JP7254100B2 - カンナビノイド関連障害の処置における使用のための3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン - Google Patents

カンナビノイド関連障害の処置における使用のための3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン Download PDF

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Description

本発明は、物質使用障害の分野に関し、特に、カンナビノイド関連障害の分野に関する。本発明は、活性なプレグネノロン代謝産物へとインビボで代謝できない特定のプレグネノロン誘導体である「3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン」、及びカンナビノイド関連障害の処置のためのその使用に関する。
合成CB1アゴニスト又は植物のカンナビス・サティバ(Cannabis sativa)に由来する抽出物を含有するカンナビノイド製剤は、米国及び欧州の国々において、最も広く使用されている非合法の精神活性物質である。
とりわけ、しかし限定されないが最も傾向のある集団(14~25歳)のカンナビノイドの使用の結果は極めて重篤であり、嗜癖、IQの減少を伴う脳の発達の変化、限定されないが統合失調症及び抑うつを含む精神疾患の促進、対象の異なる中毒症候群のための救急処置室への入室、教育成果の不良、認知障害、より低い収入、福祉へのより大きな依存、失業並びにより低い関係性及び生活上の満足が挙げられうる(Substance Abuse and Mental Health Services Administration(2013年)、Results from the 2013 National Survey on Drug Use and Health:Summary of National Findings;Cerdaら、2012年;Volkowら、2014年;Hallら、2009年)。
米国では、大麻使用障害として最も使用される診断マニュアルの1つにより定義されるカンナビノイド嗜癖の12ヶ月の有病率は、12~17歳でおよそ3.4%、及び成人年齢である18歳以上で1.5%である。カンナビノイド使用障害の割合は、成人女性(0.8%)よりも成人男性(2.2%)で大きく、12~17歳の女性(3.0%)よりも12~17歳の男性(3.8%)で大きい。成人のカンナビノイド使用障害の12ヶ月の有病率は年齢とともに低減し、割合は18~29歳で最も高く(4.4%)、65歳以上の人で最も低い(0.01%)。有病率における民族的及び人種的差異は中等度である。
カンナビノイドの使用は、米国において1年あたり450000件の救急処置室への入室の原因でもある(DAWN report、2013年)。これらの患者において、いくつかの種類の症状が観察される。最も一般的なものは、a.パニック発作に近い深刻な不安状態:b.精神病、譫妄及び深刻な解体した行動;c.悪阻症候群;d.緊張病性行動である(Adamsら、2017年、Khanら、2016年)。
最終的に、西洋諸国では、カンナビノイドの使用は増大しつつあり、嗜好的及び医学的な大麻の使用の合法化に伴い更に拡大するばかりであり、米国及び大半の欧州諸国において16から24歳の人についての有病率は30%を超える。大麻を使用する者のおよそ9%が嗜癖となる。その数は、10代でマリファナの使用を始めた者で6人に約1人、及びマリファナを毎日吸う者で25から50%に上がる。
カンナビノイド関連障害は、とりわけ、大麻の主要な精神活性成分であるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)又は合成カンナビノイドのような任意の他の合成化合物による、CB1受容体の活性化に起因する。
内因性リガンドが結合して受容体を活性化する部位であるオルソステリックな結合部位の阻害を介するCB1の活性の遮断を目的とする方法は、開発され、体重の減少のための臨床試験に提出されている。これらの化合物の1つであるリモナバンは、商標名Acomplia(登録商標)で市販されてさえいた。残念ながら、利用可能なオルソステリックアンタゴニスト、例えばリモナバンは、受容体の全体の活性を阻害し、CB1受容体の逆アゴニストとしても作用する、すなわち、リモナバンはCB1の活性化だけでなく、内因性リガンドの不在下で受容体の基礎活性をも阻害する。この逆アゴニスト作用及び受容体活性の完全阻害のために、オルソステリックCB1アンタゴニストの投与に基づいた利用可能な方法は、一連の重篤な有害作用をも有する。これらの有害作用のために、Acomplia(登録商標)の商品化は保留され、CB1のオルソステリック部位を阻害するための他の方法の開発は停止された。
オルソステリックCB1アンタゴニスト及び特にAcomplia(登録商標)は、これらをカンナビノイド関連障害を処置するための非実用的な手段とする、以下の周知の有害作用を有する。
1.これらは食物摂取を減少し、このことは全般的な報酬系の混乱を示す;
2.これらは、動物において不安関連行動を、ヒトにおいて不安を誘導する;
3.これらは、動物において抑うつ関連行動を、ヒトにおいて抑うつを誘導する;
4.これらは、対象のホルモン状態の障害を誘導する、グルココルチコイドの分泌を増大する。特に、グルココルチコイドの増大は、カンナビノイドを含む乱用薬物の報酬作用を媒介するドーパミン作動系の活性を増大しうる。増大したグルココルチコイドの分泌は、次いで、カンナビノイド関連障害に対するCB1阻害剤の治療作用を妨害しうる、カンナビノイドの報酬作用に対する増大した感受性をもたらしうる;
5.これらは、THC依存動物において離脱を促進する;
6.これらは、GLP安全性薬理及び毒性試験において、痙攣及び一般行動及び臨床的障害を誘導する;
7.これらは、肝毒性作用を有する。
合成カンナビノイドにより、又は大麻乱用者により使用されるTHCの用量よりも極めて高い非常に高用量のTHCにより、CB1受容体が過剰活性化されるとき、ステロイドホルモンであるプレグネノロンの濃度が脳内で増大する(3000%)ことが、近年発見された。プレグネノロンは、次いで、CB1アゴニスト、例えばTHCが結合する部位とは別個のCB1受容体の特定の部位に結合し、CB1受容体の内因性シグナル伝達特異的阻害剤(eCB1-SSi)として作用する。よって、プレグネノロンは、MAPK(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)経路のCB1誘導性活性化を選択的に阻害するが、アデニル酸シクラーゼのCB1誘導性阻害は阻害しない。この制限された分子作用にもかかわらず、プレグネノロンがTHCの曝露の前に投与されるとき、プレグネノロンは齧歯類においてTHC媒介性行動作用の大半を阻害する(Valleeら、2014年)。
Busquets-Garciaらは、プレグネノロンが、ヒトにおいてカンナビノイドの使用後に観察される精神病様症状に関連する、THCのあらゆる範囲の無条件の作用を遮断しうることをも実証している。それによって、プレグネノロン活性を模倣する薬物を、カンナビノイド誘導性急性精神病様状態(CIAPS)を処置するために使用することができることが示唆されている(Busquets-Garciaら、2017年)。
これらの理由から、プレグネノロンは、カンナビノイド関連障害の有望な処置であるようである。
しかし、プレグネノロンは、不十分にしか利用できず、非常に短い半減期を有し、下流で活性なステロイドへと変換されるため、薬学的処置として使用することができない。
国際公開第2012/160006号では、プレグネノロンの3つの誘導体、すなわち3-フルオロプレグネノロン、17-メチルプレグネノロン、3-フルオロ-17-メチルプレグネノロンが、THCを用いた刺激後及び/又は摂食制限後のラット又はマウスにおいて検査された。これらの化合物は、CB1活性化の食物摂取に対する作用を阻害することが可能であった。
他の化合物、及びとりわけ3β-ベンジルオキシプレグネノロンを、これらの、i.THC誘導性カンナビノイド四つ組の作用(体温及び自発運動活性の低減);ii.CB1活性化の典型的な作用である、THC誘導性の食物摂取の増大;iii.CB1アンタゴニストに典型的な別の作用である、LPSにより誘導されたTNFアルファの増大を阻害する能力について検査した。
国際公開第2014/083068号は、「3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン」及びCB1受容体を阻害するためのその使用を開示しているが、非常に全般的な様式である。特にTHCにより引き起こされるCB1の活性化を阻害することについての言及は存在しない。
しかし、カンナビノイド関連障害についての承認された薬学的処置は存在せず、結果として重要なアンメットメディカルニーズとなっている。
国際公開第2012/160006号 国際公開第2014/083068号
Substance Abuse and Mental Health Services Administration(2013年)、Results from the 2013 National Survey on Drug Use and Health:Summary of National Findings 「The health and social effects of nonmedical cannabis use」と題されるthe World Health Organizationの2016年の刊行物 Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第5版(DSM-5(商標)) ICH S7A guidelines(2001年)
したがって、カンナビノイド関連障害の処置についての必要性が依然として存在する。
ヒトにおいて使用することができる、CB1受容体のシグナル伝達特異的阻害に基づくカンナビノイド関連障害の処置の開発には、いくつかの課題が存在する。よって、このような化合物は、同時にすべての以下の特徴を示すべきである。
1.化合物は、CB1受容体の活性を、選択的且つシグナル特異的な様式で阻害するべきである。
2.化合物は、様々なカンナビノイド関連障害を処置するために有用であるために、CB1アゴニストの広範囲の無条件の及び条件づけられた行動作用を阻害するべきである。これは、シグナル伝達特異的阻害剤についての特定の課題である。この化合物は、アゴニストによるCB1の活性化の、ある特定の細胞作用のみを修正する。結果として、カンナビノイドの様々な行動作用の中で、どれがシグナル特異的阻害剤により修正されるか予測することは不可能である。
3.化合物は、CB1阻害剤の周知の有害作用を有するべきでない。特に、化合物は、a.食物摂取の低減;b.不安及び抑うつ関連行動の増大;c.グルココルチコイドの分泌の増大;d.THC依存動物における離脱;e.痙攣及び中枢神経系障害関連の臨床徴候の障害;f.肝毒性を誘導するべきでない。
4.化合物は、限定されないが、鎮静、易興奮性、その治療作用を妨害しうる自発行動の変化を含む非特異的な行動作用を有するべきでない。
5.化合物は十分に吸収されるべきであり、安定であるべきであり、限定されないが、活性ステロイドを含む、有害作用を有しうる有意な量の下流代謝産物にインビボで変換されるべきではない。
6.化合物は、カンナビノイド関連障害を処置することを目的とする治療手段の標的器官である脳に到達するべきである。
7.化合物は、内因性分子又は外因性治療薬物のレベル又は活性の修正をもたらしうる、主要な身体の代謝酵素及び輸送体を改変するべきでない。
8.化合物は、良好な治療指数(活性用量と有害作用を示す用量との間の定量)を有するべきである。許容される治療指数は、一般に、少なくとも10であると考えられる。
上記の又は以前に利用可能であった知識におけるCB1受容体のシグナル伝達特異的阻害剤及び他のアンタゴニストのいずれについても、すべての上述の特性は記載されていない。より一般的に実質的に、行動障害を処置するために使用される化合物に、すべてのこれらの特徴を有するものは存在しない。よって、3つの主要なクラスの精神活性薬物である、抗不安薬、抗うつ薬及び神経抑制薬は、治療量の範囲内で行動の有害作用を誘導する。例えば、a.抗不安薬は、眠気を誘導し、覚醒度を低減し、記憶を障害し;b.抗うつ薬は、易興奮性、不眠症及び性欲の低減を誘導し;c.神経抑制薬は、ホルモンの混乱、鎮静、ジスキネジア及び不随意運動を誘導する。
結果として、項目1から8に記載されるすべての特徴を有する化合物は、カンナビノイド関連障害を処置するために設計された薬物についての大きな革新となるだけでなく、行動障害を処置することを目的とする精神活性薬の全体の分野についても大きな革新となるであろう。
本発明は、一般的に、カンナビノイド関連障害の処置におけるその使用のための、特定のプレグネノロン誘導体に関する。
より特には、本発明は、カンナビノイド関連障害の処置のためのその使用のための、式(I)の化合物
Figure 0007254100000001
に関する。
実際、本発明の化合物は、それをカンナビノイド関連障害を処置するための非常に革新的な治療手段とする、以下に記載するすべての特性を有するという独特な特徴を有する。
1.化合物は、CB1受容体の活性を、シグナル伝達特異的な様式で選択的に阻害する。
2.化合物は、CB1アゴニストの広範囲の無条件の及び条件づけられた行動作用を阻害することにおいて非常に強力であり、結果として、カンナビノイド関連障害の処置のために有用でありうる。
3.化合物は、CB1阻害剤及びアンタゴニストの周知の有害作用を有しない。特に化合物は、GLP試験において、a.食物摂取を低減せず;b.不安及び抑うつ関連行動を増大せず;c.グルココルチコイドの分泌を増大せず;d.THC依存動物における離脱を促進せず;e.痙攣及び障害及び中枢神経系関連の臨床徴候を誘導せず;f.肝毒性を誘導しない。
4.化合物は、非特異的な行動作用、例えば鎮静、易興奮性、その治療作用を妨害しうる自発行動の変化を有しない。
5.化合物は、十分に吸収され、安定であり、有意な量の下流代謝産物に変換されない。
6.化合物は、脳に到達する。
7.化合物は、主要な身体の代謝酵素及び輸送体を修正しない。
8.化合物は、優れた治療指数>7200を有する。
式(I)の化合物(3pMBP)合成の流れ図である。 3pMBPの、CB1媒介性シグナル伝達及び細胞活性のTHC誘導性の修正に対するインビトロの作用を示す図である。図2Aは、3pMBP(0、1、10及び100nM)の、MAPKのTHC誘導性リン酸化に対する作用を示す図である。hCB1を安定トランスフェクトしたHEK293細胞からのP-MAPK/CoxIV比。図2Bは、3pMBP(0、1、10及び100nM)の、MAPKのTHC誘導性リン酸化に対する作用を示す図である。hCB1を一過性トランスフェクトしたHEK293細胞からのP-MAPK/MAPK比。図2Cは、3pMBP(1nM、10nM、100nM及び1μM)の、hCB1を安定トランスフェクトしたCHO細胞におけるcAMPレベルのTHC誘導性の低減の作用を示す図である。NT=無処置、すなわち、3pMBP及びTHCの両方のビヒクルを受けた細胞。図2Dは、3pMBP(0、1、10及び100nM)の、hCB1を一過性トランスフェクトしたHEK293細胞における細胞呼吸のTHC誘導性の阻害に対する作用を示す図である。***p<0.001;**p<0.01;*p<0.05、THCで処置された群対THCのビヒクルで処置された群;###p<0.001;##p<0.01;#p<0.05、3pMBP+THCで処置された群対3pMBPのビヒクル(0nM)+THCで処置された群。(A、B テューキーの検定、D.ダネットの検定)。 3pMBPの、THC誘導性の過食症、精神刺激及びプレパルス阻害の障害に対する作用を示す図である。図3Aは、3pMBP(経口)用量が、マウスにおいて、THC(1mg/kg;腹腔内)により誘導される食物摂取の増大を依存的に予防することを示す図である。***p<0.001、THC対THCのビヒクル;###p<0.001、3pMBP+THC対3pMBPのビヒクル(0μg/kg)+THC(ダネットの検定)。図3Bは、3pMBP(経口)用量が、マウスにおいて、THC(0.3mg/kg;腹腔内)により誘導される自発運動の増大を依存的に予防することを示す図である。黒色の実線は、平均に対応し;黒色の点線は、3pMBPの不在下でTHCのビヒクル(VEH)又はTHCで処置された群のSEM値に対応する。黒丸、3pMBP及びTHCで処置された群の平均±SEM値。p>0.05、3pMBP(0.00015mg/kg)+THC対3pMBPのビヒクル+THC、p<0.01、3pMBP(0.0005mg/kg)+THC対3pMBPのビヒクル+THC、p<0.001、3pMBP(0.0015mg/kg)+THC、3pMBP(0.015mg/kg)+THC及び3pMBP(0.15mg/kg)+THC対3pMBPのビヒクル+THC。(一元配置分散分析後のダネットの検定、p<0.001)。図3Cは、3pMBP(経口)用量が、マウスにおいて、THC(10mg/kg;腹腔内)により誘導されるプレパルス(82dB)阻害(PPI)の障害を依存的に予防することを示す図である。黒色の実線は、平均に対応し;黒色の点線は、3pMBPの不在下でTHCのビヒクル(VEH)又はTHCで処置された群のSEM値に対応する。黒丸、3pMBP及びTHCで処置された群の平均±SEM値。p>0.05、3pMBP(0.0015mg/kg)+THC及び3pMBP(0.005mg/kg)+THC対3pMBPのビヒクル+THC。p<0.05、3pMBP(0.015mg/kg)+THC及び3pMBP(0.05mg/kg)+THC対3pMBPのビヒクル+THC。p<0.01、3pMBP(0.03mg/kg)+THC対3pMBPのビヒクル+THC(一元配置分散分析後のダネットの検定、p<0.001)。 3pMBPの、作業記憶、物体認識、社会的相互作用及び現実検討のTHC誘導性の障害に対する作用を示す図である。図4Aは、3pMBP(経口)用量が、マウスにおいて、水迷路においてTHC(5mg/kg)により誘導される作業記憶の障害を依存的に予防することを示す図である。**p<0.01、THC対THCのビヒクル(VEHTHC;ダネットの検定)。#p<0.05、3pMBP対3pMBPのビヒクル(0mg/kg)+THC(ダネットの検定)。図4Bは、3pMBP(経口)が、マウスにおいて、THC(6mg/kg)により誘導される物体認識の障害を予防することを示す図である。***p<0.001、見慣れた対新規の対象(Sidak検定)。###p<0.001、新規の対象の探索時間:ビヒクル3pMBP(0mg/kg)+THC対ビヒクル3pMBP(0mg/kg)及びTHCなし又は対3pMBP+THC(Sidak検定)。図4Cは、3pMBP(経口)用量が、マウスにおいて、THC(3mg/kg)により誘導される社会的相互作用の障害を依存的に予防することを示す図である。**p<0.01、THC対THCのビヒクル(VEHTHC;ダネットの検定)。###p<0.001;#p<0.05、3pMBP+THC対3pMBPのビヒクル(0mg/kg)+THC(ダネットの検定)。