以下に、本発明の実施の形態にかかる無停電電源システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる無停電電源システムの構成例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる無停電電源システム100は、交流電源3にブレーカ4を介して接続され、複数の電気機器21,22,23のうち対応する電気機器に交流電力を各々供給する複数の無停電電源装置11,12,13を備える。
無停電電源装置11,12,13の各々は、停電などによって交流電源3からの電力の供給が停止した場合であっても電気機器21,22,23のうち対応する電気機器へ継続して交流電力を供給することができるように構成される。これら無停電電源装置11,12,13は、UPS(Uninterruptible Power Supply)とも呼ばれる。図1を含む複数の図面では無停電電源装置をUPSと記載している。以下、複数の無停電電源装置11,12,13の各々を区別せずに示す場合、無停電電源装置1と記載する場合があり、電気機器21,22,23の各々を区別せずに示す場合、電気機器2と記載する場合がある。
無停電電源装置11,12,13は、互いに同様の構成である。具体的には、無停電電源装置11は、交流電源3から商用電力線5を介して供給される交流電力を直流電力へ変換するコンバータ111と、コンバータ111から出力される直流電力を交流電力へ変換するインバータ121とを備える。また、無停電電源装置11は、コンバータ111とインバータ121との間に接続されるバッテリ131と、交流電源3および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にコンバータ111を接続するスイッチ141とを備える。また、無停電電源装置11は、電気機器21および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にインバータ121を接続するスイッチ151と、スイッチ141とスイッチ151とを接続するバイパス電力線181とを備える。また、無停電電源装置11は、コンバータ111、インバータ121、およびスイッチ141,151を制御する制御部201と、無停電電源装置12,13と通信線7を介して通信する通信部301と、記憶部401とを備える。
無停電電源装置12は、交流電源3から商用電力線5を介して供給される交流電力を直流電力へ変換するコンバータ112と、コンバータ112から出力される直流電力を交流電力へ変換するインバータ122とを備える。また、無停電電源装置12は、コンバータ112とインバータ122との間に接続されるバッテリ132と、交流電源3および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にコンバータ112を接続するスイッチ142とを備える。また、無停電電源装置12は、電気機器22および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にインバータ122を接続するスイッチ152と、スイッチ142とスイッチ152とを接続するバイパス電力線182とを備える。また、無停電電源装置12は、コンバータ112、インバータ122、およびスイッチ142,152を制御する制御部202と、無停電電源装置11,13と通信線7を介して通信する通信部302と、記憶部402とを備える。
また、無停電電源装置13は、交流電源3から商用電力線5を介して供給される交流電力を直流電力へ変換するコンバータ113と、コンバータ113から出力される直流電力を交流電力へ変換するインバータ123とを備える。また、無停電電源装置13は、コンバータ113とインバータ123との間に接続されるバッテリ133と、交流電源3および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にコンバータ113を接続するスイッチ143とを備える。また、無停電電源装置13は、電気機器23および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にインバータ123を接続するスイッチ153と、スイッチ143とスイッチ153とを接続するバイパス電力線183とを備える。また、無停電電源装置13は、コンバータ113、インバータ123、およびスイッチ143,153を制御する制御部203と、無停電電源装置11,12と通信線7を介して通信する通信部303と、記憶部403とを備える。
以下、コンバータ111,112,113の各々を区別せずに示す場合、コンバータ11と記載し、インバータ121,122,123の各々を区別せずに示す場合、インバータ12と記載する場合がある。また、バッテリ131,132,133の各々を区別せずに示す場合、バッテリ13と記載し、スイッチ141,142,143の各々を区別せずに示す場合、スイッチ14と記載する場合がある。また、スイッチ151,152,153の各々を区別せずに示す場合、スイッチ15と記載し、バイパス電力線181,182,183の各々を区別せずに示す場合、バイパス電力線18と記載する場合がある。また、制御部201,202,203の各々を区別せずに示す場合、制御部20と記載し、通信部301,302,303の各々を区別せずに示す場合、通信部30と記載する場合がある。また、記憶部401,402,403の各々を区別せずに示す場合、記憶部40と記載する場合がある。
無停電電源装置1は、交流電源3から無停電電源装置1への電力の供給が行われている場合において、交流電源3からの電力を用いて電気機器2へ電力を供給する通常動作を行う。具体的には、無停電電源装置1は、通常動作時において、コンバータ11によって交流電源3から交流電力を直流電力へ変換し、インバータ12は、コンバータ11から出力される直流電力を交流電力へ変換し、変換した交流電力を電気機器2へ供給する。
また、無停電電源装置1は、交流電源3から無停電電源装置1への電力の供給が停止した場合において、バッテリ13に蓄積されている電力を用いて電気機器2へ電力を供給する停電動作を行う。具体的には、無停電電源装置1は、停電動作時において、インバータ12は、バッテリ13に蓄積されている直流電力を交流電力へ変換し、変換した交流電力を電気機器2へ供給する。
無停電電源システム100では、停電などによって交流電源3から無停電電源装置1への電力の供給が停止した場合において、無停電電源装置1間で共有電力線6を介してバッテリ13に蓄積された電力の授受が可能である。以下、停電またはブレーカ4による遮断などによって交流電源3から無停電電源装置1への電力の供給が停止した状態を停電状態と記載する場合がある。
例えば、無停電電源装置11の制御部201は、停電状態において、スイッチ141およびコンバータ111を制御し、スイッチ141によってコンバータ111と共有電力線6とを接続させ、コンバータ111をインバータとして動作させる。これにより、コンバータ111によってバッテリ131に蓄積されている直流電力が交流電力へ変換され、スイッチ141およびバイパス電力線181を介して共有電力線6へ供給される。
無停電電源装置12の制御部202は、停電状態において、スイッチ142およびコンバータ112を制御し、スイッチ142によってコンバータ112と共有電力線6とを接続させる。これにより、無停電電源装置11から共有電力線6へ出力される交流電力がバイパス電力線182およびスイッチ142を介してコンバータ112に入力される。そして、コンバータ112によって無停電電源装置11からの交流電力が直流電力へ変換され、コンバータ112によって変換された直流電力がインバータ122へ供給される。そのため、バッテリ132に蓄積された電力が不足している場合であっても、無停電電源装置12から電気機器22へ電力を供給することができる。
なお、無停電電源装置11は、無停電電源装置12に加えまたは代えて、無停電電源装置13へ交流電力を供給することができる。同様に、無停電電源装置12は、無停電電源装置11,13の少なくとも一つにバッテリ132の直流電力を変換した交流電力を供給することができる。また、無停電電源装置13は、無停電電源装置11,12の少なくとも一つにバッテリ133の直流電力を変換した交流電力を供給することができる。
また、無停電電源システム100は、無停電電源装置1間で通信線7を介して通信を行うことで、電力の授受を行う2以上の無停電電源装置1を決定し、決定した2以上の無停電電源装置1間で電力の授受を行うことができる。
このように、無停電電源システム100では、無停電電源装置1の制御部20は、停電状態において、コンバータ11にバッテリ13の直流電力を交流電力へ変換させ、変換させた交流電力をコンバータ11から他の無停電電源装置1へ供給させることができる。そのため、インバータ12を用いて他の無停電電源装置へ電力を供給する場合に比べ、インバータ12の出力電力を抑えつつ複数の無停電電源装置1間でバッテリ13に蓄積されている電力を相互利用することができる。
以下、無停電電源装置1の構成をより具体的に説明する。図2は、実施の形態1にかかる無停電電源装置の構成例を示す図である。図3は、実施の形態1にかかるコンバータの構成例を示す図である。
図2に示すように、実施の形態1にかかる無停電電源装置1は、コンバータ11と、インバータ12と、バッテリ13と、スイッチ14と、スイッチ15と、電流検出部16と、電圧検出部17とを備える。また、実施の形態1は、コンバータ11、インバータ12、およびスイッチ14,15を制御する制御部20と、他の無停電電源装置1と通信線7を介して互いに通信を行う通信部30と、バッテリ13の情報などを記憶する記憶部40とを備える。スイッチ14は第1スイッチの一例であり、スイッチ15は第2スイッチの一例である。
図3に示すように、コンバータ11は、フィルタ41と、フルブリッジ接続された複数のスイッチング素子421,422,423,424と、フルブリッジ接続された複数のダイオード431,432,433,434と、平滑コンデンサ44とを備える。フィルタ41は、LCフィルタであり、コンデンサ45と、コイル461,462とを備える。
スイッチング素子421,422,423,424は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。なお、スイッチング素子421,422,423,424は、MOSFETに限定されず、例えば、接合型FETまたはバイポーラトランジスタであってもよい。
