JP7219946B2 - 呼吸補助治療具 - Google Patents

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Description

本開示は、呼吸補助治療具に関する。
吸気時に肋骨下、胸骨下、肋骨間、胸骨上、鎖骨上窩に陥没をともなう呼吸状態を「陥没呼吸」という。呼吸運動は、肺に空気(酸素)を取り込み、肺から空気(二酸化炭素)を排出する運動で、生命維持にかかせない。呼吸は、横隔膜や肋間筋および呼吸補助筋の収縮・弛緩による胸腔の体積の変化、胸腔内圧の変化により行われる。吸気は、肋間筋や横隔膜が収縮することにより胸郭を前後に拡げ、肺を膨らませ空気の取り込みを行う。呼気は、肋間筋や横隔膜が弛緩することにより胸郭や肺はもとの大きさに戻り二酸化炭素を多く含んだ空気を排出する。安静時呼気は肺の弾性収縮力で収縮する。
陥没呼吸は努力呼吸の一種で、呼吸苦があると呼吸補助筋などを使って胸腔容積を大きくして肺への空気の流入を促す深呼吸を行う。肺の状態が悪い場合、肺が低形成な場合、気道の狭窄がある場合など呼吸器の病的状態があると呼吸障害がおこる。この場合、空気の取り込みや肺を拡張させるためにより強い吸気力が必要になる。胸腔内に作り出された陰圧により、胸郭の軟らかい部分が引き込まれる現象が陥没呼吸である。新生児や乳児ではまだ胸壁が軟弱であり、胸郭がより引き込まれやすい。このため、肋骨下、肋間、剣状突起下などが吸気時に陥没する。このような陥没呼吸が継続すると、前胸部が陥凹する漏斗胸の原因にもなりうる。
陥没呼吸や漏斗胸は、胸腔容積を縮小させる。胸壁のコンプライアンスも低下し、気道抵抗を上げることにもなりうる。肺活量の低下や1秒率の低下など呼吸機能の低下が生じ、さらに呼吸障害を進行させ、陥没呼吸などの症状の継続や悪化につながる可能性がある。また、呼吸器感染症の悪化や喘鳴の出現、無気肺や肺の炎症が生じるリスクも高くなるといわれている。漏斗胸は年齢がたつにつれ、心臓への影響や、胸部の圧迫感や痛みなども生じうる。胸の陥没が強い場合には心臓が圧迫され、軸偏位などの心電図異常や動悸の発生、さらに程度が強い場合は心臓の弁膜症を来すことも知られている。また、整容的な問題から、外見の劣等感を感じたり、いじめの原因にもなりうるため、精神的影響も生じる可能がある。
陥没呼吸を生じうる呼吸状態の治療としては、例えば、経鼻的持続陽圧換気療法や気管挿管による人工呼吸器管理、陽・陰圧体外式人工呼吸器など機械による呼吸補助を行う方法がある。また、漏斗胸の治療としては、軽度の場合、扁桃腺の処置や水泳などの運動で胸筋を鍛える方法などがあり、陥没の程度が強い場合は、機器による胸壁の陰圧吸引療法や、変形した部分の胸骨を反転する方法(胸骨翻転法)、肋軟骨を切除して胸骨を挙上する方法(胸骨挙上法)、人工の器具を用いる方法がある。
人工の器具としては、患者の皮膚の下に嵌められるように適合されたプレートを備え、使用時にプレートは患者の胸骨に取り付け可能であり、プレートの湾曲度、長さ、および幅は、プレートが、胸骨の両側および患者の胸郭の外側に延び、胸骨を上げるように肋骨によって支持されるデバイスが知られている(特許文献1参照)。
また、胸部に対し相対的に固定された外部固定部材と、該外部固定部材に接続されるとともに体内に挿入されて胸郭に係合する挿入部材と、前記外部固定部材に対する前記挿入部材の接続位置を漸次引き上げるための部材引上手段とを備えた治療装置も知られている(特許文献2参照)。
特表2012-500073号公報 特開平7-171165号公報
上記特許文献1および2に記載されているデバイス(治療装置)を使用する場合、何れも外科的手術を行う必要がある。しかしながら、外科的手術は、装置や器具の大きさ、治療侵襲などから、患者がある程度成長した後でしか行うことができない。そのため、新生児(生後28日未満)や乳児(1歳未満)の患者に対して外科的手術を行うことは困難であるという問題がある。更に、上記のデバイス(治療装置)は、構成部材の一部を体内に挿入する必要があり、陥没呼吸や漏斗胸が治癒できたとしても、体に傷が残る、体内人工物による感染の発症等の問題がある。
