以下、図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明における本開示での実施形態は、本発明の具体例であり、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限定されないものとする。
本開示での実施形態に係るポート開設場所提案装置1は、ユーザ間で共有する共有乗物の置き場である複数のポートそれぞれでユーザへの共有乗物の貸出及びユーザからの共有乗物の返却の少なくとも一方を行うサービスにおいて、新たなポートの開設場所を提案する。
サービスは、バイクシェアリング(自転車シェアリング、レンタル自転車、レンタサイクル)サービス、レンタカーサービス及びカーシェアリング(自動車シェアリング)サービスを想定するが、これに限るものではない。サービスは、サービス提供者によって提供される。サービス提供者は、共有乗物及びポートを管理すると共に、共有乗物のユーザへの貸出を管理する。ポート開設場所提案装置1は、サービスを提供するために必要な一般的な機能(ユーザへの共有乗物の貸出を行うための機能及びユーザからの共有乗物の返却を受け付けるための機能などを含む)を備えているものとする。例えば、ポート開設場所提案装置1は、株式会社ドコモ・バイクシェアが提供するバイクシェアサービス(URL:https://docomo-cycle.jp/)を提供するために必要な機能を備える。
共有乗物は、ユーザ(人)を乗せて移動する一般的な乗物であり、例えば、自転車などの人力駆動の車両、電動アシスト自転車などの電動アシスト機能付き車両、自動車及びトラックなどのガソリンエンジン及びディーゼルエンジンなどを動力源とした車両、電気自動車及び燃料電池自動車などの電動機を動力源とした車両、飛行機、ヘリコプター及びホバークラフトなどのプロペラエンジン及びジェットエンジンなどを動力源とした飛行体、スクリューエンジンなどを動力源とした船、並びに馬及びラクダなどの生物である。
ポートは、共有乗物を一時的に置く(保管する)場所であり、例えば、駐輪場、駐車場、駐機場及び港などである。共有乗物は、初期状態又はユーザから返却された後、及び、ユーザへ貸し出されるまで、ポートに置かれる。ポートは、共有乗物のエネルギーを補充する設備を備えていてもよい。例えば、共有乗物が電動アシスト自転車の場合、ポートは電動アシスト自転車の電池を充電する充電設備を備えていてもよい。ポートは、共有乗物が当該ポートに置かれている間に当該共有乗物のエネルギーを(自動的に)補充してもよい。ポートは、ユーザの利便性のため、地理上の各所に設置される。
本実施形態では、共有乗物として電動アシスト自転車を想定し、ポートとして駐輪場を想定するが、これに限るものではない。
図1は、実施形態に係るポート開設場所提案装置1の機能構成の一例を示す図である。図1に示す通り、ポート開設場所提案装置1は、格納部10、取得部11、判定部12及び出力部13を含んで構成される。
ポート開設場所提案装置1の各機能ブロックは、ポート開設場所提案装置1内にて機能することを想定しているが、これに限るものではない。例えば、ポート開設場所提案装置1の機能ブロックの一部は、ポート開設場所提案装置1とは異なるコンピュータ装置であって、ポート開設場所提案装置1とネットワーク接続されたコンピュータ装置内において、ポート開設場所提案装置1と情報を適宜送受信しつつ機能してもよい。また、ポート開設場所提案装置1の一部の機能ブロックは無くてもよいし、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックに統合してもよいし、一つの機能ブロックを複数の機能ブロックに分解してもよい。
以下、図1に示すポート開設場所提案装置1の各機能について説明する。
格納部10は、ポート開設場所提案装置1が行う各種処理で用いる各種データを格納する。格納部10によって格納された各種データは、ポート開設場所提案装置1が行う各種処理において各機能ブロックによって適宜参照及び更新される。例えば、格納部10は、予め用意された、後述のグラフ及び既存のポートに関するデータを格納する。
取得部11は、新たなポートの候補となる開設場所に関する候補開設場所情報を取得する。例えば、取得部11は、格納部10によって予め格納された候補開設場所情報を取得してもよいし、ポート開設場所提案装置1とネットワーク接続された異なるコンピュータ装置からネットワークを介して候補開設場所情報を取得してもよいし、ポート開設場所提案装置1の管理者から後述の入力装置1005を介して入力された候補開設場所情報を取得してもよい。取得部11は、取得した候補開設場所情報を判定部12に出力する。
