JP7249542B2 - 電気反応計測装置、電気反応処理方法及びプログラム - Google Patents

電気反応計測装置、電気反応処理方法及びプログラム Download PDF

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Description

本開示は、電気反応計測装置、電気反応処理方法及びプログラムに関する。
培養細胞及び組織の活動状態を非侵襲に評価したいという要求は、治療用の細胞及び組織の産生、薬効の試験等のために、培養細胞を医療又は産業に用いる多くの分野にある。しかしながら、従来から通常に行われる観察手段である顕微鏡による観察では、細胞及び組織の形状が変わるような活動以外の細胞活動の観察が困難である。例えば、特許文献1及び非特許文献1は、培養皿の底部表面に測定電極を露出させ、電極に接触している細胞の活動に伴う電気的な反応を測定することで、培養細胞及び組織の活動状態を評価する方法を開示している。また、特許文献2は、生体の電気反応を複数の電極で測定する際に、生体内の活動を抽出するために主成分分析を利用する方法を開示している。
特許第3909738号公報 特許第6072005号公報
Thomas Pfeiffer他著、「Rapid functional evaluation of beta-cells by extracellular recording membrane potential oscillations with microelectrode arrays」、Pfluegers Aechiv European Journal of Physiology、2011年12月、 Vol.462、Issue 6、p835-840
治療用の細胞及び組織の培養においては、治療に利用可能な細胞及び組織を選択する必要がある。また、細胞及び組織のような生体の電気反応は微弱であり、ノイズによって観測が困難である場合が多い。特許文献1及び非特許文献1の方法では、測定電極に複数の細胞及び組織の電気反応が反映される。複数の電極に共通のノイズと共通の信号とが記録される場合、特許文献2の方法では、記録された電気反応の成分がどの細胞又は組織の反応であったかを判断することが困難な場合がある。
本開示は、複数の測定電極に共通するノイズを低減する電気反応計測装置、電気反応処理方法及びプログラムを提供する。
本開示の一態様に係る電気反応計測装置は、培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された複数の測定電極における、少なくとも1つのリファレンス電極に対する電位を計測する電気反応計測装置であって、前記複数の測定電極と、前記少なくとも1つのリファレンス電極と、少なくとも1つの制御回路とを備え、前記複数の部屋には、計測対象物が配置され、前記少なくとも1つの制御回路は、前記複数の測定電極それぞれの前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、前記測定電極の合成された前記電位を、前記測定電極で測定された電位から減算し、減算後の電位を出力する。
本開示の一態様に係る電気反応処理方法は、培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された複数の測定電極における、少なくとも1つのリファレンス電極に対する電位を処理する電気反応計測装置であって前記複数の測定電極と前記少なくとも1つのリファレンス電極と少なくとも1つの制御回路とを備える電気反応計測装置による電気反応処理方法であって、前記複数の部屋には、計測対象物が配置され、前記少なくとも1つのリファレンス電極に対する前記複数の測定電極それぞれの電位を取得し、前記複数の測定電極それぞれの前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、前記測定電極それぞれの合成された前記電位を、前記測定電極について取得された前記電位から減算し、減算後の電位を出力する。
本開示の一態様に係るプログラムは、複数の測定電極と、少なくとも1つのリファレンス電極と、コンピュータとを備える電気反応計測装置において、計測対象物が配置される培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された前記複数の測定電極のそれぞれと、前記少なくとも1つのリファレンス電極との間の電位を取得し、前記複数の測定電極それぞれについての前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、前記測定電極の合成された前記電位を、前記測定電極について取得された前記電位から減算し、減算後の電位を出力することを前記コンピュータに実行させる。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc‐Read Only Memory)等の不揮発性の記録媒体を含む。
本開示の電気反応計測装置等によれば、複数の測定電極に共通するノイズを低減することが可能になる。
本開示の一態様の付加的な恩恵及び有利な点は本明細書及び図面から明らかとなる。この恩恵及び/又は有利な点は、本明細書及び図面に開示した様々な態様及び特徴により個別に提供され得るものであり、その1つ以上を得るために全てが必要ではない。
図1は、実施の形態1に係る電気反応計測装置の機能的な構成の一例を示すブロック図 図2は、実施の形態1に係る電気反応計測装置の構成の一例を模式的に示す斜視図 図3は、図2の培養容器の構成の一例を模式的に示す斜視図 図4Aは、図3の培養容器内のリファレンス電極及び測定電極の構成の一例を模式的に示す平面図 図4Bは、図4AのIVB-IVB線に沿った断面を模式的に示す断面側面図 図4Cは、培養液の液面が隔壁の高さを超える高さで保持された場合を示す図 図4Dは、培養液の液面が隔壁の高さを超えない高さで保持された場合を示す図 図5は、図1の計測部の電位計測部の構成の一例を模式的に示す平面図 図6は、図1の処理部の記憶部が記憶する内容の一例を示す図 図7Aは、図1の処理部の信号処理部による電位波形の処理過程の一例を示す図 図7Bは、図1の処理部の信号処理部による電位波形の処理過程の一例を示す図 図7Cは、図1の処理部の信号処理部による電位波形の処理過程の一例を示す図 図8は、実施の形態1に係る電気反応計測装置の動作の一例を示すフローチャート 図9は、図1の電位取得部のハードウェア構成の一例を示すブロック図 図10は、図8のステップS1100の処理の詳細の一例を示すフローチャート 図11Aは、実施の形態1に係る電気反応計測装置における電極の変形例1を、図4Aと同様に示す模式的な平面図 図11Bは、図11AのXIB-XIB線に沿った断面を模式的に示す断面側面図 図12Aは、実施の形態1に係る電気反応計測装置における電極の変形例2を、図4Aと同様に示す模式的な平面図 図12Bは、図12AのXIIB-XIIB線に沿った断面を模式的に示す断面側面図 図13は、実施の形態2に係る電気反応計測装置における信号処理部の機能的な構成の一例を示すブロック図 図14は、実施の形態2に係る電気反応計測装置の動作の一例を示すフローチャート 図15Aは、実施の形態2に係る電気反応計測装置における相互相関関数処理部の計算結果の一部の一例を示す図 図15Bは、実施の形態2に係る電気反応計測装置における相互相関関数処理部の計算結果の一部の一例を示す図 図16は、図14のステップS2300の処理の詳細の一例を示すフローチャート 図17は、図14のステップS2400の処理の詳細の一例を示すフローチャート 図18は、実施の形態2に係る電気反応計測装置におけるグルーピング処理部の動作過程での計算結果の一例を示す図
本開示に関係する発明者ら、つまり、本発明者らは、以下の知見に至った。本発明者らは、培養細胞及び培養組織の活動状態を非侵襲に評価する技術を検討した。本発明者らは、細胞等の様々な活動状態を評価するために、細胞等の電気的な反応を用いる技術に着目し検討した。しかしながら、特許文献1及び2並びに非特許文献1に開示されるような従来の技術では、細胞等に接触する測定電極を用いた電気反応の計測結果に、複数の細胞又は組織の電気反応が反映されることがある。さらに、複数の測定電極を用いた計測では、各測定電極での電気反応の計測結果に、共通のノイズ及び共通の信号が含まれ得る。これにより、各測定電極での計測結果は、当該測定電極と接触する細胞等の電気反応を正確に示すことができない。
このため、本発明者らは、複数の測定電極に共通するノイズを低減する技術を検討した。具体的には、本発明者らは、培養細胞又は組織の培養容器の形状と、電極の配置と、統計的手法とを用いてノイズを低減する技術を検討した。本発明者らは、培養容器中の複数のウェル等の部屋それぞれに、測定電極を配置し、各部屋の培養細胞又は組織に対して測定電極で計測された電位の時系列データから、主成分分析を用いて測定電極に共通の成分を抽出し、測定電極ごとに主成分の残差を求めることでノイズを低減することができることを見出した。そこで、本発明者らは、以下に示すような技術を考案した。
本開示の一態様に係る電気反応計測装置は、培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された複数の測定電極における、少なくとも1つのリファレンス電極に対する電位を計測する電気反応計測装置であって、少なくとも1つの制御回路を備え、前記複数の部屋には、計測対象物が配置され、前記少なくとも1つの制御回路は、前記複数の測定電極それぞれの前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、前記測定電極の合成された前記電位を、前記測定電極で測定された電位から減算し、減算後の電位を出力する。
上記態様によると、測定電極の主成分係数と主成分得点とから推定される主成分に対応する電位を合成したものは、当該測定電極におけるノイズを示し得る。さらに、このノイズは、主成分係数と主成分得点とから推定されているため、リファレンス電極に対する位置などの当該測定電極に特有の特徴を考慮したものであり、且つ複数の測定電極に共通するノイズである。このようなノイズを測定電極で測定された電位から減算した電位は、複数の測定電極に共通するノイズが効果的に低減されたものである。このように、電気反応計測装置は、各測定電極において、複数の測定電極に共通なノイズ成分を低減して、各測定電極で独自に記録された成分を抽出することができる。そして、電気反応計測装置は、1つのノイズ源から複数の測定電極に混入したノイズを抽出して低減し、測定電極ごとに異なる計測対象物由来の電気反応を正確に抽出することができる。
本開示の一態様に係る電気反応計測装置は、前記複数の測定電極と、前記少なくとも1つのリファレンス電極とをさらに備えてもよい。
本開示の一態様に係る電気反応計測装置は、前記複数の部屋を互いに電気的に隔てる隔壁をさらに備えてもよい。
上記態様によると、隔壁は、測定電極の電位が他の測定電極の電位に与える影響を抑えることができる。よって、各測定電極での電位の検出精度が向上するため、電気反応計測装置は、精度が高い処理結果を出力することができる。
本開示の一態様に係る電気反応計測装置において、前記測定電極は、前記部屋を囲む前記隔壁の内側に配置され、前記リファレンス電極は、前記隔壁に配置されてもよい。
上記態様によると、各測定電極とリファレンス電極との距離のばらつきを抑えることが可能になる。よって、各測定電極での電位は、リファレンス電極との距離に起因する影響、つまり、ばらつきを低減することができる。
