本発明の第1の態様による車両用前照灯は、ロービームとなる第1の光を出射し、前記第1の光の出射面の法線が前方斜め下を向く第1発光素子と、前記第1発光素子の下方に配置されて第2の光を出射し、前記第2の光の出射面の法線が前方斜め上を向く第2発光素子と、前記第1発光素子と前記第2発光素子との間から前方に延在するシェードと、前記シェードよりも前方に配置され、前記第1の光の一部及び前記第2の光の一部が直接透過する投影レンズと、を備え、前記シェードは、前記第1の光の他の一部が前記投影レンズを透過するように前記第1の光の他の一部を反射する第1反射面を上面に有すると共に、前記第2の光の他の一部が前記投影レンズを透過するように前記第2の光の他の一部を反射する第2反射面を下面に有し、前記シェードの前方端は、前記ロービームの配光パターンのカットラインの形状に対応した上下方向の段差を有することを特徴とする。
上記第1の態様による車両用前照灯では、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズを直接透過する。すなわち、第1の光の一部及び第2の光の一部は、それぞれ反射されることなく投影レンズに入射し、投影レンズを透過する。このように、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズに直接入射することを前提とするため、上記車両用前照灯は、上記特許文献1に記載されているような大型のリフレクタを必要としない。また、第1の光の他の一部は、第1発光素子の下方に配置されたシェードの第1反射面によって反射されて投影レンズに入射し、第2の光の他の一部は、第2発光素子の上方に配置されたシェードの第2反射面によって反射されて投影レンズに入射する。そのため、第1の光及び第2の光を有効に利用することができる。さらに、上記車両用前照灯では、シェードの前方端によってロービームの配光パターンのカットラインが形成される。以上のように、上記車両用前照灯では、大型のリフレクタが用いられなくても第1の光及び第2の光が効率良く投影レンズに入射し、ロービームの配光のカットラインが形成される。したがって、上記車両用前照灯は、大型化が抑制され得る。
また、上記第1の態様による車両用前照灯おいて、前記第1発光素子が左右方向に並列して複数備えられ、特定の前記第1発光素子を基準として左右方向の一方に配置される複数の前記第1発光素子と他方に配置される複数の前記第1発光素子とは、設けられる高さが互いに異なることが好ましい。
ロービームを鉛直面に照射する場合、ロービームの配光パターンのカットラインは、特定の位置を基準として左右方向の一方と他方とで高さが互いに異なる。したがって、カットラインを形成するシェードの前方端は、特定の位置を基準として左右方向の一方と他方とで高さが異なることが好ましい。ここで、複数の第1発光素子が上記のように段違いに配置されることによって、それぞれの第1発光素子の出射面の位置をシェードの前方端の高さに合わせやすくなる。そのため、それぞれの第1発光素子から出射される第1の光が、ロービームの配光パターンのカットラインを形成するシェードの前方端近傍に届き易くなり、ロービームの配光パターンにおいてカットライン近傍の光度が高められ得る。
また、上記第1の態様による車両用前照灯おいて、前記特定の第1発光素子と前記特定の第1発光素子を挟んで配置される一対の前記第1発光素子との平均間隔は、互いに隣り合う他の複数の前記第1発光素子の平均間隔より狭いことが好ましい。
上記のように複数の第1発光素子の平均間隔が調整されることによって、左右方向の中心近傍において互いに隣り合って配置される複数の第1発光素子の平均間隔が左右方向の両端側において互いに隣り合って配置される複数の第1発光素子の平均間隔より狭くされ得る。そのため、同数の第1発光素子が等間隔に配置される場合に比べて、ロービームの配光パターンが左右に広がりつつロービームの配光パターンの中心近傍が明るくなり得る。
また、上記第1の態様による車両用前照灯おいて、正面視において、前記特定の第1発光素子と前記シェードの前方端が有する前記段差とが上下方向に重なり、前記特定の第1発光素子を基準として左右方向の一方に配置される複数の前記第1発光素子は他方に配置される複数の前記第1発光素子より低い位置に設けられ、前記シェードの前方端は前記段差を基準として左右方向の一方が他方より低く形成されることが好ましい。
このように複数の第1発光素子が配置されると共にシェードの前方端が形成されることによって、複数の第1発光素子がシェードの前方端の形状に沿って配置され得る。そのため、それぞれの第1発光素子から出射される第1の光が、ロービームの配光パターンのカットラインを形成するシェードの前方端近傍により届き易くなり、ロービームの配光パターンにおいてカットライン近傍の光度がより高められ得る。
また、上記第1の態様による車両用前照灯おいて、前記第1反射面の後方端が前記ロービームの配光パターンのカットラインの形状に対応した段差を有することが好ましい。
シェードの前方端及びシェードの上面の第1反射面の後方端のそれぞれがロービームの配光のカットラインの形状に対応した段差を有することによって、第1の光がシェードの前方端近傍により届き易くなる。そのため、ロービームの配光パターンにおいて、カットライン近傍の光度がより高められ得る。
また、上記第1の態様による車両用前照灯おいて、正面視において、前記シェードの前方端が有する前記段差と前記第1反射面の後方端が有する前記段差とが上下方向に重なることが好ましい。
このようにシェードが形成されることによって、第1の光がシェードの前方端近傍により届き易くなる。そのため、ロービームの配光パターンにおいて、カットライン近傍の光度がより高められ得る。
以上のように、本発明の第1の態様によれば、大型化が抑制され得る車両用前照灯が提供される。
また、本発明の第2の態様による車両用前照灯は、出射面の法線が前方斜め下を向き、ロービームとなる第1の光を出射する第1発光素子と、前記第1発光素子の下方に配置されると共に出射面の法線が前方斜め上を向き、ハイビームとなる第2の光を出射する第2発光素子と、前記第1発光素子と前記第2発光素子との上下方向の間に配置されるシェードと、前記シェードよりも前方に配置され、前記第1の光の一部及び前記第2の光の一部が直接透過する投影レンズと、を備え、前記投影レンズの焦点は、前記投影レンズと前記シェードの前方端との間に位置し、前記第2発光素子は、前記第1発光素子よりも前記投影レンズの焦点に近い位置に配置されることを特徴とする。
上記第2の態様による車両用前照灯では、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズを直接透過する。すなわち、第1の光の一部及び第2の光の一部は、それぞれ反射されることなく投影レンズに入射し、投影レンズを透過する。このように、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズに直接入射するように第1発光素子及び第2発光素子が配置されるため、上記車両用前照灯は、上記特許文献1に記載されているような大型のリフレクタを必要としない。そのため、上記車両用前照灯は大型化が抑制され得る。
また、上記第2の態様による車両用前照灯では、第2発光素子が第1発光素子よりも投影レンズの焦点に近い位置に配置される。すなわち、前後方向または上下方向の少なくとも一方において、第2発光素子は第1発光素子よりも投影レンズの焦点に近い位置に配置される。そのため、投影レンズの焦点において、ハイビームとなる第2の光の光度はロービームとなる第1の光の光度よりも容易に高められ得る。そのため、上記車両用前照灯は、投影レンズを透過して前方に照射されるハイビームの最大光度をロービームの最大光度よりも高め得る。一方、第1発光素子が第2発光素子よりも投影レンズの焦点から遠い位置に配置されることによって、投影レンズの焦点面において、第1の光の照射範囲は第2の光の照射範囲よりも容易に広げられ得る。そのため、上記車両用前照灯は、ロービームの照射範囲をハイビームの照射範囲よりも広げ得る。
また、上記第2の態様による車両用前照灯において、前記第2発光素子は、前記第1発光素子より前方において、前記第2発光素子の出射面の法線が前記第1発光素子の出射面の法線より鉛直に近くなるように配置されることが好ましい。
第2発光素子が第1発光素子よりも前方に配置されることによって、第2発光素子を第1発光素子よりも投影レンズの焦点に近付けることが容易になる。ここで、第2発光素子の出射面の法線と鉛直面とが成す角と、第1発光素子の出射面の法線と鉛直面とが成す角とが同程度である場合、第1の光及び第2の光のどちらか一方が投影レンズの焦点近傍を通り難くなる。第2発光素子の出射面の法線が第1発光素子の出射面の法線より鉛直に近くなるように第2発光素子が配置されることによって、第2の光及び第1の光が共に投影レンズの焦点近傍を通るように第1発光素子及び第2発光素子を配置し得る。そのため、上記車両用前照灯は、ロービーム及びハイビームの光度を高め得る。
また、上記第2の態様による車両用前照灯において、前記第1の光の他の一部は前記シェードの上面に照射され、前記シェードの上面は、前記第1の光の他の一部を前記投影レンズの焦点に向けて反射する第1反射面を有することが好ましい。
このように第1の光の他の一部が反射されることによって、投影レンズの焦点に第1の光が集められ、ロービームの光度がより高められ得る。
また、上記第2の態様による車両用前照灯において、前記第2の光の他の一部は前記シェードの下面に照射され、前記シェードの下面は、前記第2の光の他の一部を前記投影レンズの焦点に向けて反射する第2反射面を有することが好ましい。
このように第2の光の他の一部が反射されることによって、投影レンズの焦点に第2の光が集められ、 ハイビームの光度がより高められ得る。
また、上記第2の態様による車両用前照灯において、前記第2発光素子が左右方向に並列して複数備えられ、左右方向の中央部に配置される前記第2発光素子の平均間隔は、左右方向の少なくとも一方の端部に配置される前記第2発光素子の平均間隔より狭いことが好ましい。
上記のように複数の第2発光素子の平均間隔が調整されることによって、同数の第2発光素子が等間隔に配置される場合に比べて、ハイビームの中心近傍の最大光度が高まり得る。
以上のように、本発明の第2の態様によれば、大型化が抑制され得る車両用前照灯が提供される。
また、本発明の第3の態様による車両用前照灯は、ロービームとなる第1の光を出射する第1発光素子と、前記第1発光素子の下方に配置され、ハイビームとなる第2の光を出射する第2発光素子と、前記第1発光素子と前記第2発光素子との上下方向の間に配置され、前記第1の光の一部を遮蔽するシェードと、前記シェードより前方に配置され、前記第1の光の他の一部及び前記第2の光の一部が直接入射して透過する投影レンズと、を備え、前記投影レンズの前面または背面は、凹凸が非形成とされる第1領域を複数有し、それぞれの前記第1領域を挟む領域は、凹凸が形成される凹凸領域とされ、複数の前記第1領域で挟まれる前記凹凸領域と複数の前記第1領域に挟まれない前記凹凸領域との平均表面粗さが互いに異なることを特徴とする。
上記第3の態様による車両用前照灯では、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズを直接透過する。すなわち、第1の光の一部及び第2の光の一部は、それぞれ反射されることなく投影レンズに入射し、投影レンズを透過する。このように、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズに直接入射するように第1発光素子及び第2発光素子が配置されるため、上記車両用前照灯は、上記特許文献1に記載されているような大型のリフレクタを必要としない。そのため、上記車両用前照灯は大型化が抑制され得る。
ところで、上記のように、シェードを介して上下方向に配置される2つの光源を用いて配光パターンを形成する場合、シェードによって一部の光が遮られることで配光パターンに暗部が形成される場合がある。ここで、投影レンズの前面または背面の全体に複数の凹凸を形成することで投影レンズから出射する光を拡散すれば、第1の光によって形成される配光パターンと第2の光によって形成される配光パターンの境界が不明瞭となる。よって、第1の光及び第2の光によって形成される配光パターンに暗部が形成されることが抑制され得る。しかし、この場合、第1の光が拡散されるとロービームのカットラインが不明瞭となる傾向がある。このように、第1の光によるロービームのカットラインの明確化と第1の光及び第2の光による配光パターンにおける暗部の抑制はトレードオフの関係にある。上記車両用前照灯の投影レンズは、凹凸が非形成とされる第1領域と凹凸が形成される凹凸領域とをそれぞれ複数有する。第1領域を透過する第1の光は、拡散が抑制され、ロービームのカットラインの明確化に寄与し得る。一方、凹凸領域を透過する光は、拡散され、第1の光の配光パターンと第2の光の配光パターンとの境界を不明瞭にして暗部の形成を抑制し得る。そのため、上記車両用前照灯は、ロービームのカットラインを明確にしつつ配光パターンに暗部が形成されることを抑制し得る。以上のように、上記車両用前照灯は、大型化が抑制されつつ配光パターンに暗部が形成されることを抑制し得る。
また、投影レンズの前面及び背面の全体に凹凸が非形成とされる場合、上記のような暗部の他に、光源から投影レンズに直接入射する光と他の部材に反射されて投影レンズに入射する光とによる明るさのムラが目立ちやすくなる傾向にある。また、光源が複数設けられる場合、それぞれの光源の間隔による明るさのムラも目立ちやすくなる傾向にある。複数の第1領域で挟まれる凹凸領域と複数の第1領域に挟まれない凹凸領域との平均表面粗さが互いに異なることによって、第1領域に近い領域を透過する光をぼかす等して投影レンズから出射される光のぼける度合いを調整し易くなり、明るさのムラが生じることを抑制し得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、前記第1領域が帯状に形成されることが好ましい。
帯状とは、所定の幅を有して当該幅方向とは直交する方向に延在する形状を意味し、延在する方向は直線状、波線状、折れ線状のいずれであってもよい。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、正面視において、前記第1領域または複数の前記第1領域に挟まれる前記凹凸領域は、前記投影レンズの光軸が通る位置に形成されることが好ましい。
上記第3の態様による車両用前照灯において、第1発光素子から出射される第1の光及び第2発光素子から出射される第2の光は、それぞれ投影レンズの全体に入射して透過する。ただし、投影レンズにおける第1の光及び第2の光の光度は、一定ではなく、光軸近傍で高くなる傾向がある。第1領域または複数の第1領域に挟まれる凹凸領域が投影レンズの光軸が通る位置に形成されることによって、第1領域及び複数の第1領域に挟まれる凹凸領域は、光度が高い光が透過する位置に形成され得る。すなわち、第1領域は、ロービームのカットラインを形成する光のうち光度が高い光が透過し易い位置に形成され得る。よって、ロービームのカットラインを形成する光の拡散がより抑制され、ロービームのカットラインがより明確になり得る。また、複数の第1領域に挟まれる凹凸領域は、第2の光のうち光度が高い光が透過する位置に形成され得る。よって、第2の光がより拡散され、第1の光及び第2の光による配光パターンに暗部が形成されることがより抑制され得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、複数の前記第1領域で挟まれる前記凹凸領域の平均表面粗さは、複数の前記第1領域に挟まれない前記凹凸領域の平均表面粗さより大きいことが好ましい。
第1領域は、ロービームのカットラインがより明確化に寄与し得る一方で、カットラインを明確にすることで第1の光の配光パターンと第2の光の配光パターンとの境界を明確にし、第1の光及び第2の光による配光パターンにおける暗部の形成に寄与し得る。複数の第1領域で挟まれる凹凸領域、すなわち複数の第1領域に近い凹凸領域の平均表面粗さが大きくされることによって、複数の第1領域の近傍を透過する第2の光が拡散され易くなり、第1の光及び第2の光による配光パターンに暗部が形成されることがより抑制され得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、前記凹凸領域は、第2領域と前記第2領域より小さな凹凸が形成される第3領域とを有することが好ましい。
光の拡散される度合いが相対的に大きい領域と小さい領域とが投影レンズに形成されることによって、光の拡散度合いに起因する光の明るさの階調が目立つことを抑制し得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、上記凹凸領域が、第2領域と第2領域より小さな凹凸が形成される第3領域とを有する場合、前記第2領域及び前記第3領域が前記第1領域を挟んで隣り合うことが好ましい。
第2領域及び第3領域が第1領域を挟んで隣り合うことによって、第1領域を透過することで拡散が抑制された光と凹凸領域を透過して拡散された光との明るさの階調が目立つことを抑制し得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、複数の前記第1領域が水平面に平行に形成されることが好ましい。
複数の第1領域が水平面に平行に形成されることによって、複数の第1領域及び複数の第1領域に挟まれる凹凸領域の形成が容易になり得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、複数の前記第1領域が水平面に対して傾斜した線上に形成されることも好ましい。
第1領域が光源の出射面の輪郭に対して平行に形成される場合、光源の出射面の輪郭を境とした明暗差がぼけにくくなる傾向にある。ところで、車両用前照灯の光源には、出射面が矩形のLEDチップが用いられることがある。このような出射面が矩形の光源が用いられる場合、第1領域が水平面に対して傾斜した線上に形成されると、投影レンズの正面視において第1領域の延在方向と光源の出射面の輪郭とを非平行とし易くなる。よって、光源の出射面の輪郭を境とした明暗差をぼかし易くなり得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、複数の上記第1領域が水平面に対して傾斜した線上に形成される場合、複数の前記第1領域がV字状に形成されることが好ましい。
第1領域がV字状に形成されることによって、投影レンズの正面視において第1領域の延在方向と光源の出射面の輪郭とを非平行とすることがより容易になり得る。よって、光源の出射面の輪郭を境とした明暗差をよりぼかし易くなり得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、複数の前記第1領域が左右対称に形成されることが好ましい。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、前記凹凸領域は前記投影レンズの前面に形成されることが好ましい。
