本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1及び図2に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図2から図4、図10に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図1及び図3に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
〔乗用型田植機の基本構成〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1から図3に示されているように、乗用型田植機100には、走行機体1と、圃場に対する苗の植え付けが可能な苗植付装置2と、施肥装置3(本発明に係る「粉粒体供給装置」に相当)と、が備えられている。
走行機体1は、運転座席11と、ハンドル12と、タッチパネル13(本発明に係る「報知部」に相当)と、主変速レバー14と、エンジン15と、変速装置16と、前車輪17及び後車輪18と、を備えている。具体的には、走行機体1は、エンジン15の動力が変速装置16を介して前車輪17及び後車輪18に伝達されて走行を行うようになっており、作業者が運転座席11に着座し、ハンドル12等により操作を行ったり、タッチパネル13により自動走行制御などの種々の制御を指示することで、目的に応じた走行を行うようになっている。
また、走行機体1には、周知の技術であるGPS(Global Positioning System)を利用して、走行機体1の位置を測定する衛星測位装置19も設けられている。
苗植付装置2は、苗載せ台21と、苗植付作業部22と、を備える。苗植付装置2は8条植え形式に構成されているが、植付各条クラッチ(不図示)を操作することにより植え付け条数を変更することができ、たとえば2条ごとに、苗植付作業を行うか否かを制御することができる。また、詳述はしないが、変速装置16により変速された後のエンジン15の動力がモータ駆動式の植付クラッチ(不図示)を介して苗植付装置2に伝達されることで、苗植付作業部22が苗植付作業を行うようになっている。
施肥装置3は、圃場に肥料(本発明に係る「農用資材」に相当)を供給するようになっており、そのために、粉粒状の肥料が貯留されるホッパー31(本発明に係る「貯留部」に相当)と、ホッパー31に貯留された肥料を繰り出す第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32d(それぞれ、本発明に係る「繰出部」に相当)と、第1電動モータ33と、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに対応する第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dと、送風を行うブロア35と、圃場に肥料供給用の溝を形成するための8個の作溝器37と、作溝器37に形成された溝に対し肥料を供給する8本のホース38と、を備えている。
また、施肥装置3には整地フロート36が設けられており、走行機体1の走行に伴い圃場が整地されるようになっている。
図4に示すように、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dの内部には、それぞれ、回転に伴って肥料を所定量ずつ繰り出す回転部材39が設けられている。そして、図3及び図4に示すように、回転部材39に接続された4個の入力ギヤ321が、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dの横側面に備えられている。
第1電動モータ33は、第1減速機構RM1を介して駆動軸331に接続されている。即ち、第1電動モータ33は、第1減速機構RM1を介して、駆動軸331に回転動力を付与可能である。また、言い換えれば、動力伝達経路における第1電動モータ33と駆動軸331との間に、第1減速機構RM1が設けられている。そして、第1減速機構RM1は、第1電動モータ33からの回転動力を減速するように構成されている。尚、第1電動モータ33は、駆動軸331の右端部に取り付けられている。
また、施肥装置3は、4個の駆動ギヤ341を有している。これらの駆動ギヤ341は、駆動軸331に対して相対回転可能な状態で設けられている。また、駆動ギヤ341は、それぞれ、入力ギヤ321に咬合している。
第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dは、4個の駆動ギヤ341に対応して設けられている。そして、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dは、それぞれ、入状態では、対応する駆動ギヤ341を、駆動軸331に対して相対回転不能に連結する。また、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dは、それぞれ、切状態では、対応する駆動ギヤ341と、駆動軸331と、の間の連結を解除する。
以上の構成により、第1電動モータ33からの回転動力は、第1減速機構RM1を介して、駆動軸331に伝達される。
そして、第1クラッチ34aは、第1繰出部32aへの駆動軸331からの回転動力の伝達を断続する。また、第2クラッチ34bは、第2繰出部32bへの駆動軸331からの回転動力の伝達を断続する。また、第3クラッチ34cは、第3繰出部32cへの駆動軸331からの回転動力の伝達を断続する。また、第4クラッチ34dは、第4繰出部32dへの駆動軸331からの回転動力の伝達を断続する。
そして、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dは、何れも、駆動軸331からの回転動力によって駆動される。また、回転部材39は、駆動軸331からの回転動力によって回転する。
また、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dの入切状態は、それぞれ独立して制御することができる。
第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dをそれぞれ独立に制御することによって、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに対応する2条ごとに(2本のホース38ごとに)、施肥を行うか否かを制御することができる。かかる制御は、苗植付装置2の2条ごとの苗植付作業の実施または不実施の制御と連動していてもよい。すなわち、2条ごとに、苗植付および施肥を、双方とも行うか、双方とも行わないか、のいずれかを選択できるように構成してもよい。
また、図3及び図4に示すように、施肥装置3は、第2電動モータ40を備えている。第2電動モータ40は、第1電動モータ33とは別に設けられている。尚、第1電動モータ33及び第2電動モータ40には、バッテリー(不図示)から電力が供給される。
