本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム10は、制御装置1と、網制御装置2~4と、基地局BS1~BS4と、端末装置TM1~TM13とを備える。
制御装置1、網制御装置2~4、基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13は、無線通信空間に配置される。
基地局BS1は、無線通信網CNW1の基地局であり、基地局BS2は、無線通信網CNW2の基地局であり、基地局BS3は、無線通信網CNW3の基地局であり、基地局BS4は、無線通信網CNW4の基地局である。
無線通信網CNW1~CNW4は、相互に異なる無線通信規格に従って無線通信を行う通信網である。
無線通信網CNW1は、無線通信網CNW2の内部に配置され、無線通信網CNW4は、無線通信網CNW3の内部に配置される。無線通信網CNW2の通信範囲は、無線通信網CNW3の通信範囲と一部重なっている。
端末装置TM1~TM3は、無線通信網CNW1の外側であり、かつ、無線通信網CNW2の内部に配置される。
端末装置TM4~TM6は、無線通信網CNW1の内部に配置される。
端末装置TM7は、無線通信網CNW2と無線通信網CNW3との重複領域内に配置される。
端末装置TM8,TM9,TM11,TM13は、無線通信網CNW4の外側であり、かつ、無線通信網CNW3の内部に配置される。
端末装置TM10,TM12は、無線通信網CNW4の内部に配置される。
端末装置TM1~TM13の各々は、それぞれ、基地局BS1~BS4と無線通信可能な4個の無線通信モジュールを備えている。
網制御装置2は、基地局BS1を制御し、網制御装置3は、基地局BS2,BS3を制御し、網制御装置4は、基地局BS4を制御する。
制御装置1は、網制御装置2~4を介して、無線通信網CNW1~CNW4の通信網制御情報IF_CTL_NWをそれぞれ基地局BS1~BS4から収集し、端末装置TM1~TM13から端末制御情報IF_CTL_TMを収集する。そして、制御装置1は、通信網制御情報IF_CTL_NWおよび端末制御情報IF_CTL_TMに基づいて、後述する方法によって、端末装置TM1~TM13の各々が収容されるべき無線通信網(無線通信網CNW1~CNW4のいずれか)を決定し、その決定した無線通信網に収容されるように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
基地局BS1~BS4の各々は、自己に接続している端末装置との間で、状態変更ごとにまたは一定周期ごとに、端末制御情報IF_CTL_TMを受信する。
そして、基地局BS1~BS4の各々は、制御装置1から制御情報要求を受信すると、その受信した制御情報要求に応じて、通信網制御情報IF_CTL_NWおよび端末制御情報IF_CTL_TMを網制御装置2~4を介して制御装置1へ送信する。
この場合、基地局BS1~BS4の各々は、自己に接続している端末装置の識別情報(ID)も併せて制御装置1へ送信する。
基地局BS1~BS4の各々は、各端末装置が収容されるべき無線通信網を示す信号を制御装置1から受信すると、その受信した信号を端末装置へ送信する。
端末装置TM1~TM13の各々は、各端末装置が収容されるべき無線通信網を示す信号を基地局(基地局BS1~BS4のいずれか)から受信すると、その受信した信号によって示される無線通信網の基地局(基地局BS1~BS4のいずれか)に接続する。
図2は、図1に示す制御装置1の概略図である。図2を参照して、制御装置1は、接続インターフェース11と、制御情報収集部12と、制御情報記憶部13と、制御部14とを含む。
接続インターフェース11は、網制御装置2~4と制御装置1との間を接続するインターフェースである。
制御情報収集部12は、端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWの要求信号を制御部14から受けると、その受けた要求信号を接続インターフェース11を介して網制御装置2~4へ送信する。
制御情報収集部12は、端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWを接続インターフェース11を介して受信し、その受信した端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWを制御情報記憶部13に記憶する。
制御情報記憶部13は、端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWを制御情報収集部12から受けると、その受けた端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWを時間に対応付けて記憶する。
制御情報記憶部13は、各端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網を制御部14から受けると、端末装置TM1~TM13と、各端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網とを対応付けて記憶する。なお、制御情報記憶部13は、端末装置TM1~TM13と、各端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網との対応関係を、N(Nは正の整数)回分、記憶する。
制御部14は、端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWと、過去の端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWと、過去の制御結果とを制御情報記憶部13から読み出す。
そして、制御部14は、端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWと、過去の端末制御情報IF_CTL_TMおよび通信網制御情報IF_CTL_NWと、過去の制御結果とに基づいて、後述する方法によって、各端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網を決定し、その決定結果を制御情報記憶部13に格納するとともに、各端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網を接続インターフェース11を介して網制御装置2~4へ送信する。
この発明の実施の形態において用いられる記号を表1に示す。
[制御情報]
端末制御情報および通信網制御情報について説明する。
・制御情報fu,bは、端末装置uが無線通信網bに接続し、かつ、無線通信網bの無線資源の全てを利用した場合の通信レートである。
・制御情報abは、無線通信網bが利用可能か否かを表す定数である。無線通信網bが利用可能である場合、制御情報abは、“1”に設定され、無線通信網bが利用可能でない場合、制御情報abは、“0”に設定される。従って、制御情報abは、二値定数である。
なお、無線通信網bが利用可能か否かは、例えば、基地局が、他からの干渉信号が有るか否かを判定することによって判定される。より具体的には、他からの干渉信号があれば、無線通信網bが利用可能でないと判定され、他からの干渉信号が無ければ、無線通信網bが利用可能であると判定される。
・制御情報ru,bは、端末装置uが無線通信網bの基地局に接続可能か否かを表す。端末装置uが無線通信網bの基地局から遠い等の理由で無線通信網bに接続できない場合、制御情報ru,bは、“0”に設定され、無線通信網bに接続できる場合、制御情報ru,bは、“1”に設定される。従って、制御情報ru,bは、二値定数である。
・制御情報wbは、無線通信網bの帯域を表す。
・制御情報cbは、無線通信網bに接続可能な端末装置uの個数である。
・制御情報euは、端末装置uの通信開始からの経過時間である。
・制御情報Ebは、無線通信網bにおいて、端末装置の通信を切断するまでの経過時間の閾値である。閾値Ebは、例えば、数百msecに設定される。
・制御情報Cbは、無線通信網bにおいて、端末装置の通信を切断してから通信を再開するまでの時間の閾値である。閾値Cbは、例えば、数十msecに設定される。
・制御情報lbは、無線通信網bの負荷である。制御情報lbは、例えば、無線通信網bに接続されている端末装置uの個数、または無線通信網bにおける総通信量からなる。
・制御情報Lbは、無線通信網bにおいて、通信の再開を許容する閾値である。
・制御情報Fbは、無線通信網bにおいて、通信を切断する対象の端末装置を判定する閾値である。
・制御情報tuは、端末装置uの通信タイプを示す数値である。例えば、スループットを優先する端末装置は、Tである。即ち、tu=Tと設定されたとき、端末装置uは、優先すべき通信品質してスループットを設定したことを意味する。なお、スループットに限らず、第5世代移動通信網における様々な要求通信品質を、優先する通信品質として設定してもよい。
・制御情報x’u,bは、例えば、前回の制御時等の過去に端末装置uが無線通信網bに接続されていたか否かを示す二値定数である。過去に端末装置uが無線通信網bに接続されていれば、制御情報x’u,bは、“1”に設定され、過去に端末装置uが無線通信網bに接続されていなければ、制御情報x’u,bは、“0”に設定される。
なお、制御情報ru,b、制御情報eu、制御情報Cbおよび制御情報tuは、端末制御情報であり、制御情報fu,b、制御情報ab、制御情報cbおよび制御情報lbは、通信網制御情報である。
[目的関数]
(1)システム全体のスループットを最大化
無線通信システム10全体のスループットを最大化させる場合、式(1)を用いて各端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網を決定する。
式(1)において、式(1A)が無線通信システム10全体のスループットを最大化させるための目的関数である。そして、式(1B),(1C),(1D),(1E)が制約条件を示し、式(1F),(1G)が解くべき変数xu,b,yu,bを示す。なお、式(1C)は、主制約条件である。
また、式(1)において、uは、端末装置TM1~TM13の識別情報(ID)を示し、bは、無線通信網CNW1~CNW4の識別情報(ID)を示す。
更に、Uは、端末装置TM1~TM13の集合であり、U={TM1,TM2,・・・,TM13}である。
更に、Bは、無線通信網CNW1~CNW4の集合であり、B={CNW1,CNW2,CNW3,CNW4}である。
式(1A)において、xu,bは、端末装置uが無線通信網bに接続されるべきか否かを示す。端末装置uが無線通信網bに接続されるべきである場合、xu,bは、“1”に設定され、端末装置uが無線通信網bに接続されるべきでない場合、xu,bは、“0”に設定される。
従って、式(1F)に示すように、xu,b={0,1}と表される。
また、yu,bは、端末装置uを無線通信網bに収容した場合の無線通信網bにおいて端末装置uが使用する周波数資源の割合を示す。従って、式(1G)に示すように、0≦yu,b≦1と表され、yu,bは、0以上、1以下の実数からなる。
上述したように、fu,bは、端末装置uが無線通信網bに接続したときの通信レートであるので、fu,b×xu,b×yu,bは、端末装置uが無線通信網bに接続されて無線通信を行ったときのスループットを表し、それを全ての端末装置TM1~TM13および全ての無線通信網CNW1~CNW4についての和を演算すれば、無線通信システム10全体のスループットになる。従って、式(1A)は、無線通信システム10全体のスループットを最大化する目的関数である。
制約条件を示す式(1B)は、全ての端末装置TM1~TM13を無線通信網CNW1~CNW4のいずれかに接続するか、無線通信網CNW1~CNW4のいずれにも接続しないことを制約する。つまり、全ての無線通信網bについて、xu,b=0であることもあり得る。従って、変数xu,bの全ての無線通信網bについての総和は、1以下になっている。
また、制約条件(1C)は、端末装置uの通信開始からの経過時間が閾値Ebよりも大きいとき、端末装置uを無線通信網bに接続しないことを制約する。
更に、制約条件を示す式(1D)は、無線通信網bが利用できないときは、周波数資源を端末装置uに割り当てないことを制約する。
更に、制約条件を示す式(1E)は、端末装置が接続不可能な無線通信網には、接続しないことを制約する。
そこで、制御部14は、式(1B),(1C),(1D),(1E)の制約条件の下で、式(1A)に示す目的関数を数理計画法を用いて解き、xu,bおよびyu,bを求める。その結果、端末装置uを無線通信網bに接続すべきであれば、xu,b=1の解が得られ、端末装置uを無線通信網bに接続すべきでなければ、xu,b=0の解が得られる。
数理計画問題の解は、単体法(非特許文献3)および内点法(非特許文献4)等の線形計画問題の解法、または整数条件緩和やラグランジュ緩和(非特許文献4)等の既存の緩和方法と単体法や内点法との組み合わせにより得ることができる。
また、数理計画問題の解は、遺伝的アルゴリズム等の既存のメタヒューリスティクス(非特許文献4)等により得ることができる。
