JP7243907B1 - 物理量推定システム、近似関数生成装置、物理量推定装置、プログラム、記録媒体および物理量推定方法 - Google Patents

物理量推定システム、近似関数生成装置、物理量推定装置、プログラム、記録媒体および物理量推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複合材料に対する物理量の値を高精度に推定する。【解決手段】第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した第1特性値とに基づいて算出された第1合成特性値だけでなく、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合情報も近似関数の入力パラメータ(説明変数)に使用して、第1複合材料に対する物理量の値(目的変数)を推定する。【選択図】図7

Description

本発明は、物理量推定システム、近似関数生成装置、物理量推定装置、プログラム、記録媒体および物理量推定技術に関し、例えば、樹脂複合材料の配合割合に応じた物理量の値を推定する技術に適用して有効な技術に関する。
特開2018-156689号公報(特許文献1)には、人工知能を活用して、複合材料の物性を推定する技術が記載されている。
特開2018-156689号公報
近年、複数種類の樹脂や配合剤を複合化することにより、樹脂自体の特性に新たな性能を付与した複合材料が開発されている。この点に関し、新規な複合材料の開発には、複合材料が所望の特性を有するまで各組成物の組成比を調整しながら材料開発を行う必要がある。このことから、複合材料の開発には、膨大なコストがかかる。したがって、複合材料開発の効率化を図る観点から、実験計画段階で実験すべき複合材料の物理量をある程度推定できることが望ましい。ところが、例えば、電線被覆材料用の複合材料は、配合剤の種類が多く、また、配合組成比によって物理量の値が大きく変化することがある。このことから、複合材料に対する物理量の値を推定することは難しい。以上のことから、複合材料に対する物理量の値を高精度に推定できる技術が望まれている。
一実施の形態における物理量推定システムは、複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムである。この物理量推定システムは、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部と、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出部と、第1合成特性値と第1配合情報と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する物理量推定部と、を備える。
一実施の形態における近似関数生成装置は、複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムの構成要素となる近似関数生成装置である。この近似関数生成装置は、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部を備える。ここで、第1合成特性値は、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した第1特性値とに基づいて算出される値である。
一実施の形態におけるプログラムは、複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。このプログラムは、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成処理を備える。ここで、第1合成特性値は、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した第1特性値とに基づいて算出される値である。
一実施の形態における物理量推定装置は、複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムの構成要素となる物理量推定装置である。この物理量推定装置は、物理量の値が未知である第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出部と、第1合成特性値と第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定部と、を備える。ここで、近似関数とは、第1合成特性値および第1配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する関数である。
一実施の形態におけるプログラムは、複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。このプログラムは、物理量の値が未知である第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出処理と、第1合成特性値と第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定処理と、を備える。ここで、近似関数とは、第1合成特性値および第1配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する関数である。
一実施の形態における物理量推定方法は、複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値をコンピュータが推定する物理量推定方法である。この物理量推定方法は、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数をコンピュータの近似関数生成部が生成する近似関数生成工程と、コンピュータの合成特性値算出部が第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出工程と、コンピュータの物理量推定部が第1合成特性値と第1配合情報と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定工程と、を備える。
一実施の形態によれば、複合材料に対する物理量の値を高精度に推定できる。
物理量推定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 物理量推定装置の機能を示す機能ブロック図である。 近似関数を生成するための機械学習を説明する図である。 近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。 評価対象の複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。 物理量推定システムを物理量推定装置と近似関数生成装置から構成する例を示す機能ブロック図である。 近似関数を生成するための機械学習を説明する図である。 近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。 評価対象の複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。 具体例における配合データと物理量データとを組み合わせたデータを示す表である。 具体例における合成関連データを示す表である。 物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料の第1配合データを示す表である。 具体例における第1合成特性値を含むデータを示す表である。 具体例において物理量の値の推定結果を示す表である。 初期引張強さおよび初期伸びの検証結果を示すグラフである。 引張強さの老化残率の検証結果を示すグラフである。 引張強さおよび伸びの耐油残率に関する検証結果を示すグラフである。 引張強さおよび伸びの耐燃料残率に関する検証結果を示すグラフである。 低温伸びに関する検証結果を示すグラフである。
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(基本コンセプト)
本実施の形態における技術的思想は、複数種類の樹脂や配合剤を複合化した複合材料での配合割合に対応する物理量の値を推定する物理量推定システムに関する思想である。
ここで、複合材料は、例えば、樹脂や配合剤を含む電線被覆材料を挙げることができ、物理量としては、例えば、複合材料の伸びや引張強さを挙げることができる。
樹脂は、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンアクリル酸共重合体などのポリオレフィンや、塩素化ポリエチレンなどのエラストマである。一方、配合剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカなどのフィラー、可塑剤、架橋剤および安定剤を挙げることができる。ただし、複合材料を構成する樹脂や配合剤などの組成物の種類や数は、限定されるものではない。
なお、本実施の形態における技術的思想は、複数種類の樹脂や配合剤を複合化した複合材料だけでなく、複数種類の磁性体材料を複合化した複合材料にも適用可能であり、物理量としては、例えば、磁化率や磁場(磁界、磁束密度)の強さを挙げることができる。
<関連技術の説明>
まず、配合割合に対応する物理量の値を推定する物理量推定システムに関する関連技術について説明する。本明細書でいう「関連技術」とは、公知技術ではないが、本発明者が見出した課題を有する技術であって、本願発明の前提となる技術である。
例えば、物理量推定システムとして、複合材料を構成する構成材料の材料名と構成材料の配合割合を入力すると、この複合材料の物理量の値を出力する近似関数に基づいて、複合材料の物理量の値を推定する関連技術が考えられる。この関連技術では、例えば、構成材料の材料名および構成材料の配合割合とこの配合割合に対応する物理量の値が既知のデータを教師データとして、入力を材料名および配合割合とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成する。
ところが、関連技術では、物理量の値の推定対象が、近似関数を生成するために使用した教師データに含まれる構成材料に限定される。すなわち、近似関数を生成するために使用されなかった構成材料が、評価対象となる複合材料に含まれている場合、この複合材料の物理量の値の推定精度が低下する。なぜなら、関連技術では、近似関数の入力パラメータを構成材料の材料名としていることから、入力パラメータの合成を行うことができないからである。この点についてわかりやすく説明する。
例えば、「高密度ポリエチレン」という材料名に対して「100」という物理量の値を関係付けたデータと、「低密度ポリエチレン」という材料名に対して「200」という物理量の値を関係付けたデータを教師データとして、関連技術の近似関数を生成したとする。
この場合、例えば、複合材料の構成材料として「高密度ポリエチレン」と「低密度ポリエチレン」とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料に対する物理量の値を関連技術で生成された近似関数を使用して推定することを考える。
まず、関連技術において、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「高密度ポリエチレン」×0.5+「低密度ポリエチレン」×0.5となり、「材料名」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算自体が意味をなさない。
