JP7257185B2 - 放射パターン制御装置及び中継器 - Google Patents

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Description

本発明は、衛星伝送路或いは地上伝送路を用いて所定の符号化・変調処理を施した映像や音声等の伝送信号を送信装置から放射素子アレーの位相遷移を可能とするデジタル移相器を有する中継器に対し伝送し、当該中継器から当該伝送信号を受信装置に向けて伝送する伝送システムにて、その放射素子アレーを構成する複数の放射素子の各出力位相を可変とするよう当該デジタル移相器を制御する放射パターン制御装置、及びその中継器に関する。
中継器を利用する伝送システムにおいては、衛星伝送路或いは地上伝送路を用いて映像や音声等の伝送信号(RF(無線)信号)を送信装置から中継器に対し伝送し、中継器から当該伝送信号を受信装置に向けて伝送することが行われている。そして、地上設備では、放射素子アレーの位相遷移を可能とするデジタル移相器を有する中継器に対し、その放射素子アレーの出力位相を変化させるべくデジタル移相器を制御する放射パターン制御装置が設けられることがある。
放射パターン制御装置は、降雨減衰やユーザ需要などの変更に応じて、中継器から受信装置に向けて伝送する放射パターンについて、現行の放射パターンから所望の放射パターンに変化させる際にコマンドを中継器に送信して制御するものとなっている。
例えば、中継器を利用する伝送システムの一つである放送・通信衛星システムでは、フェーズドアレーアンテナを衛星中継器に搭載することで、降雨減衰の状況に合わせた放射パターンや、ユーザの需要状況に合わせた放射パターンの適応的な形成を可能としている(例えば、特許文献1~3、非特許文献1~3参照)。
このような放送・通信衛星システムでは、送信装置からの伝送信号を多数の放射素子からなる放射素子アレーに給電する給電回路が衛星中継器に設けられ、給電回路に対しその伝送信号の給電に係る励振位相及び励振振幅を地上設備から制御し、所望の放射パターンを形成し、当該伝送信号を地上のサービスエリア内の受信装置に向けて伝送する。例えば、この励振位相の位相制御には5ビット又は6ビットの分解能で移相量を設定するデジタル移相器が使用され、5ビットの分解能を持つデジタル移相器では11.25度(360/25)刻み、6ビットの分解能を持つデジタル移相器では5.625度(360/26)刻みでの移相量の設定が可能である(例えば、非特許文献4,5参照)。
ここで、従来技術における放射パターン制御装置は、中継器に対し、当該現行の放射パターンを形成する放射素子アレーの出力位相から、所望の放射パターンを形成する放射素子アレーの出力位相に移行させるとき、中継器に設けられるデジタル移相器により一括で遷移させるようコマンドで制御するものとなっている。
ところで、近年、4K・8Kの現行又は次世代の放送サービスの提供を目的とした衛星放送又は地上放送では伝送容量を増加するため、例えば送信装置から中継器に伝送する伝送信号は、伝送するデータに誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)及び多値変調(例えば16APSK、又はそれ以上の多値変調)の符号化・変調処理が施されたものとなっており、例えば16APSKの変調方式では、一つの信号点(シンボル)の位相成分の判別範囲は30度以内となる(例えば、非特許文献6参照)。
特許第4133876号明細書 特許第4351491号明細書 特許第6185767号明細書
田中祥次、外、"フェーズドアレー給電反射鏡アンテナの素子励振電力制限の影響"、社団法人 電子情報通信学会、信学技報 AP200Zl19 (20031)、アンテナ・伝播研究会 AP2002-5 - ieice、2003年1月23日発表 亀井雅、外、"21GHz帯を使用する次世代衛星放送システムの研究開発"、一般社団法人 日本航空宇宙学会、2012年11月20日~22日開催、第56回宇宙科学技術連合講演会講演集、2S06(JSASS-2012-4302) 北尾史郎、外、"超高速インターネット衛星"WINDS"搭載Ka帯アクティブフェーズドアレーアンテナ(APAA)"、[online]、三菱電機技報 特集論文、2005年8月出版、[平成30年12月28日検索]、インターネット〈URL:http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I7434823-00〉 S.NAKAZAWA, et al., "Beam forming network for reconfigurable antenna of 21-GHz band broadcasting satellite", The 8th European Conference on Antennas and Propagation (EuCAP 2014), 2014年4月6日~11日開催, IEEE Xplore Digital Library, [online]、[平成30年12月28日検索]、インターネット〈URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/6902257〉 A.Sharma, et al., "A Ku-Band 6-bit Digital Phase Shifter MMIC for Phased Array Antenna Systems", 2015 IEEE International Microwave and RF Conference (IMaRC), 2015年12月10日~12日開催, IEEE Xplore Digital Library,[online]、[平成30年12月28日検索]、インターネット〈URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/7411411〉 鈴木陽一、外、"4K・8K 放送の規格解説:伝送路符号化方式(ISDB-S3)"、兼六館出版、放送技術 69(7), 161-166, 2016年7月、[online]、[平成30年12月28日検索]、インターネット〈URL:https://ci.nii.ac.jp/naid/40020890988〉
