JP7232487B1 - 推定システム及び推定方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007232487000001
【解決手段】収集制御部101は、複数のセンサ10を用いて、観測値の時系列データを混雑度時系列データとしてセンサ10毎に収集する。変換制御部102は、センサ10毎の混雑度時系列データに対して、所定の時間間隔で時刻に沿って隣り合う混雑度時系列データの差分を算出する階差処理を行うことで、定常過程混雑度時系列データにセンサ10毎に変換する。作成制御部103は、変換されたセンサ10毎の定常過程混雑度時系列データを用いて、ベクトル自己回帰モデルを作成する。算出制御部104は、作成されたベクトル自己回帰モデルを用いて、複数のセンサ10のうち、二つの異なるセンサ10間に人がアクセスする際の影響度を算出する。推定制御部105は、算出された影響度を、二つの異なるセンサ10間の方向と影響度の大きさとで表現した矢印の有向ベクトルで表示することで、二つの異なるセンサ10間の有向性因果量を推定して表示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、推定システム及び推定方法に関する。
従来より、複数の事象(現象)の時系列データを分析することで、所定の因果関係を解析して、将来の予測に役立てる技術が多種存在する。例えば、特開平5-342191号公報(特許文献1)には、移動平均算出手段と、階差値算出手段と、トレンド除去手段と、パタン分類手段と、ニューラルネットワークと、を含む経済時系列データ予測システムが開示されている。移動平均算出手段は、各経済時系列データの期間の異なる移動平均値を算出し、階差値算出手段は、予測しようとする時点の直前の時点における移動平均値のn次階差値(nは1以上の整数)を算出する。トレンド除去手段は、各経済時系列データからトレンドを除去し、無トレンド経済時系列データを算出し、パタン分類手段は、予測しようとする時点以前の所定の部分における無トレンド経済時系列データのパタンを分類する。ニューラルネットワークは、各経済時系列データと階差値とパタン分類手段による分類結果とを入力し、予測対象である経済時系列データの予測しようとする時点における変化を出力とする。これにより、過去の変動パタンと将来の変動との間の因果関係や、入力データの変動との出力の因果関係を求めることが出来るとしている。
又、特開2013-116676号公報(特許公報2)には、撮像部と、特徴抽出部と、人流データ管理部と、因果関係格納部と、人流判定部から構成される人流予測装置が開示されている。特徴抽出部は、撮像部において得られた撮影画像から人物領域を検出し人物領域の特徴量を抽出し、人流データ管理部は、特徴抽出履歴情報および移動体ダイヤ情報、駅の入出場履歴情報を格納する。因果関係格納部は、特徴抽出履歴情報と移動体ダイヤ情報、入出場履歴情報間の因果関係を構造化したルールベースを格納し、人流判定部は、因果関係格納部において格納された因果関係に基づいて人物が通行可能な個所における混雑度を推定する。これにより、動的な因果関係を考慮することができ、センサが設置されていない車両やホーム、コンコースなどの人物が通行可能な個所における混雑度や人の流れを予測することが出来、また、センサが設置されていない箇所においても混雑度や人の流れの予測の精度を上げることが出来るとしている。
又、特開2017-215832号公報(特許文献3)には、ベクトル自己回帰モデルを診断モデルとして用いて回転機械の運転状態を診断する診断装置が開示されている。診断装置は、データ前処理部と、探索条件記憶部と、モデル条件探索部と、モデル学習部と、特徴量計算部と、状態診断部と、を備える。データ前処理部は、時系列で回転機械を計測した計測値から、診断モデルを学習するための第1運転データを生成し、かつ回転機械の運転状態を表す特徴量を計算するための第2運転データを生成する。探索条件記憶部は、診断モデルの出力変数、入力変数及び次数からなるモデル構築条件を探索するための条件を表す所定のモデル探索条件を記憶する。モデル条件探索部は、第1運転データとモデル探索条件とを用いて、モデル構築条件を探索し、モデル学習部は、第1運転データを用いて、診断モデルを学習する。特徴量計算部は、第2運転データと、学習された診断モデルとを用いて、特徴量を計算し、状態診断部は、特徴量に基づき、回転機械の運転状態を診断する。診断モデルの出力変数は1個であり、探索条件記憶部に記憶されているモデル探索条件は、診断モデルの出力変数の初期候補と、診断モデルの入力変数の複数の候補と、診断モデルの次数の複数の候補とを含む。モデル条件探索部は、出力変数決定部と、第1データ分割部と、変数候補抽出部と、モデル条件選択部と、を含む。出力変数決定部は、モデル探索条件を用いて、診断モデルの出力変数の候補を決定し、第1データ分割部は、第1運転データを、診断モデルの入力変数を探索するための第1探索データと、診断モデルの次数を探索するための第2探索データとに分割する。変数候補抽出部は、第1探索データと、モデル探索条件とを用いて、診断モデルの入力変数の候補を抽出し、モデル条件選択部は、変数候補抽出部により抽出された入力変数の候補と、第2探索データとを用いて、出力変数決定部により決定された出力変数の候補に対する、診断モデルの入力変数及び次数の組合せを選択する。これにより、第1探索データとモデル探索条件とを用いて、診断モデルの入力変数の候補が抽出され、抽出された入力変数の候補と第2探索データとを用いて、決定された出力変数の候補に対する、診断モデルの入力変数及び次数の組合せが選択されるので、診断モデルとして用いられる出力変数が1個のベクトル自己回帰モデルを構築する場合に、回転機械の運転状態を最も良く表現する出力変数、入力変数、次数の組合せを、保存されている最小限の情報を用いることにより、自動的に決定することが出来、その結果、回転機械の運転状態の診断に用いる診断モデルを容易に構築することが出来るとしている。
