以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。まず、図1及び図2を参照して、実施形態の概略的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るライフアクティブシステムSの概念図である。ライフアクティブシステムSは、仮想通貨管理システムの一例である。図2は、ライフアクティブシステムSの構成図である。以下において、「ライフアクティブ」を「LA」、「ウェルビーイング」を「WB」と記載することがある。
本実施形態において、「ウェルビーイング」とは、ユーザが自己の否定的感情を打ち消し、自己実現感を獲得し、社会(他者)との関係において自己肯定感を獲得することを意味する。自己肯定感は、社会に必要とされ、且つ、社会に役立っていると感じることを含む。
また、「ライフアクティブ」とは、ユーザがカーライフ(車両の所有・運転)を通じて社会と関わり合うことにより、ウェルビーイングの程度(WB値)を高める活動(WB活動)を継続的に行う状態を意味する。そして、ユーザがライフアクティブな状態で生活することにより、人生においてWB活動又はWB体験を累積していくことを「ウェルエージング(well-aging)」と定義することができる。なお、継続的にWB体験を累積することにより、ユーザは、より高次なWB状態に到達可能と考えられる。
また、本実施形態のLAシステムは、ユーザがイベントへ参加してWB活動を行うことに対して、経済的な価値(仮想通貨)が付与されるように構成されている。この仮想通貨は、法定通貨と所定の交換率で交換可能である。したがって、ユーザは、イベントへの参加により、身体的,精神的,社会的な面においてWB値を高めることができると共に、経済的な面においてイベントに参加するインセンティブが与えられる。
図1に示すように、本実施形態のライフアクティブシステムS(LAシステムS)は、ユーザAがイベントEへ参加することを通じて、ユーザAのWB値を高めるためのシステムである。イベントEは、例えば、旅行ツアー、ネイチャーツアー、ミステリーツアー、ボランティア活動等である。イベントEは、アクティビティJ1~J3により構成されている。
イベント提供者Bは、協力者Cの人的、資金的な協力の下で、イベントEを企画・実現させる。協力者Cは、イベント開催地の業者、地域の人々、資金提供者等である。ユーザAは、イベントEに関連して種々の費用を支出する(参加費、ガソリン代、食費等)。イベント提供者B及び協力者Cは、ユーザAの支出により運営費を回収することができる。本実施形態のLAシステムでは、イベントEを介して、A,B,CによりコミュニティDが形成され、コミュニティD内で資金が循環することにより、種々のイベントが繰返し開催されるように構成されている。
次に、図2を参照して、本実施形態のLAシステムSの構成を説明する。LAシステムSは、ユーザAの車両1に搭載された分析装置10と、ユーザAの携帯端末20と、イベント提供者Bの管理装置30とを備えており、これらは無線通信可能に構成されている。分析装置10及び携帯端末20と、管理装置30とは、通信回線(インターネット回線)3を介して無線通信可能である。分析装置10と携帯端末20は、近距離無線通信技術(例えば、ブルートゥース(登録商標))により通信可能である。
分析装置10は、プロセッサ10a、メモリ10b、通信回路10c等を含むコンピュータ装置であり、メモリ10bに記憶された種々のプログラムをプロセッサ10aが実行することにより処理(複数の分析処理を含む)を行うように構成されている。分析装置10は、車両1に搭載された各種のセンサ装置と接続されており、プロセッサ10aは、センサ装置から測定データを受け取り、測定データをメモリ10bに記憶する。また、プロセッサ10aは、測定データを処理して得られた処理データを、通信回路10cを介して管理装置30に送信する。
センサ装置は、ステアリングハンドルに取り付けられた心拍計測装置11と、測位装置12を含む。心拍計測装置11は生体センサ装置の一例である。心拍計測装置11は、運転者(ユーザA)の心拍変動(心電波形)を測定し、測定したデータを生体データ(心拍データ)として出力する。測位装置12は、GPS(Global Positioning System)を利用する衛星測位や、ジャイロセンサ等を利用する自律測位を用いて車両位置を取得する。
なお、生体センサ装置として、心拍計測装置11の代わりに、又は、心拍計測装置11に加えて、抵抗測定装置やカメラを用いてもよい。抵抗測定装置は、ユーザAの皮膚抵抗を測定し、測定したデータを生体データ(抵抗データ)として出力する。皮膚の接触抵抗は発汗状態により変化するため、抵抗データはユーザAの発汗状態を表す。また、カメラは、ユーザAを撮像し、撮像した画像データを出力する。分析装置10は、この画像データを画像分析することにより、ユーザAの瞳孔径、眼球運動、頭部や肩の位置・向きを含む上半身の挙動、ユーザAの顔の表情等の分析結果データを生成することができる。
人は精神的なストレスを感じる緊張状態において、心拍変動を生じ、発汗が促進され、瞳孔径が拡大し、眼球運動の大きさが大きくなる。また、人は緊張状態において、車両の加減速時や旋回時に、頭部や肩の位置・向きを含む上半身の挙動が大きくなる。また、人は緊張状態において、顔の表情(特定の部位の変位距離等)に変化が表れる。
したがって、分析装置10は、上述の生体データを分析することにより、ユーザの精神状態(緊張度)を推定することができる。例えば、分析装置10は、生体データの測定値の大きさ(心拍変動を周波数解析して得られた周波数、皮膚抵抗、瞳孔径、眼球運動、上半身の挙動、顔の特定部位の移動距離)に基づいて、緊張度(例えば、最低0~最高10の範囲)を推定することができる。なお、ユーザAは中程度の最適な緊張度(例えば、緊張度=5)のときに精神的に良好な活性状態にあると判断される。
