JP7241227B1 - 球面滑り支承 - Google Patents

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【課題】免震効果を向上させた球面滑り支承を提供する。【解決手段】下部構造体Lと上部構造体Uとの間に設置される球面滑り支承であって、球座部20と、スライダー部Sと、上沓10と、を備え、スライダー部Sは、球座部20の上部に配置され、第1凸球面40pを備える第1スライダー部40と、第1スライダー部40の上部に設置され、且つ、下方に面する第2凹球面50dであって第1凸球面40pと摺動する第2凹球面50dを備える第2スライダー部50と、を備え、下凹球面40dの摩擦係数と、第2凹球面50dの摩擦係数と、上沓凹球面10dの摩擦係数と、は、下凹球面40dの摩擦係数、第2凹球面50dの摩擦係数、上沓凹球面10dの摩擦係数の順に、大きくなることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、球面滑り支承に関する。
地震動による地盤の水平変位が建物等の構造物に伝達することを防ぐ免震装置として、滑り支承が用いられることがある。
特許文献1では、地震のピーク地動加速度値を荷重条件として、第1の滑りプレートの第1の主滑り面と、第2の滑りプレートの第2の主滑り面と、の荷重条件が異なることを特徴とした滑り振り子支承が開示されている。
特許第6870118号公報
前記従来の滑り振り子支承では、滑り面の摩擦係数を調整することによる免震効果の向上に更なる改善の余地がある。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、免震効果を向上させた球面滑り支承を提供することを目的とする。
<1>本発明の態様1に係る球面滑り支承は、下部構造体と上部構造体との間に設置される球面滑り支承であって、下部構造体の上部に固定され、且つ、上方に突出する球座部凸球面を備える球座部と、前記球座部の上部に配置され、且つ、下方に面する下凹球面であって前記球座部凸球面と摺動する下凹球面と、上方に突出する上凸球面と、を備えるスライダー部と、前記スライダー部と前記上部構造体との間に配置され、下方に面する上沓凹球面であって前記上凸球面と摺動する上沓凹球面を備える上沓と、を備え、前記スライダー部は、前記球座部の上部に配置され、第1凸球面を備える第1スライダー部と、前記第1スライダー部の上部に設置され、且つ、下方に面する第2凹球面であって前記第1凸球面と摺動する第2凹球面を備える第2スライダー部と、を備え、前記下凹球面の摩擦係数と、前記第2凹球面の摩擦係数と、前記上沓凹球面の摩擦係数と、は、前記下凹球面の摩擦係数、前記第2凹球面の摩擦係数、前記上沓凹球面の摩擦係数の順に、大きくなることを特徴とする。
この発明によれば、下凹球面の摩擦係数と、第2凹球面の摩擦係数と、上沓凹球面の摩擦係数と、は、下凹球面の摩擦係数、第2凹球面の摩擦係数、上沓凹球面の摩擦係数の順に、大きくなる。これにより、例えば、地震が発生した際、震度が比較的小さい場合は、第2凹球面が摺動し、下凹球面がこれに追随する。震度が比較的大きい場合は、第2凹球面及び上沓凹球面のいずれもが摺動し、下凹球面がこれに追随する。このように、球面滑り支承によって対応可能な震度の大きさの幅を広くすることができる。
ここで、上部構造体に配置された上沓の上沓凹球面は、下方に面している。スライダー部の上凸球面は、上沓凹球面と摺動する。つまり、上沓の上沓凹球面は、スライダー部の上凸球面を覆うように配置される。つまり、この構造によれば、凹型の形状が上方に面する部位を有さない。したがって、上沓凹球面と上凸球面との間に、塵埃や水滴が入り込まず、かつ滞留する余地のない構造とすることができる。
また、下部構造体に配置された球座部の球座部凸球面は、上方に突出している。スライダー部の下凹球面は、球座部凸球面と摺動する。つまり、スライダー部の下凹球面は、球座部の球座部凸球面の上を覆うように配置される。つまり、この構造によれば、凹型の形状が上方に面する部位を有さない。これにより、球座部凸球面と下凹球面との間に、塵埃や水滴が入り込まず、かつ滞留する余地のない構造とすることができる。
上述のような構造とすることで、球面滑り支承の摺動領域に、塵埃及び水滴が入り込んだり、滞留したりすることを防ぐことができる。よって、防塵シートを設けることを不要とすることができる。したがって、点検性を向上することができる。
また、平面視において、上沓凹球面に覆われるスライダー部は、上沓よりも小さい。スライダー部に覆われる球座部は、スライダー部よりも小さい。したがって、上部構造体の荷重によって発生する面圧は、上沓とスライダー部との間が最も小さく、スライダー部と球座部との間が最も大きい。ここで、球面滑り支承において摺動する各部位に用いる摩擦材を全て同じにしたとき、面圧が大きいと摩擦係数は小さくなり、面圧が小さいと摩擦係数は大きくなる。球面滑り支承における摺動する各部位に用いる摩擦材をそれぞれ異なるものとすると、以下のようになる。例えば、上凸球面に球座部凸球面より大きな摩擦係数の摩擦材を使用すると、スライダー部が摺動開始するためにはより大きな地震動が必要となる。一方、上凸球面に球座部凸球面より小さな摩擦係数の摩擦材を使用すると、より小さな地震動で比較的早くスライダー部を摺動開始させることができる。このように、摩擦材の摩擦係数を適宜決定することで、球面滑り支承の設置場所において求められる球面滑り支承の性能に柔軟に対応することができる。
更に、下凹球面は、球座部の球座部凸球面と摺動する。これにより、スライダー部は、球座部の球面の中心を回転中心とした回転移動が可能である。したがって、上部構造体を、球座部の球面の中心を回転中心として回転移動させることができる。よって、上部構造体の回転追随性を担保することができる。例えば、上部構造体が橋梁である場合に、橋梁の上を車両が通行することなどによって床版が変形した際に、床版の変形に追随することができる。
<2>本発明の態様2に係る球面滑り支承は、態様1に係る球面滑り支承において、前記下凹球面の曲率半径と、前記第2凹球面の曲率半径と、前記上沓凹球面の曲率半径と、は、前記下凹球面の曲率半径、前記第2凹球面の曲率半径、前記上沓凹球面の曲率半径の順に、大きくなることを特徴とする。
ここで、摺動面の曲率半径が大きい場合、摺動する構成同士は水平方向に相対移動しやすくなり、回転方向に相対移動しにくくなる。摺動面の曲率半径が小さい場合、摺動する構成同士は水平方向に相対移動しにくくなり、回転方向に相対移動しやすくなる。例えば、曲率半径が最も大きい上沓凹球面の摩擦係数が最も大きいことで、上部構造体と下部構造体とは、水平方向の相対移動がしにくくなる。曲率半径が最も小さい下凹球面の摩擦係数が最も小さいことで、上部構造体と下部構造体とは、回転方向の相対移動がしやすくなる。この態様は、例えば、上部構造体が橋梁である場合に特に好適である。
<3>本発明の態様3に係る球面滑り支承は、態様1又は態様2に係る球面滑り支承において、前記第1スライダー部は、前記球座部凸球面の周縁と前記下凹球面の周縁とを上下方向につなぐ外周面を備え、前記球面滑り支承を水平方向のうちの第1水平方向から見たときの、前記球座部凸球面の輪郭線を第1輪郭線とし、前記第1水平方向から見たときの、前記第1スライダー部の前記外周面の輪郭線であって、前記外周面の輪郭線の下端において前記第1輪郭線と交点を形成する前記輪郭線を第2輪郭線とし、前記交点における前記第1輪郭線の接線と、前記第2輪郭線と、のなす角度であって、前記第1スライダー部の側の角度が、90°以上であることを特徴とする。
