JP7228633B2 - クリーン化システム - Google Patents

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Description

本発明は、室内の空気の清浄度を保つためのクリーン化システムに関するものである。
特許文献1,2に開示されているように、食品工場などの床の水洗いを必要とするクリーンルームが存在する。このような多量の水を床に流すクリーンルームでは、床面に複数の排水口や側溝が設けられているので、排気口は壁に設けられることが一般的であるが、空気の流れを制御することが難しく、室内の下部に清浄度の低い空気が溜まりやすいという問題がある。
一方において、特許文献1に開示されているように、床面に設けられた排水口から、水だけでなく室内の空気も取り込むことができる構造も知られている。すなわち特許文献1の排水設備では、床面に開口された複数の排水口から流れ込む空気と水を、床下の1本の配管によってクリーンルームの外側に設けられた気水分離槽まで流下させる。
そして、気水分離槽に貯留された水は横方向に排水するとともに、気水分離槽の上部からは排気が行われる。このように、複数の排水口から流れ込む水と空気を流下させようとすると、床下には太径の配管を埋設することになり、建物の床が厚くなる(特許文献2の段落0003,0004参照)。
これに対して特許文献2に開示された排気装置では、室内の空気の約90%を壁に設けられた排気口から排出し、残りの約10%の空気を排水口から吸引排気する構成とすることで、床下の配管の太さを従来の排水のみの配管の太さと同程度にしている。
特開平11-293732号公報 特開2004-84993号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載されたクリーンルームでは、一度、室内を流れた空気は、排気としてそのまま放出される。すなわち、空調機によって温度や湿度が調整された空気を、一度の使用でそのまま放出してしまうので、ランニングコストが高くなる。
また、室内を陽圧状態に管理することが求められるクリーンルームでは、壁上部に設けられた差圧ダンパにより排気が行われることになるが、天井側から供給された清浄度の高い空気が壁上部の差圧ダンパから排気されることになって、清浄度の低い空気が室内から排気されずに溜まってしまうという問題がある。
そこで本発明は、室内を流れた空気を還気することでランニングコストが抑えられるうえに、清浄度の低い空気を効率よく室内から排出することが可能なクリーン化システムを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明のクリーン化システムは、室内の空気の清浄度を保つためのクリーン化システムであって、前記室内の天井側から床面に向けて空気を供給する給気部と、前記室内の床面に複数設けられる床吸込口と、前記室内の床が設けられる床領域の外側に配置されて前記床吸込口から取り込まれた水と空気とを分離する気水分離部と、前記気水分離部で分離された空気を前記室内に戻すための還気経路と、前記給気部に送られる空気を清浄化させるフィルタ部と、前記室内の圧力を制御するために前記床吸込口に接続される差圧ダンパとを備えたことを特徴とする。
ここで、前記室内の壁の下部には、前記還気経路に接続される吸込口が設けられている構成とすることができる。また、前記気水分離部によって、空気は上方に水は下方に分離されることが好ましい。
さらに、前記床吸込口には箱状部が配置されるとともに、前記箱状部と前記気水分離部との間は、複数の配管によって接続される構成とすることができる。また、前記箱状部から前記配管へのゴミの流入を防ぐゴミ止め部を有する構成とすることが好ましい。そして、前記還気経路には、風量調整弁を設けることができる。
さらに、前記還気経路を流れる空気の一部を空調機を経由させる構成とすることができる。また、前記床吸込口から取り込まれる空気の量は、前記室内から排出される空気の量の20%以上であることが好ましい。
このように構成された本発明のクリーン化システムは、室内の床面に複数設けられる床吸込口から取り込まれた水と空気は、床領域の外側に配置された気水分離部によって分離される。そして、還気経路を通って、フィルタ部で清浄化された空気は、再び室内に供給される。さらに、室内の圧力を制御するための差圧ダンパが、少なくとも1個の床吸込口に接続されている。