候補開設場所情報は、例えば、新たなポートの候補となる開設場所の物理的な位置情報である緯度及び経度であってもよいし、当該開設場所を一意に識別する名称又は情報であってもよいし、後述のグラフに含まれるノードを一意に識別する情報であってもよい。
取得部11は、複数の候補開設場所情報を取得してもよい。例えば、取得部11は、新たなポートの候補となる開設場所A、新たなポートの候補となる別の開設場所B、及び、新たなポートの候補となるさらに別の開設場所Cのそれぞれの候補開設場所情報を取得する。取得部11は、複数の候補開設場所情報を取得した場合、各候補開設場所情報を一つ一つ順に判定部12に出力する。
取得部11は、例えば、後述のグラフに関する情報を取得し、当該グラフに含まれる一部又は全てのノードを、新たなポートの候補となる開設場所とし、当該各ノードに関する情報(例えばノード識別情報)を判定部12に出力してもよい。
判定部12は、交通網を表現したグラフであってノード間を移動する際の移動コストが当該ノード間のエッジにおける交通手段ごとの重みに基づくグラフを用いて、取得部11によって取得された候補開設場所情報が示す開設場所に基づくノードである第一ノードと、他のノードである第二ノードとの間を移動する際の移動コストを、共有乗物を利用して移動する場合と他の交通手段を利用して移動する場合とでそれぞれ算出し、算出結果に基づいて当該開設場所を提案するか否かを判定する。判定部12は、判定結果を出力部13に出力する。
グラフは、グラフ理論(Graph theory)におけるグラフである。グラフは、ノード(節点、頂点)の集合とエッジ(枝、辺)の集合とで構成される。本実施形態では、交通網を表現したグラフ(交通網における接続関係)を単にグラフと呼ぶ。グラフに含まれるノードは、例えば、道路の交差点、バス停、駅、タクシー乗り場、ポート、店、イベント会場、観光スポット、POI(Point Of Interest)、飛行場、港、家、及び、会社などを示す。グラフに含まれるエッジは、道路、道、路線、線路、航路、及び、海路などを示す。
グラフは、少なくとも一部のエッジの重みが当該エッジの向きによって異なってもよい。例えば、グラフは有向グラフである。本実施形態ではグラフとして有向グラフを想定するが、これに限るものではない。エッジの重みは、交通手段によって異なってもよい(異なる定義を持ってもよい)。エッジの重みは、時間帯によって異なってもよい(変動させてもよい)。エッジの重みは、例えば当該エッジの距離(長さ)であってもよい。エッジの重みは、ノード間の距離、ノード間の交通手段による移動に要する時間、ノード間の交通手段の混雑度、ノード間の交通手段の遅延発生率、ノード間の交通手段の運賃、ノード間の坂道の有無、時間帯、及び、ノード周辺のユーザの属性の少なくとも一つに基づいてもよい。
ノード間を移動する際の移動コストは、グラフの重みに基づく。より具体的には、移動コストは、グラフの重みの総和として表現される。なお、ノード間の移動は、最短コストの経路に基づいて行われるものとする。最短コストは、交通手段ごとにダイクストラ法やA*アルゴリズムなどを用いて算出してもよい。
判定部12が用いるグラフは、交通手段(又はエッジの種類)ごとに別々のグラフであってもよい。図2~図5を用いて、交通手段ごとのグラフ及び当該グラフでの移動コストの算出について説明する。
図2は、道路による有向グラフの一例を示す図である。図2に示す有向グラフにおいて、ノードN1~N9は、道路の交差点を示す。ノード間のエッジは、道路を示す。判定部12は、図2に示す有向グラフに基づいた、道路を利用する交通手段のグラフを用いてもよい。例えば、交通手段が共有乗物(電動アシスト自転車)のグラフ、交通手段が徒歩のグラフ、交通手段がバスのグラフ、及び、交通手段がタクシーのグラフなどである。
交通手段が共有乗物のグラフの場合、判定部12は、ポートが存在する場所をノードとして、道路による有向グラフに追加すると共に、当該ノードと、道路による有向グラフにおけるノードのうち例えば当該ノードに距離が近いノードとの間にエッジを追加する(接続させる、結びつける)。図3は、ポートから(道路による有向グラフにおける)近隣ノードに移動するための有向グラフの一例を示す図である。図3に示す通り、ポートP1とノードN1とが接続関係にあり、ポートP2とノードN2とが接続関係にあり、ポートP3とノードN3とが接続関係にあり、ポートP4とノードN4とが接続関係にあり、ポートP5とノードN8とが接続関係にある。図2に示す道路による有向グラフと図3に示すポートから近隣ノードに移動するための有向グラフとを統合した(重ね合わせた)グラフが、交通手段が共有乗物のグラフとなる。