ただし、「高密度ポリエチレン」という材料名に対して「100」という物理量の値を関係付けたデータと、「低密度ポリエチレン」という材料名に対して「200」という物理量の値を関係付けたデータを教師データとして使用している。このことから、この場合、入力パラメータの合成という演算を行わなくても、関連技術で生成された近似関数では、複合材料に対する物理量の値が、「100」×0.5+「200」×0.5=「150」と推定することができると想定される。つまり、関連技術では、教師データに使用された「高密度ポリエチレン」と「低密度ポリエチレン」とを含む複合材料に対しては、物理量の値を高精度に推定することができると考えられる。
これに対し、例えば、複合材料の構成材料として、「ポリオレフィン」と「高密度ポリエチレン」とを含み、構成材料の配合割合が70:30である複合材料に対する物理量の値を関連技術で生成された近似関数を使用して推定することを考える。
この場合も、まず、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「ポリオレフィン」×0.7+「高密度ポリエチレン」×0.3となり、「材料名」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算自体が意味をなさない。
さらに、この場合、複合材料の構成材料として、教師データに含まれていない「ポリオレフィン」が含まれている。この結果、関連技術で生成された近似関数では、「ポリオレフィン」に対する物理量の値を把握することが困難であるため、複合材料の物理量の値が、「???」×0.7+「100」×0.3となり、「ポリオレフィン」と「高密度ポリエチレン」とを含む複合材料に対して、物理量の値を高精度に推定することが困難となる。
これは、入力パラメータを材料名とする近似関数では、入力パラメータ同士の合成演算ということが意味をなさないことから、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度が低下するのである。
以上のことから、関連技術には、近似関数を生成するために使用されなかった構成材料を含む複合材料に対する物理量の値を精度良く推定する観点から改善の余地が存在する。
そこで、本実施の形態では、関連技術に存在する改善の余地に対する工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想について説明する。
<実施の形態における基本思想>
まず、本発明者は、関連技術では、合成演算することが困難な材料名という入力パラメータを使用している結果、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度が低下することに問題の本質があることに着目した。そして、本発明者は、例えば、合成演算することが容易な構成材料に関する入力パラメータを使用すれば、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度を向上できるのではないかという知見を獲得した。
この点に関し、基本思想は、構成材料に関する入力パラメータとして数値で表されることができるパラメータを使用すれば、合成演算することが可能となることから、教師データに使用していない構成材料を含む複合材料に対する物理量の値の推定精度を向上できるという思想である。以下では、この点について具体的に説明する。
例えば、入力パラメータ「50」に対して、物理量の値「100」を関係付けるデータと、入力パラメータ「100」に対して、物理量の値「150」を関係付けるデータを教師データとして、近似関数を生成したとする。
この点に関し、まず、例えば、複合材料の構成材料として、入力パラメータが「50」の構成材料と入力パラメータが「100」の構成材料とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料に対する物理量の値を上述した近似関数を使用して推定することを考える。この場合、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「50」×0.5+「100」×0.5=「75」となり、「数値」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算を容易に実行することができる。これにより、複合材料に対する入力パラメータ「75」を得ることができることから、この入力パラメータ「75」を基本思想における近似関数に入力することにより、複合材料に対する物理量の値を推定することができる。したがって、基本思想によれば、教師データに使用した構成材料を含む複合材料に対して、物理量の値を高精度に推定できることがわかる。
続いて、例えば、複合材料の構成材料として、入力パラメータが「50」の構成材料と入力パラメータが「75」の構成材料とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料に対する物理量の値を上述した近似関数を使用して推定することを考える。
この場合、複合材料の構成材料として、教師データに含まれていない入力パラメータ「75」の構成材料が含まれている。ただし、基本思想では、入力パラメータとして数値で表されるパラメータを使用している。このため、基本思想では、複合材料に対する入力パラメータを得るために、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することができる。具体的に、複合材料を構成する構成材料に対する入力パラメータを合成することを考えると、「50」×0.5+「75」×0.5=「62.5」となり、「数値」×「数値」という演算となることから、入力パラメータの合成という演算を容易に実行することができる。これにより、複合材料に対する入力パラメータ「62.5」を得ることができることから、この入力パラメータ「62.5」を基本思想における近似関数に入力することにより、複合材料に対する物理量の値を推定することができる。したがって、基本思想によれば、教師データに使用しない新規構成材料を含む複合材料に対しても、物理量の値を高精度に推定できることがわかる。これは、基本思想では、構成材料に関する入力パラメータとして数値で表されることができるパラメータという、合成することが容易な入力パラメータを使用している結果である。このように、基本思想の本質は、構成材料に関する入力パラメータとして合成演算することが可能な数値を使用する点にある。
ここで、構成材料に関する入力パラメータとして数値で表されることができるパラメータとして、本発明者は、構成材料の特性値に着目している。
すなわち、本実施の形態における基本思想は、複合材料を構成する構成材料の特性値(数値)と構成材料の配合割合に基づいて生成された近似関数を使用することにより複合材料に対する物理量の値を推定する思想である。
この基本思想によれば、構成材料の特性値と構成材料の配合割合に基づいて生成された近似関数を使用することから、以下に示すような効果を得ることができる。
例えば、関連技術のように構成材料の材料名と構成材料の配合割合に基づいて生成された近似関数では、入力パラメータを構成材料の材料名と構成材料の配合割合としている。このことから、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料が、評価対象となる複合材料の中に含まれる場合、近似関数を生成する際に使用された構成材料の材料名と新規構成材料の材料名との合成演算という概念が意味をなさないため、この複合材料に対する物理量の値の推定精度が低下することになる。すなわち、関連技術で生成された近似関数は、高精度に物理量の値を推定できる複合材料の適用範囲が狭くなる。
特に、関連技術では、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料の材料名(新規材料名)がわかったとしても、対応する物理量の値がわからないと、関連技術で生成された近似関数では、評価対象となる複合材料に対する物理量を高精度に推定することはできない。言い換えれば、関連技術で生成された近似関数では、教師データに使用されている構成材料だけを含む複合材料でしか物理量を高精度に推定することはできない。
これに対し、本実施の形態における基本思想では、構成材料の特性値と構成材料の配合割合に基づいて近似関数を生成している。この場合、たとえ、評価対象となる複合材料の中に、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料が含まれたとしても、この新規構成材料に対応する特性値がわかれば、複合材料に対する物理量の値を高精度に推定することができる。なぜなら、構成材料の特性値は、数値で表されることができるため、合成演算することが可能となるからである。
このように、基本思想で生成された近似関数の適用範囲は、関連技術で生成された近似関数の適用範囲よりも広く、たとえ、評価対象となる複合材料の中に、教師データに使用されなかった新規構成材料を含む場合であっても、複合材料に対する物理量を高精度に推定できる点で大きな技術的意義を有していることになる。すなわち、関連技術で生成された近似関数の適用範囲は教師データの範囲に限定されるが、基本思想で生成された近似関数の適用範囲は教師データの範囲に限定されない点で、基本思想は優れた技術的思想であるということができる。例えば、基本思想によると、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料に対する特性値をデータベースとして蓄積することによって、近似関数の生成時には考慮されていなかった新規構成材料を含む複合材料に対する物理量を高精度に推定できる。さらには、基本思想における近似関数を使用することによって、データベースに蓄積されていない新規構成材料であっても、何らかの手段で、この新規構成材料の特性値を取得することができれば、新規構成材料を含む複合材料に対する物理量を高精度に推定できる点で、基本思想で生成された近似関数の活用範囲は大きい。
ここで、「特性値」とは、例えば、熱特性、機械特性、物性などをいう。例えば、熱特性には、融解熱、メルトフローレートなどが含まれる。また、物性には、比重が含まれる。一方、「物理量」とは、伸びや引張強さなどを想定している。
本明細書では、「特性値」と「物理量の値」は明確に区別して使用する。具体的に、「特性値」は、近似関数の生成および近似関数の入力に使用されるパラメータである。一方、「物理量の値」は、近似関数から出力される値であって、本実施の形態における物理量推定システムで推定される目的の値である。
以下では、主に、この基本思想を具現化した物理量推定システムを単体のコンピュータから構成する例を取り上げて説明するが、本実施の形態における物理量推定システムは、複数のコンピュータからなる分散システムで実現することも可能である。
<物理量推定装置の構成>
<<ハードウェア構成>>
まず、本実施の形態おける物理量推定装置のハードウェア構成について説明する。
図1は、本実施の形態における物理量推定装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図1に示す構成は、あくまでも物理量推定装置100のハードウェア構成の一例を示すものであり、物理量推定装置100のハードウェア構成は、図1に記載されている構成に限らず、他の構成であってもよい。
図1において、物理量推定装置100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)101を備えている。このCPU101は、バス113を介して、例えば、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、および、ハードディスク装置112と電気的に接続されており、これらのハードウェアデバイスを制御するように構成されている。
