第三者が所有するバッテリから電力供給を行うシステムにおいて、バッテリの充放電で生まれた価値に応じて、バッテリの所有者に付与される適正な対価を決定することが容易でないという課題があった。
本発明の第1の態様において、管理システムが提供される。管理システムは、バッテリの識別情報とバッテリの所有者の識別情報とを対応づけて格納する格納部を備える。管理システムは、バッテリの放電及び充電が行われる毎に、バッテリの放電及び充電によって生じた価値を決定する価値決定部を備える。管理システムは、バッテリの放電及び充電が行われる毎に、価値決定部が決定した価値に基づいて、バッテリの所有者に提供する対価を決定する対価決定部を備える。
価値決定部は、バッテリの使用者からバッテリの使用に対して支払われる代価と、使用者によるバッテリの使用期間中にバッテリから出力された電力量の充電をするための代価との差額に基づいて、価値を決定してよい。
価値決定部は、使用者から支払われる代価と、バッテリの使用期間中にバッテリから出力された電力量だけ充放電設備でバッテリを充電するための代価との差額に基づいて、価値を決定してよい。
充放電設備は、バッテリに蓄積された電力を外部に放出してよい。価値決定部は、バッテリから充放電設備の外部への電力を放出することにより得られる代価と、放出された電力量だけ充放電設備でバッテリを充電するための代価との差額に基づいて、価値を決定してよい。
管理システムは、バッテリの充電及び/又は放電が行われる毎に、バッテリの充電及び/又は放電の履歴情報をバッテリの識別情報に対応づけて記録する記録部を備えてよい。
本発明の第3の態様において、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、バッテリの識別情報とバッテリの所有者の識別情報とを対応づけて格納する格納部として機能させる。プログラムは、コンピュータを、バッテリの放電及び充電が行われる毎に、バッテリの放電及び充電によって生じた価値を決定する価値決定部として機能させる。プログラムは、コンピュータを、バッテリの放電及び充電が行われる毎に、価値決定部が決定した価値に基づいて、バッテリの所有者に提供する対価を決定する対価決定部として機能させる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して、重複する説明を省く場合がある。
図1は、交換バッテリシステム10の利用形態を概略的に示す。交換バッテリシステム10は、バッテリ100を管理する。バッテリ100は、所有者80が購入したバッテリである。交換バッテリシステム10は、バッテリ100の充電及び/又は放電によって利益が発生する毎に、バッテリ100の所有者80に対価を提供する。
交換バッテリシステム10は、管理サーバ20と、バッテリステーション30と、電動バイク40とを備える。管理サーバ20は、管理システムの一例である。管理サーバ20は、通信ネットワーク190を通じて、バッテリステーション30と通信可能である。通信ネットワーク190は、有線通信又は無線通信の伝送路を含み得る。通信ネットワーク190は、インターネット、P2Pネットワーク、専用回線、VPN、電力線通信回線、携帯電話回線等を含む通信網を含んでよい。ブロックチェーンネットワーク180は、通信ネットワーク190上に構築される。ブロックチェーンネットワーク180は、パブリックブロックチェーン・ネットワークであってよい。ブロックチェーンネットワーク180は、プライベートブロックチェーン・ネットワークであってよい。
バッテリ100は、電動バイク40に搭載される。バッテリ100は、電動バイク40に着脱可能な交換バッテリである。バッテリ100は、電動バイク40の動力源である電動モータを駆動するための電源として使用される。バッテリ100は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等の二次電池である。電動バイク40は、車両の一例である。車両は、輸送機器の一例である。なお、電動バイク40は、内燃機関及び電動モータを動力源として備えるハイブリッド式のバイクであってよい。
バッテリステーション30は、複数のバッテリを保持する。バッテリステーション30は、電動バイク40で使用されたバッテリ100を受け付けて、バッテリステーション30で充電された他のバッテリ100を、電動バイク40の使用者70に提供する。バッテリステーション30は、電動バイク40で使用されたバッテリ100を充電した後、電動バイク40又は他の電動バイクの使用者に、充電済みのバッテリ100を提供する。
バッテリステーション30は、例えば様々な施設に設置される。例えば、バッテリステーション30は、郵便局、コンビニエンスストア、ショッピングモール、駐車場等の施設に設けられる。バッテリステーション30は、電力提供者150から電力ネットワーク160を通じて供給される電力を用いて、バッテリ100を充電する。電力提供者150は、電力会社を含む小売電気事業者等の電力事業者や、バッテリステーション30が設置された施設の運営者等である。
