(前提技術)
以下、本発明の前提とするぱちんこ遊技機(以下「前提技術」)について図面を用いて説明する。前提技術に係るぱちんこ遊技機の代表例として、ぱちんこ遊技機を図1および図3に示すとともに、このぱちんこ遊技機に設けられる遊技盤を図4に示しており、まず、これらの図を参照して、ぱちんこ遊技機の機械構成について説明する。なお、以降の説明においては、便宜上、図2の各矢印で示す方向をそれぞれ、前後方向、左右方向、上下方向と称して説明する。
[ぱちんこ遊技機の機械構成]
始めに、ぱちんこ遊技機Pの正面側の基本構造を説明する。ぱちんこ遊技機Pは、図1および図2に示すように、外郭方形に構成され、遊技施設において固定される外枠P1の開口前面に、外枠P1の開口に合わせたサイズで方形に構成された前枠P2が互いの正面左側縁部に配設された上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)により横開き開閉および着脱が可能に取り付けられる。
前枠P2には、遊技盤P5とガラス枠P3とが着脱可能にセットされている。ガラス枠P3は方形状であり、前枠P2の前面側に上下のヒンジ機構(上ヒンジ部10、下ヒンジ部20)を利用して横開き開閉および着脱可能に組み付けられて保持される。遊技盤P5は、前枠P2の前面側に着脱可能にセットされ、閉鎖保持されるガラス枠P3のガラスP301を通して遊技盤P5の正面側に設けられた遊技領域P501を遊技者が視認可能に構成されている。また前枠P2およびガラス枠P3は、ぱちんこ遊技機Pの正面右側縁部に設けられた施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入し、左右方向のいずれかに回転させることで、回転方向に応じて、外枠P1と前枠P2の施錠が解除または前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除される。具体例としては、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して右方向に回転させると外枠P1と前枠P2の施錠が解除され、施錠部P30の鍵穴に鍵を挿入して左方向に回転させると前枠P2とガラス枠P3の施錠が解除されるようになっている。
ガラス枠P3の下部には、遊技球を貯留する上下の球皿P340(上球皿P341及び下球皿P342)が設けられる。またガラス枠P3には、遊技の展開状況に応じて発光する演出ランプP350や、遊技の展開状況に応じて効果音などの音を出力可能なスピーカP370が設けられている。ガラス枠P3の下部中央には、所定の演出操作を行うための演出操作手段P380が取り付けられ、前提技術として示す本ぱちんこ遊技機が有する演出操作手段P380は、押下入力式のボタンP381と傾倒操作式のレバーP382とを備えており、ボタンP381は常時遊技者操作を可能とする一方、レバーP382はガラス枠に備えられた可動物(枠可動役物P360)の1つであり、操作手段自体が上方に突出した状態(入力許可状態)に変位した場合に操作入力を可能とする(1の演出操作手段にて、複数の操作が可能となっている)。
前枠P2の右下部には、遊技球の発射操作および発射強度の調整を行うハンドルP204が設けられている。前枠P2の下部には、さらに発射装置ユニットP240を備え、図示を省略するが、上球皿P341に貯留された遊技球を1球ずつ送り出す球送り機構P241、この球送り機構から送り出された遊技球を遊技領域P501へ向けて打ち出す発射機構(ロータリーソレノイドで駆動される打球槌)を有する発射装置P242、球送り機構P241や発射装置P242の作動を同期的に制御する発射制御基板P243などが設けられている。
遊技盤P5(遊技盤ユニット)は、図4に示すように、透明な合成樹脂や木材を用いて矩形の平板状に形成された基材をベースとして構成されている。なお、図1は遊技盤P5を含むぱちんこ遊技機Pを前面側から見た正面図であり、図4は遊技盤ユニットP5の斜視図を示す。図4は遊技盤ユニットに備えられた演出役物P560(「可動演出装置」「演出可動体」「演出可動役物」等とも呼ぶ)が動作している状態を図示している。遊技盤P5の前面には、左下部から右上部にかけて配設された円弧状の外レールP502と、遊技盤の下部中央付近から外レールP502の内側における左下部から左上部にかけて配設された円弧状の内レールP503と、右上部の外レールP502の端部から該盤面の下部までの間に配設されて左向きに開く湾曲形状に形成されたレール飾りP504とを備えており、外レールP502と内レールP503とレール飾りP504とで囲まれた内側に略円形の遊技領域P501が区画形成されている。この遊技領域P501は、略中央に配設される後述のセンター役物P540を基準として、センター役物P540の左側の領域である左側領域P501L(左打ち領域)と、センター役物の右側の領域である右側領域P501R(右打ち領域)とを有している。また、外レールと内レールとにより、発射装置ユニットP240により打ち出された遊技球を遊技領域P501へ案内するための案内通路が形成される。
遊技領域P501には、図示しない多数本の遊技釘P510や風車P511とともに、第1始動入賞口P711(第1始動口)、第2始動入賞口P721(第2始動口)、一般入賞口P731、普図作動口P741(普図作動ゲート装置)、大入賞口P751(アタッカー)、等の各種入球装置(賞球が発生する場合は「入賞装置」と称する)が配設されている。なお、大入賞口は1つとしてもよいし、複数有するよう構成してもよい。また、本明細書において、入球装置の構成上、遊技球が入球装置に入球した後に排出されるもの、入球装置に入球した後にさらに遊技領域P501を流下するもの(ゲートタイプ)に対し、遊技球が内部の検出スイッチで検出されることを「入球」「入賞(特に賞球が発生するもの)」と称し、ゲートタイプの入球口のように下流の遊技領域に流下するものついては、特に「通過」と区別して記載する場合を有する。また、入球装置を入球口、入賞装置を入賞口と称することがある。
また、遊技領域P501の右下には、第1特別図柄表示装置P51、第2特別図柄表示装置P52、普通図柄表示装置P53など、後述の主制御基板にて点灯制御される主制御表示装置P50が集約的に配設されている。遊技領域P501の略中央にはセンター役物P540が配設されており、このセンター役物P540の開口を通して演出表示装置P80の画面が視認可能に設けられている。このセンター役物P540の上部等には、遊技の展開状況に応じた演出動作を行う演出役物P560(可動役物装置)が設けられている。遊技領域P501の下端部には、各種入球装置の入賞口に入球せずに流下した遊技球が通過可能なアウト口P790が設けられている。各種入賞装置の入賞口に入球した遊技球又はアウト口P790に流入した遊技球は、遊技盤P5に前後貫通して形成された貫通孔(図示せず)を通じて遊技盤P5の後面側へ流下し、前枠P2下部の回収流路(遊技済み球通路)に収集され、発射した遊技球の総数を検出するための前枠下部に備えられたアウト球センサP792(発射球数センサ)を通過したのち遊技機外へ排出される。
第1始動入賞装置P710は、第1特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第1始動入賞装置P710には、遊技球が入球可能な第1始動入賞口P711が設けられている。第1始動入賞口P711への遊技球の入球は、第1特別図柄に係る抽選に使用される乱数の取得契機となっており、第1始動入賞口P711への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第1特別図柄に係る抽選が実行される。
第2始動入賞装置P720は、第2特別図柄遊技に対応する始動入賞装置として設けられている。この第2始動入賞装置P720には、遊技球が入球可能な第2始動入賞口P721および後述する普通図柄抽選に当選した場合に第2始動入賞口P721への入球を容易となる状態に切り替える可動体である普通電動役物P770が設けられている。第2始動入賞口P721への遊技球の入球は、第2特別図柄に係る抽選に使用される乱数の契機となっており、第2始動入賞口P721への遊技球の入球に基づいて入球直後のタイミングまたは保留期間を経過した後に第2特別図柄に係る抽選が実行される。第2始動入賞装置P721は、普通電動役物P770の作用により遊技球が第2始動入賞口P721へ入球可能又は入球容易な開状態と、遊技球が第2始動入賞口P721へ入球不能又は入球困難な閉状態とに変化する。つまり、第2始動入賞装置P720は、開状態に変位しなければ遊技球が第2始動入賞口へ入球し難い構造となっており、後述の所定の契機(普通図柄抽選に当選する契機)で開状態となると遊技球の入球容易性が高くなる。なお、普通電動役物P770の構造は様々な態様が知られており、可動体P771が開くことによる入球容易性の変化がなされる構造ではない場合があるため、「開状態」「閉状態」をそれぞれ「入球容易状態(入球容易態様)」「入球困難状態(入球困難態様)」と表記する場合を有する。
一般入賞装置P730は、左打ち領域P501Lに配置された左側一般入賞装置P730Lと、右打ち領域P501Rに配置された右側一般入賞装置P730Rとを有している。本前提技術におけるぱちんこ遊技機Pにおいては、左側一般入賞装置P730Lとして、3つの一般入賞口P731La~P731Lcが1のユニットとして構成されている一方、右側一般入賞装置P730Rは後述する大入賞装置P750の一部として構成されている。一般入賞口P731への遊技球の入球は、他の入賞装置と同じく賞球払出の契機となる。なお、前提とするぱちんこ遊技機の一般入賞口P731の個数や位置はあくまで一例であり、右打ち領域P501Rにのみ配置されるよう構成する等としてもよい。
普図作動ゲート装置P740(普図作動口)は、普通図柄遊技に対応する始動入球口として設けられている。この普図作動ゲート装置P740には、遊技球が通過可能な作動ゲートP741が設けられており、入球した遊技球は遊技盤の遊技領域の下流をさらに流下可能に構成されている。作動ゲートP741への遊技球の通過は、第2始動入賞装置P720を開状態とするか否か、すなわち普通電動役物P770を作動させるか否かを決定するための普通図柄抽選の契機となる。なお、変形例として普通図柄抽選の契機となる機能を前述した一般入賞口P731に備えるように構成することも可能であり、この場合には、普通図柄抽選を実行する機能に加えて、賞球を発生させる機能を1の入賞装置として設けることも可能である(普図作動入賞口)。
大入賞装置P750は、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の抽選結果が大当りや小当りとなった場合に開閉動作する大入賞口P751(特別電動役物P755)を有して構成されており、「アタッカー(装置)」などと呼称する場合を有する。大入賞装置P750は、遊技球が大入賞口P751へ入球可能又は入球容易な開状態(例として特別電動役物が作動P755した状態)と、遊技球が大入賞口P751へ入球不能又は入球困難な閉状態(例として特別電動役物P755が非作動の状態)とに変化する。大当り遊技においては、大入賞口P751の開閉動作を伴う複数回のラウンド遊技(単位遊技)が行われる。なお、特別電動役物P755が作動した状態であっても、一連の作動パターン(「開放パターン」とも呼ぶ)により、大入賞口P751を構成する可動体P756が入球困難な閉態様となる場合を有する。
また、大入賞装置P750には、遊技機の仕様(スペック)によっては、遊技球が通過可能な特定領域P760(「Vゾーン」、「V領域」と呼ばれ、機能によっては「確率変動機能作動領域」、「継続領域」などと呼ぶ)が設けられる場合を有する。この「特定領域」に関する機能として、(ア)大当り遊技中の特定領域に対する通過を契機として大当り遊技の後に確率変動機能(後述)を作動させること、(イ)小当り遊技中の特定領域の通過を契機として役物連続作動装置(特別電動役物を連続的に作動させるためのフラグ)を作動させ、大当り遊技を実行する権利を付与すること、(ウ)大当り遊技中の特定のラウンドにおいて特定領域を通過したか否かに基づいて、後続のラウンドの実行を確定的としたり、実行しないものとしたりすること、などが例として挙げられる。なお、「特定領域」に対し、通過の容易性を変化させるための構造体である開閉部材P761(弁部材)が設けられてもよく、開閉部材P761の作用により流下経路を振り分けられることで、特定領域P760又はそれ以外の非特定領域を通過するように構成してもよい。また、大当り遊技中や小当り遊技中において、特定領域P761の遊技球の通過が有効となる期間と無効となる期間とを有してもよい。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて、大入賞装置P750は、遊技領域P501における右側領域P501R(右打ち領域)に設けられている。そのため、大当り遊技又は小当り遊技では、遊技領域P501に向けて遊技球を発射する際に、右側領域P501Rを狙って打つ、いわゆる右打ちを行うことで大入賞口P751への入球が容易となっている。
続いて、前提とするぱちんこ遊技機Pの背面側の基本構造を説明する。前枠の背面側には、中央に遊技盤ユニットP5を取り付けるために前後連通する窓口を有した裏セットユニットP4が取り付けられている。裏セットユニットP4には、遊技施設側から供給される多数個の遊技球を貯留する貯留タンクP401、貯留タンクP401からの遊技球を流下させる樋部材P402、樋部材により導かれた遊技球を払い出す賞球払出ユニットP410、賞球払出ユニットP410から払い出された遊技球を上球皿P341又は下球皿P342へ流下させる裏側通路部材P403などが設けられている。また、貯留タンクP401から球皿P340までの遊技球流下経路上には、球抜き機構(球抜き操作レバーP405、操作レバーに連動して遊技球を流路上から排除する流路を形成する弁部材P406)が設けられている。
遊技盤P5の背面側には、ぱちんこ遊技機Pの遊技進行を統括的に制御する主制御基板P40や、主制御基板P40の制御に伴う遊技進行に合わせた演出全般の制御を行う演出制御基板P41、遊技展開に応じた画像表示の制御を行う画像制御基板P42などが取り付けられている。なお、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41および画像制御基板P42は、演出表示装置P80(液晶表示装置)と一体化されたアッセンブリ状態で演出表示ユニットを構成している。これに対して、裏セットユニットP4の背面側には、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板P43や、遊技施設側から受電して各種制御基板や電気・電子部品に電力を供給する電源基板P44(図示せず)などが取り付けられている。なお、これらの制御基板は、不正改造防止のため、カシメ構造及び封印シール構造を有する透明樹脂製の基板ケースに収容されたアッセンブリ状態で遊技盤P5の背面又は裏セットユニットP4の背面の所定位置にそれぞれ配設される。これらの制御基板とぱちんこ遊技機各部の電気・電子部品とがハーネス(コネクタケーブル)を介して相互に接続されて、ぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行や、演出の実行が可能に構成されている。
[機能ブロック]
図5は、前提とするぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す。
ぱちんこ遊技機は、遊技機外部から供給される交流電源に基づいて遊技機内で使用する電源を生成する電源基板P44と、遊技の基本動作や遊技の進行を制御する主制御基板P40(主制御CPU)と、賞球の払出しや遊技球の発射を制御する枠制御装置としての払出制御基板P43(払出制御CPU)と、演出的な動作や処理を制御する演出制御基板P41とに機能を分担させた形態で構成される。なお、図中に示す矢印は機能別に、上方の送受信の関係を実線矢印で示し、電気的接続の関係を破線矢印にて示している。
電源基板P44は、基板上に設けられた電源スイッチP47を操作することによって、後述する主制御基板P40、演出制御基板P41、払出制御基板P43、並びにそれらに電気的に接続する各種遊技用装置に対し、動作に必要となる電力を生成して供給する。詳細は後述するが、電源スイッチP47の電源投入操作は、遊技機の設定に係る情報の処理の開始契機となるスイッチ操作であるため、電源スイッチは不正な操作を防止するため開閉カバーに覆われた状態で保護されている。
主制御基板P40は、第1始動入賞口P711(特図1始動口スイッチP712)、第2始動入賞口P721(特図2始動口スイッチP722)、大入賞口P751(大入賞口スイッチP752)、普図作動口P741(普図作動口スイッチP742)や、その他の検出スイッチである一般入賞口P731(左側一般入賞口,右側一般入賞口)、アウト口P790などの各種の遊技進行に係る検出スイッチや、設定キースイッチP49、振動検知センサP72、磁石センサP73などの各種遊技の管理や不正監視に用いられるスイッチやセンサと接続される。主制御基板は、これらのスイッチから各種の遊技状態の発生に係る情報の入力を得て、遊技進行に係る制御内容の決定をするとともに、ソレノイド等で構成され、大当りや小当りの際に大入賞口P751を拡開させるために駆動される特別電動役物駆動手段P70や、普通図柄抽選に当選した場合に普通電動役物P770を入球容易状態とするために駆動される普通電動役物駆動手段P71といった遊技用装置に対して、駆動態様に係る情報の出力を行う。
主制御基板P40に接続するセンサ等は、主制御基板上の入力ポートと呼ばれる端子に接続して、センサ検出に基づく各種遊技状態の発生の有無を主制御基板P40に情報として通知し、特別電動役物駆動手段P70や、普通電動役物駆動手段P71、その他、発射装置P242に対する発射許可信号などを出力ポートと呼ばれる端子から出力された情報を受け取ってそれぞれの装置、デバイスを制御する。
また、主制御基板P40は、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示装置P51、P52や大当りや小当りの種類(ラウンド数)を報知するラウンド表示灯P54、遊技状態を報知する状態表示灯P55などの各種表示を行う主制御表示装置P50や、遊技機の性能(例えば通常遊技中におけるベース値、すなわち発射総数に対する賞球数の割合)を表示する性能表示装置P59などと接続する。なお、「ベース値」に関して、始動入賞口P711等の入賞を除外して計上するデータなど、他の計上方法も多種存在するが、本件発明にて必要な場合に別途説明を行い、前提とするぱちんこ遊技機の説明では詳細は割愛する。
主制御基板P40は、上記の他に外部情報出力端子P77や試験端子P78等により遊技機外部の装置と電気的に接続可能に構成されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、主制御基板P40は、遊技機内の他の制御基板である演出制御基板P41、払出制御基板P43とも電気的に接続している。
払出制御基板P43は、主制御基板P40から送信される賞球払出や主制御基板の制御状態を示す信号等に基づいて、払出装置P410による賞球の払出を制御するほか、遊技者によるハンドルP204の操作を受けて発射装置ユニットP240による遊技球の発射に係る制御を行う。払出装置P410は、一例として払出モータP411と球計数センサP412有するものであり、払出モータP411の回転により、遊技球を1球ずつ払出可能に構成される。発射装置(発射装置ユニット)P240は、球皿P340(上球皿P341)に滞留している遊技球を1球ずつ球送りユニットP241によって発射可能位置へ移動させた後、打球槌を遊技球にぶつけることで遊技球を発射させるよう構成されている。なお、払出制御基板P43には、主として遊技機の初期化や、遊技中に発生したエラーの解除に用いられるラムクリアスイッチP48が配設されており、払出制御基板P43と主制御基板P40の接続に使用されるハーネスやコネクタを介して、ラムクリアスイッチP48の操作情報が主制御基板に入力されるようになっている。
演出制御基板P41は、演出表示装置P80、演出可動役物P560の駆動源や位置検出センサ(例えば、駆動モータや、初期位置検出センサ、演出位置検出センサ)、スピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出入力装置ユニットP380(例えば演出操作手段P81である演出ボタンP381、演出レバーP382、十字キーP383など)、演出ランプP82(「装飾ランプ」「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」とも称する)と電気的に接続されており、各々との間で各種制御信号を送受信する。また、演出制御基板P42と、演出表示装置P80の接続は、演出表示装置P80(例えば液晶表示装置などの画像を表示する装置)の表示制御を行う画像制御基板P42(VDP)などを介して接続するものであってもよい。また、本前提とするぱちんこ遊技機では、スピーカP83を演出制御基板P41にて制御するように構成するものであるが、音声制御用のIC等を備えた音声制御基板を別途設けてスピーカP83を制御するように構成してもよい。
主制御基板P40と演出制御基板P41の間におけるデータの送受信は主制御基板P40から演出制御基板P41への一方向となるよう一方向でのデータ送受信にて行われる。主制御基板P40から演出制御基板P41へのデータ送信の一方向性が保たれるため、演出制御基板P41に含まれる構成から主制御基板P40に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、演出制御基板P41は、主制御基板P40で生成された情報が送信されない限りその情報を参照することはできない。なお、本前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、主制御基板P40と払出制御基板P43の間は、双方向でデータ送受信がなされる。ただし、主制御基板P40と演出制御基板P41の間と同様、主制御基板P40から払出制御基板P43への一方向でのデータ送受信とする構成にしてもよい。
[基本遊技進行]
次に、以上のように構成される前提技術としてのぱちんこ遊技機Pにおける、基本的な遊技進行および遊技方法に関して遊技状態別に説明する。「遊技状態」としては大別して「通常遊技状態」と、通常遊技状態と比して遊技球を獲得することが容易な「特別遊技状態」とがある。「通常遊技状態」は、「特別遊技状態」への移行権利の獲得を目指す状態であり、通常遊技状態の中でも、特別遊技状態への移行権利の獲得に関して遊技者にとって有利度合いが異なる遊技状態が複数設けられており、複数の通常遊技状態の中でも、遊技者にとって比較的特別遊技状態への移行権利が獲得容易な状態(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも遊技者にとって有利な状態)に関して「特定遊技状態」と表現する。「特別遊技状態」は、いわゆる「大当り遊技」と「小当り遊技」が該当し、主制御基板P40によって特別電動役物駆動手段P70が駆動され大入賞口P751が開口した状態となり遊技球の獲得が容易となる状態のことを意味している。
[通常遊技状態:低確率/低ベース状態]
まず、通常遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。なお、ここで記載する通常遊技状態は特定遊技状態を除く「通常遊技状態(低確率/低ベース状態)」(図6参照)に関する説明であり、一般的に遊技者が遊技を開始する状況における遊技状態について説明するものであり、特定遊技状態における遊技方法、遊技の進行、および「低(高)確率」、「低(高)ベース」の用語の意味に関しては後述する。
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における、遊技の方法として、まず、遊技者はハンドルP204を操作して遊技盤P5に設けられた遊技領域P501に向けて遊技球を発射する。前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において、遊技者はハンドルP204の操作量を遊技球が遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に向かって発射されるように操作して遊技を行う。
遊技者によって遊技領域の左側領域P501Lに遊技球が発射されると、発射された遊技球は、遊技領域P501を流下し、図示しない遊技釘P510(「障害釘」、「釘」とも呼ぶ)や、風車P511によって流下方向を変位させながら、「ヘソ」などと呼ばれる遊技盤の遊技領域P501における略中央下位置に配置された第1始動入賞口P711、あるいは左側一般入賞装置の一般入賞口P731Lに入球(入賞)するか、いずれの入賞口にも入球せず、遊技済み遊技球としてアウト口P790へ入球する。第1始動入賞口P711あるいは、一般入賞口P731へ入球すると、主制御基板P40は、払出制御基板P43に対し入賞口毎に定められた賞球数の賞球をさせるための情報(制御コマンド)を出力し、遊技者は賞球払出により新たな遊技球を獲得する。
ここで第1始動入賞口P711の内部には特図1始動口スイッチP712が配置されており、遊技者が遊技領域における左側領域P501Lに遊技球を発射して生じ得る遊技状態(遊技結果)として、第1始動入賞口P711への入球がなされた場合において、主制御基板P40に特図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報が入力される。
主制御基板P40は、特図1始動口スイッチP712の遊技球検出情報の入力を受けると、予め定められた賞球数の遊技球の払い出しを行うほか、第1特別図柄の制御に係る抽選を行うための乱数値を取得する。乱数値の取得は、遊技球の検出に基づいて、電気回路上で乱数生成回路の生成する乱数値を取得するもの(ハードラッチ)や、主制御基板P40の制御装置がソフト上の処理にて遊技球の検出情報を確認した際に乱数値を先の乱数生成回路から取得する処理を実行したり、ソフト的に更新されている乱数値を取得したりするもの(ソフトラッチ)などの手法があり、取得する乱数値に応じて使い分けてもよいし、組合せて使用することも可能である。なお、一般入賞口に入球した場合には、特別図柄に係る乱数は取得されず、賞球の払い出しのみが行われる。
第1特別図柄の制御に係る抽選は、「特別図柄抽選」であり、「特別図柄抽選」には、「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」が含まれる。「当否抽選」は、取得した乱数値を用いた抽選結果が「大当り」であるか「はずれ」であるかを決定する処理である(遊技機の仕様によっては抽選結果に「小当り」を含む)。「当り図柄抽選」(単に「図柄抽選」と呼ぶ場合もある)は、主制御表示装置P50における特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選結果を示す停止表示図柄の表示パターンを決定する処理であり、1の抽選結果(大当り、小当り)に対し、複数の停止表示図柄から1の図柄を決定可能であり、ここで決定された停止表示図柄に応じて、「大当り」、「小当り」における特別遊技の実行態様を異ならしめることを可能としている。「変動パターン抽選」は、特別図柄表示装置P51(P52)において当否抽選の結果を示す停止表示図柄をどのタイミングで表示させるかを決定する処理であり、特別図柄表示装置P51(P52)において特別図柄抽選が実行されたことを示す変動表示がなされる時間(「変動表示時間」、「変動パターン」と呼ぶ)を決定するものである。「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」に使用される乱数値は異なるものを使用するのが一般的であり、それぞれ「当否抽選乱数」、「図柄乱数」、「変動パターン乱数」と呼ばれる。なお、特図2始動口スイッチP722の遊技球を検出することに基づいて行われる第2特別図柄の制御に係る抽選もまた、同様の「特別図柄抽選」である。また、「特別図柄抽選」に関する説明は後述する。
通常遊技状態(低確率/低ベース状態)における遊技方法の説明に戻って説明すると、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射し、第1始動入賞口P711へ遊技球を入球させ、第1特別図柄に係る抽選(特別図柄抽選)を実行させ、特別図柄表示装置において「大当り」(「小当り」)を示す特別図柄の停止表示図柄が表示されることにより、特別遊技の実行権利の獲得を目指す遊技が行われる。
なお、遊技者が特別図柄抽選を受ける過程において、変動パターン抽選により決定された時間に応じて特別図柄の変動表示がなされる点について上述しているが、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、この特別図柄の変動表示期間において、新たに始動入賞口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721)に入球があった場合には、予め定められた回数の特別図柄抽選の実行権利に対応する乱数値を一時的に記憶する保留機能を備えている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第1始動入賞口P711の入賞に基づく特別図柄抽選に対応する保留機能として、最大4回の特別図柄抽選を保留することを可能としている。なお、保留機能は特別図柄毎に設定可能であり、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、第1特別図柄の保留とは別に、第2特別図柄に対する特別図柄抽選の保留機能も、最大4回の特別図柄抽選に使用する乱数値を保留しておくことを可能としている。
このように、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)においては、遊技者は、遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射して、第1特別図柄に係る特別図柄抽選を実行させる。そして、特別図柄抽選において、「大当り」や「小当り」などの特別遊技状態となる抽選結果に当選し、特別遊技状態への移行の権利を獲得したことが特別図柄表示装置に表示されると、ぱちんこ遊技機Pの遊技状態は特別遊技状態へ移行する。
[特別遊技状態]
続いて、特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明を行う。特別遊技状態には「大当り(遊技)」と、「小当り(遊技)」とが存在するが、ともに特別電動役物P755が作動して、すなわち主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して駆動信号が出力されて大入賞口P751が入球容易状態となる状態であり、その相違点として、「大当り」が複数回の特別電動役物P755を連続して作動させる役物連続作動装置の作動に基づくものであるのに対し、「小当り」が1回の特別電動役物の作動により終了する点が大きな相違点である。その他の相違点としては、役物連続作動装置の作動に基づく特別電動役物の作動(大当り)では、特別電動役物P755の作動に関し、より遊技者に有利な作動態様とすることを可能とする点にあり、具体的には、役物連続作動装置の作動状態(大当り)における大入賞口P751の総開放時間は、30秒まで許容される一方、小当りにおける大入賞口P751の総開放時間は1.8秒までに制限される点がある。以下の特別遊技状態における遊技方法および遊技の進行に関する説明では、大当りを例に説明を行う。
前提技術のぱちんこ遊技機Pにおける特別遊技の遊技進行は、時系列に沿って、「特別遊技開始デモ」(大当りの場合は「大当り開始デモ」、「役連作動開始デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り開始デモ」)と呼ばれる遊技者に各種特別遊技を獲得した旨を報知するための演出期間と、「ラウンド(遊技)」(「単位遊技」とも称する)と呼ばれる1回の特別電動役物P755の作動期間と、「特別遊技終了デモ」(大当りの場合は「大当り終了デモ」、「役連作動終了デモ」などと称し、小当りの場合は「小当り終了デモ」)と呼ばれる主に特別遊技中における遊技結果(獲得遊技球数など)および移行先の通常遊技状態(特定遊技状態を含む)の種類に係る報知を行うための期間とによって構成される。
次に上述した各特別遊技の期間における遊技の方法について説明を行う。まず、「特別遊技開始デモ」期間において、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、大入賞口P751が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に配置されており、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の左側領域P501Lに遊技球を発射しても大入賞口P751の入球がほとんど期待できないため、特別遊技において大入賞口P751が入球容易状態となるラウンド遊技が開始する前に、遊技者に対して遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射することを促す右打ち報知演出を演出表示装置P80やスピーカ(下スピーカP141、上スピーカP370)、演出ランプP82を用いて実行する。遊技者は、右打ち報知演出に従って、ハンドルP204の操作量を増やし遊技球の発射強度を高めるよう調整し、遊技球を遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に流下するよう発射位置を変更する(右打ちを実行する)。
「ラウンド(遊技)」期間になると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、主制御基板P40から特別電動役物駆動手段P70に対して出力される駆動信号により大入賞口P751が入球容易状態または入球困難状態となり、特別遊技の実行期間に合わせて大当り(小当り)を獲得したことを祝福するような演出や、特別遊技が終了した後に移行する通常遊技状態が遊技者にとってより有利な特定遊技状態となるかを示唆する演出などの演出を実行する。遊技者は、大入賞口P751に遊技球を入球させて多数の遊技球を得るべく、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する。
1回の「ラウンド(遊技)」期間は、大当り(小当り)の種類に基づいて定められた大入賞口の開放パターン(特別電動役物の作動態様)が完遂する(開放時間が経過する)か、予め定められた「規定個数」(「カウント」「C」などと表現する場合を有する)の遊技球が入球することによって終了する。そして、実行中の特別遊技状態の種類(大当り、小当りの種類)に応じて、実行すべきラウンド遊技が全て終了したとき「特別遊技終了デモ」の状態へ移行する。
続いて「特別遊技終了デモ」期間となると、前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、今回の特別遊技状態の期間において獲得した遊技球数や、後述する特定遊技期間と連続して行われた複数回の特別遊技状態において獲得した(通常遊技状態(低確率/低ベース状態)に移行せずに獲得した)累計の獲得遊技球数を報知する演出を行ったり、特別遊技状態の後に移行する通常遊技状態の種類の報知および移行先の遊技状態における遊技方法に係る報知(前述した右打ち報知演出など)の演出が実行される。遊技者は、実行されている演出より、移行先の通常遊技状態の種類に応じた遊技に備えて、ハンドルの操作を行う。
前提とする多くのぱちんこ遊技機Pにおいては、一部の例外を除いて、特別遊技状態としての大当り遊技が実行されると、通常遊技状態として「特定遊技状態」と呼ばれる遊技者にとって特別遊技状態への移行権利が獲得しやすい状態へ移行し、特定遊技状態と特別遊技状態とを連続して繰り返す、いわゆる「連荘」を楽しむ遊技性となっている。
[特定遊技状態]
続いて、「特定遊技状態」に関する説明を行う。図6に示すように特定遊技状態には、大きく分けて3つの特定遊技状態が存在する。そして、それらの種類を分ける要素として「確率状態」と「ベース状態」とがあり、それらの組合せによって特定遊技状態を構成する。
(確率状態)
「確率状態」は、特別図柄抽選における当否抽選において、抽選結果が「大当り」となる確率を変動させる機能である「確率変動機能」(「確変」とも言う)の作動状態に基づき、確率変動機能が作動し、作動していない場合よりも高い確率で特別図柄抽選における当否抽選が「大当り」となる場合について「高確率(状態)」(「確変状態」、「確率変動状態」と表現する場合もある)と表現し、確率変動機能が作動していない状態について「低確率(状態)」と表現する。「高確率(状態)」は、1回の特別図柄抽選に対し大当りとなる確率が高いという点で、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)より有利な遊技状態となっている。
(ベース状態)
「ベース状態」は、「ベース」すなわち「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合(の期待値)」に関する状態であり、一般的には、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易(有利)となっている状態を「高ベース(状態)」(「電チューサポート(電サポ)状態」とも言う)と呼ぶ。なお、遊技機仕様によっては、「電チューサポート機能」が作動した状態でなくとも、推奨される遊技球の発射位置が切り替わることにより、「所定個数の遊技球を発射した場合に賞球として得られる遊技球の割合」が高まるのであれば「高ベース状態」と表現する場合も有する。「高ベース(状態)」は、特別遊技状態を獲得するまでの期間において、遊技球が賞球として払い出される数が多くなる(払い出されやすくなる)ことにより、遊技球の消費を抑えながら特別遊技状態の獲得を狙うことができる点で遊技者にとって有利となる遊技状態である。