また、CPU101は、バス113を介して入力装置や出力装置とも接続されている。入力装置の一例としては、キーボード105、マウス106、通信ボード107、および、スキャナ111などを挙げることができる。一方、出力装置の一例としては、ディスプレイ104、通信ボード107、および、プリンタ110などを挙げることができる。さらに、CPU101は、例えば、リムーバルディスク装置108やCD/DVD-ROM装置109と接続されていてもよい。
物理量推定装置100は、例えば、ネットワークと接続されていてもよい。例えば、物理量推定装置100がネットワークを介して他の外部機器と接続されている場合、物理量推定装置100の一部を構成する通信ボード107は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)やインターネットに接続されている。
RAM103は、揮発性メモリの一例であり、ROM102、リムーバルディスク装置108、CD/DVD-ROM装置109、ハードディスク装置112の記録媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらの揮発性メモリや不揮発性メモリによって、物理量推定装置100の記憶装置が構成される。
ハードディスク装置112には、例えば、オペレーティングシステム(OS)201、プログラム群202、および、ファイル群203が記憶されている。プログラム群202に含まれるプログラムは、CPU101がオペレーティングシステム201を利用しながら実行する。また、RAM103には、CPU101に実行させるオペレーティングシステム201のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一次的に格納されるとともに、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
ROM102には、BIOS(Basic Input Output System)プログラムが記憶され、ハードディスク装置112には、ブートプログラムが記憶されている。物理量推定装置100の起動時には、ROM102に記憶されているBIOSプログラムおよびハードディスク装置112に記憶されているブートプログラムが実行され、BIOSプログラムおよびブートプログラムにより、オペレーティングシステム201が起動される。
プログラム群202には、物理量推定装置100の機能を実現するプログラムが記憶されており、このプログラムは、CPU101により読み出されて実行される。また、ファイル群203には、CPU101による処理の結果を示す情報、データ、信号値、変数値やパラメータがファイルの各項目として記憶されている。
ファイルは、ハードディスク装置112やメモリなどの記録媒体に記録される。ハードディスク装置112やメモリなどの記録媒体に記録された情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、CPU101によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・処理・編集・出力・印刷・表示に代表されるCPU101の動作に使用される。例えば、上述したCPU101の動作の間、情報、データ、信号値、変数値やパラメータは、メインメモリ、レジスタ、キャッシュメモリ、バッファメモリなどに一次的に記憶される。
物理量推定装置100の機能は、ROM102に記憶されたファームウェアで実現されていてもよいし、あるいは、ソフトウェアのみ、素子・デバイス・基板・配線に代表されるハードウェアのみ、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実現されていてもよい。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ハードディスク装置112、リムーバルディスク、CD-ROM、DVD-ROMなどに代表される記録媒体に記録される。プログラムは、CPU101により読み出されて実行される。すなわち、プログラムは、コンピュータを物理量推定装置100として機能させるものである。
このように、物理量推定装置100は、処理装置であるCPU101、記憶装置であるハードディスク装置112やメモリ、入力装置であるキーボード105、マウス106、通信ボード107、出力装置であるディスプレイ104、プリンタ110、通信ボード107を備えるコンピュータである。そして、物理量推定装置100の機能は、処理装置、記憶装置、入力装置、および、出力装置を利用して実現される。
<<機能ブロック構成>>
次に、物理量推定装置100の機能ブロック構成について説明する。
図2は、物理量推定装置の機能を示す機能ブロック図である。
物理量推定装置100は、入力部301と、特性値データ抽出部302と、合成特性値算出部303と、合成関連データ生成部304と、近似関数生成部305と、物理量推定部306と、出力部307と、データ記憶部308とを有している。
入力部301は、特性値データを入力するように構成されている。ここで、「特性値データ」とは、複数の異なる材料ごとに材料名と材料の特性値とを関係付けたデータをいう。入力部301に入力された特性値データは、データ記憶部308に記憶される。このデータ記憶部308は、複数の特性値データを記憶するデータベースとして機能する。
また、入力部301は、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料の配合データと物理量データを入力するように構成されている。ここで、「配合データ」とは、複合材料を構成する構成材料の材料名と配合割合を含むデータであり、配合情報とも呼ぶことがある。一方、「物理量データ」とは、物理量の値が既知の複合材料における物理量の値を示すデータであって、例えば、実験によって取得されたデータである。入力部301に入力された配合データおよび物理量データもデータ記憶部308に記憶される。
特性値データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の特性値データの中から、複合材料に含まれる構成材料に対応した特性値データを抽出するように構成されている。例えば、特性値データ抽出部302は、複合材料に含まれる構成材料が「ポリオレフィン」と「ポリエチレン」である場合、複数の特性値データの中から、「ポリオレフィン」に対応した特性値データと、「ポリエチレン」に対応した特性値データとを抽出するように構成されている。
合成特性値算出部303は、入力部301に入力された配合データに含まれる配合割合と特性値データ抽出部302で抽出された特性値データに含まれる特性値に基づいて、複合材料を構成する構成材料に対応した特性値を合成する演算を行うことにより、複合材料の合成特性値を算出するように構成されている。
例えば、複合材料の構成材料として、特性値が「50」の構成材料と特性値が「75」の構成材料とを含み、構成材料の配合割合が50:50である複合材料を考える。この場合、合成特性値算出部303は、「50」×0.5+「75」×0.5=「62.5」という合成演算を行って、合成特性値「62.5」を算出する。
合成特性値としては、例えば、複合材料の合成融解熱、複合材料の合成メルトフローレートなどが含まれる。
合成関連データ生成部304は、合成特性値算出部303で算出された合成特性値と複合材料に対する物理量の値(複合材料の「物理量データ」)とを関係付ける合成関連データを生成するように構成されている。この合成関連データの生成は、入力部301に入力された複合材料であって、対応する物理量が既知の複合材料について行われる。例えば、上述した例における複合材料に対する物理量の値が「150」である場合、合成関連データ生成部304は、合成特性値「62.5」と物理量の値「150」とを関係付けた合成関連データを生成する。生成された合成関連データは、データ記憶部308に記憶される。
近似関数生成部305は、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データに基づいて、近似関数を生成する機能を有する。つまり、近似関数生成部305は、合成特性値と物理量の値とを関係付ける近似関数を生成するように構成されている。
具体的に、図3に示すように、近似関数生成部305は、合成関連データを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成するように構成されている。
ここで、「近似関数」とは、合成特性値を入力すると、この合成特性値に応じた物理量の値を出力する関数として定義される。すなわち、「近似関数」とは、物理量の値との対応関係が未知の複合材料の合成特性値が入力された場合に、この複合材料で実現されると推測される物理量の値を出力する関数として定義される。このように、近似関数は、物理量の値との対応関係が未知の複合材料に対する物理量の値を推定することに使用される関数ということができる。
物理量推定部306は、第1複合材料の第1配合データに含まれる第1配合割合と特性値データ抽出部302で抽出された第1特性値データの特性値に基づいて合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値と、近似関数生成部305で生成された近似関数とに基づいて、第1複合材料に対応する物理量の値を推定するように構成されている。
なお、「第1複合材料」とは、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が未知の複合材料であり、評価対象となる複合材料を表している。そして、ここでは、第1複合材料の配合データを「第1配合データ」と呼び、第1複合材料の配合データに含まれる配合割合を「第1配合割合」と呼んでいる。また、第1複合材料の合成特性値を「第1合成特性値」と呼び、データ記憶部308に記憶されている特性値データのうち、第1複合材料に含まれる構成材料に対応した特性値データを「第1特性値データ」と呼んでいる。
例えば、第1配合データは、入力部301から物理量推定装置100に入力され、第1特性値データは、特性値データ抽出部302で抽出される。
出力部307は、物理量推定部306で推定された物理量の値を出力する。
このようにして、物理量推定装置100が構成されている。
複合材料の構成材料としては、例えば、複数の異なる種類の樹脂が含まれるが、その他の構成材料が含まれていても構わない。例えば、複合材料の構成材料として、添加剤、酸化防止剤、架橋助剤などが含まれていてもよい。また、樹脂の一例として、架橋された樹脂を挙げることができる。複合材料の具体的な構成材料によって、物理量推定装置100に追加機能が付加されることから、以下では、この点について説明する。
<<<複合材料が添加剤を含む場合>>>
複合材料に添加剤が含まれる場合、合成特性値算出部303は、上述した機能に加えて、添加剤の特性値に基づいて、さらに添加剤の平均フィラー間距離あるいは添加剤の体積分率を算出するように構成されている。そして、合成特性値算出部303で算出される合成特性値には、添加剤の平均フィラー間距離あるいは添加剤の体積分率が含まれる。
なお、平均フィラー間距離に代表される平均粒子間距離は、例えば、平均粒径D50から理論式を用いて算出される。また、体積分率は、配合材料の比重から算出される。
<<<複合材料が酸化防止剤および架橋助剤を含む場合>>>
