以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論である。
[開示の概要]
近年では、単純にエアロゾル又は香味を生成するだけではなく、様々な機能を香味生成装置に設けることも検討されている。このようなケースでは、様々な機能を実現するために電源の電力が必要であるが、発明者等は、検討の結果、電源の蓄電残量が所定残量を下回った場合に、全ての機能を一律に停止してしまうと、様々な不都合が生じることを見出した。
開示の概要に係る香味生成装置は、電源に蓄積された電力の残量に関する値である残量値を取得するように構成された制御部と、エアロゾル源を霧化又は香味源を加熱するように構成された生成部と、前記生成部とは異なる補器とを備える。前記生成部及び前記補器は、前記電源に電気的に接続されている。前記制御部は、前記残量値が前記電源の放電終止状態を示す放電終止値よりも高い場合に、前記生成部及び前記補器の少なくともいずれか1つへの電力供給を抑制するように構成される。
開示の概要によれば、香味生成装置は、残量値が放電終止値よりも高い場合に、生成部及び補器の少なくともいずれか1つへの電力供給を抑制する。このような構成によれば、全ての機能が一律に停止することがない。すなわち、生成部への電力供給を抑制するケースであれば、生成部の動作が停止した後であっても動作すべき補器が用いる電源の残量を確保することができる。補器への電力供給を抑制するケースであれば、生成部が用いる電源の残量を優先的に確保することによって、生成部の動作時間を延ばしたり、生成部が生成する香味の量を増加させることができる。
(香味生成装置の構成例)
以下において、実施形態に係る香味生成装置の構成例について説明する。図1は、実施形態に係る香味生成装置の構成例を示す分解図である。図2は、実施形態に係る霧化ユニットの模式図である。
香味生成装置100は、燃焼を伴わずに香味を吸引するための非燃焼型の香味生成装置であってよい。好ましくは、香味生成装置100は、携帯型の香味生成装置であってよい。香味生成装置100は、インレット100inからアウトレット100outまで連通する空気流路を有する。香味生成装置100は、非吸口端E2から吸口端E1に向かう方向である所定方向Aに沿って延びる形状を有していてよい。このようなケースにおいて、香味生成装置100は、香味を吸引する吸口100outを有する一方の端部E1と、吸口141とは反対側の他方の端部E2と、を含んでいてもよい。香味生成装置100は、電源ユニット110及び霧化ユニット120を有する。
電源ユニット110は、霧化ユニット120と電気的及び機械的に接続される接続部分111を有する。電源ユニット110は、インレット100inを有する。なお、インレット100inは必ずしも電源ユニット110に設けられている必要はなく、電源ユニット110と霧化ユニット120のうち少なくとも一方に設けられていればよい点に留意されたい。
電源ユニット110は、電源112と、吸引センサ113と、発光素子114と、制御部115と、を有していてもよい。
電源112は、香味生成装置100の各構成に供給される電力を蓄積する。例えば、電源112は、リチウムイオン電池などの二次電池であってもよい。吸引センサ113は、ユーザのパフ動作を検知する。発光素子114は、香味生成装置100の状態に応じて発光する素子であってもよい。例えば、発光素子114は、LEDであってもよい。制御部115は、香味生成装置100の各構成を制御する。例えば、制御部115は、MCU(Micro Control Unit)であってもよい。
霧化ユニット120は、電源ユニット110と電気的及び機械的に接続される接続部分121を有する。霧化ユニット120と電源ユニット110とが互いに機械的に接続されたときに、後述する霧化部122R及び加熱部124Rが電源112と電気的に接続される。霧化ユニット110は、アウトレット100outを有する。
以下において、霧化ユニット120の一例について、図2を参照しながら説明する。霧化ユニット120は、リザーバ122Pと、ウィック122Qと、霧化部122Rと、を有していてよい。
リザーバ122Pは、液状のエアロゾル源を貯留するよう構成されていてよい。例えば、リザーバ122Pは、樹脂ウェブ等材料によって構成される多孔質体であってよい。ウィック122Qは、リザーバ122Pから毛管現象を利用してエアロゾル源を霧化部122R近傍に輸送する液保持部材であってよい。例えば、ウィック122Qは、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成することができる。霧化部122Rは、ウィック122Qに保持されるエアロゾル源を加熱する。例えば、霧化部122Rは、ウィック122Qに巻き回される抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。