図4Dは、3pMBP(経口)用量が、マウスにおいて、THC(1mg/kg)により誘導される現実検討の障害を依存的に予防することを示す図である。**p<0.05、THC対THCのビヒクル((VEHTHC;独立t検定)。 3pMBPの、THC誘導性の強硬症、条件づけられた大口開け及び側座核におけるドーパミン放出に対する作用を示す図である。図5Aは、3pMBP(経口)用量が、マウスにおいて、THC(10mg/kg)により誘導される強硬症を依存的に減少することを示す図である。***p<0.001、THC対THCのビヒクル(マン・ホイットニーの検定)。#p<0.05、3pMBP+THC対3pMBPのビヒクル(0mg/kg)+THC(マン・ホイットニーの検定)。図5Bは、3pMBP(経口)が、マウスにおいて、THC(10mg/kg)により誘導される条件づけられた大口開けを予防することを示す図である。条件づけ及び検査試行中に3pMBP(0.005及び0.015mg/kg)又は3pMBPのビヒクル(0mg/kg)で前処置したときの、THCペアードサッカリン溶液(THC-paired saccharin solution)により誘発される大口開けの平均±SEM数。*p<0.05、3pMBP+THC対3pMBPのビヒクル(0mg/kg)+THC(一元配置分散分析、3pMBP投与の主要な作用)。図5Cは、3pMBPが、THC(1mg/kg)で処置したラットの側座核において経時的なドーパミンの流出の増大を阻害することを示す図である。黒色の矢印、THC注入時間。図5Dは、3pMBPが、THC(1mg/kg)で処置したラットの側座核においてドーパミン流出の平均曲線下面積(AUC、各群について時間「0」から60分までの時間から算出)を低減することを示す図である。***p<0.001;**p<0.01、3pMBP+THC対3pMBPのビヒクル(0mg/kg)+THC(ダネットの検定)。 3pMBPの、マウスにおけるWIN 55,212-2の静脈内自己投与に対する作用を示す図である。3pMBP(経口)は、マウスにおいてWIN 55-512,2(0.0125mg/kg/注入;静脈内)自己投与を低減する。自己投与の獲得中(最初の10セッション、黒丸)及び3pMBP(0.005mg/kg、セッション11~14及び0.015mg/kg、セッション15~18;灰色四角)又は3pMBPのビヒクル(0mg/kg、白丸)を用いた自己投与セッション中の注入の数。*p<0.05、3pMBP(0.015mg/kg)処置群対ビヒクル(0mg/kg)(二元配置分散分析、3pMBP投与の主要な作用)。 3pMBPの、サルにおけるTHC自己投与及び復活に対する作用を示す図である。図7Aは、3pMBP用量が、リスザルにおいて、固定比10(FR10)でのTHC(4μg/kg/注入)静脈内自己投与(1時間のセッション)中、THCの注入の数を依存的に低減することを示す図である。*p<0.05対3pMBPのビヒクル+THC(ボンフェローニの検定)。図7Bは、3pMBP用量が、リスザルにおいて、固定比10(FR10)でのTHC(4μg/kg/注入)静脈内自己投与(1時間のセッション)中、THCについての応答率を依存的に低減することを示す図である。*p<0.05対3pMBPのビヒクル+THC(ボンフェローニの検定)。図7Cは、3pMBP(経口)が、サルにおいて薬物探求のTHC誘導性の復活(0.04mg/kg)を減少することを示す図である。棒は、平均±SEM(n=4)のビヒクル注入の数を表す。「0mg/kg」は、3pMBPのビヒクルを示す。*p<0.05、対「ビヒクル初回刺激」(テューキーの検定)。#p<0.05、対「THC初回刺激」(テューキーの検定)。図7Dは、3pMBP(経口)が、サルにおいて薬物探求のTHC誘導性の復活(0.04mg/kg)についての検査中、応答率を減少することを示す図である。棒は、平均±SEM(n=4)の応答率を表す。「0mg/kg」は、3pMBPのビヒクルを示す。*p<0.05、対「ビヒクル初回刺激」(テューキーの検定)。#p<0.05、対「THC初回刺激」(テューキーの検定)。 3pMBP及びリモナバンの、食物摂取及び体重に対する、並びにTHC誘導性の離脱に対する作用を示す図である。図8Aは、3pMBP及びリモナバンの、肥満マウスにおける体重に対する作用を示す図である。ビヒクル処置動物(VEH)と比較して、リモナバン(Rimo 10mg/kg;腹腔内)は、肥満マウスにおいて体重を低減するが、3pMBP(0.005、0.015、0.05、5及び15mg/kg;経口)は低減しない。1から4日:リモナバンの有意な作用はない。5から7日:p<0.05、Rimo対VEH(ダネットの検定)。7から15日:p<0.01、Rimo対VEH(ダネットの検定)。図8Bは、3pMBP及びリモナバンの、肥満マウスにおける食物摂取に対する作用を示す図である。ビヒクル処置動物(VEH)と比較して、リモナバン(Rimo 10mg/kg;腹腔内)は、肥満マウスにおいて食物摂取を低減するが、3pMBP(0.005、0.015、0.05、5及び15mg/kg;経口)は低減しない。1から5日:p<0.001、Rimo対VEH(テューキーの検定)。図8Cは、3pMBP及びリモナバンの、頭部加振の持続期間に対する作用を示す図である。ビヒクル(VEH)の注入を受けてTHCで反復処置を受けた動物と比較して、リモナバン(Rimo、10mg/kg;腹腔内)は、THC(20mg/kg;腹腔内)投与での反復処置を受けたマウスにおいて頭部加振の持続期間を増大したが、3pMBP(0.15mg/kg;経口)は増大しなかった。***p<0.001;VEH-THC対Rimo-THC群(スチューデントのt検定)。図8Dは、3pMBP及びリモナバンの、足の振戦の持続期間に対する作用を示す図である。ビヒクル(VEH)の注入を受けてTHCで反復処置を受けた動物と比較して、リモナバン(Rimo、10mg/kg;腹腔内)は、THC(20mg/kg;腹腔内)投与での反復処置を受けたマウスにおいて足の振戦の持続期間を増大したが、3pMBP(0.15mg/kg;経口)は増大しなかった。*p<0.05;VEH-THC対Rimo-THC群(スチューデントのt検定)。 3pMBP又はリモナバンの反復投与の、マウスにおける不安及び抑うつ関連行動に対する作用を示す図である。図9Aは、高架式十字迷路のオープンアーム中で過ごした時間のパーセンテージにより測定される、マウスにおける3pMBP(0、0.05、5、15mg/kg、経口)又はリモナバン(Rimo0及び10mg/kg;腹腔内)の反復(28日間、1日1回)投与の、不安関連行動に対する作用を示す図である。3pMBPは、オープンアーム中で過ごした時間に対する作用を有しないが、一方で、リモナバンは、オープンアーム中で過ごした時間を低減する。図9Bは、高架式十字迷路のオープンアーム中への訪問のパーセンテージにより測定される、マウスにおける3pMBP(0、0.05;5;15mg/kg、経口)又はリモナバン(Rimo 0及び10mg/kg;腹腔内)の反復(28日間、1日1回)投与の、不安関連行動に対する作用を示す図である。3pMBPは、オープンアーム中への訪問に対する作用を有しないが、一方で、リモナバンは、オープンアーム中の訪問のパーセンテージを低減する。**p<0.01;*p<0.05;Rimo対ビヒクル(0mg/kg)(スチューデントのt検定)。図9Cは、スクロース嗜好検査で測定される、マウスにおける、3pMBP(0、0.05;5;15mg/kg、経口)の反復(28日、1日1回)投与の、抑うつ関連行動に対する作用を示す図である。3pMBPは、スクロース摂取に対する作用を有しない。図9Dは、スクロース嗜好検査で測定される、マウスにおける、リモナバン(Rimo 0及び10mg/kg;腹腔内)の反復(28日、1日1回)投与の、抑うつ関連行動に対する作用を示す図である。リモナバンは、スクロース摂取を低減する(8.30~10pm遅延)。*p<0.05、Rimo対ビヒクル(0mg/kg)(スチューデントのt検定)。 3pMBPの、マウスにおけるコルチコステロンの血漿濃度に対する作用を示す図である。図10Aは、雄マウスにおいて、3pMBP(0.3又は10mg/kg;経口)又はビヒクル(VEH)の投与が、投与後2、5、8及び24時間で測定したコルチコステロンの血漿濃度に対して有意な作用を有しないことを示す図である。図10Bは、雌マウスにおいて、3pMBP(0.3又は10mg/kg;経口)又はビヒクル(VEH)の投与が、投与後2、5、8及び24時間で測定したコルチコステロンの血漿濃度に対して有意な作用を有しないことを示す図である。データを、log(10)スケールで表す。
本発明は、一般的に、カンナビノイド関連障害の処置における使用のための、式(I)の化合物
Figure 0007254100000002
に関する。
本発明の化合物である、3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オンは、標的受容体の全体の活性を遮断せず、その活性の一部のみを遮断する。本発明の化合物の特異的標的受容体は、CB1受容体である。
式(I)の化合物は、内因性の負のフィードバックをもたらし、CB1の過剰活性化を制御する、新規に発見された脳の機構の作用を再現することが可能である。この制御機構は、CB1が強力に過剰活性化したときのみ引き起こされるが、受容体の活性化がより生理学的な範囲内にあるときには引き起こされないことに留意することが重要である。これは、本発明の化合物がCB1アゴニストであるTHCの作用の遮断において極めて強力であるためであり、よって、カンナビノイド関連障害の処置について有効である。更に、本発明の化合物は、そのシグナル伝達特異的作用機序のために、CB1がカンナビノイドにより活性化していない健常な対象において、行動それ自体に対する作用を有しない。
本発明の化合物の作用機序は、この観点において、CB1受容体の内因性及び外因性アゴニストの結合を遮断することにより、すべてのCB1活性の完全な阻害を誘導し行動それ自体を妨害するCB1オルソステリックアンタゴニストの作用機序とは非常に異なる。加えて、アンタゴニストの作用機序は生理学的には存在せず、すなわち、知られている限りでは、アンタゴニストのような、CB1アゴニストの受容体への結合を遮断する内因性の化合物は存在しない。この作用機序の人工的な性質のために、これらのアンタゴニストは、標的受容体の過剰活性化を修正することに加え、一般的にその活性を基礎レベル未満に低下し、生理機能を妨害し、副作用を生じる。
本発明の化合物とオルソステリックアンタゴニスト、例えばリモナバンとの間の異なる作用機序は、両方の薬物がTHC作用を阻害することができるが、他の行動作用を共有しない理由を説明する。
したがって、本発明の化合物はCB1アンタゴニストではなく、かくして、すべてのTHCの細胞作用を、オルソステリックCB1アンタゴニストであるリモナバンが遮断するようには、遮断しない。
実際には、本発明の化合物は、THCをCB1のcAMPバイアス型アゴニストに変換する。
バイアス型アゴニストは、その標的受容体によって媒介される細胞作用の一部のみを活性化することが可能な化合物である。CB1の場合、アゴニスト、例えばTHCの2つの主要な作用が、同時にcAMPの産生を阻害し、MAPKの活性を刺激することとなる。CB1のバイアス型アゴニストは、次いで、cAMPを選択的に阻害するか(cAMPバイアス型CB1アゴニスト)、又はMAPKを活性化するか(MAPKバイアス型CB1アゴニスト)のいずれかが可能になるであろう。
本発明の化合物が提供されるとき、THCはなおcAMPの産生を阻害することが可能であるが、MAPKを活性化することは可能でない。
換言すると、本発明の化合物は、THCをcAMPバイアス型アゴニストへと変換する。
本発明の化合物で得られた前臨床データは、cAMPバイアス型アゴニストとして、THCがその無条件の及び条件づけられた行動作用の大半を失い、薬物中止の期間の後に薬物探求の増強の程度が少なくなり、復活する可能性がより低いことを示す。
しかし、THCはなお、その細胞作用の一部を有している。これはおそらく、リモナバンがTHC依存性マウスにおいて離脱を促進する一方で、本発明の化合物がTHC依存性マウスにおいて離脱を促進しない理由である。
有利には、本発明の化合物は、CB1アンタゴニストの行動作用を示さない。実際、CB1オルソステリックアンタゴニストは受容体の全体の細胞活性を遮断するが、一方で、本発明の化合物はそれらの一部のみを阻害する。
なお有利には、及びより一般的には、本発明の化合物では有害作用は観察されない。
有害作用の欠如は、及び多数の場合では、齧歯類及びイヌにおいて本発明の化合物の作用が存在しないことは、おそらく本発明の化合物の特異的構造、作用機序及び吸収/分布/代謝/排泄の特徴によるものである。
本発明の化合物が、化合物をカンナビノイド関連障害を処置するための独特な理想の手段とする付随する特徴を有することが実証されている。これらの特徴には、限定されないが、以下が挙げられる。
1.本発明の化合物は、CB1受容体の過剰活性化を克服するための、内因性の脳の機構に適合した独特な作用機序を有するが、受容体の基礎活性に対する作用を有しないようである。標的系の基礎活性の混乱は、しばしば、アンタゴニストの有害作用の一部についての原因となる。加えて、本発明の化合物は、非常に選択的であり、検査された85の受容体のいずれにも相互作用しない。標的外作用は、しばしば、新規化学成分の有害作用の一部についての原因である。CB1受容体の細胞活性は、次いで、選択的且つシグナル伝達特異的様式で阻害される。
2.本発明の化合物は、インビボで、限定されないがTHCを含むCB1アゴニストの、広範囲の無条件の及び条件づけられた作用の阻害において非常に高い効能を示す。
3.本発明の化合物は、限定されないが、a.食物摂取の低減;b.不安及び抑うつ関連行動の増大;c.グルココルチコイドの分泌の増大;d.THC依存動物における離脱の促進;e.間代性痙攣及び中枢神経系障害に関連する臨床徴候の誘導;f.肝毒性を含む、オルソステリックCB1アンタゴニストの有害作用のいずれも有しない。
4.本発明の化合物は、THCの阻害についてのID50よりも数千倍高い用量でさえ、行動それ自体において関係した変化を引き起こさない。
5.本発明の化合物は、良好な吸収、分布、代謝及び排泄の特徴を有し、限定されないが下流の活性なステロイドを含む主要な代謝産物への変換は有意でない。
6.本発明の化合物は、脳への良好な到達をもたらす。
7.本発明の化合物は、主要な内因性代謝酵素及び輸送系の活性を修正しない。
8.本発明の化合物は、THC作用の阻害についてのID50よりも数千倍高い用量で、インビトロ及びインビボで有害及び毒性作用を有しない。結果として、本発明の化合物は、非常に良好な治療指数>7200を有する。
本発明によると、「カンナビノイド関連障害(Cannabinoids-Related Disorders)」又は「カンナビノイド関連障害(Cannabinoids-Related Disorder)」又は「CRD」には、カンナビノイド使用障害(CUD);カンナビノイド中毒;カンナビノイド離脱;他のカンナビノイド誘導性障害;不特定のカンナビノイド関連障害;カンナビノイド悪阻症候群、カンナビノイド誘導性緊張病、及びカンナビノイドの使用を原因としうるすべての障害が挙げられる。
主なカンナビノイド関連障害(CRD)を例示するために、大麻及び合成カンナビノイドに言及するDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第5版(DSM-5(商標))の基準を本明細書において使用する。
しかし、DSM-5はカンナビノイド関連障害に限って記載したものではないが、限定されないが国際疾病分類(世界保健機関)を含む他の診断マニュアルにおいて記載されている類似の障害、より一般的には、大麻に由来する又は合成カンナビノイドを含有する製剤により誘導されるすべての障害を包含する。
このような障害の例は、「The health and social effects of nonmedical cannabis use」と題されるthe World Health Organizationの2016年の刊行物において十分に記載されている。カンナビノイドの使用の短期作用には、認知及び協調の障害、不安及び精神病症状、急性毒性、急性心血管作用並びに肺及び気道に対する急性作用のような障害が挙げられる。長期のカンナビノイドの使用は、有害な精神社会的及び精神保健的な転帰を伴うだけでなく、カンナビノイド関連心血管障害及びカンナビノイド関連虚血性脳卒中をも伴う。
「カンナビノイド使用障害」又は「CUD」は、12ヶ月の期間内に発生する以下の少なくとも2つにより表される、臨床的に有意な障害又は苦痛をもたらす、カンナビノイドの使用の問題のある型として理解されるべきである。
1.カンナビノイドは、しばしば、より大量に又は意図されたよりも長い期間にわたり、服用される。
2.カンナビノイドの使用を減量する又は管理する持続的な欲求又は失敗に終わった努力が存在する。
3.カンナビノイドを入手する、カンナビノイドを使用する、又はその作用から回復するために必要な活動に、多くの時間を費やす。
4.カンナビノイドを使用することに対する渇望、又は強い欲求若しくは衝動。
5.結果として職場、学校、又は家庭での主要な役割義務を果たせなくなる、カンナビノイドの反復的な使用。
6.カンナビノイドの作用により引き起こされる又は悪化する、持続的又は反復的な社会的又は対人関係の問題を有するにもかかわらず続けられる、カンナビノイドの使用。
7.カンナビノイドの使用のために、重要な社会的、職業的又は娯楽的な活動をやめる又は減少させる。
8.身体上危険である状況における、反復的なカンナビノイドの使用。
9.カンナビノイドにより引き起こされている又は悪化している可能性のある持続的又は反復的な身体的又は心理学的な問題を有していると知っているにもかかわらず、カンナビノイドの使用を続ける。
10.以下のいずれかにより定義される忍容性。
a.中毒又は所望の作用を達成するための、著しく増大した量のカンナビノイドの必要性。
b.同量のカンナビノイドの継続される使用での、著しく減退した作用。
11.以下のいずれかにより定義される離脱。
a.カンナビノイドについての特徴的な離脱症候群。
b.離脱症状を緩和する又は避けるために、カンナビノイド(又は密接に関連する物質)を摂取する。
DSM-5(商標)によると、「カンナビノイド使用障害」は、2つから3つの症状が存在する場合に「軽度」として、4つから5つの症状が存在する場合に「中等度」として、6つ以上の症状が存在する場合に「重度」として考えられる。
本明細書において使用される場合、「カンナビノイド中毒」は、以下の基準を用いて診断すべきである。
A.大麻又は合成カンナビノイドの反復的な使用。
B.カンナビノイドの使用中、又は直後に発現する、臨床的に有意な問題のある行動又は心理学的変化(例えば、運動調整の障害、多幸感、不安、遅延した時間の感覚、判断の障害、社会的離脱)。
C.カンナビノイドの使用の2時間以内に発現する、2つ(以上)の以下の徴候又は症状。
1.結膜充血。
2.食欲の増大。
3.口渇。
4.頻脈。
D.徴候又は症状が、別の医学的状態に起因するものではなく、別の物質の中毒を含む別の精神障害によりうまく説明できない。
「カンナビノイド離脱」障害という用語は、以下の基準を用いて診断されるべきである。