投影レンズの背面、すなわち入射面で光を拡散させる場合は、拡散された光が投影レンズの前面、すなわち出射面で屈折して出射することになる。そのため、投影レンズの前面で光を拡散させる方が投影レンズの背面で光を拡散させるよりも光の拡散度合いの調整が容易になり得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、前記第2発光素子の下方を覆い、前記第2の光の他の一部が前記投影レンズに入射するように前記第2の光の他の一部を反射する反射面を更に備えることが好ましい。
第2の光の他の一部を投影レンズに入射させることによって、第2の光を有効に利用し得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、上記第2の光の他の一部を反射する反射面を更に備える場合、前記反射面は、前記第2の光の他の一部が前記第1領域及び複数の前記第1領域で挟まれる前記凹凸領域以外の領域を透過するように、前記第2の光の他の一部を反射することが好ましい。
上記のように、第1領域及び複数の第1領域で挟まれる凹凸領域は、ロービームのカットラインの明確化及び配光パターンに暗部が形成されることの抑制に寄与し得る。第2の光の他の一部がこれらの領域以外の領域を透過することによって、意図しない光によってロービームのカットラインの明確化と配光パターンに暗部が形成されることの抑制とが阻害されることを抑制し得る。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、上記第2の光の他の一部を反射する反射面を更に備える場合、前記反射面は、前記第2の光の他の一部が前記第2の光の一部が直接入射する領域とは異なる領域に入射するように前記第2の光の他の一部を反射することが好ましい。
第2の光の一部が直接入射する領域とは異なる領域に第2の光の他の一部が入射することによって、第2の光の照射範囲を広げ得る。例えば、第2の光の配光パターンと第1の光の配光パターンとの境界の暗部を小さくするために、第2の光の一部が下方に照射されるように投影レンズの曲率を制御すると、第2の光の配光パターンの上方に照射される光が弱くなる場合がある。ここで、第2の光の他の一部が第2の光の一部が直接入射する領域とは異なる領域に入射することによって、第2の光の他の一部は第2の光の一部とは異なる方向に照射され得る。その結果、第2の光の他の一部が第2の光の一部よりも上方に照射されることによって、第2の光の配光パターンの上方に照射される光を補うことができる。
また、上記第3の態様による車両用前照灯において、上記第2の光の他の一部を反射する反射面を更に備える場合、前記投影レンズは、入射する光の一部をオーバーヘッドサイン用の光とするために屈折させる屈折部を有し、前記反射面は、前記第2の光の他の一部を前記屈折部以外の領域に入射するように反射することが好ましい。
オーバーヘッドサイン用の屈折部に意図しない光が入射することを抑制することによって、オーバーヘッドサイン用の光が意図しない方向に照射されることを抑制し得る。
以上のように、本発明の第3の態様によれば、大型化が抑制されつつ配光パターンに暗部が形成されることを抑制し得る車両用前照灯を提供し得る。
以下、本発明に係る車両用前照灯を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1の態様について、第1実施形態に係る車両用前照灯を例として説明する。
図1は、本実施形態に係る光源ユニットを備える灯具を示す図である。本実施形態では、灯具は車両用前照灯とされる。車両用前照灯は、一般的に車両の前方の左右方向のそれぞれに備えられるものであり、左右の前照灯は左右方向に概ね対称の構成とされる。従って、本実施形態では、一方の車両用前照灯について説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両用前照灯1は、筐体2と、灯具ユニット3と、支持ユニット4とを主な構成として備える。なお、図1は、車両用前照灯1の側面図であり、図1では理解容易のために筐体2は断面図で示されている。
次に、筐体2について説明する。
筐体2は、ランプハウジング11、フロントカバー12及びバックカバー13を主な構成として備える。ランプハウジング11の前方は開口しており、当該開口を塞ぐように透光性を有するフロントカバー12がランプハウジング11に固定されている。ランプハウジング11の後方には前方よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー13がランプハウジング11に固定されている。
ランプハウジング11と、当該ランプハウジング11の前方の開口を塞ぐフロントカバー12と、当該ランプハウジング11の後方の開口を塞ぐバックカバー13とによって形成される空間は灯室Rとされる。この灯室R内に灯具ユニット3及び支持ユニット4が収容されている。
次に、支持ユニット4について説明する。
図2は、図1に示す灯具ユニット及び支持ユニットの斜視図である。図1、図2に示すように、支持ユニット4は、ブラケット15と、第1接続アーム16aと、第2接続アーム16bとを主な構成として備える。ブラケット15は、枠状体とされ、左右方向に延在するベース部15aと、ベース部15aの左右両端部からそれぞれ上方へ延在する柱部15b,15cと、左右方向に延在して2つの柱部15b,15cの上端部に連結する支持部15dとを有する。ベース部15aと支持部15dとの間に灯具ユニット3が配置される。灯具ユニット3の上部とブラケット15の支持部15dとが第1接続アーム16aによって連結され、当該灯具ユニット3はブラケット15の支持部15dに吊り下げられている。また、灯具ユニット3の下部とブラケット15のベース部15aとが第2接続アーム16bによって連結され、第2接続アーム16bのベース部15a側は当該ベース部15aに取り付けられる不図示の駆動ユニットに不図示のギア等を介して接続される。このように灯具ユニット3は第1接続アーム16a及び第2接続アーム16bによってブラケット15に取り付けられる。ベース部15aに取り付けられる不図示の駆動ユニットによって、灯具ユニット3は、ブラケット15に対して左右方向への回動及び前後方向への傾倒が可能とされている。なお、ブラケット15は、不図示の手段によって筐体2に固定されている。
次に、灯具ユニット3について説明する。
図3は、図1に示す灯具ユニットを前方側から見る分解斜視図であり、図4は、図1に示す灯具ユニットを後方側から見る分解斜視図である。なお、図3、図4には、支持ユニット4の第1接続アーム16a及び第2接続アーム16bも記載されている。図3、図4に示すように、本実施形態の灯具ユニット3は、投影レンズ20と、レンズホルダ25と、光源ユニットLUとを主な構成として備える。
次に、光源ユニットLUについて説明する。
図3、図4に示すように、本実施形態の光源ユニットLUは、サポートプレート30と、リフレクタユニット40と、第1基板50と、第2基板60と、2つのフレキシブルプリント回路基板70と、ヒートシンク80と、ファン81とを主な構成として備える。
次に、ヒートシンク80について説明する。
図5は、ヒートシンクの斜視図であり、図6は、ヒートシンクの概略断面図である。なお、図6には、ファン81も記載されている。図4~図6に示すように、ヒートシンク80は、例えば金属から形成され、第1ベース板82と、第2ベース板83と、周壁部84と、整流板85を主な構成として備える。
第1ベース板82は、前方斜め上方及び左右に延在する板状体である。本実施形態では、第1ベース板82の前面82fには、第1載置面86、第1リブ87、ボス88、及び、凹部89が形成されている。第1載置面86は、第1基板50の少なくとも一部載置される面であり、第1ベース板82の前面82fから前方へ突出する台座90の端面とされ、第1ベース板82の前面82fと概ね平行である。なお、本明細書における概ね平行とは、完全に平行な状態とともに、完全に平行な状態から一方が他方に対して1°程度傾いている状態も含む。この第1載置面86の外縁のうち下端に位置する外縁86eは、左右方向に延びている。
図5に示すように、第1ベース板82の前面82fの下方側の領域には、第1リブ87が形成され、この第1リブ87は、前面82fから前方へ突出している。このため、第1リブ87は、第1載置面86の法線に対して傾斜している。この第1リブ87は、第1載置面86を平面視する場合に下方から上方へ向けて延在し、第1載置面86に対して上方側へ傾いている。本実施形態では、第1リブ87の長手方向と垂直な断面の形状は円形とされる。
第1リブ87よりも上方側には、2つのボス88が形成され、第1リブ87と同様にして、第1ベース板82の前面82fから前方へ突出している。このため、ボス88は、第1載置面86の法線に対してそれぞれ傾斜している。それぞれのボス88は、第1載置面86を平面視する場合に下方から上方へ向けて延在し、第1載置面86に対して上方側へ傾いている。それぞれのボス88の下方側の外周面には、第1載置面86と概ね垂直な当接面88sが形成されている。なお、本明細書における概ね垂直とは、完全に垂直な状態とともに、完全に垂直な状態から一方が他方に対して1°程度傾いている状態も含む。本実施形態では、それぞれのボス88における当接面88sは第1載置面86を平面視する場合に左右に延びる平面とされ、第1載置面86を平面視する場合に第1リブ87の延在方向である上下方向と非平行とされている。
第1載置面86よりも右側及び左側には、それぞれ凹部89が形成されている。この凹部89は、第1ベース板82の前面82fが第1載置面86側と反対側に凹む部位である。本実施形態では、凹部89は後述のように鉛直断面において円弧状に窪んでいる。
第2ベース板83は、前方斜め下方及び左右に延在する板状体である。第2ベース板83の上側の外縁は第1ベース板の下側の外縁に接続されている。本実施形態では、第2ベース板83の前面83fには、第2載置面91、第2リブ92、リブ補強部93、突起94、及び2つのボス100が形成されている。第2載置面91は、第2基板60の少なくとも一部が載置される面であり、第2ベース板83の前面83fから前方へ突出する台座95の端面とされ、第2ベース板83の前面83fと概ね平行である。このため、第2載置面91の第2基板60側に延びる法線は、第1載置面86の第1基板50側に延びる法線と交わり、第1載置面86と第2載置面91とのなす角は180度未満である。従って、第1載置面86と第2載置面91とは互いに非平行であるとともに、第1基板50と第2基板60とのなす角も180度より小である。また、第1ベース板82及び第2ベース板83は板状体であるため、第1ベース板82の背面82bは第2ベース板83の背面83bに対して傾斜しており、第1ベース板82の背面82bと第2ベース板83の背面83bとのなす角は180度よりも大となる。具体的には、第1ベース板82の背面82bは前方に向けて斜め上方に傾斜し、第2ベース板83の背面83bは前方に向けて斜め下方に傾斜する。なお、図6は、第1ベース板82の前面82f及び第2ベース板83の前面83fに垂直な断面図である。上記のように第1ベース板82及び第2ベース板83は、それぞれ板状体であるため、図6は、第1ベース板82の背面83b及び第2ベース板83の背面83bに垂直な断面図でもある。また、第2載置面91の外縁のうち第1載置面86側である上端に位置する外縁91eは、第1載置面86の外縁のうち第2載置面91側である下端に位置する外縁86eと概ね平行とされている。
図5に示すように、第2ベース板83の前面83fの下方側の領域には、第2リブ92が形成され、この第2リブ92は、第2ベース板83の前面83fから前方へ突出している。このため、第2リブ92は、第2載置面91の法線に対して傾斜している。この第2リブ92は、第2載置面91を平面視する場合に上方から下方へ向けて延在し、第2載置面91に対して下方側へ傾いている。本実施形態では、第2リブ92の長手方向と垂直な断面の形状は円形とされる。また、第2リブ92と上記の第1リブ87とは概ね平行とされている。第1リブ87の延在方向のうち第1リブ87の先端側である前方から見る場合に第2載置面91が視認可能とされている。また、第2リブ92の延在方向のうち第2リブ92の先端側である前方から見る場合に第1載置面86が視認可能とされている。
第2リブ92の外周面の下方側には、リブ補強部93が形成され、このリブ補強部93は、第2ベース板83の前面83fに接続されている。このリブ補強部93によって、第2リブ92が第2載置面91に対して下方側へ傾倒することが抑制されている。また、リブ補強部93がない場合と比べて第2リブ92の強度が向上されている。本実施形態では、リブ補強部93は第2基板60と非接触とされる。
第2ベース板83の左右方向の両側には、突起94が形成されている。それぞれの突起94は、第2ベース板83の前面83fから第2載置面91の法線方向に突出している。それぞれの突起94における上方側及び下方側の外周面には、第2載置面91と概ね垂直な当接面94sがそれぞれ形成されている。本実施形態では、当接面94sは第2載置面91を平面視する場合に左右に延びる平面とされ、第2載置面91を平面視する場合に第2リブ92の延在方向である上下方向と非平行とされている。また、上記の第2リブ92は、第2載置面91の法線方向において、この突起94よりも突出している。
第2ベース板83の左右方向の両側には、ボス100が形成され、この2つのボス100の間に上記の突起94が位置している。それぞれのボス100は、第2リブ92と概ね平行に第2ベース板83の前面83fから前方へ突出する。それぞれのボス100の先端は、概ね鉛直で当該ボス100の突出方向に概ね垂直な平面とされる。なお、本明細書における概ね鉛直とは、完全に鉛直な状態とともに、完全に鉛直な状態から1°程度傾いている状態も含む。それぞれのボス100の先端部には、端面からボス100に沿って雌螺子100aが形成される。
第1ベース板82における台座90の下方側の外周面と台座95よりも上方側の第2ベース板83の前面83fとの間には、流動部材用凹部96が形成されている。この2つの面は、第1載置面86側から第2載置面91側に向かって並んでおり、この2つの面のなす角は180度よりも小とされている。流動部材用凹部96はこの2つの面に接続している。本実施形態では、図6に示すように、流動部材用凹部96の鉛直断面における形状は略V字状とされる。なお、流動部材用凹部96の鉛直断面における形状は特に限定されず、例えばU字形状とされても良い。
図5に示すように、流動部材用凹部96を規定する面には、前方へ向けて突出する突起97が形成されている。突起97は、第1載置面86の法線方向において第1載置面86よりも突出している。突起97の上側の外周面には、第1載置面86と概ね垂直な当接面97sが形成されている。当接面97sは、第1ベース板82に形成されるボス88の当接面88sよりも下方側に位置している。本実施形態では、流動部材用凹部96は、台座90における下方側の外周面と台座95よりも上方側の第2ベース板83の前面83fとに接続している。このため、突起97は流動部材用凹部96を上下方向に横断している。また、本実施形態では、2つの突起97が形成され、当接面97sは第1載置面を平面視する場合に左右に延びる平面とされ、第1載置面86を平面視する場合に第1リブ87の延在方向である上下方向と非平行とされている。
周壁部84は、前後方向に延在する筒状体とされる。周壁部84の前端の一部は、図4に示すように、第1ベース板82の背面82b及び第2ベース板83の背面83bに固定される。周壁部84の後端は、開放端とされ、開口84Hが形成されている。本実施形態では、周壁部84は、一対の側壁84a,84aと、上壁84bと、下壁84cとからなる。一対の側壁84a,84aは、所定の間隔をあけて前後及び上下に延在する板状体である。一対の側壁84a,84aの前側の外縁は、第1ベース板82の上側の外縁から第2ベース板83の下側の外縁まで第1ベース板82の背面82b及び第2ベース板83の背面83bに接続される。図6に示すように、上壁84bは、第1ベース板82の上側の外縁よりも上方に位置し、一対の側壁84a,84aの上側の外縁間を連結して前後及び左右に延在する板状体である。下壁84cは、第2ベース板83の下側の外縁よりも下方に位置し、一対の側壁84a,84aの下側の外縁間を連結して前後及び左右に延在する板状体である。
このような上壁84bの内面と第1ベース板82の上側の外縁とによって規定される第1通気口98aがヒートシンク80には形成されている。第1通気口98aは、第1ベース板82と第2ベース板83との接続部99よりも前方において、接続部99よりも第1ベース板82側に配置されている。また、ヒートシンク80には、下壁84cの内面と第2ベース板83の下側の外縁とによって規定される第2通気口98bが形成されている。第2通気口98bは、第1ベース板82と第2ベース板83との接続部99よりも前方において、接続部99よりも第2ベース板83側に配置されている。この第1通気口98a及び第2通気口98bは、周壁部84の内部空間と外部空間とを連通している。
整流板85は、周壁部84の内部空間に配置され周壁部84の前端側から後端側に向かって延在する板状体である。図4に示すように、本実施形態では、整流板85は前後及び上下に延在し、当該整流板85の上側の外縁は周壁部84の上壁84bの内周面に接続され、当該整流板85の下側の外縁は、周壁部84の下壁84cの内周面に接続される。図6に示すように、この整流板85の前側の外縁85fは、第1ベース板82の背面82b及び第2ベース板83の背面83bに接続される。整流板85の後側の外縁85bは、開口84Hよりも前方側に位置している。なお、図6では、整流板85の前側の外縁85f及び後側の外縁85bは、それぞれ破線で示されている。本実施形態では、ヒートシンク80は複数の整流板85を有する。この複数の整流板85は、それぞれ第1通気口98aの開口方向である前方から見る場合に、第1通気口98aを横断し、第2通気口98bの開口方向である前方から見る場合に、第2通気口98bを横断している。また、複数の整流板85のうち、いくつかの整流板85は、第2通気口98bから前方へ延びて周壁部84の外部空間へ突出する突出部85aを有する。
次に、ファン81について説明する。
図6に示すように、ファン81は、周壁部84の内部空間のうち整流板85よりも後方に配置され、ファン81の外周は周壁部84によって囲われている。ファン81は、図4に示すねじ81aによってヒートシンク80に固定される。本実施形態では、ファン81は、第1ベース板82の背面82b及び第2ベース板83の背面83bに空気を送り出す。つまり、これら背面82b、83bとファン81との間における空気の流れ方向は、後方から前方へ向かう方向である。なお、ファン81は、送風方向を逆向きに切り換え可能に構成されている。つまり、ファン81は、送風方向が逆向きに切り換えられることで、第1ベース板82の背面82b及び第2ベース板83の背面83b側ではなく、開口84H側に空気を送り出すこともできる。ところで、上記のように第1通気口98a及び第2通気口98bは、第1ベース板82と第2ベース板83との接続部99よりもそれぞれ前方に位置している。このため、第1通気口98a及び第2通気口98bは、第1ベース板82の背面82b及び第2ベース板83の背面83bに垂直な断面において、第1ベース板82と第2ベース板83との接続部99よりもファン81側と反対側に配置されている。
