以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、三次元直交座標系のX軸、Y軸、及びZ軸を適宜図示している。一例として、X軸及びY軸は水平方向に略平行であり、Z軸は鉛直方向に略平行である。
(実施形態1)
図1~図6(b)を参照して、本発明の実施形態1に係る船舶100を説明する。まず、図1及び図2を参照して、実施形態1に係る船舶100を説明する。図1は、実施形態1に係る船舶100を船首側から見たときの斜視図である。図2は、実施形態1に係る船舶100を示す正面図である。図2では、船舶100を船首側から見ている。
図1及び図2に示すように、船舶100は、上部船体1と、少なくとも1つの下部船体3と、少なくとも1つの第1連結部5と、少なくとも1つのエンジン15とを備える。具体的には、船舶100は、複数の下部船体3を備える。そして、船舶100は、複数の下部船体3にそれぞれ対応して複数の第1連結部5を備える。また、船舶100は、複数の下部船体3にそれぞれ対応して複数のエンジン15を備える。従って、船舶100は多胴型船舶である。更に具体的には、船舶100は、2つの下部船体3、2つの第1連結部5、及び、2つのエンジン15を備える。従って、船舶100は双胴型船舶である。
船舶100の説明の便宜のために、第1方向D11、第2方向D21、第3方向D3、及び、所定方向(以下、「所定方向PD」と記載する。不図示)を定義する。第1方向D11と第2方向D21と第3方向D3とは互いに略直交する。
第1方向D11は、船舶100の船尾から船首に向かう方向を示す。第1方向D11の反対方向D12は、船舶100の船首から船尾に向かう方向を示す。例えば、第1方向D11及び反対方向D12は、水平方向に略平行である。
第2方向D21は、下部船体3から上部船体1に向かう方向を示す。例えば、第2方向D21は、鉛直上方向を示す。第2方向D21の反対方向D22は、上部船体1から下部船体3に向かう方向を示す。例えば、反対方向D22は、鉛直下方向を示す。
所定方向PDは、第2方向D21に対して交差する方向を示す。典型的には、所定方向PDは、第2方向D21に対して略直交する方向を示す。第1方向D11、反対方向D12、及び、第3方向D3は、所定方向PDの一例である。例えば、所定方向PDは、第2方向D21に対して略直交する限りは、360度のうちの任意の方向を取り得る。
第3方向D3は、2つの下部船体3のうちの一方の下部船体3から他方の下部船体3に向かう方向を示す。例えば、第3方向D3は、水平方向に略平行である。
上部船体1は、船室101と、ベース体103とを有する。ベース体103は,上部船体1のベースになる部分である。ベース体103は船室101を支持する。船室101は、例えば、操縦室及び/又は客室である。
具体的には、ベース体103は、バウデッキ103Aと、ベース103Bとを有する。バウデッキ103Aは、ベース103Bの第1方向D11の先端部から、第1方向D11に張り出している。
ベース103Bに船室101が配置される。具体的には、ベース103Bは、第1被連結部1031と、底面部1033と、第2被連結部1035とを有する。
第1被連結部1031は、ベース103Bの第1方向D11の前端部である。第1被連結部1031は、例えば、第1方向D11に対して斜め上方に傾斜している。第1被連結部1031を「上部船体1の第1被連結部1031」と記載する場合がある。
第2被連結部1035は、ベース103Bの第1方向D11の後端部である。第2被連結部1035は、例えば、第2方向D21に延びている。第2被連結部1035を「上部船体1の第2被連結部1035」と記載する場合がある。
底面部1033は、第1被連結部1031の下端部と第2被連結部1035の下端部との間に位置している。底面部1033が下部船体3に接触しない限りにおいては、底面部1033の形状は、特に限定されない。底面部1033を「上部船体1の底面部1033」と記載する場合がある。
下部船体3は、上部船体1の下方に位置する。下部船体3は、例えば、ハル(具体的には、デミハル)である。下部船体3が、海水及び淡水等の水に浸かって、水に浮かぶ。下部船体3は中空の筐体3Aを有する。筐体3Aは、例えば、断面視において、略矩形形状を有する。
下部船体3は、第1方向D11に延びている。具体的には、下部船体3は、前端部分301と、本体部分303とを有する。
前端部分301は、下部船体3の第1方向D11の前端部分である。実施形態1では、前端部分301は、第1方向D11に対して斜め上方に反り上がっている。本体部分303は第1方向D11に延びる。
本体部分303は、上面部3030と、後端部3031とを有する。上面部3030は、第2方向D21において上部船体1の底面部1033と対向する。上面部3030を「下部船体3の上面部3030」と記載する場合がある。後端部3031は、本体部分303の第1方向D11の後端部である。後端部3031を「下部船体3の後端部3031」と記載する場合がある。
2つの下部船体3は、略平行であり、第3方向D3に間隔をあけて配置される。2つの下部船体3の間隔は略一定である。
下部船体3と上部船体1とは、第2方向D21に間隔をあけて配置される。従って、下部船体3の上面部3030と上部船体1の底面部1033とは、第2方向D21に対向する。下部船体3と上部船体1との間隔は、第2方向D21、又は、第2方向D21の反対方向D22に変動し得る。
第1連結部5は、上部船体1と下部船体3とを連結する。第1連結部5は、「連結部」の一例に相当する。
2つの第1連結部5は、それぞれ、2つの下部船体3に対応して配置される。また、2つの第1連結部5は、第3方向D3に並んで配置される。
第1連結部5は、船舶100の船首側に配置される。そして、第1連結部5は、船舶100の船首側において、下部船体3に対して動作可能に上部船体1を支持する。例えば、第1連結部5は、船舶100の船首側において、下部船体3に対して第2方向D21及び反対方向D22に揺動可能に上部船体1を支持する。第1連結部5は、水面の変動が上部船体1に伝わることを抑制する緩衝装置である。第1連結部5は、例えば、サスペンションである。
具体的には、2つの第1連結部5の各々は、連結部材51と、緩衝部53とを有する。連結部材51は、上部船体1と下部船体3とを連結する。連結部材51の第1方向D11の後端部は、第3方向D3に略平行な回動軸線(不図示)を中心に回動可能に、上部船体1の第1被連結部1031に連結される。連結部材51の第1方向D11の前端部は、第3方向D3に略平行な回動軸線(不図示)を中心に回動可能に、下部船体3の前端部分301に連結される。連結部材51は、例えば、略平板形状を有する。
緩衝部53は、水面の変動が上部船体1に伝わることを抑制する緩衝機構である。緩衝部53は、例えば、シリンダー(例えば、エアシリンダー又は油圧シリンダー)を有する。緩衝部53は、緩衝部53の長手方向に沿って伸縮自在である。緩衝部53は、例えば、略棒形状を有する。緩衝部53の上側端部は、第3方向D3に略平行な回動軸線(不図示)を中心に回動可能に、上部船体1の第1被連結部1031に連結される。緩衝部53の下側端部は、第3方向D3に略平行な回動軸線(不図示)を中心に回動可能に、下部船体3の前端部分301に連結される。
図2に示すように、2つのエンジン15は、それぞれ、2つの下部船体3の内部に配置される。エンジン15は、例えば、ディーゼルエンジンである。