上述したように、従来技術によれば、デジタル移相器を備える中継器を経由して、送信装置から受信装置に電波を送信する放送・通信衛星システム等の伝送システムでは、その中継器における現行の放射パターンから所望の放射パターンに変化させることができる。そして、当該現行の放射パターンを形成する放射素子アレーの出力位相から、所望の放射パターンを形成する放射素子アレーの出力位相に移行させるとき、中継器に設けられるデジタル移相器により一括で遷移させるよう地上設備内の放射パターン制御装置からコマンドで制御するものとなる。
つまり、従来技術の放射パターン制御装置は、中継器から受信装置に向けて伝送する放射パターンについて現行の放射パターンから所望の放射パターンに変化させる際に、所望の放射パターンを予め算出しておき、当該所望の放射パターンを形成するよう放射素子アレーを構成する各放射素子の出力位相を任意に計算する。そして、従来技術の放射パターン制御装置は、その出力位相へと一括で遷移させるよう中継器にコマンドを送信し、中継器が備えるデジタル移相器の移相量を設定する。この所望の放射パターンの算出時点では、デジタル移相器の分解能に制限されずに各放射素子の出力位相として360度内で任意に計算され、各放射素子における位相制御の自由度が高い態様となっている。このため、実際には、従来技術の放射パターン制御装置は、デジタル移相器の分解能に合わせて、当該所望の放射パターンを形成するのに最も近いデジタル移相器の移相量を定め、その移相量をデジタル移相器に一括で設定するべく中継器に向けてコマンドを送信し制御している。
しかし、近年における4K・8Kの現行又は次世代の放送サービスの提供を目的とした衛星放送又は地上放送では、大容量データの伝送が想定され、且つ伝送するデータに誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)及び多値変調(16APSK、又はそれ以上の多値変調)の符号化・変調処理が施されることから、一つの信号点(シンボル)の位相成分の判別範囲がより狭くなる。例えば16APSKの変調方式でも、一つの信号点(シンボル)の位相成分の判別範囲は30度以内となり、より高い変調次数の変調方式ではより狭くなる。このため、伝送信号の変調方式や所望の放射パターンの形状によっては、現行の放射パターンを形成する放射素子アレーの出力位相から、所望の放射パターンを形成する放射素子アレーの出力位相に一括で遷移させると、受信装置側の復調・復号時に誤り訂正不能なバーストエラーが生じるおそれがある。
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、衛星伝送路或いは地上伝送路を用いて所定の符号化・変調処理を施した映像や音声等の伝送信号を送信装置から放射素子アレーの位相遷移を可能とするデジタル移相器を有する中継器に対し伝送し、当該中継器から当該伝送信号を受信装置に向けて伝送する伝送システムにて、放射パターンの遷移に起因する受信装置側におけるバーストエラーを確実に抑制するよう、当該デジタル移相器を制御する放射パターン制御装置及び中継器を提供することにある。
本発明の放射パターン制御装置は、衛星伝送路或いは地上伝送路を用いて所定の符号化・変調処理を施した伝送信号を送信装置から放射素子アレーの位相遷移を可能とするデジタル移相器を有する中継器に対し伝送し、前記中継器から当該伝送信号を受信装置に向けて伝送する伝送システムにて、前記放射素子アレーを構成する複数の放射素子の各々の出力位相を可変とするよう前記デジタル移相器を制御する放射パターン制御装置であって、前記デジタル移相器の分解能に応じて、現行の放射パターンから所望の放射パターンへと遷移させるのに必要な前記複数の放射素子の各々の出力位相、及び該出力位相へと段階的に遷移させる遷移回数を決定する段階的出力位相決定手段と、前記遷移回数で前記デジタル移相器の移相量を段階的に制御するためのコマンドを生成し、前記中継器に送信するコマンド生成送信手段と、を備え、前記段階的出力位相決定手段は、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと遷移させるのに必要な出力位相について、正片方向遷移又は負片方向遷移、或いは正負双方向遷移で当該遷移回数を最小化した出力位相を決定するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の中継器は、本発明の放射パターン制御装置によって制御されるデジタル移相器を備える中継器であって、前記遷移回数による段階的な遷移で前記デジタル移相器の移相量を移相制御するために当該遷移回数による段階的な遷移に対応する複数回のコマンドを受信するときは、該複数回のコマンドに応じて前記デジタル移相器の移相量の段階的な移相制御を行い、前記遷移回数による段階的な遷移で前記デジタル移相器の移相量を移相制御するために当該遷移回数による段階的な遷移を位相遷移パターンとして全て示す1回のコマンドを受信するときは、該位相遷移パターンを示す1回のコマンドに応じて前記デジタル移相器の移相量の段階的な移相制御を行う手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、衛星伝送路或いは地上伝送路を用いて伝送される伝送信号について、放射パターンの遷移に起因する受信装置側におけるバーストエラーを確実に抑制することができる。