霧化ユニット120は、インレット125を有していてもよい。インレット125から流入する空気は、霧化部122Rの付近を通過する。霧化部122Rで生成されたエアロゾルは、空気とともにアウトレット100outに導かれる。なお、電源ユニット110がインレット100inを有している場合、インレット100inから流入する空気も同様に霧化部122Rの付近を通過する。インレット125は、インレット100inと連通していてもよい。
エアロゾル源は、常温で液体であってよい。例えば、エアロゾル源としては、グリセリンやプロピレングリコールなどの多価アルコールを用いることができる。エアロゾル源は、複数の物質から構成されてもよい。一例として、エアロゾル源は、グリセリンとプロピレングリコールと水の混合溶媒から構成されてもよい。エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。ここでは、常温で液体のエアロゾル源を例示したが、エアロゾル源は常温で固体であってもよい。
霧化ユニット120は、交換可能に構成された香味ユニット130を有していてもよい。このようなケースにおいて、霧化ユニット120は、香味ユニット130に収容される香味源を加熱する加熱部124Rを有する。加熱部124Rは、香味ユニット130(例えば、筒体131)の外周に配置されてもよい。例えば、加熱部124Rは、抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。別の一例として、加熱部124Rは、香味ユニット130の内部に配置されてもよい。また別の一例として、加熱部124Rは、香味ユニット130の外周及び内部に配置されてもよい。
香味ユニット130は、筒状形状を有する筒体131と、通気部材132と、通気部材133とを有する。通気部材132及び通気部材133は、メッシュ体であってもよく、フィルタであってもよい。筒体131、通気部材132及び通気部材133によって区画される空間に香味源が収容される。
香味源は、常温で固体であってよい。一例として、香味源は、エアロゾルに香喫味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。香味源を構成する原料片としては、刻みたばこやたばこ原料のようなたばこ材料を粒状に成形した成形体を用いることができる。この代わりに、香味源は、たばこ材料をシート状に成形した成形体であってもよい。また、香味源を構成する原料片は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
香味源は、筒体131、通気部材132及び通気部材133によって区画される空間内で移動可能に収容されていてもよい。このようなケースでは、香味ユニット130内で香味源が流動するため、加熱部124Rと接触する香味源の偏りが少なくなるため、安定的に香味成分を放出することができる。さらに、このようなケースでは、香味ユニット130内で香味源が流動するため、香味ユニット130内の通気性が向上し、安定的に香味成分を放出することができる。或いは、筒体131、通気部材132及び通気部材133によって区画される空間内に実質的に固定されていてもよい。このようなケースでは、加熱部124Rから香味源に熱を効率的に伝えることができる。
ここで、霧化ユニット120は、霧化部122Rで生じるエアロゾルを香味ユニット130に導く流路127と、香味ユニット130内に形成される流路128と、を有する。このような構成によれば、エアロゾルが香味源を通過することによって、香味が付与されたエアロゾルがアウトレット100outに導かれる。
実施形態において、霧化ユニット120は、加熱部124Rの外側に設けられる断熱材126を有していてもよい。このような構成によれば、加熱部124Rから香味源への伝熱ロスを抑制することができ、加熱部124Rで生じる熱による霧化ユニット120の外面の温度上昇を抑制することができる。
香味生成装置100は、使用者が吸引成分を吸引するための吸引口を有するマウスピースを含んでいてよい。マウスピースは、霧化ユニット120又は香味ユニット130に着脱可能に構成されていてもよく、一体不可分に構成されていてもよい。霧化ユニット120との接続時に露出するように香味ユニット130を構成することで、香味ユニット130がマウスピースの役割を果たしてもよい。このように構成すれば、収容した香味源が十分な香味を放出すれば香味ユニット130は新品に交換されるため、香味生成装置100を衛生的に保つことができる。