このように、室内を流れた空気を還気することでランニングコストを抑えることができる。また、床吸込口に接続される差圧ダンパを備えているので、室内を陽圧に保つことが容易にできるうえに、床面の床吸込口から室内の空気を吸い込ませることで、清浄度の低い空気を効率よく室内から排出することができる。
また、室内の壁の下部に還気経路に接続される吸込口を設けることで、床吸込口から室内空気のすべてを排出をしなくてもよくなるので、床下の配管の径が太くなって床の厚さなどが増大するのを防ぐことができる。
さらに、気水分離部が空気を上方に、水を下方に分離させる構成であれば、室内から排出された空気と排水とが接触する時間を短くすることができ、還気する空気の清浄度が低くなりすぎるのを抑えることができる。
また、床吸込口の箱状部と気水分離部との間を複数の配管によって接続するのであれば、1本当たりの配管の流量を減らすことが可能になるので、床下の配管の径が太くなるのを防ぐことができる。そして、配管の径が細ければ、コンクリートの床の内部に埋設することも可能になる。
さらに、箱状部から配管へのゴミの流入を防ぐゴミ止め部が設けられることで、床吸込口に流入した空気と水は、残渣などのゴミと速やかに分離されることになるので、衛生管理上、望ましい状態を保つことができる。
また、還気経路に風量調整弁が設けられていれば、床吸込口や壁の吸込口からの吸込み風量を調整することができる。例えば、床吸込口の吸込み風量を20%以上に調整することで室内の清浄度を高めるなどの制御が、容易に行えるようになる。さらに、還気経路を流れる空気の一部を空調機を経由させることで、還気の温度と湿度を適切な状態に調整することができる。
本実施の形態のクリーン化システムの全体構成を例示した説明図である。 本実施の形態のクリーン化システムの構成を説明する平面図である。 床吸込口の一部を破断して構成を説明する斜視図である。 床吸込口と配管の構成を説明する図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。 気水分離部の構成を説明する斜視図である。 圧力制御部の構成を説明する斜視図である。 実験室の状況を説明する平面図である。 床吸込口による排出の効果を説明する図であって、(a)は壁吸込みの割合が0%で床吸込みの割合が100%の実験結果、(b)は壁吸込みの割合が20%で床吸込みの割合が80%の実験結果である。 床吸込口による排出の効果を説明する図であって、(a)は壁吸込みの割合が40%で床吸込みの割合が60%の実験結果、(b)は壁吸込みの割合が60%で床吸込みの割合が40%の実験結果である。 床吸込口による排出の効果を説明する図であって、(a)は壁吸込みの割合が80%で床吸込みの割合が20%の実験結果、(b)は壁吸込みの割合が90%で床吸込みの割合が10%の実験結果である。 本実施の形態のクリーン化システムによって得られる清浄度クラス(JIS規格)を説明するための図であって、壁吸込みの割合が0%で床吸込みの割合が100%の実験結果の説明図である。 本実施の形態のクリーン化システムによって得られる清浄度クラス(JIS規格)を説明するための図であって、壁吸込みの割合が80%で床吸込みの割合が20%の実験結果の説明図である。 壁吸込みの割合が90%で床吸込みの割合が10%の実験結果の説明図である。 参考のために壁吸込みの割合を100%にした場合の実験結果の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のクリーン化システムの全体構成を例示した説明図である。また、図2は、本実施の形態のクリーン化システムの構成を説明する平面図である。
本実施の形態のクリーン化システムは、食品工場、製薬工場、化粧品工場、機械加工工場、塗装工場などの、床12の水洗いなどによって発生する水の排水設備を必要とする業種のクリーンルーム1に適用される。食品工場には、惣菜工場、弁当工場、乳製品工場、精肉加工工場、水産品加工工場、農産品加工工場、缶詰工場、飲料品加工工場などがある。
こうした業種のクリーンルーム1では、室内10の空気の清浄度を保つだけでなく、定期的に水洗いなどによる洗浄や排水を伴う作業が行われるので、その際に発生する多量の水を排出するための排水設備を設けておく必要がある。
また、2021年6月より、全ての食品製造事業者には、HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)に基づいた衛生管理が求められるようになり、製造エリア(室内10)の清浄度、温湿度及び室圧を確実に管理する必要がある。