A.重度且つ長期であったカンナビノイドの使用(すなわち、少なくとも数ヶ月の期間にわたる、通常毎日又はほぼ毎日の使用)の停止。
B.基準Aの後およそ1週間以内に発現する、3つ(以上)の以下の徴候又は症状。
1.易刺激性、怒り、又は攻撃性。
2.神経過敏又は不安。
3.睡眠の困難さ(例えば、不眠症、不穏な夢)。
4.食欲の減退又は体重減少。
5.不穏状態。
6.抑うつ気分。
7.以下の著しい不快感を引き起こす身体症状の少なくとも1つ:腹痛、震え/振戦、発汗、発熱、悪寒、又は頭痛。
C.基準Bにおける徴候又は症状が、社会的、職業的、又は他の重要な機能の領域において、臨床的に有意な苦痛又は障害を引き起こす。
D.徴候又は症状が、別の医学的状態に起因するものではなく、別の物質からの中毒又は離脱を含む別の精神障害によりうまく説明できない。
DSM-5(商標)によると、「他のカンナビノイド誘導性障害」は、カンナビノイド誘導性不安障害;カンナビノイド誘導性精神障害;カンナビノイド誘導性睡眠障害;カンナビノイド中毒譫妄である。これらのカンナビノイド誘導性障害は、症状が独立した臨床的な注意に値するほど十分に重度であるとき、カンナビノイド中毒又はカンナビノイド離脱の代わりに診断される。
「カンナビノイド誘導性精神障害」は、以下の基準を用いて診断されるべきである。
A.以下の症状の1つ又は両方の存在。
1.妄想。
2.幻覚。
B.病歴、身体検査、又は臨床検査所見からの、(1)及び(2)の両方のエビデンスが存在する。
1.カンナビノイド中毒又は離脱の最中若しくは直後、又は薬物療法への曝露後に発現する、基準Aにおける症状。
2.関与するカンナビノイドは、基準Aにおける症状をもたらすことが可能である。
C.障害が、物質誘導性でない精神病性障害によってうまく説明されない。このような独立した精神病性障害のエビデンスには、以下を挙げることができる。
症状がカンナビノイドの使用の開始に先行する;症状が急性離脱若しくは重度の中毒の停止後の実質的な時間(例えば、約1ヶ月)の期間持続する:又は独立した非物質/薬物療法誘導性精神病性障害の他のエビデンス(例えば、非物質/薬物療法関連エピソードの再発歴)が存在する。
D.障害が、譫妄の経過中に限って発生するものではない。
E.障害が、社会的、職業的、又は他の重要な機能の領域において、臨床的に有意な苦痛又は障害を引き起こす。
この診断は、基準Aにおける症状が病像において顕著であるとき及び症状が臨床的な注意に値するほど十分に重度であるときにのみ、物質中毒又は物質離脱の診断の代わりになされるべきである。
「カンナビノイド誘導性不安障害」は、以下の基準を用いて診断されるべきである。
A.パニック発作又は不安が、病像において顕著である。
B.病歴、身体検査、又は臨床検査所見からの、(1)及び(2)の両方のエビデンスが存在する。
1.カンナビノイド中毒若しくは離脱の最中若しくは直後、又はカンナビノイドへの曝露後に発現する、基準Aにおける症状。
2.関与するカンナビノイドは、基準Aにおける症状をもたらすことが可能である。
C.障害が、カンナビノイド誘導性でない不安障害によってうまく説明されない。このような独立した不安障害のエビデンスには、以下を挙げることができる。
症状が物質/薬物療法の使用の開始に先行する;症状が急性離脱若しくは重度の中毒の停止後の実質的な時間(例えば、約1ヶ月)の期間持続する:又は独立した非物質/薬物療法誘導性不安障害の存在を示唆する他のエビデンス(例えば、非物質/薬物療法関連エピソードの再発歴)が存在する。
D.障害が、譫妄の経過中に限って発生するものではない。
E.障害が、社会的、職業的、又は他の重要な機能の領域において、臨床的に有意な苦痛又は障害を引き起こす。
注釈:この診断は、基準Aにおける症状が病像において顕著であり、症状が臨床的な注意に値するほど十分に重度であるときにのみ、カンナビノイド中毒又はカンナビノイド離脱の診断の代わりになされるべきである。
「カンナビノイド誘導性睡眠障害」は、以下の基準を用いて診断されるべきである。
A.際立った且つ重度の睡眠の障害。
B.病歴、身体検査、又は臨床検査所見からの、(1)及び(2)の両方のエビデンスが存在する。
1.カンナビノイド中毒中若しくは直後、又はカンナビノイドからの離脱若しくはカンナビノイドへの曝露後に発現する、基準Aにおける症状。
2.関与するカンナビノイドは、基準Aにおける症状をもたらすことが可能である。
C.障害が、カンナビノイド誘導性でない睡眠障害によってうまく説明されない。このような独立した睡眠障害のエビデンスには、以下を挙げることができる。
症状がカンナビノイドの使用の開始に先行する;症状が急性離脱若しくは重度の中毒の停止後の実質的な時間(例えば、約1ヶ月)の期間持続する:又は独立した非カンナビノイド誘導性睡眠障害の存在を示唆する他のエビデンス(例えば、非物質/薬物療法関連エピソードの再発歴)が存在する。
D.障害が、譫妄の経過中に限って発生するものではない。
E.障害が、社会的、職業的、又は他の重要な機能の領域において、臨床的に有意な苦痛又は障害を引き起こす。
注釈:この診断は、基準Aにおける症状が病像において顕著であるとき及び症状が臨床的な注意に値するほど十分に重度であるときにのみ、カンナビノイド中毒又はカンナビノイド離脱の診断の代わりになされるべきである。
「中毒譫妄」は、以下の基準を用いて診断されるべきである。
A.注意力の障害(すなわち、注意を向ける、集中する、持続する及び移動する能力の減少)及び認識力の障害(環境に対する見当識の減少)。
B.障害は、短い時間(通常数時間から数日)の期間にわたり発現し、ベースラインの注意力及び認識力からの変化を表し、1日の経過中に重症度が変動する傾向がある。
C.認知における更なる障害(例えば、記憶欠損、見当識喪失、言語、視空間能力又は知覚)。
D.基準A及びCにおける障害は、別の、前から存在している、確立された、又は進展している神経認知障害によりうまく説明できず、覚醒の重度に減少したレベル、例えば昏睡の文脈において発生しない。
E.障害が、カンナビノイド中毒又は離脱の直接の生理学な結果であるという、病歴、身体検査、又は臨床検査所見からのエビデンスが存在する。
カンナビノイド中毒譫妄の診断は、基準A及びCにおける症状が病像において顕著であるとき及び症状が臨床的な注意に値するほど十分に重度であるとき、カンナビノイド中毒の代わりになされるべきである。
カンナビノイド離脱譫妄の診断は、基準A及びCにおける症状が病像において顕著であるとき及び症状が臨床的な注意に値するほど十分に重度であるとき、物質離脱の代わりになされるべきである。
本明細書において使用される場合、及びDSM-5(商標)によると、「不特定のカンナビノイド関連障害」の分類には、社会的、職業的、又は他の重要な機能の領域において、臨床的に有意な苦痛又は障害を引き起こす、カンナビノイド関連障害に特徴的な症状が顕著であるが、いずれの特定のカンナビノイド関連障害又は物質関連障害及び依存障害の診断クラスのいずれについても完全な基準を満たさない症状が当てはまる。
本明細書において使用される場合、「カンナビノイド悪阻症候群」には、カンナビノイドの使用に特徴づけられる症状、しばしば高頻度の温浴に関連する悪心及び嘔吐の周期性エピソードが当てはまる。カンナビノイド悪阻症候群の臨床経過は、前駆、過度の催吐(hyperemetic)、及び回復フェーズの、3つのフェーズに分けることができる。過度の催吐フェーズは、通常、48時間以内に停止する。患者は、しばしば、悪心、嘔吐及び腹痛の一時的な停止をもたらす、高頻度の温浴の学習行動を示す(Galliら、2011年)。
本明細書において使用される場合、「カンナビノイド誘導性緊張病」には、広く認められる臨床症候学として、運動、覚醒度及び外部刺激に対する応答性の減少を伴う、カンナビノイドの使用に続く緊張病様状態に特徴づけられる症状が当てはまる(Adamsら、2017年、Khanら、2016年)。
したがって、本発明は、カンナビノイド使用障害(CUD);カンナビノイド中毒;カンナビノイド離脱;他のカンナビノイド誘導性障害;不特定のカンナビノイド関連障害;カンナビノイド悪阻症候群及びカンナビノイド誘導性緊張病の中から選択される、カンナビノイド関連障害の処置における使用のための、式(I)の化合物
Figure 0007254100000003
に関する。
本明細書において使用される場合、「カンナビノイド」は、カンナビノイド受容体に対して作用する、完全な又は部分的なアゴニストである物質を指す。カンナビノイドには、天然の抽出物及び大麻様物質としても周知の合成化合物が挙げられる。
2つの主要な種類のカンナビノイド(CB)受容体である、CB1及びCB2受容体が記載されている。
典型的には、天然のカンナビノイドは、アサ(Cannabis L)植物、特にカンナビス・サティバから抽出することができる。
時間とともに、アサ植物から得た植物材料には、多数の名前が蓄積されてきた(例えば、ウィード、ポット、ハーブ、グラス、リーファー、メリージェーン、ダガ、ドープ、バング、スカンク、ブーム、ギャング、キフ、及びガンジャ)。カンナビノイドの使用者は、植物の一部、例えば花若しくは葉、又は植物の異なる種類の濃縮抽出物のいずれかを摂取することがあり、ハシシは最も一般的に使用される濃縮抽出物の1つである。植物成分又は植物抽出物は、通常、吸われるか、又はいくつかの食物製剤を用いて服用される。
大麻は、500種を超える成分を含有する精神活性植物であり、そのうち104種のカンナビノイドが現在特定されている。
Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)は、大麻植物中の主要な精神活性成分である。大麻の効能は、THC濃度により主に評価される。この理由から、純粋なTHCを含有する抽出物(ピュアゴールド)は購入することができ、カンナビノイドの消費者により使用される。急性又は定期的な大麻の使用後の有害作用は、製品中のTHC濃度と直接関係がある(Lafayeら、2017年)。
カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、カンナビバリン(cannabavarin)(THCV)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、デルタ-8-THC、カンナビシクロール(CBL)、カンナビトリオール(CBT)、及びカンナビエルソインは、とりわけ、大麻植物中に含有される、多数の異なる天然起源のカンナビノイドである。大半は、精神活性特性を有することが周知である。
合成カンナビノイドは、カンナビノイド受容体と結合し、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)と類似した作用を誘発する。合成カンナビノイドの一部の例を、限定することなく、Table 1(表1)に記載する。
合成カンナビノイド(SCB)を含有する物質も、「Spice」、「K2」、「herbal incense」、「Cloud 9」、「Mojo」の商標のもとで周知である。
Figure 0007254100000004
したがって、及び本明細書において使用される場合、カンナビノイド関連障害は、カンナビノイドの使用に関連する障害を含む。
「3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン」又は「C29H40O3」又は「3β-(パラ-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン」又は「3pMBP」又は「1-((3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)-3-((4-メトキシベンジル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)エタン-1-オン」という用語は、以下の式(I)
Figure 0007254100000005
を有する、本発明によるプレグネノロン誘導体を示す。
「処置」若しくは「処置する方法」という用語又はその均等物は、絶対的な用語としては意図されず、例えば、カンナビノイド関連障害に適用されるとき、カンナビノイド関連障害の1つ又は複数の症状を減少する又は除去する又は緩和するために設計された、手段又は一連の行動を指す。
しばしば、カンナビノイド関連障害の「処置」又は「処置する方法」は、成功する可能性が低くともなお実施され、それにもかかわらず全体的な有益な作用を誘導するとみなされる。カンナビノイド関連障害の処置は、例えば、発生の遅延、1つ若しくは複数の症状の頻度の減少、又は障害に関連する1つ若しくは複数の症状の重症度の減少を指す。一部の場合では、1つ又は複数の症状の頻度及び重症度は、非病理学的レベルへと減少する。
より特には、カンナビノイド関連障害の「処置」又は「処置する方法」という用語は、対象における臨床行動的又は生物学的基準の改善を指す。例えば、カンナビノイド使用障害の「処置」又は「処置する方法」は、特に、カンナビノイド使用障害について上記で定義された基準1から11の数及び/又は強度の低減を指してもよい。これは、発生の予防若しくは遅延、又は他のカンナビノイド関連障害に関連する臨床行動的若しくは生物学的基準の強度の減少を指すこともできる。
本発明は、式(I)の化合物の製造のための方法であって、すぐに利用可能な開始材料であるプレグネノロンからの3つの化学的段階を含む、方法にも関する。
したがって、本発明は、式(I)の化合物の製造のための方法に関し、以下を含む。
- プレグネノロン
Figure 0007254100000006
を保護し、式(IV)の化合物
Figure 0007254100000007
とする第1の段階。
- 前記式(IV)の化合物を、式(III)の化合物
Figure 0007254100000008
と反応させて、式(II)の化合物
Figure 0007254100000009
を得る、第2の段階。
- 式(II)の化合物を脱保護して式(I)の化合物を得る、第3の段階。
Figure 0007254100000010
式(I)の化合物の製造のための方法を、図1に記載する。
本発明は、式(I)の化合物
Figure 0007254100000011
及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物にも関係する。
薬学的組成物の形態、投与経路、投与量及び投与計画は、本来、患者の処置する状態、疾病の重症度、年齢、体重、及び性別等に依存する。
本発明の化合物は単独で投与することが可能であるが、本発明の化合物を標準の薬務に従って薬学的組成物へと製剤化することが好ましい。よって、本発明は、式(I)の化合物を少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と混合で含む薬学的組成物をも提供する。
本発明により、薬学的組成物を調製する方法が更に提供され、方法は、式(I)の化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とともに混合する工程を含む。
薬学的組成物は、典型的に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。治療的使用のための許容される賦形剤は、薬学分野において公知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、21版、2011年に記載されている。薬学的賦形剤の選択は、意図された投与経路及び標準の薬務に関して選択することができる。賦形剤は、そのレシピエントに対して有害でないという意味で許容されなければならない。少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤は、例えば、結合剤、希釈剤、担体、潤滑剤、崩壊剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤等であってもよい。
上記で定義した化合物の投与経路(送達)には、限定されないが、経口(例えば、錠剤、カプセル剤、又は摂取可能な溶液として)、局所、粘膜(例えば鼻内噴霧又は吸入のためのエアロゾルとして)、経鼻、胃腸管、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、脳内、皮下、点眼、(硝子体内又は前房内を含む)、経皮、直腸、頬側、硬膜外、舌下が挙げられる。
好ましい投与経路には、経口、粘膜、非経口及び舌下が挙げられる。
例えば、化合物は、即時性、遅延性、調節性、徐放性、パルス又は制御放出適用のために、錠剤、被覆錠剤、丸剤、カプセル剤、軟質ゼラチンカプセル剤、経口粉末、顆粒、坐剤、エリキシル、溶液、又は懸濁剤の形態で、経口投与することができ、香料又は着色剤を含有してもよい。
錠剤は、賦形剤、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、及びグリシン、崩壊剤、例えば、デンプン、(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及びある特定の複雑ケイ酸塩、結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、及びアカシア、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルを含有してもよい。類似の種類の固体組成物も、硬質ゼラチンカプセル剤中に充填剤として採用してもよい。この点について、好ましい添加剤には、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、ゼラチンのセルロース誘導体又はゼラチンが挙げられる。硬質ゼラチンカプセル剤は本発明の化合物の顆粒を含有してもよい。
軟質ゼラチンカプセル剤は、本発明の化合物、植物油、ワックス、脂肪、又は軟質ゼラチンカプセル剤についての他の好適なビヒクルを含有するカプセル剤を用いて調製されてもよい。一例として、許容されるビヒクルは、油性ビヒクル、例えば長鎖トリグリセリド植物油(例えば、トウモロコシ油)であることができる。
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散性の粉末及び顆粒は、分散剤、湿潤剤及び懸濁剤並びに1つ又は複数の防腐剤を有する混合物中に活性成分を含有してもよい。更なる添加剤、例えば、甘味料、香料及び着色剤も、存在してもよい。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸の添加により保存されてもよい。
経口投与のための液体剤形には、当該技術分野において一般的に使用される不活性な希釈剤、例えば水又は油性ビヒクルを含有する、薬学的に許容される、溶液、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシルが含まれてもよい。液体剤形は、使用前に水又は他の好適なビヒクルと構成されるための乾燥製品として存在してもよい。このような組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、錯化剤、例えば2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリン、及び、甘味料、香料、芳香剤、色素又は染料も、希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリン、及びそれらの組合せとともに含有してもよい。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばブチルヒドロキシアニソール又はアルファ-トコフェロールの添加により保存されてもよい。
