以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<全体構成>
図1は、本実施の形態に係る車両1の一例を示す全体構成図である。図1を参照して、車両1は、エンジン10と、トルクコンバータ20と、変速機30と、油圧回路35と、デファレンシャルギヤ80と、駆動輪90と、ECU(Electronic Control Unit)100と、センサ群150とを備える。
車両1は、エンジン10の動力を用いて走行する、所謂コンベ車である。なお、車両1は、エンジン10の出力と蓄電装置(図示せず)に蓄えられた電力との両方を用いて走行可能なハイブリッド車(HV)であってもよく、たとえば、トルクコンバータ20とエンジン10との間にモータジェネレータを配置したHV車であってもよい。
エンジン10は、ガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン10の出力軸(クランク軸)は、トルクコンバータ20の入力軸に接続される。トルクコンバータ20の出力軸は、変速機30の入力軸に接続される。変速機30の出力軸はデファレンシャルギヤ80を介して駆動輪90に接続される。
変速機30は、発進ギヤを備えた、所謂ダイレクトシフトCVT(Continuously Variable Transmission、無段変速機)である。変速機30の詳細については後述する。なお、変速機30は、CVTに限られるものではなく、たとえば、多段式の自動変速機であってもよい。
油圧回路35は、ソレノイドバルブを少なくとも1つ含む。油圧回路35は、ECU100からの制御信号に従ってソレノイドバルブを制御して、変速機30の摩擦係合要素(たとえば後述の第1クラッチC1,第2クラッチC2,ブレーキB1)に選択的に油圧を供給する。油圧回路35が摩擦係合要素に油圧を供給することにより、変速機30の変速が行なわれる。また、油圧回路35は、ロックアップクラッチ25(図2)に油圧を供給するように構成されてもよい。また、油圧回路35は、CVT50(図2)に油圧を供給うするように構成されてもよい。
なお、以下においては、トルクコンバータ20、変速機30および油圧回路35を総称して「動力伝達装置」と総称する場合がある。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力バッファ(いずれも図示せず)を備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および書き換え可能な不揮発性メモリを含む。メモリ(たとえば、ROM)に記憶されているプログラムをCPUが実行することで、各種制御が実行される。ECU100は、たとえば、各センサから受ける信号、並びにメモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両1が所望の状態となるように各機器を制御する。ECU100が行なう各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
ECU100は、車両1が走行状態から停止した際にエンジン10を停止させるアイドルストップ制御を実行可能に構成される。具体的には、ECU100は、停止条件が成立した場合にエンジン10を停止させる。ECU100は、再始動条件が成立した場合にエンジン10を再始動させる。停止条件としては、たとえば、図示しないフットブレーキがONになったこと(フットブレーキが踏まれていること)を採用することができる。あるいは、停止条件として、フットブレーキがONになり、かつ、車速が所定速度以下(たとえば車速がゼロ)であることを採用してもよい。再始動条件としては、たとえば、エンジン10が停止している状態において、フットブレーキがONからOFFになったことを採用することができる。
センサ群150は、アクセルセンサ151と、ブレーキセンサ152と、シフトポジションセンサ153と、車速センサ154、エンジントルクセンサ155と、エンジン回転速度センサ156と、タービン回転速度センサ157とを含む。なお、センサ群150に含まれるセンサは、上述の各種センサに限定されるものではない。
アクセルセンサ151は、アクセル操作量(たとえば、図示しないアクセルペダルの踏込み量)を検出する。ブレーキセンサ152は、ブレーキ操作量(たとえば、図示しないブレーキペダルの踏込み量)を検出する。シフトポジションセンサ153は、図示しないシフトレバーのポジションを検出する。車速センサ154は、車両1の速度(車速)を検出する。エンジントルクセンサ155は、エンジン10の出力トルク(エンジントルク)を検出する。エンジン回転速度センサ156は、エンジン10の出力軸の回転速度を検出する。タービン回転速度センサ157は、トルクコンバータ20のタービンランナ22(図2)の回転速度(タービン回転速度)を検出する。センサ群150の各種センサは、その検出結果を示す信号をECU100に出力する。
<トルクコンバータおよび変速機の構成>