本実施の形態のクリーン化システムは、クリーンルーム1の室内10の空気の清浄度を保つことができるうえに、排水機能を備えたシステムである。さらに、室内10から排出された空気を還気(RA:Return Air)によって再び室内10に供給することで、省エネルギー化が図れるシステムである。
本実施の形態のクリーン化システムは、室内10の天井11側から床12の床面に向けて空気を供給する給気部2と、床面に複数設けられる床吸込口3と、室外に設けられる気水分離部4(図2参照)と、気水分離部4で分離された空気を室内10に戻すための還気経路5と、空気を清浄化させるフィルタ部6と、によって主に構成される。
クリーンルーム1では、天井11付近に配置された給気部2から供給された清浄度の高い給気(SA:Supply Air)が、下降流DAとなって床12に向けて流れる。この空気の流れ(気流)は、室内10の空気のムラが生じないような層流(垂直層流)になっていることが望ましい。そして、この下降流DAが滞りなく室内10から排出されることによって、浮遊微粒子の濃度が小さい、清浄度の高いクリーンルーム1にすることができる。
図1に例示したクリーンルーム1では、清浄な空気の給気経路となる給気ダクト21から室内10側の分配部22に送られた空気は、天井11に分散して配置された複数の吹出口23に送られる。
図1では、吹出口23は、上向きに空気が吐出されるように配置されており、天井11に当たって跳ね返った空気が、有孔板などの天井面材111を通って、簡易層流などの下降流DAに形成される。なお、下降流DAを層流にするための給気部2や天井面材111の構成は、この図に限定されるものではなく、様々な給気方式が適用できる。
本実施の形態で説明するクリーンルーム1は、排気設備として、室内10の床12に複数設けられる床吸込口3と、室内10の壁13の下部に設けられる吸込口131とを備えている。なお、クリーンルーム1に必要とされる循環風量によっては、壁13の吸込口131を省略することもできる。
床吸込口3から排出された空気は、後述する分離後ダクト51を通って、還気経路5に流れ込む。また、壁13の吸込口131から排出された空気は、壁ダクト52を通って還気経路5に流れ込む。ここで、分離後ダクト51と壁ダクト52に流れ込む空気の量(吸込み風量)は、風量調整弁511,521で調整することができる。
このようにして室内10から排出された空気に対しては、還気経路5を通って再び室内10に供給するための処理が行われる。本実施の形態で説明するクリーン化システムでは、還気経路5を2つのルートに分岐させる。
1つ目のルートは、直接、還気を行うための直還気ダクト53によって形成される。直還気ダクト53に流れ込む空気の量は、分岐点近傍に設けられた風量調整弁531によって調整することができる。
2つの目のルートは、空調機8を経由させるための空調経由ダクト54によって形成される。空調機8は、フィルタを通して取り込まれて空気の温度と湿度を調整する空調機器である。
空調経由ダクト54から空調機8に取り込まれた還気は、空調機8の制御によって設定された温度と湿度に調整された後に、空調機8のファンによって、混合部63に向けて送られる。この混合部63には、外気処理機7も接続されている。
外気処理機7は、外気を取り込んでフィルタによってろ過された空気(SOA:Supply Outdoor Air)を、内蔵されたファンによって外気経路となる外気ダクト71を通して混合部63に向けて送り出す。
混合部63では、外気ダクト71から流入する空気と、空調機8から流入する空気と、直還気ダクト53から流入する空気とが混合されて、空気を清浄化させるフィルタ部6に送られる。
フィルタ部6は、高性能フィルタ61と、送風ファン62とによって主に構成されるファン付き高性能フィルタユニット(FFU:Fan Filter Unit)である。高性能フィルタ61には、HEPA(Hight Efficiency Particulate Air)フィルタやULPA(Ultra Low Particulate Air)フィルタなどがある。
HEPAフィルタに空気を通過させることで、粒径0.3μmの微粒子を99.97%以上、捕集することができる。また、ULPAフィルタであれば、粒径0.15μmの微粒子を99.9995%以上、捕集することができる。なお、クリーンルーム1の用途によっては、中性能フィルタを使用することもできる。