次に、図3を参照して、船舶100をさらに説明する。図3は、船舶100を船尾側から見たときの斜視図である。図3に示すように、船舶100は、少なくとも1つの第2連結部7と、少なくとも1つのスクリュープロペラ9とをさらに備える。具体的には、船舶100は、複数の下部船体3にそれぞれ対応して複数の第2連結部7を備える。また、船舶100は、複数の下部船体3にそれぞれ対応して複数のスクリュープロペラ9を備える。実施形態1では、船舶100は、2つの第2連結部7及び2つのスクリュープロペラ9を備える。
第2連結部7は、上部船体1と下部船体3とを連結する。第2連結部7は、「連結部」の一例に相当する。
2つの第2連結部7は、それぞれ、2つの下部船体3に対応して配置される。また、2つの第2連結部7は、第3方向D3に並んで配置される。
第2連結部7は、船舶100の船尾側に配置される。そして、第2連結部7は、船舶100の船尾側において、下部船体3に対して動作可能に上部船体1を支持する。例えば、第2連結部7は、船舶100の船尾側において、下部船体3に対して第2方向D21及び反対方向D22に揺動可能に上部船体1を支持する。第2連結部7は、水面の変動が上部船体1に伝わることを抑制する緩衝装置である。第2連結部7は、例えば、サスペンションである。
具体的には、2つの第2連結部7の各々は、連結部材71と、少なくとも1つの緩衝部73とを有する。具体的には、2つの第2連結部7の各々は、複数の緩衝部73を有する。実施形態1では、2つの第2連結部7の各々は、2つの緩衝部73を有する。そして、1つの連結部材71は、2つの緩衝部73の間に配置されている。
連結部材71は、上部船体1と下部船体3とを連結する。連結部材71は、連結部材71の長手方向に伸縮自在である。連結部材71の上端部は、第3方向D3に略平行な回動軸線(不図示)を中心に回動可能に、上部船体1の第2被連結部1035に連結される。連結部材71の下端部は、下部船体3の後端部3031に固定される。
具体的には、連結部材71は、ガイド部材711と、スライド部材713とを有する。ガイド部材711は、中空の部材であり、スライド部材713を第2方向D21又は反対方向D22に案内する。スライド部材713の上端部は、上部船体1の第2被連結部1035に回動可能に連結される。スライド部材713は、略柱形状を有し、ガイド部材711に挿入される。スライド部材713は、ガイド部材711に対して第2方向D21又は反対方向D22にスライド可能である。ガイド部材711の下端部は、下部船体3の後端部3031に固定される。
緩衝部73は、水面の変動が上部船体1に伝わることを抑制する緩衝機構である。緩衝部73は、例えば、シリンダー(例えば、エアシリンダー又は油圧シリンダー)を有する。緩衝部73は、緩衝部73の長手方向に沿って伸縮自在である。緩衝部73は、例えば、略棒形状を有する。緩衝部73の上端部は、第3方向D3に略平行な回動軸線(不図示)を中心に回動可能に、上部船体1の第2被連結部1035に連結される。緩衝部73の下端部は、下部船体3の後端部3031に固定される。なお、図1及び後述の図4では、図面の簡略化のために、緩衝部53の図示を省略している。
スクリュープロペラ9は、下部船体3の後端部3031において、第2連結部7よりも下方に配置される。
次に、図3及び図4を参照して、船舶100をさらに説明する。図3に示すように、船舶100は、少なくとも1つの吸気管11と、少なくとも1つの壁部13とをさらに備える。具体的には、船舶100は、複数の吸気管11と、複数の壁部13とを備える。実施形態1では、船舶100は、2つの下部船体3にそれぞれ対応して2つの吸気管11を備える。吸気管11は、「管」の一例に相当する。また、船舶100は、2つの吸気管11にそれぞれ対応して2つの壁部13を備える。
図4は、船舶100を示す側面図である。図4に示すように、吸気管11はエンジン15に接続される。例えば、吸気管11はエンジン15に直接的又は間接的に接続される。吸気管11は、エンジン15に気体(以下、「気体G1」と記載する。)を供給する。気体G1は空気である。
吸気管11の基端部はエンジン15に接続される。例えば、吸気管11の基端部はエンジン15に直接的又は間接的に接続される。そして、吸気管11は、エンジン15から筐体3A内部を通って、上部船体1(具体的には底面部1033)と下部船体3(具体的には上面部3030)との間の空間まで延びている。
具体的には、吸気管11は突出部分110を有する。突出部分110は、下部船体3(具体的には上面部3030)と上部船体1(具体的には底面部1033)との間において、下部船体3(具体的には上面部3030)から突き出ている。つまり、吸気管11の突出部分110は、下部船体3(具体的には上面部3030)から第2方向D21に突き出ている。さらに、突出部分110は、上部船体1(具体的には底面部1033)に対して第2方向D21の反対方向D22に離隔している。
壁部13は、上部船体1(具体的には底面部1033)から下部船体3(具体的には上面部3030)に向かって延びている。つまり、壁部13は、上部船体1(具体的には底面部1033)から第2方向D21の反対方向D22に延びている。また、壁部13の上端部136は、上部船体1(具体的には底面部1033)に固定される。
なお、船舶100は、2つのエンジン15にそれぞれ対応して2つの伝達機構17をさらに備える。伝達機構17は、エンジン15及びスクリュープロペラ9に接続され、エンジン15の駆動力をスクリュープロペラ9に伝達する。その結果、スクリュープロペラ9が回転する。なお、図4では、2つの伝達機構17のうちの1つの伝達機構17だけが表れている。
また、船舶100は、2つのエンジン15にそれぞれ対応して2つの排気管(不図示)をさらに備える。排気管はエンジン15に接続される。例えば、排気管はエンジン15に直接的又は間接的に接続される。そして、排気管は、エンジン15からの気体(排気ガス)を外部に排出する。排気管は、気体(排気ガス)を排出する排気口を有する。なお、エンジン15は、例えば、船舶100の船尾側において、下部船体3の内部に配置されている。
次に、図5(a)~図6(b)を参照して、吸気管11及び壁部13を詳細に説明する。
図5(a)は、上部船体1の非接近状態において、吸気管11及び壁部13を示す側面断面図である。図6(a)は、上部船体1の非接近状態において、吸気管11及び壁部13を船尾側から見たときの図である。
図5(b)は、上部船体1の接近状態において、吸気管11及び壁部13を示す側面断面図である。図6(b)は、上部船体1の接近状態において、吸気管11及び壁部13を船尾側から見たときの図である。
図5(a)及び図6(a)に示すように、吸気管11は吸気口111をさらに有する。吸気口111は吸気管11の突出部分110に設けられる。そして、吸気口111を気体G1が通過する。つまり、突出部分110に設けられた吸気口111は気体G1を吸い込む。従って、気体G1は、吸気口111から吸気管11を通って、エンジン15に供給される。また、吸気管11は天壁部材113をさらに有する。天壁部材113は、突出部分110の先端部を閉塞している。吸気口111は「開口」の一例に相当する。
好ましくは、吸気口111は、第1方向D11の反対方向D12に向かって開口している。つまり、吸気口111は、突出部分110において船尾側に設けられ、船舶100の船尾に向かって開口している。従って、実施形態1によれば、船舶100が第1方向D11に移動している場合において(つまり、船舶100が前進している場合において)、吸気口111から吸気管11に、海水及び淡水等の水(例えば、水しぶき)が浸入することを抑制できる。その結果、吸気管11を通ってエンジン15に水が浸入することを抑制できる。