本発明の化合物の微粉化した粉末は、例えば、微粒子化により、又は当該技術分野で周知の方法により、調製されてもよい。本発明の化合物を、周知の粉砕手段、例えば、湿式粉砕を使用して粉砕し、錠剤の製剤化及び他の製剤の種類に適した粒子径を得てもよい。
本発明の化合物が非経口で投与される場合、このような投与の例には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、大槽内、頭蓋内、筋肉内、又は皮下での薬剤の投与;及び/又は注入技術を使用することによるものの1つ又は複数が挙げられる。
本発明の化合物は、非経口経路により、すぐに利用可能な又はデポ型の製剤を用いて投与することができる。
すぐに利用可能な製剤の非経口投与のための薬学的組成物は、非毒性非経口の許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌された注射用の水性又は油性の溶液又は懸濁剤の形態であってもよく、調合剤、例えば懸濁剤、安定剤、分散剤、湿潤剤及び/又は錯化剤、例えばシクロデキストリン、例えば2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリンを含有してもよい。
非経口投与のためのデポ型製剤は、従来の技術により、限定されないが、生体適合性及び生分解性ポリマー(例えば、ポリ(β-カプロラクトン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ[(乳酸)-co-(グリコール酸)...)]、ポリ(乳酸)...)、非生分解性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル(アミド)、ポリ塩化ビニル...)、水性及び非水性ビヒクル(例えば、水、ゴマ油、綿実油、ダイズ油、ヒマシ油、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分画された植物性油脂、プロピレングリコール、DMSO、THF、2-ピロリドン、N-メチルピロリジノン、N-ビニルピロリジノン...)を含む、薬学的に許容される賦形剤とともに調製されてもよい。
代わりに、活性成分は、好適なビヒクルを用いた構成のための乾燥形態、例えば、粉末、結晶又は凍結乾燥された固体であってもよい。滅菌条件下の好適な非経口製剤の調製は、当業者に公知の標準の薬学的技術により、容易に達成することができる。
示されるように、本発明の化合物は、鼻腔内又は吸入により投与することができ、好適な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン(例えばIneos Fluor社から)、二酸化炭素又は他の好適な気体の使用とともに、加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーから、乾燥粉末吸入剤又はエアロゾルスプレーの形態で簡便に送達される。加圧エアロゾルの場合では、投与量単位は、弁を用意して計量された量を送達することにより決定してもよい。加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーは、活性な化合物の溶液又は懸濁液を含有してもよい。吸入剤又は注入器における使用のためのカプセル剤及びカートリッジ(例えば、ゼラチンから作製される)は、化合物の粉末混合物及び好適な粉末原料、例えばラクトース又はデンプンを含有するように製剤化されてもよい。吸入投与のために好適及び/又は適合する組成物について、式(I)の化合物又は塩は、粒子径が減少した型であることが好ましく、より好ましくは径が減少した型は、微粒子化により得られる又は入手可能である。径の減少した(微粒子化した)化合物又は塩又は溶媒和物の好ましい粒子径は、(例えば、レーザー回折法を使用して測定した場合)約0.5から約50ミクロンのD50値によって定義される。
代わりに、本発明の化合物は、坐薬又は膣坐薬の形態で投与することができ、又は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は粉剤の形態で局所適用してもよい。本発明の化合物はまた、皮膚又は経皮投与、例えば皮膚パッチの使用により投与してもよい。化合物はまた、肺又は直腸経路により投与してもよい。化合物はまた、眼内経路により投与してもよい。点眼の使用のために、化合物は、等張なpH調製された滅菌生理食塩水中の微粒子化した懸濁液として、又は好ましくは、等張なpH調製された滅菌生理食塩水中の溶液として、任意選択で防腐剤、例えば塩化ベンジルアルコニウム(benzylalkonium chloride)と組み合わせて製剤化することができる。代わりに、化合物は、軟膏、例えばワセリンとして製剤化してもよい。
皮膚への局所適用のために、本発明の薬剤は、例えば以下:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水の1つ又は複数を有する混合物中に懸濁又は溶解した活性な化合物を含有する好適な軟膏として製剤化することができる。代わりに、本発明の薬剤は、例えば以下:鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の1つ又は複数の混合物中に懸濁又は溶解した好適なローション又はクリームとして製剤化することができる。
典型的には、医師は、個別の対象について最も好適となる実際の投与量を決定する。任意の特定の個体についての特異的な用量レベル及び投与量の頻度は、変動してもよく、採用した特定の化合物の活性及びその化合物の作用の長さ、年齢、体重、健康全般、性別、食事、投与の方法及び時間、排泄率、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、及び個々の受けている治療を含む多様な因子に依存する。
上記で定義した化合物は、カンナビノイド関連障害の処置におけるその使用のために、治療作用を得るために好適な任意の用量で、対象へ投与することができる。
ヒトへの経口及び非経口投与について、薬剤の毎日の投与量レベルは、単一又は分割量であってもよい。
本発明による化合物の、ヒト(およそ体重70kg)への投与のために提案された用量の範囲には、限定されないが、1μgから1000mg、より典型的には1μgから500mg、より典型的には1μgから100mg、より典型的には1μgから50mg、より典型的には1μgから10mg、より典型的には1μgから5mg、より典型的には1μgから1mg、より典型的には1μgから600μg、より典型的には1μgから200μg、より典型的には1μgから100μg、より典型的には1μgから60μg、より典型的には10μgから1000mg、より典型的には10μgから500mg、より典型的には10μgから100mg、より典型的には10μgから50mg、より典型的には10μgから10mg、より典型的には10μgから5mg、より典型的には10μgから1mg、より典型的には10μgから600μg、より典型的には10μgから200μg、より典型的には10μgから100μg、より典型的には20μgから1000mg、より典型的には20μgから600mg、より典型的には20μgから200mg、より典型的には20μgから60mg、より典型的には20μgから20mg、より典型的には20μgから6mg、より典型的には20μgから2mg、より典型的には20μgから600μg、より典型的には20μgから200μgの、遊離酸の質量で表される単位用量あたりの活性成分を含む。単位用量は、例えば1日あたり1から4回、投与してもよい。用量は、投与経路に依存する。患者の年齢及び重量並びに状態の重症度に依存して、投与量を定期的に変動することが必要でありうることが理解される。投与量も、投与経路に依存する。正確な用量及び投与経路は、最終的に、主治医又は獣医の裁量となる。
本発明の化合物の「好適な用量」、「有効量」は、カンナビノイド関連障害を予防する、減少する、除去する、管理する、処置する又は阻害するのに十分な有効量を指す。「管理する」という用語は、本明細書に記載されている疾患及び状態の進行を遅延する、中断する、阻止する、又は停止するすべての方法を指すことを意図するが、必ずしも、すべての疾患及び状態症状の完全な除去を示さない。投与のために使用する用量は、多様なパラメーターの関数として、特に使用する投与方法、関連する病理学、又は代わりに所望の処置の持続期間の関数として、適合することができる。本来、薬学的組成物の形態、投与経路、投与量及び投与計画は、本来、処置すべき状態、疾病の重症度、対象の年齢、体重、及び性別等に依存する。以下で提示される有効量の範囲は、本発明を制限することを意図するものではなく、好ましい用量範囲を表す。しかし、好ましい用量は、当業者により、過度な実験を行うことなく理解され決定可能であるように、個別の対象に合わせることができる。
本発明は、それを必要とする対象においてカンナビノイド関連障害を処置する方法であって、有効量の式(I)の化合物
Figure 0007254100000012
の前記患者への投与を含む、方法にも関係する。
上記で開示されているすべての実施形態は、この態様に包含される。
別の態様では、本発明は、カンナビノイド関連障害の処置のための、式(I)の化合物
Figure 0007254100000013
の使用に関する。
上記で開示されているすべての実施形態は、この態様に包含される。
更なる一態様では、本発明は、カンナビノイド関連障害の処置のための薬学的製剤の製造のための、式(I)の化合物
Figure 0007254100000014
の使用に関する。
上記で開示されているすべての実施形態は、この態様に包含される。
(実施例1)
3pMBPの合成、調製及び製剤化
3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン(3pMBP)は、式(I)
Figure 0007254100000015
に記載される、7つのキラル中心である3S、8S、9S、10R、13S、14S、17Sを含有する化学成分である。
これらの中心での立体化学的配置は、開始材料であるプレグネノロンの配置と同一である。
3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン(3pMBP)の調製
3pMBPの調製を、図1及び以下に記載する。
・ 段階1:式(IV)の化合物の調製:(3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)-10,13-ジメチル-17-(2-メチルl-1,3-ジオキソラン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール
段階1を、1つのバッチ内で実行する。エチレングリコール(11.676kg)、プレグネノロン(6.992kg)、及びパラ-トルエンスルホン酸(0.840kg、4.42mol、0.2当量)を、リアクター中に仕込んだ。反応混合物を、15℃から25℃との間の温度で25分撹拌した。オルトギ酸トリエチル(20.939kg)を3回に分けて添加し、混合物を少なくとも1時間、15℃から25℃の間の温度で撹拌した。完了したら、反応混合物を収集し、炭酸水素ナトリウム溶液(水35.5l中、2.943kg)に、0℃から10℃の間でゆっくりと注いだ。添加の終了時、反応混合物を、0℃から10℃の間で1時間撹拌し、次いで、反応混合物を濾過し、水(12l)で洗浄した。濾液も、2-プロパノール(12l)で洗浄し、真空下、窒素流下で乾燥した。乾燥した固体を収集し、リアクター中に2-プロパノール(35l)とともに仕込んだ。懸濁液を、2時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、室温で12時間撹拌した。反応混合物を0℃から10℃の間に冷却し、次いで、2時間撹拌した。固体を濾過し、2-プロパノール(12l)で洗浄し、次いで真空下、窒素流下で乾燥した。式(IV)の化合物(8.031kg)を、収率100.8%(未修正の収率)で得た。
・ 段階2:式(II)の化合物の調製:2-(3S,8S,9S,10R,13S,14S,17S)-3-((4-メトキシベンジル)オキシ)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-メチル-1,3-ジオキソラン
式(IV)の化合物(3.460kg)及びテトラヒドロフラン(THF)(69l)を、リアクター中に仕込んだ。反応混合物を、20℃から25℃の間の温度で80分撹拌した。反応混合物を濾過し、THF中の式(IV)の化合物の溶液をリアクター中に仕込んだ。t-BuOK(2.835kg)を、THF中の式(IV)の化合物の溶液に、20℃から25℃の間の温度で少しずつ添加した。添加の終了時、式(III)のパラ-メトキシベンジルクロリド(2.832kg)及びTHF(4l)を滴下漏斗を介して反応混合物に添加した。反応混合物を、38℃から42℃の間で加熱した。TBAI(1.555kg)を、反応混合物に、38℃から42℃の間の温度で少しずつ仕込んだ。反応混合物を、55℃から60℃の間で16時間30分加熱した。
完了したら、34lから36lの間のTHFを蒸留するために、反応混合物を真空下で濃縮した。反応混合物を、次いで、室温に冷却した。
水(52l)をリアクター中に仕込み、次いで、0℃から10℃の間に冷却した。反応混合物を、温度を0℃から10℃の間に維持しながら、水に慎重に注いだ。添加の終了時、反応混合物を1時間50分、0℃から10℃の間で撹拌した。反応混合物を濾過し、水(13l)で洗浄した。濾液をアセトニトリル(13.5l)で洗浄し、固体を真空下、窒素流下で4日間、乾燥した。
固体を収集し、リアクター中にアセトニトリル(13l)とともに仕込んだ。混合物を4時間加熱還流した。更なるアセトニトリル(11l)をリアクター中に仕込み、透明溶液を得るまで加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、室温で14時間撹拌した。反応混合物を0℃から10℃の間に冷却し、45分、0℃から10℃の間で撹拌し、次いで濾過した。アセトニトリル(10.5l)をリアクター中に仕込み、0℃から10℃の間に冷却し、次いでフィルター上に添加して濾液を洗浄し、固体を真空下、窒素流下で21時間、乾燥した。式(II)(2.449kg)の化合物を、収率59.2%で得た。
・ 段階3:式(I)の化合物の調製:3pMBP
式(II)の化合物(2.448kg)及びジクロロメタン(10l)を、リアクター中に仕込んだ。溶液を、20分撹拌した。1M塩酸(4.9l)を、15℃から25℃の間で溶液に添加した。反応混合物を、完了まで15℃から25℃の間で撹拌した。ジクロロメタン(8l)を(どの沈殿物も完全に溶解するために)添加し、相を分離させた。有機層を水(5l)で2回洗浄した。有機層を収集し、2-プロパノール(24.5l)とともにリアクター中に、15℃から25℃の間で仕込んだ。反応混合物を、真空下で40℃を下回る温度で濃縮した。完了すると、反応混合物を加熱還流した。2-プロパノール(40l)を、透明溶液が観察されるまで添加した。反応混合物を室温に冷却し、室温で12時間撹拌した。反応混合物を0℃から10℃の間に冷却し、1時間、0℃から10℃の間で撹拌した。固体を濾過し、2-プロパノール(5l)で洗浄し、次いで、フィルターを35℃から45℃の間で20時間加熱しながら、窒素流速を備えた真空下で乾燥した。式(I)(1.907kg)の化合物を、収率85.8%で得た。
薬学的組成物
3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オンは、トウモロコシ油中の3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オンの溶液を含有するカプセル剤形として製剤化することができる。この剤形の組成物を、table 2(表2)に記載する。
本発明は、それぞれ、トウモロコシ油中の3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オンの20-μg、0.2-mg及び2-mgの溶液を含有する軟質ゼラチンカプセル剤の製剤についての例を提供する。
製造方法を構成する段階を、以下に簡潔に記載することができる。
1.3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オンを、トウモロコシ油中で、溶解が完了するまで撹拌した。
2.その後、段階1の3β-(4-メトキシベンジルオキシ)プレグン-5-エン-20-オン溶液を、軟質ゼラチンカプセル剤中に充填した。
すべての賦形剤は、現在施行されているEuropean pharmacopoeia(Ph. Eur.)各条及びUnited States Pharmacopoeial-National Formulary(USP-NF)各条に対応している。
Figure 0007254100000016
(実施例2)
3pMBPによるCB1受容体の活性の特異的阻害
本発明の化合物である3pMBPのCB1受容体の活性に対する作用の理解を、3pMBPの、THCによるCB1受容体の活性化により誘導される以下の細胞作用に対する作用を試験することにより探求した。3pMBPのCB1受容体に対する作用の特異度を、この化合物の他の85種の受容体の結合に対する作用を分析することにより試験した。
材料及び方法
3pMBPの、MAPKリン酸化のTHC誘導性の増大に対する作用
この試験の目的は、ヒトCB1(hCB1)受容体を安定又は一過性トランスフェクトしたヒト胎児由来腎臓293(HEK-293)細胞において、3pMBPの、THC投与により誘導される、一般的にMAPK(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)と呼ばれるErk1/2MAPKのリン酸化における増大に対する作用を評価することであった。
HEK-293細胞は内因性CB1受容体を発現せず、容易にトランスフェクトすることができ、CB1受容体のインビトロの活性を試験する実験(Shoreら、2014年)及びプレグネノロンがMAPKのTHC誘導性リン酸化を阻害することが可能であることを示す実験(Valleeら、2014年)において以前使用されていたため、HEK-293細胞を選択した。
3つの用量(アセトニトリル0.01%に溶解した、1nM,10nM及び100nM)の3pMBPの作用を、1μM(EtOH 6.2e-4%に溶解、実験1)及び10μM(EtOH 6.2e-3%に溶解、実験2)のTHCのMAPKのリン酸化に対する作用について、検査した。2つの実験において使用するTHCの濃度の差異は、実験1で安定であり、実験2で一過性であるhCB1 cDNAプラスミドのトランスフェクションの異なる効率と関連する。THC及び3pMBP処置は、同時であり、5分続けた。
