以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るトイレを備えたトイレシステムについて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、本発明の実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。
<実施形態>
図1は、本実施形態に係るトイレシステム100を模式的に示した概念図である。本実施形態では、トイレシステム100は、負圧吸引式のトレイのシステムである。しかしながら、トイレシステム100は、加圧式のトイレのシステムであってもよい。本実施形態に係るトイレシステム100は、複数のトイレ10と、吸引機構70と、支持台90を備えている。
図1では、4つのトイレ10が図示されているが、トイレ10の数は特に限定されない。本実施形態では、複数のトイレ10は、それぞれ同様の構成を有している。そのため、ここでは複数のトイレ10のうち1つのトイレ10の構成を詳述する。本実施形態では、トイレ10は、移動式のトイレであるが、床面などに対して固定された固定式のトイレであってもよい。ここでのトイレ10は、いわゆるポータブルトイレである。トイレ10は、主に高齢者および身障者などのいわゆる要介護者に使用されるトイレであり、介護用に好適に使用されるトイレである。
図2は、トイレ10の構成を示す右側面図である。図2では、トイレ10に吸引機構70が接続されている状態が図示されている。図3は、トイレ10を底面から見た斜視図である。以下の説明において、前、後、左、右は、それぞれ便座に座った利用者から見た方向を意味している。図面中の符号F、Rr、L、Rは、それぞれ前、後、左、右を示している。
図2に示すように、トイレ10は、外枠11と、便器12と、接続管路13とを備えている。外枠11は、土台21と、便座22と、背もたれ23と、肘掛け24とを備えている。土台21は、凡そ矩形の箱状のフレームによって構成されている。土台21は、便器12を収容することが可能な空間を有している。図3に示すように、土台21には、4つの脚26が上下に延びるようにして設けられている。そのため、土台21の下方には、空間が形成されている。
図2に示すように、便座22は、使用者が座るものであり、土台21の上に配置されている。背もたれ23は、便座22に使用者が座ったとき、使用者の背中を支持し得るものであり、使用者がもたれ掛かるものである。背もたれ23は、土台21の後側の側面から上方に延びている。背もたれ23は、便座22の後方に配置されている。肘掛け24は、便座22に座った使用者が肘を付くものである。図3に示すように、肘掛け24は、便座22の左方および右方に配置され、かつ、背もたれ23よりも前方に配置されている。なお、背もたれ23および肘掛け24は、土台21から取り外し可能に構成されている。肘掛け24および脚26は、高さを調整する機構を有していてもよい。
図2に示すように、便器12は、有底の容器である。便器12には、便などの排泄物を含む排水が溜められる容器であり、いわゆる便鉢(言い換えると、ボウル)を構成している。本実施形態では、便器12は、プラスチック成形されたものであり、上部が広く開口し、底部に向けて縮径した有底の容器である。便器12の底部には、下方に向けて開口するように排出口32が形成されている。排出口32は、便器12内に溜まった排水を排出する開口である。便器12は、排出口32に向けて縮径している。ここでは、便器12は、溢れ縁12aを有している。溢れ縁12aは、便器12に溜められる排水の水位を規定するものであり、溢れ縁12aの高さまで便器12に排水を溜めることが可能である。溢れ縁12aは、便器12の上縁の中の最も下端に位置する部位のことをいう。
本実施形態では、土台21の上部が開口しており、便器12は、土台21の開口に嵌るように、土台21の上部に取り付けられている。便器12が土台21に取り付けられたとき、便座22は便器12の上縁12aに沿って配置されている。
図2に示すように、便器12の下部は、カバー35によって覆われている。カバー35は土台21に取り付けられている。また、本実施形態では、カバー35の底部には、カバー35が便器12を覆っているときに排出口32と連通する連通孔36(図3参照)が形成されている。この連通孔36には、接続管路13が挿通される。
また、本実施形態では、図3に示すように、土台21の下部の内部であって、便器12の下側および後側には、配管スペース38が設けられている。接続管路13は、配管スペース38に配置されている。
図2に示すように、接続管路13は、便器12の排出口32と吸引機構70とを接続する管路である。ここでは、接続管路13の一端は、便器12の排出口32に接続されている。詳しくは、接続管路13は、便器12の排出口32と、着脱自在の継手(例えばユニオンコネクタ継手)を介して連通している。ただし、接続管路13は、便器12と一体成形されていてもよいし、例えば便器12の排出口32に嵌め込まれたインナースリーブを介して排出口32に接続されていてもよい。以下の接続管路13の説明において、一端とは、便器12側の端のことをいい、他端とは、吸引機構70側の端のことをいう。
図4は、接続管路13の斜視図である。図4に示すように、接続管路13は、一部が上下に延びた管路である。接続管路13は、複数の管および複数の継手によって構成され、管および継手を接続したものである。接続管路13は、流入口41と、流出口42と、管路部43とを有している。流入口41は、接続管路13の一端の開口部分を形成しており、便器12の排出口32に接続される部分である。流出口42は、接続管路13の他端の開口部分を形成しており、図2に示すように、吸引機構70に着脱自在に接続される部分である。
