以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る蒸気システム1を模式的に示す図である。図1に示すように、蒸気システム1は、蒸気膨張機10と、被動機としての蒸気圧縮機15と、給蒸気管20と、蒸気セパレータ21と、給蒸弁22と、排蒸気管40と、制御部100と、を備える。
蒸気膨張機10は、蒸気が流入する本体11と、本体11の内部に軸支される回転体としてのスクリュー12と、スクリュー12の軸封部としてのシール部13と、スクリュー12の回転数を検出する回転検出部14と、を備える。なお、スクリュー12は、蒸気流により回転運動する駆動スクリューと、駆動スクリューに噛み合って回転運動する従動スクリューとから構成されるが、図1では従動スクリューのみを代表して図示している。
蒸気圧縮機15は、蒸気膨張機10に機械的に連結されており、蒸気膨張機10のスクリュー12の回転力によって駆動される。
給蒸気管20は、ボイラ等の蒸気発生装置(図示省略)から蒸気膨張機10の本体11に導入される蒸気が流通する。給蒸気管20には、蒸気セパレータ21及び給蒸弁22等が配置される。
蒸気セパレータ21は、蒸気に対して気水分離を行う。蒸気セパレータ21は、気水分離したドレンを排出するドレン管25と、ドレン管25が接続されるスチームトラップ26と、を備える。
本実施形態のドレン管25にはセパレータ側温度センサ27が配置される。セパレータ側温度センサ27は、例えば熱電対により構成される。セパレータ側温度センサ27の検出値は制御部100に送信される。
給蒸弁22は、給蒸気管20における蒸気セパレータ21の下流側に配置される。給蒸弁22が開くと蒸気が蒸気膨張機10の本体11に供給され、給蒸弁22が閉じると蒸気の供給が停止される。給蒸弁22の開閉は制御部100によって制御される。本実施形態の給蒸弁22は、緊急遮断機能付き容量制御弁である。
給蒸弁22の上流側には給蒸気温度センサ51及び給蒸気圧力センサ52が配置される。給蒸弁22の下流側には給蒸気温度センサ61及び給蒸気圧力センサ62が配置される。給蒸気温度センサ51、給蒸気圧力センサ52、給蒸気温度センサ61及び給蒸気圧力センサ62の各検出値は制御部100に送信される。
なお、給蒸気温度センサ51及び給蒸気温度センサ61は、許容値以上のドレンを検出する観点では、ドレンが溜まり易い部位に配置されることが好ましい。例えば、給蒸弁22が水平に設置される場合は、給蒸気温度センサ51又は給蒸気温度センサ61を給蒸気管20の下部あたりに配置する。
排蒸気管40は、蒸気膨張機10で膨張されて本体11から排出された蒸気が流通する。排蒸気管40には、排蒸気温度センサ41及び排蒸気圧力センサ42が配置される。排蒸気温度センサ41及び排蒸気圧力センサ42の検出値は制御部100に送信される。
次に、給蒸気管20及び蒸気膨張機10の本体11で生じたドレンを排出する構成について説明する。給蒸気管20の給蒸弁22の上流側には第1ドレン管81が接続される。蒸気膨張機10の本体11には、本体11の内部で生じたドレンを排出する第2ドレン管82が接続される。給蒸弁22の下流側には第3ドレン管83が接続される。
第1ドレン管81にはスチームトラップ101が配置され、該スチームトラップ101の下流側には逆止弁105が配置される、第2ドレン管82にもスチームトラップ102が配置され、該スチームトラップ102の下流側には逆止弁106が配置される。第3ドレン管83にもスチームトラップ103が配置され、該スチームトラップ103の下流側には逆止弁107が配置される。
第1ドレン管81、第2ドレン管82及び第3ドレン管83は、何れも、下流側の端部が集合ドレン管90に接続される。これによって第1ドレン管81、第2ドレン管82及び第3ドレン管83のそれぞれに流れるドレンが集合ドレン管90に集約されることになる。集合ドレン管90にはドレン量を検出するドレン検出部110が配置され、ドレンはドレン検出部110を通過して排水ピット91に排出される。ドレン検出部110の検出値は制御部100に送信される。