バッテリステーション30は、保持しているバッテリ100を電動バイク40の使用者70に貸し出す。具体的には、電動バイク40の使用者70は、バッテリステーション30からバッテリ100を取り出して、電動バイク40に装着する。電動バイク40は、バッテリ100に蓄積された電力を消費して走行する。電動バイク40で使用したバッテリ100を交換する場合、使用者70は、電動バイク40で使用したバッテリ100をバッテリステーション30に返却することと引き換えに、充電済みの別のバッテリをバッテリステーション30から取り出す。管理サーバ20は、返却されたバッテリ100の残量に基づいて、バッテリ100が使用者70に貸し出されていた期間中にバッテリ100から提供された電力量(「使用者70への提供電力量」と記載する場合がある)を算出する。管理サーバ20は、使用者70への提供電力量に応じた金額を、バッテリ使用料として使用者70に課金する。
バッテリステーション30は、返却されたバッテリ100を満充電になるまで充電する。管理サーバ20は、使用者70に課金したバッテリ使用料と、バッテリ100を満充電にするためにかかった電気代との差額に基づいて、バッテリ100の1セットの充放電により生じた利益を算出する。なお、1セットの充放電とは、実質的に同じ電力量の放電と充電を行うことをいう。例えば、バッテリ残量が特定の値にある状態から行われた放電と、バッテリ残量が特定の値に戻るまでに行われた充電を意味する。「充放電」は、放電と充電を行う順序を限定するものではなく、充電と放電はどちらが先に行われてもよい。
管理サーバ20は、使用者70への提供電力量、使用者70に電力を提供した代価としてのバッテリ使用料、1セットの充放電により生じた利益を示す取引情報を記録する。例えば、管理サーバ20は、取引情報を、管理サーバ20が管理するデータベース及びブロックチェーンネットワーク180に記録する。また、管理サーバ20は、バッテリ100の1セットの充放電により生じた利益の一部を、バッテリ100の所有者80に分配する。管理サーバ20は、所有者80に分配した利益を示す情報を、所有者80の所有者端末82に通知する。
管理サーバ20は、バッテリ100の充放電によって生じた過去の利益と、バッテリ100の残寿命とを考慮して、将来においてバッテリ100が生み出す利益の期待値を示す情報を、所有者80に提供する。バッテリの市場価値はエネルギー情勢等によって変動するため、所有者80は、バッテリ100の運用益に加えて、バッテリ100を売却することによって更に利益を得ることができる可能性がある。管理サーバ20によれば、将来においてバッテリ100が生み出す利益の期待値を所有者80に提供することができるので、所有者80は、バッテリ100を売却することによってどれくらいの最終利益が得られるかを判断することができる。
このように、交換バッテリシステム10によれば、バッテリ100の使用により生じた利益を適正に評価して、その利益を所有者80に適正に分配することができる。また、バッテリ100の取引情報に基づいて、バッテリ100の余寿命を考慮して、バッテリ100の将来価値を適正に評価することができる。
なお、分かり易く説明することを目的として、図1には1つのバッテリステーション30のみが示されている。しかし、交換バッテリシステム10は複数のバッテリステーションを備えてよく、使用者70は、バッテリ100を貸し出したバッテリステーションとは異なるバッテリステーションにバッテリ100を返却してもよい。
図2は、バッテリ100、所有者80、使用者70、運営者11、及び電力提供者150の結びつきを概念的に示す。運営者11は、管理サーバ20及びバッテリステーション30の運営者である。
バッテリ100は、所有者80から提供される投資資金を用いて準備される。バッテリ100は、運営者11に預けられて運用される。バッテリ100は、使用者70に貸し出されて、電動バイク40の駆動用電力を提供する。使用者70は、バッテリ100の使用料を運営者11に支払う。
運営者11は、管理サーバ20及びバッテリステーション30を通じて、バッテリステーション30によるバッテリ100の充放電を制御する。例えば、管理サーバ20は、電力ネットワーク160において電力余剰が生じている場合に、電力提供者150から供給される電力でバッテリ100を充電させる。運営者11は、電力提供者150からバッテリステーション30への電力供給量に応じた電気代(買電料金)を、電力提供者150に支払う。また、管理サーバ20は、電力ネットワーク160において電力不足が生じている場合に、バッテリ100に蓄積されている電力を電力ネットワーク160に放出することにより、売電する。運営者11は、バッテリ100から電力ネットワーク160に放出した電力量に応じた代価(売電料金)を、電力提供者150から得る。運営者11は、使用者70から支払われるバッテリ使用料、買電料金、及び売電料金に基づく対価を、所有者80に提供する。