分析装置10は、生体データに基づいて推定した精神状態の分析結果データ、及び、車両位置データをメモリ10bに随時記憶すると共に、これらデータを車両1を特定する車両識別データと共に管理装置30に送信する。
また、本実施形態では、分析装置10が車両1に搭載されているが、ユーザAが常時携帯可能なように、分析装置10を携帯型の生体情報測定装置として構成してもよい。例えば、分析装置10は、リストバンド型の通信機能付き心拍計測装置であってもよく、この場合、分析装置10は精神状態の分析結果データを管理装置30へ常時送信することができる。
携帯端末20は、プロセッサ20a、メモリ20b、通信回路20c、入出力装置20d、表示装置20e、加速度センサ20f等を含む携帯型のコンピュータ装置である。携帯端末20は、端末装置の一例である。携帯端末20は、メモリ20bに記憶された種々のプログラムをプロセッサ20aが実行することにより、各種の処理を行うように構成されている。本実施形態では、携帯端末20はスマートフォンで構成されており、スマートフォンが本来的に有する音声通信機能及びデータ通信機能を備えている。
また、携帯端末20は、メモリ20bにインストールされた各種アプリケーション(プログラム)を実行することにより、種々のセンサ端末装置として機能する。また、プロセッサ20aは、通信回路20cを介して管理装置30と種々のデータを送受信する。各種のデータには、携帯端末20により送信される分析結果データや、管理装置30により送信されるコマンド等が含まれる。
入出力装置20dは、キーボード又はタッチセンサ式の入力装置、マイク、スピーカ等を含む。なお、携帯端末20は、PDAのような携帯情報端末や、専用の小型コンピュータ装置であってもよい。
携帯端末20は、通信関連のアプリケーションにより、通信装置として機能する。携帯端末20は、通話機能、電子メール機能、SNS通信機能(例えば、Facebook(登録商標)、インスタグラム(登録商標)、LINE(登録商標)等)、インターネット回線3を介してウェブサイトにアクセスするためのブラウザ機能を有する。
また、携帯端末20は、音声分析用のアプリケーションにより、音声分析装置として機能する。音声分析装置は、分析装置の一例である。携帯端末20は、ユーザAが発した所定期間(例えば、2~6秒間)の音声を分析して、ユーザの精神状態を推定する。当該音声は、生体データの一例である。
人が発する音声は、人がコントロールできる随意的要素と、脳の情動(emotion)に関連する不随意的要素を含んでいる。すなわち、声帯は脳の情動をつかさどる部位と迷走神経でつながっており、脳での情動が声帯の動きに影響を及ぼす。したがって、脳の情動が、音声パラメータ(基本周波数、音圧、ピッチ周波数、周波数分布、速度、強度変化等)に影響を及ぼす。
本実施形態では、携帯端末20は、所定の音声パラメータ(本例では、基本周波数の大きさ、基本周波数での強度)と各感情(本例では、喜び、悲しみ、安心、怒り)の相関関係を示すテーブルをメモリ20bに記憶している。携帯端末20は、このテーブルに基づいて音声を分析することにより、各感情の割合を推定するように構成されている。各感情の割合の合計値は一定(例えば、100%)である。
また、携帯端末20は、所定の音声パラメータ(本例では、ピッチ周波数)を所定値と比較することにより、興奮の度合い(興奮度:例えば、最低0~最高10の範囲)を推定し、興奮度と各感情の推定割合とを乗じて各感情の強度を推定する。なお、ピッチ周波数は、同じ周波数成分の繰返し頻度である。ピッチ周波数が所定値よりも大きいほど、興奮度は大きくなる。
心身が健全なほど、負の感情(悲しみ、怒り)よりも正の感情(喜び、安心)の強度が大きくなる。携帯端末20は、例えば、各感情に設定された係数と各感情の推定強度とを乗じて得られた数値を合計し、この合計値に基づいて心の活性度(又は健全度)を算出するように構成されている。例えば、正の感情のための係数は正の値(>0)であり、負の感情のための係数は負の値(<0)とすることができる。心の健全度は、例えば、0(最低)~100(最高)の範囲で表現することができる。
音声分析装置としての携帯端末20は、常時、ユーザAの発する音声をマイクを介して収音する。また、携帯端末20は、断続的に(所定時間毎に(例えば、10分毎)、及び管理装置30からのコマンドに応答して)、ユーザに対して発話を促す質問(例えば、「アクティビティはいかがでしたか?」)をスピーカから発する。そして、携帯端末20は、この質問に応答してユーザAが発した音声を収音する。携帯端末20は、取得した音声を分析して、ユーザAの精神状態を表す分析結果データを生成するとともに、当該分析結果データを生成時間と共にメモリ20bに記憶する。なお、この音声分析装置としての機能は、携帯端末20に加えて車両1の分析装置10に設けられていてもよい。なお、このような音声分析用のアプリケーションは、例えば、PST株式会社から「MIMOSYS(登録商標)」という製品名で提供されている。
また、携帯端末20は、測位用のアプリケーションにより、測位装置として機能する。携帯端末20は、周囲の通信局との通信に基づいて、又は、GPSを利用した衛星測位に基づいて、携帯端末20の現在位置を取得し、現在位置データとしてメモリ20bへ記録する。携帯端末20は、所定時に管理装置30へ現在位置データを送信する。管理装置30は、現在位置データに基づいて、ユーザAの移動軌跡を追跡することにより、行動ログデータを生成することができる。
