JP7229746B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法などの画像形成方法に使用されるトナーに関する。
電子写真画像形成装置には、より高速化、長寿命化、省エネルギー化が求められており、これらに対応する為に、トナーに対しても種々の性能のより一層の向上が求められている。特にトナーに対しては、長寿命化の観点からはより一層の品質安定性、つまり長期耐久性の向上が要求されている。また、高速化、省エネルギー化の観点からはより一層の低温定着性の向上が要求されている。
長期耐久性の観点から、無機微粒子を多量に外添して耐久性を向上させる方法があるが、長期使用では現像器内で受ける負荷により外添剤がトナー粒子表面に埋め込まれやすくなり、長期耐久性を満足させることは難しい場合があった。現像器内で受ける負荷とは、トナーと現像器の各部材との摺擦やトナー同士での摺擦による負荷などを指す。また、無機微粒子を多量に外添することで低温定着性が劣るものとなる場合があった。
そこで、多量に外添せずとも外添剤の埋め込みを抑制するための方法として、外添剤の粒径を大きくする、すなわち外添剤に所謂スペーサー粒子としての機能を持たせる試みがなされてきた。
しかし、長期にわたり、現像器内において負荷を受け続ける状況においては、スペーサー粒子がトナー粒子表面から移行してしまい、スペーサー粒子としての機能を十分に果たせない場合があった。移行とは、外添剤がトナー粒子から別のトナーや部材へ移動してしまうことを指す。つまり、外添剤が元のトナー粒子上に留まっていないことである。
一方、低温定着性の改善を図るためには、トナー粒子の粘度を下げることや、結晶性材料を添加する試みがなされている。このようなトナー粒子の設計では、長期の使用において、現像器内で受ける負荷により、トナー粒子表面の外添剤が埋め込まれやすくなり、長期耐久性を維持することが困難であった。
このように、長期耐久性と低温定着性を高いレベルで満たしたトナーを得ることは容易なことではなかった。
特許文献1では、トナー粒子に、個数平均粒径が50nm以上500nm以下の有機無機複合粒子を外添することで、耐久使用を通じて外添剤の埋め込みや脱離を抑制でき、転写性を向上できる提案がなされている。
特許文献2では、平均円形度が0.960以下のトナー粒子に、個数平均粒径が50nm以上200nm以下の有機無機複合粒子を、分散させて外添することで、耐久使用を通じて外添剤の移行を抑制することができる提案がなされている。
特許文献3では、トナー粒子に、個数平均粒径が、40nm以上200nm以下のシリカ微粒子を外添することで、長期にわたって安定した画像濃度の維持、ゴースト発生の抑制ができる提案がなされている。
特開2015-45854号公報 特開2015-45855号公報 特開2015-143838号公報
上記特許文献の技術によれば、粒径の大きい外添剤を外添することで、トナーの長期安定性に対しては一定の効果が確認される。しかし、特に低温低湿環境においては、トナー粒子表面に微小な割れが発生してしまうなど、耐久性に課題があることがわかった。すなわち、低温低湿環境下においての長期耐久性と低温定着性を両立するという点においては、さらなる検討の余地がある。
本発明の目的は、上記問題点を解消したトナーを提供することにある。具体的には、低温低湿環境下において、低温定着性を維持しながら、長期耐久使用した場合においても耐久劣化による画像弊害を抑制できるトナーを提供することである
本発明者らは、トナー粒子表面近傍に最表層より硬い強靭部位を持つトナー粒子に、大粒径外添剤を強固着させることで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、
結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、外添剤とを含有するトナーであって、
該外添剤は、外添剤Aを含有し、
該外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径が、30nm以上200nm以下であり、
該外添剤Aの該トナー粒子に対する固着指数が0.00以上3.00以下であり、
ナノインデンテーション法で求められるトナー硬さA(N/m)、及びトナー硬さB(N/m)が、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
B≧600 ・・・(1)
B/A≧1.10 ・・・(2)
(式(1)、(2)中、
該トナー硬さAは、該トナーを荷重印加速度0.83μN/secの条件で測定した荷重-変位曲線において、縦軸を荷重a(mN)とし、横軸を変位量b(μm)とした場合の、0.0μm以上0.20μm以下の変位領域における、傾きの平均値であり、
該トナー硬さBは、該トナーを荷重印加速度2.50μN/secの条件で測定した荷重-変位曲線において、縦軸を荷重a(mN)とし、横軸を変位量b(μm)とした場合の、0.0μm以上0.20μm以下の変位領域における、傾きの平均値である。)
本発明によれば、低温低湿環境下において、低温定着性を維持しながら、長期耐久使用した場合においても耐久劣化による画像弊害を抑制できるトナーを提供することができる。
ナノインデンテーション法による荷重-変位曲線とその微分曲線の例 外添剤Aの固着に用いることができる混合処理装置の模式図 混合処理装置に使用される撹拌部材の模式図 本発明で使用可能なトナーの処理装置を示す概略図 本発明で使用可能な処理槽の概略図 本発明で使用可能な流動手段の概略図 本発明で使用可能な回転体の概略図 処理部の形状を示す概略図 処理面の角度の説明図 外添剤Aの埋め込み指標の算出方法を示す模式図
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
先に述べたように、長期耐久性を向上させる手段として、トナー粒子にスペーサー粒子
を外添することが効果的である。しかし、現像器内で受ける負荷により、スペーサー粒子が他の部材へ移行したり、トナー粒子表面に埋め込まれたりするなど、初期の状態を維持することが難しい場合があった。
トナー粒子に外添剤を外添する際に、外添条件を制御して強固着状態にしても、長期の使用で外添剤の埋め込み、移行を抑制するのはやはり難しい場合があった。特に低温低湿環境下では長期の耐久使用を行うと、前述したように、移行に加えてトナー粒子表面に細かな割れが発生しやすくなった。
本発明者らは、トナー粒子表面に微小な割れが発生する理由は、低温低湿環境下でトナー粒子表面近傍の樹脂が硬くなることで、外添剤を起点とした狭小な領域に残留応力が集中しやすくなることに由来していると考えた。残留応力が集中した箇所近傍の外添剤が移行すると、それを起点として、割れが発生すると想定している。
また、低温環境下では、特に耐久性を向上させたトナーは、画像濃度が低いハーフトーン画像で低温定着性を向上させることが困難であった。耐久性と低温定着性の両立が困難な理由は、耐久性を上げるために、トナー粒子表面近傍を堅牢にすると、定着時にトナー粒子間で連結が進まないためであることが分かった。
そこで本発明者らは、特に低温低湿環境下での耐久性と定着性を両立するには、トナー粒子表面の硬さに外力に対する応答性を持たせることが有効だと考えた。つまり、力を受けた際だけに硬くなるような特性、すなわち表面の硬さに力の周波数に対する依存性を持たせることが有効だと考えた。
本発明者らは、検討を重ねた結果、表面近傍に、最表層に比べて硬く、その位置が固定化されている部位(以降、強靭部位と記載)を配置したトナー粒子に、大径外添剤を強固着することで、低温定着性と耐久性を両立させることができることを見出した。
このような構造を持つトナーでは、外添剤に加えられた力が強靭部位に伝わり、応力伝播効果によって表面を硬化させる作用が得られていると考えている。この作用により、トナーに力が加わった際のみ表面が硬くなる特性をトナーに持たせることができることが分かった。合わせて、このような特性をトナーにもたせることで、外添剤近傍に残留応力が集中することを緩和することができるため、トナー粒子表面の微小な割れを抑制することが可能となった。
これにより、低温低湿環境下においても、低温定着性を確保しながら、耐久劣化による画像弊害を抑制できることを見出した。
具体的には、以下のトナーを用いることで、低温低湿環境下で低温定着性を確保しながら、長期耐久使用した場合においても耐久劣化及び現像スリーブ汚染に起因する画像濃度低下及びカブリが発生しにくくなる。
結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、外添剤とを含有するトナーであって、
該外添剤は、外添剤Aを含有し、
該外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径が、30nm以上200nm以下であり、
該外添剤Aの該トナー粒子に対する固着指数が、0.00以上3.00以下であり、
ナノインデンテーション法で求められるトナー硬さA(N/m)、及びトナー硬さB(N/m)が、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナー。
B≧600 ・・・(1)
B/A≧1.10 ・・・(2)
(式(1)、(2)中、
該トナー硬さAは、該トナーを荷重印加速度0.83μN/secの条件で測定した荷重-変位曲線において、縦軸を荷重a(mN)とし、横軸を変位量b(μm)とした場合の、0.0μm以上0.20μm以下の変位領域における、傾きの平均値であり、
該トナー硬さBは、該トナーを荷重印加速度2.50μN/secの条件で測定した荷重-変位曲線において、縦軸を荷重a(mN)とし、横軸を変位量b(μm)とした場合
の、0.0μm以上0.20μm以下の変位領域における、傾きの平均値である。)
本発明において重要となるトナー粒子表面近傍の構造による応力伝播効果について説明する。外添剤Aは、現像器内で現像器部材との摺擦及びトナー同士の摺擦などにより力を受ける。それと同時に、外添剤Aからトナー粒子に向かって応力が発生してトナー粒子内部に伝播していく。一般的には、トナー粒子の応力がかかった部分にひずみが発生し、外添剤Aにかかる力が除かれても、外添剤Aは完全に元の位置には戻らず、外添剤Aがトナー内部へと埋め込まれていく。
しかし、本発明のようにトナー粒子表面近傍に強靭な部位が存在すると、外添剤Aから発生した応力はトナー粒子内部の強靭部位にまで伝播する。しかし、強靭部位は、トナー粒子表面に比べて十分に硬いため、発生した応力ではひずみが生じず、その位置も移動しない。その結果、トナー粒子表面のひずみの進行が妨げられ、外添剤の埋め込みも抑制される。そのため長期の使用においても外添剤Aが埋め込まれにくくなると考えている。
一方、外添剤Aに力が加わっていない場合は、上述した応力伝播効果によって表面を硬化させる作用が発生しないため、トナー粒子表面近傍は硬化しない。よって、トナー表面近傍がもつ硬さで溶融時のトナー粒子間の連結を阻害することがなく、ハーフトーン画像での低温定着性を維持したまま、耐久性を向上させることができる。
本発明者らは、鋭意検討の結果、この応力伝播効果を評価する手法としてナノインデンテーション法を利用することができることを見出した。ナノインデンテーション法は、微小領域の機械特性を評価する手法である。本発明ではこのナノインデンテーション法において、評価する試料厚み範囲を0.20μmとし、設定する最大荷重、荷重印加時間を変えた2種の測定値を比較することで、トナー評価の指標とした。
図1はナノインデンテーション法によってトナーを評価した際に得られる荷重-変位曲線の一例である。トナー硬さA(N/m)は、トナー粒子表面近傍の評価が可能となる範囲内で、ナノインデンターの圧子の押し込み速度を遅くすることで、応力が伝播する深さを浅くし、強靭部位に応力が伝播しないときのトナーの硬さを測定していると発明者らは考えている。よって、トナー硬さAは定着時のトナー連結性を示す指標となる。
トナー硬さB(N/m)は、トナー粒子表面近傍の評価が可能となる範囲内で、ナノインデンターの圧子の押し込み速度を早くすることで、応力が伝播する深さを深くし、強靭部位に応力が伝播したときの硬さを測定していると発明者らは考えている。よって、B値は、現像器内部で外添剤Aが力を受けたときの外添剤Aの埋め込みやすさの指標であり、B≧600であれば、現像器内で外添剤Aが力を受けても埋め込みを抑制することができる。
トナー硬さBは、800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは2500以下であり、より好ましくは2200以下である。トナー硬さBを大きくする方法としては、結着樹脂を構成する樹脂の分子量を大きくすること、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を高めること、結着樹脂中に架橋剤由来の構造を導入すること、磁性体の表面存在率を高めることなどが例示できる。
B/Aは応力伝播効果の大きさを示す指標である。B/A≧1.10であれば、低温定着性を維持しつつ外添剤の埋め込みを抑制することができ、さらに低温低湿環境下で長期耐久においても内部応力が分散し蓄積しないので、トナー粒子の割れを抑制することができることが分かった。B/Aは、1.15以上であることが好ましく、1.20以上であることがより好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは10.0以下であり、より好ましくは8.0以下である。該B/Aを大きくするには、後述する強靭部位を設けることが挙げられる。
より具体的には、磁性体の表面存在比率を高めること、結着樹脂中に架橋剤に由来する構造を導入すること、該架橋剤に由来する構造を有する樹脂の含有量を適宜調整する、な