また、図5(a)に示すように、壁部13は、吸気管11の突出部分110に対応して配置される。加えて、壁部13は、上部船体1(具体的には底面部1033)と下部船体3(具体的には上面部3030)との間に配置される。従って、実施形態1によれば、海水及び淡水等の水が壁部13に当たり得る。その結果、壁部13に水が跳ね返される。よって、壁部13が存在しない場合と比較して、エンジン15に接続される吸気管11に、吸気口111から水(例えば、水しぶき)が浸入することを抑制できる。ひいては、吸気管11を通ってエンジン15に水が浸入することを抑制できる。
例えば、図5(a)において、上部船体1の底面部1033に当たって跳ね返された水の一部は、壁部13に当たって、吸気口111の位置する方向と異なる方向に跳ね返される。その結果、壁部13が存在しない場合と比較して、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを抑制できて、エンジン15に水が浸入することを抑制できる。
また、図5(a)に示すように、上部船体1の非接近状態において、壁部13は、壁部13と吸気管11の突出部分110とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する位置(図5(b))から第2方向D21に離れている。具体的には、上部船体1の非接近状態において、壁部13は、壁部13と突出部分110の吸気口111とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する位置(図5(b))から第2方向D21に離れている。
上部船体1の非接近状態は、下部船体3に対する上部船体1の動作(例えば、揺動)に応じて上部船体1が接近状態(図5(b))よりも下部船体3から遠くなった状態を示す。例えば、上部船体1の非接近状態において、壁部13は、吸気管11の突出部分110の直上に位置する。非接近状態は、例えば、下部船体3に対する上部船体1の動作(例えば、揺動)に応じて上部船体1が下部船体3から第2方向D21に最も離れた状態であってもよい。
なお、上部船体1の非接近状態において、壁部13の下端部133は、下部船体3の上面部3030に対して第2方向D21に離隔している。また、壁部13は開口134を有する。開口134は、下部船体3の上面部3030を向いている。
図5(b)及び図6(b)に示すように、少なくとも上部船体1の接近状態において、壁部13と吸気管11の突出部分110とは所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。従って、実施形態1によれば、壁部と吸気管の突出部分とが所定方向PDに対向していない場合と比較して、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを、壁部13によって更に抑制できる。その結果、吸気管11を通ってエンジン15に水が浸入することを更に抑制できる。
上部船体1の接近状態は、下部船体3に対する上部船体1の動作(例えば、揺動)に応じて上部船体1が下部船体3に近づいた状態を示す。例えば、上部船体1の接近状態において、壁部13の下端部133は、下部船体3の上面部3030に接触する。接近状態は、例えば、下部船体3に対する上部船体1の動作(例えば、揺動)に応じて上部船体1が下部船体3に最も近づいた状態であってもよい。
上部船体1の接近状態は、「所定状態」の一例に相当する。「所定状態」は、下部船体3に対する上部船体1の状態を示す。
好ましくは、少なくとも上部船体1の接近状態(図5(b))において、壁部13と突出部分110の吸気口111とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。従って、実施形態1によれば、壁部と吸気口とが所定方向PDに対向していない場合と比較して、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを、壁部13によって更に効果的に抑制できる。その結果、吸気管11を通ってエンジン15に水が浸入することを更に効果的に抑制できる。例えば、パンチング時等においても、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを、壁部13によって効果的に抑制できて、エンジン15に水が浸入することを効果的に抑制できる。パンチングとは、荒天時等において、船舶100が水面から飛び出して、船舶100が強い衝撃を受ける現象のことである。
好ましくは、壁部13は、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。そして、少なくとも上部船体1の接近状態(図5(b))において、壁部13は吸気管11の突出部分110を囲む。従って、実施形態1によれば、上部船体1の接近状態において、吸気管11の突出部分110が壁部13の内部に位置する。その結果、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを更に効果的に抑制できて、吸気管11を通ってエンジン15に水が浸入することを更に効果的に抑制できる。例えば、パンチング時等においても、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを更に効果的に抑制できる。なお、具体的には、少なくとも上部船体1の接近状態において、壁部13は、吸気管11の突出部分110を、突出部分110の周面に沿って囲む。また、壁部13の第2方向D21の長さは、突出部分110の第2方向D21の長さよりも長い。
また、実施形態1では、上部船体1の接近状態(図5(b))において、壁部13が吸気管11の突出部分110を囲んでいるため、壁部13が遮音材として機能し得る。従って、エンジン15の音が船室101に伝わることを抑制できる。特に、接近状態では、非接近状態と比較して、船室101とエンジン15との距離が短くなる。しかしながら、この場合でも、エンジン15の音が船室101に伝わることを、壁部13によって効果的に抑制できる。
具体的には、壁部13は壁部材130を有する。壁部材130の上端部は、上部船体1の底面部1033に固定される。壁部材130は、上部船体1の底面部1033から下部船体3の上面部3030に向かって延びている。つまり、壁部材130は、上部船体1の底面部1033から第2方向D21の反対方向D22に延びている。好ましくは、壁部材130は、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。
好ましくは、壁部13は、緩衝部材131をさらに有する。緩衝部材131は、壁部材130の下端部135に固定される。上部船体1の接近状態(図5(b))において、緩衝部材131は、壁部13の下端部133が下部船体3の上面部3030に接触したときの衝撃及び/又は音を低減又は吸収する。従って、実施形態1によれば、壁部13の下端部133が下部船体3の上面部3030に接触したときの衝撃及び/又は音が上部船体1(例えば船室101)に伝わることを抑制できる。緩衝部材131の素材は、例えば、弾性体(例えばゴム)、又は、クッション材(例えばウレタン)である。緩衝部材131は、壁部材130の形状に対応して、例えば、略環形状(例えば、略円環形状)又は略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。なお、壁部13の下端部133は、緩衝部材131の下端部である。
