JP7251280B2 - 異形片状磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、異形片状磁石の製造方法に関する。
近年、モータ製造などにおいて、渦電流対策などのために、分割された永久磁石を接着したセグメント磁石が要求されている。そのため、板状磁石だけでなく異形片状(例えば円弧形状、L字形状など)の磁石についても必要性が高まっている。そして、このような異形片状の磁石は様々な方法によって製造することができるが、比較的簡便に異形片状磁石を製造することができる方法のひとつとして、リング状または筒状の磁石を分割する方法が知られている。
なお、リング状または筒状の磁石を分割する手段としては、主として、ブレードによる切断、ガス溶解切断、マルチワイヤソーなどのワイヤーによる切断、磁石への荷重等による破断(分断)などがある。
例えば、特許文献1には、円筒状フェライト成形体の内周面軸方向に、中心軸に対して互いに175~90度の角度を持つ非対称の2箇所に溝を形成し、焼成工程で発生する内部応力により2分割させる方法が開示されている。
特開昭63-274122号公報
しかしながら、まず、ブレード切断やガス溶解切断による分割方法では、リング状や筒状の磁石において複数の分割箇所を同時に切断することができない場合が多い。また、ワイヤー切断による分割方法では、その切断様式からリング状や筒状の磁石切断には不向きな場合が多く、さらに、マルチワイヤソーなどを用いた場合は分割単位を大きくすることが難しい。そして、これらの方法はいずれも除去加工であるため、切断加工ロスにより歩留まりが低下してしまう可能性があり、また、切断に時間がかかってしまう可能性もあり、これらは生産効率の低下や生産コストの増加につながる。
一方、磁石への荷重等による破断分割方法は、上記した切断分割方法とは異なり除去加工ではないが、磁石への荷重等の加え方などによっては、特許文献1のような溝を形成していても、破断面が乱れて目的とする形状の磁石が得られなかったり、溝形成位置での分割ができなかったりする可能性がある。このような場合は、結果として歩留まりが低下することとなる。
よって、この磁石への荷重等による破断分割方法についても、効率や歩留まりなどの点においてさらなる改善の余地がある。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。
すなわち本発明の目的は、リング状または筒状の磁石から、破断分割により、効率良くかつ歩留まり良く異形片状磁石を得ることができる製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)~(3)である。
(1)外側面、内側面および2つの底面を備えるリング状または筒状の加工前磁石を用意し、前記加工前磁石が備える2つの前記底面の外周線の中心をいずれも通る直線である中心軸を基軸とする4以上の回転対称位置を特定し、前記回転対称位置の各々における前記外側面および/または前記内側面に、深さが0.2~1.0mmである溝を形成して溝入磁石を得る溝形成工程と、前記溝入磁石の前記外側面に、前記中心軸に垂直な向かい合う2方向から荷重を加え、前記溝入磁石を破断して分割する分割工程と、を備える、異形片状磁石の製造方法。
(2)前記溝形成工程が、前記回転対称位置の各々において前記内側面または前記外側面のいずれか一方のみに前記溝を形成する工程である、(1)に記載の異形片状磁石の製造方法。
(3)前記溝形成工程において、前記分割工程にて前記荷重を加えた場合に前記溝入磁石に生じる、下式(I)により算出される曲げモーメントMが負である前記回転対称位置には前記内側面に前記溝を形成し、前記曲げモーメントMが正である前記回転対称位置には前記外側面に前記溝を形成する、(1)または(2)に記載の異形片状磁石の製造方法。
(I) M=(P×R/2)×(|sinθ|-2/π)
(式中、Pは前記分割工程にて前記溝入磁石に加える前記荷重(N)であり、Rは一方の前記底面における前記中心から前記回転対称位置の外周線までの長さと内周線までの長さとの平均値(mm)であり、θは前記荷重を加える方向から前記回転対称位置までの角度(°)である。)
本発明によれば、リング状または筒状の磁石成形体から、破断分割により、効率良くかつ歩留まり良く異形片状磁石を得ることができる。