この発明によれば、交点における第1輪郭線の接線と、第2輪郭線と、のなす角度であって、第1スライダー部の側の角度が、90°以上である。これにより、第1スライダー部における第1輪郭線の接線と第2輪郭線との境界において応力集中が生じにくくすることができる。よって、当該部位を摩耗しにくくすることができる。また、当該部位の第1スライダー部の形状を肉厚にすることで、第1スライダー部の耐久性を向上することができる。
<4>本発明の態様4に係る球面滑り支承は、態様1から態様3のいずれか1つに係る球面滑り支承において、前記第1スライダー部は、前記球座部凸球面の周縁と前記下凹球面の周縁とを上下方向につなぐ外周面を備え、前記球面滑り支承を水平方向のうちの第1水平方向から見たときの、前記球座部凸球面の輪郭線を第1輪郭線とし、前記第1水平方向から見たときの、前記第1スライダー部の前記外周面の輪郭線であって、前記外周面の輪郭線の下端において前記第1輪郭線と交点を形成する前記輪郭線を第2輪郭線とし、前記交点における前記第1輪郭線の接線と、前記第2輪郭線と、のなす角度であって、前記第1スライダー部の側の角度が、90°未満であり、前記第1輪郭線と前記第2輪郭線との境界には、円弧状部が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、交点における第1輪郭線の接線と、第2輪郭線と、のなす角度であって、第1スライダー部の側の角度が、90°未満であり、第1輪郭線と第2輪郭線との境界には、円弧状部が形成されている。当該部位の角度が90°未満とすることで、例えば、球面滑り支承の設置場所におけるレイアウト要件等に対応しやすくすることができる。また、第1輪郭線と第2輪郭線との境界に円弧状部が形成されていることで、第1スライダー部における第1輪郭線の接線と第2輪郭線との境界において応力集中が生じにくくすることができる。よって、当該部位を摩耗しにくくすることができる。
<5>本発明の態様5に係る球面滑り支承は、態様1から態様4のいずれか1つに係る球面滑り支承において、前記第1スライダー部の外周面は、前記球座部の側に位置するテーパ部と、前記上沓の側に位置する直線部と、を備えることを特徴とする。
ここで、第1スライダー部と上沓との間には、摩擦材が配置されることがある。摩擦材は、例えば、繊維により形成される織物である。摩擦材は、第1スライダー部に貼りつけるようにして固定される。これに対し、第1スライダー部の外周面は、球座部の側に位置するテーパ部と、上沓の側に位置する直線部と、を備える。これにより、摩擦材の端部を、直線部に固定することができる。よって、第1スライダー部に摩擦材を配置しやすくすることができる。
<6>本発明の態様6に係る球面滑り支承は、態様1から態様5のいずれか1つに係る球面滑り支承において、前記球座部凸球面、又は前記下凹球面の少なくともいずれか一方に、摩擦材が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、球座部凸球面、又は下凹球面の少なくともいずれか一方に、摩擦材が設けられている。これにより、球座部凸球面と下凹球面との間をより摺動しやすくすることができる。
<7>本発明の態様7に係る球面滑り支承は、態様1から態様6のいずれか1つに係る球面滑り支承において、前記球座部凸球面、又は前記下凹球面の少なくともいずれか一方に、固形潤滑剤が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、球座部凸球面、又は下凹球面の少なくともいずれか一方に、固形潤滑剤が設けられている。これにより、球座部凸球面と下凹球面との間をより摺動しやすくすることができる。
<8>本発明の態様8に係る球面滑り支承は、態様1から態様7のいずれか1つに係る球面滑り支承において、前記球座部凸球面、又は前記下凹球面の少なくともいずれか一方に、油路が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、球座部凸球面、又は下凹球面の少なくともいずれか一方に、油路が設けられている。これにより、球座部凸球面と下凹球面との間をより摺動しやすくすることができる。
<9>本発明の態様9に係る球面滑り支承は、態様1から態様8のいずれか1つに係る球面滑り支承において、前記下部構造体に配置されたベースプレートを更に備え、前記球座部が、前記ベースプレートに締結部材で固定されており、前記締結部材は、前記上沓と前記第1スライダー部とが水平方向において最大限相対移動した場合においても、前記第1スライダー部に干渉しない位置に配置されていることを特徴とする。
この発明によれば、球座部が、ベースプレートに締結部材で固定されている。これにより、例えば、球座部を交換可能とすることができる。この態様は、例えば、球座部を定期的に交換する必要がある場合において、特に顕著な効果をもたらす。また、締結部材は、上沓と第1スライダー部とが水平方向において最大限相対移動した場合においても、第1スライダー部に干渉しない位置に配置されている。これにより、締結部材が第1スライダー部の移動に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
<10>本発明の態様10に係る球面滑り支承は、態様1から態様9のいずれか1つに係る球面滑り支承において、前記下部構造体に配置されたベースプレートを更に備え、前記球座部が、前記ベースプレートに溶接されていることを特徴とする。
この発明によれば、球座部が、ベースプレートに溶接されている。これにより、例えば、球座部がベースプレートに締結部材によって締結されている場合と比較して、締結部材が緩むことについての対策を不要とすることができる。よって、例えば、メンテナンスの頻度を少なくしたり、あるいは不要としたりすることができる。
本発明によれば、免震効果を向上させた球面滑り支承を提供することができる。
本発明に係る球面滑り支承の斜視図である。 図1に示す球面滑り支承の正面断面図である。 図1に示す球面滑り支承が地震によって限界まで変形した例である。 図1に示す球面滑り支承の、球座部と第1スライダー部とが相対移動した例である。 図1に示す球面滑り支承が、上部構造体の回転移動に追随した例である。 図2のVI部の拡大図である。 図6に示す部位の変形例である。 第1スライダー部の第1凸球面に摩擦材が設けられた例である。 第1スライダー部の下凹球面に摩擦材が設けられた例である。 スライダー部の下凹球面に油路が設けられた例である。 下部構造体と上部構造体との間における相対変位と時間との関係を示すグラフである。 地震動に対する球面滑り支承の応答についての解析結果を示すグラフである。 球面滑り支承の第1変形例である。 球面滑り支承の第2変形例である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る球面滑り支承100を説明する。本実施形態に係る球面滑り支承100は、上部構造体Uと下部構造体Lとの間に設置される。上部構造体Uは、例えば、高層ビルや橋梁をはじめとした建築物である。下部構造体Lは、例えば、地盤に設置される基礎構造である。球面滑り支承100は、地震動による地盤の水平変位が建築物に伝達されることを防ぐために設けられる。球面滑り支承100は、例えば、1つの建築物に対して、間隔をあけて複数設けられる。
図1及び図2に示すように、球面滑り支承100は、上沓10と、球座部20と、ベースプレート30と、スライダー部Sと、を備える。
上沓10は、スライダー部Sと上部構造体Uとの間に配置される。上沓10は、上部構造体Uの下部に配置される。上沓10は、例えば矩形状に形成される。上沓10は、下方に面する上沓凹球面10dを備える。上沓凹球面10dは、後述する上凸球面と摺動する滑り面である。上沓凹球面10dは、平面視において円状に形成される。また、上沓凹球面10dは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。上沓10は、例えば、上部構造体Uに対してボルトにより固定される。上沓10は、上部構造体Uに対して溶接により固定されてもよい。