図4に示すように、管路部43は、流入口41と流出口42とを繋ぐ管状のものである。本実施形態では、管路部43は、流入端管部45と、立ち上がり管部46と、降下管部47と、流出端管部48とを有している。流入端管部45は、接続管路13の一端部を構成しており、流入口41が含まれる。流入端管部45の一端は、便器12の排出口32に接続されている。本実施形態では、流入端管部45は、流入部分51と第1横部分52とから構成されている。流入部分51は、上下に延びており、上端に流入口41を有している。第1横部分52は、流入部分51の下部から後方に向かって延びている。第1横部分52は、水平方向に延びており、ここでは略前後に延びている。
立ち上がり管部46は、一端が流入端管部45の他端(ここでは後端)と連続し、少なくとも一部が流入端管部45の他端よりも上方において上下に延びている。本実施形態では、立ち上がり管部46は、第1縦部分53と第2横部分54とから構成されている。第1縦部分53は、第1横部分52の後部から上方に向かって延びている。第1縦部分53は垂直方向に延びている。第2横部分54は、第1縦部分53の上部から側方に向かって延びている。第2横部分54は、水平方向に延びており、ここでは左右に延びている。
降下管部47は、一端が立ち上がり管部46の他端(ここでは右端)と連続し、少なくとも一部が立ち上がり管部46の他端よりも下方において上下に延びている。本実施形態では、降下管部47は、第2縦部分55と第3横部分56とから構成されている。第2縦部分55は、第2横部分54の右部から下方に向かって延びている。第2縦部分55は、垂直方向に延びている。第3横部分56は、第2縦部分55の下部から側方に向かって延びている。第3横部分56は、水平方向に延びており、ここでは前後に延びている。
流出端管部48は、接続管路13の他端部を構成しており、流出口42が含まれる。流出端管部48の一端は降下管部47の他端(ここでは後端)と連続し、少なくとも一部が降下管部47の他端よりも上方において上下に延びている。本実施形態では、流出端管部48は、第3縦部分57と流出部分58とから構成されている。第3縦部分57は、第3横部分56の後部から上方に向かって延びている。第3縦部分57は、垂直方向に延びている。流出部分58は、第3縦部分57の上部から側方に向かって延びている。流出部分58は、水平方向に延びており、ここでは前後に延びている。
本実施形態では、図2に示すように、流出部分58には、流出口42が含まれ、吸引機構70が着脱自在に接続される。流出口42は、側方に向かって開口している。詳しくは、流出口42は、後方に向かって開口している。しかしながら、流出口42は、上方に向かって開口していてもよいし、右方または左方に向かって開口していてもよいし、前方に向かって開口していてもよい。また、流出口42は、斜め上向きに開口していてもよい。流出口42は、少なくとも下向きに開口していないほうがよい。例えば水平軸と、流出口42の開口方向に延びた開口軸とがなす角度は、0度~90度である。
本実施形態では、接続管路13の他端の開口である流出口42は、便器12よりも高い位置に配置されている。言い換えると、流出口42は、便器12よりも上方に配置されている。接続管路13の他端は、便器12よりも高い位置に配置されている。流出口42は、便器12の溢れ縁12aよりも高い位置に配置されている。上述のように、溢れ縁12aは、便器12内に溜めることが可能な排水の量を規定するものであり、便器12内の排水の水面の最も高い位置は、溢れ縁12aと同じ高さの位置である。そのため、流出口42は、便器12に溜められる排水の最も高い位置の水面よりも高い位置に配置されている。
また、接続管路13の他端の流出口42は、便座22よりも高い位置に配置されている。本実施形態では、流出口42は、便器12よりも後方に配置されている。流出口42は、便座22よりも後方に配置され、背もたれ23(詳しくは背もたれ23の前端)よりも後方に配置され、かつ、肘掛け24よりも後方に配置されている。本実施形態では、流出口42は、背もたれ23の上端よりも低い位置に配置されている。流出口42は、肘掛け24の上端よりも低い位置に配置されている。ただし、流出口42は、背もたれ23の上端よりも高い位置に配置されていてもよいし、肘掛け24の上端よりも高い位置に配置されていてもよい。
次に、吸引機構70について説明する。図1に示すトイレシステム100では、1つの吸引機構70が備えられている。しかしながら、吸引機構70の数は特に限定されず、複数であってもよい。ただし、吸引機構70の後述する真空タンク71の容量によって、1つの吸引機構70に対するトイレ10の数は異なる。例えば真空タンク71の容量が10Lの場合には、吸引機構70の数は、トイレシステム100が備えるトイレ10の数より少なくてもよい。図1では、トイレ10の数は4つであるため、吸引機構70の数は、3つ以下であってもよい。
例えば容量が10Lである真空タンク71を有する1つの吸引機構70に割り当てられるトイレ10の数は、以下のようなことを想定して、3つであることが好ましい。真空タンク71の容量が10Lの場合、真空タンク71には、9回分の排泄に際して発生する排水を収容することが可能である。ここで、トイレ10の便器12に一度(例えば使用者が便座22に座ってから立ち上がる間)に行った排泄(小便と大便とを含む)を、1回の排泄とする。介護施設などでは、例えば一晩の間、1つのトイレ10につき3回の排泄が行われ、翌朝に、便器12内の排水を吸引機構70によって吸引することが想定される。この場合、1つの吸引機構70で、3つのトイレ10に溜められた排水を回収することが可能となる。よって、容量が10Lの真空タンク71を有する吸引機構70に対して、3つのトイレ10が割り当てられることが好ましい。
吸引機構70は、複数のトイレ10のうち1つのトイレ10の接続管路13に選択的に接続可能であり、吸引機構70に接続されたトイレ10の便器12に排出された排泄物を含む排水を吸引することで、排水を便器12から排出させる機構である。本実施形態では、吸引機構70は、真空式の機構であり、後述の真空タンク71を負圧にすることによって、排水を便器12から排出させる、ここでの吸引機構70は、負圧吸引式の機構である。なお、吸引機構70の具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、吸引機構70は、図2に示すように、真空タンク71と、真空ポンプ72と、吸引管路73と、排出管路74と、を備えている。