次に、図2及び図3を参照してドレン検出部110の構成について説明する。図2は、本実施形態の蒸気システム1が備えるドレン検出部110が所定水位Lを検出していない状態を模式的に示す図である。図3は、本実施形態の蒸気システムが備えるドレン検出部110が所定水位Lを検出した状態を模式的に示す図である。
本実施形態のドレン検出部110は、集合ドレン管90が接続される貯留部111と、貯留部111に接続され、貯留部111内のドレンを外部に排出する排出管112と、貯留部111における排出管112の上方に接続されるオーバーフロー管113と、を備える。排出管112及びオーバーフロー管113は、それぞれの下流側の端部が合流しており、排出管112又はオーバーフロー管113を通過したドレンは最終的に排水ピット91に排出される。排出管112にはオリフィス116が配置されており、オリフィス116によって排出管112の流量が絞られた状態となっている。
貯留部111の内部には、オーバーフロー管113にドレンが流れる所定水位L(図3参照)を検出するフロートスイッチ120が配置される。所定水位Lは、蒸気システム1において、給蒸気管20及び蒸気膨張機10から生じたドレンの総量が許容できない量、すなわち蒸気膨張機10の起動又は運転継続に適さない量となったことを示す水位である。フロートスイッチ120の検出値は制御部100に送信される。
制御部100は、蒸気システム1の各種の制御を行うコンピュータである。次に、制御部100による蒸気システム1の制御について説明する。図4は、本実施形態の蒸気システムの運転開始から通常運転に至るまでの制御を示すフローである。
蒸気システム1が起動開始信号を受信すると、制御部100は起動許可条件を充足している否かを判定する起動許可判定を実行する(ステップS101)。本実施形態の起動許可条件は、蒸気膨張機10の本体11に流入させる蒸気の温度が所定温度以上か否かである。なお、蒸気膨張機10の停止中は給蒸弁22が閉じられているため、蒸気温度を給蒸弁22の上流側で検出しつつ起動許可判定が実行される。
起動許可判定の第1例では、制御部100が給蒸気温度センサ51の検出値を監視し、この検出値が所定温度以上になった場合に起動許可と判定する。第1例における所定温度は、例えば飽和蒸気温度に設定される。冷態時に給蒸弁22の上流側でドレンが大量発生したり、スチームトラップ101でドレンの排出不良が起こったりすると、給蒸気管20にドレンが充満し、給蒸気温度センサ51の検出値が低下する。一方、給蒸気管20内のドレンが適切に排出され、かつ新たなドレンの発生がない場合には、蒸気発生装置から供給された蒸気が給蒸気管20に充満するので、給蒸気温度センサ51の検出値が飽和蒸気温度以上となる。なお、給蒸気温度センサ51の検出値が飽和蒸気温度を超えていると、給蒸気管20に過熱蒸気が充満していることになるので、蒸気膨張機10の起動により適した状態となる。
起動許可判定の第2例では、制御部100がセパレータ側温度センサ27の検出値を監視し、この検出値が所定温度以上になった場合に起動許可と判定する。第2例における所定温度は、例えば飽和蒸気温度に設定される。冷態時に蒸気セパレータ21の上流側でドレンが大量発生したり、スチームトラップ26でドレンの排出不良が起こったりすると、蒸気セパレータ21にドレンが溜まり、セパレータ側温度センサ27の検出値が低下する。一方、蒸気セパレータ21内のドレンが適切に排出され、かつ新たなドレンの発生がない場合には、蒸気発生装置から供給された蒸気が蒸気セパレータ21及びドレン管25に充満するので、セパレータ側温度センサ27の検出値が飽和蒸気温度以上となる。なお、セパレータ側温度センサ27の検出値が飽和蒸気温度を超えていると、蒸気セパレータ21に過熱蒸気が充満していることになるので、蒸気膨張機10の起動により適した状態となる。
起動許可判定の第3例では、制御部100が給蒸気温度センサ51及びセパレータ側温度センサ27の検出値を監視し、各々の検出値が所定温度以上になった場合に起動許可と判定する。第3例における所定温度は、例えば飽和蒸気温度に設定される。
起動許可と判定された場合、制御部100は給蒸弁22を開き、蒸気膨張機10に蒸気の供給を開始する暖機制御を開始する(ステップS102)。