MAPKリン酸化(P-Erk1/2MAPKタンパク質)を、ウエスタンブロッティングにより測定した。実験1では、ミトコンドリアマーカーであるCoxIV、及び実験2では非リン酸化MAPKタンパク質を、ローティングコントロール(Loading Control)として使用した。P-MAPK/CoxIV及びP-MAPK/MAPK比を算出し、データをビヒクル処置した細胞の%で表す。
3pMBPの、THC誘導性のcAMPの低減に対する作用
この試験の目的は、ヒトCB1受容体であるCHO-hCB1を安定して発現しているチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において、3pMBPの、THC投与によるcAMPの低減に対する作用を評価することである。
CHO-hCB1細胞はCB1受容体を内在的に発現せず、THCを含むCB1アゴニストのcAMP及びP-MAPKに対する作用を試験した実験(Rinaldi-Carmona、1996年)において以前使用されていたため、これらの実験においてCHO-hCB1細胞を選択した。
4つの用量(N,N-ジメチルホルムアミド0.01%に溶解した、1nM、10nM、100nM及び1μM)の3pMBPの作用を、THC(0.3nM、1nM、3nM、10nM、30nM、100nM及び300nM、エタノール0.0063%に溶解)の用量反応関数に対して試験した。
CHO-CB1-C2細胞を、THC及び試験化合物を同時に45分添加することにより処置した。ホルスコリン(2.5μM)も、cAMPの基礎レベルを維持するために、すべての検査された条件において同時に添加した。処置の終了時、細胞を溶解し、cAMP定量化を進めた。1回の実験において、すべての測定を3回実施した。
cAMPの定量的決定を、競合蛍光免疫測定法を通して実施した。データを、以下のように算出した、デルタ蛍光(Delta Fluorescence)(デルタF)の%として表した:デルタF%=(試料の蛍光-負の対照の蛍光)/負の対照の蛍光。
3pMBPの、THC誘導性の細胞呼吸の低減に対する作用
この試験の目的は、ヒトCB1受容体(hCB1)を一過性トランスフェクトしたHEK-293細胞において、3pMBPの、THC(1μM)により誘導された細胞呼吸の阻害に対する作用を検査することであった。
プラスミドを発現するhCB1を一過性トランスフェクトしたHEK-293細胞を、最初に3pMBP(0、1、10及び100nM、アセトニトリル0.01%に溶解)で処置した。15分のインキュベーション後、THC(0、1μM、EtOH 0.0034%に溶解)を、培養皿中に、30分添加した。
細胞呼吸を、クラーク電極を備えた較正されたオキシグラフ(oxygraph)で測定した。酸素消費(OC)率を使用して、細胞呼吸を測定した。3pMBPの存在下又は非存在下における、THCのOC率に対する作用を、同一の実験の3pMBPのビヒクル及びTHCのビヒクルで処置した細胞のベースラインのOCのパーセンテージとして表した。10回の独立した実験を実施し、実験条件あたりn=10を得た。各実験は、実験群あたりn=1を含有するn=5を有した。
インビトロの3pMBPの結合選択性:
この一連のアッセイは、3pMBPの結合特異度を、プレグネノロンのプロファイルと比較して評価することを目的とした。
3pMBP及びプレグネノロンが10μMの濃度で85種の受容体(CEREPハイスループットプロファイル+4つのステロイド受容体+カンナビノイド2型受容体)のリガンドの結合に取って代わる潜在的な能力を検査した。CEREPハイスループットプロファイルは、80種の膜貫通型及び可溶性の受容体、イオンチャネル及びGタンパク質共役受容体の幅広い収集物から構成される。CEREPハイスループットプロファイルは、特に、ヒットからリードへの選択方法において、最も有望な化合物を優先するための情報を提供するように、設計された。CEREPハイスループットプロファイル中に既に含有されているステロイド受容体の範囲を完了している3pMBPに対するアッセイをより良く適合するために、アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン及びPXR受容体及び次いでカンナビノイド2型受容体を、このアッセイに加えた。
結果
3pMBPは、eCB1-SSiであるプレグネノロンに類似するプロファイルを有する。3pMBPは、hCB1を安定又は一過性トランスフェクトしたHEK-293細胞において、THC誘導性のMAPKリン酸化の増大(図2A及び図2B)、並びにTHC誘導性の細胞呼吸の低減(IC50=1.2-11nM)を阻害する(図2D)。
対照的に、3pMBPは、ヒトCB1受容体であるCHO-hCB1を安定して発現しているCHO細胞においてTHC誘導性のcAMPの低減を阻害しなかった(図2C)。
加えて、3pMBP(10μM)は、主要なステロイド受容体、PXR受容体並びにCB1及びCB2受容体を含み、CEREPハイスループットプロファイルを使用してインビトロで検査された85種の受容体のいずれに対する結合も修正しなかった。この観点において、3pMBPは、グルココルチコイド、アンドロゲン及びプロゲステロン受容体の結合(>80%)に取って代わり、より低い程度(>40%)で中枢性及び末梢性ベンゾジアゼピン受容体の結合に取って代わる、プレグネノロン(10μM)よりも選択的であった。
3pMBPの作用を、以下の表に要約する。
Figure 0007254100000017
結論
したがって、3pMBPはインビトロで、CB1のシグナル伝達特異的阻害剤(CB1-SSi)として作用する。よって、3pMBPは、ヒトCB1受容体(hCB1)を発現している細胞株において、THC誘導性のMAPK(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)リン酸化の増大及びTHC誘導性の細胞呼吸の低減を阻害した。対照的に、3pMBPは、THC誘導性のcAMP(環状アデノシン一リン酸)の低減を阻害しなかった。
更に、3pMBPは、インビトロで、内因性のシグナル伝達特異的阻害剤であるプレグネノロンよりも選択的である。実際、プレグネノロン(10μM)は、プロゲステロン、グルココルチコイド及びアンドロゲン受容体の結合(>80%)、並びにベンゾジアゼピン受容体の結合(>40%)に取って代わる。3pMBP(10μM)は、これらの受容体又はCEREPハイスループットプロファイルを使用して試験した他の受容体(合計85種)のいずれの結合も修正しなかった。
(実施例3)
カンナビノイド関連障害の処置としての3pMBPの前臨床評価
以下の前臨床試験では、3pMBPを、ヒトにおいて安全に使用することができる長鎖トリグリセリド植物油であるトウモロコシ油中に溶解した。この脂質製剤を、液体として、強制栄養による経口投与で投与した。
CB1受容体の活性化は、2つの補完的な作用により、カンナビノイド関連障害及びその関連する有害な結果をもたらすことがある。
1.カンナビノイドの無条件の薬力学的作用には、深刻な認知の、動機づけの及び行動の障害が挙げられる。これらの3つの作用は、相乗的に、様々な種類のカンナビノイド関連障害についての重篤な結果をもたらすことがある。これらは、とりわけ、a.社会的関係性の障害及びより低い生活上の満足;b.特に最も傾向のある集団(14~25歳)における、教育成果の不良、より低い収入、福祉へのより大きな依存、及び失業;c.抑うつ、不安及び精神病を限定されないが含む精神障害;並びにd.心理的処置に従事することへの抵抗の原因となる。
2.カンナビノイドの探求、常用及び最終的にカンナビノイド依存の発現をもたらす、カンナビノイドの条件づけられた作用。カンナビノイド嗜癖をもたらすカンナビノイドの行動を条件づける能力は、カンナビノイドの使用の中止を困難とし、節制期間後の再発を促進し、カンナビノイドの有害作用への連続曝露をもたらす。
以前の観察に基づいて、カンナビノイド関連障害のための理想の薬学的処置は、以下を可能とすべきである。
1.カンナビノイドの使用の、脳機能及び行動に対する悪影響を減少するために、カンナビノイドの広範囲の無条件の作用に拮抗すること。
2.脳のカンナビノイドへの曝露及びその有害な結果を低減するために、カンナビノイドの使用の減少を促進し、中止後にカンナビノイドの再発を低減する。
これらの2つの組み合わされた作用は、正のフィードフォワードループ(カンナビノイドの作用の低減及び摂取するカンナビノイドの量の低減)を創出し、様々なカンナビノイド関連障害を処置するための強力な手段を提供するであろう。
これらの考察を考慮して、カンナビノイド関連障害の処置としての3pMBPの潜在性の前臨床評価を、以下を試験することにより実施した。
1.カンナビノイドの使用者におけるCB1アゴニストの無条件の作用を再現するいくつかの行動モデル。THCはヒトにおいて最も使用されるカンナビノイドであるため、これらの試験のために大麻の活性成分であるTHCを使用した。
2.THC及び合成カンナビノイドの、行動を条件づけて依存を誘導する能力を評価する、いくつかの行動モデル(マウス及び非ヒト霊長類における)
1. 3pMBPによる、THCの無条件の作用の阻害
3pMBPの経口投与による。カンナビノイド関連障害に関連する、以降に記載するTHCの無条件の行動及び神経化学的作用の阻害を試験した。
a.THC誘導性の摂食の増大;
b.THC誘導性の精神刺激の増大;
c.THC誘導性のプレパルス阻害の障害;
d.THC誘導性の記憶障害;
e.THC誘導性の社会的相互作用の障害;
f.THC誘導性の現実検討の障害;
g.THC誘導性の強硬症;
h.THC誘導性の大口開け行動;
i.THC誘導性の側座核におけるドーパミン放出。
a.THC誘導性の摂食の増大
これらの実験は、マウスにおいて、3pMBPの、THC投与により誘導された摂食の増大を阻害する能力を評価することを目的とした。大麻使用者において、薬物消費の直後に過食症の傾向及び味の良い食物の嗜好を伴う摂食行動の混乱が存在する(Kirkham、2005年)ため、この行動を選択した。
材料及び方法
THCの摂食に対する作用を、CB1f/f雄マウスにおける絶食-再給食モデル(fasting-refeeding model)(Bellochioら、2010年)を使用して試験した。THCの30分後に再給食した24時間摂食制限したマウスにおいて、3つの用量(5、15及び50μg/kg)の3pMBPの作用を、THC(1mg/kg;腹腔内)により誘導された摂食の増大について検査した。摂食を1時間測定した。独立した動物の群(少なくとも群あたりn=8)を、各処置条件について使用した。3pMBPを、THCの投与の3時間前に投与した。
結果
図3Aで記載したように、マウスにおいて、3pMBPは、THC(1mg/kg)により誘導された摂食の増大を阻害した(ID50≒15及びID100≒50μg/kg)。
b.THC誘導性の精神刺激の増大
これらの実験は、マウスにおいて、3pMBPの、THC投与により誘導された精神刺激の増大を阻害する能力を評価することを目的とした。精神刺激の増大は、大麻の使用がきっかけとなりうる精神病様症状の代替として考えられる(Wileyら、2008年;DSM第5版、2013年)ため、この行動を選択した。
材料及び方法
THC誘導性の精神刺激を、C57BL/6N雄マウスにおいて、碁盤目状の床を有するオープンフィード中の自発運動活性を測定することにより試験した。自発運動を、THCの45分後に、5分、横断した四角の数を数えることにより評価し、ビヒクル処置した対照のパーセンテージとして表した。
5つの用量(0.00015、0.0005、0.0015、0.015及び0.15mg/kg)の3pMBPの作用を、THC(0.3mg/kg)により誘導された自発運動活性の増大について検査した。独立した動物の群(少なくとも群あたりn=9)を、3pMBPの各用量について使用した。3pMBPを、THCの投与の3時間前に投与した。
結果
マウスにおいて、3pMBPは、THC(0.3mg/kg)により誘導された精神刺激を阻害した(ID50≒0.0004及びID100≒0.0015mg/kg)(図3B)。
c.THC誘導性のプレパルス阻害の障害
これらの実験は、プレパルス阻害(PPI)検査により試験されたように、マウスにおいて、3pMBPの、THC投与により誘導された感覚ゲーティングの障害を阻害する能力を評価することを目的とした。この行動は、THCにより誘導されることが示されている(Nagai、2006年)、精神病において観察される感覚-運動ゲーティングの障害のモデルである(DSM第5版、2013年;Kedziorら、2006年)ため、この行動を選択した。
材料及び方法
C57BL/6N雄マウスにおいて、5つの用量(0.0005、0.0015、0.015、0.03及び0.05mg/kg)の3pMBPの作用を、THC(10mg/kg)により誘導されたPPIの障害について検査した。3pMBPを、THCの投与の3時間前に投与した。
PPIを、自動のPPIプロトコール送達及び動物の驚愕反応の記録を可能とする、自動のPPIケージを使用して測定した。各マウス(少なくとも群あたりn=8)を、THCの60分後に、45分、PPI検査に置いた。
PPI検査には、背景ノイズ、驚愕刺激(S; 120dB)単独、プレパルス(73dB、76dB又は82dB)刺激のうち1つを単独で、又は各プレパルス刺激の1つに続く驚愕刺激(PPI-S)の組合せのいずれかの提示から構成された、様々な種類の試行が含まれた。パルス提示に続く驚愕反応を記録し、PPIの指数を算出した(% PPI=100x(S-PPI-S)/S)。
結果:
マウスにおいて、3pMBPは、THC(10mg/kg)により誘導されたプレパルス阻害の障害を阻害した(ID50≒0.005及びID100≒0.015mg/kg)。図3Cは、82dBのプレパルスを用いた3pMBPの作用を示す。
d.3pMBPのTHC誘導性記憶障害に対する作用
これらの実験では、3pMBPの、2つの記憶検査でTHCにより誘導された障害に対する作用を試験した:a.作業記憶及びb.長期記憶。作業記憶は、一時的に情報を保存し処理する能力である。作業記憶は、毎日の生活の活動、例えば、会話をすること、推理すること、読解力を実行するために必要とされる。作業記憶の欠損は、現在の抗精神病薬により改善されない、精神病において核となる認知症状の1つである(Pratt ら、2012年)。作業記憶の障害は、ヒト及び動物の両方において、THCの急性投与の典型的な結果でもある(D'Souza、2007年)。長期記憶は、学習した情報を、学習が発生した長い時間の後にそれを思い出すことを可能とする、安定した記憶コンパートメント中に保存する能力である。長期記憶の障害も、THC投与の典型的な作用である。
材料及び方法
THCにより誘導された作業記憶の障害
マウスでは、作業記憶は、動物が新規の及び過去に獲得した情報を処理して、隠された逃避プラットフォームの位置を探す必要のある空間的な記憶課題である、遅延場所合わせ(matching-to-place)版のモリス水迷路で評価することができる。
この課題において、マウスでは、THC(5mg/kg)の急性投与は作業記憶を障害する(Busquets-Garciaら、2017年)。
装置は、90から100ルクスの光強度で実験室の中央に配置された、白い円形のプール(直径150cm及び高さ60cm)から構成される。プールを、非毒性で無臭の白色の化粧用塗料を使用して不透明にした水(19~21℃)で満たした。白色の直径14cmのプラットフォームを、水面の1センチ下に隠した。この行動検査は、馴化、訓練及び検査の3つのフェーズから構成される。実験条件に慣らすため、並びに訓練及び検査中のマウスのストレスを低減するために、馴化フェーズ中、動物を一度プール中に90秒間置き、次いでプラットフォームに30秒間乗せた。馴化したら、マウスに訓練を受けさせる。部屋の壁に貼った異なる形の図形は、空間的な手がかりとしての役割を果たした。各訓練セッション(1日1回)は、4つの試行から構成された。各試行で、マウスをプールの壁に面した水中に置き、次いで、マウスが隠されたプラットフォームに到達するまで泳がせておいた。マウスが90秒以内にプラットフォームに到達しない場合、マウスをプラットフォームまで導いた。マウスを、次いで、プラットフォームに30秒間とどまらせた(試行間間隔)。開始した位置は、1回目及び4回目の試行で同一としたが、他の回では異なる位置とした。各セッションの1回目の試行でマウスが常に偶然プラットフォームを見つけるように、プラットフォームの位置は毎日変化させた。訓練セッションを、1回目の試行と3回の後続の試行の各々との間で、マウスがプラットフォームに到達するまでの待機時間の有意な低減を示すまで、3日間連続で反復した。訓練を、8から12日間続けた。訓練後、マウスに薬学的処置を受けさせ、次いで、訓練セッションと同一のプロトコール(すなわち、4回の試行、30秒間の試行間間隔、90秒間でのカットオフ)を使用して、単一の検査セッションを実施した。
検査セッションでの作業記憶の成績を、以下の式:節約比=(逃避待機時間試行1-逃避待機時間試行4)/(逃避待機時間試行1+逃避待機時間試行4)を使用して、時間節約比の算出により測定した。
検査セッションの30分前に、マウスにTHC(5mg/kg、腹腔内)又はそのビヒクルを投与した。3pMBP(0.015;0.15又は0.45mg/kg、経口強制栄養による経口投与)又はそのビヒクルを、THC又はそのビヒクルの投与の3時間前に投与した。
THCにより誘導された長期記憶の障害
マウスでは、長期記憶は、1つの特定の物体の記憶を24時間後に評価する、物体認識試験を使用して評価することができる。この特定の実験について、CD1-SWISS雄マウスに、3pMBP(0.005mg/kg)又はトウモロコシ油(5ml/kg)ビヒクルの急性経口投与、続いて3時間後にTHC(6mg/kg;10ml/kg)の腹腔内(腹腔内)注入を受けさせた。THC注入の10分前に、マウスに、「L」型迷路中の2つの同一の物体を探索させた。翌日、1つの物体を新規のものに換えた。自発的な新奇性の嗜好により、マウスはより長く新規の物体を探索する(Ennaceur、2010年)。見慣れた及び新規の物体を探索するのに費やした時間の比較を、見慣れたものと新規性との間の識別の指数として使用した。したがって、このパラメーターを、物体認識成績を評価するために使用する。
結果
3pMBPは、THC誘導性の物体認識障害を0.005mg/kgで完全に阻害し(図4B)、ID50は<0.005mg/kgであった。同様に、0.015;0.15又は0.45mg/kgで投与した3pMBPは、THC(5mg/kg)により誘導される作業記憶成績の障害を、0.15mg/kgのID100で用量依存的に阻止した(図4A)。
e.3pMBPの、THC誘導性の社会的相互作用の障害に対する作用
精神病における社会的離脱は、社会的相互作用を有することへの無関心又は欲望の欠如として定義される(Wilson及びKoenig、2014年)。社会的相互作用は、マウスにおいて、非社会的な出会いと比較した、同種との出会いについてのマウスの自発的な嗜好を測定することにより評価することができる。この範例では、THC(3mg/kg)の急性投与は、社会的嗜好を減少し(Busquets-Garciaら、2017年、図4C)、精神病における社会的離脱の中間形質の信頼できるモデルを提供する。
材料及び方法