本開示の一態様に係る電気反応計測装置において、前記少なくとも1つの制御回路は、前記主成分それぞれについて、計測された電位全体の分散に対する前記主成分の説明量を算出し、前記主成分のうち、前記説明量が大きいものから順に前記主成分の一部を抽出し、抽出された前記主成分について、前記主成分に対応する電位を合成してもよい。
上記態様によると、主成分は、説明量が大きい程、データ全体に共通するノイズによる電位変動を示しうる。説明量が大きいものから順、つまり降順に抽出された主成分に対応する電位から合成される合成電位は、ノイズの特徴を効果的に示す。よって、精度の高いノイズ除去が可能になる。
本開示の一態様に係る電気反応計測装置において、前記少なくとも1つの制御回路は、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも2つの主成分を算出し、前記主成分に対応する電位について、2つの前記主成分に対応する電位の相互相関係数を算出し、前記相互相関係数が所定の値以上である前記2つの主成分をグループ分けし、前記グループの説明量として、前記グループに含まれる全ての前記主成分の説明量の和を算出し、前記グループの説明量及び前記グループに含まれない前記主成分の前記説明量について、前記説明量の多いものから、前記グループ及び前記グループに含まれない前記主成分を抽出し、抽出された前記グループ及び前記グループに含まれない前記主成分に含まれる前記主成分に対応する電位の和を推定し、前記電位の和を、前記測定電極で測定された電位から減算してもよい。
上記態様によると、抽出されるグループに含まれる主成分同士は、相互相関係数が高い主成分であり、類似する。電位の和は、説明量が多いグループの主成分に対応する電位で構成され、類似する主成分に対応する電位を含む。これにより、位相ずれによって説明量が小さいノイズとして処理され得る主成分に対応する電位が、類似する主成分に対応する電位と一緒に、電位の和に含まれ、ノイズとして、測定電極で測定された電位から減算、つまり除去される。よって、精度の高いノイズ除去が可能になる。
本開示の一態様に係る電気反応処理方法は、培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された複数の測定電極における、少なくとも1つのリファレンス電極に対する電位を処理する電気反応処理方法であって、前記複数の部屋には、計測対象物が配置され、前記少なくとも1つのリファレンス電極に対する前記複数の測定電極それぞれの電位を取得し、前記複数の測定電極それぞれの前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、前記測定電極それぞれの合成された前記電位を、前記測定電極について取得された前記電位から減算し、減算後の電位を出力する。上記態様によると、本開示の一態様に係る電気反応計測装置と同様の効果が得られる。
本開示の一態様に係るプログラムは、計測対象物が配置される培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された複数の測定電極のそれぞれと、少なくとも1つのリファレンス電極との間の電位を取得し、前記複数の測定電極それぞれについての前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、前記測定電極の合成された前記電位を、前記測定電極について取得された前記電位から減算し、減算後の電位を出力することをコンピュータに実行させる。上記態様によると、本開示の一態様に係る電気反応計測装置と同様の効果が得られる。
なお、上記の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読取可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM等の不揮発性の記録媒体を含む。また、装置は、1つ以上の装置で構成されてもよい。装置が2つ以上の装置で構成される場合、当該2つ以上の装置は、1つの機器内に配置されてもよく、分離した2つ以上の機器内に分かれて配置されてもよい。本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
以下、本開示に係る電気反応計測装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
[実施の形態1]
実施の形態1に係る電気反応計測装置1を説明する。実施の形態1に係る電気反応計測装置1は、隔壁によって各々が電気的に隔てられた複数の測定電極と、1つ以上のリファレンス電極とを有する培養容器と、電位取得部及び制御部を有する電位計測部と、記憶部及び信号処理部を有する処理部とを備える。電気反応計測装置1において、電位計測部は、培養容器の測定電極の各々とリファレンス電極との電位を取得する。電位計測部は、接地電位を基準とした測定電極の電位を取得してもよい。電位計測部は、接地電位を基準としたリファレンス電極の電位を取得してもよい。
処理部は、測定電極ごとに得られた、接地電位を基準とする測定電極の電位と接地電位を基準とするリファレンス電極との電位の差である電位差の時間波形について、主成分分析を用いて複数の測定電極の電位差に共通する電位差の時間変動成分を抽出する。
さらに、処理部は、抽出された電位差の時間変動成分をノイズとして各測定電極の電位差の時間波形から除去することで、各測定電極の電位差に含まれるノイズを低減する。
以下において、測定電極の電位とリファレンス電極の電位との間の電位差を、単に「電位」ともいう。また、以下において、電位差の時間波形を「電位波形」ともいう。
[1-1.電気反応計測装置の構成]
実施の形態1に係る電気反応計測装置1の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係る電気反応計測装置1の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図2は、実施の形態1に係る電気反応計測装置1の構成の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示されるように、電気反応計測装置1は、計測部100と、処理部200とを備える。処理部200は、計測部100によって計測された電気信号のデータを処理する。計測部100は、培養容器110と、培養容器110内の電極120と、電位計測部130とを備える。処理部200は、記憶部210と、信号処理部220と、出力部230とを含む。
[1-1-1.計測部100の構成]
計測部100の構成を説明する。計測部100は、培養容器110内の対象物の電気的な反応による電位の変化を処理部200に出力する。対象物の例は、細胞及び組織等の生物学的材料である。これに限定するものではないが、本実施の形態では、培養容器110内で培養される培養細胞及び培養組織を、対象物とする。細胞及び培養細胞は、単一細胞、及び、細胞塊等の複数の細胞を含む。
図1、図3、図4A及び図4Bを参照しつつ、培養容器110及び電極120の構成を説明する。なお、図3は、図2の培養容器110の構成の一例を模式的に示す斜視図であり、培養容器110の鳥瞰図である。図4Aは、図3の培養容器110内のリファレンス電極120a及び測定電極120bの構成の一例を模式的に示す平面図である。図4Bは、図4AのIVB-IVB線に沿った断面を模式的に示す断面側面図である。
図3に示されるように、培養容器110は、細胞及び組織を培養するための容器である。培養容器110は、細胞又は組織を含む培養液を保持する。このような培養容器110は、図3の例では、シャーレとも呼ばれる有底円筒状の培養皿であるが、培養用のプレート又は培養用のフラスコであってもよい。
図3、図4A及び図4Bに示されるように、培養容器110は、その底壁110a上に、複数の部屋140bを有する区画部材140を含む。区画部材140は、格子状に延びる隔壁140aを有し、隔壁140aによって、複数の部屋140bを区画形成する。隔壁140aは、各部屋140bを囲むように配置されている。部屋140bは、直方体状の空洞である。部屋140bは、ウェルとも呼ばれるため、本明細書及び特許請求の範囲においてウェルとも表記する。培養される細胞又は組織は、ウェル140b内に配置される。
各ウェル140bは、底壁110aに向かう下方と、その反対側の上方とに向かって開放し、側方において、隣のウェル140bと隔壁140aによって物理的及び電気的に隔てられている。区画部材140は、樹脂及びガラス等の電気的な絶縁性を有する材料で構成されている。このため、隣り合うウェル140b間の電気的な隔たりは、隔壁140aによって大きくなる。つまり、隣り合うウェル140b間での電気的な反応が伝わりにくくなる。本実施の形態では、区画部材140は、全体として板状の形状を有し、ウェルプレートとも呼ばれる。上方から下方に向かって見たウェル140bの平面形状は、矩形であるが、円形、楕円形、その他の多角形等のいかなる形状であってもよい。上述のような培養容器110及び区画部材140は、細胞又は組織を培養するたびに交換される。また、培養容器110及び区画部材140は、別々の部材で構成されてもよく、一体化された1つの部材で構成されてもよい。
図1、図3、図4A及び図4Bに示されるように、電極120は、少なくとも1つのリファレンス電極120aと、複数の測定電極120b1、120b2、・・・、120bk、・・・、120bm(mは2以上)とで構成されている。測定電極120b1~120bmは、接続される回路と互いに異にして構成されている。つまり、各測定電極120b1~120bmの信号は、独立して電位計測部130のコネクタ132に出力される。なお、測定電極120b1~120bmのことを、「測定電極120b」とも表記する。本実施の形態では、1つのリファレンス電極120aが、培養容器110の底壁110aに配置されている。1つのリファレンス電極120aは、1つの電極で構成されてもよく、複数電極からなる電極群で構成されてもよい。
リファレンス電極が複数の場合、複数のリファレンス電極を電気的に導通させることにより得られた1つの電位をリファレンス電位として電位波形を求めてもよい。
リファレンス電極が複数の場合、複数のリファレンス電極の複数の電位を平均化した電位をリファレンス電位として電位波形を求めてもよい。
リファレンス電極120aは、底壁110aを貫通して培養容器110内に露出し、培養容器110内の培養液と接触する。リファレンス電極120aは、区画部材140の外側に配置され、どのウェル140bとも隔壁140aによって隔てられている。このようなリファレンス電極120aは、ウェル140b内の細胞又は組織と接触しない。リファレンス電極120aは、培養液と接触するように配置されればよい。このため、リファレンス電極120aは、培養液と接触し且つ区画部材140の外側の位置であれば、培養容器110において、側壁等の底壁110a以外のいかなる位置に配置されてもよい。
図3、図4A及び図4Bに示されるように、複数の測定電極120bは、培養容器110の底壁110aに配置されている。各測定電極120bは、ウェル140b内に配置される。具体的には、1つのウェル140bに1つの測定電極120bが配置されている。各測定電極120bは、底壁110aを貫通してウェル140b内に露出している。各測定電極120bは、ウェル140b内の培養液と接触し、当該ウェル140b内の細胞又は組織と接触する又は近傍に位置する。測定電極120bは、ウェル140b内の細胞又は組織と接触する又は近傍に位置し且つ培養液と接触する位置であれば、隔壁140a等の底壁110a以外の位置に配置されてもよい。測定電極120b及びリファレンス電極120aはどちらも、培地に接触する位置に配置されればよい。