「電チューサポート機能」は、普通電動役物P770の作動が通常遊技状態(低確率/低ベース状態)よりも容易となっている状態であるが、主として3つの機能の組合せ(少なくとも1を備える)によって構成される。「電チューサポート機能」を構成する3つの機能とは、「普通図柄確変」、「普通図柄時短」、「(普通電動役物の)開放延長」の3つである。「普通図柄確変」は、「普通図柄抽選」において普通電動役物を作動させる結果となる確率が高い状態を指す。「普通図柄時短」は、主制御表示装置P50における普通図柄表示手段P53において、普通図柄抽選を実行してから普通図柄抽選の結果を表示するまでの時間が短縮される状態のことを指す。「普通電動役物の開放延長」は、普通図柄抽選で当選した当りの種類に対して、普通電動役物P770に係る入賞口に対し遊技球が入球しやすい態様にて普通電動役物を作動させるように変更することを指しており、一例として、普通電動役物を入球容易状態とする総時間を延長して長くすることが該当する。
「普通図柄抽選」は、上述した特別図柄抽選が特別電動役物P755の作動に関する抽選であるのに対し、普通図柄抽選は対象が普通電動役物P770の作動に関する抽選である点、および抽選の実行契機が普図作動ゲート装置P740に対する遊技球の入球である点で相違するが、当否、図柄、変動パターンを抽選により決定する点や保留機能を有する点でほぼ同じである。普通図柄抽選に関する当否、図柄、変動パターンの抽選について特に表現する場合には「普図当否抽選」、「普図図柄抽選」、「普図変動パターン抽選」というように「普図」(または「普通図柄」)を先頭につけて表現する。
「特定遊技状態」の種類を区別する要素として、「確率状態」、「ベース状態」とを説明したが、特定遊技状態を構成する要素として、他に「時短状態」(「変動時間短縮状態」、「変動時間短縮機能」が作動した状態、ともいう)がある。一般的に「時短状態」は特別図柄の1回当りの変動表示時間(変動パターン)が短縮されて、単位時間あたりの特別図柄抽選の実行回数が増加する状態のことを指し、遊技者にとってより単位時間あたりに多くの特別図柄抽選を受けられる点で有利な状態である。「時短状態」(変動時間短縮状態)は、上述した「高確率状態」や「電チューサポート状態」と同時に制御されていることが多く、それのみで特定遊技状態を構成することは少ない。
[特定遊技状態1:低確率/高ベース状態]
「特定遊技状態」に係る説明に戻り、最初に図6に示す特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)への移行は、図6の(1)、(8)、(12)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(1)、(8)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(8)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態1から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態1へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(2)、(7)、(11)のように遷移する。これら(2)、(7)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態1でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(2)のみ)が挙げられる。なお、「遊技回数」とは、一例として「特別図柄抽選の実行回数」のことを指す。また、「遊技回数」は、「変動回数」や「作動回数」との言い換えることもある。以降は、「遊技」と「変動」、「遊技回数」と「変動回数」と「作動回数」を同義の言葉として用いる。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」の双方が作動した状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されており、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行うことで容易に普通図柄抽選および特別図柄抽選を受けられる。また、前提とするぱちんこ遊技機Pは、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)において、前述した「時短状態」にも制御されようになっている。
より詳細に遊技の進行に関して説明すると、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)となった場合、遊技者は遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射し、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)させることを第1の手順として行い、普図作動ゲート装置P740への入球(通過)により、主制御基板P40において普通図柄抽選を受ける。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)における普通図柄抽選は、普図確変機能の作動により高確率(約1/1)で当りとなるため、普図作動ゲート装置P740へ遊技球が1球入球(通過)すると、1回の普通電動役物P770の作動が発生する。普通電動役物P770が作動すると、前提とするぱちんこ遊技機Pでは第2特別図柄に係る特別図柄抽選の契機となる第2始動入賞口P721が入球容易状態となり、遊技者は続く第2の手順として第2始動入賞口P721へ向けて遊技球を発射する。第2始動入賞口P721へ遊技球が入球した場合、検出情報が主制御基板P40に入力され、第2特別図柄に係る特別図柄抽選が実行され、特別遊技(大当り、小当り)の実行権利の獲得に係る抽選が実行される。
特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。小当り遊技の獲得の場合は、特定遊技状態が終了しないものとすることが多いが、遊技機の仕様によっては、小当り遊技の獲得(又は複数回の小当り遊技の獲得、特定の種類の小当り遊技の獲得)によって終了するように設計される場合もある。特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
[特定遊技状態2:高確率/高ベース状態]
次に図6に示す特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)への移行は、図6の(3)、(7)、(9)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(3)、(7)、(9)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得することである。図示はしていないが、特定遊技状態2から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態2へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(4)、(8)、(10)のように遷移する。これら(4)、(8)、(10)の遊技状態遷移条件としては、(イ)特定遊技状態2でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(ウ)所定遊技回数が経過することが挙げられる。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に対し、さらに「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」である点で相違する。特定遊技状態2における遊技の進行および遊技の方法としては、特定遊技状態1と同様であり、遊技者にとっては特別図柄抽選において大当りの当選確率が高い分より早期に大当りを獲得し得る点で相違する。
特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態2は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)や、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行する。
[特定遊技状態3:高確率/低ベース状態]
続いて図6に示す特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)における遊技の進行及び遊技方法に関する説明を行う。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)への移行は、図6の(5)、(10)、(11)に示す遊技状態遷移により移行する。図6の(5)、(10)、(11)の遊技状態遷移条件としては、(ア)それぞれの状態で大当り遊技を獲得すること、(イ)所定遊技回数が経過すること(※(10)のみ)などがある。図示はしていないが、特定遊技状態3から大当り遊技を経由して再び特定遊技状態3へ移行する場合も有する。一方で特別遊技状態が終了する条件を満たした場合、図6の(6)、(9)、(12)のように遷移する。これら(6)、(9)、(12)の遊技状態遷移条件としては、(ウ)特定遊技状態3でそれぞれの遊技状態に移行することとなる種類の大当り遊技を獲得すること、(エ)所定遊技回数が経過すること(※(6)のみ)が挙げられる。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)へ移行すると、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、「確率変動機能」が作動した「高確率(状態)」となり、特定遊技状態1および特定遊技状態2とは異なり「電チューサポート機能」、「変動時間短縮機能」は作動していない状態となる。前提とするぱちんこ遊技機Pの遊技盤P5における各入賞装置の配置構成では、遊技領域の右側領域P501(右打ち領域)に普図作動ゲート装置P740、および普通電動役物に係る第2始動入賞口P721が配置されているが、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)において遊技者が遊技領域の右側領域P501R(右打ち領域)に遊技球を発射する「右打ち」を行ったとしても普通図柄抽選にて当りに当選する確率は低く、右打ちを行う優位性が存在しない。
そのため、遊技者は遊技領域の左側領域P501L(左打ち領域)に遊技球を発射する「左打ち」にて遊技を進めることとなり、高確率状態であるため特別図柄抽選にて大当りとなる確率が高いため早期に大当り遊技が獲得できること以外は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技方法、遊技進行となる。
特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、当該状態に移行することとなった遊技状態遷移条件(例えば、大当りの実行であれば実行された大当りの種類、等)によって予め定められた遊技回数(特別図柄抽選を受けた回数)が経過するか、新たに大当り遊技を獲得することによって終了する(なお、大当り遊技後に再び本状態に移行する場合を有する)。特定遊技状態3は小当り遊技の獲得の場合は終了しないものとするのが一般的である。特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が遊技回数によって終了する場合は、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)へ移行する。
なお、特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)は、前提とするぱちんこ遊技機Pとして記載した図6の盤面配置構成とは異なり、右側領域P501R(右打ち領域)に普通電動役物P770を有しないタイプの第3始動入賞口を配置し、「時短状態」を作動させることにより、短時間に多くの特別図柄抽選が受けられるように構成するなど、遊技盤上の入賞装置の配置構成及び時短状態の制御によっては「右打ち」が推奨される遊技状態となる場合も有する。
以上で説明したように、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、複数の遊技状態によって遊技進行が行われるものであるが、前述した全ての遊技状態を必ずしも備える必要はない。そこで、複数の遊技状態の組合せ等によって構成される遊技機仕様のうち、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用可能な遊技機仕様(「スペック」と称することがある)を以下に例示する。
代表的な遊技機仕様(「スペック」)に関し、特別図柄抽選の確率変動機能の作動に係る遊技機仕様の種類の一例としては、「(次回まで)確変」、「ST(回数切り確変)」、「V確変(「球確」、「アタックラウンドシステム」ともいう)」、「潜伏確変」を採用可能である。この確率変動機能の差による遊技機仕様の違いを、「本遊技機は『○○機(例:ST機)』である」などと表現することがある。また、確率変動機能を有しない遊技機において、小当り遊技中に大入賞口P751内部の特定領域P760を通過することにより、その後役物連続作動装置が作動する(すなわち大当り遊技に移行する)こととなる「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様なども存在する。
[(次回まで)確変]
まず始めに「(次回まで)確変」について説明する。「次回まで確変」は、一般的には、ぱちんこ遊技機Pに備わった複数の特定遊技状態の中で、前述した特定遊技状態の内の最も有利とする遊技状態として、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。換言すると、「次回まで確変」の遊技機は、次回の大当り遊技の権利を獲得するまでは特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が継続し、図柄変動回数などによっては終了しないよう構成されている。
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、「特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)が次回の大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続するぱちんこ遊技機」においても、確率変動機能が次回大当りまで継続するという意味で「次回まで確変」と呼称する場合もあるが、ベース状態が「低ベース状態」であり、電チューサポート機能に関して通常遊技状態(低確率/低ベース状態)と同様の遊技が求められる場合があるため、このように電チューサポート機能が作動していない次回まで確変であることから「潜伏確変」と切り分けて表現する。
[ST(回数切り確変)]
続いて「ST(回数切り確変)」について説明する。「ST」は、「Special Time」の略語であり、一般的には、「特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が予め定められた回数の特別図柄抽選を行う(予め定められた回数の図柄変動が実行される)か、大当り遊技の権利を獲得するまでの間継続することとなるぱちんこ遊技機」についての遊技機仕様を示す。
なお、大当りの種類によっては、特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)や特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に制御される場合を有していてもよい。また、前述した「次回まで確変」と同様に、遊技状態が特定遊技状態3(高確率/低ベース状態)に予め定められた回数の特別図柄抽選を行うか、大当り遊技の権利を獲得するまで制御されることとなる場合について、「潜伏確変(潜伏ST)」と称する状態を有するように構成することも可能である。
また、「ST(回数切り確変)」であっても、遊技状態がSTに制御される期間を、特別図柄抽選の抽選が「10000回行われるまで」とする場合など、高確率状態で実質的に次回までの大当りが保証されているといえる遊技機仕様であれば「次回まで確変」と表現する場合もある。
ここまで述べたように、「次回まで確変」と「ST(回数切り確変)」は、特別図柄抽選の確率変動機能の終期が異なる点で、遊技機仕様としての「確変状態」を区別するものである。一方で以下に説明する「V確変(「球確」「アタックラウンドシステム」)」のように、特定遊技状態における特別図柄抽選の確率変動機能の作動の有無、すなわち確率変動機能の実行開始に関し、特殊な条件を必要することで遊技機仕様(「スペック」)を表現する場合もある。
[V確変]
続いて、「V確変」と呼ばれる遊技機仕様に関して説明する。「V確変」は、遊技状態が特定遊技状態へ移行する前の大当り遊技中において、大入賞口P751内に設けられた「特定領域P750」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)に対し、予め定められた条件下(特定の大当りラウンドの実行中など)で遊技球の通過(「V入賞」)が検出された場合に、大当り遊技後に確率変動機能の作動を伴う特定遊技状態(特定遊技状態1や特定遊技状態3)へ移行させる制御を行うぱちんこ遊技機の遊技機仕様を示す。「V確変」に使用する「特定領域」に関し、特に「確率変動機能作動領域」と称する場合もある。
前述したように「V確変」は、確率変動機能の作動有無が大当り遊技中の遊技結果に依存する(遊技球が特定領域P760を通過するか否かに依存する)ことを示す遊技機仕様であり、作動した確率変動機能が、先に説明した「次回まで確変」と同等制御にて終了するか、「ST」と同等の制御にて終了するかの際によって「V確変(V-ループ)」や「V-ST」と異なる遊技機仕様を示す表現が用いられる。
なお、遊技機仕様として「V確変」を採用するぱちんこ遊技機Pにおいては、大当り遊技中においてV入賞しなかった場合においては、大当り遊技後に確率変動機能が作動せず、通常遊技状態や特定遊技状態1(低確率/高ベース状態)に制御される。また、このようにV入賞した場合としなかった場合とで大当り遊技後に確率変動機能の作動する遊技状態となるか否かを切り替えるとともに、同時に電チューサポート機能の作動態様についても変更可能である。一例として「V確変(V-ループ)」機では、V入賞した場合、確率変動機能および電チューサポート機能が次回大当りを獲得するまで継続し、V入賞しなかった場合、確率変動機能は作動せず、電チューサポート機能も特別図柄抽選が100回行われるまでに制限されるようにすることが挙げられる。
[小当りV]
次に、確率変動機能を持たずに大当り獲得に関して遊技者に有利な遊技状態を提供しうる遊技機仕様として「小当りV」と呼ばれる遊技機仕様(スペック)に関して説明する。
「小当りV」は、特別図柄抽選の結果が小当りとなった際に実行される小当り遊技中(特別電動役物の作動中)に、大入賞口P751内部に設けられた「特定領域P760」(「Vゾーン」、「V領域」などと称することがある)を通過した場合に、小当り遊技に続いて役物連続作動装置を作動させる、すなわち大当り遊技を開始する遊技機仕様である。言い換えると、小当り中に特定領域P760を通過させることによって、特別図柄抽選の結果として大当りとなる結果を獲得することなく大当り遊技を獲得することができる遊技機仕様である。
「小当りV」は特別図柄抽選の結果として役物連続作動装置や特別電動役物を作動させる「1種(ぱちんこ)」の遊技性に、役物連続作動装置非作動中の特別電動役物作動中(大入賞口P751の開放中)において特定領域P760を通過した場合に役物連続作動装置を作動させる仕様であり、「1種小当りV」と表す場合もある一方、従来のぱちんこ遊技機におけるいわゆる「2種ぱちんこ」の遊技機仕様に近い遊技性を有していることから「1種2種混合機」などと表現される場合を有する。
一般的に「小当りV」を遊技機仕様として採用するぱちんこ遊技機においては、確変機能(確率変動機能)を有さず、電チューサポート機能の有無によって有利度合いを変更させる。すなわち、電チューサポート機能が作動した場合に入賞しやすくなる普通電動役物P770に係る入賞口を小当りに当選しやすい特別図柄(例えば1/2で小当りに当選する)の変動契機となる始動入賞口で構成することで、電チューサポート機能が作動している状況下では小当りに当選しやすく、小当り遊技中のV入賞で大当りを狙うことを可能とする。このようにすることで、確変機能のように大当りとなる乱数値範囲を増やすのではなく、小当りにより大当りの獲得可能性を増やす遊技性となっている。
[その他の遊技機仕様(スペック)]
以上に記載した、遊技機仕様は代表的なものであり、その他にも特徴的な遊技機仕様がいくつか知られているため、それらに関して以下に簡易的に説明を行う。
(リミッタ)
「リミッタ」は、確率変動機能や電チューサポート機能が作動する特定遊技状態が、大当り遊技の実行を挟んで繰り返し行われる状態(いわゆる「連荘」状態)が発生した場合であって、予め定められた繰り返し回数(連荘回数)に到達した場合に、本来確率変動機能や電チューサポート機能が作動するはずの大当り遊技が実行された場合であっても、確率変動機能あるいは電チューサポート機能の作動を制限する機能である。リミッタ機能として「確率変動機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「確変リミッタ」と呼び、「電チューサポート機能」を連続回数に基づいて制限する機能を「時短リミッタ(電サポリミッタ)」と呼ぶ。そして、リミッタ機能を備える遊技機を「リミッタ機」と呼称する。
(転落)
「転落」は、特別図柄抽選の確率変動機能が作動している期間において、特別図柄抽選が行われる度に、確率変動機能を終了させるか否かを決定する「転落抽選」を実行する遊技機仕様を示す。確率変動機能とともに電チューサポート機能が作動している状況において、転落抽選に当選した場合は、確率変動機能の終了に合わせて電チューサポート機能の作動が終了する場合や、確率変動機能のみが終了し電チューサポート機能の作動は継続する場合とがある。
なお、上述した遊技機仕様は複数組合せることが可能であり、例えば、「ST」と「転落」を組合せた場合には、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)である場合に、(1)転落抽選に当選した、(2)予め定められた回数の特別図柄抽選を行った、(3)大当り遊技の権利を獲得した、のいずれかを充足した場合に、特定遊技状態2(高確率/高ベース状態)が終了する(他の遊技状態に移行する)こととなる。
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技の進行を司る主制御基板P40の制御に関する説明を行う。なお、本実施形態に説明する前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、前述した遊技機仕様(スペック)として、「ST(回数切り確変)」を採用しているぱちんこ遊技機を前提として説明を行う。なお、実施形態の説明において、図中の処理ステップを示す「P-s〇〇」の表記は、本文中において「ステップ〇〇」と表記して説明を行う。
[主制御基板の電源投入処理(主制御基板メインループ処理)]
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40は、ぱちんこ遊技機Pの電源が投入されることにより、最初に電源投入処理(ステップ1000)を実行する。ここで、電源投入処理について図7に沿ってその詳細を説明する。
前提とするぱちんこ遊技機Pの主制御基板P40において電源投入処理が開始されると、主制御基板P40上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定が行われる(ステップ1002)。初期設定は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛する。
CPU初期設定が終了すると、続いて入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)を実行し、これらの処理内容を受けて遊技停止状態設定処理(ステップ1008)に関する処理を行う。
より詳細に説明すると、入力ポート確認処理(ステップ1004)は、ぱちんこ遊技機Pの特別図柄抽選の有利度合い(特に役物連続作動装置の作動確率、すなわち大当り確率)を変更するための「設定値」を変更可能な「設定変更処理」を行う状態であるか否かのフラグ、「設定値」を確認するための「設定確認処理」を行う状態であるか否かのフラグについて、当該処理の後に行われる遊技停止状態設定処理で成立させるか否か(オンにするか否か)を決定するための情報を生成する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、枠開放スイッチP131(前枠が外枠に対して開放していることを検出するスイッチ)の検出状況、ラムクリアスイッチP48が遊技者に操作されているかの検出状況、設定キースイッチP49が回転操作されているかの検出状況を示すデータを含むデータを1バイトデータとして生成する。
続く電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)では、前回電源を切ったとき、ぱちんこ遊技機Pが正常に電源断を行い、電源断が発生したときの遊技状態に係る制御データを正常に主制御基板P40のCPUの記憶領域に正常に退避、記憶しているかを確認する処理であり、正常なデータでない場合には、エラーとして後述する遊技停止状態設定処理(ステップ1008)にて遊技を停止するようにするフラグを立てる(オンにする)処理である。
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)は、電源投入処理における処理が終了し、遊技を開始すべくメインループ処理に移行した後、実際に遊技者が遊技できる状況としないためのフラグを設定する処理であり、入力ポートの確認処理(ステップ1004)と電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果に基づいて、「設定変更状態」、「設定確認状態」、「復帰不可能エラー状態」のいずれかの遊技進行不許可状態へ移行させるフラグを立てる処理である。「遊技停止状態設定処理」の詳細は図8に記載しており、図8の記載に基づいて説明を行う。
遊技停止状態設定処理では、まず枠開放中であるかを、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータを基に判断する(ステップ1100)。電源投入時にぱちんこ遊技機Pの前枠P2が外枠P1に対して開放した状態であれば(ステップ1100でYESとなる状況)、1バイトデータの特定のビットが「1」となっている状況であるため、続くステップ1102の処理を省略する。一方で、ぱちんこ遊技機の電源投入時に枠開放中でない場合は、設定変更処理を実行するための必須操作の一部が充足していないとし、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータから設定キースイッチの操作情報をオフデータにとなるように演算する。なお、不図示であるが、ステップ1102でYESとなる場合、NOとなる場合のいずれにおいても、1バイトデータ中から枠開放中のビットもオフデータとなるように演算される。
続くステップ1104では、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータが「設定変更操作あり」と判断可能な情報となっているか否かを判断する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは「設定変更操作あり」と判断される状況は、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)であり、(2)設定キースイッチP49がオンであり(回転操作されている)、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、の3つの状態を必要としている。前述したように1バイトデータの内、枠開放スイッチP131の情報はオフに設定されており、(2)(3)の双方を満たすか否かを本ステップにて判断している。例えば特定の2つのビットデータが「1」である場合に設定変更操作ありと判断する(なお、2つのスイッチがオンであることを示すアクティブデータが必ずしも「1」である必要はなく、いずれか1つのデータが「0」であってもよい)。そして、設定変更操作があったと判断した場合、すなわちステップ1104でYESと判断した場合には、遊技停止状態フラグとして「設定変更中」を示すデータを記憶し、遊技停止状態設定処理を終了する(ステップ1106、ステップ1118)。一方、ステップ1104でNOと判断した場合には続くステップ1108の処理へ移行する。なお、主制御基板P40のラム(RAM=Random Access Memory)に記憶されている設定値情報が異常データである場合(復帰不可能エラー状態からの復帰操作である場合)には、初期設定値として設定値「1」に対応するデータを、設定値を記憶する領域にセットする(ステップ1118)。
次にステップ1108において、遊技停止エラーの発生の判断を行う。遊技停止エラーは、例えばチェックサム異常(ラム異常)や、設定値異常など、遊技の進行を行うことができない状況に陥ったときに、ラムクリアおよび設定値の設定(変更)処理を要する場合のエラーのことを指す。ステップ1108の判断は、電源断情報確認/チェックサム処理(ステップ1006)の処理結果や、前回の電源断処理時に記憶しているエラー情報を基に遊技停止状態として設定すべきか否かを判断する。エラー状態とすべきと判断した場合(ステップ1108でYESと判断した場合)には、遊技停止状態フラグを「復帰不可能エラー状態」として遊技停止状態設定処理を終了し(ステップ1110、ステップ1118)、エラーが発生していないと判断した場合には続くステップ1112の処理へ移行する。
続くステップ1112においては、ラムクリアスイッチP48の操作の有無を判断する。遊技停止状態設定処理において、当該ステップまで進行する場合の状態として、
(ア)設定確認状態へ移行する操作が行われているとき、換言すると、「設定変更操作あり」の判断の内、(1)枠開放スイッチP131がオン(電源投入時に枠開放中)である、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足し、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足していないとき、
(イ)データクリアのためのラムクリア操作が行われたとき、換言すると、(2)設定キースイッチP49がオンである、を充足しておらず、(3)ラムクリアスイッチP48がオンである、を充足しているとき、
(ウ)「設定変更操作」、「設定確認操作」、「ラムクリア操作」などの操作が何ら行われず電源を投入したとき、
のいずれかの状況である。そして、これらの状態において入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、(ア)設定キースイッチP49のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(イ)ラムクリアスイッチP48の操作検出状態のオンオフを示すビットデータが「1(オンデータ)」、(ウ)1バイトデータが全てオフデータ(例えば全ビット「0」)のいずれかの状況である。
そして、ステップ1112においてラムクリアスイッチP48の操作があったか否かを判断し、ラムクリア操作があった場合(ステップ1112でYESと判断する場合)には、ぱちんこ遊技機は、ラムクリアをしたのち遊技可能状態へ移行させるため、遊技停止状態フラグをクリアする処理を行う(ステップ1114)。一方、ラムクリア操作がなされた状況以外では、現在の1バイトデータをそのまま設定することとなり、この時、遊技停止状態フラグは「設定確認状態」へ移行する操作がなされているときは(ステップ1112でNOと判断する場合)、設定キースイッチP49の操作状況を示すビットデータが「1」となっており、遊技停止状態フラグを示す1バイトデータに「設定確認中」を示すデータとして記憶される(ステップ1118)。また、ラムクリア操作も設定確認状態への移行操作もない場合には、入力ポートの確認処理(ステップ1004)で生成した1バイトデータは、もともと遊技停止状態フラグとして遊技停止なしを示すデータであり、遊技停止なし情報としてセットされる。
「遊技停止状態設定処理」(ステップ1008)にて設定された遊技停止状態フラグについて、何らかの停止状態を示す値が記憶されている場合は、電源投入処理(ステップ1000)における遊技許容状態であるメインループ(ステップ1028~ステップ1036)への移行後に実行される遊技進行制御の主体となる割込み処理(ステップ2000)において、停止状態を示す値が参照され、「基本遊技進行」として記載した遊技の進行ができない状態となるが、これらの制御については後述する割込み処理の説明において記載する。
図7の電源投入処理の説明に戻り、続く処理を説明する。遊技停止状態設定処理(ステップ1008)が終了すると、ラムクリア操作があったか否かを判断する(ステップ1010)。ラムクリア操作は、ぱちんこ遊技機Pの電源投入時にラムクリアスイッチP48が操作されることである。なお、設定キースイッチP49がオフの場合にもオンの場合にも本処理は実行される。ステップ1010においてラムクリア操作ありと判断した場合には、主制御基板P40のラムの記憶領域より、予め定められた部分の記憶領域を初期化する。
続くステップ1014からステップ1020の処理では、電源投入時に主制御基板P40から演出制御基板P41に対して遊技機の状態を認識させるための演出制御コマンド(演出コマンド)をセットする処理を行う。より詳細には、ステップ1014において、前回電源が切断したとき(電源断が発生したとき)において未送信となっていた演出制御コマンドを記憶領域からクリアする処理を行う。そして、ステップ1016において電源投入後に復帰した主制御基板P40の現在の遊技状態に関する情報を演出制御コマンドとして生成し、ステップ1018において遊技停止状態でないと判断した場合には、ステップ1020において、生成した復帰した遊技状態を示す演出制御コマンドを演出制御コマンドの送信データを記憶する領域にセットする。
電源投入時における演出制御コマンドのセットに係る処理が終了すると、大入賞口P751(特別電動役物P755)や普通電動役物P770を電源断発生前の状態に戻すべく、必要なデータ(駆動信号)を特別電動役物駆動手段P70および普通電動役物駆動手段P71に対して出力ポートから出力する。(ステップ1022)
そして、電源投入処理におけるステップ1022までの処理が終了すると、主制御基板P40のCPUに対して、割込み処理時間の発生間隔を設定する処理を行う(ステップ1024)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する割込み処理(図9、ステップ2000)を実行する間隔を4ms(ミリ秒)としている。本処理が終了すると、遊技者が遊技可能な状態であるメインループと呼ばれる循環処理に移行し、電源断が発生するまでメインループ中の循環処理の実行を繰り返す。
(メインループ)
主制御基板のメインループの処理は、図7に示すように、まずステップ1026にて割込み処理の発生を禁止する処理を行い、メインループの処理が完了するまで(ステップ1036にて割込みを許可するまで)割込み処理の実行を制限する。
割込みが禁止されると、続くステップ1028では、ウォッチドッグタイマと呼ばれる主制御基板P40のCPUの暴走(処理がループしてしまったりして、進まなくなってしまう状況など)の発生を監視するための計時情報を記憶している領域をクリア(初期化)する。
そしてステップ1030では、電源断が発生しているか(例えば電源基板P44から電圧が低下したことに基づいて送られる電源断信号が主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力されているか)を判断し、電源断が発生している状況であれば、現在の遊技状態を記憶し、電源断情報およびチェックサム情報を記憶して主制御基板P40のCPUとしての処理を停止する電源断処理(ステップ1032)を実行する。電源断が発生していない状況であれば続く処理へ移行する。
ステップ1034では、特別図柄抽選に使用する乱数や、普通図柄抽選に使用する乱数値を更新する処理を行う。なお、これらの乱数値の更新は後述する割込み処理において更新するものもあり、割込み処理においてのみ乱数が更新されることで乱数更新周期が一定になってしまうことを防止するための処理である。なお、割込み処理において、不定期に実行されるような処理があれば、それらの処理に合わせて乱数値を更新するなどの手法を採用することにより、乱数更新周期の一定化を防止することもできるため、メインループ内に乱数更新処理を設けることは必須ではない。
ステップ1036はメインループ中の最後の処理であり、割込みを許可する処理を行う。直後にメインループ中の最初の処理であるステップ1026の割込み禁止に戻ることになるが、割込み許可を行うステップ1036の処理が行われたときに、割込み実行周期(前回割込み処理の発生から4ms経過した状態)を示す入力が主制御基板P40のCPUにあれば、後述する割込み処理が実行されることとなる。
[割込み処理]
続いて主制御基板P40のCPUで行われる割込み処理(「タイマ割込み処理」とも呼ぶ)について図9を参照しながら説明する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、割込み処理(ステップ2000)により遊技の進行に関する大部分が制御されており、遊技機仕様(スペック)によって変更可能に設けられたサブモジュールプログラムを、汎用的に一定の順序で読みだして制御するように構成されている。それらのサブモジュールに関する処理を以下に簡易的に説明する。