霧化ユニット120は、香味源を通るようにエアロゾルをアウトレット100outに導く流路128に加えて、エアロゾルを香味源を通さずにエアロゾルをアウトレット100outに導く流路129を有してもよい。霧化ユニット120は、流路128を通るエアロゾルと流路129を通るエアロゾルとの割合を調整する流量調整手段を有していてもよい。
(香味生成装置の機能ブロック)
以下において、実施形態に係る香味生成装置の機能ブロックについて説明する。図3は、実施形態に係る香味生成装置の機能ブロックを示す図である。
図3に示すように、制御部115は、生成部300及び補器400を制御する。制御部115、生成部300及び補器400は、電源112から供給される電力によって動作する。
生成部300は、香味源を加熱する加熱部310と、エアロゾル源を霧化する霧化部320と、を有する。上述した加熱部124Rは加熱部310の一例であり、上述した霧化部122Rは霧化部320の一例である。但し、実施形態では、加熱部310及び霧化部320の構成については特に限定されるものではない。
補器400は、温調部410と、補助電源411と、通信部412と、通知部413と、揮発メモリ414と、不揮発性メモリ415と、吸引検知部416と、バッテリ温度検知部417と、外部環境検知部418と、着脱検知部419とを有してもよい。補器400は、これらの補器の全てを含む必要はない。補器400はこれら以外の要素を含んでいてもよい。
温調部410は、電源112の温度を調整する。温調部410は、電源112を温めるヒータであってもよく、電源112を冷却するクーラであってもよい。温調部410は、ヒータ及びクーラの双方の機能を有してもよい。温調部410は、電源の放電に伴う劣化抑制に用いる第3補器の一例である。温調部410は、後述する高残量補器の一例である。
補助電源411は、電源よりも優れた出力密度を有する電源である。出力密度は、単位体積あたりの出力であるW/m3であってもよいし、単位重量あたり出力であるW/kgであってもよい。例えば、補助電源411に蓄積される電力は、温調部410で用いられる。補助電源411は、電源の放電に伴う劣化抑制に用いる第3補器の一例である。補助電源411は、後述する高残量補器の一例である。
通信部412は、香味生成装置100以外の外部装置(例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなど)と通信を行う。通信部412は、香味生成装置100とは別体の香味生成装置やネブライザーと通信を行ってもよい。通信部412は、無線通信を行う無線モジュールであってもよく、有線通信を行う有線モジュールであってもよい。例えば、無線通信は、Bluetooth(登録商標)、IrDAなどの通信方式に準拠した通信であってもよい。有線通信は、USBケーブルによって実現されてもよい。通信部412は、第1補器とは異なる第2補器の一例である。通信部412は、後述する低残量補器の一例である。
通知部413は、香味生成装置100の状態を通知する。通知部413は、LEDなどの発光素子であってもよく、ディスプレイなどの表示部であってもよく、バイブレータなどの振動機構であってもよい。香味生成装置100の状態は、霧化ユニット120が有するエアロゾル源の残量であってもよく、香味ユニットが有する香味源の残量であってもよい。残量は、残りパフ回数によって表されてもよく、残り通電時間によって表されてもよく、エアロゾル源及び香味源の残量そのものによって表されてもよい。或いは、香味生成装置100の状態は、電源112の残量値であってもよい。電源112の残量値の通知は、電源112の残量値が放電終止値以下の場合に、電源112の充電を促す充電アラートであってもよい。上述した発光素子114は通知部413の一例である。残量値に関する通知を行う場合において、通知部413は、残量値に関する通知を行う第1補器の一例であってもよい。残量値に関する通知以外の通知を行う場合において、通知部413は、第1補器とは異なる第2補器の一例であってもよい。すなわち、第1補器及び第2補器という用語は、通知部413が実行する機能によって使い分けられてもよい。通知部413は、後述する低残量補器の一例である。
揮発性メモリ414は、DRAMやSRAMなどのように、電源112から供給される電力がないと、情報を保持することができないメモリである。揮発性メモリ414は、第1補器とは異なる第2補器の一例である。揮発性メモリ414は、後述する低残量補器の一例である。
不揮発性メモリ415は、フラッシュメモリなどのように、電源112から供給される電力がなくても、情報を保持することができるメモリである。不揮発性メモリ415は、第1補器とは異なる第2補器の一例である。不揮発性メモリ415は、後述する低残量補器の一例である。
なお、以降において、揮発性メモリ414と不揮発性メモリ415をまとめてメモリと呼称することがあることに留意されたい。