図2は、トルクコンバータ20および変速機30の機械的な構造を示す図である。図2において、線AX1,AX2,AX3,AX4,AX5は、互いに平行な軸線を示している。
図2を参照して、トルクコンバータ20は、ポンプインペラ21、タービンランナ22、ステータ23、およびロックアップクラッチ25を備える。トルクコンバータ20の入力軸11は、ポンプインペラ21に接続されている。タービンランナ22は、ポンプインペラ21に対向配置され、プライマリシャフト12に接続されている。トルクコンバータ20の内部はオイルが満たされた油密状態になっている。ステータ23は、ケース200に支持されたワンウェイクラッチ(図示せず)に接続され、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間においてオイルの流れを制御するように構成される。
ロックアップクラッチ25は、ECU100からの制御信号に基づいて、係合状態、解放状態、スリップ(半係合)状態のうちのいずれかに制御される。ロックアップクラッチ25は、たとえば、油圧によって作動するように構成される。ロックアップクラッチ25の状態に応じて入力軸11とプライマリシャフト12との接続状態が変化する。たとえば、ロックアップクラッチが係合状態になると、入力軸11とプライマリシャフト12とが直結状態になり、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが一体的に回転する。ロックアップクラッチ25が解放状態であると、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間の動力伝達がトルクコンバータ20内の作動油によって行なわれるため、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間の回転速度差(トルクコンバータ20の滑り)が生じ得る状態となる。ロックアップクラッチ25がスリップ状態であると、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間の動力伝達がトルクコンバータ20内の作動油とロックアップクラッチ25とによって行なわれる。
変速機30は、プラネタリギヤ31と、シンクロナイザ40と、CVT50と、ブレーキB1(たとえば、ブレーキバンド)と、第1クラッチC1と、第2クラッチC2とを含む。なお、第1クラッチC1は、本開示に係る「発進クラッチ」の一例に相当する。
CVT50は、プライマリプーリ51、セカンダリプーリ52、および無端状のベルト53を備えるベルト式無段変速機である。プライマリプーリ51は、CVT50の入力側に位置し、プライマリシャフト12と一体的に回転するようにプライマリシャフト12に接続されている。セカンダリプーリ52は、CVT50の出力側に位置し、セカンダリシャフト61と一体的に回転するようにセカンダリシャフト61に接続されている。ベルト53は、プライマリプーリ51およびセカンダリプーリ52に巻き掛けられている。この実施の形態では、ベルト53として金属製のベルト(たとえば、スチールベルト)を採用する。ただしこれに限られず、外側をゴムで覆った乾式複合ベルトなども、ベルト53として採用可能である。
プライマリプーリ51およびセカンダリプーリ52の各々は、ベルト53が掛けられるV溝の幅を変更可能に構成される可変溝幅プーリである。V溝の幅が広くなると、ベルト53がプーリの回転中心に近い位置に掛かることになる。これにより、ベルト53の巻き掛け径は小さくなる。V溝の幅が狭くなると、ベルト53がプーリの外周に近い位置に掛かることになる。これにより、ベルト53の巻き掛け径は大きくなる。
プライマリプーリ51は、固定シーブ51aと可動シーブ51b(たとえば、スライドプーリ)とを備える。固定シーブ51aと可動シーブ51bとの間にはV溝が形成されている。可動シーブ51bは、油圧アクチュエータ(図示せず)による油圧室(図示せず)の制御によって可動する。油圧室の油圧が高くなると、可動シーブ51bが内側へ移動してV溝の幅が狭くなる。油圧室の油圧が低くなると、ベルト53の張力によって可動シーブ51bが外側へ移動してV溝の幅が広くなる。
セカンダリプーリ52は、固定シーブ52aと可動シーブ52b(たとえば、スライドスプーリ)とを備える。固定シーブ52aと可動シーブ52bとの間にはV溝が形成されている。可動シーブ52bには、図示しないスプリングによってV溝の幅を狭くする方向への力が作用している。プライマリプーリ51の溝幅の変化によってベルト53の張力が変化すると、セカンダリプーリ52の溝幅も、ベルト53の張力に応じた大きさに調整される。セカンダリプーリ52とベルト53との摩擦を最適な状態に保つために、油圧アクチュエータによってセカンダリプーリ52の溝幅が調整されてもよい。
