JP7251723B2 - 半月板再生基材 - Google Patents

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Description

本発明は、半月板の再生治療において、膝関節の半月板の欠損部分に充填することで、半月板の再生を促進することができる半月板再生基材に関する。
半月板は、膝関節内にある軟骨様組織である。以下に図1及び2を用いて膝関節の構造について説明する。図1は、右膝関節の矢状面での断面模式図であり、図2は右膝関節の横断面での断面模式図である。図1に示すように、膝関節は大腿骨4と脛骨5との間に半月板1を有し、大腿骨4と脛骨5とが対向する側にはそれぞれ軟骨3が形成されている。膝の前面には膝蓋骨6があり、その下部には膝蓋下脂肪体(IPFP:Infrapatellar Fat Pad)2がある。膝関節は関節包7で包まれており、関節内部は関節液8で満たされている。図2に示すように、半月板1は膝関節の内側と外側で対抗するように一対形成されており、膝関節の前面側と後面側が厚くなっている。
半月板の変性や損傷は、変形性膝関節症(OA:osteoarthritis)における軟骨変性とともによく見られる病態の一つである。また、半月板を切除することで、軟骨組織が減少し、変形性膝関節症が進行するという報告もある。半月板は、無血管領域を多く含む組織であるため、自己再生能力が乏しく自己修復は困難である。そのため、手術では半月板の治癒を促進する目的で、半月縫合術に加えて、成長因子、滑膜移植、骨髄刺激等の追加処置がなされてきたが、半月板の再生は不充分であった。
一方、近年の細胞工学技術の進展によって、ヒト細胞を含む数々の動物細胞の培養が可能となり、また、それらの細胞を用いてヒトの組織や器官を再構築しようとする、いわゆる再生医療の研究が急速に進んでいる。再生医療においては、細胞が増殖分化して三次元的な生体組織様の構造物を構築できるかがポイントであり、例えば、基材を患者の体内に移植し、周りの組織又は器官から細胞を基材中に侵入させ増殖分化させて組織又は器官を再生する方法が行われている。
このような再生医療用の基材として、例えば、特許文献1に開示されるような生体吸収性材料からなる不織布を用いることが提案されている。生体吸収性材料からなる不織布は、再生医療用の基材や縫合補強材として用いた場合には、その空隙部分に細胞が侵入して増殖し、早期に組織が再生される。半月板の再生治療においても、このような組織再生基材を用いることが試みられるようになってきた。
しかしながら、実際には、従来の組織再生基材を用いても、期待したほどには半月板の再生が促進されないという問題があった。
特開平05-076586号公報
本発明は、半月板の再生治療において、膝関節の半月板の欠損部分に充填することで、半月板の再生を促進することができる半月板再生基材を提供することを目的とする。
本発明は、半月板の再生治療において、膝関節の半月板の欠損部分に充填することで、半月板の再生を促進することができる半月板再生基材であって、ポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料からなるスポンジ層、ポリグリコリドからなる不織布層、及び、ポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料からなるスポンジ層がこの順に複合一体化した積層体を有し、前記不織布層の50%圧縮応力が0.5MPa以上であり、かつ、前記不織布層の厚みが2mm以上であり、前記不織布層は、両端部付近の厚み方向に貫通孔を有し、該貫通孔を通した糸が前記積層体の外部に出されている半月板再生基材である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、従来の組織再生基材を用いて半月板の再生を行ったときに、充分に再生が促進されない原因について検討した。その際、従来の組織再生基材を用いた場合、ウサギ等の小型動物を用いた動物実験では良好な結果が得られながらも、ブタやウシ等の大型動物に適用した場合には、充分な半月板が再生されていない事実を見出した。本発明者らは、鋭意検討の結果、従来の組織再生基材では物理的強度が不足していたことが、大型動物において充分な成果が得られない原因であることを見出した。