スイッチング素子421,422,423,424のベースは、制御部20によって制御される。制御部20は、交流電源3から交流電電力がコンバータ11へ供給されている状態で、スイッチング素子421,422,423,424のベースへスイッチング素子421,422,423,424をオフさせるオフ信号を出力する。オフ信号は、例えば、Lowレベルを維持する信号である。これにより、コンバータ11によって、交流電源3からの交流電力が直流電力へ変換される。具体的には、交流電源3からの交流電圧がダイオード431,432,433,434によって全波整流され、全波整流された電圧が平滑コンデンサ44によって平滑される。
また、制御部20は、停電状態において、スイッチング素子421,422,423,424のベースへPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力することで、バッテリ13に蓄積された直流電力を交流電力へ変換することができる。図4は、実施の形態1にかかるスイッチング素子へ入力されるPWM信号の一例を示す図である。図4に示すように、制御部20から出力されるPWM信号は、Highレベルの状態とLowレベルの状態が繰り返される信号であり、Highレベルの状態とLowレベルの状態との比によってコンバータ11から出力される電圧の大きさが変更される。
図2に戻って、無停電電源装置1の説明を続ける。インバータ12は、例えば、コンバータ11と同様に、フルブリッジ接続された複数のスイッチング素子を備える。また、インバータ12は、複数のスイッチング素子に逆並列接続される複数のダイオードを備える。制御部20は、インバータ12に設けられる複数のスイッチング素子へPWM信号を出力することによって、コンバータ11から出力される直流電力またはバッテリ13から出力される直流電力をインバータ12によって交流電力へ変換させることができる。
バッテリ13は、例えば、鉛蓄電池である。なお、バッテリ13は、鉛蓄電池に限定されず、例えば、リチウムイオン電池であってもよい。スイッチ14は、交流電源3および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にコンバータ11を接続するためのスイッチである。スイッチ15は、電気機器2および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にインバータ12を接続するためのスイッチである。
電流検出部16は、インバータ12から出力される電流を検出し、検出した結果を制御部20へ出力する。電圧検出部17は、商用電力線5の電圧を検出し、検出した結果を制御部20へ出力する。
制御部20は、コンバータ11を制御するコンバータ制御部21と、インバータ12を制御するインバータ制御部22と、スイッチ14,15を制御するスイッチ制御部23とを備える。また、制御部20は、電圧検出部17によって検出された商用電力線5の電圧に基づいて、停電状態になったか否かを判定する停電判定部24と、予め設定された期間における無停電電源装置1の負荷率を測定する負荷率測定部25とを備える。また、制御部20は、バッテリ13の劣化状態およびバッテリ13の寿命を予測するバッテリ寿命予測部26と、停電補償予測時間を算出する停電補償予測時間算出部27とを備える。停電補償予測時間は、無停電電源装置1から電気機器2に電力を供給可能な時間の予測値である。また、制御部20は、停電状態において、他の無停電電源装置1との間で電力の相互利用を行うための協調処理を行う協調処理部28を備える。
交流電源3から無停電電源装置1へ電力が供給されている状態においては、交流電源3とコンバータ11とがスイッチ14によって接続された状態であり、電気機器2とインバータ12とがスイッチ15によって接続された状態である。かかる状態において、コンバータ制御部21は、コンバータ11を構成する複数のスイッチング素子421,422,423,424のベースへオフ信号を出力する。インバータ制御部22は、インバータ12を構成する複数のスイッチング素子のベースへPWM信号を出力する。これにより、交流電源3からスイッチ14を介してコンバータ11へ供給される交流電力がコンバータ11によって直流電力へ変換され、コンバータ11によって変換された直流電力がインバータ12によって交流電力へ変換される。インバータ12によって変換された交流電力はスイッチ15を介して電気機器2へ供給される。
負荷率測定部25は、予め設定された期間において電流検出部16によって検出された電流に基づいて、予め設定された期間における無停電電源装置1の負荷率を測定する。電気機器2の負荷率とは、例えば、予め設定された期間において無停電電源装置1から電気機器2へ供給される電力の平均値の最大電力に対する比率である。最大電力は、例えば、無停電電源装置1の定格出力電力である。
バッテリ寿命予測部26は、記憶部40に記憶されたバッテリ情報および負荷率情報などに基づいて、バッテリ13の寿命の予測を行う。バッテリ寿命予測部26によって予測されるバッテリ13の寿命は、バッテリ13の放電容量が予め設定された閾値以下になるまでの残期間である。バッテリ情報は、バッテリ13の識別情報、バッテリ13の内部抵抗、バッテリ13の周囲温度、バッテリ13の充放電回数、およびバッテリ13の充放電時間の情報を含む。負荷率情報は、無停電電源装置1の負荷率の情報を含む。
バッテリ13の周囲温度は、無停電電源装置1に設けられた不図示の温度センサで検出され、記憶部40に記憶される。バッテリ13の充放電回数およびバッテリ13の充放電時間は、コンバータ制御部21によって記憶部40に記憶される。電気機器2の負荷率は、負荷率測定部25によって記憶部40に記憶される。
バッテリ寿命予測部26は、バッテリ13の寿命が既定値以下になったことを検出した場合、不図示のランプを点灯または点滅して、無停電電源装置1の利用者に対してバッテリ13の交換を促すことができる。
また、バッテリ寿命予測部26は、バッテリ13の内部抵抗、バッテリ13の周囲温度、バッテリ13の充放電回数、バッテリ13の充放電時間、および無停電電源装置1の負荷率などの記憶部40に記憶された情報に基づいて、バッテリ13の放電容量を判定する。
停電補償予測時間算出部27は、停電判定部24によって停電になったと判定された場合に、停電補償予測時間を算出する。具体的には、停電補償予測時間算出部27は、負荷率測定部25によって判定された無停電電源装置1の負荷率と、バッテリ寿命予測部26によって判定されたバッテリ13の放電容量とに基づいて、停電補償予測時間を算出する。
協調処理部28は、停電判定部24によって停電状態になったと判定された場合に、停電補償予測時間算出部27から停電補償予測時間の情報を取得する。協調処理部28は、制御部20がスレーブ制御部に設定されている場合、停電補償予測時間の情報と停電補償要求時間の情報とを含む停電補償情報を、マスタ制御部に設定されている制御部20を有する他の無停電電源装置1へ通信部30から通信線7へ出力させる。
停電補償要求時間は、停電状態になってから無停電電源装置1が電気機器2への電力供給の継続が必要な時間として無停電電源装置1の利用者によって設定された時間である。なお、停電補償要求時間は、固定値であってもよい。
協調処理部28は、制御部20がマスタ制御部に設定されている場合、他の無停電電源装置1から通信部30を介して停電補償情報を取得する。協調処理部28は、他の無停電電源装置1から取得した停電補償情報と、停電補償予測時間算出部27から取得した停電補償予測時間の情報および停電補償要求時間の情報とに基づいて、複数の無停電電源装置1のうち電力を授受する2以上の無停電電源装置1を決定する。
図5は、実施の形態1にかかる各無停電電源装置の停電補償予測時間および停電補償要求時間の一例を示す図である。図6は、実施の形態1にかかる協調処理部による協調処理後における各無停電電源装置の停電補償予測時間および停電補償要求時間の一例を示す図である。図7は、実施の形態1にかかる協調処理部の協調処理後の無停電電源システムの状態の一例を示す図である。
図5に示す例では、無停電電源装置11,12,13の停電補償予測時間は共に10分である。また、無停電電源装置11の停電補償要求時間は、5分であり、無停電電源装置12の停電補償要求時間は、10分であり、無停電電源装置13の停電補償要求時間は、12分である。また、電気機器21,22への供給電力は、1.5kVAであり、電気機器23への供給電力は、3.0kVAである。
この場合、無停電電源装置11では、停電補償予測時間が停電補償要求時間よりも長く、無停電電源装置12では、停電補償予測時間が停電補償要求時間と同じであり、無停電電源装置13では、停電補償予測時間が停電補償要求時間未満である。そこで、マスタ制御部に設定されている制御部20の協調処理部28は、電力を授受する2以上の無停電電源装置1として、無停電電源装置11,13を決定する。具体的には、協調処理部28は、無停電電源装置11を電力供給元の無停電電源装置1に決定し、無停電電源装置13を電力供給先の無停電電源装置1に決定する。
ここで、マスタ制御部に設定されている制御部20が無停電電源装置11の制御部201であるとする。この場合、制御部201の協調処理部28は、無停電電源装置13の制御部203に対して、コンバータ113を共有電力線6に接続することを要求する切替指令信号を通信部301から通信線7を介して無停電電源装置13へ送信する。
無停電電源装置13における制御部203の協調処理部28は、通信部303を介して切替指令信号を受信すると、スイッチ制御部23に対して、コンバータ113を共有電力線6に接続させるように指令する。かかる指令に基づいて、スイッチ制御部23は、スイッチ143を制御し、図7に示すように、コンバータ113をスイッチ143によってバイパス電力線183を介して共有電力線6に接続させる。
また、無停電電源装置11の協調処理部28は、スイッチ制御部23に対して、コンバータ111を共有電力線6に接続させるように指令する。かかる指令に基づいて、スイッチ制御部23は、スイッチ141を制御し、図7に示すように、スイッチ141によってバイパス電力線181を介してコンバータ111を共有電力線6に接続させる。
また、無停電電源装置11の協調処理部28は、コンバータ制御部21に対してコンバータ111をインバータとして動作させるように指令する。かかる指令に基づいて、コンバータ制御部21がコンバータ111のスイッチング素子421,422,423,424にPWM信号を出力し、コンバータ111によってバッテリ131の直流電力を交流電力へ変換させる。コンバータ111によって変換された交流電力はスイッチ141およびバイパス電力線181を介して共有電力線6へ出力される。無停電電源装置13では、無停電電源装置11から共有電力線6およびバイパス電力線183を介してコンバータ113へ交流電力が供給される。そして、無停電電源装置11からの交流電力がコンバータ113によって直流電力へ変換され、変換された直流電力がインバータ123へ供給される。インバータ123は、コンバータ113によって変換された直流電力を交流電力へ変換し、変換した交流電力を電気機器23へ供給する。