バッテリ100の所有者80は、電動バイク40の使用者70や運営者11とは異なる第三者である。そのため、使用者70は、電動バイク40を走行させるためのバッテリ100を自らの費用で準備する必要がない。よって、使用者70は、バッテリ価格を含まない電動バイク40の本体価格で電動バイク40を購入することができる。交換バッテリシステム10によれば、所有者80が所有するバッテリ100から電力供給を行うシステムにおいて、所有者80に適正な対価を付与することができる。したがって、交換バッテリシステム10によれば、電動バイク40の普及に貢献することができ、ひいては環境負荷の低減に寄与し得る。
図3は、管理サーバ20の機能構成を概略的に示す。管理サーバ20は、価値決定部210と、対価決定部220と、対価提供部230と、対価通知部240と、記録部250と、価値通知部260と、使用イベント情報取得部270と、格納部290とを備える。
価値決定部210、対価決定部220、対価提供部230、対価通知部240、記録部250、価値通知部260、及び使用イベント情報取得部270を備える機能ブロック200は、格納部290に格納される情報に基づいて処理を実行する。機能ブロック200は、プロセッサ等の処理回路によって実現され得る。格納部290は、不揮発性の記憶装置により実現され得る。
格納部290は、バッテリ100の識別情報とバッテリ100の所有者80の識別情報とを対応づけて格納する。価値決定部210は、バッテリ100の放電及び充電が行われる毎に、バッテリ100の放電及び充電によって生じた価値を決定する。例えば、価値決定部210は、バッテリ100の使用者70からバッテリ100の使用に対して支払われる代価と、使用者70によるバッテリ100の使用期間中にバッテリ100から出力された電力量の充電をするための代価との差額に基づいて、バッテリ100の放電及び充電によって生じた価値を決定する。バッテリ100の放電及び充電によって生じた価値は、例えば、使用者70が支払うバッテリ使用料と、バッテリ100から出力された電力量の充電にかかる電気代との差額である。
対価決定部220は、バッテリ100の放電及び充電が行われる毎に、価値決定部210が決定した価値に基づいて、バッテリ100の所有者80に提供する対価を決定する。
対価提供部230は、バッテリ100の放電及び充電が行われる毎に、対価決定部220が決定した対価を所有者80に提供する。対価通知部240は、バッテリ100の放電及び充電が行われる毎に、対価決定部220が決定した対価を所有者80に通知する。
バッテリ100は、電動バイク40から取り外し可能である。バッテリ100は、電動バイク40から取り外された状態でバッテリステーション30によって充電される。電動バイク40は、電力を消費する機器の一例である。バッテリステーション30は、充放電設備の一例である。
価値決定部210は、使用者70から支払われる代価と、バッテリ100の使用期間中にバッテリ100から出力された電力量だけバッテリステーション30でバッテリ100を充電するための代価との差額に基づいて、価値を決定する。バッテリ100の使用期間は、例えば、使用者70へのバッテリ100の貸出期間である。
バッテリステーション30、バッテリ100に蓄積された電力を外部に放出する。例えば、バッテリステーション30は、バッテリ100を放電することにより、バッテリ100に蓄積された電力を電力ネットワーク160に放出する。価値決定部210は、バッテリ100からバッテリステーション30の外部への電力を放出することにより得られる代価と、放出された電力量だけバッテリステーション30でバッテリ100を充電するための代価との差額に基づいて、バッテリ100の放電及び充電によって生じた価値を決定する。例えば、価値決定部210は、売電料金と買電料金との差額を、バッテリ100の放電及び充電によって生じた価値とする。
記録部250は、バッテリ100の充電及び/又は放電が行われる毎に、バッテリ100の充電及び/又は放電の履歴情報をバッテリ100の識別情報に対応づけて記録する。例えば、記録部250は、バッテリ100の1セットの充電及び放電が行われる毎に、履歴情報をバッテリ100の識別情報に対応づけて記録する。履歴情報は、例えば、後述する使用イベント情報や取引情報等である。記録部250は、バッテリ100の充電及び/又は放電が行われる毎に、バッテリ100の充電及び/又はバッテリ100の放電に関する代価を、履歴情報に含める。記録部250は、履歴情報を格納部290に格納してよい。記録部250は、ブロックチェーンによって履歴情報を記録してよい。具体的には、記録部250は、ブロックチェーンネットワーク180に履歴情報を送信することによって、履歴情報をブロックチェーンネットワーク180に記録してよい。
価値通知部260は、記録部250により記録された実績データに基づいて、バッテリ100が将来に生み出す価値を示す情報を予測して、所有者80に通知する。
図4は、格納部290に格納されるバッテリ情報のデータ構造の一例を示す。バッテリ情報は、「バッテリID」、「仕様」、「地域」、「充電エネルギータイプ」、「使用対象」、「所有者ID」、及び「所有期間」を対応づける。