リファレンス電極120a、及び、各測定電極120bから延びる導線等の配線は、電位計測部130のコネクタ132と接続される。各配線は、培養容器110の底壁110aに埋め込まれていてもよい。これにより、培養容器110をコネクタ132上に載置すると、コネクタ132と、リファレンス電極120a及び各測定電極120bとが、電気的に接続されるように構成することができる。
培養容器110内には培養液が保持されるが、図4Cに示されるように培養液の液面150が隔壁140aの高さを超えた高さで保持される場合と、図4Dに示されるように培養液の液面150が隔壁140aの高さを超えない高さで保持される場合とがある。図4Cに示されるように培養液の液面150が隔壁140aの高さを超えた高さで保持される場合は、複数の測定電極120bとリファレンス電極120aは培養液を通じて電気的につながっている。しかし、培養液による電気的なつながりは、絶縁性を有する隔壁140aを迂回することにより、電極間の距離を大きくすることで電気的隔たりを大きくすることができる。一方、細胞又は組織は、測定電極120bに接触する又は近傍に配置されており、当該の細胞又は組織が配置されたウェル以外にある測定電極120bあるいはリファレンス電極120aとの距離は、当該の細胞又は組織が配置されたウェルにある測定電極120bとの距離に比べて十分に大きいため、電気的隔たりは十分大きく、ある細胞又は組織が配置されたウェル以外にある測定電極120bでの電位検出あるいはリファレンス電極120aでの電位検出に、当該の細胞又は組織の電気的反応が影響する可能性は無視しうる。一方、図4Dに示されるように培養液の液面150が隔壁140aの高さを超えない高さで保持される場合、複数の測定電極120bの各々、および、リファレンス電極120aは電気的につながっておらず、電気的隔たりは十分に大きい。
図1、図2及び図5を参照しつつ、電位計測部130の構成を説明する。なお、図5は、図1の計測部100の電位計測部130の構成の一例を模式的に示す平面図である。電位計測部130は、測定電極120bに接触する又は測定電極120bの近傍にある、細胞又は組織の電位波形を取得する。図1及び図2に示されるように、電位計測部130は、電位取得部131と、コネクタ132と、制御部133とを備える。本実施の形態では、電位計測部130は、図2に示されるような板状のコネクタ装置300の全体又は一部を構成する。コネクタ装置300は、培養容器110がその載置面上に載置されるように構成され、コンピュータ装置400と、有線又は無線通信を介して接続される。処理部200は、コンピュータ装置400の全体又は一部を構成する。
図1、図2及び図5に示されるように、コネクタ132は、コネクタ装置300の載置面に配置された複数の端子132aを有する。コネクタ132は、複数の端子132a、及び複数の端子132aに接続された回路で構成される。複数の端子132aは、コネクタ装置300の載置面上に載置された培養容器110のリファレンス電極120a及び測定電極120bそれぞれから延びる導線等の配線と接触し電気的に接続される。コネクタ132は、リファレンス電極120a及び測定電極120bのそれぞれからつながる配線を、コネクタ装置300の内部の回路に接続する。具体的には、コネクタ132は、コネクタ132の各端子132aを上記配線に接触させることで、リファレンス電極120a及び測定電極120bを、電位計測部130の内部、つまり、電位取得部131に接続する。
電位取得部131は、コネクタ132によって回路に接続された培養容器110の測定電極120bそれぞれの電位とリファレンス電極120aの電位との間の電位差を、予め定められたサンプリング周波数でサンプリングして、デジタイズして取得する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、測定電極120bとリファレンス電極120aとの間の電位差を、「測定電極120bの電位」と表記する場合もある。
測定電極120bに接触する又は近傍の細胞又は組織は、培養環境の変化、例えば薬剤の添加等の化学的な変化、電気刺激、振動等によって引き起こされる活動や、細胞又は組織の自発的な活動を行う。上記自発的な活動の例は、細胞の分裂、自発放電及び自発的な化学物質の分泌等の活動である。当該活動に起因する、測定電極120bの電位とリファレンス電極120aの電位の間の電位差の変化が、電位取得部131によって取得される。各測定電極120bは、区画部材140の隔壁140aによって互いに電気的に隔てられ、各測定電極120bから延びる配線は互いに絶縁されている。このため、各ウェル140bにおける電位の変化は、他のウェル140bに伝わりにくく、他のウェル140bへの影響及び他のウェル140bからの影響を抑制した状態で、電位取得部131によって取得される。
制御部133は、電位取得部131の動作を制御する。さらに、制御部133は、電位取得部131によって取得された測定電極120bのそれぞれについてのサンプリング点ごとの、リファレンス電極の電位を基準とする電位の値を、処理部200に出力し、処理部200の記憶部210に記憶させる。
電位取得部131及び制御部133は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、並びに、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read-Only Memory)等のメモリなどからなるコンピュータシステム(図示せず)により構成されてもよい。電位取得部131及び制御部133の一部又は全部の機能は、CPU又はDSPがRAMを作業用のメモリとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって達成されてもよい。また、電位取得部131及び制御部133の一部又は全部の機能は、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路によって達成されてもよい。電位取得部131及び制御部133の一部又は全部の機能は、上記のソフトウェア機能とハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。
[1-1-2.処理部200の構成]
図1及び図2を参照しつつ、処理部200の構成を説明する。処理部200は、電位計測部130から出力される、リファレンス電極の電位を基準とする電位の計測結果から、複数の測定電極120bに共通するノイズを除去し、除去後の結果を出力する。処理部200は、例えば、図2に示すようなコンピュータ装置400の全部又は一部を構成する。処理部200は、記憶部210と、信号処理部220と、出力部230とを備える。ここで、処理部200は、制御回路の一例である。
記憶部210は、種々の情報の格納及び取り出しを可能にする。記憶部210は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、ハードディスクドライブ、又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって実現される。記憶部210は、電位計測部130から処理部200に出力される情報を、記憶する。具体的には、電位計測部130は、電位取得部131によって取得された測定電極120bそれぞれの電位をサンプリング点すなわち所定の時間ごとにサンプリングした、リファレンス電極の電位を基準とする電位の値を、記憶部210に出力する。このため、記憶部210は、各測定電極120bにおける所定の時間ごとの、リファレンス電極の電位を基準とする電位の値を、測定時刻と対応付けて記憶する。例えば、図6は、図1の処理部200の記憶部210が記憶する内容の一例を示す。図6の例では、記憶部210において、各時間に各測定電極120bで計測された、リファレンス電極の電位を基準とする電位の値が記憶されている。なお、信号処理部220、出力部230で扱われる電位は、リファレンス電極の電位を基準とする電位である。
信号処理部220は、記憶部210に記憶された各測定電極120bの電位の値と時間軸とからなる電位波形を主成分分析することによって、複数の測定電極120bに共通するノイズ成分を除去する。信号処理部220の詳細な構成は、後述する。信号処理部220が含む後述する構成要素はそれぞれ、CPU又はDSP等のプロセッサ、並びに、RAM及びROM等のメモリなどからなるコンピュータシステム(図示せず)により構成されてもよい。各構成要素の一部又は全部の機能は、CPU又はDSPがRAMを作業用のメモリとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって達成されてもよい。また、各構成要素の一部又は全部の機能は、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路によって達成されてもよい。各構成要素の一部又は全部の機能は、上記のソフトウェア機能とハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プログラムは、各構成要素に予め備えられたものであってもよく、アプリケーションとして、インターネット等の通信網を介した通信、モバイル通信規格による通信、その他の無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は放送等で提供されるものであってもよい。
出力部230は、信号処理部220でノイズを除去された各測定電極120bの電位波形の信号を出力する。出力信号の例は、測定電極120bごとの電位波形を数値列としてあらわしたデータである。出力部230は、出力信号を、図示しない記憶媒体に出力し記憶させてもよい。又は、出力部230は、出力信号を、ディスプレイ又は印刷機に出力し、ディスプレイに表示させる、又は、印刷機に紙等の印刷媒体に表示させてもよい。又は、出力部230は、出力信号を、判定処理を行うソフトウェア又は回路に出力し判定させてもよい。判定の例は、電位波形に基づく細胞又は組織の活動性の良否の判定である。このような出力部230は、出力対象に信号を出力する回路で構成されてもよい。
図1を参照しつつ、信号処理部220の詳細な構成を説明する。信号処理部220は、記憶部210に記憶された測定電極120bそれぞれの所定の時間ごとの電位、すなわち時間軸上の電位波形について、複数の測定電極120bの複数の電位波形を、複数の変数のサンプル点ごとのデータ系列とみなす。具体的には、データ系列は、変数X1~Xmを含み、変数X1~Xmはそれぞれ、測定電極120b1~120bmの電位波形における同じ時間のサンプル点での電位である。例えば、変数Xk(k=1~m、k:整数)における値Xkl(l=1~p、l:整数)は、測定電極120bkの電位波形における、特定のサンプル点lの電位に対応する。サンプル点の電位は、例えば、所定の時間ごとに計測された電位である。変数Xkは、Xkl(l=1~p)を要素とするベクトルで表すことができ、以下において、変数Xkベクトルと表記する場合もある。すなわち、
X1=(X11 ・・・ X1l ・・・ X1p)、・・・、
Xk=(Xk1 ・・・ Xkl ・・・ Xkp)、・・・、
Xm=(Xm1 ・・・ Xml ・・・ Xmp)と表記してもよい。ここで、aをサンプル周期とすると、
X11は時間tに測定された測定電極120b1の電位、・・・、
X1lは時間t+(l-1)×aに測定された測定電極120b1の電位、・・・、
X1pは時間t+(p-1)×aに測定された測定電極120b1の電位であり、・・・、