本発明による第1実施形態の放射パターン制御装置を備える地上設備、及び中継器の概略構成を示すブロック図である。 本発明による第1実施形態の中継器における一実施例の給電回路の概略構成を示すブロック図である。 本発明による第1実施形態の放射パターン制御装置における制御動作を示すフローチャートである。 (a)は現行の放射パターンを形成する放射素子アレーの現行の出力位相を例示する図であり、(b)は本発明に係る一実施例の所望の放射パターンを形成する放射素子アレーの第1の出力位相と、移相量及び対応する遷移回数を例示する図であり、(c)は本発明に係る当該一実施例の所望の放射パターンを形成するために正片方向遷移で遷移回数を最小化した一実施例の放射素子アレーの第2の出力位相と、移相量及び対応する遷移回数を例示する図である。 本発明に係る一実施例の所望の放射パターンを形成する正片方向遷移で遷移回数を最小化した一実施例の放射素子アレーの第2の出力位相までの段階的な位相遷移毎の出力位相を例示する図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態の放射パターン制御装置から中継器に送信するコマンドの制御例を示すフローチャートである。 (a),(b)は、それぞれ本発明に係る現行の放射パターン例、及び所望の放射パターン例を示す図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態の放射パターン制御装置により制御した段階的な位相遷移に基づく遷移回数に応じた移相量、及び受信側のアンテナ利得の変化をシミュレーションした特性図である。 本発明による第2実施形態の放射パターン制御装置の概略構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による各実施形態の放射パターン制御装置13及び中継器2を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明による第1実施形態の放射パターン制御装置13を備える地上設備1、及び中継器2の概略構成を示すブロック図である。図1に示す中継器2は、放送衛星に搭載され衛星伝送路を形成するものとして説明するが、地上設備1と同様、地上に設けられ地上伝送路を形成するものとしてもよい。
そして、図1に示す第1実施形態では、衛星伝送路を用いて映像や音声等の伝送信号を地上設備1内の送信装置10から中継器2に対し伝送し、中継器2から当該伝送信号をサービスエリア内の受信装置(図示せず)に向けて伝送する伝送システムとして、その一例である放送・通信衛星システムが構成されている。
また、本実施形態として例示する地上設備1では、送信装置10及び放射パターン制御装置13が同一設備内に設けられている。ただし、送信装置10は、放射パターン制御装置13と同一設備内に設置されている必要はない。放射パターン制御装置13は、降雨減衰やユーザ需要などの変更に応じて、中継器2から受信装置(図示せず)に向けて伝送する放射パターンについて、現行の放射パターンから所望の放射パターンに変化させる際にコマンドを中継器2に送信して制御するものとなっている。以下、より具体的に、図1に示す第1実施形態に係る放送・通信衛星システムの構成要素について説明する。
(送信装置)
送信装置10の構成自体は、本発明とは直接関係しないため、ここでは一例を挙げて簡潔に説明する。本例の送信装置10は、主要な構成要素として、符号化・変調部11、及び伝送信号送信部12を備える。
符号化・変調部11は、伝送する映像や音声等のデータを入力し、誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)及び多値変調(例えば16APSK等)の符号化・変調処理を施した伝送信号を生成し、伝送信号送信部12に出力する。
伝送信号送信部12は、符号化・変調部11から得られる符号化・変調処理を施した伝送信号を入力し、RF信号として中継器2に伝送する。
(中継器)
中継器2は、伝送信号受信部21、給電回路22、フェーズドアレーアンテナ装置23、コマンド受信部24、及び給電回路制御部25を備える。
伝送信号受信部21は、送信装置10からRF信号として伝送された伝送信号を受信し、給電回路22に出力する。
給電回路22は、図2を参照してその一例を後述するが、少なくとも、伝送信号受信部21から入力された伝送信号を複数の給電系統に分配する分配器と、当該複数の給電系統を経て放射素子アレー231を構成する複数の放射素子の各出力位相を遷移可能とする所定数のデジタル移相器とを有する。
フェーズドアレーアンテナ装置23は、各々が励振位相を可変とする複数の放射素子からなる放射素子アレー231と、反射鏡(本例では主鏡233及び副鏡232の2枚の反射鏡)とを備える。2枚の反射鏡(主鏡233及び副鏡232)は、放射素子アレー231における各放射素子の出力位相の変化によってサービスエリア内の受信装置(図示せず)に向けて伝送するために種々の放射パターンを形成する、所謂イメージングリフレクタとして構成されるものである。
コマンド受信部24は、放射パターン制御装置13から送信されたコマンドを受け付け、給電回路制御部25に出力する。
給電回路制御部25は、放射パターン制御装置13から送信されたコマンドを解析し、当該コマンドが、中継器2から受信装置(図示せず)に向けて伝送する放射パターンについて現行の放射パターンから所望の放射パターンに変化させるものであるときは、そのコマンドに応じて放射素子アレー231を構成する複数の放射素子の各出力位相を遷移させるよう、給電回路22を制御する。
図2は、本発明による第1実施形態の中継器2における一実施例の給電回路22の概略構成を示すブロック図である。図2に例示する給電回路22は、電力増幅分配器221と、N(N>1)個の給電系統を構成する減衰器222‐1,222‐2,…,222‐N、及びデジタル移相器223‐1,223‐2,…,223‐Nを有する。本例の放射素子アレー231は、N個の放射素子231‐1,231‐2,…,231‐Nからなる。
電力増幅分配器221は、伝送信号受信部21から入力された伝送信号を一定量に電力増幅し、N個の給電系統に分配する。
減衰器222‐1,222‐2,…,222‐Nの各々は、給電回路制御部25によって制御可能とされ、放射パターン制御装置13から送信されたコマンドに基づいて、電力増幅分配器221から分配された伝送信号の励振振幅を調整して、対応するN個のデジタル移相器223‐1,223‐2,…,223‐Nの各々に出力する。
N個のデジタル移相器223‐1,223‐2,…,223‐Nは、給電回路制御部25によって制御可能とされ、放射パターン制御装置13から送信されたコマンドに基づいて、励振振幅が調整された伝送信号の励振位相を調整して、対応するN個の放射素子231‐1,231‐2,…,231‐Nの各々に給電し、当該コマンドに対応する放射パターンを受信装置(図示せず)に向けて伝送するよう放射素子アレー231から放射出力させる。