上記のとおり、人工の器具を用いた陥没呼吸や漏斗胸の治療は、外科的手術が必要である。外科的手術が不要であり、新生児の段階から陥没呼吸や漏斗胸患者の胸郭の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療が可能なデバイス(治療装置)は、現在のところ知られていない。
本出願における開示は、上記問題を解決するためになされたものであり、鋭意研究を行ったところ、所定範囲の3点曲げ強度を有するフィルムを用いることで、外科的手術が不要で且つ新生児の陥没呼吸や漏斗胸患者に対し、胸郭の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療ができる装置(以下、「呼吸補助治療具」と記載することがある。)を提供できることを新たに見出した。
すなわち、本出願における開示の目的は、大きな医療機器・装置が不要で、外科的手術が不要な呼吸補助治療具を提供することである。
本出願における開示は、以下に示す、呼吸補助治療具に関する。
(1)呼吸補助治療具であって、
該呼吸補助治療具は、可撓性フィルム部を含み、
前記可撓性フィルム部の25℃における3点曲げ強度が、0.74N~4.05Nである、
呼吸補助治療具。
(2)前記可撓性フィルム部の一方の面に粘着層が形成されている、
上記(1)に記載の呼吸補助治療具。
(3)前記可撓性フィルム部に、通気用の孔が形成されている、
上記(1)または(2)に記載の呼吸補助治療具。
(4)前記可撓性フィルム部の周辺部に片面粘着テープ部が形成され、
前記片面粘着テープ部の一部が前記可撓性フィルム部の周辺部に接着している、
上記(1)~(3)の何れか一つに記載の呼吸補助治療具。
(5)
新生児の陥没呼吸の呼吸を補助することを特徴とする、
上記(1)~(4)の何れか一つに記載の呼吸補助治療具。
本出願で開示する呼吸補助治療具を用いることで、外科的手術を要することなく陥没呼吸や漏斗胸患者の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療ができる。したがって、体に傷が残らず、また、新生児の段階で陥没呼吸や漏斗胸患者の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療が可能となる。
図1Aは第1の実施形態に係る呼吸補助治療具1aの概略を示す正面図、図1Bは図1AのX-X’断面図である。 図2Aは、図面代用写真で、患者の胸郭で陥没しやすい箇所(a~e)を示している。図2Bは、3点曲げ強度を場所によって異なるようにする場合の治療具1の例を示している。 図3Aは第2の実施形態に係る呼吸補助治療具1bの概略を示す正面図、図3Bは図3AのX-X’断面図である。 図4Aは第3の実施形態に係る呼吸補助治療具1cの概略を示す正面図、図4Bは図4AのX-X’断面図である。 図5Aは第4の実施形態に係る呼吸補助治療具1dの概略を示す正面図、図5Bは図5AのX-X’断面図である。 図6は図面代用写真で、図6Aは治療具を貼る前の患者の写真である。図6Bは比較例1、図6Cは実施例1、図6Dは実施例2、図6Eは実施例3、の治療具を患者に貼り付けた写真である。 図7は図面代用写真で、図7Aは治療具を貼る前の患者の写真である。図7Bは比較例2の治療具を患者に貼り付けた写真である。図7Cは実施例4の治療具を患者に貼り付けた写真で、図7C’は実施例4の治療具を貼り付け更に治療具の周辺部と患者の体をテープで固定した写真である。 図8は図面代用写真で、図8Aは治療具を貼る前の患者の写真である。図8Bは実施例3の治療具を患者に貼り付け更に治療具の周辺部と患者の体をテープで固定した写真である。図8Cは、15日間経過後、治療具を取り除いた後の写真である。 図9は図面代用写真で、図9Aは治療具を貼る前の患者の写真である。図9Bは実施例3の治療具を患者に貼り付け更に治療具の周辺部と患者の体をテープで固定した写真である。図9Cは、15日間経過後、治療具を取り除いた後の写真である。