どが挙げられる。
B≧600であっても、B/A<1.10であると、定着時にトナー粒子間の連結を促進するため、より定着温度を上げてトナー粘度を下げる必要がある。また応力が集中しやすいので、トナー粒子内部に応力が耐久使用とともに蓄積し、トナー粒子表面に微小な割れが発生しやすくなる。そのため、カブリが発生し、画像濃度が低下しやすくなる。
一方、B/A≧1.10であっても、B<600であると、長期耐久使用において外添剤が埋め込まれやすくなる。そのため、トナーの流動性が低下し、画像濃度が低下し、カブリが発生しやすくなる。
次に応力伝播効果と、外添剤Aの粒径及び固着指数との関係について説明する。外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径を、30nm以上200nm以下とし、外添剤Aのトナー粒子に対する固着指数を、0.00以上3.00以下とすることで、上記した応力伝播効果を発揮しつつ、外添剤の移行を抑えることができる。
トナー粒子への外添剤Aの固着状態の指標としては、外添剤Aの固着指数を用いる。外添剤Aの固着指数を算出する手法としては、以下のとおりである。まず、基板にトナーを接触させ、一定の力で押しつけた際に、基板へ移行した外添剤Aの量を、画像解析を用いて算出する。基板へ移行した外添剤Aの量を、基板上の外添剤の面積率[A]で表現する。
外添剤Aのトナー粒子への固着が強いと、基板にトナーを接触させても、外添剤Aは基板へ移行しないため、外添剤Aの面積率[A]は小さい値となる。一方で、外添剤Aの面積率[A]は、トナー粒子の表面に存在する外添剤Aの量に依存するため、指数化するためには規格化する必要がある。
本発明では、トナー粒子の外添剤Aによる被覆率[B]をあらかじめ観察によって求め、基板上の外添剤Aの面積率[A]及び外添剤Aの被覆率[B]から、下記式を用いて、外添剤Aの固着指数を算出する。
外添剤Aの固着指数
=基板上の外添剤Aの面積率[A]/外添剤Aの被覆率[B]×100
外添剤Aの固着指数が小さいほど、外添剤Aがトナー粒子へ強固に固着していることを表す。詳細な条件に関しては後述する。
外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径が30nmより小さい場合は、長期耐久使用において外添剤が埋め込まれやすく、トナー粒子表面の割れも発生しやすくなる。これは、応力が局所集中してしまい、トナー粒子表面近傍の強靭部位まで応力が伝播しなくなるためと考えている。このため、長期耐久使用によりカブリが発生し、画像濃度が低下しやすくなる。
一方、外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径が200nmより大きい場合は、耐久使用による外添剤Aのトナーへの埋め込みは抑制される。しかし、外添剤Aの固着指数が上記範囲であっても、外添剤の移行を抑えることができない。外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径が200nmより大きくなると、外添剤Aが力を受けたときに、外添剤Aがトナーから外れる方向の力のモーメントが大きくなり、移行を抑えられなくなると考えている。その結果、帯電ローラー汚染が発生しやすくなる。
固着指数が3.00を超えると、外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径にかかわらず、長期耐久使用において外添剤Aの移行が発生する。その結果、帯電ローラー汚染が発生しやすくなる。また、流動性低下が生じるため長期耐久使用により画像濃度が低下しやすくなる。
外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径は、35nm以上180nm以下であることが好ましく、40nm以上160nm以下であることがより好ましい。
該トナーにおける該外添剤Aの固着指数は、好ましくは、0.00以上2.70以下で
あり、より好ましくは、0.00以上2.40以下である。
上述した特性を得るためには、トナー粒子表面近傍に強靭部位を設ける。強靭部位としてはトナー表面近傍に無機微粒子を存在させてもよいし、トナー粒子内部に表面より硬い樹脂層を設けてもよい。例えば、トナー粒子内部に表面より硬い樹脂層を設けるには、懸濁重合法で酸価を変えた樹脂を用いることで複層シェルを作製し、これを利用してもよい。
無機微粒子を存在させる場合は、帯電性の保持の観点から好ましくは金属酸化物粒子が用いられる。具体的には、酸化鉄微粒子、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化亜鉛微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、酸化セリウム微粒子及び炭酸カルシウム微粒子等を挙げることができる。また、2種類以上の金属を用いた複合酸化物微粒子を用いることもできるし、これらの微粒子群の中から任意の組み合わせで選択される2種以上を用いることもできる。その中でも特に、トナー粒子が、酸化鉄微粒子などの磁性体を含有することが好ましい。
磁性体を用いる場合は、磁性体の一次粒子の個数平均粒径が、該外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径よりも大きいことが好ましい。
また、トナーの走査型電子顕微鏡観察において、加速電圧1.0kVで該トナー表面を画像解析して得られる、該トナー表面の2μm×2μmの範囲の該外添剤Aの粒子数をNaとし、加速電圧5.0kVで該トナー表面を画像解析して得られる、該トナー表面の2μm×2μmの範囲の磁性体と重なっている該外添剤Aの粒子数をNbとしたとき、Nb/Naが0.20以上となることが好ましい。より好ましくは0.30以上である。上限は特に制限されないが、1.00以下であることが好ましい。Nb/Naは磁性体の表面存在率や、外添剤A添加量や外添条件及び外添剤Aの形状係数SF-2などにより制御することができる。
加速電圧1.0kVの場合は、トナーの最表面付近を観察していることになる。この条件では、画像解析によって外添剤Aの存在を確認することができ、外添剤Aの個数Naを求めることができる。
一方、加速電圧5.0kVの場合は、トナー最表面付近だけでなく、トナー粒子表面の内部に存在する磁性体が観察できるようになる。よって、この条件では、外添剤Aと磁性体を確認することができる。ただし、磁性体と重なっている外添剤Aの判別はできない。そこで、全く同視野のトナー表面を加速電圧1.0kVと5.0kVで観察し、画像解析にてNbを求める。画像解析では、5.0kVでの二値化画像と1.0kVでの二値化画像を用い、それぞれの二値化画像を差し引いてその差を判別できるようにする。
その結果、走査型電子顕微鏡観察上、トナー表面内部に存在する磁性体に重なっている外添剤Aを判別できるようになり、その個数Nbが求められる。Nb/Naがこの範囲にあることで、強靭部位である磁性体に効率的に応力が伝播し、外添剤Aの埋め込みに対する耐久性が向上する。
トナーに磁性体を用いる場合は、トナー表面の走査型電子顕微鏡観察において、加速電圧5.0kVでトナー表面を画像解析することによって得られる磁性体の表面存在率が20%以上であることが好ましい。磁性体の表面存在率がこの範囲にあると、現像器内で外添剤Aがさまざまな方向から力を受けても、いずれの方向にも応力伝播効果が得られるため、耐久性向上効果が高くなる。
該表面存在率は、より好ましくは30%以上である。上限は特に制限されないが、70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。該表面存在率は、磁性体の含有量を多くする、磁性体の粒径を小さくする、懸濁重合法のようにトナー粒子を水系媒体中で懸濁しながら造粒する手法を採用するなど製造方法を選択すること、などにより制御することができる。
外添剤Aの形状係数SF-2が、103以上120以下であることが好ましい。より好ましくは105以上120以下である。外添剤Aの形状係数SF-2がこの範囲にあると、トナー粒子上で外添剤Aが動きにくくなるため、現像器内で大きい負荷を受けても移行しにくくなる。さらに、負荷が分散しやすくなるため、トナー粒子表面に応力が蓄積しにくくなる。
その結果、印字率の少ない画像を低温低湿環境下で長期にわたり出力する場合でも、耐久劣化による現像スリーブ汚染に起因する画像濃度低下及び、トナー粒子表面の微小な割れに伴うカブリが発生しにくくなる。
外添剤Aの形状係数SF-2は、外添剤Aの製造条件を変更することにより制御できる。
外添剤Aとしては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化亜鉛微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、酸化セリウム微粒子及び炭酸カルシウム微粒子などの金属酸化物微粒子(無機微粒子)を挙げることができる。また、2種類以上の金属を用いた複合酸化物微粒子を用いることもできるし、これらの微粒子群の中から任意の組み合わせで選択される2種以上を用いることもできる。
また樹脂微粒子や、樹脂微粒子と無機微粒子の有機無機複合粒子を用いることもできる。
その中でも、外添剤Aが、シリカ微粒子及び有機無機複合粒子からなる群から選択される少なくとも一種を有することがより好ましい。
シリカ微粒子は、ゾルゲル法で作製されるゾルゲルシリカ微粒子、水性コロイダルシリカ微粒子、アルコール性シリカ微粒子、気相法により得られるフュームドシリカ微粒子、溶融シリカ微粒子等が挙げられる。シリカ微粒子は非球状であると本発明の効果が得られやすい。
外添剤Aの含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.2質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上2.5質量部以下であることがより好ましい。
樹脂微粒子としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂のような樹脂粒子が挙げられる。
有機無機複合粒子としては、樹脂微粒子と無機微粒子で構成された有機無機複合粒子が挙げられる。
有機無機複合粒子であれば、無機微粒子としての良好な耐久性及び帯電性を維持しつつ、定着時においては、熱容量の低い樹脂材料の成分により、トナー粒子の合一を阻害しにくく、定着阻害を生じにくい。その為、耐久性と定着性の両立を図りやすい。
有機無機複合粒子は、好ましくは、樹脂成分である樹脂微粒子(好ましくはビニル系樹脂微粒子)及び該樹脂微粒子の表面に埋め込まれた無機微粒子で構成された複合微粒子である。より好ましくは、無機微粒子が露出しており、該無機微粒子に由来する凸部を有することが好ましい。
有機無機複合粒子を構成する無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化亜鉛微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、酸化セリウム微粒子及び炭酸カルシウム微粒子などの金属酸化物微粒子を挙げることができる。
外添剤Aは、表面処理されていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類;
テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o-メチルフェニルトリメトキ
シシラン、p-メチルフェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i-ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、へキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン、ヘキサペンチルジシラザン、ヘキサヘキシルジシラザン、ヘキサシクロヘキシルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザンなどのシラザン類;
ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイルなどのシリコーンオイル;
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン類;
脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸、前記脂肪酸と亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシシラン類、シラザン類、シリコーンオイルは、疎水化処理を実施しやすいため、好ましく用いられる。これらの疎水化処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
トナーは、トナーの流動性や帯電性を向上させるために、外添剤A以外の他の外添剤を含んでいてもよい。
トナーの透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察において、
外添剤Aの一次粒子の最大径をX(nm)とし、トナー粒子表面に埋没している外添剤Aの最大埋没長をY(nm)としたとき、下記関係式を満たすことが好ましい。
0.15≦Y/X
(より好ましくは、0.15≦Y/X≦0.35)
また、Y/Xの標準偏差が、20%以下であることが好ましい。該標準偏差は、より好ましくは18%以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは0%以上である。
