JP7227763B2 - 車載処理装置、位置推定方法、出庫システム - Google Patents

車載処理装置、位置推定方法、出庫システム Download PDF

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Description

本発明は、車載処理装置、位置推定方法、および出庫システムに関する。
近年、自動車の自動運転実現に向けた活動が盛んとなっている。自動運転とは、車両周囲をカメラや超音波レーダ、レーダなどの外界センサでセンシングし、センシング結果に基づいて判断を行い、ユーザの操作なしで車両が自律的に走行するものである。この自動運転には車両の位置推定が必要となる。特許文献1には物体の一部を表す点の第1座標系における座標が複数含まれる点群データが格納される記憶部と、車両の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部と、前記車両の移動に関する情報を取得する移動情報取得部と、前記センサ入力部、および前記移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系における前記車両の位置および物体の一部を表す点の前記第2座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報を生成する局所周辺情報作成部と、前記点群データと前記局所周辺情報とに基づき前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記第1座標系における前記車両の位置を推定する位置推定部とを備える車載処理装置が開示されている。
特開2018-4343号公報
位置特定の精度向上および演算時間の短縮が望ましい。
本発明の第1の態様による車載処理装置は、物体の一部を表す点の第1座標系における複数の座標が含まれる点群データが格納される記憶部と、車両の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部と、前記車両の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部と、前記センサ入力部、および前記移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系における前記車両の位置および物体の一部を表す点の前記第2座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報を生成する局所周辺情報作成部と、前記点群データと前記局所周辺情報とに基づき前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記第1座標系における前記車両の位置を推定する位置推定部とを備え、前記点群データには、前記第1座標系における前記車両の走行経路が含まれ、前記位置推定部は、前記車両が前記点群データに含まれる走行経路を走行していることを前提として前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定する。
本発明の第2の態様による位置推定方法は、物体の一部を表す点の第1座標系における複数の座標が含まれる点群データが格納される記憶部、車両の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部、および前記車両の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部を備える前記車両に備えられる車載処理装置が実行する位置推定方法であって、前記センサ入力部、および前記移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系における前記車両の位置および物体の一部を表す点の前記第2座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報を生成することと、前記点群データと前記局所周辺情報とに基づき前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記第1座標系における前記車両の位置を推定することと、前記点群データには、前記第1座標系における前記車両の走行経路が含まれ、前記車両が前記点群データに含まれる走行経路を走行していることを前提として前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定することとを含む。
本発明の第3の態様による出庫システムは、車両に搭載される車載処理装置、および前記車載処理装置と通信する携帯端末を備える出庫システムであって、前記携帯端末は、
前記車載処理装置に第1の信号を出力する通信部を備え、前記車載処理装置は、物体の一部を表す点の第1座標系における複数の座標が含まれる点群データが格納される記憶部と、車両の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部と、前記車両の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部と、前記センサ入力部、および前記移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系における前記車両の位置および物体の一部を表す点の前記第2座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報を生成する局所周辺情報作成部と、前記点群データと前記局所周辺情報とに基づき前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記第1座標系における前記車両の位置を推定する位置推定部とを備え、前記点群データには、前記第1座標系における前記車両の走行経路、および前記第1座標系における前記車両の始動位置が含まれ、前記位置推定部は、前記車両が前記点群データに含まれる走行経路を走行していることを前提として前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記車載処理装置はさらに、前記第1の信号を受信すると、前記位置推定部を用いて前記第1座標系における前記車両の位置を推定し、前記始動位置から遠ざかる方向に前記走行経路に沿って前記車両を走行させる応答部を備える。
本発明によれば、位置特定の精度の向上および演算時間の短縮ができる。
第1の実施の形態における自動駐車システム100の全体構成図 駐車場点群124Aの一例を示す図 車載処理装置120の動作環境を示す図 記録フェーズの動作を表すフローチャート 自動駐車フェーズの全体動作を表すフローチャート 自己位置推定処理の詳細を示すフローチャート 自己位置推定処理の概要を示すイメージ図 自己位置推定処理の概要を示すイメージ図 セクションごとの一致度を評価する処理の詳細を示すフローチャート 第1の実施の形態におけるステップS642の処理結果である仮想点の位置を示す図 一致度の評価の概要を示すイメージ図 角度限定比較および移動制限比較を説明する図 自動駐車処理の詳細を示すフローチャート 変形例1における駐車場点群124Bの一例を示す図 変形例3におけるステップS642の処理結果である仮想点の位置を示す図 第2の実施の形態に係る自動駐車システム100Aの全体構成図 自動出庫フェーズの処理を表すフローチャート 第2の実施の形態における図17のステップS680の詳細を示すフローチャート 第2の実施の形態の変形例1における自動駐車システム100Bの全体構成図 第2の実施の形態の変形例1における図17のステップS680の詳細を示すフローチャート
―第1の実施の形態―
以下、図1~図13を参照して、本発明にかかる車載処理装置の第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明にかかる車載処理装置を含む自動駐車システム100の構成図である。自動駐車システム100は、車両1に搭載される。自動駐車システム100は、センサ群102、107~109と、入出力装置群110、111、114と、車両1を制御する制御装置群130~133と、車載処理装置120とから構成される。センサ群、入出力装置群、および制御装置群は車載処理装置120と信号線で接続され、車載処理装置120と各種データを授受する。以下では、車両1に乗車する人間を「ユーザ」と呼ぶ。
車載処理装置120は、演算部121と、RAM122と、ROM123と、記憶部124と、インタフェース125とを備える。車載処理装置120はたとえばECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)である。演算部121はCPUである。FPGAなど他の演算処理装置で全部または一部の演算処理を実行するように構成してもよい。RAM122は読み書き込み可能な記憶領域であり、車載処理装置120の主記憶装置として動作する。RAM122には、後述する局所周辺情報122Aが格納される。ROM123は読み取り専用の記憶領域であり、後述するプログラムが格納される。このプログラムはRAM122で展開されて演算部121により実行される。演算部121は、プログラムを読み込んで実行することにより、点群データ取得部121A、局所周辺情報作成部121B、および位置推定部121Cとして動作する。
