以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。各図面中、同一の機能を有するものとして対応する部材には、同一符号を付している。
本発明は、例えば図1に示すように、投影検査機や測定顕微鏡あるいは工作機械などで測定対象物あるいはワークの変位量、寸法等を2次元的に測定する2次元変位測定装置100に適用される。
この2次元変位測定装置100は、反射型の光学式変位測定装置であって、XY方向に2つの格子ベクトルを持つ二次元の回折格子1Aが形成されたスケール基板1Aの平面上をXY方向に移動可能な光学式エンコーダ120に備えられた第1の変位検出部10と第2の変位検出部20により回折格子1に対する相対位置を検出し、その2方向の相対位置情報を出力する。
この2次元変位測定装置100において、第1の変位検出部10は、二次元の回折格子1に対して、XY平面上の、X方向の相対位置検出を行うものであって、図2の斜視図に示すように設置された第1の光源11、第1乃至第4の偏光ビームスプリッタ12A,12B,12C、12D、第1乃至第5の位相板13A,13B,13C、13D、13E,第1乃至第6のミラー14A,14B,14C,14D,14E,14F、第1及び第2のレンズ15A,15B、第1のミラー郡16、第1の受光手段17、第1の相対位置情報出力手段18を備える。
すなわち、第1の変位検出部10は、回折格子1に照射するための光束を出射する第1の光源11と、第1の光源11から出射された光束を第1の光束L1と第2の光束L2に分割する第1の偏光ビームスプリッタ12Aと、第1の偏光ビームスプリッタ12Aにより反射された第1の光束L1の偏光状態を変化させる第1の位相板13Aと、第1の位相板を介して入射される第1の光束L1を任意の角度で回折格子1の任意の位置PAに入射させる第1のミラー14Aと、第1の偏光ビームスプリッタ12Aによって分割された第2の光束L2を透過および反射させる第2の偏光ビームスプリッタ12Bと、第2の偏光ビームスプリッタ12Bを透過した第2の光束L2の偏光状態を変化させる第2の位相板13Bと、第2の位相板13Bを介して入射された第2の光束を反射させ第2の位相板13Bを介して第2の偏光ビームスプリッタ12Bに戻す第2のミラー14Bと、第2の位相板13Bを介して第2の偏光ビームスプリッタ12Bに入射され該第2の偏光ビームスプリッタ12Bにより反射された第2の光束L2を任意の角度で回折格子1の前記位置PAに入射させる第3のミラー14Cと、任意の位置PAに入射され回折格子1によって回折された第1の光束L1と第2の光束L2を共に集光する第1のレンズ15Aと、第1のレンズ15Aにより集光された第1の光束と第2の光束の偏光状態を変化させる第3の位相板13Cと、第3の位相板13Cを介して入射された第1の光束L1と第2の光束L2を反射して該第3の位相板13Cを介して再び回折格子1の任意の位置PBに入射させるための第1のミラー郡16と、回折格子1の任意の位置PBに入射される第1のレンズ15Aにより集光した第1の光束L1と第2の光束L2をコリメートする第2のレンズ15Bと、任意の位置PBに入射され再び回折格子1によって回折された第1の光束L1が入射される第4のミラー14Dと、任意のPBに入射され再び回折格子1によって回折された第2の光束L2が入射される第5のミラー14Eと、第4のミラー14Dを介して第1の光束L1が入射される第3の偏光ビームスプリッタ12Cと、第3の偏光ビームスプリッタ12Cに入射され該第3の偏光ビームスプリッタ12Cにより反射された第1の光束L1が入射される第4の位相板13Dと、第4の位相板13Dを介して入射される第1の光束L1を反射して該第4の位相板13Dを介して第3の偏光ビームスプリッタ12Cに戻す第6のミラー14Fと、第5のミラー14Eを介して第2の光束L2が入射される第5の位相板13Eと、第6のミラー14Fにより反射された第1の光束L1が該第3の偏光ビームスプリッタ12Cを透過して入射されるとともに第5の位相板13Eを介して第2の光束L2が入射され、第1の光束L1と第2の光束L2を重ね合わせて干渉させる第4の偏光ビームスプリッタ12Dと、第4の偏光ビームスプリッタ12Dにより重ね合わせた第1の光束L1と第2の光束L2の干渉光を受光して光電変換する第1の受光手段17と、第1の受光手段17により光電変換した干渉信号を変位情報に変換し出力する第1の相対位置情報出力手段18とを備える。