底面が円形であるリング状の加工前磁石を示した斜視図である。 底面が長方形であるリング状の加工前磁石を示した斜視図である。 底面が円形である筒状の加工前磁石を示した斜視図である。 外側面に溝を形成した溝入磁石の底面(a)、および内側面に溝を形成した溝入磁石の底面(b)である。なお、図に示した1箇所以外に形成された溝は省略している。また、形成された溝をわかりやすくするために、磁石の厚みに対する溝の深さおよび幅を実際より大きく示している(以下の図5、図6、図9~12も同じである)。 実施例1において行った、試験片の4点曲げ試験を示した図である。 底面が円形である筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とした4つの回転対称位置(開き角度90°)に溝を形成することによって得られた溝入磁石を底面側から示した図である。なお、矢印は溝入磁石に荷重を加える2方向を示す(以下の図9~12も同じである)。 図6の溝入磁石における、荷重を加える2方向(矢印の位置)のうちの1つからの角度θ(°)と曲げモーメントM(N・mm)との関係を表したグラフである。なお、三角印が溝形成位置(4つの回転対称位置)であり、中央の横線より上側の位置(曲げモーメントMが正である領域)では外側面に、下側の位置(曲げモーメントMが負である領域)では内側面に溝を形成している。 図6の溝入磁石に矢印の位置(2方向)から荷重を加えて4つの円弧状磁石に分割した写真である(図面代用写真)。 底面が長方形である筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とした4つの回転対称位置(開き角度90°)に溝を形成することによって得られた溝入磁石を底面側から示した図である。 底面が円形である筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とした5つの回転対称位置(開き角度72°)に溝を形成することによって得られた溝入磁石を底面側から示した図である。 底面が円形である筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とした6つの回転対称位置(開き角度60°)に溝を形成することによって得られた溝入磁石を底面側から示した図である。 底面が円形である筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とした8つの回転対称位置(開き角度45°)に溝を形成することによって得られた溝入磁石を底面側から示した図である。
本発明に係る異形片状磁石の製造方法について説明する。
本発明に係る異形片状磁石の製造方法は、外側面、内側面および2つの底面を備えるリング状または筒状の加工前磁石を用意し、この加工前磁石が備える2つの底面の外周線の中心をいずれも通る直線である中心軸を基軸とする4以上の回転対称位置を特定し、それら回転対称位置の各々における外側面および/または内側面に、深さが0.2~1.0mmである溝を形成して溝入磁石を得る溝形成工程と、この溝入磁石の外側面に、中心軸に垂直な向かい合う2方向から荷重を加え、溝入磁石を破断して分割する分割工程と、を備える製造方法である。以下では「本発明の製造方法」ともいう。
本発明における加工前磁石1について、図1~3を用いて説明する。
本発明において加工前磁石1は、リング状または筒状であるので、内部に空洞10を有する。
本発明においてリング状または筒状の加工前磁石1における「内側面」とは、加工前磁石1が内部に有する空洞10と接する面であり、図1~3に示す実施形態においては符号101によって示される面である。加工前磁石1が内部に有する空洞10を構成している面が内側面101であると考えることもできる。
また、加工前磁石1が内部に有する空洞10の入口または出口において内側面101と接しており、内側にその空洞10の入口または出口を含む環状の面を「底面」とする。底面は図1~3に示す実施形態においては符号105によって示されている。本発明において加工前磁石1は、空洞10の入口側の底面105と、出口側の底面105と2つを有する。
なお、内側面101と底面105との境界を内周線(内周線α)とする。
また、2つの底面105のいずれにも接し、内側面101には接しない面(内側面101および底面105以外の面)を「外側面」とする。外側面は、図1~3に示す実施形態においては符号103によって示される面である。
なお、底面105と外側面103との境界を外周線(外周線β)とする。
また、外周線βによって決定される図形の重心を、底面105の中心(底面105の外周線βの中心)とする。図1~3に示す実施形態において、この中心は符号203により示される点である。