記憶部124は不揮発性の記憶装置であり、車載処理装置120の補助記憶装置として動作する。記憶部124には、駐車場点群124Aが格納される。駐車場点群124Aとは、1または複数の駐車場データである。駐車場データとは、ある駐車場の位置情報、すなわち緯度・経度、駐車領域を示す座標、およびその駐車場に存在するランドマークを構成する点の座標の集合である。ランドマークについては後述する。インタフェース125は、車載処理装置120と自動駐車システム100を構成する他の機器との情報の授受を行う。インタフェース125は、車両1の周囲の情報を取得するカメラ102の出力を取得するので、センサ入力部とも呼べる。またインタフェース125は、車速センサ108および舵角センサ109から車両1の移動に関する情報を取得するので、移動情報取得部とも呼べる。
センサ群は、車両1の周囲を撮影するカメラ102と、GPS受信機107と、車速センサ108と、舵角センサ109とを含む。
カメラ102は、撮影して得られた画像(以下、撮影画像)を車載処理装置120に出力する。車載処理装置120は、カメラ102の撮影画像を用いて後述するランドマークの測位を行う。カメラ102の焦点距離や撮像素子サイズなどの内部パラメータ、および車両1へのカメラ102の取り付け位置や取り付け姿勢である外部パラメータは既知であり、ROM123にあらかじめ保存されている。車載処理装置120は、ROM123に格納された内部パラメータおよび外部パラメータを用いて、被写体とカメラ102との位置関係を算出することができる。
GPS受信機107は、衛星航法システムを構成する複数の衛星から信号を受信し、受信した信号に基づく演算によりGPS受信機107の測地系における位置、すなわち緯度および経度を算出する。なおGPS受信機107により算出される緯度および経度の精度は高精度でなくてもよく、たとえば数m~10m程度の誤差が含まれてもよい。GPS受信機107は、算出した緯度および経度を車載処理装置120に出力する。
車速センサ108、および舵角センサ109はそれぞれ、車両1の車速と舵角を測定し車載処理装置120に出力する。車載処理装置120は、車速センサ108および舵角センサ109の出力を用いて公知のデッドレコニング技術によって、車両1の移動量および移動方向を算出する。
入力装置110には、ユーザによる車載処理装置120への動作指令が入力される。入力装置110は、記録開始ボタン110Aと、記録完了ボタン110Bと、自動駐車ボタン110Cとを含む。表示装置111はたとえば液晶ディスプレイであり、車載処理装置120から出力される情報が表示される。なお、入力装置110と表示装置111とが一体として、たとえばタッチ操作に対応する液晶ディスプレイとして構成されてもよい。この場合は、液晶ディスプレイの所定の領域がタッチされることにより、記録開始ボタン110A、記録完了ボタン110B、または自動駐車ボタン110Cが押されたと判断してもよい。
通信装置114は、車両1の外部の機器と車載処理装置120とが無線で情報を授受するために用いられる。例えば、ユーザが車両1の外にいるときに、ユーザが身に着けている携帯端末と通信を行い情報を授受する。通信装置114が通信を行う対象はユーザの携帯端末に限定されない。
車両制御装置130は、車載処理装置120の動作指令に基づき、操舵装置131、駆動装置132、および制動装置133を制御する。操舵装置131は、車両1のステアリングを操作する。駆動装置132は、車両1に駆動力を与える。駆動装置132はたとえば、車両1が備えるエンジンの目標回転数を増加させることにより車両1の駆動力を増加させる。制動装置133は、車両1に制動力を与える。
(ランドマーク測位)
ランドマークとはセンサにより識別可能な特徴を有する物体であり、たとえば路面ペイントの1種である駐車枠線や、車両の走行の妨げとなる障害物である建物の壁などである。本実施の形態では、移動体である車両や人間はランドマークに含めない。車載処理装置120は、カメラ102から入力される情報に基づき、車両1の周辺に存在するランドマーク、すなわちセンサにより識別可能な特徴を有する点を検出する。以下では、外界センサ、すなわちカメラ102から入力される情報に基づくランドマークの検出を「ランドマーク測位」と呼ぶ。
車載処理装置120は、カメラ102の撮影画像を対象に、以下のように画像認識プログラムを動作させることで駐車枠などの路面ペイントなどを検出する。駐車枠の検出は、まず入力画像からソーベルフィルタなどでエッジを抽出する。次に、たとえば白から黒への変化であるエッジの立ち上がりと、黒から白への変化であるエッジの立ち下がりのペアを抽出する。そしてこのペアの間隔が、あらかじめ定めた第1の所定の距離、すなわち駐車枠を構成する白線の太さと略一致すると、このペアを駐車枠の候補とする。同様の処理により駐車枠の候補を複数検出し、駐車枠の候補同士の間隔があらかじめ定めた第2の所定の距離、すなわち駐車枠の白線の間隔と略一致すると、それらを駐車枠として検出する。駐車枠以外の路面ペイントは以下の処理を実行する画像認識プログラムで検出される。まず入力画像からソーベルフィルタなどでエッジを抽出する。エッジ強度があらかじめ定めた一定の値よりも大きく、エッジ同士の間隔が白線の幅に相当するあらかじめ定めた距離である画素を探索することにより検出できる。
車載処理装置120はたとえば既知のテンプレートマッチングにより車両や人間を検出し、測定結果から除外する。また、以下のようにして検出した移動体を測定結果から除外してもよい。すなわち車載処理装置120は、内部パラメータおよび外部パラメータを用いて撮影画像における被写体とカメラ102との位置関係を算出する。次に車載処理装置120は、カメラ102が連続して取得した撮影画像において被写体を追跡することで車両1と被写体の相対的な速度を算出する。最後に車載処理装置120は、車速センサ108および舵角センサ109の出力を用いて車両1の速度を算出し、被写体との相対的な速度と一致しなければ被写体が移動体であると判断し、この移動体に関する情報を測定結果から除外する。
(駐車場点群124A)
図2は、記憶部124に格納される駐車場点群124Aの一例を示す図である。図2では、駐車場点群124Aとして2つの駐車場データが格納されている例を示している。1つの駐車場データは、その駐車場の位置、すなわち緯度および経度(以下、緯度経度と呼ぶ)と、駐車領域の座標と、車両1の走行経路と、ランドマークを構成する点の二次元平面上の座標とから構成される。
駐車場の位置とは、たとえば駐車場の入り口付近、駐車場の中央付近、または駐車位置の緯度経度である。駐車領域の座標、車両1の走行経路、およびランドマークを構成する点の座標は、その駐車場データに固有の座標系における座標である。以下では駐車場データにおける座標系を「駐車場座標系」や「第1座標系」と呼ぶ。駐車場座標系は、たとえば記録開始時の車両1の座標が原点とされ、記録開始時の車両1の進行方向前方がY軸、記録開始時の車両1の右方向がX軸とされる。駐車領域の座標は、たとえば駐車領域を矩形とした場合にその矩形領域の4つの頂点の座標として記録される。ただし、駐車領域は矩形に限定されず矩形以外の多角形や楕円形状でもよい。ただし駐車場点群124Aに記録する情報は、広がりを持つ領域である駐車領域の代わりに、代表的な点たとえば駐車領域の中心点を示す駐車位置を記録してもよい。
なお車両1の走行経路は、車両1が駐車場の入り口付近から駐車位置まで走行した経路における、一定距離ごとまたは一定時間ごとの車両1の座標である。一定距離とはたとえば0.1mや0.5mであり、一定時間とは1秒や10秒である。
(局所周辺情報122A)
局所周辺情報122Aには、車載処理装置120が後述する自動駐車フェーズにおいて検出したランドマークを構成する点の座標が格納される。この座標は局所周辺情報122Aの記録を開始した際の車両1の位置および姿勢を基準に、たとえばその位置を原点とし、車両1の進行方向前方をY軸とし、進行方向右をX軸とする座標系である。この座標系を以下では「局所座標系」や「第2座標系」と呼ぶ。
(前提条件)
図3は、車載処理装置120の動作環境を示す図であり、この図を参照して本実施の形態における前提条件である、車両1が常に同一の経路を走行することを説明する。図3は、車載処理装置120の動作環境の一例である駐車場901を示す平面図である。駐車場901は建物902の周囲に設けられる。駐車場901の出入り口は図示左下の第1出入り口E1、図示右上の第2出入り口E2、図示左上の第3出入り口E3の3か所である。図3に示す四角は路面ペイントである駐車領域を表しており、ハッチングで示す駐車領域903が車両1の駐車領域、すなわち駐車が完了した際に駐車位置となる領域である。
本実施の形態では、車両1は第1出入り口E1を必ず使用し、図3に示す破線の走行経路を走行して駐車領域903まで進む。たとえば第1出入り口E1から駐車領域903までの走行経路として、図3に一点鎖線で示す経路も存在するが、本実施の形態では車両1が一点鎖線で示す経路を走行することは想定しない。すなわちユーザが車両1を自ら運転する際だけでなく、車載処理装置120が車両1を動作させる際にも本実施の形態では、車両1は破線で示す同一の走行経路を走行する。ただし「同一」とは、経路が完全に同一でたとえば1mmもずれていないことを示すのではなく、図3の破線と一点鎖線のように異なる経路を排除することを示す。なお本実施の形態における図示する例では、ランドマークは駐車枠線のみとして説明する。