ステップS102で暖機制御が開始された状態では、制御部100は、スクリュー12の静止状態を維持した状態で、蒸気を蒸気膨張機10の本体11の内部に供給する。ここでいう静止状態とは、回転体としてのスクリュー12が停止及び停止していると見なせる状態を意味し、スクリュー12が完全に停止している状態に限られず、スクリュー12が僅かに動いている状態も含まれるものとする。
暖機制御中は、スクリュー12を静止状態に維持するために本体11に流入する蒸気量を調節する制御が行われる。本実施形態では、給蒸弁22の開閉を繰り返す第1制御又は静止状態を維持できる開度で給蒸弁22の開状態を所定時間維持する第2制御を行ってスクリュー12の静止状態を維持しつつ、本体11の内部に蒸気を流入させる。
第1制御において、給蒸弁22を開いたときの開度は、暖機制御完了後の通常運転時の開度よりも相対的に小さく設定される。また、第2制御における静止状態を維持できる開度及び当該開度を維持する所定時間は、スクリュー12を静止状態にできる関係であればよい。なお、暖機制御における給蒸弁22の開度や開状態の時間及び間隔は特に制限されるわけではない。暖機制御は、静止状態を維持しつつ、蒸気を流入させることができる制御であればよく、第1制御と第2制御を交互に行う等、第1制御と第2制御を組み合せる制御としてもよい。
本実施形態では、制御部100は、回転検出部14の検出値に基づいてスクリュー12が静止状態にあるか回転状態にあるかを判定する。回転検出部14は、例えば誘導型近接センサである。回転検出部14の検出値が、静止状態ではない又は静止状態ではなくなる予兆を示した場合、制御部100は静止状態が維持されるように給蒸弁22の開度調節を行って本体11への蒸気の供給量を低減させる。
暖機制御移行後、制御部100は暖機完了条件を充足したか否かを判定する(ステップS103)。暖機完了条件は、蒸気圧力、蒸気温度、暖機制御の時間又はこれらの組み合わせである。以下、各条件について説明する。
蒸気圧力を暖機完了条件とする場合について説明する。制御部100は、排蒸気圧力センサ42の検出値を監視し、本体11から排出される蒸気の検出値が所定圧力となった場合に暖機完了と判定する。本例における所定圧力は、予め制御部100に入力された設定値でもよいし、本体11の入口近傍に配置された給蒸気圧力センサ62の検出値であってもよい。暖機制御中は、スクリュー12を回転させないように制御しているため、暖機が十分に行われると、蒸気が本体11の内部を流通する際の膨張が抑制され、エネルギーロスがほぼなくなる。そのため、本体11の入口近傍と出口近傍の圧力差が実質的にゼロと見なせる状態となった場合に、暖機完了と判定させることができる。なお、本体11で放熱によるエネルギーロスが見込まれる場合には、所定圧力として設定する給蒸気圧力センサ62の検出値に対して1以下の適当な損失係数を乗じてもよい。
蒸気温度を暖機完了条件とする場合について説明する。制御部100は、排蒸気温度センサ41の検出値を監視し、本体11から排出される蒸気の検出値が所定温度となった場合に暖機完了と判定する。本例における所定温度は、予め制御部100に入力された飽和蒸気温度等の設定値でもよいし、本体11の入口近傍に配置された給蒸気温度センサ61の検出値であってもよい。暖機制御中は、スクリュー12を回転させないように制御しているため、暖機が十分に行われると、蒸気が本体11の内部を流通する際の膨張が抑制され、エネルギーロスがほぼなくなる。そのため、本体11の入口近傍と出口近傍の温度差が実質的にゼロと見なせる状態となった場合に、暖機完了と判定させることができる。なお、本体11で放熱によるエネルギーロスが見込まれる場合には、所定温度として設定する給蒸気温度センサ61の検出値に対して1以下の適当な損失係数を乗じてもよい。
時間を暖機完了条件とする場合について説明する。制御部100は、ステップS101で起動許可と判定してからの経過時間を監視し、経過時間が所定時間経過した場合に暖機完了と判定する。
以上説明した蒸気圧力、蒸気温度、時間は、それぞれ単独で暖機完了条件としてもよいし、組み合わせたものを暖機完了条件とすることもできる。例えば、排蒸気圧力センサ42が所定値を超えた時点で暖機完了と判定してもよいし、排蒸気圧が所定値を超えた上で、蒸気温度が所定を超えており、かつ起動許可から所定時間経過した場合に暖機完了と判定することもできる。本実施形態では、蒸気圧力、蒸気温度及び時間の少なくとも1つが暖機完了条件に設定される。