続いて、図2-図6を参照しながら、床吸込口3及び気水分離部4の詳細について説明する。図2に例示したクリーンルーム1には、室内10の床領域を形成する床12に、6個の床吸込口3が配置されている。
この図では、室内10の中央より壁13に近い位置に、壁13に平行に3個の床吸込口3が列をなすようにして配置されている。なお、このような床吸込口3の配置は、一例であって、クリーンルーム1の大きさや用途などによって、適宜、設計することができる。
ここで、図3は、床吸込口3の一部を取り出して説明する図である。床吸込口3は、直方体状の箱状部31と、箱状部31の上面開口に設置されるグレーチング32とによって主に構成される。
そして、箱状部31の側面312には、複数の配管33が接続される。図3は、1本の配管33が半割りにされる位置で破断させた斜視図である。配管33を箱状部31の側面312に接続させるアダプタ35には、箱状部31から配管33へのゴミの流入を防ぐゴミ止め部34が設けられる。
ゴミ止め部34は、箱状部31に流れ込んだ残渣などのゴミが配管33に流入するのを防ぐ部材で、例えば複数のスリット状の孔が設けられた円板、金網、有孔板などによって形成することができる。すなわち、ゴミ止め部34によって、主に水と空気だけが配管33に流れ込むことになる。
箱状部31の底面311には、図4(a)に示すように、水勾配が形成される。図4には、1体の箱状部31の側面312に対して、3本の配管33が接続された構成が例示されている。例えば、直径100mm程度の配管33が使用できる。
支持部36に支えられた箱状部31の内側の底面311には、各配管33に向けて速やかに水が流れ込むように、水勾配が設けられている。すなわち、箱状部31の底面311には水が溜まらず、底面311近傍に接続された配管33に短時間で排水が流れ込むので、衛生的である。
また、配管33についても、支持部36の高さに応じて確保できる高低差の範囲内で、水を流すための排水勾配を形成することができ、後述する気水分離部4に向けて速やかに排水が行われる。
本実施の形態の1体の箱状部31に対しては、3本の配管33が接続されているので、1本当たりの配管33の流量を減らすことができる。すなわち、1体の箱状部31に対して1本の配管を接続させる場合と比べて、配管33の径を細くすることができる。
配管33が細いほど、床12の厚さや床下空間の高さが小さくて済む。例えば、コンクリートの床12の内部に配管33を埋設する場合は、配管33が細い方が、床12の厚さを薄くできる。また、配管33の径が細い方が、支持部36の高さに応じて確保できる流下距離も、長くすることができる。
図2に示したように、本実施の形態で説明するクリーンルーム1では、6個の床吸込口3のすべてに、それぞれ3本の配管33が接続されている。この配管33は、室内10の床12が設けられる床領域において敷設され、床領域の外側には、床吸込口3から取り込まれた水と空気とを分離する気水分離部4が配置される。
図5は、気水分離部4の構成の一例を説明する斜視図である。気水分離部4には、3本の配管33から床吸込口3から取り込まれた水と空気が流れ込み、気水分離部4によって、空気は上方へ、水は下方へと分離される。
本実施の形態で説明する気水分離部4は、3本の配管33の端部が接続される円筒状の本体部41と、本体部41の上面から立ち上げられる排出管42と、本体部41の下面から垂下される排水管43とによって主に構成される。
本体部41は、横向きにした円筒管の両側面の開口が塞がれた空洞で、ここに流れ込んだ水と空気は、内部で自由に移動することができる。そして、本体部41の略中央には、排水管43の上端が接続されているので、本体部41に流れ込んだ水は、ほとんど滞留することなく排水管43によって排水される。
一方、水と分離された空気は、排出管42を通って上昇し、排出管42に接続された分離後ダクト51に流れ込む。この分離後ダクト51に流れ込む量は、風量調整弁511によって調整することができる。
図2に示すように、クリーンルーム1の床12の外側で気水分離部4によって分離された空気は、還気となって還気経路の一部である分離後ダクト51を通って、還気経路5の本管に流れ込む。一方、気水分離部4で分離された水は、排水管43によって排水される。
一方、図1及び図2に示すように、複数設けられる床吸込口3の少なくとも1個に接続される気水分離部4には、圧力制御部512が設けられる。図2では、6個ある床吸込口3のうちの室内中央の2個に、圧力制御部512が接続されている。