膝関節には、立時や歩行時に全体重がかかる。とりわけ、ヒトを含む大型動物では、その衝撃は極めて大きくなる。移植後、いかに安静にするとしても、長期にわたる治癒の間には、移植した半月板再生基材には大きな応力がかかり続ける。また、半月板再生においては、移植した基材と軟骨とが膝関節の動きにより接触し、その摩擦によって基材の表面が磨耗してしまうという、半月板の再生に独特の問題もあった。
従来の組織再生基材を構成する不織布は、細胞の侵入性を確保するために5~30μm程度の平均孔径であることが好適であることが知られている。しかしながら、このような従来の組織再生基材は、細胞の侵入性の点では優れているとしても、充分な機械的強度を有せず、半月板が再生する以前に損傷したり、表面が磨耗してしまったりして、厚みを減じてしまい、充分な厚みの半月板を再生するための足場材としての役割を果たし得なくなると考えられた。
本発明者らは、更に鋭意検討の結果、50%圧縮応力が0.5MPa以上であるポリグリコリドからなる不織布層(以下、単に「不織布層」ともいう。)の上下面(両表面)にポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料からなるスポンジ層(以下、単に「スポンジ層」ともいう。)を設けた、一定以上の厚みを有する積層体とすることにより、移植後に大きな応力がかかっても損傷したり、表面が磨耗してしまったりすることなく充分な厚みを維持して、充分な厚みの半月板を再生することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の半月板再生基材は、ポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料からなるスポンジ層、ポリグリコリドからなる不織布層、及び、ポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料からなるスポンジ層がこの順に複合一体化した積層体を有する。
上記不織布層は、移植後に周囲組織から侵入する細胞増殖の足場となり、半月板の再生を促進する役割を有するとともに、移植後に応力がかかったときに充分な機械的強度を発揮する役割を有する。また、上記スポンジ層は、半月板再生基材に適度な柔軟性を付与するとともに、移植した後に基材と軟骨とが膝関節の動きにより接触して摩擦力が生じたときに、基材の表面が磨耗してしまうのを防止する役割を有する。
上記不織布層は、50%圧縮応力が0.5MPa以上である。上記不織布層の50%圧縮応力が0.5MPa以上であることにより、移植後に大きな応力がかかっても半月板再生基材が損傷してしまうことなく、充分な厚みの半月板を再生することができる。上記不織布層の50%圧縮応力は0.8MPa以上であることが好ましく、1.0MPa以上であることがより好ましい。上記不織布層の50%圧縮応力の上限は特に限定されないが、半月板組織の再生をより促進できることから、好ましい上限は8.0MPaである。
なお、上記50%圧縮応力は、JIS-K6767に準拠した方法により測定することができる。
上記不織布層を構成する不織布は、密度が300mg/cm以上であることが好ましい。上記不織布の密度が300mg/cm以上であることにより、上記不織布層の50%圧縮応力を0.5MPa以上に調整することが容易となる。上記不織布の密度は350mg/cm 以上であることがより好ましく、400mg/cm 以上であることが更に好ましい。上記不織布の密度の上限は特に限定されないが、半月板組織の再生をより促進できることから、好ましい上限は500mg/cmである。
上記不織布層を構成する不織布の平均繊維径は特に限定されないが、好ましい下限は25デニール、好ましい上限は40デニールである。上記不織布層を構成する不織布の平均繊維径がこの範囲にある場合には、上記不織布層の50%圧縮応力を0.5MPa以上に調整することが容易となる。上記不織布層を構成する不織布の平均繊維径のより好ましい下限は30デニール、より好ましい上限は32デニールである。
上記不織布層の厚さは2mm以上である。上記不織布層の厚さを2mm以上とすることにより、充分な厚みを有する半月板を再生できる。上記不織布層の厚さは、4mm以上であることが好ましい。上記不織布の厚さの上限は特に限定されないが、用途上、実質的には10mmが上限である。
上記不織布層は、ポリグリコリドからなる。