第2電動モータ40は、第2減速機構RM2及びワンウェイクラッチ41を介して駆動軸331に接続されている。即ち、第2電動モータ40は、第2減速機構RM2及びワンウェイクラッチ41を介して、駆動軸331に回転動力を付与可能である。また、言い換えれば、動力伝達経路における第2電動モータ40と駆動軸331との間に、第2減速機構RM2及びワンウェイクラッチ41が設けられている。そして、第2減速機構RM2は、第2電動モータ40からの回転動力を減速するように構成されている。尚、第2電動モータ40は、駆動軸331の左端部に、ワンウェイクラッチ41を介して取り付けられている。
第2電動モータ40の駆動が停止しているとき、駆動軸331の回転動力は、ワンウェイクラッチ41により遮断され、第2電動モータ40には伝達されない。また、第2電動モータ40が駆動しているとき、ワンウェイクラッチ41は、第2電動モータ40からの回転動力を駆動軸331へ伝達する。
〔施肥装置の動作および制御〕
施肥装置3により水田に肥料が供給される動作を説明する。図3に示すように、ブロア35はブロア用電動モータ351により駆動されるように構成されている。ブロア35と、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dと、にわたって供給ダクト352が接続されている。第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれにおける吸入部が、供給ダクト352に挿入されている。
ブロア35の送風が供給ダクト352を介して第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dに供給される。そして、ホッパー31から肥料が所定量ずつ第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dにより繰り出されると、ブロア35の送風により肥料がホース38を通って作溝器37に供給され、作溝器37を介して水田に供給される。
〔制御部に関する構成〕
図5に示すように、乗用型田植機100は、制御部5、負荷情報取得部9、カウント部10、車速センサSE1、HST回転センサSE2、主変速レバー操作位置センサSE3、光センサSE4、ホッパー重量センサSE5、計量開始スイッチSWを備えている。
尚、制御部5、負荷情報取得部9、カウント部10、車速センサSE1、光センサSE4、ホッパー重量センサSE5、計量開始スイッチSWは、施肥装置3に含まれている。
負荷情報取得部9は、電流値センサ91及び回転速度センサ92を有している。
また、制御部5は、判定部7、クラッチ制御部8、目標供給量決定部51、目標供給量取得部52、第1電動モータ制御部53、第2電動モータ制御部54、密度取得部56、密度算出部57、ホッパー詰まり検知部59、交換時期予測部61、HST異常診断部62、肥料切れ警告部63を有している。
第1電動モータ制御部53は、正逆回転処理部58及び停止部60を有している。また、第2電動モータ制御部54は、駆動処理部55を有している。
また、判定部7は、過負荷判定部71及び解消判定部72を有している。
また、クラッチ制御部8は、クラッチ制御処理部81を有している。クラッチ制御部8は、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dを制御する。
また、カウント部10は、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれにおける回転部材39の回転回数をカウントする。カウント部10によりカウントされた回転回数は、第1電動モータ制御部53、ホッパー詰まり検知部59、交換時期予測部61へ送られる。
図5に示すように、第1電動モータ制御部53は、第1電動モータ33を制御する。また、第1電動モータ制御部53は、肥料を圃場に供給するための通常モードと、第1繰出部32aから繰り出される肥料を計量するための計量モードと、を有している。
また、第2電動モータ制御部54は、第2電動モータ40を制御する。
〔計量ルーチンについて〕
作業者によって計量開始スイッチSWが操作されると、所定の信号が第1電動モータ制御部53及びクラッチ制御部8へ送られる。そして、これにより、第1電動モータ制御部53が計量モードになると共に、図6に示す計量ルーチンが実行される。尚、この計量ルーチンは、制御部5に格納されている。以下、図6に示す計量ルーチンについて説明する。
計量ルーチンが実行されると、まず、ステップS01の処理が実行される。ステップS01では、クラッチ制御部8により、第1クラッチ34aが入状態に制御されると共に、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dが切状態に制御される。次に、処理はステップS02へ移行する。
ステップS02では、第1電動モータ制御部53の制御により、第1電動モータ33が予め設定された第1回転速度で回転を開始する。
このように、計量開始スイッチSWが操作された場合、第1電動モータ制御部53は、計量モードで第1電動モータ33の駆動を開始する。
そして、このとき、第1電動モータ33の回転動力は、駆動軸331を介して、第1繰出部32aに伝達される。また、このとき、第1電動モータ33の回転動力は、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dには伝達されない。
即ち、計量開始スイッチSWが操作された場合、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのうち、第1繰出部32aのみが駆動され、且つ、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dは駆動されない。
次に、処理はステップS03へ移行する。ステップS03では、カウント部10によりカウントされた第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が予め設定された設定回数に達したか否かが判定される。尚、ステップS03における判定は、カウント部10から第1電動モータ制御部53へ送られる回転回数に基づいて、第1電動モータ制御部53によって行われる。
ステップS03でNoと判定された場合、処理は再びステップS03を実行する。即ち、ステップS02で第1電動モータ33が第1回転速度で回転を開始してから、第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達するまでの間、処理はステップS03を繰り返すこととなる。
そして、第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達すると、ステップS03でYesと判定され、処理はステップS04へ移行する。
ステップS04では、第1電動モータ制御部53の制御により、第1電動モータ33の駆動が停止する。
このように、第1電動モータ制御部53は、計量モードにおいて、カウント部10によりカウントされた回転回数が予め設定された設定回数に達したとき、第1電動モータ33の駆動を停止する。
次に、処理はステップS05へ移行する。ステップS05では、第1電動モータ制御部53の制御により、第1電動モータ33が予め設定された第2回転速度で回転を開始する。尚、第2回転速度は、第1回転速度とは異なる回転速度である。また、第2回転速度は、第1回転速度より高速でも良いし、低速でも良い。