又、特開2019-46174号公報(特許文献4)には、施設内の利用者の流れに関する状況を把握する施設状況把握システムが開示されている。施設状況把握システムは、空間ネットワーク情報記憶部と、第1状況情報作成部と、移動負荷情報作成部と、を備える。空間ネットワーク情報記憶部は、施設内の空間構造をノードとリンクおよびエリアで定義する空間ネットワーク情報と施設内に配置された各センサとの対応関係を定義するセンサ空間ネットワーク関連情報を記憶する。第1状況情報作成部は、各センサで検出されたセンサ情報とセンサ空間ネットワーク関連情報とに基づいて、リンクでの利用者の流れの状況を示すリンク状況情報とエリアでの利用者の流れの状況を示すエリア状況情報とを作成する。移動負荷情報作成部は、リンク状況情報およびエリア状況情報と、推定対象となる所定の経路の情報であって、リンクおよびエリアの組合せで定義される所定の経路情報と、利用者の属性情報とに基づいて、所定の経路を移動する際の負荷を計算することにより、移動負荷情報を作成する。これにより、利用者が施設内の所定の経路を移動する際の負荷を計算することが出来、利便性を向上出来るとしている。
又、特表2019/103087号公報(特許文献5)には、入力部と、分割部とを備える情報処理装置が開示されている。入力部は、時系列に入力される複数のデータであって、データ間の少なくとも一部で関連性を有する時系列データを受信する。分割部は、時系列データを第1の分割幅で時分割し、第1の分割幅による時系列データの第1の分析処理を分析システムに実行させるとともに、時系列データを第1の分割幅よりも長い第2の分割幅で時分割し、第2の分割幅による時系列データの第2の分析処理を分析システムに実行させる。これにより、時系列データを分割して分析処理を行う際に、リアルタイム性を維持しつつ高精度な分析処理を行うことが可能となるとしている。
特開平5-342191号公報 特開2013-116676号公報 特開2017-215832号公報 特開2019-46174号公報 特表2019/103087号公報
従来より、ユーザ端末の属性分析において、ユーザ端末のMACアドレス、IDFA(Identifier for Advertisers)、AAID(Google Advertising ID)等の識別情報を用いて、特定のユーザ端末の移動や追跡を考慮した属性分析が行われている。又、ユーザ端末の属性に対する広告配信では、ユーザ端末の識別情報の抽出によるユーザ端末の特定と、ユーザ端末の属性を推定した広告配信が行われている。このようなユーザ端末の識別情報は、追跡性IDと呼ばれる。ここで、追跡性IDとは、識別情報が何であるかが分かることと、識別情報が他の何かと同じであると分かることを備えた識別情報を意味する。
このような属性分析や広告配信では、ユーザ端末の識別情報の取得が前提となる。現在では、ユーザ端末の識別情報の取得は、法令やプライバシーに触れることは無いが、ESGの観点から、ユーザ端末の識別情報の取得を規制する可能性もあり、又、将来的には、個人情報保護法等で、ユーザ端末の識別情報の取得が、個人情報の定義及び個人関連情報としての取扱に含まれ、ユーザ端末の識別情報の取得自体が難しくなる可能性がある。
そこで、今後は、ユーザ端末の一つ一つを取得して分析するのではなく、複数のユーザ端末を確率論的に分析して、複数のユーザ端末の属性を特定し、その特定した属性に対応する広告配信を行う方法が必要となる。つまり、従来の追跡性IDを用いた属性分析や広告配信よりも、非追跡性IDを用いた属性分析や広告配信が重要になってくる。ここで、非追跡性IDとは、識別情報が何であるかが分からないことと、識別情報が他の何かと同じであると分からないことを備えた識別情報を意味する。
特に、非追跡性IDを用いたデータのうち、例えば、各地点での人流データや二酸化炭素濃度の観測量データ等の時系列データを用いて確率論的に分析し、各地点での事象の因果関係を明確にすることが出来れば、上述した複数のユーザ端末の属性の特定やその属性に見合った広告配信を実現することが出来る。又、昨今の新型コロナウイルス感染症について、各地点での混雑度や感染状況データを確率論的に分析すれば、どのような混雑具合が感染者数の増加に繋がっているか等の感染対策の方向性にも有効となる。
ここで、従来の方法では、各地点での事象の因果関係を分析したり明確にしたりすることが出来ないという課題がある。又、上述した特許文献1-5に記載の技術では、各地点での時系列データを用いて、各地点での事象の因果関係を明確にすることは出来ないという課題がある。
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、異なるエリアでの人の混雑度の因果関係を明確にして、将来の予測に役立てることが可能な推定システム及び推定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る推定システムは、収集制御部と、変換制御部と、作成制御部と、算出制御部と、推定制御部と、を備える。収集制御部は、所定のエリアにおける人の混雑度に関係する観測値を経時的に観測する複数のセンサを用いて、当該観測値の時系列データを混雑度時系列データとしてセンサ毎に収集する。変換制御部は、前記収集されたセンサ毎の混雑度時系列データに対して、所定の時間間隔で時刻に沿って隣り合う混雑度時系列データの差分を算出する階差処理を行うことで、前記エリアにおける定常過程混雑度を示す定常過程混雑度時系列データにセンサ毎に変換する。作成制御部は、前記変換されたセンサ毎の定常過程混雑度時系列データを用いて、前記センサ毎の所定の直前時刻での定常過程混雑度時系列データを成分とし、一方のセンサと他方のセンサとの間の人のアクセスに要する所定の時間を次数として、前記直前時刻から次の基準時刻でのベクトル自己回帰モデルを作成する。算出制御部は、前記作成されたベクトル自己回帰モデルを用いて、前記複数のセンサのうち、二つの異なるセンサ間に人がアクセスする際の影響度を算出する。推定制御部は、前記算出された影響度を、前記二つの異なるセンサ間の方向と前記影響度の大きさとで表現した矢印の有向ベクトルで表示することで、前記二つの異なるセンサ間の有向性因果量を推定して表示する。