複合材料に酸化防止剤および架橋助剤が含まれる場合、合成特性値算出部303は、上述した機能に加えて、酸化防止剤の特性値および架橋助剤の特性値に基づいて、さらに酸化防止剤の一次反応基の反応モル数、酸化防止剤の二次反応基の反応モル数および架橋助剤の反応モル数を算出するように構成されている。そして、合成特性値算出部303で算出される合成特性値には、酸化防止剤の一次反応基の反応モル数、酸化防止剤の二次反応基の反応モル数および架橋助剤の反応モル数が含まれる。
<<<複合材料が架橋された樹脂を含む場合>>>
複合材料に架橋された樹脂が含まれる場合、入力部301は、さらに樹脂を架橋するための放射線照射量も入力するように構成されている。そして、近似関数生成部305は、合成関連データと放射線照射量とに基づいて、近似関数を生成するように構成されている。この場合の近似関数は、入力を合成特性値と放射線照射量とするとともに出力を物理量の値とする関数として生成される。また、物理量推定部306は、第1合成特性値と第1放射線照射量と近似関数とに基づいて、第1複合材料に対する物理量の値を推定するように構成されている。ここで、「第1放射線照射量」とは、第1複合材料に照射される放射線照射量を表している。
<物理量推定装置の動作>
本実施の形態における物理量推定装置100は、上記のように構成されており、以下のその動作について説明する。物理量推定装置100の動作は、「近似関数の生成動作」と「評価対象の複合材料に対応する物理量の値の推定動作」がある。このため、以下では、これらの動作について説明する。
<<近似関数の生成動作>>
図4は、近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。
図4において、まず、入力部301は、複数の異なる材料ごとに材料名と材料の特性値とを関係付けた複数の特性値データを入力する(S101)。そして、入力部301に入力された複数の特性値データは、データ記憶部308に記憶される(S102)。
次に、入力部301は、2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が既知の複合材料の配合データおよび物理量データを入力する(S103)。
その後、特性値データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の特性値データの中から、複合材料に含まれている構成材料に対応した特性値データを抽出する(S104)。続いて、合成特性値算出部303は、入力部301から入力した配合データに基づいて、特性値データ抽出部で抽出された特性値データの特性値を合成する演算を行うことにより、複合材料の合成特性値を算出する(S105)。
そして、合成関連データ生成部304は、合成特性値算出部303で算出された合成特性値と複合材料に対する物理量の値(物理量データ)とを関係付ける合成関連データを生成する(S106)。その後、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データは、データ記憶部308に記憶される(S107)。
次に、近似関数生成部305は、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データに基づいて、近似関数を生成する(S108)。具体的に、近似関数生成部305は、合成関連データを教師データとして、入力を合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成する(図3参照)。
そして、近似関数生成部305で生成された近似関数は、データ記憶部308に記憶される(S109)。このようにして、近似関数の生成動作が行われる。
<<評価対象の第1複合材料に対する物理量の値の推定動作>>
次に、評価対象の第1複合材料に対する物理量の値を推定する動作について説明する。
図5は、評価対象の第1複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。なお、近似関数は、既にデータ記憶部308に記憶されている。
図5において、まず、入力部301は、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料の第1配合データを入力する(S201)。
次に、特性値データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の特性値データの中から、第1複合材料に含まれている構成材料に対応した第1特性値データを抽出する(S202)。
続いて、合成特性値算出部303は、入力部301から入力した第1配合データに基づいて、特性値データ抽出部302で抽出された第1特性値データの特性値を合成する演算を行うことにより、第1複合材料の第1合成特性値を算出する(S203)。
その後、物理量推定部306は、合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値を近似関数に入力することにより、第1複合材料に対する物理量の値を推定する(S204)。そして、出力部307は、物理量推定部306で推定された物理量の値を出力する(S205)。このようにして、物理量推定装置100によれば、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料に対して実現される可能性が高い物理量の値を出力することができる。
<物理量推定プログラム>
上述した物理量推定装置100で実施される物理量推定方法は、物理量推定処理をコンピュータに実行させる物理量推定プログラムにより実現することができる。
例えば、図1に示すコンピュータからなる物理量推定装置100において、ハードディスク装置112に記憶されているプログラム群202の1つとして、本実施の形態における物理量推定プログラムを導入することができる。そして、この物理量推定プログラムを物理量推定装置100であるコンピュータに実行させることにより、本実施の形態における物理量推定方法を実現することができる。
物理量推定処理に関するデータを作成するための各処理をコンピュータに実行させる物理量推定プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して頒布することができる。記録媒体には、例えば、ハードディスクやフレキシブルディスクに代表される磁気記憶媒体、CD-ROMやDVD-ROMに代表される光学記憶媒体、ROMやEEPROMなどの不揮発性メモリに代表されるハードウェアデバイスなどが含まれる。
<変形例>
実施の形態では、図2に示すように、複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムを単一の物理量推定装置100から構成する例について説明したが、物理量推定システムは、この構成に限らず、例えば、分散システムから構成することもできる。
図6は、物理量推定システムを物理量推定装置と近似関数生成装置から構成する例を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、物理量推定システムは、物理量推定装置400と近似関数生成装置500から構成されており、例えば、物理量推定装置400と近似関数生成装置500は、ネットワーク600で接続されている。
物理量推定装置400は、入力部301Aと、第1特性値データ抽出部302Aと、第1合成特性値算出部303Aと、物理量推定部306と、出力部307と、通信部309Aと、データ記憶部310Aを有している。
近似関数生成装置500は、入力部301Bと、特性値データ抽出部302Bと、合成特性値算出部303Bと、合成関連データ生成部304と、近似関数生成部305と、通信部309Bと、データ記憶部310Bを有している。
このように構成されている物理量推定装置400と近似関数生成装置500とは、ネットワーク600を介した通信部309Aと通信部309Bとによってデータの送受信が可能なように構成されている。そして、近似関数生成装置500では、上述した「近似関数の生成動作」が行われて、近似関数が生成される。
一方、物理量推定装置400では、近似関数生成装置500に対して、第1合成特性値算出部303Aで算出した第1合成特性値を出力する。その後、近似関数生成装置500において、近似関数に第1合成特性値を入力することによって近似関数から出力された出力結果を近似関数生成装置500から入力して、データ記憶部310Aに記憶する。
その後、物理量推定装置400では、近似関数生成装置500から入力した出力結果に基づいて、上述した評価対象の複合材料に対する物理量の値を取得する。
このようにして、物理量推定装置400と近似関数生成装置500とを備える分散システムによっても、本実施の形態における物理量推定システムを構築することができる。
(基本コンセプトを応用した応用思想)
上述した基本コンセプトでは、物理量の値が未知である第1複合材料において、第1複合材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した特性値とに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値を算出し、この算出した第1合成特性値を近似関数生成部で生成された近似関数に入力することによって近似関数から出力された出力値を第1複合材料に対する物理量の値として推定している。
この場合、第1複合材料の中に、教師データに使用されなかった新規構成材料が含まれる場合であっても、第1複合材料に対する物理量の値を高精度に推定できる。
すなわち、第1複合材料の中に、近似関数を生成するために使用されなかった新規構成材料が含まれたとしても、この新規構成材料に対応する特性値がわかれば、第1複合材料に対する物理量の値を高精度に推定することができる。なぜなら、構成材料の特性値は、数値で表されるため、合成演算することが可能となって、第1複合材料に対する第1合成特性値(アナログ数値)を算出することが可能となるからである。
したがって、基本コンセプトは、評価対象となる第1複合材料の中に、教師データに使用されなかった新規構成材料を含む場合であっても、第1複合材料に対する物理量の値を高精度に推定できる点で大きな技術的意義を有している。
この点に関し、本発明者は、基本コンセプトをさらに改良して、物理量の値が未知である第1複合材料に対する物理量の値をさらに高精度に推定するための工夫を施している。以下では、この工夫を施した応用思想について説明する。
<応用思想>
応用思想は、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と配合割合を含む配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成することを前提とする。そして、応用思想は、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した特性値とに基づいて算出された第1合成特性値だけでなく、第1複合材料に含まれる構成材料の配合情報も近似関数の入力パラメータ(説明変数)に使用して、第1複合材料に対する物理量の値(目的変数)を推定するという思想である。この応用思想によれば、物理量の値が未知である第1複合材料に対する物理量の値を基本コンセプトよりもさらに高精度に推定することができる。
以下に、この点について定性的に説明する。
例えば、入力パラメータを「x」とし、出力パラメータを「y」とした場合、近似関数がy=f(x)の関数「f」で表されるとする。このとき、近似関数を機械学習で生成することを考えると、概ね、入力パラメータ「x」の種類を多くすると、精度の高い近似関数を得ることができることが多い。このことから、応用思想では、入力パラメータ「x」として、第1合成特性値だけでなく、「材料名」と「配合割合」を含む配合情報を使用している。これにより、応用思想によれば、入力パラメータが第1合成特性値だけである基本コンセプトよりも入力パラメータの種類が多くなる。この結果、応用思想によれば、基本コンセプトよりもさらに精度の高い近似関数を生成することが定性的に理解できる。