真空タンク71は、吸引口75を有する容器であり、所定の負圧に耐え得る耐圧性と、排水を一時的に収容するための所定の耐食性を有しているとよい。なお、真空タンク71の形状は特に限定されない。ここでは、真空タンク71は、円筒状の円筒部分71aと、内部に空間を有する外周形状が下方に尖った円錐形状の円錐部分71bとを有している。円錐部分71bは、円筒部分71aの下に配置され、円筒部分71aと連続している。吸引口75は、真空タンク71に排水が入る開口である。なお、吸引口75の位置は特に限定されないが、ここでは吸引口75は、真空タンク71の側面の下部に形成されている。本実施形態では、吸引口75は、円筒部分71aの下部の側面に形成されている。また、本実施形態では、真空タンク71の底部には、タンク排出口76が形成されている。ここでは、タンク排出口76は、円錐部分71bの底面に形成されている。真空ポンプ72は、真空タンク71を所定の真空状態にするためのポンプである。真空ポンプ72は真空タンク71に接続されている。図示は省略するが、真空ポンプ72は、例えば圧力計を備え、この圧力計の計測値に基づいて予め定められた負圧を真空タンク71に形成するものであってもよい。
本実施形態では、真空ポンプ72には、制御装置79が通信可能に接続されている。制御装置79は、真空ポンプ72の作動を制御するものである。制御装置79は、マイクロコンピュータからなっている。制御装置79は、中央処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。ここでは、マイクロコンピュータ内に保存されたプログラムを使用して、便器12内の排水を排出する制御を行う。なお、ここでいうプログラムとは、いわゆるファームウェアのことである。
本実施形態では、制御装置79には、スイッチ79aが通信可能に接続されている。このスイッチ79aは、使用者が操作することでONまたはOFFに切り替えられるものである。例えばスイッチ79aをONにすることで、真空ポンプ72が作動し、吸引機構70に接続されているトイレ10の便器12内の排水を吸引することができる。例えばスイッチ79aをOFFにすることで、真空ポンプ72の作動が停止する。このことで、便器12内の排水の排出動作が停止する。
図2に示すように、吸引管路73は、トイレ10の接続管路13と、真空タンク71とを繋げるものである。図5および図6は、それぞれ吸引機構70および支持台90の斜視図である。図7、図8は、それぞれ吸引管路73および真空タンク71の背面図、平面図である。本実施形態では、図8に示すように、吸引管路73は、吸引流入口81と、吸引流出口82と、管路部83とを有している。吸引流入口81は、吸引管路73の一端に設けられており、図2に示すように、トイレ10の接続管路13の流出口42が接続される。なお、吸引管路73と、トイレ10の接続管路13との接続の機構は特に限定されない。例えば吸引管路73と接続管路13とは、いわゆるカプラー(図示せず)によって接続されている。吸引流出口82は、吸引管路73の他端に設けられており、真空タンク71の吸引口75に接続される。
図8に示すように、管路部83は、吸引流入口81と吸引流出口82とを繋ぐものである。本実施形態では、図5に示すように、管路部83の少なくとも一部は、真空タンク71の側方において上下に延びている。管路部83は、背面視において下方に開口したコ字状、言い換えると、背面視において門型に形成されている。ここでは、図8に示すように、管路部83は、吸引流入端管部84と、第1吸引横管部85と、第1吸引縦管部86(図7参照)と、と、第2吸引横管部87と、第2吸引縦管部88(図7参照)と、吸引流出端管部89とを有している。吸引流入端管部84は、吸引管路73の一端部を構成しており、吸引流入口81が含まれる。吸引流入端管部84の一端は、接続管路13の流出口42(図4参照)に接続される。本実施形態では、吸引流入端管部84は、可撓性を有する部材によって形成されており、吸引流入端管部84の撓みによって、吸引流入口81の開口方向を適宜変更することが可能である。このことによって、吸引流入口81と、接続管路13の流出口42との開口方向を合わせ易く、お互いを接続し易い。
図8に示すように、第1吸引横管部85は、一端が吸引流入端管部84の他端(ここでは後端)と連続している。第1吸引横管部85は、水平方向に延びており、ここでは前後に延びている。ここでは、第1吸引横管部85は、側面視において真空タンク71と重なるように、真空タンク71の側方に配置されている。第1吸引横管部85は、真空タンク71の上下の範囲内において上下に延びている。ここで、真空タンク71の上下の範囲とは、真空タンク71の上端から下端までの間の上下の位置のことをいう。図6に示すように、第1吸引横管部85は、真空タンク71の下部の左方に配置されている。第1吸引縦管部86は、一端が第1吸引横管部85の他端(ここでは後端)と連続し、第1吸引横管部85から上方に向かって延びている。第1吸引縦管部86は、正面視において真空タンク71の側方(ここでは左方)において上下に延びている。
図7に示すように、第2吸引横管部87は、一端が第1吸引縦管部86の他端(ここでは上端)と連続している。第2吸引横管部87は、水平方向に延びており、ここでは左右に延びている。第2吸引横管部87は、正面視において真空タンク71と重なるように、真空タンク71の後方に配置されている。第2吸引横管部87は、第1吸引横管部85よりも高い位置に配置されている。