これにより、図6に示すように、無停電電源装置11のバッテリ131における余剰電力を、無停電電源装置13へ供給することができ、無停電電源装置13の停電補償予測時間を延ばすことができる。図6に示す例では、無停電電源装置11からの電力供給により、無停電電源装置13の停電補償予測時間が10分から12.5分へ増加していることが示されている。
また、無停電電源装置11から無停電電源装置13への電力は、共有電力線6を介して無停電電源装置11から無停電電源装置13のコンバータ113へ供給される。そのため、無停電電源装置13のインバータ123は、停電になる前と同じ状態であり、電力供給元の無停電電源装置11と電力供給先の無停電電源装置13とで同期をとる必要がないという利点がある。
無停電電源装置11の協調処理部28は、無停電電源装置11から無停電電源装置13への電力供給を開始するための上述した処理を、停電開始直後に行うことができ、また、無停電電源装置11の停電補償要求時間が経過してから行うこともできる。無停電電源装置11の協調処理部28は、無停電電源装置11の停電補償要求時間が経過して無停電電源装置11から無停電電源装置13への電力供給を開始する場合、スイッチ151およびインバータ121をさらに制御することができる。これにより、コンバータ111に加えてインバータ121からも共有電力線6へ電力供給が行われる。
なお、無停電電源装置11の協調処理部28は、停電状態になった後から無停電電源装置11の停電補償要求時間が経過するまでの間にコンバータ111からの交流電力を無停電電源装置13へ供給する場合であっても、インバータ121を用いることができる。例えば、無停電電源装置11の協調処理部28は、無停電電源装置11の停電補償要求時間が経過した後に、コンバータ111からの交流電力に代えてまたは加えてインバータ121からの交流電力を共有電力線6経由で無停電電源装置13へ供給させることができる。
図8は、実施の形態1にかかる協調処理部の協調処理後の無停電電源システムの状態の他の例を示す図である。無停電電源装置11の協調処理部28は、無停電電源装置11の停電補償要求時間が経過した後、スイッチ制御部23に対して、インバータ121を共有電力線6に接続させるように指令することができる。かかる指令に基づいて、スイッチ制御部23は、スイッチ151を制御し、図8に示すように、インバータ121をスイッチ151によって共有電力線6に接続させる。
また、無停電電源装置11の協調処理部28は、無停電電源装置11のインバータ制御部22に対してインバータ121を動作させるように指令する。かかる指令に基づいて、無停電電源装置11のインバータ制御部22がインバータ121のスイッチング素子にPWM信号を出力し、インバータ121によってバッテリ131の直流電力を交流電力へ変換させる。インバータ121によって変換された交流電力はスイッチ151を介して共有電力線6へ出力される。無停電電源装置13では、無停電電源装置11から共有電力線6を介して供給される交流電力がコンバータ113によって直流電力へ変換され、無停電電源装置11からの電力がインバータ123によって電気機器23へ供給される。
この場合も、無停電電源装置11のインバータ121から無停電電源装置13への電力は、共有電力線6を介して無停電電源装置11から無停電電源装置13のコンバータ113へ供給される。そのため、無停電電源装置13のインバータ123は、停電になる前と同じ状態であり、電力供給元の無停電電源装置11と電力供給先の無停電電源装置13とで同期をとる必要がない。
なお、上述した例では、停電状態において、無停電電源装置11の電力を無停電電源装置13へ供給する例を説明したが、かかる例に限定されない。マスタ制御部に設定されている制御部20の協調処理部28は、各無停電電源装置1の停電補償予測時間および停電補償要求時間に基づいて、電力を授受する2以上の無停電電源装置1を決定し、決定した2以上の無停電電源装置1を制御することができる。
また、マスタ制御部に設定されている制御部20の協調処理部28は、各無停電電源装置1の停電補償予測時間および停電補償要求時間に基づいて、電力を授受する2以上の無停電電源装置1を決定するが、かかる例に限定されない。例えば、マスタ制御部に設定されている制御部20の協調処理部28は、予め設定された制御スケジュールに基づいて、電力を授受する2以上の無停電電源装置1を制御することもできる。
また、上述した例では、マスタ制御部およびスレーブ制御部を設定する例を説明したが、無停電電源装置1毎に制御スケジュールが設定されている場合、各無停電電源装置1は、マスタ制御部およびスレーブ制御部の設定は行わない構成であってもよい。例えば、無停電電源装置1の協調処理部28は、コンバータ11、インバータ12、スイッチ14,15の各々を制御対象とする制御スケジュールの情報を記憶することができる。協調処理部28に記憶される制御スケジュールには、停電状態になってから制御対象毎の制御時刻および制御内容の情報が含まれている。無停電電源装置1の協調処理部28は、停電状態になった場合に、記憶している制御スケジュールに基づいて、コンバータ11、インバータ12、スイッチ14,15を制御することができる。
また、各協調処理部28は、停電補償予測時間および停電補償要求時間に基づいて、停電補償余裕時間を算出し、かかる停電補償余裕時間に基づいて、他の無停電電源装置1の協調処理部28へ電力の供給を要求することができる。停電補償余裕時間は、停電補償予測時間から停電補償要求時間を減算した値であり、協調処理部28は、停電補償余裕時間がマイナスになった場合に、他の無停電電源装置1の協調処理部28へ電力の供給を要求する。また、各協調処理部28は、他の無停電電源装置1から電力の供給が要求された場合、停電補償余裕時間に基づいて、他の無停電電源装置1の協調処理部28へ電力を供給するか否かを決定することができる。例えば、各協調処理部28は、他の無停電電源装置1から電力の供給が要求された場合、停電補償余裕時間がプラスであり、且つ要求される電力を供給できる場合に、他の無停電電源装置1へ電力を供給する制御を行うことができる。
なお、上述した無停電電源装置1では、コンバータ11に加えインバータ12も用いて他の無停電電源装置1へ電力の供給を行うことができるが、他の無停電電源装置1へ電力を供給する際に、インバータ12を用いない構成であってもよい。この場合、無停電電源装置1は、スイッチ15を設けない構成であってもよい。
つづいて、無停電電源装置1における制御部20による処理を、フローチャートを用いて説明する。図9は、実施の形態1にかかる無停電電源装置における制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、無停電電源装置1の制御部20は、停電状態へ移行したか否かを判定する(ステップS11)。制御部20は、停電状態へ移行したと判定した場合(ステップS11:Yes)、制御部20がスレーブ制御部であるか否かを判定する(ステップS12)。制御部20は、スレーブ制御部であると判定した場合(ステップS12:Yes)、停電補償情報を通信部30から通信線7を介してマスタ制御部へ送信する(ステップS13)。その後、制御部20は、マスタ制御部からの要求を実行する(ステップS14)。
制御部20は、ステップS14の処理が終了した場合、または制御部20がスレーブ制御部ではないと判定した場合(ステップS12:No)、制御部20がマスタ制御部であるか否かを判定する(ステップS15)。制御部20は、マスタ制御部であると判定した場合(ステップS15:Yes)、全ての無停電電源装置1の停電補償情報を取得する(ステップS16)。制御部20は、取得した停電補償情報に基づいて、電力供給元の無停電電源装置1と電力供給先の無停電電源装置1とを決定し(ステップS17)、決定した内容に従って処理を実行する(ステップS18)。これにより、停電状態において、電力供給元の無停電電源装置1からの電力が電力供給先の無停電電源装置1へ供給される。
制御部20は、ステップS18の処理が終了した場合、停電状態へ移行していないと判定した場合(ステップS11:No)、または制御部20がマスタ制御部でないと判定した場合(ステップS15:No)、図9に示す処理を終了する。
図10は、実施の形態1にかかる無停電電源装置における制御部および記憶部のハードウェア構成の一例を示す図である。図10に示すように、無停電電源装置1の制御部20および記憶部40は、プロセッサ101と、メモリ102と、インタフェース回路103とを備えるコンピュータを含む。
プロセッサ101、メモリ102、およびインタフェース回路103は、バス104によって互いにデータの送受信が可能である。記憶部40は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、コンバータ制御部21、インバータ制御部22、スイッチ制御部23、停電判定部24、負荷率測定部25、バッテリ寿命予測部26、停電補償予測時間算出部27、および協調処理部28の機能を実行する。プロセッサ101は、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processer)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、無停電電源装置1の制御部20は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態1にかかる無停電電源システム100は、複数の電気機器2のうち各々対応する電気機器2に接続される複数の無停電電源装置1を備える。各無停電電源装置1は、コンバータ11と、インバータ12と、バッテリ13と、制御部20とを備える。コンバータ11は、交流電源3から商用電力線5を介して供給される交流電力を直流電力へ変換する。インバータ12は、コンバータ11から出力される直流電力を交流電力へ変換し、変換した交流電力を対応する電気機器2へ供給する。バッテリ13は、コンバータ11とインバータ12との間に接続される。制御部20は、コンバータ11およびインバータ12を制御する。複数の無停電電源装置1のうち少なくとも一つの無停電電源装置1の制御部20は、停電状態において、コンバータ11にバッテリ13の直流電力を交流電力へ変換させ、変換させた交流電力をコンバータ11から他の一つ以上の無停電電源装置1へ供給させる。これにより、少なくとも一つの無停電電源装置1のバッテリ13の電力を他の一つ以上の無停電電源装置1へコンバータ11を用いて供給することができる。したがって、インバータ12の出力電力を抑えつつ複数の無停電電源装置1間でバッテリ13に蓄積されている電力を相互利用することができる。