好ましくは、壁部13は、第1連通部132をさらに有する。第1連通部132は、壁部材130に設けられる。第1連通部132は、壁部13の内部と外部とを連通する。図5(b)に示すように、上部船体1の接近状態において、第1連通部132は、吸気管11の突出部分110に設けられた吸気口111よりも、上部船体1の底面部1033の近くに位置する。そして、第1連通部132を気体G1が通る。従って、上部船体1の接近状態において壁部13の下端部133が下部船体3の上面部3030に接触している場合でも、第1連通部132を通して壁部13の内部に容易に気体G1を導入できる。その結果、壁部13の下端部133が下部船体3の上面部3030に接触している場合でも、第1連通部132及び吸気口111からエンジン15に気体G1を効果的に供給できる。
第1連通部132は、壁部材130において船尾側に設けられる。具体的には、第1連通部132は、船尾に向かって延びており、船尾に向かって開口している。つまり、第1連通部132は、第1方向D11の反対方向D12に向かって延びており、反対方向D12に向かって開口している。従って、船舶100が第1方向D11に移動している場合において(つまり、船舶100が前進している場合において)、第1連通部132から壁部13の内部に水が浸入することを抑制できる。第1連通部132は、例えば、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。
以上、図5(a)~図6(b)を参照して説明したように、実施形態1によれば、上部船体1が下部船体3に対して変動する船舶100において壁部13を設けることで、上部船体1の状態が、非接近状態(図5(a))であっても、接近状態(図5(b))であっても、非接近状態と接近状態との間の状態であっても、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを抑制できる。
特に、図5(b)及び図6(b)を参照して説明したように、上部船体1の接近状態では、壁部13と吸気管11の突出部分110(具体的には吸気口111)とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向するため、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを効果的に抑制できる。
(変形例)
図7を参照して、本発明の実施形態1の変形例に係る船舶100Xを説明する。変形例に係る船舶100Xが、排気管12に対応する壁部14を備える点で、変形例は図1~図6(b)を参照して説明した実施形態1と主に異なる。以下、変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
図7は、実施形態1の変形例に係る船舶100Xの一部を示す背面図である。図7では、船舶100Xを船尾側から見ている。そして、上部船体1の非接近状態が示されている。また、図7では、図面の簡略化のために、第2連結部7及びスクリュープロペラ9(図3)を省略している。
図7に示すように、船舶100Xは、2つの下部船体3にそれぞれ対応して2つの排気管12を備える。排気管12はエンジン15に接続される。例えば、排気管12はエンジン15に直接的又は間接的に接続される。そして、排気管12は、エンジン15からの気体(排気ガス)を外部に排出する。
排気管12の基端部はエンジン15に接続される。例えば、排気管12の基端部はエンジン15に直接的又は間接的に接続される。そして、排気管12は、エンジン15から筐体3A内部を通って、上部船体1の底面部1033と下部船体3の上面部3030との間の空間まで延びている。排気管12は、「管」の一例に相当する。
具体的には、排気管12は突出部分120を有する。突出部分120は、下部船体3の上面部3030と上部船体1の底面部1033との間において、下部船体3の上面部3030から突き出ている。つまり、排気管12の突出部分120は、下部船体3の上面部3030から第2方向D21に突き出ている。さらに、突出部分120は、上部船体1の底面部1033に対して第2方向D21の反対方向D22に離隔している。
排気管12は排気口121を有する。排気口121は排気管12の突出部分120に設けられる。そして、排気口121を気体(排気ガス)が通過する。つまり、突出部分120に設けられた排気口121は、エンジン15からの気体(排気ガス)を外部に排出する。排気口121は、突出部分120において船尾側に設けられ、船舶100Xの船尾に向かって開口していることが好ましい。また、排気管12は、天壁部材123をさらに有する。天壁部材123は、突出部分120の先端を閉塞している。排気口121は「開口」の一例に相当する。
船舶100Xは、2つの排気管12にそれぞれ対応して2つの壁部14を備える。壁部14は、上部船体1の底面部1033から下部船体3の上面部3030に向かって延びている。また、壁部14の上端部146は、上部船体1の底面部1033に固定される。
また、壁部14は、排気管12の突出部分120に対応して配置される。加えて、壁部14は、上部船体1の底面部1033と下部船体3の上面部3030との間に配置される。従って、変形例によれば、壁部14が存在しない場合と比較して、エンジン15に接続される排気管12に、排気口121から水が浸入することを抑制できる。ひいては、排気管12を通ってエンジン15に水が浸入することを抑制できる。
さらに、上部船体1の非接近状態において、壁部14は、壁部14と排気管12の突出部分120とが所定方向PD(例えば第1方向D11(図4))に対向する位置から第2方向D21に離れている。具体的には、上部船体1の非接近状態において、壁部14は、壁部14と突出部分120の排気口121とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する位置から第2方向D21に離れている。
なお、上部船体1の非接近状態において、壁部14の下端部143は、下部船体3の上面部3030に対して第2方向D21に離隔している。また、壁部14は開口144を有する。開口144は、下部船体3の上面部3030を向いている。
また、少なくとも上部船体1の接近状態(図5(b))において、壁部14と排気管12の突出部分120とは所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。好ましくは、少なくとも上部船体1の接近状態において、壁部14と突出部分120の排気口121とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。従って、変形例によれば、水が排気口121から排気管12に浸入することを、壁部14によって効果的に抑制できる。
好ましくは、壁部14は、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。そして、少なくとも上部船体1の接近状態(図5(b))において、壁部14は排気管12の突出部分120を囲む。
具体的には、壁部14は壁部材140を有する。壁部材140の上端部は、上部船体1の底面部1033に固定される。壁部材140は、上部船体1の底面部1033から下部船体3の上面部3030に向かって延びている。好ましくは、壁部材140は、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。
好ましくは、壁部14は、緩衝部材141をさらに有する。緩衝部材141は、壁部材140の下端部145に固定される。上部船体1の接近状態(図5(b))において、緩衝部材141は、壁部14の下端部145が下部船体3の上面部3030に接触したときの衝撃及び/又は音を低減又は吸収する。なお、壁部14の下端部143は、緩衝部材141の下端部である。