吸引検知部416は、ユーザのパフ動作を検知する検知部である。上述した吸引センサ113は、吸引検知部416の一例である。吸引検知部416は、第1補器とは異なる第2補器の一例である。吸引検知部416は、低残量補器の一例である。
バッテリ温度検知部417は、電源112の近傍に設けられており、電源112の温度を検知する検知部である。例えば、バッテリ温度検知部417は、温度センサであってもよい。例えば、バッテリ温度検知部417は、サーミスタやサーモパイルであってもよい。バッテリ温度検知部417で検知された情報は、電源112の充放電制御に用いられてもよい。例えば、充放電制御は、温度が閾値よりも低い場合に充放電を抑制する制御であってもよく、温度が閾値よりも高い場合に充放電を抑制する制御であってもよい。バッテリ温度検知部417で検知された情報は、上述した温調部410の制御に用いられてもよい。バッテリ温度検知部417は、第1補器とは異なる第2補器の一例である。バッテリ温度検知部417は、後述する低残量補器の一例である。
外部環境検知部418は、外部の温度及び湿度の少なくともいずれか1つを検知する検知部である。外部環境検知部418は、生成部300の影響を受けないように、生成部300から離れた位置に設けられてもよい。例えば、外部環境検知部418は、温度センサであってもよく、湿度センサであってもよい。外部環境検知部418によって検知された情報は、吸引検知部416の補正に用いられてもよい。外部環境検知部418は、第1補器とは異なる第2補器の一例である。外部環境検知部418は、後述する低残量補器の一例である。
着脱検知部419は、霧化ユニット120が装着されているか否かを検知する検知部である。着脱検知部419は、香味ユニット130が装着されているか否かを検知してもよい。例えば、着脱検知部419は、電気抵抗の変化によってユニットが装着されているか否かを検知してもよい。着脱検知部419は、第1補器とは異なる第2補器の一例である。着脱検知部419は、後述する低残量補器の一例である。
なお、以降において、吸引検知部416とバッテリ温度検知部417と外部環境検知部418と着脱検知部419ををまとめて検知部と呼称することがあることに留意されたい。
このような背景下において、制御部115は、電源112に蓄積された電力の残量に関する残量値を取得するように構成される。制御部115は、残量値が放電終止値よりも高い場合に、生成部300及び補器400の少なくともいずれか1つへの電力供給を抑制する。制御部115は、残量値が放電終止値よりも高い場合であっても、補器400への電力供給を抑制してもよい。以下において、電力供給の抑制は、電力供給の禁止であってもよく、供給電力量の減少であってもよい。
具体的には、図4を参照しながら説明する。図4では、充電終止値>THD>THC>THB>THA>放電終止値>動作保証値の関係が成り立っている。図4に示すように、電源112の残量値の状態として、充電終止値、放電終止値、動作保証値が、電源112の仕様と制御部115の仕様に基づき定められている。充電終止値は、電源112の満充電状態を示す値である。放電終止値は、電源112の放電終止状態を示す値である。動作保証値は、制御部115の動作を保証するために確保すべき残量値を示す値である。
このようなケースにおいて、制御部115は、残量値が閾値THDよりも高い場合に、全ての生成部300への電力供給を許可し、全ての補器400への電力供給を許可する(第1処理)。換言すれば、残量値が閾値THDよりも高い場合には、制御部115によって電力供給が抑制される電気負荷は存在しない。残量値が閾値THDよりも高い場合は残量値が十分にあるため、生成部300や補器400への電力供給を抑制する必要がない。この結果、香味生成装置100の機能が不必要に抑制されることで、ユーザに違和感を与えることを防止できる。
残量値が高い状態で長時間放置した場合の方が、残量値が中程度の状態で長時間放置した場合より、電源112の劣化が進行しやすい。従って、残量値が十分にある場合には、制御部115が全ての生成部300と全ての補器400へ電力供給を許可することで、残量値を中程度に近づけることができる。この結果、制御部115が生成部300及び/又は補器400の一部への電力供給を抑制する場合と比べて、電源112の劣化の進行を遅らせることができる。
制御部115は、残量値が閾値THDよりも低い場合であって、残量値が閾値THCよりも高い場合に、全ての生成部300への電力供給を許可し、第3補器(温調部410及び補助電源411)以外の補器への電力供給を許可するとともに、第3補器への電力供給を抑制する(第2処理)。
第3補器に含まれる温調部410と補助電源411は、残量値が充電終止値に近い閾値THDよりも高い場合のみ電源供給が許可されるため、高残量補器と呼称する。