以下、図面を参照しつつ、呼吸補助治療具(以下、単に「治療具」と記載することがある。)の各実施形態について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
(第1の実施形態)
図1Aおよび図1Bを参照して、第1の実施形態に係る治療具1aについて説明する。図1Aは治療具1aの概略を示す正面図、図1Bは図1AのA-A’断面図である。
治療具1aは、可撓性フィルム部2を少なくとも含んでいる。可撓性フィルム部2は、25℃における3点曲げ強度が、0.74N~4.05Nであることが好ましい。可撓性フィルム部2の3点曲げ強度が0.74Nより小さい、換言すると、可撓性フィルム部2が柔らかすぎると、治療具1aを患者に貼り付けた時に胸郭の陥没した部分を引っ張ることができず、胸郭の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療(以下、胸郭の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療を単に「治療」と記載することがある。)効果が得られない。一方、可撓性フィルム部2の3点曲げ強度が4.05Nより大きい、換言すると、可撓性フィルム部2が硬すぎると、治療具1aを患者の体に沿って貼り付けることができず、治療効果が得られない。
なお、本明細書において、「3点曲げ強度」とは、以下の条件で測定した測定値(N)を示す。
<装置および測定条件>
(1)試験機:インストロン5566 ロードセル500N
(2)冶具:3点曲げ冶具
(3)支点間距離:9.4mm
(4)試験速度:0.33mm/min
(5)試験温度:25℃
<試験片>
(1)試験片の形:平行部の幅25mm、長さ33mm
(2)試験片の作製方法:フィルムをハサミにより裁断
<測定値>
支点間距離(9.4mm)の中央部に上から応力を加えたとき、試験片を2mm撓ませるのに必要な力。
可撓性フィルム部2の材料は、上記の3点曲げ強度が得られれば特に制限はない。例えば、汎用プラスチック、エンジニアリング・プラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック等、従来から使用されている熱可塑性樹脂が挙げられる。具体的には、汎用プラスチックとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、スチレンアクリロニトリルコポリマー(AS樹脂)、アクリル樹脂(PMMA)等が挙げられる。エンジニアリング・プラスチックとしては、ナイロンに代表されるポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、環状ポリオレフィン(COP)等が挙げられる。スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられる。これら樹脂は、1種或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、樹脂には、炭素繊維、ガラス繊維、グラスウール等の補強材が含まれていてもよい。
可撓性フィルム部2は、上記材料を加熱してフィルム状に延伸することで作製できる。そして、3点曲げ強度は、フィルムの厚さで調整できる。なお、フィルムが厚すぎると、患者に服等を着せる際に邪魔になる。したがって、可撓性フィルム部2の厚さは、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下が更に好ましい。また、図1Bに示す第1の実施形態では、可撓性フィルム部2は単層で形成されているが、多層としてもよい。また、可撓性フィルム部2の形状は、患者に貼ることができれば特に制限はなく、正方形や長方形等の多角形、楕円等が挙げられる。