さらに、「中心軸」とは、上記した2つの底面105の外周線βの中心203をいずれも通る直線(図1~3に示す実施形態においては符号201により示される直線)を意味する。
本発明の製造方法では、初めに、外側面103、内側面101および2つの底面105を備えるリング状または筒状の加工前磁石1を用意する。
加工前磁石1の底面105の形状(厳密には、外周線βが決定する図形の形状)は、円形、楕円形、方形などが例示されるが、円形(図1、図3)、長方形(図2)あるいは角を4以上有する正多角形であることが好ましい。
加工前磁石1の底面105における外周線βの中心203から内周線αまでの長さは限定されるものではないが、その平均値が2.5~50mmであることが好ましく、10~30mmであることがより好ましい。
なお、その平均値は、加工前磁石1の底面105における外周線βの中心203から内周線αまでの長さを任意の30か所において測定し、得られた30か所での差の値を単純平均して得られる値とする。
加工前磁石1の厚みTは限定されるものではないが、1~30mmであることが好ましく、2~6mmであることがより好ましく、3~4mmであることがさらに好ましい。
なお、厚みTは、底面105の外周線βの中心203から外周線βまでの直線上において、中心203から内周線αまでの長さと、中心203から外周線βまでの長さとの差を任意の30か所において測定し、得られた30か所での差の値を単純平均して求めるものとする。
加工前磁石1の高さLは限定されるものではないが、底面105の外周線βの中心203から内周線αまでの長さに対し2.4倍以下であるのが好ましく、2.0倍以下であるのがより好ましい。また、10mm以上であることが好ましい。
なお、高さLは、2つの底面105の外周線βの距離の平均値を意味するものとする。具体的には、中心軸201と平行な方向において2つの底面105の外周線βの距離を30か所において測定し、得られた30か所での値を単純平均して得られた値とする。
なお、本発明においては、磁石の厚みTと高さLとの関係がT≧Lである場合をリング状の磁石、T<Lである場合を筒状の磁石という。
加工前磁石1は、例えば、ネオジム系磁石などであっても良いが、これに限定されるものではない。また、加工前磁石1の製造方法も特段限定されない。
加工前磁石1の磁気特性(残留磁束密度、配向など)については、分割して得られる異形片状磁石において必要な磁気特性を考慮して決定する。
また、その成形方法も、磁場成形や熱間加工など磁気特性の設計等を考慮して適宜選択すれば良い。
次に、加工前磁石1について、その中心軸201を基軸とする4以上の回転対称位置301を特定する。
具体的には、加工前磁石1の中心軸201を基軸として、角度が同じ間隔(開き角度が同じ)である回転対称位置301を4以上特定する。例えば、この開き角度を90°とすれば4箇所、72°とすれば5箇所、60°とすれば6箇所、45°とすれば8箇所、36°とすれば10箇所の回転対称位置301を特定することができる。
本発明の製造方法においては、破断面の乱れをより少なくするという点において、4以上8以下の回転対称位置301を特定するのが特に好ましい。
また、これらの回転対称位置301は、例えば図2に示すような長方形などの方形の底面105を有する加工前磁石1においては、底面105の角の位置に特定しても良く、あるいは底面105の角以外の位置に特定しても良い。
そして、このようにして特定した回転対称位置301の各々における外側面103および/または内側面101に、深さが0.2~1.0mmである溝401を形成する。
この溝の深さは0.3~0.7mmであることが好ましい。加工ロスが少なくかつ後述する分割工程において破断面の乱れがより発生しにくいからである。この溝の深さが0.2mm未満であると、クラックや破断面の乱れが発生し易いため好ましくない。また、この溝の深さを1.0mm超とするのは、製造効率や製造歩留まりの向上という点において好ましくない。
また、この溝の幅は、加工ロスの低減という点から0.1~0.2mm程度であるのが好ましい。さらに、この溝の形状は特段限定されず、V字状やU字状などであって良い。
溝401の形成方法は特段限定されず、例えば、レーザー加工、放電ワイヤーカット、超砥粒ホイールによる加工などが例示されるが、レーザー加工により溝を形成するのが、加工速度が早くかつ幅の狭い溝を形成し易いためより好適である。