また、各無停電電源装置1は、交流電源3および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にコンバータ11を接続するスイッチ14を備える。スイッチ14は、第1スイッチの一例である。少なくとも一つの無停電電源装置1の制御部20は、スイッチ14によってコンバータ11を共有電力線6に接続させる。他の一つ以上の無停電電源装置1の制御部20は、スイッチ14によってコンバータ11を共有電力線6に接続させる。これにより、共有電力線6を介して少なくとも一つの無停電電源装置1のバッテリ13の電力を他の一つ以上の無停電電源装置1へ供給することができる。したがって、例えば、停電状態において、無停電電源装置1間で商用電力線5を介して電力の授受ができない状況であっても、無停電電源装置1間で電力の授受を行うことができる。
また、各無停電電源装置1は、電気機器2および共有電力線6のうちいずれか一つに選択的にインバータ12を接続するスイッチ15を備える。スイッチ15は、第2スイッチの一例である。少なくとも一つの無停電電源装置1の制御部20は、停電状態において、スイッチ15によってインバータ12を共有電力線6に接続させ、インバータ12にバッテリ13の直流電力を交流電力へ変換させ、変換させた交流電力をインバータ12から他の一つ以上の無停電電源装置1へ供給させる。これにより、少なくとも一つの無停電電源装置1におけるコンバータ11に加えインバータ12からも電力を他の一つ以上の無停電電源装置1へ供給することができる。また、少なくとも一つの無停電電源装置1のインバータ12から他の一つ以上の無停電電源装置1へ電力を供給する場合に、スイッチ15によってインバータ12と電気機器2との接続が切断されている状態である。そのため、電気機器2と他の無停電電源装置1とへ同時にインバータ12から電力を供給する場合に比べインバータ12の出力電力を抑えつつ複数の無停電電源装置1間でバッテリ13に蓄積されている電力を相互利用することができる。
また、各無停電電源装置1は、通信線7に接続された通信部30を備える。複数の無停電電源装置1の制御部20は、通信部30によって無停電電源装置1の状態を示す情報を送信または受信する。複数の無停電電源装置1のうち一つの無停電電源装置1の制御部20は、通信部30によって取得した無停電電源装置1の状態を示す情報に基づき、電力供給元の無停電電源装置1と電力供給先の無停電電源装置1とを決定する。これにより、無停電電源装置1の状態に応じて電力供給元の無停電電源装置1と電力供給先の無停電電源装置1とを決定することができる。なお、無停電電源装置1の状態を示す情報は、例えば、上述したバッテリ情報および負荷率情報などである。
なお、上述した例では、各無停電電源装置1でバッテリ情報および負荷率情報を生成したが、無停電電源システム100は、複数の無停電電源装置1のうち一つの無停電電源装置1でバッテリ情報および負荷率情報を生成する構成であってもよい。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる無停電電源システムでは、無停電電源装置間の通信が共有電力線を介した電力線通信で行われる点で、無停電電源装置間の通信が通信専用の通信線を介して行われる実施の形態1にかかる無停電電源システム100と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の無停電電源システム100と異なる点を中心に説明する。
図11は、本発明の実施の形態2にかかる無停電電源システムの構成例を示す図である。図11に示すように、実施の形態2にかかる無停電電源システム100Aは、複数の無停電電源装置1A1,1A2,1A3を備える。無停電電源装置1A1,1A2,1A3は、通信部301,302,303に代えて、通信部30A1,30A2,30A3を有する点で、無停電電源装置1と異なる。以下において、無停電電源装置1A1,1A2,1A3の各々を区別せずに示す場合、無停電電源装置1Aと記載する場合があり、通信部30A1,30A2,30A3の各々を区別せずに示す場合、通信部30Aと記載する場合がある。
通信部30A1,30A2,30A3は、共有電力線6に接続されており、共有電力線6を介して電力線通信によって互いに情報の送受信を行うことができる。これにより、無停電電源システム100Aは、2以上の無停電電源装置1A間で共有電力線6を介して電力の授受と通信とを行うことができるため、通信専用の通信線7を用いる場合に比べ、通信のための特別な配線が不要になる。
なお、2以上の無停電電源装置1A間で電力の授受が行われる前と後とで、共有電力線6の負荷状態が変化するが、2以上の無停電電源装置1A間の通信は、限られた時間に限られた情報量の伝達であり、公知の電力線通信によって行うことができる。また、実施の形態2にかかる無停電電源装置1Aにおける制御部20および記憶部40のハードウェア構成例は、図10に示す構成と同じである。
以上のように、実施の形態2にかかる無停電電源システム100Aは、複数の無停電電源装置1Aを備える。各無停電電源装置1Aは、共有電力線6を介した電力線通信によって情報の送受信を行う通信部30Aを備える。各無停電電源装置1Aの制御部20は、通信部30Aによって無停電電源装置1Aの状態を示す情報を送信または受信する。複数の無停電電源装置1Aのうち一つの無停電電源装置1Aの制御部20は、通信部30Aによって取得した無停電電源装置1Aの状態を示す情報に基づき、電力供給元の無停電電源装置1Aと電力供給先の無停電電源装置1Aとを決定する。これにより、通信専用の通信線7を用いる場合に比べ、通信のための特別な配線が不要になる。なお、無停電電源装置1Aの状態を示す情報は、例えば、上述した停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報などである。
実施の形態3.
実施の形態3にかかる無停電電源システムでは、無停電電源装置間の電力の授受が交流電源に接続される電力線を介して行われる点で、無停電電源装置間の電力の授受が共有電力線を介して行われる実施の形態1にかかる無停電電源システム100と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の無停電電源システム100と異なる点を中心に説明する。
図12は、本発明の実施の形態3にかかる無停電電源システムの構成例を示す図である。図12に示すように、実施の形態3にかかる無停電電源システム100Bは、複数の無停電電源装置1B1,1B2,1B3を備える。無停電電源装置1B1,1B2,1B3は、スイッチ141,142,143および制御部201,202,203に代えて、スイッチ14B1,14B2,14B3および制御部20B1,20B2,20B3を有する点で、無停電電源装置1と異なる。無停電電源装置1B1,1B2,1B3は、図1に示す共有電力線6に代えて、交流電源3に接続された商用電力線5を介して電力の授受を行う点で、無停電電源装置1と異なる。
以下において、無停電電源装置1B1,1B2,1B3の各々を区別せずに示す場合、無停電電源装置1Bと記載する場合があり、スイッチ14B1,14B2,14B3の各々を区別せずに示す場合、スイッチ14Bと記載する場合がある。また、制御部20B1,20B2,20B3の各々を区別せずに示す場合、制御部20Bと記載する場合がある。
図13は、実施の形態3にかかる無停電電源装置の構成例を示す図である。図13に示すように、実施の形態3にかかる無停電電源装置1Bの制御部20Bは、スイッチ制御部23および協調処理部28に代えて、スイッチ制御部23Bおよび協調処理部28Bを有する点で、無停電電源装置1の制御部20と異なる。
スイッチ制御部23Bは、通常動作時において、スイッチ制御部23と同様に、商用電力線5とコンバータ11とをスイッチ14Bに接続させ、電気機器2とインバータ12とをスイッチ15に接続させる。通常動作とは、交流電源3から無停電電源装置1Bへ電力が供給されている状態で、無停電電源装置1Bが交流電源3からの電力を用いて電気機器2へ電力を供給する動作である。
電力供給先である他の無停電電源装置1Bへ電力を供給する電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、電力授受動作時において、コンバータ制御部21に対して、バッテリ13の直流電力をコンバータ11によって交流電力へ変換させるように要求する。かかる要求に対して、コンバータ制御部21は、コンバータ11を制御し、バッテリ13の直流電力をコンバータ11によって交流電力へ変換させる。
これにより、電力供給元の無停電電源装置1Bのコンバータ11から出力される交流電力がスイッチ14Bおよび商用電力線5を介して電力供給先の無停電電源装置1Bのコンバータ11へ供給される。そして、電力供給先の無停電電源装置1Bでは、コンバータ11で交流電力が直流電力へ変換され、変換された直流電力がインバータ12へ供給される。
また、電力授受に関係しない無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、電力授受動作時において、スイッチ制御部23Bに対して、商用電力線5とコンバータ11との接続をスイッチ14Bに切断させるように要求する。かかる要求に対して、スイッチ制御部23Bは、スイッチ14Bを制御し、商用電力線5とコンバータ11との接続を切断する。これにより、電力供給元の無停電電源装置1Bから商用電力線5へ供給される交流電力が電力授受に関係しない無停電電源装置1Bへ供給されることを防止することができる。
また、電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、電力供給先の無停電電源装置1Bへ電力を供給させるコンバータ制御部21に対する電力供給処理を停電開始直後に行うことができる。また、電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、電力供給処理を電力供給元の無停電電源装置1Bの停電補償要求時間が経過してから行うこともできる。
また、電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、電力供給元の停電補償要求時間が経過して電力供給処理を行う場合、コンバータ11に加えてインバータ12からも商用電力線5へ電力供給を行うこともできる。具体的には、電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、スイッチ制御部23Bに対し、コンバータ11に加えバイパス電力線18をスイッチ14Bによって商用電力線5に接続させ、且つインバータ12をスイッチ15によってバイパス電力線18へ接続させるように要求する。また、電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、インバータ制御部22に対し、インバータ12にバッテリ13の直流電力を交流電力へ変換するように要求する。
