1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかるぱちんこ遊技機1(以下、単に遊技機と称する)の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明における各種画像には、静止画だけでなく動画も含まれるものとする。また、「○○に遊技球が進入(入賞)」等というときは、厳密には当該○○に設けられたセンサが進入した遊技球を検出したことをいう。
遊技機1(図1参照)の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。遊技領域902には、始動領域904、大入賞領域906、アウト口907などが設けられている。
表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認されるものである。なお、一部の図においては、遊技盤90に覆われずに露出する表示領域911の形状を簡略化して記載する(方形状に記載する)が、当該部分の大きさや形状は適宜変更可能である。
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
2)遊技性(スペック等)
2-1)当否抽選(特別図柄抽選)
始動領域904への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(以下、当否抽選情報と称することもある)が取得される。当該数値を用いて当否抽選(一般的には特別図柄(特図)抽選等と称される)が実行される。基本的には、周知の遊技機と同様に、当該数値を予め定められた判定用数値(当否抽選テーブル)と照らし合わせて、当否抽選結果が導出される。また、当該数値は、変動中演出(後述)としてどのような演出を実行するかを決定する際にも用いられる。
本実施形態では、始動領域904として第一始動領域904aと、当該第一始動領域904aとは異なる位置にある第二始動領域904bと、が設けられている。第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として第一当否抽選情報が取得され、それに基づき第一当否抽選(特図1抽選)が実行される。第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として第二当否抽選情報が取得され、それに基づき第二当否抽選(特図2抽選)が実行される。第一始動領域904aは、遊技領域902の左側(表示領域911の左側)を流下するように遊技球を発射する(いわゆる「左打ち」を行う)ことにより遊技球が進入する領域である。第二始動領域904bは、遊技領域902の右側(表示領域911の右側)を流下するように遊技球を発射する(いわゆる「右打ち」を行う)ことにより遊技球が進入する領域である。本実施形態では、「右打ち」を行った場合に第一始動領域904aに遊技球が進入することはなく、「左打ち」を行った場合に第二始動領域904bに遊技球が進入することはないように設定されている。
本実施形態では、第一当否抽選の結果は、「当たり」、「突時」(「突時」は突然時短の略である)、「はずれ」の三つの態様のうちのいずれかとなるものとされている。「突時」に当選することは、詳細を後述する状態移行権利を取得することにあたる(「突時」に当選することは、後述する当たり遊技(小当たり遊技、大当たり遊技)の実行に繋がるものではないから、「当たり」に当選することとは異なる概念(結果態様)であるとする)。ここで、本実施形態では、第一当否抽選の結果として生じる「当たり」は全て「大当たり」とされており、「小当たり」は生じないものとされている。ただし、第一当否抽選の結果(当たりの一部)として「小当たり」が生じうるものの、第一当否抽選を経た場合、「小当たり経由での大当たり」(詳細は後述)の獲得が事実上不可能とされた構成としてもよい。すなわち、第一当否抽選を経た小当たりの場合は、特定領域10の開放時間が極めて短く、当該特定領域10に遊技球を進入させることは事実上不可能である構成とする。
本実施形態では、第一当否抽選の大当たり確率は約1/319であり、突時の確率は約1/100であり、それ以外ははずれとされている。なお、大当たりと同時に突時(状態移行権利)を獲得することがない構成とされるのであれば、大当たりの抽選(特図1抽選)と突時の抽選が別に実行されるようにしてもよい。例えば、第一当否抽選情報に基づき大当たりの抽選を行い、はずれとなった場合に別の抽選により突時の抽選が実行されるようにしてもよい。また、大当たりと同時に突時に当選した場合には、大当たりが優先されるようにしてもよい。いずれにしても、遊技者にとってみれば、始動領域(第一始動領域904a)に遊技球が進入することを契機とした抽選の結果態様として、「突時」(の当選)という態様が設定されているということである(どのような抽選方式を採用する場合でも、予め定められた確率で「突時」に当選しうるようにしていればよい)。
本実施形態では、第二当否抽選の結果は、「当たり」、「はずれ」の二つの態様のうちのいずれかとなるものとされている。ここで、本実施形態では、第二当否抽選の結果として生じる「当たり」は「大当たり」または「小当たり」とされている。本実施形態では、第二当否抽選の大当たり確率は約1/319(第一当否抽選の大当たり確率と同じ)であり、第二当否抽選の小当たり確率は約316/319であり、それ以外ははずれとされている。なお、第二当否抽選の結果としてはずれがない(全て大当たりまたは小当たりである)構成としてもよい。
2-2)当たり遊技
大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。なお、詳細を後述する小当たり経由の大当たり(遊技)と区別するため、大当たり当選を「直当たり」と称することもある。大当たり遊技は、所定条件成立まで大入賞領域906(常態において閉鎖されている)が開放される単位遊技(いわゆる1「ラウンド」分の遊技のことをいう。以下の説明において「ラウンド」と称することもある)が一または複数回繰り返される。本実施形態では、大入賞領域906に遊技球が10個入賞する入賞条件、および、所定時間が経過する時間条件のいずれか一方が成立することをもって単位遊技が終了(大入賞領域906が閉鎖)する。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)が多くなるほど、当該大当たり遊技にて得られる遊技者の利益(利益の期待値)が大きくなる。本実施形態では、大入賞領域906は遊技領域902の右側に設けられており(図1参照)、遊技者は遊技領域902の右側に遊技球が進入するよう遊技する(いわゆる「右打ち」を行う)。
小当たりに当選した場合には小当たり遊技が実行される。小当たり遊技は、大入賞領域906が開放されるとともに、当該大入賞領域906内に設けられた特定領域10(図2参照)が開放されるものである。当該特定領域10の付近には「V」の文字が付されており(図1、2参照)、当該特定領域10を遊技者に示す文言として当該「V」が用いられる。特定領域10は常態において閉鎖されているものであるところ、小当たり当選時には一時的に開放される。なお、大入賞領域906には二つの出口領域が設けられており、大入賞領域906に進入した遊技球は当該二つの出口領域のいずれかを通過することになる。当該二つの出口領域のうちの一方が特定領域10とされている(図2参照)。当該出口領域のそれぞれにはセンサが設けられており、当該出口領域のいずれかを通過した遊技球が大入賞領域906に入賞したものと扱われる。つまり、特定領域10に進入した遊技球は、大入賞領域906にも進入したものでもある。
特定領域10に遊技球が進入したときには、大当たり遊技が実行される。つまり、抽選により大当たりに当選することだけでなく、小当たりを経由して大当たりを獲得することができる(大当たりを獲得するためには、1つの遊技球が特定領域10に進入すればよい)。なお、大入賞領域906外に特定領域10が設けられた構成としてもよい。
小当たり遊技は、それを経て獲得した大当たり遊技の1ラウンド分の単位遊技とみることもできる。例えば、小当たりを経由した10ラウンド大当たり(単位遊技が10回実行される大当たり)とは、小当たり遊技(大入賞領域906が開放されるとともに特定領域10が開放される遊技)が1ラウンド目の遊技として、その後の大当たり遊技として実行される大入賞領域906の開放が2~9ラウンド目の遊技として実行される(特定領域10に遊技球が進入しなかった場合には当該2~9ラウンド目の遊技が実行されず、小当たり遊技のみで終了する)。小当たり遊技は、大当たり遊技を構成する単位遊技と同様、時間条件および入賞条件(本実施形態では10個入賞)の少なくともいずれか一方が成立することにより終了する。継続的に遊技球を発射していれば先に入賞条件が成立することになるから、小当たり遊技においては一回の単位遊技と同様の賞球を得ることができる。なお、各種大当たり遊技に含まれる単位遊技の数(ラウンド数)はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
本実施形態では、小当たりに当選した場合に大入賞領域906とともに特定領域10が開放されることになるが、その時間は、当該特定領域10に遊技球を進入させるために十分な長さが確保される。特定領域10は遊技領域902の右側に設けられており、特定領域10に遊技球を進入させるためには遊技者は右打ちを行うところ、継続的に右打ちを行っていればほぼ確実に特定領域10に遊技球が進入する(図2(b)参照)。小当たり当選時には表示領域911に右打ちを実行する旨の指示が出されるため、遊技者はそれに従うだけでよい。指示が出されてから10数秒遅れて右打ちを開始しても、ほぼ確実に遊技球が特定領域10に進入するように設定されている。このように、本実施形態では、実質的には「小当たり当選=大当たり当選」となる(小当たり当選が大当たり獲得に結びつく)設定である。なお、本実施形態では、小当たり遊技以外の大当たり遊技を構成する単位遊技においては、特定領域10は閉鎖された状態(図2(a)参照)にある。
本実施形態にかかる遊技機1のように、大当たり当選時だけでなく、小当たり当選時にも大当たりを獲得できる可能性がある遊技機は「一種二種混合機」等と称される(小当たり経由での大当たりの獲得は「二種」の遊技性である)。
2-3)装飾図柄
当否抽選結果は、表示領域911に表示される装飾図柄80(図3参照)により報知される。本実施形態では、それぞれが複数種の装飾図柄80を含む三つの装飾図柄群80gが設定される。具体的には、表示領域911の左側に表示される左装飾図柄群80gL、右側に表示される右装飾図柄群80gR、左装飾図柄群80gLと右装飾図柄群80gRの間に表示される中装飾図柄群80gCの三つである。各装飾図柄群80gから選択されて表示された三つの装飾図柄80の組み合わせにより抽選結果が報知される。当該三つの装飾図柄群80gが変動を開始してから、当該変動が停止して抽選結果を示す組み合わせが表示されるまでの演出が変動中演出(以下単に変動と称することもある)である。なお、一部の図面においては、装飾図柄80の図示を省略する。本実施形態では同じ数字を含むものが同種の装飾図柄80とされる(異なる種類の数字を含むものは異種である)。
