JP7234086B2 - 生体情報取得装置およびプログラム - Google Patents

生体情報取得装置およびプログラム Download PDF

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Description

この発明は、生体情報取得装置およびプログラムに関する。
医療費の高騰、超高齢化、医師不足・偏在などの課題を解決するための新たな簡易な検査やサービスとして、様々な技術が提案されている。とくに、デジタルヘルスケア(コンシューマ、医療機関含む)が拡大し、世界のIoTデバイス数の平均成長率は21.9%と高い。
このような技術の例として、画像診断装置等の医療向け機器や、コンシューマーヘルスケア機器が挙げられる。これらの機器には、ヒトの画像に基づいて生体情報を取得するものがある。例として、特許文献1~3に開示されるものが挙げられる。
特開2016-190022号公報 特開2018-81424号公報 特開2018-86130号公報
しかしながら、ヒトの現れ方は様々であるため、従来技術では画像から取得できる生体情報の精度に限界があるという課題があった。画像におけるヒトの現れ方は、たとえば、ヒトの活動状態(運動など)によって異なる場合があり、また、太陽光や照明光などの環境変化によっても異なる場合がある。
一般的には、安静時の計測(たとえば鏡の前に静止してのバイタルデータ測定)が行われるが、熱中症などは、ヒトが活動しているときに生じる。また、外部環境から受ける様々な刺激に対しても、ヒトの現れ方は変化し得る。
特許文献1の技術では、ヒトの状態(運動後など)によってベースラインが変動し、正しい計測値(心拍、脈拍、血圧等)が得られない場合がある。このため、熱中症等に関してヒトの見守りを行うには、安静時における計測値からの変化量(Δ値)の取得が必要になる。また、照明光の変化に対する補正も必要となる。
特許文献2の技術では、特定領域内の輝度がほぼ同一であると仮定して補正を行っている。このため、補正対象物の画像を拡大して撮影する必要がある。小さい補正対象物の場合には、この手法は適さない。
特許文献3の技術では、波長間の差分と領域の平均値とを用い、環境の変化に対してロバストな手法を提案している。しかしながら、画像におけるヒトの現れ方は、環境変化のみならずヒトの運動状態によっても異なる場合があるので、この手法でも対応できない場合がある。
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、画像におけるヒトの現れ方に関わらず、より精度の高い生体情報を取得できる生体情報取得装置およびプログラムを提供することを目的とする。
この発明に係る生体情報取得装置の一例は、
ヒトを表すヒト領域と、背景を表す複数の背景領域とを含む画像を取得し、
各前記背景領域について、複数の色成分間の輝度分布の相関係数を取得し、
前記相関係数に基づいて1つ以上の前記背景領域を選択し、
選択された前記背景領域の色成分の輝度分布に基づき、前記ヒト領域の色成分の輝度分布を補正し、
色成分の輝度分布が補正された前記ヒト領域に基づき、生体情報を取得する、
ことを特徴とする。
この発明に係る生体情報取得装置およびプログラムによれば、画像におけるヒトの現れ方に関わらず、より精度の高い生体情報を取得することができる。
この発明の実施形態1に係る生体情報取得装置の構成を示す図。 ヒト領域および背景領域を含む画像の例。 生体組織光学モデルの例。 図1の生体取得装置の処理の流れの例を表すフローチャート。 画像のある領域における色成分の輝度分布の例。 輝度分布の形状の変形例。
本発明の一実施形態では、運動中、運動後などのヒトの活動状態に影響を受けずにヒトの内部を計測するために、撮像環境の変化に強い計測装置が提供される。このために、状態が変化しやすいヒト自身ではなく、状態変化が少ない対象物(たとえばヒト以外の背景)に基づいて補正係数を決定する。これによって、撮影環境の変化に強い計測が実現できる。