上述のように上記不織布層は、50%圧縮応力が0.5MPa以上である。これほどの高い50%圧縮応力を達成するためには、上記不織布層は極めて緻密な構造とならざるを得ない。これまでの技術常識では、組織再生基材を構成する不織布の平均孔径は、細胞の侵入性を確保するために5~30μm程度が好適であるとされていた。しかしながら、そのような低密度な不織布では、到底50%圧縮応力を0.5MPa以上とすることはできない。ところが、驚くべきことに、ポリグリコリドからなる不織布層は、50%圧縮応力が0.5MPa以上の従来では細胞の侵入が困難とされる極めて緻密な構造であっても、細胞が侵入して、充分に半月板を再生することができる。
ポリグリコリドは、繊維状にして37℃の生理食塩水中に浸漬した場合に、引張強度が浸漬前の1/2になるまでの期間が約14日である。このような分解性を有することにより、50%圧縮応力が0.5MPa以上となるように極めて緻密な構造としても、徐々に分解吸収が進むにつれ細胞が侵入、増殖することができ、不織布層の内部まで再生した組織が構築され、その結果として良質な再生組織が構築されるものと考えられる。更に、生体内に埋入後数日間で炎症系の細胞が消失することから、組織の癒着を引き起こしにくいという優れた効果をも発揮できる。
なお、本明細書においてポリグリコリドは、ポリグリコール酸等のグリコリドの重合体を意味するが、本発明の効果を阻害しない範囲で、ラクチド、ε-カプロラクトン、p-ジオキサノン等の他の生体吸収性の成分との共重合体としてもよい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリラクチド等の他の生体吸収性材料との混合物としてもよい。
上記ポリグリコリドがラクチド、ε-カプロラクトン、p-ジオキサノン等の他の生体吸収性の成分との共重合体である場合、該共重合体におけるグリコリド成分の配合量の好ましい下限は60モル%である。グリコリド成分の配合量を60モル%以上とすることにより、細胞の侵入性に優れ、かつ、正常な組織の再生を行うという本発明の優れた効果を特に発揮することができる。
上記ポリグリコリドとポリラクチド等の他の生体吸収性材料との混合物を用いる場合、該混合物におけるポリグリコリドの配合量の好ましい下限は50モル%である。ポリグリコリドの配合量を50モル%以上とすることにより、細胞の侵入性に優れ、かつ、正常な組織の再生を行うという本発明の優れた効果を特に発揮することができる。
上記ポリグリコリドの重量平均分子量の好ましい下限は30000、好ましい上限は600000である。上記ポリグリコリドの重量平均分子量が30000未満であると、強度が不足して0.5MPa以上の50%圧縮応力が得られないことがあり、600000を超えると、生体内における分解速度が遅くなり、異物反応を起こすことがある。上記ポリグリコリドの重量平均分子量のより好ましい下限は50000、より好ましい上限は400000である。
上記ポリグリコリドの分子量の代替指標としてメルトフローレートを用いてもよい。該ポリグリコリドのメルトフローレートの好ましい下限は0.1g/10分、好ましい上限は100g/10分である。この範囲内であると、ポリグリコリドからなる不織布を作製することが容易となる。ポリグリコリドのメルトフローレートのより好ましい下限は1g/10分、より好ましい上限は50g/10分である。
なお、メルトフローレートの測定条件は、ポリグリコリドを240℃、10分間、シリンダー内で保持して溶融した後、荷重4kgfの条件で測定した値を意味する。
上記不織布層を調製する方法は特に限定されず、例えば、エレクトロスピニングデポジション法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、水流交絡法、エアレイド法、サーマルボンド法、レジンボンド法、湿式法等の従来公知の方法を用いることができる。
しかしながら、通常の製造方法で製造した不織布では、不織布層の50%圧縮応力を0.5MPa以上とすることが困難な場合がある。そのような場合には、複数の不織布を積層して複合一体化した後、熱プレス等の方法により圧縮することにより、50%圧縮応力を0.5MPa以上に調整することができる。
