JP7240102B2 - プレキャスト合成スラブ並びにプレキャスト合成スラブと梁材との接合方法及び接合構造 - Google Patents
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Description
ちなみに、この特許文献1に係るハーフ型のプレキャスト合成スラブは、同文献1の図1、図2等に示したように、プレキャスト合成スラブ本体(11)の長さ方向両端部及び幅方向両端部にそれぞれデッキプレート(12)の表面を露出させた接合用切欠部(14a、14b)を予め設けておくことにより、現場でのスラブ同士の接合作業(敷設作業)、スラブと梁(4)との接合作業を行う工夫が施されている。
すなわち、前記特許文献1に係るプレキャスト合成スラブによると、接合用切欠部(14a)を形成することに伴う製造上の問題に加え、現場で溶接作業、及び後打ちコンクリート作業が必須となる等の作業上(施工上)の問題もあり、この点が解決すべき課題となっている。
前記固定プレートは、その全長が前記デッキプレートの幅寸と略等しい長さで、前記デッキプレートの長さ方向両端部の前記谷部の下面に、前記デッキプレートの長さ方向両端部から突出することなく焼抜き栓溶接手段又はシアコネクタ接合手段で設けられていることを特徴とする。
(1)プレキャスト合成スラブと梁材との接合を、前記プレキャスト合成スラブの固定プレートのボルト孔を利用したボルト接合で実現でき、溶接作業、及び後打ちコンクリート作業は不要となる。また、接合作業を機械的に行うことができ、溶接作業等に必要な熟練工も不要となる。よって、施工性、経済性に非常に優れている。
(2)前記ボルト接合作業は、合成スラブ用デッキプレートの山部の下方に形成された空間を有効利用して行うことができるので、納まりがよく至極合理的な接合作業を実現できる。
(3)プレキャスト合成スラブ(の前記デッキプレート)と固定プレートとを焼抜き栓溶接手段又はシアコネクタ接合手段(スタッド溶接手段を含む。)で接合すると、固定プレートと梁材とをボルト接合することで、プレキャスト合成スラブに生じた(入力された)地震等の面内せん断力を前記梁材に確実に伝達する構造を実現できる。よって、プレキャスト合成スラブに水平方向の荷重を負担させることができ、水平ブレースを設けなくても十分な水平剛性を確保する構造を実現できる。特に、前記シアコネクタ接合手段で実施する場合は(図6参照)、シアコネクタとして用いるスタッド(図示例では頭付きスタッド)又は鉄筋等の金属の棒状部材が、コンクリートとの付着強度を高めるのに寄与するので、より強度・剛性に優れたプレキャスト合成スラブを実現できる。
(4)プレキャスト合成スラブは、ALCパネルと比し、全体重量も重いので、必然的に遮音性が向上し、居住性もアップする。また、耐火性能にも優れている。
(5)図4、図5に示したように、プレキャスト合成スラブを、梁受け金物を介在させることにより梁材の下フランジにボルトで接合することもできるので、スラブに段差を設ける等の構造設計にも柔軟に対応できる等、自在性にも優れている。
すなわち、前記梁材5と前記固定プレート3、ひいてはプレキャスト合成スラブ1とがボルト接合自在な構成となっている。
なお、図示は省略するが、前記コンクリート4の内部には、ひび割れ防止のため、コンクリート4の上面からかぶり厚さ30mm程度の部位に溶接金網、異径鉄筋等のひび割れ拡大防止筋が配設されている。
なお、前記デッキプレート2の形態(形状、寸法)はこの限りではなく、設置面積、梁材(支持梁)5の設置間隔、構造上必要な強度等の構造設計に応じて適宜設計変更可能である。
また、図2Bに示したプレキャスト合成スラブ10’のように、前記した2山タイプのデッキプレート2を2つ連結した(符号X部参照)合成デッキプレートを用い、その長さ方向両端部の下面に、当該合成デッキプレートの幅寸と略等しい長さの固定プレート3を固定すると共に、その上面にコンクリート4を打設してなる形態で実施することもできる。
ちなみに、図2A、Bに係る固定プレート3は、その左端部が、図1に係る固定プレート3とは異なり、デッキプレートの継手部の下方に存在しない構成で実施されているが、これは設計の自在性を勘案した結果に過ぎない。
前記焼抜き栓溶接手段を採用する意義は、前記固定プレート3と前記デッキプレート2との接合強度を高くすることにより、ALCパネル敷設時に必要とされたアングルブレース等の水平ブレースを無用化することにある。