(車載処理装置120の動作概要)
車載処理装置120は、主に2つの動作フェーズ、すなわち記録フェーズと自動駐車フェーズを有する。車載処理装置120はユーザからの特別の指示がなければ自動駐車フェーズで動作する。すなわち、記録フェーズはユーザの指示で開始される。
記録フェーズではユーザにより車両1が運転され、車載処理装置120は車両1が備えるセンサからの情報に基づき駐車場データ、すなわち駐車場に存在する白線や障害物の情報、車両1の走行経路、および駐車位置の情報を収集する。車載処理装置120は、収集した情報を駐車場点群124Aとして記憶部124に格納する。
自動駐車フェーズでは車載処理装置120により車両1が制御され、記憶部124に格納された駐車場点群124A、および車両1が備えるセンサからの情報に基づき、あらかじめ定められた駐車位置に車両1が駐車される。車載処理装置120は、センサからの情報に基づき車両1の周囲に存在する白線や障害物を検出し、記録されている車両1の走行経路に基づき選択した駐車場点群124Aのランドマークと照合することにより現在位置を推定する。すなわち車載処理装置120はGPS受信機107から得られる情報を用いることなく、駐車場座標系における車両1の現在位置を推定する。
(記録フェーズのフローチャート)
図4は、車載処理装置120の記録フェーズの動作を表すフローチャートである。以下に説明する各ステップの実行主体は車載処理装置120の演算部121である。演算部121は、図4に示す処理を行う場合に点群データ取得部121Aとして機能する。
ステップS501では、記録開始ボタン110Aが押されたか否かが判断される。記録開始ボタン110Aが押されたと判断する場合はステップS501Aに進み、押されていないと判断する場合はステップS501に留まる。ステップS501Aでは、RAM122に新たな記録領域を確保する。この記憶領域には、抽出した点群と車両1の走行経路が前述の局所座標系の座標で記録される。
ステップS502では、センサ群から情報を取得して前述のランドマーク測位、すなわちカメラ102の撮影画像を用いたランドマークを構成する点群の抽出を行う。続くステップS503では、カメラ102が前回撮影してから最新の撮影を行うまでの時間における車両1の移動量を推定し、RAM122に記録されている車両1の現在位置を更新する。ただし最終的には車両1が移動した座標の履歴を走行経路として記録するので、ステップS503では実際には現在位置を上書きするのではなく、従前の位置情報も残したまま新たに位置情報を記録する。
なお車両1の移動量は複数の手段により推定可能であり、たとえば前述のようにカメラ102の撮影画像における路面に存在する被写体の位置の変化から車両1の移動量を推定できる。また、GPS受信機107として誤差が小さい高精度なGPS受信機が搭載されている場合には、その出力を利用してもよい。次にステップS504に進む。
ステップS504では、ステップS502において抽出した点群を、ステップS503において更新した現在位置に基づき、局所座標系の座標としてRAM122に保存する。続くステップS505では、記録完了ボタン110Bが押されたか否かを判断し、記録完了ボタン110Bが押されたと判断する場合はステップS506に進み、記録完了ボタン110Bが押されていないと判断する場合はステップS502に戻る。ステップS506では、GPS受信機107から車両1の現在の緯度経度を取得するとともに、駐車位置、すなわち車両1の現在位置であって車両1の四隅の局所座標系における座標を記録する。次にステップS507に進む。
ステップS506では、ステップS505Aにおいて取得した車両1の現在の緯度経度と略一致する緯度経度を有する駐車場データが、駐車場点群124Aに記録されているか否かを判断する。車両1の現在の緯度経度が駐車場点群124Aに記録されているいずれかの駐車場データの緯度経度と略一致すると判断する場合はステップS507に進み、それ以外の場合はステップS510に進む。ステップS510では、RAM122に保存した点群データ、およびステップS505Aにおいて記録した車両1の緯度経度、および駐車位置を新たな駐車場データとして駐車場点群124Aに記録する。以上で図4のフローチャートを終了する。
(自動駐車フェーズ)
ユーザが車両1を運転して駐車場点群124Aに記録されているいずれかの駐車場の付近まで移動させると、表示装置111に自動駐車可能な旨が表示される。この際にユーザが自動駐車ボタン110Cを押すと、車載処理装置120による自動駐車処理が開始される。車載処理装置120の動作をフローチャートを用いて以下説明する。
(自動駐車処理の全体フロー)
図5は、車載処理装置120の自動駐車フェーズの全体動作を表すフローチャートである。以下に説明する各ステップの実行主体は車載処理装置120の演算部121である。
車載処理装置120は、まずGPS受信機107を用いて現在の緯度経度を測位し(ステップS601)、その緯度経度が、駐車場点群124Aのいずれかの駐車場データの緯度経度と略一致するか否かを判定する。換言すると車両1の位置から所定の距離以内に存在する駐車場の有無を判断する(ステップS602)。いずれかの駐車場データの緯度経度と車両1の緯度経度が略一致すると判断する場合はステップS603に進み、いずれの駐車場データの緯度経度とも略一致しないと判断する場合はステップS601に戻る。なおステップS601に戻る場合は、ユーザの運転により車両1が移動することによりステップS602において肯定判断される可能性がある。
そして車載処理装置120は、駐車場点群124Aに含まれる複数の駐車場データのうち、車両1の現在位置と略一致する緯度経度を有する駐車場データを特定する(ステップS603)。次に車載処理装置120は、初期化処理としてRAM122に格納される局所周辺情報122Aの初期化、およびRAM122に保存される車両1の現在位置の初期化を行う。具体的には従前の情報が記録されていたら消去し、新たな座標系を設定する。本実施の形態では前述のとおり、この座標系を「局所座標系」と呼んでいる。この局所座標系はステップS603Aが実行された際の車両1の位置および姿勢に基づき設定される。たとえばステップS603Aが実行された際の車両1の位置が局所座標系の原点に設定され、ステップS603Aが実行された際の向きによりX軸およびY軸が設定される。また車両1の現在位置の初期化は、車両1の現在位置が原点(0、0)に設定される。
次に車載処理装置120は、図6に示す手順により自己位置推定、すなわち車両1の駐車場座標系における位置を推定し(ステップS604)、ステップS605では自己位置が推定できたか否かを判断する。車載処理装置120は、推定できたと判断する場合はステップS606に進み、推定できないと判断する場合はステップS604に戻る。
ステップS606では、車載処理装置120は表示装置111に自動駐車が可能な旨を表示し、続くステップS607ではユーザにより自動駐車ボタン110Cが押されたか否かを判断する。車載処理装置120は、自動駐車ボタン110Cが押されたと判断する場合はステップS608に進んで図7に示す手順により自動駐車処理を実行し、自動駐車ボタン110Cが押されていないと判断する場合はステップS606に戻る。
(自己位置推定処理)
図6~図8を参照して、図5のステップS604において実行される自己位置推定処理の詳細を説明する。図6は、自己位置推定処理の詳細を示すフローチャートである。図7~図8は、自己位置推定処理の概要を示すイメージ図である。演算部121は、図6のステップS623~S625に示す処理を行う場合に局所周辺情報作成部121Bとして機能する。
ステップS620では車載処理装置120は、図5のステップS603において特定した駐車場点群124Aに含まれる車両1の走行経路を読み込み、距離方向にN個に分割する。以下では、走行経路を分割したそれぞれの領域を「セクション」と呼ぶ。走行経路は、1台の車両1が駐車場の入り口から駐車位置まで走行した一本の軌跡なので、任意の数に分割可能である。なお分割は等分が望ましいが必ずしも等分でなくてもよい。分割数Nは2以上の規定値である。図7に示す例では、分割数Nを「7」にしており、走行経路Tが7分割される。これにより図7に示す例では、第1セクションT1~第7セクションT7までの7つのセクションに分割される。
続くステップS621では車載処理装置120は、図5のステップS603において特定した駐車場点群124Aに含まれる駐車領域を読み込み、車両1がこれから走行する走行方向を特定する。本実施の形態ではこれから車両1が駐車領域に向かうので、ステップS621では具体的には走行経路の両端のうち、駐車領域に遠い端部から駐車領域に近い端部へ向かう方向に走行すると判断する。