「バッテリID」には、バッテリ100の識別情報が格納される。バッテリ100には、バッテリIDが記憶されている。「仕様」には、バッテリ100の仕様を示す情報が格納される。例えば、「仕様」には、バッテリ100の容量や、サイクル寿命を示す情報が格納される。
「地域」には、バッテリ100が使用される地域を示す情報が格納される。バッテリ100が使用される地域が限定されている場合、その地域を特定する情報が「地域」に格納される。バッテリ100が使用される地域が限定されていない場合には、「地域」にはNULL値が格納される。
「充電エネルギータイプ」には、バッテリ100の充電に用いられるエネルギー源の種別を示す情報が格納される。バッテリ100の充電に用いられるエネルギー源が限定されている場合、そのエネルギー源を特定する情報が「充電エネルギータイプ」に格納される。バッテリ100の充電に用いられるエネルギー源が限定されていない場合には、「充電エネルギータイプ」にはNULL値が格納される。
「使用対象」には、バッテリ100の使用対象を示す情報が格納される。バッテリ100の使用対象としては、電動バイク40等の車両の他に、家庭用電源や、太陽光発電装置及び燃料電池等の補助バッテリ等を例示することができる。本実施形態では、バッテリ100の使用対象は車両であるが、バッテリ100の使用対象は、車両以外の様々な輸送機器、各種の据置型電源又は可搬電源等であり得る。
「所有者ID」には、バッテリ100の所有者80の識別情報が格納される。「所有期間」には、所有者80がバッテリ100を所有している期間を示す情報が格納される。
価値通知部260は、バッテリ情報に含まれる地域、充電エネルギータイプ、使用対象を考慮して、バッテリ100の市場価値を算出して、所有者80に通知する。価値通知部260は、バッテリ100の過去の充放電の履歴情報と、バッテリ情報に含まれる地域、充電エネルギータイプ、使用対象に基づいて、バッテリ100の市場価値を算出する。例えば、価値通知部260は、バッテリ情報の「地域」における電気料金や売電価格及び買電価格を考慮して、バッテリ100の市場価値を算出してよい。また、「充電エネルギータイプ」が自然エネルギーである場合、自然エネルギーを利用して運用していることを謳うことで、バッテリ使用料を高めに設定することができる場合がある。したがって、価値通知部260は、「充電エネルギータイプ」が自然エネルギーである場合には、「充電エネルギータイプ」が指定されていない場合に比べて、市場価値を高く算出してよい。バッテリ100の充放電の履歴情報から算出される市場価値の具体例については後述する。
バッテリ100の充放電によって所有者80に付与するべき対価が生じた場合、対価提供部230は、図4に示すバッテリ情報に含まれる所有者IDに基づいてバッテリ100の所有者80を特定して、対価決定部220が決定した対価を所有者80に付与する。同様に、対価通知部240及び価値通知部260は、図4に示すバッテリ情報に含まれる所有者IDに基づいて特定される所有者80に、対価やバッテリ100の現在の価値を通知する。
図5は、格納部290に格納されるバッテリ使用情報のデータ構造の一例を示す。バッテリ使用情報は、「バッテリID」、「ステーションID」、「SOC」、「使用内容」、「対象者」、「代価」、及び「日時」を対応づける。
記録部250は、バッテリ100の使用イベントが生じる毎に、1つのバッテリ使用情報を格納部290に記録する。「バッテリ100の使用イベント」とは、バッテリステーション30から使用者70にバッテリ100が貸し出されたこと、使用者70からバッテリステーション30にバッテリ100が返却されたこと、バッテリステーション30においてバッテリ100が充電されたこと、バッテリステーション30においてバッテリ100が放電されたこと等を示す。管理サーバ20は、バッテリステーション30から通知される使用イベント情報に基づいて使用イベントが生じたと判断する。使用イベント情報については後述する。
「バッテリID」には、バッテリ100の識別情報が格納される。「ステーションID」には、バッテリステーション30の識別情報が格納される。例えば、「ステーションID」には、バッテリ100の貸出元やバッテリ100の返却先のバッテリステーション30の識別情報が格納される。また、「ステーションID」には、バッテリ100の充電又は放電を行ったバッテリステーション30の識別情報が格納される。「SOC」には、バッテリ100の充電率を示す情報が格納される。
「使用内容」には、バッテリ100がどのように使用されたかを示す情報が格納される。具体的には、「貸出」は、バッテリ100がバッテリステーション30から使用者70に貸し出されたことを示す。「返却」は、バッテリ100がバッテリステーション30に返却されたことを示す。「3kWh買電」は、3kWh分の電気エネルギーをバッテリ100に充電したことを示す。「1kWh売電」は、バッテリ100から1kWh分の電気エネルギーを外部に放出したことを示す。