これにより、電力供給元の無停電電源装置1Bにおいて、コンバータ11とバイパス電力線18とがスイッチ14Bを介して商用電力線5に接続され、インバータ12がスイッチ15を介してバイパス電力線18に接続される。また、電力供給元の無停電電源装置1Bにおいて、インバータ12によってバッテリ13の直流電力が交流電力へ変換される。そのため、電力供給元の無停電電源装置1Bにおいて、インバータ12から供給される交流電力がバイパス電力線18へ出力され、その結果、コンバータ11およびインバータ12から出力される交流電力が商用電力線5へ供給される。
なお、電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、停電状態になった後から電力供給元の無停電電源装置1Bの停電補償要求時間が経過するまでの間で、コンバータ11からの交流電力を電力供給先の無停電電源装置1Bへ供給する場合であっても、インバータ12を用いることができる。例えば、電力供給元の無停電電源装置1Bの協調処理部28Bは、電力供給元の無停電電源装置1Bの停電補償要求時間が経過した後に、コンバータ11からの交流電力に代えてまたは加えてインバータ12からの交流電力を供給先の無停電電源装置1Bへ供給させることができる。
図14は、実施の形態3にかかる協調処理部の協調処理後の無停電電源システムの状態の一例を示す図であり、停電状態において、無停電電源装置1B1から無停電電源装置1B3へ電力を供給する場合の例を示している。なお、協調処理部28Bによる電力供給元の無停電電源装置1Bと電力供給先の無停電電源装置1Bの決定処理方法は、協調処理部28による電力供給元の無停電電源装置1と電力供給先の無停電電源装置1の決定処理方法と同じである。
図14に示す例では、無停電電源装置1B1において、スイッチ14B1によってコンバータ111とバイパス電力線181とが共に商用電力線5に接続され、スイッチ151によって、インバータ121とバイパス電力線181とが接続されている。また、無停電電源装置1B3において、スイッチ14B3によってコンバータ113が商用電力線5に接続されている。そして、制御部20B1によるコンバータ111およびインバータ121の制御によって、コンバータ111およびインバータ121が共にバッテリ131の直流電力を交流電力へ変換している。そのため、コンバータ111およびインバータ121の各々からの交流電力が商用電力線5を介して無停電電源装置1B3のコンバータ113へ供給される。
また、無停電電源装置1B2において、スイッチ14B2によってコンバータ112と商用電力線5との接続が切断されている。そのため、無停電電源装置1B1からの交流電力が商用電力線5を介して無停電電源装置1B2へ供給されることを防止することができる。
なお、上述した例では、スイッチ15は、電気機器2およびスイッチ14Bのうちいずれか一つに選択的にインバータ12を接続するが、かかる例に限定されない。例えば、スイッチ15は、電気機器2および商用電力線5のうちいずれか一つに選択的にインバータ12を接続する構成であってもよい。また、上述した例では、スイッチ14Bは、商用電力線5およびバイパス電力線18のうちいずれか一つに選択的にコンバータ11を接続する構成であるが、かかる例に限定されない。例えば、スイッチ14Bは、商用電力線5とコンバータ11との接続と切断とを行うスイッチであってもよい。
また、無停電電源装置1Bは、通信部30に代えて、電力線通信による通信を行う通信部30Aを有する構成であってもよい。この場合、通信部30Aは商用電力線5に接続され、無停電電源装置1Bは、商用電力線5を介して他の無停電電源装置1Bと通信を行うことができる。
実施の形態3にかかる無停電電源装置1Bにおける制御部20Bおよび記憶部40のハードウェア構成例は、図10に示す構成と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、上述しスイッチ制御部23および協調処理部28に代えて、スイッチ制御部23Bおよび協調処理部28Bの機能を実行することができる。
以上のように実施の形態3にかかる無停電電源システム100Bは、複数の無停電電源装置1Bを備える。各無停電電源装置1Bは、電気機器2および商用電力線5のうちいずれか一つに選択的にインバータ12を接続するスイッチ15を備える。少なくとも一つの無停電電源装置1Bの制御部20Bは、停電状態において、スイッチ15によってインバータ12を商用電力線5に接続させ、且つバッテリ13の直流電力をインバータ12とコンバータ11に交流電力へ変換させ、変換させた交流電力をインバータ12とコンバータ11に他の一つ以上の無停電電源装置1Bへ供給させる。これにより、少なくとも一つの無停電電源装置1Bのインバータ12から他の一つ以上の無停電電源装置1Bへ電力を供給する場合に、スイッチ15によってインバータ12と電気機器2との接続が切断されている状態である。そのため、インバータ12の出力電力を抑えつつ複数の無停電電源装置1B間でバッテリ13に蓄積されている電力を相互利用することができる。また、無停電電源装置1B間での電力の授受が商用電力線5を介して行われるため、無停電電源装置1B間での電力の授受のための特別な配線が不要である。
実施の形態4.
実施の形態4にかかる無停電電源システムは、無停電電源装置1間で推奨されるバッテリの交換の組み合わせを判定するバッテリ管理装置を有する点で、実施の形態1~3にかかる無停電電源システム100,100A,100Bと異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1の無停電電源システム100と異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態4にかかる無停電電源システムは、無停電電源装置1に代えて、無停電電源装置1Aまたは無停電電源装置1Bを含む構成であってもよい。
図15は、本発明の実施の形態4にかかる無停電電源システムの構成例を示す図である。図15に示すように、実施の形態4にかかる無停電電源システム100Cは、無停電電源装置11,12,13と、無停電電源装置11,12,13間で推奨されるバッテリ131,132,133の交換の組み合わせを判定するバッテリ管理装置50とを備える。無停電電源装置11,12,13とバッテリ管理装置50とは通信線7を介して通信可能に接続される。なお、複数のバッテリ131,132,133は、無停電電源装置1間で交換可能である仕様であり、例えば、形状および定格が同じである。
無停電電源装置11の制御部201は、停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報などを通信部301から通信線7を介してバッテリ管理装置50へ送信する。また、無停電電源装置11の制御部201は、バッテリ131の劣化状態が予め設定された条件を満たす場合に、バッテリ劣化通知情報を通信部301から通信線7を介してバッテリ管理装置50へ送信する。予め設定された条件とは、例えば、無停電電源装置1の負荷率が50%であると仮定した場合に6ヶ月でバッテリ131が寿命になると予測される場合である。
同様に、無停電電源装置12の制御部202は、停電補償情報、バッテリ情報、負荷率情報、およびバッテリ劣化通知情報などを通信部302から通信線7を介してバッテリ管理装置50へ送信する。また、無停電電源装置13の制御部203は、停電補償情報、バッテリ情報、負荷率情報、およびバッテリ劣化通知情報などを通信部303から通信線7を介してバッテリ管理装置50へ送信する。
図16は、実施の形態4にかかるバッテリ管理装置の構成例を示す図である。図16に示すように、実施の形態4にかかるバッテリ管理装置50は、通信部51と、記憶部52と、処理部53と、表示部54と、入力部55とを備える。
通信部51は、通信線7に接続され、通信線7を介して無停電電源装置1の通信部30と通信する。処理部53は、各無停電電源装置1から送信され通信部51で受信される停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報を無停電電源装置1の識別情報に関連付けて記憶部52に記憶する。
処理部53は、無停電電源装置1から通信部51によってバッテリ劣化通知情報が受信された場合、記憶部52に記憶された情報に基づいて、無停電電源装置1間で推奨されるバッテリ13の交換の組み合わせを抽出する。処理部53は、抽出したバッテリ13の交換の組み合わせを表示部54に表示したり、通信部51を介して不図示の装置へ送信したりすることができる。入力部55は、各種の設定を行うための入力を受け付ける。
処理部53は、情報取得部61と、停電補償予測時間算出部62と、停電補償余裕時間算出部63と、推奨組み合わせ抽出部64と、バッテリ残期間予測部65と、バッテリ温度制御部66とを備える。
情報取得部61は、無停電電源装置1からバッテリ管理装置50へ送信される停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報などを取得し、取得した停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報などを記憶部52に記憶する。また、情報取得部61は、無停電電源装置1からバッテリ管理装置50へのバッテリ劣化通知情報が通信部51によって受信された場合、記憶部52から停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報などを取得する。
停電補償予測時間算出部62は、情報取得部61によって取得された停電補償情報、負荷率情報、およびバッテリ情報に基づいて、複数の無停電電源装置1のバッテリ13の各々を複数の無停電電源装置1のうち異なる無停電電源装置1に搭載した場合における各無停電電源装置1の停電補償予測時間を算出する。停電補償予測時間は、無停電電源装置1から電気機器2に電力を供給可能な時間の予測値である。
具体的には、停電補償予測時間算出部62は、無停電電源装置11にバッテリ132,133の各々を搭載した場合の停電補償予測時間を算出する。また、停電補償予測時間算出部62は、無停電電源装置12にバッテリ131,133の各々を搭載した場合の停電補償予測時間を算出する。また、停電補償予測時間算出部62は、無停電電源装置13にバッテリ131,132の各々を搭載した場合の停電補償予測時間を算出する。
