JP7251223B2 - 酸化物絶縁体膜形成用塗布液 - Google Patents
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Description
本実施の形態に係る酸化物絶縁体膜形成用塗布液は、ケイ素含有化合物と、アルカリ土類金属含有化合物と、溶媒とを少なくとも含有し、好ましくはアルミニウム含有化合物及びホウ素含有化合物の少なくとも何れかを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。前記溶媒は、引火点が21℃以上200℃未満である有機溶媒、及び水からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点は、37.8℃(華氏100度)以上である。
また、前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液においては、前記溶媒における引火点が70℃以上200℃未満である有機溶媒と水との合計量が50体積%以上であることが好ましい。
・n-デカン : 引火点46℃
・アセチルアセトン : 引火点34℃
・p-キシレン : 引火点27℃
・メシチレン(1,3,5-Trimethylbenzene) : 引火点50℃
・デカヒドロナフタレン(デカリン) : 引火点58℃
・プロピレングリコール1-モノメチルエーテル : 引火点32℃
・エチレングリコールモノメチルエーテル : 引火点42℃
・エチレングリコールモノイソプロピルエーテル : 引火点46℃
・N,N-ジメチルホルムアミド : 引火点58℃
・N,N-ジメチルアセトアミド : 引火点63℃
・1-ブタノール : 引火点37℃
・シクロペンタノール : 引火点47℃
・1-ペンタノール : 引火点43℃
・イソペンタノール : 引火点46℃
・1-ヘキサノール : 引火点63℃
・オクチル酸 : 引火点118℃
・シクロヘキシルベンゼン : 引火点99℃
・γ-ブチロラクトン : 引火点98℃
・エチレングリコール : 引火点111℃
・プロピレングリコール : 引火点99℃
・ホルムアミド : 引火点120℃
・1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン : 引火点107℃
・1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン : 引火点121℃
・フタル酸ジオクチル : 引火点 218℃
・フタル酸ベンジルブチル : 引火点213℃
前記ケイ素含有化合物としては、例えば、無機ケイ素化合物、有機ケイ素化合物などが挙げられる。
前記ケイ素含有化合物の引火点の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ケイ素含有化合物の引火点は、10℃以上であってもよい。
前記アルカリ土類金属含有化合物としては、例えば、無機アルカリ土類金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物などが挙げられる。
前記アルミニウム含有化合物としては、例えば、無機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物などが挙げられる。
前記ホウ素含有化合物としては、例えば、無機ホウ素化合物、有機ホウ素化合物などが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒、無機酸などが挙げられる。それらの中でも、有機溶媒が好ましい。
前記有機溶媒としては、目的に応じて適宜選択することができるが、有機酸、有機酸エステル、芳香族化合物、ジオール、グリコールエーテル、非プロトン性極性溶媒、アルカン化合物、アルケン化合物、エーテル化合物、及びアルコールからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記有機酸としては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、酢酸、乳酸、プロピオン酸、オクチル酸、ネオデカン酸及びそれらの誘導体などが好ましい。
前記有機酸エステルとしては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、乳酸メチル、プロピオン酸プロピル、及びそれらの誘導体などが好ましい。
前記芳香族化合物としては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、キシレン、メシチレン、テトラリン及びそれらの誘導体などが好ましい。
前記ジオールとしては、目的に応じて適宜選択することができるが、アルカンジオール、ジアルキレングリコールが好ましい。前記ジオールの炭素数としては、2~6が好ましい。前記ジオールとしては、ジエチレングリコール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-ブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記グリコールエーテルとしては、目的に応じて適宜選択することができるが、アルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。前記グリコールエーテルの炭素数としては、3~8が好ましい。
前記非プロトン性極性溶媒は、原料化合物をよく溶解し、かつ溶解後の安定性が高いため、前記非プロトン性極性溶媒を前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液に用いることにより、均一性が高く、欠陥の少ない酸化物絶縁体膜を得ることができる。
前記アルカン化合物としては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、n-ノナン、デカン、テトラデカン、デカリン及びそれらの誘導体などが好ましい。
前記アルケン化合物としては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1-ドデセン、1-テトラデセン、及びそれらの誘導体などが好ましい。
前記エーテル化合物としては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ベンゾフラン、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体などが好ましい。
前記アルコールとしては、炭素数4以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1-ブタノール、シクロペンタノール、2-ヘキサノール及びそれらの誘導体などが好ましい。