また、補正係数に基づいてヒトの内部を計測することで、光の波長により異なる皮膚内部への光の浸透の違いを安定して得ることができる。ここで、ヒトに照射される光を380nmから780nmの可視光領域とすると、長い波長ほどヒトの皮膚内部への浸透は深くなる。たとえば、光の波長とこの浸透の深さの差(浸透差)により、赤色の光、緑色の光、青色の光の順に緑成分と赤成分との差分によって血流を可視化でき、青成分と緑成分との差分によって血管部を可視化できる。
ヒト以外により算出される補正係数により、計測の安定化とベースラインの補正とが可能となり、ヒトが活動している状態でも計測値の比較が可能となる。また、撮影環境(たとえば照明の明るさまたは皮膚の状態)が変化しても補正が可能である。
本発明の一実施形態によれば、広く普及している携帯電話のカメラ(RGBカメラ)を用いて血流を可視化することで、ヒトの活動状態に依らずに日常を観測できる。
本発明の一実施形態によれば、ヒトの生体組織のモデル化と撮影環境の変化を光学的な観点から安定化することができる。また、計測に伴う外乱要因を、光学的な輝度分布に基づいて補正することにより、残差が低減される。たとえば、輝度値に着目した最小二乗法に対し、残差を1/10以下に低減することができる。
本発明の一実施形態による血流の測定結果と、レーザドップラー血流計による血流の測定結果とを比較すると、0.89という高い相関が確認された。このように、汎用のRGBカメラ(たとえば携帯電話のカメラ)によって血流を高い精度で可視化できる見通しが得られている。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施形態1.
図1は、この発明の実施形態1に係る生体情報取得装置10の構成を示す図である。生体情報取得装置10は、たとえば公知の構成を有するコンピュータを用いて構成される。生体情報取得装置10は、演算手段20および記憶手段30を備える。演算手段20はたとえばプロセッサを含み、記憶手段30はたとえば半導体メモリおよび磁気ディスクを含む。また、生体情報取得装置10の記憶手段30は、とくに図示しないが、ネットワーク上にあってもよい。さらに、ここでとくに図示しないが、生体情報取得装置10は、入力手段(音声入力、タッチ入力、キーボードおよびマウス等)、出力手段(液晶ディスプレイおよび印刷装置等)、通信手段(ネットワークアダプタ等)を備えていてもよい。
記憶手段30に、画像を表す情報が記憶される。また、記憶手段30に、プログラムが記憶されてもよい。また、演算手段20がこのプログラムを実行することにより、コンピュータは生体情報取得装置10として動作し、本明細書に記載される機能を実現してもよい。すなわち、このプログラムが、コンピュータを生体情報取得装置10として機能させてもよい。
図2は、生体情報取得装置10に対して入力される画像の例である。この画像40は、ヒト領域41と、複数の背景領域42とを含む。ヒト領域41はヒトを表す領域であり、たとえばヒトの顔を表す領域の一部である。ここで、ヒト領域41は、図示していないが、鼻、額、頬、唇(上唇、下唇、上下唇)や耳などのヒトの顔の一部を抽出した領域であってもよいし、それ以外に、ヒトの皮膚が表出している首や手などあってもよい。また、ヒト領域41は、これらを組み合わせた複数の領域があってもよい。たとえば、位置が異なる鼻と額と領域41としてもよい。複数の背景領域42は背景を表す領域であり、たとえば天井を表す領域の一部であってもよいし、柱を表す領域の一部であってもよいし、壁を表す領域の一部であってもよいし、ヒトが着ている服や眼鏡のフレームであってもよい。たとえば、領域42は矩形に限らず眼鏡のフレームに沿った形状でもよいし、領域42は、壁とヒトが着ている服など複数の位置が異なる領域42であってもよい。また、ヒトを表す領域以外の領域すべてが背景領域であってもよい。
