JP7257556B2 - イムノクロマトグラフィー - Google Patents
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Description
本発明は、イムノクロマトグラフィーに関する。
イムノクロマトグラフィーは、操作が簡便であり短時間で測定可能であることから、昨今頻繁に利用されている。
例えば、インフルエンザウイルス、リポアラビノマンナン(LAM)等の抗原をイムノクロマトグラフィーで検出する場合、以下のような操作が行われる。
まず、抗体で修飾された標識となる物質、例えば、金粒子を用いる場合には修飾金粒子を用意し、抗原を含む試料と混合する。修飾金粒子は抗原と結合し、複合体を形成する。この状態で、抗原と特異的に反応する抗体が塗布された検出ラインを有する不溶性担体に展開させると、複合体は検出ライン(テストライン)上で抗体と反応して捕捉され、目視等により検出が確認される。
このようなイムノクロマトグラフィーとしては、例えば、特許文献1に開示される方法が挙げられる。
例えば、インフルエンザウイルス、リポアラビノマンナン(LAM)等の抗原をイムノクロマトグラフィーで検出する場合、以下のような操作が行われる。
まず、抗体で修飾された標識となる物質、例えば、金粒子を用いる場合には修飾金粒子を用意し、抗原を含む試料と混合する。修飾金粒子は抗原と結合し、複合体を形成する。この状態で、抗原と特異的に反応する抗体が塗布された検出ラインを有する不溶性担体に展開させると、複合体は検出ライン(テストライン)上で抗体と反応して捕捉され、目視等により検出が確認される。
このようなイムノクロマトグラフィーとしては、例えば、特許文献1に開示される方法が挙げられる。
昨今、抗原の濃度が極めて薄い試料にも適用可能な免疫診断法が望まれるなか、イムノクロマトグラフィーに対しても従来の方法(例えば、特許文献1に開示される方法)よりもさらに高感度な方法が求められている。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、検出感度の高いイムノクロマトグラフィーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、試料を所定の方法によって濃縮することで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 抗原を含み得る試料と、上記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である修飾粒子とを混合することで、上記抗原と上記修飾粒子との複合体である粒子複合体を含有する混合物を得る、混合工程と、
遠心機を用いて、上記混合物中の上記粒子複合体を沈降させる、沈降工程と、
上記沈降した粒子複合体と、上記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させる、乖離工程と、
遠心機を用いて、上記乖離した粒子を沈降させ、抗原濃縮液を回収する、回収工程と、
中和液を用いて、上記抗原濃縮液を中和することで、中和抗原濃縮液を得る、中和工程と、
上記中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された標識用粒子である標識用修飾粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、
上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、を備える、イムノクロマトグラフィー。
(2) 上記展開工程が、上記中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する工程であり、
上記捕捉工程が、上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する工程であり、
さらに、上記捕捉工程で捕捉された標識用粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程を備える、上記(1)に記載のイムノクロマトグラフィー。
(3) 上記混合工程で用いられる修飾粒子の粒子径が、50nm~3000nmである、上記(1)又は(2)に記載のイムノクロマトグラフィー。
(4) 上記抗原を含み得る試料に対する、上記乖離液の割合が、質量比で、1/5以下である、上記(1)~(3)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(5) 上記抗原を含み得る試料が、尿である、上記(1)~(4)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(6) 上記抗原が、糖鎖である、上記(1)~(5)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(7) 上記乖離液が、NaOH又はHClを含有する、上記(1)~(6)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(8) 上記中和液が、HClと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、又は、NaOHと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、上記(1)~(7)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(9) 上記抗原が、リポアラビノマンナンである、上記(1)~(8)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
遠心機を用いて、上記混合物中の上記粒子複合体を沈降させる、沈降工程と、
上記沈降した粒子複合体と、上記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させる、乖離工程と、
遠心機を用いて、上記乖離した粒子を沈降させ、抗原濃縮液を回収する、回収工程と、
中和液を用いて、上記抗原濃縮液を中和することで、中和抗原濃縮液を得る、中和工程と、
上記中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された標識用粒子である標識用修飾粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、
上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、を備える、イムノクロマトグラフィー。
(2) 上記展開工程が、上記中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する工程であり、
上記捕捉工程が、上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する工程であり、
さらに、上記捕捉工程で捕捉された標識用粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程を備える、上記(1)に記載のイムノクロマトグラフィー。
(3) 上記混合工程で用いられる修飾粒子の粒子径が、50nm~3000nmである、上記(1)又は(2)に記載のイムノクロマトグラフィー。
(4) 上記抗原を含み得る試料に対する、上記乖離液の割合が、質量比で、1/5以下である、上記(1)~(3)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(5) 上記抗原を含み得る試料が、尿である、上記(1)~(4)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(6) 上記抗原が、糖鎖である、上記(1)~(5)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(7) 上記乖離液が、NaOH又はHClを含有する、上記(1)~(6)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(8) 上記中和液が、HClと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、又は、NaOHと、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、上記(1)~(7)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
(9) 上記抗原が、リポアラビノマンナンである、上記(1)~(8)のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィー。
以下に示すように、本発明によれば、検出感度の高いイムノクロマトグラフィーを提供することができる。
以下に、本発明のイムノクロマトグラフィーについて説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において各成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、本明細書において「検出感度及びS/N比(信号/ノイズ比)がより向上する」ことを「本発明の効果等がより優れる」とも言う。
また、本明細書において、混合工程から中和工程までを「濃縮工程」とも言い、展開工程以降を「検出工程」とも言う。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において各成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、本明細書において「検出感度及びS/N比(信号/ノイズ比)がより向上する」ことを「本発明の効果等がより優れる」とも言う。
また、本明細書において、混合工程から中和工程までを「濃縮工程」とも言い、展開工程以降を「検出工程」とも言う。
本発明のイムノクロマトグラフィー(以下、「本発明の方法」とも言う)は、
抗原を含み得る試料と、上記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である修飾粒子とを混合することで、上記抗原と上記修飾粒子との複合体である粒子複合体を含有する混合物を得る、混合工程と、
遠心機を用いて、上記混合物中の上記粒子複合体を沈降させる、沈降工程と、
上記沈降した粒子複合体と、上記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させる、乖離工程と、
遠心機を用いて、上記乖離した粒子を沈降させ、抗原濃縮液を回収する、回収工程と、
中和液を用いて、上記抗原濃縮液を中和することで、中和抗原濃縮液を得る、中和工程と、