可撓性フィルム部2の3点曲げ強度は、場所に関係なく同じ、或いは、場所によって異なるようにしてもよい。場所に関係なく同じにする場合は、例えば、可撓性フィルム部2を同じ材料で同じ厚さとなるように作製すればよい。また、場所によって異なるようにする場合は、例えば、可撓性フィルム部2を同じ材料で作製するが場所により厚さを変える、或いは、場所により材料を変えることで作製できる。
図2を参照して、3点曲げ強度が場所によって異なる例について説明する。図2Aは、患者の胸郭で陥没しやすい箇所(a~e)を示している。例えば、胸郭中央(b)、季肋部(d、e)、側胸部・肋間(a、c)に相当する部分等が、比較的陥没し易い箇所である。3点曲げ強度を場所によって異なるようにする場合、可撓性フィルム部2の周辺部と陥没し易い箇所は、他の部分と比較して3点曲げ強度の値を大きくする(撓み難くする)ことが望ましい。図2Bは、3点曲げ強度を場所によって異なるようにする場合の治療具1の例を示している。図2Bに示す例では、可撓性フィルム部2の周辺部および中央部と比較して、相対的に3点曲げ強度の値が小さい(撓み易い)領域21を2カ所設けている。図2Bのa~eは、図2Aのa~eに相当することから、胸郭の陥没し易い箇所は3点曲げ強度の値が相対的に大きい部分で覆われることになる。なお、図2Bは、3点曲げ強度が場所によって異なる例の一例を示しているに過ぎず、撓み易い領域21の数は1、3、4以上であってもよい。また、撓み易い領域21の形状も、三角形、四角形等の多角形、円、楕円等、任意の形状であってもよい。なお、図2Bに示す例では、撓み易い領域21は、可撓性フィルム部2の内部に形成されているが、一部は可撓性フィルム部2の周辺部まで延長していてもよい。換言すると、3点曲げ強度を場所によって異なるようにする場合は、可撓性フィルム部2の一部、好ましくは可撓性フィルム部2の内部(周辺部より内側)に、周辺部より相対的に撓み易い領域21を少なくとも1カ所設ければよい。図2Bに示す実施形態の場合、陥没がおこりにくい箇所を撓み易い領域21で形成することで、心臓超音波検査や聴診がし易くなり、治療中の患者の診断がし易くなるという効果も得られる。
第1の実施形態の治療具1aを用いて陥没呼吸や漏斗胸の治療を行う際には、例えば、可撓性フィルム部2に両面粘着テープを貼り、患者の胸郭の陥没が少ないタイミングをみて、治療具1aを貼り付ければよい。両面粘着テープは、医療分野で一般的に用いられているものであれば特に制限はないが、治療具1aは患者に長期間貼り付ける。したがって、粘着材料は汗等を吸収し、肌荒れが起こりにくいものが好ましく、例えば、ハイドロコロイド等が挙げられる。また、治療具1aを使用する際には、胸郭の形状や患者の大きさ等により、可撓性フィルム部2をハサミ等で好適な形状となるように切断してもよい。治療具1aは、汗等により粘着力が落ちたり、患者の治療効果の確認のため治療具1aを外した際に交換すればよい。交換するタイミングは特に制限はないが、例えば、1週間~2週間に一回交換をすればよい。交換の際に治療効果を確認し、継続治療が必要と判断した場合は、新たな治療具1aを貼り付ければよい。なお、可撓性フィルム部2を皮膚に対して粘着性がある材料で作製した場合は、両面粘着テープを用いず、そのまま、患者に貼り付けてもよい。
(第2の実施形態)
図3Aおよび図3Bを参照して、第2の実施形態に係る治療具1bについて説明する。図3Aは治療具1bの概略を示す正面図、図3Bは図3AのX-X’断面図である。
第2の実施形態に係る治療具1bは、可撓性フィルム部2の一方の面に、粘着層3、剥離シート4が形成されている点で第1の実施形態と異なり、その他の点は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では、治療具1aを使用する際に両面粘着テープを用いる必要があるが、第2の実施形態の治療具1bは予め粘着層3が形成されている。そのため、使用の際には、剥離シート4を剥離すれば、直ぐに治療具1bを使用できる。
粘着層3を形成する材料は、第1の実施形態の粘着材料と同じ材料を用いることができる。また、剥離シート4は、テープ等の分野で用いられている公知の剥離シートを用いることができる。
(第3の実施形態)