プラネタリギヤ31は、キャリヤCR、リングギヤR、およびサンギヤSを備えるダブルピニオンプラネタリギヤである。キャリヤCRは、サンギヤSに噛合するピニオンP1と、リングギヤRに噛合するピニオンP2との各々を回転自在に支持する。ブレーキB1は、ケース200に対するリングギヤRの回転を係止可能に構成される。サンギヤSには、中空状のシャフト13が連結されている。シャフト13の内側にはプライマリシャフト12が配置されている。プライマリシャフト12およびシャフト13の各々は線AX1上に配置されている。プライマリシャフト12は、プラネタリギヤ31のキャリヤCRに接続されている。
シャフト13は、第1クラッチC1を備えるクラッチ装置に連結されている。キャリヤCRは、第1クラッチC1を介してシャフト13に接続されている。シャフト13には、第1ドライブギヤ14が取り付けられている。第1クラッチC1は、ギヤドライブ用クラッチであり、後述するギヤドライブモードで車両1が走行する場合に係合状態になる。
シンクロナイザ40は、スリーブ40aと、第1ドリブンギヤ41と、入力シャフト42と、第1ギヤ43と、第2ギヤ44と、出力シャフト45と、第2ドライブギヤ46とを備える。入力シャフト42と出力シャフト45とは線AX2上に配置され、中空状の出力シャフト45の内側に入力シャフト42が配置されている。第1ドリブンギヤ41および第1ギヤ43の各々は、入力シャフト42に取り付けられている。第2ギヤ44および第2ドライブギヤ46の各々は、出力シャフト45に取り付けられている。第1ドリブンギヤ41は、第1ドライブギヤ14に噛み合っている。
スリーブ40aは、軸線方向に沿って移動可能に構成される。スリーブ40aを移動させることによって、第1ギヤ43と第2ギヤ44との接続状態を切り替えることができる。スリーブ40aを第1ギヤ43および第2ギヤ44の両方に噛合する位置に移動させることで、第1ギヤ43と第2ギヤ44とが連結される。スリーブ40aを第1ギヤ43のみに噛合する位置に移動させることで、第1ギヤ43と第2ギヤ44とが切り離される。
セカンダリプーリ52の可動シーブ52bは第2クラッチC2を介して中空状の入力シャフト62に接続されている。セカンダリシャフト61は入力シャフト62の内側に配置されている。セカンダリシャフト61および入力シャフト62の各々は線AX3上に配置されている。第2クラッチC2は、ベルトドライブ用クラッチであり、後述するベルトドライブモードで車両1が走行する場合に係合状態になる。第2クラッチC2が係合状態になると、セカンダリプーリ52のトルクが入力シャフト62に伝達されるようになる。第2ドリブンギヤ63は、入力シャフト62に取り付けられ、第2ドライブギヤ46に噛み合っている。
リダクションギヤ装置70は、入力シャフト62に取り付けられた出力ギヤ71と、出力ギヤ71に噛み合っているドリブンギヤ72と、ドリブンギヤ72に取り付けられたカウンタシャフト73とを備える。カウンタシャフト73は、線AX4上に配置されている。
カウンタシャフト73には、ファイナルドライブギヤ81が取り付けられている。ファイナルドライブギヤ81は、リングギヤ82に噛み合っている。リングギヤ82は、デファレンシャルギヤ80のケース外側に配置され、ファイナルドリブンギヤとして機能する。デファレンシャルギヤ80は、線AX5上に配置されたドライブシャフト83L,83Rにリングギヤ82のトルクを伝達するように構成される。デファレンシャルギヤ80は、ドライブシャフト83L,83Rを適切な速度で回転させる。ドライブシャフト83L,83Rが回転することにより、ドライブシャフト83Lおよび83Rの各々の先端に取り付けられた駆動輪90(図1)が回転する。
ECU100は、車速に応じて車両1の走行モードを切り替える。具体的には、ECU100は、シフトポジションがDレンジであり、かつ、車速が所定速度以下である場合には、走行モードをギヤドライブモードに設定する。ギヤドライブモードでの走行中に車速が所定速度を超えると、ECU100は、走行モードをベルトドライブモードに切り替える。
図3は、ギヤドライブモードにおける動力伝達経路を示す図である。図3を参照して、ギヤドライブモードでは、ブレーキB1および第2クラッチC2が解放状態になり、第1クラッチC1が係合状態になり、スリーブ40aが第1ギヤ43および第2ギヤ44の両方に噛合する。これにより、図3中に矢印P11で示すように、CVT50を含まない動力伝達経路が形成される。たとえば、車両1の発進時には、エンジン10の動力が、トルクコンバータ20、プライマリシャフト12、および上記動力伝達経路(矢印P11)を経て、カウンタシャフト73に伝達される。すなわち、エンジン10の動力はCVT50を経由せずに車両1の駆動輪に伝達される。
図4は、ベルトドライブモードにおける動力伝達経路を示す図である。図4を参照して、ベルトドライブモードでは、ブレーキB1および第1クラッチC1が解放状態になり、第2クラッチC2が係合状態になり、スリーブ40aは、第2ギヤ44とは噛合せず、第1ギヤ43のみに噛合する。これにより、図4中に矢印P12で示すように、CVT50を含む動力伝達経路が形成される。たとえば、車両1の高速走行時には、エンジン10の動力が、トルクコンバータ20、プライマリシャフト12、および上記動力伝達経路(矢印P12)を経て、カウンタシャフト73に伝達される。すなわち、エンジン10の動力はCVT50を経由して車両1の駆動輪に伝達される。