上記中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された標識用粒子である標識用修飾粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、
上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、
を備える、イムノクロマトグラフィーである。
抗原を含み得る試料と、上記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である修飾粒子とを混合することで、上記抗原と上記修飾粒子との複合体である粒子複合体を含有する混合物を得る、混合工程と、
遠心機を用いて、上記混合物中の上記粒子複合体を沈降させる、沈降工程と、
上記沈降した粒子複合体と、上記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させる、乖離工程と、
遠心機を用いて、上記乖離した粒子を沈降させ、抗原濃縮液を回収する、回収工程と、
中和液を用いて、上記抗原濃縮液を中和することで、中和抗原濃縮液を得る、中和工程と、
上記中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された標識用粒子である標識用修飾粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、
上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、
を備える、イムノクロマトグラフィーである。
本発明の方法はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと推測される。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと考えられる。
試料中には、通常、水に加えて低分子成分や塩等の夾雑物が含まれる。例えば、試料が尿である場合、尿素等の夾雑物が含まれる。本発明者らの検討から、単に試料中の水を揮発させた場合、抗原と一緒にこれらの夾雑物が濃縮され、抗原抗体反応が阻害されて、検出感度が低下してしまうことが知見されている。すなわち、濃縮による検出感度の向上効果が十分に得られないことが分かっている。
本発明の方法は上記知見等に基づくものである。すなわち、本発明の方法においては、
抗原を含み得る試料を所定の方法によって濃縮するため、抗原が選択的に濃縮され、上述したような検出感度の低下が生じ難い。結果として、極めて高い検出感度が達成されるものと考えられる。
試料中には、通常、水に加えて低分子成分や塩等の夾雑物が含まれる。例えば、試料が尿である場合、尿素等の夾雑物が含まれる。本発明者らの検討から、単に試料中の水を揮発させた場合、抗原と一緒にこれらの夾雑物が濃縮され、抗原抗体反応が阻害されて、検出感度が低下してしまうことが知見されている。すなわち、濃縮による検出感度の向上効果が十分に得られないことが分かっている。
本発明の方法は上記知見等に基づくものである。すなわち、本発明の方法においては、
抗原を含み得る試料を所定の方法によって濃縮するため、抗原が選択的に濃縮され、上述したような検出感度の低下が生じ難い。結果として、極めて高い検出感度が達成されるものと考えられる。
以下、本発明の方法が備える各工程について説明する。
[混合工程]
混合工程は、抗原を含み得る試料と、上記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である修飾粒子とを混合することで、上記抗原と上記修飾粒子との複合体である粒子複合体を含有する混合物を得る工程である。
混合工程は、抗原を含み得る試料と、上記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である修飾粒子とを混合することで、上記抗原と上記修飾粒子との複合体である粒子複合体を含有する混合物を得る工程である。
〔試料〕
混合工程で使用される試料は、抗原を含み得る試料であれば特に制限されない。そのような試料としては、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、
糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる擦過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
上記試料は、本発明の効果等がより優れる理由から、液体であることが好ましく、尿であることがより好ましい。
混合工程で使用される試料は、抗原を含み得る試料であれば特に制限されない。そのような試料としては、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、
糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる擦過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
上記試料は、本発明の効果等がより優れる理由から、液体であることが好ましく、尿であることがより好ましい。
<抗原>
抗原としては、例えば、菌、細菌(例えば、結核菌、結核菌に含まれるリポアラビノマンナン(LAM))、バクテリア、ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)や、それらの核タンパク質等が挙げられる。なお、LAMは、結核における主要な抗原であり、
細胞膜および細胞壁の主要構成成分である糖脂質である。
抗原は、本発明の効果等がより優れる理由から、糖鎖(特に糖脂質)である抗原であることが好ましく、LAMであることがより好ましい。
抗原としては、例えば、菌、細菌(例えば、結核菌、結核菌に含まれるリポアラビノマンナン(LAM))、バクテリア、ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)や、それらの核タンパク質等が挙げられる。なお、LAMは、結核における主要な抗原であり、
細胞膜および細胞壁の主要構成成分である糖脂質である。
抗原は、本発明の効果等がより優れる理由から、糖鎖(特に糖脂質)である抗原であることが好ましく、LAMであることがより好ましい。
<試料の前処理>
上記試料は、試料をそのままで、又は、抗原を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。
上記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、かかる溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
上記試料は、試料をそのままで、又は、抗原を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。
上記抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、かかる溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
〔修飾粒子〕
上記混合工程で用いられる上記修飾粒子は、上記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である。
上記混合工程で用いられる上記修飾粒子は、上記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である。
<粒子>
粒子は特に制限されない。粒子の具体例としては、金属粒子、セラミック粒子、ポリマー粒子等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、金属粒子、ポリマー粒子が好ましい。
上記金属粒子の金属は特に制限されないが、その具体例としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、白金、すず、亜鉛、鉄等が挙げられ、なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、貴金属である、イリジウム、白金、金が好ましく、金が特に好ましい。
上記ポリマー粒子のポリマーは特に制限されないが、その具体例としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ジエン系ポリマー等が挙げられ、なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、ポリスチレンが好ましい。
粒子は特に制限されない。粒子の具体例としては、金属粒子、セラミック粒子、ポリマー粒子等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、金属粒子、ポリマー粒子が好ましい。
上記金属粒子の金属は特に制限されないが、その具体例としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、白金、すず、亜鉛、鉄等が挙げられ、なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、貴金属である、イリジウム、白金、金が好ましく、金が特に好ましい。
上記ポリマー粒子のポリマーは特に制限されないが、その具体例としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ジエン系ポリマー等が挙げられ、なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、ポリスチレンが好ましい。
(粒子径)
上記粒子の粒子径及び上記修飾粒子の粒子径は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、1nm~10μmであることが好ましく、10nm~5μmであることがより好ましく、50nm~3μmであることが更に好ましい。
上記粒子の粒子径及び上記修飾粒子の粒子径は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、1nm~10μmであることが好ましく、10nm~5μmであることがより好ましく、50nm~3μmであることが更に好ましい。
なお、本明細書において、粒子径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。粒度分布の測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。粒子径の測定方法としては、粒子径範囲および測定の容易さから、動的光散乱法を好ましく用いることができる。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB-