図3は、ヒトの生体組織の光学モデルの例である。図3を含め、本明細書、図面および特許請求の範囲において、赤色の光を「R」、緑色の光を「G」、青色の光を「B」と略記する場合がある。ヒトの生体組織における光に対する応答は、光の波長をλとし、組織の深さ方向の位置をlとすると、lに応じて異なる。図3では応答をη(λ,l)という関数で表しており、たとえば、太陽光、照明光、カメラのフラッシュ光によりヒトに照射された光は、ヒトの皮膚表面や皮膚内部で(1)透過、(2)吸収または散乱、(3)反射、が生じた光が生体情報取得装置10に対して入力される画像となる。図3では、青(B)、緑(G)、赤(R)に対応する3種類の波長λに対して、それぞれ異なる位置lで異なる応答η(λ、l)を示すことが説明されている。
ここで、本発明者らは、色成分の差分が生体情報を表すということを見出した。たとえば、図2にも示すように、ヒトの血流は、R成分とG成分との差に基づいて測定することができる。また、たとえば、ヒトの血管は、G成分とB成分との差に基づいて検出することができる。この原理によれば、複雑な構成を有する専用の測定機器を用いなくとも、簡易にヒトの内部の血流および血管の状態の測定を行うことができる。
図4は、生体情報取得装置10の処理の流れの例を表すフローチャートである。この処理は、生体情報取得装置10が画像を取得することに応じて開始される(ステップS1)。本実施形態では、画像40が取得された場合を想定する。上述のように、画像40は、ヒト領域41と、複数の背景領域42とを含む。
なお、画像40においてヒト領域41を特定する情報は、画像40に関連して生体情報取得装置10に入力されてもよいし、画像40に基づいて生体情報取得装置10が取得または決定してもよい。同様に、画像40において背景領域42を特定する情報も、画像40に関連して生体情報取得装置10に入力されてもよいし、画像40に基づいて生体情報取得装置10が取得または決定してもよい。
生体情報取得装置10は、取得した画像40に基づき、各背景領域42について、複数の色成分間の輝度分布の相関係数を取得する(ステップS2)。本実施形態では、色成分はR成分、G成分およびB成分を含む。また、取得された相関係数に基づいて、背景領域42を1つ選択する(ステップS3)。
ステップS2およびS3の具体的な処理手順は、当業者が公知の画像処理技術に基づいて適宜設計することができるが、2例を以下に示す。
第1の例では、まず画像40の全体(ヒト領域41および背景領域42を含む)を、所定サイズの同一形状を有する正方形領域または長方形領域に区分する。そして、各領域について相関係数を算出する。たとえば、N個の画素からなる領域について、その領域に含まれる第i番目(ただし1≦i≦N)の画素のR成分の輝度Rの集合{R}を構成し、同様に、第i番目の画素のG成分の輝度Gの集合{G}を構成する。これら2つの集合の共分散を各集合の標準偏差で除算することによって、色成分(この場合にはR成分およびG成分)間の相関係数を算出することができる。
次に、各領域の相関係数に基づき、背景領域42を1つ選択する。たとえば、相関係数が最も大きい領域や複数の背景領域42の中で出現頻度が最も高い領域を選択することができる。色成分の相関係数が大きいということは、その領域が比較的色味が少ないということを意味するので、グレー、白、黒に近い領域が背景領域として選択されることになる。
このように、第1の例によれば、予め画像40において背景領域42を特定しておかなくても、1つの背景領域42を選択することができる。
第2の例では、まず生体情報取得装置10が、画像40において複数の背景領域42を特定する。このような特定処理は、公知の画像処理技術に基づき、当業者が適宜設計可能である。次に、特定された背景領域42それぞれについて、第1の例と同様に相関係数を算出し、相関係数が最も大きい背景領域42を選択する。
このように、第2の例によれば、予め画像40において背景領域42を特定しておくことにより、演算量を低減することができる。