ここで、この第1の変位検出部10によるX方向の変位検出に関して、図3の(A),(B),(C)を参照して説明する。
図3は、第1の変位検出部10の説明に供する図であって、(A)は第1の光源11から射出した光束を回折格子1に入射させる光路を示し、(B)は回折格子1により回折反射された光束を該回折格子1に再入射させる光路を示し、(C)は回折格子1により再入射されて回折反射された光束を第1の受光手段17に入射させる光路を示している。
第1の光源11は、可干渉性のある光源であって、可干渉距離を有する半導体レーザダイオードや発光ダイオード、スーパールミネッセンスダイオード等を想定している。
第1の光源11から出射された光束は、第1の偏光ビームスプリッタ12Aにおいて、該第1の偏光ビームスプリッタ12Aによって反射された第1の光束L1と該第1の偏光ビームスプリッタ12Aを透過した第2の光束L2とに2分割される。
まず左側の第1の光束L1に着目する。
第1の光束L1は、第1の位相板13Aを介して第1のミラー14Aに入射される。第1の光束L1は、S偏光であるが、第1の位相板13AによってP偏光になる。第1の位相板13Aは、λ/2位相板を想定する。P偏光の第1の光束L1が、第1のミラー14Aにより反射されて、任意の角度をもって2次元の回折格子1の任意の位置PAに入射される。この時の入射角は、θ=sin-1(光源の波長/格子ベクトルLVXの格子ピッチ)で照射させるよう第1のミラー14Aが配置される。
ここで、2次元回折格子1の格子ベクトルLVX,LVYを図4に示し、また、1次元の回折格子1Xの格子ベクトルLVXを図5に示す。
図4は、2次元格子1の構成例を示す図であり、(A)は2次元格子1の拡大平面図、(B)はその縦断正面図である。図5は、1次元格子1Xの構成例を示す図であり、(A)は1次元格子1Xの拡大平面図、(B)はその縦断正面図である。
2次元の回折格子1によって回折した第1の光束L1は、図3の(A)に示すように、2次元の回折格子1の格子ベクトルLVXに対し略垂直に回折され、+1次回折光として第1のレンズ15Aに入射される。
第1のレンズ15Aを通過した第1の光束L1は、図3の(B)に示すように、第3の位相板13Cに入射され、この第3の位相板13Cを通過することにより、P偏光は円偏光になる。
そして、円偏光の第1の光束L1は、その後、ミラー16A,16B,16Cからなる第1のミラー群16を経て再び第3の位相板13Cに入射され、この第3の位相板13Cを通過することで、S偏光になる。ここで、第3の位相板13Cは、λ/4位相板を想定する。
第3の位相板13Cを通過することでS偏光になった第1の光束L1は、図3の(C)に示すように、第2のレンズ15Bを通過して、2次元の回折格子1の面に対し略垂直に入射される。
2次元の回折格子1の面に対し略垂直に入射された第1の光束L1は、2回目の回折で±1次の回折光を得る。-1次回折光は、第5のミラー14Eによって反射されて、第5の位相板13Eを介して第4の偏光ビームスプリッタ12Dに入射されるが、S偏光であることから、第5の位相板13EによってP偏光になり、第4の偏光ビームスプリッタ12Dで第1の受光手段17の方向に曲げられることなく、直進し、不要光として捨てられる。ここで、第5の位相板13Eは、λ/2位相板を想定する。一方、+1次回折光は、第4のミラー14Dによって反射され第3の偏光ビームスプリッタ12Cに導かれ、S偏光であることから、第4の位相板13D側に曲げられる。S偏光である第1の光束L1の+1次回折光は、第4の位相板13Dによって、円偏光になり、第6のミラー14Fにより反射されて、再び第4の位相板13Dに戻され、P偏光になる。ここで、第4の位相板13Dは、λ/4位相板を想定する。P偏光となった第1の光束L1の+1次回折光は、第3の偏光ビームスプリッタ12Cと第4の偏光ビームスプリッタ12Dを通過して第1の受光手段17に入射される。
次に、第1の偏光ビームスプリッタ12Aを透過した第2の光束L2について説明する。