<クラッチスリップ制御>
本実施の形態に係るECU100は、アイドルストップ制御によりエンジン10を停止させている場合、走行モードとしては上述のギヤドライブモードを選択し、第1クラッチC1を係合している。ECU100は、エンジン10を再始動させる場合、第1クラッチC1の係合により生じるショックを低減させるために、第1クラッチC1をスリップさせた後に係合するクラッチスリップ制御を実行する。
クラッチスリップ制御においてECU100は、エンジン10の再始動時における車両1の発進応答性を確保するために、第1クラッチC1のスリップ量が所定量未満となるように制御する。第1クラッチC1のスリップ量が所定量以上であると第1クラッチC1の係合までに時間を要するため、車両1の発進応答性が低下する。また、第1クラッチC1のスリップ量が所定量以上である状態で車両1の発進応答性を確保しようとすると、第1クラッチC1を急係合させることになるため係合によるショックが発生し得る。そのため、ECU100は、クラッチスリップ制御における第1クラッチC1のスリップ量を所定量未満の値に設定する。所定量は、車両1の発進応答性と第1クラッチC1の係合により生じるショックとを適度に両立させるための値として、たとえば動力伝達装置の仕様等に基づいて適切に設定される。
ECU100は、所定量を超えない範囲において、エンジントルクに基づいてクラッチスリップ制御におけるスリップ量を設定する。ECU100は、設定したスリップ量となるように第1クラッチC1に供給するクラッチ油圧を制御する。
<クラッチ油圧の補正>
フットブレーキがONからOFFになり再始動条件が成立すると、ECU100はエンジン10を再始動する。ここで、エンジン10の再始動時におけるエンジントルクTeは、始動時(直後を含む)にはアイドルトルクTaよりも大きな初期トルクTef(>Ta)となり、その後にアイドルトルクTaに収束する。このようなエンジントルクTeの変化は、エンジン10の再始動時のクラッチスリップ制御におけるクラッチ油圧の設定に影響を及ぼし得る。具体的には、エンジン10の再始動時のクラッチスリップ制御において、初期トルクTefに応じたクラッチ油圧を設定しておくと、エンジントルクTeがアイドルトルクTaに収束した際に油圧過多になり第1クラッチC1が急係合してショックが生じ得る。一方、アイドルトルクTaに応じたクラッチ油圧を設定しておくと、エンジン10の再始動時に初期トルクTefに対してクラッチトルク容量の不足が生じ、トルクコンバータ20のタービンランナ22の吹き上がりが発生して、車両1の発進応答性が低下し得る。
そこで、本実施の形態に係るECU100は、エンジントルクTeの変化に追従できるように第1クラッチC1に供給するクラッチ油圧を補正する。第1クラッチC1に供給されるクラッチ油圧が補正されることによって、エンジントルクTeの変化に応じた油圧を第1クラッチC1に供給することができる。そのため、たとえばエンジン10の再始動時においてエンジントルクTeが初期トルクTefからアイドルトルクTaに変化したとしても、油圧過多により発進クラッチが急係合することを抑制することができる。また、エンジン10の再始動時のクラッチ油圧をアイドルトルクTaに応じた値に設定しておかなくてもよいので、エンジン10の再始動時の車両1の発進応答性を確保することができる。
本実施の形態に係るECU100は、フィードバック制御によるクラッチ油圧の補正と、フィードフォワード制御によるクラッチ油圧の補正との2つの補正が可能に構成される。ECU100は、クラッチスリップ制御における第1クラッチC1のスリップ量が所定量未満である場合にはフィードフォワード制御を適用し、スリップ量が所定量以上である場合にはフィードバック制御を適用する。スリップ量が所定量未満である場合には、スリップ量が所定量以上である場合よりも、エンジントルクTeの少ない変化量で第1クラッチC1が急係合してしまう可能性が高い。時間的な視点から考えると、エンジントルクTeの初期トルクTefからアイドルトルクTaへの変化(低下)において、スリップ量が所定量未満である場合には、スリップ量が所定量以上である場合よりも、短い時間で急係合が生じてしまう可能性がある。
上記に鑑みて、スリップ量が所定量以上である場合、すなわちエンジントルクTeの初期トルクTefからアイドルトルクTaへの変化において、第1クラッチC1の急係合が生じるまでの時間に比較的余裕があることが想定される場合には、フィードバック制御によってクラッチ油圧を補正する。フィードバック制御を適用することによって、フィードフォワード制御を適用する場合に比べて、クラッチ油圧の補正精度を向上させることができる。なお、クラッチスリップ制御において、スリップ量が所定量以上となる場合とは、スリップ量が所定量未満となるように制御しているにもかかわらず、予測を超えるエンジントルクTeの変化または/および制御ばらつき等に起因してスリップ量が所定量以上となったような場合が想定される。