なお、背景領域42をより適切に選択するために、分光特性が既知の基準物体を用いてもよい。たとえば白色拡散板を背景に設置しておけば、白色拡散板の領域については光の波長による多くの画素が白色に近い色となるので、この領域が背景領域42として選択されることになる。ここで、白色拡散板の特性は波長に対してブロードな分光特性であるため、R成分、G成分、B成分に対して輝度分布が略一致する。また、分光特性が既知であればカラーコードを用いても良い。
当然ながら、このような基準物体を用いない実施形態も可能である。画像40の全領域について分光特性が未知であっても、上述のように相関係数が算出されるので、この相関係数に基づいて背景領域42を選択することは可能である。
このようにしてステップS2およびS3が実行された後、生体情報取得装置10は、選択された背景領域42の色成分の輝度分布に基づき、ヒト領域41の色成分の輝度分布を補正する。本実施形態では、この補正処理をステップS4~S6によって実現する。
補正処理において、生体情報取得装置10は、まず選択された背景領域42の色成分の輝度分布形状を取得する(ステップS4)。
図5を用いて、ステップS4における処理の例を説明する。図5(a)は、画像のある領域における色成分の輝度分布の例である。輝度分布はたとえばこのようなヒストグラムによって表すことができ、このヒストグラムでは、横軸が輝度を表し、縦軸がその領域に含まれる画素のうち、その輝度を有するものの頻度(画素数)を表す。図5の例では、黒いバーを用いてR成分の輝度分布を示し、白いバーを用いてG成分の輝度分布を示す。なお、図5にはB成分の輝度分布は示さないが、B成分についても同様にして輝度分布を表すことができる。
本実施形態では、輝度分布をヒストグラムの形状によって表す。とくに、本実施形態では、輝度分布がガウス分布(または正規分布)に従うと仮定し、ガウス分布の形状によって輝度分布を表す。例えば、白色拡散板はブロードな分光特性を有しているため、照明光がヒトから十分に離れた位置から白色拡散板に向かって照明している条件下では、2つの輝度分布はある強度でピークを持つガウス分布となり略一致するため、ガウス分布を用いている。
図5(b)は、G成分の輝度分布をガウス分布による分布形状51によって表した例である。G成分の輝度分布を表すガウス分布は、当業者がカーブフィット等の公知技術に基づいて適宜決定することができる。たとえば、ガウス分布の係数として、輝度の最大頻度を表す係数αと、輝度の平均値を表す係数βと、輝度分布の半値幅を表す係数γとに基づいて、ガウス分布を特定することができる。この場合には、ガウス分布は次の式1で表される。ただしxは輝度であり、f(x)は輝度xを有する画素の頻度を表す。
Figure 0007234086000001
同様にして、R成分の輝度分布もガウス分布によって表すことができる。
図5(a)の例では、R成分とG成分とで輝度分布が異なっている。すなわち、R成分については輝度が小さい画素が多く、G成分については輝度が大きい画素が多い。例えば、背景領域42は、白色拡散板を用いたときには、相関係数が最大の領域として選択されているので、これらの輝度分布は理想的には一致するはずであると考えることができる。
ステップS4の後、生体情報取得装置10は、一方(たとえばR成分)のガウス分布に基づき、他方(たとえばG成分)の輝度分布形状を補正するための補正係数を取得する(ステップS5)。この補正係数は、たとえばG成分の輝度分布をR成分の輝度分布に最もよく一致させるための補正係数である。
補正係数は、ガウス分布の各係数について算出することができる。たとえば補正係数は、輝度の最大頻度に係る補正係数αと、輝度の平均値に係る補正係数βと、輝度分布の半値幅に係る補正係数γとによって表すことができる。
たとえば半値幅に係る補正係数γは、R成分における半値幅を表す係数γと、G成分における半値幅を表す係数γとに基づき、
γ=γ/γ…(式2)
として算出することができる。
ここで、生体浸透に応じた波長ごとの輝度分布に有用な情報が含まれているので、生体浸透差から血流変化を抽出する方式(生体浸透差方式)に本実施形態を応用する場合には、このように半値幅に係る補正係数γを用いると好適である。