第1の偏光ビームスプリッタ12Aを透過したP偏光の第2の光束L2は、図3の(A)に示すように、第2の偏光ビームスプリッタ12Bを通過し、第2の位相板13Bを介して円偏光になり第2のミラー14Bにより反射されて再び第2の位相板13Bを通過することで、S偏光になる。第2の位相板13Bは、λ/4位相板を想定する。
第2の位相板13Bを通過することで、S偏光になった第2の光束L2は、第2の偏光ビームスプリッタ12Bにより反射されて第3のミラー14Cに入射され、該第3のミラー14Cによって反射されて任意の角度をもって2次元の回折格子1に入射される。この時の入射角は、θ=sin-1(光源の波長/格子ベクトルLVXの格子ピッチ)で照射させるよう第3のミラー14Cが配置される。2次元の回折格子1によって回折した第2の光束L2は2次元の回折格子1の格子ベクトルLVXに対し略垂直に回折され、+1次回折光として第1のレンズ15Aに入射される。
第1のレンズ15Aを通過した第2の光束L2は、図3の(B)に示すように、第3の位相板13Cに入射され、この第3の位相板13Cを通過することにより、S偏光は円偏光になる。
そして、円偏光の第2の光束L2は、その後、ミラー16A,16B,16Cからなる第1のミラー群16を経て再び第3の位相板13Cに入射され、この第3の位相板13Cを通過することで、P偏光になる。ここで、第3の位相板13Cは、λ/4位相板を想定する。
第3の位相板13Cを通過することでP偏光になった第2の光束L2は、図3の(C)に示すように、第2のレンズ15Bを通過して、2次元の回折格子1の面に対し略垂直に入射される。
すなわち、この第1の変位検出部10において第1の光束L1と第2の光束L2と2次元の回折格子1からなる入射平面は、2次元回折格子1の表面に対し垂直に構成されている。
第2の光束L2は、2回目の回折で±1次の回折光を得る。-1次回折光は、第4のミラー14Dによって反射されて第3の偏光ビームスプリッタ12Cに導かれ、P偏光であることから、第3の偏光ビームスプリッタ12Cで曲げられることなく、直進し、不要光として捨てられる。
一方、+1次回折光は、第5のミラー14Eによって反射されて、第5の位相板13Eを介して第4の偏光ビームスプリッタ12Dに入射される。
前述したように第5の位相板13Eは、λ/2位相板を想定していることから、P偏光である+1次回折光は、第5の位相板13EによってS偏光になり、第4の偏光ビームスプリッタ12Dによって反射されて第1の受光手段17に入射される。
すなわち、第1の光束L1と第2の光束L2は、第4の偏光ビームスプリッタ12Dによって互いに重ね合わされて、干渉光として第1の受光手段17に入射される。
ここで、第1の受光手段17の構成図を図6に示すように、第1の受光手段17に入射された第1の光束L1と第2の光束L2は、λ/4位相板171を通過し、ハーフミラー172で分岐され、2つの偏光ビームスプリッタ173,174を交わすことで干渉した光束になり受光素子17A,17B,17C,17Dに入射される。
第1の受光手段17に入射された第1の光束L1と第2の光束L2は、λ/4位相板171を通過し、ハーフミラー172で分岐され、2つの偏光ビームスプリッタ173,174を交わすことで干渉した光束になり受光素子17A,17B,17C,17Dに入射される。
各受光素子17A,17B,17C,17Dでは、2次元の回折格子が、格子ベクトルLVX方向にxだけ移動すると、受光素子で得られる干渉信号は、Acos(4Kx+δ)で表せられる。Aは、干渉の振幅であり、Kは2π/Λで示される波数である。またδは、初期位相を示している。Λは、2次元の回折格子1における格子のピッチである。
つまり干渉した直線偏光は、2次元の回折格子1が格子ベクトル方向に1/4格子ピッチだけ移動すると、180度回転することになり、受光素子は、1周期の明暗の光量変化として信号が得られる。例えば、受光素子17Aと受光素子17Bに照射される光量は、偏光ビームスプリッタ174を通過するため互いに反転し、光電変換される。これは、後述する図10に示すような構成の相対位置情報出力部50に備えられた第1の相対位置情報出力手段18における差動増幅器51AでDCキャンセルをするためである。これによって干渉強度の変動に対し安定した検出ができる。さらに、受光素子17A,17Bが配置された偏光ビームスプリッタ173は、受光素子17C,17Dが配置される偏光ビームスプリッタ174に対し、略45度回転させて配置される。これは、受光素子17A,17Bに対し、受光素子17C,17Dの位相を90度ずらすことで、2次元回折格子1の移動方向の正負を判別できる。
