JP7211611B2 - 感光性樹脂組成物、ドライフィルム、ソルダーレジスト及びプリント配線板 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る感光性樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)は、カルボキシル基含有樹脂(A)(以下、樹脂(A)ともいう)と、光重合開始剤(B)と、光重合性化合物(C)と、エポキシ樹脂(D)と、酸化チタン(E)とを含有する。樹脂(A)は、カルボキシル基含有残基と、側鎖にエチレン性不飽和基とを有し、重量平均分子量が10000以上100000以下であるビニル重合体を含み、かつ樹脂(A)は、分子量が450以上1000以下であるオリゴマー部分を含む。酸化チタン(E)の割合は、樹脂(A)100質量部に対して20質量部以上である。
「カルボキシル基含有樹脂」とは、カルボキシル基を有する樹脂をいう。組成物(X)は、樹脂(A)のカルボキシル基と、エポキシ樹脂(D)のエポキシ基とを反応させることにより、熱硬化させることができる。樹脂(A)の酸価としては、55mgKOH/g以上145mgKOH/g以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の熱硬化性をより高めることができ、現像性をより向上させることができる。樹脂(A)の酸価は、65mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であることがより好ましく、75mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。「酸価」とは、樹脂(A)の固形分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいう。
組成物(X)において、樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、10000以上100000以下であることが重要である。樹脂(A)のMwが10000未満である場合、感光性樹脂組成物の深部硬化性が低下し、かつソルダーレジスト層にシワ等が発生し、外観が不良になる。また、この場合、ソルダーレジスト層の耐熱黄変性が低下する。樹脂(A)のMwが100000を超えると、組成物(X)の現像性が低下する。
カラム:昭和電工社製のSHODEX KF-800P、KF-005、KF-003及びKF-001の4本直列
移動相:テトラヒドロフラン
流量:1mL/分
カラム温度:45℃
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン
組成物(X)において、樹脂(A)が、分子量が450以上1000以下であるオリゴマー部分を含んでいることが重要である。このオリゴマー部分は、カルボキシル基含有残基と、側鎖にエチレン性不飽和基とを有するビニル重合体である樹脂(A)のうち、分子量が450以上1000以下である部分である。このオリゴマー部分に含まれる樹脂は、カルボキシル基含有残基及びエチレン性不飽和基の少なくとも一方を有していることが好ましく、カルボキシル基含有残基及びエチレン性不飽和基の両方を有していることがより好ましい。
光重合開始剤(B)は、感光性樹脂組成物の感光性を向上させうる成分である。組成物(X)は、光重合開始剤(B)を含有することで、露光した部分を硬化させることができる。光重合開始剤(B)は、1種又は2種以上を用いることができる。
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-エチル-フェニル-フォスフィネート等のモノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤;
ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤などが挙げられる。
光重合性化合物(C)は、感光性樹脂組成物に光硬化性を付与できる成分である。光重合性化合物(C)は、通常、エチレン性不飽和基を有する化合物を含む。但し、前述の樹脂(A)は、光重合性化合物(C)に該当しないものとする。光重合性化合物(C)がエチレン性不飽和基を有することで、組成物(X)を光硬化させることができ、光重合性化合物(C)同士、及び/又は光重合性化合物(C)とエチレン性不飽和基を有する樹脂(A)との間で架橋反応させ、組成物(X)の露光した領域に架橋構造を形成することができる。光重合性化合物(C)は、1種又は2種以上を用いることができる。
エポキシ樹脂(D)は、感光性樹脂組成物に熱硬化性を付与できる成分である。エポキシ樹脂(D)は、1分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。エポキシ樹脂(D)は、1種又は2種以上を用いることができる。
酸化チタン(E)は、チタンの酸化物であり、例えばTiO2、TiO、TinO2nー1(n=4~9)、Ti2O5、Ti2O3で表される物質などが挙げられ、TiO2(二酸化チタン)が好ましい。酸化チタン(E)は、1種又は2種以上を用いることができる。
酸化防止剤は、ソルダーレジスト層の耐熱変色性の向上に寄与することができる成分である。組成物(X)は、酸化防止剤(F)を含有することにより、ソルダーレジスト層の耐熱黄変性をより向上させることができる。組成物(X)は、酸化防止剤(F)として、1種又は2種以上を用いてもよい。
分散剤(G)は、組成物中の粒子の分散性をより向上させるための成分である。分散剤(G)としては、例えば官能基を有する高分子分散剤等が挙げられる。この官能基としては、例えばリン酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性官能基;これらの酸性官能基の塩基;1級、2級又は3級アミノ基;4級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素芳香族複素環由来の基などの塩基性官能基などが挙げられる。分散剤(G)が有する官能基としては、リン酸基が好ましい。分散剤(G)がリン酸基を有することで、組成物(X)中の酸化チタン(E)の分散性がより向上し、組成物(X)の現像性、深部硬化性及びソルダーレジスト層の外観をより向上させることができる。分散剤(G)が酸性官能基を有する場合、分散剤(G)の酸価は、例えば50mgKOH/g以上200mgKOH/gである。組成物(X)は、分散剤(G)として、1種又は2種以上を用いてもよい。