交通手段が共有乗物のグラフにおいて、エッジの重みは、ノード間の共有乗物による所要時間、ノード間の移動距離、ノード間の移動に伴う共有乗物の運賃、及び、ノード間の道路の混雑度の少なくとも一つ以上に基づく。例えば、移動コストは、式「α×所要時間+β×道の混雑度+γ×移動距離+θ×運賃」で示される。なお、α、β、γ及びθはそれぞれ所定の定数である(後述のα、β、γ及びθとは別の独自の所定の定数である)。
交通手段が徒歩のグラフの場合、判定部12は、道路による有向グラフを用いる。エッジの重みは、ノード間の徒歩による所要時間、ノード間の移動距離、及び、ノード間の道路の混雑度の少なくとも一つ以上に基づく。ノード間の移動距離に基づく重みは、当該ノード間の坂道の有無及び度合(坂道の角度など)にさらに基づいてもよい。例えば、移動コストは、式「α×所要時間+β×道の混雑度+γ×移動距離」で示される。なお、α、β及びγはそれぞれ所定の定数である(上述及び後述のα、β及びγとは別の独自の所定の定数である)。
交通手段がバスのグラフの場合、判定部12は、道路による有向グラフに基づいた、バス停が存在する場所をノードとし、バスの運行ルート(路線)に沿ってエッジが形成されたグラフを用いる。エッジの重みは、ノード間のバスの移動による所要時間、ノード間の道路の混雑度、ノード間のバスの遅延発生率、及び、ノード間の移動に伴うバスの運賃の少なくとも一つ以上に基づく。例えば、移動コストは、式「α×所要時間+β×混雑度+γ×遅延発生率+θ×運賃」で示される。なお、α、β、γ及びθはそれぞれ所定の定数である(上述及び後述のα、β、γ及びθとは別の独自の所定の定数である)。
交通手段がタクシーのグラフの場合、判定部12は、道路による有向グラフを用いる(適宜、タクシー乗り場などをノードとして追加する)。エッジの重みは、ノード間のタクシーの移動による所要時間、ノード間の道路の混雑度、及び、ノード間の移動に伴うタクシーの運賃(移動距離と所要時間より推計)の少なくとも一つ以上に基づく。例えば、移動コストは、式「α×所要時間+β×混雑度+γ×運賃」で示される。なお、α、β及びγはそれぞれ所定の定数である(上述及び後述のα、β及びγとは別の独自の所定の定数である)。なお、タクシーに乗ったノード(移動開始ノード)によっては、ノードごと又は時間帯ごとの乗車待ち時間を所要時間に加算する(例えば、時間帯によって乗車の待ち時間が変わる)と共に、初乗り運賃を運賃に加算してもよい(例えば、夜になると運賃が上がる)。
図4は、電車による有向グラフの一例を示す図である。図4に示す有向グラフにおいて、ノードN1、N3、N6、N8、N9及びN10は、駅を示す。なお、上述の通り、ノードN1、N3、N6、N8及びN9は、交差点(又は、バス停、タクシー乗り場など)でもある(例えば、交差点と駅がほぼ同じ位置又は互いに近い距離にある)。ノード間のエッジは、線路を示す。ここで、ノードN9及びN10は、互いに通路で繋がった乗換駅である。図5は、(乗換駅での電車の)乗り換えによる有向グラフの一例を示す図である。図5に示す通り、ノードN9とノードN10とが接続関係にある。図4に示す電車による有向グラフと図5に示す乗り換えによる有向グラフとを統合した(重ね合わせた)グラフが、交通手段が電車のグラフとなる。
交通手段が電車のグラフにおいて、エッジの重みは、ノード間の電車の移動による所要時間、ノード間の電車の混雑度、ノード間の電車の遅延発生率、及び、ノード間の移動に伴う電車の運賃の少なくとも一つ以上に基づく。例えば、移動コストは、式「α×所要時間+β×混雑度+γ×遅延発生率+θ×運賃」で示される。なお、α、β、γ及びθはそれぞれ所定の定数である(上述及び後述のα、β、γ及びθとは別の独自の所定の定数である)。
乗換駅については、路線別に別々のノードとし、路線間のノードをエッジで接続してもよい。当該エッジの重みは、乗り換えに要する乗換時間、乗り換えの移動経路中の混雑度、乗り換えの徒歩移動距離、及び、乗り換えに要する乗り換え運賃の少なくとも一つ以上に基づく。例えば、移動コストは、式「α×所要時間+β×移動経路中の混雑度+γ×徒歩移動距離+θ×乗り換え運賃」で示される。なお、α、β、γ及びθはそれぞれ所定の定数である(上述のα、β、γ及びθとは別の独自の所定の定数である)。
図6は、図2~5に示す有向グラフを統合した有向グラフの一例を示す図である。判定部12は、交通手段ごとに別々のグラフを用いるのではなく、図6に示すような、各交通手段の有向グラフを統合した有向グラフを用いてもよい。