さらに説明する。物理量の値が未知である第1複合材料と第2複合材料があるとする。ここで、第1複合材料は、構成材料A1と構成材料A2と構成材料A3から構成されている一方、第2複合材料は、構成材料B1と構成材料B2と構成材料B3から構成されているとする。このとき、基本コンセプトで物理量の値を推定することを考える。
第1複合材料においては、例えば、構成材料A1と構成材料A2と構成材料A3の配合割合と、構成材料A1~構成材料A3のそれぞれの特性値に基づいて第1合成特性値が算出されるとする。そして、この第1合成特性値を近似関数に入力することにより、第1複合材料に対する物理量の推定値が得られる。
同様にして、例えば、第2複合材料においては、構成材料B1と構成材料B2と構成材料B3の配合割合と、構成材料B1~構成材料B3のそれぞれの特性値に基づいて第2合成特性値が算出されるとする。そして、この第2合成特性値を近似関数に入力することにより、第2複合材料に対する物理量の推定値を得ることができる。
ここで、例えば、第1複合材料と第2複合材料の種類が異なるにも関わらず、第1複合材料の第1合成特性値と第2複合材料の第2合成特性値が一致するとする。この場合、基本コンセプトでは、近似関数に入力される第1合成特性値と第2合成特性値が同じであると、近似関数から出力される物理量の値は同じになる。
したがって、第1複合材料の構成材料(構成材料A1~構成材料A3)と、第2複合材料の構成材料(構成材料B1~構成材料B3)が異なるにも関わらず、基本コンセプトでは、第1複合材料の物理量の値と、第2複合材料の物理量の値とを同じ値として推定することになる。このことは、基本コンセプトには改善の余地が存在することを意味する。
これに対し、応用思想では、入力パラメータ「x」として、第1合成特性値や第2合成特性値だけでなく、「材料名」と「配合割合」を含む配合情報も使用している。これにより、例えば、たとえ、第1複合材料と第2複合材料の種類が異なるにも関わらず、第1複合材料の第1合成特性値と第2複合材料の第2合成特性値が一致する場合であっても、構成材料A1と構成材料A2と構成材料A3のそれぞれの「材料名」と「配合割合」を含む配合情報と、構成材料B1と構成材料B2と構成材料B3のそれぞれの「材料名」と「配合割合」を含む配合情報とが相違することになる。
このため、応用思想では、第1複合材料の第1合成特性値と第2複合材料の第2合成特性値が同じ場合であっても、「材料名」と「配合割合」を含む配合情報が異なる結果、第1複合材料の物理量の値と、第2複合材料の物理量の値とが異なる値として推定されることになる。つまり、第1複合材料と第2複合材料の種類が異なるにも関わらず、推定される物理量の値が等しくなることを回避できる。この点が応用思想の利点の1つである。
以上のことから、応用思想によれば、基本コンセプトよりもさらに精度の高い物理量の値を推定できることを定性的に理解することができる。
<応用思想を具現化した具現化態様>
続いて、応用思想を具現化した具現化態様について説明する。応用思想を具現化した具現化態様においても、例えば、物理量推定装置100を使用することができる。
<<物理量推定装置の構成>>
<<<ハードウェア構成>>>
本具現化態様における物理量推定装置100のハードウェア構成は、例えば、図1に示すハードウェア構成と同様である。なお、図1に示す構成は、あくまでも物理量推定装置100のハードウェア構成の一例を示すものであり、物理量推定装置100のハードウェア構成は、図1に記載されている構成に限らず、他の構成であってもよい。
<<<機能ブロック構成>>>
本具現化態様においても、図2に示す機能ブロック構成が使用される。
本具現化態様における物理量推定装置100も、入力部301と、特性値データ抽出部302と、合成特性値算出部303と、合成関連データ生成部304と、近似関数生成部305と、物理量推定部306と、出力部307と、データ記憶部308とを有する。
入力部301は、特性値データを入力するように構成されている。ここで、「特性値データ」とは、複数の異なる材料ごとに材料名と材料の特性値とを関係付けたデータをいう。入力部301に入力された特性値データは、データ記憶部308に記憶される。このデータ記憶部308は、複数の特性値データを記憶するデータベースとして機能する。
また、入力部301は、複数の異なる材料に含まれる2以上の材料を構成材料として含む複合材料の配合データと物理量データを入力するように構成されている。
ここで、「配合データ」とは、複合材料を構成する構成材料の材料名と配合割合を含むデータであり、配合情報と呼ばれるデータである。一方、「物理量データ」とは、物理量の値が既知の複合材料における物理量の値を示すデータであって、例えば、実験によって取得されたデータである。入力部301に入力された配合データおよび物理量データもデータ記憶部308に記憶される。
特性値データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の特性値データの中から、複合材料に含まれる構成材料に対応した特性値データを抽出するように構成されている。
合成特性値算出部303は、入力部301に入力された配合データに含まれる配合割合と特性値データ抽出部302で抽出された特性値データに含まれる特性値に基づいて、複合材料を構成する構成材料に対応した特性値を合成する演算を行うことにより、複合材料の合成特性値を算出するように構成されている。
合成関連データ生成部304は、合成特性値算出部303で算出された合成特性値と複合材料に対する物理量の値(複合材料の「物理量データ」)とを関係付ける合成関連データを生成するように構成されている。この合成関連データの生成は、入力部301に入力された複合材料であって、対応する物理量が既知の複合材料について行われる。
近似関数生成部305は、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データと入力部301に入力された材料名と配合割合を含む配合情報に基づいて、近似関数を生成する機能を有する。言い換えれば、近似関数生成部305は、物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と配合割合を含む配合情報を入力すると、第1複合材料に対する物理量の値を出力する近似関数を生成する機能を有する。つまり、近似関数生成部305は、配合情報と合成特性値と物理量の値とを関係付ける近似関数を生成するように構成されている。
具体的に、図7に示すように、近似関数生成部305は、配合データと合成関連データを教師データとして、入力を材料名と合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成するように構成されている。
ここで、「近似関数」とは、配合情報および合成特性値を入力すると、この配合情報および合成特性値に応じた物理量の値を出力する関数として定義される。すなわち、「近似関数」とは、物理量の値との対応関係が未知の第1複合材料を構成する構成材料の配合情報と複合材料の合成特性値が入力された場合に、この第1複合材料で実現されると推測される物理量の値を出力する関数として定義される。
このように、近似関数は、物理量の値との対応関係が未知の第1複合材料に対する物理量の値を推定することに使用される関数ということができる。
物理量推定部306は、第1複合材料の第1配合データに含まれる第1配合割合と特性値データ抽出部302で抽出された第1特性値データの特性値に基づいて合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値と、第1複合材料の第1配合データと、近似関数生成部305で生成された近似関数とに基づいて、第1複合材料に対応する物理量の値を推定するように構成されている。
出力部307は、物理量推定部306で推定された物理量の値を出力する。
このようにして、物理量推定装置100が構成されている。
<<物理量推定装置の動作>>
<<<近似関数の生成動作>>>
図8は、近似関数の生成動作を説明するフローチャートである。
図8において、まず、入力部301は、複数の異なる材料ごとに材料名と材料の特性値とを関係付けた複数の特性値データを入力する(S301)。そして、入力部301に入力された複数の特性値データは、データ記憶部308に記憶される(S302)。
次に、入力部301は、2以上の材料を構成材料として含む複合材料であって、対応する物理量の値が既知の複合材料の配合データおよび物理量データを入力する(S303)。
その後、特性値データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の特性値データの中から、複合材料に含まれている構成材料に対応した特性値データを抽出する(S304)。続いて、合成特性値算出部303は、入力部301から入力した配合データに含まれる配合割合に基づいて、特性値データ抽出部で抽出された特性値データの特性値を合成する演算を行う。これにより、合成特性値算出部303は、複合材料の合成特性値を算出する(S305)。
そして、合成関連データ生成部304は、合成特性値算出部303で算出された合成特性値と複合材料に対する物理量の値(物理量データ)とを関係付ける合成関連データを生成する(S306)。その後、合成関連データ生成部304で生成された合成関連データは、データ記憶部308に記憶される(S307)。
次に、近似関数生成部305は、配合情報(配合データ)と合成関連データ生成部304で生成された合成関連データとに基づいて、近似関数を生成する(S308)。具体的に、近似関数生成部305は、配合情報と合成関連データを教師データとして、入力を配合情報および合成特性値とするとともに出力を物理量の値とする近似関数を生成する。
この点に関し、応用思想の特徴は、基本コンセプトのように合成関連データを教師データとして近似関数を生成するのではなく、合成関連データとともに、材料名と配合割合を含む配合情報も教師データに使用して近似関数を生成する点にある。
これにより、応用思想によれば、機械学習を行う際の入力パラメータ(説明変数)の種類が多くなる結果、精度の高い近似関数を生成することができる。
そして、近似関数生成部305で生成された近似関数は、データ記憶部308に記憶される(S309)。このようにして、近似関数の生成動作が行われる。
<<<評価対象の第1複合材料に対する物理量の値の推定動作>>>
次に、評価対象の第1複合材料に対する物理量の値を推定する動作について説明する。
図9は、評価対象の第1複合材料に対する物理量の値を推定する動作を説明するフローチャートである。なお、近似関数は、既にデータ記憶部308に記憶されている。
図9において、まず、入力部301は、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料の第1配合データを入力する(S401)。
次に、特性値データ抽出部302は、データ記憶部308に記憶されている複数の特性値データの中から、第1複合材料に含まれている構成材料に対応した第1特性値データを抽出する(S402)。
続いて、合成特性値算出部303は、入力部301から入力した第1配合データに含まれる第1配合割合に基づいて、特性値データ抽出部302で抽出された第1特性値データの特性値を合成する演算を行う。これにより、合成特性値算出部303は、第1複合材料の第1合成特性値を算出する(S403)。