図2に示す例では、給電系統(減衰器及びデジタル移相器)の数をN個とし、放射素子アレー231を構成する放射素子の数もこの給電系統と同数のN個として説明したが、例えば特許文献3に開示されるように、一つの給電系統で複数の放射素子を給電してもよい。即ち、減衰器やデジタル移相器は、放射素子アレー231を構成する放射素子の数より少ないものとすることができる。また、減衰器として構成するものに限らず、増幅機能と減衰機能を持つ増幅器としてもよい。更に、放射素子アレー231を構成する各放射素子の配置は種々のものとすることができるが、以下、非特許文献4に開示されるように配置された32個の放射素子で放射素子アレー231を構成する例を説明する。
また、図1に示す本実施形態において、中継器2は、現在運用されている衛星中継器を利用したものとすることもできるが、図6を参照して詳細に後述するように、給電回路制御部25について、以下に説明する本発明に係る放射パターン制御装置13に適した制御を行うように構成することができる。
(放射パターン制御装置の構成)
図1に示すように、放射パターン制御装置13は、放射パターン算出部131、降雨データ収集部132、段階的出力位相決定部133、現行パターン抽出部134、記憶部135、及びコマンド生成送信部136を備える。
放射パターン算出部131は、降雨データを参照して所望の放射パターンを決定する放射パターン決定手段として機能する機能部であり、外部からの制御指示に基づき、その都度、降雨データ収集部132から得られる降雨データを参照して所望の放射パターンのデータを算出し段階的出力位相決定部133に出力する。ここで、制御指示とは、現行の所望の放射パターンを所望の放射パターンへ変更することを許容する指示であればよく、所望の放射パターンへの変更を要する度に制御指示を与える態様や、一旦制御指示を与えた後は、時事変化する降雨データに応じて定期的、且つ自動的に放射パターン算出部131を作動させるものとすることもできる。
放射パターン算出部131が算出した所望の放射パターンは、デジタル移相器の分解能に制限されずに各放射素子の出力位相として360度内で任意に計算され、各放射素子における位相制御の自由度が高い態様となっている。降雨データ収集部132は、例えばアメダスデータ、降雨レーダ、有人観測点などから収集された所定時間(例えばn分間)毎の降雨量の降雨データを収集し、保持している。尚、降雨データ収集部132は、視聴率の計測と同様、ユーザの需要状況のデータも併せて収集し、保持してもよい。
所望の放射パターンの算出方法は、特許文献1又は非特許文献1に開示された方法を利用することができる。例えば、放射パターン算出部131は、降雨減衰の状況に合わせた放射パターンを算出するときは、所定時間(例えばn分間)毎の降雨量と、最大降雨減衰量との関係から、サービスエリア内で所要C/Nを満たすために必要な放射量を局所的なエリア毎に求めて、所望の放射パターンを算出する。ユーザの需要状況に合わせた放射パターンを算出するときは、放射パターン算出部131は、そのユーザの需要状況に応じて任意に所望の放射パターンを算出する。
段階的出力位相決定部133は、放射パターン算出部131により算出した当該所望の放射パターンのデータを取得すると、まず、現行パターン抽出部134を機能させ、記憶部135に格納されている現行の放射パターンに対応する放射素子アレー231の各放射素子の出力位相のデータを抽出させる。記憶部135は、現行の放射パターンに対応する放射素子アレー231の各放射素子の出力位相のデータを記憶保持している。また、現行パターン抽出部134は、段階的出力位相決定部133からの要求に応じて、記憶部135に格納されている現行の放射パターンに対応する放射素子アレー231の各放射素子の出力位相のデータを抽出し、段階的出力位相決定部133に出力する。
続いて、段階的出力位相決定部133は、各デジタル移相器223‐1,223‐2,…,223‐Nの分解能に合わせて、当該所望の放射パターンを形成するための当該各デジタル移相器の移相量を任意に定め、このときの各放射素子の出力位相(第1の出力位相)と、各デジタル移相器の分解能による最小制御可能移相量を単位として、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと遷移させるのに必要な複数の放射素子の各々の出力位相、及び該出力位相へと段階的に遷移させる遷移回数を算出する。つまり、現行の放射パターンの出力位相から、当該所望の放射パターンの出力位相へと遷移させるまでの間で、各デジタル移相器における1回の移相量は、各デジタル移相器の分解能による最小制御可能移相量と同じとする。例えば、5ビットの分解能を持つデジタル移相器であれば、最小制御可能移相量は11.25度である。
ここで、段階的出力位相決定部133は、各放射素子の出力位相を遷移させるために、当該第1の出力位相に対応する遷移回数をコマンド生成送信部136に出力して、その遷移回数に応じたコマンドを中継器2に送信するよう構成することもできるが、その遷移回数が大きくなりすぎてしまい、制御遅延が生じるおそれがある。
そこで、段階的出力位相決定部133は、当該第1の出力位相に対応する遷移回数を算出した後、さらに、放射素子アレー231を構成する全ての放射素子に対する該遷移回数の最小値を求め、その最小値がゼロ回となるように、各放射素子に対する遷移回数から該最小値を一律に差分して得られる各放射素子の出力位相(第2の出力位相)に対応する遷移回数を算出する。つまり、現行の放射パターンから、当該所望の放射パターンへと遷移させるのに、いずれかの放射素子の移相量がゼロを持つようになる。各放射素子に対する第1の出力位相に対応する遷移回数から該最小値(固定値)を一律に差分して、各放射素子に対する第2の出力位相として変形しても、一律に移相されるため、当該所望の放射パターンの形状自体は変化しない。
そして、段階的出力位相決定部133は、当該第2の出力位相に対応する遷移回数を決定してコマンド生成送信部136に出力し、記憶部135に対しては当該所望の放射パターンに対応する放射素子アレー231の各放射素子の出力位相のデータを現行の放射パターンとして更新する。