なお、溝401は、その最も深い箇所がなす直線が中心軸201に略平行となるように形成する。
また、溝を401外側面103に形成する場合は、外側面103から中心軸201へ向かって、徐々に溝の幅が狭くなるように形成することが好ましい。
さらに、溝401を内側面101に形成する場合は、中心軸201から外側面103へ向かって、徐々に溝の幅が狭くなるように形成することが好ましい。
ここで、本発明における溝の深さと幅の特定方法について、図4を用いて説明する。
図4(a)は、図1に示した加工前磁石1の外側面103に溝401を形成して得られた溝入磁石3の底面105を示している。また、図4(b)は、図1に示した加工前磁石1の内側面101に溝401を形成して得られた溝入磁石3の底面105を示している。ただし、理解を容易にするために、いずれの図においても溝401は1か所のみ示している。
本発明において溝401が外側面103に形成されている場合の溝の深さの特定方法について、図4(a)を用いて説明する。
まず、溝入磁石3の外側面103に形成された溝401における、中心203から最も近い位置X1を特定する。次に、溝が形成される前に存在していた外周線βの一部(溝を形成することでなくなった外周線βの一部)を仮想線として特定する。次に、中心203から点X1を通り、外周線β側へ延びる線と、その仮想線との交点を特定し、この交点をY1とする。
そして、中心203から点X1までの長さをA1とし、中心203から点Y1までの長さをB1とする。この場合において、外側面103に形成された溝の深さはB1-A1で求められる。
本発明において溝401が内側面101に形成されている場合の溝の深さの特定方法について、図4(b)を用いて説明する。
まず、溝入磁石3の内側面101に形成された溝401における、中心203から最も遠い位置X2を特定する。次に、溝が形成される前に存在していた内周線αの一部(溝を形成することでなくなった内周線αの一部)を仮想線として特定する。次に、中心203から点X2まで延びる線と、その仮想線との交点を特定し、この交点をY2とする。
そして、中心203から点X2までの長さをA2とし、中心203から点Y2までの長さをB2とする。この場合において、内側面101に形成された溝の深さはA2-B2で求められる。
さらに、本発明における溝の幅とは、以下のようにして測定される。
図4(a)および(b)において、溝401と外周線βとの境界を示す2点を点C、点Dとして特定する。そして、この場合において、溝の幅とはCとDとの間の直線距離とする。
ここで、本発明の製造方法では、上記のように特定した回転対称位置301の各々において内側面101または外側面103のいずれか一方のみに溝401を形成することが好ましい。つまり、上記した回転対称位置301の各々においては、内側面101に溝401を形成した場合にはその位置の外側面103には溝を形成せず、逆に、外側面103に溝401を形成した場合にはその位置の内側面101には溝を形成しないことが好ましい。このような構成とすることにより、1箇所の回転対称位置301においては内側面101または外側面103のいずれか一方のみに溝401を形成することとなるため、1箇所の回転対称位置301において内側面101および外側面103の両方に溝401を形成する場合と比較して形成する溝の数を少なくすることができ、製造効率や製造歩留まりをより向上させることができるからである。しかしながら、溝入磁石3全体としては、内側面101と外側面103のいずれにも溝401が形成された構成であって良い。
また、本発明の製造方法では、この溝形成工程において、後述する分割工程における荷重を加えた場合に溝入磁石3に生じる、下式(I)により算出される曲げモーメントMが負である回転対称位置301には内側面101に溝401を形成し、この曲げモーメントMが正である回転対称位置301には外側面103に溝401を形成するのが好ましい。
(I) M=(P×R/2)×(|sinθ|-2/π)
なお、上記式中において、Pは分割工程にて溝入磁石3に加える荷重(N)であり、Rは一方の底面における外周線βの中心203から回転対称位置301の外周線βまでの長さと内周線αまでの長さとの平均値(mm)であり、θは荷重を加える方向から回転対称位置301までの角度(°)である。