(ウォッチドッグタイマクリア)
割込み処理の最初には、ウォッチドッグタイマクリアの処理が設けられている。本処理は、前述した主制御基板P40のCPUが実行するメインループ処理(図7、ステップ1026~ステップ1036)におけるウォッチドッグタイマクリア処理と同じ処理である。(ステップ2002)
(入力ポート確認処理)
入力ポート確認処理は、主制御基板P40のCPUの入力ポートに入力される情報を確認することにより、以降の処理において判断に必要な情報としての入力情報があったか否かを識別可能とする情報を生成する処理である。(ステップ2004)
入力ポートに入力される情報としては、ラムクリアスイッチP48や設定キースイッチP49の操作状況を示す入力信号や、ハンドルP204の操作状況(タッチ有無)を示す入力信号等の人為的な操作に係る入力信号、特図1始動口スイッチP712や大入賞口スイッチP752等の遊技球の検出による遊技結果を示す入力信号、磁気センサP73やドア開放センサP131、振動検知センサP72など不正監視のために設けられたセンサの検出状況を示す入力信号などがある。
入力ポート確認処理では、これらの入力ポートの入力信号を10μs(マイクロ秒)で3回読み込み、全ての読み込みで同一データ(同一ビット)となったデータを今回割込みにおける入力データ(「レベルデータ」という)として主制御基板P40のラムに記憶する。なお、3回読み込んだデータのうち全ての読み込みで同一データとならなかった部分については、前回の割込み処理(4ms前の割込み処理)において確定したデータをレベルデータとして採用することとなり、すなわち今回割込みにおいて正常にデータが読み取れなかった場合は前回割込みで記憶したデータを更新しないこととなる。
そして今回割込みにおける入力データ(レベルデータ)が確定すると、前回割込みにおける入力データとの比較演算を行い、「立ち上がりデータ」(入力データがオフからオンに変わったビットを特定するデータ)を生成し、今回割込みでオン入力に切り替わったスイッチを特定するデータを記憶する。
(乱数更新処理)
乱数更新処理は、特別図柄抽選に係る当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数や、普通図柄抽選の普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数などの各種乱数の内、ソフト的に更新される乱数値であるいわゆるソフト乱数を更新する処理である(ステップ2006)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選や普通図柄抽選に使用する乱数は、乱数生成回路にて回路上の更新周期にて乱数を更新するものと、ソフト的な周期で更新されるものを有する仕様としており、それらを組合せることで、乱数取得時の各種乱数のランダム性を保つように構成している。
乱数更新処理においては、前述したようにソフト乱数を更新する処理を行うものであるが、更新の方法としては、
(ア)乱数をインクリメント(+1)あるいはデクリメント(-1)して更新し、乱数範囲の上限(又は下限)を超えた場合に下限値(または上限値)とするもの、
(イ)乱数に対して任意の素数を減算(または加算)し、乱数範囲を超える場合に乱数範囲+1(または乱数範囲-1)の値を加算(または減算)するもの、
(ウ)初期値として設定した乱数からインクリメント(またはデクリメント)を繰り返し、1周期の更新が終わった場合に、別途更新している「初期値乱数」を新たな初期値として設定し同様の更新を繰り返すもの(初期値更新型乱数ともいう)、
といった各種の更新方法が例示できる。なお、本実施例に例示したものに限らず更新方法は乱数のランダム性が保てる手法であれば、どのような手法を採用してもよい。
(設定制御処理)
設定制御処理は、主制御基板P40のCPUにおける電源投入処理(図7参照)中で設定した遊技停止フラグが「設定変更中」、または「設定確認中」である場合の処理を行う。(ステップ2008)
設定制御処理では、最初に電源投入処理中にて遊技停止フラグとして格納したデータの設定キー操作中を示すビットデータがオンデータであるか否かを判定し、オンデータでない、すなわちぱちんこ遊技機の電源投入時に設定キーがオン操作されていなかった場合、本処理を抜けるように構成されている。
一方で、遊技停止フラグ中の設定キー操作中を示すビットデータがオンデータである場合には、「設定変更中」、「設定確認中」を終了させるか否かを判定するため、現在の割込み処理における設定キースイッチP49の入力情報(前述した入力ポート確認処理にて生成)を参照し、設定キースイッチP49がオフとなった場合に遊技停止フラグをクリアし、遊技可能な状態とした後、「設定変更状態」、「設定確認状態」のいずれからの復帰であるかに応じて、演出制御基板に演出を復帰(または開始)させるための演出制御コマンドを設定する。
また、電源投入処理(図7参照)において、遊技停止フラグが「設定変更中」である場合、設定キースイッチP49がオフとなるまでの期間において、本割込みタイミングにおける「設定変更スイッチ」の役割を果たすラムクリアスイッチP48(設定値を変更するために操作するスイッチ)の操作状況を確認する。遊技停止フラグが「設定変更中」の時、今回割込みにおいて、設定変更スイッチP48の操作にかかる立ち上がりデータが生成されている場合において、「設定値」を予め定められた変更順序の内の次の設定値となるようデータの変更を行う。例えば、設定が1から6まで順に切り替わるような設定値データを有するぱちんこ遊技機Pであれば、設定変更スイッチ(ラムクリアスイッチP48)の操作に基づく立ち上がりデータがあるたびに、本設定制御処理において設定値を「1」増加させる処理(操作前の設定値が6のときは、次の値として1に変更)を行う。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、設定変更状態や設定確認状態における処理を割込み処理中(図9参照)に設けることによって、設定キースイッチや設定変更スイッチの操作を割込み処理の周期で監視するとともに、後述するLED出力処理にて表示装置に対しての表示データの出力を可能とし、別途割込み処理の設定ができていない電源投入処理中(図7参照)において、周期的な監視のためのプログラムを設定することを省略可能としている。なお、電源投入処理中において、設定変更や設定確認に関するスイッチの監視や表示装置の制御、設定値の更新処理を行うように構成してもよい。
(遊技停止監視処理)
遊技停止監視処理は、主制御基板のCPUがぱちんこ遊技機の電源投入時に実行した電源投入処理(図7参照)中にて生成した遊技停止フラグのデータを読みだして遊技停止中であるか否かを確認する処理である。(ステップ2010)
遊技停止監視処理において、読みだされた遊技停止フラグのデータに何らかの遊技停止情報(遊技停止フラグ)が記憶されていた場合、例えば、遊技停止フラグのデータが0でなくいずれかのビットが「1」である場合は遊技停止状態(遊技停止が必要な状態)と判断し、遊技停止中として、割込み処理中の一部の処理(図9における「タイマ減算処理(ステップ2014)」から「特別電動役物制御処理(ステップ2028)」まで)を省略する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、遊技停止が必要な状態として、すなわち遊技者が遊技をすることが不可能な状態として、「設定変更中」、「設定確認中」、「復帰不可能エラーの発生中」といった状態が例示できる。
(タイマ減算処理)
タイマ減算処理は、遊技の進行に関する時間の管理に使用されるタイマデータを更新する処理である(ステップ2014)。
タイマデータの更新処理の例として、特別図柄の変動表示が開始された場合に設定される変動表示時間の管理や、大当り遊技中の特別電動役物P755の作動時間(大入賞口P751の開放時間)などの遊技進行を契機としたタイマデータの更新処理や、球詰まりを検出する等のエラー判定のための計時処理、特別図柄表示装置P51、P52などの主制御表示装置P50におけるLEDの点灯パターンを切り替えるための切り替え時間を計時するための処理、外部情報出力端子P77等から外部機器(ホールコンピュータなど)に対する情報の出力を行う期間を計時する処理などが例示できる。
タイマ更新処理で更新されるタイマデータは、主制御基板P40の記憶領域(ラム記憶領域)に、「1バイトタイマ」、「2バイトタイマ」などのタイマデータの種類ごとに分けられて、連続した記憶領域にそれぞれ記憶されている。
タイマ更新処理では、それらの個別のタイマデータの種類を記憶した記憶領域に対し、「1バイトタイマ更新処理」、「2バイトタイマ更新処理」といった処理を行い、各種タイマの時間値を更新する処理を行う。タイマの更新処理は、記憶領域に記憶されているタイマデータをデクリメント(-1)する処理を行う。なお、記憶されているタイマデータが既に「0」である場合には、処理後においても「0」となるように処理される(負の値になった場合に「0」にすることや、「0」の場合にデクリメントをしない、など)。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、1割込みの周期が4msであるため、1バイトタイマのデータである場合には、最大255回の更新(約1秒)で終了する管理対象のみが制御可能となるが、1秒以内でのみ管理される遊技情報がない場合(少ない場合)には、2バイトタイマデータのみで構成し、1バイトタイマ更新処理を有さないように構成することも可能である。また、2バイトタイマでも管理できないような時間値の管理が必要となる場合は、「3バイトタイマ」などより長時間を管理できるタイマデータを持つように構成してもよい。
(有効期間設定処理)
有効期間設定処理は、入球容易態様または入球困難態様に変化可能な入賞口(主として大入賞口P751や普通電動役物P770に係る入賞口が該当)に関し、入球容易態様に制御する期間および有効延長期間において有効期間を設定し、それ以外の期間(入賞口が入球困難態様であり有効延長期間以外のとき)について、無効期間を設定する処理である。(ステップ2016)
前提とするぱちんこ遊技機では、大入賞装置としての大入賞口P751と、普通電動役物P770が備えられている第2始動入賞装置P720である第2始動入賞口P721の入賞を有効期間として設定する処理となる。
なお、有効延長期間は大入賞口P751や普通電動役物P770が入球困難態様へ移行する直前のタイミングで入球した遊技球を有効入賞として扱うために、大入賞口P750(特別電動役物P755)や普通電動役物P770などの電動役物に対して開放制御を実行させる制御期間が経過した後においても有効期間として扱うため、電動役物の構造に応じて適宜設定される一定時間の制御期間である。
また、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)を有する場合には、特定領域P760に関する遊技球の通過に対する有効延長期間も設定されることがあり、そのような場合には、本処理において特定領域の有効期間の設定も行われる。
(入賞監視処理)
入賞監視処理は、ぱちんこ遊技機における各種入賞口(大入賞口P751、始動口P711、P721、一般入賞口P731)に対する遊技球の入賞を基に、有効入賞であるか否かを判定し、賞球や始動口入球に対する特別図柄抽選の権利の発生(保留の発生)の処理が行われる契機となる情報を生成する処理である。(ステップ2018)
処理内容としては、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータを基に予め定められた順序で各種入賞口毎に(ア)入賞の有無を検出(イ)有効期間を有する入賞口の場合は有効期間中における入賞であるかの判断、各種入賞口に対する有効入賞が発生した場合には更に、(ウ)演出制御基板P41に送信する各種入賞口毎の入賞情報をしめす演出制御コマンドの設定、(エ)各種入賞口毎の入賞に基づく動作契機の発生回数を記憶するためのカウンタ値(「入賞カウンタ」と呼ぶ)を更新する(言い換えると、各種入賞口の検出に基づく動作の内で未処理の動作の回数を記憶するカウンタ値を更新する)処理を行う。
なお、入賞監視処理においては、各種入賞口に対する入賞の発生のみでなく、アウト球を計数するために設けられたアウト球検出スイッチP792、普通図柄抽選の契機となる作動口スイッチP742や、遊技機仕様によっては特定領域P760(V領域)に対する遊技球の入球および通過についても判定するようになっており、賞球の発生や特別図柄抽選の契機の発生以外にも遊技機の動作(例えば、演出制御基板P41に対して、作動口スイッチP742や特定領域P760を通過した旨の情報を送信する処理)に必要となる遊技球の検出の有無を本処理において行う。
(作動口監視処理)
作動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、普図作動口スイッチP742の立ち上がりデータが生成されている場合に、普通図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2020)
より具体的には、普図作動口スイッチP742の検出があった場合に、普通図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
(普通図柄制御処理)
普通図柄制御処理は、普通図柄抽選、普通図柄の変動表示、普通電動役物P770の作動に係る処理を行う(ステップ2022)。これらの処理は、普通図柄ステイタスと呼ばれる普通図柄、普通電動役物の制御状態を示すデータがいずれであるかに応じて、異なるサブモジュール処理に移行して、状態に応じた制御を行う。普通図柄のステイタスとしては、「0:普通図柄待機中」、「1:普通図柄変動中」、「2:普通図柄停止表示中」、「3:普通電動役物作動中」、「4:普通電動役物終了デモ中」があり、それぞれの状態に応じた処理を行う。
《普通図柄変動開始監視制御処理》
普通図柄変動開始監視制御処理は、普通図柄ステイタスが「0:普通図柄待機中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄変動開始監視制御処理では、まず、普通図柄抽選に係る保留数が「0」であるか否かを確認する。「0」である場合には、普通図柄の変動権利は発生していないため、普通図柄制御処理を抜ける。一方、普通図柄抽選に係る保留数が「0」でない場合は、普通図柄の変動権利が発生している状態であり、普通図柄の変動開始条件を満たしていると判断して普通図柄の変動の開始に係る処理を実行する。
普通図柄の変動を開始すると判断すると、普通図柄抽選に係る保留数情報を記憶する領域より、保留数情報を-1した後、普図当否乱数、普図図柄乱数、普図変動パターン乱数をそれぞれ呼び出して普図当否抽選、普図図柄抽選、普図変動パターン抽選をそれぞれ行い、抽選結果を主制御基板の記憶領域に格納するとともに、今回使用した乱数情報をクリアし保留数情報の記憶領域を記憶した順番に処理されるようにシフトする処理を行うとともに、普通図柄ステイタスを「1:普通図柄変動中」に更新する。なお、普通図柄抽選に関しては、前述した「ベース状態」(普通図柄の確率変動機能、普通図柄の変動時間短縮機能)の作動状況に応じて異なる抽選テーブルが使用され、高ベース状態では当りとなりやすく、普通図柄の変動表示時間は短いものが決定されやすい傾向にある。
《普通図柄変動中処理》
普通図柄変動中処理は、普通図柄ステイタスが「1:普通図柄変動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄変動中処理では、普通図柄変動開始監視制御処理中にて決定した普通図柄の変動パターンに応じた普通図柄の変動表示時間が経過するまで、すなわち普通図柄の変動表示を管理するタイマ(普通図柄変動表示タイマ)がタイマ更新処理において0となるまで、普通図柄表示装置P53において、普通図柄の変動表示を実行させる処理である。
より具体的には、普通図柄変動表示タイマが0でない場合には、本処理が実行されるたびに最大値が「5」である普図表示切り替えカウンタを更新し、普図表示切り替えカウンタが「5」となるタイミングで、普通図柄表示装置P53を構成するLEDの発光パターンを指定するためのデータを格納する記憶領域に、次の発光パターンに関する情報を記憶する処理を行う。なお、普図表示切り替えカウンタは最大値である「5」となるタイミングで初期値である「0」にリセットされる。すなわち、普通図柄の変動表示は5回の割込み(4ms×5=20ms)間隔で普通図柄表示装置P53の点灯パターンが切り替えられることとなる。なお、切替間隔は適宜設定可能であり、例えば普図表示切り替えカウンタの最大値を25とすれば、25割込みに1回(100msに1回)の間隔で普通図柄表示装置P53の表示パターンが切り替えられる。
普通図柄の変動表示時間が終了する、すなわち普通図柄変動表示タイマが「0」となっている場合、本処理では普図図柄抽選で決定した普通図柄の停止表示図柄の表示パターンが主制御表示装置P50における普通図柄表示装置P53に停止表示されるよう、停止表示態様を示すLED点灯パターンを指定するためのデータを普通図柄表示装置P53のLED点灯パターンを記憶する記憶領域に格納する。そして、普通図柄の図柄固定時間(停止表示図柄を表示する時間)を普通図柄停止表示タイマに記憶するとともに、普通図柄ステイタスを「2:普通図柄停止表示中」に更新する。
《普通図柄停止表示中処理》
普通図柄停止表示中処理は、普通図柄ステイタスが「2:普通図柄停止表示中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通図柄停止表示中処理では、普通図柄変動中処理の終了時に図柄固定時間が設定された普通図柄停止表示タイマの値が「0」であるかの確認を行い、「0」となったタイミングにて、次の遊技動作に移るための設定を行う処理が行われる。
普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「当り」であった場合、当り図柄およびベース状態(普通電動役物の延長機能)の作動状態に応じて、普通電動役物P770の作動パターンを呼び出し、動作パターンを設定や、普通電動役物P770に係る入賞カウンタをクリアする等の設定をするとともに、普通図柄ステイタスを「3:普通電動役物作動中」に更新する。
一方、普通図柄停止表示タイマが「0」となったとき、今回の普通図柄抽選の結果が「はずれ」であった場合には、普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
《普通電動役物作動中処理》
普通電動役物作動中処理は、普通図柄ステイタスが「3:普通電動役物作動中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通電動役物作動中処理では、普通図柄停止表示中処理において設定された普通電動役物P770の動作パターンに基づいて、普通電動役物の開放動作(入球容易態様への変化)および閉鎖動作(入球困難態様への変化)を制御するとともに、普通電動役物の作動終了条件の成立を監視する。普通電動役物P770の作動終了は、(ア)普通電動役物の終了条件として設定された規定数の普通電動役物入賞が発生した場合、(イ)予め設定された動作パターンの動作が終了した場合(普通電動役物の開放動作期間が終了した場合)である。
普通電動役物の作動終了条件が成立すると、普通電動役物の有効延長期間を記憶するタイマ領域に、予め普通電動役物P770の構造に対応して定められた一定時間の延長期間を計時する時間をセットする。そして、普通電動役物の作動終了デモに係る時間値を普通電動役物作動終了デモタイマにセットし、普通図柄ステイタスを「4:普通電動役物終了デモ中」に設定する。
《普通電動役物作動終了デモ処理》
普通電動役物作動終了デモ処理は、普通図柄ステイタスが「4:普通電動役物終了デモ中」である場合に普通図柄制御処理より呼び出されるサブモジュール処理である。
普通電動役物作動終了デモ処理では、普通電動役物作動中処理にて設定した普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となるまで待機し、普通電動役物作動終了デモタイマが「0」となった場合に普通図柄ステイタスを「0:普通図柄待機中」に更新する処理を行う。
(始動口監視処理)
始動口監視処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したデータより、特図1始動口スイッチP712および特図2始動口スイッチP722の立ち上がりデータが生成されている場合に、特別図柄抽選に係る保留の発生に係る処理を行う。(ステップ2024)
より具体的には、特図1始動口スイッチP712および特図2始動口スイッチP722の検出があった場合に、特別図柄抽選に係る保留の数を確認して、保留数が上限に満たない場合は、新たな保留として乱数を記憶可能であるため、保留数を格納している記憶領域のデータをインクリメント(+1)して保留数情報を1個増やした後、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を乱数生成回路から取得、あるいは現在の対応するソフト乱数を取得して保留として記憶する。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄として、第1特別図柄(特図1と称することがある)と第2特別図柄(特図2と称することがある)との2種類の特別図柄を設けているため、遊技盤P5に設けられた始動口のそれぞれに対し、対応する特別図柄の保留数および始動口スイッチのデータを呼び出して、始動口毎に保留数の加算、乱数の取得の処理が行われる。
また、処理対象とする始動口が、普通電動役物に係る始動口(電チュー)で構成される場合には、前述した有効期間設定処理にて普通電動役物P770に係る始動口入賞が有効期間内に行われたか否かを判断した上で有効期間である場合には前述した処理を行う。
なお、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数を記憶する際、取得した乱数情報を事前に予告判定値テーブルを用いて、保留される各種乱数に基づく変動が実行される際の変動内容が事前に推測可能となる情報を生成し、演出制御基板P41に対して演出制御コマンドとして通知する(「事前判定コマンド」、「事前判定情報」、「先読み判定コマンド」と呼ぶ)。事前判定コマンドは、当否乱数、図柄乱数、変動パターン乱数それぞれに対して生成され、演出制御基板P41に送信されると、演出制御基板P41において、後述する「先読み演出」の実行に係る抽選に利用される。
(特別図柄制御処理)
特別図柄制御処理(ステップ2026)は、特別図柄ステイタス(「特図ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別図柄を管理するための状態情報と、特別電動役物ステイタス(「特電遊技ステイタス」ともいう)と呼ばれる特別電動役物の作動状態を管理するための状態情報とによって、特別図柄の変動開始の管理(特別図柄変動開始監視制御処理)、特別図柄変動中処理、特別図柄停止図柄表示中処理のいずれかの処理を実行する。
特別図柄ステイタスには、「0:特別図柄変動待機中」、「1:特別図柄変動中」、「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」の状態を有し、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有する。なお、遊技機仕様によっては小当りを有しない場合もあり、その場合には小当りに関連したステイタスデータを持たない。そして、これらのステイタスに基づく制御は後述する。
特別図柄制御処理は、特別図柄を複数有する場合には、予め定められた順序(優先順位)に基づいて処理が行われる。予め定められた順序として、第2特別図柄を優先して制御する処理を行い、第1特別図柄および第2特別図柄の双方の保留が存在する状況下では、第2特別図柄の変動が先に開始される(第2特別図柄が優先して変動する)よう処理される遊技機仕様について、「第2特別図柄(特図2)優先消化制御」と呼び、前提とするぱちんこ遊技機Pの実施形態に係る説明では、このタイプのものに関する処理について例示して説明する。
特別図柄制御処理では、まず、第2特別図柄の制御を行う。第2特別図柄の制御を開始すると、まず第1特別図柄の特別図柄ステイタスと、特別電動役物ステイタスの情報を参照する。特別電動役物ステイタスが大当り遊技中または小当り遊技中を示すデータの場合(特別電動役物ステイタスが「0:当り待ち中」以外のとき)、第1特別図柄が変動中でありの第1特別図柄の特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」以外の場合には、処理を行うことなく処理を完了する。
第2特別図柄の制御を実行する状況である場合には、第2特別図柄に係る制御のタイマ値を更新する処理が実行される。タイマの更新は、タイマを記憶する記憶領域のデータをデクリメント(-1)する処理にて行われ、デクリメントした結果が負の値となる場合には「0」がセットされる。そして、タイマの更新が終了すると特別図柄2に対応する特別図柄ステイタスに基づいて、後述するサブモジュール処理が呼び出され実行される。なお、割込み処理中にもタイマ減算処理を有しているが、タイマ減算処理にて更新されるタイマに特別図柄制御処理にて更新されるタイマデータは含まれておらず、特別図柄制御処理において特別図柄に係る制御のためのタイマデータを管理している。
《特別図柄変動開始監視制御処理》
特別図柄変動開始監視制御処理は、特別図柄ステイタスが「0:特別図柄変動待機中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
特別図柄変動開始監視制御処理では、対象として処理している特別図柄の保留があるか否かを確認し、保留が無ければ処理を終え、保留がある場合には続く処理が実行される。続く処理は、変動を開始する際に行われる特別図柄抽選である。特別図柄抽選は、まず設定値として格納しているデータを読みだして検査し、適切な設定値情報であるか否かを判定する。適切な設定値である場合には、遊技状態等を示す各フラグを記憶した領域のデータを参照して適宜抽選テーブルを選択し、当否抽選および図柄抽選、変動パターン抽選が実行され、抽選結果が記憶領域に格納されたのち、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」に更新される。また、特別図柄抽選によって決定された内容は、演出制御基板P41に演出制御コマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)として送信され、特別図柄の変動表示に合わせて実行される変動演出の内容の決定処理(抽選処理)のための情報として利用される。なお、特別図柄抽選に関する詳細は後述する。
《特別図柄変動中処理》
特別図柄変動中処理は、特別図柄ステイタスが「1:特別図柄変動中」である場合に移行するサブモジュール処理である。
特別図柄変動中処理では、変動パターン抽選で決定した特別図柄の変動時間が経過するまで特別図柄の変動表示時間を管理するタイマを監視するとともに、残り変動時間が「0」になるまで、毎割込み更新される特別図柄表示切替タイマ(最大値「24」)により、25割込みごとに特別図柄の変動表示を示すために特別図柄表示装置(第2特別図柄表示装置P52(特図1の制御の時は第1特別図柄表示装置P51))の点灯表示パターンの切り替え処理を行う。
特別図柄の残り変動表示時間が「0」となると、ぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンタ―やホールコンピュータなど)に対して、特別図柄の変動表示が1回実行されたことを示す外部信号を出力するための情報の設定と、特別図柄の停止表示図柄を固定表示するための図柄固定時間を設定する処理と、当否抽選、図柄抽選の結果決定された停止表示図柄を示す停止表示図柄を特別図柄表示装置P52(P51)に表示させるための点灯パターンデータの設定とを行う。そして、当否抽選結果に応じて特別図柄ステイタスを「2:はずれ図柄停止表示中」、「3:大当り図柄停止表示中」、「4:小当り図柄停止表示中」のいずれかに設定する。
《特別図柄はずれ図柄停止表示中処理》
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「2:はずれ図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄はずれ図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)の残り遊技回数を更新するとともに終了条件成立に関する確認し、遊技状態移行条件の成立時には遊技状態の移行に係る制御(フラグオフなど)を行う。
《特別図柄大当り図柄停止表示中処理》
特別図柄大当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「3:大当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、特別図柄変動中処理において設定した図柄固定時間を管理するタイマの値が「0」となったかを確認し、「0」となった場合に処理対象となっている特別図柄の特別図柄ステイタスを「0:特別図柄変動待機中」に更新するとともに、特別電動役物ステイタスを「2:大入賞口閉鎖中」に更新する。さらに、特別図柄抽選に係る遊技状態(確率変動機能、電チューサポート機能、変動時間短縮機能)を終了させるために、それぞれの残り回数情報格納領域および作動フラグ格納領域をクリアする処理を実行する。そして、大当り図柄に応じた大当り遊技を実行させるべく、大当り図柄情報より、前回大当り遊技中にデータとして使用していた各種記憶領域の情報を初期化し、大当り遊技中における特別電動役物P755の制御内容データのセットを行う。
特別図柄大当り図柄停止表示中処理では、さらに、演出制御基板P41に対して大当り遊技の演出(大当り開始デモ演出)を実行させるための演出制御コマンドを送信する処理を実行する。また、これらの処理に合わせて、主制御表示装置P50の構成要素の一つである右打ち表示灯P56(遊技領域の右側を狙って遊技球を発射させる右打ち遊技が推奨される遊技状態の時に点灯させるLED)を点灯させるための点灯パターンデータの設定も行われる。
《特別図柄小当り図柄停止表示中処理》
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄ステイタスが「4:小当り図柄停止表示中」の場合に移行する処理である。
特別図柄小当り図柄停止表示中処理は、特別図柄大当り図柄停止表示中処理と同様、図柄固定時間の終了とともに、特別電動役物P755の作動に係るデータの設定、右打ち表示灯P56の点灯に係る設定処理を行う。また、本前提技術のぱちんこ遊技機Pでは、小当り遊技の実行時(小当り図柄の停止表示)では、大当り図柄が停止したときとは異なり、特別図柄抽選に係る遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を終了させる処理を有さず、特別図柄はずれ図柄停止表示中処理の処理と同様に、それぞれの遊技状態に対して終了条件を満たしたか否かの判定結果を基に遊技状態を制御する。また、これらの処理に合わせて特別電動役物ステイタスを「5:小当り閉鎖中」に更新する。なお、遊技機仕様によっては、変形例として、小当り遊技の実行に際して、大当り図柄停止時と同様に遊技状態(高確率状態または高ベース状態)を強制的に終了させる処理を有する仕様として設計することも可能である。
以上のサブモジュール処理の内いずれかの処理が選択的に実施されると、第2特別図柄の処理に続いて第1特別図柄の処理が行われる。第1特別図柄の処理については第2特別図柄の処理と参照する情報が相違するのみ(例えば、変動開始可能かどうかについて、第1特別図柄の特別図柄ステイタスではなく第2特別図柄の特別図柄ステイタスを参照して判断するなど)でほぼ同じ処理が繰り返されるのみであるため説明を割愛する。
《入球順消化制御、並列制御》
また、前述した特別図柄制御処理の説明においては、「第2特別図柄優先消化制御」に係る処理に基づいて説明したが、本前提とするぱちんこ遊技機と異なる遊技機仕様を採用する場合にあっては、異なる処理にて特別図柄制御処理を進行することも可能である。以下にその代表的なものについて簡単に説明する。
「入球順消化制御」は、第1特別図柄および第2特別図柄のそれぞれに対応する保留情報が発生した順番に1つずつ処理される遊技機仕様である。一方の図柄の変動中に他方の変動表示が行われることは無く、ある遊技状態において第1特別図柄に対応する保留球と第2特別図柄に対応する保留球との双方の保留球の発生が見込まれる場合に採用されることが多い仕様である。
「並列制御(並列消化)」は、前述した「第2特別図柄優先消化制御」や「入球順消化」とは異なり、同時に第1特別図柄と第2特別図柄の双方の変動表示を同時に行うことができるタイプの遊技機仕様である。2つの図柄を同時に消化することができるため、単位時間当りの特別図柄抽選回数を増加させることが可能となる。なお、1の特別図柄の停止表示に伴い特別電動役物P755が作動する場合(大当り、小当りが実行される場合)、他方の図柄は強制的にはずれとして図柄を停止したり、変動表示の残り時間の減算を一時中断するような仕様が適宜採用される。一例として、1の特別図柄が大当りとなった場合には、他方の特別図柄を強制的にはずれとして停止表示する仕様や、1の特別図柄が大当りや小当りとなった場合には、他方の特別図柄の変動表示を一時中断する仕様を採用可能である。
(特別電動役物制御処理)
特別電動役物制御処理は、特別電動役物ステイタス(特電遊技ステイタスと称することがある)のデータ内容(値)によって、特別電動役物P755の作動に係るサブモジュール処理を実行し、特別電動役物の作動を管理する処理である(ステップ2028)。言い換えると、大当り遊技や小当り遊技を実行するに際して、大当り遊技、小当り遊技状態における各状態の制御を行い、大入賞口P751の開閉に係る制御を行う処理である。
前述したように、特別電動役物ステイタスには、「0:当り待ち中」、「1:特別電動役物作動中」、「2:大入賞口閉鎖中」、「3:大当り終了デモ中」、「4:小当り特電作動中」、「5:小当り閉鎖中」、「6:小当り終了デモ中」の状態を有している。
これら特別電動役物ステイタスのうち、「0:当り待ち中」のステイタス状態である場合には、遊技者の遊技によって未だ大当り遊技または小当り遊技の実行権利の獲得がなされていない状況であるため、特別電動役物制御処理は処理を行うことなく終了する。
そして、特別電動役物ステイタスが、「0:当り待ち中」以外である場合には、ステイタスに応じて後述するそれぞれの処理のいずれかが実行されることとなる。
《特別電動役物作動中処理》
特別電動役物作動中処理は、特別電動役物ステイタスが「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技(単位遊技)が実行されている状態(大入賞口P751が開放制御され得る状態)の処理である。
特別電動役物作動中処理では、まずラウンド遊技(単位遊技)の終了条件を充足したか否かを判断する処理が行われる。ラウンド遊技の終了条件としては、(ア)作動した特別電動役物に応じた規定個数(「カウント」とも呼ぶ)の入賞数が行われたか、(イ)実行される特別電動役物の作動パターンとしてセットされた開放時間(開放パターン)が終了したか、のいずれかを満たす場合に終了したものとして判断する。これらの条件を満たさない場合は、以後の処理を行うことなく今回の割込み処理における特別電動役物制御処理を終了する。なお、特別電動役物P755の作動パターン(開放パターン)の中には、複数回大入賞口P751を開閉させるパターンを有しており、これらのパターンが実行される場合には、1回のラウンド遊技中で(イ)の判断に使用するタイマが複数回「0」となる一方で、1回のラウンド遊技中の次の作動データがあるか否かを確認した上で、条件(ウ)「今回の単位遊技における次作動パターンデータなし」と判断した場合に上記(イ)を満たしたものと判断することとなる。
一方、ラウンド遊技の終了条件の上記(ア)、(イ)のいずれかを満たした場合には、続く処理として、大入賞口閉鎖時間を特別電動役物の閉鎖時間管理用タイマに記憶するとともに、特別電動役物ステイタスをインクリメントし「2:大入賞口閉鎖中」とする。そして演出制御基板P41に対し演出制御コマンドとしてラウンド遊技が終了したことを通知するためのコマンドデータをセットして終了する。
《大入賞口閉鎖中処理》
大入賞口閉鎖中処理は、特別電動役物ステイタスが「2:大入賞口閉鎖中」または「5:小当り閉鎖中」である場合に実行される処理である。本処理は、特別遊技において、いわゆるラウンド遊技とラウンド遊技との間である「ラウンド間」に制御されている状態の処理である他、大当り遊技や小当り遊技の開始時における初回ラウンドの開始前の状態である「大当り開始デモ(期間)」、「小当り開始デモ(期間)」に制御される状態のとき、あるいは最終ラウンドのラウンド遊技が終了した後に後述する当り終了デモ中処理が実行されることとなるまで待機する期間に制御されている状態のときに係る処理である。
大入賞口閉鎖中処理では、まず、特別電動役物作動中処理にて設定した大入賞口閉鎖時間が経過したか否かを判定し、閉鎖時間管理用タイマが「0」でない、すなわち閉鎖時間が経過していない場合は、今回割込みにおける特別電動役物制御処理を終了する。
大入賞口閉鎖時間が経過した場合、続いて先に作動が終了した特別電動役物P755の作動(ラウンド遊技)が、今回の当り遊技(大当り遊技、小当り遊技)における最終のラウンド遊技であったか否かを判断し、最終ラウンド遊技の終了時と、最終ラウンド以外のラウンド遊技終了時(または当り開始デモ時)とで異なる処理を実行する。なお、最終のラウンド遊技であったか否かを判断は、今回の当り遊技中に作動した特別電動役物P755の作動回数の累計データが、今回の当り遊技における特別電動役物P755の最大作動回数データを超えているか否かに基づいて判断するものであり、当り開始デモ時には特別電動役物P755の作動回数の累計データは「0」である。