輝度の平均値に係る補正係数βは、たとえば次の手順で算出することができる。まず、G成分における輝度の平均値を表す係数βを算出する。次に、当該領域の全画素についてG成分の輝度に上記補正係数γを乗算し、これらの平均値を算出する。そして、この平均値と、上記係数βとの差を算出する。この差に基づき、輝度の平均値に係る補正係数βを算出することができる。
あるいは、輝度の平均値に係る補正係数βは、R成分における輝度の平均値を表す係数βと、G成分における輝度の平均値を表す係数βとに基づき、
β=β/β…(式3)
として算出してもよい。
3つの補正係数のうち2つが算出された後(この例ではγおよびβが算出された後)、残る1つの補正係数(この例では輝度の最大頻度に係る補正係数α)は、その領域に含まれる画素の総数に基づき、たとえば総数が変化しないように決定される。
あるいは、輝度の最大頻度に係る補正係数αは、R成分における輝度の最大頻度を表す係数αと、G成分における輝度の最大頻度を表す係数αとに基づき、
α=α/α…(式4)
として算出してもよい。その場合には、まずαと、βおよびγの一方とを算出し、次に、これらに基づいて、残る係数(すなわちβおよびγの他方)を算出してもよい。
このようにして、生体情報取得装置10は補正係数を取得する。ステップS4およびS5の処理をまとめると、生体情報取得装置10は、選択された背景領域42の第1色成分(この例ではR成分)の輝度分布に基づき、背景領域42の第2色成分(この例ではG成分)の輝度分布を補正するための補正係数を取得するということができる。
図5(c)は、このようにして取得された補正係数によって補正された輝度分布の例である。G成分の分布形状が、図5(b)に示すヒストグラムに対応する分布形状52から、R成分とよく一致する分布形状53へと補正されている。なお、図5(c)は補正係数の意義を説明するための図であり、背景領域42について図5(c)のような補正演算を実際に行う必要はない。
次に、生体情報取得装置10は、ステップS5で取得された補正係数に基づき、ヒト領域41のG成分の輝度分布を補正する(ステップS6)。たとえば、ヒト領域41のG成分の各画素において、画像の水平方向の画素をi画素、垂直方向の画素をj画素とし、i=0~n、j=0~mとし、各画素の輝度をS(i,j)とし、
Figure 0007234086000002
として、補正係数β,γに基づいて補正し、各画素の輝度を補正する。また、補正係数β,αに基づいて補正してもよい。
Figure 0007234086000003
各画素の輝度の値に対する具体的な演算内容は、たとえばα,β,γ,α,β,γに基づいて当業者が適宜設計することができる。例として、α,β,γにそれぞれα,β,γを乗算してもよい。
このようにして、生体情報取得装置10は、ステップS3で選択された背景領域42の色成分の輝度分布に基づき、ヒト領域41の色成分の輝度分布を補正する。たとえば、補正係数α,β,γに基づいて、ヒト領域41の第2色成分(この例ではG成分)の輝度分布を補正する。
次に、生体情報取得装置10は、色成分の輝度分布が補正されたヒト領域41に基づき、生体情報を取得する(ステップS7)。生体情報は、たとえば血流を表す値である。図2に示すように、ヒトの血流は、R成分とG成分との差に基づいて測定することができる。すなわち、ヒト領域41における各画素のR成分とG成分との差に基づき、血流を表す値を算出または取得することができる。
血流を表す値を取得するための具体的な処理内容は、当業者が公知技術に基づいて適宜設計可能である。たとえば、ヒト領域41は、鼻、額、頬、唇(上唇、下唇、上下唇)や耳などのヒトの顔の一部を抽出した領域とすると、抽出した鼻領域のR成分とG成分との差(または差の絶対値)や、その平均値を算出して、ある取得された画像における血流としてもよい。また、これに定数を乗算して算出してもよい。
血流を表す値の形式は、当業者が公知技術に基づいて適宜設計可能である。たとえば、[mL/分/g]を単位とする組織血流量として表してもよいし、[(個/mm)×(mm/秒)]を単位として赤血球の密度および流速を表してもよい。