なお、無停電電源装置1とバッテリ13との現状の組み合わせにおける停電補償予測時間は、停電補償情報に含まれるが、停電補償予測時間算出部62は、これらの停電補償予測時間を算出することもできる。すなわち、停電補償予測時間算出部62は、無停電電源装置11にバッテリ131を搭載した場合の停電補償予測時間、無停電電源装置12にバッテリ132を搭載した場合の停電補償予測時間、および無停電電源装置13にバッテリ133を搭載した場合の停電補償予測時間を算出することもできる。
停電補償余裕時間算出部63は、複数の無停電電源装置1のバッテリ13の各々を複数の無停電電源装置1の各々に搭載した場合における各無停電電源装置1の停電補償余裕時間を算出する。停電補償余裕時間は、停電補償要求時間に対する停電補償予測時間の余裕を示す時間である。停電補償余裕時間算出部63は、例えば、停電補償予測時間から停電補償要求時間を減算することによって、停電補償余裕時間を算出する。
具体的には、停電補償余裕時間算出部63は、無停電電源装置11にバッテリ131,132,133の各々を搭載した場合の停電補償余裕時間を算出する。また、停電補償余裕時間算出部63は、無停電電源装置12にバッテリ131,132,133の各々を搭載した場合の停電補償余裕時間を算出する。また、停電補償余裕時間算出部63は、無停電電源装置13にバッテリ131,132,133の各々を搭載した場合の停電補償余裕時間を算出する。
なお、現状の無停電電源装置1とバッテリ13との組み合わせにおける停電補償余裕時間が停電補償情報に含まれている場合、停電補償余裕時間算出部63は、現状の無停電電源装置1とバッテリ13との組み合わせにおける停電補償余裕時間を算出しなくてもよい。
図16に示す推奨組み合わせ抽出部64は、停電補償余裕時間算出部63によって算出された停電補償余裕時間に基づいて、複数の無停電電源装置1のバッテリ13と複数の無停電電源装置1との現状の組み合わせとは異なる組み合わせであって推奨される組み合わせを抽出する。以下、推奨組み合わせ抽出部64によって推奨される組み合わせを推奨組み合わせと記載する場合がある。
ここで、推奨組み合わせ抽出部64による推奨組み合わせの抽出処理について説明する。図17は、実施の形態4にかかる推奨組み合わせの抽出処理の一例を説明するための図である。
図17に示す例では、無停電電源装置1の識別情報、無停電電源装置1の負荷、バッテリ13の周囲温度、停電補償要求時間、バッテリ13の候補、停電補償予測時間、および停電補償余裕時間が示されている。識別情報「101」の無停電電源装置1は、無停電電源装置11である。識別情報「102」の無停電電源装置1は、無停電電源装置12である。識別情報「103」の無停電電源装置1は、無停電電源装置13である。バッテリ13の候補は、バッテリ131,132,133のいずれかである。
図17に示す例では、無停電電源装置11,12の停電補償要求時間は、共に10分であり、無停電電源装置13の停電補償要求時間は、5分である。また、無停電電源装置11とバッテリ131との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、8.5分であり、停電補償余裕時間は、-1.5分である。無停電電源装置11とバッテリ132との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、15分であり、停電補償余裕時間は、5分である。無停電電源装置11とバッテリ133との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、13分であり、停電補償余裕時間は、3分である。
また、無停電電源装置12とバッテリ131との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、25分であり、停電補償余裕時間は、15分である。無停電電源装置12とバッテリ132との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、45分であり、停電補償余裕時間は、35分である。無停電電源装置12とバッテリ133との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、40分であり、停電補償余裕時間は、30分である。
また、無停電電源装置13とバッテリ131との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、6.5分であり、停電補償余裕時間は、1.5分である。無停電電源装置13とバッテリ132との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、11分であり、停電補償余裕時間は、6分である。無停電電源装置13とバッテリ133との組み合わせにおいて、停電補償予測時間は、10分であり、停電補償余裕時間は、5分である。
図17に示す例では、無停電電源装置11について、停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせが、バッテリ132またはバッテリ133との組み合わせである。また、無停電電源装置12について、停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせが、バッテリ131、バッテリ132、またはバッテリ133との組み合わせである。また、無停電電源装置13について、停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせが、バッテリ131、バッテリ132、またはバッテリ133との組み合わせである。なお、実施の形態4において、停電補償余裕時間がプラスであるとは、停電補償余裕時間がマイナスでないことを意味し、停電補償余裕時間がゼロである場合を含む。
推奨組み合わせ抽出部64は、交換組み合わせの候補が複数存在する場合、停電補償余裕時間の合計が最大になる組み合わせを推奨組み合わせとして抽出する。図17に示す例では、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせとして、無停電電源装置11にバッテリ132を搭載し、無停電電源装置12にバッテリ131を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ133を搭載する第1の組み合わせがある。また、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせとして、無停電電源装置11にバッテリ132を搭載し、無停電電源装置12にバッテリ133を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ131を搭載する第2の組み合わせがある。
また、図17に示す例では、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせとして、無停電電源装置11にバッテリ133を搭載し、無停電電源装置12にバッテリ131を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ132を搭載する第3の組み合わせがある。また、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせとして、無停電電源装置11にバッテリ133を搭載し、無停電電源装置12にバッテリ132を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ131を搭載する第4の組み合わせがある。
無停電電源装置11,12,13の停電補償余裕時間をT1,T2,T3とし、停電補償余裕時間の合計をTAとする。この場合、第1の組み合わせでは、TA=T1+T2+T3=5+15+5=25[分]であり、第2の組み合わせでは、TA=5+30+1.5=36.5[分]である。また、第3の組み合わせでは、TA=3+15+6=24[分]であり、第4の組み合わせでは、TA=3+35+1.5=39.5[分]である。したがって、推奨組み合わせ抽出部64は、第4の組み合わせを推奨組み合わせとして抽出する。
図18は、実施の形態4にかかる推奨組み合わせの抽出処理の他の例を説明するための図である。図18に示す例では、図17に示す例に比べ、無停電電源装置12の停電補償要求時間が10分から30分へ変更され、無停電電源装置13の停電補償要求時間が5分から7分に変更されている。
図18に示す例では、無停電電源装置11の停電補償余裕時間が現状では-1.5分であるが、バッテリ131をバッテリ132またはバッテリ133へ変更することで、停電補償余裕時間が5分または3分へ延長される。ところが、バッテリ131とバッテリ132を交換した場合の無停電電源装置12の停電補償余裕時間は-5分になり、バッテリ131とバッテリ133を交換した場合の無停電電源装置13の停電補償余裕時間は-0.5分になる。したがって、いずれの組み合わせの場合も、すべての停電補償余裕時間をプラスにすることができないため、推奨組み合わせ抽出部64は、推奨組み合わせを抽出しないことができる。
また、推奨組み合わせ抽出部64は、無停電電源装置1の優先度が設定されている場合、すべての停電補償余裕時間をプラスにすることができない場合であっても、無停電電源装置1の優先度に基づいて、推奨組み合わせを抽出することができる。無停電電源装置1の優先度は、例えば、無停電電源システム100Cの利用者によって入力部55への入力に基づいて設定される。
例えば、無停電電源装置11の優先度が、無停電電源装置12の優先度および無停電電源装置13の優先度よりも高いとする。この場合、推奨組み合わせ抽出部64は、すべての停電補償余裕時間をプラスにすることができない場合であっても、無停電電源装置11の停電補償余裕時間がプラスになることを優先することができる。
具体的には、推奨組み合わせ抽出部64は、無停電電源装置11の停電補償余裕時間が最も高くなる組み合わせを推奨組み合わせとして抽出することができる。図18に示す例では、推奨組み合わせ抽出部64は、無停電電源装置11にバッテリ132を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ131またはバッテリ133を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ131またはバッテリ133を搭載する組み合わせを推奨組み合わせとして抽出する。
また、推奨組み合わせ抽出部64は、無停電電源装置11の停電補償余裕時間が最も高くなり且つ無停電電源装置11以外の無停電電源装置12,13の停電補償余裕時間のマイナス分が最も小さくなる組み合わせを推奨組み合わせとして抽出することができる。図18に示す例では、推奨組み合わせ抽出部64は、無停電電源装置11にバッテリ132を搭載し、無停電電源装置12にバッテリ133を搭載し、無停電電源装置11にバッテリ131を搭載する組み合わせを推奨組み合わせとして抽出する。