球座部20は、下部構造体Lの上部に配置される。球座部20の上側には、上方に突出する球座部凸球面20pを備える。球座部20は、後述する下凹球面40dと摺動する滑り面である。球座部凸球面20pは、平面視において円状に形成される。また、球座部凸球面20pは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。
球座部20の下側には、下部構造体Lに固定される取付部20aを備える。本実施形態において、球座部20は、ベースプレート30を介して下部構造体Lに配置される。
上沓10及び球座部20は、例えば、溶接構造用圧延鋼材(SM490A、B、C、もしくはSN490B、Cなど)、もしくはS45Cなど機械構造用炭素鋼材、あるいはSUS材や鋳鋼材、鋳鉄等から形成される。
ベースプレート30は、下部構造体Lに配置される板状の部材である。ベースプレート30は、例えば、下部構造体Lに対してボルトにより固定される。ベースプレート30は、下部構造体Lに対して溶接により固定されてもよい。ベースプレート30は、例えば、溶接構造用圧延鋼材(SM490A、B、C、もしくはSN490B、C、もしくはS45C)、あるいはSUS材や鋳鋼材、鋳鉄等から形成される。
球座部20の取付部20aとベースプレート30とは、例えば、締結部材20fで固定される。締結部材20fは、例えば、ボルトである。この場合、球座部20の取付部20aには、ボルト穴20hが設けられる。締結部材20fは、図3に示すように、上沓10と第1スライダー部40とが水平方向において最大限相対移動した場合においても、第1スライダー部40に干渉しない位置に配置されている。つまり、取付部20aのボルト穴20hは、球座部凸球面20pから十分離れた位置に設けられる(詳細は後述する)。
球座部20の取付部20aとベースプレート30とは、ベースプレート30に溶接されていてもよい。この場合、取付部20aにはボルト穴20hが設けられなくてもよい。
スライダー部Sは、上沓10と球座部20との間に配置される。スライダー部Sは、球座部20の上部に配置される。スライダー部Sは、上沓10及び球座部20のそれぞれと摺動する。これにより、例えば、地震が生じた時、図3及び図4に示すように、上部構造体Uと下部構造体Lとを水平方向に相対移動させる。これにより、地震動による地盤(下部構造体L)の水平変位が建築物に伝達されることを防ぐ。また、本実施形態におけるスライダー部Sは、図5に示すように、上部構造体Uの回転(すなわち、傾き)に対して上沓10を追随させる機能も有する(詳細は後述する)。スライダー部Sは、下凹球面40dと、上凸球面と、を少なくとも備える。本実施形態において、スライダー部Sは、第1スライダー部40と、第2スライダー部50と、を備える。
第1スライダー部40は、スライダー部Sの下部に位置する。第1スライダー部40は、球座部20の上部に配置される。第1スライダー部40は、例えば略円盤状に形成され、第1凸球面40pと、下凹球面40dと、外周面40sと、を備える。
第1凸球面40pは、第1スライダー部40の上側に位置する。第1凸球面40pは、上方に突出する。第1凸球面40pは、第2スライダー部50の第2凹球面50d(後述する)と摺動する滑り面である。第1凸球面40pは、平面視において円状に形成される。また、第1凸球面40pは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。第2スライダー部50の第2凹球面50dと第1凸球面40pとの曲率は、互いに一致する。また、第1凸球面40pの平面視における直径は、第2スライダー部50の第2凹球面50dの直径よりも小さい。これにより、図2に示すように、第2スライダー部50の第2凹球面50dは、第1スライダー部40の第1凸球面40pを覆うように配置される。
下凹球面40dは、第1スライダー部40の下側に位置する。下凹球面40dは、下方に面する。下凹球面40dは、球座部20の球座部凸球面20pと摺動する滑り面である。下凹球面40dは、平面視において円状に形成される。また、下凹球面40dは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。球座部20の球座部凸球面20pと下凹球面40dとの曲率は、互いに一致する。下凹球面40dは、球座部20の球座部凸球面20pに嵌合するようにして配置される。図2に示すように、下凹球面40dは、球座部20の球座部凸球面20pを覆うように配置される。
外周面40sは、第1凸球面40pの周縁と下凹球面40dの周縁とを上下方向につなぐ(詳細は後述する)。
第2スライダー部50は、第1スライダー部40の上部に設置される。第2スライダー部50は、例えば略円盤状に形成され、第2凸球面50pと、第2凹球面50dと、第2外周面50sと、を備える。
第2凸球面50pは、第2スライダー部50の上側に位置する。第2凸球面50pは、上方に突出する。第2凸球面50pは、上沓10の上沓凹球面10dと摺動する滑り面である。つまり、本実施形態において、スライダー部Sの上凸球面は、第2スライダー部50の第2凸球面50pである。第2凸球面50pは、平面視において円状に形成される。また、第2凸球面50pは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。上沓10の上沓凹球面10dと第2凸球面50pとの曲率は、互いに一致する。また、第2凸球面50pの平面視における直径は、上沓10の上沓凹球面10dの直径よりも小さい。これにより、図2に示すように、上沓10の上沓凹球面10dは、第2スライダー部50の第2凸球面50pを覆うように配置される。
第2凹球面50dは、第2スライダー部50の下側に位置する。第2凹球面50dは、下方に面する。第2凹球面50dは、第1スライダー部40の第1凸球面40pと摺動する滑り面である。第2凹球面50dは、平面視において円状に形成される。また、第2凹球面50dは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。第1スライダー部40の第1凸球面40pと第2凹球面50dとの曲率は、互いに一致する。また、第2凹球面50dの平面視における直径は、第1スライダー部40の第1凸球面40pの直径よりも大きい。これにより、図2に示すように、第2凹球面50dは、第1スライダー部40の第1凸球面40pを覆うように配置される。
第2外周面50sは、第2凸球面50pの周縁と第2凹球面50dの周縁とを上下方向につなぐ。
図3に示すように、第1スライダー部40と第2スライダー部50とは、第1スライダー部40が第2スライダー部50の内壁50w(すなわち、第2凹球面50dの外周の壁)と接触するまで相対移動可能である。つまり、第1スライダー部40と第2スライダー部50とが水平方向において最大限相対移動した場合とは、第1スライダー部40が第2スライダー部50の第2凹球面50dの内壁50wと接触した場合をいう。
本実施形態において、第2スライダー部50には、上述のように内壁50wが設けられている。これに限らず、第2スライダー部50には内壁50wが設けられていなくてもよい。この場合は、第2スライダー部50と第1スライダー部40との想定外の相対移動によって第1スライダー部40が第2スライダー部50から逸脱しないように、第2スライダー部50を十分な余裕を持った大きさとすることが好ましい。あるいは、内壁50wに代えて、第2スライダー部50の外周に、第1スライダー部40の逸脱を防止するストッパーを設けてもよい。ストッパーとは、例えば、円環状の部材であって、内側面が第2凹球面50dの外縁に沿うように配置される部材である。ストッパーは、例えば、第2スライダー部50と一体成形されてもよいし、個別に形成された後、第2スライダー部50に組み付けられてもよい。