Xk1は時間tに測定された測定電極120bkの電位、・・・、
Xklは時間t+(l-1)×aに測定された測定電極120bkの電位、・・・、
Xkpは時間t+(p-1)×aに測定された測定電極120bkの電位であり、・・・、
Xm1は時間tに測定された測定電極120bmの電位、・・・、
Xmlは時間t+(l-1)×aに測定された測定電極120bmの電位、・・・、
Xmpは時間t+(p-1)×aに測定された測定電極120bmの電位である。
さらに、信号処理部220は、変数X1~Xmからなるデータ系列に対して主成分分析を行うことによって、測定電極120b1~120bmの電位波形に共通の成分を、主成分として抽出する。信号処理部220は、測定電極120b1~120bmに共通の主成分を、ノイズとみなす。
具体的には、信号処理部220は、複数の測定電極120b1~120bmそれぞれで記録された電位をそれぞれのデータ系列とし、複数のデータ系列を含むデータとして主成分分析することによって、複数の測定電極120b1~120bmそれぞれについて少なくとも1つの主成分を抽出して算出する。さらに、信号処理部220は、複数の測定電極120b1~120bmそれぞれについて、当該測定電極の主成分から、主成分に対応する電位を推定する。つまり、信号処理部220は、抽出された各主成分について、測定電極120b1~120bmで取得されたデータである変数X1~Xmに対する係数(「主成分係数」とも呼ぶ)と、各測定時点すなわちサンプル点での主成分得点とに従って、測定電極120bk(k=1~m)ごとの主成分による電位を推定する。
さらに、信号処理部220は、推定された測定電極120bkごとの主成分による電位を合成し、当該測定電極120bkで計測された電位から、当該測定電極120bkの合成された電位を減じる。信号処理部220は、測定電極120bkごとに計算された減算の残渣を、当該測定電極120bkのノイズ除去結果として出力する。なお、例えば、複数の主成分のうち第i主成分の主成分得点ziは、変数X1~Xmと、変数X1~Xmに対する主成分係数ai1~aimとを用いて、zi=ai1×X1+ai2×X2+・・・+aim×Xmと表すことができる。
X1=(X11 ・・・ X1l ・・・ X1p)、~、Xm=(Xm1 ・・・ Xml ・・・ Xmp)すると、(Zil ・・・ Zil ・・・ Zip)=ai1×(Xm1 ・・・ Xml ・・・ Xmp)+・・・+aim×(Xm1 ・・・ Xml ・・・ Xmp)である。
このような信号処理部220は、主成分分析処理部221と、主成分合成部222と、共通ノイズ除去処理部223とを含む。主成分分析処理部221は、記憶部210に記憶された測定電極120bk(k=1~m)ごとの電位の値について、全ての測定電極間の共分散行列又は相関行列を生成して、主成分分析を行う。主成分分析処理部221は、予め定められた数の主成分を抽出するまで主成分の抽出を続ける。又は、主成分分析処理部221は、抽出された主成分による全分散に対する説明量、すなわち抽出された主成分の累積寄与率が、予め定められた値を超えるまで主成分の抽出を続ける。つまり、主成分分析処理部221は、主成分それぞれについて、計測された電位全体の分散に対する主成分の説明量を算出し、主成分のうち、説明量が大きいものから順に主成分の一部を抽出する。
寄与率は、主成分の固有値が表す情報が、データの全ての情報の中で占める割合を示し、全分散に対する固有値の割合である。累積寄与率は、各主成分の寄与率を大きい順に加算した値である。上記の予め定められた累積寄与率の値の例は、70%である。主成分分析処理部221は、抽出された各主成分の主成分係数及び主成分得点(「主成分スコア」とも呼ばれる)を主成分合成部222に出力する。全分散は、主成分分析に用いられる全ての測定電極で測定されたデータの分散である。
測定電極の数量は、主成分分析におけるデータの次元数に相当する。このため、例えば、主成分分析では、データ系列の変数X1~Xmの数量と同じ数量の主成分が求められ得る。例えば、第1主成分は、変数によるあらゆる線形合成のうち、最大の分散を有する線形合成である。第2主成分は、第1主成分と無相関という条件のもと、線形合成のうちの最大の分散を有する線形合成である。第3主成分以下も同様に、その前の主成分と無相関という条件のもと、線形合成のうちの最大の分散を有する線形合成である。すなわち、変数の線形合成として、分散の大きい順に変換した直交成分が、主成分として得られる。主成分分析で得られる固有値は、主成分の分散である。主成分分析で得られる固有ベクトルは、変数X1~Xmを用いて主成分を示す場合の、各変数X1~Xmに掛ける重み係数である主成分係数を要素とするベクトルである。主成分得点は、固有ベクトルと変数X1~Xmとを線形結合した値である。主成分分析の詳細については後述する。
主成分分析は下記の様に行ってもよい。主成分分析処理部221は、
時間tにおける電位の平均値であるavg1=(X11+・・・+Xk1+・・・+Xm1)/m、・・・、
時間t+(l-1)×aにおける電位の平均値であるavgl=(X1l+・・・+Xkl+・・・+Xml)/m、・・・、
時間t+(p-1)×aにおける電位の平均値であるavgp=(X1p+・・・+Xkp+・・・+Xmp)/mを求める。
主成分分析処理部221は、変数X1=(X11,・・・,X1l,・・・,X1p)、・・・、変数Xk=(Xk1,・・・,Xkl,・・・,Xkp)、・・・、変数Xm=(Xm1,・・・,Xml,・・・,Xmp)に対する共分散行列Vを求める。
次に、主成分分析処理部221は、前記共分散行列の固有値λ1、固有値λ2、・・・、固有値λmを求める。
そして、主成分分析処理部221は、前記固有値λ1、λ2、・・・、λmから最も大きい固有値λmax1の固有ベクトル(u1max1 u2max1 … ummax1T、次に大きい固有値λmax2の固有ベクトル(u1max2 u2max2 … ummax2T、・・・・を求める。
なお、主成分分析処理部221は、「抽出された主成分の累積寄与率が、予め定められた値を超えるまで主成分の抽出を続ける」のであるが、これを下記に例示する。
例えば、X1=(X11,X12,X13)、X2=(X21,X22,X23)、X3=(X31,X32,X33)に対する共分散行列Vは、
Figure 0007249542000001
である。なお、
avg1=(X11+X21+X31)/3であり、時間tにおける電圧値の平均値を示し、
avg2=(X12+X22+X32)/3であり、時間t+aにおける電圧値の平均値を示し、
avg3=(X13+X23+X33)/3であり、時間t+2aにおける電圧値の平均値を示す。
主成分分析処理部221が求めた共分散行列Vの固有値をλ1、λ2、λ3、
固有値λ1に対する固有ベクトルを
Figure 0007249542000002
固有値λ2対する固有ベクトルを
Figure 0007249542000003
とする。
ここで、累積寄与率が70%であり、λ1>λ2>λ3、(λ1/sum)<(70/100)、{(λ1+λ2)/sum}>(70/100)であった場合、主成分分析処理部221は、第1の主成分得点z1、第2の主成分得点z2を求める。つまり、主成分分析処理部221は、固有値λ3に対する固有ベクトルの要素を使用する第3の主成分得点z3を求めなくともよい。
なお、
z1l=u11×X1l+u12×X2l+u13×X3l、(1≦l≦p)
z2l=u21×X1l+u22×X2l+u23×X3l、(1≦l≦p)
Figure 0007249542000004
である。
主成分合成部222は、主成分分析処理部221で抽出された主成分の主成分係数及び主成分得点に基づいて、測定電極120bk(k=1~m)ごとに、抽出された主成分によって説明される電位変化を合成する。つまり、主成分合成部222は、測定電極120bk(k=1~m)ごとに、抽出された主成分について、主成分に対応する電位を合成する。合成された波形は、電位波形であり、測定電極120bkごとに異なる。これは、各測定電極120bkの抵抗値、各測定電極120bkのノイズ源からの距離及び位置関係、各測定電極120bkとリファレンス電極120aとの距離及び位置関係等により、同一のノイズ成分であっても、測定電極120bkそれぞれで取得された電位への影響が異なるためである。このような各測定電極120bkの主成分に基づく合成波形は、測定電極120bkそれぞれへのノイズの影響の大きさを考慮したノイズ成分を示し、複数の測定電極120b1~120bmに共通するノイズ成分である。これにより、複数の測定電極120b1~120bmに共通するノイズ成分は、測定電極120bkそれぞれへのノイズの影響の大きさを考慮して、測定電極120bkそれぞれについて求めることができる。
上述の例では固有ベクトル
Figure 0007249542000005
が主成分であり、第1主成分の主成分係数はu11、u12、u13である。
ここで、主成分合成部222の合成処理の詳細を説明する。上述したように、変数Xk(1≦k≦m、k:整数)は、測定電極120bk(1≦k≦m、k:整数)で計測された電位の時間方向ベクトルである。そして、主成分分析において、第i主成分(1≦i≦m、i:整数)は、変数X1~Xmに対して主成分分析を行い抽出された主成分のうち、寄与率が高い順(降順)に抽出されたi番目の主成分である。ただし、i=mの時、データのすべての分散が主成分によって説明される。このため、主成分を測定電極120b1~120bmに共通ノイズとしてデータから除去し、測定電極120b1~120bm固有のデータを残すためには、i<mであることが必要である。
ここで、第i主成分の主成分係数を、主成分係数aiで表し、変数Xkに対する主成分係数を、aikで表す。第i主成分の主成分得点を、ziで表す。そして、主成分得点ziの算出では、下記の式1のように、抽出された各主成分に対して、変数X1~Xmベクトルの要素を座標とするm次元空間に配置された、各サンプル点での変数X1~Xmの座標値からなるデータを、主成分を座標とした空間へ変換した値を求めることになる。なお、測定電極120b1~120bmのサンプル点l(1≦l≦p、l:整数)でのデータ(電位)からなる座標を、(X1l,X2l,X3l,・・・,Xkl,・・・,Xml)とする。
Figure 0007249542000006
また、データの全分散は、変数X1~Xmベクトルの要素を座標とする空間内での、座標(X1l,X2l,X3l,・・・,Xkl,・・・Xml)を取る全てのサンプル点のデータの分散である。主成分分析では、変数X1~Xmベクトルを直交座標としてデータ空間を設定し、その座標軸を回転させて、データの分散を最大化する、すなわちデータの変動をもっともよく説明する軸を抽出していく計算である。分散に対する説明量又は寄与率は、m次元のデータ空間内での分散に対して、主成分が説明しうる分散の比率を指す。
第i主成分による測定電極120bkでの(変数Xk軸上での)電位波形の合成は、以下のように説明できる。つまり、第i主成分による測定電極120bkでの第一合成波形Yikは、第i主成分の主成分得点ziの系列の各要素に、変数Xkに対する第i主成分の主成分係数aikを乗じ、さらに、変数Xkベクトルの要素Xkl(l=1~p)の平均値を加算することで求められる。具体的には、第一合成波形Yik上のサンプル点lでの値Yiklは以下の式2で求められる。各サンプル点lでの値Yiklから、第i主成分による測定電極120bkでの第一合成波形Yikが生成される。
Figure 0007249542000007