次に、第1基板50、第2基板60、及びフレキシブルプリント回路基板70について説明する。
図7は、第1基板、第2基板、及びフレキシブルプリント回路基板の正面図である。図3、図4では、フレキシブルプリント回路基板70は湾曲した状態で示されていたが、図7では、フレキシブルプリント回路基板70が非湾曲状態とされ、第1基板50と第2基板60とが同一平面上に展開された状態が示されている。
第1基板50は板状体であり、例えば金属からなる。第1基板50には、板厚方向に貫通する貫通孔51が形成されている。貫通孔51を規定する第1基板50の内周面には、第1基板50の一方の面から他方の面まで対向するとともに互いに概ね平行な平面である2つの第1当接面51sが形成されている。つまり、第1当接面51sは貫通孔51を規定する第1基板50の内周面の一部である。この第1当接面51sは、第1基板50の前面及び背面と概ね垂直とされている。また、この貫通孔51は、上記ヒートシンク80の第1ベース板82における第1リブ87に対応する位置に形成されており、2つの第1当接面51s間の距離は、第1リブ87の外径よりも僅かに大とされている。例えば、2つの第1当接面51s間の距離は、第1リブ87の外径よりも0.05mmから0.1mm程度大きくされても良い。
第1基板50を平面視する場合に、第1当接面51sと平行な方向の一方の側の側面は、第1当接面51sと概ね垂直な第2当接面52sとされている。また、第1基板50を平面視する場合に、第2当接面52s側との反対側の外縁には、第2当接面52s側に外縁が凹む位置決め用凹部53が形成されている。この位置決め用凹部53を規定する第1基板50の側面には、第1基板50の一方の面から他方の面まで第1当接面51sと概ね垂直な第3当接面53sが形成されている。位置決め用凹部53は、上記ヒートシンク80の第1ベース板82におけるボス88に対応する位置に形成されており、2つの位置決め用凹部53が形成されている。第2当接面52sと第3当接面53sとの距離は、上記ヒートシンク80におけるボス88の当接面88sと突起97の当接面97s間の距離よりも僅かに小とされている。例えば、第2当接面52sと第3当接面53sとの距離は、ボス88の当接面88sと突起97の当接面97s間の距離よりも0.05mmから0.1mm程度小さくされても良い。また、第1基板50には、第2当接面52s側の外縁から第2当接面52s側と反対側に所定の位置まで延びる切り欠き54が形成されている。本実施形態では、2つの切り欠き54が形成されている。
第1基板50の一方の面上には、第1発光素子55とサーミスタ56とが搭載されている。第1基板50を平面視する場合に、第1発光素子55は第2当接面52s側に位置し、サーミスタ56は第2当接面52s側と反対側に位置している。本実施形態では、第1発光素子55とサーミスタ56との間に第1基板50の重心50Gが位置している。
第1発光素子55は、ロービームとなる第1の光を出射する。すなわち、第1発光素子55はロービーム用発光素子である。また、第1発光素子55は、第1の光が出射される出射面の法線が前方斜め下を向くように配置される。さらに、第1発光素子55は、左右方向に並列して複数備えられる。本実施形態では、第1発光素子55が7つ備えられる。
図8は、図7の破線VIIIで囲った部位を拡大して示す図である。それぞれの第1発光素子55を区別して説明する必要がある場合、図8に示すように、正面視において左から右に向かって順にそれぞれの第1発光素子55を第1発光素子55a~55gという。第1発光素子55a~55dは、第1発光素子55e~55gに比べて低い位置に設けられる。すなわち、特定の第1発光素子55dを基準として左右方向の一方に配置される複数の第1発光素子55a~55cと他方に配置される複数の第1発光素子55e~55gとは、設けられる高さが互いに異なる。本実施形態では、特定の第1発光素子55dは、正面視において特定の第1発光素子55dより左側に設けられる第1発光素子55a~55dと同じ高さに設けられる。これらの第1発光素子55e~55gの高さは、後述するロービームの配光パターンのカットラインの形状に合わせて決定される。
また、特定の第1発光素子55dと特定の第1発光素子55dを挟んで配置される一対の第1発光素子55c,55eとの平均間隔は、互いに隣り合う他の第1発光素子55a,55b,55f,55gの平均間隔より狭い。すなわち、互いに隣り合う第1発光素子55c,55d,55eの平均間隔は、互いに隣り合う第1発光素子55a,55b,55cの平均間隔及び互いに隣り合う第1発光素子55e,55f,55gの平均間隔より狭い。したがって、左右方向の中央近傍において互いに隣り合うように配置される第1発光素子55c,55d,55eの間隔は、左右方向の一方において互いに隣り合うように配置される第1発光素子55a,55b,55cの平均間隔及び他方において互いに隣り合うように配置される第1発光素子55e,55f,55gの平均間隔より狭い。
このような第1発光素子55として、例えばLEDが用いられる。本実施形態では、上記のように第1発光素子55は左右方向に並列して複数備えられる。したがって、第1発光素子55は、複数のLEDからなるLEDアレイとされている。このLEDアレイは、第1基板50に形成される給電回路57によって直列に接続されている。サーミスタ56は、第1基板50に形成されるサーミスタ回路58に接続される。なお、第1発光素子55、サーミスタ56、給電回路57、及びサーミスタ回路58は、第1基板50の表面に設けられる不図示の絶縁層によって第1基板50と絶縁されている。
第2基板60は板状体であり、例えば金属からなる。第2基板60には、板厚方向に貫通する貫通孔61が形成されている。貫通孔61を規定する第2基板60の内周面には、第2基板60の一方の面から他方の面まで対向するとともに互いに概ね平行な平面である2つの第1当接面61sが形成されている。つまり、第1当接面61sは貫通孔61を規定する第2基板60の内周面の一部である。この第1当接面61sは第2基板60の前面及び背面と概ね垂直とされている。また、この貫通孔61は、上記ヒートシンク80の第2ベース板83における第2リブ92に対応する位置に形成されており、2つの第1当接面61s間の距離は、第2リブ92の外径よりも僅かに大とされる。例えば、2つの第1当接面61s間の距離は、第2リブ92の外径よりも0.05mmから0.1mm程度大きくされても良い。
第2基板60を平面視する場合に、第2基板60の外縁が第1当接面61sと概ね垂直な方向へ凹む位置決め用凹部62が形成されている。位置決め用凹部62を規定する第2基板60の側面には、第2基板60の一方の面から他方の面まで対向して第1当接面61sと概ね垂直な2つの第2当接面62sが形成されている。この位置決め用凹部62は、上記ヒートシンク80の第2ベース板83における突起94に対応する位置に形成されており、2つの位置決め用凹部62が第2ベース板83に形成されている。それぞれの位置決め用凹部62における2つの第2当接面62s間の距離は、突起94における2つの当接面94s間の距離よりも僅かに大とされる。例えば、2つの第2当接面62s間の距離は、突起94における2つの当接面94s間の距離よりも0.05mmから0.1mm程度大きくされても良い。
第2基板60の一方の面上には、第2発光素子63とコネクタ64とが搭載されている。第2基板60を平面視する場合に、第2発光素子63は第1当接面61sと平行な方向の一方の側に位置し、コネクタ64は、他方の側に位置している。本実施形態では、第2発光素子63とコネクタ64との間に第2基板60の重心60Gが位置している。
第2発光素子63とコネクタ64とは、第2基板60に形成される給電回路65によって電気的に接続される。また、第2発光素子63は、第1発光素子55の下方に配置されて第2の光を出射する。本実施形態の第2発光素子63は、ハイビームとなる第2の光を出射する。すなわち、本実施形態の第2発光素子63はハイビーム用発光素子である。また、第2発光素子63は、第2の光が出射される出射面の法線が前方斜め上を向くように配置される。さらに、第2発光素子63は、左右方向に並列して複数備えられる。本実施形態では、第2発光素子63が12個備えられる。それぞれの第2発光素子63は概ね同じ高さで一直線上に配置される。また、本実施形態では、右端に配置される一つの第2発光素子63が他の互いに隣り合う第2発光素子63の間隔よりも他の第2発光素子63から大きく離れて配置される。
このような第2発光素子63として、例えばLEDが用いられる。本実施形態では、上記のように第2発光素子63は左右方向に並列して複数備えられる。したがって、第2発光素子63は、複数のLEDからなるLEDアレイとされている。本実施形態では、第2発光素子63は、第2基板60を平面視する場合に、第1当接面61sと垂直な方向に並列される複数のLEDからなるLEDアレイとされている。このLEDアレイは、給電回路65によって隣り合う2つのLEDが並列に接続されており、並列に接続される2つのLED毎に光を出射したり光を非出射としたりし得る。
また、第2基板60上には、それぞれ一端がコネクタ64に接続される第1給電用配線66a、第2給電用配線66b、第1サーミスタ用配線67a、及び第2サーミスタ用配線67bが形成されている。本実施形態では、第1サーミスタ用配線67aは、第2基板60を平面視する場合に第1当接面61sと概ね垂直な方向において給電回路65よりも一方の側に位置している。第1給電用配線66aは、第2基板60を平面視する場合に第1当接面61sと概ね垂直な方向において給電回路65と第1サーミスタ用配線67aとの間に位置している。第2サーミスタ用配線67bは、第2基板60を平面視する場合に第1当接面61sと概ね垂直な方向において給電回路65よりも他方の側に位置している。第2給電用配線66bは、第2基板60を平面視する場合に第1当接面61sと概ね垂直な方向において給電回路65と第2サーミスタ用配線67bとの間に位置している。コネクタ64には、不図示のワイヤーハーネスが接続される。コネクタ64の数は特に限定されるものではなく、図7では、2つのコネクタ64が第1当接面61sと概ね垂直な方向に並列されて搭載される形態が例示されている。なお、第2発光素子63、給電回路65、第1給電用配線66a、第2給電用配線66b、第1サーミスタ用配線67a、及び第2サーミスタ用配線67bは、第2基板60の表面に設けられる不図示の絶縁層によって第2基板60とそれぞれ絶縁されている。
本実施形態では、2つのフレキシブルプリント回路基板70は、概ね左右対称の構成とされる。以下では一方について説明し、他方についての説明は適宜省略する。フレキシブルプリント回路基板70は、可撓性を有し、例えば絶縁シートと当該絶縁シートの一方の面に設けられる金属膜とからなる。本実施形態のフレキシブルプリント回路基板70は、概ね長方形の帯部73と、帯部73の長手方向の一端に接続される第1接続部71と、帯部73の長手方向の他端に接続される第2接続部72とを有する。帯部73の長手方向と垂直な方向の幅は、当該方向における第1接続部71及び第2接続部72の幅よりも小とされる。本実施形態では、帯部73に当該帯部73の長手方向と概ね平行なスリット73sが形成されている。このスリット73sによって、帯部73の曲げ剛性がスリット73sを形成しない場合と比べて低くされている。特に、帯部73における長手方向と垂直な方向の剛性が低減されている。なお、第1接続部71、第2接続部72、及び帯部73の幅は特に限定されるものではない。例えば、帯部73の幅は、第1接続部71及び第2接続部72の幅よりも大とされても良い。また、帯部73の幅は当該帯部73の長手方向において変化しても良い。また、帯部73には、スリット73sが形成されなくても良い。
第1接続部71には、第1給電用端子74a及び第1サーミスタ用端子75aが形成され、第2接続部72には、第2給電用端子74b及び第2サーミスタ用端子75bが形成される。また、フレキシブルプリント回路基板70には、帯部73を通って第1給電用端子74aと第2給電用端子74bとを電気的に接続する給電用配線74cが形成されている。また、給電用配線74cと同様に帯部73を通り、第1サーミスタ用端子75aと第2サーミスタ用端子75bとを電気的に接続するサーミスタ用配線75cも形成されている。給電用配線74cは、帯部73のスリット73sを基準して当該帯部73の長手方向と垂直な方向における一方の側を通る。一方、サーミスタ用配線75cは、帯部73のスリット73sを基準して当該帯部73の長手方向と垂直な方向における他方の側を通る。つまり、フレキシブルプリント回路基板70は、第1接続部71から第2接続部72まで延在する2つの配線74c、75cを有し、2つの配線74c、75c間にスリット73sが形成されている。
このようなそれぞれのフレキシブルプリント回路基板70は、第1基板50と第2基板60とを接続するとともに、第1基板50に形成される回路と第2基板60に形成される回路とを電気的に接続する。具体的には、それぞれのフレキシブルプリント回路基板70の第1接続部71は、第1基板50の第1発光素子55が搭載される搭載面上に、例えば半田によって接合される。それぞれのフレキシブルプリント回路基板70の第2接続部72は、第2基板60の第2発光素子63が搭載される搭載面上に、例えば半田によって接合される。このようにして、それぞれのフレキシブルプリント回路基板70は、第1基板50と第2基板60とに接続される。それぞれのフレキシブルプリント回路基板70における帯部73の長手方向は、互いに概ね平行とされる。本実施形態では、同一平面上に第1基板50と第2基板60とが配置された状態において、第1基板50の第1当接面51sと第2基板60の第1当接面61sとが概ね平行とされる。また、第1基板50の第1発光素子55側が第2基板60の第2発光素子63側に位置している。
それぞれのフレキシブルプリント回路基板70の第1接続部71は、第1基板50を平面視する場合に、第1当接面51sと平行な方向において互いに概ね同じ場所に位置している。それぞれのフレキシブルプリント回路基板70の第2接続部72は、第2基板60を平面視する場合に、第1当接面61sと平行な方向において互いに概ね同じ場所に位置している。これらフレキシブルプリント回路基板70の第1接続部71の間には、第1基板50の重心50G、及び第1発光素子55が位置している。それぞれのフレキシブルプリント回路基板70の第1接続部71は、第1基板50の重心50Gよりも第1発光素子55側と反対側に位置している。これらフレキシブルプリント回路基板70の第2接続部72の間には、第2基板60の重心60G、及び第2発光素子63が位置している。なお、第1基板50の重心50G及び第1発光素子55は、それぞれ第1接続部71の間に位置していなくても良い。また、第2基板60の重心60G及び第2発光素子63は、それぞれ第2接続部72の間に位置していなくても良い。それぞれのフレキシブルプリント回路基板70の帯部73の一部は、当該フレキシブルプリント回路基板70の第1基板50側と反対側から見て、第1基板50の切り欠き54と重なっている。この切り欠き54の幅は、帯部73の幅よりも大とされている。また、同様の視点において、それぞれのフレキシブルプリント回路基板70の帯部73は、帯部73が横切る第2基板60の外縁から切り欠き54内における所定の位置まで、第1基板50と重なっていない。本実施形態のフレキシブルプリント回路基板70の帯部73は、帯部73が横切る第2基板60の外縁から第1基板50の切り欠き54を規定する外縁のうち第2基板60側と反対側の外縁まで、第1基板50と重なっていない。また、第1基板50の第1発光素子55は、第1基板50を平面視する場合に切り欠き54における第2基板側と反対側の縁よりも第2基板60側に配置される。そして、この第1発光素子55は、帯部73の長手方向と垂直な方向において、帯部73のこのように第1基板50と重なっていない部位と重なっている。
また、一方のフレキシブルプリント回路基板70の第1給電用端子74aには、第1基板50に形成される給電回路57におけるカソード側の端57cが接続される。他方のフレキシブルプリント回路基板70の第1給電用端子74aには、第1基板50の給電回路57におけるアノード側の端57aが接続される。また、一方のフレキシブルプリント回路基板70の第1サーミスタ用端子75aには、第1基板50に形成されるサーミスタ回路58におけるカソード側の端58cが接続される。他方のフレキシブルプリント回路基板70の第1サーミスタ用端子75aには、第1基板50に形成されるサーミスタ回路58におけるアノード側の端58aが接続される。
一方のフレキシブルプリント回路基板70の第2給電用端子74bには、第2基板60の第1給電用配線66aのコネクタ64側と反対側の端が接続される。他方のフレキシブルプリント回路基板70の第2給電用端子74bには、第2基板60の第2給電用配線66bのコネクタ64側と反対側の端が接続される。また、一方のフレキシブルプリント回路基板70の第2サーミスタ用端子75bには、第2基板60の第1サーミスタ用配線67aのコネクタ64側と反対側の端が接続される。他方のフレキシブルプリント回路基板70の第2サーミスタ用端子75bには、第2基板60の第2サーミスタ用配線67bのコネクタ64側と反対側の端が接続される。
このように2つのフレキシブルプリント回路基板70が第1基板50及び第2基板60に接続されることで、第2基板60のコネクタ64と第1基板50の給電回路65とが電気的に接続される。そして、第1基板50の第1発光素子55には、コネクタ64を介して電力が供給される。また、第2基板60のコネクタ64と第1基板50のサーミスタ回路58とが電気的に接続され、第1基板50のサーミスタ56に電流が印加される。
次に、第1基板50のヒートシンク80への搭載について説明する。