好ましくは、壁部14は、第1連通部142をさらに有する。第1連通部142は、壁部材140に設けられる。第1連通部142は、壁部14の内部と外部とを連通する。そして、第1連通部142を気体(排気ガス)が通る。従って、上部船体1の接近状態(図5(b))において壁部14の下端部143が下部船体3の上面部3030に接触している場合でも、第1連通部142を通して、排気口121から排出された気体(排気ガス)を壁部14の外部に容易に排出できる。
その他、排気管12に対応して配置される壁部14の構成は、吸気管11に対応して配置される壁部13の構成と同様である。また、排気管12の構成は、吸気管11の構成と同様である。なお、排気管12の構成が吸気管11の構成と異なっていてもよい。さらに、上部船体1の非接近状態における壁部14と排気管12との関係は、上部船体1の非接近状態における壁部13と吸気管11との関係と同様である。上部船体1の接近状態における壁部14と排気管12との関係は、上部船体1の接近状態における壁部13と吸気管11との関係と同様である。また、第1連通部142及び緩衝部材141の構成は、それぞれ、第1連通部132及び緩衝部材131の構成と同様である。なお、船舶100Xは壁部13を備えていなくてもよい。
(実施形態2)
図8~図12(b)を参照して、本発明の実施形態2に係る船舶100Aを説明する。実施形態2に係る船舶100Aの壁部13Aが下部船体3に固定される点で、実施形態2は図1~図6(b)を参照して説明した実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
まず、図8~図10を参照して、実施形態2に係る船舶100Aを説明する。図8は、実施形態2に係る船舶100Aを船首側から見たときの斜視図である。図9は、実施形態2に係る船舶100Aを船尾側から見たときの斜視図である。図10は、実施形態2に係る船舶100Aを示す側面図である。なお、図8及び図10では、図面の簡略化のために、図9に示す緩衝部73を省略している。
図8及び図9に示すように、船舶100Aは、少なくとも1つの吸気管11と、少なくとも1つの壁部13Aとを備える。具体的には、船舶100Aは、複数の吸気管11と、複数の壁部13Aとを備える。実施形態2では、船舶100Aは、2つの下部船体3にそれぞれ対応して2つの吸気管11を備える。吸気管11は、「管」の一例に相当する。また、船舶100Aは、2つの吸気管11にそれぞれ対応して2つの壁部13Aを備える。
図10に示すように、壁部13Aは、下部船体3(具体的には上面部3030)から上部船体1(具体的には底面部1033)に向かって延びている。つまり、壁部13Aは、下部船体3(具体的には上面部3030)から第2方向D21に延びている。
次に、図11(a)~図12(b)を参照して、壁部13Aを詳細に説明する。
図11(a)は、上部船体1の非接近状態において、吸気管11及び壁部13Aを示す側面断面図である。図12(a)は、上部船体1の非接近状態において、吸気管11及び壁部13Aを船尾側から見たときの図である。
図11(b)は、上部船体1の接近状態において、吸気管11及び壁部13Aを示す側面断面図である。図12(b)は、上部船体1の接近状態において、吸気管11及び壁部13Aを船尾側から見たときの図である。
図11(a)に示すように、壁部13Aは、吸気管11の突出部分110に対応して配置される。加えて、壁部13Aは、上部船体1(具体的には底面部1033)と下部船体3(具体的には上面部3030)との間に配置される。そして、壁部13Aの下端部136Aは、下部船体3(具体的には上面部3030)に固定されている。従って、上部船体1の状態が、図11(a)及び図12(a)に示す非接近状態であっても、図11(b)及び図12(b)に示す接近状態であっても、吸気管11に対する壁部13Aの相対位置は一定である。その結果、実施形態2によれば、上部船体1の状態が、非接近状態であっても、接近状態であっても、非接近状態と接近状態との間の状態であっても、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを、壁部13Aによって抑制できる。つまり、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを、壁部13Aによって抑制できる。その結果、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、吸気管11を通ってエンジン15に水が浸入することを抑制できる。
具体的には、図11(a)~図12(b)に示すように、上部船体1の状態が、非接近状態であっても、接近状態であっても、非接近状態と接近状態との間の状態であっても、壁部13Aと吸気管11の突出部分110とは所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。つまり、壁部13Aと吸気管11の突出部分110とは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。従って、実施形態2によれば、壁部13Aは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを効果的に抑制できる。
好ましくは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部13Aと突出部分110の吸気口111とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。従って、実施形態2によれば、壁部13Aは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを更に効果的に抑制できる。例えば、パンチング時等においても、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを効果的に抑制できる。
好ましくは、壁部13Aは、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。そして、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部13Aは吸気管11の突出部分110を囲む。従って、実施形態2によれば、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、吸気管11の突出部分110が壁部13Aの内部に位置する。その結果、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを更に効果的に抑制できる。
また、実施形態2では、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部13Aが吸気管11の突出部分110を囲んでいるため、壁部13Aが遮音材として機能し得る。従って、エンジン15の音が船室101に伝わることを抑制できる。特に、接近状態では、非接近状態と比較して、船室101とエンジン15との距離が短くなる。しかしながら、この場合でも、エンジン15の音が船室101に伝わることを、壁部13Aによって効果的に抑制できる。
なお、図11(a)に示すように、上部船体1の非接近状態において、壁部13Aの上端部133Aは、上部船体1の底面部1033に対して第2方向D21の反対方向D22に離隔している。また、壁部13Aは開口134Aを有する。開口134Aは、上部船体1の底面部1033を向いている。