「対象者」には、バッテリ100に関する取引相手を示す情報が格納される。例えば、バッテリ100が使用者70に貸し出された場合、バッテリ100の貸出先の使用者70の識別情報が「対象者」に格納される。また、使用者70がバッテリ100を返却した場合、バッテリ100を返却した使用者70の識別情報が「対象者」に格納される。電力ネットワーク160を通じて電力を充放電した場合、電力提供者150の識別情報が「対象者」に格納される。
「代価」には、バッテリ100の使用に対する代価が格納される。例えば、使用者70がバッテリ100を返却した場合に、使用者70が支払うバッテリ使用料が「代価」に格納される。具体的には、バッテリ100が貸し出されてからバッテリ100が返却されるまでの貸出期間中における使用者70への提供電力量に対して従量的にバッテリ使用料を定める場合、バッテリ100の容量と、貸し出し前後のバッテリ100のSOCの差と、予め定められた従量単価とに基づいて、バッテリ使用料が算出される。
なお、バッテリ100を使用者70に貸し出したときに、貸し出されたバッテリ100のSOCに応じたバッテリ使用料を、使用者70に課してもよい。この場合、バッテリ100が返却されたときのバッテリ100のSOCに応じて、バッテリ使用料を減額してよい。また、バッテリ使用料は、バッテリ100の貸出期間の長さに基づいて算出されてよい。バッテリ使用料は、使用者70への提供電力量及びバッテリ100の貸出期間の長さに基づいて算出されてよい。
「日時」には、バッテリ100の貸出日時、返却日時、買電によりバッテリ100の充電が終了した日時、売電によるバッテリ100の放電が終了した日時を示す情報が格納される。
価値決定部210は、バッテリ使用情報の履歴に基づいて、バッテリ100の1セットの充放電により生じた利益を決定する。例えば、バッテリ100の返却時に使用者70にバッテリ使用料として72円を課金しており、使用者70への提供電力量だけバッテリ100の充電を行うためにかかる電気代が24円であった場合、価値決定部210は、使用者70へのバッテリ100の貸出により生じた利益を48円とする。また、電力不足時にバッテリ100を満充電状態から放電して売電した場合の売電料金が28円であり、電力余剰時に買電してバッテリ100を満充電状態まで回復させた場合の買電料金が8円であった場合、価値決定部210は、バッテリ100の電力売買により生じた利益を20円とする。
対価決定部220は、それぞれの1セットの充放電により生じた利益に、予め定められた分配係数を乗じることによって、所有者80に付与する対価を決定する。図4は、分配係数が0.5である場合を示す。分配係数は、運営者11により定められる。運営者11は、管理サーバ20及びバッテリステーション30の運用コストを考慮して、分配係数を適宜定めてよい。記録部250は、対価決定部220が決定した対価を含む取引情報を、1セットの充放電が生じる毎に記録する。
図4に示されるように、記録される取引情報は、「バッテリID」、「ステーションID」、「電力量」、「使用料」、「充電料」、「売電料」、「買電料」、「利益」、「対価」及び「日時」を含む。取引情報の「ステーションID」には、バッテリ100の充電を行ったバッテリステーション30の識別情報が格納される。
取引情報の「電力量」には、放電及び充電を行った電力量を示す情報が格納される。例えば、1kWhの放電と1kWhの充電を行った場合、「電力量」には「1kWh」が格納される。「電力量」には、1セットの充放電により消費された充放電サイクル数を格納してもよい。
取引情報の「使用料」には、使用者70に課したバッテリ使用料が格納される。「充電料」には、使用者70への提供電力量の電力を充電するためにかかる電気代が格納される。「売電料」には、バッテリステーション30が行った電力売買における売電料金が格納される。「買電料」には、バッテリステーション30が行った電力売買における買電料金が格納される。「利益」には、1セットの充放電によって生じた利益が格納される。「対価」には、所有者80に付与した対価が格納される。「日時」には、1セットの充放電が完了した日時が格納される。
記録部250は、取引情報及びバッテリ使用情報を、格納部290に格納してよい。記録部250は、取引情報及びバッテリ使用情報を、ブロックチェーンネットワーク180に送信することによって、ブロックチェーンネットワーク180に記録してもよい。
図6は、バッテリステーション30における処理の概要を示す。まず、バッテリ100は、バッテリステーション30に満充電状態で保持されているものとする。バッテリ100が使用者70に貸し出されるとき、バッテリステーション30は、貸し出したバッテリ100のバッテリID、バッテリステーション30のステーションID、貸し出したバッテリ100のSOC、使用内容である「貸出」、使用者70のユーザIDを含む使用イベント情報を、管理サーバ20に送信する。使用者70のユーザIDは、バッテリステーション30が使用者70を認証する時に取得される。管理サーバ20において、記録部250は、バッテリステーション30から受信した使用イベント情報を含むバッテリ使用情報を生成して記録する。