スリップ量が所定量未満である場合、すなわちエンジントルクTeの初期トルクTefからアイドルトルクTaへの変化において、第1クラッチC1の急係合が生じるまでの時間に比較的余裕がないことが想定される場合には、フィードフォワード制御によってクラッチ油圧を補正する。急係合が生じるまでの時間が比較的短い場合には、クラッチ油圧の補正にフィードバック制御を適用すると第1クラッチC1の急係合を抑制できない可能性がある。そこで、フィードフォワード制御を適用してクラッチ油圧を補正することにより、エンジントルクTeの変化に応じた油圧を第1クラッチC1に供給することが可能となる。
車両1が停車している状態でフットブレーキがONからOFFになりエンジン10が再始動された場合において、スリップ量が所定量未満であるか否かの判定は、タービンランナ22の回転速度(タービン回転速度)を用いて判定することができる。車両1が停車している状態であることから、駆動輪に繋がる第1クラッチC1の出力側の回転速度はゼロである。ゆえに、タービン回転速度を監視することにより、第1クラッチC1のスリップ量を判定することが可能である。たとえば、車両1の停車時において、第1クラッチC1のスリップ量とタービン回転速度との関係を求めることにより、上述の所定量に対応するタービン回転速度の値として第1閾値TH1を得ることができる。タービン回転速度を第1閾値TH1と比較することによって、スリップ量が所定量未満であるか否かを判定することが可能となる。
<<フィードバック制御>>
図5は、フィードバック制御の制御ブロック図である。図5を参照して、ECU100は、油圧算出部101と、補正量算出部102と、フィードバック補正部(以下「FB補正部」とも称する)103とを含む。
油圧算出部101は、入力トルクとしてエンジントルクTeを取得する。そして、油圧算出部101は、エンジントルクTeに基づいて第1クラッチC1に供給するクラッチ油圧を算出する。具体的には、油圧算出部101は、まず、以下の式(1)に従って、クラッチトルク容量Tcを算出する。
Tc=Te-I×dNt/dt-Tx…(1)
上記式(1)の右辺第2項は、第1クラッチC1の入力側の係合部材および出力側の係合部材を回転させるために要する損失トルクである。損失トルクは、慣性モーメントIと、目標タービン回転速度Ntの時間変化率との積で表わされる。上記式(1)の右辺第3項は、タービン回転速度を第1閾値TH1未満に抑えるための減算トルクである。減算トルクTxは、たとえば、エンジン10、トルクコンバータ20および変速機30等の動力伝達装置の仕様に基づいて適切に設定される。実験結果等から減算トルクTxを導いてもよい。
油圧算出部101は、クラッチトルク容量Tcとクラッチ油圧との関係を示す第1マップ(図示せず)を読み出し、算出したクラッチトルク容量Tcを第1マップに照合させることによりクラッチ油圧を算出する。第1マップは、たとえば、動力伝達装置の仕様または実験結果等に基づいて予め定めておくことができる。第1マップは、たとえば、ECU100の図示しないメモリに記憶しておけばよい。油圧算出部101は、算出したクラッチ油圧をFB補正部103に出力する。
補正量算出部102は、目標タービン回転速度Ntと実際のタービン回転速度Nとを取得する。タービン回転速度Nは、タービン回転速度センサ157から取得する。補正量算出部102は、目標タービン回転速度Ntからタービン回転速度Nを減算して、目標タービン回転速度Ntに対するタービン回転速度Nの差分ΔN(=Nt-N)を算出する。そして、補正量算出部102は、当該差分ΔNを油圧補正量に換算する。たとえば、補正量算出部102は、差分ΔNと油圧補正量との関係を示す第2マップ(図示せず)を読み出して、当該マップに差分ΔNを照合させることにより油圧補正量を算出することができる。第2マップは、たとえば、動力伝達装置の仕様または実験結果等に基づいて予め定めておくことができる。第2マップは、たとえば、ECU100の図示しないメモリに記憶しておけばよい。補正量算出部102は、算出した油圧補正量をFB補正部103に出力する。なお、補正量算出部102は、上記差分ΔNおよび第2マップに加えて、重み係数を用いて油圧補正量を算出してもよい。
FB補正部103は、入力されたクラッチ油圧および油圧補正量に基づいてクラッチ油圧を補正する。たとえば、FB補正部103は、クラッチ油圧に油圧補正量を加算することによりクラッチ油圧を補正する。FB補正部103は、補正したクラッチ油圧(補正クラッチ油圧)を動力伝達装置に出力する。
<<フィードフォワード制御>>
図6は、フィードフォワード制御の制御ブロック図である。図6を参照して、ECU100は、油圧算出部111と、勾配算出部112と、補正量算出部113と、フィードフォワード補正部(以下「FF補正部」とも称する)114とを含む。