本発明に係る推定方法は、収集制御工程と、変換制御工程と、作成制御工程と、算出制御工程と、推定制御工程と、を備える。推定方法の各制御工程は、推定システムの各制御部に対応する。
本発明によれば、異なるエリアでの人の混雑度の因果関係を明確にして、将来の予測に役立てることが可能となる。
本発明の実施形態に係る推定システムの機能ブロック図である。 本発明の実施形態に係る推定方法の実行手順を示すためのフローチャートである。 4種類のセンサからの混雑度時系列データの一例を示す図(図3A)と、混雑度時系列データに対して階差処理を行う場合の一例を示す図(図3B)と、である。 2種類のセンサからの混雑度時系列データから定常過程混雑度時系列データを算出する際の一例を示す図である。 4種類のセンサで構成されるネットワークとベクトル自己回帰モデルの適用の一例を示す図である。 ベクトル自己回帰モデルによる二つの異なるセンサ間の影響度の有向ベクトルと、他のセンサの追加の一例を示す図である。 14個の地点のセンサの混雑度時系列データを用いてベクトル自己回帰モデルから二つの異なるセンサ間の影響度の有向ベクトルを表示させた場合の一例を示す図である。 18個の地点のセンサの混雑度時系列データを用いてベクトル自己回帰モデルから二つの異なるセンサ間の影響度の有向ベクトルを表示させた場合の一例を示す図である。 エリア人流データ、センサ観測量データ、感染状況データの様々な種類のセンサでの混雑度時系列データを用いてベクトル自己回帰モデルから二つの異なるセンサ間の影響度の有向ベクトルを表示させる場合の一例を示す図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明に係る推定システム1は、図1に示すように、複数のセンサ10と、サーバ11とを備えている。
センサ10は、人の混雑度に関係する観測値を経時的に観測することが可能なセンサであれば、特に限定は無い。例えば、センサ10がオフライン用のセンサであれば、所定のエリアAにおける地点に設置され、その地点における人の混雑度に関係する観測値を経時的に観測する。具体的には、センサ10は、ユーザ端末からの電波信号を受信することで人の混雑度を観測するWifi(登録商標)センサやBeacon等の電波受信センサ10a、所定の空間の二酸化炭素を測定することで人の混雑度を観測する二酸化炭素測定センサ10b、所定の店舗での購買した人の数を測定することで人の混雑度を観測するPOSシステム10c、所定の領域の人の数を測定することで人の混雑度を観測する監視カメラ10d等を挙げることが出来る。一方、センサ10がオンライン用のセンサであれば、オンライン上のエリアにおける特定のWebサイトのインプレッション数やアクセス数を観測値として経時的に観測することが出来るサーバ等を挙げることが出来る。
サーバ11は、一般的に使用されるコンピュータ等であり、基本的に、無線及び有線通信用の通信部と、データを蓄積する記憶部と、各部を制御する制御部と、を備えている。サーバ11は、ネットワーク12を経由してセンサ10とデータの送受信することが可能である。サーバ11は、制御部の種類に応じて、1台でも2台以上でも構わない。
ネットワーク12は、センサ10とサーバ11とのそれぞれに通信可能に接続される。ネットワーク12は、Wifi(登録商標)アクセスポイントを介したLAN(Local Area Network)の他、無線基地局を介したWAN(Wide Area Network)、第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、第5世代(5G)以降の通信方式、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線方式等の無線通信ネットワークを含む。
サーバ12とは、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各部を実現する。
次に、図1、図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。本発明の実施形態では、複数のセンサ10は、オフライン用のセンサとし、図1に示すように、所定のエリアAにおいて各地点に設置されている。センサ10の設置地点に特に限定は無いが、例えば、センサ10によって人の混雑度を観測することが出来る地点に選定される。具体的には、センサ10が、電波受信センサ10aや二酸化炭素測定センサ10b、POSシステム10c、監視カメラ10d等である場合、センサ10の設置地点は、店舗や事務所、ビル、百貨店、スーパーマーケット、量販店、駅、道路、大学、学校、公園、病院、ギャンブル場等の建物の内部や外部周辺等を挙げることが出来る。地点毎のセンサ10は、その地点での人流に関係する観測値を経時的に観測している。
さて、サーバ11の収集制御部101は、所定のエリア(地点又はWebサイト)における人の混雑度に関係する観測値を経時的に観測する複数のセンサ10を用いて、当該観測値の時系列データを混雑度時系列データとしてセンサ10毎に収集する(図2:S101)。