具体的には、まず、前述した方法により回転対称位置301を特定するとともに、後述する分割工程における荷重P(N)およびこの荷重Pを加える2方向を特定する。そして、この荷重Pを加える2方向のいずれかから特定した回転対称位置301までの角度θを確認する。また、一方の底面105の外周線βの中心203からこの回転対称位置301におけるその底面105の外周線βまでの長さ(例えば、後述する図6および図9~12に示す実施形態においてはORの長さ)と、同じ底面105の外周線βの中心203からこの回転対称位置301におけるその底面105の内周線αまでの長さ(例えば、後述する図6および図9~12に示す実施形態においてはIRの長さ)との平均値Rを算出する。これらから、上記式(I)により曲げモーメントM(N・mm)を算出し、この曲げモーメントMが負であった場合には内側面101に、正であった場合には外側面103に溝401を形成する。このような構成とすることにより、加工ロスが少ない上により破断面の乱れが少なくなり、非常に好適である。
例えば、後述する図6および図9に示すように、底面105が円形あるいは長方形である筒状の溝入磁石3において、その中心軸201を基軸とした回転対称位置301を4箇所特定し、さらに分割工程における荷重を加える2方向も特定して回転対称位置301の角度θを測定し、曲げモーメントMが負となる角度θが0°、180°である2箇所の回転対称位置301では内側面101に溝401を形成し、曲げモーメントMが正となる角度θが90°、270°である2箇所の回転対称位置301では外側面103に溝401を形成するのが好適である。
また、例えば後述する図10~12に示すように、底面105が円形である筒状の溝入磁石3において、その中心軸201を基軸とした回転対称位置301を5~8箇所特定した場合も同様であり、分割工程における荷重を加える2方向も特定して回転対称位置301の角度θを測定し、曲げモーメントMが負となる角度θの回転対称位置301では内側面101に溝401を形成し、曲げモーメントMが正となる角度θの回転対称位置301では外側面103に溝401を形成するのが好適である。
上記のようにして、溝入磁石3を得る工程が溝形成工程である。
次に、このようにして得られた溝入磁石3の外側面103に、中心軸201に垂直な向かい合う2方向から等しい荷重Pを加え、溝入磁石3を破断して分割する分割工程を行う。この分割により、溝入磁石3から4以上の異形片状磁石を取得することができる。例えば、円筒状の溝入磁石3を分割した場合には、同じ円弧形状磁石を4以上同時に取得することができ、底面105が長方形であるリング状の溝入磁石3を分割した場合には、L字形状の磁石などを取得することができる。
この荷重を加える2方向は、溝入磁石3の中心軸201に垂直な向かい合う2方向であれば、他は限定されない。つまり、溝401を形成した位置に荷重を加えても良く、または溝を形成していない位置に荷重を加えても良い。しかしながら、上記したように、溝形成工程前において曲げモーメントMを考慮して溝401を形成する場合には、溝形成前に予め荷重を加える2方向を特定しておく必要がある。なお、加える荷重Pの大きさは特段限定されないが、10N~50kN程度が好適例として示される。
また、分割して得られた異形片状磁石においては、必要に応じて、さらに破断面をより平滑化する処理などの後工程を行っても良い。
このようにして、リング状または筒状の加工前磁石において、その中心軸を基軸とする4以上の回転対称位置を特定し、この回転対称位置の各々における外側面または内側面に深さが0.2~1.0mmである溝を形成して溝入磁石を得て、この溝入磁石の外側面に、中心軸に垂直な向かい合う2方向から荷重を加えて、溝入磁石を破断して分割することにより、加工ロスが少なくかつ効率的に異形片状磁石を製造することができる。そして、このようにして得られた異形片状磁石は、分割による磁気特性の変化がないため、本発明の製造方法は、特殊配向(例えば集中配向など)である異形片状磁石の製造などにも適用可能である。また、本発明の製造方法では、リング状または筒状の加工前磁石において上記した回転対称位置であれば任意の位置に溝を形成することができるため、同じリング状または筒状の加工前磁石を用いて多様な異形片状磁石を取得することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
(実施例1)
リング状または筒状の加工前磁石を破断分割するために形成する溝の深さを検討する目的のため、模式的な試験として、直方体状の磁石を用いて溝の深さ条件と破断面との関係を検証する試験を行った。