大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技の終了時と判断した場合には、当りの種類(大当り、小当りを開始することとなった特別図柄の種類)に応じて当り終了デモの実行パターン(主として当り終了デモ時間データ)を読みだして設定する。そして、特別電動役物ステイタスをインクリメントし、「3:大当り終了デモ中」または「6:小当り終了デモ中」とし、演出制御基板P41に当り終了デモ演出を実行させるための演出コマンドをセットしてする。さらに、大入賞口P751の有効延長期間を設定するため有効延長期間として定められた時間値データを大入賞口P751の有効延長期間を管理するタイマに格納して終了する。
一方、大入賞口閉鎖中処理において、最終ラウンド遊技以外の終了時(または当り開始デモ時)と判断した場合には、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとして、次回のラウンド遊技が何ラウンド目であるかを識別可能とする情報(Nラウンド開始デモコマンド ※Nは整数)と、当り遊技中の推奨発射位置(前提とするぱちんこ遊技機では、遊技盤の右側領域P501R(右打ち領域))を指示するための情報(右打ちコマンド)を送信する。
そして、特別電動役物ステイタスをデクリメントして「1:特別電動役物作動中」または「4:小当り特電作動中」に更新し、ラウンド遊技中の大入賞口P751への遊技球の入賞数をカウントするためのデータ領域のデータを初期化する。そして、ラウンド遊技中の大入賞口P751の一回目の開放(またはラウンド遊技開始直後の閉鎖)に係る時間値を、ラウンド遊技における大入賞口P751(特別電動役物P755)の作動パターンデータをセットし、特別電動役物P755の累計作動回数に関する記憶領域のデータをインクリメントする。
(賞球制御処理)
賞球制御処理は、遊技盤P5に配置された入賞口に対する遊技球の入賞に対して、遊技者に賞球として遊技球を付与するための処理である。処理内容としては、次に示す3つのサブモジュール処理を実行する構成である。(ステップ2030)
《払出データ受信監視処理》
払出データ受信監視処理は、払出制御基板P43から主制御基板P40に対して送信される賞球払出の実行に係る制御コマンドの有無を確認し、送信されたコマンドを受信(記憶)する処理である。主制御基板P0は、払出制御基板P43から送信された情報を2つのレジスタ(記憶領域)に格納している。そして1のレジスタは、ステイタスレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された情報があるか、および送信された情報が正常に送信されたものであるか否かを判断するための情報が格納されている。そして他方のレジスタは、データレジスタと呼ばれ、払出制御基板P43から送信された払出制御に関する制御内容の情報が格納されており、ステイタスレジスタが異常でなければデータレジスタのデータを払出制御情報として記憶領域に記憶する。
《払出コマンド要求処理》
払出コマンド要求処理では、入賞監視処理(ステップ2018)で記憶した、各種入賞口の入賞回数データを記憶する入賞口毎の入賞カウンタデータを確認し、未払出の入賞の有無を確認する。当該確認処理は入賞口毎に予め定められた順序で確認し、1の入賞口に対して入賞カウンタのデータが「0」でないと判断した場合に、該当する入賞口の賞球数に応じて、払出制御基板P43に対して遊技球の払出を実行させるための制御コマンドを送信する処理を行う。この処理によって、複数の入賞口に対する入賞カウンタデータが「0」でない場合であっても、1割込みで払出制御基板P43に対して送信される払出制御コマンドは1つに制限される。
《払出コマンド制御処理》
払出コマンド制御処理では、正常に払出数に関する情報を払出制御基板P43が受信したか否かのチェックが行われ、この処理にて正常にコマンドを受信するか、何らかの異常で通信エラーと判断されることとなる。払出コマンド制御処理にて、コマンドの受信状況が確定する(正常に受信完了したかエラーであるか判断される)までは、払出コマンド要求処理における次の払出制御コマンドの送信は、払出コマンド要求処理および払出コマンド制御処理内でそれぞれオンオフの設定がされるフラグデータにより一時中断される。
(異常検知処理)
異常検知処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて不正検出のために設けられたセンサの情報より異常の発生有無を確認する処理である。(ステップ2032)
より具体的には、振動センサP72、磁気センサP73、電波検知センサP74、枠開放センサP131といったセンサの入力に関し、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成した入力情報を基に異常の発生している状況であるか否かについて判断する処理である。また、各種センサ以外にも電気的な接続のためのハーネスが抜去されていたり、配線上の短絡(ショート)なども検出対象として有している。
そして、いずれかの判断情報に対し異常データが存在する場合には、対応するエラーフラグをオンとするようにして記憶した後、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドとしてエラー情報を通知するコマンドをセットする。
(センサ検出判定処理)
センサ検出判定処理は、入力ポート確認処理(ステップ2004)にて生成したセンサやスイッチの検出データ(レベルデータ)より、センサやスイッチの検出が連続して行われた期間を判断し、処理を行うフラグを成立させる処理である。(ステップ2034)
センサ検出判定処理では、対象のセンサ、スイッチの検出データ情報のレベルデータがオンである場合に、対応するスイッチの連続オン入力期間をカウントするためのデータをインクリメントして更新し、各種処理の実行開始条件を満たしたか否かを判定し、条件が成立した場合に監視対象のスイッチに応じた処理が実行される。監視対象のスイッチがオンデータでなくなった場合、連続入力期間をカウントしているデータを初期化する(「0」に更新する)。
例えば、入賞口に設けられた入賞口検出スイッチにおいて連続的にスイッチがオン状態である旨を検出している場合は、球詰まりが発生していると判断して、エラー状態に制御し、演出制御コマンドとして演出制御基板P41に対しエラー報知を行わせるためのコマンド情報をセットする処理や、外部装置(ホールコンピュータ等)にエラーの発生を報知するための信号データの生成および出力要求を行う。
なお、本処理において検出対象とするスイッチは、ハンドルP204に設けられたタッチセンサスイッチや、不正検出のためのスイッチなどもあり、人為的操作によるものか電気的なノイズによるものかを判別するために一定期間のオンデータの入力が必要なセンサ等についても対象としている。
(遊技状態表示処理)
遊技状態表示処理は、主制御表示装置P50において遊技の進行に関する情報を表示するための点灯データを生成する処理である。なお、表示処理という名称であるものの、主制御表示装置P50に対する表示内容の出力は本処理ではなく後述するLED出力処理にて行っている。(ステップ2036)
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、一例としてエラー状態であることを示すエラー表示灯(状態表示灯P55)、特別図柄抽選に係る保留数を表示する特別図柄保留表示灯(特図1保留表示灯P61、特図2保留表示灯P62)、普通図柄抽選に係る保留数を表示する普通図柄保留表示灯P63などの点灯データ(点灯パターン)を生成して、LED出力処理にて出力されるデータとして格納する。
なお、遊技状態表示処理において、点灯制御されるLED表示灯に関し、点滅表示が必要な場合には、対応するLEDに関する表示切り替えカウンタの更新およびカウンタ値と閾値との比較による点灯パターンの切り替え処理が行われる。例えば、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特別図柄抽選の保留数は、最大4つまで保留可能であるものの、2つのLED表示灯で特別図柄保留表示灯が構成(特図1保留表示灯P61、特図2保留表示灯P62のそれぞれに2つずつのLEDを備える)されるため、3以上の保留数がある場合には、少なくとも1のLEDに関して連続的な点灯表示ではなく、点滅表示を行う仕様となっている。
(出力ポート出力処理)
出力ポート出力処理は、主制御基板P40に接続した遊技盤P5上の動作デバイスである電動役物や、払出制御基板P43などに遊技動作に関する信号を送信する設定を行う処理である。(ステップ2038)
より具体的には、普通図柄制御処理中や特別電動役物制御処理中に、普通電動役物ないし特別電動役物の作動パターンが設定されると、出力ポート出力処理中の処理によって、普通電動役物駆動手段P71、特別電動役物駆動手段P72(前提とするぱちんこ遊技機では、ソレノイド)に対し、各電動役物を開放動作(あるいは閉動作)させるための信号データが出力される。
また、払出制御基板P43に対しては、遊技者のハンドル操作に基づく遊技球の発射を許可あるいは禁止するための制御信号(発射許可信号)を出力ポート出力処理にて生成して出力する。発射許可信号は、払出制御基板P43との通信状態や、遊技停止を要するエラーの発生状況に応じて出力内容が設定される。
(演出制御コマンド送信処理)
演出制御コマンド送信処理は、演出制御基板P41に対し演出制御コマンドを出力する処理であり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンド送信処理においてのみ演出制御コマンドが演出制御基板P41に対して送信される仕様となっている(ステップ2040)。なお、送信する演出制御コマンドの設定に関しては、他の処理中において未送信演出制御コマンドとして所定の記憶領域に設定(セット)されるものとなっている。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、未送信の演出制御コマンドを記憶する領域として、リングバッファと呼ばれる記憶先を循環参照する記憶領域を用いている。リングバッファと呼ばれる記憶領域では、演出制御コマンドの書き込み(セット)と演出制御コマンドの読み込み(送信)とのそれぞれの処理によって更新される、「書き込みポインタ」、「読み込みポインタ」と呼ばれる次回の処理においてコマンドを書き込む記憶領域のアドレスおよびコマンドを読み込む記憶領域のアドレスを算出するための情報を用いて演出制御コマンドの書き込みおよび読み込みを実行する仕様となっている。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御コマンドの構成がコマンドの種類を示すMODEデータと、コマンドの内容を示すEVENTデータの2つのデータにより構成されている。
演出制御コマンド送信処理の具体的な処理内容の説明に戻り説明を行う。演出制御コマンド送信処理では、まず前述した書き込みポインタと読み込みポインタの情報が一致しているか否かを確認し、一致している場合は送信する演出制御コマンドはないと判断して処理を終了する。一方で、書き込みポインタと読み込みポインタのデータが一致しない場合、送信すべき演出制御コマンドが存在すると判断して次の処理へ移行する。
送信すべき演出制御コマンドがあると判断した場合、読み込みポインタのデータから算出される主制御基板P40の記憶領域のアドレスよりMODEデータおよびEVENTデータを呼び出し、それぞれ主制御基板P40のCPUにおけるレジスタに一時格納し、読み出し先のリングバッファにおける演出制御コマンドをクリアした後、読み出しポインタの値を次の処理時に使用する値に更新する。
演出制御コマンドとして、主制御基板P40のレジスタに格納されたMODEデータおよびEVENTデータは、順番に演出制御基板に送信P41されることとなる。まずMODEデータを、演出制御基板P41に対する演出制御コマンドを送信するための出力ポートである演出コマンド出力ポートにセットし、演出制御基板P41に読み取り動作を行わせるためのストローブ信号を出力する。主制御基板P40は、続いてEVENTデータを出力することとなるが、MODEデータを演出制御基板P41が受け取るまでに十分な期間を確保するため26μsの待機時間を挟む処理を行った後、MODEデータ送信時と同様に、EVENTデータの出力ポートへの設定およびストローブ信号の出力を行う。演出制御基板P41は、ストローブ信号を確認すると演出制御コマンド受信割込みを発生させ、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドを受信する。
(外部情報出力処理)
外部情報出力処理は、前提とするぱちんこ遊技機Pに接続する外部機器(データカウンターやホールコンピュータ)に対し、外部情報出力端子77より遊技状況に関する情報や、エラー発生などセキュリティに関する情報を信号として出力する処理である(ステップ2042)。外部情報出力端子77より出力される信号は、主制御基板P40の出力ポートにセットされたデータに基づいて出力され、信号出力の契機が発生した場合に一定期間のオン電位であるパルス信号を送信するものや、信号出力が終了する条件を満たすまでオン電位を出力し続けるもの等がある。
外部情報出力処理では、まず、遊技状態に関する信号を生成する。遊技状態に関する信号として、特定遊技状態の種類を識別可能とするために、前提とするぱちんこ遊技機Pでは確率変動機能の作動状態(確率状態)、電チューサポート機能の作動状態(ベース状態)に対応する情報と、特別遊技中(大当りや小当り)であることを示す情報とを参照し、各遊技状態に制御されている場合には、対応するデータが送信されるよう、外部出力データを更新する。なお、ここで例示したものに限らず、遊技機の仕様によっては、変動時間短縮機能の有無を示す情報や、特定の種類の大当りの場合であることを示す情報を基に出力信号を生成する場合があってもよい。
また外部情報出力処理で出力される出力信号として、遊技状態に係る信号のみでなく、予め定めた遊技結果の発生に基づいた情報が出力される。例えば、特別図柄の変動表示が実行され、停止表示されるたびに送信される信号(「図柄固定信号」とも呼ぶ)や、始動口スイッチ(特図1始動口スイッチP712、特図2始動口スイッチ722)や大入賞口スイッチP752など各種入賞口に対する遊技球の入球の検出がなされる度、あるいは、各種入賞口に対する入球に基づく賞球の払い出しが所定個数(例えば10個)に到達する度に、外部出力データにデータがセットされ、外部機器に対して送信される信号などがある。これらの信号は主にパルス信号で構成され、1の信号を128msのオン電位が続くパルス信号で送信するものであるが、複数回の遊技結果が連続して発生した場合には、1回のパルス信号の出力が終わった後、一定期間のオフ電位出力を挟んだ後、再度パルス信号を出力する仕様となっている。
また、外部信号出力処理では、前述した異常検知処理(ステップ2032)で確認した結果としてのエラーフラグを記憶した記憶領域のデータと、セキュリティ報知の必要なエラーの発生有無を確認するための比較データとを演算、比較してセキュリティ信号を出力する必要があると判断した場合は、外部出力データのセキュリティ信号に対応するビットをオンとするよう、出力ポートにセットする出力データを更新する。
(LED出力処理)
LED出力処理は、主制御表示装置P50を構成する複数のLEDに対し、点灯パターンを示すデータを出力して、LEDを発光させ、遊技の進行状況、遊技状態を表示するための処理である。(ステップ2044)
主制御表示装置P50を構成するLEDは、第1特別図柄表示装置P51(LED8個)、第2特別図柄表示装置P52(LED8個)、第1特別図柄保留表示灯P61(LED2個)、第2特別図柄保留表示灯P62(LED2個)、普通図柄表示装置P53(LED2個)、普通図柄保留表示灯P63(LED2個)の他、ラウンド表示灯P54、状態表示灯P55、右打ち表示灯(合計8個のLED)の計32個のLED表示部を有する。
なお、状態表示灯P55とは、複数の遊技状態に関する表示灯を一括であらわしたものであり、詳細には確率変動機能の作動有無を示す特図確変表示灯や、普通図柄の確変機能の作動有無(電チューサポート機能の作動有無)を示す普図確変表示灯、エラー状態を示すエラー表示灯などの表示灯のことを指す。
LED出力処理では、主制御表示装置における表示部の点灯データを割込み処理毎に1バイト分ずつ出力ポートにセットして主制御表示装置P50を点灯するよう構成しており、割込み処理毎に更新されるデジットカウンタという値に基づいて、今回の割込みで点灯させる主制御表示装置P50のLEDを選択し、遊技状況に応じた点灯パターンデータを選択し、表示データとしてセットして各LEDを点灯制御するようになっている。
すなわち、前提とするぱちんこ遊技機Pでは主制御表示装置P50を32個のLEDに対し、少なくとも4回の割込み処理を使って順番に点灯データを出力するダイナミック点灯方式にて主制御表示装置P50を制御している。
また、LED出力処理では、上記の主制御表示装置P50として遊技者が視認すべきLED表示以外に、遊技停止フラグが設定変更状態、設定確認状態、復帰不可能エラー状態である場合にのみ点灯制御されるLED表示の点灯制御も行っている。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいては、遊技停止フラグに何らかの遊技停止状態を示すフラグが格納されている場合、主制御表示装置P50に対する点灯パターンデータの設定は省略されるようになっており、設定変更中、設定確認中、復帰不可能エラー中は主制御表示装置を構成するLEDは全消灯状態となっている。変形例として、遊技停止フラグのセットの際に、各状態に対して設定される固定的な点灯パターンを用いて発光表示を行ってもよく、例えば設定変更中である期間に主制御表示装置P50を構成するLEDを全点灯させるように構成してもよい。
(領域外制御処理)
領域外制御処理は、ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行う試験信号出力処理(ぱちんこ遊技機の試験に利用する信号の出力を行うための処理)と、性能表示装置の表示に係る制御を行う処理によって構成される(ステップ2046)。「領域外」の意味として、ぱちんこ遊技機の規則に定めるプログラム記憶領域の容量の計算に含まれない記憶領域のプログラムによって実行される処理であることを示す。
試験信号出力処理では、ぱちんこ遊技機Pの試験端子P78から外部の試験用機器に対して出力するための遊技結果や遊技状態に係る情報を出力ポートにセットする処理が行われる。性能表示処理では、遊技状態の確認処理を行い、アウト球の計数、アウト球と賞球の数との比率(ベース)を計算して、表示データとして更新し、性能表示装置P59に対して表示出力を行う処理である。
[特別図柄抽選]
続いて、主制御基板P40のCPUにて実行される特別図柄抽選に関し、図10から図14を用いてその詳細を説明する。「特別図柄抽選」は、主として「当否抽選」、「当り図柄抽選」、「変動パターン抽選」にて構成される。
(当否抽選)
「当否抽選」は、実行される特別図柄抽選の結果に基づき特別電動役物P755を作動させる結果となるか否かを決定する抽選であり、より簡単に説明すれば、特別図柄の抽選結果として、「大当り」、「小当り」、「はずれ」のいずれであるかを決定する抽選である。なお、ぱちんこ遊技機Pの仕様によっては、当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないものも存在する。また、第1特別図柄と第2特別図柄とを有するよう構成した場合、一方の特別図柄に関する当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しており、他方の当否抽選の抽選結果として「小当り」を有しないよう構成してもよい。
当否抽選は、始動口(第1始動入賞口P711、第2始動入賞口P721など)に遊技球が入球した際に取得され記憶される乱数のうち、「当否乱数」と呼ばれる乱数値を用いて抽選を行う。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、当否乱数の取り得る乱数値の範囲(乱数値範囲)は、「0」から「65535」までの65536通りであり、いわゆる2バイト乱数で構成されている。当否抽選が行われる場合、この乱数値の値と、遊技状態や設定値に応じた当否抽選に使用する抽選テーブル(「当否抽選テーブル」と呼ぶ)との比較により、当否抽選の結果を決定する処理を行う。
図10には、当否抽選に使用する抽選テーブルをいくつか例示している。図10の(A)は設定値「1」かつ低確率状態における当否抽選テーブルを示し、図10(B)は設定値「1」かつ高確率状態における当否抽選テーブルを示す。図10の(C)、(D)は、それぞれ設定値「6」であるときの低確率状態、高確率状態における当否抽選テーブルを示している。
例えば、図10(A)の当否抽選テーブルを使用して当否抽選を実行する状況において、今回の特別図柄抽選における当否乱数が、第1特別図柄(特図1)に対応する乱数であり、乱数値が「1500」であったと仮定し、当否抽選の流れを説明する。
まず、最初の当否抽選結果として大当りの乱数値範囲(「0」から「327」)に属するか否かを判定する。具体的には、今回の当否乱数の乱数値「1500」から、判定対象の大当りの乱数値範囲「328」を減算する処理を行う。このとき、減算結果は「1172」であり、負の値とはならないため、今回の当否乱数は、大当りの乱数値範囲には属さないと判定する。
続く処理として、先の大当り判定の演算後の乱数値「1172」と、当否抽選テーブルの続く当否抽選結果の判定領域として、はずれの乱数値範囲(「328」から「65370」)の比較を行う。より具体的には、当否乱数の一次データ「1172」から、判定対象のはずれの乱数値範囲「65043」を減算する。このとき、演算結果は負の値となるため、当否抽選結果として、「はずれ」の結果に対応した情報が記憶される。
仮に、今回の当否乱数「1500」について、高確率状態において特別図柄抽選が行われた場合には、図10(B)に示す当否抽選テーブルにて抽選されることとなり、最初の大当りの乱数値範囲(「0」から「1639」)に属するか否かを判定する。このときは、当否乱数と乱数値範囲との比較演算(減算)の結果は、負の値となるため、当否抽選結果は「大当り」であると判定される。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このように、乱数値として取得したデータと、抽選テーブルの抽選結果に応じた乱数値範囲を順次比較していく手法により、抽選結果を判定する手法を採用しており、後述する当り図柄抽選および変動パターン抽選についても同様の抽選方法を採用するものである。なお、抽選方法は、上記した例に限らず、大当りとなる乱数値と一致するか否かを取得した乱数値と直接判定するような手法を採用してもよく、抽選内容ごとに異なる抽選方式を採用するものであってもよい。
(当り図柄抽選)
「当り図柄抽選」は、前述した特別図柄抽選の当否抽選結果を受けて、その後の特別電動役物P755の作動に係る制御内容や、後述する変動パターン抽選の抽選テーブル(図12から図14参照)の切り替えに必要な抽選結果としての特別図柄の停止表示図柄を決定する処理である。
図11には、当否抽選結果が「大当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される大当り図柄抽選テーブル(図11(A)参照)や、当否抽選結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選で使用される小当り図柄抽選テーブル(図11(B)参照)や、当否抽選結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選で使用されるはずれ図柄抽選テーブル(図11(C)参照)が示されている。
当り図柄抽選に使用される、「図柄乱数」は、乱数値範囲を「1000」(「0」から「999」)として構成しており、2バイトデータで表現した場合に、上位1バイトが「0」から「3」、下位1バイトが「0」から「255」で表現されるデータである。
当り図柄抽選を具体例にて説明すると、例えば、当否抽選結果が大当りである場合において、図柄乱数が「400」(上位バイトが「1」、下位バイトが「144」)の時の第1特別図柄に対する当り図柄抽選の場合には、図11(A)に示す上位1バイト「1」の抽選テーブルを用い、下位バイト「128」から「191」に該当する「5R(5ラウンド)確変2」が抽選結果として得られることとなり、特別図柄の変動表示にあたって、停止表示図柄として「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51(第2特別図柄抽選の場合は、第2特別図柄表示装置P52)に停止表示される。
そして、「5R確変2」図柄が第1特別図柄表示装置P51に停止表示された場合、「5R確変2」図柄に対応した大当り遊技が実行されることとなる。このとき、第1特別図柄表示装置に「5R確変2」が停止表示図柄として表示された場合と、「5R確変1」が停止表示図柄として表示された場合とで、5ラウンドの大当り遊技の各ラウンド遊技の内容(大入賞口P751の開放パターンや開放時間など)を停止表示図柄に基づいて異ならせてもよく、また大当り遊技後に移行する特定遊技状態における制御内容を異ならせるよう制御することも可能である。これらの大当り遊技、特定遊技状態における制御の割り当ては、ぱちんこ遊技機Pごとに仕様(スペック)に応じて遊技性を実現するために適宜定められるものであり、その詳細な説明は割愛する。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図11(A)に示した抽選によって、大当りの種類ごとにまとめた図柄を表示するように記載しているが、例えば先の例において、抽選結果「5R確変2」という、大当りの種類を決定した後、さらに該当する種別の大当りを実行することとなる停止表示図柄を複数のパターンから別の抽選を行って決定するように、大当りの種別の決定、停止表示図柄の決定と2段階で当り図柄抽選が実行されるものであってもよい。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図11(A)に示すように、第1特別図柄と第2特別図柄のそれぞれに関する特別図柄抽選において、当り図柄抽選にて大当り図柄を決定する場合に、決定され得る当り図柄の種類が異なるように構成されている。より具体的には、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄の大当りでは、「10R確変5」ないし「10R確変8」が決定される可能性が増えており、第1特別図柄の当り図柄抽選よりも、ラウンド数の大きな大当りに当選しやすく、特定遊技状態として高確率/高ベース状態へ移行することとなる大当りに当選しやすい仕様となっていると言える。
図11(B)には、小当り図柄抽選テーブルが例示されている。小当り図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「小当り」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様である。
図11(B)に図示した小当り図柄抽選テーブルでは、そのほとんどが「小当り1」図柄に当選するものとなっており、第2特別図柄の当否抽選結果として「小当り」となった場合の一部において「小当り2」が決定され得るようになっている。なお、小当り図柄に関しては1種類であってもよいし、3種類以上の図柄を決定可能に構成してもよい。
前提とするぱちんこ遊技機Pのように、小当り図柄を複数設けることの目的の一例としては、単純に小当り遊技中の大入賞口P751の開放態様を変更することで獲得可能な遊技球数を異ならせたり、例えば小当りVを遊技機仕様(スペック)として採用するぱちんこ遊技機Pにおいて、特定領域にV入賞しやすい小当り遊技とV入賞が困難となる小当り遊技とを切り分けるために小当り図柄を差別化したり、V入賞後の大当り遊技の実行後に移行する特定遊技の種類を切り分けるために小当り図柄を異ならせるなどの態様が実行されることを目的とすることが挙げられる。
図11(C)には、はずれ図柄抽選テーブルが例示されている。はずれ図柄抽選テーブルは、特別図柄抽選の当否抽選の結果が「はずれ」である場合に、当り図柄抽選にて参照されるテーブルであり、抽選の手法は、第1特別図柄に関して前述した大当り図柄抽選テーブルの時と同様であり、第2特別図柄に関しては異なる手法となっている。
より具体的には、図11(C)には、第1特別図柄に対するはずれ図柄抽選テーブルのみが表されており、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、はずれ図柄抽選テーブルとして第1特別図柄である場合のみ抽選処理を行い、停止表示図柄として「はずれ1」または「はずれ2」のいずれかを停止表示図柄として決定する。
「はずれ2」図柄は、第1特別図柄のはずれ時において、およそ6.4%の確率で当選するはずれ図柄であり、「はずれ2」が当選している場合、変動パターン抽選において、リーチとなりやすい特殊な抽選テーブル(不図示)を参照して、変動パターン(変動時間)を決定しやすくするよう構成されている。そのため「はずれ2」に関し、「リーチはずれ図柄」などと称する場合もある。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄のはずれ図柄抽選テーブルを有さず、いかなる図柄乱数である場合においても1のはずれ図柄が決定されるようになっており、図柄乱数とテーブルの比較処理自体を省略し、1のはずれ図柄を記憶するよう構成している。なお、必ず1の図柄に当選する抽選テーブルを用いてはずれ図柄に当選するように構成してもよい。
(変動パターン抽選)
「変動パターン抽選」は、特別図柄の抽選結果である停止表示図柄を停止表示するまでの変動表示時間を抽選により決定する処理である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80において大当りであるか否か、大当りである場合について大当りの種類は何かに関する演出報知を行うため必要な演出時間として特別図柄抽選において、特別図柄の変動表示時間を後述する変動パターンテーブルを使用して決定する処理を行っている。
図12には、主として通常遊技状態(低確率/低ベース中)、低ベース状態(非電チューサポート状態)、すなわち前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて遊技盤の左側領域P501Lに遊技球を発射することが推奨される状態の「低ベース中変動パターン抽選テーブル」を表している。
図12に示される、「ID」は、変動パターン抽選を行った結果として記憶される情報を表しており、「変動パターン」は、同IDが当選した場合に演出表示装置P80にて表示される変動の演出の態様の代表例を示している。「変動時間」は、対象の変動パターン抽選の結果(変動パターンID)における特別図柄の変動表示時間値であり、特別図柄が変動表示してから停止表示されるまでの時間を表している。
図12における「保1変動」から「保4変動」は、特別図柄抽選の実行条件を満たした状況における保留数を示しており、当否抽選結果が「はずれ」であり、対象の特別図柄(ここでは第1特別図柄)の保留球がN個であったとき、「保N変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。すなわち、低ベース状態における第1特別図柄の変動パターン抽選は、保留数に依存して使用する変動パターンテーブルを異ならせるように構成されている。なお、保留がない状態において、始動入賞口へ遊技球が入球した場合は、処理上一旦保留として格納されるため、「保1変動」の変動パターンテーブルを使用して変動パターン抽選が実行される。
一方図12中に示すように第2特別図柄に対応する変動パターン抽選は保留数に非依存であり、いかなる保留数である場合においても共通の抽選テーブルを使用するよう構成されている。なお、不図示ではあるが、図柄抽選の結果「はずれ2(リーチはずれ図柄)」が決定されている場合は、第1特別図柄の変動パターン抽選であっても、保留数に依存しない1の変動パターンテーブル(はずれ2用変動パターンテーブル)を使用して変動パターン抽選を行うよう構成されている。
図12における「10R確変」、「5R確変」、「10R通常」、「5R通常」は、低ベース状態における、大当り時の変動パターン抽選に使用する変動パターンテーブルを示すものであり、当否抽選結果が「大当り」となり、図柄抽選結果がいずれの図柄であるかに応じて適宜変動パターンテーブルを選択して抽選が行われることを表している。図12では、第2特別図柄は低ベース状態における遊技の主体でないために、大当り変動パターンテーブルを大当り図柄に依存しない形で決定するように表現しているが、第2特別図柄の大当りについても、大当りの種別に応じて複数パターン有していてもよい。
ここで、図12を用いて、低ベース状態における変動パターン抽選の具体例を説明する。具体例として、第1特別図柄の抽選であって、変動パターン乱数が「30000」、変動開始時の保留球数が3個である状況(変動開始後は保留数2個となる状況)であって当否抽選結果および当り図柄抽選が「はずれ1」となる状況について説明する。
まず、変動開始時の保留数が「3」であることから「保3変動」の変動パターンテーブルを使用する。抽選処理は前述した当否抽選における抽選処理と同様、変動パターン乱数と、各抽選結果の変動パターンIDに対応する乱数値範囲を比較演算(減算)し、同範囲に乱数が属するか否かを判定する。本処理を行うことによってID「2」の通常変動Bのタイミングで、変動パターン乱数と乱数値範囲との比較演算を繰り返した結果が負の値となり、同IDが変動パターン抽選として決定され、特別図柄の変動表示として7秒の変動表示が行われた後、第1特別図柄表示装置P51にはずれ図柄1が表示されることとなる。
続いて、図13を用いて高ベース状態における変動パターンテーブルについて説明する。高ベース状態における変動パターンテーブルの構成は、図12に示した低ベース状態における変動パターンテーブルと対象的な構成となっており、第2特別図柄に対して保留数依存となるはずれ時の変動パターンテーブル、大当り時の大当り図柄別テーブルを有するように構成されている。なお、図12と図13にて、多くの変動パターンが共通して決定され得るように構成されているが、これは説明を簡略化する目的でもあり、低ベース状態と高ベース状態とで決定される変動パターンの重複はごく少数であったり、全く重複しないように構成することも可能である。
また、高ベース状態における変動パターンテーブルの特徴として、はずれ時の第2特別図柄の「保3変動」および「保4変動」の抽選結果として、前提とするぱちんこ遊技機Pの最短変動時間となる2秒変動(変動パターンID「12」)が決定可能に構成されている。
さらに高ベース状態における変動パターンの特徴点として、第1特別図柄の抽選については、必ず変動パターンID「4」の10秒変動が決定されるよう構成されている。第1特別図柄を10秒の変動で構成する理由として、図11に示した大当り図柄抽選テーブルにて、大当りした場合の遊技者利益が大きい(実行ラウンドが多いことによる獲得出玉期待値が高いこと、特定遊技状態として確率変動状態に移行する大当り図柄が多いこと)ことに起因しており、第2特別図柄に対応する変動表示を優先して数多く実施することで、遊技者により有利な大当りを獲得可能とすることを目的としている。また、第1特別図柄と第2特別図柄の大当り遊技の有利度合いに差がほとんどない場合であっても、第2特別図柄優先消化制御を採用していることに基づいて、第1特別図柄が変動表示されることを避け、有利な状態である特定遊技状態(高ベース状態)が終了するまで、通常遊技状態(低ベース状態)にて成立した保留を保持しやすく、高ベース状態において第2特別図柄の保留を発生するのに使用する遊技球の量に対し、低ベース状態で第1特別図柄の保留を生起させるために多量の遊技球を要することを避ける目的もある。
図14は、限定期間における特殊テーブルを示す図であり、特定の期間において参照される特殊な変動パターンテーブルを表している。図14には、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられる特殊な変動パターンテーブルの一例として、3つの期間の特殊な変動パターンテーブルを包括して記載している。
より具体的には、図14には、大当り後の1変動目から4変動目までの期間(大当り時に存在する4つの保留で大当りとなる、いわゆる「保留連」(保留内連荘)と呼ばれる期間)に参照する「保留内連荘テーブル」(ID「51」、「71」が対象)と、大当り後のn回目からm回目の変動において参照され、55秒となるリーチ変動が選択されやすい高頻度リーチテーブル(ID「52」、「53」、「54」、「72」が対象)と、高ベース状態の最後の変動表示にて参照され、主に後述する「リザルト演出」が実行されることとなる「リザルト変動テーブル」(ID「55」、「73」が対象)が、前提とするぱちんこ遊技機Pに備えられていることが示されている。
このように、限定的な期間に参照される特殊な変動パターンテーブルのことを、「特殊変動パターンテーブル」や「限定頻度(パターンテーブル)」などと称する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、限定頻度パターンテーブルの参照期間を、大当り遊技(特別電動役物の作動、言い換えると役物連続作動装置の作動)の後の定められた期間において参照可能に構成している。これらの参照期間について、大当りの種類(大当り図柄)によって、参照有無を異ならせたりすることも可能であり、小当り遊技に基づく特別電動役物の作動後の特定の期間において、参照する期間を異ならせるように構成することも可能である。いかなる状況でどのような特殊変動パターンテーブルを参照するかは、ぱちんこ遊技機毎に適宜設定可能なものであり、例示したものに限らず、必要があればその詳細を別途の記載で説明することとする。