図8に示す例では、ステップS620において読み込んだ走行経路Tと、ステップS621において読み込んだ駐車領域903が示されている。ここでは、走行経路Tの両端を第1端403と第2端404とした。図8に示す例では、第1端403の方が第2端404よりも駐車領域903に近いので、車両1の走行方向は、車載処理装置120により第2端404から第1端403に向かう方向402であると特定される。図6に示すフローチャートに戻って説明を続ける。
続くステップS622では車載処理装置120は、各セクションにおける車両1の初期位置および初期方向を特定してステップS623に進む。ただしここで特定する位置および方向は、自動駐車フェーズを実行している現在の車両1ではなく、記録フェーズが実行された過去の車両1に関するものである。初期位置は、各セクションの端部のうち走行方向と逆側の端部である。初期方向は、ステップS620において読み込んだ走行経路を構成する車両1の位置同士の位置関係であって、初期位置とその前、初期位置とその後、または初期位置とその前後との位置関係により決定される。
図8の第2セクションT2を例に初期位置と初期方向を説明する。第2セクションT2の両端は符号410と符号420の位置である。この両端のうち、進行方向402の逆側の端部、すなわち符号410の位置が初期位置である。なお仮に進行方向が逆の場合には、第2セクションT2の初期位置は符号420の位置となる。符号410の位置付近を拡大した拡大図を図8の中央に示す。ステップS620において読み込んだ走行経路を構成する車両1の位置は、進行方向402に向かって、符号409、符号410、符号411、符号412の順番で存在する。この場合に、初期方向は、符号409から符号410に向かう矢印421の方向でもよいし、符号410から符号411に向かう矢印422の方向でもよいし、矢印421と矢印422を合成して得られる方向でもよい。なお2つの矢印の合成とは、それぞれの矢印をベクトルとして扱い、ベクトル合成により得られる方向である。図6に示すフローチャートに戻って説明を続ける。
ステップS622の次に、または後述するステップS627において否定判断されるとステップS623~S625が実行される。ステップS623のランドマーク測位、ステップS624の自車移動量推定、およびステップS625の局所周辺情報122Aの記録はそれぞれ、図4のステップS502~S504の処理と概ね同じである。相違点はRAM122に記憶されるデータが局所周辺情報122Aとして記録される点である。ステップS653の実行が完了すると、車載処理装置120は図9に詳細を示すセクションごとの一致度の評価を行う(ステップS626)。
ステップS626の処理が完了すると、車載処理装置120は次にステップS627を実行する。ステップS627では車載処理装置120は、ステップS626における評価の結果、一致度が減少しないセクションが1つのみ存在するか否か、すなわち車両1が移動しても一致度が一定、または一致度が増加するセクションが1つのみ存在するか否かを判断する。車載処理装置120は肯定判断する場合はステップS628に進み、否定判断する場合はステップS623に戻る。ステップS628では車載処理装置120は、ステップS627において肯定判断されたセクションにおける位置情報を採用して図6に示す処理を終了する。
ただし車載処理装置120はステップS626において一致度が減少しないセクションが複数存在する場合にもステップS627において肯定判断し、ステップS628ではそれらのセクションの中で一致度が最も高いセクションの位置情報を採用してもよい。
(セクションごとの一致度評価)
図9~図12を参照して、図6のステップS626において実行される、セクションごとの一致度評価の詳細を説明する。図9は、セクションごとの一致度を評価する処理の詳細を示すフローチャートである。図10~図11は、一致度の評価の概要を示すイメージ図である。なお図10~図11は、先に示した図7および図8の例と同一の場面である。図12は、マッチングの制限を示す図である。
図9に示す処理の概要を説明する。車両1は常に同一の経路を走行するので、自動駐車フェーズを開始した際の車両1の現在位置は、読み込んだ走行経路上に存在することが想定される。ただし走行経路上の具体的な位置を直ちに特定することは不可能なので、次のように処理する。すなわち記録フェーズに記録した走行経路を複数のセクションに分割し、それぞれのセクションにおいて自動駐車フェーズで収集するランドマークと記録済みのランドマークとの一致を評価する。
セクションごとの評価を詳述すると、あらかじめセクションごとに駐車場点群124Aを用いて駐車場座標系における初期位置と初期方向を算出しておく。そして、自動駐車フェーズを開始した際の車両1の位置および方向が、各セクションにおける算出済みの初期位置と初期方向に一致していると仮定する。以下では、駐車場座標系における車両1の仮想的な位置を「仮想点」とも呼ぶ。本実施の形態では仮想点はセクションと同じ数だけ存在し、そのうち1つのみが実際の車両1の位置に非常に近い。
自動駐車フェーズにおいて車両1が移動するたび、進行方向が変更になるたびに、仮想点の位置と仮想的な車両1の進行方向を更新する。このように仮想点の位置と向きを更新し、駐車場座標系における仮想的な車両1の周辺のランドマークを駐車場点群124Aから読み出して、実際に自動駐車フェーズにおいて車両1が取得したランドマークと比較する。
この比較を複数のセクションで実行すると、実際に車両1が存在するセクションでは、仮想的な車両1の周辺のランドマークと実際に自動駐車フェーズにおいて車両1が取得したランドマークとが高い一致率を示す。その他のセクションでは少なくともランドマーク同士の一致率は低くなる。そして、車両1が存在するセクション内の車両1の詳細な位置を算出して車両1の現在位置とする。以下、図9の処理を説明する。
図9に示す処理では車載処理装置120は、それぞれのセクションについて、ステップS640およびステップS646で挟まれた各ステップの処理を実行する。換言すると車載処理装置120は、処理対象とするセクションを次々に変更して、全てのセクションを対象としてステップS641からステップS645までの処理を行う。それらの処理は順番に行われてもよいし、他のセクションの処理の完了を待たず並列に行われてもよい。以下ではステップS641からステップS645までの各ステップの処理を説明する。
ステップS641では車載処理装置120は、自動駐車フェーズを開始した際の車両1の位置および進行方向と、現在の車両1の位置および進行方向の差を算出し、移動量および方向変化を取得する。ステップS641において得られる情報はたとえば、”1m直進、方向変化なし”、や”初期方向に10m、右方向に3m、方向変化+90度”などである。
続くステップS642では車載処理装置120は、ステップS603において特定した駐車場点群の駐車場座標系における仮想的な車両1の位置と向きを算出する。各セクションにおける初期位置および初期方向はステップS622において算出済みであり、初期状態からの変化量はステップS641において算出済みである。そのためステップS642では具体的には、ステップS622の算出結果と、ステップS641の算出結果の和を算出する。
図10は、ステップS641の演算結果が所定距離の直進のみであった場合の、ステップS642の処理結果である仮想的な車両1の位置を示す図である。第1セクションT1~第7セクションT7のそれぞれにおいて進行方向の後方に示す符号、たとえばT11やT21などが初期位置であり、進行方向の前方に示す符号、たとえばT12やT22などがステップS642において算出された位置である。第1~第3セクションでは図示上方への移動、第4セクションでは斜め上への移動、第5~第7セクションでは図示右側への移動となっている。これは、直進が初期の車両1の進行方向の影響を受けたためである。すなわちセクションごとに初期状態における車両1の進行方向が異なっていたので、仮想的な車両1の位置変化がセクションごとに異なる結果となった。フローチャートに戻って説明を続ける。
続くステップS643では車載処理装置120は、S642において算出した位置および進行方向に基づき駐車場点群からランドマークを抽出する。たとえばS642において算出した位置を中心とし、S642において算出した進行方向を正面として、車両の幅方向に第1の所定長さ、車両の前後方向に第2の所定長さの領域に含まれるランドマークを抽出する。
図11は、ステップS643の処理結果の一例を示す図である。ただし図11は図10に示した処理結果を前提としている。図11に示すように、第1セクションT1では位置T12を中心とした図示縦長の領域T12Aに含まれるランドマークが抽出される。同様に、第2セクションT2では領域T22Aに含まれるランドマークが抽出される。ただし領域T22Aは、図示の都合により少し右にずらして記載している。第3セクションT3では、車両1の初期の進行方向が斜め上方向であり、進行方向の変化がなかったことから、ランドマークを抽出する領域T42Aも傾いている。第5~第7セクションでは、車両1は図示右方向を向いているので、横長の領域からランドマークを抽出する。フローチャートに戻って説明を続ける。