また、携帯端末20は、通信分析用のアプリケーションにより、通信分析装置として機能する。携帯端末20は、ユーザAが上述の電子メール機能、SNS通信機能、ブラウザ機能を用いて送信したテキストデータを自然言語処理により分析する(テキストマイニング)。また、携帯端末20は、ユーザAが送信したデータに対する友人等からの応答(例えば、メール返信、「いいね」等の評価、コメント投稿等)を同様に分析してもよい。携帯端末20は、分析結果を管理装置30に送信する。
通信分析装置としての携帯端末20は、アプリケーションの一部である表現テーブルに基づいて、ユーザが送受信又は投稿したテキストデータから、精神状態を表す特定の単語(「楽しい」、「嬉しい」、「悲しい」、「つらい」等)を抽出する。さらに、携帯端末20は、これら単語の出現頻度等からユーザの精神状態を分析し、その分析結果に基づいて分析結果データを生成する。表現テーブルには、喜怒哀楽のそれぞれに対応して多数の表現が記憶されている。よって、分析結果データには、送信時におけるユーザの「喜び」、「悲しみ」、「安心」、「怒り」の4つの感情の割合や、それぞれの強度に関する情報が含まれる。なお、携帯端末20は、ユーザが送信又は投稿する画像データから精神状態を分析してもよい。
また、携帯端末20は、挙動測定用のアプリケーションにより、挙動測定装置として機能する。携帯端末20は、加速度センサ20fから受け取る測定データに基づいて、ユーザが携帯端末20を所持しながら移動する際に、加速度及びジャーク(躍度)を計算する。得られた加速度及びジャークは、挙動データとしてメモリ20bへ記録される。携帯端末20は、所定時に管理装置30へ挙動データを送信する。
管理装置30は、プロセッサ30a、メモリ30b、通信回路30c、入出力装置30d、表示装置30e等を含むコンピュータ装置(サーバ装置)であり、メモリ30bに記憶されたプログラムをプロセッサ30aが実行することにより、各種の処理を行うように構成されている。メモリ30bには、プログラムに加えて、イベント提供者が提供する各種イベントのイベントデータが記憶される。イベントデータには、イベントの日程、開催場所、内容、参加者等に関する情報が含まれる。管理装置30は、参加者(ユーザA)の分析装置10及び携帯端末20からデータを受信する。また、管理装置30は、受信データ及びイベントデータに基づいて、分析装置10及び携帯端末20へ所定の情報及びコマンドを送信する。
また、管理装置30のメモリ30bには、ユーザA(及びイベント関係者)のユーザデータが記憶される。ユーザデータには、ユーザAの個人データ(年齢、性別、住所、車両識別情報、携帯端末情報等)、行動ログデータ、各種データ(測位データ、感情データ、現在位置データ、挙動データ、推定WB値)、仮想通貨データ等が含まれる。仮想通貨データは、ユーザAが所持する仮想通貨の量(額)を表す。
次に、図3Aを参照して、イベントE(例えば、1日地域体験ツアー)に参加したユーザの行動とWB値の時間的変化について説明する。図3Aは、WB値の時間変化を示すグラフである。図3Aに示される期間は、ユーザAがイベントEに参加する前の準備期間P1(例えば、3週間)、ユーザAがイベントEに参加している行動期間P2(例えば、1日)、イベントEの終了後の醸成期間P3(例えば、4週間)、及び定着期間P4(例えば、3ヵ月)の各期間を含む。
イベントEは、ユーザAが仲間や触れ合った人々との交流を通じて様々な体験をすることにより、ユーザAのWB値を高めるように企画される。ユーザAは、車両1を利用して開催場所まで移動し、イベントEにおいてアクティビティ(コンテンツ)を楽しむ。そして、ユーザAは、イベントEの終了後に車両1を利用して帰宅する。開催場所が複数個所にまたがる場合には、ユーザAは車両1を用いて開催場所の間を移動する。
一般に、日常生活では、ユーザAはWBな感覚を得にくい状態にある(すなわち、WB値は低い状態にある)。ユーザAは準備期間P1中にイベントEの情報に接する(時刻t0)。準備期間P1は、ユーザAが日常生活とは異なる非日常的なイベントEへ参加するための準備を行う期間である。
ユーザAがイベントEの情報に接して、ユーザA内にイベントEへ参加したいという気分が醸成されると、この気分は、ユーザAの自己否定的な感情を打ち消すように働く。このため、ユーザAのWB値は上昇する。ユーザAは、WB値が通常よりも高くなった状態で参加申込データを携帯端末20から管理装置30に送信する(時刻t1)。
準備期間P1において、ユーザAは、携帯端末20の通信機能(例えば、SNS通信機能、電子メール機能)を用いて、イベントEへの参加を友人へ知らせることができる。すなわち、ユーザAは、イベントEへの期待感をテキストデータや画像データを用いて表現し、この表現をインターネット回線3を介して送信することができる。これにより、ユーザA内では、期待感が膨らむと共に、友人への告知により自己実現感(イベントEを仮想体験する)が満たされていく。このようにして、準備期間P1において、ユーザAのWB値は通常よりも高い状態に維持される。このとき、携帯端末20(通信分析装置)は、ユーザAが送信したデータや応答内容を分析し、分析結果データを管理装置30に送信する。また、携帯端末20(音声分析装置)は、所定時間毎に及び管理装置30からのコマンドに基づいて、ユーザAの音声を分析して、分析結果データを送信する。管理装置30は、受信した分析結果データをWB値の推定に用いることができる。
行動期間P2において、ユーザAが車両1を運転してイベント開催場所へ向かう際(時刻t2)には、自己否定的な感情が更に打ち消されると共に、ユーザの自己実現感が徐々に満たされることからWB値は上昇する。管理装置30は、車両1の分析装置10及び携帯端末20(音声分析装置)が運転中に生成した分析結果データを受信し、受信した分析結果データをWB値の推定に用いることができる。