測定電極120bkでの第1~第n主成分(1≦i≦n、i:整数、n<m)を合成した電位波形である第二合成波形Ykは、第一合成波形Y1k~Ynkの加算によって求められる。具体的には、第二合成波形Yk上のサンプル点lでの値(電位)Yklは、以下の式3によって求められる。値Yklは、サンプル点lにおける第1~第n主成分による「ノイズ」を示す。各サンプル点lでの値Yklによって形成される第二合成波形Ykは、測定電極120bkにおける第1~第n主成分による「ノイズ」を示す。このようなノイズは、複数の測定電極120b1~120bmに共通するノイズ成分である。
Figure 0007249542000008
上述したように、主成分合成部222は、各測定電極120bk(k=1~m)について、各第i主成分による第一合成波形における各サンプル点lの値Yiklを、第i主成分の主成分得点zikの系列の要素に、変数Xkに対する第i主成分の主成分係数aikを乗じたものに、変数Xkの要素の平均値を加算することによって、算出する。さらに、主成分合成部222は、各測定電極120bk(k=1~m)について、第1~第n主成分による第二合成波形における各サンプル点lの値Yklを、第1~第n主成分による第一合成波形のサンプル点lの値Yiklを加算することによって、算出する。これにより、主成分合成部222は、各測定電極120bk(k=1~m)についての第1~第n主成分による第二合成波形を算出する。
共通ノイズ除去処理部223は、各測定電極120bkについて、主成分合成部222によって合成された当該測定電極120bkの抽出主成分による電位変化の合成波形(第二合成波形)、すなわちノイズを、当該測定電極120bkの計測電位波形から減算し、残渣波形を求める。この残渣波形は、当該測定電極120bkにおけるノイズを除去した後の電位波形を示す。なお、主成分分析処理部221で抽出された主成分が1つである場合は、主成分合成部222は第一合成波形を求め、第二合成波形を求める必要はない。
例えば、図7A~図7Cは、図1の処理部200の信号処理部220による電位波形の処理過程の一例を示す。図7A~図7Cは、計算に用いた5つの測定電極120bk~120bk+4の電位波形のうち、3つの測定電極の処理過程を示している。具体的には、図7Aは、測定電極120bkの処理過程を示し、図7Bは、測定電極120bk+1の処理過程を示し、図7Cは、測定電極120bk+2の処理過程を示す。図7A~図7Cのグラフはいずれも、縦軸に電位(単位はμV)を示し、横軸に時間(秒)を示している。図7A~図7Cのグラフそれぞれについて、上段のグラフUGは、処理前の電位波形を示す。中段のグラフMGは主成分分析により抽出された第1主成分~第3主成分を用いて合成されたノイズ成分を示す。つまり、ノイズ成分は、主成分合成部222について上述したn=3の場合の第二合成波形に対応する。下段のグラフLGは、上段の処理前の電位波形から中段グラフMGのノイズ成分を除去した結果の電位波形を示す。中段グラフMGに示したノイズ成分は、測定電極ごとに、その大きさ及び波形で異なっているが、いずれもパルス様の周期性の成分を含み、この周期性の成分は、パルスの頻度が約60Hzであり、パルス自体の波形は急峻に変動する成分である。このようなノイズ成分を除去した結果、下段グラフLGの電位波形では、上段グラフUGでは確認しにくい、測定電極ごとに異なる周期のゆっくりした波形が確認できる。
[1-2.電気反応計測装置の動作]
次に、実施の形態1に係る電気反応計測装置1の動作を説明する。図8は、実施の形態1に係る電気反応計測装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS1100)
まず、計測部100は、複数の測定電極120b1~120bmそれぞれとリファレンス電極120aとの電位を同時に取得する。さらに、計測部100は、リファレンス電極120aの電位と測定電極120b1~120bmそれぞれの電位との差を、測定電極120b1~120bmの電位として、予め定められた時間間隔で取得する。計測部100は、処理部200の記憶部210に、測定電極120b1~120bmごとに、取得された電位と、取得された時間とを互いに対応させて記憶させる。記憶部210の記憶内容の例は、図6のように示される。
(ステップS1200)
次いで、処理部200の主成分分析処理部221は、ステップS1100で記憶部210に記憶された測定電極120b1~120bmそれぞれについての電位及び時間の関係を示す時間波形である電位波形に対して、変数X1~Xmを設定する。さらに、主成分分析処理部221は、変数X1~Xmそれぞれについて、変数に対応する電位波形における所定の計測時間毎の電位又は所定の計測時刻の電位を、当該変数の観測値つまりデータ値に決定する。よって、変数X1~Xmはそれぞれ、測定電極120b1~120bmの複数の電位を複数のデータ値として含むデータ系列である。主成分分析処理部221は、変数X1~Xm及びそのデータ系列を用いて主成分分析を行う。
具体的には、主成分分析処理部221は、予め定められた数の主成分、又は、予め定められた全分散に対する主成分による説明量を超える主成分を抽出するまで、主成分分析を継続する。主成分分析の計算は一般的な計算方法による。例えば、主成分分析処理部221は、全ての測定電極120b1~120bmの変数X1~Xmのデータ系列に対して、電位の共分散行列を求め、さらに、分散共分散行列の固有ベクトル及び固有値を求める。m個の固有値と、m個の固有値それぞれに対応する固有ベクトルが算出される。主成分分析処理部221は、固有ベクトルを固有値の大きい順に整理し、固有ベクトルの要素を主成分の係数列とする。例えば、固有値が最も大きい固有ベクトルの要素は、第1主成分の係数列であり、k番目に大きい固有値に対応する固有ベクトルの要素は、第k主成分の係数列である。
主成分分析処理部221は、予め定められた数の主成分を抽出する際には、固有値の大きなものから順(降順)に予め定められた数の主成分を抽出する。主成分分析処理部221は、主成分の数を全分散に対する説明量すなわち累積寄与率によって決定する場合には、固有値を用いて寄与率及びその累積寄与率を求め、予め定められた累積寄与率を超える最小の累積寄与率を与える数の主成分を抽出する。主成分分析処理部221は、主成分に対応する固有ベクトルの要素を主成分係数とする。主成分分析処理部221は、求められた主成分における固有ベクトルの方向軸である主成分軸へ、各個別のデータすなわち各測定電極を軸とした各サンプル点での電位データを写像し、主成分軸上での各サンプル点の値を主成分得点として求める。
(ステップS1300)
主成分合成部222は、ステップS1200で抽出された予め定められた数の主成分について、主成分係数と主成分得点とを用いて、各測定電極120b1~120bmについて、測定時間すなわちサンプル点ごとに主成分による電位を求め、抽出された主成分によるノイズ波形を合成する。電位波形の合成では、各電位波形における同じサンプル点の電位が加算される。
(ステップS1400)
共通ノイズ除去処理部223は、測定電極120b1~120bmそれぞれの観測値である電位波形から、ステップS1300で合成された測定電極120b1~120bmそれぞれの主成分によるノイズ波形を減算することにより残渣を求める。つまり、共通ノイズ除去処理部223は、測定電極120bk(k=1~m)の電位波形から、同じ測定電極120bkのノイズ波形を減算する。主成分によって生成される電位が複数の測定電極120b1~120bmに共通するノイズとみなされ、このようなノイズが観測値から減算されることで、観測値に含まれるノイズが除去される。このような計算により、共通ノイズ除去処理部223は、測定電極120b1~120bmごとに、計測時間又は計測時刻ごとに計算された残渣からなる電位の時間波形を算出し、それにより、測定電極120b1~120bmそれぞれでのノイズ除去後の電位波形を生成する。
(ステップS1500)
出力部230は、ステップS1400で共通ノイズ除去処理部223によって算出された測定電極120b1~120bmそれぞれのノイズ除去後の電位波形を、電位と当該電位が計測された時間とを合わせた数値列とした信号で出力する。
[1-3.電位計測部の構成及び動作]
計測部100の電位計測部130の構成及び動作を説明する。図9は、図1の電位取得部131のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図9の例では、電位取得部131は、差動アンプ131aとAD(Analog-Digital)変換器131bとで構成される。
差動アンプ131aは、リファレンス電極120aの電位を基準電位として、測定電極120b1~120bmそれぞれの電位を、リファレンス電極120aの基準電位との差として取り出す。
AD変換器131bは、アナログ信号をデジタル信号に変換する。AD変換器131bは、予め定められた時間間隔でアナログ信号として入力される電位を、数値に変換する。予め定められた時間間隔は、例えば、1秒間に20000回の時間間隔、0.5ミリ秒間隔等である。AD変換器131bは、測定電極120b1~120bmの間で同期して電位を数値に変換する。つまり、AD変換器131bは、測定電極120b1~120bmにおいて同じ時刻に計測された電位を数値に変換する。
以上のように構成された電位取得部131を含む電位計測部130の動作を、図10を参照しつつ説明する。なお、図10は、実施の形態1に係る電気反応計測装置1における電位計測部130の動作の一例を示すフローチャートである。図10は、図8のステップS1100の処理の詳細の一例を示すフローチャートでもある。
(ステップS1110)
まず、差動アンプ131aは、測定電極120b1~120bmそれぞれの電位とリファレンス電極120aの電位とを同時に取得する。
(ステップS1120)
次いで、差動アンプ131aは、測定電極120b1~120bmそれぞれとリファレンス電極120aとの電位の差を求める。つまり、差動アンプ131aは、測定電極120bk(k=1~m)とリファレンス電極120aとの電位差を求める。この差動アンプ131aの動作は差動増幅とも呼ばれる。上述したように、測定電極120b1~120bmそれぞれから差動アンプ131aに出力される信号は、区画部材140の絶縁作用等によって、互いに対して独立している。
(ステップS1130)
次いで、AD変換器131bは、ステップS1120で差動アンプ131aによって求められた測定電極120b1~120bmそれぞれとリファレンス電極120aとの電位差を、予め定められた時間間隔で取得し、数値化する。時間間隔は、制御部133によって決定されてもよい。さらに、制御部133は、測定電極120b1~120bm間において、電位取得の時間又は時刻の同期を行ってもよい。
(ステップS1140)
次いで、AD変換器131bは、ステップS1130で数値化された測定電極120b1~120bmそれぞれの電位差を、電位が数値化された時間又は時刻の情報と合わせて記憶部210に出力する。上記のような電位が数値化された時間又は時刻は、当該電位の計測時間又は計測時刻とされてもよい。
[1-4.効果]