このように2次元回折格子1に対するX方向の相対変位を第1の変位検出部10により検出する構成において、第1の光束L1と第2の光束L2が2次元の回折格子1に入射される位置が略一点であり、第1の光束L1と第2の光束L2と2次元の回折格子1からなる入射平面は、2次元回折格子1の表面に対し垂直に構成されており、2次元回折格子1の姿勢変化があったとしても、第1の光束L1と第2の光束L2の光路長が一定に保たれる。
ここで、図3を参照した第1の変位検出部10の説明において、2次元回折格子1は、1次元格子1Xでもよく、この場合は、X方向のみの検出に限られる。すなわち、第1の変位検出部10は、1次元格子1Xと組み合わせることにより1次元の変位測定装置を構築することができる。
また、この2次元変位測定装置100において、第2の変位検出部20は、二次元の回折格子1に対して、XY平面上の、Y方向の相対位置検出を行うものであって、図7の斜視図に示すように設置された第2の光源21、第5乃至第8の偏光ビームスプリッタ22A,22B,22C、22D、第6乃至第10の位相板23A,23B,23C、23D、23E、第7乃至第12のミラー24A,24B,24C、24D,24E,24F、第3及び第4のレンズ25A,25B、第2のミラー郡26、第2の受光手段27、第2の相対位置情報出力手段28を備える。
すなわち、第2の変位検出部20は、回折格子1に照射するための光束を出射する第2の光源21と、第2の光源21から出射された光束を第3の光束L3と第4の光束L4に分割する第5の偏光ビームスプリッタ22Aと、第5の偏光ビームスプリッタ22Aにより反射された第3の光束L3の偏光状態を変化させる第6の位相板23Aと、第6の位相板23Aを介して入射される第3の光束L3を任意の角度で回折格子1の任意の位置PCに入射させる第7のミラー24Aと、第5の偏光ビームスプリッタ22Aによって分割された第4の光束を透過および反射させる第6の偏光ビームスプリッタ22Bと、第6の偏光ビームスプリッタ22Bを透過した第4の光束の偏光状態を変化させる第7の位相板23Bと、第7の位相板23Bを介して入射された第4の光束L4を反射させ第7の位相板23Bを介して第6の偏光ビームスプリッタ22Bに戻す第8のミラー24Bと、第7の位相板23Bを介して第6の偏光ビームスプリッタ22Bに入射され該第6の偏光ビームスプリッタ22Bにより反射された第4の光束L4を任意の角度で回折格子1の前記位置PCに入射させる第9のミラー24Cと、任意の位置PCに入射され回折格子1によって回折された第3の光束L3と第4の光束L4を共に集光する第3のレンズ25Aと、第3のレンズ25Aにより集光された第3の光束L3と第4の光束L4の偏光状態を変化させる第8の位相板23Cと、第8の位相板23Cを介して入射された第3の光束L3と第4の光束L4を反射して該第8の位相板23Cを介して再び回折格子1の任意の位置PDに入射させるための第2のミラー郡26と、回折格子1の任意の位置PDに入射される第3のレンズ25Aにより集光した第3の光束L3と第4の光束L4をコリメートする第4のレンズ25Bと、任意の位置PDに入射され再び回折格子1によって回折された第3の光束L3が入射される第10のミラー24Dと、任意の位置PDに入射され再び回折格子1によって回折された第4の光束L4が入射される第11のミラー24Eと、第10のミラー24Dを介して第3の光束L3が入射される第7の偏光ビームスプリッタ22Cと、第7の偏光ビームスプリッタ22Cに入射され該第7の偏光ビームスプリッタ22Cにより反射された第3の光束L3が入射される第9の位相板23Dと、第9の位相板23Dを介して入射される第3の光束を反射して該第9の位相板23Dを介して第7の偏光ビームスプリッタ22Cに戻す第12のミラー24Fと、第11のミラー24Eを介して4の光束L4が入射される第10の位相板23Eと、第12のミラー24Fにより反射された第3の光束L3が該第7の偏光ビームスプリッタ22Cを透過して入射されるとともに第10の位相板23Eを介して第4の光束L4が入射され、第3の光束L3と第4の光束L4を重ね合わせて干渉させる第8の偏光ビームスプリッタ22Dと、第8の偏光ビームスプリッタ22Dにより重ね合わせた第3の光束L3と第4の光束L4を受光して光電変換する第2の受光手段27と、第2の受光手段27により光電変換した干渉信号を変位情報に変換し出力する第2の相対位置情報出力手段28とを備える。