具体的には、まず、熱間加工により成形した直方体状の磁石から機械加工によって作製した試験片(ダイドー電子社製、6.8mm×6.8mm×57mm)を用意した。そして、その長手方向の中心に、その面の長手方向と垂直であり且つその面を等分する直線に沿って、レーザー加工機(LASERDYNE 795;Prima Power社製、加工条件は定格出力2000W、ピーク出力2000W、平均出力40W、パルス幅0.2msec、周波数100Hz、加工速度400mm/min、アシストガス(酸素ガス)圧0.5MPa、走査回数3回)によって、深さ0.1~0.7mm、幅0.1mmの溝を形成した。なお、このようなサンプル試験片を複数用意した。
このような各サンプル試験片において、図5に示すような4点曲げ試験を行った。なお、図5は、直方体状の試験片を、溝を形成した面と垂直な面から見た図であり、図中の数字は両矢印間の長さ(単位はmm)である。
この4点曲げ試験を具体的に説明すると、まず、試験片における、溝を形成した面の長手方向において、溝との距離がそれぞれ15mmである2つ位置の各々を下支点とした。次に、溝を形成した面と対向する面において、その長手方向の中心からの距離がそれぞれ5mmである2つの位置の各々を上支点とした。
そして、これらの特定した4箇所の支点に、支点を特定した各面と垂直な方向から荷重P(700N)を加えて溝に引張荷重を加え、試験片を溝形成位置から破断分割し、破断面の確認を行った。
この結果、いずれのサンプルも再度接着可能な平坦な破断面が得られたが、溝の深さが0.1mmのサンプルについては、一部クラックの発生が認められた。したがって、荷重を加えて磁石の破断分割を行う場合においては、溝の深さは0.2~0.7mm程度とするのが好適であることが確認された。
(実施例2)
円筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とする4つの回転対称位置に溝を形成して破断分割試験を行った。
具体的には、熱間加工により成形した希土類磁石であり、底面が略円形である筒状の加工前磁石(ダイドー電子社製、内半径(IR)15.75mm×外半径(OR)18.65mm×長さ(L)38.4mm、厚み(T)2.9mm、内半径と外半径との平均値(R)17.2mm)に、実施例1において使用したものと同じレーザー加工機によって深さ0.3mm、幅0.1mmの溝を、その中心軸を基軸とする4つの回転対称位置(隣接する回転対称位置間の開き角度は90°)に形成した。なお、この4つの回転対称位置のうち、荷重P(700N)を加える予定の2方向のうちのひとつとの角度θが0°、180°である2箇所(曲げモーメントMが負である位置)は内側面に溝を形成し、角度θが90°、270°である2箇所(曲げモーメントMが正である位置)は外側面に溝を形成した(図6)。ここで、上記溝入磁石における荷重Pを加える予定の2方向のうちのひとつとの角度θと曲げモーメントMとの関係を図7のグラフに示した。この図7において三角印は溝形成位置(つまり特定した4つの回転対称位置)を示し、図6および図7において矢印は荷重Pを加える予定の位置を示している。
このような溝入磁石を30個作製し、図6に示す矢印の2方向からこの溝入磁石に荷重P(700N)を加えて、破断分割を行った。この結果、いずれも4つのほぼ等しい大きさおよび形状である円弧状磁石を取得することができた。この4つの円弧状磁石に分割された状態の一例(写真)を図8に示した。
この結果から、曲げモーメントMが負である位置には内側面に、曲げモーメントMが正である位置には外側面に溝を形成することにより、4箇所の溝形成位置において分割された、破断面の乱れがない4つの円弧状磁石を容易に且つ安定して得ることができた。
(実施例3)
円筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とする5つの回転対称位置に溝を形成して破断分割試験を行った。
具体的には、実施例2と同じ筒状の加工前磁石に、実施例1と同様のレーザー加工機によって深さ0.3mm、幅0.1mmの溝を、その中心軸を基軸とする5つの回転対称位置(隣接する回転対称位置間の開き角度は72°)に形成した。なお、この5つの回転対称位置のうち、荷重P(700N)を加える予定の2方向のうちのひとつとの角度θが0°、144°、216°である3箇所(曲げモーメントMが負である位置)は内側面に溝を形成し、角度θが72°、288°である2箇所(曲げモーメントMが正である位置)は外側面に溝を形成した(図10)。