ここで、収集制御部101の収集方法に特に限定は無いが、例えば、サーバ11がネットワーク12を通じてセンサ10と通信可能である場合、収集制御部101は、ネットワーク12を通じてセンサ10が観測する観測値の時系列データを混雑度時系列データとして取得する。図3Aに示すように、センサ10の種類によって、観測値は多種多様である。例えば、電波受信センサ10aの観測値は、ユーザ端末10の数であり、二酸化炭素測定センサ10bの観測値は、設置地点の二酸化炭素濃度の値であり、POSシステム10cの観測値は、設置店舗等の購買した人の数であり、監視カメラ10dの観測値は、所定の領域の人の数である。一方、センサ10のそれぞれの観測値が異なっていても、時間軸は共通であることから、様々な特徴のあるデータを同一の時間軸で取り扱うことが可能である。
ここでは、分析・解析を目的とするユーザが、4種類のセンサ10(電波受信センサ10a、二酸化炭素測定センサ10b、POSシステム10c、監視カメラ10d)を選択すると、収集制御部101は、図3Aに示すように、選択された4種類のセンサ10のそれぞれから混雑度時系列データを収集する。又、混雑度時系列データは、期限を定めない場合は、無限に取得されるため、例えば、所定の期間(朝、昼、晩など)を定めた上で取得すると好ましい。
さて、収集制御部101が収集を完了すると、次に、サーバ11の変換制御部102は、収集されたセンサ10毎の混雑度時系列データに対して、所定の時間間隔(dt)で時刻に沿って隣り合う混雑度時系列データの差分を算出する階差処理を行うことで、定常過程混雑度を示す定常過程混雑度時系列データにセンサ10毎に変換する(図2:S102)。
ここで、変換制御部102の変換方法に特に限定は無い。階差処理は、連続する時系列データにおいて隣り合うデータの差分を階差として算出する処理を意味し、階差処理を行うことで、時系列データから、一時的な傾向(短期的な変動)を除去し、定常過程又は定常状態(長期的な変動)の信号を抽出することが出来る。この階差処理は1次階差処理に該当する。本発明では、混雑度時系列データに対して階差処理を行うことで、定常過程の人流の混雑度を抽出することが出来る。
具体的には、変換制御部102は、図3Bに示すように、混雑度時系列データに対して、所定の時刻(t2)の混雑度時系列データ(d2)から所定の時間間隔(dt)だけさかのぼった時刻(t1=t2-dt)の混雑度時系列データ(d1)を減算した差分(dd=d2-d1)を算出し、その差分を所定の時刻(t2)に関連付け、このような処理を所定の期間(例えば、朝の3時間)にわたって繰り返すことで階差処理を行う。例えば、混雑度時系列データが、電波受信センサ10aによるユーザ端末10の数である場合、変換制御部102が上述の階差処理を行うことで、ユーザ端末10の数の差分は、一時的な傾向が除去され、定常過程のデータとなる。
ここで、変換制御部102は、図4に示すように、電波受信センサ10aによる混雑度時系列データに階差処理を行うことで、ユーザ端末10の数の差分を示す定常過程混雑度時系列データを算出する。又、変換制御部102は、二酸化炭素測定センサ10bによる混雑度時系列データに階差処理を行うことで、二酸化炭素濃度の差分を示す定常過程混雑度時系列データを算出する。このように、変換制御部102は、4種類の混雑度時系列データのそれぞれについて階差処理を行うことで、4種類の定常過程混雑度時系列データを取得する。
さて、変換制御部102が変換を完了すると、次に、サーバ11の作成制御部103は、変換されたセンサ10毎の定常過程混雑度時系列データを用いて、センサ10毎の所定の直前時刻(t-1)での定常過程混雑度時系列データを成分(変数)とし、一方のセンサ10と他方のセンサ10との間の人のアクセスに要する所定の時間(p)を次数として、直前時刻(t-1)から次の基準時刻(t)でのベクトル自己回帰モデルを作成する(図2:S103)。
ここで、作成制御部103の作成方法に特に限定は無い。ベクトル自己回帰モデル(VARモデル)とは、時間の経過と共に変化する複数の量(事象、変数、時系列データ)の間の影響度(因果ベクトル、因果量)を算出するために使用される統計モデルであり、相互に影響し合う複数の時系列変数を解析するためのモデルである。本発明では、センサ10毎の定常過程混雑度時系列データをベクトル自己回帰モデルに適用し、各センサ10毎の人の混雑度の影響度を推定することで、複数のセンサ10のそれぞれの人の混雑度の因果関係を明確にして、将来の予測に役立てることが出来るのである。
さて、作成制御部103は、算出されたセンサ10毎の定常過程混雑度時系列データを用いて、基準時刻(t)におけるp次のn次元ベクトル(y)のベクトル自己回帰モデルを、下記の式(1)で表すことが出来る。
Figure 0007232487000002
ここで、yは、基準時刻(t)におけるセンサ10毎の定常過程混雑度時系列データを成分としたn次元のベクトルである。pは、一方のセンサ10から他方のセンサ10への人のアクセスに要する所定の時間であり、全てのセンサ10のそれぞれが各地点毎に設置されている場合は、一方のセンサ10の地点から他方のセンサ10の地点へ人が移動に要する所定の時間として設定される。nは、センサ10の総数である。cは、n×1の定数ベクトルであり、線形代数における基底ベクトル又はその組み合わせである。Φは、n×nの係数行列であり、1からpまでの間の時間i(1≦i≦p)においてある行列の成分を何倍にするべきかを示す倍数である。εは、n×1の誤差ベクトルであり、確率的な事象を取り扱う場合に想定される誤差分布を示す誤差ベクトルである。
ここで、定常過程混雑度時系列データが所定の時間間隔(3分刻み)で表現されているため、pを3とすると、3分×3=9分の時間において一方のセンサ10の地点から他方のセンサ10の地点へ人が移動する場合のベクトル自己回帰モデルとなる。又、nは4となる。4種類のセンサ10が、電波受信センサ10aと、二酸化炭素測定センサ10bと、POSシステム10cと、監視カメラ10dである場合、図5に示すように、ベクトル自己回帰モデルは、4種類のセンサ10のそれぞれから得られる4種類の定常過程混雑度時系列データで表現される。このベクトル自己回帰モデルを解析することで、4種類の定常過程混雑度時系列データの間の影響度を推定することが出来る。