図19は、実施の形態4にかかる推奨組み合わせの抽出処理のさらに他の例を説明するための図である。図19に示す例では、図17に示す例に比べ、無停電電源装置12の停電補償要求時間が10分から35分へ変更され、無停電電源装置13の停電補償要求時間が5分から2分に変更されている。
図19に示す例では、無停電電源装置11について、停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせが、バッテリ132またはバッテリ133との組み合わせである。また、無停電電源装置12について、停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせが、バッテリ132またはバッテリ133との組み合わせである。また、無停電電源装置13について、停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせが、バッテリ131、バッテリ132、またはバッテリ133との組み合わせである。
したがって、図19に示す例では、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせとして、無停電電源装置11にバッテリ133を搭載し、無停電電源装置12にバッテリ132を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ131を搭載する第1の組み合わせがある。また、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせとして、無停電電源装置11にバッテリ132を搭載し、無停電電源装置12にバッテリ133を搭載し、無停電電源装置13にバッテリ131を搭載する第2の組み合わせがある。
第1の組み合わせでは、TA=T1+T2+T3=3+10+4.5=17.5[分]であり、第2の組み合わせでは、TA=5+5+4.5=14.5[分]である。したがって、推奨組み合わせ抽出部64は、第1の組み合わせを推奨組み合わせとして抽出する。
図16に戻って、処理部53の説明を続ける。図16に示す処理部53のバッテリ残期間予測部65は、情報取得部61によって取得された停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報などに基づいて、各無停電電源装置1のバッテリ残期間を予測する。バッテリ残期間は、バッテリ13の劣化などによるバッテリ13の放電容量の減少によって停電補償余裕時間がゼロになるまでの期間である。
図20は、実施の形態4にかかるバッテリ残期間を説明するための図であり、縦軸は、停電補償予測時間であり、横軸は、時間である。図20に示すように、停電補償余裕時間は、停電補償予測時間が停電補償要求時間になるまでの期間である。
図21は、実施の形態4にかかるバッテリの寿命とバッテリの周囲温度との関係の一例を示す図である。図21において、「5×I20」は、20時間率放電電流の5倍の電流値を示し、「60×I20」は、20時間率放電電流の60倍の電流値を示す。図21に示すように、バッテリ13の周囲温度が、例えば、30℃から40℃へ上昇すると寿命が数か月短くなる。また、放電電流が5×I20,60×I20のように異なる場合も寿命が変わってくる。すなわち、バッテリ劣化通知情報が無停電電源装置1から送信された後、無停電電源装置1の負荷率の変化とバッテリ13の周囲温度の変化により、実効的なバッテリ13の寿命が大きく変わる可能性がある。
例えば、バッテリ13における実効的な寿命が短くなれば、バッテリ13を交換するまでに停電補償要求時間が満たされなくなる場合が発生する可能性がある。また、バッテリ13の実効的な寿命が長くなれば、バッテリ13の余力を残したまま交換することになるため資源の有効活用の点で無駄が発生する可能性がある。
上述したように、バッテリ残期間予測部65は、情報取得部61によって取得された停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報などに基づいて、各無停電電源装置1のバッテリ残期間を算出する。停電補償情報、バッテリ情報、および負荷率情報は、例えば、数分間隔で無停電電源装置1からバッテリ管理装置50へ通知される。
バッテリ情報には、バッテリ13の周囲温度の値を示す情報が含まれている。バッテリ残期間予測部65は、数分間隔で取得されるバッテリ13の周囲温度の値を積分する機能を有することにより、バッテリ13の周囲温度の積算履歴を保持する。バッテリ残期間予測部65は、例えば、バッテリ劣化通知情報がバッテリ管理装置50で受信された後におけるバッテリ13の周囲温度の積算履歴を用いて各無停電電源装置1のバッテリ残期間を予測することができる。これにより、各無停電電源装置1のバッテリ残期間を精度よく予測することができる。
バッテリ残期間予測部65は、バッテリ残期間が予め設定された期間Tb未満になった無停電電源装置1があるか否かを判定し、判定した結果を表示部54に表示したり、判定した結果を通信部51から不図示の端末装置へ送信したりすることができる。予め設定された期間Tbは、例えば、1か月などの期間であり、無停電電源装置1におけるバッテリ劣化通知情報の送信基準の期間よりも短い期間である。
また、バッテリ残期間予測部65は、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせが複数ある場合、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の組み合わせでのバッテリ残期間を予測することができる。推奨組み合わせ抽出部64は、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の複数の組み合わせのうち、バッテリ残期間が予め設定された期間Tc未満になる無停電電源装置1を含む組み合わせを推奨組み合わせから除外することができる。推奨組み合わせ抽出部64は、停電補償余裕時間がプラスになる現状以外の複数の組み合わせのうち、バッテリ残期間に基づいて除外した組み合わせ以外の組み合わせから上述した手法で推奨組み合わせを抽出することができる。なお、期間Tcは、期間Tb以上の期間である。
図22は、実施の形態4にかかるバッテリの周囲温度と放電容量との関係を示す図であり、放電電流が0.05CA、0.1CA、0.25CA、および1CAの場合の例を示している。図22に示すように、例えば、バッテリ13の周囲温度が30℃から40℃へ上昇するとバッテリ13の放電容量が5%程度アップする。バッテリ13の寿命の観点ではバッテリ13の周囲温度を下げる方が望ましいが、短期的にはバッテリ13の周囲温度を上昇させることにより停電補償余裕時間を増加させることが可能である。
そこで、実施の形態4にかかるバッテリ管理装置50の処理部53は、停電補償余裕時間算出部63によって算出された停電補償余裕時間に基づいて、バッテリ13の周囲温度を上昇させる制御を行う。具体的には、図16に示す処理部53のバッテリ温度制御部66は、停電補償余裕時間算出部63によって算出された停電補償余裕時間に基づいて、複数の無停電電源装置1のバッテリ13のうち温度上昇させるバッテリ13を決定する。そして、バッテリ温度制御部66は、決定したバッテリ13を有する無停電電源装置1に決定したバッテリ13の温度を上昇する処理を実行させる。
例えば、バッテリ温度制御部66は、推奨組み合わせ抽出部64によって停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせがないと判定された場合、バッテリ13の温度上昇によって停電補償余裕時間がプラスになる無停電電源装置1の有無を判定する。
ここで、バッテリ132を搭載した場合の無停電電源装置11の停電補償余裕時間がプラスであり、バッテリ133を搭載した場合の無停電電源装置12の停電補償余裕時間がプラスであるとする。また、バッテリ131を搭載した場合の無停電電源装置13の停電補償余裕時間が-0.5分であるとする。そして、バッテリ131を搭載した場合の無停電電源装置13において、停電補償予測時間が10分であり、停電補償要求時間が10.5分であるとする。また、バッテリ131の周囲温度が30℃であるとする。
この場合、図22に示す例では、バッテリ131の周囲温度を30℃から40℃へ上昇するとバッテリ131の放電容量が5%程度アップし、バッテリ131を搭載した場合の無停電電源装置13の停電補償余裕時間がプラスになる。そこで、バッテリ温度制御部66は、バッテリ131を温度上昇させるバッテリ13として決定する。また、バッテリ温度制御部66は、バッテリ温度制御部66によるバッテリ13の温度制御によって、停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせを推奨組み合わせとして抽出することができる。
バッテリ温度制御部66は、温度上昇させるバッテリ13を搭載した無停電電源装置1に、温度上昇命令を通信部51および通信線7を介して送信することによって、無停電電源装置1にバッテリ13の温度を上昇する処理を実行させる。例えば、バッテリ温度制御部66は、推奨組み合わせ抽出部64が推奨する組み合わせでバッテリ13が交換された後に、温度上昇させるバッテリ13を搭載した無停電電源装置1に温度上昇命令を送信する。これにより、推奨組み合わせ抽出部64が推奨する組み合わせでバッテリ13が交換された場合において、各無停電電源装置1の停電補償余裕時間をプラスにすることができる。
無停電電源装置1の制御部20は、バッテリ温度制御部66から温度上昇命令がある場合、無停電電源装置1に設けられた不図示の冷却ファンの回転数を遅くすることにより、バッテリ13の周囲温度を上昇させ、停電補償余裕時間を増加させることができる。なお、温度上昇命令には上昇させる温度の値である温度上昇値が含まれており、無停電電源装置1の制御部20は、温度上昇命令に含まれる温度上昇値が大きいほど回転数を遅くすることができる。
また、記憶部52は、推奨組み合わせ抽出部64が推奨する組み合わせでバッテリ13が交換されたことを示す情報である交換完了情報を利用者の設定によりに記憶部52に記憶することができる。バッテリ温度制御部66は、交換完了情報が記憶部52に記憶された場合に、温度上昇命令を対象の無停電電源装置1へ通信部51および通信線7を介して送信することができる。記憶部52への交換完了情報の記憶は、例えば、通信線7に接続された不図示の端末装置への操作によって行うこともできる。