次に、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける演出動作に係る制御を行う演出制御基板P41の制御に関する説明を行う。なお、演出制御基板P41の動作制御は、遊技機の型式試験上における制約は少なく、主制御基板P40の制御と比較して設計の自由度が高いものであるため、以下の説明で説明される処理のみに制限されるものでなく、処理が行われるタイミングについても適宜変更可能である。
[演出制御基板の電源投入処理~メインループ処理]
前提とするぱちんこ遊技機Pは、遊技機の電源が投入されると演出制御基板P41のCPUにおいて、電源投入処理(ステップ4000)が実行する。ここで、演出制御基板P41の電源投入処理に関し図15に沿ってその詳細を説明する。
前提とするぱちんこ遊技機Pの演出制御基板P41において電源投入処理(ステップ4000)が開始されると、演出制御基板P41上に設けられた演算装置であるCPUの動作に係る初期設定処理が行われる(ステップ4002)。初期設定処理は、この後のCPUの動作に必要な設定を適宜行うものであり、その詳細は割愛するが、前回の電源断が発生した状態で実行されていた演出に関し、主制御基板P40の電源投入処理(図7)と演出制御基板の電源投入処理(図15)の完了には時間差が生じるため、電源復帰後に電断前の演出に復帰してしまうと、主制御基板P40の動作とずれが発生する恐れがあることから、演出制御基板P41の電断復帰時の初期処理では、電断前に実行していた演出が実行されないよう演出情報などを初期化することが多い(「演出制御基板リセット」、「サブリセット」と呼ぶ)。
(演出制御基板のメインループ)
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、初期設定処理の後にメインループ処理へ移行する。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出表示装置P80(画像表示装置)に対して接続する画像制御基板P42において演出画像を描画する周期(フレーム)の時間が、1秒間に30回描画するよう1周期約33ms(30FPS)に設定されるため、そのおよそ半分の周期である16msの周期にてメインループ処理のループを1回行うように構成されている(ステップ4002からステップ4016)。
演出制御基板P41のメインループ処理では、まずCPUの暴走の検出を行うためのウォッチドッグタイマのクリア処理を行う(ステップ4004)。
続いて、演出制御乱数データを更新する処理(ステップ4006)を行い、演出抽選を実行する契機が発生した場合に使用する各種の演出制御乱数を更新する。
次に、入力ポート監視処理を実行する(ステップ4008)。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、後述する演出制御基板P41の割込み処理中においても入力ポートの監視を実行する仕様となっているが、メインループ処理における入力ポートの監視処理は、16ms周期の監視となるため、システム上必要な監視対象であるスイッチなどの入力の監視にとどまり、演出可動役物P560の演出制御に必要なセンサ類などの入力の監視は省略される。なお、変形例として、演出上監視すべき対象であるセンサ類に関し、メインループ処理内の入力ポート監視処理にて確認を行ってもよい。
入力ポート監視処理で実行する内容は、主制御基板の入力ポート確認処理と同様、各種センサの入力データより、レベルデータを生成して記憶したり、立ち上がり(立ち下がり)データを記憶する処理が実行される。
続いて、演出制御基板P41は、演出装置制御処理(ステップ4010)を行い、演出表示装置P80(画像表示)以外の演出動作に関する制御を実行する。本処理において制御される演出装置として、ランプP82(「盤ランプ(P550)」「枠ランプ(P350)」)やスピーカP83(上スピーカP370、下スピーカ141)、演出可動役物P560などがあり、これらの演出装置に対して後述する演出制御処理(ステップ4012)などの処理によって実行が決定された演出内容に応じた演出動作命令を各演出装置に送信して演出動作を実行させる。
演出装置制御処理(ステップ4010)における各種演出装置に対する演出動作命令の出力は、演出表示装置P80(画像表示装置)にて表示される演出画像と同期して実行(開始)される必要があるため、演出表示装置P80の制御を行っている画像制御基板P42から演出制御基板P41に対して一定間隔で送信される信号や、強制的に同期を図る信号を受信したこと(前述した入力ポート監視処理での受信)を契機として、演出表示装置P80の演出切り替わりタイミングとの同期を図り、各種演出装置に対して演出動作命令の出力を行う。
なお、演出装置の内、演出可動役物P560の動作制御に関しては、演出可動役物P560の駆動手段に対して、より短い周期での制御が必要となることから、本処理において設定された演出動作命令にて実行されることとなる演出可動役物P560の動作パターンについて、後述する演出制御基板P41の割込み処理中(図16参照)においてもセンサの監視、動作切り替えが実行される。
次に、演出制御基板P41のメインループ処理で実行される演出制御処理(ステップ4012)に関して説明する。演出制御処理は、後述する演出制御コマンド解析処理で主制御基板P40から受信した演出制御コマンドを解析した結果に基づき成立したフラグや受信した演出制御コマンド自体の情報(特別図柄抽選の抽選結果IDなど)、入力ポート監視処理(ステップ4008)、割込み処理(図16)等の他の処理中に成立したフラグを基に、各種演出装置で実行する演出内容を抽選したり選択することで決定する処理である。
演出制御処理は、各フラグ情報やコマンド解析情報を基に実行すべき演出決定の処理を選択し、対応する演出決定のためのサブモジュール処理を呼び出して実行する。ここで決定される演出内容の例として、特別図柄抽選の実行結果に係るコマンド(当否コマンド、図柄コマンド、変動パターンコマンド)を基に1回の特別図柄の変動に対応する変動演出を決定する処理(予告やリーチの内容、停止する装飾図柄の決定などを行う処理)や、保留が発生した際に送信される保留数情報や事前判定情報を基に新たに発生した保留に対し先読み演出(「事前判定演出」とも呼ぶ)を実行するか否かを決定する先読み抽選処理や、特別遊技(大当りや小当り)の実行に際し演出制御コマンドとして送信された情報に基づき特別遊技中の演出内容を決定する特別遊技演出内容決定処理などがある。
また、演出制御処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドに対する処理のみでなく、演出制御基板P41でエラーを検出した場合のエラー表示内容の決定処理(主制御基板から送信されたエラー情報に基づくエラー表示内容の決定処理を含む)や、遊技者によって演出操作手段P81である演出ボタンP381、十字キーP383などの入力操作に基づいてスピーカP83から出力される音量の調整や、ランプP82の発光輝度を変更する光量調整、演出内容および演出内容決定傾向のカスタマイズといった演出内容の決定も実行する。
なお、演出制御処理で呼び出されるサブモジュール処理にて行われる各種の演出内容の決定処理については、遊技機毎に固有の仕様を用いられることが多いため、説明を割愛し、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pにおいて特徴を有する処理を実行する場合には、発明の対象となるぱちんこ遊技機Pの実施例の説明にてその詳細を説明することとする。
演出制御基板のメインループ処理の説明に戻り、メインループ処理の最後の処理として演出制御コマンド解析処理(ステップ4014)を説明する。
演出制御コマンド解析処理は、主制御基板P40から送信された演出制御コマンドとして記憶されている情報を基に、前述した演出制御処理において演出内容の決定に使用するための演出制御コマンドに対応する情報の記憶や、フラグの設定を行う。本処理は、主制御基板P40から送信されたコマンドに応じて処理内容を決定する必要があり、演出制御コマンドであるMODEデータ、EVENTデータの内容より処理内容を決定して、演出制御コマンドに応じた処理が実行される。
なお演出制御コマンドは、主制御基板P40の割込み処理毎(4ms毎)に1のコマンド(MODEデータとEVENTデータ)が送信される可能性があるため、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41のメインループ処理の周期(16ms)が経過するまでの間、処理可能な限り演出制御コマンドの解析を繰り返し実行する(ステップ4016)。
[演出制御基板の割込み処理]
次に、演出制御基板P41のCPUにおいて実行される割込み処理に関して説明する。演出制御基板P41における割込み処理は、主制御基板の割込み処理とは異なり、異なる実行契機で開始される複数の割込み処理を有している(図16(A)および(B)を参照)。なお、これらの複数の割込み処理には、優先度が設定されており、より上位の優先度の割込みが発生した場合には、割込み処理の実行中であっても上位の割込み処理を実行するように制御される。本説明においては、代表して演出制御タイマ割込み処理(図16(A))と、演出制御コマンド受信割込み(図16(B))とについて説明を行う。
(演出制御タイマ割込み処理)
演出制御タイマ割込み処理(図16(A))は、演出制御基板P41のCPUにおいて、1ms周期で実行される割込み処理である。
ポート入出力処理(ステップ5002)は、演出制御基板P41の入力ポートより、演出可動役物P560の位置検出のために設けられたセンサや、他のセンサ(演出操作手段P81の入力センサ)の入力からレベルデータ、立ち上がりデータを生成して記憶する処理や、出力ポートより、演出装置制御処理にて設定された動作パターンに従って演出可動役物P560の駆動手段(ソレノイドやステッピングモータなど)に対して駆動信号を出力する処理が実行される。また、出力ポートからデータ出力を行った際には、必要があれば出力回数をカウントするカウンタ(記憶領域)のデータを更新する。
タイマ更新処理(ステップ5004)は、演出動作の切り替えタイミングを計るタイマの減算や加算を行う処理である。各タイマに関し更新処理が終了すると、比較値との比較演算を行い、演出動作の切り替え条件が発生したか否かを判断し、演出制御処理(ステップ4012)において演出内容の決定に必要な情報やフラグを記憶領域に記憶する処理を行う。
センサ監視処理(ステップ5006)は、ポート入出力処理にて生成したセンサの検出データより、演出可動役物P560の演出動作切り替え条件が成立したか否かなど、演出動作の切り替えに係るセンサ検出情報の発生有無を判断し、動作パターンのテーブルを切り替える処理を行ったり、演出制御処理(ステップ4012)にて演出内容を決定するための条件フラグを立てる処理を行う。
演出ボタン監視処理(ステップ5008)は、演出操作手段P81である演出ボタンP381やレバーP382、十字キーP383などの入力に基づく演出の切り替え条件の成立有無を判断する処理である。演出ボタン監視処理では、ポート入出力処理(ステップ5002)において生成された各入力装置の入力状態を示すレベルデータや立ち上がりデータ(前回オフから今回オンへレベルデータが変化したことを示すデータ)より演出操作手段P81に対する操作有無、操作態様を判断する。
例えば、演出操作手段P81に対する入力情報として、立ち上がりデータが生成されている場合には演出操作手段P81に対する遊技者操作があったものとして、対応する演出の実行のためのフラグなどの情報を記憶する。なお、立ち上がりデータのみで入力を判断すると電気的なノイズにより誤検出して演出動作の切り替えが行われる可能性があるため、立ち上がりデータの発生後、複数回のレベルデータ(オンデータ)の入力が連続したことを契機として演出操作手段P81に対する遊技者操作(「単押し(単引き)操作」、「一撃操作」と表現する場合がある)と判断してもよい。
また、オン入力のレベルデータが連続して500回検出された場合、すなわち0.5秒に渡って演出操作手段P81が操作されたと判断した場合、「長押し(長引き)」操作と判断し、特殊な操作として扱うよう構成している。なお、「長押し(長引き)」操作の有無、継続の判断において立ち下がりデータ(前回オンから今回オフへレベルデータが変化したことを示すデータ)が電気的にノイズとして検出される場合があるが、この場合も前述した誤検出防止の対策と同様に立ち下がりデータの検出後、複数回のレベルデータ(オフデータ)の入力を検出したことに基づいて、「長押し(長引き)」操作の入力終了を判断するものとしてもよい。
そして、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、実行中の演出内容によっては、演出ボタンP381に対する「長押し」操作の実行により、一定周期毎(例えば0.3秒毎)に1回の演出操作手段P81の「単押し(単引き)」入力操作があったと見做す処理を繰り返して行わせることを可能としており、このように「長押し(長引き)」操作などの特殊な操作を契機として、「単押し」操作が行われたと見做して繰り返し処理が実行されることを「オート連打」操作と呼ぶ。なお、「オート連打」操作は、例示した操作内容に限らず、複数の演出操作手段P81を同時操作するものや、演出ボタンとは異なるスイッチとして設けられたディップスイッチなどのオンオフ操作することで、演出ボタンP381の入力に基づき「オート連打」操作が実行されたと見做す手法を採用することも可能である。
なお、演出操作手段P81に対する入力は、演出の実行状況によって、有効操作として扱う期間(「操作有効期間」)と、無効操作として扱う期間(「操作無効期間」)とが存在する。
マルチタスク処理(ステップ5010)は、演出制御タイマ割込み処理が実行される毎に更新されるタスクカウンタ(値「0」~「15」の間で更新)の値に応じて、今回発生した演出制御タイマ割込み処理中で実行する処理内容を異ならせて行う処理である。タスクカウンタが16ms周期で循環するように構成されており、メインループ処理の1周期とほぼ同期して各カウンタ値における処理が実行されるように構成されている。各タスクにおける処理の一例としては、画像制御基板P42の動作が実行できるか否かを画像制御基板P42から送信される信号(ポート入出力処理にて入力情報を生成)を基に判断し、画像制御基板P42の動作状況を監視する処理が行われる。
画像制御コマンド送信処理(ステップ5012)は、画像制御基板P42のCPUに対して演出制御処理P41にて決定した演出内容に応じた画像表示を実行させるべく、画像制御コマンド(「サブ間コマンド」と呼ぶ場合もある)を画像制御基板P42のCPUに対して送信する処理である。なお、画像制御基板P42と演出制御基板P41は同一の基板で構成してもよいが、本明細書内では便宜的に画像制御基板P42として記載する。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御基板P41は、画像制御コマンドを表示内容の種類を示す第1コマンドと、表示内容のパターンを指定する第2コマンドとで構成し、画像制御基板P42に送信する構成となっている。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、演出制御タイマ割込み処理にて画像制御コマンドを送信する構成となっているが、演出制御基板P41と画像制御基板P42との間におけるコマンドの送受信に関して、別途割込み処理を設けて送受信を行うように構成することも可能である。
(演出制御コマンド受信割込み)
演出制御コマンド受信割込み(図16(B))は、主制御基板P40の割込み処理(図9)中の演出制御コマンド送信処理(ステップ2040)においてストローブ信号が出力され、当該ストローブ信号を演出制御基板P41が受信した場合に発生させる割込み処理である。
演出制御基板P41は、演出制御コマンド受信割込みを開始すると、主制御基板P40の出力ポートより送信される演出制御コマンド(MODEデータまたはEVENTデータ)を読み取り、一時バッファデータを更新して記憶する(ステップ5502、ステップ5504)。
一時バッファデータの更新が終了すると、1の演出制御コマンド(MODEデータとEVENTデータの組合せ)の受信が完了したか否かを判断する(ステップ5506)。なお、主制御基板P40から送信される演出制御コマンドは、1バイトデータのうち、特定のビットが「1」「0」で構成されている。
前述したステップ5504の一時バッファデータ(2バイトデータ記憶領域)の更新に際しては、通常下位の1バイトの記憶領域に今回受信した演出制御コマンドの内容を記憶する処理を行う。このとき、更新前に現在の一時バッファデータの記憶領域の下位1バイトのうち特定のビットの部分がMODEデータであることを示す場合、一時バッファデータの記憶データを上位の1バイト記憶領域にシフトさせて記憶させた後、今回受信したEVENTデータを一時バッファデータの下位の1バイトの記憶領域に記憶する処理が行われる。
そしてステップ5506の演出制御コマンドの受信完了の判断においては、一時バッファデータの下位1バイトのうちの特定のビットがEVENTデータを示すデータであるか否かを判断し、EVENTデータであると判断した場合には、1の演出制御コマンドの受信が完了したもの(ステップ5506YES)として次の処理に進み、MODEデータであると判断した場合(ステップ5506NO)には、主制御基板P40からEVENTデータの送信に基づくストローブ信号を受信するまで、演出制御コマンド受信割込みを抜け、他の処理を行って待機する。
ステップ5506において、演出制御コマンドの受信が完了したと判断した場合、送られた演出制御コマンドが正常なものであったか否かを判断する(ステップ5508)。この処理は、例えば、主制御基板P40から送信され得る演出制御コマンドの一覧データの中に一致するデータが存在するか否かを基に判断される。そして、正常なコマンドであると判断された場合には、演出制御タイマ割込み処理中の演出制御コマンド解析処理にて解析されるように受信した演出制御コマンドを記憶するための記憶領域に記憶し、異常データの場合には一時バッファデータを破棄する。
[基本的な画像表示の演出例]
次に、図17から図20を用いて、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける基本的な演出に関して説明を行う。図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図であり、図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。図19は、大当り遊技を実行している状態を表した図であり、図20は特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。
(通常遊技状態の演出表示例)
《装飾図柄》
図17は、通常遊技中(低確率/低ベース中)の図柄変動表示(装飾図柄の停止表示中)を表した図である。画面の略中央領域に3つの数字が遊技者に対して明瞭に確認できる態様にて表示されている。この3つの図柄は「装飾図柄(P801)」(「装図」とも呼ぶ)と呼ばれており、特別図柄抽選の結果に対応して表示される演出的な表示物であり、特別図柄の変動表示に合わせて変動表示される。なお、図17中では数字のみで表現しているが、各数字にキャラクタ画像などの装飾画像を伴って表示される場合もある。また、各数字に装飾画像を伴って表示するよう構成する場合には、遊技状態によって装飾画像や各数字の表示態様を相違させてもよい。そのように構成することによって、遊技者は現在の遊技状態を判別し易くなる。
装飾図柄P801は、特殊な演出を行っている場合を除いて特別図柄の変動表示1回(特別図柄抽選1回)に対して、1度の演出としての変動表示が行われる。なお、不図示であるが、装飾図柄P801の変動表示が行われる際には、装飾図柄が高速で変動表示(場合によっては透過表示や非表示となる)され、アニメーションや演出効果の画像による「予告」と呼ばれる演出により、大当り遊技の権利獲得の期待感を高める演出を行う。
図17に示す装飾図柄P801は、変動表示が開始されると上下方向(上から下方向)にスクロール表示された後、左図柄(P801a)、右図柄(P801c)、中図柄(P801b)の順に図柄列毎に、演出制御基板P41で決定された停止表示図柄が停止表示される。一般的には、3つの装飾図柄P801が同一の態様(ぞろ目)で停止表示された場合に、大当りであることを演出的に報知するものとなっている。また、1の図柄が変動表示を行う一方で他の図柄が表示されている状態、例えば、最後に停止する図柄(「最終停止図柄」とも呼ぶ)である中図柄P801bが停止する前に左図柄および右図柄が同一の図柄で表示(仮停止表示)されている状態のことを「リーチ」(「リーチ状態」「リーチ態様」)と呼ぶ。
装飾図柄P801の変動表示は、上下方向(上から下方向)にスクロール表示する態様で表示されることが多いが、変動表示の態様は上下方向に限らず、左右方向や奥行きを使って前後(斜め)方向にスクロール表示動作を行うものであってもよいし、スクロールせずにその場で回転動作を行うとともに順番に切り替え表示がされるものであってもよい。
また、装飾図柄P801は1回の特別図柄の変動表示中において、複数回の停止表示を行う場合を有している。この時、複数回の停止表示に際して、特別抽選の結果を示す停止表示は、特別図柄の停止表示図柄が特別図柄表示装置に停止表示されるタイミングと同時期に表示される停止表示であり、それ以外のタイミングにおける停止表示を「仮停止(表示)」という。なお、特別図柄の停止表示と同時期の停止表示ついては、「本停止」と表現する場合がある。
装飾図柄P801の仮停止が行われた際には、最終的な図柄の停止表示(本停止)と区別するため、装飾図柄P801を完全に固定せず、固定したと認められない程度に一時停止させたり、上下あるいは左右などの方向に動作したり、1の回転軸を中心に揺れ動作を行ったりするように構成される。このような状態のことを仮停止の他に「揺れ変動」などと表現する場合がある。
装飾図柄P801が仮停止表示された後は、再び変動表示を繰り返す場合があり、一般的に大当り図柄以外の図柄が仮停止した状態からの再変動を「擬似変動(擬似連)」演出と呼び、大当り図柄の停止後に停止表示される大当り図柄を変更する場合がある再変動を「昇格(変動)」演出と呼ぶ。なお、昇格演出を実行する場合には、停止した大当り図柄よりも不利な大当り図柄には変更しないよう構成したり、ハズレ図柄に変更しないよう構成してもよい。
また、装飾図柄P801の停止表示に際して、通常の変動表示中は表示されておらず、一部の演出を実行する場合にのみ表示される特殊な装飾図柄の一種があり、これを「特殊装図(P804)」(特殊図柄)と呼ぶ。特殊装図は、それぞれの図柄に意味があり、例えば特定の大当りが実行されることを示唆したり、前述した擬似変動演出を行うことを示唆したり、特定のリーチ演出(リーチ態様となった場合に表示される予告演出)が実行されることを示唆するものなどが挙げられる。特殊図柄を用いる場合には、最後に仮停止する装飾図柄(中図柄P801b)として特殊図柄を仮停止させてもよいし、左図柄P801a、中図柄P801b、右図柄P801cのすべてを代用する1つの装飾図柄として特殊図柄を仮停止させてもよい。
《簡易装図(ミニ装図)》
画面右上には、装飾図柄P801と同一の態様にて表示される3つの数字が表示されている。この図柄は「簡易装図(P802)」(「簡易図柄」)や「ミニ装図」とも呼ばれ、前述した「装飾図柄」同様特別図柄の変動表示に合わせて、特別図柄の抽選結果を示す表示物として表示される。
簡易装図P802(ミニ装図)は、「装飾図柄」と異なり、装飾図柄P801が停止表示されない特殊な演出が行われている場合であっても、特別抽選の結果を示す特別図柄が特別図柄表示装置P51、P52に表示されるのに合わせて、特別図柄抽選1回に対して必ず1回の停止表示を行う。
また、簡易装図P802の変動表示は、前述した装飾図柄P801がリーチ態様となった場合に、同一のリーチ態様を形成するように構成してもよいし、特別図柄抽選の結果を報知するという最低限の目的を達成するために、装飾図柄P801とは無関係に特別図柄の変動表示が停止表示状態となるまで一定の表示切り替えを行う、といった簡略的な変動表示とする方法を採用してもよい。
《保留表示領域》
図17の下部領域には、保留表示領域P810が設けられている。保留表示領域P810には、遊技者が獲得した特別図柄抽選の権利として、未行使の権利に対応する保留(乱数値)に対応した保留オブジェクトP811が表示される。図17の例では、特別図柄抽選の権利が3つ保留されている状態を示している。
図17の例では、特別図柄抽選の実行時期が早い保留(すなわち先に発生した保留)であるほど、画面下部の略中央方向に近い位置に表示されるようになっており、保留表示領域P810の最も右側に位置する保留オブジェクトの表示位置を「保1(表示領域)」と呼び、画面左側に向かうにつれて「保2(表示領域)」、「保3(表示領域)」、「保4(表示領域)」と呼ぶ。
また、保留表示領域P810の右側近傍には、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と略同一態様のオブジェクトが一段高い位置に保留オブジェクトP811より大サイズに表示されている。本表示領域は、現在の特別図柄変動表示の開始契機となった乱数値に対応した保留表示を保留表示領域から継続して表示するものであり、「当該変動オブジェクト表示領域(P812)」と称する。また、当該変動オブジェクト表示領域P812に表示されるオブジェクトを「当該変動オブジェクト(P813)」と呼ぶが、「当該保留表示」などと称する場合があり、保留表示領域P810の保留オブジェクトP811と差別化するために「当該」という頭文字をつけている。
なお、当該変動オブジェクト表示領域P812における当該変動オブジェクトP813の表示態様は、保留オブジェクトP811と完全に同一に構成する必要はなく、変動開始に伴いある保留表示が当該変動オブジェクト表示領域P812に移動表示する際に、形状が変化したり、消失(非表示)となったりする場合があってもよい。また、当該変動オブジェクトP813についても、後述する保留変化先読みにおける保留表示と同様に表示態様が変化し得るよう構成してもよい(例えば、変動表示の途中のタイミングでオブジェクトの形状や色が変化する)。
《簡易保留表示》
画面左側の高さ方向略中央位置には、2つの数字が縦方向に並んで表示されている。この2つの数字は、現在の第1特別図柄の保留数および第2特別図柄の保留数を表しており、「簡易保留表示(P814)」と呼ばれる。図17中の例では、第1特別図柄の保留数を上に表示される数値「3」で示しており、第2特別図柄の保留数を下に表示される数値「4」で示している。
(先読み演出)
《保留変化先読み》
また、図17においては、保留表示領域P810における保3表示領域の保留オブジェクトP811が、保2、保1の表示領域における保留オブジェクトP811とは異なる態様で表示されている。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、保3の保留オブジェクトP811の表示態様の方が保2の保留オブジェクトP811の表示態様よりも大当りとなる可能性が高くなるよう構成されている。このように、特定の保留に対して、保留オブジェクトP811の表示態様を変化して表示させる演出のことを「保留変化(先読み)」と呼んでいる。
なお、図17に例示した態様のみに限らず、複数種類の変化態様を有し、そのそれぞれに対して大当りとなる可能性(期待度)が異なり得るように構成し、段階的に保留オブジェクトP811の表示態様を変化させていってもよい。
また、「保留変化(先読み)」に限らず、保留として記憶されている乱数値に対して演出の実行対象として決定した場合に、演出の実行対象となった保留に対応した変動表示が開始されるよりも前に、先んじて演出の実行対象となった保留の大当りとなる可能性が高いことを示唆する演出のことを「先読み演出」(「事前判定演出」と称する場合もある)と呼んでいる。
そして、「先読み演出」を実行する場合に、演出の実行対象となった保留として決定された保留のことを、「先読み対象保留」、「トリガ保留」、「犯人保留」などと称する場合があり、先読み対象保留に基づく特別図柄の変動表示のことを「先読み対象変動」、「トリガ変動」、「犯人変動」などと称する。
ここで、「先読み演出」として、前提とするぱちんこ遊技機Pで採用し得る代表的なものをいくつか例示する。
《チャンス目先読み》
「チャンス目先読み」は、先読み対象変動の変動が開始されるまでの装飾図柄P801の変動表示において、予め定められた法則に則った装飾図柄P801の停止表示図柄が停止表示(または仮停止表示)される演出である。チャンス目として予め定められる装飾図柄P801の停止表示態様の法則の一例としては、(ア)装飾図柄の数字部分の色合いが同一の図柄のみの組合せによってはずれ図柄が停止表示される場合、(イ)「1」「2」「3」や「5」「4」「3」など、装飾図柄の停止図柄が順番に並ぶ(順目、逆順目)など規則的な停止表示態様で表示される場合、(ウ)「7」などの特別な数字又は「先」などの数字とは異なる図柄が、中図柄の停止表示図柄として停止表示される場合、などが挙げられる。
《演出可動役物先読み》
「演出可動役物先読み」は、遊技盤P5または枠(ガラス枠P3)に設けられた演出可動役物P560または枠可動役物P360(前提とするぱちんこ遊技機P1のレバーP382など)を、先読み対象変動の変動表示が開始されるまでの変動、あるいは先読み対象変動まで跨いで、変動開始から演出動作パターンに従ってにぎやかし動作させる演出である。
《ゾーン移行先読み》
「ゾーン移行先読み」は、先読み対象変動が開始される前の特別図柄の変動表示において、特殊な演出モード(「ゾーン」と呼ばれる)へ移行させ、先読み対象変動となる変動表示までの間、特殊な演出モードに対応した予告演出を実行させるための予告抽選を実行することで、大当りの可能性が高いことを示唆する先読み演出である。例えば、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→大当り」となったり、「通常背景を表示→先読み時背景を表示→はずれ図柄が停止して通常背景に戻る」となる。
(リーチ演出の実行時の表示例)
続いて、図18は大当りとなる期待度が高いリーチ演出が行われている状況を表した図である。「リーチ演出」は、前述したように、1の装飾図柄(中図柄P801b)以外の装飾図柄(左図柄P801a、右図柄P801c)が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態における演出のことを言う。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、多くの場合、リーチ演出を経由して3つの装飾図柄P801が同一の停止表示態様となることで大当りを報知する仕様となっている。
図18の例では、装飾図柄の左図柄P801aと右図柄P801cが「5」で表示されており、変動中の中図柄列の図柄として「4」、「5」、「6」が表示されている状況であり、「4」図柄が激しく振動し、「5」に切り替われば大当りとなる状況を示している。
ここで、図18の例では、装飾図柄の左図柄と右図柄である「5」の表示が、図17の停止表示時の装飾図柄P801よりも小さく表示されており、変動表示中の中図柄列の装飾図柄P801bを停止表示時の装飾図柄P801よりも大きく表示し、強調表示している。この時の左図柄P801a、右図柄P801cに対応する小さく表示された装飾図柄を「退避図柄(P803)」や、「リーチ図柄」などと呼ぶ場合がある。リーチ演出では、図示した例以外にも、装飾図柄の変動表示に伴って表示される予告演出(リーチ演出)のアニメーションの結末がどのような結末になるかによって大当りとなるか否かを報知する場合もあり、すでに仮停止表示された左図柄P801a、右図柄P801cを退避図柄P803小さくして表示する(あるいは非表示とする)ことで、遊技者に注目させたい演出の視認性を高めるようにしている。
また、装飾図柄P801の表示数を3つとしない遊技機なども知られており、同時に複数列のリーチ態様を形成するマルチラインリーチなども存在するが、その詳細に係る説明は割愛する。
リーチ演出の例外として、3つの装飾図柄P801の全てが同一の態様で同期して変動表示される「全回転リーチ」と呼ばれるリーチ演出が存在する。リーチ演出の基準である「1の装飾図柄以外の装飾図柄が同一態様で表示されている状況であり、あと1つの図柄が同一態様で停止すれば大当りとなることが報知される状態」とは状況的に異なるが、全回転リーチもまたリーチ演出として当業者には認識されるものである。
また図18において、画面右下領域には、「演出設定表示領域(P850)」が表示されており、図18の例では演出設定表示として音量設定表示P851が表示されている。
演出設定表示領域P850は、遊技機PのスピーカP83から出力される音量レベルを調整する音量設定機能や、遊技機Pの装飾ランプP82の発光輝度を調整する光量調整機能、さらには、演出モードと呼ばれる発生する予告演出の種類を変更したり、予告演出の発生頻度を変更したりする演出モード変更機能の設定状況および変更状況に係る表示を行う領域である。
演出設定表示領域P850は、常時表示されているものではなく、遊技者が前述した各種演出設定(音量調整機能、光量調整機能、演出モード変更機能)に係る操作を実行した場合において、一時的に表示されるものであり、例えば十字キーP383の左右方向の操作により図18に示す音量調整機能に係る演出設定表示(音量設定表示P851)を表示させることが可能である。図18の状況において、さらに遊技者により十字キーP383の右ボタンが操作された場合には、設定されている音量レベル(図中の黒塗り領域)が増加し、音量設定値が「3」から「4」へと変化するようになっている。
また、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、光量調整を行う場合は、十字キーP383の上下方向の操作によって変更操作が行われるように構成され、演出モード変更機能は、演出ボタンの操作に応じて演出モードを予め定められた順序で切り替える例が挙げられる。なお、これらの演出設定に係る操作は、遊技中の演出の実行との関係上異なる操作態様を採用する場合もあり、例示した設定の変更方法以外にも適宜採用可能である。
また、演出設定表示領域P850の表示や、各種演出設定機能の利用に関し、遊技者の演出設定操作を有効とする期間、無効とする期間をそれぞれ設定することが可能であり、特に重要な演出が実行されるときには、演出設定表示領域P850を非表示とし、各種演出設定機能の利用を無効とするよう構成される。
(大当り遊技中の演出表示例)
続いて、図19に基づき、前提とするぱちんこ遊技機Pにおいて大当り遊技を実行している状態における演出の表示態様を説明する。
《大当りの種類を示す演出表示》
図19の画面左下および画面右上には、大当り遊技の実行契機となった装飾図柄P801の表示が行われている。画面左下は、前述したリーチ演出の実行中と同様、変動表示中の装飾図柄よりも小さい表示態様にて1の装飾図柄P801(「大当り装図(P805)」とも呼ぶ)を表示し、画面右上には、特別図柄の変動表示が終了した際に表示した簡易装図P802を引き続き表示している。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当りの発生契機となった(大当りの発生時に停止表示した)装飾図柄P801の種類によって、遊技者に実行される大当りの種類や大当り中に獲得できる遊技球数の期待度合や大当り終了後の遊技状態(通常遊技状態)を演出的に示唆している。そのためこのように大当りの実行契機となった装飾図柄(大当り装図P805、簡易図柄P802)を表示させておくことによって、大当り遊技中においても大当りの種類や、獲得が期待される遊技球数を示唆することを可能としている。
また、大当りの種類を示す表示として、図19では「ROUND6」(「ラウンド表示(P820)」と呼ぶ)という文字列の下に、五角形の盾を模したアイコン画像P821が表示されており、アイコンP821の中央に「MAX」という文字が記載されている。図中のアイコンP821では「MAX」の文字列が示唆する大当りであって、前提とするぱちんこ遊技機Pが有する最大ラウンドの大当り遊技が実行されることを示している。このアイコンP821は「大当りアイコン」や「連荘(表示)アイコン」と呼ばれ、特定遊技状態と大当り遊技が繰り返し実行される毎に、累積的に並んで表示が増加し、いわゆる「連荘」状態において何回、どのような種類の大当りを獲得したかを遊技者が理解できるように報知する演出表示である。
なお、図示はしていないが、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り開始デモ期間において実行される演出表示の「大当り開始デモ演出」において「〇〇ボーナス!」(最大ラウンド大当りを報知)や「△△チャンス」(最大ラウンドではない大当りを示唆)といった表示を行うことにより、大当りの種類を遊技者に報知する演出を実行する。
また、例えば実行されるラウンド数が少ない「△△チャンス」などの大当りであることが示唆された場合であっても、大当りラウンド中において「エクストラボーナス!+〇ラウンド」として、大当りの実行ラウンドが実は最大ラウンドの大当りであることを報知するといった「大当り昇格演出」を実行することも可能である。
なお、「大当り昇格演出」は、先に報知された大当りの種類よりも遊技者にとって有利となる特定遊技状態へ移行することとなる大当り遊技が実行されていることを示唆する場合にも使用されることがある。例えば、大当り遊技後に確率変動機能が作動しないことを示唆する大当り遊技(「非確変大当り」、「通常大当り」と呼ばれる)の演出から、大当り後に確率変動機能が作動することとなる大当り遊技(「確変大当り」、「特定大当り」と呼ばれる)の演出へと演出表示が切り替わる、というような演出表示が挙げられる。
《大当り遊技の進行状況を示す演出表示》
次に大当り遊技の実行に際して、大当り遊技の進行状況を示す演出表示に関する説明を行う。図19において、大当りの演出表示を示す演出として、画面左上の「ROUND_〇」の文字列表示で実行される「ラウンド表示(P820)」、画面右下において「TOTAL_〇〇pt」の文字列表示で実行される「獲得球数表示(P822)」、画面右側略中央の10個の円形画像オブジェクトで表示される「カウント表示(P825)」などが挙げられる。不図示ではあるが、大当り遊技中はこれらの表示に加えて「ラウンド演出」と呼ばれるアニメーションなどの画像表示が表示される。