このように、第1電動モータ制御部53は、計量モードにおいて、第1電動モータ33が予め設定された第1回転速度で回転した後、第1回転速度とは異なる予め設定された第2回転速度で回転するように、第1電動モータ33を制御する。
そして、このとき、第1電動モータ33の回転動力は、駆動軸331を介して、第1繰出部32aに伝達される。また、このとき、第1電動モータ33の回転動力は、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dには伝達されない。
即ち、このとき、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのうち、第1繰出部32aのみが駆動され、且つ、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dは駆動されない。
次に、処理はステップS06へ移行する。ステップS06では、カウント部10によりカウントされた第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が予め設定された設定回数に達したか否かが判定される。尚、ステップS06における判定は、カウント部10から第1電動モータ制御部53へ送られる回転回数に基づいて、第1電動モータ制御部53によって行われる。
ステップS06でNoと判定された場合、処理は再びステップS06を実行する。即ち、ステップS05で第1電動モータ33が第2回転速度で回転を開始してから、第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達するまでの間、処理はステップS06を繰り返すこととなる。尚、ステップS03における設定回数とステップS06における設定回数とは、互いに同一でも良いし、異なっていても良い。
そして、第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達すると、ステップS06でYesと判定され、処理はステップS07へ移行する。
ステップS07では、第1電動モータ制御部53の制御により、第1電動モータ33の駆動が停止する。そして、この計量ルーチンは終了する。
尚、以上で説明した計量ルーチンが実行されている間、ブロア35が駆動されている。
〔肥料の密度について〕
計量ルーチンが実行されている間、第1繰出部32aに接続している2本のホース38から肥料が吐出される。作業者は、これらのホース38から吐出された肥料を容器に受け入れ、その重量を測定する。このとき、作業者は、第1電動モータ33が第1回転速度で回転している間に吐出された肥料の重量と、第1電動モータ33が第2回転速度で回転している間に吐出された肥料の重量と、を別々に測定する。
尚、計量開始スイッチSWは、機体右側に配置されている。また、図2に示すように、第1繰出部32aに接続している2本のホース38は、機体右側に位置している。この構成により、作業者は、計量開始スイッチSWを操作した後、大きく移動することなく、肥料の重量の測定を行うことができる。
そして、作業者は、測定により得られた肥料の重量を、タッチパネル13に入力する。図5に示すように、入力された肥料の重量は、密度算出部57へ送られる。また、第1電動モータ制御部53から、第1回転速度と、第2回転速度と、設定回数と、が密度算出部57へ送られる。
密度算出部57は、タッチパネル13から受け取った肥料の重量、及び、第1電動モータ制御部53から受け取った第1回転速度、第2回転速度、設定回数、に基づいて、肥料の密度を算出する。
密度算出部57により算出された肥料の密度は、密度取得部56により取得される。このように、密度取得部56は、肥料の密度を取得するように構成されている。
密度取得部56により取得された肥料の密度は、第1電動モータ制御部53へ送られる。
尚、本明細書における「肥料の密度」は、肥料の単位体積当たりの重量だけではなく、肥料の単位体積当たりの重量に相関する値やマップを含む。即ち、本明細書における「肥料の密度」は、駆動軸331や回転部材39等の施肥装置3における回転する部材が所定の回転速度で単位回転回数だけ回転する間に実際に繰り出される肥料の重量を含む。さらに、本明細書における「肥料の密度」は、第1電動モータ33の回転速度と、駆動軸331や回転部材39等の施肥装置3における回転する部材が単位回転回数だけ回転する間に実際に繰り出される肥料の重量と、の相関関係を示すマップを含む。
即ち、密度算出部57により算出される肥料の密度は、肥料の単位体積当たりの重量であっても良いし、駆動軸331または回転部材39が所定の回転速度で単位回転回数だけ回転する間に実際に繰り出される肥料の重量であっても良いし、第1電動モータ33の回転速度と、駆動軸331または回転部材39が単位回転回数だけ回転する間に実際に繰り出される肥料の重量と、の相関関係を示すマップであっても良い。
〔目標供給量について〕
乗用型田植機100が圃場において作業を行う際、車速センサSE1は、走行機体1の車速を経時的に検知する。そして、図5に示すように、車速センサSE1により検知された車速は、経時的に、目標供給量決定部51へ送られる。また、衛星測位装置19により測定された走行機体1の位置も、経時的に、目標供給量決定部51へ送られる。
目標供給量決定部51は、車速センサSE1から受け取った車速と、衛星測位装置19から受け取った走行機体1の位置と、に基づいて、目標供給量を経時的に決定する。尚、目標供給量とは、単位時間当たりに第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dによって繰り出される肥料の目標量である。
ここで、目標供給量の決定について詳述すると、車速が高速であるほど、目標供給量は大きくなる。また、本実施形態においては、圃場が複数の微小区画に区切られている。そして、各微小区画に対して、それぞれ、目標散布量が設定されている。目標供給量決定部51には、各微小区画に対する目標散布量が記憶されている。そして、走行機体1が位置している微小区画に対応する目標散布量に応じて、目標供給量が決定される。
そして、目標供給量決定部51により決定された目標供給量は、目標供給量取得部52により取得される。このように、目標供給量取得部52は、目標供給量を取得するように構成されている。
目標供給量取得部52により取得された目標供給量は、第1電動モータ制御部53へ送られる。
〔通常モードにおける第1電動モータの制御について〕
第1電動モータ制御部53は、通常モードにおいて、密度取得部56により取得された肥料の密度と、目標供給量取得部52により取得された目標供給量と、に基づいて、第1電動モータ33の回転速度を制御する。
目標供給量取得部52により取得された目標供給量と第1電動モータ33の回転速度との対応関係は、図7に示す通りである。
ここでは、通常モードの第1電動モータ制御部53による第1電動モータ33の制御の一例として、目標供給量がT1からT2に増加した場合について説明する。T2は、T1の2倍である。即ち、このとき、目標供給量の増加率は100%である。
そして、このとき、第1電動モータ33の回転速度は、第1電動モータ制御部53の制御により、V1からV2に増加する。V2は、V1の2倍よりも大きい。即ち、このとき、第1電動モータ33の回転速度の増加率は100%よりも大きい。