本実施形態では、大当たりまたは小当たり当選時には、同じ種類の装飾図柄80の三つ揃いが表示される。上述した通り、本実施形態では実質的には「小当たり当選=大当たり当選」となる設定であるため、大当たりおよび小当たりのいずれに当選した場合であっても、「当たり用の組み合わせ」である同じ種類の装飾図柄80の三つ揃いが表示される。
なお、装飾図柄80以外の図柄(別図柄)が表示されるようにし、当該別図柄により大当たりや小当たりの当選が示されるようにしてもよい。別図柄は、表示領域911の外縁近傍に小さく表示されるものであってもよいし、表示領域911外に表示される(表示領域911外に表示されるランプ等の点灯パターン)であってもよい。ただし、大当たりや小当たり当選時の別図柄の態様は、当選態様を容易に判別できるようにパターン化されたものではないから、当該別図柄により当否の具体的内容を判別することは困難である。よって、通常の遊技者(別図柄等を見ずに装飾図柄80を見て遊技する遊技者のことをいう)は、別図柄の態様を意識することなく、装飾図柄80や表示領域911にて実行される各種演出等を見て遊技を楽しむことができる。
一方、はずれである場合には、上記「当たり用組み合わせ」以外の装飾図柄80の組み合わせ(はずれ組み合わせ)が表示される。また、「突時」当選時にも、上記「当たり用組み合わせ」以外の装飾図柄80の組み合わせが表示される。つまり、「突時」に当選したとしても、装飾図柄80の見た目上は「はずれ」と変わりはないため、通常の遊技者は「突時」に当選したことに気付かない(換言すれば、「はずれ」の一部で「突時」に当選していることがあるということである)。
なお、上述したような別図柄により、突時に当選したことが示されるものとしてもよい。また、このような別図柄として、大当たりや小当たり用の別図柄(大当たり図柄、小当たり図柄)と、それとは異なる突時用の別図柄(時短図柄)が用意されたものとしてもよい。ただし、上記の通り、通常の遊技者(装飾図柄80を見て遊技している遊技者)はこのような別図柄により突時に当選したことに気付かない。
2-4)保留
第一始動領域904aに遊技球が進入し、新たな第一当否抽選情報が取得されたとき、それよりも先に取得された第一当否抽選情報に対応する変動中演出が実行されている場合(装飾図柄80の変動中である場合)には、当該新たな第一当否抽選情報は保留情報(保留)として記憶手段(図示せず)に記憶される。本実施形態では、第一当否抽選情報として取得された第一保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つである。
第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させるべき状態である第一遊技状態(後述)において、記憶手段に記憶されている第一保留情報は保留図柄70として表示されることがある(図3参照)。本実施形態では、保留図柄70は、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72に区分けされる。変動中保留図柄71は、対応する当否抽選結果についての変動中演出は開始されていないものの、当該当否抽選結果の報知は完了していない(変動中演出が終了していない)当否抽選情報の存在を示すものである。なお、当該当否抽選情報は、厳密には保留情報に該当するものではないが、一般的には「当該変動保留」等と称されるため、当該当否抽選情報の存在を示す図柄を変動中保留図柄71とする。変動前保留図柄72は、対応する当否抽選結果についての変動中演出は開始されていない当否抽選情報(保留情報)の存在を示すものである。
なお、本実施形態では、第二当否抽選情報は保留情報として記憶されない(特図2保留=0とされている)。ただし、第二当否抽選情報についても保留情報として記憶される構成とする(そのようなスペックとする)ことを否定するわけではない。第二当否抽選情報が保留情報として記憶される場合には、当該保留情報が保留図柄70として表示されるようにしてもよい。
第二当否抽選情報に基づく変動中演出が実行されている際には、第一当否抽選情報に基づく変動中演出が実行されない(当該第一当否抽選情報は第一保留情報として記憶手段に記憶される)。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる特図2優先消化(第二当否抽選の結果が優先的に報知される)である。
2-5)遊技状態
遊技者が大当たり獲得を目指して遊技する(始動領域904を狙って遊技球を発射させる)遊技状態は、大まかに第一遊技状態と第二遊技状態に区分けされる(図4参照)。第一遊技状態は第一始動領域904aを狙って遊技球を発射すべき(いわゆる「左打ち」を行うべき)遊技状態である。第一遊技状態にて遊技者が「右打ち」を行うと、遊技者は目論見通りの利益を享受することができなくなる(「左打ち」を行った場合に比して享受できる利益が著しく低下する)から、「右打ち」を行っていることが検出された場合には「左打ち」を行うよう注意が促される。一方、第二遊技状態は第二始動領域904bを狙って遊技球を発射すべき(いわゆる「右打ち」を行うべき)遊技状態である。第二遊技状態にて遊技者が「左打ち」を行うと、遊技者は目論見通りの利益を享受することができなくなる(「右打ち」を行った場合に比して享受できる利益が著しく低下する)から、「左打ち」を行っていることが検出された場合には「右打ち」を行うよう注意が促される。
第一遊技状態は、通常第一遊技状態と特殊第一遊技状態に区分けされる。通常第一遊技状態は、低開閉モード(詳細は後述)が設定された状態である。特殊第一遊技状態は、高開閉モード(詳細は後述)が設定された状態である。なお、第二遊技状態は、高開閉モードが設定された状態である。通常第一遊技状態、特殊第一遊技状態、第二遊技状態のうち、通常第一遊技状態が遊技者にとって最も不利な遊技状態であり、第二遊技状態が遊技者にとって最も有利な遊技状態である。
2-6)開閉モード、開放抽選
開閉モードとして低開閉モードと高開閉モードが設けられている(図4参照)。低開閉モードと高開閉モードは、第二始動領域904b(図1参照)の開放されやすさが異なる。第二始動領域904bは、常態において閉鎖されている領域(閉鎖されているときには遊技球は進入不可能)であり、開放抽選(始動領域904に遊技球が進入することを契機として実行される当否抽選(特別図柄抽選)とは異なる抽選であり、一般的には普通抽選、普通図柄(普図)抽選等と称される)に当選することで開放される領域である(いわゆる「電チュー(領域)」である)。
開放抽選は、普通領域905に遊技球が進入することを契機として取得される数値(開放抽選情報)に基づき実行される。本実施形態では、遊技領域902の左側に一または複数の左普通領域905Lが、右側に一または複数の右普通領域905Rが設けられている(図1参照)。左打ちを行った場合には(右普通領域905Rに遊技球が進入する可能性はないが)左普通領域905Lに遊技球が進入する可能性があり、右打ちを行った場合には(左普通領域905Lに遊技球が進入する可能性はないが)右普通領域905Rに遊技球が進入する可能性がある。つまり、左打ち、右打ちのいずれを行っても普通領域905に遊技球が進入する可能性がある構成とされている。
開放抽選の当否を報知する手法は、一般的な遊技機と同様に行うことができるから詳細な説明は省略する。本実施形態では、表示領域911外に設けられたランプの点灯パターンにより報知される(当該ランプの点灯パターンが「普通図柄」にあたる)。なお、開放抽選の結果の報知が完了していない状態(普通図柄の変動中)に、新たに普通領域905に遊技球が進入した場合には、開放抽選情報は図示されない記憶手段に記憶される。本実施形態では、当該開放抽選情報の最大の記憶数は四つ(普通図柄保留の最大値=4)である。
遊技球が進入することを契機として当否抽選は実行されない(当否抽選情報は取得されない)ものの、所定数の賞球が払い出される一般入賞領域が設けられている。本実施形態では、遊技者が第一始動領域904aを狙って遊技球を発射した場合(左打ちを行った場合)に進入可能な位置に設けられた一般入賞領域は、上記左普通領域905Lを兼ねている(図1参照)。つまり、一般入賞領域に遊技球が入賞することは開放抽選の契機とされている。すなわち、一般入賞領域への遊技球の入賞が検出されることを契機として、所定数の賞球が払い出されるとともに、開放抽選が実行されることになる。本実施形態では、左打ちを行った場合に遊技球が進入可能な複数の一般入賞領域が設けられており、そのいずれもが左普通領域905Lとなっている。複数の一般入賞領域のうち、一部のみが左普通領域905Lとされた構成としてもよい。
なお、本実施形態では、右普通領域905Rは一般入賞領域ではない。つまり、右普通領域905Rに遊技球が進入しても賞球が払い出されることはない。本実施形態では、右打ちを行うことで比較的容易に当該右普通領域905Rに遊技球が進入する。具体的には、左打ちを行った場合にて左普通領域905Lに遊技球が進入する確率(左打ちで100個発射した場合に左普通領域905Lに進入する遊技球数の期待値)よりも、右打ちを行った場合にて右普通領域905Rに遊技球が進入する確率(右打ちで100個発射した場合に右普通領域905Rに進入する遊技球数の期待値)の方が高い。
本実施形態における右普通領域905Rは、遊技球がそのまま通過して遊技領域902を流下する「ゲート」のような態様(いわゆる「スルー」)であり、進入した遊技球が内部に取り込まれる左普通領域905L(一般入賞領域)とは相違する(図1参照)。一般的な遊技機において、開放抽選の契機(電チューの開放契機)となる領域は、右普通領域905Rのような態様とされるのであり、左普通領域905Lのような態様とされるのは通常ではない。したがって、左普通領域905Lを、開放抽選の契機となる領域と捉える遊技者はそれほど多くない(一般入賞領域としての機能のみを有する領域であると捉えるのが通常である)といえる。