《ラウンド表示》
「ラウンド表示(P820)」は、大当り遊技中において、実行中のラウンド遊技(単位遊技)が何ラウンド目かを示す表示である。ラウンド遊技が開始されるタイミングで「ROUND」の右側の数値が更新される。図19の例では、6ラウンド目のラウンド遊技が実行されている状況を示している。
なお、「ラウンド表示(p820)」は、必ずしも実際の大当り遊技中の実行ラウンド数に同期する必要はない。例えば、前述した「小当りV」のスペックでは、小当り遊技中を1ラウンド目としてカウントして、V入賞後に実行される大当り遊技の1ラウンド目を2ラウンド目として扱うようすることがある。また、他の例では、ラウンド遊技における大入賞口P751の開放パターンが、短時間の入球容易状態への移行で終了する場合には、「ラウンド表示」の値を更新せず、大入賞口の開放パターンが長時間の入球容易状態となる場合においてのみ、実質的に実行されたラウンド「実質ラウンド」として扱う場合などがあってもよい。
《獲得球数表示》
「獲得球数表示(P822)」は、実行中の1回の大当り遊技で累積獲得している遊技球数を表示する「大当り獲得球数表示(P823※不図示)」と、特定遊技を挟んで複数回の大当りにおいて累積的に獲得した遊技球数を表示する「累積獲得球数表示(824)」といった種類がある。図19においては、5桁の獲得球数表示である「累積獲得球数表示(P824)」が表示されている例を示している。なお、「大当り獲得球数表示(P823)」と「累積獲得球数表示(P824)」を並列的に同時表示してもよい。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」について、大当り遊技中における大入賞口P751への入球に基づく累積の賞球払出数を表示するものとしている。しかし、獲得球数表示P822の賞球払出の累積対象として、遊技盤P5の右側領域P501Rに配置された一般入賞口P731や第2始動入賞口P721に対する入球に基づく払出に関して累積して加算してもよい。
また、他の変形例として、「獲得球数表示(P822)」の表示期間は、大当り遊技中だけでなく、特定遊技の実行中に表示してもよいし、「獲得球数表示(P822)」の累積賞球払出数の加算期間についても、大当り遊技中だけでなく、特定遊技中や、小当り遊技中に拡大するよう構成してもよい。
なお、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、「獲得球数表示(P822)」の他に、累積した賞球払出数が「2500球」、「5000球」、「10000球」など、区切りとなる払出数を迎えた場合などの特殊な状況においてのみ、遊技者に「獲得球数表示」に加えて強調して報知する「区切り獲得球数表示」演出を実行可能としている(例えば、「GET10000!!」と表示する)。
《カウント表示》
「カウント表示(P825)」は、1回のラウンド遊技において大入賞口P751の閉鎖条件として設定される遊技球数まであと何球入球可能か、または今回のラウンド遊技において何球の遊技球が大入賞口P751に入球したかを表す表示である。前者は、図19において網掛け表示される円形オブジェクトで表示されており、後者は白抜きの円形オブジェクトとして画面右側略中央位置に2列のオブジェクト表示として表示されている。
図19の例では、6ラウンド目の遊技として、大入賞口へ5球入球済みであり(白抜きの円形オブジェクトで表示)、あと5球入球可能であること(網掛けの円形オブジェクトで表示)がカウント表示P825により示されている。カウント表示P825は新たなラウンドが開始されるたびに表示が初期態様にリセットされる。
大当り遊技のラウンド遊技の実行中には、遊技球の流下状況により、大入賞口P751の閉鎖条件を満たすこととなる遊技球に連続して大入賞口P751の閉鎖条件以上の遊技球数となる入賞が発生する場合があり、このような閉鎖条件以上の遊技球数の入賞が発生することを「オーバー入賞」と呼ぶ。
図示はしていないが、「オーバー入賞」が発生した場合に、カウント表示P825のオブジェクト表示等を使って特殊な演出を行ったり、演出ランプP82の特殊な発光やスピーカP83から特殊効果音を発したりして報知してもよい。また、前述した獲得球数表示P822については、「オーバー入賞」となる入賞に基づく賞球払出数を加算対象としてもよいし、加算対象外としてもよい。
《大当り遊技中のその他の演出表示》
次に、図19において演出表示が実行されている、他の演出表示について説明する。
まず、画面左側略中央位置に表示されている2つの数字は、前述した簡易保留表示P814である。
画面左下の装飾図柄(大当り装図P805)の右側に表示されている「Sound_2」という表示は、現在の大当り遊技中に再生している楽曲のタイトルを示す「選択楽曲表示(P854)」である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中において、1ラウンド目や2ラウンド目の間に演出ボタンP381や十字キーP383を操作することによって、遊技者が任意に再生する楽曲を選択可能とする仕様を有している。選択楽曲表示P854に関し、楽曲が変更可能な状況である場合には、図20に示すように選択楽曲表示P854の近傍に「(上)(下)キーで変更できます」という画像表示を行う。
なお、このような大当り遊技中における演出の選択は、楽曲選択に限らず、ラウンド演出の変更や、大当り遊技後における特定遊技中の演出(演出モード)の選択なども可能とするが(総称して「演出カスタマイズ表示(P853)」と呼ぶ)、それらの詳細な説明は割愛する。
最後に、画面右上の簡易装図P802の下部に表示されている「右打ち」および右側矢印記号は、「打ち分け報知(P830)」(「推奨発射位置報知」などとも呼ばれる)に係る画像表示である。前提とするぱちんこ遊技機Pでは、大当り遊技中は、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射することが推奨される遊技状態であるため、「右打ち報知(P832)」(「右打ち」の文字列、および右側矢印記号の表示)が実行されている。
「打ち分け報知」は、大当り遊技中に限らず、特定遊技状態における遊技中や、通常遊技状態における遊技中においても表示される場合を有する。特に、遊技状態が切り替わるような状況(大当りの発生/終了や、特定遊技状態の発生/終了)においては、図19に示す打ち分け報知P830よりも、遊技者が認識しやすいよう大きなサイズの表示を画面中央部などに一時的に表示することで、次の遊技状態での推奨される発射位置を遊技者に報知する演出が実行される。
なお、「打ち分け報知(P830)」において、遊技状態が遷移するタイミングで一時的に大きなサイズで表示されるものを「第1打ち分け報知画像」(「右打ち大表示(P831)」、「左打ち大表示(P833)」)と表現し、大当り遊技中や特定遊技状態中において、遊技状態での推奨発射位置を、遊技状態が続く期間のほぼ全てにおいて表示する表示について「第2打ち分け報知画像」(「右打ち小表示(P832)」、「左打ち小表示(P834)」)と表現する場合がある。
また、「打ち分け報知(P830)」の他の種類の演出として、推奨される発射位置以外の位置に遊技球が発射されている状況を検出した場合、例えば、大当り中に遊技領域の左側領域P501Lに遊技球を発射した場合に、遊技領域の右側領域P501Rに遊技球を発射すべきことを遊技者に対して注意喚起する「左打ち警告報知」(「右打ち注意喚起報知(P835)」)として「右打ちしてください」などのメッセージ表示)を行う。なお、推奨発射位置と遊技者の実発射位置が逆の状況では、「右打ち警告報知」(「左打ち注意喚起報知(P936)」)が実行される。
(特定遊技状態中の演出表示例)
図20は、特定遊技状態中(高確率または低確率/高ベース)である電チューサポート機能の作動中の遊技演出を表した図である。図中には多岐にわたる演出表示がなされているが、前述の説明の中で説明を行ったものに関しての説明は割愛し、これまでに説明がされていない演出表示、および前述の説明と相違点を有する演出表示に関する説明を行う。
まず、これまでに説明がされていない演出表示として、特定遊技状態中の演出表示に関する説明として「演出モード表示(P840)」と「残り遊技回数表示(P841)」に関する説明を行う。
《演出モード表示》
「演出モード表示(P840)」は、現在の演出表示態様の状態を示す表示であり、演出モードと呼ばれる状態情報によって、該当するモードに応じた予告演出が抽選されていることを示す表示である。演出モード表示が相違する場合には、遊技者に視認される予告演出の種類が、一部共通とする予告演出はあるものの、見た目に与える印象が大きく異なるように作られることが一般的である。図20では、「RUSH_MODE」という表示がなされており、前提とするぱちんこ遊技機Pにおける遊技状態が、「ST(回数切り確変)」(高確率/高ベース状態)であることを示す表示を行っている。
なお、「演出モード表示(P840)」は、特定遊技状態における演出モードを報知する以外に、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)において表示される場合があってもよいし、1の遊技状態において複数の演出モードを有する場合に、演出モードが切り替わる条件が成立するたびに表示を一時的、または演出モードが終了するまで継続して行うものであってもよい。
《残り遊技回数表示》
「残り遊技回数表示(P841)」は、特定遊技状態が終了するまでの特別図柄の変動表示の回数(特別図柄抽選の回数)や、現在の演出モードが終了するまでの特別図柄の変動表示の回数を表す表示である。図20では、画面中央上部に「残り_56」という表示が実行されており、「ST(回数切り確変)」の遊技状態が、あと56回の特別図柄抽選が実行されるまで行われることを遊技者に報知している。
次に、図20に示す特定遊技状態の演出表示例において、前述した他の遊技状態における演出表示例と相違する表示に関して説明を行う。
《装飾図柄(特定遊技状態)》
図20の画面中央には、装飾図柄P801の変動表示が表示されている。図20の通常遊技状態における演出表示例の装飾図柄P801に比して、図20の特定遊技状態における装飾図柄P801の演出表示例では、装飾図柄P801の表示が小さく表示されている。
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、特定遊技状態の演出表示として、画面上部に演出モード表示P840や、残り遊技回数表示P841、さらには大当りアイコン表示P821を行っており、画面下部には選択楽曲表示P854および獲得球数表示P824を行っている。特定遊技状態では、通常遊技状態(低確率/低ベース状態)で表示されないこのような付加的な表示を行うため、通常遊技状態と同等のサイズで装飾図柄P801を表示してしまうと、停止表示の際に一部図柄の表示が各表示の一部と重なってしまい、停止表示図柄の視認性が低下するという問題が発生する恐れがあり、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、このような問題が生じにくくなるよう装飾図柄P801の表示を小さく簡略化するものとしている。また、装飾図柄P801を簡略化して表示する例として、サイズを小さくするほか、図柄を示す数字に付帯して表示されるキャラクタ画像などの表示を行わない方法なども採用可能である。
《保留表示領域(特定遊技状態)》
前提とするぱちんこ遊技機Pでは、図20の画面左下に示すように、特定遊技状態の保留表示領域P810における保留オブジェクトP811の表示として、画面手前側から奥行き方向に向かって「保1」から「保4」の保留オブジェクトの表示領域が設けられている。なお、当該変動オブジェクト表示領域P812(及び当該変動オブジェクト表示P813)については「RUSH_MODE」の演出モード状態では表示が省略されている。
図20に示す変動表示が終了し、状態で新たな変動が開始すると、図20の最も下部に位置する保留オブジェクトP811の表示が消失し、奥に並ぶ保留オブジェクトP811の表示が手前に移動するとともに表示が大きくなるよう表示制御される。
また、図示はしないが特定遊技中において表示される演出として重要な演出である、「リザルト表示演出」に関して説明を行う。
《リザルト表示演出》
「リザルト表示演出」は、前提とするぱちんこ遊技機Pでは、主として特定遊技状態(高ベース状態)の最後の変動が実行される際、あるいは特定遊技状態中に生起した保留がなくなる際等、遊技者が「連荘」状態が終了したと認識するタイミングに行われる演出であり、いわゆる「連荘」状態において、何回の大当り遊技を獲得したかという情報や、合計で何発の遊技球を獲得したか(獲得球数表示に相当)を遊技者に報知する演出である。
(A時短、B時短、C時短)
「電チューサポート機能」の実行契機としては、大当り終了後に実行される場合と、RAMクリア後又は大当り終了後から予め定められた所定回数の遊技(所定回数の変動)が行われた場合、予め定められた図柄に当選した場合、の3つがある。以降の実施例においては、大当り終了後に電チューサポート機能が実行された場合の遊技状態を「A時短」、RAMクリア後又は大当り終了後から予め定められた所定回数の遊技が行われたことで電チューサポート機能が実行された場合の遊技状態を「B時短」、予め定められた時短図柄に当選したことで電チューサポート機能が実行された場合の遊技状態を「C時短」と称する。A時短、B時短、C時短は、いずれも電チューサポート機能を構成する3つの機能(普通図柄確変、普通図柄時短、(普通電動役物の)開放延長)のうち、全てを実行するようにしても良いし、少なくとも1つを実行するようにしても良く、時短の種類に応じて実行する機能を異ならせるようにしても良い。例えば、A時短は、普通図柄確変、普通図柄時短、(普通電動役物の)開放延長の3つの機能を実行するようにし、B時短とC時短は、普通図柄時短、(普通電動役物の)開放延長の2つの機能を実行するように構成することで、大当り終了後に移行されるA時短のみを他のB時短、C時短よりも遊技者にとって有利な状態として位置付けさせることができる。この場合、B時短とC時短には普通図柄確変が実行されないため、A時短よりも普通図柄が当選し難い状態ということになる。
時短の種類として、A時短、B時短、C時短を詳細に説明すると以下のようになる。
(1)A時短
主遊技図柄(第1主遊技図柄、第2主遊技図柄)が大当り図柄で停止表示された場合、その後に実行される特別遊技(大当り遊技)の終了後に、停止表示された大当り図柄に基づいて実行される電チューサポート状態(つまり、特別遊技を実行することとなった大当り図柄や小当り図柄の特別図柄を契機とした電チューサポート状態)
(2)B時短
条件装置の作動に係る抽選回数(作動回数)が予め定められた回数(以下、作動回数n)となったことに基づいて実行される電チューサポート状態(つまり、主遊技図柄の作動回数を契機とした電チューサポート状態)
(3)C時短
条件装置が作動せずに、主遊技図柄(「主遊技図柄」には、第1主遊技図柄と第2主遊技図柄とを含む)が予め定められた特定の図柄の組合せ(以下、時短図柄)としての時短専用図柄、ハズレ図柄(ハズレ図柄を時短図柄として併用する場合)、小当り図柄(小当り図柄を時短図柄として併用する場合)、大当り図柄で停止表示された場合、時短図柄が停止表示されたことに基づいて実行される電チューサポート状態(つまり、時短図柄を契機とした電チューサポート状態)
(時短回数N)
次に、時短回数Nについて説明する。A時短、B時短、C時短は、電チューサポート機能が作動してから予め定められた回数(以下、時短回数N)だけ電チューサポート機能を実行させるように構成されている。A時短、B時短、C時短における時短回数Nは、それぞれ、予め定められた回数が対応付けられているのが好適であるが、大当り図柄(A時短、C時短)や時短図柄(B時短)に応じて時短回数Nが異なっていても良い。
時短回数Nは、高確率状態における大当り確率をMH、低確率状態における大当り確率をMLとするぱちんこ遊技機において、『大当り確率ML=1/P』としたとき、以下の式を満たすように構成されている。
0.4×P≦N≦3.8×P
例えば、ML=1/100のとき、時短回数Nは40回(0.4×P(100))~380(3.8×P(100))回の範囲で設定することになる。なお、特別図柄抽選の有利度合い(特に役物連続作動装置の作動確率、すなわち大当り確率)を変更するための「設定値」を変更可能な設定変更機能を搭載したぱちんこ遊技機においては、全ての設定値でこの式を満たすように時短回数Nを設定するか、もしくは、最も大当り確率が低い設定値においてこの式を満たすようにするのが望ましい。また、時短回数Nは、設定値毎に1種類のみとするのが好適であるが、設定値毎に複数種類の時短回数Nを設けるようにしても良い。
(作動回数n)
次に、作動回数nについて説明する。作動回数nは、B時短の作動契機となる主遊技図柄の作動回数(変動回数、遊技回数)である。
作動回数nは、高確率状態における大当り確率をMH、低確率状態における大当り確率をMLとするぱちんこ遊技機において、『大当り確率ML=1/P』としたとき、以下の式を満たすように構成されている。
2.5×P≦n≦3.0×P
例えば、ML=1/100のとき、時短回数nは250回(2.5×P(100))~300(3.0×P(100))回の範囲で設定することになる。なお、特別図柄抽選の有利度合い(特に役物連続作動装置の作動確率、すなわち大当り確率)を変更するための「設定値」を変更可能な設定変更機能を搭載したぱちんこ遊技機においては、時短回数Nの場合と同様に、全ての設定値でこの式を満たすように作動回数nを設定するか、もしくは、最も大当り確率が低い設定値においてこの式を満たすようにするのが望ましい。また、作動回数nは、設定値毎に1種類のみとするのが好適であるが、設定値毎に複数種類の作動回数nを設けるようにしても良い。
作動回数nは、主遊技図柄の大当り確率が低確率状態である場合には常に加算(カウントアップ)を行い、主遊技図柄の大当り確率が高確率状態の場合には加算を行わないように構成されている。つまり、主遊技図柄の大当り確率が低確率状態であれば、A時短~Cの作動の有無に関わらず作動回数nを加算するように構成されている。なお、加算する例を示したが、作動回数nを設定してnから減算(カウントダウン)するように構成しても良い。
作動回数nの加算または減算の条件を満たすタイミングは、変動開始時、変動終了時、変動停止時(変動固定時間経過時)のいずれかとなる。なお、変動終了時から変動固定時間経過時までの期間(変動固定時間中)を、作動回数nの加算または減算の条件を満たすタイミングとしても良い。例えば、第1主遊技図柄と第2主遊技図柄とが同時に図柄変動させることが可能な並列制御が行われるぱちんこ遊技機(1種+1種並列タイプとも言う)で、作動回数nの加算または減算タイミングを変動開始時とした場合、作動回数nの到達時は変動開始時からB時短を作動するように構成されている。
作動回数nは、主遊技図柄が2つあるぱちんこ遊技機においては、2つの主遊技図柄の作動回数の合計を加算または減算するように構成されている。なお、作動回数nは、一方の主遊技図柄(第1主遊技図柄、第2主遊技図柄)のみを対象として加算または減算するように構成しても良い。また、作動回数nは、低確低ベース状態において主に図柄変動する第1主遊技図柄の作動回数のみを加算または減算するように構成しても良い。
作動回数nの計測(加算または減算)をクリアするタイミングは、以下の3通りである。
(1)設定変更に伴うRAMクリア時
(2)RAMクリア時
(3)条件装置の作動時又は終了時
なお、(1)(2)については、ぱちんこ遊技機として予め定められている場合にはクリアしない仕様であっても良いし、電源投入に伴う所定操作に応じてクリアする場合とクリアしない場合を任意に設定できる仕様であっても良い。また、A時短、C時短が作動している状態において、作動回数nに到達した場合、A時短からB時短、C時短からB時短へ時短の状態を切り換え、その際に作動回数nの計測をクリアするのが好適であるが、クリアせずに計測を継続しても良い。
また、作動回数nの計測(加算または減算)をクリアするタイミングが、(1)設定変更に伴うRAMクリア時、(2)RAMクリア時、(3)条件装置の作動時又は終了時、の3通りに定められている場合、B時短の終了に伴って作動回数nの計測(加算または減算)がクリアされないことになるため、再度B時短が実行されることはない。換言すると、RAMクリア実行後、または、条件装置の作動終了後は1回しかB時短が作動しないことになる。この場合、遊技者が遊技を行うタイミング(B時短が作動する前のタイミングと、B時短の作動が終了した後のタイミング)によって利益度合いが変わることになる。特に、営業日を跨ぐ場合、翌日の営業に伴ってRAMクリアが行われるか否かによって作動回数nの回数が変わるため、電源投入後に最初に遊技する遊技者は、自身が遊技する遊技機のRAMクリアの有無、及び、前日の変動回数(作動回数n)を判断する要素がないと不利益を被る可能性がある。具体的に、B時短の作動が終了した後の状況(つまり、再度のB時短が実行されない状況)で営業が終了し、RAMクリアが行われないまま翌日の営業が開始された場合、営業開始後に最初に遊技する遊技者は、前日の営業終了時の変動回数、及び、その遊技機のRAMクリアの有無が判断できないため、B時短が作動するまでの変動回数(作動回数n)が分からないだけでなく、そもそもB時短が作動する可能性が残されているのかどうかも分からない。
このような問題に対しては、RAMクリアが行われた場合に、電源投入後にRAMクリアが行われた場合でのみ実行される所定の報知演出(例えば、ランプを赤色に発光させる、演出表示装置にこの状況でしか表示されない画像を表示する、等)を実行するのが望ましい。これにより、遊技者は、電源投入後に所定の演出が実行された場合には、自身が遊技する遊技機がRAMクリアされたということを認識できる一方で、所定の演出が実行されなかった場合には、自身が遊技する遊技機がRAMクリアされていないということを認識できるようになるため、B時短が作動するまでの変動回数(作動回数n)をある程度予測することができるようになる。逆に、RAMクリアされなかったことを報知する演出を行うようにしても良い。また、これらの演出は演出表示装置等の報知手段にて電源ON時から常時報知するようにしても良いし、電源ON時から所定回数の変動が行われたことを契機に報知するようにしても良いし、B時短までの残りの変動回数(作動回数n)が所定の回数以下の場合に限り報知するようにしても良いし、これら複数の実行契機を組み合わせたものであっても良い。さらに、所定の報知演出が実行されたことでRAMクリアが行われたこと(または、RAMクリアが行われなかったこと)を確定的に報知するものであっても良いし、示唆するだけであっても良い。
ただし、上記の所定の演出が行われることによりRAMクリアの有無は判断できても、B時短が作動する前の状態で前日の営業が終了したのか、B時短が終了した後の状態で前日の営業が終了したのかは判断できない。つまり、B時短が作動する前の遊技状態で前日の営業が終了し、かつ、RAMクリアが行われなかった場合において、RAMクリアが行われたことを報知する所定の報知演出が実行されない(または、RAMクリアが行われなかったことを報知する所定の報知演出が実行される)との状況は、B時短が作動するまでの変動回数(作動回数n)が、RAMクリアが実行された場合よりも短くなることを意味するため、遊技者にとって好ましい状況と言えるが、逆に、B時短が作動した後の遊技状態で前日の営業が終了し、かつ、RAMクリアが行われなかった場合において、RAMクリアが行われたことを報知する所定の報知演出が実行されない(または、RAMクリアが行われなかったことを報知する所定の報知演出が実行される)との状況は、B時短が実行されないだけでなく、所定の報知演出が実行されたことによりB時短までの作動回数が短くなっているとの誤解を遊技者に与えることになるため、遊技者にとって好ましい状況とは言えない。そこで、B時短が終了した後の遊技状態では、B時短が終了していることを示す何らかの報知(例えば、B時短終了後は演出表示装置にB時短が終了した後にしか表示されないキャラクタを表示する、B時短終了後はB時短が作動するまでの変動回数(作動回数n)を表示するカウンタ(B時短が作動する前は表示可能)を表示しないようにする、等)を行うようにすることで、遊技者に対して、B時短が終了した後(つまり、B時短が作動する可能性がない状況)なのか、B時短が作動する前(つまり、B時短が作動する可能性がある状況)なのか、を認識させるようにすることができる。
まとめると、「RAMクリアの実行有無が分かる報知」と「B時短の終了有無が分かる報知」を組み合わせて報知することで、電源投入後の最初の遊技者が損をしないようにすることができる。これらの報知は、一方のみを実行するようにしても良いし、両方を実行するようにしても良い。また、電源投入を契機として行われるものに限らず、例えば、大当り終了後のB時短終了後にB時短が終了したことが分かる報知を行うようにしても良い。
(遊技状態別の時短作動について)
次に、遊技状態別のA時短、B時短、C時短の作動について説明する。
[通常遊技状態:低確率/低ベース状態]
1、通常遊技状態中において、大当りに当選した場合、大当り遊技の実行後にA時短を作動させることが可能である。
2、通常遊技状態中において、B時短を作動させることが可能である。なお、B時短を作動させなくても良い。
3、通常遊技状態中において、C時短を作動させることが可能である。なお、C時短を作動させなくても良い。
[特定遊技状態1:低確率/高ベース状態(A時短中)]
1、特定遊技状態1のA時短中において、大当りに当選した場合、大当り遊技の実行後にA時短を作動させることが可能である。
2、特定遊技状態1のA時短中において、A時短に優先してB時短を作動させることが可能である。なお、B時短を作動させなくても良い。また、A時短に優先してB時短を作動させる場合、A時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能から、B時短が有する電チューサポート機能を構成する3つの機能へと、完全に優先させるようにしても良いし、A時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能をそのままB時短でも維持するようにしても良い。
3、特定遊技状態1のA時短中において、A時短に優先してC時短を作動させることが可能である。なお、C時短を作動させなくても良い。また、異なる時短が重複して実行条件を満たした場合(つまり、複数の時短が被る状況の場合)、残りの時短回数が多い方を優先して採用するようにしても良い。前者のぱちんこ遊技機のタイプに応じて予め時短の優先を決めている仕様においては、時短回数の有利度を比較する必要がなく、時短の種類そのものを比較するだけで時短の優先を判断することができるため、処理が複雑にならず、かつ、プログラムの容量を削減することができる。一方、後者の残りの時短回数が多い方を優先する仕様においては、新たに実行された時短によって実行中の時短回数が減るといった遊技者に対する不利益をなくすことができる。
[特定遊技状態1:低確率/高ベース状態(B時短中)]
1、特定遊技状態1のB時短中において、大当りに当選した場合、大当り遊技の実行後にA時短を作動させることが可能である。
2、特定遊技状態1のB時短中において、B時短を作動させないように構成されている。これは、前述のとおり、作動回数nのクリアタイミングは、(1)設定変更に伴うRAMクリア時、(2)RAMクリア時、(3)条件装置の作動時又は終了時、3パターンとなっているため、B時短が一度作動すると再度B時短が作動できないように構成されている。つまり、B時短の時短回数Nが実行された後は、低確率/低ベース状態の通常遊技状態となり、再び作動回数nのカウントを開始させるためには、 設定変更を行うか(設定変更に伴うRAMクリア時)、RAMクリアを行うか(RAMクリア時)、当りに当選(条件装置の作動時又は終了時)、のいずれかを実行して作動回数nのクリア条件を満たすしかない。
3、B時短である遊技状態中において、B時短に優先してC時短を作動させることが可能である。なお、C時短を作動させなくても良い。また、B時短終了後にC時短の作動回数が残っている場合にC時短を作動させるようにしても良い。この場合、B時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能から、C時短が有する電チューサポート機能を構成する3つの機能へと、完全に優先させるようにしても良いし、B時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能をそのままC時短でも維持するようにしても良い。
[特定遊技状態1:低確率/高ベース状態(C時短中)]
1、特定遊技状態1のC時短中において、大当りに当選した場合、大当り遊技の実行後にA時短を作動させることが可能である。
2、特定遊技状態1のC時短中において、C時短に優先してB時短を作動させることが可能である。なお、B時短を作動させなくても良い。また、C時短終了後にB時短を作動させるようにしても良い。この場合、C時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能から、B時短が有する電チューサポート機能を構成する3つの機能へと、完全に優先させるようにしても良いし、C時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能をそのままB時短でも維持するようにしても良い。
3、特定遊技状態1のC時短中において、C時短に優先して新たなC時短を作動させることが可能である。なお、新たなC時短を作動させなくても良い。また、C時短終了後に新たなC時短を作動させるようにしても良い。この場合、実行中のC時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能から、新たなC時短が有する電チューサポート機能を構成する3つの機能へと、完全に優先させるようにしても良いし、実行中のC時短が有する電チューサポート機能構成する3つの機能をそのまま新たなC時短でも維持するようにしても良い。
[特定遊技状態2:高確率/高ベース状態]
1、特定遊技状態2中において、大当りに当選した場合、大当り遊技の実行後にA時短を作動させることが可能である。
2、特定遊技状態2中において、B時短を作動させないように構成されている。
3、特定遊技状態2中において、C時短を作動させないように構成されている。
[特定遊技状態3:高確率/低ベース状態]
1、特定遊技状態3中において、大当りに当選した場合、大当り遊技の実行後にA時短を作動させる。
2、特定遊技状態3中において、B時短を作動させないように構成されている。
3、特定遊技状態3中において、C時短を作動させないように構成されている。
<時短が重複した場合の時短回数の設定方法>
次に、図21を用いて、時短が重複した場合の時短回数Nの設定方法について説明する。
(1、新たな時短は作動しないタイプ)
これは、種類の異なる時短が重複した場合に時短回数を重ねないタイプ(無視するタイプ)である。図21(1)に示すように、例えば、大当り後にA時短が作動している状態において、T1のタイミングでC時短の作動条件である時短図柄が停止表示されても、新たなC時短は作動しないように構成されている。つまり、A時短が作動している状態において、時短図柄が停止表示されても、A時短を維持するということを意味する。また、A時短中のT3のタイミングでC時短の作動条件である2回目の時短図柄が停止表示されても、新たなC時短は作動しないように構成されている。つまり、A時短が作動している状態において、時短図柄が複数回停止表示されても、A時短を維持するということを意味する。なお、図21(1)では2回のタイミングで時短図柄が停止表示する例を示し、そのいずれのタイミングにおいてもC時短は作動せず、A時短を維持するように構成されているが、時短図柄の停止表示に関わらずA時短の状態中は、C時短を作動させないように構成されていれば、回数に限定されるものではない。なお、A時短が作動している状態中にC時短を作動させないような例を示したが、A時短が作動している状態中にB時短を作動させないように構成しても良いし、B時短が作動している状態中にA時短を作動させないように構成しても良いし、B時短が作動している状態中にC時短を作動させないように構成しても良いし、C時短が作動している状態中にA時短を作動させないように構成しても良いし、C時短が作動している状態中にB時短を作動させないように構成しても良い。
(2、新たな時短を作動させるタイプ1)
これは、時短が重複した場合に時短回数を重ねるタイプ(継続するタイプ)である。図21(2)に示すように、例えば、大当り遊技後にA時短が作動している状態において、T1のタイミングでC時短の作動条件である時短図柄が停止表示されても、新たなC時短は作動しないように構成されている。これは、時短図柄が停止表示した際にA時短の残りの時短回数とC時短の時短回数を比較し、多いほうの時短回数の時短を採用するように構成されているため、図21(2)の例では、C時短は作動せずA時短を維持するように構成されている。一方、A時短中のT3のタイミングで時短図柄が停止表示した場合は、C時短の時短回数の方がA時短の残りの時短回数よりも多いため、T3のタイミングからC時短を作動させるように構成されている。そして、時短回数Nの図柄変動が終了するT5のタイミングでC時短を終了させるように構成されている。つまり、C時短の作動条件が成立した場合、残りの時短回数が多い時短を採用するように構成されている。なお、この場合、即時にC時短を作動させなくてもよく、A時短がT4で終了してから、C時短をT4のタイミング以降に作動させても良い。なお、A時短とC時短との時短回数を比較し、時短回数の多い方を優先して採用する例を示したが、A時短とB時短との時短回数を比較するように構成しても良いし、B時短とC時短との時短回数を比較するように構成しても良い。
(3、新たな時短を作動させるタイプ2)
これは、時短が重複した場合に時短回数を切り換えるタイプ(書き換えするタイプ)である。図21(3)に示すように、例えば、大当り遊技後にA時短が作動している状態において、T1のタイミングでC時短の作動条件である時短図柄が停止表示されると、T1のタイミングから新たなC時短を作動させるように構成されている。そして、時短回数Nの図柄変動が終了するT2のタイミングでC時短を終了させるように構成されている。つまり、C時短の作動条件が成立した場合、作動中の時短に切り換えて新たな時短を作動させるように構成されている。なお、C時短が終了した後であって、T2のタイミング以降からA時短を再度実行させ、T4のタイミングまでA時短を実行させるように構成しても良い。なお、A時短の状態中にA時短から新たな時短であるC時短に切り換える例を示したが、A時短の状態中に新たな時短であるB時短に切り換えるように構成しても良いし、B時短の状態中に新たな時短であるA時短に切り換えるように構成しても良いし、B時短の状態中に新たな時短であるC時短に切り換えるように構成しても良いし、C時短の状態中に新たな時短であるA時短に切り換えるように構成しても良いし、C時短の状態中に新たな時短であるB時短に切り換えるように構成しても良い。なお、「1、新たな時短は作動しないタイプ」、「2、新たな時短を作動させるタイプ1」、「3、新たな時短を作動させるタイプ2」の個々のタイプを組合せてA時短~C時短を作動させるように構成したり、A時短~C時短を作動させないように構成したりしても良い。
低確率状態かつA時短又はC時短である状態にて作動回数nに到達した場合は、B時短が新たに作動するように構成されている。この際、時短回数Nをセットし、B時短を開始するように構成されている。つまり、「3、新たな時短を作動させるタイプ2」を採用して、新たなB時短を作動させるように構成されている。
C時短の作動は、低確率状態かつ時短(A時短~C時短)が未作動中であれば、時短図柄が停止表示されたことを契機として作動させることが可能であるが、高確率状態かつ時短(A時短~C時短)が作動中、もしくは、高確率状態かつ時短(A時短~C時短)が未作動中、もしくは、低確率状態且つ時短(A時短~C時短)が作動中、の場合には時短図柄が停止表示されたことを契機としたC時短を作動させないように構成されている。つまり、「1、新たな時短は作動しないタイプ」を採用するように構成されている。なお、A時短に関しては、条件装置の作動を伴うため、「3、新たな時短を作動させるタイプ2」を採用するように構成されている。
(時短と変動パターンとの関係)
次に、図22を用いて、各時短における時短回数と、参照する変動パターンテーブルについて説明する。
B時短の時短回数はA時短の時短回数よりも大きい値が設定され、C時短の時短回数はA時短の時短回数よりも大きい値が設定され、B時短の時短回数はC時短の時短回数よりも大きい値が設定される。B時短とC時短を大当り図柄が停止表示されること以外を契機とする時間短縮遊技状態(D時短)とする場合、D時短の時短回数はA時短の時短回数よりも大きい値が設定されるように構成されている。なお、D時短は、小当りVタイプのV入賞口に遊技球が入球したことを契機として作動する時間短縮遊技状態ではない。なお、B時短の時短回数は、A時短の時短回数やC時短の時短回数よりも小さい値が設定されても良いし、同じ値が設定されても良い。
次に、各時短において参照する変動パターンテーブルについて説明する。A時短の作動中は、限定頻度テーブルA1、限定頻度テーブルA2、限定頻度テーブルA3、限定頻度テーブルA4を参照して変動パターンを選択するように構成されている。限定頻度テーブルA1は、一又は複数の変動パターンから構成される変動パターンテーブルであって、変動パターンの平均の変動時間は、限定頻度テーブルA1~A4のうち一番短いテーブルとなっている。限定頻度テーブルA2~A4は、一又は複数の変動パターンから構成される変動パターンテーブルであって、変動パターンの平均の変動時間は、限定頻度テーブルA1よりも長いテーブルとなっている。なお、限定頻度テーブルA1<限定頻度テーブルA2<限定頻度テーブルA3<限定頻度テーブルA4の順で変動パターンの平均の変動時間が長くなるように構成しても良いし、限定頻度テーブルA1>限定頻度テーブルA2>限定頻度テーブルA3>限定頻度テーブルA4の順で変動パターンの平均の変動時間が短くなるように構成しても良い。つまり、各限定頻度テーブルの変動パターンの平均の変動時間が異なるように構成されていれば、各限定頻度テーブルの関係性がどのように構成されていても適用可能である。