上述した移動手段以外の移動手段についても、適宜有向グラフを定義し、当該有向グラフを判定部12が用いてもよい。また、上述の各種所定の定数について、周辺ノードのユーザの属性情報(プロフィール)に基づいて変化させてもよい。例えば、高齢者の多いエリアでは、共有乗物よりも電車及びバスなどの公共交通機関又はタクシーに乗る嗜好性が高いため、エリアの嗜好性を加味して係数を変更する。また、移動コストを算出する際に、各エッジを通過する時間帯を考慮してもよい(時間帯に基づいてもよい)。
第一ノードと第二ノードとの間の移動は、複数の交通手段を利用した移動を含み、当該移動の移動コストは、複数の交通手段それぞれの移動コストに基づいてもよい。別の交通手段に跨る場合に所定の移動コストを加算してもよい。より具体的には、判定部12は、一定区間はある交通手段、別の一定区間は別の交通手段など、複数の交通手段を跨いだ移動についても、グラフの重みを加算することで移動コストを算出してもよい。この場合、判定部12は、交通手段の切り替えに想定されるペナルティ(乗り換え時間及び運賃など)を移動コストに加算してもよい。
判定部12は、グラフを用いて移動コストを算出する際に、格納部10によって格納された重み付き有向グラフ換算用データテーブル及び重み付き有向グラフテーブルを用いてもよい。判定部12は、重み付き有向グラフ換算用データテーブルに基づき、重み付き有向グラフテーブルを生成する。
図7は、重み付き有向グラフ換算用データテーブルのテーブル例を示す図である。図7に示すテーブル例の通り、有向グラフ換算用データテーブルは、曜日と、時間帯と、交通手段を識別する交通手段名と、グラフのノードの名称であるノード名と、当該ノードを識別するノードIDと、当該ノードが接続されるノードのノードIDである至ノードIDと、ノードIDが示すノードと至ノードIDが示すノードとの間(エッジ)を当該交通手段で移動する際の当該曜日及び時間帯の所要時間と、当該エッジにおける当該交通手段の当該曜日及び時間帯の混雑度と、当該エッジにおける当該交通手段の当該曜日及び時間帯の遅延発生率と、当該エッジにおける当該交通手段の当該曜日及び時間帯の運賃とが対応付いている。
図8は、重み付き有向グラフテーブルのテーブル例を示す図である。図8に示すテーブル例の通り、有向グラフテーブルは、曜日と、時間帯と、交通手段を識別する交通手段名と、グラフのノードの名称であるノード名と、当該ノードを識別するノードIDと、当該ノードが接続されるノードのノードIDである至ノードIDと、ノードIDが示すノードと至ノードIDが示すノードとの間(エッジ)の重みの値である重み値とが対応付いている。
判定部12は、取得部11によって取得された候補開設場所情報が示す開設場所のうち、既存の(周辺の)ポートまでの距離が所定の条件を満たす開設場所に基づくノードを第一ノードとしてもよい。例えば、判定部12は、第一ノードの数を減らして計算量を抑えるため、候補開設場所情報が示す開設場所のうち、既存のポートまでの距離が所定の閾値に収まる(所定の下限閾値以上、及び、所定の上限閾値以下の少なくとも一方を満たす)開設場所に基づくノードを第一ノードとする。また例えば、判定部12は、ユーザーは移動しにくいポート間の移動を嫌気するため、候補開設場所情報が示す開設場所のうち、既存のポートまで所定の距離以内の開設場所に基づくノードを第一ノードとしてもよい。
判定部12は、取得部11によって取得された候補開設場所情報が示す開設場所のうち、既存のポートまでの距離と当該既存のポートにおける共有乗物の需要とが所定の条件を満たす開設場所に基づくノードを第一ノードとしてもよい。以下具体的に説明する。まず、ポートには一つ以上のラックがあり、一つのラックにつき一つの共有乗物を置けるものとする。判定部12は、ラック数に対する需要が過剰なポートの近くに開設場所を提案し、需要が過小なポートの遠くに開設場所を提案するため、候補開設場所情報が示す開設場所について、以下の式に基づいて、近隣ポートのラック数に対する最大需要を算出し、ポートの需要、ラック数及び距離の比を算出し、算出した比が所定の閾値以上の場合に、当該開設場所に基づくノードを第一ノードとする(iはポートを識別するIDを示し、Nは所定の距離以内となる全ポート数を示す)。
判定部12は、候補開設場所情報が示す開設場所のうち、上述の2つの所定の条件の一方だけでなく、両方を満たす開設場所に基づくノードを第一ノードとしてもよい。判定部12は、通常の場合、又は、周辺に既存のポートが無い場合などは、第一ノードの絞り込みを行わなくてもよい。