550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子(株))等が挙げられ、本発明においては、25℃の測定温度で測定したメジアン径(d=50)の値として求める。
550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子(株))等が挙げられ、本発明においては、25℃の測定温度で測定したメジアン径(d=50)の値として求める。
(比重)
上記粒子の比重は、本発明の効果等がより優れる理由から、1より大きいことが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。粒子の比重の上限は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、30以下であることが好ましい。上記粒子が金属粒子の場合には、高い比重の金属であることが好ましく、
比重が20前後の上述の貴金属を用いることが好ましい。
上記粒子の比重は、本発明の効果等がより優れる理由から、1より大きいことが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。粒子の比重の上限は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、30以下であることが好ましい。上記粒子が金属粒子の場合には、高い比重の金属であることが好ましく、
比重が20前後の上述の貴金属を用いることが好ましい。
<抗原と特異的に親和性を有する物質>
抗原と特異的に親和性を有する物質は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、タンパク質であることが好ましく、抗体(例えば、ポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体)であることがより好ましく、モノクローナル抗体であることがより高い検出感度を実現する観点でさらに好ましい。
上記抗体は特に制限されないが、例えば、抗原によって免疫された動物の血清から調製する抗血清や、抗血清から精製された免疫グロブリン画分を用いることが可能であり、また、抗原によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行うことができる。
抗原と特異的に親和性を有する物質は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、タンパク質であることが好ましく、抗体(例えば、ポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体)であることがより好ましく、モノクローナル抗体であることがより高い検出感度を実現する観点でさらに好ましい。
上記抗体は特に制限されないが、例えば、抗原によって免疫された動物の血清から調製する抗血清や、抗血清から精製された免疫グロブリン画分を用いることが可能であり、また、抗原によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行うことができる。
抗原がLAMである場合の、抗原と特異的に親和性を有する物質の一例としては、国際公開2017/139153号に記載のA194-01抗体が挙げられる。A194-01抗体に関する国際公開2017/139153号に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
抗原がLAMである場合の、抗原と特異的に親和性を有する物質の別の一例としては、
国際公開2013/129634号の段落番号[0080]においてMoAb1として記載される配列を有する抗体を挙げることができる。MoAb1抗体に関する国際公開2013/129634号に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
抗原がLAMである場合の、抗原と特異的に親和性を有する物質の別の一例としては、
国際公開2013/129634号の段落番号[0080]においてMoAb1として記載される配列を有する抗体を挙げることができる。MoAb1抗体に関する国際公開2013/129634号に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
<修飾粒子の製造方法>
上記修飾粒子を製造する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、粒子が金粒子である場合には、金とSH基とが化学結合することを利用し、抗体上のSH基が金粒子と接近するときにSH結合が開裂してAu表面上に生成するAu-
S結合で固定化させる等の化学的な結合方法が挙げられる。
また、例えば、-COOH末端の粒子をEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)で活性化し、抗体を粒子上に担持させる方法等が挙げられる。
上記修飾粒子を製造する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、粒子が金粒子である場合には、金とSH基とが化学結合することを利用し、抗体上のSH基が金粒子と接近するときにSH結合が開裂してAu表面上に生成するAu-
S結合で固定化させる等の化学的な結合方法が挙げられる。
また、例えば、-COOH末端の粒子をEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)で活性化し、抗体を粒子上に担持させる方法等が挙げられる。
〔混合〕
上記混合工程では、上記試料と上記修飾粒子とを混合する。
これにより、上記試料が抗原を含む場合には、試料中の抗原と上記修飾粒子の上記抗原と特異的に親和性を有する物質とが反応し、上記試料中で抗原と上記修飾粒子との複合体である粒子複合体が形成される。一方、上記試料が抗原を含まない場合には、上記粒子複合体は形成されない。
上記混合工程では、上記試料と上記修飾粒子とを混合する。
これにより、上記試料が抗原を含む場合には、試料中の抗原と上記修飾粒子の上記抗原と特異的に親和性を有する物質とが反応し、上記試料中で抗原と上記修飾粒子との複合体である粒子複合体が形成される。一方、上記試料が抗原を含まない場合には、上記粒子複合体は形成されない。
[沈降工程]
沈降工程は、遠心機を用いて、上述した混合工程で得られた混合物中の粒子複合体を沈降させる工程である。
上記遠心機の遠心分離条件は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、遠心力は、100~1,000,000Gであることが好ましく、1,000~10,000Gであることがより好ましく、時間は、1~1,000分間であることが好ましく、1~100分間であることがより好ましい。
沈降工程は、遠心機を用いて、上述した混合工程で得られた混合物中の粒子複合体を沈降させる工程である。
上記遠心機の遠心分離条件は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、遠心力は、100~1,000,000Gであることが好ましく、1,000~10,000Gであることがより好ましく、時間は、1~1,000分間であることが好ましく、1~100分間であることがより好ましい。
[乖離工程]
乖離工程は、上述した沈降工程で生じた上澄み液を除去して得られた沈降した粒子複合体に対して、上記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させる工程である。
乖離工程では、乖離液によって上述した粒子複合体が抗原と粒子とに乖離(分離)する。結果として、抗原を含有する乖離液が得られる。ここで、乖離液の量は上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ないため、乖離液中の抗原の濃度は上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」中の抗原の濃度よりも高くなる。すなわち、乖離工程によって、抗原の濃度が濃縮された液(抗原濃縮液)が得られる。
乖離工程は、上述した沈降工程で生じた上澄み液を除去して得られた沈降した粒子複合体に対して、上記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させる工程である。
乖離工程では、乖離液によって上述した粒子複合体が抗原と粒子とに乖離(分離)する。結果として、抗原を含有する乖離液が得られる。ここで、乖離液の量は上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ないため、乖離液中の抗原の濃度は上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」中の抗原の濃度よりも高くなる。すなわち、乖離工程によって、抗原の濃度が濃縮された液(抗原濃縮液)が得られる。
〔乖離液〕
乖離液は、アルカリ性又は酸性の液であれば特に制限されない。
上記アルカリ性の液は特に制限されないが、具体例としては、NaOH水溶液、KOH水溶液等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、NaOH水溶液が好ましい。
上記酸性の液は特に制限されないが、具体例としては、HCl水溶液、H2SO4水溶液、HNO3水溶液等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、HCl水溶液が好ましい。
乖離液は、本発明の効果等がより優れる理由から、アルカリ性の液であることが好ましい。
乖離液は、本発明の効果等がより優れる理由から、NaOH又はHClを含有するのが好ましく、NaOHを含有するのがより好ましく、NaOH水溶液であるのがさらに好ましい。
乖離液は、アルカリ性又は酸性の液であれば特に制限されない。
上記アルカリ性の液は特に制限されないが、具体例としては、NaOH水溶液、KOH水溶液等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、NaOH水溶液が好ましい。
上記酸性の液は特に制限されないが、具体例としては、HCl水溶液、H2SO4水溶液、HNO3水溶液等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、HCl水溶液が好ましい。
乖離液は、本発明の効果等がより優れる理由から、アルカリ性の液であることが好ましい。
乖離液は、本発明の効果等がより優れる理由から、NaOH又はHClを含有するのが好ましく、NaOHを含有するのがより好ましく、NaOH水溶液であるのがさらに好ましい。