その他の成分(H)としては、例えばメラミン又はその誘導体、消泡剤、硬化剤、硬化促進剤、硫酸バリウム、シリカ、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム等の酸化チタン(E)以外の無機充填材、シランカップリング剤等のカップリング剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、ハレーション防止剤、難燃剤、溶媒などが挙げられる。組成物(X)は、その他の成分(H)として、1種又は2種以上を用いてもよい。
組成物(X)は、メラミン及びメラミン誘導体の少なくとも一方を含有することにより、組成物(X)の硬化物と銅等の金属との間の密着性をより高めることができる。この場合、組成物(X)は、プリント配線板用の絶縁材料として特に好適に用いることができる。また、組成物(X)の硬化物の耐メッキ性、すなわち無電解ニッケル/金メッキ処理時の白化耐性が向上する。
消泡剤としては、例えば信越化学工業社製の品番KS-66等のシリコーン系消泡剤;青木油脂工業社製の品番FOAMKILLER NSI-0.00等の非シリコーン系消泡剤などが挙げられる。組成物(X)が消泡剤を含有する場合、消泡剤の割合は、組成物(X)の固形分に対して、例えば0.001質量%以上2質量%以下であり、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
組成物(X)は、溶媒を含有していてもよい。組成物(X)は、溶媒を含有することで、より調製がし易くなる。溶媒は、特に限定されないが、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテルなどの有機溶媒が挙げられ、樹脂(A)の合成に用いた反応溶媒をそのまま組成物(X)の溶媒とすることもできる。組成物(X)が溶媒を含有する場合、溶媒の割合は、組成物(X)全体に対して、例えば1質量%以上80質量%以下であり、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のドライフィルムは、前述の組成物(X)を含み、具体的には、組成物(X)の乾燥塗膜である。本実施形態のドライフィルムは、組成物(X)を例えばベースフィルム上に塗布し、得られた湿潤塗膜を乾燥して溶媒等を除去することにより形成することができ、ベースフィルム付きドライフィルムとして得ることができる。ベースフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が挙げられる。組成物(X)の塗布方法としては、例えば浸漬法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スクリーン印刷法などが挙げられる。乾燥する際の温度としては、例えば50℃以上120℃以下である。乾燥時間としては、例えば1分以上2時間以下である。ドライフィルムの厚みは、例えば1μm以上100μm以下である。
本実施形態のソルダーレジストは、前述の組成物(X)の硬化物を含み、具体的には、組成物(X)の硬化膜である。本実施形態のソルダーレジストは、例えばプリント配線基板等の基材の表面の少なくとも一部に組成物(X)を塗布した後、得られる塗布層を熱硬化させることにより形成することができる。組成物(X)を熱硬化させる方法としては、例えば加熱する方法等が挙げられる。加熱温度としては、例えば100℃以上250℃以下であり、120℃以上200℃以下であることが好ましい。加熱時間としては、例えば1分以上10時間以下であり、10分以上3時間以下であることが好ましい。ソルダーレジストの形成においては、熱硬化の前に、光硬化及び現像を行ってもよい。ソルダーレジストの厚みは、例えば1μm以上100μm以下である。
本実施形態のプリント配線板は、前述の組成物(X)の硬化物を含むソルダーレジスト層を備えている。本実施形態のプリント配線板は、例えばプリント配線基板上に、ソルダーレジスト層を形成することにより形成することができる。ソルダーレジスト層は、例えばプリント配線基板上に組成物(X)を塗布し(塗布工程)、得られた塗布層の少なくとも一部に活性エネルギー線を照射して光硬化させた(光硬化工程)後、塗布層の未露光部分を現像により除去する(現像工程)ことを行ってから、現像工程後の塗布層を熱硬化させる(熱硬化工程)ことにより形成することができる。なお、現像工程後、あるいは熱硬化工程後、または現像工程後と熱硬化工程後との両方で、さらに光硬化を行ってもよい。
(1)合成例1
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸38.5質量部、メチルメタクリレート51.5質量部、スチレン10質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル160質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル6質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、75℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度40質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、メトキノン0.05質量部、グリシジルメタクリレート34質量部、及びジメチルベンジルアミン0.4質量部を加え、80℃で24時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、カルボキシル基含有残基と、側鎖にエチレン性不飽和基とを有するビニル重合体であるカルボキシル基含有樹脂Aの47質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂Aの重量平均分子量は24300であった。また、カルボキシル基含有樹脂Aは、分子量450以上1000以下のオリゴマー部分を有さない。