更に必要に応じて、圧縮後の不織布に生体吸収性材料からなる糸でミシン掛けを行うことが好ましい。圧縮した不織布には、元の厚みに戻ろうとする応力が働くが、ミシン掛けして厚みを固定しておくことにより、密度が低下してしまうのを防止することができる。ミシン掛けのピッチは特に限定されないが、確実に厚みを固定するためには5mm以下のピッチとすることが好ましい。
上記不織布層は、両端部付近の厚み方向に貫通孔を有する。
不織布層の両端部付近の厚み方向に貫通孔を設け、そこに後述する糸を通すことで、移植時に半月板再生基材を容易に固定できる。
半月板再生基材を体内に移植する際は、足の動作等によって半月板再生基材がずれないようにするために、糸を用いて半月板再生基材と脛骨を固定する必要がある。しかしながら、従来の半月板再生基材では半月板再生基材を移植したい位置に維持しつつ固定を行うことが難しいという問題があった。本発明の半月板再生基材は、不織布層の両端部付近に貫通孔を有し、そこに糸を通しているため、移植の際半月板再生基材側を結んで固定する必要がなく、脛骨側のみを結ぶだけで固定が完了することから、移植を容易かつ短時間で行うことができる。
上記貫通孔は、半月板再生基材をより確実に固定できることから、各端部に2つ以上設けることが好ましい。なお、ここで厚み方向とは半月板再生基材の断面が半月状になる面に対して垂直な方向を意味する。また、ここで両端部付近とは、上記不織布層の両端部であって、体内に移植したときにできるだけ軟骨等の他の組織と直接接しない部分のことを指す。また、上記貫通孔の直径は後述する糸の直径に応じて適宜調節される。
本発明の半月板再生基材は、上記貫通孔を通した糸が上記積層体の外部へ出されている。
上記貫通孔を通り積層体の外部へ出された糸を有することで、移植時に半月板再生基材を脛骨に固定する際に、脛骨側のみを結ぶだけで半月板再生基材を固定できることから、移植を容易かつ短時間で行うことができる。
上記糸は特に限定されず、モノフィラメント糸であってもマルチフィラメント糸であってもよく、複数の糸を編みこんだ組紐であってもよい。なかでも、強度と取り扱い性に優れることから、組紐が好ましい。
上記糸は両スポンジ層を貫通して外部へ出ていてもよく、各スポンジ層と不織布層との間から外部へ出ていてもよく、不織布層の両端部にスポンジ層が形成されていない場合は、不織布層から直接外部へ出ていてもよい。なかでも、半月板再生基材の滑りをより良くすることができるとともに、糸がスポンジ層によって固定されることでより結びやすくなることから、上記糸は各スポンジ層と不織布層との間から外部へ出ていることが好ましい。
上記糸の材料は特に限定されず、ポリプロピン、ナイロン、ポリエチレン、ポリふっ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンといった通常衣類等の縫製に用いられるものをそのまま用いることができる。しかしながら、安全性を考慮すると生体吸収性材料であることが好ましい。上記生体吸収性材料としては、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリ-ε-カプロラクトン、ラクチド-グリコール酸共重合体、グリコリド-ε-カプロラクトン共重合体、ラクチド-ε-カプロラクトン共重合体、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ-α-シアノアクリレート、ポリ-β-ヒドロキシ酸、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチレンオキサレート、ポリオルソエステル、ポリオルソカーボネート、ポリエチレンカーボネート、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタメート、ポリ-γ-メチル-L-グルタメート、ポリ-L-アラニン、ポリグリコールセバスチン酸等の合成高分子や、デンプン、アルギン酸、ヒアルロン酸、キチン、ペクチン酸及びその誘導体等の多糖類や、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリン等のタンパク質等の天然高分子等が挙げられる。
上記生体吸収性材料の重量平均分子量の好ましい下限は10000、好ましい上限は400000である。上記生体吸収性材料の重量平均分子量が上記下限以上であることで、より引張強度に優れる糸とすることができるとともに、半月板が再生するまでの間分解されずに確実に半月板再生基材を固定することができる。上記生体吸収性材料の重量平均分子量が上記上限以下であることで、異物反応を抑えることができる。上記生体吸収性材料の重量平均分子量のより好ましい下限は20000、より好ましい上限は250000である。