続くステップS644では車載処理装置120は、S634において抽出したランドマークと、局所周辺情報とのマッチングを行う。このマッチングには、既知の手法であるICP(Iterative Closest Point)などを用いることができる。ステップS644では並進や回転を組み合わせて両者が最もよく一致する状態を探索し、その一致の度合いを一致度として評価する。すなわちステップS644の演算結果として、処理対象のセクションに車両1が存在すると仮定した場合の、駐車場座標系における車両1の位置と一致度が得られる。
なお、駐車場座標系における車両1の位置が特定されることは、駐車場座標系と局所座標系の対応関係が数式として算出されることと等価である。またステップS644では、車両1が従前に記録された走行経路を移動していることを前提とすれば、回転角度に制限を設けること(以下、「角度限定比較」とも呼ぶ)、および並進移動量に制限を設けること(以下、「移動限定比較」とも呼ぶ)が望ましい。たとえば角度限定比較では、±15度、正負の合計で30度までしか回転させずにマッチングを行わせる。
図12は、角度限定比較および移動制限比較を説明する図である。図12(a)は局所周辺情報122Aにおけるランドマークの概念図であり、図12(b)はステップS643の処理により駐車場点群から抽出されたランドマークの概念図である。図12(a)および図12(b)において、矢印は車両1の進行方向を示し、四角の枠はランドマークの範囲を示す。なお図12では、位置と角度の相違を矢印だけで視覚的に表現することが困難なためにランドマークの範囲を示す四角を表示しているにすぎない。図12(a)と図12(b)では便宜的に両者のランドマークの範囲を同一としているが、両者の範囲が同一であることは必須ではない。
図12(c)~(f)では並進や回転の例を示しているが、ここでは便宜的に局所周辺情報122Aにおけるランドマークの位置を固定し、駐車場点群から抽出されたランドマークだけを移動させている。図12(c)は、並進移動量と回転角度がともにゼロであるマッチングを示す概念図である。図12(c)では、図12(a)と図12(b)に示した四角がぴったりと重なっており、仮想点における車両1の進行方向と局所周辺情報を生成した際の車両1の進行方向とが一致しており、並進移動もない。
図12(d)は、回転角度はゼロで車両1の進行方向の並進移動のみゼロではないマッチングを示す概念図である。図12(d)では2つの矢印が同じ方向を向いているので回転角度がゼロであることがわかり、2つの四角の位置が矢印方向にずれているので、並進移動がゼロではないことがわかる。
図12(e)は、並進移動がゼロ、回転角度が20度のマッチングを示す概念図である。図12(f)は、並進移動がゼロ、回転角度が40度のマッチングを示す概念図である。図12(e)に示す回転角度が20度の状態は、仮想点における車両1の進行方向と局所周辺情報を生成した際の車両1の進行方向とが一致する角度から20度回転させた状態とも言える。角度限定比較では、この回転角度に制限を設けることでマッチングを高速化する。本実施の形態では、角度の推定も行っているので車両1が実際に存在するセクションでは少ない回転角度で最適なマッチングが得られることが見込まれるので、角度限定比較が有効である。図9に戻ってフローチャートの説明を続ける。
続くステップS645では車載処理装置120は、ステップS644におけるマッチングの結果を評価する。結果の評価には、たとえばICPの評価値をそのまま用いてもよいし、対応する特徴点同士の距離が所定値以下の特徴点の数で評価してもよい。以上、ステップS641~ステップS645の処理を説明した。車載処理装置120は、ステップS641~ステップS645の処理を全てのセクションについて実行すると図9の処理を終了する。
(自動駐車処理)
図13を参照して図5のステップS608において実行される自動駐車処理の詳細を説明する。以下に説明する各ステップの実行主体は車載処理装置120である。ステップS661では、駐車場座標系における車両1の位置を推定する。本ステップにおける処理は図5のステップS604と同様なので説明を省略する。続くステップS662では、ステップS661において推定した位置から、駐車場点群124Aに格納されている駐車位置までの走行経路を既知の経路生成手法により生成する。次にステップS663に進む。
ステップS663では、車両制御装置130を介して操舵装置131、駆動装置132、および制動装置133を制御し、ステップS662において生成した経路に沿って車両1を駐車位置まで移動させる。ただし自動駐車ボタン110Cがユーザにより押され続けている場合だけ駆動装置132に動作指令を出力してもよい。また、カメラ102の撮影画像から人物や移動車両などが抽出されたら制動装置133を動作させて車両1を停止させる。続くステップS664ではステップS661と同様に車両1の位置を推定する。続くステップS665では駐車が完了したか否か、すなわち車両1が駐車位置に到達したか否かを判断し、駐車が完了していないと判断する場合はステップS663に戻り、駐車が完了したと判断する場合は図13のフローチャートを終了する。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)車載処理装置120は、物体の一部を表す点の第1座標系、すなわち駐車場座標系における複数の座標が含まれる点群データである駐車場点群124Aが格納される記憶部124と、車両1の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部、すなわちIF125と、車両1の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部、すなわちIF125と、センサ入力部、および移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系、すなわち局所座標系における車両1の位置および物体の一部を表す点の座標が複数含まれる局所周辺情報122Aを生成する局所周辺情報作成部121Bと、駐車場点群124Aと局所周辺情報とに基づき駐車場座標系と局所座標系の関係を推定し、駐車場座標系における車両の位置を推定する位置推定部121Cとを備える。駐車場点群124Aには、駐車場座標系における車両の走行経路が含まれる。位置推定部121Cは、車両1が駐車場点群124Aに含まれる走行経路を走行していることを前提として駐車場座標系と局所座標系の関係を推定する。そのため位置推定部121Cは局所座標系の点群と比較すべき駐車場座標系の領域を絞り込めるので、位置特定の精度が向上し、演算の速度も向上できる。
(2)位置推定部121Cは、図9のステップS643に記載したように、点群データのうち、走行経路上のいずれかの点を起点とし、車両移動情報に基づき移動した点である仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と、局所周辺情報とを比較することで駐車場座標系と局所座標系の関係を推定する。そのため車両1の移動を駐車場座標系に反映したうえで点群同士を比較できる。
(3)位置推定部121Cは、図6のステップS622に記載したように、走行経路に含まれる複数の座標を用いて駐車場座標系における車両1の進行方向を推定する。位置推定部121Cは、仮想点における車両1の進行方向と局所周辺情報を生成した際の車両1の進行方向とが一致する角度から所定範囲の角度で、仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と局所周辺情報との比較を行う。
(4)位置推定部121Cは、走行経路を複数のセクションに分割し、セクションにおける走行経路の端部を起点として車両1の移動にあわせて仮想点を移動させる。位置推定部121Cは、図9のステップS644において、仮想点の移動に伴う角度限定比較の結果の変化に基づき複数のセクションから1つのセクションを選択し、選択した一つのセクションに車両が存在するとして駐車場座標系と局所座標系の関係を推定する。そのため、図12を参照して説明したように、マッチングの回転角度を制限することで処理を高速化できる。
(5)点群データには、駐車場座標系における車両1の目的地、すなわち駐車領域の座標が含まれる。位置推定部121Cは、走行経路における車両の走行方向を、目的地の座標に近づく方向と推定する。そのため記録フェーズにおいて車両1の進行方向を記録していなくても車両1の進行方向を推定することで、進行方向を利用した演算が可能となる。
(変形例1)
図14は、変形例1における駐車場点群124Bの一例を示す図である。図14に示すように、駐車場点群124Bには、走行経路を構成する各座標における車両1の進行方向の情報が記録されていてもよい。この場合は図4のステップS504において、車両1の進行方向も記録する。また図6のステップS622では、駐車場点群124Bから記録されている進行方向を読み出せばよい。
この変形例1によれば、次の作用効果が得られる。
(6)点群データには、走行経路を走行した際の車両1の進行方向の情報が含まれている。位置推定部121Cは、仮想点における車両の進行方向と局所周辺情報を生成した際の車両の進行方向とが一致する角度から所定範囲の角度で、仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と局所周辺情報との比較である角度限定比較を行う。そのため記録時の車両1の進行方向を演算する必要がなく、記録された正確な進行方向を用いることができる。