(外添剤Aの最大埋没長Y(nm)とは、トナー粒子表面と該外添剤Aの界面の両端を結ぶ線分に対する法線方向において、外添剤Aがトナー粒子に埋め込まれている部分の最大長を意味する。)
具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、外添剤Aを含むトナーの断面写真を得る。図10にトナー断面のイメージ図を示す。断面写真において、外添剤Aの最大径(フェレ径)をX(nm)とし、トナー粒子表面と外添剤Aの界面の両端を結ぶ線分に対
する法線方向において、外添剤Aがトナー粒子に埋め込まれている部分の最大長をY(nm)とする。
外添剤Aの最大径Xに対して、埋め込まれている最大長Yの値が大きい程、外添剤Aはより埋め込まれていることを表す。本発明では、外添剤Aの最大径(フェレ径)Xと埋め込み最大長Yの比(Y/X)を埋め込みの指標とした。即ち、Y/Xの値が低いと埋め込まれず、値が大きい程埋め込まれていることを表す。
本発明では、Y/Xが0.15以上であり、その標準偏差が20%以下であると、感光体ドラムから紙への転写性が良好になり、耐久使用による画像濃度低下を抑えることができる。
Y/Xの標準偏差は、外添条件を変更することにより適宜調整することができる。
次に、トナーの好ましい製造方法について説明する。
本発明では、トナー粒子表面に外添剤Aを強固着させる必要がある。そのためには、熱により固着指数を高めることが好ましい。熱をかけることでトナー粒子表面がわずかに変形し、外添剤Aとの接触面積が増加するために固着指数が上がると考えられる。
熱をかけずに機械的衝撃力だけで固着指数を上げようとすると、応力伝播の現象から、外添剤Aの固着が進行しにくい。そのため、機械的衝撃力のみで外添剤Aを固着させることは困難である。
トナーの製造方法としては、外添工程(トナー粒子と外添剤Aを混合する工程)で加温するか、外添工程の後に加温工程を設けることが好ましい。特に本発明の効果を得るためには、外添工程の後に加温工程を設けることがより好ましい。
外添剤Aの固着指数を達成するには、加温工程の温度Tを、トナー粒子のガラス転移温度Tg近傍に設定することが好ましい。
加温工程の温度Tは、トナー粒子のガラス転移温度をTgとした場合、Tg-10℃≦T≦Tg+5℃が好ましく、Tg-5℃≦T≦Tg+5℃がより好ましい。加温時間は特に限定されないが、好ましくは、3分以上30分以下であり、より好ましくは、3分以上10分以下である。
また、トナー粒子のガラス転移温度Tgは保存性の観点から、40℃以上70℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下である。
加温工程に用いる装置としては、混合機能を有している装置が好ましく、公知の混合処理装置を用いることができるが、図2に示すような混合処理装置1が特に好ましい。
図2は、加温工程で用いることができる混合処理装置1の一例を示す模式図である。
一方、図3は、混合処理装置1に使用される攪拌部材の構成の一例を示す模式図である。混合処理装置1は、少なくとも複数の攪拌部材33が表面に設置された回転体32と、回転体を回転駆動する駆動部38と、攪拌部材33と間隙を有して設けられた本体ケーシング31とを有する。
本体ケーシング31の内周部と、撹拌部材33との間隙(クリアランス)では、トナー粒子に効率的に熱を加えると共に、トナー粒子に均一にシェアを与え、外添剤Aを二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子の表面に固着させることができる。
また、本装置は、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下である。図2において、本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径(回転体32から攪拌部材33を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング31の内周部の径が、回転体32の外周部の径の2倍以下であると、トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、二次粒子となっている外添剤Aを十分に分散することが可能となる。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが重要で
ある。本体ケーシング31の内周部の径の、1%以上5%以下程度とすることが、トナー粒子に効率的に熱を加えるという点で重要である。具体的には、本体ケーシング31の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上5mm以下程度とし、本体ケーシング31の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上30mm以下程度とすればよい。
図3に示すように、複数の攪拌部材33の少なくとも一部が、回転体32の回転に伴って、トナー粒子を回転体の軸方向の一方向に送る送り用攪拌部材33aとして形成される。また、複数の攪拌部材33の少なくとも一部が、トナー粒子を回転体32の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用攪拌部材33bとして形成されている。ここで、図2のように、原料投入口35と製品排出口36が本体ケーシング31の両端部に設けられている場合には、原料投入口35から製品排出口36へ向かう方向(図2で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図3に示すように、送り用攪拌部材33aの板面は送り方向43にトナー粒子を送るように傾斜している。一方、攪拌部材33bの板面は戻り方向42にトナー粒子を送るように傾斜している。
これにより、「送り方向」43への送りと、「戻り方向」42への送りとを繰り返し行いながら、加温処理を行う。また、攪拌部材33aと33bは、回転体32の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図3に示す例では、攪拌部材33a及び33bが回転体32に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120度の間隔で3枚、あるいは90度の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。
図3に示す例では、攪拌部材33a及び33bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図3において、Dは攪拌部材の幅、dは攪拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。トナーを、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図3における回転体32の長さに対して、Dは20%以上30%以下程度の幅であることが好ましい。図3においては、23%である例を示す。さらに攪拌部材33a及び33bは、攪拌部材33aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、攪拌部材33bと攪拌部材33aとの重なり部分dをある程度有することが好ましい。
これにより、トナー粒子表面の外添剤Aを効率的に分散させることができる。Dに対するdは、10%以上30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図3に示すような形状以外にも、送り方向及び戻り方向にトナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体32に結合されたパドル構造であってもよい。
以下、図2及び図3に示す装置の模式図に従って、さらに詳細に説明する。
図2に示す装置は、少なくとも複数の攪拌部材33が表面に設置された回転体32と、回転体32を回転駆動する駆動部38と、攪拌部材33と間隙を有して設けられた本体ケーシング31を有する。さらに、本体ケーシング31の内側にあり、回転体端部側面310に隣接している、冷熱媒体を流すことのできるジャケット34を有している。
さらに、図2に示す装置は、本体ケーシング31の上部に形成された原料投入口35と、本体ケーシング31の下部に形成された製品排出口36とを有している。原料投入口35は、トナー粒子を導入するために使用され、製品排出口36は外添混合処理されたトナーを本体ケーシング31から外に排出するために使用される。
さらに、図2に示す装置は、原料投入口35内に、原料投入口用インナーピース316が挿入されており、製品排出口36内に、製品排出口用インナーピース317が挿入されている。
まず、原料投入口35から原料投入口用インナーピース316を取り出し、トナー粒子
を原料投入口35より処理空間39に投入し、原料投入口用インナーピース316を挿入する。次に、駆動部38により回転体32を回転させ(41は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体32の表面に複数設けられた攪拌部材33により攪拌、混合しながら加温混合処理する。
ジャケット34に所望の温度の温水を通水することで、加温を行うことができる。温度は、原料投入口用インナーピース316内部に設置した熱電対でモニターする。本発明のトナーを安定的に得る為には、原料投入口用インナーピース316内部の温度T(熱電対温度)は、トナー粒子のガラス転移温度をTgとして、Tg-10℃≦T≦Tg+5℃好ましく、Tg-5℃≦T≦Tg+5℃がより好ましい。
加温混合処理条件としては、駆動部38の動力を、好ましくは1.0×10-3W/g以上1.0×10-1W/g以下、より好ましくは5.0×10-3W/g以上5.0×10-2W/g以下に制御する。
トナー粒子内部に磁性体を含む場合、外添剤Aと磁性体の重なり率を上げることが好ましい。外添剤Aと磁性体が重なる位置では、特に外添剤Aの固着は進行しにくくなる。そのため、機械的衝撃力で外添剤Aを固着しようとすると、外添剤Aは、磁性体と重ならない位置に移動したあとに、固着が進行しやすくなる。よって、外添剤Aを強固着しつつ、磁性体との重なり率を上げるためには、極力トナーに機械的衝撃力を与えない方が好ましい。一方で外添剤Aの被覆状態を均一にする為には、最低限の動力は必要であり、上記範囲に制御することが好ましい。
駆動部38の動力は、トナー投入時の動力(W)から、トナーを投入していない時に運転した空動力(W)を差し引き、トナー投入量(g)で割った値を示す。
処理時間は、加温する温度にもよるため、特に限定されないが、好ましくは、3分以上30分以下であり、より好ましくは、3分以上10分以下である。上記範囲に制御することで、トナー強度と固着を両立し易くなる。
攪拌部材の回転数については上記動力と連動する為、特に限定されない。図2に示す装置の処理空間39の容積が2.0×10-3の装置において、攪拌部材33の形状を図3のものとしたときの攪拌部材の回転数としては、0.83s-1以上8.33s-1以下であることが好ましい。より好ましくは、1.67s-1以上5s-1以下である。
混合処理終了後、製品排出口36内の、製品排出口用インナーピース317を取り出し、駆動部38により回転体32を回転させ、製品排出口36からトナーを排出する。必要に応じて円形振動篩機などの篩機でトナーの粗粒などを分離してもよい。
混合処理装置1の装置を用いて加温により外添剤Aを固着する場合は、事前に外添工程で外添剤Aを外添することが好ましい。
外添工程では、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、及びハイブリダイザー(奈良機械社製)などの公知の混合機を用いて、トナー粒子に外添剤Aを外添したトナーを得ることができる。
続く加温工程では、混合処理装置1で上記記載の条件で運転することで、強固着させた外添剤Aと、磁性体との重なり率を本発明のようにすることができる。機械的衝撃力をほとんど加えない場合、熱による外添剤Aの固着は、装置の内壁などの加温されている部分とトナーとの接触頻度に依存すると考えている。混合処理装置1は、そのような観点でトナーの混合性に優れている。
本発明のトナーは、外添工程で加温することで、外添と固着を一つの工程で行うこともできる。そのために、公知の混合処理装置を用いることができるが、図4に示すような混合処理装置2を用いることが好ましい。
混合処理装置2の概略図を図4に示す。
混合処理装置2は、トナー粒子及び外添剤Aなどを含む被処理物を収容する処理室としての処理槽110、処理槽110の底部に回転可能に設けられた流動手段としての撹拌羽根120を備えている。さらに撹拌羽根120よりも上方に回転可能に設けられた回転体としての処理羽根140で構成される。さらに処理羽根140の上方には、必要に応じて処理槽110に対して固定されたデフレクタ130を備えている。
図5に処理槽110の概略図を示す。処理槽110は平らな底部を持った円筒形の容器であり、底部の略中心に撹拌羽根120や処理羽根140を取り付けるための駆動軸111を備えている。処理槽110は強度の観点から鉄、SUS等の金属製が好ましく、内面は導電性の材質を用いるか内面の表面を導電加工するのが好ましい。また、処理槽110には、冷熱媒体を流すことができるジャケット(図示しない)を有してもよい。
図6に撹拌羽根120の概略図を示す。図6(a)が上面図、図6(b)が側面図である。撹拌羽根120は被処理物を処理槽110内で流動(上昇)させるものである。