上記糸は、直径が0.1~1mmであることが好ましい。上記糸の直径が上記範囲であることで、引張強力、結節強力に優れ、固定作業が行いやすい糸とすることができる。上記糸の直径のより好ましい下限は0.3mm、より好ましい上限は0.8mmである。
上記糸は、引張強度が20N~200Nであることが好ましい。
糸の引張強度が上記範囲であることで、半月板が再生するまでの間確実に半月板再生基材を固定することができる。上記糸の強度のより好ましい下限は40N、更に好ましい強度は60N、より好ましい上限は180N、更に好ましい上限は150Nである。
上記スポンジ層を構成する材料は、ポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料であれば特に限定されないが、ラクチド-ε-カプロラクトン共重合体からなることが好ましい。柔軟性と耐磨耗性とに優れるラクチド-ε-カプロラクトン共重合体を上記スポンジ層に用いることにより、本発明の半月板再生基材により適度な柔軟性を付与することができるとともに、基材と軟骨とが膝関節の動きにより接触して摩擦力が生じたときに、基材の表面をより磨耗し難くすることができる。
上記スポンジ層の密度は特に限定されないが、好ましい下限は40mg/cm、好ましい上限は120mg/cmである。上記スポンジ層の密度がこの範囲内であると、充分な柔軟性と耐磨耗性とを発揮することができる。上記スポンジ層の密度のより好ましい下限は70mg/cm、より好ましい上限は90mg/cmである。
上記スポンジ層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は1.0mmである。上記スポンジ層の厚みがこの範囲内であると、移植した後に基材と軟骨とが膝関節の動きにより接触して摩擦力が生じたときに、基材の表面が磨耗してしまうのを防止する役割を充分に果たすことができる。
上記スポンジ層を調製する方法は特に限定されず、上記生体吸収性材料を適当な溶媒に溶解した溶液を凍結した後、凍結乾燥する等の従来公知の方法を用いることができる。
本発明の半月板再生基材は、滑り性を付与して更に耐磨耗性を発揮させる目的で、最外層として、スポンジ層/不織布層/スポンジ層からなる積層体の一方又は両方の表面にラクチド-ε-カプロラクトン共重合体からなるフィルム層を有してもよい。
なお、本明細書においてフィルムとは、少なくとも光学顕微鏡により観察可能なμmオーダーの孔を有しない、薄い膜状体を意味する。
上記フィルム層は、医療用の用途を損なわない範囲で、滑り性を更に向上させる目的で滑剤を含有してもよい。
上記フィルム層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.1mm、好ましい上限は0.3mmである。上記フィルム層の厚さが0.1mm未満であると、移植後に軟骨との接触による摩擦によって基材の表面が磨耗してしまうのを充分には防止できないことがあり、0.3mmを超えると、取り扱い性に劣ることがある。
上記スポンジ層と上記不織布層(及び上記フィルム層)は、複合一体化している。
上記各層が複合一体化していないと、本発明の半月板再生基材を移植する際に、上記各層間の一部又は全部が剥離してしまうことがある。上記各層間が一部でも剥離すると、該剥離部に形成された空間に細胞溜まりが生じて、正常な組織又は器官が再生されないことがある。
なお、本明細書において複合一体化とは、手で引っ張った程度では上記スポンジ層と上記不織布層(及び上記フィルム層)とを分離できない程度の密着力で積層されていることを意味する。
本発明の半月板再生基材は、縦20mm、横20mmの半月板再生基材に対して、温度37℃の温水中で300Nの荷重を20回繰り返して印加する繰り返し圧縮試験を行った後の半月板再生基材の厚みの維持率が95%以上であることが好ましい。これにより、移植後に大きな応力が繰り返しかかっても、半月板再生基材が充分な厚みを維持することができ、充分な厚みの半月板を再生することができる。上記厚みの維持率は98%以上であることがより好ましく、100%であることが更に好ましい。