開催場所に到着後、ユーザAは、イベントEを構成する3つの主要なアクティビティ(コンテンツ)J1,J2,J3を体験する(時刻t3、t4、t5)。各アクティビティ(例えば、地元の名産品作り、農産物収穫体験等)において、ユーザAには自己実現感と共に自己肯定感が湧き起こり、WB値は極大値をとる。なお、1つのアクティビティが終了すると、極大化したWB値は、時間の経過と共に徐々に低下するが、次のアクティビティでWB値は再び極大化する。
また、行動期間P2において、管理装置30は、イベントデータ(及び必要であれば、ユーザAの現在位置データ)に基づき、各アクティビティの終了後に、ユーザAの携帯端末20へ個別質問データを送信する。この個別質問データは、各アクティビティJ1,J2,J3に対するユーザAの満足度を調査するためのものである。ユーザAは、携帯端末20を入力操作して、個別質問データが含む複数の質問に回答することにより個別評価データを作成し、この個別評価データを返信することができる(時刻t3、t4、t5)。
複数の質問は、ユーザAが各アクティビティを通じて、どの程度の達成感、自己実現感、自己肯定感等を得たのかを個別評価データから推定することができるように設定される。具体的には、質問は、例えば、「このアクティビティを他人に勧めたいですか」、「このアクティビティにもう一度参加したいですか」、「このアクティビティを経験して満ち足りた気分ですか」、「このアクティビティで人に役立ちましたか」のように設定される。
個別評価データには、各質問に対する、ユーザの主観的な満足度の評価レベルが含まれる。ユーザAは、例えば、各質問に対して、主観的な評価レベルを複数の選択肢から選択することができる。選択肢は、例えば、「非常に良い(100点)」、「良い(75点)」、「普通(50点)」、「悪い(25点)」、「非常に悪い(0点)」である。また、評価形式は、100点(「非常に良い」)から0点(「非常に悪い」)の間でユーザが評価のレベルを選択する形式であってもよい。
管理装置30は、ユーザAの携帯端末20から個別評価データを受信すると、この個別評価データをWB値の推定に用いることができる。例えば、複数の質問についての評価レベルの平均点が大きいほど、WB値が高いと推測される。個別評価データは、アクティビティに対するユーザAの主観的な評価の度合いである。
また、管理装置30は、個別質問データの送信に合わせて(例えば、個別質問データの送信から所定時間以内、ユーザAからの個別評価情報の受信時から所定時間以内等)、携帯端末20に対して音声分析用のコマンドを送信してもよい。携帯端末20は、このコマンドを受信すると、ユーザAに対して質問を発した後、ユーザの音声データを取得し、この音声データを分析して精神状態を推定する。携帯端末20は、分析結果データを管理装置30へ返信する。管理装置30は、受信した分析結果データをWB値の推定に用いることができる。
また、ユーザAは、携帯端末20の通信機能(特に、SNS通信機能)を用いて報告データを送信し、各アクティビティでの感動を友人と共有することができる。すなわち、ユーザAは、各アクティビティで得た感動や満足感をテキストデータや画像データを用いて表現し、この表現をインターネット回線3を介して報告データとして送信することができる。このような送信行動によって、ユーザAのWB値は減衰せずに高い状態に維持される。ユーザAの友人等は、自身の携帯端末等の通信機能を用いて当該報告データにアクセスするとともに、「いいね」評価を付与することができる。「いいね」評価は、肯定的評価の一例である。また、上述と同様に、管理装置30は、携帯端末20(通信分析装置)から送信データに対する分析結果データを受信し、この分析結果データをWB値の推定に用いることができる。
行動期間P2において、ユーザAが車両1を運転してアクティビティ間を移動する場合にも、管理装置30は、車両1の生体センサ装置及び携帯端末20(音声分析装置)から分析結果データを受信し、受信した分析結果データをWB値の推定に用いることができる。
イベントEが終了すると、ユーザAは車両1を運転して帰宅し(時刻t6)、再び日常生活に戻る。ユーザAは、帰宅中において、イベントEの思い出を振り返りながら、自己実現感や自己肯定感に浸ることができる。管理装置30は、車両1の各種の生体センサ装置及び携帯端末20(音声分析装置)が運転中に生成した分析結果データを受信し、受信した分析結果データをWB値の推定に用いることができる。
醸成期間P3において、ユーザA内にはイベントEの記憶が鮮明に残っており、ユーザAはイベントEを依然として身近な存在と感じている。醸成期間P3において、獲得したポジティブな感情(自己実現感、自己肯定感)がユーザA内で整理されると共に、イベントEで触れ合った人々への感謝の念が醸成される。しかしながら、イベントEへの参加によって高い状態に達したWB値は、醸成期間P3において時間と共に徐々に低下していく。
醸成期間P3において、管理装置30は、イベントEの終了から第1所定期間経過後(例えば、数日~1週間後)に、ユーザAの携帯端末20へ全体質問データを送信する(時刻t7)。この全体質問データは、ユーザAへイベントEに対する全体的な満足度を調査するためのものである。ユーザAは、携帯端末20を入力操作して、上述の個別質問データと同様に、全体質問データが含む複数の質問に回答することにより全体評価データを作成し、この全体評価データを返信することができる(時刻t7)。