低開閉モードが設定されているときにおける開放抽選に当選する確率よりも、高開閉モードが設定されているときにおける開放抽選に当選する確率の方が高い。低開閉モードが設定されているときにおける開放抽選に当選する確率が0%であってもよい。また、高開閉モードが設定されているときにおける開放抽選に当選する確率が100%であってもよい。そのため、基本的には、低開閉モードが設定されているときよりも、高開閉モードが設定されているときの方が、第二始動領域904b(始動領域904)に遊技球が進入しやすく、遊技者にとって有利であるといえる。ただし、特殊第一遊技状態は、高開閉モードであるものの第二始動領域904bに遊技球が進入しやすい状態ではない。具体的には、特殊第一遊技状態は、通常第一遊技状態に比して、開放抽選に当選しやすい状態ではあるが、開放抽選に当選したとしても第二始動領域904bが開放される時間は極めて短く、特殊第一遊技状態にて第二始動領域904bに遊技球を進入させることは事実上不可能とされている。したがって、特殊第一遊技状態は、遊技者が左打ちを行うべき状態となる(右打ちを行うことは遊技者にとって不利となる)。つまり、特殊第一遊技状態は、第二始動領域904bが開放されやすい高開閉モードではあるものの、その恩恵(第二始動領域904bが開放されることによる恩恵)を受けることが事実上不可能なものであり、外観上は(遊技者視点では)通常第一遊技状態と変わらないものである。なお、通常第一遊技状態にて開放抽選に当選したときも第二始動領域904bが開放される時間は極めて短く、第二始動領域904bに遊技球を進入させることは事実上不可能とされている。
2-7)状態移行権利
通常第一遊技状態は低開閉モードが設定されている状態である。当該通常第一遊技状態では第一当否抽選が実行されるところ、当該第一当否抽選の結果が「突時」(当選)となることで状態移行権利が取得される。状態移行権利が取得された場合には、特殊第一遊技状態に移行する(図4参照)。後述する通り、特殊第一遊技状態は通常第一遊技状態よりも遊技者にとって有利な状態であるから、状態移行権利の取得(突時の当選)は遊技者にとって有利な事象であるといえる。第一当否抽選の突時の当選確率は約1/100であるから、通常第一遊技状態では約1/100の確率で特殊第一遊技状態に移行することになる。なお、本実施形態では、通常第一遊技状態にて突時に当選しない限り、特殊第一遊技状態に移行することはない。
突時に当選した場合には、その変動中演出が終了した後、特殊第一遊技状態へ移行する。上述した通り、突時に当選した場合であっても装飾図柄80の組み合わせははずれ組み合わせとされるのであるから、当該はずれ組み合わせが表示された後の次変動から特殊第一遊技状態に移行することになる。遊技者にとってみれば、「はずれ」が報知された後、気付かないうちに特殊第一遊技状態への移行が発生していることになる。通常第一遊技状態から特殊第一遊技状態に移行しても、装飾図柄80の背景として表示される背景画像(図示せず)に変化は生じない。すなわち、通常第一遊技状態と特殊第一遊技状態の分岐点では、背景画像の連続性が保たれる。
2-8)大当たりの種類
本実施形態では、大当たりの種類として、通常大当たり(非特定当たり)と特定大当たりが設定されている(図4参照)。なお、ここでいう大当たりとは、直当たりで獲得できるもののみならず、小当たり経由で獲得できるものを含む。また、各大当たりのラウンド数はどのようなものであってもよいから説明を省略する。ラウンド数が異なる二以上の通常大当たりが設定された構成としてもよいし、ラウンド数が異なる二以上の特定大当たりが設定されていてもよい。
通常大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常第一遊技状態となる大当たりである。特定大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が第二遊技状態となる大当たりである。通常第一遊技状態よりも第二遊技状態の方が遊技者に有利な遊技状態であるため、大当たり遊技終了後の遊技状態に着目すれば、通常大当たりよりも特定大当たりの方が遊技者にとって有利な大当たりであるといえる。
2-9)遊技の流れ
所定のリセット操作(当該リセット操作は、遊技店(遊技店員)が行うことができるものであり、遊技者が行うことができるものではない)がなされた後の初期状態時には、通常第一遊技状態とされる。本実施形態では、RAMクリア操作が当該リセット操作にあたり、電源OFF/ONはリセット操作ではない。ただし、電源のOFF/ONがリセット操作である設定としてもよい。通常第一遊技状態においては、遊技者は左打ち遊技を行う。第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として第一抽選情報が取得される。第一抽選情報(第一当否抽選情報)に基づく第一当否抽選(特図1抽選)が大当たりとなった場合には大当たり遊技が実行される。通常第一遊技状態における第一当否抽選を経て獲得した大当たりの大当たり振り分けは、通常大当たりが50%、特定大当たりが50%である(図4参照)。つまり、通常第一遊技状態にて大当たりを獲得した場合には、その大当たり遊技終了後は、50%の確率で通常第一遊技状態に移行し、50%の確率で第二遊技状態に移行する。
第二遊技状態においては、遊技者は右打ち遊技を行う。右普通領域905Rに遊技球が進入することを契機として開放抽選が実行され、当該開放抽選に当選することを契機として第二始動領域904bが開放される。当該第二始動領域904bの開放時間は長く(特殊第一遊技状態にて開放抽選に当選した場合の第二始動領域904bの開放時間よりも圧倒的に長く)、継続的に右打ちしていれば比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が進入する。第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として第二抽選情報が取得される。第二抽選情報(第二当否抽選情報)に基づく第二当否抽選(特図2抽選)を経て大当たりを獲得した場合(直当たりおよび小当たり経由の大当たりを獲得した場合)には、大当たり遊技が実行される。第二遊技状態における第二当否抽選を経て獲得した大当たり(小当たり経由を含む)の大当たり振り分けは、通常大当たりが20%、特定大当たりが80%である(図4参照)。つまり、第二遊技状態にて大当たりを獲得した場合には、その大当たり遊技終了後は、20%の確率で通常第一遊技状態に移行し、80%の確率で第二遊技状態に移行する。
第二遊技状態は、当否抽選結果が100回連続してはずれとなるまで高開閉モード(時短状態)が継続する(継続回数=100回である)。上述した通り、第二当否抽選の大当たり確率は約1/319(第一当否抽選の大当たり確率と同じ)であり、第二当否抽選の小当たり確率は約316/319とされているため、約317/319は大当たり獲得に結び付く(実質大当たり確率が約317/319である)。よって、100回連続してはずれとなること(約2/319が連続して100回発生すること)は事実上起こり得ない。つまり、第二遊技状態は、実質的に次回大当たり(小当たり経由を含む)が約束された状態である。そして、第二当否抽選を経て獲得した大当たりは80%が特定大当たりであり、その大当たり遊技終了後は第二遊技状態に再び移行することになるのであるから、80%の確率で第二遊技状態がループする(連荘する)という遊技性である。
第二遊技状態にて獲得した大当たりが通常大当たりであった場合には、その大当たり遊技終了後は通常第一遊技状態に移行する(図4参照)から、左打ち遊技を行い、第一当否抽選を経た大当たり獲得を再び目指すことになる。
上述した通り、通常第一遊技状態における第一当否抽選(特図1抽選)にて突時に当選した場合、すなわち状態移行権利を取得した場合には特殊第一遊技状態に移行する。特殊第一遊技状態は、通常第一遊技状態とは大当たり振り分けが異なる。上述した通り、通常第一遊技状態では、通常大当たりが50%、特定大当たりが50%であるのに対し、特殊第一遊技状態では、通常大当たりが25%、特定大当たりが75%とされている(図4参照)。特殊第一遊技状態は、厳密には高開閉モードである(第二遊技状態と同じ確率で開放抽選に当選する)ものの、開放抽選に当選したときの第二始動領域904bの開放時間が極めて短く、その恩恵を受けることはできない。つまり、特殊第一遊技状態は、通常第一遊技状態と同じく左打ちを行うべき状態であって、ベース(単位発射遊技球数あたりに得られる賞球数。端的にいえば持ち球の減少速度)は同じである。しかしながら、特殊第一遊技状態は、大当たり獲得時にその大当たりが特定大当たり(遊技者にとって有利な大当たり)となる確率は、通常第一遊技状態よりも高くなっており、その面において通常第一遊技状態よりも有利である。
一般的に、同じ種類の特図抽選がなされた場合の大当たり振り分けは、遊技状態が同じであれば同じにしなければならないという規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)がある。よって、左打ちで第一当否抽選(特図1抽選)を受ける第一遊技状態での大当たり振分けは同じでなければならない。本実施形態では、当該第一遊技状態として、通常第一遊技状態(低開閉モード)に加え、実際には高開閉モードであるもののその恩恵を受けることができない特殊第一遊技状態を設けることで、当該特殊第一遊技状態での大当たり振り分けを通常第一遊技状態と異ならせた(通常第一遊技状態よりも遊技者に有利にした)ものである。見方を変えれば、特殊第一遊技状態は、大当たりとなった場合にその大当たりが特定大当たりとなることに期待がもてる一種のチャンスゾーン(左打ち状態でのチャンスゾーン)であるということができる。なお、本実施形態では、特殊第一遊技状態に移行してから100回連続してはずれとなることを契機として当該特殊第一遊技状態は終了し、通常第一遊技状態に移行する(高開閉モードの継続回数=100回である)(図4参照)。つまり、100回変動分、左打ち状態でのチャンスゾーンが継続する。ただし、特殊第一遊技状態の残りの変動回数等が表示領域911に表示されるわけではない。当該特殊第一遊技状態の継続回数は適宜変更可能である。例えば、特殊第一遊技状態の継続回数=10000回として実質的に次回大当たり当選まで左打ち状態でのチャンスゾーンが継続するようにしてもよい。
特に、本実施形態では、突時に当選した変動においても、装飾図柄80のはずれ組み合わせが表示されるため、通常の遊技者は突時に当選したことを把握することができない。つまり、特殊第一遊技状態に移行したタイミングを通常の遊技者は明確に知ることができない。よって、仮に、雑誌やインターネット等で情報を得て特殊第一遊技状態の存在を知っている遊技者であれば、大当たりに当選したとき、現在の状態が特殊第一遊技状態であったことに期待するであろう遊技性となる。
このように、特殊第一遊技状態は、第二始動領域904bに遊技球を進入させることは事実上不可能であるものの、厳密には「高開閉モード」(時短状態)であり、当該特殊第一遊技状態を「左打ち」すべき遊技状態とする以上、左打ちされた遊技球が進入可能な領域に普通領域905を設ける必要がある。「高開閉モード」であるにもかかわらず、推奨される発射態様(左打ち)で開放抽選を受けることができない構成とするのは規則に反するから、高開閉モードであることの恩恵を受けることができないにしても、推奨される発射態様で開放抽選を受けることができるようにしておく必要がある。しかし、遊技領域902の左側に明らかな開放抽選の契機となる領域(例えば、右普通領域905Rのようなゲート型の領域)を設けると、左打ち状態でも開放抽選が行われ、遊技球が進入可能な程度に第二始動領域904bが開放されることがあるのではないかと遊技者が考えてしまう(無駄に第二始動領域904bを意識してしまう)おそれがある。本実施形態のように、進入した遊技球が内部に取り込まれる一般入賞領域が左普通領域905Lを兼ねている構成とすることで、遊技領域902の左側に開放抽選の契機となる領域が設けられていると遊技者が気付きにくくなる。