油圧算出部111は、上述の油圧算出部101と同様の機能を有する。すなわち、油圧算出部111は、入力トルクとして取得したエンジントルクTeに基づいて第1クラッチC1に供給するクラッチ油圧を算出する。詳細については、油圧算出部101と同様であるため、繰り返し説明しない。
勾配算出部112は、タービン回転速度の勾配を算出する。具体的には、勾配算出部112は、タービン回転速度センサ157からタービン回転速度N1を取得すると、ECU100の図示しないメモリから前回(たとえば制御周期Δt前)のタービン回転速度N2を読み出す。そして、勾配算出部112は、前回のタービン回転速度N2から現在のタービン回転速度N1を減算してタービン回転速度勾配ΔG(=N2-N1)を算出する。勾配算出部112は、算出したタービン回転速度勾配ΔGを補正量算出部113に出力する。
補正量算出部113は、タービン回転速度勾配ΔGと油圧補正量との関係を示す第3マップを読み出し、取得したタービン回転速度勾配ΔGを第3マップに照合させて油圧補正量を算出する。
図7は、第3マップを説明するための図である。図7の横軸にはタービン回転速度勾配が示され、縦軸には油圧補正量が示される。図7から認識し得るように、タービン回転速度勾配ΔGが閾値ΔGth以上の領域においては、油圧補正量がゼロに設定される。タービン回転速度勾配ΔGが正値である場合は、エンジン10が再始動して、エンジントルクTeが初期トルクTefに向かって上昇している場合である。タービン回転速度勾配ΔGが負値である場合は、エンジントルクTeが初期トルクTefからアイドルトルクTaに向かって低下している場合、または、油圧過多により第1クラッチC1が係合状態に向かっている場合である。閾値ΔGthは、第1クラッチC1の急係合が生じることを判定するための値である。つまり、タービン回転速度勾配ΔGが閾値ΔGthを下回った場合には、油圧過多により第1クラッチC1が係合状態に向かっている、すなわち急係合が生じ得ると判定することができる。換言すれば、閾値ΔGthは、エンジントルクTeの減少に伴なって、第1クラッチC1に供給される油圧が供給過多となることを判定するための値である。
再び図6を参照して、補正量算出部113は、油圧補正量を算出すると、算出した油圧補正量をFF補正部114に出力する。
FF補正部114は、入力されたクラッチ油圧および油圧補正量に基づいてクラッチ油圧を補正する。たとえば、FF補正部114は、クラッチ油圧から油圧補正量を減算することによりクラッチ油圧を補正する。FF補正部114は、補正したクラッチ油圧(補正クラッチ油圧)を動力伝達装置に出力する。
<ECUにより実行される処理>
図8は、エンジン10が再始動された際にECU100で実行される処理の手順を示すフローチャートである。図8のフローチャートは、車両1の停車時にフットブレーキがONからOFFになりエンジン10が再始動された場合に、メインルーチンから呼び出される。図8、後述の図9、図10および図12のフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、ECU100によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がECU100内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
再始動条件が満たされてエンジン10を再始動させると、ECU100は、クラッチスリップ制御を開始する(S1)。クラッチスリップ制御において、ECU100は、エンジン10の初期トルクTefに応じた第1クラッチC1のスリップ量を設定する。ECU100は、設定したスリップ量となるように、油圧回路35を制御して第1クラッチC1に油圧を供給する。
ECU100は、第1クラッチC1のスリップ量が所定量未満であるか否かを判定する(S3)。本実施の形態においては、ECU100は、タービン回転速度を用いて上記を判定する。具体的には、ECU100は、タービン回転速度が第1閾値TH1未満であるか否かを判定する。
タービン回転速度が第1閾値TH1未満であれば(S3においてYES)、ECU100は、フィードフォワード制御を実行する(S5)。一方、タービン回転速度が第1閾値TH1未満でなければ(S3においてNO)、ECU100は、フィードバック制御を実行する(S7)。
<<ECUにより実行される処理:フィードフォワード制御>>
図9は、フィードフォワード制御の処理の手順を示すフローチャートである。ECU100は、エンジントルクセンサ155からエンジントルクTeを取得する(S51)。
次いで、ECU100は、第1クラッチC1に供給するクラッチ油圧を算出する(S52)。具体的には、ECU100は、上述の式(1)に従ってクラッチトルク容量Tcを算出し、当該クラッチトルク容量Tcをクラッチ油圧に変換する。