撹拌羽根120は中心から外側に向かって伸びる羽根部を有し、羽根部の先端が被処理物を舞い上げるように跳ねあげ形状をしている。羽根部の形状はトナー用処理装置の大きさや運転条件、被処理物の充填量、比重によって適宜設計可能である。
撹拌羽根120は強度の観点から鉄、SUS等の金属製が好ましく、必要に応じて耐摩耗用にメッキやコーティングを施してもよい。
撹拌羽根120は処理槽110の底部の駆動軸111に固定され、上から見て時計方向に回転する。撹拌羽根120の回転により、被処理物は処理槽110内で時計方向に回転しながら上昇し、やがて重力によって下降してくるので被処理物を均一に混合することができると考えられる。
図7に処理羽根140の概略図を示す。図7(a)が上面図、図7(b)が側面図である。本発明において処理羽根140は流動する被処理物と衝突して被処理物を処理するものである。
処理羽根140は円環状の処理羽根本体141と、本体141の外周面から径方向の外向きに突き出した処理部142で構成される。処理羽根140は強度の観点から鉄、SUS等の金属製が好ましく、必要に応じて耐摩耗用にメッキやコーティングを施してもよい。
図8は処理羽根140において駆動軸と直交し、かつ処理部142を通る平面で切断したと仮定したときの断面図であり、処理槽110との関係も示している図である。図8において処理羽根本体141は時計方向に回転する。
処理羽根(回転体)140の大きさについて図8を用いて説明する。
処理槽110の内径の1/2をd2(mm)とし、処理羽根140の外周方向に最も離れた処理羽根140の端部での回転軌跡の半径をd1(mm)としたとき、前記d1は、前記d2の80%以上100%未満の長さ、つまり図8の0.8Lよりも外側であることが好ましい。より好ましくは90%以上、つまり図8の0.9Lよりも外側であり、95%以上がさらに好ましい。処理部142の長さは、処理部142が処理槽110の内周面に接触しない範囲で設定することができる。
処理羽根140の回転方向に対する処理面の角度について図9を用いて説明する。駆動軸111から前記d2の80%に位置する軌跡を図9の0.8Lに示す。処理面は、処理部142のうち、処理羽根140の回転方向下流にあって主に被処理物と衝突する面である。
処理面のうち前記回転体本体に最も近い部位と、図9の0.8L(前記d2の80%に位置する軌跡)と交差する第2部位とを結ぶ線と、図9の0.8Lの円(前記d2の80
%の径の円)の処理面における接線と、のなす角のうち前記回転方向下流側の角の大きさ(処理面の角度)(θ)は、90度以上130度以下が好ましい。前記θが90度以上130度以下であることで、外添剤の分散性が高まるため好ましい。
外添剤Aの固着指数の観点で、回転体の最大周速は20.0m/sec以上70.0m/sec以下であることが好ましく、30.0m/sec以上40.0m/sec以下であることより好ましい。
同様の理由により、処理時間は0.5分以上60.0分以下の範囲で調整することが好ましく、1.0分以上30.0分以下の範囲で調整することがより好ましい。
外添剤Aの固着を高めるには、混合処理装置2のジャケットに所望の温度の温水を通水して加温することが好ましい。トナー粒子のガラス転移温度をTgとして、Tg-10℃≦T≦Tg+5℃が好ましく、Tg-5℃≦T≦Tg+5℃がより好ましい。
外添工程で加温により外添剤Aを固着する場合は、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、及びハイブリダイザー(奈良機械社製)などの公知の混合機を用いることもできる。各装置のジャケットに所望の温度の温水を通水することで、加温を行うことができる。
以降、本発明の好ましい態様についてより詳細に説明する。
トナーに使用される結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。
好ましくは、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂である。
トナーは、離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、カルナウバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナウバワックスなどのような脂肪酸エステル類から酸成分の一部又は全部を脱酸したもの;植物性油脂の水素添加などによって得られる、ヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニルなどの飽和脂肪酸モノエステル類;セバシン酸ジベヘニル、ドデカン二酸ジステアリル、オクタデカン二酸ジステアリルなどの飽和脂肪族ジカルボン酸と飽和脂肪族アルコールとのジエステル化物;ノナンジオールジベヘネート、ドデカンジオールジステアレートなどの飽和脂肪族ジオールと飽和脂肪酸とのジエステル化物、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸ア
ミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);炭素数12以上の長鎖アルキルアルコール又は長鎖アルキルカルボン酸;などが挙げられる。
これらの離型剤の中では、飽和脂肪酸モノエステル類やジエステル化物などの1官能又は2官能のエステルワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素ワックスが好ましい。
また、離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピークのピーク温度で規定される融点は、60℃以上140℃であることが好ましい。より好ましくは60℃以上90℃以下である。融点が60℃以上であると、トナーの保存性が向上する。一方、融点が140℃以下であると、低温定着性が向上しやすくなる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、3質量部以上40質量部以下が好ましい。
トナーは、荷電制御剤を含有することが好ましい。
負帯電用の荷電制御剤としては、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸又は芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物などが例示される。
市販品の具体例として、Spilon Black TRH、T-77、T-95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S-34、S-44、S-54、E-84、E-88、E-89(オリエント化学工業(株))が挙げられる。
これらの荷電制御剤は単独、又は二種以上組み合わせて用いることが可能である。これらの荷電制御剤の使用量は、トナーの帯電量の点から、結着樹脂100質量部当たり0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下である。
トナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー、非磁性二成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性体が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、並びにこれらの混合物が挙げられる。
これらの中でも、マグネタイトが好ましく用いられ、その形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形などの異方性の少ないものが、画像濃度を高めるうえで好ましい。
磁性体は、体積平均粒径が0.10μm以上0.40μm以下であることが好ましい。体積平均粒径が0.10μm以上であると、磁性体が凝集しにくくなり、トナー中での磁性体の均一分散性が向上する。また体積平均粒径が0.40μm以下ではトナーの着色力が向上するため好ましい。
磁性体の個数平均粒径は、好ましくは50μm以上500μm以下である。
磁性体は、例えば以下の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムなどのアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5以上10以下に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。このとき、任意のpHおよび反応温度、攪拌条件を選択することにより、磁性体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性酸化鉄粒子を定法により濾過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
また、重合法にてトナーを製造する場合、磁性体表面を疎水化処理することが好ましい。乾式にて表面処理をする場合、洗浄・濾過・乾燥した磁性体表面にカップリング剤処理を行うことができる。湿式にて表面処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄体を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させ、カップリング処理を行うことができる。
具体的には、再分散液を十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解後温度を上げる、あるいは、加水分解後に分散液のpHをアルカリ域に調整することでカップリング処理を行うことができる。この中でも、均一な表面処理を行うという観点から、酸化反応終了後、濾過、洗浄後に乾燥させずそのままリスラリー化し、表面処理を行うことが好ましい。
磁性体の表面処理を湿式で、すなわち水系媒体中においてカップリング剤で処理するには、まず水系媒体中で磁性体を一次粒径となるよう十分に分散させ、沈降、凝集しないように攪拌羽根などで攪拌する。次いで上記分散液に任意量のカップリング剤を投入し、カップリング剤を加水分解しながら表面処理するが、このときも攪拌を行いつつピンミル、ラインミルなどの装置を使いながら凝集しないように十分に分散させつつ表面処理を行うことがより好ましい。
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水そのもの、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調製剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールなどのノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水系媒体中0.1質量%以上5.0質量%以下添加することが好ましい。pH調製剤としては、塩酸などの無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類などが挙げられる。
磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(I)で示されるものである。
SiY (I)
[式中、Rは(好ましくは炭素数1~3の)アルコキシ基を示し、mは1~3の整数を示し、Yは(好ましくは炭素数2~20の)アルキル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などの官能基を示し、nは1~3の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフ
ェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
この中で、高い疎水性を磁性体に付与するという観点では、一般式(II)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いることが好ましい。
2p+1-Si-(OC2q+1 (II)
[式中、pは2~20の整数を示し、qは1~3の整数を示す。]
上記式におけるpが2以上であると、磁性体に疎水性を十分に付与することができる。pが20以下であると、疎水性が十分であり、さらに磁性体同士の合一が抑制できる。さらに、qが3以下であると、シランカップリング剤の反応性が良好で疎水化が十分に行われやすい。
このため、式中のpが2~20の整数(より好ましくは、3~15の整数)を示し、qが1~3の整数(より好ましくは、1又は2)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用することが好ましい。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、又は複数を併用して処理することが可能である。複数を併用する場合、それぞれのカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性体100質量部に対して0.9質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性などに応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
非磁性一成分トナー及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。磁性体を用いる場合にも、下記の着色剤を併用してもよい。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独で又は2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独で又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,