さて、作成制御部103が作成を完了すると、次に、サーバ11の算出制御部104は、作成されたベクトル自己回帰モデルを用いて、複数のセンサ10のうち、二つの異なるセンサ10間に人がアクセスする際の影響度(重み、因果検出量)を算出する(図2:S104)。
ここで、算出制御部104の算出方法に特に限定は無いが、ベクトル自己回帰モデルの成分間の関係(影響度)を分析する方法として、直交化インパルス応答関数、グレンジャー因果性、分散分析を採用することが出来る。これらの方法を採用することで、二つの異なるセンサ10間の影響度を算出することが出来る。
さて、算出制御部104が、直交化インパルス応答関数を用いる場合は、下記のようになる。即ち、複数のセンサ10のうち、一方の第jのセンサ10から人が所定の時間(k)を使って他方の第iのセンサ10へアクセスする際の第jのセンサ10の定常過程混雑度時系列データと第iのセンサ10の定常過程混雑度時系列データとの間の影響度を求める直交化インパルス応答関数IRFijは、下記の式(2)で表すことが出来る。
Figure 0007232487000003
ここで、直交化インパルス応答関数IRFijは、第jのセンサ10の定常過程混雑度時系列データに対する所定の介入が、第jのセンサ10の定常過程混雑度時系列データ又は第iのセンサ10の定常過程混雑度時系列データの将来にどのような影響を及ぼすかを求めるものである。そのため、一方の第jのセンサ10から他方の第iのセンサ10への直交化インパルス応答関数IRFijの値は、他方の第iのセンサ10から一方の第jのセンサ10への直交化インパルス応答関数IRFjiの値と同じになる。uは、無相関ベクトルであり、ベクトル自己回帰モデルの誤差ベクトルεをCholesky分解して直交化ベクトル成分を算出し、無相関成分を抽出することで算出することが出来る。kは、人が一方の第jのセンサ10から他方の第iのセンサ10へアクセスする際の時間である。ここで、定常過程混雑度時系列データが所定の時間間隔(3分刻み)で表現されているため、kを1とすると、3分×1=3分の時間において人がアクセスする場合の第jのセンサ10の定常過程混雑度時系列データと第iのセンサ10の定常過程混雑度時系列データとの間の影響度を算出することが出来る。
さて、算出制御部104は、直交化インパルス応答関数IRFijをj,i=1、、、nの範囲内で変更しながら算出することで、複数のセンサ10のうち、二つの異なるセンサ10間の影響度を算出する。例えば、4種類のセンサ10(電波受信センサ10aと、二酸化炭素測定センサ10bと、POSシステム10cと、監視カメラ10d)の定常過程混雑度時系列データが用いられる場合、4×3/2=6通りの二つの異なるセンサ10の組み合わせが存在し、6通りの組み合わせに対して影響度を算出する。
算出される影響度について、具体的には、直交化ベクトル成分の重みと、次数中心性と、密度と、平均クラスタ係数と、エッジ厚み平均とを挙げることが出来る。直交化ベクトル成分の重みは、直交化インパルス応答関数IRFijにおけるCholesky分解の過程で無相関成分と相関成分とを分離することで算出され、人が一方の第jのセンサ10と他方の第iのセンサ10との間をアクセスする際の因果性を示す値である。そのため、直交化ベクトル成分の重みが大きい程、一方の第jのセンサ10と他方の第iのセンサ10との間をアクセスする人の因果関係が強いことになる。一方の第jのセンサ10と他方の第iのセンサ10との間の直交化ベクトル成分の重みを算出することで、一方の第jのセンサ10と他方の第iのセンサ10との間の因果関係を評価することが出来る。
又、次数中心性とは、一般的には、同一のネットワークにおけるノード(データの成分)に発生した重みを意味し、ここでは、所定のセンサ10のエリアに集まった人の集まり易さ(混雑具合)を意味する。そのため、次数中心性が大きい程、そのセンサ10で観測されるエリア(地点やWebサイト)は、他のセンサ10で観測されるエリアと比較して、人が集まり易くなることになる。センサ10毎の次数中心性を算出することで、センサ10毎のエリアにおける人の集まり易さを評価することが出来る。
又、密度とは、一般的には、同一のネットワークにおける重みの総和に対する重みの分布量を意味し、同一のネットワークに含まれるノードの関係の密さを示し、ここでは、複数のセンサ10のエリアの密集具合を意味する。そのため、密度が大きい程、複数のセンサ10のエリア間を人が頻繁に往来しており、ネットワークが複雑になっていることになる。密度を算出することで、複数のセンサ10で構成されたネットワークの複雑さを評価することが出来る。
又、平均クラスタ係数とは、一般的には、ベクトル自己回帰モデルで算出された係数行列Φのスカラー平均であり、ここでは、全てのセンサ10のエリアの関係性の平均を意味する。そのため、平均クラスタ係数が大きい程、全てのセンサ10のエリアが密接に関係していることになる。平均クラスタ係数を算出することで、全てのセンサ10の因果関係の強さを評価することが出来る。
又、エッジ重み平均とは、一般的には、二つの異なるノード間の因果量の平均を意味し、ここでは、全てのセンサ10のエリアに集まった人の集まり易さの平均を意味する。そのため、エッジ重み平均が大きい程、全てのセンサ10のエリアへ人が集まり易いことになる。エッジ重み平均を算出することで、全てのセンサ10の人の集まり易さを評価することが出来る。
このような影響度を具体的に算出することで、一方のセンサ10の地点で集まった人の混雑度が最も影響を与えている他方のセンサ10の地点で集まっている人との関係を解明することが可能となり、例えば、「風が吹けば桶屋が儲かる」等、何が起これば、人がどのように移動して、何がどうなるかという因果量をより明らかにすることが出来る。