全体質問データの形式は、上述の個別質問データの形式と同様である。質問は、例えば、「このイベントを他人に勧めたいですか」、「このイベントにもう一度参加したいですか」、「このイベントを経験して満ち足りた気分ですか」、「このイベントで人に役立ちましたか」のように設定される。管理装置30は、ユーザAの携帯端末20から全体評価データを受信すると、この全体評価データをWB値の推定に用いることができる。全体評価データは、イベントEに対するユーザAの主観的な評価の度合いである。また、管理装置30は、個別質問データと同様に、全体質問データの場合にも、音声分析のためのコマンドを送信してもよい。このコマンドに応じて、携帯端末20は、音声分析処理を実行して、分析結果データを管理装置30へ返信することができる。
また、醸成期間P3において、管理装置30は、イベントEが終了してから第2所定期間経過後(例えば、1週間~数週間後)に、ユーザAの携帯端末20にフォローアップデータを送信する(時刻t8)。フォローアップデータは、イベント関係者へ感謝の気持ちを伝える機会をユーザAに与えるために送信される。ユーザAは、携帯端末20を入力操作することにより、フォローアップデータに応答して、感謝の気持ちを表す感謝伝達データを返信することができる。イベント関係者とは、イベントEを運営するスタッフ、ボランティアスタッフ、地域住民等、であり、管理装置30のメモリ30bに予め記憶されている。
ユーザAは、フォローアップデータに含まれる複数の回答項目に回答することにより感謝伝達データを作成することができる。回答項目は、例えば、感謝する対象者を特定する項目(場所、時間、性別、キーワード等)、感謝の度合い(「高」、「中」、「低」等)を特定する項目等が含まれる。回答項目が、ユーザAによりコメントを入力可能な項目や、後述する仮想通貨の譲渡量を特定する項目を含んでいてもよい。したがって、感謝伝達データには、感謝すべき対象者と、対象者に対する感謝の度合い等が含まれる。
これにより、ユーザAは、これら対象者の連絡先が分からなくても(例えば、躊躇して連絡先を尋ねられなかった)、醸成期間P3において、感謝の気持ちを対象者へ容易に伝えることができるため、ポジティブな感情の整理が促進される。また、ユーザAは、さらなる自己実現感や自己肯定感を得ることもあり得る。なお、感謝すべき対象者が存在しない場合は、ユーザAは感謝伝達データを送信しなくてもよい。
さらに、イベントEが終了してから所定期間が経過した(例えば、2~3ヵ月後)定着期間P4において、管理装置30は、それまでにユーザAが送信した報告データを分析する(時刻t9)。上述のように、携帯端末20は、ユーザAが送信したテキストデータを自然言語処理により分析しているところ(テキストマイニング)、管理装置30は、当該テキストデータに含まれイベントに肯定的な情報について、分析する。ここでの管理装置30による分析結果は、後述するように仮想通貨の付与に用いられる。
次に、本実施形態において、WB値を推定するためのデータ及び推定方法について説明する。本実施形態では、WB値の推定のために、以下に示す低次データから高次データの複数種類のデータを用いることができる。
まず、WB値を推定するために、分析装置10より提供される分析結果データ(低次データ)を用いることができる。この分析結果データは、ユーザAの心拍変動や皮膚抵抗等の測定により得られ、ユーザAの客観的な精神状態を表す。この分析結果データは、ユーザAによる車両1の運転中、常時又は断続的に生成され、送信される。この分析結果データから有意な情報を得るために必要な測定時間は、数秒~数分間である。また、ユーザAの心拍変動等は数秒から1時間程度で変化し得る。このため、得られる情報として意味のある期間(有効期間)は、測定中又は測定時を含む数分~数十分と考えられる。
分析装置10は、生体データに基づいて、ユーザAの精神状態を表す分析結果データを生成し、送信する。また、管理装置30は、受信した分析結果データを用いて測定時間毎のWB値を推定することができる(このWB値を「WBB推定値」という場合がある)。WBB推定値は、例えば、0(WB値が最も低い)~100(WB値が最も高い)の範囲である。例えば、中程度の最適な緊張度(緊張度=5)のときWBB推定値が最も高く推定され(WB値=100)、最適値から離れるに従ってWBB推定値が低く推定される。なお、このWBB推定値は、ユーザAの感情(喜怒哀楽など)と直接的に結びついていない低次の情報である。このため、このWBB推定値は、信頼性が低い場合がある。
また、WB値を推定するために、音声分析装置としての携帯端末20より提供される分析結果データ(中間データ)を用いることができる。この分析結果データは、音声分析装置とユーザAとの間でインタラクティブに発せられるユーザAの音声(生体データ)を分析することにより生成され、ユーザAの感情と直接的に結びついているものである。この分析結果データを生成するために必要な、ユーザAの音声の収音時間は、数秒程度である。また、ユーザAの感情は、典型的には数分から1時間程度で変化し得る。このため、得られる情報の有効期間は、音声の収音時から数十分程度と考えられる。
携帯端末20は、上述のように、ユーザAの感情と直接的に結びついている分析結果データを送信する。管理装置30は、受け取った分析結果データを用いて測定時間毎のWB値を推定することができる(このWB値を「WBV推定値」という場合がある)。WBV推定値は、例えば、WBB推定値の場合と同様に、0~100の範囲である。管理装置30は、例えば、心の健全度(0~100)をWBV推定値として採用することができる。なお、音声分析から推定されるWBV推定値は、ユーザAの感情に直接的に結びついた客観的な推定値であり、一般的に信頼性が高い。しかしながら、例えば、長距離ウォークイベントでは、ゴール地点で大きな達成感が得られるが、ポイント地点間でのウォーキング中では苦しさを伴う。よって、このようなタイプのイベントでは、WBV推定値は、全体として低く推定されてしまうおそれがある。