図15に示すバッテリ管理装置50は、オンプレミスのサーバであるが、例えば、バッテリ管理装置50は、クラウドコンピューティングシステムのサーバであってもよい。すなわち、バッテリ管理装置50は、クラウド上に配置されてもよい。図23は、実施の形態4にかかる無停電電源システムの他の構成例を示す図である。図23に示す例では、バッテリ管理装置50は、クラウドコンピューティングシステム70に設けられる。図23に示す各無停電電源装置1は、ゲートウェイ71およびネットワーク72を介してバッテリ管理装置50に接続される。各無停電電源装置1は、通信線7、ゲートウェイ71、およびネットワーク72を介してバッテリ管理装置50と通信することができる。なお、ネットワーク72は、例えばインターネットである。
つづいて、バッテリ管理装置50における処理部53による処理を、フローチャートを用いて説明する。図24は、実施の形態4にかかるバッテリ管理装置の処理部による処理の一例を示すフローチャートである。
図24に示すように、バッテリ管理装置50の処理部53は、無停電電源装置1から情報を取得したか否かを判定する(ステップS21)。処理部53は、無停電電源装置1から情報を取得したと判定した場合(ステップS21:Yes)、無停電電源装置1から取得した情報を記憶部52に記憶する(ステップS22)。
処理部53は、ステップS22の処理が終了した場合、または無停電電源装置1から情報を取得していないと判定した場合(ステップS21:No)、交換組み合わせ抽出タイミングになったか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23の処理において、処理部53は、例えば、無停電電源装置1からバッテリ劣化通知情報を取得した場合または利用者からの要求があった場合に、交換組み合わせ抽出タイミングになったと判定する。
処理部53は、交換組み合わせ抽出タイミングになったと判定した場合(ステップS23:Yes)、各組み合わせの停電補償予測時間を算出し(ステップS24)、各組み合わせの停電補償余裕時間を算出する(ステップS25)。各組み合わせの停電補償予測時間は、各組み合わせにおける各無停電電源装置1の停電補償予測時間である。また、各組み合わせの停電補償余裕時間は、各組み合わせにおける各無停電電源装置1の停電補償余裕時間である。
次に、処理部53は、推奨組み合わせの抽出処理を行う(ステップS26)。ステップS26の抽出処理は、図25におけるステップS31~S37の処理であり、後で詳述する。処理部53は、ステップS26の抽出処理において推奨組み合わせを抽出できたか否かを判定する(ステップS27)。処理部53は、推奨組み合わせを抽出できたと判定した場合(ステップS27:Yes)、推奨組み合わせを表示または通知する(ステップS28)。
処理部53は、ステップS28の処理が終了した場合、交換組み合わせ抽出タイミングになっていないと判定した場合(ステップS23:No)、または推奨組み合わせを抽出できないと判定した場合(ステップS27:No)、寿命判定タイミングになったか否かを判定する(ステップS29)。処理部53は、例えば、無停電電源装置1からバッテリ劣化通知情報を取得した後に予め設定された周期で発生するタイミングになった場合または利用者からの要求があった場合に、寿命判定タイミングになったと判定する。
処理部53は、寿命判定タイミングになったと判定した場合(ステップS29:Yes)、各バッテリの寿命を判定する(ステップS30)。処理部53は、ステップS30の処理が終了した場合、または寿命判定タイミングになっていないと判定した場合(ステップS29:No)、図24に示す処理を終了する。
次に、図24に示すステップS26の抽出処理について説明する。図25は、実施の形態4にかかる推奨組み合わせの抽出処理の一例を示すフローチャートである。図25に示すように、処理部53は、停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがあるか否かを判定する(ステップS31)。処理部53は、停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがあると判定した場合(ステップS31:Yes)、停電補償余裕時間の合計値が最大の組み合わせを推奨組み合わせとして決定する(ステップS32)。
処理部53は、停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがないと判定した場合(ステップS31:No)、無停電電源装置1に優先度が設定されているか否かを判定する(ステップS33)。処理部53は、無停電電源装置1に優先度が設定されていると判定した場合(ステップS33:Yes)、優先度が高い無停電電源装置1の停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがあるか否かを判定する(ステップS34)。
処理部53は、優先度が高い無停電電源装置1の停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがあると判定した場合(ステップS34:Yes)、ステップS35の処理に移行する。処理部53は、ステップS35の処理において、優先度が高い無停電電源装置1の停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせを推奨組み合わせとして決定する。
処理部53は、無停電電源装置1に優先度が設定されていないと判定した場合(ステップS33:No)、または優先度が高い無停電電源装置1の停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがないと判定した場合(ステップS34:No)、ステップS36の処理に移行する。処理部53は、ステップS36の処理において、バッテリ13の温度上昇により停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがあるか否かを判定する。
処理部53は、バッテリ13の温度上昇により停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがあると判定した場合(ステップS36:Yes)、ステップS37の処理に移行する。処理部53は、ステップS37の処理において、バッテリ13の温度上昇により停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせを推奨組み合わせとして決定する。
処理部53は、ステップS32の処理が終了した場合、ステップS35の処理が終了した場合、ステップS37の処理が終了した場合、または、バッテリ13の温度上昇により停電補償余裕時間がマイナスにならない組み合わせがないと判定した場合(ステップS36:No)、図25に示す処理を終了する。
実施の形態4にかかるバッテリ管理装置50における記憶部52および処理部53のハードウェア構成例は、図10に示す無停電電源装置1と同じである。記憶部52は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、情報取得部61、停電補償予測時間算出部62、停電補償余裕時間算出部63、推奨組み合わせ抽出部64、バッテリ残期間予測部65、およびバッテリ温度制御部66の機能を実行することができる。なお、バッテリ管理装置50の処理部53は、ASICおよびFPGAなどの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態4にかかる無停電電源システム100Cは、複数の無停電電源装置1と、複数の無停電電源装置1の各々のバッテリ13を管理するバッテリ管理装置50を備える。バッテリ管理装置50は、停電補償予測時間算出部62と、停電補償余裕時間算出部63と、推奨組み合わせ抽出部64とを備える。停電補償予測時間算出部62は、複数の無停電電源装置1のバッテリ13の各々を複数の無停電電源装置1のうち異なる無停電電源装置1に搭載した場合において、複数の無停電電源装置1の各々から対応する電気機器2に電力を供給可能な時間の予測値である停電補償予測時間を算出する。停電補償余裕時間算出部63は、複数の無停電電源装置1のバッテリ13と複数の無停電電源装置1との現状の組み合わせとは異なる組み合わせにおいて、電気機器2に電力供給が要求される時間である停電補償要求時間と、停電補償予測時間との差である停電補償余裕時間を算出する。推奨組み合わせ抽出部64は、停電補償余裕時間算出部63によって算出された停電補償余裕時間に基づいて、複数の無停電電源装置1のバッテリ13と複数の無停電電源装置1との現状の組み合わせとは異なる組み合わせであって推奨される組み合わせを抽出する。これにより、例えば、交換用のバッテリ13が品切れなどによって交換用のバッテリ13をすぐに調達できない場合などにおいて、複数の無停電電源装置1間でバッテリ13を交換することで停電補償要求時間を確保することができる。
また、推奨組み合わせ抽出部64は、異なる組み合わせのうち複数の無停電電源装置1の停電補償余裕時間がすべてプラスである組み合わせを推奨される組み合わせとして抽出する。これにより、交換用のバッテリ13を調達するまでの間において、停電補償要求時間を精度よく確保することができる。
また、推奨組み合わせ抽出部64は、異なる組み合わせのうち複数の無停電電源装置1の停電補償余裕時間がすべてプラスである組み合わせが複数ある場合、停電補償余裕時間の合計が最も大きい組み合わせを推奨される組み合わせとして抽出する。これにより、交換用のバッテリ13を調達するまでの間において、停電補償要求時間をより精度よく確保することができる。
また、推奨組み合わせ抽出部64は、異なる組み合わせにおいて停電補償余裕時間がマイナスになる無停電電源装置1が含まれる場合、複数の無停電電源装置1のうち優先度が最も高く設定された無停電電源装置1の停電補償余裕時間がプラスになる組み合わせを推奨される組み合わせとして抽出する。これにより、優先度が高い無停電電源装置1について、交換用のバッテリ13を調達するまでの間において、停電補償要求時間を確保することができる。
また、バッテリ管理装置50は、バッテリ温度制御部66を備える。バッテリ温度制御部66は、停電補償余裕時間算出部63によって算出された停電補償余裕時間に基づいて、複数の無停電電源装置1のバッテリ13のうち温度上昇させるバッテリ13を決定し、決定したバッテリ13を有する無停電電源装置1に決定したバッテリ13の温度を上昇する処理を実行させる。これにより、優先度が高い無停電電源装置1について、交換用のバッテリ13を調達するまでの間において、停電補償要求時間を精度よく確保することができる。
また、バッテリ管理装置50は、クラウド上に配置される。そのため、バッテリ管理装置50を無停電電源装置1の設置場所に配置する必要がなく、無停電電源装置1の設置場所が狭い場合であっても、バッテリ13を管理することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。