前記無機酸としては、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、弗酸などが好ましい。
前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各元素を含有する化合物又はその溶液と、前記溶媒とを所望の割合で混合する方法などが挙げられる。
本実施の形態に係る酸化物絶縁体膜の一態様は、本実施の形態に係る前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液を被塗物に塗布し、乾燥させた後に焼成を行って得られる。
本実施の形態に係る酸化物絶縁体膜の製造方法では、本実施の形態に係る前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液を被塗物に塗布し、乾燥させた後に焼成を行う。
本実施の形態に係る電界効果型トランジスタは、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、活性層と、ゲート絶縁層と、パッシベーション層と、を少なくとも有し、更に必要に応じて、層間絶縁層などのその他の部材を有する。
基材11の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ガラス基材、セラミック基材、プラスチック基材、フィルム基材等を用いることができる。
ゲート電極12の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Mo、Al、Ag、Cu等の金属及びそれらの合金、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)等の透明導電性酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン(PANI)等の有機導電体などが挙げられる。
ゲート電極12の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、ディップコーティング法等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする方法、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する方法などが挙げられる。
ゲート絶縁層13の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiO2、SiNx、Al2O3等の既に広く量産に利用されている材料や、La2O3、HfO2等の高誘電率材料、ポリイミド(PI)やフッ素系樹脂等の有機材料などが挙げられる。
ゲート絶縁層13の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタ、化学気相蒸着(CVD)、原子層蒸着(ALD)等の真空成膜法、スピンコート、ダイコート、インクジェット等の印刷法などが挙げられる。
ソース電極14及びドレイン電極15の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Mo、Al、Ag、Cu等の金属及びそれらの合金、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)等の透明導電性酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン(PANI)等の有機導電体などが挙げられる。
ソース電極14及びドレイン電極15の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(i)スパッタ法、ディップコーティング法等による成膜後、フォトリソグラフィーによってパターニングする方法、(ii)インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷プロセスによって、所望の形状を直接成膜する方法などが挙げられる。
活性層16の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン半導体、酸化物半導体などが挙げられる。前記シリコン半導体としては、例えば、多結晶シリコン(p-Si)、アモルファスシリコン(a-Si)などが挙げられる。前記酸化物半導体としては、例えば、In-Ga-Zn-O、I-Z-O、In-Mg-Oなどが挙げられる。これらの中でも酸化物半導体が好ましい。
活性層16の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタ法、パルスレーザーデポジッション(PLD)法、CVD法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等の真空プロセスや、ディップコーティング、スピンコート、ダイコート等の溶液プロセスによる成膜後、フォトリソグラフィーによってパターンニングする方法、インクジェット、ナノインプリント、グラビア等の印刷法によって、所望の形状を直接成膜する方法などが挙げられる。
パッシベーション層17の機能の一つとしては、大気中の水分、酸素、水素等から、少なくとも活性層を隔離保護する等の機能を持つ層のことを示す。又、パッシベーション層17は、活性層のみならず、電界効果型トランジスタの他の構成要素(例えば、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極)を保護するものであってもよい。パッシベーション層17の機能の一つとしては、電界効果型トランジスタ上に形成される層の材料や、その形成プロセスから電界効果型トランジスタ(の少なくとも一部)を保護する役割を持つ。
(酸化物絶縁体膜形成用塗布液の作製)
キシレン500mLとシクロヘキシベンゼン(CHB)500mLとの混合溶液に対し、ケイ素含有化合物としてテトラブトキシシランと、アルカリ土類金属含有化合物として2-エチルヘキサン酸カルシウムとを各金属元素が酸化物換算で90mmolと10mmolとなるように秤量・添加し、室温で混合して溶解させ、酸化物絶縁体膜形成用塗布液を作製した。
実施例1と同様の方法で、実施例2~49の酸化物絶縁体膜形成用塗布液を作製した。表1~3に実施例1~49の原料組成を示す。
実施例1と同様の方法で、比較例1~7の酸化物絶縁体膜形成用塗布液を作製した。表4,5に比較例1~7の原料組成を示す。
EGME:エレングリコールモノメチルエーテル
PGME:プロピレングリコール1-モノメチルエーテル