第2吸引縦管部88は、一端が第2吸引横管部87の他端(ここでは右端)と連続し、第2吸引横管部87から下方に向かって延びている。第2吸引縦管部88は、正面視において真空タンク71の側方において上下に延びている。本実施形態では、第2吸引縦管部88の他端(ここでは下端)の上下の位置は、真空タンク71の底の上下の位置と同じである。
図8に示すように、吸引流出端管部89は、吸引管路73の他端部を構成しており、吸引流出口82が含まれる。吸引流出端管部89の一端は、第2吸引縦管部88の他端(ここでは下端)と連続し、吸引流出端管部89の他端は、真空タンク71の吸引口75に接続されている。本実施形態では、吸引流出端管部89は、水平方向に延びており、一部が湾曲している。吸引流出端管部89の真空タンク71との接続部分は、真空タンク71に対して円筒部分71aの接線方向に延びていてもよい。
なお、本実施形態では、上述のように、第2吸引縦管部88の下端の上下の位置は、真空タンク71の底の上下の位置と同じである。そのため、真空タンク71に排水が溜められると、同じように第2吸引縦管部88内に排水が溜まることとなる。真空タンク71内の排水の水位と、第2吸引縦管部88内の排水の水位とは同じである。ここで、図7に示すように、第2吸引縦管部88には、視認部88aが設けられている。視認部88aは、第2吸引縦管部88内の排水を使用者が視認することができるものであり、視認部88aを通じて真空タンク71に溜められた排水の水位を知ることができる。第2吸引縦管部88の少なくとも一部は、内部の排水を視認することができる材料によって形成されており、内部の排水を視認することができる材料によって形成された第2吸引縦管部88の部分が視認部88aとなる。ここで、「内部の排水を視認することができる材料」とは、例えば透明な部材であってもよいし、半透明の部材であってもよい。また、視認部88aには、図示しない目盛りが付されていてもよい。
図2に示すように、排出管路74は、真空タンク71に接続されており、真空タンク71内の排水を真空タンク71の外部に排出する管路である。本実施形態では、排出管路74は、真空タンク71の底部に形成されたタンク排出口76に接続されており、タンク排出口76から下方に向かって延びている。
なお、本実施形態では、吸引機構70は、弁78aと、開放弁78bと、弁78cと、弁78dとを備えている。弁78aは、真空タンク71の吸引口75を開閉するものであり、吸引管路73に設けられている。開放弁78bは、真空タンク71内の空気を開放させるための弁であり、真空タンク71に接続された開放管路78eに設けられている。弁78cは、真空タンク71のタンク排出口76を開閉するものであり、排出管路74に設けられている。弁78dは、真空タンク71と真空ポンプ72との間に設けられている。なお、弁78a、開放弁78b、弁78c、および、弁78dのそれぞれの種類は特に限定されない。弁78a、開放弁78b、弁78c、および、弁78dのうちの一部または全部は、使用者によって手動で開閉される弁であってもよいし、電気的に制御される電磁弁であってもよい。
次に、支持台90について説明する。図5および図6に示すように、支持台90は、吸引機構70を支持するものである。ここでは、支持台90は、真空タンク71、真空ポンプ72および吸引管路73を少なくとも支持する。本実施形態では、支持台90は複数のフレームによって構成されている。支持台90は、前横フレーム91と、後横フレーム92とを備えている。前横フレーム91および後横フレーム92は、前後に並んで配置されており、共に左右に延びている。ここでは、前横フレーム91と後横フレーム92には、支持板93が架け渡されており、支持板93に真空タンク71が支持されている。ここでは、真空タンク71は、支持板93に載置されている。図示は省略するが、支持板93には、挿入口が形成されており、この挿入口には、真空タンク71から下方に延びた排出管路74(図2参照)が挿入されている。
本実施形態では、真空ポンプ72、および、吸引管路73の第1吸引横管部85は、それぞれ前横フレーム91と後横フレーム92とに架け渡されており、前横フレーム91および後横フレーム92に支持されている。しかしながら、真空ポンプ72、および、吸引管路73の一部は、支持板93に載置されていてもよい。
本実施形態では、支持台90は、左前脚93aと、右前脚93bと、左後脚93cと、右後脚93dとを備えている。左前脚93a、右前脚93b、左後脚93cおよび右後脚93dは、それぞれ上下に延びたものであり、上下の長さが同じである。また、左前脚93a、右前脚93b、左後脚93cおよび右後脚93dは、それぞれ前横フレーム91および後横フレーム92を支持する。左前脚93aは、前横フレーム91の左端から下方に延びている。右前脚93bは、前横フレーム91の右端から下方に延びている。左後脚93cは、後横フレーム92の左端から下方に延びている。右後脚93dは、後横フレーム92の右端から下方に延びている。
支持台90は、移動可能なものである。本実施形態では、支持台90は、移動手段の一例であるキャスタ94を備えている。キャスタ94は、左前脚93a、右前脚93b、左後脚93cおよび右後脚93dのそれぞれの下端に設けられている。
本実施形態では、左前脚93aと左後脚93cとは、前後に延びた左連結フレーム95aによって互いが連結している。右前脚93bと右後脚93dとは、前後に延びた右連結フレーム95bによって互いが連結している。また、左後脚93cと右後脚93dとは、左右に延びた後連結フレーム95cによって互いが連結している。しかしながら、左前脚93aと右前脚93bとは連結されておらず、上述のような連結フレームは設けられていない。本実施形態では、左前脚93aと右前脚93bとの間には、開口96が形成されている。ここで、「開口」とは、連結フレームが設けられていない、開かれていることをいう。
本実施形態では、前横フレーム91および後横フレーム92の下方、すなわち、真空タンク71の下方には、収容空間97が形成されている。この収容空間97は、前横フレーム91、後横フレーム92、脚93a~93d、および、連結フレーム95a~95cによって囲まれた空間であり、開口96と連通している。