マウスを、2つのプラスチック容器(臭気の相互作用のための孔を有する直径8cmのプラスチックの円筒)を2つの向かい合う角に配置し、それらの1つはマウス(8~10週齢の成体雄C57BL/6-N)を入れ、その一方で他方の容器は空のままとする、オープンフィールド(35×35cm)中で検査した。各角を、容器の周囲の8センチの区域として、「社会的」及び「非社会的」区域と定義した。各実験群について、マウスのいる容器の位置を釣り合わせた。実験マウスをオープンフィールドの中央に置き、5分探索させ、カメラに写した。動物の4本の足すべてが引いた線の中にあるときに動物が1つの区域にいるものと考えて、両方の区域において費やした時間を数えた。社会的指数を、以下のように算出した。
社会的指数=「社会的区域」で費やした時間/両方の区域で費やした合計時間
オープンフィールドに入る2時間前に、マウスにTHC(3mg/kg、腹腔内)又はそのビヒクルを投与した。3pMBP(0.005;0.015又は0.05mg/kg、トウモロコシ油中での経口投与)又はそのビヒクルを、THC又はそのビヒクルの3時間前に投与した。
結果
0.005;0.015又は0.05mg/kgで投与した3pMBPは、THCにより誘導される社会的相互作用の減少を、0.015mg/kgでのID100で用量依存的に阻止した(図4C)。
f.THC誘導性の現実検討の障害
知覚と現実との間の不一致をもたらす心的表象における刺激の変化は、精神病状態の陽性症状の重要な特性である(Busquets-Garciaら、2017年)。齧歯類では、「現実検討」の課題は、刺激(臭気又は味覚)の内部表象と彼らが予測する現実との潜在的な不一致を評価する。
この検査は、条件づけられた嫌悪の範例に基づく。等しい力の2つの刺激、典型的には味覚と臭気を、最初に、反復様式(6回)で同時に提示する。刺激の1つ、例えば臭気を、次いで不快な事象(すなわち、LiCl誘導性の胃腸の不調)と関連づける。条件づけの後、臭気及び味覚を前に一緒に提示したが、マウスは、不快な事象と組み合わされた刺激(すなわち、臭気)について特異的な嫌悪を示すが、中立的な刺激(すなわち、味覚)については嫌悪を示さない。これらの反応は、マウスが、刺激の各々の特定の表象を構築したことを示唆する。しかし、MK-801、アンフェタミン及びTHCを含む精神病発現薬は、不快な事象と条件づけられていないものを含む両方の刺激についての嫌悪をもたらす(媒介された嫌悪)。この作用は、精神病発現薬が、「中立的な」刺激の不正確な表象を誘導することを示唆する。これらの変化は、非定型抗精神病薬であるリスペリドンにより逆転される(Busquets-Garciaら、2017年)。したがって、マウスにおいてTHC並びに他の精神病発現薬により誘導された「現実検討」の障害は、陽性精神症状の調査について、表面的及び予測妥当性の両方を示す。
材料及び方法。
現実検討は、異なるペアリング(ペアリングは、同時の2つの刺激の関連づけを指す)を用いた、馴化(3日間)、前条件づけ(6つのペアリングの臭気/味覚、12日間)、条件づけ(すなわち、3つのペアリングの臭気/不調を誘導する薬剤であるLiClの注入、6日間)、回復日(水とともに1日)、及び最終的に検査(媒介された嫌悪及び直接嫌悪の検査)の4つのフェーズから構成される。
毎日1時間液体を受けることに慣れさせ、よって、プロトコールにわたり定量消費に到達するために、マウスを24時間水制限した後3日間、1日あたり1時間の水の利用から構成される馴化を開始した。これに、マウスに1日あたり1時間の、水中に1つの臭気(アーモンド又はバナナ、O1)及び1つの味覚(マルトデキストリン又はスクロース、T1)を有する混合溶液(O1T1)を利用させる前条件づけフェーズを続けた。2日目に、マウスに1時間の、前の日に与えられなかった臭気及び味覚を有する溶液を利用させた(O2T2)。O1T1及びO2T2の6つのペアリング(12日間)の後、条件づけフェーズを開始した。
条件づけの1日目に、マウスに1時間の臭気化した水(O1)を利用させ、直後に生理食塩水を腹腔内注入した。次の日に、マウスに第2の臭気化した水(O2)を利用させ、直後に10ml/kgの容量のLiCl(0.3M)を腹腔内注入し、胃腸の不快感を創出した。O1/生理食塩水及びO2/LiClの3つのペアリング(6日)の後、マウスに1時間の水の利用を伴う回復日を与えた。
次の日に、媒介された嫌悪を、C+と呼ばれる、LiCl注入と関連づけられた臭気と組み合わされた味覚(T2);又はC-と呼ばれる、生理食塩水注入と関連づけられた他の香りと組み合わされた味覚(T1)である、2つの味覚の1つを含有する2つの水のボトルを用いた二者択一検査を実施することにより、評価した。この検査では、媒介された嫌悪の出現は、LiClと組み合わされたことのない臭気と関連づけられた他の味覚(T1、C-)を含有する水と比較した、LiClと組み合わされた臭気と組み合わされた味覚(T2、C+)を含有する水の消費の低減により示される。検査の結果を、嫌悪指数により以下に表した。
嫌悪指数=(C-の消費-C+の消費)/総消費
媒介された嫌悪を評価する二者択一検査の2時間前に、マウスにTHC(1mg/kg、腹腔内)又はそのビヒクルを投与した。THC又はそのビヒクルの3時間前に、3pMBP(0.015;0.05mg/kg、経口)又はそのビヒクルを投与した。
結果
生理食塩水の注入後、条件づけ中に前に臭気と関連づけられた味覚への嫌悪を示さなかった動物は、LiClにより誘導される不調を予測する特質を獲得する(図4D)。味覚は不快な刺激(LiClの注入)と直接関連づけられていないため、これは正しい解釈である。対照的に、THCは、動物が外部刺激を誤解していることを示す行動反応である、同一の味覚への嫌悪を誘導する(図4D)。0.015又は0.05mg/kgで投与した3pMBPは、THC(1mg/kg)により誘導されたこの誤解を、0.015mg/kgでのID100で完全に阻止した(図4D)。
g.THC誘導性の強硬症
これらの実験は、マウスにおいて、3pMBPの、THC誘導性の強硬症を阻害する能力を評価することを目的とした。強硬症は、カンナビノイド薬物の使用後にある特定の対象において観察される緊張病状態のモデルとして考えることができる(Khanら、2016年)ため、これを試験した。
材料及び方法
4つの用量(5ml/kgのトウモロコシ油中、0.0015、0.005、0.015又は0.05mg/kg)の3pMBPの作用を、この種の検査のために日常的に使用される系統であるC57BL6/J雄マウス(Valleeら、2014年)(24.8±0.1g、平均±SEM、実験の開始時)において、THC(2%エタノール及び3% Tween80を含有する10ml/kgの0.9%NaCl中、10mg/kg)により誘導された強硬症について試験した。THCを、3pMBPに続き、3時間00分注入した。THCにより誘導された強硬症の測定を、THC注入の30分後に開始した。
強硬症を、強硬症バーテスト(catalepsy bar test)により測定した。マウスの前足を、ベンチ表面から3.5cmで水平に固定された棒に置いた。棒からの動きについての待機時間を、420秒(7分)で固定されたカットオフ時間で記録した。各マウスを、最大で4回の連続した試行に供した。1回の試行で示された最大待機時間を、強硬症の尺度として選択した。
結果
3pMBPは、THC(10mg/kg)により誘導された強硬症を、ID50≒0.005及びID100≒0.05mg/kgで(50%)阻害した(図5A)。
h.THC誘導性の条件づけられた大口開け行動
THC誘導性の大口開けを、カンナビノイド悪阻症候群のモデルとして、ここで使用した。よって、ラットは嘔吐が可能ではないが、彼らは、前に催吐薬と組み合わされた風味への再曝露中、深刻な条件づけられた大口開け反応を示す。この頑健な学習は、単回の試行中に、新規の風味の消費と催吐処置との間に長期の遅延(時間)を伴って、発生する。条件づけられた大口開け反応は、一貫して催吐薬によりもたらされ、抗催吐薬によって予防され、これらは薬物によって誘導される不調及び悪心の頑健な尺度であることを示す。
材料及び方法
挿管手術の3日後、ラットを味覚反応性チャンバー(taste reactivity chamber)に適合させた。ラットを個別に、ラットのカニューレを注入ポンプに接続して味覚反応(TR)チャンバーに置き、水をラットの口腔内に1ml/分の速度で2分の期間にわたり注入し、次いでラットのホームケージに戻した。適応試行の3日後に、ラットに3つの毎日の条件づけ試行の1つ目を受けさせた。ラットを、3pMBP 0.015mg/kg(n=8)、3pMBP 0.005mg/kg(n=8)、ビヒクル0mg/kg(n=8)の前処置薬条件に、無作為に割り付けた。ラットに、条件づけの3時間前に、栄養管を介して、前処置薬を受けさせた。ラットを、次いで、TRチャンバーに置き、0.1%サッカリン溶液を1ml/分の速度で2分注入し、一方で口腔顔面反応を記録した。サッカリン注入の直後に、ラットに10mg/kgTHC又はVEHを注入(経口)し、ラットのホームケージに戻した。24時間後、ラットに、薬物を使用しない検査試行を受けさせ、ラットをTRチャンバーに置き、0.1%サッカリン溶液を1ml/分の速度で2分注入し、口腔顔面反応を記録した。
結果
10mg/kg THCで条件づけたとき、ラットは条件づけ試行中よりも、検査試行中により大口を開けた。図5Bにおいて見られるように、両方の用量の3pMBP(0.005及び0.015mg/kg)を用いた前処置は、大口開け反応の平均数を減少することにより、条件づけられた大口開けの確立を妨害した(ビヒクルと3pMBPとの間の差、0.005mg/kg、p=0.023、ビヒクルと3pMBPとの間の差、0.015mg/kg、p=0.029)。
i.THC誘導性の側座核におけるドーパミン放出
これらの実験は、微量透析技術により測定された、3pMBPの、自由行動ラットの側座核(Nac)においてTHCにより誘導されたドーパミン(DA)放出の増大を阻害する能力を評価することを目的とした。DAは、THCを含む乱用薬物の中毒性の主要な生体基質であると考えられるため、NacにおけるDA放出を試験した。
材料及び方法
雄Sprague-Dawleyラットにおいて、3つの用量の3pMBP(0.005、0.015又は0.05mg/kg、経口)の作用を、THC(1mg/kg)により誘導されたNacにおけるDA放出の増大に対して検査した。THCを、対照ビヒクル(VEHTHC)にも使用された、エタノール(2%)及びTween80(2%)を含有する0.9% NaClに溶解し、1ml/kgの容量で腹腔内投与した。
ラット(群あたりn=5~7)に、麻酔下で、右側Nacのシェル小区域の真上にガイドカニューレを埋め込んだ。薬物学的実験の日(手術の5~7日後)、自由行動ラットに、3pMBP又はVEH3pMBPの用量の1つを受けさせ、微量透析プローブをガイドカニューレ中に埋め込み、次いで人工的な脳脊髄液で灌流した。透析液を、15分毎に収集した。灌流の開始の180分後、すべての動物にTHCの注入を受けさせた。DA流出を、次いで、120分モニタリングした。前に記載したように、透析液試料中のDAの濃度を、電気化学検出と一体となった逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した(Leggioら、2009年)。各試料中のDA含有量を、THC投与に先行する3つの分画から算出した平均ベースラインレベルのパーセンテージとして表した。曲線下面積(AUC)を、各群について、THC注入後のサンプリング時間0分から60分まで算出した。
結果
3pMBPは、ラットにおいて、1mg/kgのTHCにより誘導された側座核においてドーパミン放出の増大を阻害した(ID50≒0.005及びID100≒0.015mg/kg)(図5C及び5D)。
2. 3pMBPによる、THC及びCB1アゴニストの行動を条件づけて依存を誘導する能力の阻害。
3pMBPの経口投与によるカンナビノイド関連障害に関連する、以降に記載するCB1アゴニスト及びTHCの条件づけられた薬力学的作用の阻害を試験した。
a.CB1アゴニストであるWIN 55, 212-2の静脈内自己投与;
b.THCの静脈内自己投与及びTHC探求の復活;
a.CB1アゴニストであるWIN 55, 212-2の静脈内自己投与
これらの実験は、マウスにおいて、3pMBPの、薬物の増強作用を測定するための至適基準であると考えられる静脈内自己投与検査により試験されたような、CB1アゴニストであるWIN 55, 212-2(WIN)の増強作用を阻害する能力を評価することを目的とした。
材料及び方法
3pMBPの静脈内(iv)自己投与に対する作用を、雄CD1-Swissマウスにおいて測定した。
自己投与セッションの開始前に、マウスに、麻酔下で、カテーテルを右側頸静脈中に埋め込んだ。自己投与実験を、手術の3日後に、1つの「活性」及び1つの「非活性」孔を備えたマウスオペラントチャンバー中で実行した。動物が活性孔にその鼻を挿入したとき(ノーズポーク(nose poke))、動物はWIN(12.5μg/kg)の静脈内注入を受ける。マウスを、増強の固定比1(FR1)スケジュールで訓練した。
毎日2時間の自己投与セッションを、週あたり6日間で、19日間実行した。マウスにトウモロコシ油ビヒクル(2ml/kg)を、経口で9日目及び10日目に受けさせ、経口強制栄養手順に対して馴化した。11日目に、マウスを2群へと無作為化し(群あたりn=13)、9日間連続で、自己投与セッションの開始の3時間前に、一方は3pMBPを受け、他方はトウモロコシ油ビヒクルを受けた。3pMBPを、最初の4日間は0.005mg/kg、残りの5日間は0.015mg/kgで投与した。
結果:
マウスにおいて、3pMBPは、WIN 55,212-2の静脈内自己投与を阻害した(ID50≒0.005及びID100≒0.015mg/kg)(図6)。
b.非ヒト霊長類における、THCの静脈内自己投与及びTHC探求の復活;
これらの実験は、動物において大麻嗜癖及び再発を試験するための至適基準モデルであると考えられる非ヒト霊長類(リスザル)において、3pMBPの、THCの増強作用を阻害する能力を評価することを目的とした。2つの実験モデルを使用した。
・THC媒介性の静脈内自己投与
・THC先行刺激媒介性のTHC探求の増強
これらの2つのモデルは、それぞれ、個人が大麻を使用する性向及び節制期間後の大麻使用の再発の傾向を測定するための最良のモデルであると考えられるため、これらの2つのモデルを使用した。
材料及び方法
すべての実験について、検査の4時間前に、3pMBPを、ブドウ中に、0.1mlのトウモロコシ油の容量で経口投与した。
リスザルはTHC自己投与を最も確実に試験することができる種であるため、4匹の雄リスザル(Saimiri Sciureus)を使用した。
サルを、薬物注入の10反応固定比スケジュール(FR10、各10回目のレバーの反応でTHCの注入がもたらされる)で、THC(4μg/kg/注入)の静脈内(iv)注入を得るために、レバー押しをするように訓練した。
レバー押しの数及びセッションあたりの注入の数を記録した。反応率を、反応について利用可能なセッション時間(すなわち、タイムアウト時間を減じる)に基づいて算出した。THC用量又は時間を因子として用いた一元又は二元配置反復測定分散分析を使用して、セッションあたりの注入の数及び反応率について統計を実施した。
前の実験において使用したサルに、レバー押しがビヒクル注入及び前にTHC注入と組み合わされた視覚的な合図をもたらすが、THCをもたらさない、毎日の消滅セッションを受けさせた。少なくとも2回の消滅セッションの後、反応が低レベルに達した後、3pMBP(0.0015、0.005、及び0.015mg/kg)又は3pMBPの対照ビヒクルを用いた前処置の、THC先行刺激誘導性(0.04mg/kg、静脈内)のTHC探求の復活に対する作用を決定した。THC先行刺激注入を、検査セッションの開始の直前に与えた。検査中、レバー押し(FR10)を継続し、ビヒクルのみの注入及び別個の合図を提示した。3pMBPそれ自体が消滅後の反応に影響を与えるかどうかを決定するために、0.015mg/kgの3pMBPのビヒクル先行刺激に対する作用も検査した。
結果
3pMBPは、非ヒト霊長類(リスザル)において、THCの静脈内自己投与を阻害する(ID50≒0.005及びID100≒0.015mg/kg)(図7A及び7B)。3pMBPは、非ヒト霊長類(リスザル)においてTHC先行刺激により誘導されたTHC探求の復活も阻害した(ID100≦0.0015mg/kg)が、ビヒクル先行刺激に対する作用を有しなかった(図7C及び7D)。
結論
3pMBPの、THCの条件づけられた及び無条件の作用に対する作用を評価した実験の結果を、以降の表(Table 4(表4))で報告する。この表は、3pMBPが、カンナビノイドの使用後に出現するいくつかの障害に関連する広範囲のTHCの作用の阻害において非常に強力であることを、明らかに示す。結果として、3pMBPは、カンナビノイド関連障害の一般的な処置であると考えられる。
Figure 0007254100000018
(実施例4)
3pMBPは、オルソステリックCB1アンタゴニストの行動的及び内分泌学的な副作用のいずれも有しない
3pMBPとオルソステリックCB1アンタゴニストであるリモナバンの、薬学的プロファイル及び有害作用に関連する表現型に対する作用を比較した。オルソステリックCB1アンタゴニスト、例えばAcomplia(登録商標)は、有害作用のために市場から撤退した。結果として、CB1を阻害する治療的手段については、ヒトにおいて実用性のあるものとするために、オルソステリックCB1アンタゴニストの周知の有害作用を有すべきではない。
CB1受容体のオルソステリックアンタゴニスト及び特にリモナバンの周知の有害作用は、以下のものである。1.報酬経路に対する非特異的な作用の徴候である、摂食及び体重の減少。2.不安及び抑うつ関連行動の誘導;3.対象のホルモン状態の障害を誘導する、グルココルチコイドの分泌の増大;4.カンナビノイド依存対象における離脱の促進の誘導。
次いで、3pMBPのすべてのこれらのパラメーターに対する作用を分析した。
1. 3pMBPでの反復処置の、摂食及び体重に対する作用
これらの実験は、食事誘導性肥満(DIO)マウスモデルにおいて3pMBPでの反復処置が摂食及び体重を低減する能力を評価し、これらの作用をCB1オルソステリックアンタゴニストであるリモナバンの作用と比較することを目的とした。体重及び摂食は、マウスとヒトの両方においてCB1オルソステリックアンタゴニストでの反復処置により低減されるため(Wileyら、2005年;Mazierら、2015年;Bermudez-SilvaFJら、2012年)、体重及び摂食を試験した。CB1アンタゴニストの作用は痩せたマウスよりも肥満マウスでより大きく増幅されるため、DIOマウスを使用した。
方法及び材料
雄C57BL/6Jマウスに、薬学的処置の開始前8週間、高脂肪食(HFD)を自由摂食させた。薬学的処置中、HFDを維持し、摂食及び体重を毎日測定した。消費された食物を、最初の事前に加重した量からホッパー内に残った食物を減じることにより算出した。
第1の実験(群あたりn=10~7)では、3pMBP(0、0.005、0.015及び0.05mg/kg;2ml/kgのトウモロコシ油中)の4週間の作用を分析した。第2の実験(群あたりn=8)では、2週間の処置にわたり、3pMBP(5ml/kgのトウモロコシ油中0、5及び15mg/kg)の作用を、リモナバン(5ml/kgのトウモロコシ油中10mg/kg)の作用と比較した。3pMBP及びリモナバンを、1日1回、明/暗周期の暗フェーズの開始の2時間前に、経口強制栄養により投与した。