上述したように、実施の形態1に係る電気反応計測装置1において、培養容器110中で測定電極120b1~120bmのそれぞれが区画部材140の隔壁140aによって隔てられている。このような電気反応計測装置1は、1つの測定電極120bk(k=1~m)に1つの細胞又は組織が接触又は近傍に配置されている場合、複数の測定電極120b1~120bmで同時に計測された電位波形に対して主成分分析を行う。さらに、電気反応計測装置1は、測定電極120b1~120bmそれぞれについて主成分から合成される電位波形を、測定電極共通のノイズとみなし、測定電極120b1~120bmそれぞれの計測された電位波形からノイズの電位波形を減算する。これにより、電気反応計測装置1は、測定電極120b1~120bmそれぞれに配置された細胞又は組織が活動する様を反映する電気反応を、当該細胞又は組織ごとに独立して精度よく計測することができる。このように、複数の測定電極120b1~120bmの計測信号に影響を与える、細胞又は組織の外部からのノイズが除去されるため、細胞又は組織の独自の活動による電気反応がより精度よく計測されることが可能になる。よって、ユーザは、上記のような電気反応を用いた電気反応計測装置1の出力結果から、細胞又は組織の活動の良否を判定しやすくなる。また、細胞又は組織の電気反応に基づいて、細胞又は組織の活動の良否を機械学習によって自動判定する技術に電気反応計測装置1が適用される場合、自動判定の処理の機械学習が容易になり、判定精度を高めることが可能になる。機械学習を用いない判定方式に電気反応計測装置1が適用される場合でも、判定基準が定義しやすく。判定精度を高めることが可能になる。電気反応計測装置1は、細胞又は組織の活動の良否の判定を容易にし且つ精度を向上することで、例えば、再生医療のための細胞又は組織の選別を容易にする。
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1に係る電気反応計測装置1における電極120の変形例1を説明する。実施の形態1では、培養容器110に配置される電極120は、1つのリファレンス電極120aと1つ以上の測定電極120bとを備えたが、本変形例では、複数のリファレンス電極と、1つ以上の測定電極とを備える。本変形例では、複数のリファレンス電極120a1~120a4は、共通の回路に接続されている、つまり、回路上で共通化されている。測定電極120bはそれぞれ、実施の形態1と同様に、互いに独立した回路に接続されている。
図11A及び図11Bを参照しつつ、変形例1に係るリファレンス電極120a1~120a4及び測定電極120bの構成を説明する。なお、図11Aは、実施の形態1に係る電気反応計測装置1における電極の変形例1を、図4Aと同様に示す模式的な平面図である。図11Bは、図11AのXIB-XIB線に沿った断面を模式的に示す断面側面図である。図11A及び図11Bでは、リファレンス電極120a1~120a4及び測定電極120bに接続される回路の配線が、破線を用いて模式的に示されている。
本実施の形態1の変形例1においても、図4Cおよび図4Dに示したような培養液の液面の違いが考慮される。培養液の液面が隔壁140aを超えた高さで保持される場合は、複数の測定電極120bおよび複数のリファレンス電極120aは培養液を通じて電気的につながっている。しかしながら、実施の形態1の図4Cと同様、隔壁140aによる電気的な隔たりは十分大きい。また、本実施の形態1の変形例1では、複数のリファレンス電極120aについては図11A、図11Bに示したように、電気回路として接続されており、電気的に共通となっている。一方、培養液の液面が隔壁140aの高さを超えない高さで保持される場合、複数の測定電極120bの各々は培養液による電気的つながりがなく電気的隔たりは十分大きい。さらに、測定電極120bと複数のリファレンス電極120aとの間も培養液による電気的つながりはなく、電気的隔たりは十分に大きい。図11A、図11Bの例では複数のリファレンス電極120aは培養液によって電気的につながる構成となっているが、培養液による電気的つながりのみでなく、電気回路として接続されており、電気的に共通となっている。
図11A及び図11Bに示されるように、培養容器110内には、回路上で共通化された複数のリファレンス電極120a1、120a2、120a3及び120a4と、各々回路を異にする複数の測定電極120bとが配置されている。図11Aの例では、4つのリファレンス電極120a1~120a4が、区画部材140つまりウェル140b全体を取り囲むように、区画部材140の周りに等間隔に配置されている。リファレンス電極120a1~120a4は、実施の形態1と同様に、培養容器110の底壁110aに配置されている。これにより、区画部材140の各ウェル140bから、当該ウェル140bに最も近いリファレンス電極120a1~120a4までの距離は、実施の形態1よりも小さくなる。つまり、ウェル140b同士の間において、当該距離のばらつきが小さくなる。また、各ウェル140bから4つのリファレンス電極120a1~120a4までの距離の和及び平均値に関しても、ウェル140b同士の間におけるばらつきが小さくなる。よって、ウェル140b同士の間において、ウェル140bからリファレンス電極120a1~120a4までの距離のばらつきが、小さくなる。また、測定電極120bの構成は、実施の形態1と同様である。
図11Aに破線で示されるように、リファレンス電極120a1~120a4の回路は共通化されている。これにより、リファレンス電極120a1~120a4での電位は異なるが、接続される回路が共通化されることで、全てのリファレンス電極120a1~120a4の電位は共通化される、つまり、リファレンス電極120a1~120a4の基準電位が共通化される。なお、リファレンス電極120a1~120a4は、1つの配線を介し電位計測部130のコネクタ132に接続され、リファレンス電極120a1~120a4の電位は、電位取得部131で1つの電位としてまとめられて取得される。これにより、電位取得部131で取得される測定電極120bとリファレンス電極120a1~120a4との間の電位差は、測定電極120bとリファレンス電極120a1~120a4それぞれとの電位差を平均化等によりまとめられた値を示し、リファレンス電極120a1~120a4と測定電極120bとの位置関係に起因する影響が抑えられた値を示す。
上述したように、実施の形態1に係る電気反応計測装置1の変形例1によれば、培養容器110内の複数のリファレンス電極120a1~120a4は、ウェル140b全体を取り囲むように等間隔に配置され、さらに、リファレンス電極120a1~120a4の回路が共通化される。これにより、複数の測定電極120bにおいて、測定電極120bとリファレンス電極120a1~120a4との距離のばらつきが小さくなる。複数の測定電極120bに共通に影響するノイズの位相が、測定電極120bとリファレンス電極120a1~120a4との距離に応じて変化して、当該ノイズが主成分として抽出されにくくなることが抑えられる。すなわち、複数のリファレンス電極120a1~120a4を、ウェル140b全体を取り囲むように、例えば等間隔に配置することで、主成分分析によるノイズ除去をより精度よく行うことが可能になる。変形例1における電極の構成により、測定電極120bそれぞれに配置された細胞又は組織が活動する様を反映する電気反応は、当該細胞又は組織ごとに独立してより精度よく計測されることができる。細胞又は組織の独自の活動による電気反応がより精度よく計測されることができるため、ユーザ又は自動判定による細胞又は組織の活動の良否の判定が容易になる。
(実施の形態1の変形例2)
実施の形態1に係る電気反応計測装置1における電極120の変形例2を説明する。本変形例では、リファレンス電極の構成が、実施の形態1及び変形例1と異なる。具体的には、リファレンス電極は、ウェル140bの隔壁140aに配置されている。
図12A及び図12Bを参照しつつ、変形例2に係るリファレンス電極220a及び測定電極120bの構成を説明する。なお、図12Aは、実施の形態1に係る電気反応計測装置1における電極の変形例2を、図4Aと同様に示す模式的な平面図である。図12Bは、図12AのXIIB-XIIB線に沿った断面を模式的に示す断面側面図である。図12A及び図12Bでは、リファレンス電極220a及び測定電極120bに接続される回路の配線が、破線を用いて模式的に示されている。
図12A及び図12Bに示されるように、培養容器110内には、区画部材140の隔壁140aに配置された1つのリファレンス電極220aと、実施の形態1と同様の隔壁140aの内側の複数の測定電極120bとが配置されている。図12Aの例では、リファレンス電極220aは、隔壁140aにおいて、培養容器110の底壁110aと反対側の隔壁140aの上に配置されている。具体的には、リファレンス電極220aは、隔壁140aの上部全体にわたって配置され、隔壁140aと同様に、網目状の電極、具体的には格子状の電極を構成している。リファレンス電極220aは、上方から下方に向かって見たとき、各測定電極120b及び各ウェル140bを取り囲むように配置されている。このため、リファレンス電極220aと測定電極120bとの距離は、実施の形態1及び変形例1よりも大きく低減され、測定電極120bの間で当該距離の差はほとんどない。なお、図12Aでは、リファレンス電極220aは、隔壁140aの上部全面にわたって配置されていたが、隔壁140aの交差部分等に部分的に配置されてもよい。さらに、リファレンス電極220aは、隔壁140aと培養容器110の底壁110aとの間に配置されてもよい。また、リファレンス電極220aは、1つの回路に接続されており、接続される回路を共通化する。
リファレンス電極220aは、ウェル140bの周囲の隔壁140aの上部にあり、ウェル140b内の組織又は細胞と接触しない。培養液の液面が隔壁140aの高さ以上に満たされている場合、リファレンス電極220aは培養液と接触する。このため、リファレンス電極220a及び測定電極120bを用いた電位計測の際、培養液は、その液面が隔壁140aの高さ以上になるように、培養容器110内に満たされる。
上述のようなリファレンス電極220aの構成により、全ての測定電極120bについて、測定電極120bとリファレンス電極220aとの距離がほぼ等しい。リファレンス電極220aは、1つの配線を介して電位計測部130のコネクタ132に接続され、リファレンス電極220aの電位は、電位取得部131で基準電位として取得される。
本実施の形態1の変形例2においては、図12A、図12Bに示したようにリファレンス電極220aは隔壁140aの上部にあり、培養液は隔壁140aの高さを超える高さで保持される。従って、複数の測定電極120bおよびリファレンス電極120aは培養液を通じて電気的につながっている。しかしながら、実施の形態1の図4Cと同様、隔壁140aによる複数の測定電極120bの各々の電気的な隔たりは十分大きい。
上述したように、実施の形態1に係る電気反応計測装置1の変形例2によれば、培養容器110内の1つのリファレンス電極220aは、ウェル140bの隔壁140a上部に配置される。これにより、複数の測定電極120bにおいて、測定電極120bとリファレンス電極220aとの距離のばらつきは、ほとんどなくなる。複数の測定電極120bに共通に影響するノイズは、測定電極120bとリファレンス電極220aとの距離に起因して、主成分として抽出されにくくなることが抑えられる。すなわち、網目状のリファレンス電極220aが各ウェル140bを取り囲むように配置されることで、主成分分析によるノイズ除去をより精度よく行うことが可能になる。変形例2における電極の構成により、測定電極120bそれぞれに配置された細胞又は組織が活動する様を反映する電気反応は、当該細胞又は組織ごとに独立してより精度よく計測されることができる。細胞又は組織の独自の活動による電気反応がより精度よく計測されることができるため、ユーザ又は自動判定による細胞又は組織の活動の良否の判定が容易になる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る電気反応計測装置を説明する。実施の形態2に係る電気反応計測装置では、処理部200Aの信号処理部220Aの構成が実施の形態1と異なる。以下において、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