尚、上述では、直交化インパルス応答関数を採用して影響度を算出したが、その他に、グレンジャー因果性や分散分析を採用して影響度を算出しても同様である。
さて、算出制御部104が算出を完了すると、次に、サーバ11の推定制御部105は、算出された影響度を、二つの異なるセンサ10間の方向と影響度の大きさとで表現した矢印の有向ベクトルで表示することで、二つの異なるセンサ10間の有向性因果量を推定して表示する(図2:S105)。
ここで、推定制御部105の推定方法に特に限定は無いが、例えば、推定制御部105は、複数のセンサ10を所定の図面に配置するとともに、第jのセンサ10と第iのセンサ10との間を人がアクセスする際の直交化ベクトル成分の重みについて、第jのセンサ10と第iのセンサ10との間の矢印の方向と、第jのセンサ10と第iのセンサ10との間の重みの大きさを矢印の幅とで表現した有向ベクトルを、第jのセンサ10と第iのセンサ10との間に表示する。又、推定制御部105は、第iのセンサ10に対して、当該第iのセンサ10の次数中心性の大きさに対応する大きさの円形を表示する。推定制御部105は、このような表示を、第jのセンサ10と第iのセンサ10との間の影響度について、j,i=1、、、nの範囲内で変更しながら繰り返す。これにより、複数のセンサ10のうち、二つの異なるセンサ10間の有向性因果量を推定して表示する。
ここでは、図6に示すように、推定制御部105は、4種類のセンサ10(電波受信センサ10aと、二酸化炭素測定センサ10bと、POSシステム10cと、監視カメラ10d)を図面に配置して、第jのセンサ10と第iのセンサ10との間の直交化ベクトル成分の重みを用いて有向ベクトルを表示するとともに、第iのセンサ10の次数中心性の大きさに対応する大きさの円形を表示する。
例えば、推定制御部105が、電波受信センサ10aと二酸化炭素測定センサ10bとの間の直交化ベクトル成分の重みの有向ベクトルを表示する場合は、電波受信センサ10aと二酸化炭素測定センサ10bとの間の重みの大きさに対応する幅の矢印61を電波受信センサ10aと二酸化炭素測定センサ10bとの間に表示する。又、推定制御部105が、電波受信センサ10aの次数中心性の大きさに対応する大きさの円形62を表示する。推定制御部105は、このような表示を4種類のセンサ10について繰り返す。これにより、表示された4種類のセンサ10とその間に存在する有向ベクトルの大きさと各センサ10の円形の大きさとを比較することで、どのセンサ10のエリアに人が集まり易いか、どのセンサ10のエリアから他のセンサ10のエリアへ移動し易いか等を一見して理解することが可能となる。
ここで、図6に示すように、推定制御部105は、センサ10のエリア600と、センサ10の次数中心性601とを表示するとともに、このセンサ10のエリア600を次数中心性601が大きい順番に表示しても良い。これにより、人が集まり易いエリア600を一見して確認することが出来る。又、推定制御部105は、密度と、平均クラスタ係数と、エッジ厚み平均とを併せて表示しても良い。これにより、複数のセンサ10で構成されたネットワークの特性を一見して確認することが出来る。
さて、推定制御部105の表示を完了すると、サーバ11のメインとなる処理が完了する。ここで、ユーザが、複数のセンサ10に表示された有向ベクトルを確認して、定常過程混雑度時系列データの調整が必要か否かを判定する(図2:S106)。
例えば、図6に示すように、監視カメラ10dに関係する複数の有向ベクトルの幅が小さく、且つ、監視カメラ10dの円形が小さい場合、監視カメラ10dの定常過程混雑度時系列データは、今回のネットワークに殆ど関係無いと評価することが出来る。そこで、判定の結果、ユーザは、監視カメラ10dの定常過程混雑度時系列データが不要であり、現行の定常過程混雑度時系列データの調整が必要であると判定する(図2:S106YES)。
そして、ユーザが、この監視カメラ10dの定常過程混雑度時系列データの削除をサーバ11に指示すると、サーバ11の調整制御部106は、ベクトル自己回帰モデルに対して、指示された監視カメラ10dの定常過程混雑度時系列データ(既に用いられているセンサ10の定常過程混雑度時系列データ)を削除することで、表示された有向性因果量を高めるように、ベクトル自己回帰モデルに用いられるセンサ10毎の定常過程混雑度時系列データを調整する(図2:S107)。
具体的には、調整制御部106は、作成制御部103に、監視カメラ10dの定常過程混雑度時系列データを除いて、他のセンサ10毎の定常過程混雑度時系列データを用いて、ベクトル自己回帰モデルを作成させる(図2:S103)。次に、調整制御部106は、算出制御部104に、監視カメラ10dの定常過程混雑度時系列データを除いたベクトル自己回帰モデルを用いて、一方のセンサ10から他方のセンサ10へ人がアクセスする際の影響度を算出させる(図2:S104)。そして、調整制御部106は、推定制御部105に、監視カメラ10dの定常過程混雑度時系列データを除いた影響度の有向ベクトルで表示させる(図2:S105)。このように、ネットワークに因果関係が殆ど無いと考えられるセンサ10の定常過程混雑度時系列データを除いて、再度、ベクトル自己回帰モデルの作成から、有向ベクトルの表示までを繰り返すことで、ネットワークに因果関係が強いセンサ10の定常過程混雑度時系列データを絞り込むことが可能となり、真に因果関係のあるセンサ10のエリアを明確にしていくことが可能となる。これらのデータは将来の予測に役立てることが出来る。