このように、目標供給量取得部52により取得される目標供給量が増加した場合、第1電動モータ制御部53は、第1電動モータ33の回転速度の増加率が、目標供給量の増加率よりも大きくなるように、第1電動モータ33を制御する。
そして、本実施形態においては、図7に示した対応関係に基づいて導出された第1電動モータ33の回転速度が、肥料の密度に基づいて補正されることにより、第1電動モータ33の回転速度の最終的な目標値が決定される。尚、このような肥料の密度に基づく補正は行われなくても良い。
〔過負荷状態に関する構成〕
電流値センサ91は、第1電動モータ33の電流値(本発明に係る「負荷情報」に相当)を経時的に取得する。また、回転速度センサ92は、第1電動モータ33の回転速度(本発明に係る「負荷情報」に相当)を経時的に取得する。
即ち、負荷情報取得部9は、第1電動モータ33の電流値と、第1電動モータ33の回転速度と、を経時的に取得する。尚、第1電動モータ33の電流値と、第1電動モータ33の回転速度と、は何れも、第1電動モータ33にかかる負荷を示す情報である。
負荷情報取得部9により取得された第1電動モータ33の電流値及び回転速度は、判定部7へ経時的に送られる。
判定部7における過負荷判定部71は、負荷情報取得部9により取得された第1電動モータ33の電流値と第1電動モータ33の回転速度との関係に基づいて、第1電動モータ33が過負荷状態であるか否かを判定する。
詳述すると、図8に示すように、第1電動モータ33の運転領域は、過負荷領域A1及び通常領域A2に分けられる。過負荷領域A1及び通常領域A2は、それぞれ、第1電動モータ33の電流値と、第1電動モータ33の回転速度と、に基づいて設定されている。
そして、第1電動モータ33の電流値及び回転速度が過負荷領域A1に含まれている場合、過負荷判定部71は、第1電動モータ33が過負荷状態であると判定する。また、第1電動モータ33の電流値及び回転速度が通常領域A2に含まれている場合、過負荷判定部71は、第1電動モータ33が過負荷状態でないと判定する。
過負荷判定部71により第1電動モータ33が過負荷状態であると判定された後、解消判定部72は、第1電動モータ33が過負荷状態から脱したか否かを判定する。
詳述すると、第1電動モータ33の電流値及び回転速度が過負荷領域A1に含まれている場合、解消判定部72は、第1電動モータ33が過負荷状態から脱していないと判定する。また、第1電動モータ33の電流値及び回転速度が通常領域A2に含まれている場合、解消判定部72は、第1電動モータ33が過負荷状態から脱したと判定する。
過負荷判定部71及び解消判定部72による判定結果は、第1電動モータ制御部53、第2電動モータ制御部54、クラッチ制御部8、タッチパネル13へ送られる。
過負荷判定部71により第1電動モータ33が過負荷状態であると判定された場合、第2電動モータ制御部54における駆動処理部55は、駆動処理を実行する。尚、駆動処理とは、第2電動モータ40を駆動させる処理である。
駆動処理において、第2電動モータ40は断続的に駆動される。即ち、駆動処理において、第2電動モータ40は、駆動と停止とを繰り返す。
尚、乗用型田植機100が圃場において作業を行っている間において、駆動処理以外では、第2電動モータ40は駆動されない。
また、駆動処理部55により駆動処理が実行された後、解消判定部72によって第1電動モータ33が過負荷状態から脱していないと判定された場合、第1電動モータ制御部53における停止部60は、第1電動モータ33の駆動を停止させる。
また、駆動処理部55により駆動処理が実行された後、解消判定部72によって第1電動モータ33が過負荷状態から脱していないと判定された場合、タッチパネル13は、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dに関する異常が発生している旨のメッセージを表示する。これにより、タッチパネル13は、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dに関する異常を報知する。
また、過負荷判定部71により第1電動モータ33が過負荷状態であると判定された場合、クラッチ制御部8におけるクラッチ制御処理部81は、クラッチ制御処理を実行する。尚、クラッチ制御処理とは、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dのうちの一つのクラッチを入状態に制御すると共に残余のクラッチを切状態に制御する処理である。
尚、本実施形態におけるクラッチ制御処理では、まず、第1クラッチ34aが入状態に制御され、残余のクラッチが切状態に制御される。次に、第2クラッチ34bが入状態に制御され、残余のクラッチが切状態に制御される。次に、第3クラッチ34cが入状態に制御され、残余のクラッチが切状態に制御される。最後に、第4クラッチ34dが入状態に制御され、残余のクラッチが切状態に制御される。
クラッチ制御処理は、上述の駆動処理に優先して実行される。そして、クラッチ制御処理部81によりクラッチ制御処理が実行された後、解消判定部72によって第1電動モータ33が過負荷状態から脱したと判定された場合、駆動処理部55は駆動処理を実行しない。
また、過負荷判定部71により第1電動モータ33が過負荷状態であると判定された場合、第1電動モータ制御部53における正逆回転処理部58は、正逆回転処理を実行する。尚、正逆回転処理とは、第1電動モータ33を正回転と逆回転とで交互に駆動させる処理である。
正逆回転処理は、上述の駆動処理及びクラッチ制御処理に優先して実行される。そして、正逆回転処理部58により正逆回転処理が実行された後、解消判定部72によって第1電動モータ33が過負荷状態から脱したと判定された場合、駆動処理部55は駆動処理を実行しない。また、この場合、クラッチ制御処理部81はクラッチ制御処理を実行しない。
〔過負荷ルーチンについて〕
乗用型田植機100が圃場において作業を行う場合、第1電動モータ制御部53は通常モードで作動する。そして、乗用型田植機100が圃場において作業を行っているときには、図9に示す過負荷ルーチンが実行される。尚、この過負荷ルーチンは、制御部5に格納されている。以下、図9に示す過負荷ルーチンについて説明する。
過負荷ルーチンが実行されると、まず、ステップS11の処理が実行される。ステップS11では、過負荷判定部71により、第1電動モータ33が過負荷状態であるか否かが判定される。
第1電動モータ33が過負荷状態でない場合は、ステップS11でNoと判定され、この過負荷ルーチンは一旦終了する。
第1電動モータ33が過負荷状態である場合は、ステップS11でYesと判定され、処理はステップS12へ移行する。
ステップS12では、正逆回転処理部58により、正逆回転処理が実行される。次に、処理はステップS13へ移行する。
ステップS13では、解消判定部72により、第1電動モータ33が過負荷状態から脱したか否かが判定される。
第1電動モータ33が過負荷状態から脱している場合、ステップS13でYesと判定され、この過負荷ルーチンは一旦終了する。
第1電動モータ33が過負荷状態から脱していない場合、ステップS13でNoと判定され、処理はステップS14へ移行する。