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
<溶媒B>
PG:1,2-プロピレングリコール
EG:エチレングリコール
CHB:シクロヘキシルベンゼン
GBL:γ-ブチロラクトン
DMI:1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン
DMPU:N,N'-ジメチルプロピレン尿素
<溶媒C>
H2O:水
<溶媒E>
DOP:フタル酸ジオクチル
BBP:フタル酸ベンジルブチル
<ケイ素含有化合物>
Si(OCH3)4:テトラメトキシシラン
Si(OC2H5)4:テトラエトキシシラン
Si(OC3H7)4:テトライソプロポキシシラン
Si(OC4H9)4:テトラブトキシシラン
Si(C8H15O2)4:2-エチルヘキサン酸ケイ素
HMDS:1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン
<アルカリ土類金属含有化合物>
Ca(C8H15O2)2:2-エチルヘキサン酸カルシウム
Sr(C8H15O2)2:2-エチルヘキサン酸ストロンチウム
Ba(C8H15O2)2:2-エチルヘキサン酸バリウム
Ca(C10H19O2)2:ネオデカン酸カルシウム
Sr(C10H19O2)2:ネオデカン酸ストロンチウム
Ba(C10H19O2)2:ネオデカン酸バリウム
Mg(NO3)2・6H2O:硝酸マグネシウム六水和物
MgCl2・6H2O:塩化マグネシウム六水和物
Ca(NO3)2・4H2O:硝酸カルシウム四水和物
CaCl2・2H2O:塩化カルシウム二水和物
Sr(NO3)2:硝酸ストロンチウム
SrCl2・6H2O:塩化ストロンチウム六水和物
BaCl2・2H2O:塩化バリウム二水和物
<アルミニウム含有化合物>
Al(C4H9O)3:アルミニウム-sec-ブトキシド
C14H27AlO5:アルミニウム(s-ブトキシド)アセト酢酸キレート
C15H21AlO6:アセチルアセトンアルミニウム
Al[OCH(CH3)2]3:アルミニウムイソプロポキシド
Al(NO3)3・9H2O:硝酸アルミニウム九水和物
AlCl3・6H2O:塩化アルミニウム(III)六水和物
<ホウ素含有化合物>
C9H21BO3:ホウ酸トリイソプロピル
C9H19BO3:2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
C6H7BO2:フェニルボロン酸
C8H9BO3:3-アセチルフェニルボロン酸
H3BO3:ホウ酸
実施例1~49、比較例5~7で作製した酸化物絶縁体膜形成用塗布液で形成した酸化物絶縁体膜をパッシベーション層17とし、図1に示すボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果型トランジスタ10を作製した。
最初に、基材11上にゲート電極12を形成した。具体的には、ガラス製の基材11上に、DCスパッタリングにより導電膜であるMo膜を平均膜厚が約100nmとなるよう成膜した。この後、フォトレジストを塗布し、プリベーク、露光装置による露光、及び現像により、ゲート電極12のパターンと同様のレジストパターンを形成した。更に、RIE(Reactive Ion Etching)により、レジストパターンの形成されていない領域のMo膜を除去した。この後、レジストパターンも除去することにより、ゲート電極12を形成した。
次に、ゲート絶縁層13を形成した。具体的には、プラズマCVDによりSiON膜を平均膜厚が300nmとなるように成膜した。この後、SiON膜上に、フォトレジストを塗布し、プリベーク、露光装置による露光、及び現像により、形成されるゲート絶縁層13のパターンと同様のレジストパターンを形成した。更に、RIEにより、レジストパターンの形成されていない領域のSiON膜を除去した。この後、レジストパターンも除去することにより、ゲート絶縁層13を形成した。
次に、ソース電極14及びドレイン電極15を形成した。具体的には、ゲート絶縁層13上にDCスパッタリングにより導電膜であるMo膜を平均膜厚が約100nmとなるように成膜し、この後、Mo膜上に、フォトレジストを塗布し、プリベーク、露光装置による露光、及び現像により、形成されるソース電極14及びドレイン電極15のパターンと同様のレジストパターンを形成した。更に、RIEにより、レジストパターンの形成されていない領域のMo膜を除去した。この後、レジストパターンも除去することにより、Mo膜からなるソース電極14及びドレイン電極15を形成した。
次に、活性層16を形成した。具体的には、DCスパッタリングにより、IGZO膜を平均膜厚が約100nmとなるように成膜した。この後、IGZO膜上に、フォトレジストを塗布し、プリベーク、露光装置による露光、及び現像により、形成される活性層16のパターンと同様のレジストパターンを形成した。更に、RIEにより、レジストパターンの形成されていない領域のIGZO膜を除去した。この後、レジストパターンも除去することにより、活性層16を形成した。これにより、ソース電極14とドレイン電極15との間にチャネルが形成されるように活性層16が形成された。
次に実施例1~49、比較例5~7で作製した酸化物絶縁体膜形成用塗布液をそれぞれ用い、スピンコート法により活性層16上に塗布した。活性層16上に酸化物絶縁体膜形成用塗布液が塗布された基材11を120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥させた後、大気雰囲気中400℃で1時間焼成して、パッシベーション層17として透明な酸化物絶縁体膜を得た。形成された酸化物絶縁体膜(パッシベーション層17)の膜厚は約50nmであった。
実施例1~49、比較例1~7で作製した酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点をセタ密閉法により測定した。その結果を表6~表8に示す。
実施例1~49、比較例5~7で作製した酸化物絶縁体膜形成用塗布液の溶媒を除去した後、白金坩堝に入れて1600℃に加熱及び溶融後、フロート法により直径5mm、高さ10mmの円柱状物を作製した。作製した円柱状物について、20℃~300℃の温度範囲における平均線膨張係数を、熱機械分析装置(8310シリーズ、株式会社リガク製)を用いて測定した。その結果を表6~表8に示す。作製した円柱状物は、各例の電界効果型トランジスタの保護層と同じ組成であり、線膨張係数に関しても同じ値をとる。
実施例1~49、比較例5~7で作製した電界効果型トランジスタの外観評価結果(剥離の有無)を表6~表8に示す。
