内に存在する利用者を推測し、当該推測された利用者の国籍に基づき動作モードを決定してもよい。この場合、管理サーバ３０は、図７に示す渡航者データベースの「到着日時」から将来到着する航空機に搭乗している利用者の国籍を特定すると共に、利用者比率を計算しゲート装置１０の動作モードを決定すればよい。あるいは、管理サーバ３０は、航空機が遅延している旨の情報を取得した場合には、当該遅延情報に基づき到着日時を修正（更新）し、利用者比率の計算を行ってもよい。

上記実施形態では、各ゲート装置１０が自装置の動作モードを表示することで動作モードの周知を行っている。しかし、入国審査場の入り口付近に掲示板（デジタルサイネージ）が設置され、当該掲示板に各ゲート装置１０の動作モードが表示されてもよい。この場合、デジタルサイネージには、ゲート装置１０を特定する情報（例えば、装置番号）とゲート装置１０の動作モードが対応づけられて表示される（図１７参照）。なお、図１７に示す表示は日本人、外国人の双方が理解可能なように、使用する言語（例えば、日本語、英語、中国語）を所定の間隔で切り替えることが望ましい。また、デジタルサイネージに表示する際の基礎となる情報（各ゲート装置１０の動作モード）は、管理サーバ３０から送信されてもよいし各ゲート装置１０から送信されてもよい。

あるいは、デジタルサイネージに顔認証機能を持たせてもよい。具体的には、デジタルサイネージは、ゲート装置１０と同様に、照合サーバ２０に対して照合要求を送信する。デジタルサイネージは、照合サーバ２０からＭＲＺ情報を取得し、当該ＭＲＺ情報から面前の利用者の国籍を特定する。デジタルサイネージは、特定した国籍に応じたゲート装置１０に関する案内を行う。例えば、デジタルサイネージは、面前の利用者が使用可能なゲート装置１０の表示を強調したり、面前の利用者が使用不能なゲート装置１０に関する表示を削除したりする。

ゲート装置１０の動作モード決定において、空港内の混雑度が反映されてもよい。例えば、所定の期間における利用者の総数が所定値を超えた場合に、利用者比率に基づきゲート装置１０の動作モードが決定されてもよい。利用者の総数が所定値以下の場合には、ゲート装置１０の動作モードが固定されてもよいし、ゲート装置１０の動作モードは日本人及び外国人の両方の審査が可能であるように設定されてもよい。なお混雑度はフライト情報に基づき、空港に到着した乗客の実績値に基づいて算出してもいいし、遅延情報などをもとに到着日時を予想した予想値に基づいて算出してもいい。

上記説明で用いた流れ図（フローチャート、シーケンス図）では、複数の工程（処理）が順番に記載されているが、実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。

上記の実施形態は本願開示の理解を容易にするために詳細に説明したものであり、上記説明したすべての構成が必要であることを意図したものではない。また、複数の実施形態について説明した場合には、各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることや、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、実施形態の構成の一部について他の構成の追加、削除、置換が可能である。

上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、空港の入国審査システムなどに好適に適用可能である。

上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
［付記１］
出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づきゲート装置の動作モードを決定する、管理サーバと通信する、通信部と、
審査対象者の出入国審査に関する動作モードを前記管理サーバが決定した動作モードに切り替える、切り替え部と、
を備える、ゲート装置。
［付記２］
前記審査対象者が出入国の審査を通過すると、前記審査対象者が通行可能となるようにゲートを制御する、ゲート制御部をさらに備える、付記１に記載のゲート装置。
［付記３］
自装置の動作モードを利用者に周知する、周知部をさらに備える、付記１又は２に記載のゲート装置。
［付記４］
前記第１の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第１の動作モードと、第２の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第２の動作モードと、が設定可能である、付記１乃至３のいずれか一に記載のゲート装置。
［付記５］
前記審査対象者の国籍を特定する、国籍特定部をさらに備え、
前記第１の動作モードで動作している際に取得された前記審査対象者の国籍が前記第２の国籍の場合には、前記審査対象者の出入国は拒否される、付記４に記載のゲート装置。
［付記６］
出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定すると共に、前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知する、管理サーバ。
［付記７］
利用者の出入国を審査する、少なくとも１以上のゲート装置と、
出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、前記少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定する、管理サーバと、
前記管理サーバは、前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知し、
前記ゲート装置は、前記通知された動作モードにて審査対象者の出入国を審査する、出入国審査システム。
［付記８］
前記少なくとも１以上のゲート装置は、前記審査対象者が出入国の審査を通過すると、前記審査対象者が通行可能となるようにゲートを制御する、付記７に記載の出入国審査システム。
［付記９］
前記少なくとも１以上のゲート装置は、自装置の動作モードを利用者に周知する、付記７又は８に記載の出入国審査システム。
［付記１０］
前記少なくとも１以上のゲート装置は、前記第１の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第１の動作モードと、第２の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第２の動作モードと、が設定可能である、付記７乃至９のいずれか一に記載の出入国審査システム。
［付記１１］
前記少なくとも１以上のゲート装置は、前記審査対象者の国籍を特定し、前記第１の動作モードで動作している際に特定された前記審査対象者の国籍が前記第２の国籍の場合には、前記審査対象者の出入国を拒否する、付記１０に記載の出入国審査システム。
［付記１２］
利用者の出入国を審査する、少なくとも１以上のゲート装置と、
前記少なくとも１以上のゲート装置と接続された管理サーバと、
を含むシステムにおいて、
出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、前記少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定し、
前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知し、
前記通知された動作モードにて審査対象者の出入国を審査する、出入国審査方法。
なお、付記１１及び付記１２の形態は、付記１の形態と同様に、付記２～付記５の形態に展開することが可能である。

なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。即ち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。

１０、１０－１～１０－３、１００ ゲート装置
２０ 照合サーバ
３０ 管理サーバ
１０１ 通信部
１０２ 切り替え部
２０１、３０１、４０１ 通信制御部
２０２ 利用者情報登録部
２０３ 第１の照合部
２０４、３０５、４１０ 記憶部
２１１、３１１ プロセッサ
２１２、３１２ メモリ
２１３ 入出力インターフェイス
２１４、３１４ 通信インターフェイス
３０２ 渡航者情報取得部
３０３ 利用者比率計算部
３０４ 動作モード決定部
３１３ 入出力装置
３１５ カメラ装置
３１６ 読取機
３１７ 指紋スキャナ
３１８ ゲート
４０２ 動作モード切り替え部
４０３ 動作モード周知部
４０４ 生体情報取得部
４０５ 照合要求部
４０６ パスポート所持判定部
４０７ 国籍特定部
４０８ 指紋取得部
４０９ ゲート制御部
４１１ 第２の照合部

Claims (12)

1. 出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づきゲート装置の動作モードを決定する、管理サーバと通信する、通信部と、
   審査対象者の出入国審査に関する動作モードを前記管理サーバが決定した動作モードに切り替える、切り替え部と、
   を備える、ゲート装置。
2. 前記審査対象者が出入国の審査を通過すると、前記審査対象者が通行可能となるようにゲートを制御する、ゲート制御部をさらに備える、請求項１に記載のゲート装置。
3. 自装置の動作モードを利用者に周知する、周知部をさらに備える、請求項１又は２に記載のゲート装置。
4. 前記第１の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第１の動作モードと、第２の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第２の動作モードと、が設定可能である、請求項１乃至３のいずれか一項に記載のゲート装置。
5. 前記審査対象者の国籍を特定する、国籍特定部をさらに備え、
   前記第１の動作モードで動作している際に取得された前記審査対象者の国籍が前記第２の国籍の場合には、前記審査対象者の出入国は拒否される、請求項４に記載のゲート装置。
6. 出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定すると共に、前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知する、管理サーバ。
7. 利用者の出入国を審査する、少なくとも１以上のゲート装置と、
   出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、前記少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定する、管理サーバと、
   前記管理サーバは、前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知し、
   前記ゲート装置は、前記通知された動作モードにて審査対象者の出入国を審査する、出入国審査システム。
8. 前記少なくとも１以上のゲート装置は、前記審査対象者が出入国の審査を通過すると、前記審査対象者が通行可能となるようにゲートを制御する、請求項７に記載の出入国審査システム。
9. 前記少なくとも１以上のゲート装置は、自装置の動作モードを利用者に周知する、請求項７又は８に記載の出入国審査システム。
10. 前記少なくとも１以上のゲート装置は、前記第１の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第１の動作モードと、第２の国籍を持つ利用者の出入国を審査する第２の動作モードと、が設定可能である、請求項７乃至９のいずれか一項に記載の出入国審査システム。
11. 前記少なくとも１以上のゲート装置は、前記審査対象者の国籍を特定し、前記第１の動作モードで動作している際に特定された前記審査対象者の国籍が前記第２の国籍の場合には、前記審査対象者の出入国を拒否する、請求項１０に記載の出入国審査システム。
12. 利用者の出入国を審査する、少なくとも１以上のゲート装置と、
    前記少なくとも１以上のゲート装置と接続された管理サーバと、
    を含むシステムにおいて、
    出入国審査を受ける利用者全体における第１の国籍を持つ利用者の比率を計算し、前記計算された利用者の比率に基づき、前記少なくとも１以上のゲート装置の動作モードを決定し、
    前記決定された動作モードを前記少なくとも１以上のゲート装置に通知し、
    前記通知された動作モードにて審査対象者の出入国を審査する、出入国審査方法。

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