バッテリ100が電動バイク40で使用された後、バッテリステーション30にバッテリ100が返却されると、バッテリステーション30は、返却されたバッテリ100から読み出したバッテリID、バッテリステーション30のステーションID、返却されたバッテリ100から読み出したSOC、使用内容である「返却」、使用者70のユーザIDを含む使用イベント情報を、管理サーバ20に送信する。
管理サーバ20において、価値決定部210は、格納部290からバッテリ100を貸し出したときのSOCを読み出して、当該バッテリ残量とバッテリステーション30に返却されたときのSOCとの差に基づいて、使用者70へのバッテリ100の貸出期間中における使用者70への提供電力量を算出する。価値決定部210は、消費電力量に基づいて、使用者70に課金するバッテリ使用料を決定する。例えば、価値決定部210は、従量単価に消費電力量を乗じることによって、バッテリ使用料を算出する。記録部250は、バッテリステーション30から受信した使用イベント情報と、バッテリ使用料を示す代価情報とを含むバッテリ使用情報を生成して記録する。
バッテリステーション30は、電力ネットワーク160において余剰電力が生じているときに、バッテリ100を充電することによって、バッテリ100のSOCを、バッテリ100を貸し出したときのSOCまで回復させる。余剰電力としては、昼間の晴天時に太陽光発電によって供給過剰が生じる時間帯の電力や、深夜電力等を例示することができる。バッテリステーション30は、バッテリ100のバッテリID、バッテリステーション30のステーションID、バッテリ100のSOC、使用内容である「3kWh充電」、買電の対象者としての「電力会社」を含む使用イベント情報を、管理サーバ20に送信する。
管理サーバ20において、記録部250は、バッテリステーション30から受信した使用イベント情報と、バッテリ100の充電にかかる電気代を示す代価情報とを含むバッテリ使用情報を生成して記録する。なお、電気代は、バッテリ100の充電を行った時間帯の電力単価と、充電電力量とに基づいて算出される。
価値決定部210は、バッテリ使用料及び電気代に基づいて、バッテリ100の貸し出しより生じた利益を算出する。上述したように、バッテリ使用料が72円であり、買電料金が24円である場合、価値決定部210は、バッテリ100の貸し出しにより生じた利益を48円とする。対価決定部220は、利益48円に分配係数0.5を乗じることによって、バッテリ100の所有者80に付与する対価を24円とする。対価提供部230は、対価決定部220が決定した対価に基づいて、所有者80の取引口座の残高を増加させる。また、対価通知部240は、対価決定部220が決定した対価を、所有者80に通知する。例えば、対価通知部240は、所有者80の所有者端末82に、対価決定部220が決定した対価を通知する。
記録部250は、使用者70のユーザID、ステーションID、電力量、使用料、充電料、利益、対価、及び充電が完了した日時を含む取引情報を記録する。例えば、記録部250は、格納部290又はブロックチェーンネットワーク180に取引情報を記録する。
次に、バッテリステーション30は、電力ネットワーク160において電力不足が生じているときに、バッテリ100を放電することにより、電力ネットワーク160へ電力を放出する。バッテリステーション30は、バッテリ100のバッテリID、バッテリステーション30のステーションID、バッテリ100のSOC、使用内容である「1kWh売電」、売電の対象者としての「電力会社」を含む使用イベント情報を、管理サーバ20に送信する。
管理サーバ20において、記録部250は、バッテリステーション30から受信した使用イベント情報と、売電料金を示す代価情報とを含むバッテリ使用情報を記録する。なお、売電料金は、売電を行った時間帯における電力提供者150による電力の買い取り単価と、バッテリステーション30から電力ネットワーク160に放出された電力量とに基づいて算出される。
バッテリステーション30は、電力ネットワーク160において余剰電力が生じているときに、電力ネットワーク160から供給される電力によって、バッテリ100を満充電になるまで充電する。バッテリステーション30は、バッテリ100のバッテリID、バッテリステーション30のステーションID、バッテリ100のSOC、使用内容である「1kWh買電」、買電の対象者としての「電力会社」を含む使用イベント情報を、管理サーバ20に送信する。
管理サーバ20において、記録部250は、バッテリステーション30から受信した使用イベント情報と、買電料金を示す代価情報とを含むバッテリ使用情報を記録する。なお、買電料金は、買電を行った時間帯の電力単価と、充電電力量とに基づいて算出される。