又、S106において、図6に示すように、電波受信センサ10aと二酸化炭素測定センサ10bとの間の有向ベクトル61の幅が大きく、且つ、電波受信センサ10aの円形62が大きい場合、電波受信センサ10aの定常過程混雑度時系列データは、今回のネットワークに強く関係すると評価することが出来る。そこで、判定の結果、ユーザは、電波受信センサ10aのエリアの周辺や電波受信センサ10aと二酸化炭素測定センサ10bとの間の経路に存在する他のセンサの定常過程混雑度時系列データを新たに追加した方が良く、現行の定常過程混雑度時系列データの調整が必要であると判定する(図2:S106YES)。
そして、ユーザが、例えば、電波受信センサ10aのエリアに存在する店舗内の他の二酸化炭素測定センサ10eの定常過程混雑度時系列データや二酸化炭素測定センサ10bから電波受信センサ10aへの経路に存在する建物等のWebサイトの定常過程混雑度時系列データの追加をサーバ11に指示すると、サーバ11の調整制御部106は、ベクトル自己回帰モデルに対して、指示された他の二酸化炭素測定センサ10eの定常過程混雑度時系列データやWebサイトの定常過程混雑度時系列データ(他のセンサ10の定常過程混雑度時系列データ)を削除することで、表示された有向性因果量を高めるように、ベクトル自己回帰モデルに用いられるセンサ10毎の定常過程混雑度時系列データを調整する(図2:S107)。
具体的には、調整制御部106は、作成制御部103に、他のセンサ10の定常過程混雑度時系列データを新たに追加して、ベクトル自己回帰モデルを作成させる(図2:S103)。ここで、調整制御部106は、必要に応じて、収集制御部101に、他のセンサ10の混雑度時系列データを収集させて(図2:S101)、変換制御部102に、他のセンサ10の定常過程混雑度時系列データに変換させる(図2:S102)。次に、調整制御部106は、算出制御部104に、他のセンサ10の定常過程混雑度時系列データを追加したベクトル自己回帰モデルを用いて、一方のセンサ10から他方のセンサ10へ人がアクセスする際の影響度を算出させ(図2:S104)、推定制御部105に、他のセンサ10の定常過程混雑度時系列データを追加した影響度の有向ベクトルで表示させる(図2:S105)。このように、ネットワークに因果関係が強いと考えられる他のセンサ10の定常過程混雑度時系列データを新たに追加して、再度、ベクトル自己回帰モデルの作成から、有向ベクトルの表示までを繰り返すことで、ネットワークに因果関係が強いセンサ10の定常過程混雑度時系列データを探索して明確にすることが可能となり、真に因果関係のあるセンサ10のエリアを明確にしていくことが可能となる。これらのデータは将来の予測に役立てることが出来る。
一方、S106において、ユーザは、現行の定常過程混雑度時系列データの調整が必要でないと判定し(図2:S106NO)、ネットワークの確定をサーバ11に指示すると、サーバ11の調整制御部106は、今まで処理した全ての結果を所定のメモリに記憶させて、処理を完了する。このように、本発明では、異なるエリアでの人の混雑度の因果関係を明確にして、将来の予測に役立てることが可能となるのである。
さて、本発明の適用例を説明する。例えば、ある百貨店の1階において、ファッション雑貨、レディスバッグ、化粧品、ジュエリー、アクセサリ等の店舗やカウンター、出入口等の14個の地点のそれぞれに電波受信センサ10を設置して、それぞれの電波受信センサ10の混雑度時系列データを収集した。次に、これらのデータに階差処理を行って、定常過程混雑度時系列データを取得し、14個のセンサ10の定常過程混雑度時系列データを用いて、ベクトル自己回帰モデルを作成した。そして、作成したベクトル自己回帰モデルを用いて、二つの異なるセンサ10間の影響度を算出し、算出した影響度の有向ベクトルを表示することで、複数のセンサ10のうち、二つの異なるセンサ10のエリア間の有向性因果量を表示した。その結果、図7に示すように、有向ベクトルの幅の大きさによって、一方のセンサ10の地点「1F アタオ(カウンター内)」と、他方のセンサ10の地点「1F レディスデイリーグッズ(1)」との間の人流の有向性因果量が大きいことが一見して理解することが出来る。又、センサ10が設置されたエリアについてセンサ10の次数中心性が高い順番に1番から3番までを表示することで、どのエリアに人が集まっているか一見して理解することが出来る。更に、ネットワークの密度と、平均クラスタ係数と、エッジ厚み平均を表示することで、このネットワークの特性を一見して理解することが出来る。
次に、センサ10の種類を変更した場合の本発明の適用例を説明する。ある百貨店の2階において、店舗やカウンター、出入口等の18個の地点のそれぞれに電波受信センサ10aや二酸化炭素測定センサ10b、POSシステム10c、監視カメラ10dの4種類のいずれかを設置して、それぞれのセンサ10の混雑度時系列データを収集した。次に、これらのデータに階差処理を行って、定常過程混雑度時系列データを取得し、18個のセンサ10の定常過程混雑度時系列データを用いて、ベクトル自己回帰モデルを作成し、二つの異なるセンサ10間の影響度を算出し、算出した影響度の有向ベクトルを表示した。その結果、図8に示すように、有向ベクトルの幅の大きさによって、複数のセンサ10の地点「2F グレースコンチネンタル」と、「2F 婦人化粧室内」と、「2F オーダーメイドシューズ(WS)」と、「2F レストスペース」との間の人流の有向性因果量が大きいことが一見して理解することが出来る。又、4種類のセンサ10(電波受信センサ10aや二酸化炭素測定センサ10b、POSシステム10c、監視カメラ10d)の土日を含む日ごとの次数中心性を表示することで、各センサ10のエリアの人流と土日の影響等も一見して理解することが出来る。尚、図8では、土日であっても、各センサ10の次数中心性が変化しないことから、土日に関係ない人流の因果関係を確認することが出来る。