別の例として、生体情報は、血管の位置を表す情報であってもよい。図2に示すように、ヒトの血管は、G成分とB成分との差に基づいて検出することができる。その場合には、補正処理において、第1色成分をG成分とし、第2色成分をB成分とすればよい。たとえば、ヒト領域41における各画素のG成分およびB成分の値に基づき、その画素がヒトの血管を表す画素であるか否かを判定することができ、結果として、血管の位置を表す情報を算出または取得することができる。
別の例として、生体情報は、血管の位置と血流とを重ね合せた情報であってもよい。この場合には、補正処理において、第1色成分をR成分とし、第2色成分をB成分とすればよい。なお、血管の位置と血流とを重ね合せた情報の具体的な形式は、当業者が適宜設計可能である。
各画素がヒトの血管を表す画素であるか否かを判定するための具体的な演算内容は、当業者が公知技術に基づいて適宜設計可能である。たとえば、各画素のG成分とB成分との差(または差の絶対値)と所定の閾値とを比較することによって判定してもよい。
このように、本発明の実施形態1に係る生体情報取得装置10は、背景領域42から求められた補正係数に基づいてヒト領域41の色成分を補正するので、ヒト領域41におけるヒトの現れ方(たとえばヒトの運動状態または照明光の状態)に関わらず、色成分を適切に補正することができ、より精度の高い生体情報を得ることができる。
上述の実施形態1において、以下のような変形を施すことができる。
実施形態1ではステップS3において背景領域42を1つだけ選択したが、複数の背景領域42を選択してもよい。その場合には、補正係数は選択された複数の背景領域42に基づいて取得される。
第1色成分および第2色成分の組み合わせは任意である。実施形態1では第1色成分をRとし、第2色成分をGとしたが、これらは入れ替えてもよい。すなわち、第1色成分をR成分およびG成分の一方とし、第2色成分をR成分およびG成分の他方としてもよい。また、第1色成分および第2色成分はそれぞれ別の色成分としてもよい。
同様に、血管の位置を取得する例では第1色成分をGとし、第2色成分をBとしたが、これらは入れ替えてもよい。すなわち、第1色成分をG成分およびB成分の一方とし、第2色成分をG成分およびB成分の他方としてもよい。また、第1色成分および第2色成分はそれぞれ別の色成分としてもよい。
さらに、血管の位置と血流とを重ね合わせた情報を取得する例では第1色成分をRとし、第2色成分をBとしたが、これらは入れ替えてもよい。すなわち、第1色成分をR成分およびB成分の一方とし、第2色成分をR成分およびB成分の他方としてもよい。また、第1色成分および第2色成分はそれぞれ別の色成分としてもよい。
第2色成分は複数であってもよい。たとえば、R成分の輝度分布に基づいて、G成分およびB成分の輝度分布を補正してもよい。
実施形態1では画像40はRGB画像であり、すなわち3つの色成分を含む画像であるが、画像の形式はRGB画像に限らず、また色成分の数は3に限らない。2つの色成分のみを含む画像であってもよいし、4つ以上の色成分を含む画像(たとえばスーパーマルチスペクトルカメラによって撮像された画像)であってもよい。なお、可視光範囲外の波長の光に関する情報を含む画像であっても、光の各波長がそれぞれ異なる色を表すと解釈することができる。
実施形態1では、ヒト領域41および背景領域42は同一の画像40に属していた。変形例として、これらは異なる画像に属するものであってもよい。すなわち、ステップS1において複数の画像を取得し、それらのうち第1画像の背景領域に基づいて、第2画像のヒト領域を補正してもよい。その場合において、第1画像および第2画像は同じ色成分数の画像であってもよいが、色成分の数が異なっていてもよい。また、第2画像の色成分の数は1(すなわちモノクロ画像)であってもよい。具体例として、汎用のRGBカメラ(たとえば携帯電話のカメラ)の画像から背景領域を選択し、これに基づいて、赤外線カメラまたはサーモカメラの画像におけるヒト領域を補正してもよい。