ステップS14では、クラッチ制御処理部81により、クラッチ制御処理が実行される。次に、処理はステップS15へ移行する。尚、処理がステップS15へ移行する際に、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dのそれぞれの入切状態は、クラッチ制御処理が実行される直前の状態に戻される。
ステップS15では、解消判定部72により、第1電動モータ33が過負荷状態から脱したか否かが判定される。
第1電動モータ33が過負荷状態から脱している場合、ステップS15でYesと判定され、この過負荷ルーチンは一旦終了する。
第1電動モータ33が過負荷状態から脱していない場合、ステップS15でNoと判定され、処理はステップS16へ移行する。
ステップS16では、駆動処理部55により、駆動処理が実行される。次に、処理はステップS17へ移行する。
ステップS17では、解消判定部72により、第1電動モータ33が過負荷状態から脱したか否かが判定される。
第1電動モータ33が過負荷状態から脱している場合、ステップS17でYesと判定され、この過負荷ルーチンは一旦終了する。
第1電動モータ33が過負荷状態から脱していない場合、ステップS17でNoと判定され、処理はステップS18へ移行する。
ステップS18では、停止部60により、第1電動モータ33の駆動が停止される。次に、処理はステップS19へ移行する。
ステップS19では、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dに関する異常が発生している旨のメッセージがタッチパネル13に表示される。これにより、タッチパネル13は、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dに関する異常を報知する。そして、この過負荷ルーチンは一旦終了する。
〔交換時期の予測について〕
交換時期予測部61は、カウント部10から受け取った第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれにおける回転部材39の回転回数に基づいて、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに含まれる部品の交換が必要となる時期を予測する。
より具体的には、交換時期予測部61は、カウント部10から受け取った回転回数を、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれについて個別に積算する。そして、積算した回転回数が所定の閾値に達した場合、積算を開始してから積算した回転回数が所定の閾値に達するまでの期間の長さに応じて、部品の交換が必要となる時期を予測する。
そして、交換時期予測部61は、予測した時期を示す信号を、タッチパネル13へ送る。タッチパネル13は、この信号に基づき、部品の交換が必要となる時期を表示する。また、タッチパネル13は、この信号に基づき、予測した時期が近付いた時点で、あるいは、予測した時期となったときに、部品の交換を促すメッセージを表示する。
〔HST異常診断について〕
乗用型田植機100における変速装置16は、静油圧式無段変速装置(不図示)を有している。主変速レバー14が操作されることにより、静油圧式無段変速装置における変速比が変化する。
ここで、HST回転センサSE2は、静油圧式無段変速装置の出力軸の回転速度を検知する。図5に示すように、HST回転センサSE2による検知結果は、HST異常診断部62へ送られる。
また、主変速レバー操作位置センサSE3は、主変速レバー14の操作位置を検知する。主変速レバー操作位置センサSE3による検知結果は、HST異常診断部62へ送られる。
HST異常診断部62は、HST回転センサSE2による検知結果と、主変速レバー操作位置センサSE3による検知結果と、に基づいて、静油圧式無段変速装置に異常が発生しているか否かを診断する。
より具体的には、HST異常診断部62は、静油圧式無段変速装置の出力軸の回転速度が、主変速レバー14の操作位置と齟齬している場合、静油圧式無段変速装置に異常が発生していると診断する。
HST異常診断部62は、静油圧式無段変速装置に異常が発生していると診断した場合、静油圧式無段変速装置に異常が発生していることを示す信号をタッチパネル13へ送る。タッチパネル13は、この信号に基づいて、静油圧式無段変速装置に異常が発生している旨のメッセージを表示する。
〔光センサについて〕
図3に示すように、光センサSE4は、ホッパー31の内側における底部に取り付けられている。光センサSE4は、光センサSE4に到達する光の強さを検知する。図5に示すように、光センサSE4による検知結果は、肥料切れ警告部63へ送られる。
肥料切れ警告部63は、光センサSE4から受け取った検知結果に基づいて、光センサSE4に到達する光の強さが所定の閾値を超えているか否かを判定する。肥料切れ警告部63は、光センサSE4に到達する光の強さが所定の閾値を超えていると判定した場合、ホッパー31内の肥料の残量が少ないことを示す信号、あるいは、ホッパー31内の肥料の残量がゼロであることを示す信号をタッチパネル13へ送る。タッチパネル13は、この信号に基づいて、ホッパー31内の肥料の残量が少ない旨のメッセージ、あるいは、ホッパー31内の肥料の残量がゼロである旨のメッセージを表示する。
また、作業者は、タッチパネル13を操作して、ホッパー31内の肥料の種類を入力することができる。また、タッチパネル13は、乗用型田植機100の外部に設置された管理サーバと通信することができるように構成されている。
タッチパネル13に入力された肥料の種類を示す情報は、タッチパネル13から管理サーバへ送られる。この情報に基づいて、管理サーバにおいて、適切な閾値を示すデータが生成される。このデータは、タッチパネル13を介して、肥料切れ警告部63へ送られる。このデータに基づいて、肥料切れ警告部63における判定のための閾値が設定される。
尚、このように設定された閾値が実際には不適切であった場合に、その旨を作業者からタッチパネル13を介して管理サーバへ報告できる構成であっても良い。この構成であれば、報告された内容に基づいて、管理サーバにおいて生成される閾値を修正することが可能となる。
〔ホッパー重量センサについて〕
ホッパー重量センサSE5は、ロードセルであり、ホッパー31の重量を経時的に検知する。ホッパー重量センサSE5による検知結果は、経時的に、第1電動モータ制御部53、ホッパー詰まり検知部59、タッチパネル13へ送られる。
第1電動モータ制御部53は、ホッパー31の重量の経時的な変化に基づいて、実供給量を算出する。尚、実供給量とは、単位時間当たりに第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dによって繰り出される肥料の実際の量である。
そして、第1電動モータ33の回転速度は、第1電動モータ制御部53により算出された実供給量に基づいてフィードバック制御される。
また、ホッパー詰まり検知部59は、ホッパー31の重量の経時的な変化に基づいて、ホッパー31または第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dにおける肥料の詰まりを検知する。