価値決定部210は、売電料金及び買電料金に基づいて、電力売買により生じた利益を算出する。例えば、上述したように、売電料金が28円であり、買電料金が8円である場合、価値決定部210は、電力売買によって生じた利益を20円とする。対価決定部220は、20円に分配係数0.5を乗じることによって、バッテリ100の所有者80に付与する対価を10円とする。対価提供部230は、対価決定部220が決定した対価に基づいて、所有者80の取引口座の残高を増加させる。また、対価通知部240は、対価決定部220が決定した対価を、所有者80に通知する。例えば、対価通知部240は、所有者80の所有者端末82に、対価決定部220が決定した対価を通知する。
記録部250は、使用者70のユーザID、ステーションID、電力量、売電料、買電料、利益、対価、及び充電が完了した日時を含む取引情報を記録する。例えば、記録部250は、格納部290又はブロックチェーンネットワーク180に取引情報を記録する。このように、1セットの充放電を行う毎に、充放電により生じた利益が確定されて、所有者80に対価が付与される。
図7は、管理サーバ20により実行される処理を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、バッテリステーション30からの使用イベント情報を受信した場合に開始される。
S702において、記録部250は、バッテリステーション30から受信した使用イベント情報に基づいて、図4に示すバッテリ使用情報を生成して、格納部290に格納する。S704において、価値決定部210は、1セットの充放電が完了したか否かを判断する。1セットの充放電が完了していない場合、処理を終了する。1セットの充放電が完了した場合、S706において、価値決定部210は充放電により生じた利益を算出し、対価決定部220は、算出された利益に基づいて所有者80に付与される対価を算出する。
続いて、S708において、対価提供部230は所有者80に対価を付与する。S710において、対価通知部240は所有者80に付与した対価を、所有者80の所有者端末82に通知する。S712において、記録部250は、取引情報を記録する。例えば、記録部250は、取引情報を格納部290に格納する。また、記録部250は、取引情報をブロックチェーンネットワーク180に送信することによって、ブロックチェーンネットワーク180に取引情報を記録する。
なお、図7に示すS710の処理とともに、又は図7に示すS710の処理とは独立して、価値通知部260は、バッテリ100により生み出される価値を示す情報を、所有者80に通知してよい。価値通知部260は、バッテリ100により生み出される価値を示す情報を、定期的に、及び/又は、所有者80からの要求に応じて、所有者80に通知してよい。
例えば、価値通知部260は、図4に示すバッテリ使用情報及び/又は取引情報に基づいて、バッテリ100により生み出される価値を算出してよい。例えば、図4に示す例では、バッテリ100は、SOC換算で75%に相当する電力量を放電することによって電動バイク40に電力を提供した後、SOC換算で75%に相当する電力量の充電をすることによって、48円の利益が生じ、24円の対価が所有者80に付与されている。また、バッテリ100は、SOC換算で25%に相当する電力量を放電することによって電力ネットワーク160に電力を放出した後、SOC換算で25%に相当する電力量の充電をすることによって、20円の利益が生じ、10円の対価が所有者80に付与されている。したがって、1サイクルの充放電によって、68円の利益が生じ、所有者80に34円の対価が付与されている。
ここで、1サイクルあたり34円の利益が生じたと仮定して、現在までに300サイクルの充放電が行われたとすると、現在までに10,200円の対価が所有者80に付与されたことになる。仮に、所有者80は55,000円を投資してバッテリ100を購入したとする。また、バッテリ100の電池寿命が1000サイクルであるとする。この場合、バッテリ100は、現在において700回の充放電サイクルの余寿命を持つことから、将来において47,600円の利益を生み出すと考えることができる。この場合、価値通知部260は、バッテリ100が将来に生み出す価値が「47,600円」であることを所有者80に通知する。また、価値通知部260は、これまでに所有者80に10,200円の対価が付与されたことを所有者80に通知する。バッテリ100は将来において47,600円の利益を生み出すことができると考えられるため、バッテリ100はその利益に相当する市場価値を持つと評価することができる。よって、所有者80は、現時点でバッテリ100を売却することにより、投資額を回収できる可能性があることが分かる。
このように、価値通知部260は、バッテリ100の過去の使用実績に基づくバッテリ100の価値を算出して、所有者80に通知することができる。なお、価値通知部260は、図4に示すバッテリ情報を参照して、「地域」、「充電エネルギータイプ」及び「使用対象」等の属性を考慮して、バッテリ100が将来に生み出す価値を算出してもよい。例えば、充電エネルギータイプが「自然エネルギー」であれば、省エネルギーに貢献する等の効果を謳うことによって、他のバッテリより高いバッテリ利用料を設定することが可能な場合がある。また、バッテリ100が使用される地域における将来の電力事情を考慮して、利益を算出するための電気料金を設定することができる。例えば、価値通知部260は、バッテリ100が使用される地域における太陽光発電量の将来予測と、自然エネルギーの買取価格の変動とに基づいて、将来の買電単価及び売電単価を予測して、将来にバッテリ100が生み出す利益を算出してよい。また、バッテリ100が使用される地域において、バッテリ100を使用する電動バイクの将来需要に基づいて、将来においてバッテリ100が生み出す利益を算出してよい。