ここで、この第2の変位検出部20によるY方向の変位検出に関して、図8の(A),(B),(C)を参照して説明する。
図8は、第2の変位検出部20の説明に供する図であって、(A)は第2の光源21から射出した光束を回折格子1に入射させる光路を示し、(B)は回折格子1により回折反射された光束を該回折格子1に再入射させる光路を示し、(C)は回折格子1により再入射されて回折反射された光束を第2の受光手段27に入射させる光路を示している。
可干渉性のある光源21に関しては、X方向の検出と同じであるため説明を省略する。
第2の光源21から出射された光束は、第5の偏光ビームスプリッタ22Aにおいて、該第5の偏光ビームスプリッタ22Aによって反射された第3の光束L3と該第5の偏光ビームスプリッタ22Aを透過した第4の光束L4とに2分割される。
まず、左側の第3の光束L3に着目する。
第3の光束L3は、位相板23を介して第7のミラー24Aに入射される。第3の光束L3は、S偏光であるが、第6の位相板23AによってP偏光になる。第6の位相板23Aは、λ/2位相板を想定する。P偏光の第3の光束L3が、第7のミラー24Aにより反射されて、任意の角度をもって2次元の回折格子1の任意の位置PCに入射される。この時の入射角は、θ=sin-1(光源の波長/格子ベクトルLVYの格子ピッチ)で照射させるよう第7のミラー24Aが配置される。
2次元の回折格子1によって回折した第3の光束L3は、図8の(A)に示すように、2次元の回折格子1の格子ベクトルLVYに対し略垂直に回折され、+1次回折光として第3のレンズ25Aに入射される。
第3のレンズ25Aを通過した第3の光束L3は、図8の(B)に示すように、第8の位相板23Cに入射され、この第8の位相板23Cを通過することにより、P偏光は円偏光になる。
そして、円偏光の第3の光束L3は、その後、ミラー26A,26B,26Cからなる第2のミラー群26を経て再び第8の位相板23Cに入射され、この第8の位相板23Cを通過することで、S偏光になる。ここで、第8の位相板23Cは、λ/4位相板を想定する。
第8の位相板23Cを通過することでS偏光になった第3の光束L3は、図8の(C)に示すように、第4のレンズ25Bを通過して、2次元の回折格子1の面に対し略垂直に入射される。
2次元の回折格子1の面に対し略垂直に入射された第3の光束L3は、2回目の回折で±1次の回折光を得る。-1次回折光は、第11のミラー24Eによって反射されて、第10の位相板23Eを介して第8の偏光ビームスプリッタ22Dに入射されるが、S偏光であることから、第10の位相板23EによってP偏光になり、第8の偏光ビームスプリッタ22Dで第2の受光手段27の方向に曲げられることなく、直進し、不要光として捨てられる。ここで、第10の位相板23Eは、λ/2位相板を想定する。一方、+1次回折光は、第10のミラー24Dによって反射され第7の偏光ビームスプリッタ22Cに導かれ、S偏光であることから、第9の位相板23D側に曲げられる。S偏光である第3の光束L3の+1次回折光は、第9の位相板23Dによって、円偏光になり、第12のミラー24Fにより反射されて、再び第9の位相板23Dに戻され、P偏光になる。ここで、第9の位相板23Dは、λ/4位相板を想定する。P偏光となった第3の光束L3の+1次回折光は、第7の偏光ビームスプリッタ22Cと第8の偏光ビームスプリッタ22Dを通過して第2の受光手段27に入射される。
次に、第5の偏光ビームスプリッタ22Aを透過した第4の光束L4について説明する。
第5の偏光ビームスプリッタ22Aを透過したP偏光の第4の光束L4は、図8の(A)に示すように、第6の偏光ビームスプリッタ22Bを通過し、第7の位相板23Bを介して円偏光になり第8のミラー24Bにより反射されて再び第7の位相板23Bを通過することで、S偏光になる。第7の位相板23Bは、λ/4位相板を想定する。