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸38.5質量部、メチルメタクリレート51.5質量部、スチレン10質量部、α-メチルスチレンダイマー3質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル160質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル2質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、75℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度40質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、メトキノン0.05質量部、グリシジルメタクリレート34質量部、及びジメチルベンジルアミン0.4質量部を加え、80℃で24時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、カルボキシル基含有残基と、側鎖にエチレン性不飽和基とを有するビニル重合体であるカルボキシル基含有樹脂Bの47質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂Bの重量平均分子量は33860であった。また、カルボキシル基含有樹脂Bは、分子量450以上1000以下のオリゴマー部分を有さない。
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸38.5質量部、メチルメタクリレート51.5質量部、スチレン10質量部、α-メチルスチレンダイマー20質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル160質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル12質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、75℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度45質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、メトキノン0.05質量部、グリシジルメタクリレート34質量部、及びジメチルベンジルアミン0.4質量部を加え、80℃で24時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、カルボキシル基含有残基と、側鎖にエチレン性不飽和基とを有するビニル重合体であるカルボキシル基含有樹脂Cの51質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂Cの重量平均分子量は3884であった。また、カルボキシル基含有樹脂Cは、分子量450以上1000以下のオリゴマー部分を有する。
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸38.5質量部、メチルメタクリレート51.5質量部、スチレン10質量部、α-メチルスチレンダイマー20質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル195質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル22.5質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、75℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度42質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、メトキノン0.05質量部、グリシジルメタクリレート34質量部、及びジメチルベンジルアミン0.4質量部を加え、80℃で24時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、カルボキシル基含有残基と、側鎖にエチレン性不飽和基とを有するビニル重合体であるカルボキシル基含有樹脂Dの47質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂Dの重量平均分子量は2994であった。また、カルボキシル基含有樹脂Dは、分子量450以上1000以下のオリゴマー部分を有する。
後掲の表1に示す成分を配合して得られる混合物を3本ロールで混練することで、感光性樹脂組成物を得た。なお、表1に示される成分の詳細は次の通りである。
-光重合開始剤(B):
・光重合開始剤A:アシルフォスフィンオキサイド系、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製、品番Irgacure819。
・光重合開始剤B:アシルフォスフィンオキサイド系、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、BASF社製、品番IrgacureTPO。
・光重合開始剤C:α-ヒドロキシアルキルフェノン系、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、BASF社製、品番Irgacure1173。
・光重合開始剤D:α-ヒドロキシアルキルフェノン系、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、BASF社製、品番Irgacure184。
-光重合性化合物(C):
・光重合性化合物A:トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)。
・光重合性化合物B:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリストールヘキサアクリレートとの混合物(日本化薬社製、品番KAYARAD DPHA)。
-エポキシ樹脂(D):
・エポキシ樹脂A:結晶性エポキシ化合物、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ)(TEPIC-HB)、エポキシ当量99g/eq。