実施形態において、閾値THDは、第3補器への電力供給を許可するか否かの判定に用いる所定閾値の一例である。残量値が閾値THDよりも低い場合に、第3補器への電力供給が抑制され、生成部300への電力供給が許可される。従って、閾値THDは、充電終止値よりも小さい下限閾値の一例であると考えてもよい。
第3補器に属する温調部410及び補助電源411は、電源112の劣化を抑制する目的で用いることができる。一般的な電源における充放電時の劣化は、電源の温度が室温である時に最も抑制される。反面、電源の温度が低温又は高温になるほど、電源の劣化は進行する。従って、室温又は室温近傍になるように、低温又は高温である電源112の温度を温調部410によって調節すれば、電源112の劣化を効果的に抑制することができる。
また、一般的な電源は、単位時間当たりに放電する電力又は電流が大きければ大きいほど、劣化が進行する。例えば、生成部300と補器部400に含まれる全ての要素に対して同時に電力供給を行う必要がある場合に電源112のみが電力供給を行うと、電源112が単位時間当たりに放電する電力又は電流が大きくなってしまう。その結果、電源112の劣化が進行しやすくなる。加熱部310や霧化部320が電気加熱ヒータから構成され且つその熱容量が高い場合にも、同様の課題が生じ得る。補器部400に含まれる要素の消費電力が大きい場合にも、同様の課題が生じ得る。この課題は、複数の電源を用いることで解決し得る。単位時間当たりに放電すべき電力又は電流が大きい場合は、複数の電源から同時に放電すれば、電源1つ当たりが放電する電力又は電流を低減することができる。従って、電源112と同様に生成部300及び補器部400と電気的に接続された補助電源411を用いれば、電源112の劣化を効果的に抑制できる。
ところで、電源112から補助電源411への電力供給時にこれらを電気的に接続する導線や開閉器において発生する損失を除くと、電力供給の前後において電源112と補助電源411の有する電力量の合計値は保存される。従って、電源112の残量値が高い場合には、電源112から補助電源411への電力供給を積極的に行えば、香味生成装置100の全体が有する電力量を保存しつつ、長時間放置を原因とする電源112の劣化も効果的に抑制できる。
このように、第3補器に属する温調部410及び補助電源411は、電源112の劣化を抑制する役割を果たすことができる。しかし、電源112から温調部410や補助電源411への電力供給は電源112の残量値を低下させるため、電源112の残量値とは関係なく制御部115がこれを許してしまうと、生成部300の動作時間が短くなってしまう。そこで、残量値が閾値THDよりも高い場合のみ、制御部115は、電源112から第3補器への電力供給を許可する。これにより、生成部300の動作時間を延ばしつつ、電源112の劣化を効果的に抑制できる。
制御部115は、残量値が閾値THCよりも低い場合であって、残量値が閾値THBよりも高い場合に、霧化部320への電力供給を許可し、第3補器以外の補器への電力供給を許可するとともに、加熱部310への電力供給を抑制し、第3補器への電力供給を抑制する(第3処理)。
実施形態において、閾値THCは、加熱部310への電力供給を許可するか否かの判定に用いる第1下限閾値の一例である。残量値が閾値THCよりも低い場合に、加熱部310への電力供給が抑制され、第3補器以外の補器への電力供給が許可される。従って、閾値THCは、充電終止値よりも小さい下限閾値の一例であると考えてもよい。
別の一例において、閾値THCは、加熱部310への電力供給によって香味源からユーザの口腔内に十分な香味を送達できないと定義される値であってもよい。
前述したように、香味ユニット130は、霧化部320によって生成されたエアロゾルがその内部を通過することで、このエアロゾルに香味を付与するように構成さえていてもよい。この実施形態おいては、加熱部310と霧化部320のうち霧化部320のみへ電力供給を行えば、ユーザの口腔内に香味が付与されたエアロゾルを送達することができる。つまり、加熱部310はエアロゾルに付与される香味の量を増加させるために用いられる。このような実施形態において、閾値THCは、加熱部310への電力供給を行ってもエアロゾルに付与される香味を増加できない又はユーザが感知不能な程度しか増加できないと定義される値であってもよい。
いずれの実施形態においても、加熱部310と霧化部320のうち加熱部310のみに電力供給を行っても、ユーザの口腔内に香味が付与されたエアロゾルを送達することは困難である。従って、加熱部310への電力供給が抑制される閾値は、霧化部320への電力供給が抑制される閾値以上であることが好ましい。加熱部310への電力供給が無くても香味が付与されたエアロゾルを生成可能な香味生成装置100において、加熱部310への電力供給が抑制される閾値は、霧化部320への電力供給が抑制される閾値より高い値であることがさらに好ましい。