図6は、差圧ダンパ512aを備えた圧力制御部512の構成の一例を説明する斜視図である。この圧力制御部512の排出管42Aの下端は、図5に示したのと同様の気水分離部4の本体部41に接続される。
この排出管42Aには、上方に延びる途中に還気経路5の一部となる分離後ダクト51が接続される。また、排出管42Aの上部は直角に曲げられ、空気を外部に排気するための外部接続管512bに接続される。
そして、外部接続管512bの途中に、差圧ダンパ512aが設けられる。差圧ダンパ512aは、クリーンルーム1の室内10の圧力を制御するための弁で、室内10を陽圧に制御する場合は、排出管42Aに流れ込んだ空気の一部を、外部に排気させる。すなわち、床吸込口3から吸い込まれた清浄度の低い空気の一部は、圧力制御部512の差圧ダンパ512aを通って外部に排気される。
また、壁13の吸込口131から吸い込まれる室内10の空気は、還気経路の一部である壁ダクト52を通って、還気経路5の本管に流れ込む。すなわち、分離後ダクト51を通過した空気と、壁ダクト52を通過した空気は、還気経路5で混合した状態で送られ、直還気ダクト53と空調経由ダクト54とに流れ込む。
次に、本実施の形態のクリーン化システムの効果について実験した結果を、図7-図14を参照しながら説明する。
実験は、図7に示したクリーンルーム1を模した実験室の中央に、エアロゾル発生装置を設置し、そのエアロゾル発生装置から噴射した粉塵を、室内の12地点の測定点で測定することで行った。実験室には、3台のヒーターを設置した。ヒーターは、室内発熱を模して設置したもので、発熱による上昇気流により、クリーンルーム1の天井11からの下降気流を妨げる可能性があることを想定して設置した。
12地点の測定点は、図7に数字を四角で囲んで示した。測定点は、室内の中央(測定点1-3,8)と、床吸込口3の周辺(測定点4-7,9-12)に分散して配置されている。そして測定は、移動台車に載せたパーティクルカウンタを測定点1から順に移動させることで行った。パーティクルカウンタによる測定は、各測定点おいて、床面からの高さが2500mm、1500mm、500mmとなる各高さで行い、各高さの測定値から測定点の平均値を算出した。
図8-図10は、測定点1-12で測定された浮遊微粒子濃度(個/m3)の測定結果を示している。実験は、クリーンルーム1に設けられた床吸込口3と壁13の吸込口131との吸込み風量の割合を変えて行った。なお、クリーンルーム1への給気部2からの空気の供給量など、その他の条件は同じにした。
まず、図8(a)は、壁吸込み(壁13の吸込口131からの吸込み風量)の割合が0%で、床吸込み(床吸込口3からの吸込み風量)の割合が100%の実験結果を示している。すなわち、壁13の吸込口131からは吸込みを行わない場合の実験結果である。この実験結果を見ると、12地点の測定点のすべてにおいて、いずれの粉塵の大きさ(粒径D(μm))においても浮遊微粒子濃度が100,000(個/m3)を下回っており、床吸込みにより高い清浄度が維持できることが確認できた。
また、図8(b)は、壁吸込みの割合が20%で、床吸込みの割合が80%の実験結果である。この実験結果を見ても、すべての測定点において浮遊微粒子濃度が100,000(個/m3)を下回っており、壁13の吸込口131からの吸込みを併用しても、高い清浄度が維持できることが確認できた。
さらに、図9(a)は、壁吸込みの割合が40%で、床吸込みの割合が60%の実験結果を示し、図9(b)は、壁吸込みの割合が60%で、床吸込みの割合が40%の実験結果を示している。また、図10(a)は、壁吸込みの割合が80%で、床吸込みの割合が20%の実験結果を示している。これらの実験結果は、すべての測定点において浮遊微粒子濃度が100,000(個/m3)を下回り、高い清浄度が維持できていると言える。
これらに対して、図10(b)は、壁吸込みの割合が90%で、床吸込みの割合が10%の実験結果である。この実験結果を見ると、粒径Dが0.3μmの粉塵の量が、測定点2で100,000(個/m3)を上回っており、壁13の吸込口131からの吸込み風量の割合が90%以上になると、所望する清浄度が維持できなくなる可能性があることが判明した。換言すると、床吸込口3からの吸込みを一定量(例えば20%)以上の割合で行うことで、室内10の清浄度を高めることができる。