上沓10と第2スライダー部50とは、第2スライダー部50が上沓10の上沓凹球面10dの内壁10w(すなわち、上沓凹球面10dの外周の壁)と接触するまで相対移動可能である。つまり、上沓10と第2スライダー部50とが水平方向において最大限相対移動した場合とは、第2スライダー部50が上沓10の上沓凹球面10dの内壁10wと接触した場合をいう。
本実施形態において、上沓10には、上述のように内壁10wが設けられている。これに限らず、上沓10には内壁10wが設けられていなくてもよい。この場合は、上沓10と第2スライダー部50との想定外の相対移動によって第2スライダー部50が上沓10から逸脱しないように、上沓10を十分な余裕を持った大きさとすることが好ましい。あるいは、内壁10wに代えて、上沓10の外周に、第2スライダー部50の逸脱を防止するストッパーを設けてもよい。ストッパーとは、例えば、円環状の部材であって、内側面が上沓凹球面10dの外縁に沿うように配置される部材である。ストッパーは、例えば、上沓10と一体成形されてもよいし、個別に形成された後、上沓10に組み付けられてもよい。
本実施形態において、締結部材20fは、次のような位置に設けられる。すなわち、上部構造体Uと下部構造体Lとが相対的に移動する前の状態から、上部構造体Uと下部構造体Lとが相対移動して第1スライダー部40が第2スライダー部50の内壁50w又はストッパーに対して接触し、同方向への更なる移動が規制された状態に至るまで、締結部材20fと第1スライダー部40とが干渉しない位置に設けられる。
第1スライダー部40は、例えば、溶接構造用圧延鋼材(SM490A、B、C、もしくはSN490B、Cなど)、もしくはS45Cなど機械構造用炭素鋼材、あるいはSUS材や鋳鋼材、鋳鉄等から形成される。
本実施形態において、下凹球面40dの摩擦係数と、第2凹球面50dの摩擦係数と、上沓凹球面10dの摩擦係数と、は、下凹球面40dの摩擦係数、第2凹球面50dの摩擦係数、上沓凹球面10dの摩擦係数の順に、大きくなる。
ここで、下凹球面40dの摩擦係数とは、下凹球面40dと球座部凸球面20pとが摺動する際の、摩擦係数をいう。第2凹球面50dの摩擦係数とは、第2凹球面50dと第1凸球面40pとが摺動する際の、摩擦係数をいう。上沓凹球面10dの摩擦係数とは、上沓凹球面10dと上凸球面(本実施形態においては、第2凸球面50p)とが摺動する際の、摩擦係数をいう。
上述の各部位の摩擦係数は、上部構造体Uの重量によって各摺動面に生じる面圧の大きさに反比例する。つまり、面圧が大きくなるに伴って、摩擦係数は小さくなる。
上部構造体からの荷重を受ける面積の大きさは、下凹球面40d、第2凹球面50d、上沓凹球面10dの順に大きくなる。したがって、面圧の大きさは、下凹球面40d、第2凹球面50d、上沓凹球面10dの順に小さくなる。これにより、上述のように摩擦係数の大きさが変化する。
本実施形態において地震が発生した際の球面滑り支承100の動きは、以下のようになる。すなわち、例えば、地震が発生した際、震度が比較的小さい場合(例えば、レベル2地震)は、第2凹球面50dが摺動し、下凹球面40dがこれに追随する。すなわち、図4に示すように、第1スライダー部40と第2スライダー部50とが水平方向に相対移動する。震度が比較的大きい場合(例えば、レベル3地震)は、第2凹球面50d及び上沓凹球面10dのいずれもが摺動し、下凹球面40dがこれに追随する。すなわち、図3に示すように、第1スライダー部40と第2スライダー部50とが水平方向に相対移動することに加えて、第2スライダー部50と上沓10とが水平方向に相対移動する。
ここで、地震のレベルについて、「2020年版 建築物の構造関係技術基準解説書」(編集 一般財団法人 建築行政情報センター、一般財団法人 日本建築防災協会;71頁)の記載に基づき、以下のように規定する。すなわち、稀に起きる(50年に一度程度)震度をレベル1とする。レベル1地震は、例えば、建物の耐用年数中に一度以上は発生する可能性が高い。極めて稀に起きる(500年に一度程度)震度をレベル2とする。また、レベル2地震動よりも規模の大きな極大地震動をレベル3とする。
このように、各摺動部の摩擦係数を適宜設定することによって、球面滑り支承100によって対応可能な震度の大きさの幅を広くする。本実施形態に係る球面滑り支承の、地震動に対する応答の詳細については後述する。
本実施形態において、下凹球面40dの曲率半径と、第2凹球面50dの曲率半径と、上沓凹球面10dの曲率半径と、は、下凹球面40dの曲率半径、第2凹球面50dの曲率半径、上沓凹球面10dの曲率半径の順に、大きくなる。
ここで、摺動面の曲率半径が大きい場合、摺動する構成同士は水平方向に相対移動しやすくなり、回転方向に相対移動しにくくなる。摺動面の曲率半径が小さい場合、摺動する構成同士は水平方向に相対移動しにくくなり、回転方向に相対移動しやすくなる。
例えば、地震によって上部構造体Uと下部構造体Lとが水平方向に相対移動した際は、曲率半径が比較的大きい上沓凹球面10d及び第2凹球面50dが摺動することで、すなわち、上沓10、第2スライダー部50、第1スライダー部40がそれぞれ互いに相対移動する。これにより、球面滑り支承の免震機能を担保する。
また、例えば、本実施形態に係る球面滑り支承が橋梁に用いられた場合、すなわち、上部構造体Uが橋梁の床版である場合において、車両の走行等によって橋梁の床版が撓むことがある。すると、図5に示すように、床版である上部構造体Uが、上沓10を傾けるように動く。この場合、下凹球面40dが摺動する。すなわち、第1スライダー部40が、球座部凸球面20pの中心を回転中心として回転移動する。これにより、上沓10が上部構造体Uの回転に追随できるようにする。
また、例えば、地震により上部構造体Uと下部構造体Lとが水平方向に相対移動した場合において、上沓10と第2スライダー部50との相対移動量は、第2スライダー部50と第1スライダー部40との相対移動量よりも大きい。第2スライダー部50と第1スライダー部40との相対移動量は、第1スライダー部40と球座部20との相対移動量よりも大きい。
上沓10と第2スライダー部50とが任意の距離だけ相対移動した場合における、第2スライダー部50の回転角は、第2スライダー部50と第1スライダー部40とが同じ距離だけ相対移動した場合における第2スライダー部50の回転角よりも小さい。第2スライダー部50と第1スライダー部40とが任意の距離だけ相対移動した場合における、第1スライダー部40の回転角は、第1スライダー部40と球座部20とが同じ距離だけ相対移動した場合における第1スライダー部40の回転角よりも小さい。なお、回転角とは、水平方向のうち、上部構造体Uと下部構造体Lとが相対移動する方向に直交する方向を回転軸とした回転角をいう。
上沓凹球面10d及び第2凸球面50p(上凸球面)の曲率、第2凹球面50d及び第1凸球面40pの曲率、及び下凹球面40d及び球座部凸球面20pの曲率を設定する際は、上記特性を考慮し、かつ、球面滑り支承100を設置可能な領域の大きさ等に鑑みて決定されることが好ましい。
(第1スライダー部40の外周面40sについて)
外周面40sは、第1凸球面40pの周縁と下凹球面40dの周縁とを上下方向につなぐ。本実施形態において、外周面40sは、直線部40s1と、テーパ部40s2と、を備える。