判定部12は、第一ノードと第二ノードとの間を所定の期間に移動する人の数を取得し、取得した数にさらに基づいて当該開設場所を提案するか否かを判定してもよい。
以下、判定部12による判定の2つの処理例について説明する。
[処理例1]
判定部12は、グラフを用いて、候補開設場所情報が示す開設場所から徒歩による移動コストが所定の値以下となる周辺ノードを含めて始点(第一ノード)とし、各始点から所定の移動コストの値コスト以下で到達可能な全てのノードである終点ノード(第二ノード)との移動コストを、共有乗物を利用して移動する場合と他の交通手段を利用して移動する場合とでそれぞれ算出する。なお、終点ノードは、ユーザが共有乗物で立ち寄る場所(店、イベント会場、駅、自宅及び勤務先など)やポートなど、ユーザが移動の後に滞留する目的地を意図している。次に、判定部12は、共有乗物による移動コストが他の交通手段に比べて最小となるケースの移動を抽出する。時間帯によって移動コストは変化するため、判定部12は、全時間帯について算出を行う。次に、判定部12は、抽出された移動におけるノード間(始点ノードと終点ノードとの間)の全交通機関の所定の期間の移動量の総量を求める。移動量の総量は、例えば、移動体通信網(モバイルネットワーク)の利用者位置情報の統計値に基づいて求めてもよいし、人口流動統計を用いてもよいし、他の一般的な既存技術を利用して求めてもよい。判定部12は、求めた移動量の総量が所定の閾値を超える場合に十分な需要が見込めるとし、候補開設場所情報が示す開設場所を提案すると判定し、求めた移動量の総量が所定の閾値を超えない場合に十分な需要が見込めないとし、候補開設場所情報が示す開設場所を提案しないと判定する。以上が処理例1である。
[処理例2]
判定部12は、ポートが開設された場合にユーザ(利用顧客)がいると期待されるノードのリストとして、候補開設場所情報が示す開設場所からの徒歩による移動コストが所定の値以下のノードのリストを抽出する。抽出された各ノードを始点ノード(第一ノード)とする。この移動コストをc1とする。次に、判定部12は、候補開設場所情報が示す開設場所から、移動コストが所定の値以下となる、次のポートを列挙する。この移動コストをc2とする。次に、判定部12は、列挙された到達可能なポートについて、徒歩による移動コストが所定の値以下となるノードのリストを抽出する。このノードを終点ノード(第二ノード)とする。このコストをc3とする。また、上述のc1、c2及びc3の合計移動コストをc_bikeとする。ここで、c_bikeが所定の値以下となるように制約を加えてもよい。なお、ここまでに抽出される始点ノード及び終点ノードは、ポートがあるノードではなく、ユーザの出発地点及び到着地点である。
次に、判定部12は、これらの始点ノードから、終点ノードまでの他の交通機関の移動コストを求める。ここで求められる各交通機関のコストをc_other_0、c_other_1、…とする。次に、判定部12は、共有乗物によって移動コストが削減される各交通手段による移動量の総和を求める。c_bikeとc_other_i、つまり、始点ノードからの共有乗物による移動コストと各交通手段ごとの移動コストとを比較する。この結果、共有乗物の移動コストの方が低くなった場合、判定部12は、該当交通手段の移動量を総和値に加える。この総和値をbike_demandとする。なお、上述の通り、各交通手段の移動量は、例えば、移動体通信網の利用者位置情報の統計量を利用して求める。
次に、判定部12は、bike_demandの値を全ての始点ノード及び終点ノードのリストについて求め、さらに総和を取る。求められたbike_demandの総和をbike_demand_totalとする。次に、判定部12は、bike_demand_totalの値が所定の閾値を超える場合に十分な需要が見込めるとし、候補開設場所情報が示す開設場所を提案すると判定し、bike_demand_totalの値が所定の閾値を超えない場合に十分な需要が見込めないとし、候補開設場所情報が示す開設場所を提案しないと判定する。
なお、到着地点が実際の目的地ではなく、駅又はバス停のような移動経路中の交通結節点である場合も考慮してよい。この場合、判定部12は、当該地点までの移動コストと移動量の総和を計算し、比較する。以上が処理例2である。
出力部13は、判定部12によって入力された判定結果に基づき、判定部12によって提案すると判定された開設場所に関する開設場所情報を出力する。出力部13は、開設場所情報を、ポート開設場所提案装置1とネットワーク接続された異なるコンピュータ装置へネットワークを介して出力(送信)してもよいし、ポート開設場所提案装置1へ管理者後述の出力装置1006を介して出力(表示)してもよい。