以下、上記遊技性(特に、通常第一遊技状態および特殊第一遊技状態)に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
○具体例1-1
特殊第一遊技状態にて大当たりに当選した場合には、当該大当たりが通常大当たりとなる可能性はなく、100%特定大当たりとなる設定としてもよい(図5参照)。このようにすることで、特殊第一遊技状態にて大当たりとなれば第二遊技状態(最も有利な遊技状態)への移行が確定するという分かりやすい遊技性とすることができる。
○具体例1-2
上記実施形態では、通常第一遊技状態よりも特殊第一遊技状態の方が特定大当たりとなる割合が高いことを説明したが、その逆の設定、すなわち特殊第一遊技状態よりも通常第一遊技状態の方が大当たり当選時にその大当たりが特定大当たりとなる割合が高いものとしてもよい(図6参照)。このようにすることで、突時に当選することが遊技者に不利な事象となる遊技性が実現される。また、リセット操作がなされた後の初期状態時には通常第一遊技状態となるのであるから、いわゆる朝一状態は遊技者に有利である(特殊第一遊技状態ではなく通常第一遊技状態である)遊技性となる。
○具体例1-3
上述した通り、通常第一遊技状態において突時に当選したことは遊技者に明確に報知されるものではない(装飾図柄80ははずれ組み合わせとされる)。よって、通常の遊技者は特殊第一遊技状態への移行を明確に知るわけではない。これを踏まえ、現在の遊技状態が特殊第一遊技状態であることを示唆する特定演出が変動中演出を構成するものとして発生しうるものとする。このようにすることで、特定演出の発生の程度に基づき、現在の遊技状態が通常第一遊技状態および特殊第一遊技状態のいずれであるのか(どちらの遊技状態である蓋然性が高いのか)を遊技者が予測しながら楽しむという遊技性が実現される。当該特定演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。例えば、変動中演出中に所定の示唆画像15が表示されることが特定演出とされた構成とすることができる(図7(a)参照)。特定演出が発生しうる条件をどのように設定するかに応じて遊技性は異なる。
通常第一遊技状態では特定演出が発生することはなく特殊第一遊技状態にあるときには特定演出が発生しうる構成(図7(b)参照)とした場合には、特定演出が発生したときには特殊第一遊技状態であることが確定するという遊技性となる。
通常第一遊技状態および特殊第一遊技状態のいずれにおいても特定演出が発生しうるようにして、通常第一遊技状態よりも特殊第一遊技状態よりも特定演出が発生する確率が高い(一変動あたりの発生確率が特殊第一遊技状態の方が高い)構成(図7(c)参照)とした場合には、特定演出が発生しても特殊第一遊技状態であることは確定しないが、特定演出が発生した場合には特殊第一遊技状態である蓋然性が高まるという遊技性となる。
○具体例1-4
大当たり遊技終了後の遊技状態が特殊第一遊技状態となりうるものとする。例えば、上記実施形態のように大当たりの種類として通常大当たりと特定大当たりが設定されたものにおいて、通常大当たりに当選した場合の大当たり遊技終了後は、特殊第一遊技状態に移行しうる構成とする(図8、9参照)。換言すれば、第一遊技状態よりも有利な第二遊技状態に移行することになる大当たり(特定大当たり)以外の大当たりの少なくとも一部が、大当たり遊技終了後に特殊第一遊技状態に移行する大当たりである構成とする。このようにすることで、遊技者に有利な状態(第二遊技状態)に移行することになる大当たり(特定大当たり)に当選しなかった場合であっても、大当たり遊技終了後に「チャンスゾーン」である特殊第一遊技状態に移行しうる可能性がある遊技性となる(通常大当たり遊技終了後の「即やめ」が防止できる)。
本例のようにする場合には、通常大当たりとなった大当たり遊技終了後はもれなく特殊第一遊技状態に移行する設定(図8参照)としてもよいし、通常大当たりの一部が特殊第一遊技状態に移行するものとされ、通常大当たりの他の一部が通常第一遊技状態に移行するものとされる設定(図9参照)としてもよい。前者のようにすれば、第二遊技状態に移行しなかったケースの全てで特殊第一遊技状態に移行することになるため、分かりやすい遊技性とすることができる。
一方、後者のようにするのであれば、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常第一遊技状態であるか特殊第一遊技状態であるかが通常の遊技者は把握できない(表示領域911に表示される装飾図柄80の大当たり組み合わせ等からは把握できない)構成とすることが好ましい。これにより、第二遊技状態に移行しなかったケースであっても特殊第一遊技状態に移行するとは限らないため、特殊第一遊技状態に移行していることに期待しつつ遊技者が遊技することになる。上記具体例1-3にて説明したような特定演出による示唆が発生しうる構成とする場合には、当該示唆作用により特殊第一遊技状態に移行しているかどうかを遊技者が予測しつつ楽しむ遊技性となる。
また、後者のようにする場合、特定の遊技状態にて当選した通常大当たり後はもれなく特殊第一遊技状態に移行するものの、特定の遊技状態以外の遊技状態にて当選した通常大当たり後は特殊第一遊技状態に移行するとは限らない構成としてもよい。図9に示す例は、特殊第一遊技状態および第二遊技状態にて当選した通常大当たり後はもれなく特殊第一遊技状態に移行するものの、通常第一遊技状態にて当選した通常大当たり後は特殊第一遊技状態に移行するとは限らないというものである。このようにすることで、通常大当たりに当選したときの遊技状態に応じ、特殊第一遊技状態に移行することが確定するかどうかが異なる遊技性となる。
○具体例1-5
上記実施形態では、突時の当選(状態移行権利の取得)は、装飾図柄80により明確に遊技者に報知されるものではないことを説明したが、装飾図柄80の組み合わせとして突時に当選したことを示す態様(突時組み合わせ)が設定された構成としてもよい。突時組み合わせは大当たり組み合わせとは異なる態様とされる。例えば、「7・3・5」の組み合わせ(図10(b)参照)を突時組み合わせとして設定することが考えられる。大当たりおよび突時のいずれにも当選しなかった場合(「完全はずれ」となる場合)には、大当たり組み合わせ(図10(a)参照)および突時組み合わせ(図10(b)参照)のいずれとも異なる組み合わせ(完全はずれ組み合わせ)(図10(c)参照)が表示されるものとする。なお、突時当選時には、このような突時組み合わせが表示されるだけでなく、突時当選を示す専用演出(突時当選時にしか発生しない専用画像が表示される演出)が発生するようにしてもよい。
また、上記突時組み合わせによる報知に代えて、または加えて、特殊第一遊技状態に移行したことが表示領域911に表示される演出用の画像により示されるものとしてもよい。例えば、装飾図柄80の背景画像として、特殊第一遊技状態にて表示されうる特殊背景画像Bs(図11(b)参照)が設けられた構成とする。特殊背景画像Bsは、通常第一遊技状態にて表示される通常背景画像Bn(図11(a)参照)とは明確に相違するものであって、通常第一遊技状態では表示されることがない態様のものであるとする。例えば、通常背景画像Bnは「昼」の状態を表す背景画像であり、特殊背景画像Bsは「夜」の状態を表す背景画像である構成とすることが考えられる。このようにすることで、第一遊技状態(左打ち状態)にて、特殊背景画像Bsが表示されていれば特殊第一遊技状態にあることを遊技者が容易に把握することができる構成となる。
本例のようにすることで、遊技者は特殊第一遊技状態への移行を知ることになるため、チャンスゾーンであることを意識しながら遊技する(左打ち遊技する)ことができる遊技性となる。
○具体例1-6
特殊第一遊技状態の継続回数が一定ではない(不定である)構成とする。例えば、「突時」の当選態様(状態移行権利の内容)として、継続回数=50回、100回、200回の三種が設定されているものとする(図12参照)。継続回数が長いほど、特殊第一遊技状態で大当たりに当選する蓋然性が高くなるため、「チャンスゾーン」の恩恵を受ける蓋然性が高くなるという遊技性になる。
本例のようにする場合、上記具体例1-5にて説明したように、突時に当選したこと(状態移行権利の取得)自体は装飾図柄80の組み合わせ等により遊技者に明確に示されるようにしつつも、その継続回数は遊技者に明確に示されないようにすることが考えられる。つまり、特殊第一遊技状態に移行したことは示されるが、当該特殊第一遊技状態がどこまで継続するかが遊技者には分からない構成とすることで、特殊第一遊技状態ができるだけ長く継続すること(大当たり当選まで継続すること)を遊技者が願う遊技性が実現される。
3)演出モードと自動調整機能
3-1)演出モード
本実施形態にかかる遊技機1は、複数種の演出モードのうちから遊技者が好みのモードを選択することが可能な演出モード選択手段を有する。なお、本実施形態では、第一遊技状態にて当該演出モードが選択可能である。演出モードの選択方法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、変動中演出が実行されていない状態(待機状態)にて、操作手段60(押しボタン61および十字キー62)を操作することにより好みの演出モードを選択すること(演出モードを変更すること)ができる(図13参照)。
本実施形態では、演出モード選択機能による選択可能な演出モード(選択候補)として、ノーマルモード、アクティブモード、シンプルモード、の三種が設けられている(図13参照)。ノーマルモードはデフォルトのモード(基準モード)である。電源ON時や所定のリセット条件が成立した際(例えばRAMクリア操作がなされた場合)にはノーマルモードにある。
アクティブモードは、ノーマルモードに比して、変動中演出を構成するものとして発生しうる一または複数種の演出(以下、対象演出と称する)が発生する確率(ある変動にて対象演出が発生する確率)が高い高頻度モードである。シンプルモードは、ノーマルモードに比して、対象演出が発生する確率が低い低頻度モードである。よって、対象演出が発生する確率は、シンプルモード(低頻度モード)、ノーマルモード(基準モード)、アクティブモード(高頻度モード)の順で高くなる(図13(b)参照)。なお、演出モードの選択は、実行される変動中演出の内容に影響を及ぼすものではあるが、当否抽選結果に影響を及ぼすものではない。すなわち、どの演出モードを選択しても、遊技者の直接的な利益の期待値(出玉の期待値)は同じである。
