JP7248231B2 - 舵装置及び船舶 - Google Patents
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Description
図7は、プロペラ面における船尾伴流の流速分布図であり、プロペラは上下対称の流れを実際には誘起していないことを示している。
特許文献1から特許文献4については、いずれもプロペラが上下対称の流れを実際には誘起しないことを考慮したものではない。
請求項1に記載の本発明によれば、下部捩り部のキャンバー比の絶対値を上部捩り部のキャンバー比の絶対値よりも大きく設定することで、舵とプロペラだけでなく、船体の流れを考慮した高い推進効率を得ることができる。なお、上部捩り部は舵板上部全体に亘って、また下部捩り部は舵板下部全体に亘って形成することも可能である。また、キャンバーによって捩り量を設定することで設計を容易にすることができる。また、下部捩り量を上部捩り量よりも大きくし、かつキャンバー比をこれらの範囲に設定することで、大きな推力を発生させ、舵板の推進方向の推力を主とした省エネ効果を効率的に得ることができる。また、流向角が大きく流速の速い流れを有効に利用することができる。
請求項2に記載の本発明によれば、スムーズな流れによって抵抗増加を防ぐことができる。
請求項3に記載の本発明によれば、前縁部の形状を変えるだけでも捩りを設定できる。
請求項4に記載の本発明によれば、舵板をプロペラに近づけることで、省エネ効果を更に高めることができる。
請求項5に記載の本発明によれば、ユニット化によって組み合わせの自由度を高めることができる。
請求項6に記載の本発明によれば、ユニット化した上部ユニット及び下部ユニットの取り付けを開口部によって容易にできる。
請求項7に記載の本発明によれば、付加物により、例えば、ハブ渦を低減し、舵板の流れを改善して推進効率を高めることができる。
請求項8に記載の本発明によれば、開口部の流れの抵抗を低減する蓋を兼ねることができる。
請求項9に記載の本発明によれば、舵とプロペラだけでなく、船体の流れを考慮した高い推進効率を得ることができる船舶を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態による舵装置を備えた船舶の要部構成図である。
本実施形態の舵装置は、船舶1のプロペラ2の後方に取り付けられる舵板10として、プロペラ2の中心軸Aよりも上方に位置する舵板上部10aに設けた上部捩り部20aと、プロペラ2の中心軸Aよりも下方に位置する舵板下部10dに設けた下部捩り部20dとを、プロペラ2の回転流Bに対向するように反対方向に捩るとともに、下部捩り部20dの捩り量を上部捩り部20aの捩り量よりも大きく設定した舵形状を備えている。
舵板10のキャンバー21a、21dを有さない部分30は、対称翼型31に構成し、キャンバー21a、21dを有する部分20、すなわち上部捩り部20a及び下部捩り部20dをキャンバー21a、21dを有さない部分30になだらかに収束させている。キャンバー21a、21dを有する部分20をキャンバー21a、21dを有さない部分30になだらかに収束させることで、スムーズな流れによって抵抗増加を防ぐことができる。
上部ユニット10Aと下部ユニット10Dは舵軸40に装着され、下部ユニット10Dに設けた開口部50において、ボルトやナットなどの固定手段60により舵軸40に下部ユニット10Dが固定される。開口部50で固定手段60によって舵軸40に下部ユニット10Dを固定することで、ユニット化した上部ユニット10A及び下部ユニット10Dの取り付けを開口部50によって容易にできる。
また、開口部50を付加物(図示せず)で覆う構成とした場合には、開口部の流れの抵抗を低減する蓋を兼ねることができる。
図1に示す上部捩り部20a及び下部捩り部20dは、舵板10の前縁端10fから後縁端までの全体を捩ったキャンバー21a、21dで構成したが、図2では、上部捩り部20a及び下部捩り部20dを舵板10の前縁部11で形成している。
本実施形態による舵板10は、前縁部11を除く後縁部12を対称翼型としている。上部前縁部11aと下部前縁部11dとは、プロペラ2の回転流Bに対向するように反対方向に捩るとともに、下部前縁部11dの捩り量を上部前縁部11aの捩り量よりも大きく設定している。このように、前縁部11の形状を変えるだけでも捩りを設定できる。
このように、上部捩り部20aの少なくとも一部及び/又は下部捩り部20dの少なくとも一部を、舵板10の前縁部11で形成することができる。
図1及び図2で示すような舵装置を備えることで、舵板10とプロペラ2だけでなく、船体の流れを考慮した高い推進効率を得ることができる船舶1を提供することができる。
図3(a)は、船長方向の軸を基準としたときの流向角の舵板高さ方向の分布を示す図、図3(b)はそのときの流速分布を示す図である。
図3の縦軸で示す舵板高さ方向は、プロペラ軸中心を0.0とし、舵板上方をプラス、舵板下方をマイナスとし、プロペラ2の直径Dで無次元化した値で、+0.5はプロペラ2の上端位置、-0.5はプロペラ2の下端位置を表している。
一方、図3(b)に示すように、流速はプロペラ2の中心軸Aよりも下方が速く、プロペラ2の中心軸Aよりも上方では船体伴流の影響により0.1Rpより急速に減速する。このことから、舵の推進方向の推力を主とした省エネ効果(推進性能の向上)を効率的に得るためには、-0.3Rp~0.2Rpの範囲かつ特にプロペラ2の中心軸Aよりも下方に大きな捩り量を持たせることで、大きな推力を発生させることができる。