暖機完了条件を充足したと判定された後、通常運転に移行する(ステップS104)。通常運転では、スクリュー12が回転するために必要な流量で蒸気が流れるように給蒸弁22の開度が制御される。例えば、排蒸気圧力センサ42の検出値をフィードバック値とし、このフィードバック値が目標値に維持されるように、給蒸弁22の開度がPID制御される。
以上、起動許可から通常運転に移行するまでの流れについて説明した。次に、運転状態に関わらず、一定以上のドレンが生じた場合に蒸気システム1を停止する安全機能について説明する。図5は、蒸気システム1の許容値を超えるドレンの検出制御を示すフローである。
制御部100は、常時、ドレン検出部110の検出値を監視し、ドレン量が予め設定される許容値を超えたか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201の処理で、許容値を超えた場合は、給蒸弁22を閉じてスクリュー12の回転を停止する停止制御を行う(ステップS202)。
停止制御後、制御部100は、ドレン検出部110の許容値を下回ったか否かを監視する(ステップS203)。ステップS203で許容値を下回ったことが検出されると、制御部100は、許容値を下回った状態のまま一定時間経過するか否かを監視する(S204)。許容値を下回った状態のまま一定時間経過した場合は、蒸気膨張機10の起動を許可する状態に移行する(S205)。許容値を下回った状態が一定時間継続したことを起動許可の条件とすることにより、ドレンが許容値を上回った状態での蒸気システム1の運転開始を確実に防止できる。起動許可に移行した後はステップS201に戻り、S202以降の処理が行われる。
ここで、ドレン検出部110を利用したドレンの発生有無の判定は、本体11に流入させる蒸気の温度を検出することによって代替することができる。前述した起動許可判定の第1例及び第2例で説明したように、給蒸気温度センサ51の検出値あるいはセパレータ側温度センサ27の検出値が低下して飽和蒸気温度未満になると、蒸気の凝縮によりドレンの発生が起こるようになる。そこで、ステップS201の処理においては、いずれかの検出値が飽和蒸気温度未満になった場合は、ステップS202の処理に移行して、給蒸弁22を閉じてスクリュー12の回転を停止する停止制御を行うようにする。停止制御後は、制御部100は、ステップS203の処理に移行し、給蒸気温度センサ51の検出値及び/又はセパレータ側温度センサ27の検出値が飽和蒸気温度以上になったか否かを監視する。ステップS204の処理では、制御部100は、温度の検出値が飽和蒸気温度以上の状態のまま一定時間経過するか否かを監視する。以上のように、蒸気管路の温度でドレンの発生有無の判定するように構成した場合には、ドレン検出部110を省略することができるため、蒸気システムの簡素化に貢献する。
以上説明したように、本実施形態の蒸気システム1は、蒸気が流入する本体11及び11本体の内部に軸支されるスクリュー12を有する蒸気膨張機10と、本体11に流入させる蒸気温度を検出する温度検出部としての給蒸気温度センサ51又はセパレータ側温度センサ27と、給蒸気温度センサ51、セパレータ側温度センサ27又はこれら両方によって検出された蒸気温度が所定温度以上になると蒸気膨張機10の起動を許可する制御部100と、を備える。これにより、本体11内部に導入される蒸気の温度が所定温度以上であることが蒸気膨張機10の起動許可条件となるので、所定温度を飽和蒸気温度に設定することにより、起動開始時の本体11内部へのドレンの流入を効果的に防止できる。また、起動時に本体11の内部が暖められる前にドレンが生じる事態の発生も防止できる。従って、ドレンによって配管の異物(錆等)が本体11内部に侵入したり、スクリュー(回転体)11の軸支部分周りの構成(例えば、シール部13)が本体11内部に流入したドレンの体積膨張によって損傷したりする事態を効果的に防止できる。
また、本実施形態の蒸気膨張機10は、本体11に接続される給蒸気管20及び給蒸気管20に配置される給蒸弁22を有し、制御部100は、蒸気温度が所定温度以上になると、給蒸弁22を開いて蒸気の供給を開始する制御に移行する。これにより、蒸気膨張機10の起動時の本体11の内部へのドレンの流入を効果的に防止できる。