制御部115は、残量値が閾値THBよりも低い場合であって、残量値が閾値THAよりも高い場合に、第3補器以外の補器への電力供給を許可するとともに、全ての生成部300への電力供給を抑制し、第3補器への電力供給を抑制する(第4処理)。
実施形態において、閾値THBは、霧化部320への電力供給を許可するか否かの判定に用いる第3下限閾値の一例である。閾値THBは、霧化部320への電力供給によってエアロゾル源から既定量以上のエアロゾルを生成できないと定義される値である。例えば、既定量は、エアロゾルが香味をトラップした上でユーザの口腔内に送達されるレベルとして、約0.2mg/puffのTPM(Total Particulate Matter)であってもよい。或いは、既定量は、ユーザが感知可能なレベルとして、約0.01mg/puffのTPMであってもよい。
残量値が閾値THBよりも低い場合に、生成部300への電力供給が抑制され、第3補器以外の補器(第1補器及び第2補器)への電力供給が許可される。従って、閾値THBは、充電終止値よりも小さい下限閾値の一例であると考えてもよい。
電源112の残量値が既定量のエアロゾルを生成できないほどに低い場合、霧化部320への電力供給を行っても電源112が蓄えている電力量を浪費するのみである。そこで、残量値が閾値THBよりも低い場合に制御部115が電源112から霧化部320への電力供給を抑制することで、このような浪費の回避と後述する低残量補器の動作時間の延長を両立できる。
制御部115は、残量値が閾値THAよりも低い場合であって、残量値が放電終止値よりも高い場合に、第3補器及び通信部412以外の補器への電力供給を許可するとともに、全ての生成部300への電力供給を抑制し、第3補器及び通信部412への電力供給を抑制する(第5処理)。
実施形態において、残量値が閾値THAよりも高いか否かに基づいて、通信部412への電力供給を抑制するか否かを判定している。すなわち、制御部115は、残量値の低下に伴って、2以上の第2補器について電力供給を抑制すべき対象補器の数を増やすように構成される。制御部115は、通信部412への電力供給を抑制する時点では、通信部412以外の補器への電力供給を許可する。
通知部413やメモリや検知部は、香味生成装置100や電源112の状態と密接に関連する。一方の、通信部412は、このような機能は果たさない。換言すれば、通信部412は、通知部413やメモリや検知部と比べて重要度が低い。そのため、残量値が低下した場合、制御部115は、通知部413やメモリや検知部よりも先に電力供給を抑制することが好ましい。
制御部115は、残量値が放電終止値よりも低い場合であって、残量値が動作保証値よりも高い場合に、全ての生成部300への電力供給を抑制し、全ての補器400への電力供給を抑制する。但し、上述した充電アラートの機能について電力供給を許可する(第6処理)。ここで、制御部115は、一定期間に亘って充電アラートを通知した後において、消費電力を抑制するスリープの状態に遷移してもよい。
第2補器の少なくとも一部は、残量値が放電終止値に至るまで電源供給が許可されるため、低残量補器と呼称する。
(電源制御方法)
以下において、実施形態に係る電源制御方法について説明する。図5は、実施形態に係る電源制御方法を示すフロー図である。図5に示すフローは、香味生成装置100(制御部115)によって実行されるフローである。
図5に示すように、ステップS10において、香味生成装置100は、残量値が閾値THDよりも高いか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS15の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS11の処理が行われる。
ステップS11において、香味生成装置100は、残量値が閾値THCよりも高いか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS16の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS12の処理が行われる。
ステップS12において、香味生成装置100は、残量値が閾値THBよりも高いか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS17の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS13の処理が行われる。