この溝入磁石について、図10に示す矢印の2方向から実施例2と同様に荷重Pを加えて破断分割を行った。
この結果、曲げモーメントMが負である位置には内側面に、曲げモーメントMが正である位置には外側面に溝を形成することにより、5箇所の溝形成位置において分割された、破断面の乱れがない5つの円弧状磁石を容易に得ることができた。
(実施例4)
円筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とする6つの回転対称位置に溝を形成して破断分割試験を行った。
具体的には、実施例2と同じ筒状の加工前磁石に、実施例1と同様のレーザー加工機によって深さ0.3mm、幅0.1mmの溝を、その中心軸を基軸とする6つの回転対称位置(隣接する回転対称位置間の開き角度は60°)に形成した。なお、この6つの回転対称位置のうち、荷重P(700N)を加える予定の2方向のうちのひとつとの角度θが0°、180°である2箇所(曲げモーメントMが負である位置)は内側面に溝を形成し、角度θが60°、120°、240°、300°である4箇所(曲げモーメントMが正である位置)は外側面に溝を形成した(図11)。
この溝入磁石について、図11に示す矢印の2方向から実施例2と同様に荷重Pを加えて破断分割を行った。
この結果、曲げモーメントMが負である位置には内側面に、曲げモーメントMが正である位置には外側面に溝を形成することにより、6箇所の溝形成位置において分割された、破断面の乱れがない6つの円弧状磁石を容易に得ることができた。
(実施例5)
円筒状の加工前磁石に、その中心軸を基軸とする8つの回転対称位置に溝を形成して破断分割試験を行った。
具体的には、実施例2と同じ筒状の加工前磁石に、実施例1と同様のレーザー加工機によって深さ0.3mm、幅0.1mmの溝を、その中心軸を基軸とする8つの回転対称位置(隣接する回転対称位置間の開き角度は45°)に形成した。なお、この8つの回転対称位置のうち、荷重P(700N)を加える予定の2方向のうちのひとつとの角度θが0°、180°である2箇所(曲げモーメントMが負である位置)は内側面に溝を形成し、角度θが45°、90°、135°、225°、270°、315°である6箇所(曲げモーメントMが正である位置)は外側面に溝を形成した(図12)。
この溝入磁石について、図12に示す矢印の2方向から実施例2と同様に荷重Pを加えて破断分割を行った。
この結果、曲げモーメントMが負である位置には内側面に、曲げモーメントMが正である位置には外側面に溝を形成することにより、8箇所の溝形成位置において分割された、破断面の乱れがない8つの円弧状磁石を容易に得ることができた。
1 加工前磁石
3 溝入磁石
10 空洞
101 内側面
103 外側面
105 底面
201 中心軸
203 底面の中心(底面の外周線の中心)
301 回転対称位置
401 溝
α 内周線
β 外周線

Claims (2)

  1. 外側面、内側面および2つの底面を備えるリング状または筒状の加工前磁石を用意し、前記加工前磁石が備える2つの前記底面の外周線の中心をいずれも通る直線である中心軸を基軸とする4以上の回転対称位置を特定し、前記回転対称位置の各々における前記外側面および/または前記内側面に、深さが0.2~1.0mmである溝を形成して溝入磁石を得る溝形成工程と、
    前記溝入磁石の前記外側面に、前記中心軸に垂直な向かい合う2方向から荷重を加え、前記溝入磁石を破断して分割する分割工程と、を備え
    前記溝形成工程において、前記分割工程にて前記荷重を加えた場合に前記溝入磁石に生じる、下式(I)により算出される曲げモーメントMが負である前記回転対称位置には前記内側面に前記溝を形成し、前記曲げモーメントMが正である前記回転対称位置には前記外側面に前記溝を形成する、異形片状磁石の製造方法。
    (I) M=(P×R/2)×(|sinθ|-2/π)
    (式中、Pは前記分割工程にて前記溝入磁石に加える前記荷重(N)であり、Rは一方の前記底面における前記中心から前記回転対称位置の外周線までの長さと内周線までの長さとの平均値(mm)であり、θは前記荷重を加える方向から前記回転対称位置までの角度(°)である。)
  2. 前記溝形成工程が、前記回転対称位置の各々において前記内側面または前記外側面のいずれか一方のみに前記溝を形成する工程である、請求項1に記載の異形片状磁石の製造方法。
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