また、本実施形態では、給蒸気温度センサ51は、給蒸気管20における給蒸弁22の上流側に配置されることが好ましい。これにより、給蒸弁22より上流側の給蒸気管20の内部でドレンが生じない状態になった後に起動が許可されることになるので、より安定した蒸気膨張機10の起動が実現できる。
また、本実施形態では、蒸気システム1は、給蒸気管20における給蒸弁22の上流側に配置される蒸気セパレータ21と、蒸気セパレータ21にドレン配管を介して接続されるスチームトラップ26と、を更に備える。そして、セパレータ側温度センサ27が蒸気セパレータ21又はドレン管25に配置される。本実施形態では、蒸気セパレータ21又はドレン管25の温度を監視することにより、ドレンの大量発生や排出不良がない状態を起動の条件とすることができ、より安定した蒸気膨張機10の起動が実現できる。
また、本実施形態の制御部100は、回転体としてのスクリュー12の静止状態を維持しつつ本体11の内部に蒸気を流通させるように給蒸弁22を制御する暖機制御を実行し、暖機制御後にスクリュー12を回転させるように給蒸弁22を制御する。これにより、暖機制御中はスクリュー12が静止状態にあるので、本体11内部にドレンが流入した状態でスクリュー12が回転することによって、スクリュー12の軸支部分周りの構成(例えば、シール部13)が損傷する事態の発生を防止しつつ、本体11内部の暖機運転を行うことができる。
また、本実施形態の制御部100は、暖機制御中に給蒸弁22の開閉を繰り返す。給蒸弁22の開閉が繰り返されることにより、スクリュー12の静止状態を維持しつつ暖機に必要な蒸気を蒸気膨張機10に供給することができる。
また、本実施形態の制御部100は、暖機制御中にスクリュー12の静止状態を維持できる開度で、給蒸弁22の開状態を所定時間維持する。これにより、スクリュー12を回転させることなく給蒸弁22に溜まったドレンを給蒸気管20から系外に確実に排出できる。
また、本実施形態の蒸気システム1は、スクリュー12の回転を検出する回転検出部14を更に備え、回転検出部14の検出値に基づいて開度調節を行う。これにより、暖機制御中のスクリュー12の回転を確実に防止できる。
また、本実施形態の蒸気システム1は、蒸気圧力を検出する圧力検出部としての排蒸気圧力センサ42を更に備え、制御部100は、排蒸気圧力センサ42の検出値が所定圧力になったことをトリガとして暖機制御を終了することができる。これにより、蒸気圧力によって変化する蒸気膨張機10の歪み量に起因するシール性能の低下を防止できる。例えば、初期動作で接触摩耗させてクリアランス0を想定するシール部13を用いる場合において、低圧状態でスクリュー(回転体)12を回転させてエージングを行った後に高圧状態にするとシール材の歪み量の変化によってクリアランスが大きくなってしまう。この点、本構成によれば、蒸気圧力が所定圧力になることにより、歪みによるクリアランスがない状態になったと判断でき、暖機制御を終了させることができる。
また、本実施形態の蒸気システム1は、蒸気温度を検出する温度検出部としての排蒸気温度センサ41を更に備え、制御部100は、排蒸気温度センサ41の検出値が所定圧力になったことをトリガとして暖機制御を終了することができる。これにより、例えば所定温度を飽和蒸気温度に設定することで本体11の内部でドレンが生じない状態になっていることを判定し、暖機終了のタイミングの決定をより適切に行うことができる。
また、本実施形態では、制御部100は、暖機制御が所定時間を経過したことをトリガとして暖機制御を終了することもできる。これにより、所定時間をカウントするシンプルな処理で暖機制御を終了するタイミングを決定できる。
また、本実施形態の蒸気システム1は、本体11又は給蒸気管20から排出されたドレンが流れる集合ドレン管90と、集合ドレン管90を流れるドレン量を検出するドレン検出部110と、を備える。制御部100は、ドレン検出部110の検出値が許容値を超えると蒸気膨張機10を停止する制御を行う。これにより、許容値を超えるような大量のドレンが存在する状態でスクリュー12が回転することによる蒸気膨張機10の故障を防止できる。