図22(1)に示すように、A時短の作動中の期間A1においては、限定頻度テーブルA1を参照して変動パターンを選択するように構成されている。A時短の作動中の期間A2においては、限定頻度テーブルA2を参照して変動パターンを選択するように構成されている。A時短の作動中の期間A3においては、限定頻度テーブルA3を参照して変動パターンを選択するように構成されている。A時短の作動中の期間A4においては、限定頻度テーブルA4を参照して変動パターンを選択するように構成されている。
次に、D時短の遊技状態を説明する。D時短の時短回数(期間)は、A時短の時短回数(期間)よりも大きく設定(期間が長く設定)されている。そして、D時短中の各期間D1~D4は、A時短の各期間A1~A4よりも長い期間で構成されていても良い。また、一部の期間が同じ長さの期間で構成されていても良い。例えば、期間A1と期間D1、期間A3と期間D3、期間A4と期間D4とが同じ長さの期間で構成され、期間A2と期間D2のみが異なる長さの期間となるように構成ことにより、時短の導入の期間(期間A1、期間D1)や時短の終盤の期間(期間A3、期間A4、期間D3、期間D4)を同じ長さの期間に設定し、それ以外の途中の期間(期間A2、期間D2)を異なる長さの期間とすることによって、時短の導入の期間と終盤の期間との演出頻度を、A時短とD時短とにおいて共通にすることができるので、遊技者は違和感なく時短の遊技を開始して終了することができる。また、途中の期間(期間A2、期間D2)の長さを変えることによって、導入の期間、終盤の期間の演出頻度に影響を与えないようになっている。なお、限定頻度テーブルの参照順番(例えば、A1、A2、A3、A4の順番)が同じであれば、いずれの期間の長さ(遊技の回数)が変わっていても良い。例えば、期間D1を期間A1よりも長く構成することによって、D時短の導入の期間における遊技者への説明演出(例えば、上述したB時短の作動開始演出、C時短の作動開始演出、選択メニュー表示等の演出)にかける時間を長く構成することで丁寧に行うことができる。
参照する限定頻度テーブルについては、図22(2)に示すように、D時短の作動中の期間D1においては、限定頻度テーブルA1を参照して変動パターンを選択するように構成されている。D時短の作動中の期間D2においては、限定頻度テーブルA2を参照して変動パターンを選択するように構成されている。D時短の作動中の期間D3においては、限定頻度テーブルA3を参照して変動パターンを選択するように構成されている。D時短の作動中の期間D4においては、限定頻度テーブルA4を参照して変動パターンを選択するように構成されている。つまり、図22(2)においては、D時短で参照する限定頻度テーブルは、A時短と同じ限定頻度テーブルを同じ順番で参照するように構成されている。このように構成することによって、A時短とD時短とで共通の限定頻度テーブルを使用するので、プログラム容量を削減することができるとともに、プログラムをシンプルにすることができる。
なお、D時短のうち、例えば、B時短において、限定頻度テーブルB1、限定頻度テーブルB2、限定頻度テーブルB3、限定頻度テーブルB4等を参照して変動パターンを選択するように構成しても良い。限定頻度テーブルB1は、一又は複数の変動パターンから構成される変動パターンテーブルであって、変動パターンの平均の変動時間は、限定頻度テーブルB1~B4の中で一番短いテーブルとなっている。限定頻度テーブルB2~B4は、一又は複数の変動パターンから構成される変動パターンテーブルであって、変動パターンの平均の変動時間は、限定頻度テーブルB1よりも長いテーブルとなっている。なお、限定頻度テーブルB1<限定頻度テーブルB2<限定頻度テーブルB3<限定頻度テーブルB4の順で変動パターンの平均の変動時間が長くなるように構成しても良いし、限定頻度テーブルB1>限定頻度テーブルB2>限定頻度テーブルB3>限定頻度テーブルB4の順で変動パターンの平均の変動時間が短くなるように構成しても良い。なお、各限定頻度テーブルの変動パターンの平均の変動時間が異なるように構成されていれば良い。
また、D時短のうち、例えば、C時短において、限定頻度テーブルC1、限定頻度テーブルC2、限定頻度テーブルC3、限定頻度テーブルC4等を参照して変動パターンを選択するように構成しても良い。限定頻度テーブルC1は、一又は複数の変動パターンから構成される変動パターンテーブルであって、変動パターンの平均の変動時間は、C1~C4の中で一番短いテーブルとなっている。限定頻度テーブルC2~C4は、一又は複数の変動パターンから構成される変動パターンテーブルであって、変動パターンの平均の変動時間は、限定頻度テーブルC1よりも長いテーブルとなっている。なお、限定頻度テーブルC1<限定頻度テーブルC2<限定頻度テーブルC3<限定頻度テーブルC4の順で変動パターンの平均の変動時間が長くなるように構成しても良いし、限定頻度テーブルC1>限定頻度テーブルC2>限定頻度テーブルC3>限定頻度テーブルC4の順で変動パターンの平均の変動時間が短くなるように構成しても良いし、各限定頻度テーブルの変動パターンの平均の変動時間が異なるように構成されていれば良い。なお、限定頻度テーブルB1、限定頻度テーブルB2、限定頻度テーブルB3、限定頻度テーブルB4をB時短専用の限定頻度テーブルとし、限定頻度テーブルC1、限定頻度テーブルC2、限定頻度テーブルC3、限定頻度テーブルC4をC時短専用の限定頻度テーブルとしても良い。
また、図22(3)に示すように、D時短の作動中の期間D1においては、限定頻度テーブルB1やC1を参照して変動パターンを選択するように構成し、D時短の作動中の期間D2においては、限定頻度テーブルB2やC2を参照して変動パターンを選択するように構成し、D時短の作動中の期間D3においては、限定頻度テーブルB3やC3を参照して変動パターンを選択するように構成し、D時短の作動中の期間D4においては、限定頻度テーブルB4やC4を参照して変動パターンを選択するように構成しても良い。つまり、D時短で参照する限定頻度テーブルは、A時短と全て異なる限定頻度テーブルを参照するように構成しても良い。このように構成することによって、A時短とD時短とで異なる変動時間を用いて演出を実行することができるので、A時短、D時短の役割に応じた演出を各時短中に実行できる。なお、期間D1と期間A1、期間D3と期間A3、期間D4と期間A4とが同じ長さの期間で構成され、期間D2と期間A2とが異なる長さの期間となるように構成されているが、このように構成しなくても良い。各期間は、予め定められた期間であれば良い。
また、図22(4)に示すように、D時短の作動中の期間D1においては、限定頻度テーブルA1を参照して変動パターンを選択するように構成し、D時短の作動中の期間D2においては、限定頻度テーブルB2やC2を参照して変動パターンを選択するように構成し、D時短の作動中の期間D3においては、限定頻度テーブルA3を参照して変動パターンを選択するように構成し、D時短の作動中の期間D3においては、限定頻度テーブルA3を参照して変動パターンを選択するように構成しても良い。つまり、D時短で参照する限定頻度テーブルは、A時短と一部が同じ限定頻度テーブルを参照するように構成しても良い。このように構成することによって、A時短とD時短とで一部の限定頻度テーブルを使用するので、プログラム容量を削減することができるとともに、プログラムをシンプルにすることができるとともに、一部の期間(例えば、比較的期間が長い期間D2)については、A時短とD時短とで異なる変動時間を用いて演出を実行することができるので、A時短、D時短の役割に応じた演出を各時短中に実行できる。なお、期間D1と期間A1、期間D3と期間A3、期間D4と期間A4とが同じ長さの期間で構成され、期間D2と期間A2とが異なる長さの期間となるように構成されているが、このように構成しなくても良い。各期間は、予め定められた期間であれば良い。
また、図22(5)に示すように、D時短の作動中の期間においては、変動パターンの平均の変動時間が、限定頻度テーブルA1~A4のうち一番短いテーブルである限定頻度テーブルA1を参照して変動パターンを選択するように構成されている。このように構成することによって、最も簡単かつ合理的にB時短の変動時間を短くすることができ、遊技の途中で大当りとならずに遊技者が遊技に飽きてきた状況であれば、D時短において短い変動時間を用いて、より多い回数の時短遊技を実行することにより、時期的に早く遊技者に大当りを提供することが可能となるようにすることができる。なお、限定頻度テーブルA1ではなく、変動パターンの平均の変動時間が、限定頻度テーブルA1~A4のうち一番長い限定頻度テーブルを用いても良い。
また、D時短で用いる変動パターンの平均の変動時間は、A時短で用いる変動パターンの平均の変動時間よりも短く設定されていることが好適である。なお、A時短で選択される変動パターンの平均の変動時間は、通常遊技状態で選択される変動パターンの平均の変動時間よりも短く設定されている。つまり、変動パターンについて、D時短の作動中は、A時短の作動中よりも相対的に短い変動時間の変動パターンが選択され易い傾向に構成されている。そして、作動回数nが0(減算する手法の場合)となりB時短の遊技状態になった場合は、短い変動時間の変動パターンを用いることによって、より早い段階で遊技者に大当りを提供することができるようになっている。
このように構成することによって、大当り遊技の実行後に設定されるA時短については大当り遊技の余韻を残しつつ、通常遊技状態よりも比較的短い変動時間を用いて、ある一定回数のA時短の遊技を実行することにより、大当りの連荘を遊技者に期待させることができるとともに、C時短やB時短において遊技の途中で大当りとならずに遊技者が遊技に飽きてきた状況であれば、A時短よりも短い変動時間を用いて、A時短よりも多い回数の時短遊技を実行することにより、時期的に早く遊技者に大当りを提供することが可能となるようにすることができる。
また、D時短での1回の図柄変動における各アクションの合計時間よりも、A時短での1回の図柄変動における各アクションの合計時間の方が長く構成されている。このように構成することによって、大当りの連荘を遊技者に期待させることができる期間であるA時短においては、遊技者に各アクションを注視させることができる。また、1のアクション(変動開始時アクション、定位置アクション、揺れアクション、テンパイアクション、決めアクション)の実行時間について、D時短での1回の図柄変動における1のアクションの実行時間よりも、A時短での1回の図柄変動における1のアクションの実行時間の方が長く構成されているので、大当りの連荘を遊技者に期待させることができる期間であるA時短においては、遊技者に1つのアクションを注視させることができるという効果を奏する。
次に、図23を用いて、各時短における参照する変動パターンテーブルについて説明する。
図23(1)は、図22の(1)と(2)とを組合せたタイミングチャートである。大当り図柄Aが停止表示された後に実行される大当り遊技Aの実行後にA時短となり、このA時短中の限定頻度テーブルとして、限定頻度テーブルA1~A4を用いるように構成されている。A時短の作動が終了して通常遊技状態になると、通常遊技状態テーブルを参照して変動パターンを決定するように構成されている。また、通常遊技状態の期間B0(例えば、B時短が作動する10変動前からB時短が作動するまでの期間)においては、限定頻度テーブルA3(限定頻度テーブルA3に限定されず他の限定頻度テーブルであっても良い)を用いて、B時短作動開始煽り演出(例えば、B時短までの残りの変動回数を「10」、「9」、「8」…「0」、のようにカウントダウン表示を行うような演出、等)を実行するように構成されている。この限定頻度テーブルA3は、大当り遊技Aを実行する契機となった大当り図柄Aに基づいて、期間B0において参照するように決定されている。そして、B時短中の期間B1では限定頻度テーブルA1、期間B2では限定頻度テーブルA2、期間B3では限定頻度テーブルA3、期間B4では限定頻度テーブルA4を参照するように構成されている。これらの限定頻度テーブルA1~A4は、大当り遊技Aを実行する契機となった大当り図柄Aに基づいて、期間B1~B4において参照するように決定されている。
図23(2)は、図22の(1)と(3)とを組合せたタイミングチャートである。大当り図柄Aが停止表示された後に実行される大当り遊技Aの実行後にA時短となり、このA時短中に限定頻度テーブルとして、限定頻度テーブルA1~A4を用いるように構成されている。A時短の作動が終了し、通常遊技状態になると通常遊技状態テーブルを参照して変動パターンを決定するように構成されている。また、通常遊技状態の期間B0(例えば、B時短が作動する10変動前からB時短が作動するまでの期間)においては、限定頻度テーブルB3(限定頻度テーブルB3に限定されず他の限定頻度テーブルであっても良い)を用いて、B時短作動開始煽り演出(例えば、B時短までの残りの変動回数を「10」、「9」、「8」…「0」、のようにカウントダウン表示を行うような演出、等)を実行するように構成されている。この限定頻度テーブルB3は、大当り遊技Aを実行する契機となった大当り図柄Aに基づいて、期間B0において参照するように決定されている。そして、B時短中の期間B1では限定頻度テーブルB1、期間B2では限定頻度テーブルB2、期間B3では限定頻度テーブルB3、期間B4では限定頻度テーブルB4を参照するように構成されている。これらの限定頻度テーブルB1~B4は、大当り遊技Aを実行する契機となった大当り図柄Aに基づいて、期間B1~B4において参照するように決定されている。
図23(3)は、図22の(1)と(4)とを組合せたタイミングチャートである。大当り図柄Aが停止表示された後に実行される大当り遊技Aの実行後にA時短となり、このA時短中に限定頻度テーブルとして、限定頻度テーブルA1~A4を用いるように構成されている。A時短の作動が終了し、通常遊技状態になると通常遊技状態テーブルを参照して変動パターンを決定するように構成されている。また、通常遊技状態の期間B0(例えば、B時短が作動する10変動前からB時短が作動するまでの期間)においては、限定頻度テーブルA3(限定頻度テーブルA3に限定されず他の限定頻度テーブルであっても良い)を用いて、B時短作動開始煽り演出(例えば、B時短までの残りの変動回数を「10」、「9」、「8」…「0」、のようにカウントダウン表示を行うような演出、等)を実行するように構成されている。この限定頻度テーブルA3は、大当り遊技Aを実行する契機となった大当り図柄Aに基づいて、期間B0において参照するように決定されている。そして、B時短中の期間B1では限定頻度テーブルA1、期間B2では限定頻度テーブルB2、期間B3では限定頻度テーブルA3、期間B4では限定頻度テーブルA4を参照するように構成されている。これらの限定頻度テーブルA1、B2、A3、A4は、大当り遊技Aを実行する契機となった大当り図柄Aに基づいて、期間B1~B4において参照するように決定されている。
図23の(4)は、RAMクリアの実行後を示すタイミングチャートである。RAMクリアの実行後の遊技状態は、通常遊技状態であり、通常遊技状態テーブルを参照して変動パターンを決定するように構成されている。作動回数nが0(減算する手法の場合)となると、B時短が作動し、このB時短中は、上述の(1)~(3)で説明した限定頻度テーブルを参照するか、予め定められた一の限定頻度テーブル(例えば、限定頻度テーブルA1~A4や限定頻度テーブルB1~B4のうち1の限定頻度テーブル、または、これらとは別の一の限定頻度テーブル)を参照するように構成されている。なお、RAMクリアの実行後からB時短が作動するまでの期間は、それ以前に限定頻度状態となる条件である特定の図柄(例えば、大当り図柄)が停止表示されておらず、また、RAMクリアの実行時が通常時よりも遊技者にとって有利な状態(変動効率が通常時よりも良くなっている状態)になることで、ぱちんこ遊技機のRAMクリア後に最初に遊技を行った遊技者のみが有利な状態からスタートすることができるような公平性のない遊技性となる懸念があるため、RAMクリアの実行後に特定の変動パターンテーブルである限定頻度テーブルを参照することは望ましくない。よって、図23(4)に示すように、RAMクリアの実行後からB時短が作動するまで期間は限定頻度テーブルを参照しないように構成することが、本例のぱちんこ遊技機にとって好適である。なお、このようなぱちんこ遊技機のB時短作動する前の期間である期間B0においては、限定頻度テーブルを用いてB時短作動開始煽り演出としてのカウントダウン演出が実行できないようになっている。しかしながら、例えば、副制御部で図柄変動の回数をカウントすれば、RAMクリアの実行後であっても、B時短作動開始煽り演出(例えば、B時短までの残りの変動回数を「10」、「9」、「8」…「0」、のようにカウントダウン表示を行うような演出、等)を、限定頻度テーブルを用いずに実行することが可能である
[第1実施例]
第1実施例のぱちんこ遊技機Pは、上述の前提技術を基本構成とする他、種々の特徴的な構成を有する。以下、前提技術との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。第1実施例のぱちんこ遊技機を構成する要素のうち、前提技術で説明した要素と同一または対応する要素には同一の符号を付して説明する。
第1実施例は、「V確変(球確)」タイプの遊技機仕様であり、盤面の基本構造は図1を用いて説明する。
図24は、第1実施例のぱちんこ遊技機Pに関する遊技フローである。通常遊技状態は低確率/低ベース状態となっており、第1始動入賞装置P710への入球によって行われる第1特別図柄に係る抽選にて、1/256の確率の大当りに当選することで大当り遊技状態に移行する。
第1特別図柄に係る抽選により当選する大当り遊技状態は2種類あり、「最速ボーナス」に当選した場合は、3ラウンドの大当り遊技が実行された後、64回の電チューサポート機能が作動する「最速ラッシュ」(高確率/高ベース状態)に移行する。一方、「闘争ボーナス」に当選した場合は、3ラウンドの大当り遊技が実行された後、100回又は200回の電チューサポート機能が作動する「闘争モード」(低確率/高ベース状態)に移行する。第1特別図柄に係る抽選においては、大当りとなった際に、「最速ボーナス」となる割合は5%で、「闘争ボーナス」となる割合は95%となっている。
「最速ラッシュ」は、64回の電チューサポート機能が作動する間、第2始動入賞装置P720への入球によって行われる第2特別図柄に係る抽選にて、1/25.6の確率の大当りの当選を目指す遊技性となる。
「最速ラッシュ」中に、第2特別図柄に係る抽選により当選する大当り遊技状態は2種類あり、「DHボーナス」に当選した場合は、2ラウンドの大当り(25%)、3ラウンドの大当り(20%)、4ラウンドの大当り(30%)の3種類の大当り状態のうち、確率に応じたいずれかの大当りが実行された後、再び、「最速ラッシュ」に移行する。一方、「DHボーナスMAX」に当選した場合は、10ラウンドの大当り(25%)が実行された後、再び、「最速ラッシュ」に移行する。第2特別図柄に係る抽選においては、「DHボーナス」と「DHボーナスMAX」のいずれに当選した場合でも、大当り終了後は必ず高確率となる。
「最速ラッシュ」にて、60回の電チューサポート機能が作動する間に大当りに当選することなく60回の変動が終了した場合には「ENDバトル」に移行する。「ENDバトル」では、残り4回の変動にて大当りするか否かを煽る演出が行われるため、同じ高確率/高ベース状態の「最速ラッシュ」と比較して、1回の変動時間が相対的に長くなるように構成される。また、最後の1回の変動においては、これまで獲得した遊技球数の合計数や連荘数等を表示するためのリザルト画面を表示するようにしてもよく、その場合、最後の1回の変動にて変動時間のバラつきがあると、遊技者にこれまでの遊技結果を明確に報知することができない懸念(つまり、最後の1回で短い変動時間の変動パターンが選択された場合、リザルト画面の表示時間が短くなってしまう)が生じるため、例えば、大当りとなった場合とハズレとなった場合とで、それぞれ、1種類程度の変動パターンを備えるようにするのが好適である。
「ENDバトル」にて、4回の電チューサポート機能が作動する間に大当りに当選した場合は、再び、「最速ラッシュ」に移行するが、大当りに当選することなく4回の変動が終了した場合に、「通常状態」に移行して一連の有利な状態が終了する。
次に、「闘争モード」は、100回又は200回の電チューサポート機能が作動する間、第2始動入賞装置P710への入球によって行われる第2特別図柄に係る抽選にて、1/256の確率の大当りの当選を目指す遊技性となる。
「闘争モード」にて、100回又は200回の電チューサポート機能が作動する間に大当りに当選した場合には、2ラウンドの大当り(25%)、3ラウンドの大当り(20%)、4ラウンドの大当り(30%)、10ラウンドの大当り(25%)の4種類の大当り状態うち、確率に応じたいずれかの大当りが行われる「覚醒ボーナス」が実行された後、「最速ラッシュ」に移行する。つまり、「覚醒ボーナス(2R、3R、4R、10R)」と、「DHボーナス(2R、3R、4R)」又は「DHボーナスMAX(10R)」とは、どちらも第2特別図柄に係る抽選で当選する大当り状態である。一方、「闘争モード」にて、100回又は200回の電チューサポート機能が作動する間に大当りに当選しなかった場合は、通常状態に移行する。
第1実施例は、「V確変(球確)」タイプの遊技機仕様のため、「最速ボーナス」、「DHボーナス」、「DHボーナスMAX」、「覚醒ボーナス」のいずれのボーナスの場合においても、2ラウンド目に大入賞口P751内に設けられた特定領域P750に遊技球を通過(「V入賞」)させることが大当り終了後に高確率となるための条件となる。2ラウンド目で大入賞口P751内に設けられた特定領域P750に遊技球を通過(「V入賞」)させることができなかった場合には、「最速ボーナス」、「DHボーナス」、「DHボーナスMAX」、「覚醒ボーナス」であったとしても、大当り終了後は低確率に移行する。
ここで、「闘争モード」のうち、200回の電チューサポート機能が作動する状態にて、大当りすることなく200回が終了した際、さらに、560回の電チューサポート機能が作動する「覚醒モード」(低確率/高ベース状態)に移行する場合を有している。これは、実際には、「闘争ボーナス」の種類として、100回の電チューサポート機能が作動する状態(「闘争モード」)と、200回の電チューサポート機能が作動する状態(「闘争モード」)と、760回の電チューサポート機能が作動する状態(「闘争モード」+「覚醒モード」)と、の3種類の電チューサポート機能を有する大当りがあり、そのうち、760回の電チューサポート機能が作動する大当りとなった場合に、「闘争モード(200回)」と「覚醒モード(560回)」とに分けて演出しているだけである。
「闘争モード」では、電チューサポート機能が100回で終了する場合と、200回で終了する場合と760回で終了する場合があるため、電チューサポート機能が作動してから100回目の変動、電チューサポート機能が作動してから200回目の変動、電チューサポート機能が作動してから760回目の変動では、電チューサポート機能が終了するか継続するかを煽る演出を行うようにことで、遊技者に対して有利な状態が継続するかどうかの期待感を与えることができる。このような煽り演出は、電チューサポート機能が終了する最終変動で行うだけでなく、その手前の変動から最終変動に亘る複数変動において実行するようにしてもよい。また、電チューサポート機能が終了するタイミングとなる100回、200回、760回の全ての変動で同じ煽り演出を行っても良いし、異なる煽り演出を行っても良い。また、煽り演出が行われる変動回数がそれぞれ異なっていても良い。
次に、「覚醒モード」にて、560回の電チューサポート機能が作動する間に大当りに当選しなかった場合について説明する。より具体的には、通常状態にて第1始動入賞装置P710への入球によって行われる第1特別図柄に係る抽選(1/256)にて、760回の電チューサポート機能が作動する大当りに当選し、その大当り終了後に行われる760回の電チューサポート機能が作動する間に、第2始動入賞装置P720への入球によって行われる第2特別図柄に係る抽選(1/256)にて、1回も大当りに当選しなかった場合の状況である。
第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、大当り終了後(または、RAMクリア後)の低確率の状態で大当りに当選することなく760回の変動が行われた場合には、900回のB時短が作動するようになっている。第1実施例のぱちんこ遊技機Pの大当り確率MLは1/256(P)のため、B時短の作動回数n=760回は「2.5×P(2.5×256=640回)≦n(760回)≦3.0×P(3.0×256=768回)」の式を満たしており、同様に、B時短の時短回数N=900回は「0.4(0.4×256≒102回)×P≦N(900回)≦3.8×P(3.8×256=973回)」の式を満たしている。
図25は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)と時短との関係を示す図であり、「闘争モード」+「覚醒モード」にて760回の電チューサポート機能が作動する間に大当りに当選することなく760回の変動が終了した場合の様子を表すイメージ図である。
図25(1)は、A時短(低確率/高ベース状態である「闘争モード」+「覚醒モード」)が760回で終了した後、次変動の761回目から900回のB時短を作動させるパターンを示している。このように構成することで、A時短とB時短が連続的に作動させることができるため、実質的に、1560回(760回+900回)の電チューサポート機能が連続して作動する状況を作ることができる。また、A時短が終了してからB時短が開始するまでの間に通常状態が行われないため、出玉的に不利な状況が発生しないパターンとなる。
図25(2)は、A時短(低確率/高ベース状態である「闘争モード」+「覚醒モード」)が752回で終了した後、さらに8回の通常状態を実行した後、761回目から900回のB時短を作動させるパターンを示している。また、図25(3)は、A時短(低確率/高ベース状態である「闘争モード」+「覚醒モード」)が756回で終了した後、さらに4回の通常状態を実行した後、761回目から900回のB時短を作動させるパターンを示している。
図25(2)(3)のパターンでは、A時短が終了した後に一定回数の通常変動を挟んでからB時短を作動させるようになっているが、このようにA時短の終了からB時短の作動開始までの間で意図的に通常状態を行うようにすることで、B時短の開始タイミングをより明確に遊技者に分からせるようにすることができる。図25(1)のパターンでは、A時短とB時短とが連続して実行されるためA時短とB時短との切り替わりタイミングが分かり難くなるとの懸念が生じるが、図25(2)(3)では電チューサポート機能が作動しない通常状態を挟むことでこのような懸念が解消される。
ただし、A時短終了からB時短開始までの間の通常状態の実行回数を闇雲に多く設計するとなると、A時短とB時短との連続性が薄れ、遊技者に対する出玉的な不利益も大きくなる。そこで、図25(2)のように、A時短終了からB時短開始までの間に実行される通常状態の変動回数として、特図1保留の最大個数(4個)と特図2保留の最大個数(4個)との合計数である8回以下に定めるようにすることで、特図1保留と特図2保留が最大数まで保留されている場合には、8回の通常変動にて新たな始動口への入球を行うことなくB時短を作動させることができるようになる。このように構成することで、A時短開始からB時短終了までの間に通常状態を挟みつつ、かつ、通常状態により電チューサポート機能が作動しないことによる不利益を抑制することができる。
さらに、図25(3)のように、A時短終了からB時短開始までの間に実行される通常状態の変動回数として、特図2保留の最大個数(4個)である4回以下に定めるようにすることで、A時短終了時に特図2保留が最大個数の4個まで保留されている場合には、4回の通常状態を特図2保留の変動で乗り切ることができるようになっている。このように構成することで、A時短終了からB時短開始までの間の通常状態にて第1始動入賞装置P710への入球によって行われる第1特別図柄に係る抽選が行われないようにすることができる。具体的に、第1始動入賞装置P710への入球によって行われる第1特別図柄に係る抽選と、第2始動入賞装置P720への入球によって行われる第2特別図柄に係る抽選とでは、大当りとなった場合に高確率となる割合が第2特別図柄に係る抽選の方が高いため(第1特別図柄に係る抽選で大当りとなった場合に大当り終了後に高確率となる割合は5%、第2特別図柄に係る抽選で大当りとなった場合に大当り終了後に高確率となる割合は100%)、万が一、A時短終了からB時短開始までの間の通常状態にて第1特別図柄に係る抽選に当選してしまった場合には遊技者に対する不利益が甚大なものとなる。そのため、通常状態を特図2保留による第2特別図柄に係る抽選で乗り切れることができる図25(3)のパターンの方が、図25(2)のパターンよりも効果が大きい。
図25(2)(3)のパターンは、特図1保留の最大個数(4個)と特図2保留の最大個数(4個)を想定したものであるが、特図1保留と特図2保留の最大個数に応じて適宜変更可能である。例えば、特図1保留の最大個数が3個で、特図2保留の最大個数が2個に設計されたぱちんこ遊技機の場合、図25(2)のパターンにおいては、通常状態の回数を5回以下となるようにすれば良いし、図25(3)のパターンにおいては、通常状態の回数を2回以下となるようにすれば良い。つまり、A時短の実行回数を「P」、保留の上限個数(特図1保留の上限個数、または、特図2保留の上限個数、または、特図1保留の上限個数と特図2保留の上限個数との合計の個数)を「N」、B時短が実行されるまでの変動回数(作動回数n)を「M」としたとき、「P」の回数が「(M-N)≦P≦M」の関係を満たすようになっていれば適宜選択可能である。
以上のように、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、電チューサポート機能が作動する期間として、64回の高確率/高ベース状態(「最速ラッシュ」)と、100回の低確率/高ベース状態(「闘争モード」)、200回の低確率/高ベース状態(「闘争モード」)、760回の低確率/高ベース状態(「闘争モード」+「覚醒モード」)、900回の低確率/高ベース状態(B時短)と、を備えており、それぞれの状態における大当り期待度は以下のようになっている。
(1)164回の高確率/高ベース状態(「最速ラッシュ」)
64回で1/25.6が当選する確率=92.19%
(2)100回の低確率/高ベース状態(「闘争モード」)
100回で1/256が当選する確率=32.39%
(3)200回の低確率/高ベース状態(「闘争モード」)
200回で1/256が当選する確率=54.29%
(4)760回の低確率/高ベース状態(「闘争モード」+「覚醒モード」)
760回で1/256が当選する確率=94.89%
(5)900回の低確率/高ベース状態(B時短)
900回で1/256が当選する確率=97.05%
状態毎の電チューサポートの作動回数の関係は以下のようになり、
(5)>(4)>(3)>(1)>(2)
状態毎の大当り期待度の関係は以下のようになる。
(5)>(4)>(1)>(3)>(2)
つまり、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、通常状態において1回も大当りに当選することなく760回の変動が行われることで実行される900回のB時短中が、最も大当り期待度が高くなるようにすることで、長い変動回数に亘って大当りに当選しない嵌り状態を救済するための時短としての位置づけが強くなるように設計されている。また、低確率/高ベース状態の「闘争モード」+「覚醒モード」における大当り期待度を、高確率/高ベース状態の「最速ラッシュ」における大当り期待度よりも高く設計する、つまり、大当り後に高確率(「最速ラッシュ」)とならずに低確率(闘争モード)となった場合でも、高確率(「最速ラッシュ」)よりもさらに大当り期待度が高い遊技状態(「闘争モード」+「覚醒モード」)を設けることで、第1始動入賞装置P710への入球によって行われる第1特別図柄に係る抽選から高確率になり難い第1実施例のぱちんこ遊技機Pの遊技性に係るデメリットを緩和させることができる。
また、第1実施例のぱちんこ遊技機Pでは、A時短とB時短を利用した遊技性について説明したが、これにC時短を加える遊技性であっても良い。例えば、通常状態において、1/100で普通図柄に当選するように構成し、普通図柄に当選した場合には普通電動役物が第2始動入賞装置への入球が容易な状態となることで第2特別図柄に係る抽選を、「第2始動入賞装置への入球よる1回の変動+第2特別図柄に係る最大保留数の4個分の変動」の合計5回行うことができるように構成する。さらに、第2特別図柄に係る抽選でのみ、6回の電チューサポート機能が作動するC時短が実行される時短図柄が1/10の確率で当選するように構成する。これにより、通常時に1/100の確率で作動する普通図柄に当選することで5回の第2特別図柄に係る抽選を受けることができ、この5回の抽選において1/10の時短図柄に当選した場合には、6回の電チューサポート機能が作動することで、さらに、10回(「第2始動入賞装置への入球よる6回の変動+第2特別図柄に係る最大保留数の4個分の変動」)の第2特別図柄に係る抽選を受けることができる遊技性となる。また、第2特別図柄に係る10回の変動のいずれか、1/10の時短図柄に当選した場合には、再度、10回の第2特別図柄に係る抽選を受けることができるため、電チューサポート機能が作動し、かつ、第2特別図柄に係る抽選が受けられる有利な状態をループさせながら、1/319の大当りを待つことができる。これにより、通常状態においては、1/319の確率の大当りだけでなく、1/100とのより高い確率で当選する時短図柄に対する期待感が生まれる。なお、A時短である「最速ラッシュ」または「ENDバトル」中に時短図柄に当選した場合にはC時短を作動させずに、実行中の「最速ラッシュ」または「ENDバトル」を継続するのが望ましい。また、「ENDバトル」終了後、第2特別図柄に係る保留(最大4個)における変動では、1/10の確率の時短図柄に当選した場合に、6回のC時短が作動するため、有利な状態が終了した後の残り保留においてC時短への期待ができるといった救済的な遊技性も生まれる。
次に、通常状態からB時短が作動するまでの演出に関して説明する。
図26~図28は、通常状態におけるB時短の作動を示唆する演出の一例として、B時短が作動する変動回数までの残り変動回数が少なくなるほど装飾図柄の変動スピードがアップする様子を表したイメージ図である。
図26は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(1)の説明図1であり、演出表示装置の左上に「時短発動まで残り346回」との表示を行うことで、B時短が作動するまでの残りの変動回数を遊技者に報知する様子を表している。具体的に、第1実施例のぱちんこ遊技機PにおけるB時短が作動するまでの作動回数n=760回のため、図26は大当り終了後(または、RAMクリア後)から414回目の変動における演出となる。
図27は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(1)の説明図2であり、演出表示装置の左上に「時短発動まで残り50回」との表示が行われており、大当り終了後(または、RAMクリア後)から720回目の変動が行われている様子、また、中央の装飾図柄P801の裏側のキャラクタ画像P902により、装飾図柄P801の変動スピードがアップしている様子を表している。つまり、B時短が作動するまでの残り回数が50回を切った変動から、1回の変動における装飾図柄の変動スピードを速くすることで、B時短の作動が近づいていることを体感的に遊技者に分からせるような演出を行っている。このとき、主制御基板P40における第1始動入賞口P711への入球に基づいて行われる特図の変動パターンは変化しておらず、演出としての装飾図柄の変動のみが早くなるように構成されている。装飾図柄の変動スピードをアップさせる手法としては、変動速度を速く表示させるだけでも良いし、それに加えて、複数回の仮変動+仮停止を行うようにすることで目標であるB時短に近づいている様子をより視覚的に表すこともできる。また、特図の変動パターンは変化しない例を説明したが、これに限らず、限定頻度(パターンテーブル)を用いて特殊な変動パターンテーブルを参照して特図の変動パターンの変動時間そのものを短くすることで、よりリアリティのある切迫感を煽ることもできる。
図28は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(1)の説明図3であり、演出表示装置の左上に「時短発動まで残り?回」との表示が行われており、大当り終了後(または、RAMクリア後)から何回の変動が行われたのかが判断できない様子、また、装飾図柄P801の変動スピードがアップしている様子を表している。図28では、B時短が作動するまでの残り回数が明確に報知されていないが、図27と同様にB時短が作動するまでの残り回数に応じて装飾図柄P801の変動スピードを速くすることで、遊技者が視覚的にB時短までの残り回数を認識できるようにしている。つまり、遊技者は、装飾図柄P801の変動の速さに応じて、B時短が作動するまでの残り回数を予想しながら遊技を行うといった楽しみ方をすることができる。なお、この場合、演出表示装置の左上の「時短発動まで残り?回」との表示を行わないようにしても良い。また、B時短が作動するまでの残り回数が5回を切った時点で明確な残り回数を報知するようにしても良い。また、装飾図柄P801の変動スピードがアップするタイミングにて図27のキャラクタ画像P902を表示するようにしても良いし、表示しないようにしても良い。