実施の形態1では、処理部200の信号処理部220は、主成分分析により、多くの測定電極120bに共通する成分をノイズとして抽出した。実施の形態2では、処理部200Aの信号処理部220Aは、主成分分析によって抽出された主成分の合成波形同士の類似度を、相互相関関数を用いて判定し、類似した合成波形を、位相がずれたに過ぎない同一のノイズであるとしてグルーピングして、除去する。これにより、測定電極120bの間で電位に位相差があるため、分散の説明量が小さい主成分として抽出され且つ除去されずに残るノイズを、波形の類似度に基づいてまとめて除去することができる。
[2-1.電気反応計測装置の信号処理部の構成]
実施の形態2に係る電気反応計測装置の処理部200Aの信号処理部220Aの構成を説明する。図13は、実施の形態2に係る電気反応計測装置における信号処理部220Aの機能的な構成の一例を示すブロック図である。図13に示されるように、処理部200Aは、記憶部210と、信号処理部220Aと、出力部230とを含む。信号処理部220Aは、主成分分析処理部221と、主成分合成部222と、相互相関関数処理部224と、グルーピング処理部225と、共通ノイズ除去処理部223とを含む。主成分分析処理部221及び主成分合成部222の構成は、実施の形態1と同様である。
相互相関関数処理部224は、主成分合成部222によって合成された、測定電極120b1~120bmそれぞれの主成分による電位波形の合成波形である第一合成波形に対して、2つの測定電極間で、2つの異なる主成分の第一合成波形について相互相関関数を適用することにより相互相関係数を求める。例えば、測定電極120bkの第i主成分による第一合成波形Yikと、測定電極120bk+1の第j主成分による第一合成波形Yjk+1との間で、相互相関係数が求められる。つまり、相互相関関数処理部224は、主成分に対応する電位としての第一合成波形について、2つの主成分に対応する第一合成波形の相互相関係数を算出する。
グルーピング処理部225は、相互相関関数処理部224によって算出された、測定電極120b1~120bm間の異なる主成分の相互相関係数の絶対値が予め定められた閾値以上である場合、2つの主成分は、互いに位相がずれたに過ぎない同一の主成分であるとして、1つのグループに含めるグループ化をする。つまり、グルーピング処理部225は、相互相関係数が所定の値以上である2つの主成分を1つのグループにまとめるグループ分けをする。
グルーピング処理部225は、グループ化された主成分のグループについて、当該グループに含まれるすべての主成分について、各主成分の全分散に対する寄与率を合計し、グループの説明量とする。つまり、グルーピング処理部225は、グループの説明量として、当該グループに含まれる全ての主成分の説明量の和を算出する。
グルーピング処理部225は、グループを説明量の大きさに従って大きい順に並び替え、上位から予め定められたグループ数のグループ、又は、説明量が大きいほうからグループの説明量を累積していった値が、予め定められた値を超えるグループを選択し、選択されたグループに含まれる主成分を全て、除去対象のノイズとして決定する。つまり、グルーピング処理部225は、説明量の多いものから、グループ及びグループに含まれない主成分を抽出し、抽出されたグループ及びグループに含まれない主成分に含まれる主成分に対応する電位の和を、ノイズとして推定する。
共通ノイズ除去処理部223は、グルーピング処理部225によって決定された主成分について、全ての測定電極120b1~120bmについて、測定された電位波形から、当該主成分ごとに合成された第一合成波形である電位波形を差し引くことで、ノイズを除去し、ノイズ除去後の電位波形を出力部230へ出力する。つまり、各測定電極120bk(k=1~m)で測定された電位波形について、当該測定電極120bkに対応し且つグルーピング処理部225によって決定された主成分それぞれに対応する第一合成波形Yikの和を、当該測定電極120bkで測定された電位波形つまり電位から減算する。
[2-2.電気反応計測装置の動作]
上述のように構成された信号処理部220Aを含む実施の形態2に係る電気反応計測装置の動作を、図14を参照しつつ説明する。図14は、実施の形態2に係る電気反応計測装置の動作の一例を示すフローチャートである。
(ステップS1100)
主成分分析処理部221は、実施の形態1のステップS1100と同様に、ステップS1100の処理を行う。
(ステップS2100)
主成分分析処理部221は、実施の形態1のステップS1200と同様に、ステップS2100の処理を行う。
(ステップS2200)
主成分合成部222は、実施の形態1のステップS1300と同様に、ステップS2200の処理を行う。
(ステップS2300)
相互相関関数処理部224は、ステップS2200で主成分合成部222によって合成された測定電極120b1~120bmごとの各主成分の電位波形である第一合成波形に対して、2つの測定電極間で、2つの異なる主成分の電位波形である第一合成波形について相互相関係数を求める。図15A及び図15BはステップS2300で求められた相互相関係数の一例である。なお、図15A及び図15Bは、実施の形態2に係る電気反応計測装置における相互相関関数処理部224の計算結果の一部の一例を示す図である。ステップS2300の動作の詳細は後述する。
(ステップS2400)
グルーピング処理部225は、ステップS2300で相互相関関数処理部224によって算出された、2つの測定電極間の異なる主成分の相互相関係数の絶対値が、予め定められた閾値以上である主成分の組みあわせを抽出し、これらをグループにまとめるグループ化をする。グルーピング処理部225は、グループごとに、当該クループに含まれる主成分の全分散に対する寄与率を合計し、グループの説明量とする。グルーピング処理部225は、グループを説明量の大きさに従って大きい順に並び替え、上位からの予め定められたグループ数のグループ、又は、説明量が大きいほうからグループの説明量を累積していった値が予め定められた値を超えるグループを選択し、選択されたグループに含まれる主成分を全て、除去対象のノイズとして決定する。ステップS2400の動作の詳細は後述する。
(ステップS2500)
共通ノイズ除去処理部223は、ステップS2400で除去対象のノイズとして決定された主成分について、測定電極120b1~120bmそれぞれの観測値である電位波形から、ステップS2300で合成された測定電極120b1~120bmそれぞれの当該主成分に対応する第一合成波形であるノイズ波形を減算することにより残渣を求める。共通ノイズ除去処理部223は、ステップS2400で決定された全ての主成分についての第一合成波形を減算した残渣の時間波形を、測定電極120b1~120bmそれぞれでのノイズ除去後の電位波形とし、出力部230に出力する。
(ステップS1500)
出力部230は、ステップS2500で共通ノイズ除去処理部223によって算出された測定電極120b1~120bmそれぞれのノイズ除去後の電位波形を、電位と当該電位が計測された時間とを合わせた数値列とした信号で出力する。
[2-3.ステップS2300の詳細]
図16を参照しつつ、ステップS2300における相互相関関数処理部224の詳細な動作を説明する。図16は、図14のステップS2300の処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
(ステップS2301)
相互相関関数処理部224は、測定電極120b1~120bmのうちから抽出される2つの測定電極のペアの全ての組み合わせについて、2つの測定電極の各主成分の第一合成波形同士の相互相関係数の算出を終了したか否かを判定する。相互相関関数処理部224は、上記算出が終了している場合(ステップS2301においてyes)、ステップS2400へ進む。相互相関関数処理部224は、上記算出が終了していない場合(ステップS2301においてno)、ステップS2302へ進む。
(ステップS2302)
相互相関関数処理部224は、主成分の相互相関係数を未だ算出していない測定電極の組み合わせのうちから1つの組み合わせを選択する。
(ステップS2303)
相互相関関数処理部224は、ステップS2302で選択された2つの測定電極の主成分の間において、互いに異なる主成分同士の全ての組み合わせについて、相互相関係数の算出が終了したか否かを判定する。相互相関関数処理部224は、上記算出が終了している場合(ステップS2303においてyes)、ステップS2301へ戻る。相互相関関数処理部224は、上記算出が終了していない場合(ステップS2303においてno)、ステップS2304へ進む。
(ステップS2304)
相互相関関数処理部224は、相互相関係数を未だ算出していない主成分の組み合わせのうちから1つの組み合わせを選択する。
(ステップS2305)
相互相関関数処理部224は、ステップS2304で選択された主成分の組み合わせについて、2つの主成分の第一合成波形同士の相互相関係数を計算する。
相互相関関数処理部224は、ステップS2303からステップS2305の処理を繰り返すことで、2つの測定電極の主成分について、全ての異なる主成分の組み合わせにおける、電位の第一合成波形の相互相関係数を求めることができる。
図15A及び図15Bは相互相関係数の計算結果の一例である。図15Aの例は、測定電極120bkと測定電極120bk+1との組み合わせにおける主成分間の相互相関係数を表に示す。図15Bの例は、測定電極120bk+2と測定電極120bk+3との組み合わせにおける主成分間の相互相関係数を表に示す。相互相関関数処理部224は、異なる測定電極の同一の主成分の間では相互相関係数を算出せず、異なる測定電極の異なる主成分の間で相互相関係数を算出する。
相互相関関数処理部224は、ステップS2301からステップS2305の処理を繰り返すことで、全ての測定電極の組み合わせ及び全ての主成分の組み合わせについて、図15A及び図15Bのように相互相関係数を求めることができる。
[2-4.ステップS2400の詳細]
図17を参照しつつ、ステップS2400におけるグルーピング処理部225の詳細な動作を説明する。図17は、図14のステップS2400の処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
(ステップS2401)
グルーピング処理部225は、測定電極120b1~120bmの組み合わせそれぞれについて、主成分の各組み合わせの相互相関係数の絶対値を算出し、当該測定電極の組み合わせに含まれる全ての主成分の組み合わせについて、主成分の組み合わせごとに相互相関係数の絶対値を平均する。例えば、図15A及び図15Bの例の場合、第1主成分及び第2主成分の組み合わせについて、グルーピング処理部225は、測定電極120bkの第1主成分と測定電極120bk+1の第2主成分との相互相関係数の絶対値、測定電極120bkの第2主成分と測定電極120bk+1の第1主成分との相互相関係数の絶対値、測定電極120bk+2の第1主成分と測定電極120bk+3の第2主成分との相互相関係数の絶対値、及び、測定電極120bk+2の第2主成分と測定電極120bk+3の第1主成分との相互相関係数の絶対値のように、第1主成分及び第2主成分の間で算出された全ての相互相関係数の絶対値の平均値を求める。また、図18は、図15A及び図15Bの例について、主成分の組み合わせごとに相互相関係数の絶対値の平均を計算した結果の一例である。相互相関係数の絶対値は、0以上1以内の範囲の値をとり、1に近い程、2つの主成分が類似することを示す。