その後、物理量推定部306は、第1配合データと合成特性値算出部303で算出された第1合成特性値の両方を近似関数に入力することにより、第1複合材料に対する物理量の値を推定する(S404)。そして、出力部307は、物理量推定部306で推定された物理量の値を出力する(S405)。
このようにして、物理量推定装置100によれば、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料に対して実現される可能性が高い物理量の値を出力できる。
特に、応用思想では、第1合成特性値だけでなく、構成材料の材料名と配合割合を含む配合情報も近似関数の入力パラメータとして使用している点が、第1合成特性値だけを近似関数の入力パラメータに使用している基本コンセプトと相違する。
この結果、応用思想によれば、近似関数の入力パラメータの種類が多くなる結果、物理量の値の推定精度を向上できる。
<具体例>
次に、応用思想を具現化した具体例について説明する。
図10は、本具体例における配合データと物理量データとを組み合わせたデータを示す表である。図10において、配合番号は、複合材料を特定するID番号である。そして、図10では、複合材料を構成する構成材料として、樹脂、難燃剤(フィラー)、酸化防止剤、滑剤、着色剤および架橋助剤が含まれている。
樹脂としては、材料名が樹脂A、樹脂B、樹脂C、樹脂D、樹脂E、樹脂Fおよび樹脂Gの樹脂が挙げられている。また、難燃剤としては、材料名が難燃剤H、難燃剤Iおよび難燃剤Jの難燃剤が挙げられている。さらに、酸化防止剤としては、材料名が酸化防止剤Kおよび酸化防止剤Lの酸化防止剤が挙げられ、滑剤としては、材料名が滑剤M、滑剤Nおよび滑剤Oの滑剤が挙げられている。また、着色剤としては、材料名が着色剤Pの着色剤が挙げられ、架橋助剤としては、材料名が架橋助剤Qの架橋助剤が挙げられている。
図10において、例えば、配合番号「ID1」で特定される複合材料は、構成材料として、樹脂B(20質量部)、樹脂C(50質量部)、樹脂E(30質量部)、難燃剤H(200質量部)、酸化防止剤K(1質量部)、酸化防止剤L(2質量部)、滑剤M(1質量部)、滑剤N(2質量部)、着色剤P(2質量部)および架橋助剤Q(4質量部)が含まれている。このように、図10に示すデータには、複合材料を構成する構成材料の材料名と配合割合を含む配合データ(配合情報)が含まれていることがわかる。
さらに、図10においては、例えば、配合番号「ID1」で特定される複合材料は、物理量としての引張強さが「8.3347」であることが示されている。すなわち、図10に示すデータには、物理量の値が既知の複合材料における物理量の値を示す物理量データも含まれている。以上のことから、図10には、物理量の値が既知の複合材料における配合データと物理量データの組み合わせが記載されていることがわかる。
次に、本具体例では、配合データおよび物理量データを含む図10に示すデータに基づいて、図11に示すデータが生成される。この図11に示すデータは、合成関連データと付加データと追加データから構成される。ここで、合成関連データとは、合成特性値と複合材料に対する物理量の値(物理量データ)とを関係付けるデータである。また、付加データとは、カテゴリカル変数の値と複合材料に対する物理量の値(物理量データ)とを関係付けるデータであり、追加データとは、プロセス条件値としての照射量と複合材料に対する物理量の値(物理量データ)とを関係付けるデータである。
まず、図11に示すデータに含まれる合成関連データについて説明する。
合成関連データに含まれる合成特性値は、図10に示すデータの中の配合データに含まれる配合割合と図示しない特性値データに基づいて、特性値データの特性値を合成する演算を行うことにより算出される。ここで、特性値データとは、複数の異なる材料ごとに材料名と材料の特性値とを関係付けたデータをいい、この特性値データは、予め取得されているものとする。例えば、特性値データとは、図10に示す樹脂Aに着目すると、樹脂Aという材料名と樹脂Aの特性値とを関連付けたデータということができる。
ここで、合成特性値は、必ずしも複合材料を構成するすべての構成材料に対する特性値を使用して合成演算する必要はなく、複合材料を構成する構成材料の一部(関連性を有する構成材料に限定)に対する特性値だけを使用して合成演算するようにしてもよい。
以下では、合成特性値について具体的に説明する。
図11において、本具体例の合成特性値には、5種類の合成特性値が含まれている。以下では、これらの5種類の合成特性値について説明する。
(1)フィラー体積比率
フィラー体積比率は、樹脂(ベースポリマ)の体積に対するフィラー(難燃剤)の体積の割合を示しており、樹脂に対してどの程度の割合でフィラーが加えられているかを表すパラメータである。例えば、フィラー体積比率に関する合成特性値は、樹脂とフィラーが関係する。このことから、複合材料を構成する構成材料の中のうち、図10に示す樹脂(樹脂A~樹脂G)のそれぞれの特性値と、図10に示す難燃剤(難燃剤H~難燃剤J)のそれぞれの特性値とともに、図10に示す配合割合に基づいて、合成特性値を算出するための演算が行われる。
(2)無水マレイン酸変性量
無水マレイン酸変性量は、複合材料に含まれる無水マレイン酸(MAH)の量を表すパラメータである。無水マレイン酸は、樹脂とフィラーを接着する機能を有していることから、無水マレイン酸の量が樹脂組成物の伸びや引張強さに影響を与えると考えられるため、パラメータとして採用されている。例えば、無水マレイン酸変性量に関する合成特性値は、樹脂が関係する。このことから、複合材料を構成する構成材料の中のうち、図10に示す樹脂(樹脂A~樹脂G)のそれぞれの特性値と、図10に示す配合割合に基づいて、合成特性値を算出するための演算が行われる。
(3)結晶量
結晶量は、複合材料に含まれる結晶性樹脂の量を表すパラメータである。結晶性樹脂の量によって複合材料の硬さが変化することから、結晶性樹脂の量が樹脂組成物の伸びや引張強さに影響を与えると考えられるため、パラメータとして採用されている。例えば、結晶量に関する合成特性値は、樹脂が関係する。このことから、複合材料を構成する構成材料の中のうち、図10に示す樹脂(樹脂A~樹脂G)のそれぞれの特性値と、図10に示す配合割合に基づいて、合成特性値を算出するための演算が行われる。
(4)酢酸ビニル基量
酢酸ビニル基量は、複合材料に含まれる酢酸ビニル基の量を表すパラメータである。酢酸ビニル基量によって複合材料の硬さが変化することから、酢酸ビニル基量が樹脂組成物の伸びや引張強さに影響を与えると考えられるため、パラメータとして採用されている。例えば、結晶量に関する合成特性値は、樹脂が関係する。このことから、複合材料を構成する構成材料の中のうち、図10に示す樹脂(樹脂A~樹脂G)のそれぞれの特性値と、図10に示す配合割合に基づいて、合成特性値を算出するための演算が行われる。
(5)フィラー表面積
フィラー表面積は、難燃剤や難燃助剤として使用されるフィラーの粒子の大きさを表すパラメータとして用いられている。フィラーの粒子の大きさは、樹脂組成物の伸びや引張強さに影響を与えると考えられるため、パラメータとして採用されている。例えば、フィラー表面積に関する合成特性値は、難燃剤が関係する。このことから、複合材料を構成する構成材料の中のうち、図10に示す難燃剤(難燃剤H~難燃剤J)のそれぞれの特性値と、図10に示す配合割合に基づいて、合成特性値を算出するための演算が行われる。
続いて、図11に示すデータに含まれる付加データについて説明する。
付加データには、カテゴリカル変数が含まれている。このカテゴリカル変数の値は、図10に示すデータに含まれる配合データに基づいて入力される。
カテゴリカル変数は、デジタル変数であり、付加データでは、例えば、4種類のカテゴリカル変数が使用されている。具体的に、カテゴリカル変数「CAT1」は、難燃剤の表面処理の種類を示しており、変数値が「1」の場合は、難燃剤の表面処理がシランカップリング処理であることを表している一方、変数値が「0」の場合は、シランカップリング処理が施されていないことを表している。
カテゴリカル変数「CAT2」は、難燃剤の表面処理の種類を示しており、変数値が「1」の場合は、難燃剤の表面処理が脂肪酸処理であることを表している一方、変数値が「0」の場合は、脂肪酸処理が施されていないことを表している。
カテゴリカル変数「CAT3」は、難燃剤の成分を示しており、変数値が「1」の場合は、難燃剤の成分が水酸化マグネシウムを含むことを表している一方、変数値が「0」の場合は、難燃剤の成分が水酸化マグネシウムを含まないことを表している。
カテゴリカル変数「CAT4」は、難燃剤の成分を示しており、変数値が「1」の場合は、難燃剤の成分が水酸化アルミニウムを含むことを表している一方、変数値が「0」の場合は、難燃剤の成分が水酸化アルミニウムを含まないことを表している。
例えば、図11において、配合番号「ID1」で特定される複合材料は、カテゴリカル変数「CAT1」が「1」で、かつ、カテゴリカル変数「CAT2」が「0」で、かつ、カテゴリカル変数「CAT3」が「1」で、かつ、カテゴリカル変数「CAT4」が「0」である。このことから、配合番号「ID1」で特定される複合材料は、構成材料である難燃剤の成分が水酸化マグネシウムを含み、難燃剤の表面処理として、シランカップリング処理が施されていることがわかる。
さらに、図11に示すデータに含まれる追加データについて説明する。
追加データには、プロセス条件値としての照射量が含まれている。この照射量とは、複合材料に含まれる樹脂を架橋する工程で実施される放射線照射での放射線照射量を表している。例えば、照射量が「0」である場合は、そもそも、放射線照射によって樹脂を架橋する工程が行われていないことを意味している。
以上のようにして、図11に示すデータが構成されている。
次に、図10に含まれる配合データと図11に示すデータ(合成関連データと付加データと追加データ)とに基づいて、近似関数が生成される。具体的に、図10に含まれる配合データと図11に示すデータを教師データとして、入力を配合情報、合成特性値、カテゴリカル変数の値および照射量の値とするとともに出力を物理量の値とする機械学習を実施することにより近似関数が生成される。このように、本具体例においては、図11に示すデータとともに、材料名と配合割合を含む配合情報(図10に含まれる配合データ)も教師データに使用して近似関数を生成している。この場合、入力を配合情報、合成特性値、カテゴリカル変数の値および照射量の値とする一方、出力が物理量の値となる近似関数が生成される。
なお、近似関数を生成する際、配合情報、合成特性値、カテゴリカル変数の値および照射量の値のすべてを入力とするだけでなく、配合情報と合成特性値とカテゴリカル変数の値を入力とする一方、物理量の値を出力とする機械学習を実施することにより近似関数を生成してもよい。この場合、入力を配合情報と合成特性値とカテゴリカル変数の変数値とする一方、出力が物理量の値となる近似関数が生成される。また、配合情報と合成特性値とプロセス条件値(照射量の値)を入力とする一方、物理量の値を出力とする機械学習を実施することにより近似関数を生成してもよい。この場合、入力を配合情報と合成特性値とプロセス条件値とする一方、出力が物理量の値となる近似関数が生成される。
さらには、配合情報と合成特性値を入力とする一方、物理量の値を出力とする機械学習を実施することにより近似関数を生成してもよい。この場合、入力を配合情報と合成特性値とする一方、出力が物理量の値となる近似関数が生成される。
続いて、上述したようにして生成された近似関数に基づいて、評価対象の第1複合材料に対する物理量の値を推定することについて説明する。