<量>
上述のとおり、乖離液の量は、上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ない。
上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」に対する乖離液の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、質量比で、1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることがさらに好ましく、1/5以下であることが特に好ましい。
上述のとおり、乖離液の量は、上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ない。
上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」に対する乖離液の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、質量比で、1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることがさらに好ましく、1/5以下であることが特に好ましい。
[回収工程]
回収工程は、遠心機を用いて、上述した乖離した粒子を沈降させ、抗原濃縮液を回収する工程である。より具体的には、上述した乖離工程で上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させた後に、更に遠心分離を行って、乖離した粒子を沈降させて、抗原を含む抗原濃縮液を回収する工程である。
乖離工程でアルカリ性又は酸性の液である乖離液を混合する時点で再分散した粒子を改めて遠心分離を行って乖離させ、上澄液の抗原濃縮液を粒子から分離し回収する。この工程での遠心分離の条件は、上記沈降工程と同じ条件とすることが好ましい。
回収工程は、遠心機を用いて、上述した乖離した粒子を沈降させ、抗原濃縮液を回収する工程である。より具体的には、上述した乖離工程で上記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させた後に、更に遠心分離を行って、乖離した粒子を沈降させて、抗原を含む抗原濃縮液を回収する工程である。
乖離工程でアルカリ性又は酸性の液である乖離液を混合する時点で再分散した粒子を改めて遠心分離を行って乖離させ、上澄液の抗原濃縮液を粒子から分離し回収する。この工程での遠心分離の条件は、上記沈降工程と同じ条件とすることが好ましい。
[中和工程]
中和工程は、中和液を用いて、上述した回収工程で回収された抗原濃縮液を中和することで、中和抗原濃縮液を得る工程である。
上述した乖離工程ではアルカリ性又は酸性の液である乖離液で乖離させるため、乖離工程で得られた抗原濃縮液は通常アルカリ性又は酸性である。一方、アルカリ性又は酸性の液を後述する展開工程に用いた場合、後述する第1の結合物質や第2の結合物質が変性して、検出感度の低下に繋がる場合がある。そのため、中和工程では、中和液を用いて抗原濃縮液を中和する。
中和工程は、中和液を用いて、上述した回収工程で回収された抗原濃縮液を中和することで、中和抗原濃縮液を得る工程である。
上述した乖離工程ではアルカリ性又は酸性の液である乖離液で乖離させるため、乖離工程で得られた抗原濃縮液は通常アルカリ性又は酸性である。一方、アルカリ性又は酸性の液を後述する展開工程に用いた場合、後述する第1の結合物質や第2の結合物質が変性して、検出感度の低下に繋がる場合がある。そのため、中和工程では、中和液を用いて抗原濃縮液を中和する。
〔中和液〕
中和液は特に制限されないが、例えば、公知の緩衝液を用いることができる。
中和液は、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した乖離工程で使用された乖離液がアルカリ性の液である場合は、HCl(特に、1M HCl)と、トリシン、トリス、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有するのが好ましく、上述した乖離工程で使用された乖離液が酸性の液である場合は、NaOH(特に、1M NaOH)と、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有するのが好ましい。
中和液は特に制限されないが、例えば、公知の緩衝液を用いることができる。
中和液は、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した乖離工程で使用された乖離液がアルカリ性の液である場合は、HCl(特に、1M HCl)と、トリシン、トリス、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有するのが好ましく、上述した乖離工程で使用された乖離液が酸性の液である場合は、NaOH(特に、1M NaOH)と、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とを含有するのが好ましい。
<量>
中和液の量は、上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ない。
上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」に対する中和液の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、質量比で、1/10以下であることが好ましく、1/100以下であることがより好ましい。
中和液の量は、上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ない。
上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」に対する中和液の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、質量比で、1/10以下であることが好ましく、1/100以下であることがより好ましい。
上述した乖離液と上述した中和液の合計の量は、上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」の量よりも少ないことが好ましい。
上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」に対する上述した乖離液と上述した中和液の合計の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることがさらに好ましく、1/5以下であることが特に好ましい。
上述した混合工程で用いられる「抗原を含み得る試料」に対する上述した乖離液と上述した中和液の合計の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることがさらに好ましく、1/5以下であることが特に好ましい。
[展開工程]
展開工程は、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された標識用粒子である標識用修飾粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する(標識用粒子複合体を展開する)工程である。
展開工程は、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された標識用粒子である標識用修飾粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する(標識用粒子複合体を展開する)工程である。
[捕捉工程]
捕捉工程は、上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する工程である。
捕捉工程は、上記不溶性担体の反応部位において、上記標識用粒子複合体を捕捉する工程である。
[検出工程の好適な態様]
上記展開工程以降(検出工程)において、本発明の効果等がより優れる理由から、上記標識用粒子は、好ましくは後述する金粒子であり、上記標識用修飾粒子は、好ましくは後述する修飾金粒子であり、上記標識用粒子複合体は、好ましくは後述する金粒子複合体である。
すなわち、上記検出工程は、本発明の効果等がより優れる理由から、
上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記金粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、を備えるのが好ましい。
なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、さらに、上記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程を備えるのが好ましい。
上記展開工程以降(検出工程)において、本発明の効果等がより優れる理由から、上記標識用粒子は、好ましくは後述する金粒子であり、上記標識用修飾粒子は、好ましくは後述する修飾金粒子であり、上記標識用粒子複合体は、好ましくは後述する金粒子複合体である。
すなわち、上記検出工程は、本発明の効果等がより優れる理由から、
上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
上記不溶性担体の反応部位において、上記金粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、を備えるのが好ましい。
なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、さらに、上記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程を備えるのが好ましい。
以下、上記好適な態様が備える各工程について説明する。
〔展開工程〕
展開工程は、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する(金粒子複合体を展開する)工程である。
展開工程は、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させた状態で、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する(金粒子複合体を展開する)工程である。
<金粒子複合体>
上述のとおり、展開工程では、まず、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させる。