各種対象演出は音を伴うものである(スピーカ65(図1参照)から対応する演出音が出力される)ものであるため、最も対象演出が発生しやすいアクティブモードは最も「賑やか」な演出モードであるといえる。また、最も対象演出が発生しにくいシンプルモードは最も「静かな」演出モードであるといえる。また、対象演出が発生する確率が高いということは、各種対象演出の信頼度(ある変動にて発生したときに当該変動が大当たり変動である蓋然性)は低いということになる。よって、各種対象演出が発生したときの信頼度は、アクティブモードである場合が最も低く、シンプルモードである場合が最も高いことになる。
なお、先読み演出が対象演出とされた構成としてもよい。先読み演出は、信頼度示唆の対象となる対象当否抽選結果に対応する変動よりも先の変動を利用して対象当否抽選結果の信頼度を示唆するものである。いわゆる保留変化演出やチャンス目演出等が先読み演出の代表的なものである。
3-2)自動調整機能
本実施形態にかかる遊技機1は、スピーカ65(音出力手段)から出力される音の大きさ(音量)を段階的に変化させることができる。音量が調整可能な段階の数は適宜設定することができる。本実施形態では、音量1(最小音量)~音量5(最大音量)の五段階で音量を変化させることができる。つまり、出力される音の大きさが異なる段階(以下、出力段階と称することもある)の数として、音量1(出力1)~音量5(出力5)の五段階が設けられている。当該段階の数は適宜増減可能である。なお、電源ON時や所定のリセット条件が成立した際には音量3とされる。つまり、音量3は基準(デフォルト)の出力段階である。上述した通り、電源ON時や所定のリセット条件が成立した際における演出モードはノーマルモードとされるのであるから、電源ON時や所定のリセット条件が成立した際は、ノーマルモードかつ音量3である状態にあるということになる。
上述した複数種の演出モードのうちの一部には、上記出力段階のうちの一部が対応段階として規定されている(図13(b)参照)。本実施形態では、アクティブモードの対応段階は「音量5」とされている。つまり、最大音量となる段階が対応段階とされている。一方、シンプルモードの対応段階は「音量1」とされている。つまり、最小音量となる段階が対応段階とされている。また、本実施形態では、ノーマルモードについては対応段階が規定されていない。ただし、ノーマルモードについても対応段階を規定することを否定するわけではない。ノーマルモードについて対応段階を設定する場合には、アクティブモードの対応段階(音量5)と、シンプルモードの対応段階(音量1)の間に設定するとよい。例えば、音量3をノーマルモードの対応段階とするとよい。
自動調整機能は、演出モード選択手段により演出モードの選択(変更)がなされた場合において、所定条件を満たした場合に、自動的に音量の出力段階を変化させるものである。つまり、演出モードの選択(変更)操作がなされることにより、(音量を変化させる操作がなされなくても)自動的に音量を変化させるというものである。具体的には次の通りである。
演出モード選択手段によりアクティブモードが選択されたとする(アクティブモード以外の演出モードからアクティブモードへの変更操作がなされたとする)。この場合には、自動的に音量の出力段階をアクティブモードの対応段階である音量5に変化させる(図14(a)参照)。なお、アクティブモードへの変更前の状態から音量5であった場合には、そのまま音量5が維持される。つまり、アクティブモードへの変更前の状態にて音量1~音量4のいずれかが設定されていた場合には、アクティブモードへの変更を契機として音量5に自動的に変更される。なお、本実施形態では、アクティブモードへの変更操作がなされることを契機として、アクティブモードへの変更が受け付けられたことを示す画像と併せて、音量の変更がなされたことを示す画像が表示領域911に表示される(図14(a-2)参照)。よって、音量の自動変更に遊技者が気付かないというわけではない。
演出モード選択手段によりシンプルモードが選択されたとする(シンプルモード以外の演出モードからアクティブモードへの変更操作がなされたとする)。この場合には、自動的に音量の出力段階をシンプルモードの対応段階である音量1に変化させる(図14(b)参照)。なお、シンプルモードへの変更前の状態から音量1であった場合には、そのまま音量1が維持される。つまり、シンプルモードへの変更前の状態にて音量2~音量5のいずれかが設定されていた場合には、シンプルモードへの変更を契機として音量1に自動的に変更される。なお、本実施形態では、シンプルモードへの変更操作がなされることを契機として、シンプルモードへの変更が受け付けられたことを示す画像と併せて、音量の変更がなされたことを示す画像が表示領域911に表示される(図14(b-2)参照)。よって、音量の自動変更に遊技者が気付かないというわけではない。
上述した通り本実施形態ではノーマルモードには対応段階が規定されていないから、ノーマルモード以外の演出モードからノーマルモードへの変更操作がなされても音量の出力段階は維持(変更操作がなされる前の音量が維持)される。仮に、ノーマルモードについても対応段階を規定する、例えば音量3を対応段階とするのであれば、ノーマルモードへの変更操作を契機として音量が3に自動的に変更されるようにすればよい。
このような自動調整機能が搭載されている理由は次の通りである。アクティブモードは、対象演出の発生確率が高い「賑やか」な演出モードである。このようなアクティブモードを選択する遊技者は、派手な遊技を好む蓋然性が高いと考え、アクティブモードの選択を契機として自動的に大きな音量(本実施形態では最大音量)への変更がなされるようにしている。一方、シンプルモードは対象演出の発生確率が低い「静か」な演出モードである。このようなシンプルモードを選択する遊技者は、落ち着いた遊技を好む蓋然性が高いと考え、シンプルモードの選択を契機として自動的に小さな音量(本実施形態では最小音量)への変更がなされるようにしている。これにより、好みの演出モード(アクティブモード、シンプルモード)の選択に伴って、わざわざ音量を調整しなくても各演出モードに応じた音量が設定されるから、遊技者の利便性に資する。
なお、本実施形態では、アクティブモードの対応段階は最大音量(音量5)であり、シンプルモードの対応段階は最低音量(音量1)であるが、対応段階を最大・最低としなくてもよい。アクティブモードについては中央よりも大きな音量(例えば音量4)となる段階が、シンプルモードについては中央よりも小さな音量(例えば音量2)となる段階が対応段階とされた構成としてもよい。
また、本実施形態では、基準(デフォルト)の演出モードであるノーマルモードは自動調整機能の対象とされておらず、アクティブモードおよびシンプルモードが自動調整機能の対象とされている。基準の演出モードではないアクティブモードやシンプルモードを選択する遊技者は(ノーマルモードで遊技する遊技者に比して)演出の発生頻度にこだわりがあると考えられるから、このようなこだわりのある遊技者に対して自動調整機能が作用するようにしている。
なお、本実施形態では、演出モードとして、ノーマルモードを基準とし、それよりも対象演出が発生する確率が高いアクティブモードおよび確率が低いシンプルモードが設けられていることを説明したが、アクティブモードおよびシンプルモードの一方が設けられていない構成としてもよい。
本実施形態では、自動調整機能とは別の機能として、設定されている演出モードの種類にかかわらず、音量の出力段階を遊技者が任意に変更することを可能とする任意変更機能を有する。よって、演出モードの変更(アクティブモードやシンプルモードの選択)に伴い、音量の出力段階が演出モードの対応段階に自動的に変更されたとしても、任意変更機能を用いて好みの出力段階とすることができる。つまり、アクティブモードに変更された際に自動的に設定される音量5や、ノーマルモードに変更された際に自動的に設定される音量1が好みの音量ではない場合であっても、遊技者が任意に音量を変更することができる。なお、任意変更機能を用いて出力段階を変更した場合であっても、演出モードは維持される(演出モードの種類が自動的に変更されるわけではない)。
任意変更機能による音量の変更方法はどのようなものであってもよい。本実施形態では、十字キー62の左を操作することで音量が小さくなり、十字キー62の右を操作することで音量が大きくなる構成とされる。変動中演出が実行されていない待機状態中のみならず、変動中演出が実行されている最中であっても当該操作が反映されるようにすることが好ましい。
以下、上記演出モードと自動調整機能に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
○具体例2-1
上記実施形態では、自動調整機能の対象となるのは「音量」であることを説明したが、対象演出の発生時に出力される要素(遊技者の五感により把握することが可能な要素)の量(以下、演出効果量と称する)であれば、その他の演出効果量が対象とされていてもよい。音量以外の対象としては、「光量」(対象演出の発生時に所定の発光色で発光するLED等の発光体を有する発光部20(図1参照)の光量)を挙げることができる。例えば以下のような光量についての自動調整機能を備えた構成とする。
変化可能な光量の出力段階が光量1~光量5の五段階である(光量5が最大光量である)とする。図15(a)に示すように、アクティブモードの対応段階は光量5であり、シンプルモードの対応段階は光量1であるとする。光量1~4のいずれかが設定されている状態でアクティブモード以外の演出モードからアクティブモードへの変更操作がなされた場合には、自動的に光量5に変化するようにする。アクティブモードに変更する遊技者は派手な演出となることを求めている蓋然性が高いと考えられるから、対象の発光部20が派手に発光するようにする。一方、光量2~5のいずれかが設定されている状態でシンプルモード以外の演出モードからシンプルモードへの変更操作がなされた場合には、自動的に光量1に変化するようにする。シンプルモードに変更する遊技者は落ち着いた遊技となることを求めている蓋然性が高いと考えられるから、対象の発光部20が地味に発光するようにする。
音量と光量の一方のみが自動調整機能の対象となるようにしてもよいし、また、音量と同様に、光量についても任意変更機能が設けられていることが好ましい。
○具体例2-2
上記実施形態では、選択可能な演出モードのうちの一部に対応づけられた対応段階は一定であることを説明したが、対応段階が不定である構成としてもよい。例えば以下のような構成とすることが考えられる。
アクティブモードの対応段階は、アクティブモードへ変更する前の出力段階(現在の出力段階)+1である設定とする(図15(b)参照)。例えば、音量3である状態でアクティブモード以外の演出モードからアクティブモードへの変更操作がなされた場合、音量4(音量3+1)に自動的に変更されるものとする。アクティブモードに変更するということは遊技者が派手な遊技を求めている蓋然性が高いから、現在の出力段階を基準として音量を大きくする。