結果
3pMBPは、検査された用量のいずれについても、全体の実験期間(4週間について0.005、0.015及び0.05mg/kg、及び2週間について5及び15mg/kg)、摂食又は体重を修正しなかった。対照的に、CB1アンタゴニストであるリモナバンは、摂食及び体重の両方を低減した(図8A及び8B)。
2. 3pMBPの離脱の促進に対する作用
これらの実験は、慢性的にTHCで処置されたマウスにおいて、3pMBPの、離脱を促進する能力を評価することを目的とした。離脱の促進はカンナビノイド依存対象においてTHC阻害剤の潜在的な副作用の構成要素であるため、離脱の促進を試験した。例えば、オルソステリックCB1アンタゴニストであるリモナバンは、慢性的にTHCで処置されたマウスにおいて離脱を促進することが周知である。
材料及び方法
これらの実験において使用された慢性的THC投与計画(20mg/kg、1日2回)は、重度のマリファナの使用を模倣し(Cookら、1998年)、マウスにおける大麻依存のモデルとして考えられる(Cutandoら、2013年;Hutchesonら、1998年)ため、これを選択した。
リモナバン(10mg/kg)及び3pMBP(0.15mg/kg)の作用を、独立した実験において、CD1-Swissマウスにおいて試験した。1日目から4~5日目まで、マウスにビヒクル又はTHC(2%エタノール及び2% Tween80を含有するNaCl 0.9%、10ml/kg中、20mg/kg)を、1日2回腹腔内注入した。処置の最終日、THC群のマウスに、リモナバン又は3pMBPの投与を受けさせた。すべての他の動物に、それぞれのビヒクルの投与を受けさせた、記録を、投与の直後(リモナバン)又は3時間後に(3pMBP)、45分分析した。この試験について選択したリモナバンの投与の用量及びスケジュールは、マウスにおいてTHC離脱を促進するために一般的に用いられている(Cookら、1998年、Hutchesonら、1998年、Huangら、2009年)。
離脱の促進の測定のために、マウスを新規のホームケージに置き、各ケージの前に配置したビデオカメラで動物の行動を記録した。スコア付けを、5分の期間毎に、1分実施した。2つの離脱徴候である、足の振戦及び頭部加振は、マウスにおいて観察される最も一般的なTHC離脱の徴候である(Cookら、1998年、Hutchesonら、1998年、Lichtmanら、2001年)ため、これらを分析した。
結果
3pMBPは、マウスにおいて離脱を促進しなかった。対照的に、同一の実験条件で、CB1オルソステリックアンタゴニストであるリモナバンの投与後、離脱の徴候が現れた(図8C及び図8D)。
3. 3pMBP又はリモナバンの反復投与の、マウスにおける不安及び抑うつ関連行動に対する作用
これらの実験は、3pMBPでの反復処置の、マウスにおいて不安及び抑うつ関連行動を増大する能力を評価すること、並びにこれらの潜在的な作用をオルソステリックCB1アンタゴニストであるリモナバンの作用と比較することを目的とした。不安及び抑うつの増大は、齧歯類及びヒトの両方におけるCB1オルソステリックアンタゴニストでの反復処置の結果である(Bellocchioら、2013年、Patelら、2006年、Moreiraら、2009年、Tzavaraら、2003年)ため、不安及び抑うつ関連行動を試験した。高架式十字迷路(EPM)は、齧歯類において薬学的化合物の推測上の不安惹起及び抗不安作用を評価するために広く使用される(Walfら、2007年)ため、不安様行動をこのモデルで試験した。抑うつ関連行動を、抑うつの主要な症状の1つである無快感症のモデルとして主に使用されるスクロース嗜好検査を使用して試験した。
材料及び方法
EPM装置を、十字の配置で配列された4つの上昇したアームから作製し、2つの対向するアームは壁により囲まれ、他の2つのアームは開いている。すべての実験について、適切な処置を受けさせた後、マウスをEPMの中心に置き、5分、自由に迷路を探索させた。オープンアーム及びクローズドアームで過ごした時間並びにそれらに入った数を、自動ビデオトラッキングシステムにより測定した。オープンアーム中への訪問のパーセンテージ及び/又はオープンアームで過ごした時間の低減は、不安レベルの増大の指数と考えられる。
スクロース嗜好検査を、マウスのホームケージ中で実施した。1つは水を含有し、他方は2%スクロース溶液を含有する2つの同一のボトルを、各ホームケージのホッパーに置いた。マウスは、活動フェーズである、7時から開始される明暗周期の暗フェーズ中、水及びスクロース溶液を制限なく利用した。マウスが飲んだ水及びスクロース溶液の容量を、2回の1.30時間間隔にわたり、第1回は7.00pmから8.30pmの間、第2回は8.30pmから10.00pmの間に測定した。各時点で、ボトルを秤量し、摂取した容量を、最初のボトルの質量から最後のボトルの質量を減じることにより算出した。
雄C57BL/6Jマウス(群あたりn=6~8)に、3pMBP(0.05;5又は15mg/kg)、リモナバン(10mg/kg)又はそれぞれのビヒクルの1日1回の投与を、28日間受けさせた。26日目に、マウスをEPMに供し、28日目に、スクロース嗜好検査に供した。すべての行動手順を、3pMBP又は3pMBPのビヒクル(0mg/kg)処置の3時間後及びリモナバン又はリモナバンのビヒクル(0mg/kg)処置の30分後に開始した。
結果
3pMBPは、それぞれEPM(図9A及び図9B)及びスクロース嗜好検査(図9C)で測定された、不安及び抑うつ関連行動に対する作用を有しなかった。対照的に、EPMのオープンアーム中で過ごした時間の低減(図9A)及びオープンアーム中への訪問のパーセンテージ(図9B)及びスクロースの嗜好の低減(図9D)により示されるように、リモナバンは不安及び抑うつ関連行動を増大した。
4. 3pMBPの、マウスにおけるグルココルチコイド分泌に対する作用
これらの実験は、マウスにおいて、3pMBPの、ヒトにおけるコルチゾールに対応する、齧歯類における副腎により産生される主要なグルココルチコイドであるコルチコステロンの血漿濃度に対する作用を評価することを目的とした。オルソステリックCB1アンタゴニストであるリモナバンは血漿コルチコステロン濃度を増大する(Steinerら、2008年)ため、3pMBPのコルチコステロンレベルに対する作用を試験した。
材料及び方法
3pMBP(0.3及び10mg/kg)又はビヒクル(VEH)の血漿コルチコステロンレベルに対する作用を、雄及び雌CD-1 Swissマウスにおいて試験した。血液サンプリングを、投薬(性別あたり、用量あたり及びサンプリング時間あたりn=3)の2、5、8及び24時間後に実施した。血液サンプリングについて、マウスをイソフルラン下で麻酔し、血液を心臓穿刺により収集した。血液を遠心分離し、血漿を取り、-80℃で、他で記載されている検証済みのGC-MS法(Valleeら、2014年; Valleeら、2000年;Georgeら、2010年)を使用するGC-MS/MS(ガスクロマトグラフィー-タンデム質量分析法)によるコルチコステロンの定量化まで冷凍した。
結果
0.3及び10mg/kgの3pMBPは、雄(図10A)及び雌(図10B)マウスにおいて、グルココルチコイドの分泌を増大しなかった。
結論
Table 5(表5)において、リモナバンの有害作用を3pMBPの作用と比較する。
Figure 0007254100000019
3pMBPの作用は、CB1オルソステリックアンタゴニストであるリモナバンの作用とは非常に異なる。
3pMBPは、典型的なリモナバン及び他のCB1オルソステリックアンタゴニストの有害作用、例えば、摂食の低減、不安及び抑うつ関連行動の増大、THC依存動物における離脱の促進、並びにグルココルチコイドの分泌の増大のいずれも有しない。
この3pMBPの作用の欠如は、各検査において使用されたすべての最も高い用量について観察された。これらの用量は、3pMBPの、CB1アゴニスト及びTHCのそれぞれの自己投与を阻害するためのID50(0.005mg/kg)よりも数倍高く(mg/kg単位):離脱の促進について30倍高く;グルココルチコイドの分泌について2000倍高く;摂食、体重、不安及び抑うつ関連行動について3000倍高かった。
(実施例5)
3pMBPは、マウスにおいて自発的な行動に対する作用を有しない。
オルソステリックCB1アンタゴニストの同じ有害な行動作用を有しないことに加えて、3pMBPは、マウスにおける15mg/kgでの3pMBPの投与後24時間中の、ホームケージ中の自発的な行動のビデオ分析により示されるように、齧歯類において行動それ自体に対する検出可能な作用を有しなかった。
(実施例6)
3pMBPは、ヒトにおいて気分及び認知機能に対する作用を有しない。
これらの実験は、多数の検証済みの検査を使用して、単回及び反復漸増用量の3pMBPの、ヒトにおいて気分、認知及び自殺傾向に対する作用を評価するために設計された。
材料及び方法
2つの試験を実施した。第1の試験では、健常志願者の独立したコホートに、3つの漸増用量(0.2、0.6;2mg/対象)の1つの3pMBP又はプラセボの単回投与を受けさせた。各用量コホートでは、二重盲験手順を使用して、6名の対象に割り当てられた用量の3pMBPを受けさせ、2名の対象にプラセボを受けさせた。第2の試験では、健常志願者の独立したコホートに、0.6mg/対象の3pMBP(1日1回、7日間)の反復投与を受けさせた。各用量コホートでは、二重盲験手順を使用して、6名の対象に割り付けた用量の3pMBPを受けさせ、2名の対象にプラセボを受けさせた。0.2mg/対象の用量は、齧歯類におけるTHC行動作用の阻害についての最も観察されたED100(0.015mg/kg)で観察されたものの範囲内で、3pMBPの血漿濃度の増大を誘導する。
両方の試験では、3pMBP投薬後、対象を、公認の臨床医による対象の行動の一般観察にも供し、後続の検査を実施した。
Bond & Lader VAS
Bond及びLader視覚的アナログ尺度(Bond and Lader Visual Analogue Scale)(Bond及びLader、1974年)は、16の、2つの対向する形容詞の間にある100mm長の線の二極間の自己評定から構成される。この検査は計算機で支援される。対象は、マウスを使用して、各線上で、検査時に対象がどのように感じているか示す必要がある。反応を、線の左末端と対象の印との間のmm単位の距離を測定することによりスコア付けする。スコアは、覚醒度、満足(ウェルビーイング)及び落ち着きの、3つの派生した因子サブスコアから構成される。スコアが高いほど、より高い覚醒度、満足及び落ち着きを示す。
ARCI 49
この自記入式及び計算機支援型質問票は、49の項目から構成される。各質問を、スクリーンに1つずつ現す。マウスを使用して、対象は各項目に対して、対象が項目を読んでいるときに対象が感じたことに関して、「偽」又は「真」をクリックしなければならない。次いで、PCAG(ペントバルビタールクロルプロマジンアルコール群尺度(Pentobarbital Chlorpromazine Alcohol Group Scale))、BG(ベンゼドリン群(Benzedrine group))、AG(アンフェタミン群尺度(Amphetamine Group Scale))、LSD(LSD群尺度(LSD Group Scale))及びMBG(モルヒネベンゼドリン群尺度(Morphine Benzedrine Group Scale))(Martinら、1971年)の、5つのスコアを導出する。
POMS 65
Profile Mood Scaleは、多様な気分感情を記載する65の形容詞から構成される(Mc Nairら、1992年;Cayrouら、2000年;Cayrouら、2003年)。
この版は、電子化された版である。各形容詞を1つずつスクリーンに現し、対象に、これらの形容詞がどの程度、対象が質問票に記入しているときの対象の気分を反映しているか記載させ、各記載を、「全くない」から「非常に多くある」までの、同意の増大の5点の尺度で採点する。
緊張-不安(TA);抑うつ-落ち込み(DD);怒り-敵意(AH);活気-活力(VA);疲労-無気力(FI);混乱-当惑(CB)の6つのスコアを、質問票から古典的に得る。
コロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia Suicide Severity Rating Scale)(C-SSRS)
CNSに進入する医薬と自殺傾向の潜在性(自殺念慮及び行動)との間の関係性は、近年、規制当局、例えばFDAにより高い注目を受けており、臨床試験におけるより一貫し且つ厳格なデータ収集の機構を積極的に実装する必要性が上昇している。
自殺傾向の前向き評価を、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)を使用して収集する。C-SSRSは、自殺行動及び自殺念慮の両方を評価するために設計され、1つはベースライン評価(ベースラインの訪問までの対象の生存期間を包含する)ために設計され、1つは試験中に使用される(「最終訪問以降の」質問票)2つの質問票から構成される。
結果
ここで検査されたすべての3pMBP用量について、対象の一般行動における修正はなく、実施された心理測定検査のいずれについての修正もなかった。特に、ARCI-49試験において修正がないことは、対象が、彼らが精神活性物質を受けたことを知ることが不可能であることを示す。
結論として、データは、ヒトにおいて、動物において観察されるように、3pMBPの投与が、基礎の行動、気分及び認知機能を有意に修正しないことを示す。
(実施例7)
リモナバンと比較した、3pMBPの安全性薬理及び毒性
1. 3pMBPのGLP安全性薬理評価
材料及び方法
3pMBPの、安定トランスフェクトしたHEK-293細胞中のhERG電流に対する作用の評価
この試験の目的は、3pMBPの、安定トランスフェクトしたしHEK-293細胞中のhERGテール電流に対する任意の可能性のある作用を評価することであった。試験をGLPの総則に従って実行し、試験の設計は、安全性薬理についてのICH S7A guidelines(2001年)に従う。
3pMBPを、hERGを安定トランスフェクトした3つのHEK-293細胞において試験した。各細胞に対し、以下の処置を検査した。タイロード; 3pMBPのビヒクル(タイロード中0.3% DMSO)並びに10.98x10-8M、10.98x10-7Mでの3pMBP及び10.98x10-6Mでの3pMBP。
使用した方法の妥当性を支持するために、E-4031を陽性対照として使用し、1つの別個のHEK-293細胞を検査した。
細胞を-80mVでクランプし、0mVで5秒間脱分極してhERG電流を活性化し、-50mVで5秒間再分極してhERGテール電流を不活性化した。この実験手順を、0.06Hzの周波数で反復した。電流を1kHzでフィルタリングし、2kHzの周波数を得た。hERGテール電流の振幅を、0~-50mVの再分極パルス中に測定した。細胞をタイロード溶液で灌流し、その後、3pMBPを含有するタイロード溶液で少なくとも5分、各灌流期間について安定状態に到達するまで灌流した。検査物品への曝露の前後で、電流を測定した。
3pMBPの、ラットにおけるIrwin検査及び体温に対する作用
この試験の目的は、3pMBPの、ラットにおいて単回経口投与に続く任意の潜在的な神経行動作用及び体温に対する作用を評価することであった。
試験をGLPの総則に従って実行し、試験の設計は、安全性薬理についてのICH S7A guideline(2001年)に従う。
試験には、154.0から185.9gの間の質量である、6匹の雄Wistarラットの4つの群を伴った。群に、それぞれ、ビヒクル(トウモロコシ油、すなわち対照群)、又は2、9若しくは36mg/kgの3pMBPを投薬した。
試験日に、動物をまずIrwin標準化観察バッテリー(Irwin standardized observation battery)によりスコア付けし、体温を測定した。その後、動物に、経口経路で、3pMBP用量の1つ又はそのビヒクルを、4ml/kgの容量で投薬した。次いで、Irwinスコア並びに体温の測定を、再び、投与の1、3、6、8及び24時間後に実施した。
3pMBPの、非拘束覚醒ラットにおける単回経口投与に続く呼吸に対する作用の評価
この試験の目的は、3pMBPの単回経口投与の、覚醒ラットにおける全身プレチスモグラフィー法により測定した、呼吸パラメーター(呼吸速度、最大吸気及び最大呼気速度、吸気及び呼気時間、気道抵抗指数、一回換気量及び分時換気量)に対する任意の可能性のある作用を評価することであった。
試験をGLPの総則に従って実行し、試験の設計は、安全性薬理についてのICH S7A guideline(2001年)に従う。
試験には、6匹の雄Wistarラットの4つの群を伴い、群に、それぞれ、ビヒクル(トウモロコシ油、すなわち対照群)、又は2、9若しくは36mg/kgの3pMBPを投薬した。
試験の前日、動物には飲水のみを許可した。試験日、動物をプレチスモグラフ中に置き、測定をその後すぐに開始した。全身プレチスモグラフィー法は、密室中で、呼吸中の胸郭の動きに起因する気流の変動を測定し、完全に自由に動き回る覚醒動物において呼吸パラメーターの測定を可能とする。測定開始の少なくとも15分後、動物に、3pMBP又はそのビヒクルを、経口経路で、4ml/kgの容量で投薬した。呼吸を、投薬に続く合計6時間の期間、記録した。呼吸パラメーターを、呼吸周期の分析から決定した。
3pMBPの、覚醒イヌへの単回経口投与後の血圧、心拍数、心電図及び体温に対する作用の評価
この試験の目的は、3pMBPの、覚醒イヌへの単回経口投与後の血圧、心拍数、体温及び心電図に対する任意の可能性のある作用を評価することであった。
試験を以下のGLPの総則に従って実行し、試験の設計は、安全性薬理についてのICH S7A guideline(2001年)に従う。
試験には、前に、動脈圧、体温及び心電図測定のためにテレメトリー送信機を取り付けた、4匹の雄ビーグルを伴った。
試験を、2部で実行した。I部では、各動物に、経口経路により、漸増用量設計に従い、用量間で1週間の休薬期間を伴って、ビヒクル(すなわち、トウモロコシ油)、2、9及び36mg/kgの3pMBPを受けさせた。動脈圧、心拍数、体温及び心電図のテレメトリー測定(心外膜リードII)を、各投薬の少なくとも2時間前に開始し、投薬後少なくとも24時間継続した。II部では、補完的な調査、すなわち血液サンプリング及び動物の観察のために、動物に、9又は36mg/kgのいずれかの3pMBPを経口経路により再び投薬した(用量レベルあたりn=2)。
結果
3pMBPは、GLP安全性薬理検査に対するいかなる有害作用も示さなかった:
1.インビトロで、3pMBP(100nM、1μM及び10μM)は、hERG-1 cDNAを安定トランスフェクトしたHEK-293細胞においてhERG(ヒトether-ago-go関連遺伝子)テール電流を修正しなかった。
2.インビボで、3pMBP(2、9及び36mg/kg)は、a.ラットにおける行動(Irwin検査)及び体温;b.覚醒ラットにおける呼吸;並びにc.覚醒イヌにおける血圧、心拍数、心電図及び体温を修正しなかった。