すなわち、前記固定プレート3を焼抜き栓溶接手段により前記デッキプレート2に高強度に溶接接合しておくことで、コンクリート4を打設して製造されたプレキャスト合成スラブ1(10、10’)は、前記梁材5上にボルト6接合手段で敷設することにより(図3~図5参照)、当該プレキャスト合成スラブ1(10、10’)に生じた地震等の面内せん断力を前記梁材5へ確実に伝達できる構造を実現できるので、その結果、水平ブレースの無用化を実現できるのである。
ちなみに、合成スラブは、前記デッキプレート2の山部20の上部に50mm以上のコンクリート厚があればアングルブレース以上の面内せん断力を負担することが一般的に知られている。前記プレキャスト合成スラブ1、10、10’の山部20の上部のコンクリート厚は、上記したように65mmもあるのでこの要件を満たしている。
すなわち、上記した構成のプレキャスト合成スラブ1(10、10’)を、重機等により吊り支持し、所定部位から鉛直下方へ落とし込み(図中の矢印参照)、梁材5(H形鋼)の上フランジ5aの上面(の略中央部)に載置する。
前記上フランジ5aには予め、前記固定プレート3のボルト孔3aと芯が一致する位置にボルト孔5dが穿設されており、前記ボルト孔3aとボルト孔5dとの芯を一致させる位置決め作業を行う。
続いて、芯が一致した前記ボルト孔3a、5dにボルト6を上側から(又は下側から)通してナット7を締結することにより、前記固定プレート3を前記上フランジ5aの上面にボルト接合し、もって、前記プレキャスト合成スラブ1(10、10’)が梁材5(の上フランジ5a)にボルト接合される。
なお、ここでは、プレキャスト合成スラブ1(10、10’)の一端部のボルト接合作業について説明しているが、他端部のボルト接合作業についても上記したような同様の作業を行う。
この接合方法は、先ず、梁受け金物8として1本のアングル材8(図示例のサイズL-70×70×6mm)を採用し、前記梁材5の下フランジ5bに予め、前記アングル材8の鉛直面の背面側を溶接接合し、前記アングル材8の水平面を外方へ突き出した構成で一体化しておく。
次に、上記した構成のプレキャスト合成スラブ1(10、10’)を、重機等により吊り支持し、所定部位から鉛直下方へ落とし込み(図中の矢印参照)、前記アングル材8の水平面の上面に載置する。
前記アングル材8の水平面には予め、前記固定プレート3のボルト孔3aと芯が一致する位置にボルト孔8aが穿設されており、前記ボルト孔3aとボルト孔8aとの芯を一致させる位置決め作業を行う。
続いて、芯が一致した前記ボルト孔3a、8aに、ボルト6を上側から(又は下側から)通してナット7を締結することにより、前記固定プレート3を前記アングル材8にボルト接合し、もって、前記プレキャスト合成スラブ1(10、10’)が梁材5(の下フランジ5b)にボルト接合される。
なお、ここでは、プレキャスト合成スラブ1(10、10’)の一端部のボルト接合作業について説明しているが、他端部のボルト接合作業についても上記したような同様の作業を行う。
この接合方法は、先ず、梁受け金物9としてアングル材(図示例のサイズL-70×70×6mm)を2本組み合わせて(背面同士を溶接接合して)断面略Z字状に形成したもの(以下、断面Z字金物9という。)を採用し、前記梁材5の下フランジ5bに予め、前記断面Z字金物9の上フランジを重ね合わせ、要所をボルト6とナット7を用いて接合し、前記断面Z字金物9の下フランジを外方へ突き出した構成で一体化しておく。
その後の作業は、図4で説明した作業と略同様である。すなわち、上記した構成のプレキャスト合成スラブ1(10、10’)を、重機等により吊り支持し、所定部位から鉛直下方へ落とし込み(図中の矢印参照)、前記断面Z字金物9の下フランジの上面に載置する。
前記断面Z字金物9の下フランジには予め、前記固定プレート3のボルト孔3aと芯が一致する位置にボルト孔9aが穿設されており、前記ボルト孔3aとボルト孔9aとの芯を一致させる位置決め作業を行う。
続いて、芯が一致した前記ボルト孔3a、9aに、ボルト6を上側から(又は下側から)通してナット7を締結することにより、前記固定プレート3を前記断面Z字金物9にボルト接合し、もって、前記プレキャスト合成スラブ1(10、10’)が梁材5(の下フランジ5b)にボルト接合される。
なお、ここでは、プレキャスト合成スラブ1(10、10’)の一端部のボルト接合作業について説明しているが、他端部のボルト接合作業についても上記したような同様の作業を行う。