シンプルモードの対応段階は、シンプルモードへ変更する前の出力段階(現在の出力段階)-1である設定とする(図15(b)参照)。例えば、音量3である状態でアクティブモード以外の演出モードからアクティブモードへの変更操作がなされた場合、音量2(音量3-1)に自動的に変更されるものとする。アクティブモードに変更するということは遊技者が静かな遊技を求めている蓋然性が高いから、現在の出力段階を基準として音量を小さくする。
本例のようにすることで、演出モード変更がなされる前の出力段階を基準として演出モード変更後の音量が決まる(一段階増加するまたは一段階減少する)から、音量が一気に大きくなることや、一気に小さくなることがないという利点もある。
○具体例2-3
上記実施形態では、アクティブモードやシンプルモードの対応段階は一段階のみであること(アクティブモードは音量5の一段階、シンプルモードは音量1の一段階)を説明したが、二段階以上の対応段階が設定された構成としてもよい。例えば、アクティブモードは音量3~5の三段階が対応段階とされ、シンプルモードは音量1~3の三段階が対応段階とされたものとする(図15(c)参照)。つまり、アクティブモード(賑やかな演出モード)については、音量の変更可能な段階(五段階)のうち、大きい方から数えた二以上の段階が対応段階とされているものとし、シンプルモードについては、音量の変更可能な段階(五段階)のうち、小さい方から数えた二以上の段階が対応段階とされているものとする。また、アクティブモードとシンプルモードの対応段階を比較すれば、アクティブモードの対応段階の少なくとも一部が、シンプルモードの対応段階よりも大きいということになる。
演出モードを変更した際の音量が、二段階以上の対応段階のいずれかであれば現在の音量が維持されるものとする。音量3~5のいずれかである状態でアクティブモードへの変更操作がなされた場合であれば、現在の音量が維持される。同様に、音量1~3のいずれかである状態でシンプルモードへの変更操作がなされた場合であれば、現在の音量が維持される。
演出モードを変更した際の音量が、二段階以上の対応段階のいずれでもない場合には、音量が自動的に変更される。変更後の音量は二段階以上の対応段階のうちのいずれかとされる。例えば、音量1、2のいずれかである状態でアクティブモードへの変更操作がなされた場合であれば、音量4に自動的に変更されるようにする。音量4、5のいずれかである状態でシンプルモードへの変更操作がなされた場合であれば、音量2に自動的に変更されるようにする。
対応段階が一段階のみであると、それ以外の段階は全て対応段階ではないということになるから、アクティブモードやシンプルモードへの変更操作がなされた場合のほとんどで音量が自動的に変更されることになり、遊技者が煩わしさを感じてしまうおそれがある。本例のように対応段階を二段階以上とすることで、アクティブモードやシンプルモードへの変更操作がなされた場合、既に音量の出力段階が対応段階にあるケースが増加するから、演出モードの変更に伴い音量が自動的に変更される頻度を低下させることができる。
○具体例2-4
上記実施形態では、アクティブモード(高頻度モード)の対応段階よりもシンプルモード(低頻度モード)の対応段階の方が低いことを説明したが、その逆の設定、すなわちアクティブモード(高頻度モード)の対応段階よりもシンプルモード(低頻度モード)の対応段階の方が高い構成としてもよい。例えば、アクティブモードの対応段階は音量1であり、シンプルモードの対応段階は音量5である構成とする(図15(d)参照)。
アクティブモードの方がシンプルモードよりも対象演出の発生確率が高いということは、対象演出の信頼度はアクティブモードの方がシンプルモードよりも低くなるということである。本例のようにすることで、アクティブモードでは対象演出が比較的低信頼度となるから比較的小さい音量(音量1)が、シンプルモードでは対象演出が比較的高信頼度となるから比較的大きな音量(音量5)が自動的に設定される。つまり、演出モードの種類に伴う対象演出の信頼度の高低に合わせた大きさの音量が演出モードの変更に伴って自動的に設定される構成となる。
○具体例2-5
上記実施形態では、待機状態中に演出モードを変更することが可能な構成であることを説明したが、変動中に演出モードを変更することが可能な構成としてもよい。変動中に遊技者が演出モードの変更操作を行った(演出モードの変更要求が受け付けられた)場合には、次変動以降に新たな演出モードに移行するようにするとよい。すなわち、少なくとも変更操作が行われた変動が終了するまでは、変更前の演出モードが維持されるようにする。変更操作がなされた変動の次の変動が開始されることを契機として新たな演出モードに移行するようにしてもよいし、変更操作がなされた時点で記憶手段が記憶している当否抽選情報(保留情報)の全てに対応する当否抽選結果が完了した後の変動が開始されることを契機として新たな演出モードに移行するようにしてもよい。
このような構成とする場合、自動調整機能による音量の自動調整は、新たな演出モードへの移行が発生することと一緒に行われるようにする。つまり、変更操作が行われた変動が終了するまでは音量が自動的に変化することはなく、次変動以降に発生する新たな演出モードへの移行とともに音量が自動的に変化するようにする。自動調整機能は、演出モードに適した音量を自動的に設定するというものであるから、新たな演出モードへの移行が実際に発生するまでは音量が自動的に変化しないようにすることが好ましい。
4)楽曲対応制御
4-1)変動時間
複数の装飾図柄群80gが変動を開始する変動開始時点から、当否抽選結果に応じた図柄組み合わせとなって全ての装飾図柄群80gの変動が完全に停止するまでが変動中演出であるところ、当該変動中演出に要する時間(変動時間(図16(a)参照))の長さは一定ではなく、毎回変化しうる。変動時間が決定される方法自体は周知であるから詳細な説明は省略する。変動時間として採用される可能性がある候補の時間が複数用意されており、遊技球が始動領域904に進入することを契機として取得された当否抽選情報に基づき、当該候補の時間のうちのいずれかが実際の変動時間として決定される。設定される可能性がある変動時間(候補の時間)の数や、それぞれの長さは適宜設定可能である。
一般的な遊技機と同様に、変動時間は、リーチが成立する場合は比較的長くなり、リーチが成立せずにはずれが報知される場合は比較的短くなる。なお、リーチは、三つの装飾図柄群80gのうちの二つの変動が停止または擬似停止(遊技者には停止しているように見えるが完全に停止していない状態(例えばわずかに揺れている状態)をいう)することで示された装飾図柄80が同種のものとなった状態(残り一つの装飾図柄群80gは変動中である)をいうものとする。本実施形態では、左装飾図柄群80gLから選択された左装飾図柄80Lと右装飾図柄群80gRから選択された右装飾図柄80Rが同種となることがリーチとされている。以下では、リーチが成立せずに対象の当否抽選結果がはずれであることが報知される変動(いわゆる「どはずれ変動」)を「通常はずれ変動」と称する。詳細を後述する楽曲対応制御は、通常はずれ変動にて実行されるものである。通常はずれ変動は、頻繁に発生する変動である(通常はずれ変動となる確率は80%以上となるようにするとよい)。
4-2)背景楽曲
本実施形態では、変動中演出中にスピーカ65から出力される背景楽曲(BGM)を複数種の候補楽曲のうちから遊技者が任意に選択することが可能である。本実施形態では、楽曲A、楽曲B、楽曲Cの三種のうちから選択することができる。ただし、当該背景楽曲が出力されるのは、変動中演出にて特定の演出が実行されていない状態である。例えば、所定のリーチ演出が発生した場合には、当該リーチ演出用の楽曲が出力されるため、背景楽曲は出力されない。当該背景楽曲の種類の数は適宜増減することができる。
本実施形態では、変動中演出の開始と同時に、背景楽曲が冒頭から出力される。つまり、変動毎に背景楽曲(その時点で選択されている種類の背景楽曲)が冒頭から出力されるように制御され、二以上の変動に跨って継続的に背景楽曲が出力されるものではない。なお、ここでいう「冒頭」とは、著作物としての楽曲の「冒頭」と必ずしも一致しなければならないというわけではない。遊技機1の背景楽曲として設定された「冒頭」は、著作物としての楽曲の「冒頭」と異なっていてもよい。すなわち、「背景楽曲が冒頭から出力される」とは、各背景楽曲は、変動開始と同時に「ある決まった箇所から出力される」というものである。
背景楽曲の選択方法(変更方法)はどのようなものであってもよい。本実施形態では、十字キー62の上下を操作することで背景楽曲の種類が切り替わる。図示しないが、表示領域911に現在の背景楽曲を示す画像や、背景楽曲の変更を行う操作方法を表す画像が表示されるようにするとよい。変動中演出中に当該操作を行うこともできる。ただし、ある変動中演出中に当該変更操作がなされた場合であっても、それが反映される(実際に背景楽曲の種類が変化する)のは、次の変動中演出である(次変動開始とともに変更後の背景楽曲が出力される)。なお、変動中演出中に背景楽曲の種類を変更することはできず、変動中演出が実行されていない待機状態にて変更することが可能な構成としてもよい。
4-3)楽曲対応制御の内容
本実施形態では、現在の背景楽曲の種類に応じた楽曲対応制御が実行される。上述した通り、本実施形態では通常はずれ変動にて楽曲対応制御が実行される。楽曲対応制御は、変動時間を「主時間」と「付加時間」に分け(「主時間+付加時間=変動時間」である)(図16(a)参照)、当該主時間および付加時間の長短を出力される背景楽曲の種類に応じて変化させるというものである。
主時間は、変動開始時点(図16(a)(b)の(1)参照)から当否抽選結果に応じた図柄組み合わせ(三つの装飾図柄80の組み合わせ)で変動が擬似停止する擬似停止時点(図16(a)(b)の(2)参照)までの時間である。本実施形態では、通常はずれ変動にて楽曲対応制御が実行されるのであるから、当該図柄の組み合わせはリーチが成立していない状態のはずれ組み合わせである。また、上記「図柄組み合わせで擬似停止する」とは、図柄組み合わせを構成する三つの装飾図柄80のうちの少なくとも一部が完全に停止して状態のことをいうものとする。本実施形態では、擬似停止時点においては、三つの装飾図柄80のいずれもが擬似停止した状態にある。当該擬似停止時点では、厳密には変動は終了していないが、実際には遊技者は当該時点で変動が終了した(はずれが決まった)ように感じることになる。本実施形態では、各装飾図柄80が擬似停止する際には、所定の停止音(「バン」という短音)が出力される。最後に擬似停止した装飾図柄80の停止音の出力が完了した時点が擬似停止時点である。三つの装飾図柄80が順に(時間差で)擬似停止する場合には、停止音が三回出力されることになるところ、三回目の停止音の出力が完了した時点が擬似停止時点である。このような停止音が出力されることで、擬似停止時点で変動が終了した(はずれが決まった)ように遊技者がより感じやすくなる。