図11-図14は、本実施の形態のクリーン化システムを適用した場合に得られる清浄度クラスを説明するための図である。ここで、横軸は浮遊微粒子の粒径D(μm)を示し、縦軸は浮遊微粒子濃度(個/m3)を示している。そして、図中の丸印のプロットが、測定結果を示している。また、JIS規格に基づいた清浄度クラス(クラス1からクラス9)を、折れ線で併せて示した。
ここで、図11は、壁吸込みの割合が0%で床吸込みの割合が100%の実験結果を示し、図12は、壁吸込みの割合が80%で床吸込みの割合が20%の実験結果を示している。一方、図13は、壁吸込みの割合が90%で床吸込みの割合が10%の実験結果を示し、図14は、壁吸込みの割合が100%で床吸込みの割合が0%の実験結果を示している。
これらの測定結果を見ると、図11及び図12に示した床吸込みの割合が20%以上であれば、清浄度はクラス6の範囲内に入るが、図13及び図14に示した床吸込みの割合が10%以下となると、清浄度は0.3μmの粒径Dにおいてクラス7の清浄度クラスとなることがわかった。すなわち、クラス6を要求される薬品工場や食品工場、機械精密工場において、壁吸込みのみの還気では清浄度を維持することが難しいと考察できる。
また、壁吸込みのみで清浄度を向上させようとすれば、循環風量を増やすことになり、ランニングコストが増加することになるが、床吸込みを取り入れることで、少ない循環風量で清浄度ムラの少ない安定した清浄度空間を確保することができるようになる。
次に、本実施の形態のクリーン化システムの作用について説明する。
このように構成された本実施の形態のクリーン化システムは、室内10の床面に複数設けられる床吸込口3から取り込まれた水と空気は、床領域の外側に配置された気水分離部4によって分離される。そして、還気経路5を通ってフィルタ部6で清浄化された空気は、再び室内10に供給される。さらに、室内10の圧力を制御するための差圧ダンパ512aが、少なくとも1個の床吸込口3に接続されている。
このように、室内10を流れた空気を還気することで、空調にかかる電気量などが削減できるようになり、ランニングコストを抑えることができる。また、床吸込口3に接続される差圧ダンパ512aを備えているので、室内10を陽圧に保つなどの制御を容易に行うことができる。
さらに、床面の床吸込口3から室内10の空気を吸い込む構成とすることで、上述した実験結果で示したように、清浄度の低い空気を効率よく室内10から排出して、室内10の清浄度を高めることができる。また、床吸込口3からの吸込みを行うことで、少ない循環風量で高い清浄度を実現することができる。
また、室内10の壁13の下部に還気経路5に接続される吸込口131を設けることで、床吸込口3から室内10の空気のすべてを排出しなくてもよくなる。クリーンルーム1の大きさや用途によっては、循環風量が多くなる場合もあるが、そのようなケースでも、床下の配管33の径が太くなって床12の厚さが増したり、床下空間が高くなってしまったりするのを防ぐことができる。
さらに、気水分離部4が空気を上方へ、水を下方へと分離させる構成であれば、室内10から排出された空気と排水とが接触する時間を短くすることができ、還気する空気が排水に含まれる菌などによって汚染されるリスクを低減することができる。
本実施の形態の床吸込口3では、箱状部31に水が溜まることなく速やかに配管33に水が流れ、配管33に接続する気水分離部4においても、水が溜まることなく速やかに排水が行われるので、さらに衛生的である。
また、床吸込口3の箱状部31と気水分離部4との間を複数の配管33によって接続するのであれば、1本当たりの配管33の流量を減らすことが可能になるので、床下の配管33の径が太くなるのを防ぐことができる。
例えば、コンクリートを打設することによって構築される床12に配管33を埋設する場合は、床12の厚さは配管33の径によって影響を受けることになる。構造的に必要とされる床12の厚さの範囲内に、排水勾配も含めて収まる配管33の径であれば、床12の厚さを抑えることができ、経済的である。また、床下空間に配管33を配置する場合も、配管33の径が細い方が室内10空間を広くすることできるようになる。
さらに、箱状部31から配管33へのゴミの流入を防ぐゴミ止め部34が設けられることで、床吸込口3に流入した空気と水は、残渣などのゴミから速やかに分離されることになるので、衛生管理上、望ましい状態を保つことができる。また、ゴミ止め部34で堰き止められた残渣などは、グレーチング32を外せば簡単に取り除くことができ、メンテナンスも容易にできる。