第7の位相板23Bを通過することで、S偏光になった第4の光束L4は、第6の偏光ビームスプリッタ22Bにより反射されて第9のミラー24Cに入射され、該第9のミラー24Cによって反射されて任意の角度をもって2次元の回折格子1に入射される。この時の入射角は、θ=sin-1(光源の波長/格子ベクトルLVYの格子ピッチ)で照射させるよう第9のミラー24Cが配置される。2次元の回折格子1によって回折した第4の光束L4は2次元の回折格子1の格子ベクトルLVYに対し略垂直に回折され、+1次回折光として第4のレンズ25Bに入射される。
第3のレンズ25Aを通過した第4の光束L4は、図8の(B)に示すように、第8の位相板23Cに入射され、この第8の位相板23Cを通過することにより、S偏光は円偏光になる。
そして、円偏光の第4の光束L4は、その後、ミラー26A,26B,26Cからなる第2のミラー群26を経て再び第8の位相板23Cに入射され、この第8の位相板23Cを通過することで、P偏光になる。ここで、第8の位相板23Cは、λ/4位相板を想定する。
第8の位相板23Cを通過することでP偏光になった第4の光束L4は、図8の(C)に示すように、第4のレンズ25Bを通過して、2次元の回折格子1の面に対し略垂直に入射される。
すなわち、この第2の変位検出部20において第3の光束L3と第4の光束L4と2次元の回折格子1からなる入射平面は、2次元回折格子1の表面に対し垂直に構成されている。
第4の光束L4は、2回目の回折で±1次の回折光を得る。-1次回折光は、第10のミラー24Dによって反射されて第7の偏光ビームスプリッタ22Cに導かれ、P偏光であることから、第7の偏光ビームスプリッタ22Cで曲げられることなく、直進し、不要光として捨てられる。
一方、+1次回折光は、第11のミラー24Eによって反射されて、第10の位相板23Eを介して第8の偏光ビームスプリッタ22Dに入射される。
前述したように第10の位相板23Eは、λ/2位相板を想定していることから、P偏光である+1次回折光は、第10の位相板23EによってS偏光になり、第8の偏光ビームスプリッタ22Dによって反射されて第2の受光手段27に入射される。
すなわち、第3の光束L3と第4の光束L4は、第8の偏光ビームスプリッタ22Dによって互いに重ね合わされて、干渉光として第2の受光手段27に入射される。
ここで、 第2の受光手段27の構成図を図9に示す。
第2の受光手段27に入射された第3の光束L3と第4の光束L4は、λ/4位相板271を通過し、ハーフミラー272で分岐され、2つの偏光ビームスプリッタ273,274を交わすことで干渉した光束になり受光素子27A,27B,27C,27Dに入射される。
各受光素子27A,27B,27C,27Dでは、2次元の回折格子1が、格子ベクトルLVY方向にyだけ移動すると、受光素子で得られる干渉信号は、Acos(4Ky+δ)で表せられる。Aは、干渉の振幅であり、Kは2π/Λで示される波数である。またδは、初期位相を示している。Λは、2次元の回折格子1における格子のピッチである。
つまり干渉した直線偏光は、2次元の回折格子1が格子ベクトル方向に1/4格子ピッチだけ移動すると、180度回転することになり、受光素子は、1周期の明暗の光量変化として信号が得られる。例えば、受光素子27Aと受光素子27Bに照射される光量は、偏光ビームスプリッタ274を通過するため互いに反転し、光電変換される。これは、図10に示すような構成の相対位置情報出力部50に備えられた第2の相対位置情報出力手段28における差動増幅器51CでDCキャンセルをするためである。これによって干渉強度の変動に対し安定した検出ができる。さらに、受光素子27A,27Bが配置された偏光ビームスプリッタ273は、受光素子27C,27Dが配置される偏光ビームスプリッタ274に対し、略45度回転させて配置される。これは、受光素子27A,27Bに対し、受光素子27C,27Dの位相を90度ずらすことで、2次元回折格子1の移動方向の正負を判別できる。
このように2次元回折格子1に対するY方向の相対変位を第2の変位検出部20により検出する構成において、第3の光束L3と第4の光束L4が2次元の回折格子1に入射される位置が略一点であり、第3の光束L3と第4の光束L4と2次元の回折格子1からなる入射平面は、2次元回折格子1の表面に対し垂直に構成されて、2次元回折格子1の姿勢変化があったとしても、第3の光束L3と第4の光束L4の光路長が一定に保たれる。