上述のとおり、展開工程では、まず、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液中の抗原と、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である金粒子複合体を形成させる。
(修飾金粒子)
修飾金粒子は、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である。
修飾金粒子は、上記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である。
(1)金粒子
金粒子は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、金コロイド粒子であることが好ましい。
金粒子は、本発明の方法が後述する銀増幅工程を備える場合、銀増幅工程において銀イオンを還元する触媒として働く。
金粒子は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、金コロイド粒子であることが好ましい。
金粒子は、本発明の方法が後述する銀増幅工程を備える場合、銀増幅工程において銀イオンを還元する触媒として働く。
上記金粒子の粒子径は、本発明の効果等がより優れる理由から、5nm~500nmであることが好ましく、7nm~300nmであることがより好ましく、10nm~200 nmであることが更に好ましい。
なお、金粒子の粒子径は上述した混合工程における粒子と同様の方法で求めることができる。
なお、金粒子の粒子径は上述した混合工程における粒子と同様の方法で求めることができる。
(2)第1の結合物質
第1の結合物質は上記抗原と結合し得るものであれば特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、タンパク質であることが好ましく、抗体(例えば、ポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体)であることがより好ましく、モノクローナル抗体であることがより高い検出感度を実現する観点でさらに好ましい。
上記抗体は特に制限されないが、例えば、抗原によって免疫された動物の血清から調製する抗血清や、抗血清から精製された免疫グロブリン画分を用いることが可能であり、また、抗原によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行うことができる。
第1の結合物質は上記抗原と結合し得るものであれば特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、タンパク質であることが好ましく、抗体(例えば、ポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体)であることがより好ましく、モノクローナル抗体であることがより高い検出感度を実現する観点でさらに好ましい。
上記抗体は特に制限されないが、例えば、抗原によって免疫された動物の血清から調製する抗血清や、抗血清から精製された免疫グロブリン画分を用いることが可能であり、また、抗原によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行うことができる。
抗原がLAMである場合の、第1の結合物質の一例としては、国際公開2017/139153号に記載のA194-01抗体が挙げられる。A194-01抗体に関する国際公開2017/139153号に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
抗原がLAMである場合の、第1の結合物質の別の一例としては、国際公開2013/129634号の段落番号[0080]においてMoAb1として記載される配列を有する抗体を挙げることができる。MoAb1抗体に関する国際公開2013/129634号に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
抗原がLAMである場合の、第1の結合物質の別の一例としては、国際公開2013/129634号の段落番号[0080]においてMoAb1として記載される配列を有する抗体を挙げることができる。MoAb1抗体に関する国際公開2013/129634号に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
(3)修飾金粒子の製造方法
上記修飾金粒子を製造する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、金とSH基とが化学結合することを利用し、抗体上のSH基が金粒子と接近するときにSH結合が開裂してAu表面上に生成するAu-S結合で固定化させる等の化学的な結合方法が挙げられる。
上記修飾金粒子を製造する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、金とSH基とが化学結合することを利用し、抗体上のSH基が金粒子と接近するときにSH結合が開裂してAu表面上に生成するAu-S結合で固定化させる等の化学的な結合方法が挙げられる。
<不溶性担体>
上記不溶性担体は、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位(テストライン)を有する不溶性担体である。不溶性担体は、抗原の種類に合わせて複数のテストラインを有していてもよい(例えば、インフルエンザA型ウイルス用のテストラインとインフルエンザB型用のテストライン)。また、不溶性担体は、上記金粒子複合体の展開を確認するために、テストラインより下流側にコントロールラインを有していてもよい。また、本発明の方法が後述する銀増幅工程を備える場合であって、銀増幅工程において還元剤液を用いる場合には、還元剤液を検出するために、テストラインより下流側に発色試薬固定化ラインを有していてもよい。
上記不溶性担体の具体的な態様としては、例えば、図1に示されるような、上流側から、金コロイド保持パッド1、テストライン2、コントロールライン3、発色試薬固定化ライン4を有するニトロセルロースメンブレン100が挙げられる。ここで、金コロイド保持パッド1は第1の結合物質で修飾された金粒子(修飾金粒子)を保持するパッドであり、テストライン2は第2の結合物質が固定化されたラインであり、コントロールライン3は展開を確認するためのラインであり、発色試薬固定化ライン4は後述する還元剤液を検出するためのラインである。ここで上流側、下流側とは、金粒子複合体が展開する際、上流側から下流側に向けて展開することを意図した記載を意味する。
上記不溶性担体(又はこれを有するイムノクロマトグラフキット)のより具体的な態様としては、例えば、特許第5728453号公報に記載の不溶性担体及びイムノクロマトグラフキットが挙げられ、不溶性担体及びイムノクロマトグラフキットに関する特許第5728453号公報に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
上記不溶性担体は、上記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位(テストライン)を有する不溶性担体である。不溶性担体は、抗原の種類に合わせて複数のテストラインを有していてもよい(例えば、インフルエンザA型ウイルス用のテストラインとインフルエンザB型用のテストライン)。また、不溶性担体は、上記金粒子複合体の展開を確認するために、テストラインより下流側にコントロールラインを有していてもよい。また、本発明の方法が後述する銀増幅工程を備える場合であって、銀増幅工程において還元剤液を用いる場合には、還元剤液を検出するために、テストラインより下流側に発色試薬固定化ラインを有していてもよい。
上記不溶性担体の具体的な態様としては、例えば、図1に示されるような、上流側から、金コロイド保持パッド1、テストライン2、コントロールライン3、発色試薬固定化ライン4を有するニトロセルロースメンブレン100が挙げられる。ここで、金コロイド保持パッド1は第1の結合物質で修飾された金粒子(修飾金粒子)を保持するパッドであり、テストライン2は第2の結合物質が固定化されたラインであり、コントロールライン3は展開を確認するためのラインであり、発色試薬固定化ライン4は後述する還元剤液を検出するためのラインである。ここで上流側、下流側とは、金粒子複合体が展開する際、上流側から下流側に向けて展開することを意図した記載を意味する。
上記不溶性担体(又はこれを有するイムノクロマトグラフキット)のより具体的な態様としては、例えば、特許第5728453号公報に記載の不溶性担体及びイムノクロマトグラフキットが挙げられ、不溶性担体及びイムノクロマトグラフキットに関する特許第5728453号公報に記載の内容はすべて本明細書の開示の一部として本明細書中に援用される。
(不溶性担体)
不溶性担体は、多孔性担体が好ましい。特に、本発明の効果等がより優れる理由から、ニトロセルロース膜(ニトロセルロースメンブレン)、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましく、ニトロセルロース膜がより好ましい。
不溶性担体は、多孔性担体が好ましい。特に、本発明の効果等がより優れる理由から、ニトロセルロース膜(ニトロセルロースメンブレン)、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましく、ニトロセルロース膜がより好ましい。
(第2の結合物質)
第2の結合物質は上記抗原と結合し得るものであれば特に制限されない。
第2の結合物質の具体例及び好適な態様は、上述した第1の結合物質と同じである。
第2の結合物質は上記抗原と結合し得るものであれば特に制限されない。
第2の結合物質の具体例及び好適な態様は、上述した第1の結合物質と同じである。
なお、上記第2の結合物質は上述した第1の結合物質と同じであっても異なってもよいが、本発明の効果等がより優れる理由から、異なる物質である態様が好ましい。
また、第1の結合物質及び第2の結合物質が抗体である場合、第1の結合物質である抗体と第2の結合物質である抗体は、本発明の効果等がより優れる理由から、異なる態様が好ましい。
また、第1の結合物質及び第2の結合物質が抗体である場合、第1の結合物質のエピトープ(第1の結合物質が認識する抗原の一部)と第2の結合物質のエピトープ(第2の結合物質が認識する抗原の一部)は、本発明の効果等がより優れる理由から、異なる態様が好ましい。抗体のエピトープが異なることは、例えば、ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)によって確認することができる。
また、第1の結合物質及び第2の結合物質が抗体である場合、第1の結合物質である抗体と第2の結合物質である抗体は、本発明の効果等がより優れる理由から、異なる態様が好ましい。