(変形例2)
図9に示すセクションごとの一致度の評価において、経路の乖離を理由として詳細なマッチングを行うことなく候補から除外してもよい。すなわちステップS642において算出した位置と走行経路Tとの距離が所定の距離以上の場合には、ステップS643およびステップS644を演算することなく一致度合いを最低の値、たとえばゼロとしてもよい。たとえば図1の第4セクションT4では、位置T42は走行経路Tから外れているので第4セクションT4はステップS643およびステップS644を実行しなくてもよい。
この変形例2によれば、経路情報を利用することで偶然に無関係な位置を推定することを防止しつつ計算量を削減できる。
(変形例3)
上述した第1の実施の形態では、仮想点を自動駐車フェーズにおける車両1の移動量および進行方向に同期して移動させた。しかし仮想点を車両1の移動量のみに同期させて移動させてもよい。この場合には、図9のステップS641では方向変化の算出を省略し、ステップS642では仮想点の位置のみを算出する。そしてステップS643では車載処理装置120は、記録フェーズにおける仮想点での車両1の進行方向を推定してその進行方向を用いる。車両1の進行方向の推定方法は、図6のステップS622において説明したとおりである。
図15は、変形例3におけるステップS641の演算結果が所定距離の直進のみであった場合の、ステップS642の処理結果である仮想点の位置を示す図であり、第1の実施の形態における図10に対応する。第1の実施の形態では、車両1の移動に合わせて仮想点を移動させていたので、走行経路Tがカーブしている第4セクションT4では仮想点T42が走行経路Tから外れていた。しかし本実施の形態では車両1の移動量に基づき、車両1を進行方向に移動させるだけなので、仮想点は常に経路Tの上に存在する。
この変形例3によれば、次の作用効果が得られる。
(7)位置推定部121Cは、点群データのうち、走行経路上のいずれかの点である仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と、局所周辺情報とを比較することで駐車場座標系と局所座標系の関係を推定する。そのため車両1の移動量だけを考慮して仮想点を移動させればよいので第1の実施の形態に比べて計算が簡略できる。また計算を簡略した影響は車両1が存在するセクションではほとんど影響を受けないのでデメリットが少ない。
なお図15に示した例では第4セクションT4の演算結果が第1の実施の形態の図10と大きく異なるが、これは車両1が実際には存在しないセクションについての演算結果なので問題ない。仮に車両1が第4セクションT4を走行していたら、図10でも仮想点は経路上に算出されたはずである。
(変形例4)
上述した第1の実施の形態では、ステップS626の演算は全てのセクションについて同様に繰り返し演算が実行された。しかし一致度が低いセクションについては演算を途中で打ち切ってもよい。たとえば一致度が所定の閾値よりも低いセクションは演算を停止し、残りのセクションだけステップS626の演算を継続する。
(変形例5)
車両1はカメラ102以外に車両1の周囲の情報を取得するセンサ、たとえば超音波センサやレーザーレンジファインダを備えてもよい。また車両1がカメラを備えることは必須ではなく、超音波センサやレーザーレンジファインダなどのランドマークを測定できるセンサを備えればよい。
―第2の実施の形態―
図16~図18を参照して、車載処理装置の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、駐車位置から駐車場の入り口まで自動走行する点で、第1の実施の形態と異なる。
(構成)
図16は、第2の実施の形態に係る自動駐車システム100Aの全体構成図である。なお第2の実施の形態における自動駐車システム100Aは、車両1が駐車場から出る動作に注目しているので出庫システム100Aとも呼べる。自動駐車システム100Aは、第1の実施の形態における構成に加えて、携帯端末2と基地局3とを備える。また第2の実施の形態における車載処理装置120Aは、第1の実施の形態における車載処理装置120と比較して、演算部121に応答部121Dをさらに備える。
携帯端末2はユーザが所持する移動可能な通信端末、たとえば携帯電話、スマートフォン、またはタブレット端末である。携帯端末2は通信部2A、呼び出しアプリ2B、および不図示のユーザインタフェースを備える。通信部2Aは、移動体通信事業者が提供する無線通信サービスを利用可能な通信モジュールであり、基地局3を経由して車載処理装置120Aと通信する。呼び出しアプリ2Bは、携帯端末2に内蔵されるCPUなどを利用して動作可能なアプリケーションであり、ユーザによる操作に基づき車載処理装置120Aに信号を出力する。本実施の形態では2種類の信号を出力可能であり、第1の信号は駐車場の入り口に車両1を召喚する信号、第2の信号は車両1を停止させる信号である。呼び出しアプリ2Bは、起動されて1回目にボタンが押されると第1の信号を出力し、2回目にボタンが押されると第2の信号を出力する。あるいはボタンを押している間は第1の信号を出力し、ボタンを離すと第2の信号を出すようにしてもよい。
基地局3は、移動体通信事業者が無線通信サービスのために設置した無線通信施設である。図16では基地局3は1つしか記載していないが、複数の基地局3が存在しており、それぞれの基地局3が相互に通信可能であってもよい。
車両1に備えられる通信装置114は、本実施の形態では基地局3を経由して携帯端末2と通信を行う。通信装置114は携帯端末2から信号を受信すると車載処理装置120Aの演算部121に伝達する。応答部121Dは、通信装置114から伝達される信号に基づき車両1を後述するように制御する。なお以下では、応答部121Dが動作する動作フェーズを、自動出庫フェーズと呼ぶ。
(動作の概要)
本実施の形態では、車両1が駐車位置に停車しており、ユーザが車両1から降車して駐車場内にいる状態を想定する。なお車両1は、自動駐車フェーズを利用して車載処理装置120Aにより駐車された、または記録フェーズを有効にしてユーザにより駐車されたとする。すなわち車両1が現在駐車されている駐車場の情報は、駐車場点群124Aに含まれている。この前提において、ユーザは呼び出しアプリ2Bを用いて以下のことを実現する。ユーザが携帯端末2の呼び出しアプリ2Bを起動して第1の信号を送信すると、車載処理装置120Aは車両1を駐車時と同じ経路に沿って走行させる。ユーザは、車両1が自分に近づくと呼び出しアプリ2Bを用いて第2の信号を送信し、車両1を停止させて乗車する。
(自動出庫フェーズのフローチャート)
図17は、応答部121Dによる自動出庫フェーズの処理を表すフローチャートである。以下に説明する各ステップの実行主体は車載処理装置120AのCPUである。応答部121Dは、第1の信号を受信すると図17に示す処理を開始する。図17に示す処理の一部は第1の実施の形態における図5と一部は同一である。同一する処理には同一のステップ番号を付して説明を省略する。ステップS601~ステップS603Aまでの処理は図5と同様なので説明を省略する。
続くステップS603Bでは車載処理装置120Aは、微速での進行を開始する。なお本ステップで開始する微速での進行はステップS680が実行されるまで継続する。このとき車載処理装置120は駐車場点群124Aに記録されている駐車領域と走行経路の位置関係を用いて、適切にステアリング角度を操作する。たとえば図3に示すような走行経路Tと駐車領域903の関係の場合は、駐車領域から出るとすぐに左に曲がる。なおこのときは車両1の詳細な位置が判明していないので駐車車両などの障害物に接触する可能性が通常より高くなる。そのため、カメラ102から得られる情報だけでなく、車両1に他のセンサ、たとえば超音波センサやレーザレンジファインダが搭載される場合には、それらから得られる情報も用いて障害物を回避することが望ましい。
続くステップS604では車載処理装置120Aは、自己位置推定を開始する。なお自己位置推定の手法は第1の実施の形態と概ね同じであるが、相違点を後述する。ステップS604の次に車載処理装置120AはステップS605を実行し、肯定判断するとステップS680に進んで自動出庫を開始し、否定判断するとステップS604に戻る。自動出庫の処理は後述する。
(自己位置推定処理)
自己位置推定処理の第1の実施の形態との違いを説明する。第1の実施の形態と第2の実施の形態とでは、車両1の走行方向が異なる。そのため第2の実施の形態では、ステップS621において特定される方向が、第1の実施の形態とは逆になる。第1の実施の形態では車載処理装置120は、走行経路の両端のうち、駐車領域に遠い端部から駐車領域に近い端部へ向かう方向に走行すると判断した。しかし第2の実施の形態では車載処理装置120Aは、走行経路の両端のうち、駐車領域に近い端部から駐車領域に遠い端部へ向かう方向に走行すると判断する。
ステップS621において特定した走行方向が異なるので、ステップS622における初期位置、および初期方向もこれに合わせて変更される。ステップS623以降の処理は第1の実施の形態と同様である。ステップS626の詳細を示す図9の処理も第1の実施の形態と同様である。
(自動出庫)