直線部40s1は、上沓10の側に位置する。すなわち、直線部40s1は、第1スライダー部40の上側に位置する。本実施形態において、直線部40s1は、図2に示すように、上下方向に沿って直線状に形成される。直線部40s1には、例えば、後述する摩擦材40Fが取り付けられる。直線部40s1は、摩擦材40Fの取り付けに支障がなければ、例えば、円弧状に形成されてもよい。
テーパ部40s2は、球座部20の側に位置する。すなわち、テーパ部40s2は、第1スライダー部40の下側に位置する。テーパ部40s2は、第1スライダー部40の外径が、上方から下方に向けて縮径するように形成される。
ここで、球座部20と第1スライダー部40の部位について、次のように規定する。
すなわち、図6及び図7に示すように、球面滑り支承100に振動が入力されていない状態において、球面滑り支承100を水平方向のうちの第1水平方向から見たときの、球座部凸球面20pの輪郭線を第1輪郭線C1とする。
球面滑り支承100に振動が入力されていない状態において、球面滑り支承100を第1水平方向から見たときの、第1スライダー部40の外周面40sの輪郭線であって、外周面40sの輪郭線の下端において第1輪郭線C1と交点Cを形成する輪郭線を第2輪郭線C2とする。
このとき、球面滑り支承100に振動が入力されていない状態における、交点Cにおける第1輪郭線C1の接線と、第2輪郭線C2と、のなす角度であって、第1スライダー部40の側の角度Aが、例えば、90°以上である。第1スライダー部40をこのような形状にすることで、交点Cにおいて応力集中が発生することを防ぐ。なお、交点Cは、半径5mm程度のR加工がされ、外側に膨らんだ形状となっている(不図示)ことが好ましい。
なお、球面滑り支承100の設置箇所の条件等によって上述の形状とすることが不可能である場合、角度Aは、90°未満であってもよい。この場合、第1輪郭線C1と第2輪郭線C2との境界には、円弧状部CRが形成されていることが好ましい。円弧状部CRは、例えば、第1輪郭線C1と第2輪郭線C2との境界における、半径5mm以上のR加工である。これにより、角度Aが90°未満の場合であっても、交点Cにおいて応力集中が発生することを防ぐことが好ましい。
(球面滑り支承における各摺動面について)
球面滑り支承100における各摺動面には、摩擦材40Fが設けられている。すなわち、例えば、上沓凹球面10d又は第2凸球面50pの少なくともいずれか一方、第2凹球面50d又は第1凸球面40pの少なくともいずれか一方、下凹球面40d又は球座部凸球面20pの少なくともいずれか一方には、それぞれ、摩擦材40Fが設けられている。ここで、摩擦材40Fは、例えば、少なくともPTFEを素材とする摩擦材である。摩擦材40Fは二重織物により形成され、二重織物は、PTFE繊維(polytetrafluoroethylene、ポリテトラフルオロエチレン)と、PTFE繊維よりも引張強度の高い繊維(高強度繊維)とにより形成される。ここで、「PTFE繊維よりも引張強度の高い繊維」としては、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン4・6などのポリアミドやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルやパラアラミドなどの繊維を挙げることができる。また、メタアラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、カーボン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、LCP、ポリイミド、PEEKなどの繊維を挙げることができる。また、さらに、熱融着繊維や綿、ウールなどの繊維を適用してもよい。その中でも、耐薬品性、耐加水分解性に優れ、引張強度の極めて高いPPS繊維が望ましい。
尚、少なくともPTFEを素材とする摩擦材としては、二重織物以外のPTFE繊維を含む織物でもよく、また、PTFEのみを素材とする摩擦材、PTFEと他の樹脂の複合素材からなる摩擦材、PTFEを素材とする摩擦材と他の樹脂を素材とする摩擦材との積層構造の摩擦材などであってもよい。
(第1スライダー部の摺動面について)
本実施形態において、摩擦材40Fは、例えば、図8に示すように、第1スライダー部40の第1凸球面40pに設けられる。摩擦材40Fは、図9に示すように、第1スライダー部40の下凹球面40dに設けられてもよい。あるいは、摩擦材40Fは、第1凸球面40p及び下凹球面40dの両方に設けられてもよい。
上述のように、摩擦材40Fは二重織物である。摩擦材40Fは、第1凸球面40p又は下凹球面40dを覆うように配置され、端部を外周面40sの直線部40s1に貼り付けるようにして固定することが好ましい。
球座部凸球面20p、又は下凹球面40dの少なくともいずれか一方には、固形潤滑剤が設けられていてもよい。固形潤滑剤には、例えば、黒鉛等が好適に用いられる。固形潤滑剤は、例えば、球座部凸球面20p又は下凹球面40dの表面に設けられた窪みに点状に配置される。固形潤滑剤は、球座部凸球面20p又は下凹球面40dの表面に設けられた溝に線状に配置されてもよい。球座部凸球面20p、又は下凹球面40dの少なくともいずれか一方には、固形潤滑剤に代えて、通常のグリースが設けられていてもよい。
球座部凸球面20p、又は下凹球面40dの少なくともいずれか一方には、図10に示すように、油路OPが設けられていてもよい。油路OPは、球座部凸球面20p又は下凹球面40dの表面に設けられた溝である。油路OPには、潤滑油が注入される。これにより、摺動部の摩擦を低減する。なお、油路OPを設ける場合には、定期的に潤滑油を充填することが好ましい。油路OPは、例えば、図10に示すように、球座部凸球面20p又は下凹球面40dの中心から放射状に設けられる。これに加えて、放射状の溝同士を繋ぐ円環状の溝を設けてもよい。また、油路OPの一部に、溝の幅の広い箇所を設け、油溜まりとしてもよい。油路OPに潤滑油を注入しやすくするため、テーパ部40s2の表面に、注入口OIを設けてもよい。
(球面滑り支承の地震動に対する応答について)
次に、本実施形態に係る球面滑り支承の、地震動に対する応答の詳細について説明する。図11に示すグラフは、下部構造体と上部構造体との間の水平方向の相対変位(水平変位)について、時間を横軸に、変位量を縦軸にとったグラフである。図12に示すグラフは、図11に示す水平変位の時刻歴波形の場合における球面滑り支承の応答についての解析結果を示すグラフである。
図12に示すように、原点Oから第1点P1にかけては、第2凹球面50dが摺動を開始した際の変位を示す。この原点Oから第1点P1にかけての曲線の傾きが他の曲線と異なるのは、第2凹球面50dの曲率半径が第2凸球面50pの曲率半径より小さいためである。第2凸球面50pが摺動を開始した後は、第1点P1から第2点P2にかけて示すように、他の曲線と同様の傾きで変位及び水平力が推移する。第2点P2から第3点P3にかけては,再度第2凹球面50dが摺動している様子を表す。
図12に示すように、レベル1地震に対して第2凹球面50dが摺動開始するものとした場合、以降の球面滑り支承の動きはレベル2地震に対する応答となる。レベル2地震に対して第2凸球面50pが摺動開始するものとした場合、以降の球面滑り支承の動きはレベル3地震に対する応答となる。
第2凹球面50dが摺動し、球面の抵抗が大きくなるため、第2凹球面50dの摺動が最大変形に達する前に、第2凸球面50pが摺動する。第2凸球面50pが最大変形に達し、内壁10wにぶつかると、第2凹球面50dが最後まで摺動する。