図9は、吸引機構70および支持台90の右側面図であり、収容空間97に水洗式便器150が収容されている状態を示す図である。なお、図9では、吸引機構70の真空ポンプ72および吸引管路73の図示は省略されている。ここでは、図9に示すように、開口96(図6参照)には、水洗式便器150が支持台90に対して相対的にスライドして通過することが可能であり、収容空間97には水洗式便器150が収容可能である。ここで「水洗式便器150が収容可能」には、水洗式便器150の全体が収容空間97に収容されている状態の他、水洗式便器150の一部が収容空間97に収容されている状態も含まれるものとする。
本実施形態では、左前脚93aと右前脚93bとの間の距離は、水洗式便器150の左右の長さよりも長い。ここでは、左前脚93aと右前脚93bとの間の距離は、トイレ10の便器12(図2参照)の左右の長さよりも長い。また、脚93a~93dの上下の長さは、床面から水洗式便器150の上端までの長さよりも長い。ここでは、脚93a~93dの上下の長さは、床面から便器12の上端までの長さよりも長い。
なお、収容空間97に収容されるものは、水洗式便器150に限定されず、例えばバケツなどの容器であってもよい。この場合、収容空間97に上記容器を収容し、真空タンク71に溜められた排水を上記容器に排出する。使用者は、上記容器を運んで排水を捨てる。
本実施形態では、支持台90は、図5に示すように、左後脚93cの上端から上方に延びた左縦フレーム98aと、右後脚93dの上端から上方に延びた右縦フレーム98bとを備えている。更に、支持台90は、左縦フレーム98aと右縦フレーム98bとの間において、左縦フレーム98aと右縦フレーム98bとに連結された取っ手99を備えている。使用者は、取っ手99を持って支持台90を押したり引いたりすることで、吸引機構70を移動させることができる。
なお、図示は省略するが、支持台90は、真空タンク71、真空ポンプ72を少なくとも覆うカバーを備えていてもよい。
次に、本実施形態に係るトイレシステム100の使用方法について説明する。本実施形態では、1つの吸引機構70で、複数のトイレ10の便器12に溜められた排水を吸引することが可能である。使用者は、吸引機構70を支持台90に載せて移動することが可能であるため、便器12に溜められた排水を吸引する対象となるトイレ10の位置まで吸引機構70を移動させることができる。
そして、図2に示すように、吸引対象となるトイレ10の接続管路13の流出口42と、吸引機構70の吸引管路73の吸引流入口81とを接続することで、接続管路13と吸引機構70とを接続する。従来では、流出口42は便器12の上縁12aよりも低い位置に配置されていた。そのため、使用者は、接続管路13と吸引機構70とを接続する際、膝を床面に付けた状態や、腰を低くする、または、身体をより屈ませた状態などの身体に負担が掛かった状態で接続作業を行っていた。しかしながら、本実施形態では、流出口42は、便器12よりも高い位置に配置されている。そのため、従来と比較して、身体をそれ程屈ませることなく身体に負担が掛からない状態で、接続管路13と吸引機構70とを接続する作業を行うことができる。また、本実施形態では、流出口42は、便器12、背もたれ23、肘掛け24よりも後方に配置されている。そのため、便器12、背もたれ23、肘掛け23が邪魔になることなく、トイレ10の後方から接続管路13と吸引機構70とを接続することができる。
このように、トイレ10の便器12と吸引機構70とを接続した後、便器12に溜められた排水を、吸引機構70の真空タンク71内に排出させる。便器12に溜められた排水を排出する手順は以下の通りである。
まず、真空ポンプ72を作動させる。本実施形態では、図2に示すように、使用者が操作するスイッチ79aが制御装置79を介して真空ポンプ72に接続されており、そのスイッチ79aを押すことで真空ポンプ72が作動する。ここでは、真空ポンプ72が作動する前において、弁78a、開放弁78bおよび弁78cは閉じられており、真空タンク71の吸引口75およびタンク排出口76は、閉鎖された状態である。真空ポンプ72と真空タンク71との間に設けられた弁78dは、真空ポンプ72が真空タンク71内の空気を吸い、負圧を形成する際には開放されている。
この状態で真空ポンプ72が作動すると、真空タンク71は、真空ポンプ72によって空気が吸い出され、予め定められた圧力(例えば、絶対圧で大凡0.08MPa以下)まで減圧される。弁78dは、予め定められた圧力まで減圧され、かつ、真空タンク71に排水が吸引される際には閉じられる。予め定められた圧力まで減圧された真空タンク71の吸引口75を開閉する弁78aが開放されると、便器12に溜まった排水が真空タンク71に吸引される。ここで、真空タンク71に排水が吸引される際には、真空ポンプ72に設けられた弁78dが閉じられているため、真空ポンプ72に排水が入るのが防止される。以上のようにして、便器12内の排水を真空タンク71に排出させることができる。なお、真空タンク71に排出された排水は、真空タンク71内に溜められる。
このように便器12内の排水を真空タンク71に排出させた後、接続管路13から吸引機構70を取り外す。接続管路13から吸引機構70を取り外す場合であっても、従来と比較して、使用者は、身体をそれ程屈ませることなく身体に負担が掛からない状態で上記の取り外し作業を行うことができる。よって、接続管路13から吸引機構70を取り外し易い。なお、接続管路13から吸引機構70を取り外した後、他のトイレ10の便器12内の排水を真空タンク71に排出させる。この場合、他のトイレ10の位置まで支持台90を移動させることで、吸引機構70を他のトイレ10の位置まで移動させることができる。その後、他のトイレ10の接続管路13に吸引機構70を接続し、便器12内の排水を真空タンク71に排出させる。