ステップS13において、香味生成装置100は、残量値が閾値THAよりも高いか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS18の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS14の処理が行われる。
ステップS14において、香味生成装置100は、残量値が放電終止値よりも高いか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、ステップS19の処理が行われる。判定結果がNOである場合には、ステップS20の処理が行われる。
ステップS15において、香味生成装置100は、上述した第1処理を行う。
ステップS16において、香味生成装置100は、上述した第2処理を行う。
ステップS17において、香味生成装置100は、上述した第3処理を行う。
ステップS18において、香味生成装置100は、上述した第4処理を行う。
ステップS19において、香味生成装置100は、上述した第5処理を行う。
ステップS20において、香味生成装置100は、上述した第6処理を行う。
(作用及び効果)
実施形態では、香味生成装置100は、残量値が放電終止値よりも高い場合に、生成部300及び補器400の少なくともいずれか1つへの電力供給を抑制する。このような構成によれば、全ての機能が一律に停止することがない。すなわち、生成部300への電力供給を抑制するケースであれば、生成部300の動作が停止した後であっても動作すべき補器400が用いる電源の残量を確保することができる。補器400への電力供給を抑制するケースであれば、生成部300が用いる電源の残量を優先的に確保することによって、生成部300の動作時間を延ばしたり、生成部が生成する香味の量を増加させることができる。
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
実施形態では、通信部412以外の第2補器について特に優先順位が定められていない。これに対して、変更例1では、通信部412以外の第2補器についても優先順位が定められている。図6では、閾値THBよりも大きい残量値については省略されている。図6では、THA>THR>THQ>THP>放電終止値の関係が成り立っている。
図6に示すように、制御部115は、残量値が閾値THRよりも低い場合に、外部環境検知部418及び着脱検知部419への電力供給を抑制してもよい。これらは、電源112に関する情報の取得やメモリへの書込み又は読出しに関連しない。従って、これらは、より低い残量値で電力供給が抑制される補器と比べて重要度が低い。
制御部115は、残量値が閾値THQよりも低い場合に、さらに不揮発性メモリ415への電力供給を停止してもよい。前述した通り、不揮発性メモリ415は、電力供給を抑制しても情報を保持できる。従って、不揮発性メモリ415は、電力供給を抑制すると情報を保持できない揮発性メモリと比べて、電力供給を抑制しても香味生成装置100に与える影響が少ない。
制御部115は、残量値が閾値THPよりも低い場合に、さらに通知部413(充電アラート以外)、揮発性メモリ414及びバッテリ温度検知部417への電力供給を停止してもよい。充電アラートを実行すると制御部115及び通知部413は電源112の残量を消費するため、電源112の残量低下を抑制するように充電アラートは適切なタイミングで実行されることが好ましい。残量低下を抑制するため、充電アラートは、吸引検知部416による吸引の検知を契機として実行されてもよい。
制御部115は、残量値が放電終止値よりも低い場合に、さらに吸引検知部416への電力供給を停止してもよい。
このような構成によれば、第2補器についても優先順位が定められるため、優先順位が高い第2補器が用いる電源112の残量が確保され、優先順位が高い第2補器の動作時間を延ばすことができる。
なお、通信部412以外の第2補器における優先順位は、上述した実施形態以外のものを用いてもよい。
別の一例として、制御部115は、残量値が閾値THPよりも低い場合に吸引検知部416への電力供給を停止してもよい。また、制御部115は、残量値が放電終止値よりも低い場合に通知部413(充電アラート以外)と揮発性メモリ414とバッテリ温度検知部417への電力供給を停止してもよい。これにより、制御部115は、電源112の残量値が放電終止値に至るまで、電源112の状態を検知できるようになる。従って、香味生成装置100の安全性が向上する。
また別の一例として、ユーザが通信部412以外の第2補器における優先順位を、自由に又は所定のアルゴリズムに基づき設定できるようにしてもよい。
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
実施形態では特に触れていないが、変更例2では、電源112の残量値の一例について説明する。電源112の残量値としては、電源112の充電状態(SOC:State Of Charge)を用いることができる。