ここで、第2凹球面50dの曲率半径をR2とし、第2凸球面50pの曲率半径をR3とし、第2スライダー部50に付加される荷重である上載荷重をWとすると、図12に示す原点Oから第1点P1にかけての曲線の傾きは、W/R2で表せ、第1点P1から第2点P2にかけての曲線の傾きは、W/R3で表せ、第2点P2から第3点P3にかけての曲線の傾きは、W/R2で表せる。
第1点P1から第2点P2までは、第2凸球面50pの摺動によって一定の傾きで水平力及び変位が変化する。第2点P2において、第2凸球面50pの摺動が最大となると、第2点P2から第3点P3にかけて、第2凹球面50dが摺動する。
第3点P3において、第1の向きへの水平力の大きさが最大となると、第3点P3から第4点P4に示すように、水平力の向きが変化する。その後、第4点P4から第5点P5に示すように変位及び水平力が一様に減少する。具体的には、第2凹球面50dの摺動の方向が変化する。第5点P5において、第2凸球面50pの摺動の方向が変化すると、変位及び水平力が第5点P5から第6点P6にかけて推移する。
第6点P6において、再び第2凸球面50pの摺動が最大となると、第6点P6から第7点P7にかけて、第2凹球面50dが摺動する。
第7点P7において、第2の向きへの水平力の大きさが最大となると、第7点P7から第8点P8に示すように、水平力の向きが変化する。その後、第8点P8から第9点P9に示すように変位及び水平力が一様に減少する。第9点P9において、第2凸球面50pの摺動の方向が変化すると、変位及び水平力が第9点P9から第2点P2にかけて推移する。球面滑り支承100は、地震が収まって水平力が発生しなくなるまで、上述の変化を継続する。
上記のようにして、球面滑り支承100が作動する。
以上説明したように、本実施形態に係る球面滑り支承100によれば、下凹球面40dの摩擦係数と、第2凹球面50dの摩擦係数と、上沓凹球面10dの摩擦係数と、は、下凹球面40dの摩擦係数、第2凹球面50dの摩擦係数、上沓凹球面10dの摩擦係数の順に、大きくなる。これにより、例えば、地震が発生した際、震度が比較的小さい場合は、第2凹球面50dが摺動し、下凹球面40dがこれに追随する。震度が比較的大きい場合は、第2凹球面50d及び上沓凹球面10dのいずれもが摺動し、下凹球面40dがこれに追随する。このように、球面滑り支承100によって対応可能な震度の大きさの幅を広くすることができる。
ここで、上部構造体Uに配置された上沓10の上沓凹球面10dは、下方に面している。スライダー部Sの上凸球面は、上沓凹球面10dと摺動する。つまり、上沓10の上沓凹球面10dは、スライダー部Sの上凸球面を覆うように配置される。つまり、この構造によれば、凹型の形状が上方に面する部位を有さない。したがって、上沓凹球面10dと上凸球面との間に、塵埃や水滴が入り込まず、かつ滞留する余地のない構造とすることができる。
また、下部構造体Lに配置された球座部20の球座部凸球面20pは、上方に突出している。スライダー部Sの下凹球面40dは、球座部凸球面20pと摺動する。つまり、スライダー部Sの下凹球面40dは、球座部20の球座部凸球面20pの上を覆うように配置される。つまり、この構造によれば、凹型の形状が上方に面する部位を有さない。これにより、球座部凸球面20pと下凹球面40dとの間に、塵埃や水滴が入り込まず、かつ滞留する余地のない構造とすることができる。
上述のような構造とすることで、球面滑り支承100の摺動領域に、塵埃及び水滴が入り込んだり、滞留したりすることを防ぐことができる。よって、防塵シートを設けることを不要とすることができる。したがって、点検性を向上することができる。
また、平面視において、上沓凹球面10dに覆われるスライダー部Sは、上沓10よりも小さい。スライダー部Sに覆われる球座部20は、スライダー部Sよりも小さい。したがって、上部構造体Uの荷重によって発生する面圧は、上沓10とスライダー部Sとの間が最も小さく、スライダー部Sと球座部20との間が最も大きい。ここで、球面滑り支承100において摺動する各部位に用いる摩擦材40Fを全て同じにしたとき、面圧が大きいと摩擦係数は小さくなり、面圧が小さいと摩擦係数は大きくなる。球面滑り支承100における摺動する各部位に用いる摩擦材40Fをそれぞれ異なるものとすると、以下のようになる。例えば、上凸球面に球座部凸球面20pより大きな摩擦係数の摩擦材40Fを使用すると、スライダー部Sが摺動開始するためにはより大きな地震動が必要となる。一方、上凸球面に球座部凸球面20pより小さな摩擦係数の摩擦材40Fを使用すると、より小さな地震動で比較的早くスライダー部Sを摺動開始させることができる。このように、摩擦材40Fの摩擦係数を適宜決定することで、球面滑り支承の設置場所において求められる球面滑り支承の性能に柔軟に対応することができる。
更に、下凹球面40dは、球座部20の球座部凸球面20pと摺動する。これにより、スライダー部Sは、球座部20の球面の中心を回転中心とした回転移動が可能である。したがって、上部構造体Uを、球座部20の球面の中心を回転中心として回転移動させることができる。よって、上部構造体Uの回転追随性を担保することができる。例えば、上部構造体Uが橋梁である場合に、橋梁の上を車両が通行することなどによって床版が変形した際に、床版の変形に追随することができる。
ここで、摺動面の曲率半径が大きい場合、摺動する構成同士は水平方向に相対移動しやすくなり、回転方向に相対移動しにくくなる。摺動面の曲率半径が小さい場合、摺動する構成同士は水平方向に相対移動しにくくなり、回転方向に相対移動しやすくなる。例えば、曲率半径が最も大きい上沓凹球面10dの摩擦係数が最も大きいことで、上部構造体Uと下部構造体Lとは、水平方向の相対移動がしにくくなる。曲率半径が最も小さい下凹球面40dの摩擦係数が最も小さいことで、上部構造体Uと下部構造体Lとは、回転方向の相対移動がしやすくなる。この態様は、例えば、上部構造体Uが橋梁である場合に特に好適である。
また、交点Cにおける第1輪郭線C1の接線と、第2輪郭線C2と、のなす角度Aであって、第1スライダー部40の側の角度Aが、90°以上である。これにより、第1スライダー部40における第1輪郭線C1の接線と第2輪郭線C2との境界において応力集中が生じにくくすることができる。よって、当該部位を摩耗しにくくすることができる。また、当該部位の第1スライダー部40の形状を肉厚にすることで、第1スライダー部40の耐久性を向上することができる。
また、交点Cにおける第1輪郭線C1の接線と、第2輪郭線C2と、のなす角度Aであって、第1スライダー部40の側の角度Aが、90°未満であり、第1輪郭線C1と第2輪郭線C2との境界には、円弧状部CRが形成されている。当該部位の角度Aが90°未満とすることで、例えば、球面滑り支承100の設置場所におけるレイアウト要件等に対応しやすくすることができる。また、第1輪郭線C1と第2輪郭線C2との境界に円弧状部CRが形成されていることで、第1スライダー部40における第1輪郭線C1の接線と第2輪郭線C2との境界において応力集中が生じにくくすることができる。よって、当該部位を摩耗しにくくすることができる。
ここで、第1スライダー部40と上沓10との間には、摩擦材40Fが配置されることがある。摩擦材40Fは、例えば、繊維により形成される織物である。摩擦材40Fは、第1スライダー部40に貼りつけるようにして固定される。これに対し、第1スライダー部40の外周面40sは、球座部20の側に位置するテーパ部40s2と、上沓10の側に位置する直線部40s1と、を備える。これにより、摩擦材40Fの端部を、直線部40s1に固定することができる。よって、第1スライダー部40に摩擦材40Fを配置しやすくすることができる。
また、球座部凸球面20p、又は下凹球面40dの少なくともいずれか一方に、摩擦材40Fが設けられている。これにより、球座部凸球面20pと下凹球面40dとの間をより摺動しやすくすることができる。