単体法、内点法、ラグランジュ緩和、遺伝的アルゴリズムおよびメタヒューリスティックの概要は、次のとおりである。
[単体法]
単体法は、制限標準型に変換した線形計画問題に対して、実行可能解を解空間上の制約によって形成される超多面体の頂点とみなし、その1つから出発して目的関数の値をなるべく大きく(小さく)するような頂点に移動させながら最適解を探す方法である。
[内点法]
内点法は、連続数理計画問題に対して、その実行可能領域の内部を経由して最適解に収束することを特徴とするアルゴリズム群であり、その内点の列を生成する方法として様々な手段が提案されている。
[ラグランジュ緩和]
ラグランジュ緩和は、制約の一部を除去、すなわち緩和し、除去した制約を制約の違反量に対する一次のペナルティとなるように目的関数に追加することである。
[遺伝的アルゴリズム]
遺伝的アルゴリズムは、近似解を探索するメタヒューリスティックスである。そして、遺伝的アルゴリズムは、解の候補を遺伝子で表現した個体を複数用意し、適応度の高い個体、すなわち性能の良い解を優先的に選択し交叉や突然変異を繰り返しながら解を探索する手法である。
[メタヒューリスティック]
メタヒューリスティックは、特定の計算問題に依存しないヒューリスティックのことである。メタヒューリスティックスの例としては、遺伝的アルゴリズムや焼きなまし法などがある。
制御部14は、数理計画問題を解いた結果として得られたxu,b,yu,bに基づいて、xu,b=1となる端末装置uと無線通信網bに対して無線通信網の収容変更命令を送信する。
例えば、基地局BS1~BS4は、xTM1,CNW1=1からなる網収容変更命令を受信すると、その受信した網収容変更命令をブロードキャストする。端末装置TM1は、現在、無線通信網CNW2に収容されているので、基地局BS2から網収容変更命令を受信する。そして、端末装置TM1は、その受信した網収容変更命令(xTM1,CNW1=1)を参照して、自己が収容されるべき無線通信網が無線通信網CNW1であることを検知する。また、基地局BS1も、網収容変更命令(xTM1,CNW1=1)を参照して、端末装置TM1が収容されるべき無線通信網が無線通信網CNW1であることを検知する。
そうすると、端末装置TM1は、ハンドオーバー処理を行い、接続先の基地局を基地局BS2から基地局BS1に切り替え、基地局BS1に接続する。
そして、端末装置TM1は、基地局BS1に接続すると、網収容変更終了応答を基地局BS1へ送信する。
基地局BS1は、網収容変更終了応答を端末装置TM1から受信し、その受信した網収容変更終了応答を網制御装置2へ送信する。
網制御装置2は、網収容変更終了応答を基地局BS1から受信し、その受信した網収容変更終了応答を制御装置1へ送信する。
制御装置1の制御部14は、網収容変更終了応答を接続インタ-フェース11を介して受信し、その受信した網収容変更終了応答に基づいて、端末装置TM1が収容されるべき無線通信網を無線通信網CNW1に変更したことを示すxTM1,CNW1を制御情報記憶部13に格納する。
(2)端末装置間のスループットの公平性を向上
端末装置間のスループットの公平性を向上させる場合、次式(2)に示す目的関数が用いられる。
対数関数を用いることで、スループットの低い端末装置を少なくすることによる制御目的の増加量が向上するため、スループットの低い端末装置が少なくなる。
その結果、端末装置間のスループットの公平性も向上する。
なお、対数関数の代わりに、[0,fu,b]の範囲の増加凹関数を用いてもよい。
(3)制御オーバーヘッドの最小化
制御オーバーヘッドを最小化する場合、式(3)に示す目的関数が用いられる。
式(3)の右辺における無線通信網bについての|xu,b-x’u,b|の和は、端末装置uが収容されるべき無線通信網を変更しなかった場合、“0”であり、収容されるべき無線通信網を変更した場合、正の数になる。
従って、式(3)の目的関数は、無線通信システム10全体で網収容の変更数を最小化することを目的とする目的関数である。
(4)スループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化とを両立
スループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化とを両立する場合、式(4)に示す目的関数が用いられる。
式(4)において、αは、0≦α≦1を満たす実数である。αを変化させることにより、スループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化とのいずれを重視するかを制御できる。
具体的には、αが0.5よりも大きくなればなるほど、スループットの最大化を重視することになり、αが0.5よりも小さくなればなるほど、制御オーバーヘッドの最小化を重視することになる。
また、スループットの公平性と制御オーバーヘッドの最小化とを両立する場合、式(5)に示す目的関数を用いてもよい。
(5)無線通信網の負荷の平滑化
無線通信網の負荷を平滑化する場合、式(6)に示す目的関数が用いられる。
式(6)は、無線通信網に接続している端末装置の数を負荷として捉え、最も負荷が高い無線通信網の負荷を最小化することを示す。即ち、それぞれの無線通信網に接続されている端末装置の数を収容可能な端末装置の数cbで正規化した値を無線通信網の負荷として用い、最も負荷が高い無線通信網の負荷を最小化することで、無線通信網間の負荷を平滑化することを目的としている。
(6)遅延の最小化
無線通信の遅延を最小化する場合、式(7)に示す目的関数が用いられる。
これは、無線通信網bの帯域に対して接続している端末装置数を用いて近似により導出した遅延を用いる。遅延の近似値は、式(7)のように、待ち行列(非特許文献5)を応用して導出できる。
式(7)は、全ての無線通信網CNW1~CNW4に対する遅延の和を最小化することで、全ての無線通信網CNW1~CNW4の遅延の最小化を目的とするものである。
[補助制約条件]
式(8)~式(10)に示される3つの制約条件の少なくとも1つを補助制約条件として設定する。なお、式(8)に示される制約条件を補助制約条件1とし、式(9)に示される制約条件を補助制約条件2とし、式(10)に示される制約条件を補助制約条件3とする。
式(8)に示す制約条件は、端末装置uを無線通信網bに接続したときの通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいとき、端末装置uを無線通信網bに接続しないことを制約する。
また、式(9)に示す制約条件は、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいとき、端末装置uを無線通信網bに接続しないことを制約する。
更に、式(10)に示す制約条件は、要求通信品質tuがスループットT(=優先すべき通信品質)であるとき、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しないことを制約する。
制御装置1の制御部14は、式(1A)、式(2)~式(7)のいずれかの目的関数を式(1B)、式(1C)、式(1D)および式(1E)によって示される制約条件の下で数理計画法を用いて解き、解xu,b,yu,bを得る。
また、制御部14は、式(1A)、式(2)~式(7)のいずれかの目的関数を式(1B)、式(1C)、式(1D)および式(1E)によって示される制約条件と、式(8)~式(10)の少なくとも1つによって表される補助制約条件との下で数理計画法を用いて解き、解xu,b,yu,bを得る。
そして、制御部14は、数理計画問題を解いた結果として得られたxu,b,yu,bに基づいて、上述した方法によって、端末装置uを無線通信網bに接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
上述した制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいことは、端末装置uの無線通信が無線通信網bの資源を使用する割合が大きくなる(即ち、無線通信網bに与える負荷の割合が大きくなる)ので、無線通信網bのスループットを最大化すること(目的事項)を阻害し、端末装置間のスループットの公平性の向上(目的事項)を阻害し、スループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化との両立(目的事項)を阻害し、無線通信網の負荷の平滑化(目的事項)を阻害し、遅延の最小化(目的事項)を阻害する。また、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいことは、端末装置uが無線通信を行いながらハンドオーバー処理を行うことになるので、制御オーバーヘッドを最小化すること(目的事項)を阻害する。
従って、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいことは、目的事項を阻害し、かつ、閾値よりも大きい負荷を無線通信網bに与えることになる。
また、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいことは、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいことと同様に、無線通信網bのスループットを最大化すること(目的事項)を阻害し、端末装置間のスループットの公平性の向上(目的事項)を阻害し、制御オーバーヘッドを最小化すること(目的事項)を阻害し、スループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化との両立(目的事項)を阻害し、無線通信網の負荷の平滑化(目的事項)を阻害し、遅延の最小化(目的事項)を阻害する。
更に、負荷lbが閾値Lbよりも大きいことは、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいことと同様に、無線通信網bのスループットを最大化すること(目的事項)を阻害し、端末装置間のスループットの公平性の向上(目的事項)を阻害し、制御オーバーヘッドを最小化すること(目的事項)を阻害し、スループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化との両立(目的事項)を阻害し、無線通信網の負荷の平滑化(目的事項)を阻害し、遅延の最小化(目的事項)を阻害する。
更に、端末装置uの要求通信品質が優先すべき通信品質であることは、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さい場合でも端末装置uの無線通信網bへの接続を継続することになるので、無線通信網bのスループットを最大化すること(目的事項)を阻害し、端末装置間のスループットの公平性の向上(目的事項)を阻害し、制御オーバーヘッドを最小化すること(目的事項)を阻害し、スループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化との両立(目的事項)を阻害し、無線通信網の負荷の平滑化(目的事項)を阻害し、遅延の最小化(目的事項)を阻害する。
従って、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいこと、負荷lbが閾値Lbよりも大きいこと、および端末装置uの要求通信品質が優先すべき通信品質であることの各々は、目的事項を阻害し、かつ、閾値よりも大きい負荷を無線通信網bに与えることになる。
その結果、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいことである条件1と、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいこと、負荷lbが閾値Lbよりも大きいこと、および端末装置uの要求通信品質が優先すべき通信品質であることの少なくとも1つからなる条件2とを組み合わせた場合、目的事項を阻害し、かつ、閾値よりも大きい負荷を無線通信網bに与えることになる。
そこで、この発明の実施の形態においては、目的事項を阻害し、かつ、閾値よりも大きい負荷を無線通信網bに与える端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件を設定することにした。
図3は、図2に示す制御情報記憶部13における制御情報の記憶状態を示す概念図である。
図3を参照して、制御情報記憶部13は、上述した制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wb,x’u,bを時間に対応付けて記憶する。
図3において、fu,b_1,ru,b_1,cb_1,eu_1,wb_1は、時間t1に対応付けられており、現在の制御情報である。そして、時間t1においては、制御結果が存在しないので、x’u,bは、空欄である。
時間t2~tN+1にそれぞれ対応付けられたfu,b_2,ru,b_2,cb_2,eu_2,wb_2~fu,b_N+1,ru,b_N+1,cb_N+1,eu_N+1,wb_N+1は、過去の制御情報であり、時間t2~tN+1にそれぞれ対応付けられたx’u,b_1~x’u,b_Nは、過去の制御結果である。