したがって、上述の如き構成の2次元の回折格子1に対してX方向の相対変位を検出する第1の変位検出部10と、Y方向の相対変位を検出する第2の変位検出部20では、2次回折光の影響をパスをずらすことで回避することで、回折格子1の姿勢変化の影響を受けずに、高い分解能で安定した高精度の変位検出が可能な光学式変位測定装置100をコンパクトな装置構成として実現することができる。
ここで、図10は、この光学式変位測定装置100における相対位置情報出力部50の構成を示すブロック図である。
この相対位置情報出力部50は、第1の変位検出部10における第1の相対位置情報出力手段18と、第2の変位検出部20における第2の相対位置情報出力手段28を備える。
第1の相対位置情報出力手段18は、第1の差動増幅器51Aと、第2の差動増幅器51Bと、第1のA/D変換器52Aと、第2のA/D変換器52Bと、第1の波形補正処理部53Aと、第1のインクリメンタル信号発生器54Aとを備える。
第1の差動増幅器51Aは、第1の受光手段17の第1の受光素子17A及び第2の受光素子17Bが入力端に接続され、出力端に第1のA/D変換器52Aが接続されている。また、第2の差動増幅器51Bは、第1の受光手段17の第3の受光素子17C及び第4の受光素子17Dが入力端に接続され、出力端に第2のA/D変換器52Bが接続されている。そして、第1のA/D変換器52A及び第2のA/D変換器52Bは、第1の波形補正処理部53Aに接続されている。第1の波形補正処理部53Aは、第1のインクリメンタル信号発生器54Aに接続されている。
第1の相対位置情報出力手段18は、第1の変位検出部10に備えられた第1の受光手段17で受光した光の強度に基づいて2次元の回折格子1に対するX方向の相対変位情報を出力する機能を有する。
具体的には、第1の相対位置情報出力手段18では、まず、第1の受光素子17A、第2の受光素子17Bからの信号を第1の差動増幅器51Aによって、第3の受光素子17C、第4の受光素子17Dからの信号を第2の差動増幅器51Bによって、それぞれ所定の増幅率α,βで差動増幅する。増幅率α,βは、増幅後の2つの信号の振幅が等しくなるように、かつ、後段のA/D変換器52A,52Bの入力可能レンジに合わせて設定する。
第1、第2の差動増幅器51A,51Bで差動増幅されて得られた2つの信号は、第1、第2のA/D変換器52A,52Bでアナログのsin信号、cos信号からデジタル信号へと数値化され、第1の波形補正処理部53Aで演算処理が行われる。第1の波形補正処理部53A、第1のインクリメンタル信号発生器54Aでは、DSPが組み込まれたプログラマブルロジックデバイス等で演算を行い、アナログ信号の乱れに起因するsinθX信号、cosθX信号の振幅変動、オフセット変動、及び位相変動の補正を行う。補正された信号からθX=AtanθXを求めることにより、2次元の回折格子1に対するX方向におけるより正確な相対位置情報を生成し、必要な形式のインクリメンタル信号を発生させることができる。
すなわち、第1の相対位置情報出力手段18は、第1の変位検出部10に備えられた第1の受光手段17で受光した光の強度に基づいて、第1の変位検出部10と2次元の回折格子1とのX方向の相対変位に応じた偏光状態の変化を4つの受光素子17A,17B,17C,17Dによって検出して、その4つの受光素子17A,17B,17C,17Dにより光電変換された信号に基づいてインクリメンタル信号の位相を求めて、X方向の相対位置情報を第1のインクリメンタル信号発生器54Aより出力する。
また、第2の相対位置情報出力手段28は、第3の差動増幅器51Cと、第4の差動増幅器51Dと、第3のA/D変換器52Cと、第4のA/D変換器52Dと、第2の波形補正処理部53Bと、第2のインクリメンタル信号発生器54Bとを備える。
第3の差動増幅器51Cは、第2の受光手段27の第5の受光素子27A及び第6の受光素子27Bが入力端に接続され、出力端に第3のA/D変換器52Cが接続されている。また、第4の差動増幅器51Dは、第2の受光手段27の第7の受光素子27C及び第8の受光素子27Dが入力端に接続され、出力端に第4のA/D変換器52Dが接続されている。そして、第3のA/D変換器52C及び第4のA/D変換器52Dは、第2の波形補正処理部53Bに接続されている。第2の波形補正処理部53Bは、第2のインクリメンタル信号発生器54Bに接続されている。