81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。
マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独で又は2以上のものを併用して用いる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。磁性体を用いる場合の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、20質量部以上120質量部以下であることが好ましく、25質量部以上100量部以下であることがより好ましい。
以下に、トナーの製造方法について例示するが、本発明はこれに限定されない。本発明では、トナー表面を画像解析することによって得られる磁性体の表面存在率が、20%以上であることが好ましい。磁性体の表面存在率を20%以上にするための製造方法に限定は無いが、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法、乳化凝集法など、水系媒体中でトナーを製造することが好ましい。懸濁重合法は、トナー粒子表面近傍に磁性体を存在させやすいために、本発明の好適な物性を満たしたトナーが得られやすくより好ましい。
懸濁重合法では、まず、結着樹脂を形成しうる重合性単量体中に、着色剤(さらに必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に、適当な攪拌器を用いて、得られた重合性単量体組成物を分散・造粒し、重合開始剤を用いて重合反応を行い、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
この懸濁重合法で得られるトナーを、以後「重合トナー」ともいう。
重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。
上述の単量体の中でも、スチレン系単量体を単独で、又はアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類など他の単量体と混合して使用することがトナー構造を制御し、トナーの現像特性及び耐久性を向上させやすいため好ましい。特に、スチレンとアクリル酸アルキルエステル又は、スチレンとメタクリル酸アルキルエステルを主成分として使用する
ことがより好ましい。すなわち、結着樹脂がスチレン-アクリル系樹脂であることが好ましい。
重合法によるトナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30時間以下であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下の添加量で用いることが好ましい。そうすると、分子量5,000以上50,000以下の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナーに好ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
具体的な重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネートなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
この中でも、t-ブチルパーオキシピバレートが好ましい。
トナーを重合法により製造する際は、架橋剤を添加してもよい。添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15質量部以下が好ましい。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレートなどのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
重合性単量体組成物には、極性樹脂を含有させることが好ましい。懸濁重合法では、水系媒体中でトナー粒子を製造するため、極性樹脂を含有させることによって、トナー粒子の表面に極性樹脂の層を形成させることができ、コア/シェル構造を有するトナー粒子を得ることができる。
コア/シェル構造を有していることで、コア及びシェル設計の自由度が増す。例えば、シェルのガラス転移温度を高くすることで、外添剤の埋め込みなどの耐久劣化(長期使用時の劣化)を抑制できるようになる。またシェルに遮蔽効果を付与することで、シェルの組成が均一化させやすいため、均一帯電できるようになる。
シェル層用の極性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリ
ブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン-ポリエステル共重合体、ポリアクリレート-ポリエステル共重合体、ポリメタクリレート-ポリエステル共重合体、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
これらを単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらポリマー中にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基などの官能基を導入してもよい。これらの樹脂の中でも、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、又は式(A)で表されるビスフェノール誘導体;式(A)で表される化合物の水添物、式(B)で示されるジオール又は、式(B)の化合物の水添物のジオールが挙げられる。
Figure 0007229746000001
[式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、x+yの平均値は2~10である。]
Figure 0007229746000002
2価のアルコール成分としては、帯電特性、環境安定性が優れておりその他の電子写真特性においてバランスのとれた前記のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が特に好ましい。この化合物の場合には、定着性やトナーの耐久性の点においてアルキレンオキサイドの平均付加モル数は2以上10以下が好ましい。
2価の酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸又はその無水物;炭素数6~18のアルキル又はアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。
さらに、3価以上のアルコール成分としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソ
ルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを例示することができ、3価以上の酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などを例示することができる。
ポリエステル樹脂は、炭素数6以上12以下の直鎖脂肪族ジカルボン酸を全カルボン酸成分に対して10mol%以上50mol%以下含有したカルボン酸成分と、アルコール成分との重縮合体であることが好ましい。このようなポリエステル樹脂は、ピーク分子量を高くした状態で、軟化点を低下させやすくなる。そのために、定着性を維持した状態でトナー強度を高められる。
ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分との合計を100モル%としたとき、45モル%以上55モル%以下がアルコール成分であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、スズ系触媒、アンチモン系触媒、チタン系触媒などいずれの触媒を用いて製造することができるが、チタン系触媒を用いることが好ましい。
また、シェル用の極性樹脂は、現像性、耐ブロッキング性、耐久性の観点から、数平均分子量が2500以上25000以下であることが好ましい。なお、数平均分子量はGPCにより測定できる。
シェル用の極性樹脂は、酸価が1.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは酸価が2.0mgKOH/g以上10.0mgKOH/g以下である。酸価を上記範囲に制御することで、均一なシェルを形成しやすい。
シェル層用の極性樹脂は、シェル層による効果を十分に得るという観点から、結着樹脂100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下含有されることが好ましい。
重合性単量体組成物が分散される水系媒体には分散安定剤が含有されるが、分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れにくく、洗浄も容易でトナーに悪影響を与えにくいため、好ましく使用できる。
こうした無機分散剤の例としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2質量部以上20質量部以下使用することが好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。さらに、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用してもよいが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。
例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速攪拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性のリン酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。このとき、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生しにくくなるので好ましい。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムなどが挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定される。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤が相分離により析出して内包化がより完全となる。
その後、50℃以上90℃以下程度の反応温度から冷却し、重合反応工程を終了させる冷却工程がある。
上記重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、外添剤を前述のごとく混合して該トナー粒子の表面に付着させることで、トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
本発明のトナーの各種物性の測定方法について以下に説明する。
<外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径の測定方法>
外添剤Aが外添されたトナーから、外添剤Aの個数平均粒径を測定する場合は以下の手順で測定することができる。なお、外添剤Aを単独で入手できる場合は、以下の手順で外添剤Aを単独で測定することもできる。
-外添剤Aの真密度の測定-
まず、外添剤Aの真密度を測定する。トナー10gを200mlのメタノールに懸濁し、超音波分散機SC-103(株式会社エスエムテー社製)を用いて30分間超音波処理し、外添剤Aをトナー粒子から脱離させ、24時間静置する。沈降したトナー粒子と上澄み液に分散した外添剤Aとを分離、回収し、50℃で24時間乾燥させる。
十分に乾燥させた外添剤Aを、島津製作所製の乾式自動密度計アキュピック1330により真密度を測定する。条件は下記の通りである。
セル :1ml
サンプル量 :粉面がセルの高さの8割になるようにする。
-外添剤Aの粒径分布測定-
外添剤の粒径分布の測定は、CPS Instruments Inc.製ディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000を用いて測定する。測定方法を以下に示す。
まず、イオン交換水100gに、Triton‐X100(キシダ化学(株)製)を0.50g入れて分散媒を作製する。真密度の測定と同様の手順で1gのトナーから外添剤Aを分離する。分離した外添剤Aをバイアル瓶に移し、上記分散媒を加えて10.00gとする。そして、超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分。このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
次に、シリンジフィルター(直径:13mm/孔径0.45μm)(アドバンテック東洋(株)製)を取り付けたオールプラスティックディスポシリンジ(東京硝子器械(株))の先に、CPS社製の測定装置専用シリンジ針を取り付けて、基準分散液の上澄み液を0.200mL採取する。