開設場所情報は、第一ノードと第二ノードとの間を所定の期間に移動する人の数(全交通手段の移動量の総量)に基づく情報を含んでもよい。より具体的には、出力部13は、上述の通り、判定部12が取得した当該数を取得し、取得した数に基づく情報を出力してもよい。例えば、出力部13は、取得した数に基づき、対応するノード間をヒートマップ表示してもよい。
開設場所情報は、当該開設場所情報が示す開設場所における共有乗物の需要に関する情報を含んでもよい。より具体的には、出力部13は、当該開設場所情報が示す開設場所におけるポートの、共有乗物の需要に基づく推奨ラック数を出力してもよい。以下、具体例を説明する。
まず、出力部13による学習用データの作成及び機械学習について説明する。出力部13は、開設場所情報が示す開設場所について、既存のポート間の移動コストを算出し、移動コストが所定の値以下となるポート間のノードに対象を限定する。次に、出力部13は、該当ポート間について、過去の共有乗物の移動の平均利用者数が最大となる時間帯・曜日における平均利用者数を算出する。図9は、出力部13が算出の際に用いる、共有乗物の移動量テーブルのテーブル例を示す図である。図9に示すテーブル例の通り、移動量テーブルは、始点ポートを識別する始点ポートIDと、終点ポートを識別する終点ポートIDと、曜日と、時刻と、当該始点ポート及び終点ポート間の当該曜日の当該時刻の平均移動人数とが対応付いている。
次に、出力部13は、該当ノード間について、上述と同じ時間帯・曜日における全交通手段の人の移動量の総和を算出する。図10は、出力部13が算出の際に用いる、ノード間の総交通移動量テーブルのテーブル例を示す図である。図10に示すテーブル例の通り、総交通移動量テーブルは、始点ポートを識別する始点ポートIDと、終点ポートを識別する終点ポートIDと、曜日と、時刻と、当該始点ポート及び終点ポート間の当該曜日の当該時刻の平均移動人数とが対応付いている。この移動量推定は人口流動統計のような手法を用いて、移動体通信網の過去の利用者位置情報から実移動量を推定する方法などが考えられる。
次に、出力部13は、2つのノードのエリアの属性情報を格納部10によって格納されたエリア特性テーブルから取得する。図11は、エリア特性テーブルのテーブル例を示す図である。図11に示すテーブル例の通り、エリア特性テーブルは、エリアを識別するメッシュIDと、当該エリアの特性を示すエリア特性と、当該エリアに含まれる商業POIの数である商業POI数と、当該エリアに含まれる工業POIの数である工業POI数とが対応付いている。エリアの特性を示す情報としては、商圏エリア、工業エリア、学校エリア、富裕エリア、居住地エリア、及び、カテゴリ別のPOI数などが挙げられる。
次に、出力部13は、ポートに最も近いノードから、各交通手段を用いた場合の移動コストを算出する。出力部13は、共有乗物の移動コスト、各交通手段の移動コスト、共有乗物の最大利用者数(過去の共有乗物の移動の平均利用者数が最大となる時間帯・曜日における平均利用者数)、該当時間帯の全交通手段の人の移動量、エリアの属性情報を全てのノードペアについて求め、学習データとする。図12は、学習データテーブルのテーブル例を示す図である。次に、出力部13は、目的変数を共有乗物の最大利用者数、説明変数をそれ以外のデータとし、機械学習を行う。機械学習手法としては、LSTM(Long Short-Term Memory)、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree)及び時系列回帰の手法などが挙げられる。
続いて、出力部13による推定について説明する。出力部13は、開設場所情報が示す開設場所のノードについて、到達可能な全てのノードにおける共有乗物の移動コスト、各交通手段の移動コスト、共有乗物の最大利用者数、該当時間帯の全交通機関の人の移動量、及び、エリアの属性情報を求める。出力部13は、求めたものを入力データとして、上述の学習済み機械学習モデルを用いて該当ポートの最大利用者数を推定する。次に、出力部13は、推定した最大利用者数に基づいて、所定の係数を乗算した値を推奨ラック数として出力する。