また、ECU100は、タービン回転速度センサ157からタービン回転速度N1を取得する。(S53)。そして、ECU100は、メモリから前回のタービン回転速度N2を読み出して、タービン回転速度勾配ΔG(=N2-N1)を算出する(S54)。なお、ECU100は、今回取得したタービン回転速度N1をメモリに記憶し、次回のS53の実行時においてタービン回転速度N2として読み出す。
ECU100は、メモリから第3マップを読み出して、算出したタービン回転速度勾配ΔGを照合させることにより油圧補正量を算出する(S55)。
ECU100は、S52で算出したクラッチ油圧から油圧補正量を減算することにより補正クラッチ油圧を算出する(S56)。そして、ECU100は、補正クラッチ油圧を第1クラッチC1に供給するように、油圧回路35に指令を出力する(S56)。
次いで、ECU100は、タービン回転速度が第2閾値TH2未満に低下したか否かを判定する(S57)。第2閾値TH2は、第1閾値TH1よりも小さい値であり、クラッチスリップ制御を終えて第1クラッチC1を係合させるか否かを判定するための閾値である。
タービン回転速度が第2閾値TH2未満でなければ(S57においてNO)、ECU100は、処理をS51に戻す。
一方、タービン回転速度が第2閾値TH2未満であれば(S57においてYES)、ECU100は、第1クラッチC1を係合させるクラッチ油圧(係合油圧)を供給することを示す指令を油圧回路35に出力する(S58)。
<<ECUにより実行される処理:フィードバック制御>>
図10は、フィードバック制御の処理の手順を示すフローチャートである。ECU100は、エンジントルクセンサ155からエンジントルクTeを取得する(S71)。
次いで、ECU100は、第1クラッチC1に供給するクラッチ油圧を算出する(S72)。具体的には、ECU100は、上述の式(1)に従ってクラッチトルク容量Tcを算出し、当該クラッチトルク容量Tcをクラッチ油圧に変換する。
ECU100は、タービン回転速度センサ157からタービン回転速度Nを取得する。(S73)。そして、ECU100は、メモリから前回のエンジントルクに応じた目標タービン回転速度Ntを読み出す(S74)。ECU100は、目標タービン回転速度Ntからタービン回転速度Nを減算して、目標タービン回転速度Ntに対するタービン回転速度Nの差分ΔN(=Nt-N)を算出する。ECU100は、当該差分ΔNを上述の第2マップに照合させて油圧補正量を算出する(S75)。
ECU100は、S72で算出したクラッチ油圧に油圧補正量を加算することにより補正クラッチ油圧を算出する(S76)。そして、ECU100は、補正クラッチ油圧を第1クラッチC1に供給するように、油圧回路35に指令を出力する(S76)。
次いで、ECU100は、タービン回転速度が第2閾値TH2未満に低下したか否かを判定する(S77)。
タービン回転速度が第2閾値TH2未満でなければ(S77においてNO)、ECU100は、処理をS71に戻す。
一方、タービン回転速度が第2閾値TH2未満であれば(S77においてYES)、ECU100は、第1クラッチC1を係合させるクラッチ油圧(係合油圧)を供給することを示す指令を油圧回路35に出力する(S78)。
<効果>
図11は、本実施の形態に係るクラッチ油圧の補正を行なった場合の効果を説明するための図である。図11には、エンジン10を再始動した場合における各構成のタイムチャートが示されている。図11の横軸には時刻が示されている。図11の縦軸には、フットブレーキのON/OFF状態、エンジン10の回転速度(エンジン回転速度)、タービンランナ22の回転速度(タービン回転速度)、エンジントルク、クラッチ油圧および係合ショックが示されている。
時刻t1より前においては、フットブレーキがONとなっており、アイドルストップ制御によりエンジン10が停止されていることを想定する。
時刻t1においてフットブレーキがONからOFFに切り替わっている。ECU100は、時刻t1においてフットブレーキがONからOFFに切り替わったことを検出すると、エンジン10を再始動させる。エンジン10の再始動によってエンジン回転速度が上昇する。また、エンジントルクTeも上昇する。
また、ECU100は、エンジン10を再始動するとクラッチスリップ制御を開始する。クラッチスリップ制御において、ECU100は、エンジン10の初期トルクTefに応じたクラッチ油圧を設定する。
時刻t2において、エンジン10の回転速度がある速度に到達すると、タービンランナ22が回転を開始する。
エンジン回転速度は、初期トルクTefを発生させる回転速度まで上昇した後に、時刻t3においてアイドル回転速度に収束する。これに伴なって、エンジントルクも初期トルクTefからアイドルトルクに向かって減少する。