付加時間は、上記擬似停止時点(図16(a)(b)の(2)参照)から変動終了時点(図16(a)(b)の(3)参照)までの時間である。つまり、上記図柄組み合わせを構成する三つの装飾図柄80の全てがそのままの組み合わせで完全に擬似停止するまでの時間である。したがって、付加時間は、上記図柄組み合わせが擬似停止している期間であるといえる。付加時間の長さは、主時間に比して圧倒的に短い。すなわち、変動時間の大部分は上記主時間が占め、残りの付加時間は極めて短い。なお、本実施形態では、付加時間=0となることはないように制御される。
本実施形態では、通常はずれ変動において、擬似停止時点にて背景楽曲の出力が停止される。つまり、主時間中にあるときには背景楽曲は出力されているものの、付加時間中にあるときには背景楽曲は出力されない。連続する二つの通常はずれ変動(先の変動、後の変動)を例にとれば、先の変動の開始とともに背景楽曲の出力が開始され、擬似停止時点で出力が停止され、後の変動の開始とともに背景楽曲の出力が開始されるという流れになる。上述した通り付加時間は極めて短い時間であるため、このようにしても、遊技者には連続的に背景楽曲が出力されているように聴こえる(付加時間は、背景楽曲の一時停止期間とみることもできる)。
本実施形態では、ある長さの変動時間が選ばれた場合であっても、出力される背景楽曲の種類が異なれば、主時間および付加時間の長さが異なり得るものとされる。つまり、背景楽曲の種類に応じた主時間および付加時間とされる楽曲対応制御が実行される。楽曲対応制御は、複数種の背景楽曲のそれぞれに設定される単位時間に基づいた制御である。
本実施形態では、楽曲Aの単位時間は150m秒(0.150秒)、楽曲Bの単位時間は125m秒(0.125秒)、楽曲Cの単位時間は100m秒(0.100秒)である(図17(a)参照)。各楽曲の単位時間は、各楽曲のテンポ(BPM:Beats Per Minute)に基づいて決定されている。楽曲AのテンポはBPM100、楽曲BのテンポはBPM120、楽曲CのテンポはBPM150である。本実施形態では、各楽曲における16分音符の長さを単位時間としている。楽曲Aの16分音符の長さは60/100/4=0.150秒、楽曲Bの16分音符の長さは60/120/4=0.125秒、楽曲Cの16分音符の長さは60/150/4=0.100秒と算出されるところ、これらの長さが各楽曲の単位時間とされている。BPMが高い(テンポが速い)ほど単位時間は短くなる。
楽曲対応制御は、「主時間=単位時間×N」(Nは自然数である)となるように制御するものである。すなわち、主時間の長さが、単位時間(出力されている背景楽曲の種類に応じて決まる)の倍数の長さとなるように制御される。このように制御されるため、変動時間が同じであっても、背景楽曲の種類が異なれば、主時間および付加時間の長さは異なりうることになる。主時間が異なるということは、変動開始時点から擬似停止時点までの時間が異なるということであるため、背景楽曲の種類に応じ、三つの装飾図柄80が擬似停止して図柄組み合わせが示されるまでの時間を異ならせるということである。
具体的には、主時間および付加時間は、予め決まっている変動時間に基づき、以下のようにして決定される。
(1)主時間は、単位時間の倍数であり、かつ、変動時間未満で最も長い時間とする。
(2)付加時間は、変動時間から(1)で決まった主時間を引いた時間とする。
例えば、変動時間として2630m秒が選択されうる(図17(b)参照)。この場合において、楽曲A(単位時間150m秒)が出力楽曲であるときには、主時間が2550m秒(150×17=2550)とされ、付加時間が80m秒(2630-2550=80)とされる。楽曲B(単位時間125m秒)が出力楽曲であるときには、主時間が2625m秒(125×21=2625)とされ、付加時間が5m秒(2630-2625=5)とされる。楽曲C(単位時間100m秒)が出力楽曲であるときには、主時間が2600m秒(100×26=2600)とされ、付加時間が30m秒(2630-2600=30)とされる。
また、例えば、変動時間として3180m秒が選択されうる(図17(b)参照)。この場合において、楽曲A(単位時間150m秒)が出力楽曲であるときには、主時間が3150m秒(150×21=3150)とされ、付加時間が30m秒(3180-3150)とされる。楽曲B(単位時間125m秒)が出力楽曲であるときには、主時間が3125m秒(125×25=3125)とされ、付加時間が55m秒(3180-3125=55)とされる。楽曲C(単位時間100m秒)が出力楽曲であるときには、主時間が3100m秒(100×31=3100)とされ、付加時間が80m秒(3180-3100=80)とされる。
本実施形態では、変動時間の長さがちょうど単位時間の倍数と一致する場合には、付加時間=単位時間となるようにしている。例えば、変動時間として3625m秒が選択されうる(図17(b)参照)。この場合において、楽曲B(単位時間125秒)が出力楽曲である場合には、125×29=3625であり、単位時間の倍数と変動時間が一致する。そのため、主時間を3500m秒(125×28=3500)とした上で、付加時間を125m秒(3625-3500=125)とする。このように制御するということは、「付加時間の長さの最大=単位時間の長さ」ということである。
また、場合によっては楽曲の種類が異なっても主時間、付加時間が同じであるというケースも生じ得る。例えば、変動時間が3625m秒である場合(図17(b)参照)において、楽曲A(単位時間150m秒)または楽曲C(単位時間100m秒)が出力楽曲である場合は、いずれも、主時間が3600m秒(150×24=3600、100×36=3600)とされ、付加時間が25m秒(3625-3600=25)とされることになる。
このような楽曲対応制御が実行されることにより、図柄組み合わせが示される擬似停止時点(遊技者が当否抽選結果を把握する事実上変動が終了した時点)が、出力されている背景楽曲のテンポに応じた時点となる。つまり、主時間は背景楽曲のテンポに応じて決まる単位時間の倍数とされているため、当該主時間が終了する時点は背景楽曲のテンポに合ったものとなる。また、このように背景楽曲のテンポに合わせた変動となるようにすると、背景楽曲に応じて変動時間を変化させるといった操作を行う必要があると思われるが、本実施形態では単位時間の倍数の値を変動時間から差し引いたもの(いわば「余り」)を付加時間として設定している(付加時間を増減させている)ため、背景楽曲に応じて変動時間を異ならせるといったことを行う必要はない。
なお、本実施形態では各楽曲の16分音符の長さを単位時間としたが、8分音符や4分音符、2分音符の長さを単位時間としてもよい。しかし、このようにすると単位時間が長くなってしまうため、主時間の刻み幅が大きく(「主時間=単位時間×N」のNの値を変化させた場合の単位変化量が大きく)なってしまい、遊技者にとって違和感のある付加時間になってしまう(上述した通り、付加時間の最大=単位時間であるのであるから、単位時間が長くなると付加時間(背景楽曲が出力されない時間)が無駄に長くなってしまう)というおそれがある。よって、単位時間はできるだけ短くすることが好ましい(本実施形態では、単位時間を短くするために16分音符の長さを単位時間としている)といえる。
以下、上記楽曲対応制御に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
○具体例3-1
上記実施形態は、背景楽曲の種類を遊技者が任意に選択できる構成であることを説明したが、背景楽曲の種類が遊技者の選択によらず自動で変化する構成であってもよい。背景楽曲の種類が自動で変化することに応じ、楽曲対応制御が変化することになる。
○具体例3-2
上記実施形態では、楽曲対応制御が実行されるのは通常はずれ変動(どはずれ変動)であることを説明したが、背景楽曲以外の楽曲が出力されない変動(例えば、専用の楽曲が出力されるスーパーリーチ演出が実行されない変動)であれば、それ以外の変動においても楽曲対応制御が実行されるようにしてもよい。
例えば、リーチが成立した後、いわゆるスーパーリーチ演出が実行されることがなく当否抽選結果が報知されるノーマルリーチ変動にて楽曲対応制御が実行されるようにしてもよい。二つの装飾図柄80の種類が一致するリーチ成立後も背景楽曲が継続的に出力され、もう一つの装飾図柄80が擬似停止して図柄組み合わせが示されるまでを主時間、当該図柄組み合わせで完全に停止するまでを付加時間として楽曲対応制御を実行する。当否抽選結果がはずれであるノーマルリーチ変動だけでなく、当否抽選結果が当たりであるノーマルリーチ変動にて実行されるようにしてもよい。
ただし、基本的には変動のほとんどは通常はずれ変動となるのであるから、通常はずれ変動のみ楽曲対応制御が実行されるようにしても、背景楽曲のテンポに合わせた変動が実行されているように遊技者は感じる蓋然性が高い。
○具体例3-3
上記実施形態にて説明した各背景楽曲の単位時間の設定方法(音符の長さに基づく設定方法)はあくまで一例である。単に、BPMが高い(テンポが速い)ほど単位時間が短くなるような設定としてもよい。上記実施形態の楽曲A~CのBPMは、「楽曲AのBPM<楽曲BのBPM<楽曲CのBPM」という関係にあるのであるから、「楽曲Aの単位時間>楽曲Bの単位時間>楽曲Cの単位時間」となるようにしてもよい。
また、各背景楽曲の特性に基づいた決定方法であれば、テンポ以外の要素に基づいて単位時間が決定されていてもよい。例えば、各背景楽曲のジャンルに基づいて異なる単位時間が設定された構成としてもよい。また、例えば、各背景楽曲の歌詞(歌詞一文字が出力されるために必要な平均時間)に基づいて異なる単位時間が設定された構成としてもよい。
○具体例3-4
付加時間=0とされる変動が発生しうるようにしてもよい。具体的には、上記実施形態では、変動時間の長さがちょうど単位時間の倍数と一致する場合には付加時間=単位時間となるように制御されることを説明したが、このような変動時間の長さがちょうど単位時間の倍数と一致する場合には付加時間=0とされるようにしてもよい。例えば、変動時間が3625m秒であるときに、楽曲B(単位時間125秒)が出力楽曲である場合には、主時間が3625m秒、付加時間が0とされるようにする。この場合には、はずれを示す三つの図柄組み合わせが示されると同時に変動が完全に停止するようにする。
○具体例3-5
上記実施形態では、「(1)主時間は、単位時間の倍数であり、かつ、変動時間未満で最も長い時間とする。」ことを説明したが、単位時間の倍数であれば、変動時間未満で最も長い時間としなくてもよい。換言すれば、「余り」とされる付加時間の長さを上記実施形態よりも長くなるようにしてもよい。