唯一報告された作用は、イヌのみにおける9mg/kgの用量での、心拍数変動性の低減に関連する、心拍数の高周波律動及び周期的変動の低減であった。この知見は、自律平衡、及びより正確には、迷走神経活性の低減に対する作用を示唆する。しかし、この作用は、心拍数にいかなる変化も引き起こさないために軽度であり、それ自体で有害作用と考えることはできない。
2. 3pMBPのGLP毒性評価
材料及び方法
3pMBPの細胞毒性、変異原性及び遺伝毒性作用を、検査系について許容される最大濃度まで、すなわち74から100μMの間で、検査した。
これらの用量は、3pMBP(10nM)のTHCのCB1媒介性細胞作用を阻害するための最も高いIC50よりも、およそ7400及び10000高い。
3pMBPを特徴づけるために実施したインビトロの毒性試験は、1.AMES検査+/-代謝活性化(GLP);2.ヒト染色体異常検査+/-代謝活性化(GLP);3.ニューロン及び肝細胞の初代培養に対する細胞毒性(非GLP)であった。
反復用量の毒性試験を、ラット及びイヌにおいて実施した。両方の種がCB1受容体を発現し、CB1オルソステリックアンタゴニスト、例えばリモナバンの毒性作用を特定するために古典的且つ首尾よく利用されてきたため、これらの2つの種を選択した。加えて、推測上のプレグネノロン結合部位は、ラット、イヌ、及びヒトにおいて100%の相同性を有する。最終的に、タンパク質結合試験は、3pMBPの結合が、サル(97~99%)において高いようである一方で、ラット(84~94%)、イヌ(84~105%)、及びヒト(88~98%)の間で異ならないことを示唆する。
3pMBPを特徴づけるために実施した反復毒性試験は、ラット及びイヌにおける、3つの用量(2mg/kg、9mg/kg及び36mg/kg)を用いた28日の経口毒性試験(GLP)であった。
結果
インビトロ試験
3pMBPは、検査した最も高い濃度(74から100μMの間)でさえ、細胞毒性、遺伝毒性及び変異原性のいずれも示さなかった。74及び100μMの3pMBPの濃度は、CB1依存性MAPKリン酸化の阻害についての3pMBPのIC50よりも7400~10000倍高い。
インビボ試験
Figure 0007254100000020
インビボで、3pMBPは、ラットにおいてNOAEL(観察されなかった有害作用レベル)>36mg/kg/日/28日、及びイヌにおいてNOEL(観察されなかった作用レベル)>36mg/kg/日/28日を有する。
マウス、ラット、及び非ヒト霊長類におけるTHCの作用の阻害についての3pMBPの最も観察されたID50が0.005mg/kgであることを考えると、3pMBPは治療指数(TI)>7200を有する。
結論
毒性実験の結果に基づいて、3pMBPは、TI>7200を有する好ましい毒性プロファイルを示す。このような大きなTIは、3pMBPの2つの特徴の結果でありうる。
1.他の承認された薬物では発見されず、及び、知られている限りでは、他の前臨床試験において未だ検査されていない、独特且つ非常に選択的な作用機序(MoA)。よって、3pMBPは、単にTHC誘導性シグナル伝達経路(MAPK)の1つの活性を阻害し、インビボのTHC非依存性のCB1媒介性表現型に対する作用を有しないようである。
2.非常にしばしば、NCEのインビボの毒性の原因である、薬物由来の代謝産物への低い変換。
以下の表(Table 7(表7))に示すように、3pMBPの安全性及び毒性プロファイルは、オルソステリックCB1アンタゴニストであるリモナバンのものとは非常に異なった。よって、リモナバンは、治療量に極めて近い用量で、いくつかの有害事象、特に間代性痙攣、肝毒性及びいくつかの深刻な行動の変化を誘導した。
Figure 0007254100000021
(実施例8)
3pMBPの、薬物動態、吸収、分布、代謝及び排泄試験
1.動物における3pMBPの薬物動態及び吸収
材料及び方法
血漿中の3pMBPの薬物動態(PK)を、雄及び雌のマウス、ラット、及びイヌにおいて、強制栄養による経口投与(トウモロコシ油中)の後に試験した。脳内の3pMBPの分布を、マウス及びラットで試験した。イヌにおいて、3pMBPをまた、シクロデキストリン中に可溶化した後に静脈内投与した。血漿及び脳の両方において、3pMBPの濃度を、タンデム質量分析法と連結した液体クロマトグラフィー(LC/MS-MS)を使用して測定した。
結果
マウス(0.3、4及び10mg/kg、経口)、ラット(1.6mg/kg、経口)及びイヌ(0.7mg/kg、経口及び静脈内)への投与後、雄と雌との間で、血漿中の3pMBPのPKパラメーターに差異はなかった。Table 8(表8)(雄及び雌の動物からの結果を累計する)に記載されているように、3pMBPの単回投与後の血漿中のAUCの増大は、マウスにおいて試験された3つの用量(0.3、4及び10mg/kg)にわたり直線状であった。マウス、ラット及びイヌにおいて、3pMBPのtmaxは同様(≒3時間)であり、3pMBPの吸収について同程度であることを示唆した。3pMBPの半減期は、イヌ(28.0時間、経口;35.9、静脈内)で最も長く、続いてマウス(17.8~18.3時間)、及びラットで最も短かった(8~13.9時間)。経口投与後のAUC/用量比は、イヌ(2074)で最も高く、続いてマウス(848~1132)、及びラットで最も低かった(661)。
マウス及びラットでは、3pMBPは、脳内で、血漿中よりも長いtmax(7時間対≒3時間)並びに高いAUC及びCmaxを有した。AUC及びCmaxの脳/血漿比は、用量に反比例するようであり、最も高い比(Cmax=2.8及びAUC=7.38)は、マウスにおいて、0.3mg/kg 3pMBPについて観察された。脳及び血漿中の3pMBPの半減期は同様であった。
3pMBPの経口又は静脈内投与に続き、マウス、ラット及びイヌは、急速な低減(分布フェーズ)に続く、最後のサンプリング時間までのはるかに緩やかな減少(排出フェーズ)の、2フェーズ性の排出プロファイルを示した。
イヌでは、3pMBPのバイオアベイラビリティは、およそ68%であった。
Figure 0007254100000022
2.ヒトにおける3pMBPの薬物動態
材料及び方法
この試験では、健常志願者の独立したコホートに、3つの漸増用量(0.2、0.6;2mg/対象)の1つの3pMBP又はプラセボの単回投与を受けさせた。各用量コホートでは、二重盲験手順を使用して、6名の対象に割り付けた用量の3pMBPを受けさせ、2名の対象にプラセボを受けさせた。
3pMBPの血漿濃度を、投薬後の最初の24時間及びその後24時間毎に、完全な薬物動態を実施して評価した。
結果
3pMBPの経口投与は、体表面比の変換を使用して動物におけるPK試験により予測された血漿濃度の範囲である、薬物の血漿濃度を誘導し、ヒトにおいて良好な3pMBPの吸収を確認した。0.2mg/対象の用量は、齧歯類におけるTHC行動作用の阻害についての最も観察されたED100(0.015mg/kg)で観察されたものの範囲内で、3pMBPの血漿濃度の増大を誘導した。
3. 3pMBPの代謝
材料及び方法
ヒト、ラット、マウス及びイヌの肝ミクロソームにおける3pMBPの代謝安定性
マウス(MLM)、ラット(RLM)、イヌ(DLM)及びヒト(HLM)に由来する肝ミクロソーム(LM)に対して調査を実施した。
3pMBPを、補助因子としてNADPHを補足した肝ミクロソームプールとともにインキュベートした。試料を異なる5回(0、10、20、30及び60分)取り、試料を、LC/MS-MSを使用してMRMモードで、親化合物の消失についてモニタリングした。固有クリアランス及び半減期を決定した。ベラパミルを参照化合物として使用した。
ラットにおける血漿及び排泄物中の[3H]-3pMBPの代謝プロファイル
代謝プロファイルを、血漿中、尿中及び糞便中で評価し、放射標識した代謝産物を、ラジオ-HPLC分析を使用して、それらの保持時間により特定した。結果を、すべての検出されたピーク領域の合計の%として表す。
マウス、ラット、イヌ及びヒトにおける、3pMBPの下流ステロイドへの変換:
3pMBPの下流ステロイドへの変換を、マウスにおいて、プレグネノロン代謝産物の最初の2工程である、プレグネノロンの下流ステロイドであるプロゲステロン及び17α,OHプレグネノロンを測定することにより、試験した。3pMBPの下流ステロイドへの変換を、ラット及びイヌにおいても、2、9及び36mg/kgの化合物の投与後に、テストステロン、DHEA及びアロプレグナノロンを測定することにより試験した。最終的に、下流ステロイド(DHEA、アロプレグナノロン及びテストステロン)への変換を、ヒトにおいて、3つの用量(0.2、0.6、及び2mg/対象)の1つの3pMBPの急性投与後に試験した。すべてのこれらの試験では、ステロイドの血漿濃度を、ガスクロマトグラフィー-タンデム質量分析法(GC/MS-MS)により測定した。
結果
肝ミクロソーム(LM)における代謝安定性
3pMBPは、ヒト及びラットLMにおいて低いクリアランス(それぞれ、固有クリアランス=3.38及び12.3μl/分/mg;半減期=410及び113分)並びにイヌ及びマウスLMにおいて中等度のクリアランス(それぞれ、固有クリアランス=26.0及び29.7μl/分/mg並びに半減期=53.4及び46.6分)を有した。
ラットにおける代謝プロファイル
インビボで、[3H]-3pMBPは、血漿中にいかなる主要な代謝産物ももたらさなかった。化合物は、一般に糞便を介して排泄され、これは代謝産物の大半で起こるようである。血漿中、[3H]3pMBPの経口投与の3及び6時間後に、すべての統合されたピークのそれぞれ100%(3時間)及び78%(6時間)を占める、3pMBPと対応する1つのみの大きいピークが観察された。24時間目では、3pMBPは血漿中に存在せず、微量の1つの代謝産物のみが存在した。尿中では、各時間間隔で、3pMBPはほぼ検出されなかった(0.5%用量未満)。0~6時間間隔では、3pMBPに対応する1つを含む、3つの大きなピークが検出された(各≒30%)。6~24時間及び24~48時間では、3pMBPは尿中に検出されず、2つの他のピークのみが存在した。排泄された用量の大半は糞便中で発見され、3pMBPに加えて、各々が統合されたピークの30から10%の間を占める、7つの他のピークが発見された。
3pMBPの下流ステロイドへの変換
0.3及び10mg/kgの3pMBPの経口投与は、雄及び雌のマウスにおいて3pMBPの投与後2、5、8又は24時間で測定した、プレグネノロン代謝産物の最初の2工程であるプロゲステロン及び17-OH-プレグネノロンの血漿濃度を増大しなかった。同様に、雄及び雌のラット及びイヌでは、投薬前及び次いで投薬後1時間、2時間、4時間、8時間及び24時間で測定された、急性又は反復(28日間)の3pMBP(2、9、及び36mg/kg)の投与の、テストステロン、DHEA及びアロプレグナノロンの血漿濃度に対する作用は存在しなかった。最終的に、ヒトにおいて、検査されたすべての3pMBPの用量について、活性なステロイドにおいて変化は観察されなかった。
4. 3pMBPと代謝酵素CYP、UGT及び細胞輸送体との相互作用
材料及び方法
3pMBPによるいくつかのCYPアイソザイム(1A、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、3A)の活性の潜在的阻害を、インビトロでヒト肝ミクロソームを使用して検査した。
3pMBPを、単一の濃度(10μM)で、基質及びプールされたヒト肝ミクロソームとともにプレインキュベートした。NADPH生成化合物を添加することにより反応を開始し、反応の停止及び試料の処置後;HPLC-UV/VIS及びHPLC-MS/MS検出を、各基質の代謝産物に対応するピーク領域の検出のために使用した。
3pMBP(10μM)を、UGT1A1阻害(組換体、スコポレチン基質)アッセイにおいて検査した。3pMBPを、Tris緩衝液(pH7.5)中のUGT1A1及び蛍光基質であるスコポレチンとともに、15分、37℃でプレインキュベートした。反応を、補助因子であるウリジン-2リン酸グルクロン酸(UDPGA)を添加することにより開始し、インキュベーションを60分継続し、相対蛍光強度(RFI)を、蛍光プレートリーダー上で測定した。
試験化合物である3pMBPの、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4の誘導に対する潜在性を、インビトロで3回、0.01、0.1及び1μMの試験濃度で、mRNAレベルをエンドポイントとして使用して、検査した。
3pMBPによる様々な細胞輸送体の活性の阻害(OCT2、BCRP、OAT1、OAT3、OATP1B1、OATP1B3、P-gp)を、インビトロで検査した。
3pMBP(10μM;)及び各輸送体の参照阻害剤の作用を、標的細胞輸送体を過剰発現している細胞株で試験した。Madin-Darbyイヌ腎臓(MDR1-MDCKII)細胞において試験されたP-gpを除くすべての輸送体について、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)を使用した。各輸送体の活性の阻害を、蛍光光度分析により輸送体の特異的な基質の輸送における変化を測定することにより評価した。
結果
3pMBPは、10μMでは、CYPアイソザイム(1A、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、3A)の活性の有意な阻害を誘導せず、10nM、100nM及び1μMでは、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4の発現を増大しなかった。
FDAガイドラインに従うと、3pMBPは、CYP酵素と相互作用しない薬物として分類することができる。
加えて、3pMBP(10μM)は、UGT1A1及びいくつかの細胞輸送体(OCT2、BCRP、OAT1、OAT3、OATP1B1、OATP1B3、P-gp)の活性を修正しなかった。
結論
全体として3pMBPは、雄と雌との間で異ならず、イヌ及びヒトにおける他の2つの種よりも長い半減期及び高いAUCを除き、マウス、ラット、イヌ、及びヒトの間で類似した好ましい吸収/分布/代謝/排泄特徴を示す。3pMBPはまた、良好なバイオアベイラビリティ(イヌにおいて68%)を有する。
3pMBPは、脳内で、血漿中よりも4倍高いAUCを示す。
3pMBPはまた、代謝安定性である。3pMBPは、マウス、ラット、及びイヌ及びヒトにおいて、下流ステロイドへと変換されない。3pMBPは、他の種と比較したとき、ヒトにおける肝ミクロソーム及び肝細胞において、最も高いインビトロの安定性を示す。ラットでは、インビボで、3pMBPは、いずれの代謝産物も血漿中に微量レベルを超えてもたらさず、化合物の大半は、それ自体、糞便を介して排泄される。
最終的に、3pMBPは、主要なヒトCYP、UGTアイソザイム及び細胞輸送体の活性を阻害せず、CYPアイソザイムの発現も誘導しない。
[参考文献]
Figure 0007254100000023
Figure 0007254100000024
Figure 0007254100000025
Figure 0007254100000026

Claims (19)

  1. カンナビノイド関連障害の処置における使用のための、式(I)
    Figure 0007254100000027
    の化合物を含む、薬学的組成物
  2. 前記カンナビノイド関連障害が、カンナビノイド使用障害;カンナビノイド中毒;カンナビノイド離脱;他のカンナビノイド誘導性障害;不特定のカンナビノイド関連障害;カンナビノイド悪阻症候群;カンナビノイド誘導性緊張病の中から選択される、請求項1に記載の使用のための薬学的組成物
  3. 前記カンナビノイド関連障害が、カンナビノイド使用障害である、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組成物
  4. 前記カンナビノイド関連障害が、カンナビノイド中毒である、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組成物
  5. 前記カンナビノイド関連障害が、カンナビノイド離脱である、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組成物
  6. 前記カンナビノイド関連障害が、カンナビノイド誘導性不安障害、カンナビノイド誘導性精神病性障害、カンナビノイド誘導性睡眠障害、カンナビノイド中毒譫妄の中から選択される、他のカンナビノイド誘導性障害である、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組成物
  7. 前記カンナビノイド関連障害が、不特定のカンナビノイド関連障害である、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組成物
  8. 前記カンナビノイド関連障害が、カンナビノイド悪阻症候群である、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組成物
  9. 前記カンナビノイド関連障害が、カンナビノイド誘導性緊張病である、請求項1又は2に記載の使用のための薬学的組成物
  10. カンナビノイドが、アサ植物に由来する、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  11. カンナビノイドが、CB1アゴニスト活性を有する合成化合物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  12. 前記化合物が、経口経路により対象へ投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  13. 前記化合物が、非経口経路により、すぐに吸収される又はデポ型の製剤のいずれかを用いて対象へ投与される、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  14. 前記化合物が、静脈内経路又は皮下経路又は筋肉内経路により対象へ投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  15. 前記化合物が、鼻腔内若しくは吸入又は舌下若しくは局所若しくは経皮により、又は坐薬若しくは膣坐薬の形態で投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  16. 前記化合物が、1μgから1000mgの間に含まれる用量で対象へ投与される、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  17. 前記化合物が、油性ビヒクルで投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物
  18. 前記油性ビヒクルが、長鎖トリグリセリド植物油である、請求項17に記載の使用のための薬学的組成物
  19. 前記長鎖トリグリセリド植物油が、トウモロコシ油である、請求項18に記載の使用のための薬学的組成物。
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