・エポキシ樹脂B:結晶性エポキシ化合物、ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル社製、品番YDC-1312、エポキシ当量176g/eq。
・エポキシ樹脂C:非晶性エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、日鉄ケミカル&マテリアル社製、品番ST-3000、エポキシ当量230g/eq。
-酸化チタン(E):
・酸化チタンA:硫酸法で製造されたルチル型酸化チタン、堺化学工業社製、品番R-79。
・酸化チタンB:塩素法で製造されたルチル型酸化チタン、石原産業社製、品番CR-90。
-酸化防止剤(F):
・酸化防止剤:ヒンダードフェノール系、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、BASF社製、品番Irganox1010。
-分散剤(G):
・分散剤:リン酸エステル系顔料分散剤、ビックケミー社製、品番BYK-111(2個のリン酸基を有する液体有機化合物(共重合体の両末端にリン酸基を有するリン酸エステル化合物)、酸価129mgKOH/g、不揮発分95%。
-その他の成分(H)
・メラミン;日産化学社製、微粉メラミン。
・消泡剤:信越シリコーン社製、品番KS-66。
(1)テストピースの作製
厚み35μmの銅箔を備えるガラスエポキシ銅張積層板を用意した。このガラスエポキシ銅張積層板にエッチングを施して導体配線を形成することで、プリント配線基板を得た。このプリント配線基板の一面全体に感光性樹脂組成物をスクリーン印刷により塗布することで、塗膜を形成した。この塗膜を80℃で20分加熱することで乾燥させた。乾燥後の銅箔上の塗膜(乾燥塗膜)の厚みは20μmであった。この乾燥塗膜の表面上にネガマスクを直接当てた状態で、ネガマスクに向けて紫外線を照射することで、露光量400mJ/cm2の条件で乾燥塗膜を選択的に露光した。続いて、乾燥塗膜からネガマスクを取り外してから、乾燥塗膜に30℃の濃度1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて60秒現像処理を施すことで、乾燥塗膜のうち露光により硬化した部分を、プリント配線基板上にソルダーレジスト層として残存させた。このソルダーレジスト層を更に150℃で60分間加熱して熱硬化させた。これによりソルダーレジスト層を備えるテストピースを得た。
このテストピースに対して、次の評価試験を行った。
30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で90秒間、0.2MPaのスプレー圧で現像を行ない、現像性(ブレークポイント)を、次の評価基準により評価した。
A:ブレークポイント(乾燥塗膜を現像するのに要する時間)が0秒超20秒以下であり、現像されない部分がない。
B:ブレークポイントが20秒超40秒以下であり、現像されない部分がない。
C:ブレークポイントが40秒超60秒以下であり、現像されない部分がない。
D:ブレークポイントが60秒超であり、現像されない部分がない。
E:現像されない部分がある。
感光性樹脂組成物の現像性(乾燥幅)を評価するにあたって、前述のテストピースとは異なる現像性(乾燥幅)評価用テストピースを作製した。まず、プリント配線基板上に前記と同様の方法で湿潤塗膜を形成した。そして、湿潤塗膜を加熱温度80℃、加熱時間20分、40分、60分及び80分で加熱された乾燥塗膜を形成した。このようにして形成された乾燥塗膜のいずれも、その厚みは20μmであった。予備乾燥した後の乾燥塗膜に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で90秒間、0.2MPaのスプレー圧で現像処理を施した。現像処理後の塗膜を観察し、現像性(乾燥幅)を、次の評価基準により評価した。
A:加熱温度80℃の下で、加熱時間80分で乾燥させた塗膜が、現像可能であった。
B:加熱温度80℃の下で、加熱時間60分で乾燥させた塗膜が、現像可能であったが、加熱温度80℃の下で、加熱時間80分で乾燥させた塗膜では現像残渣が確認された。
C:加熱温度80℃の下で、加熱時間40分で乾燥させた塗膜が、現像可能であったが、加熱温度80℃の下で、加熱時間60分で乾燥させた塗膜では現像残渣が確認された。
D:加熱温度80℃の下で、加熱時間20分で乾燥させた塗膜が、現像可能であったが、加熱温度80℃の下で、加熱時間40分で乾燥させた塗膜では現像残渣が確認された。
E:加熱温度80℃の下で、加熱時間20分で乾燥させた塗膜に、現像残渣が確認された。
線幅/線間が0.2mm/0.3mm、厚みが40μmの銅製の導体配線を備えるプリント配線基板を用意した。また、幅30μm、40μm、50μm及び60μmのソルダーダムを形成するためのマスクパターンを有するネガマスクを使用した。これらのプリント配線基板とネガマスクとを用いる以外は、前述のテストピースを作製する場合と同じ条件で、プリント配線基板上に厚み60μmのソルダーダムを形成した。
このソルダーダムに対してセロハン粘着テープ剥離試験を行うことで、剥離せずにプリント配線板上に残存するソルダーダムの最小幅を調査し、深部硬化性を、次の評価基準で評価した。
A:残存するソルダーダムの最小幅が30μmであった。
B:残存するソルダーダムの最小幅が40μmであった。
C:残存するソルダーダムの最小幅が50μmであった。
D:残存するソルダーダムの最小幅が60μmであった。
E:ソルダーダムが残存しなかった。
作製した直後のテストピースにおける銅箔上のソルダーレジスト層の視感反射率を表すCIE表式法におけるY値を、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計(型番CM-600d)で測定し、反射率を、次の評価基準で評価した。表1で、評価(A~E)と共に、反射率の値を( )内に合わせて示す。
A:Y値が85以上であった。
B:Y値が80以上85未満であった。
C:Y値が75以上80未満であった。
D:Y値が70以上75未満であった。
E:Y値が70未満であった。
テストピースにおける銅箔上のソルダーレジスト層の塗膜表面を観察した。また、塗膜表面のJIS-Z8741による入射角60°での鏡面光沢度を、堀場製作所社製の「GLOSS CHECKER」を用いて測定し、外観を、次の評価基準で評価した。表1で、評価(A~E)と共に、光沢値の値を( )内に合わせて示す。