図18は、図17のステップS680の詳細を示すフローチャートである。ステップS681では車載処理装置120Aは、駐車場の入り口、すなわち記録されている走行経路の端部のうち、駐車領域から遠いほうの端部の座標までの経路を生成する。続くステップS682では車載処理装置120Aは、ステップS681において生成した経路に沿うように車両1を制御する。続くステップS683では車載処理装置120Aは自己位置推定を行う。
続くステップS684では車載処理装置120Aは、第2の信号を受信したか否かを判断する。車載処理装置120Aは第2の信号を受信したと判断する場合はステップS686に進み、第2の信号を受信していないと判断する場合はステップS685に進む。ステップS685では車載処理装置120Aは、車両1が入り口に到達したか否かを判断し、入り口に到達したと判断する場合はステップS686に進み、入り口に到達していないと判断する場合はステップS682に戻る。ステップS686では車載処理装置120Aは、車両1を停止させて図16に示す処理を終了する。
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(8)出庫システム100Aは、車両1に搭載される車載処理装置120A、および車載処理装置120Aと通信する携帯端末2を備える。携帯端末2は、車載処理装置120Aに第1の信号を出力する通信部2Aを備える。車載処理装置120Aは、物体の一部を表す点の第1座標系、すなわち駐車場座標系における複数の座標が含まれる点群データである駐車場点群124Aが格納される記憶部124と、車両1の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部、すなわちIF125と、車両1の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部、すなわちIF125と、センサ入力部、および移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系、すなわち局所座標系における車両1の位置および物体の一部を表す点の局所座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報122Aを生成する局所周辺情報作成部121Bと、駐車場点群124Aと局所周辺情報とに基づき駐車場座標系と局所座標系の関係を推定し、駐車場座標系における車両の位置を推定する位置推定部121Cとを備える。駐車場点群124Aには、駐車場座標系における車両1の走行経路および車両1の始動位置、すなわち駐車領域が含まれる。位置推定部121Cは、車両1が駐車場点群124Aに含まれる走行経路を走行していることを前提として駐車場座標系と局所座標系の関係を推定する。車載処理装置120Aは、第1の信号を受信すると、位置推定部121Cを用いて駐車場座標系における車両の位置を推定し、車両制御装置130に動作指令を出力して始動位置から遠ざかる方向に走行経路に沿って車両を走行させる応答部121Dを備える。そのため、駐車位置に止めた車両1を駐車場の入り口まで召喚できる。
(9)携帯端末2の通信部2Aはさらに、第2の信号を出力可能である。車載処理装置120Aの応答部121Dは、第2の信号を受信すると車両を停止させる。そのためユーザは車両1を任意の位置で停車させることができる。
(第2の実施の形態の変形例1)
応答部121Dは、携帯端末2から位置情報を受信し、車載処理装置120Aの位置が受信した位置情報が示す位置から所定距離以内の場合に車両1を停止させてもよい。
図19は、第2の実施の形態の変形例1における自動駐車システム100Bの全体構成図である。本変形例では、第2の実施の形態の構成に加えて、携帯端末2は携帯位置推定部2Cを備える点が異なる。また携帯端末2の呼び出しアプリ2Bの動作、および車載処理装置120Aの応答部121Dの動作が第2の実施の形態と異なる。
携帯位置推定部2Cは、衛星航法システムを構成する複数の衛星から信号を受信し、受信した信号に基づく演算によりGPS受信機107の測地系における位置、すなわち緯度および経度を算出する。なお以下では、携帯位置推定部2Cが算出する測地系における位置を「携帯位置」とも呼ぶ。また携帯位置推定部2Cによる携帯位置の「算出」は、携帯位置の「推定」とも呼ぶ。
なお携帯位置推定部2Cは、通信部2Aを介して位置の補正信号を受信し、その補正信号を利用して携帯位置の推定精度を向上させてもよい。また携帯位置推定部2Cは、無線LANの通信モジュールをさらに備え、無線LANを介して得られる補正信号を利用して携帯位置の推定精度を向上させてもよい。
本変形例では呼び出しアプリ2Bは、ユーザが携帯端末2の呼び出しアプリ2Bを起動して第1の信号を送信すると、携帯位置推定部2Cが推定した携帯位置を車載処理装置120Aに送信する。呼び出しアプリ2Bによる携帯位置の送信は、第1の信号の送信とともに一度だけ送信してもよいし、所定時間ごと、たとえば10秒ごとや1分毎に繰り返し送信してもよい。さらに繰り返し送信する場合は、過去に推定した携帯位置を送信するのではなく、その都度改めて携帯位置推定部2Cが携帯位置を推定し、新たに推定して得られた携帯位置を送信することが望ましい。
図20は、本変形例における図17のステップS680の詳細を示すフローチャートである。すなわち図20は、第2の実施の形態における図18に相当する。図20は、図18におけるステップS684の次にステップS684Aが追加されている。以下では図18との相違点を説明する。本変形例では車載処理装置120Aは、ステップS684を肯定判断する場合は第2の実施の形態と同様にステップS686に進むが、ステップS684を否定判断する場合はステップS684Aに進む。
ステップS684Aでは車載処理装置120Aは、GPS受信機107が算出する車両位置と、携帯端末2から受信した携帯位置との距離が所定距離以内、たとえば3m以内であるか否かを判断する。車載処理装置120Aは、2つの位置の距離が所定距離以内と判断する場合はステップS686に進み、2つの位置の距離が所定距離よりも遠いと判断する場合はステップS685に進む。これ以降の処理は第2の実施の形態と同様なので説明を省略する。
本変形例によれば、次の作用効果が得られる。
(10)携帯端末2は、携帯端末2の測地系における位置である携帯位置を推定する携帯位置推定部2Cを備える。携帯端末2の通信部2Aは携帯位置を出力可能である。車載処理装置120Aのインタフェース125は、車両1の測地系における位置である車両位置を推定するGPS受信機107から車両位置を取得する。車載処理装置120Aの応答部121Dは、携帯端末2から受信した携帯位置と車両位置との差が所定の距離以内になると車両を停止させる。そのため、ユーザによる明示的な停止指令がなくても、携帯端末2を所持するユーザの近く車両1を停止させることができる。
(第2の実施の形態の変形例2)
第2の実施の形態の変形例1において、携帯端末2は第2の信号を出力できなくてもよい。この場合は車載処理装置120Aは、図20に示すフローチャートにおいて、ステップS683の処理が完了すると、ステップS684Aに進む。
上述した各実施の形態および変形例において、車載処理装置120が実行するプログラムは不図示のROM123に格納されるとしたが、プログラムは記憶部124に格納されていてもよい。また、車載処理装置120が不図示の入出力インタフェースを備え、必要なときに入出力インタフェースと車載処理装置120が利用可能な媒体を介して、他の装置からプログラムが読み込まれてもよい。ここで媒体とは、たとえば入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体、すなわち有線、無線、光などのネットワーク、または当該ネットワークを伝搬する搬送波やディジタル信号、を指す。また、プログラムにより実現される機能の一部または全部がハードウエア回路やFPGAにより実現されてもよい。
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1 … 車両
2 … 携帯端末
2A … 通信部
2C … 携帯位置推定部
100、100A、100B … 自動駐車システム
102 … カメラ
107 … GPS受信機
108 … 車速センサ
109 … 舵角センサ
120 … 車載処理装置
121 … 演算部
121A … 点群データ取得部
121B … 局所周辺情報作成部
121C … 位置推定部
121D … 応答部
122A … 局所周辺情報
124 … 記憶部
124A … 駐車場点群
125 … インタフェース
130 … 車両制御装置

Claims (9)

  1. 物体の一部を表す点の第1座標系における複数の座標が含まれる点群データが格納される記憶部と、
    車両の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部と、
    前記車両の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部と、
    前記センサ入力部、および前記移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系における前記車両の位置および物体の一部を表す点の前記第2座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報を生成する局所周辺情報作成部と、