なお、上記厚みの維持率とは、繰り返し圧縮試験前の半月板再生基材の厚みに対する、繰り返し圧縮試験後の半月板再生基材の厚みの比(%)を意味する。
ここで、本発明の半月板再生基材の模式図及び断面図を図3、4に示した。
図3、4では糸が不織布層とスポンジ層の間から外部へ出されている態様を示している。図3、4に示すように、本発明の半月板再生基材は両端部付近の厚み方向に貫通孔を有する不織布層9とスポンジ層10と貫通孔を通る糸11とを有しており、スポンジ層10、糸を通した不織布層9、及び、スポンジ層10がこの順に複合一体化した構造となっている。また、スポンジ層10は、不織布層9だけでなく糸11も覆って形成されており、糸11は不織布層9とスポンジ層10との間から外部へ出ている。スポンジ層10が糸11を覆うように形成されることで、貫通孔付近の糸11による引っ掛かりを防止できるとともに、糸11がずれなくなることから糸11を結びやすくすることができる。本発明の半月板再生基材は、両端部の糸11を脛骨に固定することで体内に移植される。
本発明の半月板再生基材を製造する方法は特に限定されず、例えば、上記貫通孔と上記貫通孔を通る糸を有する不織布層、上記スポンジ層(及び上記フィルム層)を別々に調製した後、医療用接着剤を用いて貼り合わせたり、各層の表面の一部を溶剤で溶解してから貼り合わせたりする方法等が挙げられる。
本発明によれば、半月板の再生治療において、膝関節の半月板の欠損部分に充填することで、半月板の再生を促進することができる半月板再生基材を提供することができる。
右膝関節の矢状面での断面模式図である。 右膝関節の横断面での断面模式図である。 本発明の半月板再生基材の一例を表した模式図である。 本発明の半月板再生基材の一例を表した断面図である。 実施例1で得られた半月板再生基材をブタの半月板除去部に移植後0、4、8週後の核磁気共鳴画像(MRI)である。 実施例1で得られた半月板再生基材をブタの半月板除去部に移植後8週目における移植部分のヘマトキシリンエオジン染色像である。 実施例1で得られた半月板再生基材をブタの半月板除去部に移植後8週目における移植部分のサフラニン染色である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(1)不織布層の調製
生体吸収性材料として重量平均分子量が250000のポリグリコリドを用い、これを紡糸して得た平均繊維径が31デニールの糸からなる布をニードルパンチ法により不織布化する方法により、平均繊維径が約20μm、厚さが約300μmの不織布を得た。
得られた不織布を14枚重ね、その状態で一方の面から ニードルパンチを行うことにより複合一体化した。次いで、複合一体化した積層体を、温度100℃で1分間熱プレスした後、ポリグリコリドからなる400デニールの糸を用いて5mmピッチでミシン掛けした。その後、積層体を半月板状にカットし、両端部に2か所ずつ厚み方向に貫通孔を開けて、厚み3.7mmの不織布層を得た。貫通孔にポリグリコール酸の糸からなる組紐を通した。
得られた不織布層について、JIS-K6767に準拠した方法により50%圧縮応力を測定したところ、3.5MPaであった。また、得られた不織布層の密度は400mg/cmであった。
(2)スポンジ層の調製
L-ラクチド-ε-カプロラクトン共重合体(モル比50:50、重量平均分子量20万)をジオキサンに溶解して4重量%ジオキサン溶液を調製した。ガラスシャーレに糸を通した不織布層を静置して、得られた溶液をガラスシャーレに液面の高さが不織布層の高さとほぼ同等になるように流し入れた。-80℃で1時間凍結した後、凍結乾燥機(ADVANTEC社製、DRZ350WA)を用いて、-40℃で12時間凍結乾燥することにより、不織布層の両面に厚さ約100μmのスポンジ層を形成し、スポンジ層/糸を通した不織布層/スポンジ層が積層一体化した積層体を得た。なお、スポンジ層は不織布層、貫通孔及び不織布層上の糸を覆うように形成した。
(3)半月板再生基材の製造