(ステップS2402)
グルーピング処理部225は、主成分の組み合わせのうち、ステップS2401で求めた相互相関係数の絶対値の平均が、予め定められた値を超える、主成分の組み合わせを抽出する。予め定められた値は、例えば0.7である。図18の例では、第1主成分及び第3主成分の組み合わせ、並びに、第3主成分及び第4主成分の組み合わせが該当する。
(ステップS2403)
グルーピング処理部225は、ステップS2402で抽出された主成分の組み合わせをグループ化する、つまり、グループ分けする。このとき、まず、グルーピング処理部225は、抽出された2つの組み合わせを1つのグループとする。さらに、グルーピング処理部225は、図18の例のように、抽出された2つの組み合わせの間で、含まれる主成分に重なりがある場合、重なる主成分を含む2つの組み合わせを1つのグループにまとめる。すなわち、図18の例の場合、グルーピング処理部225は、第1主成分及び第3主成分、第3主成分及び第4主成分において、重なる主成分に第3主成分を決定し、第1主成分、第3主成分及び第4主成分を1つのグループとする。よって、1組の主成分のいずれかの主成分と重なりがある主成分の組が1つのグループにまとめられ、当該1組の主成分のいずれの主成分とも重なりがない主成分の組は、別のグループにまとめられる。また、いずれのグループにも含まれなかった主成分は、クループ化されない主成分として扱われる。
(ステップS2404)
グルーピング処理部225は、2つ以上の主成分を含む主成分のグループについて、当該グループに含まれる各主成分のデータ全体の分散に対する寄与率を算出し、当該グループの各主成分の寄与率の合計を、当該グループの説明量とする。さらに、グルーピング処理部225は、ステップS2403でグループ化されなかった主成分をそれぞれ、1つのグループとして、当該グループの説明量を上記と同様に算出する。1つの主成分からなるグループの説明量は、当該主成分の寄与率である。
(ステップS2405)
グルーピング処理部225は、ステップS2403でグループ化されたグループの説明量と、ステップS2403でグループ化されなかった主成分それぞれのグループの説明量とを合わせ、説明量の大きいものから順(降順)に予め定められた数のグループを抽出する。又は、グルーピング処理部225は、説明量の大きいものから順(降順)に、説明量を累積して、予め定められた説明量を超えるまでのグループを抽出する。このように、グループ化されなかった各主成分も1つのグループとして扱われ、全てのグループの説明量を用いて、グループの抽出が行われる。このように抽出されたグループには、ステップS2403でグループ化され且つ2つ以上の主成分を含むグループ、及び、ステップS2403でグループ化されず且つ1つの主成分を含むグループが、含まれ得る。
(ステップS2406)
グルーピング処理部225は、ステップS2405で抽出されたグループに含まれる主成分の全てを、ノイズとして除去する成分として決定する。
[2-5.効果]
上述したように、実施の形態2に係る電気反応計測装置は、主成分の合成波形の相互相関係数を求めて、相互相関係数に基づく合成波形の類似度によって主成分をグルーピングする。つまり、電気反応計測装置は、測定電極の位置、及び、測定電極とリファレンス電極との距離等に起因してノイズの位相がずれることで異なる主成分として抽出され得る同じ主成分を、グループピングしてノイズ除去の対象とする。よって、電気反応計測装置は、影響の大きいノイズが位相ずれによって説明量が小さく且つ影響の小さいノイズとして除去されずに、出力データに残ることを防ぐことができる。
[3.その他]
以上、1つ又は複数の態様に係る電気反応計測装置について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び変形例に施したものや、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
また、上述したように、本開示の技術は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読取可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM等の不揮発性の記録媒体を含む。
例えば、上記実施の形態に係る電気反応計測装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUなどのプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記構成要素の一部又は全部は、脱着可能なIC(Integrated Circuit)カード又は単体のモジュールから構成されてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記のLSI又はシステムLSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。これらICカード及びモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
本開示の電気反応処理方法は、MPU(Micro Processing Unit)、CPU、プロセッサ、LSIなどの回路、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。
さらに、本開示の技術は、ソフトウェアプログラム又はソフトウェアプログラムからなるデジタル信号によって実現されてもよく、プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
また、上記で用いた序数、数量等の数字は全て、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
本開示の技術は、細胞又は組織等の生物学的な対象物の電気的反応を計測する装置に広く利用可能である。例えば、本開示の技術は、インキュベータ内での細胞又は組織の電気的反応の観測に有用である。
1 電気反応計測装置
110 培養容器
120 電極
120a,120a1~120a4,220a リファレンス電極
120b,120b1~120bm 測定電極
130 電位計測部
131 電位取得部
131a 差動アンプ
131b AD変換器
132 コネクタ
133 制御部
150 液面
200,200A 処理部
210 記憶部
220,220A 信号処理部
221 主成分分析処理部
222 主成分合成部
223 共通ノイズ除去処理部
224 相互相関関数処理部
225 グルーピング処理部
230 出力部

Claims (7)

  1. 培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された複数の測定電極における、少なくとも1つのリファレンス電極に対する電位を計測する電気反応計測装置であって、
    前記複数の測定電極と、
    前記少なくとも1つのリファレンス電極と、
    少なくとも1つの制御回路とを備え、
    前記複数の部屋には、計測対象物が配置され、
    前記少なくとも1つの制御回路は、
    前記複数の測定電極それぞれの前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、
    前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、
    前記測定電極の合成された前記電位を、前記測定電極で測定された電位から減算し、
    減算後の電位を出力する
    電気反応計測装置。
  2. 前記複数の部屋を互いに電気的に隔てる隔壁をさらに備える
    請求項1に記載の電気反応計測装置。
  3. 前記測定電極は、前記部屋を囲む前記隔壁の内側に配置され、
    前記リファレンス電極は、前記隔壁に配置される
    請求項に記載の電気反応計測装置。
  4. 前記少なくとも1つの制御回路は、
    前記主成分それぞれについて、計測された電位全体の分散に対する前記主成分の説明量を算出し、
    前記主成分のうち、前記説明量が大きいものから順に前記主成分の一部を抽出し、
    抽出された前記主成分について、前記主成分に対応する電位を合成する
    請求項1~のいずれか一項に記載の電気反応計測装置。
  5. 前記少なくとも1つの制御回路は、
    前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも2つの主成分を算出し、
    前記主成分に対応する電位について、2つの前記主成分に対応する電位の相互相関係数を算出し、
    前記相互相関係数が所定の値以上である前記2つの主成分をグループ分けし、
    前記グループの説明量として、前記グループに含まれる全ての前記主成分の説明量の和を算出し、
    前記グループの説明量及び前記グループに含まれない前記主成分の前記説明量について、前記説明量の多いものから、前記グループ及び前記グループに含まれない前記主成分を抽出し、
    抽出された前記グループ及び前記グループに含まれない前記主成分に含まれる前記主成分に対応する電位の和を推定し、
    前記電位の和を、前記測定電極で測定された電位から減算する
    請求項1~のいずれか一項に記載の電気反応計測装置。
  6. 培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された複数の測定電極における、少なくとも1つのリファレンス電極に対する電位を処理する電気反応計測装置であって前記複数の測定電極と前記少なくとも1つのリファレンス電極と少なくとも1つの制御回路とを備える電気反応計測装置による電気反応処理方法であって、
    前記複数の部屋には、計測対象物が配置され、
    前記少なくとも1つのリファレンス電極に対する前記複数の測定電極それぞれの電位を取得し、
    前記複数の測定電極それぞれの前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、
    前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、
    前記測定電極それぞれの合成された前記電位を、前記測定電極について取得された前記電位から減算し、
    減算後の電位を出力する
    電気反応処理方法。
  7. 複数の測定電極と、少なくとも1つのリファレンス電極と、コンピュータとを備える電気反応計測装置において、
    計測対象物が配置される培養容器中の複数の部屋それぞれに配置された前記複数の測定電極のそれぞれと、前記少なくとも1つのリファレンス電極との間の電位を取得し、
    前記複数の測定電極それぞれについての前記電位を主成分分析することによって、前記複数の測定電極それぞれについて少なくとも1つの主成分を算出し、
    前記複数の測定電極それぞれについて、前記測定電極の前記主成分から前記主成分に対応する電位を推定し、推定された前記電位を合成し、
    前記測定電極の合成された前記電位を、前記測定電極について取得された前記電位から減算し、
    減算後の電位を出力することを
    前記コンピュータに実行させるプログラム。
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