また、第1の結合物質及び第2の結合物質が抗体である場合、第1の結合物質のエピトープ(第1の結合物質が認識する抗原の一部)と第2の結合物質のエピトープ(第2の結合物質が認識する抗原の一部)は、本発明の効果等がより優れる理由から、異なる態様が好ましい。抗体のエピトープが異なることは、例えば、ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)によって確認することができる。
<展開>
金粒子複合体を形成させた状態でテストラインを有する不溶性担体に展開する方法は特に制限されないが、例えば、上述した図1に示されるようなニトロセルロースメンブレン100(又はこれを有するイムノクロマトグラフキット)を準備して、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液を金コロイド保持パッドに滴下し、図1に示されるように上流側から下流側に毛細管現象を利用して移動させる方法等が挙げられる。
金粒子複合体を形成させた状態でテストラインを有する不溶性担体に展開する方法は特に制限されないが、例えば、上述した図1に示されるようなニトロセルロースメンブレン100(又はこれを有するイムノクロマトグラフキット)を準備して、上述した中和工程で得られた中和抗原濃縮液を金コロイド保持パッドに滴下し、図1に示されるように上流側から下流側に毛細管現象を利用して移動させる方法等が挙げられる。
〔捕捉工程〕
捕捉工程は、上記不溶性担体の反応部位において、上記金粒子複合体を捕捉する工程である。
上述のとおり、不溶性担体の反応部位には抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化されているため、上記展開工程で不溶性担体に展開された金粒子複合体(抗原と修飾金粒子との複合体)は、不溶性担体の反応部位(テストライン)で捕捉される。
捕捉された金粒子複合体は金粒子の表面プラズモン等により着色するため、視認できる。また、画像解析装置等を用いて、捕捉された複合体の濃度を見積もることもできる。このようにして、試料中の抗原を検出することができる。
なお、試料が抗原を含まない場合には上記金粒子複合体が形成されないため、不溶性担体の反応部位で捕捉されず、着色しない。
捕捉工程は、上記不溶性担体の反応部位において、上記金粒子複合体を捕捉する工程である。
上述のとおり、不溶性担体の反応部位には抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化されているため、上記展開工程で不溶性担体に展開された金粒子複合体(抗原と修飾金粒子との複合体)は、不溶性担体の反応部位(テストライン)で捕捉される。
捕捉された金粒子複合体は金粒子の表面プラズモン等により着色するため、視認できる。また、画像解析装置等を用いて、捕捉された複合体の濃度を見積もることもできる。このようにして、試料中の抗原を検出することができる。
なお、試料が抗原を含まない場合には上記金粒子複合体が形成されないため、不溶性担体の反応部位で捕捉されず、着色しない。
〔銀増幅工程〕
銀増幅工程は、上記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する工程である。
銀増幅工程は、上記捕捉工程後の不溶性担体に銀イオンを付与することで、不溶性担体の反応部位で捕捉された金粒子複合体に大きな銀粒子を形成する工程である。より詳細には、上記金粒子複合体の金粒子を触媒として銀イオンが還元され、銀粒子(例えば、直径10μm以上)が形成される工程である。
これにより、捕捉された金粒子複合体の検出感度が著しく向上する。
銀増幅工程は、上記捕捉工程で捕捉された金粒子複合体を銀増幅する工程である。
銀増幅工程は、上記捕捉工程後の不溶性担体に銀イオンを付与することで、不溶性担体の反応部位で捕捉された金粒子複合体に大きな銀粒子を形成する工程である。より詳細には、上記金粒子複合体の金粒子を触媒として銀イオンが還元され、銀粒子(例えば、直径10μm以上)が形成される工程である。
これにより、捕捉された金粒子複合体の検出感度が著しく向上する。
<好適な態様>
上記捕捉工程後の不溶性担体に銀イオンを付与する方法は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、下記還元剤液及び下記銀増幅液を使用する方法が好ましい。
また、還元剤液及び銀増幅液に加えて、特異的な結合反応以外で不溶性担体に残存している金粒子複合体を洗浄するために洗浄液を使用してもよい。上記還元液は洗浄液を兼ねていてもよい。
上記捕捉工程後の不溶性担体に銀イオンを付与する方法は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、下記還元剤液及び下記銀増幅液を使用する方法が好ましい。
また、還元剤液及び銀増幅液に加えて、特異的な結合反応以外で不溶性担体に残存している金粒子複合体を洗浄するために洗浄液を使用してもよい。上記還元液は洗浄液を兼ねていてもよい。
(還元剤液)
上記還元剤液は、銀イオンを還元し得る還元剤を含有する。銀イオンを還元し得る還元剤は、銀イオンを銀に還元することができれば、無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩を好ましく挙げることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe2+を還元剤として用いる系では、クエン酸やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。本発明ではこのような無機還元剤を用いることが好ましい。
本発明のより好ましい態様としては、Fe2+の金属塩を還元剤として用いることが好ましい。
上記還元剤液は、銀イオンを還元し得る還元剤を含有する。銀イオンを還元し得る還元剤は、銀イオンを銀に還元することができれば、無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩を好ましく挙げることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe2+を還元剤として用いる系では、クエン酸やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。本発明ではこのような無機還元剤を用いることが好ましい。
本発明のより好ましい態様としては、Fe2+の金属塩を還元剤として用いることが好ましい。
なお、湿式のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる現像主薬(例えばメチル没食子酸塩、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、3-ピラゾリドン類、p-アミノフェノール類、p-フェニレンジアミン類、ヒンダードフェノール類、アミドキシム類、アジン類、カテコール類、ピロガロール類、アスコルビン酸(またはその誘導体)、およびロイコ色素類)、および本分野での技術に熟練しているものにとって明らかなその他の材料、例えば米国特許第6,020,117号に記載されている材料も還元剤として用いることができる。
還元剤としては、アスコルビン酸還元剤も好ましい。有用なアスコルビン酸還元剤は、アスコルビン酸とその類縁体、異性体とその誘導体を含み、例えば、D-またはL-アスコルビン酸とその糖誘導体(例えばγ-ラクトアスコルビン酸、グルコアスコルビン酸、フコアスコルビン酸、グルコヘプトアスコルビン酸、マルトアスコルビン酸)、アスコルビン酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のカリウム塩、イソアスコルビン酸(又はL-エリスロアスコルビン酸)、その塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は当技術分野において知られている塩)、エンジオールタイプのアスコルビン酸、エナミノールタイプのアスコルビン酸、チオエノ-ルタイプのアスコルビン酸等を好ましく挙げることができ、特にはD、LまたはD,L-アスコルビン酸(そして、そのアルカリ金属塩)若しくはイソアスコルビン酸(またはそのアルカリ金属塩)が好ましく、ナトリウム塩が好ましい塩である。必要に応じてこれらの還元剤の混合物を用いることができる。
還元剤液は、本発明の効果等がより優れる理由から、展開工程における展開方向と還元剤液の展開方向との間の角度が0度~150度になるように流すのが好ましく、展開工程における展開方向と還元剤液の展開方向との間の角度が0度~135度になるように流すのがより好ましい。
なお、展開工程における展開方向と還元剤液の展開方向との間の角度を調節する方法としては、例えば、特開2009-150869号公報の実施例に記載の方法等が挙げられる。
なお、展開工程における展開方向と還元剤液の展開方向との間の角度を調節する方法としては、例えば、特開2009-150869号公報の実施例に記載の方法等が挙げられる。
(銀増幅液)
上記銀増幅液は、銀イオンを含む化合物を含有する液である。銀イオンを含む化合物としては、例えば、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。好ましくは、水などの溶媒に対して溶解度の高い銀イオン含有化合物である、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀、チオ硫酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀である。銀錯体としては、水酸基やスルホン基など水溶性基を有する配位子に配位された銀錯体が好ましく、ヒドロキシチオエーテル銀等が挙げられる。
上記銀増幅液は、銀イオンを含む化合物を含有する液である。銀イオンを含む化合物としては、例えば、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。好ましくは、水などの溶媒に対して溶解度の高い銀イオン含有化合物である、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀、チオ硫酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀である。銀錯体としては、水酸基やスルホン基など水溶性基を有する配位子に配位された銀錯体が好ましく、ヒドロキシチオエーテル銀等が挙げられる。
有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体は、銀として銀増幅液に0.001mol/L~5mol/L、好ましくは0.005mol/L~3mol/L、更には0.01mol/L~1mol/Lの濃度で含有されることが好ましい。