図4は、比較例1、実施例1、及び比較例2のキャンバー分布と前縁比とを示しており、図4(a)は比較例1のキャンバー分布、図4(b)は実施例1のキャンバー分布、図4(c)は比較例2のキャンバー分布、図4(d)は比較例1の前縁比、図4(e)は実施例1の前縁比、図4(f)は比較例2の前縁比である。図4における縦軸は、舵板高さである。図4(a)(b)(c)における横軸は、キャンバー21a、21dを翼型のコード長で除したキャンバー比、図4(d)(e)(f)における横軸は、前縁部11の前端の変化量を翼型のコード長で除した前縁比である。
図5(a)に示すように、模型船を用いた水槽試験による燃料削減効果は、比較例1に対して比較例2は省エネ率が向上しているが、実施例1は比較例2に対して高い省エネ率を示している。
また図5(b)に示すように、スラスト力の寄与率を示す推力減少係数においても、実施例1は、比較例1及び比較例2に対して高い効果を示している。
図6(a)に示すように、キャンバー比は0.005以上0.04以下で省エネ効果が高いが、0.005以上0.03以下、更には0.01以上0.02以下がより好ましい。
また、図6(b)に示すように、前縁比は、0.1以上で省エネ効果が高いが、0.1以上0.2以下がより好ましい。
また、キャンバー21a、21dは、舵板下部10dにおいては舵板下部10dの上下方向の-0.5以上0.0以下の範囲に、舵板上部10aにおいては舵板上部10aの上下方向の0.0以上+0.4以下の範囲に形成することが好ましく、流向角が大きく流速の速い流れを有効に利用することができる。
2 プロペラ
2b 後縁端
10 舵板
10a 舵板上部
10d 舵板下部
10f 前縁端
10A 上部ユニット
10D 下部ユニット
11 前縁部
11a 上部前縁部
11b 下部前縁部
12 後縁部
20 キャンバー有する部分
20a 上部捩り部
20d 下部捩り部
21a、21d キャンバー
30 キャンバー有さない部分
31 対象翼型
40 舵軸
50 開口部
60 固定手段
A 中心軸
B 回転流
C 距離
D 直径
Claims (9)
- 船舶のプロペラの後方に取り付けられる舵の舵板として、前記プロペラの中心軸よりも上方に位置する舵板上部に設けた上部捩り部と、前記プロペラの中心軸よりも下方に位置する舵板下部に設けた下部捩り部とを、前記プロペラの回転流に対向するように反対方向に捩るとともに、前記舵板の横断面を翼型に構成し、前記上部捩り部及び前記下部捩り部の前記捩り量を前記翼型のキャンバーの大小により設定し、流向角が大きく流速の速い流れを有効に利用可能なプロペラ位置に相当する舵高さ-0.3Rpから0.2Rpの範囲において(ここで、舵高さRpは、プロペラ軸中心を0.0とし、舵板上方をプラス、舵板下方をマイナスとし、舵高さをプロペラの直径で無次元化した値)、前記キャンバーを前記翼型のコード長で除したキャンバー比を、前記舵板下部においては-0.04以上-0.005以下の範囲に、前記舵板上部においては+0.005以上+0.03以下の範囲に設定し、かつ前記下部捩り部のキャンバー比の絶対値を前記上部捩り部のキャンバー比の絶対値よりも大きく設定した舵形状を備えたことを特徴とする舵装置。
- 前記舵板の前記上部捩り部の上方と前記下部捩り部の下方を前記キャンバーを有さない対称翼型に構成し、前記舵板の前記キャンバーを有する前記上部捩り部を上方の前記キャンバーを有さない前記対称翼型になだらかに収束させ、前記キャンバーを有する前記下部捩り部を下方の前記キャンバーを有さない前記対称翼型になだらかに収束させたことを特徴とする請求項1に記載の舵装置。
- 前記上部捩り部の少なくとも一部及び/又は前記下部捩り部の少なくとも一部を、前記舵板の前縁部で形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の舵装置。
- 前記舵板の前縁端と前記プロペラの後縁端との距離を、前記プロペラの直径との比で0.05以上0.5以下に設定したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の舵装置。
- 前記舵板上部と前記舵板下部とを別々の上部ユニットと下部ユニットとで構成し、前記舵板を前記上部ユニットと前記下部ユニットとを組み合わせて構成することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の舵装置。
- 前記上部ユニットと前記下部ユニットが舵軸に装着され、前記下部ユニットに設けた開口部において固定手段により前記舵軸に前記下部ユニットが固定されていることを特徴とする請求項5に記載の舵装置。
- 前記舵板に省エネルギー効果を得るための付加物を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の舵装置。
- 前記開口部を前記付加物で覆う構成としたことを特徴とする請求項6を引用する請求項7に記載の舵装置。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の舵装置を備えた船舶であることを特徴とする船舶。
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