詳述すると、第1電動モータ33が駆動されているときに、ホッパー31の重量が、所定の重量以上であり、且つ、所定期間にわたって変化しなかった場合、ホッパー詰まり検知部59は、ホッパー31または第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dにおいて肥料が詰まっていることを検知する。
ホッパー詰まり検知部59は、ホッパー31または第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dにおいて肥料が詰まっていることを検知した場合、所定の信号を第1電動モータ制御部53へ送る。第1電動モータ制御部53がこの信号を受け取ると、正逆回転処理部58は、上述の正逆回転処理を実行する。これにより、肥料の詰まりが解消されやすくなる。
タッチパネル13は、ホッパー31の重量が所定の重量未満である場合、ホッパー31内の肥料の残量が少ない旨のメッセージ、あるいは、ホッパー31内の肥料の残量がゼロである旨のメッセージを表示する。
以上で説明した構成であれば、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dの何れかにおいて詰まりが発生することにより、第1電動モータ33が過負荷状態となると、第2電動モータ40が駆動される。このとき、第1電動モータ33のトルクと、第2電動モータ40のトルクと、が駆動軸331に作用する。これにより、比較的大きなトルクが駆動軸331に作用するため、詰まりを解消することができる。
しかも、以上で説明した構成であれば、第1電動モータ33及び第2電動モータ40として、それぞれ、出力可能な最大トルクが比較的小さい電動モータを採用することが可能となる。これにより、比較的大きな電圧を有するバッテリーを設ける必要がないため、製造コストの増大を抑制しやすい。
従って、以上で説明した構成であれば、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dの何れかにおいて発生した詰まりを解消できると共に、製造コストの増大を抑制しやすい。
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、第1電動モータ33の回転動力が、駆動軸331を介して、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dへ分配される。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
本発明に係る第1別実施形態においては、図10に示すように、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dは、何れも設けられていない。
そして、この第1別実施形態においては、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに対応する第1各条モータMT1、第2各条モータMT2、第3各条モータMT3、第4各条モータMT4が設けられている。
第1各条モータMT1、第2各条モータMT2、第3各条モータMT3、第4各条モータMT4のそれぞれの出力軸には、出力ギヤ201が取り付けられている。また、出力ギヤ201は、それぞれ、入力ギヤ321に咬合している。
即ち、第1各条モータMT1の回転動力は、出力ギヤ201及び入力ギヤ321を介して、第1繰出部32aに伝達される。また、第2各条モータMT2の回転動力は、出力ギヤ201及び入力ギヤ321を介して、第2繰出部32bに伝達される。また、第3各条モータMT3の回転動力は、出力ギヤ201及び入力ギヤ321を介して、第3繰出部32cに伝達される。また、第4各条モータMT4の回転動力は、出力ギヤ201及び入力ギヤ321を介して、第4繰出部32dに伝達される。
また、図11に示すように、この第1別実施形態における制御部5は、各条モータ制御部202を有している。そして、各条モータ制御部202は、第1各条モータMT1、第2各条モータMT2、第3各条モータMT3、第4各条モータMT4を、それぞれ個別に制御可能である。
この構成により、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dをそれぞれ個別に駆動することが可能である。
また、各条モータ制御部202は、肥料を圃場に供給するための通常モードと、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれから繰り出される肥料を計量するための計量モードと、を有している。
作業者によって計量開始スイッチSWが操作されると、所定の信号が各条モータ制御部202へ送られる。そして、これにより、各条モータ制御部202が計量モードになると共に、図12に示す各条計量ルーチンが実行される。尚、この各条計量ルーチンは、制御部5に格納されている。以下、図12に示す各条計量ルーチンについて説明する。
各条計量ルーチンが実行されると、まず、ステップS21の処理が実行される。ステップS21では、各条モータ制御部202の制御により、第1各条モータMT1が予め設定された第3回転速度で回転を開始する。
次に、処理はステップS22へ移行する。ステップS22では、カウント部10によりカウントされた第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が予め設定された設定回数に達したか否かが判定される。尚、ステップS22における判定は、カウント部10から各条モータ制御部202へ送られる回転回数に基づいて、各条モータ制御部202によって行われる。
ステップS22でNoと判定された場合、処理は再びステップS22を実行する。即ち、ステップS21で第1各条モータMT1が第3回転速度で回転を開始してから、第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達するまでの間、処理はステップS22を繰り返すこととなる。
そして、第1繰出部32aにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達すると、ステップS22でYesと判定され、処理はステップS23へ移行する。
ステップS23では、各条モータ制御部202の制御により、第1各条モータMT1の駆動が停止する。
次に、処理はステップS24へ移行する。ステップS24では、各条モータ制御部202の制御により、第2各条モータMT2が予め設定された第3回転速度で回転を開始する。
次に、処理はステップS25へ移行する。ステップS25では、カウント部10によりカウントされた第2繰出部32bにおける回転部材39の回転回数が予め設定された設定回数に達したか否かが判定される。尚、ステップS25における判定は、カウント部10から各条モータ制御部202へ送られる回転回数に基づいて、各条モータ制御部202によって行われる。
ステップS25でNoと判定された場合、処理は再びステップS25を実行する。即ち、ステップS24で第2各条モータMT2が第3回転速度で回転を開始してから、第2繰出部32bにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達するまでの間、処理はステップS25を繰り返すこととなる。