このように、制御情報記憶部13は、現在の制御情報と、N個の過去の制御情報と、N回分の過去の制御結果とを記憶する。
そして、制御情報記憶部13は、時間t1に対応付けられたfu,b_1,ru,b_1,cb_1,eu_1,wb_1を用いて、端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網が決定されたとき、時間t1に対応付けて、制御結果をx’u,bの欄に格納して記憶する。
また、制御情報記憶部13は、新しい制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wbを制御情報収集部12から受けると、その受けたときの時間に対応付けて、新しい制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wbを最上段に格納して記憶する。この場合、制御情報記憶部13は、時間tN+1に対応付けられた制御情報fu,b_N+1,ru,b_N+1,cb_N+1,eu_N+1,wb_N+1および制御結果x’u,b_Nを消去する。
このように、制御情報記憶部13は、常時、現在の制御情報と、N個の過去の制御情報と、N回分の過去の制御結果とを記憶する。
なお、図3においては、複数の端末装置を”u”によって表記し、複数の無線通信網を”b”によって表記することによって制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wb,x’u,bを示す。しかし、実際には、制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wb,x’u,bは、複数の端末装置と複数の無線通信網との接続数分だけの制御情報からなる。
図4は、図1に示す無線通信システム10における動作を説明するためのフローチャートである。
図4を参照して、無線通信システム10における動作が開始されると、制御装置1の制御部14は、制御情報収集命令を生成して制御情報収集部12へ出力する(ステップS1)。制御情報収集部12は、制御部14からの制御情報収集命令に応じて、制御情報要求を生成し、その生成した制御情報要求を接続インターフェース11を介して網制御装置2~4へ送信する(ステップS2)。
そして、網制御装置2~4は、制御装置1から制御情報要求を受信する。網制御装置2~4は、制御装置1からの制御情報要求の受信とは別に、自己に接続された端末装置(端末装置TM1~TM13の少なくとも1つ)との間で、状態変更ごと、または一定周期ごとに制御情報を更新する(ステップS3)。
網制御装置2~4は、制御情報要求を受信すると、更新された最新の制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wbを制御装置1へ送信し(ステップS4)、制御情報収集部12は、接続インターフェース11を介して制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wbを受信する。
そして、制御情報収集部12は、その受信した制御情報fu,b,ru,b,cb,eu,wbを制御情報記憶部13に保存する(ステップS5)。その後、制御情報収集部12は、制御情報収集完了通知を制御部14へ出力する(ステップS6)。
制御部14は、制御情報収集完了通知を制御情報収集部12から受けると、現在の制御情報(または、現在の制御情報、過去の制御情報および過去の制御結果)を制御情報記憶部13に要求する(ステップS7)。
制御情報記憶部13は、制御部14からの要求に応じて、現在の制御情報(または、現在の制御情報、過去の制御情報および過去の制御結果)を制御部14へ出力する(ステップS8)。
制御部14は、現在の制御情報(または、現在の制御情報、過去の制御情報および過去の制御結果)を制御情報記憶部13から受ける。
そうすると、制御部14は、現在の制御情報(または、現在の制御情報、過去の制御情報および過去の制御結果)に基づいて、少なくとも式(1B)、式(1C)、式(1D)および式(1E)によって示される制約条件の下で、式(1A)、式(2)~式(7)のいずれかによって示す目的関数を数理計画法を用いて解き、最適解xu,b,yu,bを得る。即ち、制御部14は、最適網収容計算を行う(ステップS9)。なお、数理計画法を用いて目的関数を解くときの制約条件は、主制約条件(=式(1C))と補助制約条件(式(8)~式(10)の少なくとも1つ)とのうちの少なくとも主制約条件からなる。
そして、制御部14は、xu,b=1が得られた解xu,bからなる網収容変更命令を生成し、その生成した網収容変更命令を接続インターフェース11を介して網制御装置2~4へ送信する(ステップS10)。
網制御装置2~4は、網収容変更命令を制御装置1から受信し、その受信した網収容変更命令を制御対象の基地局BS1~BS4へ送信する(ステップS11)。
基地局BS1~BS4は、網収容変更命令を受信し、その受信した網収容変更命令を端末装置TM1~TM13へ送信する(ステップS12)。
端末装置TM1~TM13は、網収容変更命令を受信し、その受信した網収容変更命令に基づいて、自己が収容される無線通信網を変更すべきか否かを判定する。
上述したように、網収容変更命令は、解xu,bからなるので、端末装置TM1~TM13の各々は、解xu,bの”u”を参照すれば、自己が収容されるべき無線通信網を変更すべきか否かを判定できる。より具体的には、端末装置TM1~TM13の各々は、解xu,bの”u”が自己のIDに一致すれば、自己が収容されるべき無線通信網を変更すべきであると判定し、解xu,bの”u”が自己のIDに不一致であれば、自己が収容されるべき無線通信網を変更すべきでないと判定する。
そして、端末装置TM1~TM13の各々は、自己が収容されるべき無線通信網を変更すべきと判定したとき、ハンドオーバー処理を行う(ステップS13)。
ハンドオーバー処理を行った端末装置(端末装置TM1~TM13の少なくとも1つ)は、網収容変更終了応答を生成し、その生成した網収容変更終了応答を自己が接続している基地局へ送信する(ステップS14)。
基地局(基地局BS1~BS4の少なくとも1つ)は、網収容変更終了応答を受信し、その受信した網収容変更終了応答を網制御装置(網制御装置2~4の少なくとも1つ)へ送信する(ステップS15)。
網制御装置(網制御装置2~4の少なくとも1つ)は、網収容変更終了応答を受信し、その受信した網収容変更終了応答を制御装置1へ送信する(ステップS16)。
制御装置1の制御部14は、接続インターフェース11を介して網収容変更終了応答を受信し、その受信した網収容変更終了応答に基づいて、制御結果を制御情報記憶部13に保存する(ステップS17)。これにより、無線通信システム10における動作が終了する。
このように、制御装置1は、全ての無線通信網CNW1~CNW4(基地局BS1~BS4)の制御情報と、全ての端末装置TM1~TM13の制御情報とに基づいて、システム全体におけるスループットの最大化等の要求事項を満たすように目的関数を制約条件の下で数理計画法を用いて解くことにより、要求事項を満たす最適解を取得し、その取得した最適解に基づいて、各端末装置TM1~TM13が収容されるべき無線通信網を変更するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
従って、無線通信システム10全体として最適な性能を実現することができる。
図5は、実施の形態1において接続先の無線通信網に接続されるように基地局および端末装置を制御する動作を説明するためのフローチャートである。
図5を参照して、基地局および端末装置を制御する動作が開始されると、制御情報収集部12は、各々が端末装置の制御情報である複数の端末制御情報と、各々が無線通信網の制御情報である複数の通信網制御情報とを収集する(ステップS21)。
そして、制御情報記憶部13は、収集された複数の端末制御情報と複数の通信網制御情報とを記憶する(ステップS22)。
その後、制御部14は、制御情報記憶部13から複数の端末制御情報および複数の通信網制御情報を少なくとも読み出し、その読み出した複数の端末制御情報および複数の通信網制御情報に基づいて、制約条件の下で、要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解き、複数の端末装置の各々が接続されるべき無線通信網を決定する(ステップS23)。
そうすると、制御部14は、決定された無線通信網に接続されるように複数の無線通信網の複数の基地局および複数の端末装置を制御する(ステップS24)。
その後、制御部14は、xu,b=0に設定された変数xu,bを検出することによって、無線通信網bへの接続を切断するように制御した端末装置uを検出する(ステップS25)。そして、制御部14は、無線通信網bへの接続を切断した端末装置uに対して、内蔵したタイマーによって、端末装置uを無線通信網bに接続しないように制御してからの経過時間elp_uを計測する(ステップS26)。
そうすると、制御部14は、経過時間elp_uが閾値Cb以上であるか否かを判定する(ステップS27)。
ステップS27において、経過時間elp_uが閾値Cb以上であると判定されると、制御部14は、通信開始からの経過時間euをリセットする(ステップS28)。
そして、制御部14は、制御を終了するか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29において、制御を終了しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS23へ移行する。その後、ステップS29において、制御を終了すると判定されるまで、ステップS23~ステップS29が繰り返し実行される。そして、ステップS29において、制御を終了すると判定されると、一連の動作が終了する。
ステップS23における要求事項とは、上述したように、無線通信システム10全体のスループットを最大化すること、端末装置間のスループットを公平化すること、および無線通信システム10全体の伝搬遅延を低下させること等である。
また、ステップS23における制約条件とは、主制約条件(=式(1C))と補助制約条件(式(8)~式(10)の少なくとも1つ)とのうちの少なくとも主制約条件である。
図6は、図5に示すステップS23の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図6に示すフローチャートが実行されるとき、制御部14は、各無線通信網bにおける閾値Ebを予め保持している。即ち、制御部14は、無線通信網1~B(Bは無線通信網の個数)にそれぞれ対応付けられた閾値E1~EBを予め保持している。
図6を参照して、図5に示すステップS22の後、制御部14は、u=1を設定し(ステップS231)、b=1を設定する(ステップS232)。
そして、制御部14は、制御情報記憶部13から制御情報(通信開始からの経過時間)euを読み出し、その読み出した制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいか否かを判定する(ステップS233)。
ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1を設定する(ステップS234)。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS234の後、制御部14は、b=Bであるか否かを判定する(ステップS235)。ここで、Bは、無線通信網bの総数である。
ステップS235において、b=Bでないと判定されたとき、制御部14は、b=b+1を設定する(ステップS236)。その後、一連の動作は、ステップS233へ移行し、ステップS235において、b=Bであると判定されるまで、ステップS233~ステップS236が繰り返し実行される。
そして、ステップS235において、b=Bであると判定されると、制御部14は、u=Nであるか否かを判定する(ステップS237)。
ステップS237において、u=Nでないと判定されたとき、制御部14は、u=u+1を設定する(ステップS238)。その後、一連の動作は、ステップS233へ移行し、ステップS237において、u=Nであると判定されるまで、ステップS233~ステップS238が繰り返し実行される。
そして、ステップS238において、u=Nであると判定されると、制御部14は、設定した制約条件1の下で、要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解き、複数の端末装置の全てについてxu,bを決定する(ステップS239)。その後、一連の動作は、図5に示すステップS24へ移行する。
ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、ステップS234において、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1を設定することは、主制約条件を設定することに相当する。
そして、図6に示すフローチャートは、主制約条件のみを設定して各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定するフローチャートである。