続いて、図13を参照しながら、ポート開設場所提案装置1が実行する処理の例を説明する。図13は、ポート開設場所提案装置1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、取得部11が、候補開設場所情報を取得する(ステップS1)。次に、判定部12が、グラフを用いて、S1にて取得された候補開設場所情報が示す開設場所に基づく第一ノードと他のノードである第二ノードとの間を移動する際の移動コストを、共有乗物を利用して移動する場合と他の交通手段を利用して移動する場合とでそれぞれ算出し、算出結果に基づいて当該開設場所を提案するか否かを判定する(ステップS2)。次に、出力部13が、S2にて提案すると判定された開設場所に関する開設場所情報を出力する(ステップS3)。
なお、S1にて複数の候補開設場所情報を取得した場合、それぞれの候補開設場所情報について順にS2及びS3の一連の処理を実行する。また、S3において、S2にて提案しないと判定された開設場所に関する開設場所情報については出力しない。
続いて、実施形態に係るポート開設場所提案装置1の作用効果について説明する。
ポート開設場所提案装置1によれば、取得部11が、新たなポートの候補となる開設場所に関する候補開設場所情報を取得し、判定部12が、交通網を表現したグラフであってノード間を移動する際の移動コストが当該ノード間のエッジにおける交通手段ごとの重みに基づくグラフを用いて、取得部11によって取得された候補開設場所情報が示す開設場所に基づくノードである第一ノードと、他のノードである第二ノードとの間を移動する際の移動コストを、共有乗物を利用して移動する場合と他の交通手段を利用して移動する場合とでそれぞれ算出し、算出結果に基づいて当該開設場所を提案するか否かを判定し、出力部13が、判定部12によって提案すると判定された開設場所に関する開設場所情報を出力する。この構成により、新たなポートの候補となる開設場所のうち、提案すると判定された開設場所に関する開設場所情報が出力されるため、ポートの開設場所を提案することができる。
また、ポート開設場所提案装置1によれば、判定部12が、取得部11によって取得された候補開設場所情報が示す開設場所のうち、既存のポートまでの距離が所定の条件を満たす開設場所に基づくノードを第一ノードとしてもよい。この構成により、算出対象とするノードを絞り込むことができるため、ポート開設場所提案装置1の計算量を減らすことができる。
また、ポート開設場所提案装置1によれば、判定部12が、取得部11によって取得された候補開設場所情報が示す開設場所のうち、既存のポートまでの距離と当該既存のポートにおける共有乗物の需要とが所定の条件を満たす開設場所に基づくノードを第一ノードとしてもよい。この構成により、算出対象とするノードを絞り込むことができるため、ポート開設場所提案装置1の計算量を減らすことができる。
また、グラフは、少なくとも一部のエッジの重みが当該エッジの向きによって異なってもよい。この構成により、実際の交通網の状況をより正確に反映したグラフを用いることができるため、より適確なポートの開設場所を提案することができる。
また、グラフのエッジの重みは、ノード間の距離、ノード間の交通手段による移動に要する時間、ノード間の交通手段の混雑度、ノード間の交通手段の遅延発生率、ノード間の交通手段の運賃、ノード間の坂道の有無、時間帯、及び、ノード周辺のユーザの属性の少なくとも一つに基づいてもよい。この構成により、実際の交通網の状況をより正確に反映したグラフを用いることができるため、より適確なポートの開設場所を提案することができる。
また、ポート開設場所提案装置1によれば、第一ノードと第二ノードとの間の移動は、複数の交通手段を利用した移動を含み、当該移動の移動コストは、複数の交通手段それぞれの移動コストに基づいてもよい。この構成により、実際の人の移動をより正確に反映した移動コストを算出することができるため、より適確なポートの開設場所を提案することができる。
また、別の交通手段に跨る場合に所定の移動コストを加算してもよい。この構成により、実際の人の移動をより正確に反映した移動コストを算出することができるため、より適確なポートの開設場所を提案することができる。
また、ポート開設場所提案装置1によれば、判定部12が、第一ノードと第二ノードとの間を所定の期間に移動する人の数にさらに基づいて当該開設場所を提案するか否かを判定してもよい。この構成により、実際の人の移動の需要も考慮した、より適確なポートの開設場所を提案することができる。
また、開設場所情報は、当該開設場所情報が示す開設場所における共有乗物の需要に関する情報を含んでもよい。この構成により、ポートの開設場所の提案と共に、当該開設場所における共有乗物の需要に関する情報も出力されるため、より説得力のある提案を出力することができる。