また、WB値を推定するために、通信分析装置としての携帯端末20により生成される分析結果データ(中間データ)を用いることができる。しかしながら、この分析結果データは、ユーザAの主観的な送信データを分析して得られるので、必ずしもユーザの客観的な精神状態を表していない場合がある(送信データがユーザAの感情と相違する場合等)。なお、ユーザAがSNS通信機能によりコメント等を送信した場合、この送信に対して友人やユーザA自身が更にコメントを送信することがある。このため、ユーザAからの1つの送信に関して、後続の関連する送信を含めて分析する場合には、数分から数日分にわたって分析を継続する必要がある場合がある。このため、得られる情報の有効期間は、ユーザと友人との間で通信を行っている期間にわたる場合がある。
携帯端末20は、上述のように、通信分析処理により精神状態を分析結果データとして出力する。また、管理装置30は、受け取った分析結果データを用いて分析期間毎のWB値を推定することができる(このWB値を「WBC推定値」という場合がある)。WBC推定値は、例えば、WBB推定値の場合と同様に、0~100の範囲である。管理装置30は、例えば、4つの感情について、各感情の割合と、各感情の強度と、各感情に設定された係数を乗算し、これらの合計値をWBC推定値として採用することができる。
また、WB値を推定するために、各アクティビティやイベントに対するユーザAによる評価データ(高次データ)を用いることができる。評価データを得るには、各アクティビティ又はイベントの実施期間の経過が必要である。評価データは、ユーザの主観に基づいているため、生体センサ装置や音声分析装置を用いて得られたデータよりも客観性は低い。しかしながら、評価データの分析により、各アクティビティやイベントEに対する、ユーザAのより高次な精神状態を推定することができる。
管理装置30は、携帯端末20から評価データを受け取り、各質問の合計値に基づいて、WB値を推定する(このWB値を「WBE推定値」という場合がある)。例えば、全質問(全質問でm点満点)の合計点pの満点に対する割合(p/m×100)をWBE推定値とすることができる。
また、WB値を推定するために、行動ログデータ(高次データ)を用いることができる。管理装置30は、ユーザAの行動ログデータから、ユーザAがイベントEに予定されていた各種アクティビティのうちどれだけのアクティビティを体験したのかを分析して、ユーザAの達成感を推定することができる。行動ログデータを得るには、イベントの実施期間の経過が必要である。
管理装置30は、イベントEの終了時点において、イベントEで用意されていた複数のアクティビティのうち、ユーザAが幾つのアクティビティに参加したのかを行動ログから判定する。例えば、イベントEにおいて、用意されたn個のアクティビティのうちm個のアクティビティにユーザAが参加した場合、参加割合(n/m×100)をWB値とすることができる(このWB値を「WBL推定値」という場合がある)。例えば、長距離ウォークイベントのように完走することが目標であるイベントにおいては、行動ログデータを用いたWBL推定値の推定方法が有効である。
さらに、WB値を推定するために、ユーザAの行動ログデータ(高次データ)に基づいて得られるイベント参加履歴データを考慮してもよい。すなわち、イベント参加履歴データは、ユーザAの過去数年間にわたるイベントへの参加回数、参加頻度、参加したイベントのタイプ等を表す。このようなイベント参加履歴データの分析により、数ヶ月から数年間にわたるイベント参加活動に対する、ユーザAのより高次の(社会的な)精神状態を推定することができる。イベントへの繰返しの参加により、ユーザAには繰返し自己実現感が生じて、これが無意識下で積み重なっていく。このような数年間にわたる自己実現感の反復的経験は、ユーザAの人格に良好な影響を与えると考えられる。管理装置30は、ユーザAのイベント参加履歴データを取得し、例えば、参加回数に係数を乗算して累積型のWB値を算出する(このWB値を「WBR推定値」という場合がある)。
上述のように、管理装置30は、原則的に、各単一のデータ(低次データのみ、中間データのみ、高次データのみ)を用いて、WB値(WBB推定値、WBV推定値、WBC推定値、WBE推定値、WBL推定値、WBR推定値)を推定することができる。
これらWB推定値は、用いるデータに応じて、対象期間の時間長さが異なる。例えば、WBB推定値及びWBV推定値では対象期間の時間長さが数秒~数分毎であり、WBC推定値では送信毎であり、WBE推定値では評価毎(すなわち、アクティビティ毎、又はイベント毎)であり、WBL推定値ではイベント毎であり、WBR推定値では数ヶ月~数年である。
また、管理装置30は、これら対象期間の時間長さが異なる複数種類のデータを組み合わせることにより、より実情に即したWB値を推定することができる。すなわち、より高次のデータの確からしさをより低次のデータによって保証することにより、逆に、より低次のデータの確からしさをより高次のデータによって保証することにより、保証されたデータをWB値の推定のために用いることができる。
本実施形態では、WB値の推定において、WBB推定値、WBC推定値、WBE推定値、WBL推定値、WBR推定値を、感情指標としてのWBV推定値で補正するように構成されている。例えば、以下の式でWB値を算出することができる。
WB値=(係数kV×WBV推定値)
+Σ(係数kn×WBn推定値×WBV推定値)+Σ(調整値Mn)
(ただし、n=B,C,E,L,R)