図7は、図5に示すステップS23の別の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図7に示すフローチャートが実行されるとき、制御部14は、閾値E1~EBに加え、各無線通信網bにおける閾値Fbを予め保持している。即ち、制御部14は、閾値E1~EBと、無線通信網1~Bにそれぞれ対応付けられた閾値F1~FBとを予め保持している。
図7に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにステップS240を追加したものであり、その他は、図6に示すフローチャートと同じである。
図7を参照して、図5に示すステップS22の後、制御部14は、上述したステップS231~ステップS233を順次実行する。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいか否かを判定する(ステップS240)。
ステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいと判定されたとき、制御部14は、上述したステップS234を実行する。
一方、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さくないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS235へ移行する。
そして、制御部14は、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS240の後、上述したステップS235~ステップS239を順次実行する。
図7に示すフローチャートにおいては、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいこと、および通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいことの両方が成立するとき、制約条件1を設定する(ステップS233の“YES”,ステップS240の“YES”およびステップS240参照)。そして、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいとき、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1を設定する(即ち、xu,b=0を設定する)ことは、上述したように、式(8)によって示される補助制約条件1を設定することに相当する。
主制約条件と補助制約条件とを用いる観点から言えば、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいとき、制約条件1を設定し、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいとき、再度、制約条件1を設定すべきであるが、同じ制約条件1を2回設定するのは、各端末装置uが接続されるべき無線通信網bの決定処理が遅延することになるので、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きく、かつ、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいとき、制約条件1を設定することにした。従って、図7に示すフローチャートは、主制約条件と補助制約条件1とを用いて、各端末装置uが接続されるべき無線通信網bを決定するフローチャートである。
制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きく、かつ、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいとき、制約条件1を設定することによって、通信レートfu,bが閾値Fb以上である端末装置uを無線通信網bに接続することができ(つまり、通信レートfu,bが閾値Fb以上である端末装置uまたは通信開始からの経過時間euが閾値Eb以下である端末装置uに無線通信網bの無線通信資源を割り当てることができ)、無線通信網bのスループットを向上できる。
図8は、図5に示すステップS23の更に別の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図8に示すフローチャートが実行されるとき、制御部14は、閾値E1~EBに加え、各無線通信網bにおける閾値Lbを予め保持している。即ち、制御部14は、閾値E1~EBと、無線通信網1~Bにそれぞれ対応付けられた閾値L1~LBとを予め保持している。
図8に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのステップS240をステップS241に変えたものであり、その他は、図7に示すフローチャートと同じである。
図8を参照して、図5に示すステップS22の後、制御部14は、上述したステップS231~ステップS233を順次実行する。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいか否かを判定する(ステップS241)。より具体的には、制御部14は、無線通信網bに接続されている端末装置uの個数が閾値よりも多いとき、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定し、無線通信網bに接続されている端末装置uの個数が閾値以下であるとき、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定する。また、制御部14は、無線通信網b全体の通信量が閾値よりも多いとき、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定し、無線通信網b全体の通信量が閾値以下であるとき、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定する。
ステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、上述したステップS234を実行する。
一方、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS235へ移行する。
そして、制御部14は、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS234の後、上述したステップS235~ステップS239を順次実行する。
図8に示すフローチャートにおいては、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいこと、および無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいことの両方が成立するとき、制約条件1を設定する(ステップS233の“YES”,ステップS241の“YES”およびステップS240参照)。そして、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいとき、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1を設定する(即ち、xu,b=0を設定する)ことは、上述したように、式(9)によって示される補助制約条件2を設定することに相当する。
図8に示すフローチャートにおいては、図7に示すフローチャートにおいて説明した理由によって、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きく、かつ、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいとき、制約条件1を設定することにした。従って、図8に示すフローチャートは、主制約条件と補助制約条件2とを用いて、各端末装置uが接続されるべき無線通信網bを決定するフローチャートである。
制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きく、かつ、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいとき、制約条件1を設定することによって、負荷lbが閾値Lb以下である無線通信網bに端末装置uを接続することができ、端末装置uのスループットを向上できる。その結果、無線通信システム10全体のスループットを向上できる。
図9は、図5に示すステップS23の更に別の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図9に示すフローチャートが実行されるとき、制御部14は、閾値E1~EBと、優先すべき通信品質(例えば、スループット)を予め保持している。
図9に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにステップS242,S243を追加し、ステップS239をステップS239Aに変えたものであり、その他は、図6に示すフローチャートと同じである。
図9を参照して、図5に示すステップS22の後、制御部14は、上述したステップS231~ステップS234を順次実行する。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS234の後、制御部14は、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であるか否かを判定する(ステップS242)。例えば、優先すべき通信品質がスループットであり、端末装置uの要求通信品質がスループットであるとき、制御部14は、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定し、優先すべき通信品質がスループットであり、端末装置uの要求通信品質がスループットでないとき、制御部14は、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定する。
ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたとき、制御部14は、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2を設定する(ステップS243)。
一方、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS235へ移行する。
そして、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、またはステップS243の後、上述したステップS235~ステップS238が順次実行される。
制御部14は、ステップS237においてu=Nであると判定されると、設定した制約条件2の下で、要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解き、複数の端末装置uの全てについて、xu,bを決定する(ステップS239A)。その後、一連の動作は、図5に示すステップS24へ移行する。
ステップS242において、端末装置uの要求通信品質が優先すべき通信品質であると判定されたとき、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2が設定される(ステップS242の“YES”およびステップS243参照)。これは、上述したように、式(10)に示される補助制約条件3である。従って、図9に示すフローチャートは、主制約条件と補助制約条件3とを用いて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定するフローチャートである。
図9に示すフローチャートにおいては、制約条件1と制約条件2が設定されるが(ステップS234,S243)、各端末装置uを接続すべき無線通信網bの決定において用いられる制約条件は、制約条件2である(ステップS239A参照)。これは、制約条件2が、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたときに設定される制約条件であるからである。
そして、制約条件2の下で、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することによって、端末装置uの要求を取り入れて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することができる。
図10は、図5に示すステップS23の更に別の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図10に示すフローチャートが実行される場合、制御部14は、閾値E1~EB、閾値F1~FB、および閾値L1~LBを予め保持している。
図10に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにステップS240,S241を追加したものであり、その他は、図6に示すフローチャートと同じである。