図12は、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料の第1配合データを示す表である。図12において、配合番号は、第1複合材料を特定するID番号である。そして、図12では、第1複合材料を構成する構成材料として、樹脂、難燃剤(フィラー)、酸化防止剤、滑剤、着色剤および架橋助剤が含まれている。
樹脂としては、材料名が樹脂A、樹脂D、樹脂Fおよび樹脂Gの樹脂が挙げられている。また、難燃剤としては、材料名が難燃剤Iの難燃剤が挙げられている。さらに、酸化防止剤としては、材料名が酸化防止剤Kおよび酸化防止剤Lの酸化防止剤が挙げられ、滑剤としては、材料名が滑剤Mおよび滑剤Oの滑剤が挙げられている。また、着色剤としては、材料名が着色剤Pの着色剤が挙げられ、架橋助剤としては、材料名が架橋助剤Qの架橋助剤が挙げられている。
図12において、例えば、配合番号「ID100」で特定される第1複合材料は、構成材料として、樹脂A(45質量部)、樹脂D(40質量部)、樹脂F(15質量部)、難燃剤I(160質量部)、酸化防止剤K(1質量部)、酸化防止剤L(2質量部)、滑剤M(1質量部)、滑剤O(2質量部)、着色剤P(2質量部)および架橋助剤Q(4質量部)が含まれている。このように、図12に示すデータは、第1複合材料を構成する構成材料の材料名と配合割合を含む第1配合データ(配合情報)であることがわかる。
次に、本具体例では、図12に示す第1配合データに基づいて、図13に示すデータが生成される。この図13に示すデータは、第1合成特性値と第1カテゴリカル変数の値と第1照射量の値から構成される。
本具体例では、図12に示す第1配合データおよび図示しない第1特性値データに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値が算出される。具体的には、第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と第1複合材料に含まれる構成材料に対応した特性値とに基づいて、第1複合材料の第1合成特性値が算出される。例えば、第1合成特性値は、図12に示す第1配合データの第1配合割合と、第1複合材料に含まれる構成材料に対応した図示しない第1特性値データに基づいて、第1特性値データの特性値を合成する演算を行うことにより算出される。なお、第1特性値データとは、第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と構成材料の特性値とを関係付けたデータをいい、この第1特性値データは、予め取得されているものとする。例えば、第1特性値データとは、図12に示す樹脂Dに着目すると、樹脂Dという材料名と樹脂Dの特性値とを関連付けたデータである。
また、第1カテゴリカル変数の値は、図12に示す第1配合データに基づいて入力される。同様に、第1照射量の値も、図12に示す第1配合データに基づいて入力される。ここで、第1カテゴリカル変数の値とは、第1複合材料に対するカテゴリカル変数の値であり、第1照射量の値とは、第1複合材料に対する照射量の値である。
例えば、配合番号「ID100」で特定される第1複合材料は、フィラー体積比率が「0.6」、無水マレイン酸変性量が「0.3」、結晶量が「27」、酢酸ビニル基量が「32」、フィラー表面積が「643」である。また、配合番号「ID100」で特定される第1複合材料は、第1カテゴリカル変数の「CAT1」が「1」、「CAT2」が「0」、「CAT3」が「0」、「CAT4」が「1」となっており、第1照射量が「0」である。
続いて、図12に示す第1配合データに含まれる材料名および第1配合割合と図13に示す第1合成特性値と第1カテゴリカル変数の値と第1照射量の値を近似関数に入力することにより、第1複合材料に対する物理量の値を推定する。この結果、図14の表に示すように、推定された物理量の値が出力される。例えば、図14において、配合番号「ID100」で特定される第1複合材料では、引張強さ(物理量)が「13.15」という値が出力されていることがわかる。
このようにして、本具体例によれば、物理量の値との対応が未知の評価対象となる第1複合材料に対して実現される可能性が高い物理量の値を出力できる。
特に、本具体例では、第1合成特性値だけでなく、構成材料の材料名と配合割合を含む配合情報も近似関数の入力パラメータとして使用している。このため、本具体例によれば、近似関数の入力パラメータの種類が多くなる結果、物理量の値の推定精度を向上することができる。なお、本具体例では、第1合成特性値と、構成材料の材料名と配合割合を含む配合情報を近似関数の入力パラメータとして使用する例として、さらに第1カテゴリカル変数および第1照射量も近似関数の入力パラメータとして使用している。
ただし、応用思想においては、第1カテゴリカル変数および第1照射量(プロセス条件値)は、必須な入力パラメータではなく、少なくとも、第1合成特性値と、構成材料の材料名と配合割合を含む配合情報が近似関数の入力パラメータに含まれていれば、基本コンセプトよりもさらに精度の高い物理量の値を推定することができる。
<効果の検証>
以下では、入力パラメータとして材料名と配合割合を含む配合情報と合成特性値を使用した近似関数で物理量の値を推定する応用思想によれば、物理量の値を高精度に推定することができる検証結果について説明する。
(1)検討方法
(A)入力パラメータに配合情報(材料名)を使用
(B)入力パラメータに合成特性値を使用
(C)入力パラメータに配合情報と合成特性値の両方を使用
ここで、合成特性値には、フィラー体積分率、結晶量、共重合量、無水マレイン酸変性量、BET比表面積が含まれる。
回帰手法としては、以下に示す非線形の5手法を使用する。
(a)SVR(サポートベクトル回帰)
(b)GPR(ガウス過程回帰)
(c)LGBM(LightGBM)
(d)RF(ランダムフォレスト)
(e)NN(ニューラルネットワーク)
モデルの構築は、全配合データを学習データとテストデータに7:3の比率でランダムに分割し、学習データでモデルを学習し、テストデータで評価を行う。評価値は、30回の平均を用いる。ここでの評価は、MAPE(Mean Absolute Percentage Error:平均絶対パーセント誤差)、MAE(Mean Absolute Error:平均絶対値誤差)および「R値」で実施する。
(2)検証結果
(2-1)初期引張強さおよび初期伸び
図15は、初期引張強さおよび初期伸びに関する検証結果を示すグラフである。図15に示すように、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、初期引張強さでMAPEが6.3%から5.6%になるとともに、初期伸びでMAPEが10.3%から9.0%になっている。また、決定係数であるRの値も増加している。ここで、MAPEでは、値が小さいほど予測精度が高精度することを意味し、Rでは、数値が増加するほど予測精度が高精度になることを考慮すると、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、初期引張強さおよび初期伸びの予測精度が向上していることがわかる。
(2-2)老化残率(引張強さ)
図16は、引張強さの老化残率に関する検証結果を示すグラフである。図16に示すように、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、引張強さの老化残率でMAEが3.6%から3.4%になるとともに、Rの値も「0.66」から「0.71」に増加している。したがって、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、引張強さの老化残率の予測精度が向上していることがわかる。
(2-3)耐油残率(引張強さ)および耐油残率(伸び)
図17は、引張強さの耐油残率と伸びの耐油残率に関する検証結果を示すグラフである。図17に示すように、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、引張強さの耐油残率でMAEが3.2%から3.1%になるとともに、Rの値も「0.82」から「0.85」に増加している。また、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、伸びの耐油残率でMAEが8.1%から7.7%になるとともに、Rの値も「0.39」から「0.46」に増加している。したがって、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、引張強さの耐油残率および伸びの耐油残率の両方の予測精度が向上していることがわかる。
(2-4)耐燃料残率(引張強さ)および耐燃料残率(伸び)
図18は、引張強さの耐燃料残率と伸びの耐燃料残率に関する検証結果を示すグラフである。図18に示すように、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、引張強さの耐燃料残率でMAEが3.3%から3.1%になる。また、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、伸びの耐燃料残率でMAEが6.6%から6.3%になるとともに、Rの値も「0.48」から「0.53」に増加している。したがって、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、引張強さの耐燃料残率および伸びの耐燃料残率の両方の予測精度が向上していることがわかる。
(2-5)低温伸び
図19は、-40℃での伸びと-50℃での伸び関する検証結果を示すグラフである。図19に示すように、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、-40℃の伸びでMAEが9.7%から8.9%になるとともに、Rの値も「0.78」から「0.84」に増加している。また、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、-50℃の伸びでMAEが7.5%から6.7%になるとともに、Rの値も「0.77」から「0.83」に増加している。したがって、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、-40℃の伸びおよび-50℃の伸びの両方の予測精度が向上していることがわかる。
以上のことから、入力パラメータを「配合情報」から「配合情報+合成特性値」に変更することにより、様々な物理量の値を推定する精度を向上できることがわかる。すなわち、上述した検証結果から、応用思想によれば、基本コンセプトよりも物理量の値の推定精度を向上できることが裏付けられているということができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
100 物理量推定装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ディスプレイ
105 キーボード
106 マウス
107 通信ボード
108 リムーバルディスク装置
109 CD/DVD-ROM装置
110 プリンタ
111 スキャナ
112 ハードディスク装置
113 バス
201 オペレーティングシステム
202 プログラム群
203 ファイル群
301 入力部
301A 入力部
301B 入力部
302 特性値データ抽出部
302A 第1特性値データ抽出部
302B 特性値データ抽出部
303 合成特性値算出部
303A 第1合成特性値算出部
303B 合成特性値算出部
304 合成関連データ生成部
305 近似関数生成部
306 物理量推定部
307 出力部