すなわち、WBV推定値に係数kVを乗じて得られた値、各WBn推定値に係数kn及びWBV推定値を乗じて得られた値、及び各WBn推定値に対応する調整値Mnを合計してWB値が算出される。なお、WBV推定値以外の推定値のすべてを用いる必要はない。よって、係数kV,knの値及び調整値Mnの値は、用いるデータの種類の組み合わせに応じて異なって設定することができる。
本実施形態では、複数種類のデータを用いる場合、互いに対応する期間中に得られた複数種類のデータが用いられる。例えば、イベントEのアクティビティJ1についてWB値を推定する場合については、アクティビティJ1の実施期間(時刻t3付近)に測定された複数種類のデータが用いられる。また、イベントE全体についてのWB値を推定する場合には、原則としてイベントEの実施期間(時刻t2~t6)に測定されたデータが用いられる。なお、用いるデータは、期間中の平均値や特定時の値を採用することができる。
次に、図3B、図4及び図5を参照して、イベントEに関連して管理装置30がユーザAに付与する仮想通貨について説明する。図3Bは、ユーザの仮想通貨残高の時間変化を示すグラフである。図4は、醸成期間P3に管理装置30が実行する処理を示すフローチャートである。図5は、定着期間P4に管理装置30が実行する処理を示すフローチャートである。本実施形態のLAシステムSは、所定条件の成立をトリガとして、推定されるWB値に応じて、ユーザAに所定量の仮想通貨(単位を「P」とする)が付与されるように構成されている。
管理装置30は、2種類の属性(減衰型、不変型)のいずれかを仮想通貨に設定する。仮想通貨の属性は、減衰型と不変型との間で変更可能である。減衰型仮想通貨は、時間の経過と共にその量が減少する時間減衰性(例えば、10週間で半減する)を有している。減衰率は、時間に対して線形的又は段階的であってもよいし、指数関数的であってもよい。一方、不変型仮想通貨は、時間が経過しても量が変化しない。
また、減衰型仮想通貨と不変型仮想通貨とは、使用可能な対象が異なる。具体的には、減衰型仮想通貨は、付与後に開催されるイベントへの参加のみに使用することが可能であるのに対し、不変型仮想通貨は、当該イベントへの参加のみならず、予め指定された物品やサービスの購入、法定通貨への換金にも使用することが可能である。
上述のように、準備期間P1において、ユーザAが携帯端末20から参加申込データを管理装置30に送信する際(時刻t1)、イベントに対する期待感の高まりに伴い、ユーザAのWB値は通常よりも高まっていると推測される。管理装置30は、このWB値の高まりに応じてユーザAに仮想通貨を付与する。具体的には、管理装置30は、携帯端末20から参加申込データを受信すると、ユーザAのユーザデータに含まれている仮想通貨データに、所定量(例えば、20P)を加算する。この所定量は、固定値であってもよいし、ユーザAがイベント提供者Bへ支払う参加費に応じた値であってもよい。
また、行動期間P2において、各アクティビティJ1~J3について、管理装置30は、ユーザAから受け取った個別評価データや音声分析による分析結果データに基づいて、WB値を推定し(時刻t3、t4、t5)、推定したWB値に応じて所定量の仮想通貨をユーザAに付与する。例えば、推定したWB値が所定値を超えていれば、所定量(固定量)の仮想通貨がユーザAへ付与される。図3Bでは、アクティビティJ1,J2,J3に対応して、所定量の仮想通貨(例えば、それぞれ40P、50P,30P)が付与されている。
なお、準備期間P1及び行動期間P2において付与された仮想通貨は減衰型である。したがって、付与された時点から、又は、付与された時点から所定の非減衰期間(例えば、数日後~数週間後)の経過後に、所定の減衰率での減衰が開始する。
また、醸成期間P3において、イベントEについて、管理装置30は、ユーザAから受け取った全体評価データ(及び必要に応じて、全体評価データの返信時におけるユーザ音声に基づく分析結果データや、イベント期間中の種々の分析結果データ)に基づいて、WB値を推定する。管理装置30は、推定されたWB値に基づいて、ユーザデータ内の仮想通貨の減衰率を設定してもよい。具体的には、推定されたWB値が所定値よりも高いほど、減衰率を低く設定することができる。
また、醸成期間P3において、フォローアップデータに応答して、ユーザAが携帯端末20を用いて感謝伝達情報を返信すると(時刻t8)、ユーザAからイベントEの関係者へ所定の譲渡量Fの仮想通貨が譲渡される。すなわち、管理装置30は、ユーザAのユーザデータに記憶された仮想通貨データにおいて、属性の変更により、譲渡量Fの減衰型仮想通貨を、同じ量の不変型仮想通貨に変換する。そして、管理装置30は、譲渡量Fの不変型仮想通貨をユーザAのユーザデータから減算し、イベントEの関係者のユーザデータの仮想通貨データに不変型仮想通貨として加算する。
このとき管理装置30が実行する処理を、図4を参照しながら説明する。管理装置30は、イベントEが終了してから第2所定期間経過後に、図4に示される処理を実行する。
まず、ステップS11で、管理装置30は、ユーザAの携帯端末20にフォローアップデータを送信する。上述したように、フォローアップデータは、イベント関係者へ感謝の気持ちを伝える機会をユーザAに与えるために送信されるものであり、ユーザAは、フォローアップデータに含まれる複数の回答項目に回答することにより感謝伝達データを作成することができる。
次に、ステップS12で、管理装置30は、予め定められた期間内(例えば、1週間以内)に、携帯端末20から感謝伝達データを受信したか否かを判定する。当該期間内に感謝伝達データを受信したと判定した場合(S12:YES)、管理装置30は、ステップS13に進む。
次に、ステップS13で、管理装置30は、ユーザAが保有している仮想通貨の一部の属性を、減衰型から不変型に変更する。