また、還気経路5に風量調整弁511,521,531が設けられていれば、床吸込口3や壁13の吸込口131からの吸込み風量を調整することができる。すなわち、分離後ダクト51の風量調整弁511と壁ダクト52の風量調整弁521とを調整することで、床吸込口3からの吸込み風量を任意に調整できるので、室内10の清浄度を高めるなどのクリーンルーム1の大きさや用途に合った制御が、容易に行えるようになる。例えば、床吸込口3の吸込み風量を20%以上に調整することで、室内10の清浄度を高めることができる。
さらに、還気経路5を流れる空気の一部を、空調経由ダクト54を通して空調機8を経由させることで、室内10に還気させる空気の温度と湿度を、適切な状態に調整することが容易にできる。特に、循環風量が安定している場合は、空調機8を最大限に稼働させる必要がなくなり、ランニングコストの低減を図ることができる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、床吸込口3に繋がる分離後ダクト51と壁ダクト52との両方に風量調整弁511,521を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方にだけ風量調整弁を設けることもできる。また、複数ある床吸込口3に通じる一部の分離後ダクト51にのみ、風量調整弁511を設けることもできる。
また、前記実施の形態では、床吸込口3によって排水を行う場合について説明したが、クリーンルーム1の排水設備として、床吸込口3だけでなく、別途、排水用側溝などを室内10に設けることもできる。
さらに、前記実施の形態で説明した1個の床吸込口3あたりの配管33の数や気水分離部4の構成は一例であり、これに限定されるものではなく、例えば気水分離部には3本以外の数の配管が接続される構成であってもよい。
1 :クリーンルーム
10 :室内
11 :天井
12 :床
13 :壁
131 :吸込口
2 :給気部
3 :床吸込口
31 :箱状部
33 :配管
34 :ゴミ止め部
4 :気水分離部
42,42A:排出管
43 :排水管
5 :還気経路
511 :風量調整弁
512a :差圧ダンパ
521 :風量調整弁
6 :フィルタ部

Claims (7)

  1. 室内の空気の清浄度を保つためのクリーン化システムであって、
    前記室内の天井側から床面に向けて空気を供給する給気部と、
    前記室内の床面に複数設けられる床吸込口と、
    前記室内の床が設けられる床領域の外側に配置されて前記床吸込口から取り込まれた水と空気とを分離する気水分離部と、
    前記気水分離部で分離された空気を前記室内に戻すための還気経路と、
    前記給気部に送られる空気を清浄化させるフィルタ部と、
    前記室内の圧力を制御するために前記床吸込口に接続される差圧ダンパと
    前記床吸込口に配置される箱状部と、
    前記箱状部と前記気水分離部との間を接続する複数の配管とを備え
    前記複数の配管はコンクリートの床の内部に埋設されていることを特徴とするクリーン化システム。
  2. 前記室内の壁の下部には、前記還気経路に接続される吸込口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリーン化システム。
  3. 前記気水分離部によって、空気は上方に水は下方に分離されることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーン化システム。
  4. 前記箱状部から前記配管へのゴミの流入を防ぐゴミ止め部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーン化システム。
  5. 前記還気経路には、風量調整弁が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のクリーン化システム。
  6. 前記還気経路を流れる空気の一部を空調機を経由させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のクリーン化システム。
  7. 前記床吸込口から取り込まれる空気の量は、前記室内から排出される空気の量の20%以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のクリーン化システム。
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