輝度分布を表す形状は任意に変更可能である。実施形態1ではピークをただ1つ有するガウス分布を用いたが、他のガウス分布を用いてもよく、たとえばピークを複数有するガウス分布を用いてもよい。また、ガウス分布以外の形状を用いてもよく、たとえば多項式を用いてもよい。多項式を用いる場合には、各次の係数を用いて輝度分布の形状を表すことができ、各次の係数から補正係数を算出することができる。
図6に、輝度分布の形状の具体的な変形例を示す。図6(a)の例では輝度分布が分離している。また、図6(b)の例では輝度分布は分離していないがピークが2つ現れている。
生体情報取得装置10は、異なる時刻で撮影された画像から得られたヒト領域41の血流情報において、血流情報の加算あるいは差分を変化量として表す値としてもよい。たとえば、血流を表す値の和を生体情報として取得してもよく、血流を表す値の差分を生体情報として取得してもよい。
生体情報取得装置10は、同一画像において異なる2つ以上のヒト領域41から取得された血流情報において、2つ以上の血流の総和または差分を血流の変化量として表す値としてもよい。たとえば、血流を表す値の和を生体情報として取得してもよく、血流を表す値の差分を生体情報として取得してもよい。
生体情報取得装置10の具体的なハードウェア構成は適宜変更可能である。たとえば生体情報取得装置10を複数のコンピュータによって構成してもよい。その場合には、図4の各ステップを複数のコンピュータに分散させて実行してもよい。
10…生体情報取得装置
20…演算手段
30…記憶手段
40…画像
41…ヒト領域
42…背景領域
51,52,53…分布形状(輝度分布)
α,β,γ…ガウス分布の係数

Claims (8)

  1. ヒトを表すヒト領域と、背景を表す複数の背景領域とを含む画像を取得し、
    各前記背景領域について、複数の色成分間の輝度分布の相関係数を取得し、
    前記相関係数に基づいて1つ以上の前記背景領域を選択し、
    選択された前記背景領域の色成分の輝度分布に基づき、前記ヒト領域の色成分の輝度分布を補正し、
    色成分の輝度分布が補正された前記ヒト領域に基づき、生体情報を取得する、
    ことを特徴とする、生体情報取得装置。
  2. 前記生体情報取得装置は、
    前記背景領域の第1色成分の輝度分布に基づき、前記背景領域の第2色成分の輝度分布を補正するための補正係数を取得し、
    前記補正係数に基づいて、前記ヒト領域の第2色成分の輝度分布を補正する、
    請求項1に記載の生体情報取得装置。
  3. 前記第1色成分はR成分およびG成分の一方であり、前記第2色成分はR成分およびG成分の他方であり、
    前記生体情報は、前記ヒト領域における血流を表す値である、
    請求項2に記載の生体情報取得装置。
  4. 前記第1色成分はG成分およびB成分の一方であり、前記第2色成分はG成分およびB成分の他方であり、
    前記生体情報は、前記ヒト領域において血管の位置を表す情報である、
    請求項2に記載の生体情報取得装置。
  5. 前記第1色成分はR成分およびB成分の一方であり、前記第2色成分はR成分およびB成分の他方であり、
    前記生体情報は、前記ヒト領域において血管の位置と血流とを重ね合せた情報である、
    請求項2に記載の生体情報取得装置。
  6. 異なる時刻で撮影された画像から得られた前記ヒト領域の血流情報において、前記血流情報の加算あるいは差分を変化量として表す値とする、請求項2に記載の生体情報取得装置。
  7. 同一画像において異なる2つ以上の前記ヒト領域から取得された血流情報において、2つ以上の血流の総和または差分を血流の変化量として表す値とする、請求項2に記載の生体情報取得装置。
  8. コンピュータを請求項1に記載の生体情報取得装置として機能させるプログラム。
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