又、本発明では、図9に示すように、エリア人流データと、センサ観測量データと、感染状況データ等、様々な種類のセンサ10における人の混雑度に関係する観測値の時系列データを活用することで、オフライン、オンラインを含む様々な人流の因果関係を明確にすることが出来る。本発明によるセンサ10のエリアにおける人流の検証結果は、センサ10の混雑度時系列データの組み合わせによって、下記のような波及効果を得ることが出来る。
例えば、Webサイトのインプレッション数が、このWebサイトの店舗の来店数に与えた影響度(送客因果量)の検出に役立てることが出来る。又、特定の商品の販売数の推移が、他の商品の販売数の推移に与えた影響度(クロス販売因果量)の検出にも役立てることが出来る。更に、特定のエリアの人流が、コロナの感染蔓延に与えた影響度の検出にも役立てることが出来る。又、街の人流をネットワークとして記述することで、街路設計の高度化に用いたり、ビルやオフィスの設計において意図した目的(部門間のコミュニケーションを活性化することや健康増進オフィス等)のKPIとして用いたりすることが出来る。更に、バスケット分析やRFM分析が主流のPOS分析に対して、「ある商品の購買状況の変化は、実は、この商品の購買状況の変化が最も影響していた。」等の従来の手法では分からなかった購買事象の解明や解釈に用いることも可能である。又、一般的に言われている「風が吹けば桶屋が儲かる」の関係性の記述にも役立てることが可能である。
尚、本発明の実施形態では、推定システム1が各制御部を備えるよう構成したが、当該各制御部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、プログラムを装置に読み出させ、当該装置が各制御部を実現する。その場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各制御部が実行する工程をハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
以上のように、本発明に係る推定システム及び推定方法は、オフライン及びオンラインの混雑度時系列データの活用に有用であり、異なるエリアでの人の混雑度の因果関係を明確にして、将来の予測に役立てることが可能な推定システム及び推定方法として有効である。
1 推定システム
10 センサ
11 サーバ
12 ネットワーク
101 収集制御部
102 変換制御部
103 作成制御部
104 算出制御部
105 推定制御部
106 調整制御部

Claims (4)

  1. 所定のエリアにおける人の混雑度に関係する観測値を経時的に観測する複数のセンサを用いて、当該観測値の時系列データを混雑度時系列データとしてセンサ毎に収集する収集制御部と、
    前記収集されたセンサ毎の混雑度時系列データに対して、所定の時間間隔で時刻に沿って隣り合う混雑度時系列データの差分を算出する階差処理を行うことで、前記エリアにおける定常過程混雑度を示す定常過程混雑度時系列データにセンサ毎に変換する変換制御部と、
    前記変換されたセンサ毎の定常過程混雑度時系列データを用いて、前記センサ毎の所定の直前時刻での定常過程混雑度時系列データを成分とし、一方のセンサと他方のセンサとの間の人のアクセスに要する所定の時間を次数として、前記直前時刻から次の基準時刻でのベクトル自己回帰モデルを作成する作成制御部と、
    前記作成されたベクトル自己回帰モデルを用いて、前記複数のセンサのうち、二つの異なるセンサ間に人がアクセスする際の影響度を算出する算出制御部と、
    前記算出された影響度を、前記二つの異なるセンサ間の方向と前記影響度の大きさとで表現した矢印の有向ベクトルで表示することで、前記二つの異なるセンサ間の有向性因果量を推定して表示する推定制御部と、
    を備える推定システム。
  2. 前記算出制御部は、前記ベクトル自己回帰モデルに対して、直交化インパルス応答関数と、グレンジャー因果性と、分散分析とのいずれか用いることで、前記二つの異なるセンサ間の影響度を算出する、
    請求項1に記載の推定システム。
  3. 前記ベクトル自己回帰モデルに用いられるセンサ毎の定常過程混雑度時系列データに他のセンサの定常過程混雑度時系列データを新たに追加したり、既に用いられているセンサの定常過程混雑度時系列データを削除したりすることで、前記表示された有向性因果量を高めるように、前記ベクトル自己回帰モデルに用いられるセンサ毎の定常過程混雑度時系列データを調整する調整制御部を更に備える、
    請求項1に記載の推定システム。
  4. 所定のエリアにおける人の混雑度に関係する観測値を経時的に観測する複数のセンサを用いて、当該観測値の時系列データを混雑度時系列データとしてセンサ毎に収集する収集制御工程と、
    前記収集されたセンサ毎の混雑度時系列データに対して、所定の時間間隔で時刻に沿って隣り合う混雑度時系列データの差分を算出する階差処理を行うことで、前記エリアにおける定常過程混雑度を示す定常過程混雑度時系列データにセンサ毎に変換する変換制御工程と、
    前記変換されたセンサ毎の定常過程混雑度時系列データを用いて、前記センサ毎の所定の直前時刻での定常過程混雑度時系列データを成分とし、一方のセンサと他方のセンサとの間の人のアクセスに要する所定の時間を次数として、前記直前時刻から次の基準時刻でのベクトル自己回帰モデルを作成する作成制御工程と、
    前記作成されたベクトル自己回帰モデルを用いて、前記複数のセンサのうち、二つの異なるセンサ間に人がアクセスする際の影響度を算出する算出制御工程と、
    前記算出された影響度を、前記二つの異なるセンサ間の方向と前記影響度の大きさとで表現した矢印の有向ベクトルで表示することで、前記二つの異なるセンサ間の有向性因果量を推定して表示する推定制御工程と、
    を備える推定方法。
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