図9は、第1基板がヒートシンクに搭載された様子を示す図である。図9に示すように、第1基板50は、第1当接面51sが上下方向と概ね平行で第1発光素子55側が下方側に位置する状態で、ヒートシンク80の第1ベース板82における第1載置面86上に載置される。第1基板を平面視する場合に、第1載置面86の外縁は、第1基板50の外縁に囲われている。本実施形態では、第1基板50の第1発光素子55が搭載される側と反対側の面には、後述する流動部材としてのグリスが塗布されるため、第1基板50の第1発光素子55が搭載される側と反対側の面と第1載置面86と間にはこのグリスが介在する。第1基板50の貫通孔51には、第1ベース板82の第1リブ87が挿入される。上記のように第1リブ87は第1載置面86に対して上方側へ傾き第1載置面86を平面視する場合に下方から上方へ向けて延在しているため、第1リブ87は貫通孔51の開口方向に対して上方側へ傾いた状態で挿入される。このように貫通孔51に挿入される第1リブ87の中心は、第1リブ87の延在方向である前方から見る場合に、2つの第1当接面51sの間に位置している。上記のようにこの2つの第1当接面51s間の距離は、第1リブ87の外径よりも僅かに大とさている。このため、第1基板50がヒートシンク80に対して第1載置面86に沿って第1当接面51sと垂直な方向に移動した場合には、2つの第1当接面51sのいずれか一方に第1リブ87の外周面が当接する。ここで、上記のように第1載置面86を平面視する場合に第1リブ87は下方から上方へ向けて延在しており、第1当接面51sは上下方向と概ね平行とされている。このため、第1載置面86を平面視する場合の第1リブ87の延在方向と垂直な方向である左右方向における当該第1リブ87の一方側の外周面及び他方側の外周面の少なくとも一方が、第1当接面51sと当接すると理解できる。従って、第1載置面86と平行な方向における第1基板50のヒートシンク80に対する位置のうち、第1載置面86を平面視する場合の第1リブ87の延在方向と垂直な方向における位置が所定の範囲内となるように規制されている。なお、第1載置面86を平面視する場合の第1リブ87の延在方向と垂直な方向における当該第1リブ87の一方側の外周面及び他方側の外周面の少なくとも一方は、第1当接面51sと常に当接していても良い。例えば第1リブ87は貫通孔51に圧入されても良い。
第1基板50の2つの位置決め用凹部53には、第1ベース板82の2つのボス88がそれぞれ入り込む。上記のようにボス88における当接面88sは第1載置面86と垂直で第1載置面86を平面視する場合に左右に延びる平面とされている。また、位置決め用凹部53を規定する第1基板50の側面の第3当接面53sは、上下方向と概ね平行とされる第1当接面51sに対して概ね垂直とされている。このため、当接面88sと第3当接面53sは概ね平行な状態で対向している。
第1基板50の第2当接面52sは、ヒートシンク80の突起97よりも上方に位置する。上記のように突起97の当接面97sは、第1載置面86と概ね垂直で第1載置面86を平面視する場合に左右に延びる平面とされている。また、第1基板50の第2当接面52sは、上下方向と概ね平行とされる第1当接面51sに対して概ね垂直とされている。このため、当接面97sと第2当接面52sは概ね平行な状態で対向している。上記のように、第1基板50における第2当接面52sと第3当接面53sとの距離は、ヒートシンク80におけるボス88の当接面88sと突起97の当接面97s間の距離よりも僅かに小とされている。このため、第1基板50がヒートシンク80に対して第1載置面86に沿って第1当接面51sと平行な方向に移動した場合には、第1基板50における第2当接面52sと突起97の当接面97sとが当接する。また、第1基板50における第3当接面53sとボス88の当接面88sとが当接する。ここで、上記のように当接面88sは第1載置面86を平面視する場合に左右に延びる平面とされ、当接面88sと第3当接面53sは概ね平行な状態で対向している。このため、第1載置面86を平面視する場合に、当接面88sと第3当接面53sとが当接した際の接線は、概ね左右に延びる。このため、この接線は、第1リブ87の延在方向と概ね垂直であり非平行である。また、上記のように当接面97sは第1載置面86を平面視する場合に左右に延びる平面とされ、当接面97sと第2当接面52sは概ね平行な状態で対向している。このため、第1載置面86を平面視する場合に、当接面97sと第2当接面52sとが当接した際の接線は、概ね左右に延びる。このため、この接線は、第1リブ87の延在方向と概ね垂直であり非平行である。従って、第1載置面86と平行な方向における第1基板50のヒートシンク80に対する位置のうち、第1載置面86を平面視する場合の第1リブ87の延在方向である上下方向における位置が所定の範囲内となるように規制されている。なお、当接面88sと第3当接面53sとが当接した状態及び当接面97sと第2当接面52sとが当接した状態の少なくとも一方の状態において、第1載置面86を平面視する場合の第1リブ87の延在方向において第1リブ87は第1基板50と非接触とされる。なお、第1基板50における第2当接面52sと突起97の当接面97sとは常に当接していても良く、第1基板50における第3当接面53sとボス88の当接面88sとは常に当接していても良い。
ところで、上記のように第1ベース板82は前方斜め上方に延在するため、第1載置面86も前方斜め上方に延在し、この第1載置面86に載置される第1基板50も前方斜め上方に延在する。また、図9に示すように、第1通気口98aの開口方向である前方から見る場合に、第1基板50の一部は第1通気口98aと重なっている。また、上記のように第1基板50は、第1当接面51sが上下方向と概ね平行となる状態でヒートシンク80の第1載置面86に載置される。第1発光素子55は第1当接面51sと概ね垂直な方向に並列される複数のLEDからなるLEDアレイとされている。このため、第1発光素子55としてのLEDアレイは左右方向に並列されている。
次に、第2基板60のヒートシンク80への搭載について説明する。
図10は、第1基板、及び第2基板がヒートシンクに搭載された様子を示す図である。図10に示すように、第2基板60は、第1当接面61sが上下方向と概ね平行で第2発光素子63側が上方側に位置する状態で、ヒートシンク80の第2ベース板83における第2載置面91上に載置される。第2基板60を平面視する場合に、第2載置面91の外縁は、第2基板60の外縁に囲われている。なお、図10では、第2基板60の第1基板50側と第1基板50の第2基板60側とが重なっているが、第2基板60と第1基板50とは離間している。つまり、第1基板50と第2基板60とは、所定の間隔をあけてヒートシンク80に載置される。
本実施形態では、第2基板60の第2発光素子63が搭載される側と反対側の面には、第1基板50と同様にして後述する流動部材としてのグリスが塗布されるため、第2基板60の第2発光素子63が搭載される側と反対側の面と第2載置面91と間にはこのグリスが介在する。第2基板60の貫通孔61には、第2ベース板83の第2リブ92が挿入される。上記のように第2リブ92は第2載置面91に対して下方側へ傾き第2載置面91を平面視する場合に上方から下方へ向けて延在しているため、第2リブ92は貫通孔61の開口方向に対して下側へ傾いた状態で挿入される。このように貫通孔61に挿入される第2リブ92の中心は、第2リブ92の延在方向である前方から見る場合に、2つの第1当接面61sの間に位置している。上記のようにこの2つの第1当接面61s間の距離は、第2リブ92の外径よりも僅かに大とさている。このため、第2基板60がヒートシンク80に対して第2載置面91に沿って第1当接面61sと垂直な方向に移動した場合には、2つの第1当接面61sのいずれか一方に第2リブ92の外周面が当接する。ここで、上記のように第2載置面91を平面視する場合に第2リブ92は上方から下方へ向けて延在しており、第1当接面61sは上下方向と概ね平行とされている。このため、第2載置面91を平面視する場合の第2リブ92の延在方向と垂直な方向である左右方向における当該第2リブ92の一方側の外周面及び他方側の外周面の少なくとも一方が、第1当接面61sと当接すると理解できる。従って、第2載置面91と平行な方向における第2基板60のヒートシンク80に対する位置のうち、第2載置面91を平面視する場合の第2リブ92の延在方向と垂直な方向における位置が所定の範囲内となるように規制されている。なお、第2載置面91を平面視する場合の第2リブ92の延在方向と垂直な方向における当該第2リブ92の一方側の外周面及び他方側の外周面の少なくとも一方は、第1当接面61sと常に当接していても良い。例えば第2リブ92は貫通孔61に圧入されても良い。
第2基板60の2つの位置決め用凹部62には、第2ベース板83の2つの突起94がそれぞれ入り込む。上記のように突起94の上方側及び下方側の外周面に形成される当接面94sは、それぞれ第2載置面91と概ね垂直で第2載置面91を平面視する場合に左右に延びる平面とされている。また、位置決め用凹部62を規定する第2基板60の側面の対向する2つの第2当接面62sは、上下方向と概ね平行とされる第1当接面61sに対して概ね垂直とされている。このため、当接面94sと第2当接面62sとは概ね平行な状態で対向している。上記のように、それぞれの位置決め用凹部62における2つの第2当接面62s間の距離は、突起94における2つの当接面94s間の距離よりも僅かに大とされている。このため、第2基板60がヒートシンク80に対して第2載置面91に沿って第1当接面61sと平行な方向に移動した場合には、対向するいずれか一方の当接面94sと第1当接面61sとが当接する。ここで、上記のよう当接面94sは第2載置面91を平面視する場合に左右に延びる平面とされ、当接面94sと第2当接面62sは概ね平行な状態で対向している。このため、第2載置面91を平面視する場合に、当接面94sと第2当接面62sとが当接した際の接線は、概ね左右に延びる。このため、この接線は、第2リブ92の延在方向と概ね垂直であり非平行である。従って、第2載置面91と平行な方向における第2基板60のヒートシンク80に対する位置のうち、第1当接面61sと平行な方向の位置が所定の範囲内となるように規制されている。なお、当接面94sと第2当接面62sとが当接した状態において、第2載置面91を平面視する場合の第2リブ92の延在方向において第2リブ92は第2基板60と非接触とされる。なお、第2基板60における第2当接面62sと突起94における当接面94sとは、常に当接していても良い。例えば、位置決め用凹部62に突起94が圧入されても良い。
ところで、上記のように第2ベース板83は前方斜め下方に延在するため、第2載置面91も前方斜め上方に延在し、この第2載置面91に載置される第2基板60も前方斜め下方に延在する。また、図10に示すように、第2通気口98bの開口方向である前方から見る場合に、第2基板60は第2通気口98bと重なっている。また、上記のように第2基板60は、第1当接面61sが上下方向と概ね平行となる状態でヒートシンク80の第2載置面91に載置される。第2発光素子63は第1当接面61sと概ね垂直な方向に並列されるLEDアレイとされている。このため、第2発光素子63としてのLEDアレイは左右方向に並列されている。また、上記のように、第1基板50の第1発光素子55側が第2基板60の第2発光素子63側に位置しているため、第2発光素子63は第2基板60における当該第2基板60側よりも第1基板50側に位置している。また、第1発光素子55は第1基板50における当該第1基板50側よりも第2基板60側に位置している。
また、フレキシブルプリント回路基板70のヒートシンク80側と反対側から見る場合に、2つのフレキシブルプリント回路基板70のそれぞれの帯部73は、帯部73が横切る第2基板60の外縁から切り欠き54内における所定の位置まで、第1基板50と重なっていない。また、同様の視点において、第1基板50の第1発光素子55は、帯部73の長手方向と垂直な方向において、帯部73のこのように第1基板50と重なっていない部位と重なっている。また、同様の視点において、ヒートシンク80の一方の凹部89は、一方のフレキシブルプリント回路基板70の長手方向と垂直な方向における当該フレキシブルプリント回路基板70の両側の縁を横切っている。また、他方の凹部89は、他方のフレキシブルプリント回路基板70の長手方向と垂直な方向における当該フレキシブルプリント回路基板70の両側の縁を横切っている。
図11は、第2基板がヒートシンクに載置された様子を示す図であり、側方側から第2基板及びヒートシンクを見る部分拡大図である。上記のように複数の整流板85のうち、いくつかの整流板85は、第2通気口98bから前方へ延びて周壁部84の外部空間へ突出する突出部85aを有する。この突出部85aは、図11に示すように、第2基板60における第2発光素子63が搭載される側と反対側の面に接触する。つまり、第2基板60は、第2ベース板83における第2載置面91とともに、この突出部85aにも載置されている。
次に、第1基板50及び第2基板60がヒートシンク80に搭載された状態におけるフレキシブルプリント回路基板70の状態について説明する。
本実施形態では、2つのフレキシブルプリント回路基板70は、第1基板50及び第2基板60がヒートシンク80に載置された状態において、概ね同じ状態とされる。このため、以下では、一方について説明し、他方についての説明は省略する。図12は、図10におけるフレキシブルプリント回路基板を通る概略断面図であり、フレキシブルプリント回路基板70の帯部73の長手方向と平行な概略断面図である。上記のように、第1接続部71は第1基板50の第1発光素子55が搭載される搭載面50s上に接合され、第2接続部72は第2基板60の第2発光素子63が搭載される搭載面60s上に接合される。このため、第1接続部71は第1基板50の第1載置面86側と反対側に接続され、第2接続部72は第2基板60の第2載置面91側と反対側に接続されている。また、図11に示すように、フレキシブルプリント回路基板70の帯部73は、第1基板50と第2基板60との間のうち、第1接続部71よりも第1基板50側において、ヒートシンク80側に向かって凸状に撓んでいる。本実施形態では、フレキシブルプリント回路基板70の帯部73は、第1接続部71よりも第1載置面86側の領域を通るとともに、第1基板50における切り欠き54を通っている。また、上記のヒートシンク80における凹部89は鉛直断面において円弧状に窪んでおり、第1載置面86よりもフレキシブルプリント回路基板70側と反対側に凹んでいる。フレキシブルプリント回路基板70の帯部73は、この凹部89も通っている。このように撓むフレキシブルプリント回路基板70は、ヒートシンク80と非接触とされている。ところで、例えば第1基板50、第2基板60、ヒートシンク80等における寸法誤差等によって第1基板50と第2基板60とが帯部73における長手方向と垂直な方向である左右方向にずれて帯部73に左右方向の応力が生じる場合がある。しかし、上記のように、帯部73にスリット73sが形成されることで、スリット73sを形成しない場合と比べて、特に帯部73における長手方向と垂直な方向の剛性が低減されている。このため、仮に帯部73に左右方向の応力が生じる場合であっても、スリット73sを形成しない場合と比べて、第1接続部及び第2接続部に作用する応力を低減でき、不具合が生じることを抑制し得る。
次に、リフレクタユニット40について説明する。
図13は、光源ユニットの斜視図であり、図14は、光源ユニットの正面図であり、図15は、図14の破線XVで囲った部位を拡大して示す図であり、図16は、光源ユニットの概略断面図である。図13、図14に示すように、リフレクタユニット40は、第1発光素子55用のリフレクタ41、第1発光素子55用の第1サイドリフレクタ41a、第1発光素子55用の第2サイドリフレクタ41b、第2発光素子63用のリフレクタ42、第2発光素子63用の第1サイドリフレクタ42a、第2発光素子63用の第2サイドリフレクタ42b、シェード43、を主な構成として有する。
リフレクタユニット40は、第1基板50よりもヒートシンク80側と反対側に配置される。リフレクタユニット40は、当該リフレクタユニット40とヒートシンク80とで第1基板50を挟み込むようにヒートシンク80に固定される。本実施形態では、リフレクタユニット40のヒートシンク80への固定には、2つのねじ46が用いられる。
リフレクタユニット40は、図4に示されるように、リブ44も有する。このリブ44は、第1基板50に向かって延在し、リブ44の第1基板50側の端の一部は、第1基板50の第1発光素子55が搭載される搭載面50sに接触する。このため、第1基板50は、リフレクタユニット40によってヒートシンク80の第1載置面86に押し付けられてヒートシンク80に固定される。本実施形態では、リフレクタユニット40は複数のリブ44を有し、第1基板50を平面視する場合に、リブ44の第1基板50と接触部位は第1載置面86と重なっている。このため、第1基板50をより適切に第1載置面86に押し付けることができ、第1基板50のヒートシンク80に対する相対的位置が振動等によって変化することが抑制される。
ところで、本実施形態では、上記のように第1基板50の第1発光素子55が搭載される側と反対側の面には流動部材としてのグリスが塗布されるため、図14に示すように、第1基板50と第1載置面86と間にはグリス24が介在している。このため、第1基板50が第1載置面86に押し付けられることで、このグリス24の一部が第1基板50と第1載置面86との間から押し出される場合がある。上記のように第1載置面86は第1ベース板82の前面82fから前方へ突出する台座90の端面とされ、第1載置面86の外縁は、第1基板50の外縁に囲われている。このため、第1基板50と第1載置面86との間から押し出される余剰のグリス24は、台座90の周囲の第1ベース板82の前面82f上に押し出される。従って、余剰のグリス24の一部が第1基板50の第1発光素子55が搭載される搭載面50s上に付着することが抑制され、余剰のグリス24の第1発光素子55への付着等が抑制される。
図14~図16に示すように、シェード43は、第1発光素子55と第2発光素子63との間から前方に延在する。また、シェード43は、第1発光素子55から出射される第1の光の一部が投影レンズ20を透過するように第1の光の一部を反射する第1反射面43aを上面に有する。
第1反射面43aは、第1発光素子55側から前方に向かって延在し、前後方向に平行な鉛直面において下方に凹状の反射面である。また、第1反射面43aの前方端、すなわちシェード43の前方端43cは、一部が上方に凸状とされることによって、図15に示すように、上下方向の段差43csを有する。なお、図15では、見易さのため、シェード43の前方端43cを太線で示している。シェード43の前方端43cに形成される段差43csは、後述するロービームの配光パターンのカットラインの形状に対応して形成される。本実施形態の段差43csは、前方端43cの左右方向の中央近傍に形成される。シェード43の前方端43cは段差43csを基準として左右方向の一方が他方より低く形成されることが好ましい。本実施形態では、具体的には、前方端43cのうち段差43csより左側の一部43cLは前方端43cのうち段差43csより右側の一部43cHより低い。段差43csは、段差43csより左側の一部43cLと段差43csより右側の一部43cHとの間において斜線状に形成される。