銀増幅液の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらの塩のうちの一つ、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅溶液に最適なpHに調整することができる。また、カブリ防止剤としてアルキルアミンを助剤として用いることができ、特に好ましくはドデシルアミンである。またこれら助剤の溶解性向上のため、界面活性剤を用いることができ、特に好ましくはC9H19-C6H4-O-(CH2CH2O)50Hである。
銀増幅液は、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した展開工程と逆方向から流すのが好ましく、展開工程における展開方向と還元剤液の展開方向との間の角度が45度~180度になるように流すのがより好ましい。
なお、展開工程における展開方向と銀増幅液の展開方向との間の角度を調節する方法としては、例えば、特開2009-150869号公報の実施例に記載の方法等が挙げられる。
なお、展開工程における展開方向と銀増幅液の展開方向との間の角度を調節する方法としては、例えば、特開2009-150869号公報の実施例に記載の方法等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]実施例A
[検体液の調製]
健常人の尿検体(BioreclamationIVT社)をプールした尿検体に、結核菌より抽出されたリポアラビノマンナン(LAM)(02249-61、ナカライテスク社)(抗原)を添加し、表1に記載のLAM濃度の検体液(抗原を含み得る試料)を調製した。
健常人の尿検体(BioreclamationIVT社)をプールした尿検体に、結核菌より抽出されたリポアラビノマンナン(LAM)(02249-61、ナカライテスク社)(抗原)を添加し、表1に記載のLAM濃度の検体液(抗原を含み得る試料)を調製した。
[実施例1]
以下のとおり、実施例1のイムノクロマトグラフィーを行った。
以下のとおり、実施例1のイムノクロマトグラフィーを行った。
〔混合工程〕
金コロイド粒子(BBI Solutions;粒子径:50nm)と抗LAMモノクローナル抗体(抗原と特異的に親和性を有する物質)(国際公開2017/139153号(DETAILED DESCRIPTION D.Anti-LAM and Anti-PIM6/LAM Antibodies 1))とを反応させて、抗LAMモノクローナル抗体で修飾された金コロイド粒子である修飾金コロイド粒子(修飾粒子)を得た。
金コロイド粒子(BBI Solutions;粒子径:50nm)と抗LAMモノクローナル抗体(抗原と特異的に親和性を有する物質)(国際公開2017/139153号(DETAILED DESCRIPTION D.Anti-LAM and Anti-PIM6/LAM Antibodies 1))とを反応させて、抗LAMモノクローナル抗体で修飾された金コロイド粒子である修飾金コロイド粒子(修飾粒子)を得た。
上述した検体液(6mL)に免疫反応に十分な量の上記修飾粒子を加え、40分間反応させた。このようにして、LAMと上記修飾粒子との複合体である粒子複合体を含有する混合物を得た。
〔沈降工程〕
次いで、遠心機を用いて、遠心力:8000G、時間:15分間の遠心分離条件で、上記混合物中の粒子複合体を沈降させた。
次いで、遠心機を用いて、遠心力:8000G、時間:15分間の遠心分離条件で、上記混合物中の粒子複合体を沈降させた。
〔乖離工程〕
沈降後、上澄み液を廃棄して、粒子複合体に50mmol/L NaOH水溶液(アルカリ性の液)を0.2mL添加した。添加後5分間超音波処理して、60分間静置した。このようにして、粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させた。
なお、検体液に対する乖離液の割合は、質量比で、1/30である。
沈降後、上澄み液を廃棄して、粒子複合体に50mmol/L NaOH水溶液(アルカリ性の液)を0.2mL添加した。添加後5分間超音波処理して、60分間静置した。このようにして、粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させた。
なお、検体液に対する乖離液の割合は、質量比で、1/30である。
〔回収工程〕
そして、遠心機を用いて、上述した遠心分離条件で、乖離した粒子を沈降させ、上澄み液(LAM濃縮液)(抗原濃縮液)を回収した。
そして、遠心機を用いて、上述した遠心分離条件で、乖離した粒子を沈降させ、上澄み液(LAM濃縮液)(抗原濃縮液)を回収した。
〔中和工程〕
1mol/Lの濃度の トリスHCl 0.01mLを中和液として用いて、上記LAM濃縮液を中和して、中和LAM濃縮液(中和抗原濃縮液)を得た。得られたLAM濃縮液について質量分析を行ったところ、LAM濃度が10倍に濃縮されていることが確認された。
1mol/Lの濃度の トリスHCl 0.01mLを中和液として用いて、上記LAM濃縮液を中和して、中和LAM濃縮液(中和抗原濃縮液)を得た。得られたLAM濃縮液について質量分析を行ったところ、LAM濃度が10倍に濃縮されていることが確認された。
〔展開工程及び捕捉工程〕
得られた中和LAM濃縮液をAlere社製のLAM検出キット(Clearview TB ELISA kit)に適用することで、上述した展開工程及び捕捉工程を行った。
得られた中和LAM濃縮液をAlere社製のLAM検出キット(Clearview TB ELISA kit)に適用することで、上述した展開工程及び捕捉工程を行った。
〔評価〕
テストラインの着色を目視により確認し、以下の基準で評価した。
++:明確に検出された。
+:うっすらと検出された。
-:濃度上昇が検出されない。
テストラインの着色を目視により確認し、以下の基準で評価した。
++:明確に検出された。
+:うっすらと検出された。
-:濃度上昇が検出されない。
結果を表1に示す。++又は+と評価された検体液のLAM濃度のうち最も小さいLAM濃度(最小検出感度)が小さい程、検出感度が高いことを意味する。
[実施例2]
混合工程において下記修飾粒子を用いた点以外は、上述した実施例1と同様の手順にしたがってイムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
混合工程において下記修飾粒子を用いた点以外は、上述した実施例1と同様の手順にしたがってイムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2の混合工程で用いた修飾粒子〕
-COOH末端のポリスチレン粒子(Corefront社製、粒子径:2μm)と抗リポアラビノマンナン(LAM)モノクローナル抗体(抗原と特異的に親和性を有する物質)(ナカライテスク社製 製品コード05494-84)とを反応させて、抗LAMモノクローナル抗体で修飾されたポリスチレン粒子である修飾ポリスチレン粒子(修飾粒子)を得た。なお、修飾の際に1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC、ナカライ社製)を用いてポリスチレン粒子の-COOH末端を活性化させた。
-COOH末端のポリスチレン粒子(Corefront社製、粒子径:2μm)と抗リポアラビノマンナン(LAM)モノクローナル抗体(抗原と特異的に親和性を有する物質)(ナカライテスク社製 製品コード05494-84)とを反応させて、抗LAMモノクローナル抗体で修飾されたポリスチレン粒子である修飾ポリスチレン粒子(修飾粒子)を得た。なお、修飾の際に1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC、ナカライ社製)を用いてポリスチレン粒子の-COOH末端を活性化させた。
[実施例3]
乖離工程において、50mmol/L NaOH水溶液0.2mLの代わりに、50mmol/L HCl水溶液(酸性の液)0.2mLを用い、中和工程において、1mol/L トリスHCl 0.01mLの代わりに、1mol/L トリスNaOH 0.01mLを用いた以外は、上述した実施例2と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
乖離工程において、50mmol/L NaOH水溶液0.2mLの代わりに、50mmol/L HCl水溶液(酸性の液)0.2mLを用い、中和工程において、1mol/L トリスHCl 0.01mLの代わりに、1mol/L トリスNaOH 0.01mLを用いた以外は、上述した実施例2と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
濃縮工程(混合工程から中和工程まで)を行わずに、展開工程以降において中和LAM濃縮液の代わりに上述した検体液自体を用いた点以外は、上述した実施例1と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
濃縮工程(混合工程から中和工程まで)を行わずに、展開工程以降において中和LAM濃縮液の代わりに上述した検体液自体を用いた点以外は、上述した実施例1と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
展開工程において中和LAM濃縮液の代わりに下記LAM濃縮液を用いた点以外は、上述した実施例1と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
展開工程において中和LAM濃縮液の代わりに下記LAM濃縮液を用いた点以外は、上述した実施例1と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2で用いられたLAM濃縮液〕
上述した検体液6mLを凍結乾燥によって濃縮した。具体的には、上述した検体液6mLを-80℃で10時間凍結させた後、小型凍結乾燥機FDS-1000(東京理科器械(株)社製)を用いて、24時間凍結乾燥を行った。凍結乾燥後、LAMが含まれていない尿を0.2mL添加して、LAM濃度が10倍に濃縮されたLAM濃縮液を得た。なお、組成分析の結果、尿素及びリン酸ナトリウム等の夾雑物が含まれていることが確認された。
上述した検体液6mLを凍結乾燥によって濃縮した。具体的には、上述した検体液6mLを-80℃で10時間凍結させた後、小型凍結乾燥機FDS-1000(東京理科器械(株)社製)を用いて、24時間凍結乾燥を行った。凍結乾燥後、LAMが含まれていない尿を0.2mL添加して、LAM濃度が10倍に濃縮されたLAM濃縮液を得た。なお、組成分析の結果、尿素及びリン酸ナトリウム等の夾雑物が含まれていることが確認された。