そして、第2繰出部32bにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達すると、ステップS25でYesと判定され、処理はステップS26へ移行する。
ステップS26では、各条モータ制御部202の制御により、第2各条モータMT2の駆動が停止する。
次に、処理はステップS27へ移行する。ステップS27では、各条モータ制御部202の制御により、第3各条モータMT3が予め設定された第3回転速度で回転を開始する。
次に、処理はステップS28へ移行する。ステップS28では、カウント部10によりカウントされた第3繰出部32cにおける回転部材39の回転回数が予め設定された設定回数に達したか否かが判定される。尚、ステップS28における判定は、カウント部10から各条モータ制御部202へ送られる回転回数に基づいて、各条モータ制御部202によって行われる。
ステップS28でNoと判定された場合、処理は再びステップS28を実行する。即ち、ステップS27で第3各条モータMT3が第3回転速度で回転を開始してから、第3繰出部32cにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達するまでの間、処理はステップS28を繰り返すこととなる。
そして、第3繰出部32cにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達すると、ステップS28でYesと判定され、処理はステップS29へ移行する。
ステップS29では、各条モータ制御部202の制御により、第3各条モータMT3の駆動が停止する。
次に、処理はステップS30へ移行する。ステップS30では、各条モータ制御部202の制御により、第4各条モータMT4が予め設定された第3回転速度で回転を開始する。
次に、処理はステップS31へ移行する。ステップS31では、カウント部10によりカウントされた第4繰出部32dにおける回転部材39の回転回数が予め設定された設定回数に達したか否かが判定される。尚、ステップS31における判定は、カウント部10から各条モータ制御部202へ送られる回転回数に基づいて、各条モータ制御部202によって行われる。
ステップS31でNoと判定された場合、処理は再びステップS31を実行する。即ち、ステップS30で第4各条モータMT4が第3回転速度で回転を開始してから、第4繰出部32dにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達するまでの間、処理はステップS31を繰り返すこととなる。
そして、第4繰出部32dにおける回転部材39の回転回数が設定回数に達すると、ステップS31でYesと判定され、処理はステップS32へ移行する。
ステップS32では、各条モータ制御部202の制御により、第4各条モータMT4の駆動が停止する。そして、この各条計量ルーチンは終了する。
各条計量ルーチンが実行されている間、各ホース38から肥料が吐出される。より具体的には、第1繰出部32aに接続している2本のホース38、第2繰出部32bに接続している2本のホース38、第3繰出部32cに接続している2本のホース38、第4繰出部32dに接続している2本のホース38、の順に、肥料が吐出される。
作業者は、これらのホース38から吐出された肥料を容器に受け入れ、その重量を測定する。このとき、作業者は、第1繰出部32aに接続している2本のホース38から吐出された肥料の重量と、第2繰出部32bに接続している2本のホース38から吐出された肥料の重量と、第3繰出部32cに接続している2本のホース38から吐出された肥料の重量と、第4繰出部32dに接続している2本のホース38から吐出された肥料の重量と、を別々に測定する。
そして、作業者は、測定により得られた肥料の重量を、タッチパネル13に入力する。図11に示すように、入力された肥料の重量は、密度算出部57へ送られる。また、各条モータ制御部202から、第3回転速度及び設定回数が密度算出部57へ送られる。
密度算出部57は、タッチパネル13から受け取った肥料の重量、及び、各条モータ制御部202から受け取った第3回転速度及び設定回数に基づいて、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに対応する肥料の密度を算出する。
密度算出部57により算出された肥料の密度は、密度取得部56により取得される。そして、密度取得部56により取得された肥料の密度は、各条モータ制御部202へ送られる。
各条モータ制御部202は、通常モードにおいて、密度取得部56により取得された肥料の密度に基づいて、第1各条モータMT1、第2各条モータMT2、第3各条モータMT3、第4各条モータMT4をそれぞれ個別に制御する。
即ち、各条モータ制御部202は、第1繰出部32aに対応する肥料の密度に基づいて、第1各条モータMT1を制御する。また、各条モータ制御部202は、第2繰出部32bに対応する肥料の密度に基づいて、第2各条モータMT2を制御する。また、各条モータ制御部202は、第3繰出部32cに対応する肥料の密度に基づいて、第3各条モータMT3を制御する。また、各条モータ制御部202は、第4繰出部32dに対応する肥料の密度に基づいて、第4各条モータMT4を制御する。
〔第2別実施形態〕
上記実施形態においては、第2電動モータ40が備えられている。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第2別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
本発明に係る第2別実施形態においては、第2電動モータ40は備えられていない。そして、この第2別実施形態では、図13に示す過負荷ルーチンが実行される。この過負荷ルーチンにおいては、駆動処理が実行されない。以下、図13に示す過負荷ルーチンについて説明する。
この第2別実施形態の過負荷ルーチンにおけるステップS41からステップS45で実行される処理は、上記実施形態の過負荷ルーチンにおけるステップS11からステップS15で実行される処理と同じである。そのため、ここでは、処理がステップS46へ移行した時点から説明する。
ステップS46では、停止部60により、第1電動モータ33の駆動が停止される。次に、処理はステップS47へ移行する。
ステップS47では、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dに関する異常が発生している旨のメッセージがタッチパネル13に表示される。これにより、タッチパネル13は、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dに関する異常を報知する。そして、この過負荷ルーチンは一旦終了する。
このように、この第2別実施形態では、第2電動モータ40が備えられておらず、また、駆動処理は実行されない。
尚、以上に記載した各実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
〔その他の実施形態〕