A:塗膜表面にシワの発生がなく、光沢値が80以上であった。
B:塗膜表面にシワの発生がなく、光沢値が75以上80未満であった。
C:塗膜表面にシワの発生がなく、光沢値が70以上75未満であった。
D:塗膜表面にシワの発生がなく、光沢値が70未満であった。
E:塗膜表面にシワが発生した。
作製した直後のテストピースにおけるソルダーレジスト層のL*a*b*表色系におけるb*値を、コニカミノルタセンシング社製の分光測色計(型番CM-600d)を用いて測定した。続いて、テストピースを250℃、5分の条件で熱処理した後、再びソルダーレジスト層のb*値を測定した。熱処理後のソルダーレジスト層のb*値から熱処理前のソルダーレジスト層のb*値を減じて得られる値(Δb*)を算出し、その結果から、耐熱黄変性を、次の評価基準で評価した。
A:Δb*値が1.5未満であった。
B:Δb*値が1.5以上2.0未満であった。
C:Δb*値が2.0以上2.5未満であった。
D:Δb*値が2.5以上3.0未満であった。
E:Δb*値が3.0以上であった。
感光性樹脂組成物を冷蔵庫内で、4℃で3日間、7日間、10日間及び14日間保存した。続いて、感光性樹脂組成物をガラス板上に膜厚20μmで塗布し、塗膜を目視で観察し、保存安定性を、次の評価基準で評価した。
A:4℃で14日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られなかった。
B:4℃で10日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られなかったが、4℃で14日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られた。
C:4℃で7日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られなかったが、4℃で10日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られた。
D:4℃で3日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られなかったが、4℃で7日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られた。
E:4℃で3日間保存した感光性樹脂組成物の塗膜中にブツ(微小粒子)が見られた。
Claims (16)
- カルボキシル基含有樹脂(A)と、光重合開始剤(B)と、光重合性化合物(C)と、エポキシ樹脂(D)と、酸化チタン(E)とを含有し、
前記カルボキシル基含有樹脂(A)が、カルボキシル基含有残基と、側鎖にエチレン性不飽和基とを有し、重量平均分子量が10000以上100000以下であるビニル重合体を含み、かつ前記カルボキシル基含有樹脂(A)が、分子量が450以上1000以下であるオリゴマー部分を含み、
示差屈折率検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される前記カルボキシル基含有樹脂(A)の全面積100%に対する前記オリゴマー部分の面積の割合が0.1%以上9%以下であり、
前記酸化チタン(E)の割合が、前記カルボキシル基含有樹脂(A)100質量部に対して20質量部以上である感光性樹脂組成物。 - 前記示差屈折率検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される前記カルボキシル基含有樹脂(A)の全面積100%に対する前記オリゴマー部分の面積の割合が、0.1%以上3%以下である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記カルボキシル基含有樹脂(A)の少なくとも一部が、連鎖移動剤を用いた重合反応の生成物である請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記連鎖移動剤が、α-メチルスチレンダイマーを含む請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
- 酸化防止剤(F)をさらに含有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記酸化防止剤(F)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
- 分散剤(G)をさらに含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記分散剤(G)が、リン酸基を有する請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光重合開始剤(B)が、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光重合開始剤(B)が、さらにα-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤を含む請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記光重合性化合物(C)が、三官能(メタ)アクリレートを含む請求項1乃至10のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂(D)が、結晶性エポキシ樹脂を含む請求項1乃至11のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 前記酸化チタン(E)が、ルチル型酸化チタンを含む請求項1乃至12のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含むドライフィルム。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含むソルダーレジスト。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物を含むソルダーレジスト層を備えるプリント配線板。
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