L-ラクチド-ε-カプロラクトン共重合体(モル比50:50、重量平均分子量40万)をジオキサンに溶解して4重量%ジオキサン溶液を調製した。得られた溶液をガラスシャーレに流し入れ、風乾及び熱処理することにより厚さ約100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの一方の面の表面にジオキサンを少量塗布することにより一部溶解させ、スポンジ層/糸を通した不織布層/スポンジ層が積層一体化した積層体の上下面(両表面)のスポンジ層にフィルムが接するように積層し、乾燥させてフィルムと積層体とを複合一体化させて、厚さ約100μmのフィルム層を形成して、フィルム層/スポンジ層/糸を通した不織布層/スポンジ層/フィルム層が積層一体化した積層体からなる半月板再生基材を得た。得られた半月板再生基材について、JIS-K6767に準拠した方法により50%圧縮応力を測定したところ、3.8MPaであった。
半月板再生基材を縦20mm、横20mmの大きさに切断してサンプルとした。得られたサンプルを温度37℃の温水中に沈め、300Nの荷重を20回繰り返して印加する繰り返し圧縮試験を行った。繰り返し圧縮試験前の半月板再生基材の厚みと、繰り返し圧縮試験後の半月板再生基材の厚みとを測定し、厚みの維持率を算出したところ100%であった。
<動物実験による評価>
実験動物として大型動物であるブタを準備し、右膝関節の内側半月板の前節を切除した。半月板除去部に、実施例で得られた半月板再生基材を移植して縫合した。
術後、0、4、8週後に右膝関節の核磁気共鳴画像(MRI)を撮影した。撮影した核磁気共鳴画像(MRI)を図5に示した。
また、術後8週目に犠牲死させ、右膝関節の内側半月板を取り出し、移植部分を摘出した。得られた標本をヘマトキシリンエオジン染色、サフラニン染色した顕微鏡写真像を図6及び図7に示した。
図5より、関節のあたる部分から先に軟骨が再生していることがわかる。また、図6及び図7より、術後8週後には、半月板再生基材を移植した部分において、軟骨組織の再生(図7の染色像において赤く染色された部分)が認められた。
<移植の容易性の評価>
実施例1で得られた半月板再生基材について、ブタを用いて移植の容易性を評価した。実施例1の半月板再生基材は、脛骨に開けた孔に糸を通して結ぶだけで固定することができ、短時間で移植を行うことができた。なお、従来の糸を有さない半月板再生基材の場合は、針付きの縫合糸を脛骨に開けた孔に通した後、更に半月板再生基材と縫合する作業が必要になるため、移植に時間がかかる。
本発明によれば、半月板の再生治療において、膝関節の半月板の欠損部分に充填することで、半月板の再生を促進することができる半月板再生基材を提供することができる。
1 半月板
2 膝蓋下脂肪体
3 軟骨
4 大腿骨
5 脛骨
6 膝蓋骨
7 関節包
8 関節液
9 不織布層
10 スポンジ層
11 糸

Claims (5)

  1. 半月板の再生治療において、膝関節の半月板の欠損部分に充填することで、半月板の再生を促進することができる半月板再生基材であって、
    ポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料からなるスポンジ層、ポリグリコリドからなる不織布層、及び、ポリグリコリドよりも分解速度が遅い生体吸収性材料からなるスポンジ層がこの順に複合一体化した構造を有し、
    前記不織布層の50%圧縮応力が0.5MPa以上であり、かつ、前記不織布層の厚みが2mm以上であり、
    前記不織布層の密度が400mg/cm 以上であり、
    前記不織布層は、両端部付近の厚み方向に貫通孔を有し、該貫通孔を通した糸が前記積層体の外部に出されていることを特徴とする半月板再生基材。
  2. スポンジ層がラクチド-ε-カプロラクトン共重合体からなることを特徴とする請求項1記載の半月板再生基材。
  3. 不織布層を構成する不織布の平均繊維径が25~40デニールであることを特徴とする請求項1又は2記載の半月板再生基材。
  4. 一方又は両方の表面にラクチド-ε-カプロラクトン共重合体からなるフィルム層を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の半月板再生基材。
  5. 縦20mm、横20mmの半月板再生基材に対して、温度37℃の温水中で300Nの荷重を20回繰り返して印加する繰り返し圧縮試験を行った後の半月板再生基材の厚みの維持率が95%以上であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の半月板再生基材。
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