図10を参照して、図5に示すステップS22の後、上述したステップS231~ステップS233が順次実行される。
そして、ステップS233において、通信開始からの経過時間euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、上述したステップS240およびステップS241が順次実行される。
そして、ステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、制約条件1を設定する(ステップS234)。
一方、ステップS233において、通信開始からの経過時間euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS235へ移行する。
そして、ステップS233において、通信開始からの経過時間euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS234の後、上述したステップS235~ステップS239が順次実行される。
図10に示すフローチャートにおいては、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいこと、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいこと、および無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいことの全てが成立するとき、制約条件1を設定する(ステップS233の“YES”,ステップS240の“YES”,ステップS241の“YES”およびステップS234参照)。
そして、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいとき、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1を設定する(即ち、xu,b=0を設定する)ことは、上述したように、式(8)によって示される補助制約条件1を設定することに相当する。また、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいとき、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1を設定する(即ち、xu,b=0を設定する)ことは、上述したように、式(9)によって示される補助制約条件2を設定することに相当する。
図10に示すフローチャートにおいては、図7に示すフローチャートにおいて説明した理由によって、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きく、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さく、更に、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいとき、制約条件1を設定することにした。従って、図10に示すフローチャートは、主制約条件と、2つの補助制約条件1,2とを用いて、各端末装置uを接続する無線通信網bを決定するフローチャートである。
制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きく、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さく、更に、無線通信網bの負荷lbが閾値Lbよりも大きいとき、制約条件1を設定することによって、より無線通信網bの負荷lbを低減でき、無線通信システム10全体のスループットを向上できる。
図11は、図5に示すステップS23の更に別の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図11に示すフローチャートが実行される場合、制御部14、閾値E1~EB、閾値F1~FB、および優先すべき通信品質を予め保持する。
図11に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにステップS240,S242,S243を追加し、ステップS239をステップS239Aに変えたものであり、その他は、図6に示すフローチャートと同じである。
図11を参照して、図5に示すステップS22の後、上述したステップS231~S233が順次実行される。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいか否かを判定する(ステップS240)。
ステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいと判定されたとき、上述したステップS234が実行される。
一方、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さくないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS242へ移行する。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS234の後、制御部14は、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であるか否かを判定する(ステップS242)。
ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたとき、制御部14は、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2を設定する(ステップS243)。
一方、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS235へ移行する。
そして、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、またはステップS243の後、上述したステップS235~ステップS238が順次実行される。
制御部14は、ステップS237においてu=Nであると判定されると、設定した制約条件2の下で、要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解き、複数の端末装置uの全てについて、xu,bを決定する(ステップS239A)。その後、一連の動作は、図5に示すステップS24へ移行する。
ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定され、かつ、ステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいと判定されたとき、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1が設定される(ステップS240の“YES”およびステップS234参照)。これは、上述したように、式(1C)によって示される主制約条件と、式(8)によって示される補助制約条件1とである。また、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたとき、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2が設定される(ステップS242の“YES”およびステップS243参照)。これは、上述したように、式(10)に示される補助制約条件3である。従って、図11に示すフローチャートは、主制約条件と2つの補助制約条件1,3とを用いて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定するフローチャートである。
図11に示すフローチャートにおいては、制約条件1と制約条件2が設定されるが(ステップS234,S243参照)、各端末装置uを接続すべき無線通信網bの決定において用いられる制約条件は、制約条件2である(ステップS239A参照)。これは、制約条件2が、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたときに設定される制約条件であるからである。
そして、制約条件2の下で、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することによって、端末装置uの要求を取り入れて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することができる。
図12は、図5に示すステップS23の更に別の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図12に示すフローチャートが実行される場合、制御部14、閾値E1~EB、閾値L1~LB、および優先すべき通信品質を予め保持する。
図12に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにステップS241,S242,S243を追加し、ステップS239をステップS239Aに変えたものであり、その他は、図6に示すフローチャートと同じである。
図12を参照して、図5に示すステップS22の後、上述したステップS231~S233が順次実行される。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、負荷lbが閾値Lbよりも大きいか否かを判定する(ステップS241)。
ステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定されたとき、上述したステップS234が実行される。
一方、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS242へ移行する。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS234の後、制御部14は、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であるか否かを判定する(ステップS242)。
ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたとき、制御部14は、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2を設定する(ステップS243)。
一方、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS235へ移行する。
そして、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、またはステップS243の後、上述したステップS235~ステップS238が順次実行される。
制御部14は、ステップS237においてu=Nであると判定されると、設定した制約条件2の下で、要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解き、複数の端末装置uの全てについて、xu,bを決定する(ステップS239A)。その後、一連の動作は、図5に示すステップS24へ移行する。
ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定され、かつ、ステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定されたとき、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1が設定される(ステップS241の“YES”およびステップS234参照)。これは、上述したように、式(1C)によって示される主制約条件と、(9)によって示される補助制約条件2とである。また、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたとき、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2が設定される(ステップS242の“YES”およびステップS243参照)。これは、上述したように、式(10)に示される補助制約条件3である。従って、図12に示すフローチャートは、主制約条件と2つの補助制約条件2,3とを用いて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定するフローチャートである。
図12に示すフローチャートにおいては、制約条件1と制約条件2が設定されるが(ステップS234,S243参照)、各端末装置uを接続すべき無線通信網bの決定において用いられる制約条件は、制約条件2である(ステップS239A参照)。これは、制約条件2が、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたときに設定される制約条件であるからである。
そして、制約条件2の下で、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することによって、端末装置uの要求を取り入れて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することができる。