また、本実施形態では、ドレン検出部110は、集合ドレン管90が接続される貯留部111と、貯留部111に接続され、貯留部111内のドレンを外部に排出する排出管112と、貯留部111内部の水位を検出可能な水位検出部としてのフロートスイッチ120と、を備える。制御部100は、フロートスイッチ120の検出値が許容値を超えることを示すと、スクリュー12の回転を停止する制御を行う。これにより、貯留部111を利用してドレンが許容値を超えたか否かを正確に判定できる。
また、本実施形態では、ドレン検出部110は、貯留部111における排出管112の上方に接続されるオーバーフロー管113を更に備え、フロートスイッチ120によってドレンがオーバーフロー管113に流れる所定水位Lが検出される。これにより、フロートスイッチ120を用いたシンプルな構成で、ドレンが許容値を超えた否かを検出できるドレン検出部110を実現できる。
また、本実施形態では、制御部100は、フロートスイッチ120の検出値が許容値を下回ることを示すと、所定時間経過後にスクリュー12の回転を許可する。これにより、ドレンが残った状態での蒸気膨張機10の起動を防止できる。
また、本実施形態のドレン検出部110は、第1ドレン管81、第2ドレン管82及び第3ドレン管83からのドレンの総量を検出する。これにより、1つのドレン検出部110によって複数個所のドレンの過剰発生を検出できる。
また、本実施形態では、制御部100は、ドレン検出部110の検出値が許容値を超えると給蒸弁22を閉じてスクリュー12の回転を停止する制御を行う。これにより、蒸気の膨張によって生じるドレンが不具合等によって過剰になったとしても、その状態が検出されて蒸気膨張機10の駆動が停止されるので、本体11内部で過剰に生じたドレンに起因する故障を未然に防止することができる。
ここで、給蒸弁22を閉じてスクリュー12の回転を停止する制御に関し、ドレン検出部110を利用した許容値の判定は、本体11に流入させる蒸気の温度、例えば給蒸気温度センサ51やセパレータ側温度センサ27の検出値を検出することによって代替することができる。これにより、簡素なシステム構成でドレンの本体流入に起因する故障を防止することができる。
次に、上記実施形態の構成の一部を変更した変形例について説明する。以下の説明において、上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
上記実施形態では、セパレータ側温度センサ27がドレン管25に配置される構成であるが、この構成に限定されない。例えば、セパレータ側温度センサ27を蒸気セパレータ21の下部に配置し、蒸気セパレータ21内部のドレン溜まりを判定する構成としてもよい。蒸気セパレータ21に短時間に多量のドレンが流れ込むとドレン溜まりによる分離効率の低下を招くが、蒸気セパレータ21の下部温度を検出することで、許容水位を超えたドレンの蓄積状態を識別できる。
また、蒸気セパレータ21の外部にスチームトラップ26を設けるのではなく、蒸気セパレータ21の下部にスチームトラップ26を内蔵させる構成としてもよい。この場合、セパレータ側温度センサ27は、蒸気セパレータ21の下方であって、スチームトラップ26の上流となる位置に設ければよい。
上記実施形態に、スチームトラップの異常を検出する構成を追加することもできる。例えば、セパレータ側温度センサ27の検出値を利用してスチームトラップ26の異常を検出する構成としてもよい。この構成では、制御部100は、セパレータ側温度センサ27によってドレン管25に蓄積・滞留するドレンに起因する温度低下が一定期間継続して検出されると、スチームトラップ26が異常であると判定する。この構成において、スチームトラップ26に異常が発生したことを示すアラームを出す報知器(図示省略)を更に配置し、スチームトラップ26の異常を速やかに検出する構成としてもよい。
更に、スチームトラップ26だけではなく、スチームトラップ101,102,103の一次側配管に温度検出部を配置し、制御部100が温度検出部によってドレンの蓄積・滞留による温度低下を検出すると、スチームトラップに異常が発生していると判定する構成としてもよい。