本実施形態では、使用者は、吸引機構70の吸引管路73の第2吸引縦管部88に設けられた視認部88a(図7参照)を通じて真空タンク71に溜められた排水の量を知ることができる。そのため、使用者は、視認部88aを通じて真空タンク71に溜められた排水が満杯になり得ることを知ることができるため、排水が満杯になる前に排水を捨てることができる。真空タンク71に溜められた排水を捨てる場合には、図9に示すように、真空タンク71内の排水を水洗式トイレの水洗式便器150に排出する。この場合、まず支持台90を移動させることで、吸引機構70を水洗式便器150の近くまで移動させる。そして、支持台90の開口96に水洗式便器150を通過させて、収容空間97に水洗式便器150を収容する。このことで、吸引機構70の排出管路74の下方に水洗式便器150が配置された状態となり、真空タンク71のタンク排出口76は、水洗式便器150に向かって開口した状態となる。
収容空間97に水洗式便器150を収容した状態で、排出管路74に設けられた弁78cを開放させる。このことで、真空タンク71内に溜まった排水は、排出管路74を通じて、水洗式便器150に排出される。また、弁78cを開けて真空タンク71のタンク排出口76を開放させた際には、真空タンク71の開放弁78bが開かれる。このことによって、真空タンク71に溜まった排水が排出管路74に流れ易くなる。このようにして、真空タンク71に溜まった排水を排出することができる。
以上、本実施形態に係るトイレ10において、図2に示すように、吸引機構70が接続される接続管路13の流出口42は、便器12よりも高い位置に配置されている。このことによって、使用者は、吸引機構70を接続管路13に接続する作業を行う際、身体をそれ程屈ませることなく接続の作業を行うことができる。よって、吸引機構70を接続管路13に接続し易い。
仮に吸引機構の吸引管路の流出口が便器12の溢れ縁12aよりも低い位置に配置されている場合、便器12内の排水が溢れ縁12aの位置まで溜まったときに、流出口から排水が溢れ出すおそれがある。しかしながら、本実施形態では、図2に示すように、流出口42が便器12の溢れ縁12aよりも高い位置に配置されている。そのため、便器12内の排水が溢れ縁12aの位置まで溜まった場合であっても、流出口42から排水が溢れ出し難くすることができる。
また本実施形態では、トイレ10は、便器12上に配置可能な便座22を備えている。流出口42は、便器12上に便座22が配置されているとき、便座22よりも高い位置に配置されている。このことで、使用者は、吸引機構70を接続管路13に接続する作業を行う際、身体をより屈ませることなく作業を行うことができる。よって、吸引機構70を接続管路13に接続する作業をより行い易い。
本実施形態では、流出口42は、便器12よりも後方に配置されている。そのため、トイレ10を使用している使用者の邪魔にならないような位置に流出口42を配置することができる。
本実施形態では、流出口42は、背もたれ23の前端よりも後方に配置されている。このことによって、背もたれ23にもたれ掛かっている使用者の後方に流出口42が配置される。よって、背もたれ23にもたれ掛かっている使用者の邪魔になり難い位置に流出口42を配置することができる。
本実施形態では、流出口42は、側方に向かって開口している。ただし、流出口42は、斜め上向き、または上方に向かって開口していてもよい。このことによって、接続管路13の流出口42に吸引機構70が接続されていないとき、流出口42から排水が垂れ難い。流出口42の開口向きが側方に近いほど、流出口42に接続される吸引管路73の立ち上がりを少なくすることができ、重力による吸引抵抗力を減らすことができる。
本実施形態では、図4に示すように、管路部43は、流入端管部45と、立ち上がり管部46と、降下管部47と、流出端管部48と、を備えている。流入端管部45は、流入口41を有し、一端が排出口32に接続されている。立ち上がり管部46は、一端が流入端管部45の他端と連続し、少なくとも一部が流入端管部45の他端よりも上方において上下に延びている。降下管部47は、一端が立ち上がり管部46の他端と連続し、少なくとも一部が立ち上がり管部46の他端よりも下方において上下に延びている。流出端管部48は、一端が降下管部47の他端と連続し、流出口42を有し、少なくとも一部が降下管部47の他端よりも上方において上下に延びている。立ち上がり管部46と降下管部47によって、便器12に溜められる排水の水位を規定することができる。よって、排水をスムーズに接続管路13から吸引機構70へ引き込むことができる。本実施形態では、便器12に溜まる排水の水位は、立ち上がり管部46の上端、および、降下管部47の上端の高さによって規定される。便器12内の排水の水位は、立ち上がり管部46の上端の高さ、および、降下管部47の上端の高さより高い位置にはならない。
本実施形態では、図2に示すように、吸引機構70は、吸引管路73と、真空タンク71と、真空ポンプ72とを備えている。吸引管路73は、流出口42に着脱自在に接続される吸引流入口81を有する。真空タンク71は、底部に形成されたタンク排出口76、および、吸引管路73に接続された吸引口75を有する。真空ポンプ72は、真空タンク71に接続されている。トイレ10の便器12に溜められた排水を吸引機構70によって吸引する際、真空ポンプ72を作動させることで、便器12に溜められた排水を接続管路13および吸引管路73を通じて真空タンク71に吸引することができる。
本実施形態では、トイレシステム100は、図6に示すように、吸引管路73、真空タンク71および真空ポンプ72が支持される支持台90と、支持台90を移動させる移動手段の一例のキャスタ94と、を備えている。このことによって、吸引機構70の吸引管路73、真空タンク71および真空ポンプ72を支持する支持台90は、キャスタ94によって移動することが可能である。そのため、トイレ10の便器12に溜められた排水を吸引機構70によって排出させる際、支持台90をトイレ10の近くに移動させることで、吸引機構70を容易にトイレ10の近くに移動させることができる。本実施形態では、吸引機構70を移動させ易いため、真空タンク71の排水を捨てる際、使用者はバケツなどの容器に排水を排出させ、排水が溜められた容器を運んで排水を捨てなくてもよい。よって、排水が溜められた容器を運ぶ必要がないため、排水の臭気が広がることを抑えつつ、排水を捨てる作業を行い易い。また本実施形態では、キャスタ94を使用することで、上記移動手段を容易に実現することができる。