例えば、図18に示すように、変動時間が2630m秒であるときにおいて、楽曲A(単位時間150m秒)が出力楽曲である場合には、主時間が2400m秒(150×16=2400)、付加時間が230m秒(2630-2400=230)とされ、楽曲B(単位時間125m秒)が出力楽曲である場合には、主時間が2500m秒(125×20=2500)、付加時間が130m秒(2630-2500=130)とされ、楽曲C(単位時間100m秒)が出力楽曲である場合には、主時間が2500m秒(100×25=2500)、付加時間が130m秒(2630-2500=130)とされるようにしてもよい。ただし、付加時間は、図柄組み合わせが擬似停止した後変動が完全に停止するまでの擬似停止期間の長さであって、背景楽曲が出力されない期間の長さであるから、当該付加時間をあまりにも長い時間とするのは好ましくない(違和感のある変動となるから)。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態にかかる遊技機1は、小当たり経由での大当たり獲得が可能とされるいわゆる「二種」の遊技性を有するものであることを説明したが、当該「二種」の遊技性でなければ成り立たない構成を除いて、上記実施形態にて説明した構成は小当たり経由での大当たり獲得ができない遊技機(「一種」の遊技機)に対して適用することも可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
○手段1-1
第一始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第一当否抽選情報に基づき第一当否抽選を、第二始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第二当否抽選情報に基づき第二当否抽選を実行する当否抽選手段と、低開閉モード、および、当該低開閉モードよりも前記第二始動領域が開放されやすい高開閉モードを切り替えることが可能な開閉モード設定手段と、を備え、前記第一始動領域を狙って遊技球を発射すべき第一遊技状態として、前記低開閉モードが設定された通常第一遊技状態と、前記高開閉モードが設定された状態であるものの前記第二始動領域の開放時間が短く、当該第二始動領域を狙って遊技球を発射することが遊技者にとって不利となる特殊第一遊技状態と、が設定されており、前記第一遊技状態にて実行される前記第一当否抽選を経て当選しうる複数種の当たりのいずれかは特定当たりとされ、前記第一当否抽選が当たりとなった場合に当該当たりが前記特定当たりである確率は前記通常第一遊技状態と前記特殊第一遊技状態とで異なることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、同じ第一遊技状態(第一始動領域を狙って遊技すべき状態)であっても、低開閉モードである通常第一遊技状態と高開閉モードである特殊第一遊技状態とで特定当たりとなる確率(特定当たりの割合)が異なるという面白みのある遊技性が実現される。
○手段1-2
前記特定当たりに当選した後実行される当たり遊技の終了後は、前記第二始動領域を狙って遊技球を発射すべき遊技状態であって、 前記特殊第一遊技状態が設定されているときよりも前記第二始動領域の開放時間が長い前記高開閉モードが設定された状態である第二遊技状態に移行し、前記特定当たり以外の当たりである非特定当たりに当選した後実行される当たり遊技の終了後は前記第二遊技状態に移行しないことを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、通常第一遊技状態と特殊第一遊技状態とでは、第二遊技状態(高開閉モードであることの恩恵が享受できる遊技状態)への移行確率が異なるものとなる。
○手段1-3
前記第一当否抽選が当たりとなった場合に当該当たりが前記特定当たりである確率は前記通常第一遊技状態よりも前記特殊第一遊技状態の方が高く、前記通常第一遊技状態にて実行された前記第一当否抽選が当たりとならない場合の一部で、前記特殊第一遊技状態への移行が発生する状態移行権利を獲得しうることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、通常第一遊技状態よりも特殊第一遊技状態の方が特定当たりとなる確率が高いという遊技性が実現される。
○手段1-4
前記通常第一遊技状態にて実行された前記第一当否抽選が当たりとなる場合には表示装置に表示される装飾図柄の組み合わせが当たり組み合わせとされるものの、前記状態移行権利を獲得しても前記表示装置に前記当たり組み合わせは表示されないことを特徴とする手段1-3に記載の遊技機。
このようにすることで、通常第一遊技状態よりも特殊第一遊技状態への移行が分かりにくい(特殊第一遊技状態への移行が明確に示されない)遊技性となる。
○手段1-5
前記第一遊技状態にて発生しうる特定演出が設けられており、前記特定演出は、前記通常第一遊技状態および前記特殊第一遊技状態のいずれでも発生しうるが、前記通常第一遊技状態と前記特殊第一遊技状態とで発生確率が異なることを特徴とする手段1-4に記載の遊技機。
このようにすることで、特定演出の発生の程度に基づき、現在の遊技状態が通常第一遊技状態および特殊第一遊技状態のいずれかであるのかを遊技者が予測しながら楽しむという遊技性が実現される。
○手段1-6
前記第一始動領域を狙って遊技球を発射した場合に遊技球が進入する可能性がある位置に、遊技球が進入することを契機として前記当否抽選手段による当否抽選は実行されないものの所定数の賞球が払い出される一般入賞領域が設けられており、前記一般入賞領域への遊技球の進入が、前記第二始動領域を開放するか否かの開放抽選の契機とされていることを特徴とする手段1-1から手段1-5のいずれかに記載の遊技機。
特殊第一遊技状態は高開閉モードであるから、第一始動領域を狙って遊技した際に開放抽選の契機となる領域に遊技球が進入可能な構成とする必要がある。一般入賞領域を開放抽選の契機となる領域とすることで、(第一始動領域を狙って発射された遊技球が進入可能な位置に)開放抽選の契機となる領域が設けられていることに遊技者が気づきにくくなる。
○手段2-1
対象演出の発生する確率が異なる複数種の演出モードのうちから遊技者が好みの演出モードを選択することを可能とする演出モード選択手段と、音量および光量の少なくともいずれか一方を含む演出効果量の出力の大きさを、複数の出力段階の範囲で変化させることが可能な出力変化手段と、を備え、複数種の前記演出モードの少なくとも一部には、複数の前記出力段階のうちのいずれかが対応段階として規定されており、前記演出モード選択手段により前記演出モードの変更がなされたとき、変更後の前記演出モードに前記対応段階が規定されている場合には、前記演出効果量の出力の大きさを前記対応段階に自動的に変化させる自動調整機能を有することを特徴とする遊技機。
上記遊技機の自動調整機能は、演出モードの変更に応じて演出効果量の出力が変化するから、遊技者の利便性向上に資する。
○手段2-2
複数種の前記演出モードには、第一演出モードと、当該第一演出モードよりも前記対象演出が発生する蓋然性が高い第二演出モードが含まれ、前記第一演出モードの前記対応段階よりも、前記第二演出モードの前記対応段階の方が、前記演出効果量の出力が大きい段階であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
対象演出が発生しにくい第一演出モードを選ぶということは遊技者が落ち着いた遊技を好んでいる蓋然性が高いから、自動調整機能に設定される演出効果量の出力は小さくなるようにする。これに対し、対象演出が発生しやすい第二演出モードを選ぶということは遊技者が派手な遊技を好んでいる蓋然性が高いから、自動調整機能に設定される演出効果量の出力は大きくなるようにする。
○手段2-3
複数種の前記演出モードには、第一演出モードと、当該第一演出モードよりも前記対象演出が発生する蓋然性が高い第二演出モードが含まれ、前記第一演出モードの前記対応段階よりも、前記第二演出モードの前記対応段階の方が、前記演出効果量の出力が小さい段階であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
対象演出が発生しにくい第一演出モードは対象演出が比較的高信頼度になるということであるから、当該高信頼度の対象演出が発生したときの演出効果量の出力が大きくなるようにする。これに対し、対象演出が発生しやすい第二演出モードは対象演出が比較的低信頼度になるということであるから、当該低信頼度の対象演出が発生したときの演出効果量の出力が小さくなるようにする。
○手段2-4
設定されている前記演出モードの種類にかかわらず、前記演出効果量の前記出力段階を遊技者が任意に変更することを可能とする任意変更機能を有することを特徴とする手段2-1から手段2-3のいずれかに記載の遊技機。
自動調整機能により設定された演出効果量の出力が遊技者の好みのものとならない可能性があるから、上記のような任意変更機能を別途設けておくことが好ましい。
○手段3-1
それぞれが複数種の装飾図柄を含む複数の装飾図柄群が変動表示され、当該変動が停止して複数の前記装飾図柄群のそれぞれから選択された装飾図柄の組み合わせである図柄組み合わせにより当否抽選結果を報知する報知手段と、複数の前記装飾図柄群が変動を開始する変動開始時点から当否抽選結果に応じた前記図柄組み合わせで変動が完全に停止する変動終了時点までの変動時間を決定する変動時間決定手段と、を備え、前記変動時間は、前記変動開始時点から当否抽選結果に応じた前記図柄組み合わせで変動が擬似停止する擬似停止時点までの主時間、および、当該擬似停止時点から前記変動終了時点までの付加時間を含み、前記変動時間が同じであっても、前記主時間にて出力される背景楽曲の種類が異なる場合には、前記主時間および前記付加時間の長さが異なるものとされる楽曲対応制御が実行可能であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、図柄組み合わせが示される時点(擬似停止時点)が背景楽曲に応じて変化することになるから、遊技の趣向性を向上させることができる。
○手段3-2
前記楽曲対応制御は、前記装飾図柄によるリーチが成立せずに当否抽選結果がはずれであることが報知される通常はずれ変動にて実行されることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
リーチが成立せずにはずれが報知される場合、すなわち比較的短い変動時間となる場合に楽曲対応制御が実行されるようにするとよい。
○手段3-3
前記背景楽曲の種類に応じた単位時間が設定されており、前記主時間は、当該主時間にて出力される前記背景楽曲の種類に応じた前記単位時間の倍数の長さとされることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
このようにすることで、主時間の終了時点が、背景楽曲の種類に応じて決定されることになる。
○手段3-4
テンポが速い前記背景楽曲ほど、前記単位時間が短いことを特徴とする手段3-3に記載の遊技機。
このようにすることで、背景楽曲のテンポに応じた主時間の長さとされる変動が実現されることになる。