次に、ステップS14で、管理装置30は、不変型に変更した仮想通貨を、イベントEの関係者に付与する。つまり、イベントEの関係者のユーザデータに記憶された仮想通貨データに、不変型に変更した仮想通貨を加算する。
次に、ステップS15で、管理装置30は、イベントEの関係者に付与した量の仮想通貨を、ユーザAのユーザデータに記憶された仮想通貨データから減算する。すなわち、ユーザAが保有していた仮想通貨の一部が、その属性が不変型に変更された後、イベントEの提供者に譲渡される。
これに対し、管理装置30は、ステップS12で、予め定められた期間内に感謝伝達データを受信しなかったと判定した場合(S12:NO)、ステップS13~S15の処理を実行しない。すなわち、ユーザAが保有している仮想通貨の属性は、醸成期間P3において不変型に変更されることはない。したがって、その後、ユーザAが保有している仮想通貨の量は、時間経過とともに減少する。
なお、イベント提供者Bは、イベント関係者を代表して譲渡量Fの不変型仮想通貨を受け取る。イベント提供者Bは、フォローアップ情報の返信において特定された1又は複数の対象者に対して、譲渡量Fの不変型仮想通貨と共に、ユーザAからの感謝のコメントを送信することができる。このように、イベント関係者は、イベントEの運営に関わることによって、感謝を受けると共に、経済的価値を得ることができる。これは、イベント関係者にとってイベントEをWBの観点から更に改善するインセンティブになる。
譲渡量Fは、規定値であってもよいし、フォローアップ情報に含まれる譲渡量に関する回答項目においてユーザAが選択した値であってもよい。譲渡量Fが規定値である場合、例えば、全体質問データにおいて推定されたWB値に応じて規定値を設定してもよいし(推定WB値が高いと、規定値が高く設定される)、イベントEに関連してユーザAに付与された仮想通貨の所定割合(例えば、30%)を規定値としてもよい。また、譲渡量Fの仮想通貨は、イベント提供者Bへの譲渡の際に、ユーザAの仮想通貨データから減算されなくてもよい。
また、定着期間P4において、管理装置30は、ユーザAが醸成期間P3に携帯端末20を用いて送信した報告データに基づいて、ユーザAの仮想通貨データのうち減衰型仮想通貨の所定量Gを不変型仮想通貨に変換する(時刻t9)。本実施形態では、管理装置30は、イベントEで付与され、且つ、確認情報の受信時にユーザの仮想通貨データに存在していた減衰型仮想通貨のうち所定の割合(0~100%)を不変型仮想通貨に変換する。この所定量Gの不変型仮想通貨は、ユーザAが「アンバサダ」になったことへの見返りである。
このとき管理装置30が実行する処理を、図5を参照しながら説明する。管理装置30は、イベントEが終了してから所定期間経過後(例えば、2~3ヵ月後)に、図5に示される処理を実行する。
まず、ステップS21で、管理装置30は、携帯端末20から報告データの分析結果を受信する。詳細には、携帯端末20が、報告データに含まれているテキストデータを自然言語処理により分析しているところ(テキストマイニング)、管理装置30は、携帯端末20よりこの分析結果を受信する。
次に、ステップS22で、管理装置30は、携帯端末20から受信した分析結果に基づいて、所定量Gを決定する。具体的には、管理装置30は、報告データにおけるイベントに肯定的な情報の量が多いほど、所定量Gを多くする。また、管理装置30は、報告データにおけるイベントに肯定的な情報の割合が高いほど、所定量Gを多くする。
次に、ステップS23で、管理装置30は、ユーザAの仮想通貨データのうち減衰型仮想通貨の所定量Gを、不変型仮想通貨に変換する。
次に、本実施形態のシステムの作用について説明する。
この構成によれば、管理装置30は、イベントEの終了後に、当該イベントEに参加したユーザAがインターネット上に送信する報告データに基づいて、仮想通貨の属性を減衰型から不変型に変更する。報告データは、イベントEに関するユーザAの報告を表すものであり、SNS通信機能を用いて送信される。ユーザAがイベントEを好ましく感じている場合、報告データの内容はイベントEに対し肯定的なものになると想定される。その結果、報告データにアクセスした他人のイベントEへの参加意欲が高まる。
このように、報告データを送信するユーザAは、友人等にイベントEを知らせ、参加を促す「アンバサダ」として活動することが期待される。管理装置30は、このようなユーザAの行動に対する見返りとして、仮想通貨の属性を減衰型から不変型に変更する。ユーザAは、時間が経過しても量が変化しない不変型の仮想通貨を得るために、積極的に報告データを送信する。
この結果、上記構成によれば、報告データの送信と、新たなユーザのイベント参加と、の好適な循環を形成し、イベント提供者から提供されるイベントの質が高まり、参加したユーザのウェルビーイング値も高まるという、相乗的な効果を期待できる。
また、管理装置30は、報告データにおけるイベントEに肯定的な情報の量が多いほど、減衰型から不変型に変更する仮想通貨の量Gを多くする。また、管理装置30は、報告データにおけるイベントに肯定的な情報の割合が高いほど、減衰型から不変型に変更する仮想通貨の量Gを多くする。
ユーザAが送信した報告データにおけるイベントEに肯定的な情報の量が多いほど、また、報告データにおけるイベントEに肯定的な情報の割合が高いほど、報告データにアクセスした他人のイベントEへの参加意欲が高まると想定される。上記構成によれば、他人のイベントEへの参加意欲をより高める報告データを送信したユーザAが、多くの不変型仮想通貨を得ることができる。この結果、報告データの送信と、新たなユーザのイベント参加と、の好適な循環を形成することが可能になる。