また、球座部凸球面20p、又は下凹球面40dの少なくともいずれか一方に、固形潤滑剤が設けられている。これにより、球座部凸球面20pと下凹球面40dとの間をより摺動しやすくすることができる。
また、球座部凸球面20p、又は下凹球面40dの少なくともいずれか一方に、油路OPが設けられている。これにより、球座部凸球面20pと下凹球面40dとの間をより摺動しやすくすることができる。
また、球座部20が、ベースプレート30に締結部材20fで固定されている。これにより、例えば、球座部20を交換可能とすることができる。この態様は、例えば、球座部20を定期的に交換する必要がある場合において、特に顕著な効果をもたらす。また、締結部材20fは、上沓10と第1スライダー部40とが水平方向において最大限相対移動した場合においても、第1スライダー部40に干渉しない位置に配置されている。これにより、締結部材20fが第1スライダー部40の移動に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
また、球座部20が、ベースプレート30に溶接されている。これにより、例えば、球座部20がベースプレート30に締結部材20fによって締結されている場合と比較して、締結部材20fが緩むことについての対策を不要とすることができる。よって、例えば、メンテナンスの頻度を少なくしたり、あるいは不要としたりすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の第2球面滑り支承200を、図13を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第2球面滑り支承200は、スライダー部Sに第3スライダー部60を更に備える点で、球面滑り支承100と相違する。
第3スライダー部60は、第2スライダー部50の上部に設置される。第3スライダー部60は、例えば略円盤状に形成され、第3凸球面60pと、第3凹球面60dと、第3外周面60sと、を備える。
第3凸球面60pは、第3スライダー部60の上側に位置する。第3凸球面60pは、上方に突出する。第3凸球面60pは、上沓10の上沓凹球面10dと摺動する滑り面である。つまり、第2実施形態において、スライダー部Sの上凸球面は、第3スライダー部60の第3凸球面60pである。第3凸球面60pは、平面視において円状に形成される。また、第3凸球面60pは、図13に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。上沓10の上沓凹球面10dと第3凸球面60pとの曲率は、互いに一致する。また、第3凸球面60pの平面視における直径は、上沓10の上沓凹球面10dの直径よりも小さい。これにより、図13に示すように、上沓10の上沓凹球面10dは、第3スライダー部60の第3凸球面60pを覆うように配置される。
第3凹球面60dは、第3スライダー部60の下側に位置する。第3凹球面60dは、下方に面する。第2実施形態において、第3凹球面60dは、第2スライダー部50の第2凸球面50pと摺動する滑り面である。第3凹球面60dは、平面視において円状に形成される。また、第3凹球面60dは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。第2スライダー部50の第2凸球面50pと第3凹球面60dとの曲率は、互いに一致する。また、第3凹球面60dの平面視における直径は、第2スライダー部50の第2凸球面50pの直径よりも大きい。これにより、図13に示すように、第3凹球面60dは、第2スライダー部50の第2凸球面50pを覆うように配置される。第3凹球面60dの摩擦係数は、例えば、第2凹球面50dより大きく、上沓凹球面10dより小さい。第3凹球面60dの曲率半径は、例えば、第2凹球面50dより大きく、上沓凹球面10dより小さい。
第3外周面60sは、第3凸球面60pの周縁と第3凹球面60dの周縁とを上下方向につなぐ。
第2スライダー部50と第3スライダー部60とは、第2スライダー部50が第3スライダー部60の内壁60w(すなわち、第2凹球面50dの外周の壁)と接触するまで相対移動可能である。つまり、第2スライダー部50と第3スライダー部60とが水平方向において最大限相対移動した場合とは、第2スライダー部50が第3スライダー部60の第3凹球面の内壁60wと接触した場合をいう。
本実施形態において、第3スライダー部60には、上述のように内壁60wが設けられている。これに限らず、第3スライダー部60には内壁60wが設けられていなくてもよい。この場合は、第3スライダー部60と第2スライダー部50との想定外の相対移動によって第2スライダー部50が第3スライダー部60から逸脱しないように、第3スライダー部60を十分な余裕を持った大きさとすることが好ましい。あるいは、内壁60wに代えて、第3スライダー部60の外周に、第2スライダー部50の逸脱を防止するストッパーを設けてもよい。ストッパーとは、例えば、円環状の部材であって、内側面が第3凹球面60dの外縁に沿うように配置される部材である。ストッパーは、例えば、第3スライダー部60と一体成形されてもよいし、個別に形成された後、第3スライダー部60に組み付けられてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の第3球面滑り支承300を、図14を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
第3球面滑り支承300は、スライダー部Sに第4スライダー部70を更に備える点で、球面滑り支承100及び第2球面滑り支承200と相違する。
第4スライダー部70は、第3スライダー部60の上部に設置される。第4スライダー部70は、例えば略円盤状に形成され、第4凸球面70pと、第4凹球面70dと、第4外周面70sと、を備える。
第4凸球面70pは、第4スライダー部70の上側に位置する。第4凸球面70pは、上方に突出する。第4凸球面70pは、上沓10の上沓凹球面10dと摺動する滑り面である。つまり、第3実施形態において、スライダー部Sの上凸球面は、第4スライダー部70の第4凸球面70pである。第4凸球面70pは、平面視において円状に形成される。また、第4凸球面70pは、図14に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。上沓10の上沓凹球面10dと第4凸球面70pとの曲率は、互いに一致する。また、第4凸球面70pの平面視における直径は、上沓10の上沓凹球面10dの直径よりも小さい。これにより、図14に示すように、上沓10の上沓凹球面10dは、第4スライダー部70の第4凸球面70pを覆うように配置される。
第4凹球面70dは、第4スライダー部70の下側に位置する。第4凹球面70dは、下方に面する。第2実施形態において、第4凹球面70dは、第3スライダー部60の第3凸球面60pと摺動する滑り面である。第4凹球面70dは、平面視において円状に形成される。また、第4凹球面70dは、図2に示すように、水平方向に沿って見た断面視において円弧状に形成される。第3スライダー部60の第3凸球面60pと第4凹球面70dとの曲率は、互いに一致する。また、第4凹球面70dの平面視における直径は、第3スライダー部60の第3凸球面60pの直径よりも大きい。これにより、図13に示すように、第4凹球面70dは、第3スライダー部60の第3凸球面60pを覆うように配置される。第4凹球面70dの摩擦係数は、例えば、第3凹球面60dより大きく、上沓凹球面10dより小さい。第4凹球面70dの曲率半径は、例えば、第3凹球面60dより大きく、上沓凹球面10dより小さい。