具体的には、壁部13Aは壁部材130Aを有する。壁部材130Aの下端部は、下部船体3の上面部3030に固定される。壁部材130Aは、下部船体3の上面部3030から上部船体1の底面部1033に向かって延びている。つまり、壁部材130Aは、下部船体3の上面部3030から第2方向D21に延びている。壁部材130Aが吸気口111と所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向している。好ましくは、壁部材130Aは、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。
好ましくは、壁部13Aは、第2連通部132Aをさらに有する。第2連通部132Aは、吸気口111よりも、下部船体3の上面部3030に近い位置に設けられる。具体的には、第2連通部132Aは、壁部材130Aの下端部分に設けられる。第2連通部132Aは、壁部13Aの内部と外部とを連通する。第2連通部132Aは、例えば、壁部材130Aの下端部分の一部を切り欠いた切欠部である。
図11(a)に示すように、上部船体1の非接近状態において、第2連通部132Aは、開口134Aから壁部13Aの内部に浸入した水WTを、壁部13Aの外部に排出する。つまり、第2連通部132Aを通して排水される。従って、実施形態2によれば、壁部13Aの内部に水が溜まることを抑制できる。
第2連通部132Aは、壁部材130Aにおいて船尾側に設けられる。具体的には、第2連通部132Aは、船尾に向かって開口している。つまり、第2連通部132Aは、第1方向D11の反対方向D12に向かって開口している。従って、船舶100が第1方向D11に移動している場合において(つまり、船舶100が前進している場合において)、第2連通部132Aから壁部13Aの内部に水が浸入することを抑制できる。
また、上部船体1の非接近状態において、吸気口111は、開口134A及び第2連通部132Aを通して、気体G1を吸気管11に導入できる。一方、図11(b)に示すように、上部船体1の接近状態において、吸気口111は、第2連通部132Aを通して、気体G1を吸気管11に導入できる。また、上部船体1の接近状態においても、第2連通部132Aを通して水WTを排出できる。
好ましくは、壁部13Aは、緩衝部材131Aをさらに有する。緩衝部材131Aは、壁部材130Aの上端部135Aに固定される。図11(b)に示すように、上部船体1の接近状態において、緩衝部材131Aは、壁部13Aの上端部133Aが上部船体1の底面部1033に接触したときの衝撃及び/又は音を低減又は吸収する。従って、実施形態2によれば、壁部13Aの上端部133Aが上部船体1の底面部1033に接触したときの衝撃及び/又は音が上部船体1(例えば船室101)に伝わることを抑制できる。緩衝部材131Aの素材は、例えば、弾性体(例えばゴム)、又は、クッション材(例えばウレタン)である。緩衝部材131Aは、壁部材130Aの形状に対応して、例えば、略環形状(例えば、略円環形状)又は略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。なお、壁部13Aの上端部133Aは、緩衝部材131Aの上端部である。また、壁部13Aの第2方向D21の長さは、突出部分110の第2方向D21の長さよりも長い。
以上、図11(a)~図12(b)を参照して説明したように、実施形態2によれば、吸気管11が配置される下部船体3に壁部13Aを設けることで、上部船体1の状態が、非接近状態(図11(a))であっても、接近状態(図11(b))であっても、非接近状態と接近状態との間の状態であっても、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを効果的に抑制できる。
(変形例)
図13を参照して、本発明の実施形態2の変形例に係る船舶100Yを説明する。変形例に係る船舶100Yが、排気管12に対応する壁部14Aを備える点で、変形例は図8~図12(b)を参照して説明した実施形態2と主に異なる。以下、実施形態2の変形例が実施形態2と異なる点と、実施形態2の変形例が図7を参照して説明した実施形態1の変形例と異なる点とを、主に説明する。
図13は、実施形態2の変形例に係る船舶100Yの一部を示す背面図である。図13では、船舶100Yを船尾側から見ている。そして、上部船体1の非接近状態が示されている。また、図13では、図面の簡略化のために、第2連結部7及びスクリュープロペラ9(図9)を省略している。
図13に示すように、船舶100Yは、2つの排気管12にそれぞれ対応して2つの壁部14Aを備える。壁部14Aは、下部船体3の上面部3030から上部船体1の底面部1033に向かって延びている。また、壁部14Aの下端部146Aは、下部船体3の上面部3030に固定される。
また、壁部14Aは、排気管12の突出部分120に対応して配置される。加えて、壁部14Aは、上部船体1の底面部1033と下部船体3の上面部3030との間に配置される。そして、壁部14Aの下端部146Aは、下部船体3の上面部3030に固定されている。従って、上部船体1の状態が、図11(a)及び図12(a)に示す非接近状態であっても、図11(b)及び図12(b)に示す接近状態であっても、排気管12に対する壁部14Aの相対位置は一定である。その結果、変形例によれば、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が排気口121から排気管12に浸入することを、壁部14Aによって抑制できる。よって、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、排気管12を通ってエンジン15に水が浸入することを抑制できる。
具体的には、壁部14Aと排気管12の突出部分120とは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、所定方向PD(例えば、第1方向D11(図10))に対向する。好ましくは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部14Aと突出部分120の排気口121とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。従って、変形例によれば、壁部14Aは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が排気口121から排気管12に浸入することを効果的に抑制できる。
好ましくは、壁部14Aは、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。そして、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部14Aは排気管12の突出部分120を囲む。
なお、上部船体1の非接近状態において、壁部14Aの上端部143Aは、上部船体1の底面部1033に対して第2方向D21の反対方向D22に離隔している。また、壁部14Aは開口144Aを有する。開口144Aは、上部船体1の底面部1033を向いている。
具体的には、壁部14Aは壁部材140Aを有する。壁部材140Aの下端部は、下部船体3の上面部3030に固定される。壁部材140Aは、下部船体3の上面部3030から上部船体1の底面部1033に向かって延びている。壁部材140Aが排気口121と所定方向PD(例えば、第1方向D11(図10))に対向している。好ましくは、壁部材140Aは、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。
好ましくは、壁部14Aは、第2連通部142Aをさらに有する。第2連通部142Aは、壁部材140Aの下端部分に設けられる。第2連通部142Aは、壁部14Aの内部と外部とを連通する。そして、第2連通部142Aを通して排水される。従って、変形例によれば、壁部14Aの内部に水が溜まることを抑制できる。