    前記点群データと前記局所周辺情報とに基づき前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記第1座標系における前記車両の位置を推定する位置推定部とを備え、
    前記点群データには、前記第1座標系における前記車両の走行経路が含まれ、
    前記点群データには、前記走行経路を走行した際の前記車両の進行方向の情報が含まれ、
    前記位置推定部は、前記車両が前記点群データに含まれる走行経路を走行していることを前提として、前記点群データのうち、前記走行経路上のいずれかの点を起点とし、前記車両移動情報に基づき移動した点である仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と、前記局所周辺情報とを比較することで前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、
    前記位置推定部は、前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定する際に、前記仮想点における前記車両の進行方向と前記局所周辺情報を生成した際の前記車両の進行方向とが一致する角度から所定範囲の角度で、前記仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と前記局所周辺情報との比較である角度限定比較を行う車載処理装置。
  2. 請求項1に記載の車載処理装置において、
    前記位置推定部は、前記走行経路に含まれる複数の座標を用いて前記第1座標系における前記車両の進行方向を推定し、
    前記位置推定部は、前記仮想点における前記車両の進行方向と前記局所周辺情報を生成した際の前記車両の進行方向とが一致する角度から所定範囲の角度で、前記仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と前記局所周辺情報との比較である角度限定比較を行う車載処理装置。
  3. 請求項1に記載の車載処理装置において、
    前記位置推定部は、前記走行経路を複数のセクションに分割し、前記セクションにおける前記走行経路の端部を前記起点として前記車両の移動にあわせて前記仮想点を移動させ、
    前記仮想点の移動に伴う前記角度限定比較の結果の変化に基づき前記複数のセクションから1つの前記セクションを選択し、選択した一つの前記セクションに前記車両が存在するとして前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定する車載処理装置。
  4. 請求項2に記載の車載処理装置において、
    前記点群データには、前記第1座標系における前記車両の目的地の座標が含まれ、
    前記位置推定部は、前記走行経路における前記車両の走行方向を、前記目的地の座標に近づく方向と推定する車載処理装置。
  5. 請求項1に記載の車載処理装置において、
    前記位置推定部は、前記点群データのうち、前記走行経路上のいずれかの点である仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と、前記局所周辺情報とを比較することで前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定する車載処理装置。
  6. 物体の一部を表す点の第1座標系における複数の座標が含まれる点群データが格納される記憶部、車両の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部、および前記車両の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部を備える前記車両に備えられる車載処理装置が実行する位置推定方法であって、
    前記センサ入力部、および前記移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系における前記車両の位置および物体の一部を表す点の前記第2座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報を生成することと、
    前記点群データと前記局所周辺情報とに基づき前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記第1座標系における前記車両の位置を推定することと、
    前記点群データには、前記第1座標系における前記車両の走行経路が含まれ、
    前記点群データには、前記走行経路を走行した際の前記車両の進行方向の情報が含まれ、
    前記車両が前記点群データに含まれる走行経路を走行していることを前提として、前記点群データのうち、前記走行経路上のいずれかの点を起点とし、前記車両移動情報に基づき移動した点である仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と、前記局所周辺情報とを比較することで前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定することとを含
    前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定する際に、前記仮想点における前記車両の進行方向と前記局所周辺情報を生成した際の前記車両の進行方向とが一致する角度から所定範囲の角度で、前記仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と前記局所周辺情報との比較である角度限定比較を行う位置推定方法。
  7. 車両に搭載される車載処理装置、および前記車載処理装置と通信する携帯端末を備える出庫システムであって、
    前記携帯端末は、
    前記車載処理装置に第1の信号を出力する通信部を備え、
    前記車載処理装置は、
    物体の一部を表す点の第1座標系における複数の座標が含まれる点群データが格納される記憶部と、
    車両の周囲の情報を取得するセンサの出力を取得するセンサ入力部と、
    前記車両の移動に関する情報である車両移動情報を取得する移動情報取得部と、
    前記センサ入力部、および前記移動情報取得部が取得する情報に基づき、第2座標系における前記車両の位置および物体の一部を表す点の前記第2座標系における座標が複数含まれる局所周辺情報を生成する局所周辺情報作成部と、
    前記点群データと前記局所周辺情報とに基づき前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、前記第1座標系における前記車両の位置を推定する位置推定部とを備え、
    前記点群データには、前記第1座標系における前記車両の走行経路、および前記第1座標系における前記車両の始動位置が含まれ、
    前記点群データには、前記走行経路を走行した際の前記車両の進行方向の情報が含まれ、
    前記位置推定部は、前記車両が前記点群データに含まれる走行経路を走行していることを前提として、前記点群データのうち、前記走行経路上のいずれかの点を起点とし、前記車両移動情報に基づき移動した点である仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と、前記局所周辺情報とを比較することで前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定し、
    前記位置推定部は、前記第1座標系と前記第2座標系の関係を推定する際に、前記仮想点における前記車両の進行方向と前記局所周辺情報を生成した際の前記車両の進行方向とが一致する角度から所定範囲の角度で、前記仮想点を中心とする領域に含まれる記録済み特徴点と前記局所周辺情報との比較である角度限定比較を行い、
    前記車載処理装置はさらに、
    前記第1の信号を受信すると、前記位置推定部を用いて前記第1座標系における前記車両の位置を推定し、前記始動位置から遠ざかる方向に前記走行経路に沿って前記車両を走行させる応答部を備える出庫システム。
  8. 請求項7に記載の出庫システムにおいて、
    前記携帯端末の通信部はさらに、第2の信号を出力可能であり、
    前記車載処理装置の前記応答部は、前記第2の信号を受信すると前記車両を停止させる出庫システム。
  9. 請求項7に記載の出庫システムにおいて、
    前記携帯端末は、前記携帯端末の測地系における位置である携帯位置を推定する携帯位置推定部をさらに備え、
    前記携帯端末の通信部はさらに、前記携帯位置を出力可能であり、
    前記車載処理装置は、前記車両の測地系における位置である車両位置を推定する車両位置推定部から前記車両位置を取得し、
    前記車載処理装置の前記応答部は、前記携帯端末から受信した前記携帯位置と前記車両位置との差が所定の距離以内になると前記車両を停止させる出庫システム。
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