本実施形態では、トイレシステム100は、図2に示すように、タンク排出口76を開閉可能な弁78cを備えている。図9に示すように、真空タンク71が支持台90に支持されているとき、支持台90における真空タンク71の下方には、水洗式のトイレの便器である水洗式便器150が収容可能な収容空間97が形成されている。真空タンク71のタンク排出口76は、収容空間97に向かって開口している。このことによって、真空タンク71に溜められた排水を排出させる際、支持台90の収容空間97に水洗式便器150を収容する。このことで、真空タンク71のタンク排出口76は、水洗式便器150に向かって開口した状態となる。この状態で弁78cを開放することで、真空タンク71に溜められた排水を、タンク排出口76を通じて水洗式便器150に排出することができる。本実施形態では、真空タンク71内の排水は、水洗式便器150に排出されるため、水洗式便器150を操作することで、排水を容易に捨てることができる。
本実施形態では、図6に示すように、支持台90には、収容空間97と連通し、水洗式便器150が支持台90に対して相対的にスライドして通過可能な開口96が形成されている。このことによって、真空タンク71に溜められた排水を排出する際、支持台90を移動させて、支持台90の開口96に水洗式便器150を通過させる。このことで、真空タンク71を持ち上げるなどの作業を行うことなく、収容空間97に水洗式便器150を収容し易くすることができる。
本実施形態では、吸引管路73は、図7に示すように、側面視において真空タンク71と重なる位置において上下に延びた第2吸引縦管部88を有している。第2吸引縦管部88の少なくとも一部には、内部の排水を視認可能な視認部88aが設けられている。真空タンク71に溜められた排水の水位と、第2吸引縦管部88内の排水の水位とは同じである。よって、第2吸引縦管部88に設けられた視認部88aを通じて第2吸引縦管部88内の排水の水位を知ることで、真空タンク71の水位を知ることができる。そのため、視認部88aを通じて真空タンク71が満杯になり得ることを知ることができる。したがって、真空タンク71から排水が溢れる前に、真空タンク71内の排水を捨てる作業を行うことができる。
本実施形態では、図1に示すように、トイレシステム100は、複数のトイレ10を備えている。吸引機構70の吸引流入口81には、複数のトイレ10の流出口42のうち何れかが選択的に接続される。このことによって、1つの吸引機構70で、複数のトイレ10の便器12に溜められた排水を排出させることができる。
<他の実施形態>
次に、他の実施形態に係るトイレシステム100Aについて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は適宜省略することとする。
図10は、他の実施形態に係るトイレ10Aの構成を示す右側図である。図10に示すように、トイレシステム100Aは、トイレ10Aと、吸引機構70とを備えている。トイレ10Aは、外枠11と、便器12と、接続管路113とを備えている。
本実施形態に係る接続管路113は、便器12の排出口32と吸引機構70とを接続する管路である。接続管路113は、流入口141と、流出口142と、管路部143とを有している。流入口141は、便器12の排出口32に接続されている。流出口142は、吸引機構70に着脱自在に接続される。流出口142は、上方に向かって開口している。また、流出口142は、便器12よりも高い位置に配置されており、詳しくは便器12の溢れ縁12aよりも高い位置に配置されている。流出口142は、便器12よりも後方に配置され、背もたれ23(詳しくは背もたれ23の前端)よりも後方に配置され、かつ、肘掛け24よりも後方に配置されている。
図11は、接続管路113の斜視図である。図11に示すように、管路部143は、流入口141と流出口142とを繋ぐ管状のものである。本実施形態では、管路部143は、第1屈曲管部145と、第2屈曲管部146と、横管部147と、第3屈曲管部148と、縦管部149とを有している。第1屈曲管部145は、接続管路113の一端部を構成しており、例えば屈曲したエルボ管によって構成されている。ここでは、第1屈曲管部145は、一端部が上下に延びており、一端(ここでは上端)に流入口141を有している。また、第1屈曲管部145の他端部は左右に延びている。第2屈曲管部146は、屈曲したエルボ管によって構成されており、第1屈曲管部145の他端(ここでは右端)と連続している。ここでは、第2屈曲管部146の一端部は左右に延びており、第2屈曲管部146の他端部は前後に延びている。
横管部147は、第2屈曲管部146の他端(ここでは後端)と連続している。横管部147は水平方向、ここでは前後に延びている。第3屈曲管部148は、横管部147の他端(ここでは後端)と連続しており、屈曲したエルボ管によって構成されている。ここでは、第3屈曲管部148の一端部は前後に延びており、第3屈曲管部148の他端部は上下に延びている。縦管部149は、第3屈曲管部148の他端(ここでは上端)と連続しており、上下に延びている。縦管部149は、他端に流出口142を有している。
このように、本実施形態では、接続管路113の管路部143は、3つの屈曲した屈曲管部145、146、148を有している。また管路部143の一部が上下に延びている。屈曲管部145、146、148は、屈曲部の一例である。屈曲管部145、146、148の数は、3つに限定されず、1つであってもよいし、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また本実施形態では、屈曲管部145、146、148のそれぞれの屈曲角度は90度であるが、上記屈曲角度は90度に限定されない。