好ましくは、壁部14Aは、緩衝部材141Aをさらに有する。緩衝部材141Aは、壁部材140Aの上端部135Aに固定される。上部船体1の接近状態(図11(b))において、緩衝部材141Aは、壁部14Aの上端部143Aが上部船体1の底面部1033に接触したときの衝撃及び/又は音を低減又は吸収する。なお、壁部14Aの上端部143Aは、緩衝部材141Aの上端部である。
その他、排気管12に対応して配置される壁部14Aの構成は、吸気管11に対応して配置される壁部13Aの構成と同様である。また、排気管12の構成は、吸気管11の構成と同様である。なお、排気管12の構成が吸気管11の構成と異なっていてもよい。さらに、上部船体1の非接近状態における壁部14Aと排気管12との関係は、上部船体1の非接近状態における壁部13Aと吸気管11との関係と同様である。上部船体1の接近状態における壁部14Aと排気管12との関係は、上部船体1の接近状態における壁部13Aと吸気管11との関係と同様である。また、第2連通部142A及び緩衝部材141Aの構成は、それぞれ、第2連通部132A及び緩衝部材131Aの構成と同様である。なお、船舶100Yは壁部13Aを備えていなくてもよい。
(実施形態3)
図14(a)及び図14(b)を参照して、本発明の実施形態3に係る船舶100Bを説明する。実施形態3に係る船舶100Bの壁部13Bが吸気管11に固定される点で、実施形態3は図8~図12(b)を参照して説明した実施形態2と主に異なる。以下、実施形態3が実施形態2と異なる点を主に説明する。
図14(a)は、実施形態3に係る船舶100Bの吸気管11及び壁部13Bを示す断面図である。図14(b)は、実施形態3に係る船舶100Bの吸気管11及び壁部13Bを船尾側から見たときの図である。図14(a)及び図14(b)において、実線で示す上部船体1は非接近状態を示し、二点鎖線で示す上部船体1は接近状態を示す。
図14(a)及び図14(b)に示すように、船舶100Bは、吸気管11に対応して壁部13Bを備える。壁部13Bは、吸気管11の突出部分110に対応して配置される。加えて、壁部13Bは、上部船体1の底面部1033と下部船体3の上面部3030との間に配置される。そして、壁部13Bは、吸気管11の突出部分110の先端部(具体的には天壁部材113)に固定されている。従って、上部船体1の状態が、非接近状態であっても、接近状態であっても、吸気管11に対する壁部13Bの相対位置は一定である。その結果、実施形態3によれば、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを、壁部13Bによって抑制できる。よって、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、吸気管11を通ってエンジン15に水が浸入することを抑制できる。
具体的には、壁部13Bは、壁部材130Bと、支持部材131Bとを有する。支持部材131Bは、略平板形状(例えば、略円板形状)を有する。支持部材131Bは、吸気管11の突出部分110の先端部(具体的には天壁部材113)に固定される。そして、支持部材131Bは壁部材130Bを支持する。壁部材130Bは、支持部材131Bから、下部船体3の上面部3030に向かって延びている。壁部材130Bの下端部132Bは、下部船体3の上面部3030に対して第2方向D21に離隔している。従って、壁部材130Bの下端部132Bと下部船体3の上面部3030との間には、隙間431が存在する。吸気口111は、隙間431を通して、気体G1を吸気管11に導入できる。なお、隙間431の大きさは、通気可能である限りは、特に限定されない。
壁部13B(具体的には壁部材130B)と吸気管11の突出部分110とは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。好ましくは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部13B(具体的には壁部材130B)と突出部分110の吸気口111とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。従って、実施形態3によれば、壁部13Bは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、水が吸気口111から吸気管11に浸入することを効果的に抑制できる。
好ましくは、壁部13Bは、略有底筒形状(例えば、略有底円筒形状)を有する。具体的には、壁部13Bの壁部材130Bは、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。そして、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部材130Bは吸気管11の突出部分110を囲む。
以上、図14(a)及び図14(b)を参照して説明したように、実施形態3によれば、吸気管11に壁部13Bを固定することで、上部船体1の状態が、非接近状態であっても、接近状態であっても、非接近状態と接近状態との間の状態であっても、吸気口111から吸気管11に水が浸入することを効果的に抑制できる。
(変形例)
図15を参照して、本発明の実施形態3の変形例に係る船舶100Zを説明する。変形例に係る船舶100Zが、排気管12に対応する壁部14Bを備える点で、変形例は図14(a)及び図14(b)を参照して説明した実施形態3と主に異なる。以下、実施形態3の変形例が実施形態3と異なる点と、実施形態3の変形例が図13を参照して説明した実施形態2の変形例と異なる点とを、主に説明する。
図15は、実施形態3の変形例に係る船舶100Zの一部を示す背面図である。図15では、船舶100Zを船尾側から見ている。そして、上部船体1の非接近状態が示されている。また、図15では、図面の簡略化のために、第2連結部7及びスクリュープロペラ9(図9)を省略している。
図15に示すように、船舶100Zは、2つの排気管12にそれぞれ対応して2つの壁部14Bを備える。壁部14Bは、排気管12の突出部分120に対応して配置される。加えて、壁部14Bは、上部船体1の底面部1033と下部船体3の上面部3030との間に配置される。そして、壁部14Bは、排気管12の突出部分120の先端部(具体的には天壁部材123)に固定されている。
具体的には、壁部14Bは、壁部材140Bと、支持部材141Bとを有する。支持部材131Bは、排気管12の突出部分120の先端部(具体的には天壁部材123)に固定される。壁部材140Bは、支持部材141Bから、下部船体3の上面部3030に向かって延びている。
壁部14B(具体的には壁部材140B)と排気管12の突出部分120とは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。好ましくは、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部14B(具体的には壁部材140B)と突出部分120の排気口121とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向する。
好ましくは、壁部14Bは、略有底筒形状(例えば、略有底円筒形状)を有する。具体的には、壁部14Bの壁部材140Bは、略筒形状(例えば、略円筒形状)を有する。そして、下部船体3に対する上部船体1の相対位置に依存することなく、壁部材140Bは排気管12の突出部分120を囲む。