図13は、図5に示すステップS23の更に別の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図13に示すフローチャートが実行される場合、制御部14、閾値E1~EB、閾値F1~FB、閾値L1~LB、および優先すべき通信品質を予め保持する。
図13に示すフローチャートは、図6に示すフローチャートにステップS240,S241,S242,S243を追加し、ステップS239をステップS239Aに変えたものであり、その他は、図6に示すフローチャートと同じである。
図13を参照して、図5に示すステップS22の後、上述したステップS231~S233が順次実行される。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、通信レートfu,bが閾値Ebよりも大きいか否かを判定する(ステップZS240)。
ステップZS240において、通信レートfu,bが閾値Ebよりも大きいと判定されたとき、制御部14は、負荷lbが閾値Lbよりも大きいか否かを判定する(ステップS241)。
ステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定されたとき、上述したステップS234が実行される。
一方、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Ebよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS242へ移行する。
そして、ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS240において、通信レートfu,bが閾値Ebよりも小さくないと判定されたとき、またはステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きくないと判定されたとき、またはステップS234の後、制御部14は、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であるか否かを判定する(ステップS242)。
ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたとき、制御部14は、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2を設定する(ステップS243)。
一方、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS235へ移行する。
そして、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質でないと判定されたとき、またはステップS243の後、上述したステップS235~ステップS238が順次実行される。
制御部14は、ステップS237においてu=Nであると判定されると、設定した制約条件2の下で、要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解き、複数の端末装置uの全てについて、変数xu,bを決定する(ステップS239A)。その後、一連の動作は、図5に示すステップS24へ移行する。
ステップS233において、制御情報(通信開始からの経過時間)euが閾値Ebよりも大きいと判定され、ステップS240において、通信レートfu,bが閾値Fbよりも小さいと判定され、更に、ステップS241において、負荷lbが閾値Lbよりも大きいと判定されたとき、端末装置uを無線通信網bに接続しない制約条件1が設定される(ステップS233の“YES”、ステップS240の“YES”、ステップS241の“YES”およびステップS234参照)。これは、上述したように、式(1C),(8),(9)によって示される主制約条件、補助制約条件1および補助制約条件2である。また、ステップS242において、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたとき、端末装置uの無線通信網bへの接続を切断しない制約条件2が設定される(ステップS242の“YES”およびステップS243参照)。これは、上述したように、式(10)に示される補助制約条件3である。従って、図11に示すフローチャートは、主制約条件と3つの補助制約条件1,2,3とを用いて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定するフローチャートである。
図13に示すフローチャートにおいては、制約条件1と制約条件2が設定されるが(ステップS234,S243参照)、各端末装置uを接続すべき無線通信網bの決定において用いられる制約条件は、制約条件2である(ステップS239A参照)。これは、制約条件2が、端末装置uの要求通信品質tuが優先すべき通信品質であると判定されたときに設定される制約条件であるからである。
そして、制約条件2の下で、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することによって、端末装置uの要求を取り入れて、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定することができる。
上述したように、図5に示すステップS23は、主制約条件と、3つの補助制約条件1~3の少なくとも1つを用いて実行される。
図14は、図5に示すステップS24の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図14を参照して、図5に示すステップS23の後、制御部14は、”1”に設定されたK(Kは正の整数)個の解xu,bを抽出する(ステップS251)。なお、図14の説明においては、抽出した解xu,bの例として、k番目の解xu,bの端末IDをu(k)、無線通信網IDをb(k)と表記する。つまり、抽出したxu,bの列のk番目の要素をxu(k),b(k)と表記する。
そして、制御部14は、k=1を設定し(ステップS252)、”1”に設定されたxu(k),b(k)が”1”に設定されたx’u(k),b(k)に等しいか否かを判定する(ステップS253)。なお、x’u(k),b(k)は、制御情報記憶部13に記憶された過去のN個のx’u(k),b(k)のうち、最新のx’u(k),b(k)である。
ステップS253において、”1”に設定されたxu(k),b(k)が”1”に設定されたx’u(k),b(k)に等しくないと判定されたとき、制御部14は、得られた解xu(k),b(k)を保持する(ステップS254)。
一方、ステップS253において、”1”に設定されたxu(k),b(k)が”1”に設定されたx’u(k),b(k)に等しいと判定されたとき、またはステップS254の後、制御部14は、k=Kであるか否かを判定する(ステップS255)。
ステップS255において、k=Kでないと判定されたとき、制御部14は、k=k+1を設定する(ステップS256)。
その後、一連の動作は、ステップS253に戻り、ステップS255において、k=Kであると判定されるまで、ステップS253~ステップS256が繰り返し実行される。
そして、ステップS255において、k=Kであると判定されると、制御部14は、保持した全ての解xu(k),b(k)からなる網収容変更命令を生成して基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13へ送信する(ステップS257)。
その後、一連の動作は、図5のステップS25へ移行する。
このように、図14に示すフローチャートによれば、”1”に設定された解xu(k),b(k)のうち、過去の最新の制御結果x’u(k),b(k)と一致しない解xu(k),b(k)のみが基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13へ送信される。
その結果、収容されるべき無線通信網が変更される端末装置のみがハンドオーバー処理を行って収容先の無線通信網を変更する。
従って、無線通信システム10全体における無線通信網の変更を迅速に行うことができる。
なお、この発明の実施の形態においては、制御部14は、”1”に設定された全ての解xu(k),b(k)からなる網収容変更命令を生成して基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13へ送信するようにしてもよい。
この場合、図5に示すステップS24は、”1”に設定された全ての解xu(k),b(k)を抽出するステップと、”1”に設定された全ての解xu(k),b(k)からなる網収容変更命令を生成して基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13へ送信するステップとを含む。
なお、目的事項を満たすように全ての端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定する動作は、図5に示すフローチャート(図6~図13のいずれかに示すフローチャートと、図14に示すフローチャートとを含む)に従って、定期的(所定の時間が経過するごと)に実行される。
図5に示すフローチャート(図6~図13のいずれかに示すフローチャートと、図14に示すフローチャートとを含む)に従って、目的事項を満たすように全ての端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定し、その決定した無線通信網bに端末装置uを接続および/または切断する制御を行う場合、通信開始からの継続時間euを数百msecに設定し、経過時間elp_uを数十msecに設定すると、無線通信システム10におけるスループットが向上することがシミュレーションによって確認された。
この発明の実施の形態においては、制御装置1の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMは、図5に示すフローチャート(図6~図13のいずれかに示すフローチャートと、図14に示すフローチャートとを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Aを記憶する。
CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行して、制約条件の下で、要求事項を満たすように各端末装置TM1~TM13を接続すべき無線通信網を決定し、その決定された接続先の無線通信網に各端末装置TM1~TM13を接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。RAMは、CPUが目的関数を数理計画法を用いて解くときの一時的なメモリとして使用される。
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行し、制約条件の下で、要求事項を満たすように各端末装置TM1~TM13を接続すべき無線通信網を決定し、その決定された接続先の無線通信網に各端末装置TM1~TM13を接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
[実施の形態2]
図15は、実施の形態2による無線通信システムの概略図である。図15を参照して、無線通信システム10Aは、図1に示す無線通信システム10の制御装置1を制御装置1Aに変えたものであり、その他は、無線通信システム10と同じである。
制御装置1Aは、制御装置1と同じ方法によって、各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定する決定処理1を実行する。
その後、制御装置1Aは、後述する方法によって、各端末装置uに付与されるインセンティブが最大になるように各端末装置uを接続すべき無線通信網bを決定する決定処理2を実行する。
そうすると、制御装置1Aは、決定処理1による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続したときの目的事項TRG1と、決定処理2による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続したときの目的事項TRG2とを演算する。そして、制御装置1Aは、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れているとき、決定処理1による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御し、目的事項TRG2が目的事項TRG1よりも優れているとき、決定処理2による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
図16は、図15に示す制御装置1Aの概略図である。図16を参照して、制御装置1Aは、図2に示す制御装置1の制御部14を制御部14Aに変えたものであり、その他は、制御装置1と同じである。
制御部14Aは、決定処理1を実行し、決定処理1による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続したときの目的事項TRG1を演算する。