実施例1~49で作製した電界効果型トランジスタの移動度、及び閾値電圧(Vth)を算出した。又、実施例1~49で作製した電界効果型トランジスタに対し、大気中(温度50℃、相対湿度50%)でBTS(Bias Temperature Stress)試験を100時間実施した。
(1)Vgs=+10V、及びVds=0V
(2)Vgs=+10V、及びVds=+10V
(3)Vgs=-10V、及びVds=0V
(4)Vgs=-10V、及びVds=+10V
BTS試験が一定時間経過するごとに、Vds=+10Vとした場合の、VgsとIdsとの関係(Vgs-Ids)を測定し、ストレス時間100時間における閾値電圧の変化量(ΔVth)を評価した。ストレス時間100時間における閾値電圧の変化量(ΔVth)が3V以下の場合、高信頼性と表現する。
<引火点>
表6~表8に示すように、実施例1~49、比較例5~7で作製した酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点は全て40℃以上であり、良好な安全性を示した。一方、比較例1~4で作製した酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点はそれぞれ20℃、24℃であり、40℃以下であることが確認された。
表6~表8に示すように、実施例1~49で作製した酸化物絶縁体膜の線膨張係数は3.0×10-6~6.0×10-6の範囲であるのに対し、比較例5~7で作製した酸化物絶縁体膜の線膨張係数は5.0×10-7~2.0×10-6の範囲であった。
表6~表8に示すように、実施例1~49で作製した電界効果型トランジスタのパッシベーション層は剥離などの異常は見られなかったのに対し、比較例3~5で作製した電界効果型トランジスタのパッシベーション層は、剥離が確認された。
表6~表7に示すように、実施例1~49で作製した電界効果型トランジスタのBTS試験の結果、全実施例においてΔVthが3V以内であり、高信頼性を示すことが確認された。
<1> 酸化物絶縁体膜形成用塗布液であって、
ケイ素含有化合物と、アルカリ土類金属含有化合物と、溶媒と、を含有し、
前記溶媒が、引火点が21℃以上200℃未満である有機溶媒、及び水からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点が、37.8℃以上であることを特徴とする酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<2> 前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点が、40℃以上である前記<1>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<3> 前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点が、50℃以上である前記<1>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<4> 前記ケイ素含有化合物の引火点が、21℃以上70℃未満である前記<1>から<3>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<5> 前記ケイ素含有化合物の引火点が、21℃未満である前記<1>から<3>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<6> 前記溶媒が、引火点が70℃以上200℃未満である有機溶媒、及び水からなる群から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<7> 前記溶媒における引火点が70℃以上200℃未満である有機溶媒と水との合計量が50体積%以上である前記<6>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<8> 前記ケイ素含有化合物は、有機ケイ素化合物を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<9> 前記有機ケイ素化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、及びフェニル基の少なくとも何れかを有する前記<8>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<10> 前記ケイ素含有化合物は、無機ケイ素化合物を含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<11> 前記アルカリ土類金属含有化合物は、有機アルカリ土類金属化合物を含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<12> 前記有機アルカリ土類金属化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェニル基、アセチルアセトナート基、及びスルホン酸基の少なくとも何れかを有する前記<11>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<13> 前記アルカリ土類金属含有化合物は、無機アルカリ土類金属化合物を含む前記<1>から<12>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<14> 更に、アルミニウム含有化合物及びホウ素含有化合物の少なくとも何れかを含有する前記<1>から<13>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<15> 前記アルミニウム含有化合物及びホウ素含有化合物の少なくとも何れかの引火点が70℃未満である前記<14>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<16> 前記アルミニウム含有化合物は、有機アルミニウム化合物を含む前記<14>から<15>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<17> 前記有機アルミニウム化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アセチルアセトナート基、及びスルホン酸基の少なくとも何れかを有する前記<16>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<18> 前記アルミニウム含有化合物は、無機アルミニウム化合物を含む前記<14>から<15>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<19> 前記ホウ素含有化合物は、有機ホウ素化合物を含む前記<14>から<15>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<20> 前記有機ホウ素化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェニル基、スルホン酸基、及びチオフェン基の少なくとも何れかを有する前記<19>に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