コマンド生成送信部136は、段階的出力位相決定部133より、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと段階的に遷移させるのに必要な遷移回数の情報を取得すると、当該遷移回数による段階的な遷移でデジタル移相器の移相量を移相制御するために、当該遷移回数による段階的な遷移に対応する複数回のコマンド、或いは当該遷移回数による段階的な遷移を位相遷移パターンとして全て示す1回のコマンドを生成し、中継器2に向けて送信する。このコマンド内に、当該遷移回数毎の各放射素子(又はデジタル移相器)における遷移の有無(又は遷移量)を示すようにし、必要であれば各放射素子に給電する伝送信号の励振振幅を変化させるためのパラメータを含めてもよい。
(放射パターン制御装置の制御動作)
次に、図3に基づいて、図4及び図5を参照しながら、一実施例の放射パターン制御装置13の制御動作を具体的に説明する。図3は、本実施形態の放射パターン制御装置13における制御動作を示すフローチャートである。また、図4(a)は現行の放射パターンを形成する放射素子アレー231の現行の出力位相を例示する図であり、図4(b)は本発明に係る一実施例の所望の放射パターンを形成する放射素子アレー231の第1の出力位相と、移相量及び対応する遷移回数を例示する図であり、図4(c)は本発明に係る当該一実施例の所望の放射パターンを形成するために正片方向遷移(図5参照)で遷移回数を最小化した一実施例の放射素子アレーの第2の出力位相と、移相量及び対応する遷移回数を例示する図である。そして、図5は、本発明に係る一実施例の所望の放射パターンを形成する正片方向遷移で遷移回数を最小化した一実施例の放射素子アレーの第2の出力位相までの段階的な位相遷移毎の出力位相を例示する図である。
まず、放射パターン制御装置13は、放射パターン算出部131により、外部からの制御指示を受け付ける(ステップS1)。
続いて、放射パターン制御装置13は、放射パターン算出部131により、外部からの制御指示に基づき、その都度、降雨データ収集部132から得られる降雨データを参照して所望の放射パターンのデータを算出する(ステップS2)。
続いて、放射パターン制御装置13は、段階的出力位相決定部133により、当該所望される放射パターンを形成する出力位相と、該出力位相へと段階的に遷移させる遷移回数を算出する(ステップS3)。
より具体的に、図4を参照しながら説明するに、段階的出力位相決定部133は、まず、記憶部135に格納されている現行の放射パターンに対応する放射素子アレー231の各放射素子(本例ではN=32とした32個の放射素子)の出力位相のデータ(図4(a)参照)を把握する。また、ここでは、図2に例示したように、各放射素子に対しそれぞれデジタル移相器が設けられているとし、各デジタル移相器は5ビットの分解能を持ち、その最小制御可能移相量は11.25度とする。
続いて、段階的出力位相決定部133は、各デジタル移相器の分解能(5ビット)に合わせて、当該所望の放射パターンを形成するための当該各デジタル移相器の移相量を任意に定め、このときの各放射素子の出力位相(第1の出力位相)と、各デジタル移相器の分解能による最小制御可能移相量(11.25度)を単位として、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと段階的に遷移させるのに必要な遷移回数を算出する(図4(b)参照)。
続いて、段階的出力位相決定部133は、当該第1の出力位相に対応する遷移回数(図4(b)参照)を算出した後、さらに、放射素子アレー231を構成する全ての放射素子に対する該遷移回数の最小値を求め、その最小値がゼロ回となるように、各放射素子に対する遷移回数から該最小値を一律に差分して得られる各放射素子の出力位相(第2の出力位相)に対応する遷移回数(図4(c)参照)を算出する(ステップS4)。
図4を参照しながらステップS2~S4に関してより具体的に説明すると、所望の放射パターンの算出方法には、特許文献1又は非特許文献1に開示された放射パターンの算出方法を利用することができ、計算機シミュレーションなどにより算出することができる。この計算機シミュレーションにおいては、短時間で可能な限り所望の放射パターンを得るため、出力位相には制限を設けずに算出することが望ましい。計算機シミュレーションで得られた出力位相において、この放射素子間の相対位相差が保持されていれば当該所望の放射パターンが得られることから、例えば図4(a)に示す現行の放射パターンを形成する出力位相に対して各デジタル移相器の分解能に対応する当該所望の放射パターンを得るよう近似すると、図4(b)に示す第1の出力位相のようになる。この場合、放射素子No.21では326.25度から225度への258.75度(11.25度刻みでは23回)の遷移が必要になる。
そこで、例えば図4(a)に示す現行の放射パターンを形成する出力位相に対して正片方向遷移で遷移させるとしたときの遷移回数が最も少なくなる出力位相を特定すると、図4(c)に示す第2の出力位相のようになる。図4(c)に示す第2の出力位相は、第1の出力位相では、放射素子No.21では326.25度から225度への258.75度(11.25度刻みでは23回)の遷移が必要であったのに対して、正片方向遷移で遷移させるとしたとき、その遷移回数を最小化することで、最大の遷移回数を要する放射素子No.21では90度(11.25度刻みでは8回)の遷移に低減することができる。
数式で表すと、図4(b)に示す第1の出力位相におけるN個の放射素子における各遷移回数kの集合をD(k)、或る集合の最小値を求める関数をmin{ }、図4(c)に示す所望される第2の出力位相における各放射素子の遷移回数をKとすると、
K=k-min{D(k)}
で表される。
つまり、図4(b)において、32個の放射素子のうち、最小の遷移回数となるものは放射素子No.10の15回が最小値であり、最大の遷移回数となるものは放射素子No.21の23回である。
そこで、現行の放射パターンから所望の放射パターンを得るまでに正片方向遷移で遷移させるとしたとき、図4(b)における各放射素子の遷移回数の値から一律に最小値(15回)を差分すると、図4(c)に示すような各放射素子の出力位相(第2の出力位相)に対応する遷移回数が得られ、当該所望の放射パターンの形状自体を変化させることなく、放射素子No.10の遷移回数がゼロ回となり、放射素子No.21の遷移回数が8回となり正片方向遷移で遷移させるとしたとき全体の遷移回数が最小化する。従って、図4(c)に示すように、現行の放射パターンから所望の放射パターンを得るまでに必要な遷移量も最小化し、いずれかの放射素子(本例では放射素子No.10)の移相量がゼロを持つようになり、必要な遷移時間も最小化する。