その他、排気管12に対応して配置される壁部14Bの構成は、吸気管11に対応して配置される壁部13Bの構成と同様である。また、排気管12の構成は、吸気管11の構成と同様である。なお、排気管12の構成が吸気管11の構成と異なっていてもよい。さらに、上部船体1の非接近状態における壁部14Bと排気管12との関係は、上部船体1の非接近状態における壁部13Bと吸気管11との関係と同様である。上部船体1の接近状態における壁部14Bと排気管12との関係は、上部船体1の接近状態における壁部13Bと吸気管11との関係と同様である。なお、船舶100Zは壁部13Bを備えていなくてもよい。
以上、図15を参照して説明したように、実施形態3の変形例によれば、船舶100Zは、排気管12に対応して壁部14Bを備える。そして、排気管12に壁部14Bを固定している。その結果、上部船体1の状態が、非接近状態であっても、接近状態であっても、非接近状態と接近状態との間の状態であっても、排気口121から排気管12に水が浸入することを効果的に抑制できる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。例えば、下記(1)~(7)の変形が可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
(1)図1~図15を参照して説明した実施形態1~実施形態3及び変形例(以下、「実施形態1等」)では、船舶100、100X、100A、100Y、100B、100Z(以下、「船舶100等」)は、一例として、2つの下部船体3を備えていたが、1又は3以上の下部船体3を備えていてもよい。また、2以上の下部船体3のうちの全てが、エンジン15を有していなくてもよい。つまり、船舶100等は、エンジン15を有する下部船体3と、エンジン15を有しない下部船体3とを備えていてもよい。この場合、エンジン15を有しない下部船体3に対しては、吸気管11、排気管12、壁部13、13A、13B、14、14A、14B(以下、「壁部13等」)は設けられない。
(2)実施形態1等において、船舶100等が1以上の下部船体3を備えている場合、第1連結部5及び第2連結部7は、下部船体3に対する上部船体1の相対位置を一定に保ったまま、下部船体3と上部船体1とを連結してもよい。つまり、上部船体1は下部船体3に対して動作(例えば、揺動)しなくてもよい。この場合、「下部船体3に対する上部船体1の相対位置が一定の状態」が、「所定状態」に相当する。従って、このような「所定状態」において、壁部13、13A、13Bと突出部分110(具体的には吸気口111)とは、所定方向PDに対向し、壁部14、14A、14Bと突出部分120(具体的には排気口121)とは、所定方向PDに対向する。
(3)実施形態2、実施形態3、及び、それらの変形例において、壁部13A、13B、14A、14Bが、実施形態1の第1連通部132、142を有していてもよい。また、実施形態1、実施形態3、及び、それらの変形例において、壁部13、13B、14、14Bが、実施形態2の第2連通部132A、142Aを有していてもよい。
(4)実施形態1等において、吸気口111が吸気管11の突出部分110に設けられる限りは、吸気口111の位置は、特に限定されない。また、吸気管11は、複数の吸気口111を有していてもよい。さらに、排気口121が排気管12の突出部分120に設けられる限りは、排気口121の位置は、特に限定されない。また、排気管12は、複数の排気口121を有していてもよい。
(5)実施形態1等において、壁部13等及び壁部材130、130A、130B、140、140A、140B(以下、「壁部材130等」)の形状は、特に限定されない。壁部13等及び壁部材130等は、例えば、略角筒形状、略楕円筒形状、略平板形状、略半筒形状(例えば、略半円筒形状)、第2方向D21から見たときに略V字形状、又は、第2方向D21から見たときに略U字形状を有していてもよく、任意の形状を取り得る。
また、緩衝部材131、141の形状も特に限定されず、例えば、緩衝部材131、141は、壁部13等及び壁部材130等の形状に対応した形状を取り得る。
さらに、第1連通部132、142の形状も特に限定されず、例えば、第1連通部132、142は、船尾に向かって突き出ておらず、壁部材130等を貫通する貫通孔部であってもよい。さらに、第1連通部132、142が壁部材130等に設けられる限りは、第1連通部132、142の位置は特に限定されない。さらに、壁部13等は、複数の第1連通部132を有していてもよいし、複数の第1連通部142を有していてもよい。
さらに、第2連通部132A、142Aの形状も特に限定されず、例えば、第2連通部132A、142Aは、船尾に向かって突き出ていてもよい。また、第2連通部132A、142Aが壁部材130等に設けられる限りは、第2連通部132A、142Aの位置は特に限定されない。さらに、壁部13等は、複数の第2連通部132Aを有していてもよいし、複数の第2連通部142Aを有していてもよい。
(6)実施形態1及び変形例において、上部船体1の接近状態(図5(b))での壁部13、14の下端部133、143が上部船体1の非接近状態(図5(a))での壁部13、14の下端部133、143よりも下部船体3の上面部3030に近い限りにおいては、上部船体1の非接近状態において、吸気管11の突出部分110の一部と壁部13とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向していてもよく、排気管12の突出部分120の一部と壁部14とが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向していてもよい。また、上部船体1の接近状態において、壁部13、14の下端部133、143は、下部船体3の上面部3030に接触しなくてもよい。この場合、壁部13、14は緩衝部材131、141を有していなくてもよい。
なお、上部船体1の接近状態(図5(b))において壁部13、14の下端部133、143が下部船体3の上面部3030に接触する場合は、壁部13、14は緩衝部材131、141を有することが好ましいが、この場合でも、壁部13、14は緩衝部材131、141を有しなくてもよい。この場合は、壁部材130、140の下端部135、145が、壁部13、14の下端部133、143になる。従って、上部船体1の接近状態において、壁部材130、140の下端部135、145が、下部船体3の上面部3030に接触する。
(7)実施形態2及び変形例において、吸気口111と第2連通部132Aとが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向していてもよいし、排気口121と第2連通部142Aとが所定方向PD(例えば、第1方向D11)に対向していてもよい。また、上部船体1の接近状態(図11(b))において、壁部13A、14Aの上端部133A、143Aは、上部船体1の底面部1033に接触しなくてもよい。この場合、壁部13A、14Aは緩衝部材131A、141Aを有していなくてもよい。
なお、上部船体1の接近状態(図11(b))において壁部13A、14Aの上端部133A、143Aが上部船体1の底面部1033に接触する場合は、壁部13A、14Aは緩衝部材131A、141Aを有することが好ましいが、この場合でも、壁部13A、14Aは緩衝部材131A、141Aを有しなくてもよい。この場合は、壁部材130A、140Aの上端部135A、145Aが、壁部13A、14Aの上端部133A、143Aになる。従って、上部船体1の接近状態において、壁部材130A、140Aの上端部135A、145Aが、上部船体1の底面部1033接触する。