シリンジで採取した上澄み液をディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000に注入し、外添剤Aに由来する粒径分布を測定する。その際、あらかじめ測定した真密度に応じてディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000の測定条件を設定する。そして外添剤Aに由来するピークを求め、ピークトップの粒径を外添剤Aの個数平均粒径とする。
ディスク遠心式粒度分布測定装置DC24000を用いた測定方法の例を以下に示す。
まず、CPSソフト上のMotor Controlで、ディスクを24000rpm
で回転させる。その後、Procedure Definitionsから、下記条件を
設定する。
外添剤の真密度が1.60g/cmの場合
(1)Sample parameter
・Maximum Diameter:1.0μm
・Minimum Diameter:0.02μm
・Particle Density:1.60g/mL
・Particle Refractive Index:1.45
・Particle Absorption:0.1K
・Non-Sphericity Factor:1.10
(2)Calibration Standard Parameters
・Peak Diameter:0.226μm
・Half HeightPeak Width:0.10μm
・Particle Density:1.389g/mL
・Fluid Density:1.004g/mL
・Fluid RefractiveIndex:1.3382
・Fluid Viscosity:0.601cps
上記条件を設定後、CPS Instruments Inc.製オートグラジェントメーカーAG300を使用し、1.0質量%ショ糖水溶液と8.0質量%ショ糖水溶液による密度勾配溶液を作製し、測定容器内に14.0mL注入する。
注入後、密度勾配溶液の蒸発を防ぐため、1.0mLのドデカン(キシダ化学(株)製)を注入して油膜を形成し、装置安定の為、30分以上待機する。
待機後、校正用標準粒子(重量基準中心粒径:0.226μm)を0.10mLシリンジで測定装置内に注入し、キャリブレーションを行う。その後、上記採取した上澄み液を装置に注入し、重量基準の粒径分布を測定する。
トナーに外添剤Aと、外添剤A以外の他の外添剤が外添されている場合は、以下のようにして外添剤Aの個数平均粒径を測定する。
トナー10gを200mlのメタノールに懸濁し、超音波分散機SC-103(株式会社エスエムテー社製)を用いて30分間超音波処理し、外添剤Aと他の外添剤をトナー粒子から脱離させ、24時間静置する。沈降したトナー粒子と、外添剤Aと他の外添剤が分散している上澄み液とを分離する。
外添剤Aと他の外添剤の真密度が異なる場合、遠心分離で両者を分離することができ、乾式自動密度計でそれぞれの真密度を測定できる。真密度が異なる場合は、ディスク遠心式粒度分布測定装置での測定条件が異なるが、それぞれの測定条件で分析を実施することで、それぞれの個数平均粒径を測定することができる。
外添剤Aと他の外添剤の真密度が同じ場合、乾式自動密度計で真密度を測定した後に、ディスク遠心式粒度分布測定装置で同じ測定条件でそれぞれの個数平均粒径を測定することができる。
<外添剤Aの固着指数の測定方法>
外添剤Aの固着状態を指数化する手法としては、基板にトナーを接触させた際の外添剤Aの移行量を評価する。基板の表層の材料として、本発明では、感光体の表面層を模擬する基板として、ポリカーボネート樹脂を表層材料に用いた基板を用いる。具体的には、まず、ビスフェノールZ型のポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)、粘度平均分子量(Mv):40000)をトルエンに10質量%の濃度となるように溶解させて塗工液とする。
この塗工液を、50番手のマイヤーバーを用いて、50μmの厚みのアルミニウムシートに塗工し、塗膜を形成する。そして、この塗膜を100℃で10分間乾燥させることで、上記アルミニウムシート上にポリカーボネート樹脂の層(膜厚が10μm)を有するシートを作製する。このシートを基板ホルダーで保持する。基板は、一辺が約3mmの正方形とする。
以下に、測定工程を、トナーを基板に配置する工程、基板からトナーを除去する工程、
基板に供給された外添剤Aの付着量を定量化する工程に分けて説明する。
・トナーを基板に配置する工程
トナーは、多孔質な柔軟材料(以下「トナー保持体」と表記する。)に含有させ、トナー保持体を基板に接触させる。トナー保持体としては、丸三産業(株)製のスポンジ(商品名:ホワイトワイパー)を用いる。
トナー保持体は、基板の接触面に対して垂直方向に移動するステージに固定した荷重計の先端に固定し、トナー保持体と基板が荷重を測定しつつ接触できるようにする。トナー保持体と基板との接触は、ステージを移動させ、荷重計が10Nを示すまで、トナー保持体を基板に押し付け、その後、離間する工程を1工程とし、この工程を5回繰り返す。
・基板からトナーを除去する工程
トナー保持体を接触させた後の基板に、掃除機のノズル先端に接続した内径約5mmのエラストマー製の吸引口をトナーの配置面と垂直となるように近づけ、基板に付着したトナーを除去する。この際、トナーの残留程度を目視で確認しながら除去する。吸引口の端部と基板の距離を1mmとし、吸引時間を3秒とし、吸引圧力を6kPaとする。
・基板に供給された外添剤の付着量を定量化する工程
トナーを除去した後に基板に残留する外添剤Aの量と形状を数値化する際には、走査型電子顕微鏡による観察と画像計測を用いる。
まず、トナーを除去した後の基板に、白金を電流20mAおよび60秒間の条件でスパッタし、観察用試料とする。走査型電子顕微鏡による観察においては、外添剤Aを観察できる観察倍率を任意に選択した。走査型電子顕微鏡としては、日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡(商品名:S-4800、(株)日立ハイテクノロジーズ)を用い、S-4800(商品名)の反射電子像にて観察を行う。観察倍率は50000倍とし、加速電圧は10kVとし、作動距離は3mmとする。この条件であれば、外添剤Aの粒径を判別して、観察することができる。
観察により得られた画像は、外添剤Aが高輝度に、基板が低輝度に表されるので、二値化により、視野内の外添剤Aの量を定量化することができる。
二値化の条件は、観察装置やスパッタ条件により適切に選択する。本発明では、二値化に、画像解析ソフトウェアであるImage J(https://imagej.ni
h.gov/ij/より入手可能)を用いる。二値化した後、外添剤の一次粒子の長径が30nm以上200nm以下に対応するする外添剤Aのみを抽出する。
Image Jでは、Set MeasurementからAreaおよびFeret’s Diameterをチェックし、Analyze Particleの機能を用いることで当該抽出が可能である。AnalyzeParticleの機能で得られた結果から、粒径(nm)が30nm以上200nm以下に相当する外添剤Aの面積のみを積算し、観察視野全体の面積で除算することで観察視野内の外添剤Aの面積率を求める。上記測定を二値化した画像100枚について行い、その平均値を基板上の外添剤Aの面積率[A](単位:面積%)とする。
次に、トナー粒子への外添剤Aの被覆率[B](単位:面積%)を算出する。
外添剤Aの被覆率は、走査型電子顕微鏡による観察と画像計測を用いて測定する。走査型電子顕微鏡による観察において、外添剤Aを観察する観察倍率は、基板上の外添剤Aを観察した倍率と同じ倍率を採用する。走査型電子顕微鏡としては、上記の日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡S-4800(商品名)を用いる。
画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
外添剤Aの被覆率[B]の算出は、S-4800の反射電子像観察により得られた画像
を用いて行う。反射電子像は2次電子像と比べてチャージアップが少ないため、外添剤Aの被覆率[B]を精度良く測定することができる。
S-4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、視野内全体にある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
次に対象のトナーについて、最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー30粒子以上について画像を得る。
観察した画像を、画像解析ソフトウェアであるImage J(https://im
agej.nih.gov/ij/より入手可能)を用いて二値化する。二値化した後、外添剤粒径(nm)が30nm以上200nm以下に相当する外添剤Aのみを抽出し、ト
ナー粒子上における、外添剤Aの被覆率(単位:面積%)を求める。
上記測定を二値化した画像100枚について行い、外添剤Aの被覆率(単位:面積%)の平均値を外添剤Aの被覆率[B]とする。基板上の外添剤Aの面積率[A]および外添剤Aの被覆率[B]から下記式を用いて、外添剤Aの固着指数を算出する。
外添剤Aの固着指数
=基板上の外添剤のA面積率[A]/外添剤Aの被覆率[B]×100
<ナノインデンテーション法によるトナー強度の測定方法>
ナノインデンテーション法によるトナー強度の測定は、株式会社フィッシャー・インストルメント製ピコデンターHM500を使用する。ソフトはWIN-HCUを使用する。圧子は、ビッカース圧子(角度:130°)を用いる。
測定は上記圧子を所定の時間で所定の荷重になるまで押し込む工程(以下、「押し込み工程」と称す)からなる。この測定において、設定する時間及び荷重を変えることで、荷重印加速度を変更する。
まず、ソフト上に表示される顕微鏡につながれたビデオカメラ画面で顕微鏡の焦点あわせを行う。なお、焦点合わせを行う対象物は、後述のZ軸合わせを行うガラス板(硬度;3600N/mm)を使用する。このとき、対物レンズを5倍から20倍、50倍と順次焦点合わせを行う。これ以降は、50倍の対物レンズで調整を行う。
次に、上述のように焦点合わせを行った上記ガラス板を用いて「アプローチパラメータ設定」操作を行い、圧子のZ軸合わせを行う。その後、ガラス板からアクリル板へ置き換えて、「圧子のクリーニング」操作を行う。「圧子のクリーニング」操作とは、圧子先端をエタノールで湿らせた綿棒で清掃すると同時に、ソフト上で指定した圧子位置とハード上での圧子位置を一致させる、すなわち圧子のXY軸合わせを行う操作のことである。
その後、トナーを付着させたスライドガラスに変えて、測定対象となるトナーに顕微鏡の焦点を合わせる。なお、スライドガラスへのトナーの付着方法は、以下の通りである。
まず、綿棒の先端に測定対象となるトナーを付着させ、ビンの縁等で余分なトナーを篩い落とす。その後、スライドガラスの縁に綿棒の軸を押し当てながら、綿棒に付着したトナーをスライドガラス上にトナーが一層になるようにたたき落とす。
その後、上記のようにトナーを一層付着させたスライドガラスを顕微鏡にセットし、50倍の対物レンズでトナーに焦点を合わせ、ソフト上で圧子先端がトナーの粒子の中心に来るようにセットする。なお選択するトナーは、長径短径ともにトナーの重量平均粒径D4(μm)±1.0μmの粒子に限定する。
以下の条件で押し込み工程を実施することで測定する。
(押し込み工程1)
・最大押し込み荷重=0.25mN
・押し込み時間=300秒
上記条件により、荷重印加速度0.83μN/secが設定できる。
(押し込み工程2)
・最大押し込み荷重=0.50mN
・押し込み時間=200秒
上記条件により、荷重印加速度2.5μN/secが設定できる。
この2つの押し込み工程において、縦軸を荷重a(mN)、横軸を変位量b(μm)とした場合に得られる荷重-変位曲線から、0.00μm以上0.20μm以下の変位領域におけるデータを最小二乗法により直線近似して求めた傾きを、それぞれトナー硬さA及びBとする。
なお最初に正の荷重が計測された変位の値を変位の初期値(0.00μm)として定義する。また0.00μm以上0.20μm以下の区間のデータは100ポイント以上採取するようにした。
上記測定をトナー30粒について実施し、相加平均値を採用する。
測定は、1粒子測定ごとに必ず上述した「圧子のクリーニング」操作(圧子のXY軸合
わせも含む)を行う。
<Nb/Naの測定方法>
Nb/Naの測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800」を用いて行う。3万倍に拡大した視野で、外添剤Aが外添されたトナーを、同一視野で加速電圧1.0kV及び5.0kVでランダムに50個観察する。画像から、画像処理ソフト「ImageJ」(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を使用し、以下のようにNb及びNaを算出する。
加速電圧1.0kVで観察した画像を、「Image - Adjust - Threshold」を設定し、表示されたダイヤログボックスで外添剤Aのみが抽出されるように閾値を設定し二値化する。次に、「Analyze - Set Measurements」を選択し、表示されたダイヤログボックスで「Perimeter」及び「Area」にチェックする。二値化した画像の画像中心から2μm×2μmを解析領域とし、「Analyze-Analyze Particle」を選択し、外添剤Aに対応する「Size」と「Circularity」を設定後、実行し、外添剤Aの粒子数、各外添剤の周囲長を算出する。
次に加速電圧5.0kVで観察した画像を、加速電圧1.0kVで観察した画像と同様の機能・手順を用いて磁性体と外添剤Aが抽出されるように二値化する。二値化後に、「Process-Image Calculator」 を選択する。表示されたダイヤログボックスで「Image 1」を加速電圧5.0kVで観察した画像の二値化画像、