(1)交換時期予測部61は、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのうちの何れか一つにおける回転部材39の回転回数に基づいて、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに含まれる部品の交換が必要となる時期を予測するように構成されていても良い。また、交換時期予測部61は、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれにおける回転部材39の回転回数の合算値あるいは平均値に基づいて、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに含まれる部品の交換が必要となる時期を予測するように構成されていても良い。
(2)交換時期予測部61は、乗用型田植機100の外部に設置された管理サーバに備えられていても良い。その場合、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれにおける回転部材39の回転回数が、カウント部10から管理サーバへ送られる構成とすることができる。また、交換時期予測部61の予測した時期を示す信号が、管理サーバからタッチパネル13へ送られる構成とすることができる。また、交換時期予測部61の予測した時期が近付いた時点で、あるいは、予測した時期となったときに、管理サーバからタッチパネル13へ、部品の交換を促すメッセージが送信される構成とすることができる。
(3)HST異常診断部62は、乗用型田植機100の外部に設置された管理サーバに備えられていても良い。その場合、HST回転センサSE2による検知結果と、主変速レバー操作位置センサSE3による検知結果と、が管理サーバへ送られる構成とすることができる。また、HST異常診断部62により、静油圧式無段変速装置に異常が発生していると診断された場合、静油圧式無段変速装置に異常が発生していることを示す信号が、管理サーバからタッチパネル13へ送信される構成とすることができる。
(4)計量開始スイッチSWが操作された場合、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのうち、まず、第1繰出部32aのみが第1回転速度で予め設定された設定回数だけ回転し、次に、第2繰出部32bのみが第1回転速度で予め設定された設定回数だけ回転し、次に、第3繰出部32cのみが第1回転速度で予め設定された設定回数だけ回転し、最後に、第4繰出部32dのみが第1回転速度で予め設定された設定回数だけ回転するように、第1電動モータ33、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dが制御されても良い。
この構成であれば、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに対応する肥料の密度を算出することが可能となる。そして、これにより、第1電動モータ制御部53が、通常モードにおいて、第1繰出部32a、第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dのそれぞれに対応する肥料の密度の平均値に基づいて、第1電動モータ33の回転速度を制御する構成とすることが可能となる。
(5)車速センサSE1は設けられていなくても良い。
(6)衛星測位装置19は設けられていなくても良い。
(7)HST回転センサSE2は設けられていなくても良い。
(8)主変速レバー操作位置センサSE3は設けられていなくても良い。
(9)光センサSE4は設けられていなくても良い。
(10)HST異常診断部62は設けられていなくても良い。
(11)肥料切れ警告部63は設けられていなくても良い。
(12)ホッパー重量センサSE5は設けられていなくても良い。
(13)ホッパー詰まり検知部59は設けられていなくても良い。
(14)第2繰出部32b、第3繰出部32c、第4繰出部32dは設けられていなくても良い。即ち、繰出部の設けられる個数は1個でも良い。また、繰出部の設けられる個数は2個または3個でも良いし、5個以上でも良い。
(15)クラッチ制御処理は、正逆回転処理に優先して実行されても良い。
(16)駆動処理は、正逆回転処理に優先して実行されても良い。また、駆動処理は、クラッチ制御処理に優先して実行されても良い。
(17)クラッチ制御処理部81は設けられていなくても良い。
(18)正逆回転処理部58は設けられていなくても良い。
(19)タッチパネル13は設けられていなくても良い。
(20)停止部60は設けられていなくても良い。
(21)解消判定部72は設けられていなくても良い。
(22)駆動処理において、第2電動モータ40は連続的に駆動されても良い。
(23)負荷情報取得部9は、第1電動モータ33にかかる負荷を示す情報として、第1電動モータ33の電流値及び第1電動モータ33の回転速度以外の情報を取得するように構成されていても良い。例えば、負荷情報取得部9は、第1電動モータ33の温度(本発明に係る「負荷情報」に相当)を取得しても良い。
(24)第1電動モータ33は、駆動軸331の右端部以外の箇所に取り付けられていても良い。例えば、第1電動モータ33は、駆動軸331の左端部に取り付けられていても良いし、中央部に取り付けられていても良い。
(25)第2電動モータ40は、駆動軸331の左端部以外の箇所に取り付けられていても良い。例えば、第2電動モータ40は、駆動軸331の右端部に取り付けられていても良いし、中央部に取り付けられていても良い。
(26)ワンウェイクラッチ41は設けられていなくても良い。
(27)カウント部10は設けられていなくても良い。
(28)交換時期予測部61は設けられていなくても良い。
(29)第1電動モータ制御部53は、計量モードにおいて、第1電動モータ33を第1回転速度で回転させた後、第2回転速度で回転させないように構成されていても良い。例えば、第1電動モータ制御部53は、計量モードにおいて、第1電動モータ33を第1回転速度で回転させた後は、第1電動モータ33を回転させることなく、計量モードを終了するように構成されていても良い。
(30)第1電動モータ制御部53は、計量モードを有していなくても良い。
(31)目標供給量取得部52により取得される目標供給量が増加した場合、第1電動モータ制御部53は、第1電動モータ33の回転速度の増加率が、目標供給量の増加率に等しくなるように、第1電動モータ33を制御しても良いし、第1電動モータ33の回転速度の増加率が、目標供給量の増加率よりも小さくなるように、第1電動モータ33を制御しても良い。
(32)目標供給量決定部51は、乗用型田植機100の外部に設置された管理サーバに備えられていても良い。また、目標供給量決定部51は設けられていなくても良い。
(33)目標供給量取得部52は設けられていなくても良い。
(34)計量開始スイッチSWが操作された場合、クラッチ制御部8は、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dのうちの二つまたは三つのクラッチを入状態に制御すると共に残余のクラッチを切状態に制御しても良い。また、計量開始スイッチSWが操作された場合、クラッチ制御部8は、第1クラッチ34a、第2クラッチ34b、第3クラッチ34c、第4クラッチ34dの全てを入状態に制御しても良い。
(35)計量開始スイッチSWは設けられていなくても良い。