例えば、制御部112は、電源112の充電状態と電源112の開放電圧との関係に基づいて、電源112の充電状態を算出してもよい。詳細には、制御部112は、充電状態(SOC)及び開放電圧(OCV)との関係(SOC-OCV曲線やSOC-OCV直線)を予め記憶しており、電源112の開放電圧を測定することによって、電源112の充電状態を算出してもよい。
或いは、制御部112は、電源112に充放電される電流の積算値に基づいて、電源112の充電状態を算出してもよい。詳細には、制御部112は、電源112に充放電される電流を測定することによって、電流に対する充電状態の増減を算出する。
これらのケースにおいて、制御部112は、電源112の内部抵抗値、電源112の劣化状態及び電源112の温度の少なくともいずれか1つを含む補正因子を取得するように構成されてもよい。制御部112は、補正因子に基づいて電源112の充電状態を補正してもい。例えば、電源112の内部抵抗値は、上述したSOC-OCV曲線やSOC-OCV直線の特性に影響を与える因子である。電源112の劣化状態は、満充電の容量に影響を与える因子である。電源112の温度は、上述したSOC-OCV曲線やSOC-OCV直線の特性に影響を与える因子である。
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
実施形態では、香味生成装置100は、残量値が閾値THCよりも高い場合に、加熱部310及び霧化部320の双方への電力供給を許可し、残量値が閾値THCよりも低い場合に、加熱部310への電力供給を抑制し、霧化部320への電力供給を許可する。
これに対して、変更例3では、香味生成装置100は、実施形態と同様に、残量値が閾値THCよりも高い場合に、加熱部310及び霧化部320の双方への電力供給を許可する。一方で、残量値が閾値THCよりも低い場合に、加熱部310及び霧化部32の中から選択された方への電力供給を許可する。このような選択は、ユーザによって行われてもよい。或いは、このような選択は、過去のユーザの選択又は他のユーザの選択に基づいて自動的に行われてもよい。例えば、自動的な選択は、AI(Artificial Intelligence)によって行われてもよい。
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
実施形態では、香味源及びエアロゾル源が別々であるケースについて説明した。これに対して、変更例4では、香味源及びエアロゾル源を備えるエアロゾル発生物品が設けられるケースについて説明する。例えば、エアロゾル発生物品は、たばこ生成物によって構成されるロッドであってもよい。このようなケースにおいて、生成部300は、エアロゾル発生物品を加熱する。なお、生成部300は加熱部310と霧化部320のいずれか一方を備えていればよい。
このようなケースにおいて、香味生成装置100(制御部115)は、残量値が放電終止値よりも高い場合であって、かつ、残量値が第2下限閾値以下である場合に、生成部300への電力供給を抑制するように構成される。第2下限閾値は、生成部300への電力供給によってエアロゾル発生物品から既定量以上のエアロゾルを生成できず、又は、生成部300への電力供給によってエアロゾル発生物品からユーザの口腔内に香味を送達できないと定義される値である。
すなわち、上述した実施形態に擬えると、第2下限閾値は、図4に示す閾値THCであると考えてもよく、図4に示す閾値THBであると考えてもよい。但し、変更例4においては、加熱部310及び霧化部320が別体で設けられる訳ではないことに留意すべきである。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
実施形態では、生成部300は、加熱部310及び霧化部320を有する。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。生成部300は、加熱部310及び霧化部320のいずれか一方を有していてもよい。
実施形態では、補器400として、図3に列挙する補器が設けられるケースについて例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。補器400として、図3に列挙する補器の少なくともいずれか1つの補器が設けられていればよい。
実施形態では特に触れていないが、香味生成装置100(制御部115)が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
或いは、香味生成装置100(制御部115)が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。