また、開設場所情報は、第一ノードと第二ノードとの間を所定の期間に移動する人の数に基づく情報を含んでもよい。この構成により、ポートの開設場所の提案と共に、当該ポートにおいて移動する人の数に基づく情報も出力されるため、より説得力のある提案を出力することができる。
以上の通り、ポート開設場所提案装置1により、共有乗物(バイクシェアなど)の新規ポートを開拓することができる。ここで、背景及び従来技術の課題について説明する。近年、共有乗物の需要が高まっており、新規ポートの開拓が進んでいる。しかしながら、ポートの開設場所は必ずしもユーザの需要を反映してはいないという課題があった。また、公共交通で移動しづらい(鉄道がない、バスの本数が少ないなど)区間での利用が見込まれるが、具体的にどの場所かが分からないという課題があった。
ポート開設場所提案装置1は、3つのポイントを含む。1つ目のポイントは、有向グラフを用いて、各交通手段の移動コストと共有乗物の移動コストの比較を行う点である。例えば、公共交通のネットワークにおけるエッジ重みの式は「α×所要時間+β×混雑度+γ×遅延発生率+θ×運賃」で表現される。2つ目のポイントは、新規ポートの提案数を最小化するため(次段の有向グラフ計算の計算量が大きいため前処理として)、既存ポートまでの距離閾値に収まるように新規ポートの配置場所を探索する点である。3つ目のポイントは、新規ポートの推奨ラック数を提示する点である。具体的には、既存ポート間のユーザ数から機械学習による需要予測モデルを用いて推定する。
ポート開設場所提案装置1による課題解決の具体的なストーリについて説明する。溜池山王駅及び国会議事堂前駅、並びに、永田町駅及び赤坂見附駅は、地下通路で繋がった乗換駅である。これらの駅は駅間の徒歩移動距離が長く、移動にとても時間がかかることが知られている。例えば、六本木一丁目から霞が関に向かいたいとする場合、現在取りうる手段として以下の移動が挙げられる。
[地下鉄を使う場合]
12分の移動と165円の出費(六本木一丁目駅から溜池山王駅までの南北線での移動と、溜池山王前駅から国会議事堂前駅までの乗り換えによる5分の徒歩移動と、国会議事堂前駅から霞が関駅までの千代田線での移動とを含む)。
[バスで移動する場合]
18分の移動と206円の出費(11分の徒歩)。
[タクシーで移動する場合]
5分の移動と680円の出費+待ち時間
[徒歩で移動する場合]
21分の移動
このような場合において、もし共有車両を使うことができれば移動時間と金額負担と歩行の労力とを軽減することができる(想定:7分の移動+駐輪時間。月額定額料金に収まる)。霞ヶ関駅の近くにはポートは現状存在しないが、ポート開設場所提案装置1により、網羅的に該当箇所を探索した結果、霞ヶ関駅の近くに開設することが提案される。以上が課題解決のストーリである。
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
例えば、本開示の一実施の形態におけるポート開設場所提案装置1などは、本開示のポート開設場所提案方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図14は、本開示の一実施の形態に係るポート開設場所提案装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のポート開設場所提案装置1は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ポート開設場所提案装置1のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
ポート開設場所提案装置1における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の取得部11、判定部12及び出力部13などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、取得部11、判定部12及び出力部13は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の取得部11、判定部12及び出力部13などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
また、ポート開設場所提案装置1は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本開示において、例えば、英語でのa、an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。