また、前記図3~図5に基づいて説明したボルト接合構造は、プレキャスト合成スラブ1(10、10’)の前記デッキプレート2(2’を含む)と固定プレート3とが焼抜き栓溶接手段で接合されているので、固定プレート3と梁材5とを上記図3~図5で説明したようにボルト接合することで、プレキャスト合成スラブ1(10、10’)に生じた地震等の面内せん断力を前記梁材5に確実に伝達する構造を実現できる。よって、プレキャスト合成スラブ1(10、10’)に水平方向の荷重を負担させることができ、水平ブレースを設けなくても十分な水平剛性を確保する構造を実現できる。
例えば、上記実施例では、アングルブレース等の水平ブレースを無用化するべく、前記固定プレート3は前記デッキプレート2、2’の長さ方向両端部の下面に焼抜き栓溶接手段で一体化して実施しているがこれに限定されない。図6に示したように、シアコネクタ接合手段(スタッド溶接手段を含む。)でも同様に一体化して実施できる。前記シアコネクタとしては、鉄筋やスタッド等の金属の棒状部材が好適に用いられる。ちなみに図示例ではスタッドとして頭付きスタッド11を採用している。このシアコネクタ接合手段で実施する場合は、前記金属の棒状部材(図示例では頭付きスタッド)が、コンクリートとの付着強度を高めるのに寄与するので、より強度・剛性に優れたプレキャスト合成スラブを実現できる。
さらに、本発明は、本出願人が先に出願した特願2017-196851に係るプレキャスト合成スラブにも、予め前記固定プレート3を合成スラブ用デッキプレート等に(焼抜き栓溶接手段、シアコネクタ接合手段等により)接合しておくことで簡単に適用できる。
2 合成スラブ用デッキプレート
2’ 合成スラブ用デッキプレート
3 固定プレート
3a ボルト孔
4 コンクリート
5 梁材(H形鋼)
5a 上フランジ
5b 下フランジ
5c ウエブ
6 ボルト
7 ナット
8 梁受け金物(アングル材)
8a ボルト孔
9 梁受け金物(断面Z字金物)
9a ボルト孔
10 プレキャスト合成スラブ
10’ プレキャスト合成スラブ
11 頭付きスタッド
20 山部
21 谷部
22 傾斜部
Claims (6)
- 山部と谷部が傾斜部を介して交互に連なる波形鋼板にエンボスや鍵溝等の合成機構を施した合成スラブ用デッキプレートと、前記デッキプレートの長さ方向両端部の下面に設けられ、梁材へ接合するためのボルト孔を有する固定プレートと、前記デッキプレート上に打設されるコンクリートとを有するプレキャスト合成スラブであって、
前記固定プレートは、その全長が前記デッキプレートの幅寸と略等しい長さで、前記デッキプレートの長さ方向両端部の前記谷部の下面に、前記デッキプレートの長さ方向両端部から突出することなく焼抜き栓溶接手段又はシアコネクタ接合手段で設けられていることを特徴とする、プレキャスト合成スラブ。 - 前記固定プレートのボルト孔は、前記デッキプレートの山部の下方に位置する部位に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載したプレキャスト合成スラブ。
- 請求項1又は2に記載のプレキャスト合成スラブの前記固定プレートを前記梁材の上面に設置し、前記固定プレートのボルト孔を利用して前記プレキャスト合成スラブと前記梁材とをボルト接合することを特徴とする、プレキャスト合成スラブと梁材との接合方法。
- 請求項1又は2に記載のプレキャスト合成スラブの前記固定プレートを前記梁材に梁受け金物を介して設置し、前記固定プレートのボルト孔を利用して前記プレキャスト合成スラブと梁受け金物とをボルト接合することより、前記プレキャスト合成スラブと梁材とを接合することを特徴とする、プレキャスト合成スラブと梁材との接合方法。
- 請求項1又は2に記載のプレキャスト合成スラブの前記固定プレートが前記梁材の上面に設置され、前記固定プレートのボルト孔を利用して前記プレキャスト合成スラブと前記梁材とがボルト接合されることを特徴とする、プレキャスト合成スラブと梁材との接合構造。
- 請求項1又は2に記載のプレキャスト合成スラブの前記固定プレートが前記梁材に梁受け金物を介して設置され、前記固定プレートのボルト孔を利用して前記プレキャスト合成スラブと梁受け金物とがボルト接合されることにより、前記プレキャスト合成スラブと梁材とが接合されることを特徴とする、プレキャスト合成スラブと梁材との接合構造。
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