また、上記実施形態の蒸気システム1の暖機完了条件は、上述の条件に限定されない。例えば、蒸気温度以外にも、蒸気システム1の換気温度(周囲への放熱温度)に基づいて暖機完了か否かを判定する構成としてもよい。
上記実施形態のドレン検出部110の構成は適宜変更することができる。例えば、ドレン検出部110を流量センサに置き換えることもできる。この構成では、制御部100は、流量センサの検出値に基づいてドレン量が許容値を超えたか否かを判定する。
上記実施形態では、スクリュー式の蒸気膨張機10を例に説明したが、スクリュー式の蒸気膨張機10に限定されるわけではない。例えば、スクロール式の蒸気膨張機であってもよい。この場合、旋回するスクロールが回転体として本体の内部に軸支され、回転検出部はスクロールの回転を検出する構成となる。
上記実施形態では、蒸気膨張機10を蒸気圧縮機15の被動機とする例を説明したが、この構成に限定されない。例えば、蒸気膨張機10によって駆動される被動機に発電機を用いることもできる。
以上、蒸気機械として蒸気膨張機を用いる蒸気システム1の例を説明した。次に、図6を参照して蒸気機械として蒸気圧縮機を用いる場合について説明する。図6は、変形例の蒸気システム201を模式的に示す図である。
蒸気圧縮機215は、本体216の内部の回転体(図示省略)を回転させるモータ210を備える水添加式圧縮機である。なお、蒸気圧縮機215も、上記実施形態の蒸気膨張機10と同様にスクリュー式であってもよいし、スクロール式であってもよい。
蒸気圧縮機215の本体216には、給蒸気管220を通じてボイラ(図示省略)からの蒸気が供給される。また、本体216の圧縮空間内には、補給水管230を介して冷却水が噴霧される。本体216に流入した蒸気は、モータ210によって駆動される回転体の回転によって圧縮され、排蒸気管240から排出される。排蒸気管240には、ドレンセパレータ(図示省略)が配置され、蒸気圧縮機215の作動中にドレンセパレータで分離されたドレンは、冷却水として再利用される。給蒸気管220には、給蒸弁222、給蒸気温度センサ51及び給蒸気圧力センサ52が配置される。また、排蒸気管240には排蒸気圧力センサ42が配置される。給蒸気温度センサ51、給蒸気圧力センサ52及び排蒸気圧力センサ42の各検出値は制御部100に送信される。
蒸気システム201の運転が開始されると、制御部100は給蒸弁222を開き、蒸気圧縮機215の本体216に蒸気の流入を開始させるとともに、給蒸気温度センサ51によって検出された蒸気温度が所定温度以上か否かを監視する。制御部100は、蒸気温度が所定温度以上になったことが検出されると、モータ210の回転を許可する起動許可条件が満たされたと判定し、モータ210を駆動して回転体の回転を開始させる。これにより、モータ起動時の本体内部へのドレンの流入を効果的に防止できる。
本変形例では、蒸気圧縮機215の本体216で生じたドレンは、ドレン管290を通じて本体216の外部に排出される。ドレン管290には流量センサによって構成されるドレン検出部310が配置される。なお、ドレン管290がドレンセパレータの排出管に接続され、ドレンセパレータからの排出ドレンに合流させる構成としてもよい。
ドレン検出部310の検出値は制御部100に送信される。給蒸気管220を通じて多量のドレンが本体216に流入した場合等、ドレン検出部310の検出値が許容値を超えるとモータ210の駆動を停止する。水添加式圧縮機は、圧縮空間内に冷却水を噴霧し、回転体の表面に付着したミストを蒸発させることで回転体を冷却している。そのため、圧縮空間内に冷却水以外にドレンが流入すると、回転体の表面で水膜が形成されてミストの蒸発が阻害され、回転体の冷却不良が起こってしまう。本変形例では、蒸気圧縮機215の本体216の内部に冷却水以外にドレンが流入したとしても、その状態が検出されて蒸気圧縮機の駆動が停止されるので、回転体の冷却不良に起因する故障を未然に防止することができる。なお、ドレン検出部310は、蒸気機械を蒸気膨張機10とした実施形態で説明したドレン検出部110と同じ構成のものであってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態や変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。