このように、接続管路113の管路部143が屈曲管部145、146、148を有していることで、接続管路113内に排出された排水に含まれる便は、屈曲管部145、146、148の屈曲部分に当たることで粉砕され易い。よって、粉砕された便が含まれた排水を吸引機構70に排出することができる。よって、接続管路113および吸引機構70において詰まり難くすることができる。
図12は、流入受け部101を示す斜視図である。図12に示すように、トイレシステム100Aは、流入側受け部101を備えていてもよい。吸引機構70の吸引管路73にトイレ10A(詳しくは接続管113(図10参照))が接続されていないとき、吸引管路73の吸引流入口81から、吸引管路73に残った排水が垂れることがあり得る。流入側受け部101は、吸引流入口81から垂れた排水を受ける部材である。流入側受け部101の種類や形状などは特に限定されない。流入側受け部101は、例えば有底の容器であり、吸引管路73にトイレ10Aが接続されていないとき、吸引管路73の一部(例えば吸引流入口81が形成された端部)を収容することが可能なものである。流入側受け部101の少なくとも一部(ここでは底部)は、吸引流入口81の下方に配置されている。流入側受け部101は、吸引機構70を使用していないとき、吸引管路73を支持する部材として機能する。
また、流入側受け部101が設けられる位置も特に限定されない。流入側受け部101は、例えば支持台90に取り付けられている。流入側受け部101は、支持台90に対して取り付け位置を変更可能に構成されていてもよい。このことで、吸引流入口81の位置に応じて、流入側受け部101の位置を変更することができる。
本実施形態では、流入側受け部101によって、吸引管路73にトイレ10Aが接続されていないときに、吸引流入口81から垂れた排水を受けることができる。よって、吸引流入口81から垂れた排水が床面に落ち難くすることができる。
図13は、支持台90の正面図である。図14は、図13のXIV-XIV線における支持台90の平面断面図である。図13に示すように、トイレシステム100Aは、排出側受け部110を備えていてもよい。本実施形態では、吸引機構70の真空タンク71のタンク排出口76は、収容空間97に向かって下方に開口しており、タンク排出口76に接続された排出管路74も収容空間97に向かって開口している。そのため、収容空間97に水洗式便器150(図9参照)が配置されていないとき、タンク排出口76から排出された排水が排出管路74から垂れることがあり得る。
排出側受け部110は、タンク排出口76から垂れた排水を受ける部材である。排出側受け部110は、タンク排出口76の下方、かつ、収容空間97に配置されており、支持台90に対して着脱可能に設けられている。なお、排出側受け部110の種類や形状は特に限定されない。排出側受け部110は、支持台90に支持された部材であり、例えば水平方向に延びた容器状の部材である。
図14に示すように、排出側受け部110は、支持台90に対して矢印Aの方向にスライド可能に構成されている。ここでは、排出側受け部110は、前後方向、言い換えると支持台90の開口96に向かう方向にスライド可能に構成されている。本実施形態では、支持台90の左前脚93aと左後脚93cとに架け渡された左レール111a、および、支持台90の右前脚93bと右後脚93dとに架け渡された右レール111bが支持台90に設けられている。左レール111aおよび右レール111bは、対向している。排出側受け部110は、レール111a、111bにスライド可能に係合しており、レール111a、111bに沿って前後に移動可能である。
なお、レール111a、111bは、前後に延びる伸縮式のレールであってもよい。この場合、図示は省略するが、レール111a、111bは、それぞれ前後に延びた第1レールと、第1レールに係合し、前後に延びた第2レールとを有している。排出側受け部110は、第2レールに係合している。このことによって、第1レールに対して第2レールがスライドしたとき、第2レールの少なくとも一部は、第1レールよりも前方または後方に延びた状態となる。よって、第2レールに係合している排出側受け部110を、収容空間97よりも前方または後方に配置することができる。
本実施形態では、収容空間97に水洗式便器150が配置されていないとき、排出側受け部110は、タンク排出口76の下方、言い換えると排出管路74の下方に配置されている。吸引機構70の真空タンク71に溜められた排水を捨てる場合には、上述のように、真空タンク71内の排水を水洗式トイレの水洗式便器150(図9参照)に排出する。この場合、まず支持台90を移動させることで、吸引機構70を水洗式便器150の近くまで移動させる。そして、支持台90の開口96に水洗式便器150を通過させて、収容空間97に水洗式便器150を収容する。
このように開口96に水洗式便器150を通過させるとき、水洗式便器150に排出側受け部110が当接する。この状態で支持台90が水洗式便器150に向かって更に移動することで、水洗式便器150が排出側受け部110を後方に押し出す。このとき、排出側受け部110は、レール111a、111bに沿ってスライドする。このことで、水洗式便器150を収容空間97に配置することができると共に、排出側受け部110をタンク排出口96の下方から移動させることができる。
本実施形態では、排出側受け部110によって、タンク排出口76から垂れた排水を受けることができる。よって、タンク排出口76から垂れた排水が床面に落ち難くすることができる。排出側受け部110は、支持台90に対して着脱可能であるため、排出受け部110が汚れたとき、支持台90から排出側受け部110を取り外して洗浄することができる。