また、正面視において、上記特定の第1発光素子55dとシェード43の前方端43cが有する段差43csとが上下方向に重なるように配置される。なお、上記のように、特定の第1発光素子55dを基準として左右方向の一方に配置される複数の第1発光素子55a~55cは他方に配置される複数の第1発光素子55e~55gより低い位置に設けられる。したがって、正面視において、相対的に低い位置に配置される第1発光素子55a~55cはシェード43の前方端43cのうち相対的に低く形成される前方端43cの一部43cLと上下方向に重なる。また、正面視において、相対的に高い位置に配置される第1発光素子55e~55gはシェード43の前方端43cのうち相対的に高く形成される前方端43cの一部43cHと上下方向に重なる。
また、明確に図示されていないが、シェード43の前方端43cは、ロービームの配光パターンのカットラインを形成するため、左右端から中央に向かって徐々に後方に凹んでいる。
第1反射面43aの後方端43dは、一部が上方に凸状とされることによって、図15に示すように、上下方向の段差43dsを有する。なお、図15では、見易さのため、第1反射面43aの後方端43dを太線で示している。第1反射面43aの後方端43dに形成される段差43dsは、後述するロービームの配光パターンのカットラインの形状に対応して形成される。本実施形態の段差43csは、左右方向の中央近傍に形成され、正面視においてシェード43の前方端43cが有する段差43csと上下方向に重なる。シェード43の前方端43cが有する段差43csと同様に、正面視において、第1反射面43aの後方端43dは段差43dsより右側の一部43dHが左側の一部43dLより高く形成される。また、正面視において、上記特定の第1発光素子55dは、段差43dsと上下方向に重なる。段差43dsは、段差43dsより左側の一部43dLと段差43csより右側の一部43dHとの間において斜線状に形成される。また、本実施形態の段差43dsは、段差43csより長く形成される。
上記のようにシェード43の前方端43c及び第1反射面43aの後方端43dのそれぞれに段差が形成されることによって、第1反射面43aには、上に凸状の凸面部43asが前後方向に延在して形成される。また、本実施形態の段差43dsは段差43csより長く形成されることから、凸面部43asは、後方から前方に向かうにつれて幅が広くなる。この凸面部43asは、ロービームの配光パターンに対応した形状とされる。
また、シェード43は、第2発光素子63から出射される第2の光の一部が投影レンズ20を透過するように第2の光の一部を反射する第2反射面43bを下面に有する。第2反射面43bは、第2発光素子63側から前方に向かって延在し、第2の光の一部を前方に反射する凹状の反射面である。図15に示すように、第2反射面43bの後方端43eは、左右方向に直線状に形成される。なお、図15では、見易さのため、第2反射面43bの後方端43eを太線で示している。複数の第2発光素子63は、この直線状に形成される第2反射面43bの後方端43eに沿って直線上に配置される。
リフレクタ41は、第1発光素子55の上方に配置され、第1発光素子55の上方を覆う第3反射面41rを第1発光素子55側に有する。第3反射面41r及びシェード43の第1反射面43aは、左右方向に延在し、第1発光素子55を上下側から挟むように配置される一対のリフレクタとなる。
図13、図14に示すように、第1サイドリフレクタ41aは、シェード43の第1反射面43aとリフレクタ41の第3反射面41rとで挟まれる空間のうち、左右方向における第1発光素子55よりも一方の側に形成される。また、第2サイドリフレクタ41bは、当該空間うち、第1発光素子55よりも他方の側に形成される。第1サイドリフレクタ41a及び第2サイドリフレクタ41bは、後方から前方に向かうにつれて互いの間隔が広がるように形成されている。
図16に示すように、リフレクタ42は、第2発光素子63の下方に配置され、第2発光素子63の下方を覆う第4反射面42rを第2発光素子63側に有する。第4反射面42r及びシェード43の第2反射面43bは、左右方向に延在し、第2発光素子63を上下側から挟むように配置される一対のリフレクタとなる。
図13、図14に示すように、第1サイドリフレクタ42aは、シェード43の第2反射面43bとリフレクタ42の第4反射面42rとで挟まれる空間のうち、左右方向における第2発光素子63よりも一方の側に形成される。また、第2サイドリフレクタ42bは、当該空間のうち、第2発光素子63よりも他方の側に形成される。第1サイドリフレクタ42a及び第2サイドリフレクタ42bは、後方から前方に向かうにつれて互いの間隔が広がるように形成されている。
次に、サポートプレート30について説明する。
図17は、サポートプレートを前方側から見る斜視図であり、図18は、サポートプレートを後方側から見る斜視図である。サポートプレート30は、弾性を有するとともに、図17、図18に示すように、ベース部31、一対の固定部32、一対の第1遮光部33、第2遮光部34、第3遮光部35、を有している。本実施形態では、ベース部31、一対の固定部32、一対の第1遮光部33、第2遮光部34、及び第3遮光部35は、金属板を曲げ加工することで一体に成形されている。このようなサポートプレート30は、図13、図14に示すように、第2基板60の一部を第2発光素子63が搭載される搭載面60s側から覆うようにヒートシンク80に固定される。
ベース部31は、第2基板60よりもヒートシンク80側と反対側に配置され、コネクタ64と第2発光素子63との間で、第2基板60に沿って延在する。ベース部31は、第2基板60側に突出し当該第2基板60の第2載置面91側と反対側の面に接触する凸部31aを有する。つまり、凸部31aは、第2基板60における第2発光素子63が搭載される搭載面60sに接触する。本実施形態では、ベース部31は、2つの凸部31aを有する。図19は、図10における第2基板を平面視した状態を示す図であり、位置決め用凹部62近傍の拡大図である。図7、図10、図19に示すように、第2基板60の第2発光素子63が搭載される搭載面60s上におけるこの2つの凸部31aと接触する接触部31bは、それぞれ第2基板60の位置決め用凹部62よりも第2発光素子63側と反対側に位置する。なお、サポートプレート30における凸部31aの数や位置は特に限定されない。言い換えると、第2基板60における凸部31aと接触する接触部31bの数や位置は特に限定されない。
一対の固定部32のうち一方の固定部32は、図17、図18に示すように、ベース部31の左右方向の一方の外縁部分に連結する。他方の固定部32はベース部31の左右方向の他方の外縁部分に連結する。この一対の固定部32は、図17、図18に示すように、ねじ101によって上記のヒートシンク80における2つのボス100それぞれに固定される。
この一対の固定部32は、概ね左右対称の構成とされ、内側壁部32a、外側壁部32b、及び前壁部32cを有している。内側壁部32aは、ベース部31よりも第2基板60側と反対側においてベース部31と概ね直交する方向に延在し、ベース部31に連結している。前壁部32cは、内側壁部32aよりも前方において内側壁部32aよりもベース部31側と反対側に位置する。前壁部32cは、内側壁部32aと概ね直交するとともに概ね鉛直な方向に延在し、内側壁部32aに連結している。外側壁部32bは、前壁部32cよりも後方において内側壁部32aと概ね平行に延在し、前壁部32cに連結している。前壁部32cは、概ね鉛直方向に延在し、当該前壁部32cの板厚方向に貫通する貫通孔が形成されている。上記のように第2基板60は前方斜め下方に延在するため、第2基板60に沿うベース部31も前方斜め下方に延在している。このため、固定部32の前壁部32cは、ベース部31と非平行とされている。このような固定部32における内側壁部32a、外側壁部32b、及び前壁部32cによって囲われる空間には、ヒートシンク80のボス100が配置され、固定部32がねじ101によってヒートシンク80に固定される。
第2遮光部34は、ベース部31のコネクタ64側の外縁部分に連結する。第2遮光部34は、上壁部34a及び一対の接続壁部34bを有する。上壁部34aは、コネクタ64の上方に配置され、ベース部31と概ね平行に延在する。一方の接続壁部34bは、ベース部31のコネクタ64側の外縁部分のうち、左右方向の一方の側に連結し、第2基板60側と反対側に延在する。この一方の接続壁部34bのベース部31側と反対側の外縁部分は、上壁部34aの第2発光素子63側の外縁部分に接続される。他方の接続壁部34bは、ベース部31のコネクタ64側の外縁部分のうち、左右方向の他方の側に連結し、第2基板60側と反対側に延在する。この他方の接続壁部34bのベース部31側と反対側の外縁部分は、上壁部34aの第2発光素子63側の外縁部分に接続される。このような第2遮光部34によって、コネクタ64の第2基板60側と反対側の一部が覆われている。
第3遮光部35は、ベース部31の第2発光素子63側の外縁部分のうち、第1発光素子55用の第1サイドリフレクタ41a側に連結する。第3遮光部35は、後側壁部35a、折り返し部35b、側壁部35c、前側壁部35dを有し、前側壁部35dによって第1の光の一部遮蔽する。後側壁部35aは、ベース部31よりも第2基板60側と反対側のうち、第1発光素子55及び第2発光素子63よりも第1サイドリフレクタ41a側に配置される。後側壁部35aは、上下及び左右に延在し、ベース部31に連結している。折り返し部35bは、後側壁部35aより前方のうち、第1サイドリフレクタ41aよりも第1発光素子55側と反対側に配置される。折り返し部35bは、概ね後側壁部35aと平行に延在し、第1サイドリフレクタ41a側と反対側が後側壁部35aに連結している。側壁部35cは、折り返し部35bよりも前方のうち、第1サイドリフレクタ41aよりも第1発光素子55側と反対側に配置される。側壁部35cは、固定部32の内側壁部32aと概ね平行な方向に延在し、折り返し部35bの第1サイドリフレクタ41a側に連結している。前側壁部35dは、第1サイドリフレクタ41aよりも前方のうち、第1発光素子55及び第2発光素子63よりも第1サイドリフレクタ41a側に配置される。前側壁部35dは、上下及び左右に延在し、側壁部35cに連結している。このような前側壁部35dは、第1発光素子から出射する第1の光の一部を遮蔽する。
次に、第2基板60のヒートシンク80への固定について詳細に説明する。
図20は、第2基板がヒートシンクに固定された様子を示す図であり、サポートプレート30のベース部31における凸部31aを通る光源ユニットLUの断面図である。なお、図20では、凸部31aの近傍が示されている。上記のように、一対の固定部32がねじ101によってヒートシンク80における2つのボス100にそれぞれ固定されることで、サポートプレート30がヒートシンク80に固定される。具体的には、固定部32における前壁部32cは、ベース部31の凸部31aが第2基板60と接触するとともに前壁部32cの貫通孔と雌螺子100aとの位置が揃えられる状態において、ボス100の端面と前壁部32cとが概ね平行となるとともに僅かに離間するように形成されている。ねじ101が前壁部32cの貫通孔に挿通されて雌螺子100aに螺合されることで、サポートプレート30がヒートシンク80に固定される。この際、サポートプレート30は、ボス100の端面と前壁部32cと隙間が狭められるように、ねじ101によってヒートシンク80側に押し込まれる。ここで、ボス100の端面と概ね平行な前壁部32cは概ね鉛直方向に延在するため、サポートプレート30は、ねじ101によって後方に向かって押し込まれる。上記のようにベース部31の凸部31aは、第2基板60における第2発光素子63が搭載される搭載面60sに接触している。このため、サポートプレート30は弾性変形し、このサポートプレート30の弾性力が第2基板60における接触部31bに作用する。サポートプレート30は後方に向かって押し込まれるため、図20に示すように接触部31bに作用するサポートプレート30の弾性力Fは後方に向かう。このサポートプレート30の弾性力Fによって第2基板60がヒートシンク80に固定される。ここで、上記のように、第2載置面91に載置される第2基板60は前方斜め下方に延在しているため、サポートプレート30が押し込まれる方向と第2基板60における第2発光素子63が搭載される搭載面60sとは互いに非垂直かつ非平行となる。このため、サポートプレート30の弾性力Fの向きは、第2基板60における搭載面60sに非垂直かつ非平行な方向となる。このため、サポートプレート30の弾性力Fは、第2載置面91に対して垂直な方向への力F1と、第2載置面91に沿った力F2とから成る。なお、第2載置面91に載置される第2基板60は前方斜め下方に延在するため、サポートプレート30の弾性力Fにおける第2載置面91に沿った力F2は上方に向かう。
第2基板60は、このようなサポートプレート30の弾性力Fのうち第2載置面91に対して垂直な方向への力F1によって第2載置面91に押し付けられる。また、第2基板60は、サポートプレート30の弾性力Fのうち第2載置面91に沿った力F2によって第2載置面91に沿って上方へ押され、第2基板60の側面の一部がヒートシンク80の突起94の外周面に押し付けられる。より具体的には、図19に示すように、第2基板60の位置決め用凹部62における下方側の第2当接面62sがヒートシンク80の突起94における下方側の当接面94sに押し付けられる。つまり、サポートプレート30の弾性力Fのうち第2載置面91に沿った力F2は、第2基板60を突起94における下方側の当接面94sに押し付ける力である。このように第2基板60は突起94における下方側の当接面94sに押し付けられ、第2基板60が第2載置面91に沿ってこの当接面94sに対する押し付け方向と反対側にずれることが抑制される。
本実施形態では、上記のように2つの接触する接触部31bは、それぞれ第2基板60の位置決め用凹部62よりも第2発光素子63側と反対側に位置し、位置決め用凹部62には突起94が入り込んでいる。つまり、突起94における下方側の当接面94sは、第2基板60を平面視する場合に接触部31bよりもサポートプレート30が第2基板60を突起94における下方側の当接面94sに押し付ける力F2の方向に位置している。また、本実施形態では、図7に示すように、2つの接触部31bは、第2基板を平面視する場合にサポートプレート30が第2基板60を当接面94sに押し付ける力F2の方向と垂直な方向において、互いに重なりあっている。また、一方の接触部31bは一方の突起94に対応し、他方の接触部31bは他方の突起94に対応している。より具体的には、図19に示すように、一方の突起94における下方側の当接面94sの少なくとも一部は、第2基板60を平面視する場合に直線Laと直線Lbとの間に位置している。直線Laは、第2基板60を平面視する場合にサポートプレート30が第2基板60を当接面94sに押し付ける力F2の方向と平行で当該方向と垂直な方向における一方の接触部31bの一端を通る直線である。直線Lbは、直線Laと平行で一方の接触部31bの他端を通る直線である。また、図7に示すように、他方の突起94における下方側の当接面94sの少なくとも一部は、第2基板60を平面視する場合に直線Lcと直線Ldとの間に位置している。ここで、図7において破線で示される2つの突起94と第2基板60との位置関係は、サポートプレート30の弾性力によって第2基板60がヒートシンク80に固定された状態の位置関係とされている。直線Lcは、第2基板60を平面視する場合にサポートプレート30が第2基板60を当接面94sに押し付ける力F2の方向と平行で当該方向と垂直な方向における他方の接触部31bの一端を通る直線である。直線Ldは、直線Lcと平行で他方の接触部31bの他端を通る直線である。
ところで、一方の接触部31bを通る直線Laは、他方の接触部31b側と反対側に位置する。他方の接触部31bにおける直線Lcは、一方の接触部31b側と反対側に位置する。これら直線Laと直線Lcは、第2基板60を平面視する場合にサポートプレート30が第2基板60を当接面94sに押し付ける力F2の方向と平行である。このため、直線Laは、第2基板60を平面視する場合にサポートプレート30が第2基板60を当接面94sに押し付ける力F2の方向と平行で一方の接触部31bにおける他方の接触部31b側と反対側の端を通る直線でもある。また、直線Lcは、直線Laと平行で他方の接触部31bにおける一方の接触部31b側と反対側の端を通る直線でもある。一方の突起94における下方側の当接面94sの少なくとも一部と、他方の突起94における下方側の当接面94sの少なくとも一部は、この直線Laと直線Lcとの間に位置している。
なお、一方の接触部31bを通る直線Lbは他方の接触部31b側に位置し、他方の接触部31bにおける直線Ldは一方の接触部31b側に位置する。これら直線Lbと直線Ldは、第2基板60を平面視する場合にサポートプレート30が第2基板60を当接面94sに押し付ける力F2の方向と平行である。このため、直線Lbは、第2基板60を平面視する場合にサポートプレート30が第2基板60を当接面94sに押し付ける力F2の方向と平行で一方の接触部31bにおける他方の接触部31b側の端を通る直線でもある。また、直線Ldは、直線Lbと平行で他方の接触部31bにおける一方の接触部31b側の端を通る直線でもある。第2基板60の重心60Gは、この直線Lbと直線Ldとの間に位置している。このため、第2基板60の重心60Gは、直線Laと直線Lcとの間に位置していることにもなる。
また、本実施形態では、上記のように第2基板60の第2発光素子63が搭載される側と反対側の面には流動部材としてのグリス24が塗布されるため、図16、図20に示すように、第2基板60と第2載置面91と間にはグリス24が介在している。このため、第2基板60が第2載置面91に押し付けられることで、このグリス24の一部が第2基板60と第2載置面91との間から押し出される場合がある。上記のように第2載置面91は第2ベース板83の前面83fから前方へ突出する台座95の端面とされ、第2載置面91の外縁は、第2基板60の外縁に囲われている。このため、第2基板60と第2載置面91との間から押し出される余剰のグリス24は、台座95の周囲の第2ベース板83の前面83f上に押し出される。従って、余剰のグリス24の一部が第2基板60の第2発光素子63が搭載される搭載面60s上に付着することが抑制され、余剰のグリス24の第2発光素子63への付着等が抑制される。なお、流動部材は、グリスに限定されるものではない。流動部材は、少なくとも第1基板50が第1載置面86に載置される際、及び第2基板60が第2載置面91に載置される際に流動性を有している部材であれば良く、常時流動性を有している部材に限定されない。このため、流動部材は、本実施形態で示されたグリスや粘着剤等の第1基板50や第2基板60が載置面86、91に載置された後も未硬化とされる未硬化型流動部材、及び熱硬化性樹脂等から形成される接着剤等の第1基板50や第2基板60が載置面に載置された後に硬化し得る硬化型流動部材を含む。また、第1基板50と第1載置面86と間に介在する流動部材と、第2基板60と第2載置面91と間に介在する流動部材とは同様の部材とされても良く、異なる部材とされても良い。