また、制御部14Aは、後述する方法によって、複数の無線通信網CNW1~CNW4の各々に端末装置(端末装置TM1~TM13のいずれか)を接続した場合に付与されるインセンティブを用いて、複数の無線通信網CNW1~CNW4の各々に端末装置(端末装置TM1~TM13のいずれか)を接続した場合に端末装置(端末装置TM1~TM13のいずれか)が受ける効用を求め、その求めた複数の効用のうち最大の効用が得られるように複数の無線通信網CNW1~CNW4のいずれに端末装置(端末装置TM1~TM13のいずれか)を接続すべきかを示す選択指標を複数の端末装置TM1~TM13の全てについて決定する決定処理2を実行する。
そして、制御部14Aは、決定処理2による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続したときの目的事項TRG2を演算する。
そうすると、制御部14Aは、目的事項TRG1および目的事項TRG2のいずれが優れているかを判定する。そして、制御部14Aは、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定したとき、決定処理1による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
一方、制御部14Aは、目的事項TRG2が目的事項TRG1よりも優れていると判定したとき、決定処理2による決定結果に基づいて無線通信網bに各端末装置uを接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
複数の選択指標の決定方法について説明する。まず、複数の選択指標の決定に用いられる記号について説明する。
インセンティブRu,bは、端末装置uに付与されるものであり、例えば、ポイント等の金銭的なインセンティブ、通信費の動的な設定、および無線通信網への接続許可等である。そして、インセンティブRu,bは、負のインセンティブも含む。即ち、負のインセンティブRu,bは、無線通信網b以外の無線通信網へ接続することを推奨することと同義である。
インセンティブRu,bが提示された場合の端末装置TM1~TM13の利己的な振る舞いを予測するモデルを定義する。
端末装置uは、時刻tにおいて、通信事業者から無線通信網bに接続するインセンティブとしてRu,bが提示されたとき、無線通信網bに接続したときの効用Uu,bが最大となるような無線通信網b∈Bを合理的に選択し、無線通信網bに接続する。
Xu,bは、端末装置uの無線通信網bの選択を表す選択指標であり、端末装置uが無線通信網bに接続する場合に”1”に設定され、端末装置uが無線通信網bに接続しない場合に”0”に設定される。
但し、端末装置TM1~TM13の各々が1つの無線通信網にのみ接続するとした場合、Xu,bを集合Bに含まれる全ての無線通信網bについて合計した値は、“1”である。つまり、接続した無線通信網bに関してXu,b=1となり、その以外の網b’については、Xu,b=0となる。
このように、Xu,bは、“1”または“0”の値を取るが、変数としては、概念上、“0”と“1”との間の値も取り得る。
時刻tにおける効用Uu,b(t)は、次式によって表される。
従って、効用の期待値である期待効用は、次式によってモデル化される。
式(12)において、fu,b(t)は、端末装置uを無線通信網bに接続した場合の通信レートである。γu,bは、端末装置uが無線通信網bに接続した場合の通信コスト、つまり、スループット当たりの通信費である。Ru,b(t)は、通信事業者から提示される無線通信網bに接続したときのインセンティブである。
λuは、端末装置uもしくはその利用者が無線通信網の選択に際して、通信レート等の通信品質と、通信費またはインセンティブ等を含む費用のどちらを重要視するかを示す定数である。λuが大きいほど、費用を重要視することを示す。
なお、式(12)の右辺の(Ru,b(t)-γu,bfu,b(t))の項は、負になることもある。
式(12)における通信レートfu,b(t)は、無線通信網bに接続している端末装置の個数nb(t)と、端末装置uが無線通信網bに接続した場合の無線品質とを用いて導出される。例えば、無線通信網bがWi-Fi網である場合、非特許文献6に示されている解析モデルを用いて通信レートfu,b(t)を求めることができる。また、無線通信網bがLTE(Long Term Evolution)網等の移動通信網である場合、非特許文献7に示されている解析モデルを用いて通信レートfu,b(t)を求めることができる。
また、式(12)におけるλuは、上述したように定数であり、予め既知であり、γu,b(t)は、端末装置uを無線通信網bに接続した場合の通信費であるので、既知である。
更に、式(12)におけるRu,b(t)は、通信事業者から付与されるインセンティブであり、既知である。
従って、効用Uu,b(t)が最大になるように無線通信網b∈Bを合理的に選択し、Xu,b(t)を決定できる。
端末装置uが無線通信網bに接続した場合の無線品質は、無線通信網側で計測可能であるが、一方、無線通信網bに接続される端末装置の個数nb(t)については、端末装置uが、どの無線通信網に接続するかを予測することで導出する。
端末装置uの個数nb(t)は、次式によって導出される。
各無線通信網bに接続する端末装置uの個数nb(t)を推定するためには、端末装置の無線通信網の選択指標Xu,b(t)を推定する必要がある。
端末装置の無線通信網の選択の変化を次式のようにモデル化することで端末装置の振る舞いを推定する。
式(14)において、Uu,b(t)は、端末装置uが無線通信網bを選択したときの効用である。また、Uu(t)は、端末装置uの平均効用である。
そして、端末装置uが無線通信網bに接続したときの効用が、端末装置uが他の無線通信網に接続したときの平均的な効用よりも大きい場合、無線通信網bに接続することを選択し、端末装置uが他の無線通信網に接続したときの平均的な効用以下である場合、無線通信網b以外の無線通信網に接続することを選択する。
つまり、式(14)を用いて、ある無線通信網bに接続したときの端末装置uの効用が最大になるように選択指標Xu,b(t)を推定する。
端末装置uは、式(14)において、dXu,b(t)/dt≠0である限り、無線通信網の選択を変更する。つまり、dXu,b(t)/dt=0となったときが、端末装置uの無線通信網の選択値である。
従って、式(14)において、dXu,b(t)/dt=0を解くことにより、端末装置uの無線通信網の選択指標Xu,b(t)を求める。
そして、その求めた選択指標Xu,b(t)を式(13)に代入して無線通信網bに接続される端末装置uの個数nb(t)を推定する。
これによって、通信事業者がインセンティブRu,b(t)を提示したときに無線通信網bに接続する端末装置uの個数nb(t)をモデル化できる。
従って、制御部14Aは、式(11)および式(12)を式(14)に代入し、dXu,b(t)/dt=0を解くことにより、端末装置uの無線通信網の選択指標Xu,b(t)を決定する。この場合、制御部14Aは、端末装置TM1~TM13の全てについて選択指標Xu,b(t)を決定する。
無線通信システム10Aの動作は、図4に示すフローチャートに従って実行される。図17は、実施の形態2において接続先の無線通信網に接続されるように基地局および端末装置を制御する動作を説明するためのフローチャートである。
図17を参照して、一連の動作が開始されると、制御部14Aは、決定処理1によって、全ての端末装置uについて変数xu,bを決定する(ステップS31)。より具体的には、制御部14Aは、図6から図13のいずれかに示すフローチャートに従って、全ての端末装置uについて変数xu,bを決定する。
その後、制御部14Aは、決定処理2によって、全ての端末装置uについて選択指標Xu,bを決定する(ステップS32)。
そして、制御部14Aは、変数xu,bを式(1A),(2)~(7)のいずれかに代入して目的事項TRG1を演算する(ステップS33)。引き続いて、制御部14Aは、選択指標Xu,bを後述する式(15)~式(21)のいずれかに代入して目的事項TRG2を演算する(ステップS34)。
そうすると、制御部14Aは、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れているか否かを判定する(ステップS35)。
この場合、目的事項TRG1が式(1A)によって演算される無線通信システム10Aの総スループットを最大化することである場合、制御部14Aは、変数xu,bを式(1A)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(15)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)よりも大きいとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定し、変数xu,bを式(1A)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(15)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)以下であるとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定する。
また、目的事項TRG1が式(2)によって演算される無線通信システム10Aにおける端末装置間のスループットの公平性を最大化することである場合、制御部14Aは、変数xu,bを式(2)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(16)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)よりも大きいとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定し、変数xu,bを式(2)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(16)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)以下であるとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定する。
更に、目的事項TRG1が式(3)によって演算される無線通信システム10Aにおける制御オーバーヘッドの最小化である場合、制御部14Aは、変数xu,bを式(3)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(17)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)よりも小さいとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定し、変数xu,bを式(3)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(17)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)以上であるとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定する。
更に、目的事項TRG1が式(4)によって演算される無線通信システム10Aにおけるスループットの最大化と制御オーバーヘッドの最小化との両立である場合、制御部14Aは、変数xu,bを式(4)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(18)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)よりも大きいとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定し、変数xu,bを式(4)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(18)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)以下であるとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定する。なお、制御部14Aは、式(18)によって目的事項TRG2を演算するとき、αの具体値を予め保持している。
更に、目的事項TRG1が式(5)によって演算される無線通信システム10Aにおけるスループットの公平性と制御オーバーヘッドの最小化との両立である場合、制御部14Aは、変数xu,bを式(5)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(19)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)よりも大きいとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定し、変数xu,bを式(5)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(19)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)以下であるとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定する。なお、制御部14Aは、式(19)によって目的事項TRG2を演算するとき、αの具体値を予め保持している。