第4外周面70sは、第4凸球面70pの周縁と第4凹球面70dの周縁とを上下方向につなぐ。
第3スライダー部60と第4スライダー部70とは、第3スライダー部60が第4スライダー部70の内壁70w(すなわち、第4凹球面70dの外周の壁)と接触するまで相対移動可能である。つまり、第3スライダー部60と第4スライダー部70とが水平方向において最大限相対移動した場合とは、第3スライダー部60が第4スライダー部70の第4凹球面の内壁70wと接触した場合をいう。
本実施形態において、第4スライダー部70には、上述のように内壁70wが設けられている。これに限らず、第4スライダー部70には内壁70wが設けられていなくてもよい。この場合は、第4スライダー部70と第3スライダー部60との想定外の相対移動によって第3スライダー部60が第4スライダー部70から逸脱しないように、第4スライダー部70を十分な余裕を持った大きさとすることが好ましい。あるいは、内壁70wに代えて、第4スライダー部70の外周に、第3スライダー部60の逸脱を防止するストッパーを設けてもよい。ストッパーとは、例えば、円環状の部材であって、内側面が第4凹球面70dの外縁に沿うように配置される部材である。ストッパーは、例えば、第4スライダー部70と一体成形されてもよいし、個別に形成された後、第4スライダー部70に組み付けられてもよい。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、球座部凸球面20p、下凹球面40dには、摩擦材40Fが設けられてもよい。
球座部凸球面20p、下凹球面40dには、固形潤滑材が設けられてもよい。
球座部凸球面20p、下凹球面40dには、油路OPが設けられてもよい。
第2外周面50s、第3外周面60s、第4外周面70sは、上述の外周面40sと同様の構造を備えてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
10 上沓
10d 上沓凹球面
10w 内壁
20 球座部
20a 取付部
20f 締結部材
20h ボルト穴
20p 球座部凸球面
30 ベースプレート
40 第1スライダー部
40d 下凹球面
40F 摩擦材
40p 第1凸球面
40s 外周面
40s1 直線部
40s2 テーパ部
50 第2スライダー部
50d 第2凹球面
50p 第2凸球面
50s 第2外周面
50w 内壁
60 第3スライダー部
60d 第3凹球面
60p 第3凸球面
60s 第3外周面
60w 内壁
70 第4スライダー部
70d 第4凹球面
70p 第4凸球面
70s 第4外周面
70w 内壁
100 球面滑り支承
200 第2球面滑り支承
300 第3球面滑り支承
A 角度
C 交点
C1 第1輪郭線
C2 第2輪郭線
CR 円弧状部
L 下部構造体
O 原点
OI 注入口
OP 油路
S スライダー部
U 上部構造体

Claims (10)

  1. 下部構造体と上部構造体との間に設置される球面滑り支承であって、
    下部構造体の上部に固定され、且つ、上方に突出する球座部凸球面を備える球座部と、
    前記球座部の上部に配置され、且つ、下方に面する下凹球面であって前記球座部凸球面と摺動する下凹球面と、上方に突出する上凸球面と、を備えるスライダー部と、
    前記スライダー部と前記上部構造体との間に配置され、下方に面する上沓凹球面であって前記上凸球面と摺動する上沓凹球面を備える上沓と、
    を備え、
    前記スライダー部は、
    前記球座部の上部に配置され、第1凸球面を備える第1スライダー部と、
    前記第1スライダー部の上部に設置され、且つ、下方に面する第2凹球面であって前記第1凸球面と摺動する第2凹球面を備える第2スライダー部と、
    を備え、
    前記下凹球面の摩擦係数と、前記第2凹球面の摩擦係数と、前記上沓凹球面の摩擦係数と、は、前記下凹球面の摩擦係数、前記第2凹球面の摩擦係数、前記上沓凹球面の摩擦係数の順に、大きくなる、
    ことを特徴とする球面滑り支承。
  2. 前記下凹球面の曲率半径と、前記第2凹球面の曲率半径と、前記上沓凹球面の曲率半径と、は、前記下凹球面の曲率半径、前記第2凹球面の曲率半径、前記上沓凹球面の曲率半径の順に、大きくなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の球面滑り支承。
  3. 前記第1スライダー部は、前記球座部凸球面の周縁と前記下凹球面の周縁とを上下方向につなぐ外周面を備え、
    前記球面滑り支承を水平方向のうちの第1水平方向から見たときの、前記球座部凸球面の輪郭線を第1輪郭線とし、
    前記第1水平方向から見たときの、前記第1スライダー部の前記外周面の輪郭線であって、前記外周面の輪郭線の下端において前記第1輪郭線と交点を形成する前記輪郭線を第2輪郭線とし、
    前記交点における前記第1輪郭線の接線と、前記第2輪郭線と、のなす角度であって、前記第1スライダー部の側の角度が、90°以上である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の球面滑り支承。
  4. 前記第1スライダー部は、前記球座部凸球面の周縁と前記下凹球面の周縁とを上下方向につなぐ外周面を備え、
    前記球面滑り支承を水平方向のうちの第1水平方向から見たときの、前記球座部凸球面の輪郭線を第1輪郭線とし、
    前記第1水平方向から見たときの、前記第1スライダー部の前記外周面の輪郭線であって、前記外周面の輪郭線の下端において前記第1輪郭線と交点を形成する前記輪郭線を第2輪郭線とし、
    前記交点における前記第1輪郭線の接線と、前記第2輪郭線と、のなす角度であって、前記第1スライダー部の側の角度が、90°未満であり、
    前記第1輪郭線と前記第2輪郭線との境界には、円弧状部が形成されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載の球面滑り支承。
  5. 前記第1スライダー部の外周面は、
    前記球座部の側に位置するテーパ部と、
    前記上沓の側に位置する直線部と、
    を備える、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の球面滑り支承。
  6. 前記球座部凸球面、又は前記下凹球面の少なくともいずれか一方に、摩擦材が設けられている、
    ことを特徴とする請求項5に記載の球面滑り支承。
  7. 前記球座部凸球面、又は前記下凹球面の少なくともいずれか一方に、固形潤滑剤が設けられている、
    ことを特徴とする請求項6に記載の球面滑り支承。
  8. 前記球座部凸球面、又は前記下凹球面の少なくともいずれか一方に、油路が設けられている、
    ことを特徴とする請求項7に記載の球面滑り支承。
  9. 前記下部構造体に配置されたベースプレートを更に備え、
    前記球座部が、前記ベースプレートに締結部材で固定されており、
    前記締結部材は、前記上沓と前記第1スライダー部とが水平方向において最大限相対移動した場合においても、前記第1スライダー部に干渉しない位置に配置されている、
    ことを特徴とする請求項8に記載の球面滑り支承。
  10. 前記下部構造体に配置されたベースプレートを更に備え、
    前記球座部が、前記ベースプレートに溶接されている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の球面滑り支承。
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