また、上記のようにヒートシンク80における台座90の下方側の外周面と台座95よりも上方側の第2ベース板83の前面83fとの間には、流動部材用凹部96が形成されている。第1載置面86の外縁のうち第2載置面91側の外縁86eは、第2載置面91の外縁のうち第1載置面86側に位置する外縁91eと概ね平行とされ、左右方向に延びている。第1載置面86の外縁は第1基板50の外縁に囲われ、第2載置面91の外縁は、第2基板60の外縁に囲われている。このため、第1載置面86の外縁のうち第2載置面91側の外縁86eは、第1載置面86における第1基板50と重なる領域の第2基板60側の縁である。第2載置面91の外縁のうち第1載置面86側に位置する外縁91eは、第2載置面91における第2基板60と重なる領域の第1基板50側の縁である。つまり、流動部材用凹部96は、第1載置面86における第1基板50と重なる領域の第2基板60側の縁と第2載置面91における第2基板60と重なる領域の第1基板50側の縁との間に形成されている。このため、第1基板50と第1載置面86との間から押し出される余剰のグリス24のうち、第2基板60側に向かうグリス24の一部は、流動部材用凹部96に収容され得る。また、第2基板60と第2載置面91との間から押し出される余剰のグリス24のうち、第1基板50側に向かうグリス24の一部は、流動部材用凹部96に収容され得る。つまり、第1基板50と第2基板60との間に溜まる余剰のグリス24の一部が流動部材用凹部96に収容され得る。
また、上記のように第1載置面86の外縁のうち第2載置面91側である下端に位置する外縁86eは、第2載置面91の外縁のうち第1載置面86側である上端に位置する外縁91eと概ね平行とされ、左右方向に延びている。このため、この外縁86eと外縁91eとで挟まれる領域は、第1載置面86における第1基板50と重なる領域の第2基板60側の縁と第2載置面91における第2基板60と重なる領域の第1基板50側の縁との距離が最小となる領域となる。流動部材用凹部96の少なくとも一部は、この領域に位置している。
また、図9に示すように、流動部材用凹部96の少なくとも一部は、第1基板50の第1発光素子55における第1基板50側から第2基板60側に向かう方向と垂直な方向の一端を通り第1基板50側から第2基板60側に向かう方向と平行な第1直線Lfと、他端を通り第1直線Lfと平行な第2直線Lsとの間に位置している。つまり、流動部材用凹部96の少なくとも一部は、第1発光素子55における左右方向の一端を通り上下方向と平行な第1直線Lfと、他端を通り第1直線Lfと平行な第2直線Lsとの間に位置している。また、図示による説明は省略するが、この流動部材用凹部96の少なくとも一部は、第2基板60の第2発光素子63における第1基板50側から第2基板60側に向かう方向と垂直な方向の一端を通り第1基板50側から第2基板60側に向かう方向と平行な直線と、他端を通りこの直線と平行な別の直線との間に位置している。つまり、流動部材用凹部96の少なくとも一部は、第2発光素子63における左右方向の一端を通り上下方向と平行な直線と、他端を通りこの直線と平行な別の直線との間に位置している。
次に、投影レンズ20について説明する。
図1~図4に示す投影レンズ20は、平凸レンズであり、光源ユニットLUの前方に配置される。光源ユニットLUから出射される第1の光及び第2の光は、投影レンズ20の背面側の平坦な入射面から入射して投影レンズ20を透過する。投影レンズ20は、外周にフランジ部21を有する。投影レンズ20を形成する材料として、例えば樹脂やガラスが挙げられる。
次に、レンズホルダ25について説明する。
図1~図4に示すレンズホルダ25は、ヒートシンク80と投影レンズ20との間に配置される。投影レンズ20がレンズホルダ25に固定される。レンズホルダ25がヒートシンク80に固定されることによって、投影レンズ20、レンズホルダ25、及びヒートシンク80の相対的位置が固定される。また、上記のようにリフレクタユニット40、サポートプレート30、第1基板50、及び第2基板60は、ヒートシンク80に固定される。このため、リフレクタユニット40、サポートプレート30、第1基板50、及び第2基板60と投影レンズ20とレンズホルダ25との相対的位置も固定される。
レンズホルダ25は、円筒状の保持部26と、脚部27とを有する。レンズホルダ25は、例えば樹脂から形成され、保持部26と脚部27とが一体に成形されている。保持部26は、投影レンズ20側からヒートシンク80側に延在している。保持部26の投影レンズ20側の端には、投影レンズ20のフランジ部21が固定される。脚部27は、保持部26のヒートシンク80側の端部からヒートシンク80側に延在している。本実施形態では、レンズホルダ25は3つの脚部27を有する。2つの脚部27は、左右方向に並列されて配置され、他の脚部27は並列される2つの脚部27よりも上方に配置される。3つの脚部27のヒートシンク80側のそれぞれの端部にはフランジ部28が形成され、当該フランジ部28がねじ29によってそれぞれヒートシンク80に固定される。
このようにヒートシンク80に固定される3つの脚部27のうち、並列される2つの脚部27は、サポートプレート30の一対の第1遮光部33を挟んでいる。また上記のように、一対の第1遮光部33は、サポートプレート30のベース部31の左右方向の端にそれぞれ連結される固定部32にそれぞれ連結しているため、一対の第1遮光部33は、左右方向に並列されて配置されている。このため、一方の第1遮光部33は並列される2つの脚部27の一方の脚部27と投影レンズ20との間に位置し、他方の第1遮光部33は、他方の脚部27と投影レンズ20との間に位置している。このような第1遮光部33を備えることによって、投影レンズ20を透過して入射する太陽光の少なくとも一部は、レンズホルダ25の脚部27に照射されずに第1遮光部33に照射される。このため、太陽光によるレンズホルダ25の損傷が抑制される。
また、上記のようにサポートプレート30の第2遮光部34における上壁部34aは、コネクタ64の上方に配置され、ベース部31と概ね平行に延在している。このため、第2遮光部34の上壁部34aは、コネクタ64と投影レンズ20との間に位置している。このような第2遮光部34を備えることによって、投影レンズ20を透過して入射する太陽光の少なくとも一部は、コネクタ64に照射されずに第2遮光部34の上壁部34aに照射される。このため、太陽光によるコネクタ64の損傷が抑制される。また、投影レンズ20を介してコネクタ64を視認し難くなり、灯具ユニットの意匠性を良好にし得る。
次に、本実施形態の車両用前照灯1からの光の出射について説明する。
図21は、灯具ユニットの概略断面図であり、第1発光素子及び第2発光素子から出射される光の光路例を概略的に示す図である。なお、図21では、ヒートシンク80、ファン81等の記載は省略されている。また、各反射面の角度、光の反射角や屈折角等は正確でない場合がある。また、上記のように、車両用前照灯は車両の左右に対称に設けられる。以下の配光の説明では、左右に設けられる車両用前照灯が同様に点灯または消灯する場合の配光について説明する。
図21に示すように、第1発光素子55から出射する第1の光L1の一部は直接投影レンズ20に入射し、第1の光L1の他の一部はシェード43の第1反射面43a、リフレクタ41の第3反射面41rのいずれかで反射されて投影レンズ20に入射する。シェード43の前方端43cが上記のように形成されることによって、投影レンズ20に入射する第1の光L1のうちシェード43の前方端43c近傍を通る第1の光L1がロービームの配光のカットラインを形成する。また、図示による説明は省略するが、第1発光素子55から出射する第1の光L1のうち、左右方向に拡散する光の一部は、第1サイドリフレクタ41aや第2サイドリフレクタ41bで反射されて投影レンズ20に入射する。また、第1の光L1のうちシェード43の前方端43cより後方に照射される光の一部は、シェード43によって遮蔽される。また、第1の光L1のうちサポートプレート30の第3遮光部35における前側壁部35dに照射される光の一部は、前側壁部35dによって遮蔽される。このようにして第1発光素子55から出射して投影レンズ20に入射して透過し、フロントカバー12を介して出射する第1の光L1によって、図22(A)に示すロービームの配光が形成される。なお、図22(A)においてSは水平線を示す。
また、第2発光素子63から出射する第2の光L2の一部は直接投影レンズ20に入射し、第2の光L2の他の一部はシェード43の第2反射面43b、リフレクタ42の第4反射面42rのいずれかで反射されて投影レンズ20に入射する。また、図示による説明は省略するが、第2発光素子63から出射する第2の光L2のうち、左右方向に拡散する光の一部は、第1サイドリフレクタ42aや第2サイドリフレクタ42bで反射されて投影レンズ20に入射する。また、第2の光L2のうちサポートプレート30の第3遮光部35における前側壁部35dに照射される光の一部は、前側壁部35dによって遮蔽される。このようにして第2発光素子63から出射して投影レンズ20に入射して透過し、フロントカバー12を介して出射する第2の光L2による配光と、上記ロービームの配光とが合わさり、図22(B)に示すハイビームの配光が形成される。なお、図22(B)においてSは水平線を示す。
ところで、上記特許文献1に開示されている車両用灯具では、また、この車両用灯具では、第一光源から出射される光は投影レンズの光軸に対して上方に出射される。このように上方に出射される光が第一光源の前方に配置された投影レンズに入射するように、上記第一リフレクタによって第一光源から出射される光を前方に反射する必要がある。このような第一リフレクタは、第一光源を覆うように前方に大きく迫り出して設けられる。第二リフレクタも同様に、前方に大きく迫り出して設けられる。しかし、第一リフレクタ及び第二リフレクタが大型化されると、車両用灯具が大型化し易くなる。
これに対し、第1実施形態の車両用前照灯1は、第1発光素子55と、第2発光素子63と、シェード43と、投影レンズ20と、を備える。シェード43は、第1反射面43aを上面に有すると共に第2反射面43bを下面に有し、シェード43の前方端43cは、ロービームの配光パターンのカットラインの形状に対応した上下方向の段差43csを有する。この本実施形態の車両用前照灯1では、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズ20を直接透過する。すなわち、第1の光の一部及び第2の光の一部は、それぞれ反射されることなく投影レンズ20に入射し、投影レンズ20を透過する。このように、第1の光の一部及び第2の光の一部が投影レンズ20に直接入射することを前提とするため、車両用前照灯1は、上記特許文献1に記載されているような大型のリフレクタを必要としない。また、第1の光の他の一部は、第1発光素子55の下方に配置されたシェード43の第1反射面43aによって反射されて投影レンズ20に入射し、第2の光の他の一部は、第2発光素子63の上方に配置されたシェード43の第2反射面43bによって反射されて投影レンズ20に入射する。そのため、第1の光及び第2の光を有効に利用することができる。さらに、車両用前照灯1では、シェード43の前方端43cによってロービームの配光パターンのカットラインが形成される。以上のように、車両用前照灯1では、大型のリフレクタが用いられなくても第1の光及び第2の光が効率良く投影レンズ20に入射し、ロービームの配光のカットラインが形成される。したがって、車両用前照灯1は、大型化が抑制され得る。
また、第1実施形態の車両用前照灯1では、第1発光素子55が左右方向に並列して複数備えられ、特定の第1発光素子55dを基準として左右方向の一方に配置される複数の第1発光素子55a~55cと他方に配置される複数の第1発光素子55e~55gとは、設けられる高さが互いに異なる。ロービームを鉛直面に照射する場合、ロービームの配光パターンのカットラインは、特定の位置を基準として左右方向の一方と他方とで高さが互いに異なる。したがって、カットラインを形成するシェード43の前方端43cは、特定の位置を基準として左右方向の一方と他方とで高さが異なることが好ましい。ここで、複数の第1発光素子55が上記のように段違いに配置されることによって、それぞれの第1発光素子55の出射面の位置をシェード43の前方端43cの高さに合わせやすくなる。そのため、それぞれの第1発光素子55から出射される第1の光が、ロービームの配光パターンのカットラインを形成するシェード43の前方端43c近傍に届き易くなり、ロービームの配光パターンにおいてカットライン近傍の光度が高められ得る。
また、第1実施形態の車両用前照灯1では、特定の第1発光素子55dと特定の第1発光素子55dを挟んで配置される一対の第1発光素子55c,55eとの平均間隔は、互いに隣り合う他の複数の第1発光素子55a,55b,55f,55gの平均間隔より狭い。このように複数の第1発光素子55の平均間隔が調整されることによって、左右方向の中心近傍において互いに隣り合って配置される第1発光素子55c~55eの平均間隔が左右方向の両端側において互いに隣り合って配置される第1発光素子55a~55c及び第1発光素子55e~55gの平均間隔より狭くされ得る。そのため、同数の第1発光素子が等間隔に配置される場合に比べて、ロービームの配光パターンが左右に広がりつつロービームの配光パターンの中心近傍が明るくなり得る。
また、第1実施形態の車両用前照灯1では、シェード43の上面の第1反射面43aがロービームの配光パターンに対応した凸面部43asを有する。ロービームを路面に照射する場合、ロービームの配光パターンは、左右方向の一方と他方とで光の照射範囲が互いに異なるように形成される。すなわち、ロービームは、対向車線側とその反対側とで光の照射範囲が互いに異なる。上記のようにシェード43の上面の第1反射面43aに凸面部43asを設けることによって、上記のように左右で光の照射範囲が異なる所望のロービームの配光パターンが形成され得る。
また、第1実施形態の車両用前照灯1では、正面視において、特定の第1発光素子55dとシェード43の前方端43cが有する段差43csとが上下方向に重なる。また、特定の第1発光素子55dを基準として左右方向の一方に配置される第1発光素子55a~55cは他方に配置される第1発光素子55e~55gより低い位置に設けられる。さらに、シェード43の前方端43cは段差43csを基準として左右方向の一方が他方より低く形成される。このように複数の第1発光素子55が配置されると共にシェード43の前方端43cが形成されることによって、複数の第1発光素子55がシェード43の前方端43cの形状に沿って配置され得る。そのため、それぞれの第1発光素子55から出射される第1の光が、ロービームの配光パターンのカットラインを形成するシェード43の前方端43c近傍により届き易くなり、ロービームの配光パターンにおいてカットライン近傍の光度がより高められ得る。
また、第1実施形態の車両用前照灯1では、シェード43の上面に形成される第1反射面43aの後方端43dがロービームの配光パターンのカットラインの形状に対応した段差を有する。シェード43の前方端43c及びシェード43の上面の第1反射面43aの後方端43dのそれぞれがロービームの配光のカットラインの形状に対応した段差を有することによって、第1の光がシェードの前方端43c近傍により届き易くなる。そのため、ロービームの配光パターンにおいて、カットライン近傍の光度がより高められ得る。
また、第1実施形態の車両用前照灯1では、正面視において、シェード43の前方端43cが有する段差43csと第1反射面43aの後方端43dが有する段差43dsとが上下方向に重なる。このようにシェード43が形成されることによって、第1の光がシェード43の前方端43c近傍により届き易くなる。そのため、ロービームの配光パターンにおいて、カットライン近傍の光度がより高められ得る。
以上、本発明の第1の態様について、第1実施形態を例に説明したが、第1の態様はこれに限定されるものではない。
例えば、第1発光素子55の数は特に限定されない。
また、上記第1実施形態では複数の第1発光素子55は2段階の高さに分けて配置される例を挙げて説明した。すなわち、第1発光素子55a~55dが同じ高さで配置され、第1発光素子55e~55gが同じ高さで配置される例を挙げて説明した。しかし、複数の第1発光素子55は、より多くの段階の高さに分けて配置されてもよく、同じ高さで一列に設けられてもよい。ただし、複数の第1発光素子55は、シェード43の前方端43cの形状に沿うように配置されることが好ましい。また、特定の第1発光素子は、特定の第1発光素子より左右方向の一方に配置される複数の第1発光素子を通る直線と重なる又は当該直線より高い位置であり、且つ、左右方向の他方に配置される複数の第1発光素子を通る直線と重なる又は当該直線より低い位置に配置されることが好ましい。よって、第1発光素子55a~55cが同じ高さで配置され、第1発光素子55e~55gが同じ高さで配置され、特定の第1発光素子55dは第1発光素子55a~55cと第1発光素子55e~55gとの中間の高さで配置されてもよい。
また、上記第1実施形態では、複数の第1発光素子55の間隔が不均一である例を挙げて説明したが、複数の第1発光素子55は等間隔に配置されてもよい。
また、上記第1実施形態では、シェード43の上面の第1反射面43aの後方端43dがロービームの配光パターンのカットラインの形状に対応した段差43dsを有する例を挙げて説明したが、第1反射面43aの後方端43dにおいて段差が非形成とされてもよい。
以上説明したように、第1の態様に係る発明によれば、大型化が抑制され得る車両用前照灯が提供され、当該車両用前照灯は自動車等の車両用前照灯等の分野において利用可能である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の態様について、第2実施形態に係る車両用前照灯を例として説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態では、第2発光素子63の数は、第1発光素子55の数より多く、12個備えられる。また、第2発光素子63は、後述するように、第1発光素子55よりも投影レンズ20の焦点に近い位置に配置される。さらに、左右方向の中央部に配置される第2発光素子63の平均間隔は、左右方向の少なくとも一方の端部に配置される第2発光素子63の平均間隔より狭い。例えば、左右方向に複数配列される第2発光素子63を3等分して左端部のグループ、中央部のグループ、及び右端部の3つのグループに分ける場合、中央部のグループの第2発光素子63の平均間隔は、左端部のグループ及び右端部のグループの少なくとも一方の第2発光素子63の平均間隔より狭い。本実施形態では、図7に示すように、正面視において、左右方向の中央部に配置される第2発光素子63の平均間隔は、右端部に配置される第2発光素子63の平均間隔より狭い。