ここで、クラッチ油圧の補正を行なわない場合には、初期トルクTefに応じたクラッチ油圧が設定されているため、エンジントルクTeがアイドルトルクTaに低下することにより、第1クラッチC1に供給される油圧が油圧過多になる。そのため、エンジントルクTeの低下に伴なって第1クラッチC1が係合状態に向かうため、図11に破線L1で示されるようにタービン回転速度が急速に減少する。そして、時刻t4において第1クラッチC1が係合し、タービン回転速度がゼロになる。これによって、破線L3で示されるように、第1クラッチC1の急係合によるショックが発生する。なお、ショックの大きいは、イナーシャトルクと相関関係を有する。ECU100は、タービン回転速度がゼロになったことをもって第1クラッチが係合したことを判定すると、時刻t5においてクラッチ油圧として係合油圧を供給する。
一方、本実施の形態に係る補正を実行すれば、時刻txにおいてタービン回転速度がある回転速度まで低下するとクラッチ油圧が低減される。なお、時刻txにおけるタービン回転速度がある回転速度まで低下することは、タービン回転速度勾配が閾値ΔGthを下回った場合を意味する。これによって、第1クラッチC1が急係合することが抑制されるので、図11に実線L2で示されるように、破線L2に比べて緩やかにタービン回転速度が低下する。
時刻tyにおいて、タービン回転速度が第2閾値TH2を下回ると、ECU100は、第1クラッチC1を係合させる。具体的には、ECU100は、クラッチ油圧の上昇を開始し、時刻tzにおいてクラッチ油圧として係合油圧を供給して、クラッチスリップ制御を終える。クラッチ油圧を補正することによりイナーシャトルクを小さくでき、実線L4で示すように第1クラッチC1の係合により生じるショックを低減させることができる。
以上のように、ECU100は、車両1が停車している状態でフットブレーキがONからOFFになりエンジン10を再始動するとクラッチスリップ制御を実行する。そして、ECU100は、クラッチスリップ制御において、第1クラッチC1のスリップ量に応じて、フィードバック制御またはフィードフォワード制御により第1クラッチC1に供給する油圧を補正する。これにより、エンジントルクTeの変化に応じた油圧を第1クラッチC1に供給することができる。そのため、エンジン10の再始動時においてエンジントルクTeが初期トルクTefからアイドルトルクTaに変化したとしても、油圧過多により第1クラッチC1が急係合することを抑制することができる。
また、第1クラッチC1のスリップ量が所定量以上である場合には、実際のタービン回転速度を用いたフィードバック制御を実行することにより油圧を補正する。フィードバック制御を実行することにより、精度よく油圧を補正することができる。第1クラッチC1のスリップ量が所定量未満である場合には、タービン回転数勾配を用いたフィードフォワード制御により油圧を補正する。スリップ量が所定量未満である場合にはフィードフォワード制御を適用することにより、スリップ量が所定量未満である場合であっても、エンジントルクTeの変化に応じて適切に油圧を低下させることができる。ゆえに、第1クラッチC1の急係合を抑制することができる。
(変形例)
実施の形態に係るフィードフォワード制御においては、クラッチスリップ制御の開始からタービン回転速度勾配ΔGが閾値ΔGth未満になるまでにおいても、ゼロの値を用いてクラッチ油圧を補正した(図7参照)。しかしながら、フィードフォワード制御において、タービン回転速度勾配ΔGが閾値ΔGth以上である場合には油圧の補正を行なわず、タービン回転速度勾配ΔGが閾値ΔGth未満になった場合にクラッチ油圧の補正を行なうようにしてもよい。
図12は、変形例に係るフィードフォワード制御の処理の手順を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、図9のフローチャートのS55およびS56を削除し、S61からS65を追加したものである。その他のステップについては、図9のフローチャートと同様であるため、同じステップ番号を付して、その説明は繰り返さない。
S54においてタービン速度勾配ΔGを算出すると、ECU100は、タービン速度勾配ΔGを閾値ΔGthと比較する(S61)。タービン速度勾配ΔGが閾値ΔGth以上であれば(S61においてNO)、ECU100は、処理をS51に戻す。
タービン速度勾配ΔGが閾値ΔGth未満であれば(S61においてYES)、ECU100は、油圧補正量を算出する(S63)。具体的には、ECU100は、メモリから第3マップ(図7)を読み出す。ECU100は、タービン速度勾配ΔGを第3マップに照合させることにより油圧補正量を算出する(S63)。なお、第3マップにおける閾値ΔGth未満の領域のタービン回転速度勾配ΔGと油圧補正量との関係を第4マップとして別途用意してもよい。
ECU100は、S52で算出したクラッチ油圧から油圧補正量を減算することにより補正クラッチ油圧を算出する。そして、ECU100は、補正クラッチ油圧を第1クラッチC1に供給するように、油圧回路35に指令を出力する(S65)。
上記のような変形例の構成によっても、実施の形態と同様の効果を奏することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。