図4Aおよび図4Bを参照して、第3の実施形態に係る治療具1cについて説明する。図4Aは治療具1cの概略を示す正面図、図4Bは図4AのX-X’断面図である。
第3の実施形態に係る治療具1cは、可撓性フィルム部2に通気用の孔5が形成されている点で第1の実施形態と異なり、その他の点は、第1の実施形態と同様である。第1の実施形態で説明したとおり、治療具1cは患者に長期間貼り付ける。そのため、可撓性フィルム部2に孔5を設けることで、汗等を治療具1cから逃すことができる。
孔5の大きさは、通気機能を有し、3点曲げ強度に大きな影響を与えないサイズであれば特に制限はなく、例えば、1μm~2mm程度の大きさであればよい。なお、第3の実施形態の場合、可撓性フィルム部2の3点曲げ強度は、孔5が形成された時の値が0.74N~4.05Nとなればよい。前記の3点曲げ強度の値の範囲内であれば、孔5の数に制限はなく複数形成してもよい。
また、第1の実施形態と同様、可撓性フィルム部2の3点曲げ強度を、場所に関係なく同じ、或いは、場所によって異なるようにしてもよい。第3の実施形態の場合、孔5を同じ大きさで等間隔に形成することで、可撓性フィルム部2の3点曲げ強度を場所に関係なく同じにできる。また、孔5の大きさ、配置等を変えることで、可撓性フィルム部2の3点曲げ強度を、場所によって異なるようにできる。
第3の実施形態の治療具1cは、第1の実施形態と同様、両面粘着テープを使用して治療に用いればよい。その際、必要に応じて、両面粘着テープとは反対側から孔5に針等を刺すことで、孔5に面する両面粘着テープに孔をあけてもよい。また、第3の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせてもよい。第3の実施形態の治療具1cに粘着層3を形成する場合、孔が形成されていない粘着層3を用いてもよいし、孔5に面する粘着層3に孔を設けてもよい。
(第4の実施形態)
図5Aおよび図5Bを参照して、第4の実施形態に係る治療具1dについて説明する。図5Aは治療具1dの概略を示す正面図、図5Bは図5AのX-X’断面図である。
第4の実施形態に係る治療具1dは、可撓性フィルム部2の周辺部に片面粘着テープ部6および剥離シート4が形成されている点で第1の実施形態と異なり、その他の点は、第1の実施形態と同様である。
第1の実施形態では、両面粘着テープを用いて患者に治療具1aを貼り付けているが、治療中に治療具1aの周辺部が患者の体から剥がれ難くするため、治療具1aの周辺部と患者とを、粘着テープを用いて固定する場合がある。第4の実施形態に係る治療具1dでは、片面粘着テープ部6の一部を可撓性フィルム部2に接着し、その他の部分には剥離用シート4が積層されている。したがって、治療具1dを使用する際には、剥離シート4を剥離することで、治療具1dの周辺部と患者とを、迅速に固定することができ、別途片面粘着テープを準備する必要がない。
図5Aおよび図5Bに示す例では、可撓性フィルム部2の周辺部の全てに片面粘着テープ部6が形成されているが、片面粘着テープ部6は周辺部の一部に形成されていてもよい。例えば、相対する辺(図5Aの左右、または上下)のみに片面粘着テープ部6を形成してもよいし、可撓性フィルム部2の角部分のみに片面粘着テープ部6を形成してもよい。
なお、図5Aおよび図5Bは、第1の実施形態に示した治療具1aに片面粘着テープ部6を設けた例を示しているが、第2の実施形態の治療具1bおよび第3の実施形態の治療具1cに片面粘着テープ部6を形成してもよい。
以下に実施例を掲げ、実施形態を具体的に説明するが、この実施例は単にその具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は、発明の範囲を限定したり、あるいは制限するものではない。
<実施例1~4および比較例1~2>
[可撓性フィルムの準備]
一方の面にハイドロコロイド層を形成した厚さの異なるポリエチレンテレフタレート製のフィルムを準備した。サイズは以下のとおりである。なお、以下において、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムが薄い方をソフト、厚い方をハードと記載する。