図23は、第2実施形態に係る光源ユニットを図16と同様の視点で示す図である。図23に示すように、シェード43は、第1発光素子55と第2発光素子63と上下方向の間に配置される。本実施形態のシェード43は、第1発光素子55と第2発光素子63と間から前方に延在する。本実施形態において、第1発光素子55が出射する第1の光の一部はシェード43の上面に照射され、シェード43の上面は第1の光の一部を投影レンズ20の焦点に向けて反射する第1反射面43aを有する。第1反射面43aは、第1発光素子55側から前方に向かって延在し、第1の光の一部を前方に反射する凹状の反射面である。また、本実施形態において、第2発光素子63が出射する第2の光の一部はシェード43の下面に照射され、シェード43の下面は第2の光の一部を投影レンズ20の焦点に向けて反射する第2反射面43bを有する。また、シェード43の前方端43cは、後述するカットラインに合わせた形状を有しており、左右端から中央に向かって徐々に後方に凹んでいる。
図25は、本実施形態における第2基板を図19と同様の視点で示す図であり、位置決め用凹部62近傍の拡大図である。図7、図11、図25に示すように、第2基板60の第2発光素子63が搭載される搭載面60s上におけるこの2つの凸部31aと接触する接触部31bは、それぞれ第2基板60の位置決め用凹部62よりも第2発光素子63側と反対側に位置する。なお、サポートプレート30における凸部31aの数や位置は特に限定されない。言い換えると、第2基板60における凸部31aと接触する接触部31bの数や位置は特に限定されない。
本実施形態において、上記図1~図4に示す投影レンズ20は、平凸レンズであり、光源ユニットLUの前方に配置される。すなわち、シェード43よりも前方に配置される。
本実施形態において、投影レンズ20の焦点は、投影レンズ20とシェード43の前方端43cとの間に位置する。図24は、図23の破線XVIIで囲った部位を拡大して示す図である。図24に示すように、投影レンズ20の焦点20fは、シェード43の前方端43cの前方に位置する。
また、図24に示すように、本実施形態の第2発光素子63は、第1発光素子55よりも投影レンズ20の焦点20fに近い位置に配置される。具体的には、本実施形態の第2発光素子63は、第1発光素子55よりも前方に配置される。すなわち、前後方向において、第2発光素子63は、第1発光素子55よりも投影レンズ20の焦点20fに近い位置に配置される。ただし、上下方向において、第2発光素子63が第1発光素子55よりも投影レンズ20の焦点20fに近い位置に配置されてもよい。すなわち、投影レンズ20の焦点20fを通る水平面に対して第2発光素子63が第1発光素子55よりも近い位置に配置されてもよい。さらに、本実施形態の第2発光素子63は、第2発光素子63の出射面の法線N2が第1発光素子55の出射面の法線N1より鉛直に近くなるように配置される。すなわち、第2発光素子63の出射面の法線N2と左右方向に平行な鉛直面VPとが成す鋭角θ2が、第1発光素子55の出射面の法線N1と鉛直面VPとが成す鋭角θ1よりも小さくなるように、第1発光素子55及び第2発光素子63が配置される。
図26は、第2実施形態における灯具ユニットを図21と同様の視点で示す図である。図26に示すように、第1発光素子55から出射する第1の光L1の一部は、反射されることなく投影レンズ20の焦点20fの近傍を通り、直接投影レンズ20の背面側に入射する。また、第1の光L1の他の一部であって、第1発光素子55の出射面の中心から図24に示す法線N1に沿って出射される第1の光L1は、シェード43の第1反射面43aに反射され、投影レンズ20の焦点20fの近傍を通って投影レンズ20の背面側に入射する。第1の光L1の更に他の一部は、リフレクタ41の第3反射面41rで反射されて投影レンズ20の背面側に入射する。また、図示による説明は省略するが、第1発光素子55から出射する第1の光L1のうち、左右方向に拡散する光の一部は、第1サイドリフレクタ41aや第2サイドリフレクタ41bで反射されて投影レンズ20の背面側に入射する。なお、第1の光L1のうちサポートプレート30の第3遮光部35における前側壁部35dに照射される光の一部は、前側壁部35dによって遮蔽される。上記のように投影レンズ20の背面側の平坦な入射面から入射する第1の光L1の少なくとも一部は、投影レンズ20及びフロントカバー12を透過し、車両の前方に照射されて図22(A)に示すロービームの配光を形成する。
また、第2発光素子63から出射する第2の光L2の一部は、反射されることなく投影レンズ20の焦点20fの近傍を通り、直接投影レンズ20の背面側に入射する。また、第2の光L2の他の一部であって、第2発光素子63の出射面の中心から図24に示す法線N2に沿って出射される第2の光L2は、シェード43の第2反射面43bに反射され、投影レンズ20の焦点20fの近傍を通って投影レンズ20の背面側に入射する。第2の光L2の更に他の一部は、リフレクタ42の第4反射面42rで反射されて投影レンズ20の背面側に入射する。また、図示による説明は省略するが、第2発光素子63から出射する第2の光L2のうち、左右方向に拡散する光の一部は、第1サイドリフレクタ42aや第2サイドリフレクタ42bで反射されて投影レンズ20の背面側に入射する。なお、第2の光L2のうちサポートプレート30の第3遮光部35における前側壁部35dに照射される光の一部は、前側壁部35dによって遮蔽される。上記のように投影レンズ20の背面側の平坦な入射面から入射する第2の光L2の少なくとも一部は、投影レンズ20及びフロントカバー12を透過し、車両の前方に照射される。このように照射される第2の光L2による配光と、上記ロービームの配光とが合わさり、図22(B)に示すハイビームの配光が形成される。
ところで、上記特許文献1に開示されている車両用灯具では、第一光源から出射されて第一リフレクタで反射された光と、第二光源から出射されて第二リフレクタで反射された光とが、第一光源及び第二光源の前方に配置される投影レンズを透過して照射される。また、この車両用灯具では、第一光源から出射される光は投影レンズの光軸に対して上方に出射される。このように上方に出射される光が第一光源の前方に配置された投影レンズに入射するように、上記第一リフレクタによって第一光源から出射される光を前方に反射する必要がある。このような第一リフレクタは、第一光源を覆うように前方に大きく迫り出して設けられる。第二リフレクタも同様に、前方に大きく迫り出して設けられる。しかし、第一リフレクタ及び第二リフレクタが大型化されると、車両用灯具が大型化し易くなる。
これに対し、第2実施形態の車両用前照灯1は、第1発光素子55と、第2発光素子63と、シェード43と、投影レンズ20と、を備える。また、投影レンズ20の焦点20fは、投影レンズ20とシェード43の前方端43cとの間に位置し、第2発光素子63は、第1発光素子55よりも投影レンズ20の焦点20fに近い位置に配置される。
このような本実施形態の車両用前照灯1では、第1の光L1の一部及び第2の光L2の一部が投影レンズ20を直接透過する。すなわち、第1の光L1の一部及び第2の光L2の一部は、それぞれ反射されることなく投影レンズ20に入射し、投影レンズ20を透過する。このように、第1の光L1の一部及び第2の光L2の一部が投影レンズ20に直接入射するように第1発光素子55及び第2発光素子63が配置されるため、上記車両用前照灯1は、上記特許文献1に記載されているような大型のリフレクタを必要としない。そのため、本実施形態の車両用前照灯1は大型化が抑制され得る。
また、第2実施形態の車両用前照灯1では、第2発光素子63が第1発光素子55よりも投影レンズ20の焦点20fに近い位置に配置される。そのため、投影レンズ20の焦点20fにおいて、ハイビームとなる第2の光L2の光度はロービームとなる第1の光L1の光度よりも容易に高められ得る。そのため、本実施形態の車両用前照灯1は、投影レンズ20を透過して前方に照射されるハイビームの最大光度をロービームの最大光度よりも高め得る。一方、第1発光素子55が第2発光素子63よりも投影レンズ20の焦点20fから遠い位置に配置されることによって、投影レンズ20の焦点面において、第1の光L1の照射範囲は第2の光L2の照射範囲よりも容易に広げられ得る。そのため、本実施形態の車両用前照灯1は、ロービームの照射範囲をハイビームの照射範囲よりも広げ得る。
また、第2実施形態の車両用前照灯1では、第2発光素子63は、第1発光素子55より前方において、第2発光素子63の出射面の法線N2が第1発光素子55の出射面の法線N1より鉛直に近くなるように配置される。第2発光素子63が第1発光素子55よりも前方に配置されることによって、第2発光素子63を第1発光素子55よりも投影レンズ20の焦点20fに近付けることが容易になる。ここで、第2発光素子63の出射面の法線N2と鉛直面VPとが成す角と、第1発光素子55の出射面の法線N1と鉛直面VPとが成す角とが同程度である場合、第1の光及び第2の光のどちらか一方が投影レンズ20の焦点20f近傍を通り難くなる。第2発光素子63の出射面の法線N2が第1発光素子の出射面の法線N1より鉛直に近くなるように第2発光素子63が配置されることによって、第2の光及び第1の光が共に投影レンズ20の焦点20f近傍を通るように第1発光素子55及び第2発光素子63を配置し得る。そのため、本実施形態の車両用前照灯1は、ロービーム及びハイビームの光度を高め得る。
また、第2実施形態の車両用前照灯1では、第1の光L1の他の一部はシェード43の上面に照射され、シェード43の上面は、第1の光L1の他の一部を投影レンズ20の焦点20fに向けて反射する第1反射面43aを有する。このように第1の光L1の他の一部が反射されることによって、投影レンズ20の焦点20fに第1の光L1が集められ、ロービームの光度がより高められ得る。
また、第2実施形態の車両用前照灯1では、第2の光l2の他の一部はシェード43の下面に照射され、シェード43の下面は、第2の光L2の他の一部を投影レンズ20の焦点20fに向けて反射する第2反射面43bを有する。このように第2の光L2の他の一部が反射されることによって、投影レンズ20の焦点20fに第2の光L2が集められ、ハイビームの光度がより高められ得る。
また、第2実施形態の車両用前照灯1では、第2発光素子63が左右方向に並列して複数備えられ、左右方向の中央部に配置される第2発光素子63の平均間隔は、左右方向の少なくとも一方の端部に配置される第2発光素子63の平均間隔より狭い。このように複数の第2発光素子63の平均間隔が調整されることによって、同数の第2発光素子63が等間隔に配置される場合に比べて、ハイビームの中心近傍の最大光度が高まり得る。
以上、本発明の第2の態様について、第2実施形態を例に説明したが、第2の態様はこれに限定されるものではない。
例えば、上記第2実施形態では、第2発光素子63の出射面の法線N2と左右方向に平行な鉛直面VPとが成す鋭角θ2が、第1発光素子55の出射面の法線N1と鉛直面VPとが成す鋭角θ1よりも小さい例を挙げて説明したが、鋭角θ2及び鋭角θ1の大きさは特に限定されない。ただし、鋭角θ1と鋭角θ2とが互いに異なる角度とされることによって、第2の光L2及び第1の光L1が共に投影レンズ20の焦点20f近傍を通るように第1発光素子55及び第2発光素子63を配置し得る。そのため、ロービーム及びハイビームの光度が高められ得る。
また、上記第2実施形態では、第1発光素子55の出射面の法線N1に沿って出射される第1の光L1がシェード43の第1反射面43aに反射されて投影レンズ20の焦点20f近傍を通る例を挙げて説明した。しかし、第1発光素子55の出射面の法線N1に沿って出射される第1の光L1は、シェード43の第1反射面43aに反射されなくてもよい。例えば、第1発光素子55の出射面の法線N1に沿って出射される第1の光L1は、反射されずに投影レンズ20の焦点20f近傍を通って投影レンズ20の背面側に入射してもよい。なお、第1反射面43aは必須の構成ではない。
また、上記第2実施形態では、第2発光素子63の出射面の法線N2に沿って出射される第2の光L2がシェード43の第2反射面43bに反射されて投影レンズ20の焦点20f近傍を通る例を挙げて説明した。しかし、第2発光素子63の出射面の法線N2に沿って出射される第2の光L2は、シェード43の第2反射面43bに反射されなくてもよい。例えば、第2発光素子63の出射面の法線N2に沿って出射される第2の光L2は、反射されずに投影レンズ20の焦点20f近傍を通って投影レンズ20の背面側に入射してもよい。なお、第2反射面43bは必須の構成ではない。
以上説明したように、第2の態様に係る発明によれば、大型化が抑制され得る車両用前照灯が提供され、当該車両用前照灯は自動車等の車両用前照灯の分野等において利用可能である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の態様について、第3実施形態に係る車両用前照灯を例として説明する。なお、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態において、第1発光素子55は、出射面の法線が前方斜め下を向き、ロービームとなる第1の光を出射する。第1発光素子55として、例えばLEDが挙げられる。本実施形態では、第1発光素子55は、第1基板50を平面視する場合に、第1当接面51sと概ね垂直な方向に並列される複数のLEDからなるLEDアレイとされている。なお、第1発光素子55、サーミスタ56、給電回路57、及びサーミスタ回路58は、第1基板50の表面に設けられる不図示の絶縁層によって第1基板50とそれぞれ絶縁されている。
本実施形態において、第2発光素子63は、第1発光素子55の下方に配置されると共に出射面の法線が前方斜め上を向き、ハイビームとなる第2の光を出射する。第2発光素子63として、例えばLEDが挙げられる。本実施形態では、第2発光素子63は、第2基板60を平面視する場合に、第1当接面61sと概ね垂直な方向に並列される複数のLEDからなるLEDアレイとされている。
上記図16に示すように、シェード43は、第1発光素子55と第2発光素子63との間に配置され、第1発光素子55から出射する第1の光の一部を遮蔽する。また、シェード43は、上面に第1反射面43aを有し、下面に第2反射面43bを有する。第1反射面43aは、第1発光素子55側から前方に向かって延在し、第1の光の一部を前方に反射する凹状の反射面である。第2反射面43bは、第2発光素子63側から前方に向かって延在し、第2発光素子63から出射する第2の光の一部を前方に反射する凹状の反射面である。また、シェード43の前方端43cは、後述するカットラインに合わせた形状を有しており、左右端から中央に向かって徐々に後方に凹んでいる。
本実施形態において、上記図1~図4に示す投影レンズ20は、平凸レンズであり、光源ユニットLUの前方に配置される。すなわち、投影レンズ20は、シェード43よりも前方に配置される。第1発光素子55から出射される第1の光の一部及び第2発光素子63から出射される第2の光の一部は、投影レンズ20に直接入射して透過する。すなわち、第1の光の一部及び第2の光の一部は、反射されることなく投影レンズ20の背面に入射し、投影レンズ20の前面から出射する。以下、投影レンズ20の背面の入射面、投影レンズ20の前面の出射面という場合がある。また、投影レンズ20の焦点は、投影レンズ20とシェード43の前方端43cとの間に位置する。
図27は、本実施形態の投影レンズ20を正面から見る図である。図27に示すように、投影レンズ20は凹凸が非形成とされる帯状の第1領域121を複数有する。また、それぞれの第1領域121を挟む領域は、複数の凹凸が形成される凹凸領域125とされる。本実施形態の投影レンズ20は、第1領域121及び凹凸領域125を出射面に有する。
本実施形態の凹凸領域125は、第2領域122、第2領域122より小さい凹凸が形成される第3領域123、及び、第3領域123よりさらに小さい凹凸が形成される第4領域124を有する。本実施形態の第2領域122及び第3領域123は、複数の第1領域121に挟まれる位置に形成され、第1領域121を挟んで隣り合うように形成されている。一方、第4領域124は、一部が複数の第1領域121に挟まれる位置に形成され、他の一部は第1領域121に挟まれない位置に形成される。このように、本実施形態の投影レンズ20の出射面の上下方向の端部は、投影レンズ20の出射面の上下方向の中心に比べて凹凸が小さくされる。
第2領域122の凹凸の高さは、例えば7μm程度とされ、第3領域123の凹凸の高さは、例えば5μm程度とされ、第4領域124の凹凸の高さは、例えば2μm~3μm程度とされる。なお、ここで凹凸の高さとは、凹凸の最高点と最低点とを通る断面において、複数の凸部の最高点を結ぶ線と当該複数の凸部間の凹部の最低点を結ぶ線との距離の半分の大きさを意味する。
上記のように、凹凸領域125は、形成される凹凸の大きさが互いに異なる複数の領域からなり、複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125と複数の第1領域121に挟まれない凹凸領域125との平均表面粗さは互いに異なる。本実施形態の複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125の平均表面粗さは、複数の第1領域121に挟まれない凹凸領域125域の平均表面粗さより大きい。
また、本実施形態の第1領域121は、水平面に平行に形成される。よって、複数の第1領域121に挟まれる第2領域122、第3領域123、第4領域124も水平面に平行に形成される。さらに、本実施形態の第1領域121または複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125は、投影レンズ20の光軸が通る位置に形成される。すなわち、本実施形態の第1領域121及び複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125は、投影レンズ20の中心近傍に形成される。最も上方に形成される第1領域121と最も下方に配置される第1領域121とで挟まれる領域は、投影レンズ20の正面視において、シェード43と重なる。また、最も上方に形成される第1領域121と最も下方に配置される第1領域121とで挟まれる領域の上下方向の長さは、例えば、投影レンズ20の上下方向の長さに対して1/5~1/2程度とされ、1/5~1/3程度とされることが好ましい。また、本実施形態の第1領域121及び凹凸領域125は、投影レンズ20の左側の端から右側の端まで形成されている。ただし、投影レンズ20の左端または右端において、凹凸領域125が非形成とされてもよい。