以上において、1つのバッテリ100を1人の所有者80が所有する形態を説明した。しかし、1つのバッテリ100を複数の所有者80で共有する形態も採用できる。この場合、対価決定部220は、1つのバッテリ100で生じた利益に基づいて、所有者の出資割合に応じた対価を決定してよい。
また、複数のバッテリを複数の所有者が所有する形態も採用できる。この場合、対価決定部220は、いずれかのバッテリにおいて1セットの充放電が生じる毎に、その1セットの充放電によって生じた利益に基づいて、所有者の出資割合に応じた対価を決定してよい。
なお、以上において、使用者70が支払うバッテリ使用料を、バッテリ100から使用者70への提供電力量やバッテリの貸出期間に応じた従量制で定める場合の利益計算方法を説明した。しかし、バッテリ100から使用者70への提供電力量や使用者70への貸出期間によらず、バッテリステーション30を定額の使用料で利用可能とする形態も採用できる。例えば、バッテリステーション30を月額1,000円の定額使用料で利用可能とした場合、1ヶ月あたりのバッテリ交換回数の平均値が10回であれば、使用者70が支払うバッテリ使用料を「100円」とみなし得る。したがって、対価通知部240は、定額使用料と平均的なバッテリ交換回数に基づいて算出される金額をバッテリ使用料としてみなして、利益を決定してよい。なお、使用者70が支払うバッテリ使用料を、定額の基本使用料と、電力量及び/又は貸出期間に応じた従量制の使用料との組み合わせによって定める場合にも、上述した計算方法の組み合わせによってバッテリ使用料を算出してよい。
なお、バッテリ100の所有者80がバッテリ使用料を指定する形態を採用してもよい。例えば、価値決定部210は、所有者80が定めた提供電力量や貸出期間に対する従量単価やバッテリの定額使用料を指定する情報に基づいて、使用者70への貸出により得られる利益を算出してよい。
また、バッテリ100の充放電に関する情報を、バッテリ100から管理サーバ20に直接に送信する形態を採用してよい。例えば、バッテリ100は、バッテリ100のSOC、充電電力量、放電電力量及びバッテリ100の現在位置を示す情報を、管理サーバ20に送信してよい。この形態において、バッテリ100は、使用イベント情報及び取引情報に含まれる情報の少なくとも一部を、内部の記録媒体に保持してよい。この形態において、バッテリステーション30は、使用者70等の情報をバッテリ100に書込むことによって、バッテリ100を通じて管理サーバ20に送信してよい。また、電動バイク40は、バッテリ100に保持されている情報を読み出して、管理サーバ20に送信してもよい。
また、管理サーバ20の機能の少なくとも一部を、バッテリステーション30が備える形態を採用してよい。この形態において、バッテリステーション30は、使用イベント情報や取引情報に含まれる情報の少なくとも一部を、ブロックチェーンネットワーク180に送信することによって記録してよい。この形態によれば、バッテリ100を運用するための情報の管理コストを削減することができる場合がある。
以上に説明したように、交換バッテリシステム10によれば、第三者が所有するバッテリから電力供給を行うシステムにおいて、バッテリの所有者に付与される適正な対価を評価することができる。
図8は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000に、実施形態に係る管理サーバ20等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのような非一時的なコンピュータ可読記憶媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を管理サーバ20として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、管理サーバ20の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である価値決定部210、対価決定部220、対価提供部230、対価通知部240、記録部250、価値通知部260、使用イベント情報取得部270として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の管理サーバ20が構築される。
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサ等の回路によって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。