<ソフト>
ハイドロコロイド層(365μm)+ポリエチレンテレフタレートフィルム(25μm)、サイズ:10cm×10cm
<ハード>
ハイドロコロイド層(365μm)+ポリエチレンテレフタレートフィルム(75μm)、サイズ:10cm×10cm
[治療具の作製]
準備した可撓性フィルムをそのまま用いる、或いは、重ねることで、以下の治療具を作製した。
・実施例1:ハード1枚
・実施例2:ソフト2枚
・実施例3:ハード2枚
・実施例4:ハード2枚+ソフト1枚
・比較例1:ソフト1枚
・比較例2:ハード2枚+ソフト2枚
[治療具の貼り付け実験]
実施例1~4および比較例1~2で作製した治療具の貼り付け実験を行った。なお、患者負担の関係上、実施例1~3及び比較例1は生後0ヶ月の陥没呼吸があり、漏斗胸もみられる患者で行い、実施例4および比較例2は生後0ヶ月の別の陥没呼吸があり、漏斗胸もみられる患者で行った。
図6Aは治療具1を貼る前の患者の写真である。図6Bは比較例1、図6Cは実施例1、図6Dは実施例2、図6Eは実施例3、の治療具1を患者に貼り付けた写真である。図6Aの〇で示すように、治療具1を貼る前の患者の胸郭には大きな陥没が認められた。また、図6Bに示すように、比較例1の治療具1を患者に貼り付けた場合は、胸郭の陥没の軽減は殆ど見られなかった。一方、図6C乃至図6Eに示すように、実施例1乃至3の治療具1を患者に貼り付けた場合には、胸郭の陥没の軽減が見られた。
図7Aは治療具1を貼る前の患者の写真である。図7Bは比較例2の治療具1を患者に貼り付けた写真である。図7Cは実施例4の治療具1を患者に貼り付けた写真で、図7C’は実施例4の治療具1を貼り付け更に治療具1の周辺部と患者の体をテープで固定した写真である。図7Aの〇で示すように、治療具1を貼る前の患者の胸郭には大きな陥没が認められた。また、図7Bに示すように、比較例2の治療具1を用いた場合、治療具1が硬すぎ、患者の体に沿って治療具1を貼り付けることができなかった。一方、図7Cに示すように、実施例4の治療具1を用いた場合は、治療具1の周辺部がやや浮いた状態となったが、患者の体に治療具1を貼り付けることができ、更に、図7C’に示すように、治療具1の周辺部と患者の体をテープで固定すると、治療具1全体を患者の体に沿って貼り付けることができた。また、実施例4の治療具1を患者に貼り付けた場合には、胸郭の陥没の軽減が見られた。
[実施例1~4の治療具の3点曲げ強度試験]
次に、患者の体に沿って貼り付けることができ且つ陥没の軽減が見られた実施例1~4の治療具1の3点曲げ強度を調べた。実験は以下の条件で行った。
<装置および測定条件>
(1)試験機:インストロン5566 ロードセル500N
(2)冶具:3点曲げ冶具
(3)支点間距離:9.4mm
(4)試験速度:0.33mm/min
(5)試験温度:25℃
<試験片>
実施例1~4で作製した治療具を、ハサミで以下の大きさに裁断した。
(6)試験片の形:平行部の幅25mm、長さ33mm
<測定値>
支点間距離(9.4mm)の中央部に上から応力を加えたとき、試験片を2mm撓ませるのに必要な力を測定値(N)とした。
試験結果を表1に示す。なお、試験片は各実施例とも6個準備し、結果は6個の試験結果の平均値である。
Figure 0007219946000001
以上の結果より、可撓性フィルム部2の25℃における3点曲げ強度が、0.74N~4.05Nの場合に、治療具1を患者に貼り付けることができ、胸郭の陥没を軽減(治療)できることを確認した。
[治療具を使用した際の効果の確認1]