また、第1領域121は、ロービームのカットラインを形成する光が主に透過する領域に形成されることが好ましい。第2領域122及び第3領域123は、第1発光素子55からの第1の光による配光パターンの上端を形成する光、及び、第2発光素子63からの第2の光による配光パターンの下端を形成する光が主に透過する領域に形成されることが好ましい。第4領域124は、第1領域121、第2領域122及び第3領域123以外の領域に形成され、第1発光素子55からの第1の光を全体的に拡散させ、ロービーム点灯時のグレアを抑制することが好ましい。
また、第1領域121を除いて凹凸領域125に着目すると、最も凹凸が大きな第2領域122から離れるにしたがって凹凸が徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、第2領域122は、上下方向において第1領域121を介して第2領域122より凹凸が小さい第3領域123と隣り合い、第3領域123は、第2領域122側とは反対側において、第1領域121を介して第3領域123より凹凸が小さい第4領域124と隣り合っている。
また、本実施形態の投影レンズ20は、入射する光の一部をオーバーヘッドサイン用の光とするために屈折させる屈折部130を有する。本実施形態の屈折部130は、投影レンズ20の入射面に形成される。
図28は、本発明の第3実施形態における灯具ユニットを図21と同様の視点で示す図である。図28に示すように、第1発光素子55から出射する第1の光L1の一部は、直接投影レンズ20の入射面20iに入射し、出射面20oから出射する。この第1の光L1は、投影レンズ20の焦点20f近傍を通ることが好ましい。
また、第2発光素子63から出射する第2の光L2の一部は、直接投影レンズ20の入射面20iに入射し、出射面20oから出射する。この第2の光L2は、投影レンズ20の焦点20f近傍を通ることが好ましい。リフレクタ42の第4反射面42rは、第2発光素子の下方を覆うように形成されるため、コネクタ64等に向かう第2の光L2の他の一部を投影レンズ20側に反射することができる。本実施形態の第4反射面42rは、第2の光L2の他の一部が第1領域121及び複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125以外の領域を透過するように第2の光L2の他の一部を反射する。また、本実施形態の第4反射面42rは、第2の光L2のうち投影レンズ20に直接入射する一部の光が入射する領域とは異なる領域に第2の光L2の他の一部が入射するように、第2の光L2の他の一部を反射する。さらに、本実施形態の第4反射面42rは、第2の光L2の他の一部を屈折部130以外の領域に入射するように反射する。
ところで、上記特許文献1に開示されている車両用灯具は、第一光源から出射されて第一リフレクタで反射された光と第二光源から出射されて第二リフレクタで反射された光とが透過する投影レンズと、第一光源から出射されて第一リフレクタで反射される光の一部を遮蔽するシェードと、を更に備える。この車両用灯具は、シェードが第一光源から出射される光の一部を遮蔽することによって、ロービームの配光パターンのカットラインを形成している。また、投影レンズは、第一光源からの光が入射する第一レンズ部と、第一レンズ部の下方に形成され、第二光源からの第二レンズ部とを有し、第一レンズ部の後方焦点と第二レンズ部の後方焦点とが上下方向にずれている。このため、シェードを介して上下方向に配置される2つの光源を用いて配光パターンを形成する場合、シェードによって一部の光が遮られ、一方の光源から出射される光の配光パターンと他方の光源から出射される光の配光パターンとの境界に暗部が生じる場合がある。上記特許文献1に開示されている車両用灯具では、第二光源から出射される光が入射する第二レンズ部の後方焦点がシェードより下方に位置する。そのため、第二光源から出射される光がシェードによって遮られ難くなり、配光パターンに暗部が生じることが抑制され得る。
しかし、上記特許文献1に開示されている車両用灯具は、第一光源から上方に出射される光を投影レンズに入射させるために、第一光源を覆うように前方に大きく迫り出して設けられる第一リフレクタを必要とする。また、上記特許文献1に開示されている車両用灯具は、第二光源から下方に出射される光を投影レンズに入射させるために、第二光源を覆うように前方に大きく迫り出して設けられる第二リフレクタも必要とする。このように第一リフレクタ及び第二リフレクタが大型化されると、車両用灯具が大型化し易くなる。
これに対し、第3実施形態の車両用前照灯1は、第1発光素子55、第2発光素子63、シェード43、及び投影レンズ20を備える。また、投影レンズ20の出射面20oは、凹凸が非形成とされる帯状の第1領域121を複数有し、それぞれの第1領域121を挟む領域は、複数の凹凸が形成される凹凸領域125とされる。さらに、複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125と複数の第1領域121に挟まれない凹凸領域125との平均表面粗さは互いに異なる。
このような本実施形態の車両用前照灯1では、第1の光L1の一部及び第2の光L2の一部が投影レンズ20を直接透過する。すなわち、第1の光L1の一部及び第2の光L2の一部は、それぞれ反射されることなく投影レンズ20に入射し、投影レンズ20を透過する。このように、第1の光L1の一部及び第2の光L2の一部が投影レンズ20に直接入射するように第1発光素子55及び第2発光素子63が配置されるため、本実施形態の車両用前照灯1は、上記特許文献1に記載されているような大型のリフレクタを必要としない。そのため、本実施形態の車両用前照灯1は大型化が抑制され得る。
ところで、上記のように、シェードを介して上下方向に配置される2つの光源を用いて配光パターンを形成する場合、シェードによって一部の光が遮られることで配光パターンに暗部が形成される場合がある。ここで、投影レンズ20の前面または背面の全体に複数の凹凸を形成することで投影レンズ20から出射する光を拡散すれば、第1の光L1によって形成される配光パターンと第2の光L2によって形成される配光パターンの境界が不明瞭となる。よって、第1の光L1及び第2の光L2によって形成される配光パターンに暗部が形成されることが抑制され得る。しかし、第1の光L1が拡散されるとロービームのカットラインが不明瞭となる傾向がある。このように、第1の光L1によるロービームのカットラインの明確化と第1の光L1及び第2の光L2による配光パターンにおける暗部の抑制はトレードオフの関係にある。
本実施形態の投影レンズ20は、凹凸が非形成とされる帯状の第1領域121と複数の凹凸が形成される凹凸領域125とをそれぞれ複数有する。第1領域121を透過する第1の光L1は、拡散が抑制され、ロービームのカットラインの明確化に寄与し得る。一方、凹凸領域125を透過する光は、拡散され、第1の光L1の配光パターンと第2の光L2の配光パターンとの境界を不明瞭にして暗部の形成を抑制し得る。そのため、本実施形態の車両用前照灯1は、ロービームのカットラインを明確にしつつ配光パターンに暗部が形成されることを抑制し得る。以上のように、本実施形態の車両用前照灯1は、大型化が抑制されつつ配光パターンに暗部が形成されることを抑制し得る。
また、投影レンズ20の前面及び背面の全体に凹凸が非形成とされる場合、上記のような暗部の他に、光源から投影レンズに直接入射する光と他の部材に反射されて投影レンズ20に入射する光とによる明るさのムラが目立ちやすくなる傾向にある。また、光源が複数設けられる場合、それぞれの光源の間隔による明るさのムラも目立ちやすくなる傾向にある。複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125と複数の第1領域121に挟まれない凹凸領域125との平均表面粗さが互いに異なることによって、第1領域121に近い領域を透過する光をぼかす等して投影レンズ20から出射される光のぼける度合いを調整し易くなり、明るさのムラが生じることを抑制し得る。
また、第1領域121または複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125は、投影レンズ20の光軸が通る位置に形成される。本実施形態の車両用前照灯1において、第1発光素子55から出射される第1の光L1及び第2発光素子63から出射される第2の光L2は、それぞれ投影レンズ20の全体に入射して透過する。ただし、投影レンズ20における第1の光L1及び第2の光L2の光度は、一定ではなく、光軸近傍で高くなる傾向がある。第1領域121または複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125が投影レンズ20の光軸が通る位置に形成されることによって、第1領域121及び複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125は、光度が高い光が透過する位置に形成され得る。すなわち、第1領域121は、ロービームのカットラインを形成する光のうち光度が高い光が透過し易い位置に形成され得る。よって、ロービームのカットラインを形成する光の拡散がより抑制され、ロービームのカットラインがより明確になり得る。また、複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125は、第2の光L2のうち光度が高い光が透過する位置に形成され得る。よって、第2の光L2がより拡散され、第1の光L1及び第2の光L2による配光パターンに暗部が形成されることがより抑制され得る。
また、本実施形態において、複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125の平均表面粗さは、複数の第1領域121に挟まれない凹凸領域125の平均表面粗さより大きい。第1領域121は、ロービームのカットラインがより明確化に寄与し得る一方で、カットラインを明確にすることで第1の光L1の配光パターンと第2の光L2の配光パターンとの境界を明確にし、第1の光L1及び第2の光L2による配光パターンにおける暗部の形成に寄与し得る。複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125、すなわち複数の第1領域121に近い凹凸領域125の平均表面粗さが大きくされることによって、複数の第1領域121の近傍を透過する第2の光L2が拡散され易くなり、第1の光L1及び第2の光L2による配光パターンに暗部が形成されることがより抑制され得る。
また、本実施形態の投影レンズ20の凹凸領域125は、第2領域122と第2領域122より小さな凹凸が形成される第3領域123とを有する。光の拡散される度合いが相対的に大きい領域と小さい領域とが投影レンズ20に形成されることによって、光の拡散度合いに起因する光の明るさの階調が目立つことを抑制し得る。
また、本実施形態の投影レンズ20の第2領域122及び第3領域123は、第1領域121を挟んで隣り合う。第2領域122及び第3領域123が第1領域121を挟んで隣り合うことによって、第1領域121を透過することで拡散が抑制された光と凹凸領域125を透過して拡散された光との明るさの階調が目立つことを抑制し得る。
また、本実施形態の投影レンズ20の複数の第1領域121は水平面に平行に形成される。複数の第1領域121が水平面に平行に形成されることによって、複数の第1領域121及び複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125の形成が容易になり得る。
また、本実施形態の投影レンズ20の凹凸領域125は投影レンズ20の前面に形成される。投影レンズ20の背面、すなわち入射面20iで光を拡散させる場合は、拡散された光が投影レンズ20の前面、すなわち出射面20oで屈折して出射することになる。そのため、投影レンズ20の出射面20oで光を拡散させる方が投影レンズ20の入射面20iで光を拡散させるよりも光の拡散度合いの調整が容易になり得る。
また、本実施形態の車両用前照灯1は、第2発光素子63の下方を覆い、第2の光L2の他の一部が投影レンズ20に入射するように第2の光L2の他の一部を反射する反射面である第4反射面42rを備える。第2の光L2の他の一部を投影レンズ20に入射させることによって、第2の光L2を有効に利用し得る。
また、本実施形態の第4反射面42rは、第2の光L2の他の一部が第1領域121及び複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125以外の領域を透過するように、第2の光L2の他の一部を反射する。上記のように、第1領域121及び複数の第1領域121で挟まれる凹凸領域125は、ロービームのカットラインの明確化及び配光パターンに暗部が形成されることの抑制に寄与し得る。第2の光L2の他の一部がこれらの領域以外の領域を透過することによって、意図しない光によってロービームのカットラインの明確化と配光パターンに暗部が形成されることの抑制とが阻害されることを抑制し得る。
また、本実施形態の第4反射面42rは、第2の光L2の他の一部が第2の光L2の一部が直接入射する領域とは異なる領域に入射するように第2の光L2の他の一部を反射する。第2の光L2の一部が直接入射する領域とは異なる領域に第2の光L2の他の一部が入射することによって、第2の光L2の照射範囲を広げ得る。例えば、第2の光L2の配光パターンと第1の光L1の配光パターンとの境界の暗部を小さくするために、第2の光L2の一部が下方に照射されるように投影レンズ20の曲率を制御すると、第2の光L2の配光パターンの上方に照射される光が弱くなる場合がある。ここで、第2の光L2の他の一部が第2の光L2の一部が直接入射する領域とは異なる領域に入射することによって、第2の光L2の他の一部は第2の光L2の一部とは異なる方向に照射され得る。その結果、第2の光L2の他の一部が第2の光L2の一部よりも上方に照射されることによって、第2の光L2の配光パターンの上方に照射される光を補うことができる。
また、本実施形態の投影レンズ20は、入射する光の一部をオーバーヘッドサイン用の光とするために屈折させる屈折部130を有し、本実施形態の第4反射面42rは、第2の光L2の他の一部を屈折部130以外の領域に入射するように反射する。オーバーヘッドサイン用の屈折部130に意図しない光が入射することを抑制することによって、オーバーヘッドサイン用の光が意図しない方向に照射されることを抑制し得る。
(第4実施形態)
次に、本発明の第3の態様について、第4実施形態に係る車両用前照灯を例として詳細に説明する。なお、第1、第2、及び第3実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図29は、第4実施形態に係る車両用前照灯の投影レンズを図27と同様の視点で示す図である。
本実施形態の投影レンズ20aは、前面に形成される第1領域121及び凹凸領域125の形成パターンが異なる以外は上記第3実施形態の投影レンズ20と同様である。
図29に示すように、本実施形態の投影レンズ20aの前面は、水平面に対して傾斜した線上に形成される第1領域121を複数有する。より具体的には、本実施形態の投影レンズ20aの前面は、正面視においてV字状に形成される第1領域121を複数有する。
第1領域121が光源の出射面の輪郭に対して平行に形成される場合、光源の出射面の輪郭を境とした明暗差がぼけにくくなる傾向にある。ところで、本実施形態の車両用前照灯1の光源には、出射面が矩形のLEDチップが用いられる。このような出射面が矩形の光源が用いられる場合、第1領域121が水平面に対して傾斜した線上に形成されると、投影レンズ20の正面視において第1領域121の延在方向と光源の出射面の輪郭とを非平行とし易くなる。よって、光源の出射面の輪郭を境とした明暗差をぼかし易くなり得る。また、第1領域121がV字状に形成されることによって、投影レンズ20の正面視において第1領域121の延在方向と光源の出射面の輪郭とを非平行とすることがより容易になり得る。よって、光源の出射面の輪郭を境とした明暗差をよりぼかし易くなり得る。
なお、図29には、複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125が全て第2領域122である例を示しているが、第2領域122の少なくとも一部が第3領域123とされてもよい。例えば、複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125のうち左右方向の中心近傍は第2領域122とされ、第1領域121に挟まれる凹凸領域125のうち左右方向において第2領域122の外側が第3領域123とされてもよい。このように投影レンズ20aの中心近傍の凹凸領域125の平均表面粗さをその他の凹凸領域125の平均表面粗さよりも相対的に大きくすることによって、投影レンズ20aを透過する光のうち光度が高い光を拡散させ易くなる。そのため、第1の光L1及び第2の光L2による配光パターンに暗部が形成されることをより抑制し得る。
以上、本発明の第3の態様について、第3及び第4実施形態を例に説明したが、第3の態様はこれらに限定されるものではない。
例えば、第1領域121及び複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125の形状は上記第3及び第4実施形態で示した例に限定されない。
図30は、変形例に係る投影レンズを図27と同様の視点で示す図である。図30に示すように、本変形例の投影レンズ20bは、格子状に形成された複数の第1領域121を有する。本変形例の第1領域121は、互いに異なる方向に延在する複数の第1領域121が格子状とされることによって一体となっているとみなすことができる。また、格子状の第1領域121に囲まれる領域のそれぞれに第2領域122が形成されている。なお、上記第2実施形態と同様に、本変形例の投影レンズ20bにおいて、第2領域122の一部が第3領域123とされてもよい。
また、特に図示はしないが、複数の第1領域121が同心円状、ジグザグ状、波線状等の形状に形成され、複数の第1領域121に挟まれる領域に第2領域122及び第3領域123が形成されてもよい。
また、第3及び第4実施形態の説明では、複数の第1領域121が左右対称に形成される例を挙げて説明したが、本発明はこれらの形態に限定されず、複数の第1領域121が左右非対称に形成されてもよい。
また、第3及び第4実施形態の説明では、複数の第1領域121に挟まれる凹凸領域125が第2領域122のみ、第2領域122及び第3領域123、又は、第2領域122、第3領域123及び第4領域からなる例を挙げて説明したが、第1領域121に挟まれる凹凸領域125は、凹凸の大きさが互いに異なるより多くの領域を有していてもよい。
また、第3及び第4実施形態の説明では、投影レンズ20の出射面20oに凹凸領域125が形成される例を挙げて説明したが、凹凸領域125は投影レンズ20の入射面20iに形成されてもよい。
以上説明したように、第3の態様に係る発明によれば、大型化が抑制されつつ配光パターンに暗部が形成されることを抑制し得る車両用前照灯が提供され、当該車両用前照灯は自動車等の車両用前照灯の分野等において利用可能である。