「Image2」を加速電圧1.0kVで観察した画像の二値化画像とし、「Operation」を「Subtract」とすることで、差分画像を作成する。
差分画像の画像中心から2μm×2μmの範囲を解析領域とし、「Analyze―Analyze Particle」を選択し、表示されたダイヤログボックスで「Show」を「Mask」と設定したうえで、実行し、磁性体と完全に重なった外添剤Aの粒子数を算出する。同時に得られたMask画像と、「Process-Image Calculator」 で5.0kVで観察した二値化像の差分を求める。
この差分画像で「Analyze―Analyze Particle」を選択し、ダイヤログボックスの「Size」と「Circularity」を外添剤Aの値より小さくして設定することで、完全には重なっていないが半分以上の面積が無機微粒子Aと重なっている粒子数を算出する。完全に重なっている粒子数と、完全には重なっていないが半分以上が重なっている粒子数を足し合わせて、磁性体と重なっている外添剤Aの粒子数とする。
観察した50個の画像すべてでこの操作を行い、その平均値から外添剤Aの粒子数Naと磁性体と重なっている外添剤Aの粒子数Nbを算出する。
<磁性体の表面存在率>
磁性体の表面存在率は、外添剤Aが外添されたトナーから、外添剤Aを分離して測定する。トナー1gをメタノール20mLに懸濁し、超音波分散機SC-103(株式会社エスエムテー社製)を用いて30分間超音波処理し、外添剤Aを外して、24時間静置する。沈降したトナー粒子と上澄み液に分散した外添剤Aとを分離、回収し、十分に乾燥させることで、トナー粒子を単離する。
単離したトナーを走査型電子顕微鏡「S-4800」で1万倍に拡大した視野で、加速電圧5.0kVでランダムに50個観察する。
観察した画像から無機微粒子Aの表面存在率を画像処理ソフト「ImageJ」(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能)を使用し、以下のように算出する。
観察した画像を「Image - Adjust - Threshold」を選択し、表示されたダイヤログボックスでトナー粒子全体が抽出されるように閾値を設定し、二値化する。同じ画像を同様の手順で、閾値のみを変更することで、磁性体のみが抽出され
るようにし、二値化する。それぞれの画像について、「Analyze―Histogram」からトナー粒子全体、磁性体に対応する輝度値のピクセル数を求め、それぞれの面積を算出する。得られた面積から下記式を用いて、磁性体の表面存在率を算出する。
磁性体全体の面積/トナー粒子全体の面積×100
観察したすべてのトナー粒子について磁性体の表面存在率を算出し、その平均値を採用する。
<外添剤Aの形状係数>
外添剤Aの形状係数SF-2の測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)を用いて行う。外添剤Aが外添されたトナーを観察し以下のように算出する。観察倍率は外添剤Aの大きさによって適宜調整する。
最大50万倍に拡大した視野において、画像処理ソフト「ImageJ」を使用し、ランダムに100個の外添剤Aの一次粒子の周囲長及び面積を算出する。
SF-2は下記の式にて算出し、その平均値をSF-2とする。
SF-2=(粒子の周囲長)/粒子の面積×100/4π
<トナーの断面観察における外添剤AのXとYの算出>
(TEM断面観察)
可視光硬化性樹脂(商品名、アロニックスLCRシリーズD-800;東亞合成社製)中にトナーを十分に分散させた後、短波長光を照射し硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。次いで、切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡(日本電子社製電子顕微鏡JEM-2800)(TEM―EDX)を用いて40000倍~50000倍の倍率で拡大し、トナーの断面から外添剤の観察及びEDXを用いた元素マッピングを行う。
なお、観察するトナーは以下のように選択する。まずトナー断面画像から、トナーの断面積を求め、その断面積と等しい面積を持つ円の直径(円相当径)を求める。この円相当径とトナーの重量平均粒径(D4)との差の絶対値が1.0μm以内のトナー断面画像についてのみ観察する。マッピング条件としては、保存レート:9000以上、13000以下、積算回数:120回とする。
(外添剤Aの最大径(X)、埋め込み指標(Y/X)算出方法)
外添剤A表面からトナー母体内部方向へ400nm部分を切り出したTEM画像を展開し、トナー粒子表面が直線になるように画像処理する(図10のように、外添剤Aにより埋没した部分以外のトナー粒子表面を直線にする)。
そして、直線にしたトナー粒子表面に沿って、トナー粒子表面と外添剤Aとの界面の両端を結ぶ線分を描く。
その後、図10に示すように、まず外添剤Aの最大径(フェレ径)X(nm)を求める。また、外添剤Aの中心座標を算出し、該中心座標を通り上記トナー粒子表面と外添剤Aとの界面の両端を結ぶ線分と直交する直線を引き、その直交点の座標を算出する。そして、外添剤Aの中心座標から該直交点の距離L(nm)を求める。なお、外添剤Aの中心座標は、画像処理で求めた重心位置とする。次に、外添剤の最大径Xと距離L(nm)から最大埋没長Y(nm)を下記式から算出する。
[外添剤の中心が、トナー粒子表面より上部に位置している場合]
最大埋没長Y(nm)=X/2-L
[外添剤の中心が、トナー粒子中に位置している場合]
最大埋没長Y(nm)=X/2+L
上記X、Y値から、外添剤Aの埋め込み指標であるY/Xを求める。
なお、画像処理には、「ImageJ」を使用した。また、解析個数は外添剤A粒子20個以上とし、平均値をその試料のX、Yの値とし、さらに標準偏差も求める。
<Tgの測定方法>
トナーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量分析装置「Q2000」(TA
Instruments社製)を用いて、ASTM D3418-82に準じて測定され
る。
測定試料として、トナー約2mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度Tgとする。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。なお、実施例の処方における部は、特に断りのない限り質量基準である。
<外添剤A>
実施例で使用した外添剤Aの製造例を説明する。
<有機無機複合微粒子1の製造例>
有機無機複合微粒子1としては、国際公開第2013/063291号の実施例1に従って製造したものを用意した。有機無機複合微粒子1の物性を表1に示す。
<シリカ微粒子1~5の製造例>
シリカ微粒子1~5は、シリカ微粒子1~5の原体100部に対して、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)15部で表面処理をしたものを用意した。シリカ微粒子1~5の物性を表1に示す。
Figure 0007229746000003
<磁性体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0当量の苛性ソーダ溶液(Feに対しP換算で1質量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含有)を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。スラリー液をpH8に維持して、空気を吹き込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを6に調整した。シランカップリング剤として、n-C13Si(OCHを磁性酸化鉄100部に対し1.5部添加し、十分攪拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥した。
凝集している粒子を解砕処理した後、温度70℃で5時間熱処理を行って、磁性体1を得た。磁性体の個数平均粒径は0.25μmであった。
<磁性体2の製造>
酸化反応の時間を変更して、シランカップリング剤の添加量を磁性酸化鉄100部に対し1.7部添加した以外は、磁性体1と同様にして磁性体2を得た。磁性体2の個数平均粒径は0.20μmであった。
<磁性体3の製造>
酸化反応の時間を変更して、シランカップリング剤の添加量を磁性酸化鉄100質量部に対し1.3質量部添加した以外は、磁性体1と同様にして磁性体3を得た。磁性体3の個数平均粒径は0.29μmであった。
<磁性体4の製造>
酸化反応の時間を変更して、シランカップリング剤を添加しなかった以外は、磁性体1と同様にして磁性体4を得た。磁性体4の個数平均粒径は0.25μmであった。
<トナー粒子1の製造>
イオン交換水720部に0.1mol/L-NaPO水溶液450部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L-CaCl水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン: 78部
・n-ブチルアクリレート: 22部
・ジビニルベンゼン: 0.5部
・ポリエステル樹脂(組成:ビスフェノールA-プロピレンオキシド(PO)2mol付加物、テレフタル酸)(Tg:61℃、軟化点Tm:118℃): 3部
・負荷電制御剤: T-77(保土ヶ谷化学製) 1部
・磁性体1: 85部
上記材料をアトライター(日本コークス工業(株)(旧三井三池化工機(株)))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を温度60℃に加温し、そこに以下の材料を混合/溶解し、重合性単量体組成物とした。
・離型剤(パラフィンワックス(HNP-9:日本精蝋(株)製)) 15部
・重合開始剤(t-ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液)) 10部
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、N雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株))にて回転数367s-1で15分間攪拌し、造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌し、反応温度70℃にて300分間重合反応行った。その後、懸濁液を毎分3℃で室温まで冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の諸物性を表2に示す。
<トナー粒子2~5の製造>
添加する磁性体の種類と量を表2のように変更した以外は、トナー粒子1と同様にしてトナー粒子2~5を得た。得られたトナー粒子2~5の諸物性を表2に示す。
<トナー粒子6の製造例>
イオン交換水720部に0.1mol/L-NaPO水溶液450部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L-CaCl水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン: 72部
・n-ブチルアクリレート: 28部
・ジビニルベンゼン: 0.5部
・ポリエステル樹脂(組成:ビスフェノールA-PO2mol付加物、テレフタル酸)(Tg:61℃、軟化点Tm:118℃): 3部
・負荷電制御剤 T-77(保土ヶ谷化学製): 1部
・磁性体3: 25部
上記処方をアトライター(日本コークス工業(株)(旧三井三池化工機(株)))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を温度60℃に加温し、そこに以下の材料を混合/溶解し、重合性単量体組成物とした。
・離型剤(パラフィンワックス(HNP-9:日本精蝋(株)製)) 15部
・重合開始剤(t-ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液)) 10部
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて366.67S-1で15分間攪拌し、造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌し、反応温度70℃にて300分間重合反応行った。その後、懸濁液を毎分3℃で室温まで冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子6を得た。諸物性を表2に示す。
<トナー粒子7の製造>
(非晶性ポリエステル樹脂1の製造例)
・テレフタル酸 50部
・ドデセニルコハク酸 5部
・トリメリット酸(TMA)15部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2モル)付加物 80部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2モル)付加物 74部
・ジブチルスズオキシド 0.1部
上記材料を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した。その後、150℃~230℃で約15時間縮重合反応させた。その後、210℃~250℃で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂1を得た。