最終的に、放射パターン制御装置13は、コマンド生成送信部136により、図5に示すように、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと段階的に遷移させるのに必要な遷移回数(図5に示す例では全体として8回)の情報を取得すると、その段階的な遷移を実現するコマンドを生成し、中継器2に向けて送信する(ステップS5)。
図5に示すように、例えば、放射素子No.10では現行の出力位相と、所望の出力位相(第2の出力位相)が同一であるために遷移は行われず、放射素子No.21では所望の出力位相(第2の出力位相)となるまで8回の遷移が行われることで、現行の出力位相から所望の出力位相(第2の出力位相)への段階的な遷移が行われる。
図6(a)は、図5に示す計8回の段階的な遷移でデジタル移相器の移相量を移相制御するために、放射パターン制御装置13から、当該遷移回数による段階的な遷移に対応する複数回のコマンドを中継器2に送信する制御例1を示すフローチャートである。つまり、放射パターン制御装置13は、コマンド生成送信部136により、図5に示す「遷移1回目」に対応するコマンドを中継器2に送信し(ステップS11)、中継器2は、給電回路制御部25により、給電回路22に対し図5に示す「遷移1回目」に対応する出力位相制御を実行する(ステップS12)。続いて、放射パターン制御装置13は、当該伝送信号の1シンボル期間以上の間隔を空けて、コマンド生成送信部136により、図5に示す「遷移2回目」に対応するコマンドを中継器2に送信し(ステップS13)、中継器2は、給電回路制御部25により、給電回路22に対し図5に示す「遷移2回目」に対応する出力位相制御を実行する(ステップS14)。このフローを当該伝送信号の1シンボル期間以上の間隔を空けながら、8回行う(ステップS15,S16)。この場合、放射パターン制御装置13は、伝送信号に施されている変調方式の最大変調次数のシンボル期間を把握して、当該8回の各コマンドを中継器2に向けて個別に送信することができる。ただし、変調方式に応じて可変期間でコマンド送信を行うように制御せずとも、当該送信装置11及び中継器2の放送伝送路でサポートされる最大変調次数のシンボル期間以上の固定期間でコマンド送信を行うように制御を行ってもよい。
これにより、現行の放射パターンから所望の放射パターンを得るまでに必要な遷移時間も最小化しつつ、段階的に遷移させるため、放射パターン変更に起因する受信装置側への悪影響を抑制できる。また、図6(a)に示す制御例1では、中継器2として現行の衛星中継器をそのまま利用できるという利点がある。
一方、図6(b)は、図5に示す計8回の段階的な遷移をデジタル移相器の移相量を移相制御するために、放射パターン制御装置13から、当該遷移回数による段階的な遷移を位相遷移パターンとして全て示す1回のコマンドを生成し中継器2に送信する制御例2を示すフローチャートである。つまり、放射パターン制御装置13は、コマンド生成送信部136により、図5に示す「遷移1回目」~「遷移8回目」を位相遷移パターンとして示すコマンドを1回、中継器2に送信し(ステップS21)、中継器2は、給電回路制御部25により、該位相遷移パターンを示す1回のコマンドに応じて、給電回路22に対し図5に示す「遷移1回目」~「遷移8回目」に対応する出力位相制御を、それぞれ当該伝送信号の1シンボル期間以上の間隔を空けて段階的に実行する(ステップS22~S24)。この場合、放射パターン制御装置13は、伝送信号に施されている変調方式の最大変調次数のシンボル期間を把握する必要はなく、中継器2は、給電回路制御部25により当該シンボル期間を把握して制御する。ただし、変調方式に応じて可変期間で遷移させる制御とせずとも、当該送信装置11及び中継器2の放送伝送路でサポートされる最大変調次数のシンボル期間以上の固定期間で遷移させる制御を行ってもよい。
また、中継器2の構成として、図6(a),(b)にそれぞれ示す制御例1,2のいずれにも対応するように構成することもできる。
これにより、制御例2においても、現行の放射パターンから所望の放射パターンを得るまでに必要な遷移時間も最小化しつつ、段階的に遷移させるため、放射パターン変更に起因する受信装置側への悪影響を抑制できる。また、図6(b)に示す制御例2では、放射パターン制御装置13がコマンド送信に係るタイミング管理を行う必要が無くなり、放射パターン制御装置13側の制御が簡単化するという利点がある。
以上のように、本実施形態の放射パターン制御装置13、並びに中継器2は、中継器2から受信装置(図示せず)に向けて伝送する放射パターンについて、現行の放射パターンから所望の放射パターンへと遷移させる際に、各放射素子が当該所望の放射パターンの出力位相になるまで段階的に遷移させるという制御を行う。特に、本実施形態の放射パターン制御装置13、並びに中継器2は、現行の放射パターンから所望の放射パターンへと遷移させる際に、デジタル移相器の分解能に基づく最小制御可能移相量を基準に、当該伝送信号の1シンボル期間以上の間隔で段階的に遷移させるため、放射パターンを変化させることに起因する伝送信号の位相成分の不連続性により受信装置側で生じうるバーストエラーを回避することが可能となる。
また、本実施形態の放射パターン制御装置13、並びに中継器2は、現行の放射パターンから所望の放射パターンへと遷移させる際に、出力位相は各放射素子の相対的な位相差が同一であれば同一の放射パターンが形成可能であることから、その遷移回数を最小化する出力位相(図4及び図5に示す第2の出力位相)を定めることで、各デジタル移相器による遷移に要する時間を短縮化させることができる。
図7(a),(b)は、それぞれ本発明に係る現行の放射パターン例、及び所望の放射パターン例を示す図であり、図5に対応している。ここで、図7(a)に示す現行の放射パターン例は、中継器2(東経110度静止衛星に搭載)から日本全国が均一なアンテナ利得とする例である。また、図7(b)に示す所望の放射パターン例は、札幌に降雨減衰が生じる場合を想定した、中継器2(東経110度静止衛星に搭載)から日本全国はほぼ均一、ただし札幌に4dBの増力となるアンテナ利得とする例である。