次に、図29~図31は、通常状態におけるB時短の作動を示唆する演出の一例として、B時短が作動する変動回数までの残り回数が少ないときにリーチが成立すると、大当り、もしくは、B時短が作動する変動回数に到達、のいずれかの結果を表す演出を行う様子を表したイメージ図である。
図29は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(2)の説明図1であり、装飾図柄P801の変動中にキャラクタ画像P902により「リーチになればチャンスかも!?」との表示が行われており、装飾図柄P801によるリーチ成立が遊技者にとってチャンスとなる状況であることを表している。図29の状況は、図27と同様に、B時短が作動するまで残り50回の変動であり、図27と違ってB時短までの残り回数を明確に報知していない。つまり、遊技者からはB時短までの残り回数が明確に判断し難い状況となる。
図30は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(2)の説明図2であり、「8」図柄と「B」図柄との2つの図柄がリーチ(ダブルテンパイ)となっていることを表している。ここで、「8」図柄は、3つ揃うといずれかの大当りとなることを示唆する演出上の役割を担っており、「B」図柄は、3つ揃うと次の変動からB時短が作動することを示唆する演出上の役割を担っている。なお、装飾図柄の種類はこれに限定されない。特に、「B」図柄に関しては、大当りとは役割が異なり「B」図柄が3つ揃った(「BBB」)としてもB時短が作動するだけで大当りが実行するわけではないため、「B」図柄が3つ揃った際に遊技者が何かしらの大当りを期待してしまうとの誤解を招くおそれがある。この場合、例えば、ゾロ目の表示態様を採らずに特殊な表示態様によってB時短の作動を示唆するようにしても良い。具体的には、「ZTN」のようにバラバラの図柄組合せを採用することや、「6★6」のように図柄組合せの1つに特殊図柄を組み込むようなものを採用するのが好適である。なお、図29~図31を用いた具体例においては、便宜上、「BBB」の図柄組合せをB時短が作動することを示唆する図柄組合せとして説明する。
図31は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(2)の説明図3であり、「888」の図柄組合せと「BBB」の図柄組合せがバトルする様子が示されており、バトルの結果、どちらかの図柄組合せとなる確定する変動であることを表している。このとき、右上に表示された簡易装図P802はリーチ状態で変動表示されているため、メインの装飾図柄P801では、3つの図柄が揃った状態で表示されているが、実際にはリーチ状態で変動中であることが分かる。図31では、その後の演出により、「888」の図柄組合せと「BBB」の図柄組合せのいずれか一方の図柄組合せが確定的に表示され、「888」の図柄組合せの場合には大当りであることを報知する一方、「BBB」の図柄組合せの場合には次変動からB時短が作動することを報知するようになっている。すなわち、特定回数以降の遊技(本例では、B時短が作動するまでの残り50回)では、演出上の特殊な遊技状態として設定されており、この期間では、当りとなった場合において当りが確定的に示唆する演出が選ばれ易くなっており、結果として、この期間では当りが確定的に示唆する演出が行われ易くなっている。
このように、B時短までの残り回数が明確に報知されない状況においては、装飾図柄のリーチが成立した時点で、大当り、もしくは、B時短の作動が確定する特殊な遊技状態を設けることで、「リーチ成立=大当り」以外の楽しみを遊技者に提供することができる。
また、図29~図31のイメージ図においては、特殊な遊技状態(「リーチ成立=大当り又はB時短」)であることを示唆する演出を行っていないが、例えば、B時短が作動する変動回数までの残り変動回数が50回となってからB時短が作動する最終変動までの間、「チャンスゾーン」のような表記を継続して表示し続けることで、現在の変動が特殊な遊技状態であることを遊技者に報知するようにしても良い。また、リーチ成立により、大当りとB時短のいずれかの結果となる例を説明したが、これに限らず、C時短の結果となる状況を選択的に組合せても良い。
次に、図32、図33は、通常状態におけるB時短の作動を示唆する演出の一例として、B時短が作動する変動回数までの残り回数を、所定の契機に事後的に示唆する演出を行う様子を表したイメージ図である。
図32は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(3)の説明図1であり、右下のゲージ表示によって、B時短が作動するまでの残りの変動回数をアバウトに示唆する様子を表している。図32の状況は大当り終了後(または、RAMクリア後)から600回目の変動であり、残り160回でB時短が作動する状況となっているが、右下のゲージ表示においては50%しかゲージが蓄積されていないため、実際のB時短までの残りの変動回数よりも少ない印象を遊技者に与えるような演出が行われていることになる。
図33は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における時短の作動を示唆する演出(3)の説明図2であり、中央の装飾図柄P801がリーチ状態から外れの図柄組合せにて停止表示され、下部には「ゲージUP」との表示が行われることで右下のゲージ表示が50%から75%にアップする様子を表している。図33の状況は、リーチ状態から外れとなる状況(つまり、遊技者にとってマイナスの状況)を契機として、B時短が作動するまでの残りの変動回数を示唆するゲージを、実際の残りの変動回数に向けて調整する演出を行っている。ゲージをUPさせる契機としては、遊技者が負の感情を抱くような状況(リーチ後に外れた状況、所定回数の変動まで大当りとならない状況、特図1保留が最大の4個まで保留されている状態でさらに特図1始動口に入球した、等)を採用するのが好適であるが、これに限定されず、例えば、大当り終了後(または、RAMクリア後)から500回転~520回転、600回転~620回転、等の特定の変動回数の間のみ、ゲージが蓄積される特殊な演出区間として設けるようにしても良いし、その区間では他の区間よりもよりゲージが蓄積され易い区間として位置付けるようにして良い。また、これらの特殊な演出区間を識別するように演出しても良いし(例えば、「ゲージUPし易いチャンスゾーン」等の表示を行う)、逆に、演出的な変化を行わずにゲージUPだけがし易い区間として、知識のある遊技者のみが楽しめる要素を持たせるようにしても良い。
また、大当り終了後(または、RAMクリア後)から常時ゲージを表示するようにしてもよいし、B時短までの残りの変動回数が所定回数以下となったときからゲージを表示するようにしてもよい。前者の場合、遊技者は常に表示されるゲージからB時短までの残りの変動回数を予想しながら遊技を行う楽しみを提供することができ、後者の場合、ゲージが表示されたタイミングで既にB時短までの残りの変動回数が少ないため、間近に迫るB時短までの変動に対してより緊張感を与えることができる。
また、C時短を搭載したぱちんこ遊技機においては、ゲージが途中まで蓄積されている状況でC時短に当選した場合、その変動で一気にゲージを100%にするような演出を行っても良い。つまり、ゲージによって示唆される情報として、B時短だけでなくC時短も兼用させることもできる。
また、大当りの種類として、大当り終了後に、低確率/高ベース状態となるA時短が付与される大当り(第1大当り)と、大当り終了後に、高確率/高ベース状態となるA時短が付与される大当り(第2当り)があり、いずれの場合でも、大当り中及びA時短中には同じ演出が実行されるような遊技性においては、本例がより好適に作用する。具体的に、このような遊技性の場合、遊技者からすると、第1大当りに当選したのか第2大当りに当選したのかを演出から判断することが困難であり、さらに、大当り終了後に、低確率/高ベース状態のA時短が実行されるのか高確率/高ベース状態のA時短が実行されるのかを演出から判断することも困難となる。このような遊技性においては、第1大当り終了後の場合、低確率状態に移行することにより、第1大当り終了後からB時短までの変動回数(作動回数n)のカウントが開始されるため、第1大当り終了後は「760回転」の変動が行われることでB時短が作動することになるが、第2大当り終了後の場合、高確率状態に移行することにより、第2大当り終了後に高確率/高ベース状態のA時短が終了した後からB時短までの変動回数(作動回数n)がカウントされることになるため、第2大当り終了後は「A時短の回数+760回転」が行われることでB時短が作動することになる。つまり、大当り終了後からB時短が作動するまでに必要な変動回数(作動回数n)が分からない状況において、B時短までの残り回数を示唆する演出を行うことで、遊技者はB時短までの残りの変動回数を予測しながら遊技を行うことが可能となる。
次に、通常状態における装飾図柄の変動表示態様について説明する。
図34は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における装飾図柄の変動停止順を表す説明図1であり、矢印は1つの装飾図柄を構成する複数のオブジェクトのそれぞれにおける変動方向を示している。なお、矢印とオブジェクトとの対応関係は以下の通りであり、変動中は中の装飾図柄に関しては数字オブジェクトしか表示されていない。また、アルファベットのA~Eは変動停止順を表している。
A、左の装飾図柄を構成する数字オブジェクト
B、左の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクト
C、右の装飾図柄を構成する数字オブジェクト
D、右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクト
E、中の装飾図柄を構成する数字オブジェクト
図35は、第1実施例のぱちんこ遊技機の通常遊技中(低確率/低ベース中)における装飾図柄の変動表示から変動停止までを示す図である。図34の変動停止順を表すアルファベット(A~E)を用いて装飾図柄を構成する複数のオブジェクトの変動停止時の様子を説明する。
初めに、図35(1)では、Aの変動方向に変動表示されていた左の装飾図柄を構成する数字オブジェクトが停止表示する。次に、図35(2)では、Bの変動方向に変動表示されていた左の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトが停止表示する。次に、図35(3)では、Cの変動方向に変動表示されていた右の装飾図柄を構成する数字オブジェクトが停止表示する。次に、図35(4)では、Dの変動方向に変動表示されていた右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトが停止表示する。次に、図35(5)では、Eの変動方向に変動表示されていた中の装飾図柄を構成する数字オブジェクトが停止表示する。最後に、図35(6)では、既に停止表示されていた、左の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトと、右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトとが、中の装飾図柄を構成する数字オブジェクトに接近するように移動することで、最終的に中の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトとなって中の装飾図柄を構成する数字オブジェクトとともに一体となって停止表示される。
このように、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける通常状態での装飾図柄の変動表示中においては、左の装飾図柄を構成する数字オブジェクトとキャラクタオブジェクトとが異なる変動方向にてそれぞれバラバラに変動表示される特徴を有している。このように構成することで、数字オブジェクトとキャラクタオブジェクトとが一体に形成された一般的な装飾図柄の変動表示中と異なり、最終的にどの装飾図柄が停止するのかを分かり難くさせることができるため、変動が停止する最後まで期待感を煽ることができるようになる。
また、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおける通常状態での装飾図柄の変動停止表示においては、中図柄を構成するオブジェクトとして数字オブジェクトしか有していない点にも特徴を有している。停止表示に際して左右のキャラクタオブジェクトと合わさることで中の装飾図柄を構成するようにしているため、数字とキャラクタが一体に構成される従来の装飾図柄の図柄組合せと比べてバラエティに富んだ変動停止表示を行うことができる。つまり、最終的に停止表示される中の装飾図柄の組合せとしては、「左の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトの数×右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトの数」となるため、従来よりも奥深い演出が可能となる。
また、より特徴的なのが、図35(4)が示すように、左右で同じ数字オブジェクトにも関わらず、異なるキャラクタオブジェクト割り当てられている点にある。具体的には、以下の対応関係となっている。
(左の装飾図柄)
「1」+キャラクタA
「2」+キャラクタB
「3」+キャラクタC
「4」+キャラクタD
「5」+キャラクタF
「6」+キャラクタG
「7」+キャラクタH
「8」+キャラクタI
(右の装飾図柄)
「1」+キャラクタJ
「2」+キャラクタK
「3」+キャラクタL
「4」+キャラクタM
「5」+キャラクタN
「6」+キャラクタO
「7」+キャラクタP
「8」+キャラクタQ
つまり、リーチ後に外れとなった場合の中図柄を構成するキャラクタオブジェクトは、「左の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトの数(8)×右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトの数(8)」の合計64種類にも亘る。
ここで、左の装飾図柄のキャラクタAと右の装飾図柄のキャラクタJ、左の装飾図柄のキャラクタBと右の装飾図柄のキャラクタK、左の装飾図柄のキャラクタCと右の装飾図柄のキャラクタL、左の装飾図柄のキャラクタDと右の装飾図柄のキャラクタM、左の装飾図柄のキャラクタEと右の装飾図柄のキャラクタN、左の装飾図柄のキャラクタFと右の装飾図柄のキャラクタO、左の装飾図柄のキャラクタGと右の装飾図柄のキャラクタP、左の装飾図柄のキャラクタHと右の装飾図柄のキャラクタQ、とは関連性のあるキャラクタにて構成するのが望ましい。つまり、左右の装飾図柄の同じ数字オブジェクトに対しては、ぱちんこ遊技機Pのコンセプトとなる作品上において関係性(兄弟、親子、友人、ライバル、同じチーム、等)のあるキャラクタを配置することで、左右の数字オブジェクトがリーチになった場合や、最終的に左中右の3つの図柄(この場合、数字オブジェクト)がゾロ目で停止表示され大当りとなった場合に、左右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトが中の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトとして停止表示された際の見栄えが良くなる。特に、ぱちんこ遊技機Pのコンセプトとなった作品を知っている遊技者であるほど、楽しみ方は大きくなる。
また、図35(5)(6)では、中の装飾図柄を構成する数字オブジェクトが停止後、左右の装飾図柄のキャラクタオブジェクトが表示態様を変化しないまま表示位置だけを移動する例を説明したが、これに限らず、左右の装飾図柄のキャラクタオブジェクトが中図柄を構成する位置に移動するに伴って表示態様を変化させるようにしても良い。具体的には、キャラクタが座った状態から立った状態に変化させたり、キャラクタのポーズを変化させたり、といった内容が考えられる。このように、左右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトの表示態様(変動中)と、中の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトとの表示態様(変動停止)を変えることで、表示されたキャラクタオブジェクトがどの装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトであるのかを識別し易くなる。
また、擬似変動(擬似連)に伴う仮停止の際は、左右の装飾図柄のキャラクタオブジェクトを中図柄の位置に移動させず、中図柄の位置には疑似変動を行うことを示唆する専用の図柄を表示した後に再変動を行うように構成されている。このようにすることで、実際の変動停止時の装飾図柄の表示態様と混同しないようにすることができる。
図34、35は、通常状態における装飾図柄の変動表示態様として説明したが、通常状態における全状態でこのような変動表示態様を採用する必要はなく、一部の演出ステージでのみ採用されるようにしも良いし、また、通常状態(低確率/低ベース中)だけでなく低確率/高ベース中や、高確率/低ベース中や、高確率/高ベース中、のいずれの遊技状態における装飾図柄の変動表示態様として採用しても問題ない。また、この場合、一の演出ステージではこれまでに説明した装飾図柄の変動表示態様にて変動が行われ、他の演出ステージでは左中右の装飾図柄を構成する数字オブジェクトとキャラクタオブジェクトが同じ表示態様で構成されるようにすることで、一の演出ステージでは左右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトが異なる状況でリーチが形成され、他の演出ステージでは左右の装飾図柄を構成するキャラクタオブジェクトが同じ状況でリーチが形成されることになるため、一の演出ステージにおける装飾図柄の変動表示態様の特異さを引き立たせることができる。
また、装飾図柄の変動表示態様が採用されている期間であっても、左中右の全ての装飾図柄を、数字オブジェクトとキャラクタオブジェクトで構成されるような特殊な変動があってもよい。
次に、通常状態におけるリーチ演出の一例について説明する。
図36は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出の演出フローを示す図であり、装飾図柄がリーチ状態となった後に実行されるリーチ演出の1つであるバトルリーチに関する演出フローである。
まず、装飾図柄がリーチとなった後、複数のリーチ演出のうち、必殺ミッションP1100が実行された場合には、演出上のクリア条件が提示されるミッション演出が実行され、ミッションに成功した場合には1個から3個の「必殺」を演出表示装置にストックする。一方、ミッションに失敗した場合にはリーチ演出は終了となり、装飾図柄が外れの図柄組合せで停止表示される。
次に、必殺ミッションP1100で1個以上の「必殺」をストックした場合(つまり、ミッション演出に成功した場合)には、味方キャラクタが敵キャラクタとバトルを行うリーチ演出であるバトルリーチが実行される。バトルリーチは、前半、中盤、後半の3つのパートで構成され、P1100でストックされた「必殺」を使用することで敵キャラクタを倒すことを目的としたリーチ演出が行われる。よって、P1100で「必殺」を1個ストックするよりも、3個ストックした方がバトルリーチにおける勝利期待度(大当り期待度)は高くなる。
次に、バトルリーチ前半P1110では、P1100で「必殺」を3個ストックしていた場合、P1120で演出表示装置にストックされた「必殺」を使用することで、味方キャラが必殺技を繰り出す演出が行われる。ここで、味方キャラクタが繰り出した必殺技により敵キャラクタを倒した場合には大当りとなり、倒すことができなかった場合にはバトルリーチ中盤P1130に進む。
次に、バトルリーチ中盤P1130では、P1100で「必殺」を3個ストックしていた場合、もしくは、2個ストックしていた場合、P1140で演出表示装置にストックされた「必殺」を使用することで、味方キャラが必殺技を繰り出す演出が行われる。ここで、味方キャラクタが繰り出した必殺技により敵キャラクタを倒した場合には大当りとなり、倒すことができなかった場合にはバトルリーチ後半P1150に進む。
次に、バトルリーチ後半P1150では、P1100で「必殺」を3個ストックしていた場合、もしくは、2個ストックしていた場合、もしくは、1個ストックしていた場合、P1160で演出表示装置にストックされた「必殺」を使用することで、味方キャラが必殺技を繰り出す演出が行われる。ここで、味方キャラクタが繰り出した必殺技により敵キャラクタを倒した場合には大当りとなり、倒すことができなかった場合にはバトルリーチが終了となり、装飾図柄が外れの図柄組合せで停止表示される。また、バトルリーチ後半においてのみ、一度外れの図柄組合せで仮停止された後に、復活演出を経て当りとなる復活演出が実行されるパターンを有している。また、バトルリーチ後半においてのみ、P1170で大当たり期待度を示唆するカットイン演出が実行される場合があり、カットイン演出が実行された場合には、仮に、P1100にて「必殺」を1個しかストックできなかったとしても、P1100にて「必殺」を3個ストックされP1170でカットイン演出が実行されない場合よりも大当り期待度が高くなるように構成されている。P1100で「必殺」を1個しかストックしていない場合、バトルリーチ後半のタイミングで必ず「必殺」が使用される。
また、バトルリーチ中盤P1130からバトルリーチ後半P1150に移行する際、バトルリーチ後半P1150よりも大当り期待度の高いFゾーンP1180に移行する場合がある。Fゾーンに移行した場合でも、バトルリーチ後半と同様に敵キャラクタとのバトルが行われているため、P1190のタイミングで「必殺」を使用することで、味方キャラが必殺技を繰り出す演出が行われる。ここで、味方キャラクタが繰り出した必殺技により敵キャラクタを倒した場合には大当りとなり、倒すことができなかった場合にはバトルリーチが終了となり、装飾図柄が外れの図柄組合せで停止表示される。また、バトルリーチ後半の場合と同様に、F―ZONEを経由した場合でも、一度外れの図柄組合せで仮停止された後に、復活演出を経て当りとなる復活演出が実行されるパターンを有している。
次に、図37~図47は、図36で説明したバトルリーチのイメージ図であり、図36の各タイミングにおける演出内容を具体的に説明する。
まず、図37は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図1であり、図36の必殺ミッション中の演出を表している。図37では、演出上のミッション演出に成功し、3個の「必殺」が画面左にストックされた状況となる。ストックされる「必殺」の種類は大当り期待度に応じて複数あり、図37では、「必殺弱」「必殺強」の2種類がストックされているが、この他に複数種類あっても良い。「必殺」のストック時の表示態様としては、ストックの獲得順に並べて表示しても良いし、大当り期待度順に並べて表示しても良い。
次に、図38は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図2であり、バトルリーチの開始時の様子を表している。図38では、ストックされた「必殺」を使用して敵を100人倒すことができれば大当りとなることがガイダンス的に遊技者に示唆されている。
次に、図39は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図3であり、バトルリーチ前半にて、1つ目にストックされた「必殺弱」を使用して味方キャラクタが敵キャラクタを攻撃し、大当りとなる演出上の条件である100人を倒すことができた様子を表している。この時、使用された「必殺」は1個のため、の残りの2個は未使用のままとなる。
図40は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図4であり、図39の後、装飾図柄が大当りの図柄組合せにて停止表示される様子を表している。
次に、図41は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図5であり、バトルリーチ前半にて、1つ目にストックされた「必殺弱」を使用して味方キャラクタが敵キャラクタを攻撃したものの、大当りとなる演出上の条件である100人を倒すことができなかった様子を表している。この場合、残りの「必殺」がストックされた状態でバトルリーチ中盤に進む。
次に、図42は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図6であり、バトルリーチ前半にて、2つ目にストックされた「必殺弱」を使用して味方キャラクタが敵キャラクタを攻撃したものの、大当りとなる演出上の条件である100人を倒すことができなかった様子を表している。この場合、残りの「必殺」がストックされた状態でバトルリーチ後半に進む。図示しないが、ここで大当りとなる演出上の条件である100人を倒すことができた場合には、図40と同様に、装飾図柄が大当りの図柄組合せにて停止表示される。
次に、図43は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図7であり、バトルリーチ後半にて、3つ目にストックされた「必殺強」を使用して味方キャラクタが敵キャラクタを攻撃し、大当りとなる演出上の条件である100人を倒すことができた様子を表している。その後、図40と同様に、装飾図柄が大当りの図柄組合せにて停止表示される。
図44は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図8であり、図43のバトルリーチ後半にて、3つ目にストックされた「必殺強」を使用して味方キャラクタが敵キャラクタを攻撃したものの、大当りとなる演出上の条件である100人を倒すことができなかった様子を表している。
図45は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図9であり、図44の後、装飾図柄が外れの図柄組合せにて停止表示される様子を表している。
次に、図46は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図10であり、バトルリーチ後半にて、図36のP1170のカットイン演出が実行され、3つ目にストックされた「必殺強」を使用して味方キャラクタが敵キャラクタを攻撃し、大当りとなる演出上の条件である100人を倒した様子を表している。
次に、図47は、第1実施例のぱちんこ遊技機のリーチ演出を表す説明図11であり、図36のP1180のFゾーンが実行され、3つ目にストックされた「必殺強」を使用して味方キャラクタが敵キャラクタを攻撃し、大当りとなる演出上の条件である100人を倒した様子を表している。
バトルリーチ全体における演出要素のうち、大当り期待度が高い順に並べると、「Fゾーン」>「カットイン」>「必殺のストック数」となる。つまり、「必殺のストック数」が1個の状況にてバトルリーチに移行するよりも、「必殺のストック数」が3個の状況にてバトルリーチに移行した方が、相対的に大当り期待度が高くなる。一方、「必殺のストック数」が3個の状況にてバトルリーチ後半でカットインが実行されないよりも、「必殺のストック数」が1個の状況にてバトルリーチ後半でカットインが実行された方が、相対的に大当り期待度が高くなる。一方、「必殺のストック数」が3個の状況にてバトルリーチ後半でカットインが実行されよりも、「必殺のストック数」が1個の状況にてバトルリーチ後半に移行せずにFゾーンに移行した方が、相対的に大当り期待度が高くなる。
このように、第1実施例のぱちんこ遊技機Pにおけるリーチ演出の1つであるバトルリーチでは、バトルリーチの開始前にストックされた「必殺」のストック数と同じ数だけ、大当りか否かを確定的に報知する当落演出が実行されるため、最後のタイミングでのみ当落演出が行われる一般的なリーチ演出とは一線を画す演出となっている。このように構成することで、ストックされた「必殺」の数だけ大当りを確定的に報知するタイミングが増えるため、長尺のリーチ演出を冗長にならないようにすることができる。また、複数の「必殺」がストックされた状態、つまり、複数回のチャンス演出が実行されるのが確定的な状況において、ストックされた全ての「必殺」を使用しないまま大当りを報知するパターンを有することで、遊技者の予想を反した大当り報知を行うことができる。
[第2実施例]
第2実施例のぱちんこ遊技機Pは、上述の前提技術を基本構成とする他、種々の特徴的な構成を有する。以下、前提技術との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。第2実施例のぱちんこ遊技機を構成する要素のうち、前提技術で説明した要素と同一または対応する要素には同一の符号を付して説明する。
第2実施例は、「小当たりV(1種2種混合機)」タイプの遊技機仕様であり、盤面の基本構造は図1を用いて説明する。
図48は、第2実施例のぱちんこ遊技機の遊技フローを示す図である。通常遊技状態は低確率/低ベース状態となっており、第1始動入賞装置P710への入球によって行われる第1特別図柄に係る抽選にて、1/319の確率の大当りに当選することで大当り遊技状態に移行する。
第1特別図柄に係る抽選で大当りとなった場合には、大当り図柄に応じて、4ラウンドの「Rバトルボーナス」と、7ラウンドの「Rバトルボーナス」のいずれかが実行され、4ラウンドの「Rバトルボーナス」終了後は高確率状態に移行し、7ラウンドの「Rバトルボーナス」終了後は通常状態となる。4ラウンドの「Rバトルボーナス」と7ラウンドの「Rバトルボーナス」との当選割合は50%:50%となる。
4ラウンドの「Rバトルボーナス」終了後は、電チューサポート機能が1回だけ作動する「バウンティラッシュ」が実行され、第2特別図柄に係る抽選にて、1/1の確率の小当たりに当選することで実行される小当たり遊技中の特定領域(V領域)への入球を契機に9ラウンドの大当りが実行される。第2実施例のぱちんこ遊技機Pでは、第2特別図柄に係る最大保留数が3個に設定され、かつ、小当たり中に右打ちすることでほぼ確実に特定領域(V領域)に入球するように構成されているため、「バウンティラッシュ」中の電チューサポートの作動による第2特別図柄の変動と、第2特別図柄の保留3個に係る変動との、合計4回の変動の全てで小当たり+9ラウンドの大当りが期待できる。
「バウンティラッシュ」中の小当たり+9ラウンドの大当りは2種類あり、大当り終了後に電チューサポートが作動する「バウンティボーナス」に当選した場合には、大当り終了後に再度「バウンティラッシュ」に移行し、大当り終了後に電チューサポートが作動しない「ENDボーナス」に当選した場合には、大当り終了後は通常状態に移行し、一連の有利な状態が終了する。つまり、「バウンティラッシュ」中の電チューサポートの作動による第2特別図柄の変動と、第2特別図柄の保留3個に係る変動との合計4回の変動のいずれかで「バウンティボーナス」に当選した場合には再度の「バウンティラッシュ」が継続し、合計4回の変動の全てが「ENDボーナス」に当選した場合には通常状態に移行する遊技性となる。
通常状態において1/50の時短図柄に当選すると、C時短の「ALIVEゾーン」に移行する。「ALIVEゾーン」では、時短図柄の種類に応じて10回、20回、30回のいずれかの電チューサポート機能が作動する。第2実施例のぱちんこ遊技機Pでは、電チューサポート機能が作動している状態にて第1特別図柄に係る抽選にて大当りに当選した場合には、必ず、電チューサポート機能が作動する状態に移行するようになっているため、「ALIVEゾーン」中に第1特別図柄に係る抽選にて、1/319の確率の大当りに当選すると、4ラウンド又は7ラウンドの「ラッシュボーナス」が行われ、「ラッシュボーナス」終了後には、必ず、電チューサポート機能が作動する「バウンティラッシュ」に移行する。つまり、通常状態では、第1特別図柄に係る抽選にて1/319の確率の大当りに当選し、かつ、「Rバトルボーナス」となる特別図柄に当選していた場合に「バウンティラッシュ」に移行するパターンと、第1特別図柄に係る抽選にて1/50の時短図柄に当選することで移行する10~30回の「ALIVEゾーン」中に1/319の確率の大当りに当選した場合に「バウンティラッシュ」に移行するパターンと、の2つの移行ルートを備えている。時短図柄及び電チューサポート機能が作動する回数は上記に限定されない。
ここで、「ALIVEゾーン」は、電チューサポート機能が作動する状態であることを説明したが、電チューサポート機能を構成する3つの機能(普通図柄確変、普通図柄時短、(普通電動役物の)開放延長)のうち、普通図柄確変と普通図柄時短は作動しておらず、また、普通電動役物の開放延長に関しても通常状態と比べてわずかに開放し易い程度の機能しか有していないため、内部的には電チューサポート機能が作動した状態ではあるが、本質的には電チューサポート機能としての役割は果たしておらず、第1始動入賞装置P710への入球によって行われる第1特別図柄に係る抽選を行うのが主の遊技状態となる。
図49は、第2実施例のぱちんこ遊技機の時短と遊技状態との関係を示す図であり、第2実施例のぱちんこ遊技機Pにおける電チューサポート機能と遊技状態との関係を表したイメージ図である。
第2実施例のぱちんこ遊技機Pは、普通図柄が2種類あり、それぞれの当選確率は、普通図柄1が99/100、普通図柄2が1/100となっている。また、電チューサポート機能」を構成する3つの機能のうち、普通電動役物の開放延長に関する状態として、普通電動役物がショート作動するパターンと普通電動役物がロング作動するパターンとの2つの開放パターンを備えている。ショートとは、遊技球が第2始動入賞装置への入球が困難な程度に普通電動役物が作動する時間であり、ロングとは、遊技球が第2始動入賞装置への入球が容易な程度に普通電動役物が作動する時間である。
通常状態は、99/100の確率の普通図柄1と、1/100の確率の普通図柄2と、のいずれの普通図柄が当選した場合でも普通電動役物がショート作動する状態のため、第2始動入賞装置に遊技球が入賞させることはできない状態となる。C時短(「ALIVEゾーン」)は、99/100の確率の普通図柄1に当選した場合は普通電動役物がショート作動され、1/100の確率の普通図柄2と、のいずれが当選した場合には普通電動役物がロング作動される状態のため、第2始動入賞装置に遊技球が入賞させるのは極めて困難な状態となる。A時短(「バウンティラッシュ」)は、99/100の確率の普通図柄1と、1/100の確率の普通図柄2と、のいずれの普通図柄が当選した場合でも普通電動役物がロング作動する状態のため、第2始動入賞装置に遊技球を入賞させるのが容易な状態となる。つまり、C時短である「ALIVEゾーン」は、通常状態と比べて普通電動役物がロング作動する確率(通常状態:0/100、C時短:1/100)がわずかに増えている点において、電チューサポート機能が作動していると言えるが、実質的な出玉性能の差はほぼない状態であることが分かる。ただし、通常状態において第1特別図柄に係る抽選にて1/319の確率の大当りに当選した場合には50%の確率でしか有利な状態である「バウンティラッシュ」に移行しないが、C時短である「ALIVEゾーン」において第1特別図柄に係る抽選にて1/319の確率の大当りに当選した場合には100%の確率で有利な状態である「バウンティラッシュ」に移行する点で、通常状態よりもC時短の方がはるかに有利な状態であると言える。
このように、通常状態と比較して、電チューサポート機能においてほとんど差を持たない一方で、大当りとなった場合には通常状態よりも電チューサポート機能が作動する可能性が高い役割(以下、チャンスゾーン)を有するC時短を設けることで、大当りに当選するのを待つだけの通常状態において、今の遊技状態で大当りとなれば通常状態よりも有利度合いが高くなるといった特殊な遊技状態を作ることができる。
また、これにより、通常状態においては、大当りに当選する以外にも、C時短に移行する時短図柄に当選することにも期待できる遊技性が構築されるため、例えば、「大当りに当選するか、または、時短図柄に当選するかを同時に煽るようなリーチ演出」や「大当りを示唆するリーチ演出が失敗した後に、復活演出の要領で、実際は時短図柄に当選していたことを報知するような演出」を行うのが望ましいが、これに限らず時短図柄の当選のみを示唆する専用の演出を行うようにしても良い。
C時短の「ALIVEゾーン」中は、「ALIVEゾーン」であることを示唆する演出だけでなく、今の遊技状態で大当りとなれば「バウンティラッシュ」に移行することが確定的であることを明確に報知するような演出を行うようにしても良い。また、いずれの時短図柄に当選したのかを当選に際して報知するようにしても良いし、10回目と20回目に「ALIVEゾーン」が継続するか否かを報知する演出を行っても良い。
また、C時短の「ALIVEゾーン」中に、さらに時短図柄に当選した場合には、新たに当選した時短図柄に基づく「ALIVEゾーン」を上書きして実行しても良いし、新たに当選した時短図柄に基づく「ALIVEゾーン」を実行しないようにしても良い。もしくは、実行中の「ALIVEゾーン」が終了した後に、新たに当選した時短図柄に基づく「ALIVEゾーン」の残り回数を実行するようにしても良い。A時短とB時短との関係についても、上述の記載のとおり適宜変更して採用可能である。
また、図48にて説明した第2実施例のぱちんこ遊技機Pに関する遊技フローでは、C時短のみをチャンスゾーンの役割として位置づけたが、A時短やB時短を用いて同様の遊技性を構築してもよい。具体的に、図48を例に説明すると、通常状態において第1特別図柄に係る抽選にて大当りとなった場合は、必ず、A時短のチャンゾーンに移行するようにし、A時短のチャンスゾーン中に、再度、第1特別図柄に係る抽選にて大当りとなった場合に、「バウンティラッシュ」に移行させるような遊技性でも良い。A時短のみをチャンスゾーンとして利用しても良いし、C時短のみをチャンスゾーンとして利用しても良いし、A時短とC時短の両方をチャンスゾーンとして利用しても良い。また、言うまでもなくB時短をチャンスゾーンとして利用しても良く、遊技性に応じて適宜組み合わせることが可能である。
また、第2実施例のぱちんこ遊技機Pは、「小当たりV(1種2種混合機)」タイプの遊技機仕様を例に説明したが、V確変やST等のいずれの遊技性に対して適用させても何ら問題ない。