<21> 前記ホウ素含有化合物は、無機ホウ素化合物を含む前記<14>から<15>のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液である。
11 基材
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁層
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 活性層
17 パッシベーション層
Claims (20)
- 酸化物絶縁体膜形成用塗布液であって、
引火点が21℃未満であるケイ素含有化合物と、アルカリ土類金属含有化合物と、溶媒と、を含有し、
前記溶媒が、引火点が21℃以上200℃未満である有機溶媒、及び水からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点が、40℃以上であることを特徴とする酸化物絶縁体膜形成用塗布液。 - 前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点が、50℃以上である請求項1に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記ケイ素含有化合物の引火点が、21℃以上70℃未満である請求項1から2のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記溶媒が、引火点が70℃以上200℃未満である有機溶媒、及び水からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1から3のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記溶媒における引火点が70℃以上200℃未満である有機溶媒と水との合計量が50体積%以上である請求項4に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記ケイ素含有化合物は、有機ケイ素化合物を含む請求項1から5のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記有機ケイ素化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、及びフェニル基の少なくとも何れかを有する請求項6に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記ケイ素含有化合物は、無機ケイ素化合物を含む請求項1から7のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記アルカリ土類金属含有化合物は、有機アルカリ土類金属化合物を含む請求項1から8のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記有機アルカリ土類金属化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェニル基、アセチルアセトナート基、及びスルホン酸基の少なくとも何れかを有する請求項9に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記アルカリ土類金属含有化合物は、無機アルカリ土類金属化合物を含む請求項1から10のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 更に、アルミニウム含有化合物及びホウ素含有化合物の少なくとも何れかを含有する請求項1から11のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記アルミニウム含有化合物及びホウ素含有化合物の少なくとも何れかの引火点が70℃未満である請求項12に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記アルミニウム含有化合物は、有機アルミニウム化合物を含む請求項12から13のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記有機アルミニウム化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アセチルアセトナート基、及びスルホン酸基の少なくとも何れかを有する請求項14に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記アルミニウム含有化合物は、無機アルミニウム化合物を含む請求項12から13のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記ホウ素含有化合物は、有機ホウ素化合物を含む請求項12から13のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記有機ホウ素化合物は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、フェニル基、スルホン酸基、及びチオフェン基の少なくとも何れかを有する請求項17に記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 前記ホウ素含有化合物は、無機ホウ素化合物を含む請求項12から13のいずれかに記載の酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
- 酸化物絶縁体膜形成用塗布液であって、
ケイ素含有化合物と、無機アルカリ土類金属含有化合物と、溶媒と、を含有し、
前記無機アルカリ土類金属含有化合物は前記溶媒中に溶解しており、
前記溶媒が、引火点が21℃以上200℃未満である有機溶媒、及び水からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記酸化物絶縁体膜形成用塗布液の引火点が、40℃以上であることを特徴とする酸化物絶縁体膜形成用塗布液。
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