第2の相対位置情報出力手段28は、第2の変位検出部20に備えられた第2の受光手段27で受光した光の強度に基づいて2次元の回折格子1に対するY方向の相対変位情報を出力する機能を有する。
具体的には、第2の相対位置情報出力手段28では、まず、第5の受光素子27A、第6の受光素子27Bからの信号を第3の差動増幅器51Cによって、第7の受光素子27C、第8の受光素子27Dからの信号を第4の差動増幅器51Dによって、それぞれ所定の増幅率α,βで差動増幅する。増幅率α,βは、増幅後の2つの信号の振幅が等しくなるように、かつ、後段のA/D変換器52C、52Dの入力可能レンジに合わせて設定する。
第3、第4の差動増幅器51C、51Dで差動増幅されて得られた2つの信号は、第3、第4のA/D変換器52C、52Dでアナログのsin信号、cos信号からデジタル信号へと数値化され、第2の波形補正処理部53Bで演算処理が行われる。第2の波形補正処理部53B、第2のインクリメンタル信号発生器54Bでは、DSPが組み込まれたプログラマブルロジックデバイス等で演算を行い、アナログ信号の乱れに起因するsinθY信号、cosθY信号の振幅変動、オフセット変動、及び位相変動の補正を行う。補正された信号からθY=AtanθYを求めることにより、2次元の回折格子1に対するY方向におけるより正確な相対位置情報を生成し、必要な形式のインクリメンタル信号を発生させることができる。
すなわち、第2の相対位置情報出力手段28は、第2の変位検出部20に備えられた第2の受光手段27で受光した光の強度に基づいて、第2の変位検出部20と2次元の回折格子1とのY方向の相対変位に応じた偏光状態の変化を4つの受光素子27A,27B,27C,27Dによって検出して、その4つの受光素子27A,27B,27C,27Dにより光電変換された信号に基づいてインクリメンタル信号の位相を求めて、Y方向の相対位置情報を第2のインクリメンタル信号発生器54Bより出力する。
この相対位置情報出力部50において、各A/D変換器52A,52B,52C,52Dは、クロック発生器55によって同期が取られており、第1、第2のインクリメンタル信号発生器54A,54Bは、1クロックあたりに変化したXY方向の相対位置情報を出力する。これにより、XY方向の同期が取られた変位情報が出力される。
なお、第1の変位検出部10の第1乃至第4の偏光ビームスプリッタ12A,12B,12C,12Dは、図11に示すように、一体構造にした偏光ビームスプリッタブロック12とすることができる。同様に第2の変位検出部20の第5乃至第8の偏光ビームスプリッタ22A,22B,22C,22Dも一体構造にした偏光ビームスプリッタブロック22とすることができる。
また、以上、説明した2次元変位測定装置100では、個別ユニットとして構成した第1の変位検出部10と第2の変位検出部20を備え、第1の変位検出部10によりX方向の相対変位を検出し、第2の変位検出部20によりY方向の相対変位を検出するようにしたが、図12の斜視図に示すように、X方向の相対変位を検出する第1の変位検出部10の構成要素(第1の光源11、第1乃至第4の偏光ビームスプリッタ12A,12B,12C,12D、第1乃至第5の位相板13A,13B,13C,13D,13E、第1乃至第6のミラー14A,14B,14C,14D,14E,14F、第1及び第2のレンズ15A,15B、第1のミラー郡16、第1の受光手段17)とY方向の相対変位を検出する第2の変位検出部20の構成要素(第2の光源21、第5乃至第8の偏光ビームスプリッタ22A,22B,22C,22D、第6乃至第10の位相板23A,23B,23C,23D、23E、第7乃至第12のミラー24A,24B,24C,24D,24E,24F、第3及び第4のレンズ25A,25B、第2のミラー郡26、第2の受光手段27)を交差するように配置することもできる。
なお、ミラー14A,14C,14D,14E,24A,24C,24D,24Eは、ミラーの代わりに、透過型の回折格子やプリズムを使い、光束を曲げて任意の位置に導いてもよく、ミラーを使用することはあくまでも一例である。
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。