更に、目的事項TRG1が式(6)によって演算される無線通信システム10Aにおける無線通信網の負荷の平滑化である場合、制御部14Aは、変数xu,bを式(6)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(20)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)よりも小さいとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定し、変数xu,bを式(6)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(20)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)以上であるとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定する。
更に、目的事項TRG1が式(7)によって演算される無線通信システム10Aにおける遅延の最小化である場合、制御部14Aは、変数xu,bを式(7)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(21)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)よりも小さいとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定し、変数xu,bを式(7)に代入したときの演算値(=目的事項TRG1)が選択指数Xu,bを次式(21)に代入したときの演算値(=目的事項TRG2)以上であるとき、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定する。
ステップS35において、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていると判定されたとき、制御部14Aは、変数xu,bに基づいて端末装置uを無線通信網bに接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する(ステップS36)。
一方、ステップS35において、目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定されたとき、制御部14Aは、目的事項TRG2が目的事項TRG1よりも優れているか否かを判定する(ステップS37)。この場合、制御部14Aは、ステップS35において説明した方法と同様の方法によって、目的事項TRG2が目的事項TRG1よりも優れているか否かを判定する。
ステップS37において、目的事項TRG2が目的事項TRG1よりも優れていると判定されたとき、制御部14Aは、選択指数Xu,bに基づいて端末装置uを無線通信網bに接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する(ステップS38)。
一方、ステップS37において、目的事項TRG2が目的事項TRG1よりも優れていないと判定されたとき、制御部14Aは、変数xu,bおよび選択指数Xu,bのいずれかに基づいて端末装置uを無線通信網bに接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する(ステップS39)。そして、ステップS36,S38,S39のいずれかの後、一連の動作が終了する。
ステップS39において、変数xu,bおよび選択指数Xu,bのいずれかに基づいて端末装置uを無線通信網bに接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御するのは、ステップS39は、ステップS35において目的事項TRG1が目的事項TRG2よりも優れていないと判定され、かつ、ステップS37において目的事項TRG2が目的事項TRG1よりも優れていないと判定された場合、即ち、目的事項TRG1と目的事項TRG2との間に優劣が無い場合に実行されるので、変数xu,bおよび選択指数Xu,bのいずれに基づいて端末装置uを無線通信網bに接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御しても同じ目的事項を達成できるからである。
図18は、図17のステップS32の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図18を参照して、図17のステップ31の後、制御部14Aは、全ての端末装置1~Nにおける定数λ1~λN、端末装置1~Nの各々を無線通信網1~Bの各々に接続したときのインセンティブR1,1(t)~R1,B(t);R2,1(t)~R2,B(t);・・・;RN,1(t)~RN,B(t)および端末装置1~Nの各々を無線通信網1~Bの各々に接続したときの通信コストγ1,1~γ1,B;γ2,1~γ2,B;・・・;γN,1~γN,Bを受け付ける(ステップS321)。
そして、制御部14Aは、u=1およびb=1を設定する(ステップS322)。その後、制御部14Aは、上述した方法によって、端末装置uを無線通信網bに接続したときの通信レートfu,b(t)を求める(ステップS323)。
引き続いて、制御部14Aは、式(11)を用いて、端末装置uを無線通信網bに接続したときの効用Uu,b(t)を求める(ステップS324)。
更に、制御部14Aは、式(12)を用いて平均効用Uu(t)を求める(ステップS325)。
そうすると、制御部14Aは、効用Uu,b(t)を全ての無線通信網bについて求めたか否かを判定する(ステップS326)。
ステップS326において、効用Uu,b(t)を全ての無線通信網bについて求めていないと判定されたとき、制御部14Aは、b=b+1を設定する(ステップS327)。
その後、一連の動作は、ステップS323へ移行し、ステップS326において、効用Uu,b(t)を全ての無線通信網bについて求めたと判定されるまで、ステップS323~ステップS327が繰り返し実行される。
そして、ステップS326において、効用Uu,b(t)を全ての無線通信網bについて求めたと判定されると、制御部14Aは、効用Uu,b(t)および平均効用Uu(t)を式(14)に代入して端末装置uの選択指標Xu,b(t)を決定する(ステップS328)。
その後、制御部14Aは、全ての端末装置uの選択指標Xu,b(t)を決定したか否かを判定する(ステップS329)。
ステップS329において、全ての端末装置uの選択指標Xu,b(t)を決定していないと判定されたとき、制御部14Aは、u=u+1を設定する(ステップS330)。
その後、一連の動作は、ステップS323へ移行し、ステップS329において、全ての端末装置uの選択指標Xu,b(t)を決定したと判定されるまで、ステップS323~ステップS330が繰り返し実行される。
そして、ステップS329において、全ての端末装置uの選択指標Xu,b(t)を決定したと判定されると、一連の動作は、図17のステップS33へ移行する。
このように、図17に示すフローチャート(図18に示すフローチャートを含む)に従って全ての端末装置uの無線通信網bへの接続を実行することによって、端末装置uの利己的な無線通信網bへの接続を排除して全ての端末装置uの無線通信網bへの接続を決定する決定処理1と、端末装置uの利己的な無線通信網bへの接続を許容して全ての端末装置uの無線通信網bへの接続を決定する決定処理2とを比較し、決定処理1および決定処理2のうちの優れている決定処理(決定処理1,2のいずれか)における決定結果に基づいて全ての端末装置uを無線通信網bに接続できる。その結果、決定処理1における決定結果に基づいて全ての端末装置uを無線通信網bに接続する場合の無線通信システム10Aの目的事項を少なくとも実現した上で、無線通信システム10Aの目的事項を更に向上できる。
この発明の実施の形態においては、制御装置1Aの動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、制御装置1Aは、CPU、ROMおよびRAMを備える。そして、ROMは、図17に示すフローチャート(図6~図13のいずれかに示すフローチャートと、図14に示すフローチャートと、図18に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Bを記憶する。
CPUは、ROMからプログラムProg_Bを読み出し、その読み出したプログラムProg_Bを実行して、要求事項を満たすように各端末装置TM1~TM13を接続すべき無線通信網を決定し、その決定された接続先の無線通信網に各端末装置TM1~TM13を接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。RAMは、CPUが目的関数を数理計画法を用いて解くときの一時的なメモリとして使用される。
また、プログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Bを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Bを読み出して実行し、要求事項を満たすように各端末装置TM1~TM13を接続すべき無線通信網を決定し、その決定された接続先の無線通信網に各端末装置TM1~TM13を接続するように基地局BS1~BS4および端末装置TM1~TM13を制御する。
従って、プログラムProg_Bを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
実施の形態2におけるその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
上述した実施の形態1,2によれば、この発明の実施の形態による制御装置は、複数の端末装置の各々が接続されるべき無線通信網を要求事項を満たすように複数の無線通信網から決定し、その決定した無線通信網に接続されるように制御する制御装置であって、
各々が端末装置の制御情報である複数の端末制御情報と、各々が無線通信網の制御情報である複数の通信網制御情報とを収集する制御情報収集部と、
制御情報収集部によって収集された複数の端末制御情報および複数の通信網制御情報を記憶する制御情報記憶部と、
制御情報収集部によって収集された複数の端末制御情報および複数の通信網制御情報に基づいて、要求事項を満たすことを阻害し、かつ、閾値よりも大きい負荷を無線通信網に与える端末装置を無線通信網に接続しないようにする制約条件の下で、要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解くことにより、複数の端末装置の各々が接続されるべき無線通信網を決定する第1の決定処理を所定時間が経過するごとに実行し、第1の決定処理が実行されるごとに、第1の決定処理によって決定された無線通信網に各端末装置が接続されるように複数の無線通信網の複数の基地局と前記複数の端末装置とを制御する制御部とを備えていればよい。
また、この発明の実施の形態によるコンピュータに実行させるためのプログラムは、複数の端末装置の各々が接続されるべき無線通信網を要求事項を満たすように複数の無線通信網から決定し、その決定した無線通信網への端末装置の接続制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
制御情報収集部が、各々が端末装置の制御情報である複数の端末制御情報と、各々が無線通信網の制御情報である複数の通信網制御情報とを収集する第1のステップと、
制御情報記憶部が、前記制御情報収集部によって収集された前記複数の端末制御情報および前記複数の通信網制御情報と、過去の制御結果とを記憶する第2のステップと、
制御部が、前記制御情報収集部によって収集された前記複数の端末制御情報および前記複数の通信網制御情報に基づいて、前記要求事項を満たすことを阻害し、かつ、閾値よりも大きい負荷を前記無線通信網に与える端末装置を前記無線通信網に接続しないようにする制約条件の下で、前記要求事項を満たすことを目的とする目的関数を数理計画法を用いて解くことにより、前記複数の端末装置の各々が接続されるべき無線通信網を決定する第1の決定処理を所定時間が経過するごとに実行し、前記第1の決定処理が実行されるごとに、前記第1の決定処理によって決定された無線通信網に各端末装置が接続されるように前記複数の無線通信網の複数の基地局と前記複数の端末装置とを制御する第3のステップとをコンピュータに実行させればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。