次に、実施例3で作製した治療具1を用いた際の効果について確認を行った。図8Aは治療具1を貼る前の患者の写真である。図8Bは実施例3の治療具1を患者に貼り付け更に治療具1の周辺部と患者の体をテープで固定した写真である。図8Cは、15日間経過後、治療具1を取り除いた後の写真である。図8Aの〇で示すように、治療具1を貼る前の患者の胸郭には大きな陥没が認められた。しかしながら、図8Bに示すように、治療具1を患者に貼り付けることで、陥没の軽減を確認した。また、治療具1を患者に貼り付けた後は、患者の呼吸時に胸郭の陥没が少なくなり、また、呼吸苦の軽減が観察されたことから、治療具1が呼吸の補助をすることを確認した。更に、図8Cに示すとおり、15日経過後に胸郭の陥没は殆ど解消したことから、治療具1を継続使用することで、陥没呼吸や漏斗胸患者の治療ができることを確認した。
次に、実施例3に代え、実施例1の治療具1を異なる患者で実施した以外は、上記と同様の手順で治療具1を使用した際の効果について確認を行った。図9Aは治療具1を貼る前の患者の写真である。図9Bは実施例1の治療具1を患者に貼り付けた写真である。図9Cは、40日間経過後、治療具1を取り除いた後の写真である。図9Aの〇で示すように、治療具1を貼る前の患者の胸郭には大きな陥没が認められた。しかしながら、治療具1を貼り付けることで、上記と同様、患者の胸郭の陥没の軽減、呼吸の補助、治療できることを確認した。
[治療具を使用した際の効果の確認2]
次に、実施例3の治療具1を異なる患者に用いた際の呼吸機能の検査を行った。呼吸機能の検査には、株式会社アイビジョン社製 ARFEL IIIを用い、治療具1の貼付前後で測定を行った。なお、測定項目は以下の通りである。
●肺活量:CVC(ml/kg)
成人の努力肺活量に相当する。治療具1の貼付後に、数値が大きくなれば呼吸機能が上昇したと評価できる。
●肺コンプライアンス:Crs(ml/cmH2O/kg)
肺の柔らかさを示すパラメータであり、肺が硬い状態であると低値で、柔らかい状態では高値となる。治療具1の貼付後に、数値が大きくなれば呼吸機能が上昇したと評価できる。
●最大吸気圧:MIP(cmH2O)
呼吸(吸気)をする力を表す。治療具1の貼付後に、数値が小さくなれば呼吸機能が上昇したと評価できる。
●呼吸抵抗:Rrs(cmH2O/l/sec・kg)
気道の狭さを表す。気道内が相対的に狭窄している状態では高値を示す。治療具1の貼付後に、数値が小さくなれば呼吸機能が上昇したと評価できる。
表2に治療具1の貼付前と貼付後の、各測定項目の測定値を示す。表2から明らかなように、治療具1を患者に貼付けることで、何れの測定項目でも呼吸機能の上昇がみられ、治療具1を貼付することが呼吸の補助となることが示唆された。
Figure 0007219946000002
以上の結果より、実施形態に示す治療具1を用いることで、陥没呼吸や漏斗胸患者に外科的手術を施すことなく、胸郭の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療できることを確認した。
本明細書で開示する治療具を用いることで、外科的手術を要することなく、陥没呼吸や漏斗胸患者の胸郭の陥没の軽減、呼吸の補助および/または治療ができる。したがって、医療機器産業にとって有用である。
1、1a、1b、1c、1d…呼吸補助治療具、2…可撓性フィルム部、3…粘着層、4…剥離シート、5…通気用の孔、6…片面粘着テープ、21…撓み易い領域

Claims (4)

  1. 陥没呼吸または漏斗胸の呼吸補助治療具であって、
    該呼吸補助治療具は、可撓性フィルム部を含み(ただし、可撓性フィルム部が箱形状に形成されることを除く。)
    前記可撓性フィルム部の25℃における3点曲げ強度が、0.74N~4.05Nである、
    呼吸補助治療具。
  2. 前記可撓性フィルム部の一方の面に粘着層が形成されている、
    請求項1に記載の呼吸補助治療具。
  3. 前記可撓性フィルム部に、通気用の孔が形成されている、
    請求項1または2に記載の呼吸補助治療具。
  4. 片面粘着テープ部を更に含み、
    前記片面粘着テープ部の粘着面の一部が前記可撓性フィルム部の周辺部に接着している、
    請求項1~3の何れか一項に記載の呼吸補助治療具。
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