表1から分かるように、上述した濃縮工程を行わなかった比較例1、及び、凍結乾燥によって濃縮した比較例2と比較して、上述した濃縮工程を行った実施例1~3は、高い検出感度を示した。なかでも、乖離液がNaOHを含有する実施例1~2は、より高い検出感度を示した。
[2]実施例B
[検体液の調製]
健常人の尿検体(BioreclamationIVT社)をプールした尿検体に、結核菌より抽出されたリポアラビノマンナン(LAM)(02249-61、ナカライテスク社)(抗原)を添加し、表2に記載のLAM濃度の検体液(抗原を含み得る試料)を調製した。
健常人の尿検体(BioreclamationIVT社)をプールした尿検体に、結核菌より抽出されたリポアラビノマンナン(LAM)(02249-61、ナカライテスク社)(抗原)を添加し、表2に記載のLAM濃度の検体液(抗原を含み得る試料)を調製した。
[実施例4]
表2に記載のLAM濃度の検体液(6mL)を用いた点以外は、上述した実施例2と同様の手順に従って、濃縮工程(混合工程から中和工程まで)を行った。そして、得られた中和LAM濃縮液(中和抗原濃縮液)を用いて、下記展開工程以降を行った。
表2に記載のLAM濃度の検体液(6mL)を用いた点以外は、上述した実施例2と同様の手順に従って、濃縮工程(混合工程から中和工程まで)を行った。そして、得られた中和LAM濃縮液(中和抗原濃縮液)を用いて、下記展開工程以降を行った。
〔展開工程〕
図1に示されるように、上流側から、金コロイド保持パッド1、テストライン2、コントロールライン3、発色試薬固定化ライン4を有するニトロセルロースメンブレン100を準備した。なお、金コロイド保持パッド1は、抗LAMモノクローナル抗体で修飾された金コロイド粒子である修飾金コロイド粒子(標識用修飾粒子)を保持するパッドであり、テストライン2は、抗LAMモノクローナル抗体が固定化されたラインであり、コントロールライン3は、展開を確認するためのラインであり、発色試薬固定化ライン4は、後述する銀増幅工程の還元液を検出するためのラインである。
図1に示されるように、上流側から、金コロイド保持パッド1、テストライン2、コントロールライン3、発色試薬固定化ライン4を有するニトロセルロースメンブレン100を準備した。なお、金コロイド保持パッド1は、抗LAMモノクローナル抗体で修飾された金コロイド粒子である修飾金コロイド粒子(標識用修飾粒子)を保持するパッドであり、テストライン2は、抗LAMモノクローナル抗体が固定化されたラインであり、コントロールライン3は、展開を確認するためのラインであり、発色試薬固定化ライン4は、後述する銀増幅工程の還元液を検出するためのラインである。
上記中和LAM濃縮液を金コロイド保持パッドに滴下した。これにより、液中のLAMと抗LAMモノクローナル抗体で修飾された金コロイド粒子である修飾金コロイド粒子(標識用修飾粒子)との複合体である標識用粒子複合体が形成された。この状態で、上記ニトロセルロースメンブレンの上流側から下流側に向けて展開した。
〔捕捉工程〕
展開工程で展開された標識用粒子複合体はテストラインで捕捉される。
展開工程で展開された標識用粒子複合体はテストラインで捕捉される。
〔銀増幅工程〕
以下のとおり、銀増幅工程を実施した。
以下のとおり、銀増幅工程を実施した。
<還元剤液の調製>
水290gに、硝酸鉄(III)九水和物(富士フイルム和光純薬(株)社製)を水に溶解して作製した1mol/Lの硝酸鉄水溶液23.6mL、及び、クエン酸(富士フイルム和光純薬社製)13.1gを溶解させた。全て溶解した後、スターラーで攪拌しながら硝酸(10質量%)を36ml加え、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(富士フイルム和光純薬(株)社製)を60.8g加え、これを還元剤液とした。
水290gに、硝酸鉄(III)九水和物(富士フイルム和光純薬(株)社製)を水に溶解して作製した1mol/Lの硝酸鉄水溶液23.6mL、及び、クエン酸(富士フイルム和光純薬社製)13.1gを溶解させた。全て溶解した後、スターラーで攪拌しながら硝酸(10質量%)を36ml加え、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(富士フイルム和光純薬(株)社製)を60.8g加え、これを還元剤液とした。
<銀増幅液の調製>
水66gに、硝酸銀溶液8mL(10gの硝酸銀を含む)と1mol/Lの硝酸鉄水溶液24mLを加えた。さらに、この溶液と、硝酸(10質量%)5.9mL、ドデシルアミン(富士フイルム和光純薬(株)社製)0.1g、界面活性剤C12H25-C6H4-O-(CH2CH2O)50H 0.1gをあらかじめ47.6gの水に溶解した溶液を混合し、これを銀増幅液とした。
水66gに、硝酸銀溶液8mL(10gの硝酸銀を含む)と1mol/Lの硝酸鉄水溶液24mLを加えた。さらに、この溶液と、硝酸(10質量%)5.9mL、ドデシルアミン(富士フイルム和光純薬(株)社製)0.1g、界面活性剤C12H25-C6H4-O-(CH2CH2O)50H 0.1gをあらかじめ47.6gの水に溶解した溶液を混合し、これを銀増幅液とした。
<還元剤液の展開>
ニトロセルロースメンブレンにおいて、上述した展開工程と同じ方向から(より上流側から)、上述のとおり調製した還元剤液を流した。
ニトロセルロースメンブレンにおいて、上述した展開工程と同じ方向から(より上流側から)、上述のとおり調製した還元剤液を流した。
<銀増幅液の展開>
発色試薬固定化ラインが変色した後、展開工程における展開方向と逆方向から(下流側から)、上述のとおり調製した銀増幅液を流した。このようにして、テストラインで捕捉された標識用粒子複合体を銀増幅した。
発色試薬固定化ラインが変色した後、展開工程における展開方向と逆方向から(下流側から)、上述のとおり調製した銀増幅液を流した。このようにして、テストラインで捕捉された標識用粒子複合体を銀増幅した。
〔評価〕
テストラインの着色を目視により確認し、以下の基準で評価した。
++:明確に検出された。
+:うっすらと検出された。
-:濃度上昇が検出されない。
テストラインの着色を目視により確認し、以下の基準で評価した。
++:明確に検出された。
+:うっすらと検出された。
-:濃度上昇が検出されない。
結果を表2に示す。++又は+と評価された検体液のLAM濃度のうち最も小さいLAM濃度(最小検出感度)が小さい程、検出感度が高いことを意味する。
[比較例3]
濃縮工程(混合工程から中和工程まで)を行わずに、展開工程以降において中和LAM濃縮液の代わりに上述した検体液自体を用いた点以外は、上述した実施例4と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表2に示す。
濃縮工程(混合工程から中和工程まで)を行わずに、展開工程以降において中和LAM濃縮液の代わりに上述した検体液自体を用いた点以外は、上述した実施例4と同様の手順にしたがって、イムノクロマトグラフィーを実施し、評価した。結果を表2に示す。
表2から分かるように、銀増幅を行ったイムノクロマトグラフィーにおいても、上述した濃縮工程を行わなかった比較例3と比較して、上述した濃縮工程を行った実施例4は、高い検出感度を示した。
1 金コロイド保持パッド
2 テストライン
3 コントロールライン
4 発色試薬固定化ライン
100 ニトロセルロースメンブレン
2 テストライン
3 コントロールライン
4 発色試薬固定化ライン
100 ニトロセルロースメンブレン
Claims (9)
- 抗原を含み得る試料と、前記抗原と特異的に親和性を有する物質で修飾された粒子である修飾粒子とを混合することで、前記抗原と前記修飾粒子との複合体である粒子複合体を含有する混合物を得る、混合工程と、
遠心機を用いて、前記混合物中の前記粒子複合体を沈降させる、沈降工程と、
前記沈降した粒子複合体と、前記抗原を含み得る試料よりも少ない量の、アルカリ性又は酸性の液である乖離液とを混合することで、前記粒子複合体を抗原と粒子とに乖離させる、乖離工程と、
遠心機を用いて、前記乖離した粒子を沈降させ、抗原濃縮液を回収する、回収工程と、
中和液を用いて、前記抗原濃縮液を中和することで、中和抗原濃縮液を得る、中和工程と、
前記中和抗原濃縮液中の抗原と、前記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された標識用粒子である標識用修飾粒子との複合体である標識用粒子複合体を形成させた状態で、前記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する、展開工程と、
前記不溶性担体の反応部位において、前記標識用粒子複合体を捕捉する、捕捉工程と、を備える、イムノクロマトグラフィー。 - 前記展開工程が、前記中和抗原濃縮液中の抗原と、前記抗原と結合し得る第1の結合物質で修飾された金粒子である修飾金粒子との複合体である標識用金粒子複合体を形成させた状態で、前記抗原と結合し得る第2の結合物質が固定化された反応部位を有する不溶性担体に展開する工程であり、
前記捕捉工程が、前記不溶性担体の反応部位において、前記標識用金粒子複合体を捕捉する工程であり、
さらに、前記捕捉工程で捕捉された標識用金粒子複合体を銀増幅する、銀増幅工程を備える、請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー。 - 前記混合工程で用いられる修飾粒子の粒子径が、50nm~3000nmである、請求項1又は2に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記抗原を含み得る試料に対する、前記乖離液の割合が、質量比で、1/5以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記抗原を含み得る試料が、尿である、請求項1~4のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記抗原が、糖鎖である、請求項1~5のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記乖離液が、NaOH又はHClを含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記中和液が、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とHCLとを含有する、又は、トリシン、トリス、HEPES、アセトアミドグリシン、グリシンアミド及びビシンからなる群より選択される少なくとも1種とNaOHとを含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
- 前記抗原が、リポアラビノマンナンである、請求項1~8のいずれか1項に記載のイムノクロマトグラフィー。
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