図8(a),(b)は、それぞれ本発明による第1実施形態の放射パターン制御装置13により制御した段階的な位相遷移に基づく遷移回数に応じた移相量、及び受信側のアンテナ利得の変化をシミュレーションした特性図であり、図5に対応している。図8(a)から理解されるように、移相量の制御に関して従来技術に従うと、デジタル移相器により各放射素子の出力位相を一括で遷移させる制御を行うものとなるが、この場合、札幌では54度、東京では約48度と大きい移相量が発生することになる。一方、図8(a)から理解されるように、本実施形態に係る放射パターン制御装置13及び中継器2によれば、段階的な移相制御を行うため、最大でも、札幌では約13度(遷移回数“3”)、東京では約11度(遷移回数“1”)に低減できていることがわかる。また、図8(b)に示すアンテナ利得に関しても、札幌、東京ともに緩やかな変化が得られることがわかる。
(変形例)
上述した図4及び図5に示す実施例では、図4(c)及び図5に示す第2の出力位相を得るために、放射パターン制御装置13は、図4(a)に示す現行の放射パターンを形成する出力位相に対して正片方向遷移で遷移させるとしたときの遷移回数が最も少なくなる出力位相を特定する例を説明した。この変形例として、放射パターン制御装置13は、図4(a)に示す現行の放射パターンを形成する出力位相に対して負片方向遷移で遷移させるとしたときの遷移回数が最も少なくなる出力位相を特定する形態としてもよい。
より具体的に、負片方向遷移で遷移回数を最小化させる場合には、段階的出力位相決定部133は、上述した実施例と同様に当該第1の出力位相に対応する遷移回数(図4(b)参照)を算出した後、負片方向遷移で遷移させるとしたとき、その遷移回数を最小化する。
数式で表すと、図4(b)に示す第1の出力位相におけるN個の放射素子における各遷移回数kの集合をD(k)、或る集合の最大値を求める関数をmax{ }、所望される第2の出力位相における各放射素子の遷移回数をKとすると、
K=k-max{D(k)}
で表される。
つまり、図4(b)において、32個の放射素子のうち、最大の遷移回数となるものは放射素子No.21の23回である。
そこで、現行の放射パターンから所望の放射パターンを得るまでに負片方向遷移で遷移させるとしたとき、図4(b)における各放射素子の遷移回数の値から一律に最大値(23回)を差分することで、負片方向遷移で最小化した各放射素子の出力位相(第2の出力位相)に対応する遷移回数が得られる。
尚、これらの正片方向遷移又は負片方向遷移で遷移回数を最小化させる場合、いずれかの放射素子(図4(c)に示す例では放射素子No.10)の移相量がゼロを持つようになるという利点があるが、正負双方向遷移で遷移回数を最小化した出力位相を特定することで、全体の遷移回数を更に最小化させることができる。
より具体的に、正負双方向遷移で遷移回数を最小化させる場合には、段階的出力位相決定部133は、上述した実施例と同様に当該第1の出力位相に対応する遷移回数(図4(b)参照)を算出した後、正負双方向遷移で遷移させるとしたとき、その遷移回数を最小化することで、正遷移方向に最大の遷移回数を要する放射素子No.21では45度(11.25度刻みでは4回)の遷移に、負遷移方向に最大の遷移回数を要する放射素子No.10では-45度(-11.25度刻みでは4回)の遷移に、全体の遷移回数を4回まで低減することができる。
数式で表すと、図4(b)に示す第1の出力位相におけるN個の放射素子における各遷移回数kの集合をD(k)、或る集合の最小値を求める関数をmin{ }、或る集合の最大値を求める関数をmax{ }、絶対値を求める関数をabs{ }、所望される第2の出力位相における各放射素子の遷移回数をKとすると、
K=abs{k-(min{D(k)}+max{D(k)})/2}
で表される。
つまり、図4(b)において、32個の放射素子のうち、最小の遷移回数となるものは放射素子No.10の15回が最小値であり、最大の遷移回数となるものは放射素子No.21の23回である。そして、その(最大値+最小値)/2=19回となる。
そこで、現行の放射パターンから所望の放射パターンを得るまでに正負双方向遷移で遷移させるとしたとき、図4(b)における各放射素子の遷移回数の値から一律に(最大値+最小値)/2の値(19回)を差分してその絶対値を求めると、正負双方向遷移で最小化した各放射素子の出力位相(第2の出力位相)に対応する遷移回数(この場合、全体として4回)が得られる。
最終的に、放射パターン制御装置13は、コマンド生成送信部136により、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと段階的に遷移させるのに必要な遷移回数の情報を取得すると、段階的な遷移を実現するコマンドを生成し、中継器2に向けて送信する。これにより、当該所望の放射パターンの形状自体を変化させることなく、現行の放射パターンから所望の放射パターンを得るまでに必要な遷移量もより最小化し、必要な遷移時間もより最小化する。
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態に係る放射パターン制御装置13は、外部からの制御指示に基づき、その都度、降雨データ収集部132から得られる降雨データを参照して所望の放射パターンを算出する例を説明したが、外部からの制御指示に基づき、その都度、降雨データ収集部132から得られる降雨データを参照して予め用意された多数の放射パターン候補から一つを選択して決定するものとしてもよい。
(放射パターン制御装置の構成)
図9は、本発明による第2実施形態の放射パターン制御装置13の概略構成を示すブロック図である。尚、図1に示す第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照番号を付している。図9に示すように、第2実施形態の放射パターン制御装置13は、放射パターン選択部131a、降雨データ収集部132、段階的出力位相決定部133、現行パターン抽出部134、記憶部135、及びコマンド生成送信部136を備える。即ち、第2実施形態の放射パターン制御装置13は、第1実施形態における放射パターン算出部131の代わりに、放射パターン選択部131aが設けられている点、及び記憶部135には、予め多数の放射パターン候補が格納されている点で相違し、他の構成要素の動作は同一である。