308 データ記憶部
309A 通信部
309B 通信部
310A データ記憶部
310B データ記憶部
400 物理量推定装置
500 近似関数生成装置

Claims (18)

  1. 複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムであって、
    物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および前記第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部と、
    前記第1複合材料に含まれる構成材料の前記第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、前記第1複合材料の前記第1合成特性値を算出する合成特性値算出部と、
    前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する物理量推定部と、
    を備える、物理量推定システム。
  2. 請求項1に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記近似関数生成部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報とデジタル変数である第1カテゴリカル変数の変数値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成し、
    前記物理量推定部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記第1カテゴリカル変数の変数値と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する、物理量推定システム。
  3. 請求項1に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記近似関数生成部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と第1プロセス条件値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成し、
    前記物理量推定部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記第1プロセス条件値と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する、物理量推定システム。
  4. 請求項3に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記第1プロセス条件値は、樹脂の架橋処理における放射線照射量の値である、物理量推定システム。
  5. 請求項1に記載の物理量推定システムにおいて、
    前記物理量は、伸びあるいは引張強さである、物理量推定システム。
  6. 複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムの構成要素となる近似関数生成装置であって、
    物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および前記第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成部を備え、
    前記第1合成特性値は、前記第1複合材料に含まれる構成材料の前記第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料に対応した第1特性値とに基づいて算出される値である、近似関数生成装置。
  7. 請求項6に記載の近似関数生成装置において、
    前記近似関数生成部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報とデジタル変数である第1カテゴリカル変数の変数値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する、近似関数生成装置。
  8. 請求項6に記載の近似関数生成装置において、
    前記近似関数生成部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と第1プロセス条件値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する、近似関数生成装置。
  9. 複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および前記第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成する近似関数生成処理を備え、
    前記第1合成特性値は、前記第1複合材料に含まれる構成材料の前記第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料に対応した第1特性値とに基づいて算出される値である、プログラム。
  10. 請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  11. 複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する物理量推定システムの構成要素となる物理量推定装置であって、
    物理量の値が未知である第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、前記第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出部と、
    前記第1合成特性値と前記第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と前記第1配合割合とを含む第1配合情報と近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する物理量推定部と、
    を備え、
    前記近似関数とは、前記第1合成特性値および前記第1配合情報を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する関数である、物理量推定装置。
  12. 請求項11に記載の物理量推定装置において、
    前記近似関数とは、前記第1合成特性値と前記第1配合情報とデジタル変数である第1カテゴリカル変数の変数値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する関数であり、
    前記物理量推定部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記第1カテゴリカル変数の変数値と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する、物理量推定装置。
  13. 請求項11に記載の物理量推定装置において、
    前記近似関数とは、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と第1プロセス条件値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する関数であり、
    前記物理量推定部は、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記第1プロセス条件値と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する、物理量推定装置。
  14. 複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値を推定する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    物理量の値が未知である第1複合材料に含まれる構成材料の第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、前記第1複合材料の第1合成特性値を算出する合成特性値算出処理と、
    前記第1合成特性値と前記第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と前記第1配合割合を含む第1配合情報と近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する物理量推定処理と、
    を備え、
    前記近似関数とは、前記第1合成特性値および前記第1配合情報を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する関数である、プログラム。
  15. 請求項14に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  16. 複数の異なる材料に属する2以上の材料を構成材料として含む複合材料に対する物理量の値をコンピュータが推定する物理量推定方法であって、
    物理量の値が未知である第1複合材料の第1合成特性値および前記第1複合材料に含まれる構成材料の材料名と第1配合割合を含む第1配合情報を入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数をコンピュータの近似関数生成部が生成する近似関数生成工程と、
    コンピュータの合成特性値算出部が前記第1複合材料に含まれる構成材料の前記第1配合割合と前記第1複合材料に含まれる前記構成材料に対応した第1特性値とに基づいて、前記第1複合材料の前記第1合成特性値を算出する合成特性値算出工程と、
    コンピュータの物理量推定部が前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する物理量推定工程と、
    を備える、物理量推定方法。
  17. 請求項16に記載の物理量推定方法において、
    前記近似関数生成工程では、コンピュータの前記近似関数生成部が、前記第1合成特性値と前記第1配合情報とデジタル変数である第1カテゴリカル変数の変数値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成し、
    前記物理量推定工程では、コンピュータの前記物理量推定部が、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記第1カテゴリカル変数の変数値と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する、物理量推定方法。
  18. 請求項16に記載の物理量推定方法において、
    前記近似関数生成工程では、コンピュータの前記近似関数生成部が、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と第1プロセス条件値とを入力すると、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を出力する近似関数を生成し、
    前記物理量推定工程では、コンピュータの前記物理量推定部が、前記第1合成特性値と前記第1配合情報と前記第1プロセス条件値と前記近似関数とに基づいて、前記第1複合材料に対する前記物理量の値を推定する、物理量推定方法。
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