非晶性ポリエステル樹脂1の数平均分子量(Mn)は29,200、重量平均分子量(Mw)は135,000、ガラス転移温度(Tg)は62℃、軟化点(Tm)は116℃であった。
(トナー粒子7の製造)
続いて、
・非晶性ポリエステル樹脂1: 100部
・磁性体4: 80部
・フィッシャートロプシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃): 2部・荷電制御剤(保土谷化学工業社製、T-77): 2部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM-30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、トナー粒子7を得た。諸物性を表2に示す。
<トナー粒子8の製造>
添加する磁性体の種類と量を表2のように変更した以外は、トナー粒子6と同様にしてトナー粒子8を得た。諸物性を表2に示す。
Figure 0007229746000004
重量平均粒径の単位はμmである。
<混合処理装置1>
図2に示した混合処理装置1を使用した。本体ケーシング31の内周部の径が130mmであり、処理空間39の容積が2.0×10-3の装置を用い、駆動部38の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材33の形状を図3のものとした。そして、図3における攪拌部材33aと攪拌部材33bの重なり幅dを攪拌部材33の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材33と本体ケーシング31内周とのクリアランスを3.0mmとした。ジャケット内に冷熱媒体を流して、温度を調整した。
<混合処理装置2>
図4に示した混合処理装置2を使用した。処理槽110は図5に示すような内寸高さが250mm、内径がφ230mmで有効容量が10Lの円筒形状の容器で平らな底部の中心に駆動軸111を備えている。駆動モーター150の駆動は駆動ベルトを介して駆動軸111に伝達されている。
処理槽110内部には、被処理物を処理室の底部から上方に流動させる流動手段として駆動軸111に図6に示す撹拌羽根120を取り付ける。撹拌羽根120はS宇形状でかつ先端が跳ね上げられた形状のものを使用する。
さらに撹拌羽根120の上方には、回転体として同じ駆動軸111に図7に示す処理羽根140を取り付ける。処理羽根140は円環状の本体141の外周面から径方向の外向きに突き出した処理部142を4か所設ける。処理部142の形状は、径方向の最外端が処理槽110の半径の96%となるようにし、厚みは6mmとする。
処理面のうち前記回転体本体に最も近い部位と図9の0.8Lの位置とを結ぶ線と、図9の0.8Lの円の処理面における接線とのなす角のうち前記回転方向下流側の角の大きさ(θ)を100度とする。
さらに処理羽根140の上方にはデフレクタ130をとりつけ、デフレクタの先端には処理槽内のトナー粒子の温度をモニターできる熱電対をとりつける。
また処理装置のジャケット内に冷熱媒体を流して、温度を調整した。
<混合処理装置3>
FMミキサ(FM10C;日本コークス工業(株)製)
<トナー1の製造>
トナー粒子1:100部、有機無機複合粒子1:1.0部を、混合処理装置2を用い、回転数60.0s-1で5分間混合した。温度が30℃で安定してから混合を開始し、混合中は30℃±1℃を維持するように調整した。
続いて、上記構成とした混合処理装置1の温度が55℃となるように、ジャケット内に温水を通水した。温度が55℃で安定してから混合を開始し、混合中は55℃±1℃を維持するように調整した。
混合処理装置1に、上記外添トナーを投入後、駆動部38の動力を1.5×10-2W/g(駆動部38の回転数:約2.50s-1)で一定となるように、攪拌部材33の最外端部周速を調整しながら、10分間加温処理した。
加温処理終了後、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナー1の製造条件を表3に、トナー1の諸物性を表4に示す。
<トナー2~14、比較トナー1~7の製造>
トナー1の製造において、表3に示すトナー粒子、外添剤A、混合処理装置、製造条件にすること以外は、トナー1の製造と同様にして、トナー2~14、比較トナー1~7を得た。物性は表4に示す。
トナー1~14、比較トナー1~7から分析した外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径と形状係数SF-2は、表1に示す値と同じであった。
Figure 0007229746000005
Figure 0007229746000006
<実施例1>
クリーナーレスシステムを採用するHP製プリンタ(LaserJet Pro m203dw)用カートリッジ(CF230X)にトナー1を充填し、下記評価を実施した。評価結果を表5に示す。
<画像濃度の評価>
画像濃度の評価は、低温低湿環境LL(温度15℃、相対湿度10%)で評価を行った。長期耐久試験を想定して、印字率1%となる横線パターンを1枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計7000枚の画出し試験を実施した。1枚目、3000枚目、7000枚目での画像濃度を測定した。A4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m2
を用いた。
画像濃度は、5mm丸のベタ画像を出力して、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度を測定することにより測定した。数値が大きい方が、現像性が良いことを示す。
<ドラム上カブリ>
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC-6DS
を使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。『ドラム上カブリ』は、上記、画像濃度の評価とあわせた3000枚目、7000枚目後に、評価を行った。評価は、以下のように行った。
ベタ白印字中に停止させ、紙上に転写している部分を目視で、転写前のドラム上をマイラーテープでテーピングしてはぎ取り、紙上にマイラーテープを貼った。はぎ取ったマイラーテープを未使用の紙上に貼ったものの反射率を、マイラーテープのみを未使用の紙上に貼ったものの反射率から差し引いて差を算出する。
A:反射率の差が5.0%未満であり、紙上に転写されても目視で見えない。
B:反射率の差が5.0%以上10.0%未満であり、紙上に転写され目視で極僅かに確認できる。
C:反射率の差が10.0%以上20.0%未満であり、紙上に転写され、目視でやや確認できる。
D:反射率の差が20.0%以上であり、紙状に転写され、目視で顕著に確認できる。
<帯電ローラー汚染評価>
上記繰り返し使用試験7000枚印字後、帯電ローラー表面の状態を目視で観察する。その翌日、静電潜像担持体を新品に取り換え、ハーフトーン画像を出力し、目視により以下の判断基準にて画像評価を行う。
A:ローラーの表面、画像ともに欠陥は全く認められない。
B:7000枚印字後翌日にローラーの表面に汚れが若干認められるが、その時に出力したハーフトーン画像には欠陥が見られない。
C:7000枚印字後翌日にローラーの表面に汚れが若干認められ、その時に出力したハーフトーン画像には若干の濃度ムラが生じている。
D:7000枚印字後翌日にローラーの表面に汚れが若干認められ、その時に出力したハーフトーン画像には濃度ムラが目立つ。
<低温定着性の評価>
低温定着性の評価は、低温低湿環境LL(温度15℃、相対湿度10%)で行った。
定着装置の定着温度を任意に設定できるように改造した。この装置を用いて、定着器の温度を180℃以上230℃以下の範囲で5℃おきに変更して、A4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m2)を用い、画像濃度が0.6~0.65となるよう
にハーフトーン画像を出力する。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の低下率が15%以下になる最も低い温度をもって、低温定着性の評価とした。この温度が低い方が、低温定着性が良いことを示す。
Figure 0007229746000007
(図2及び3の符号の説明)
1・・・混合処理装置、301・・・本体ケーシング、302・・・回転体、303、303a、303b・・・撹拌部材、304・・・ジャケット、305・・・原材料投入口、306・・・製品排出口、307・・・中心軸、308・・・駆動部、309・・・処理空間、310・・・回転体端部側面、311・・・回転方向、312・・・戻り方向、313・・・送り方向、316・・・原料投入口用インナーピース、317・・・製品排出口用インナーピース、d・・・撹拌部材の重なり部分を示す間隔、D・・・撹拌部材の幅
(図4~9の符号の説明)
2・・・混合処理装置、110・・・処理槽、111・・・駆動軸、120・・・撹拌羽根、130・・・デフレクタ、140・・・処理羽根、141・・・処理羽根の本体、142・・・処理部

Claims (8)

  1. 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、外添剤とを含有するトナーであって、
    該外添剤は、外添剤Aを含有し、
    該外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径が、30nm以上200nm以下であり、
    該外添剤Aの該トナー粒子に対する固着指数が0.00以上3.00以下であり、
    ナノインデンテーション法で求められるトナー硬さA(N/m)、及びトナー硬さB(N/m)が、下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナー。
    B≧600 ・・・(1)
    B/A≧1.10 ・・・(2)
    (式(1)、(2)中、
    該トナー硬さAは、該トナーを荷重印加速度0.83μN/secの条件で測定した荷重-変位曲線において、縦軸を荷重a(mN)とし、横軸を変位量b(μm)とした場合の、0.0μm以上0.20μm以下の変位領域における、傾きの平均値であり、
    該トナー硬さBは、該トナーを荷重印加速度2.50μN/secの条件で測定した荷重-変位曲線において、縦軸を荷重a(mN)とし、横軸を変位量b(μm)とした場合の、0.0μm以上0.20μm以下の変位領域における、傾きの平均値である。)
  2. 前記着色剤が、磁性体を含有する請求項1に記載のトナー。
  3. 前記磁性体は、一次粒子の個数平均粒径が、前記外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径よりも大きく、
    前記トナーの走査型電子顕微鏡観察において、
    加速電圧1.0kVで前記トナー表面を画像解析して得られる、前記トナー表面の2μm×2μmの範囲の前記外添剤Aの粒子数をNaとし、
    加速電圧5.0kVで前記トナー表面を画像解析して得られる、前記トナー表面の2μm×2μmの範囲の前記磁性体と重なっている前記外添剤Aの粒子数をNbとしたとき、
    Nb/Naが0.20以上である請求項2に記載のトナー。
  4. 前記トナー表面の走査型電子顕微鏡観察において、
    加速電圧5.0kVで前記トナー表面を画像解析することによって得られる前記磁性体
    の表面存在率が、20%以上である請求項2又は3に記載のトナー。
  5. 前記外添剤Aの形状係数SF-2が、103以上120以下である請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記トナーの透過型電子顕微鏡による断面観察において、前記外添剤Aの一次粒子の最大径をX(nm)とし、前記トナー粒子表面に埋没している前記外添剤Aの最大埋没長をY(nm)としたとき、下記関係式を満たし、
    0.15≦Y/X
    Y/Xの標準偏差が、20%以下である請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。(前記外添剤Aの最大埋没長Y(nm)とは、前記トナー粒子表面と前記外添剤Aの界面の両端を結ぶ線分に対する法線方向において、前記外添剤Aが前記トナー粒子に埋め込まれている部分の最大長を意味する。)
  7. 前記外添剤Aが、シリカ微粒子及び有機無機複合粒子からなる群から選択される少なくとも一種を有する請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記外添剤Aの該トナー粒子に対する固着指数が1.67以上2.19以下であり、
    前記トナーの透過型電子顕微鏡による断面観察において、前記外添剤Aの一次粒子の最大径をX(nm)とし、前記トナー粒子表面に埋没している前記外添剤Aの最大埋没長をY(nm)としたとき、下記関係式を満たし、
    0.23≦Y/X ≦0.33
    (前記外添剤Aの最大埋没長Y(nm)とは、前記トナー粒子表面と前記外添剤Aの界面の両端を結ぶ線分に対する法線方向において、前記外添剤Aが前記トナー粒子に埋め込まれている部分の最大長を意味する。)
    前記トナー表面の走査型電子顕微鏡観察において、
    加速電圧5.0kVで前記トナー表面を画像解析することによって得られる前記磁性体の表面存在率が、20%以上である請求項1に記載のトナー。
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