放射パターン選択部131aは、降雨データを参照して所望の放射パターンを決定する放射パターン決定手段として機能する機能部であり、外部からの制御指示に基づき、その都度、降雨データ収集部132から得られる降雨データを参照して記憶部135に予め保持されている多数の放射パターン候補から一つを選択して所望の放射パターンとして決定し、段階的出力位相決定部133に出力する。この選択のために、放射パターン選択部131aは、降雨データと放射パターン候補とを対応付けるための対応テーブルを有する。この対応テーブルは、例えば東京のみ増力、札幌のみ増力、東京及び札幌のみ増力等の過去の実績を基づき統計的に利用度の高いものとし、記憶部135には対応する放射パターン候補を予め保持させておくようにする。これにより、外部からの制御指示に対する放射パターン制御装置13の動作を高速に処理することができる。また、これらの放射パターン候補は、例えば図4(a)に示す「全国均一の放射パターン」からの遷移量として予め最小化計算しておいたもの(上述した図4(b)又は図4(c)等)を記憶部135に保持させておくこともできる。
この場合でも、段階的出力位相決定部133は、第1実施形態と同様に、各デジタル移相器223‐1,223‐2,…,223‐Nの分解能に合わせて、各デジタル移相器の分解能による最小制御可能移相量を単位として、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと段階的に遷移させるのに必要な遷移回数を決定しコマンド生成送信部136に出力する。
コマンド生成送信部136は、第1実施形態と同様に、段階的出力位相決定部133より、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと段階的に遷移させるのに必要な遷移回数の情報を取得すると、当該遷移回数による段階的な遷移でデジタル移相器の移相量を移相制御するために、当該遷移回数による段階的な遷移に対応する複数回のコマンド、或いは当該遷移回数による段階的な遷移を位相遷移パターンとして全て示す1回のコマンドを生成し、中継器2に向けて送信する。
これにより、第2実施形態に係る放射パターン制御装置13においても、第1実施形態の放射パターン制御装置13と同様の作用・効果を生じさせることができる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した各実施形態の例では、主として衛星伝送路を介する伝送方式の例を説明したが、地上伝送路を介する伝送方式として構成してもよい。また、コマンドの送信は、伝送信号に多重する構成としてもよい。
本発明によれば、衛星伝送路或いは地上伝送路を用いて伝送される伝送信号について、受信側における放射パターンの遷移に起因するバーストエラーを確実に抑制することができるようになるので、放射素子アレーの位相遷移を可能とするデジタル移相器を有する中継器に対しその放射素子アレーを構成する複数の放射素子の各出力位相を可変とするよう制御する用途に有用である。
1 地上設備
2 中継器
10 送信装置
11 符号化・変調部
12 伝送信号送信部
13 放射パターン制御装置
21 伝送信号受信部
22 給電回路
23 フェーズドアレーアンテナ装置
24 コマンド受信部
25 給電回路制御部
131 放射パターン算出部
131a 放射パターン選択部
132 降雨データ収集部
133 段階的出力位相決定部
134 現行パターン抽出部
135 記憶部
136 コマンド生成送信部
221 電力増幅分配器
222‐1,222‐2,…,222‐N 減衰器
223‐1,223‐2,…,223‐N デジタル移相器
231 放射素子アレー
231‐1,231‐2,…,231‐N 放射素子
232 反射鏡(副鏡)
233 反射鏡(主鏡)

Claims (2)

  1. 衛星伝送路或いは地上伝送路を用いて所定の符号化・変調処理を施した伝送信号を送信装置から放射素子アレーの位相遷移を可能とするデジタル移相器を有する中継器に対し伝送し、前記中継器から当該伝送信号を受信装置に向けて伝送する伝送システムにて、前記放射素子アレーを構成する複数の放射素子の各々の出力位相を可変とするよう前記デジタル移相器を制御する放射パターン制御装置であって、
    前記デジタル移相器の分解能に応じて、現行の放射パターンから所望の放射パターンへと遷移させるのに必要な前記複数の放射素子の各々の出力位相、及び該出力位相へと段階的に遷移させる遷移回数を決定する段階的出力位相決定手段と、
    前記遷移回数で前記デジタル移相器の移相量を段階的に制御するためのコマンドを生成し、前記中継器に送信するコマンド生成送信手段と、を備え、前記段階的出力位相決定手段は、現行の放射パターンから当該所望の放射パターンへと遷移させるのに必要な出力位相について、正片方向遷移又は負片方向遷移、或いは正負双方向遷移で当該遷移回数を最小化した出力位相を決定するように構成されていることを特徴とする放射パターン制御装置。
  2. 請求項に記載の放射パターン制御装置によって制御されるデジタル移相器を備える中継器であって、
    前記遷移回数による段階的な遷移で前記デジタル移相器の移相量を移相制御するために当該遷移回数による段階的な遷移に対応する複数回のコマンドを受信するときは、該複数回のコマンドに応じて前記デジタル移相器の移相量の段階的な移相制御を行い、
    前記遷移回数による段階的な遷移で前記デジタル移相器の移相量を移相制御するために当該遷移回数による段階的な遷移を位相遷移パターンとして全て示す1回のコマンドを受信するときは、該位相遷移パターンを示す1回のコマンドに応じて前記デジタル移相器の移相量の段階的な移相制御を行う手段を備えることを特徴とする中継器。
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