以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する種々の実施形態において、同様の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。まず、図1及び図2を参照して、一実施形態に係るレーザ加工システム10について説明する。レーザ加工システム10は、オペレータと協働でワークWに対するレーザ加工(レーザ溶接、レーザ切断等)を実行できるシステムである。
具体的には、レーザ加工システム10は、ロボット12、レーザ加工ヘッド14、レーザ発振器16、及び制御装置18を備える。ロボット12は、レーザ加工ヘッド14をワークWに対して相対的に移動させる。本実施形態においては、ロボット12は、垂直多関節ロボットであって、ロボットベース20、旋回胴22、下腕部24、上腕部26、及び手首部28を有する。
ロボットベース20は、作業セルの床の上に固定されている。旋回胴22は、鉛直軸周りに旋回可能となるように、ロボットベース20に設けられている。下腕部24は、旋回胴22に水平軸周りに回動可能に設けられている。上腕部26は、下腕部24の先端部に回動可能に設けられている。手首部28は、互いに直交する2つの軸周りに回動可能となるように上腕部26の先端部に設けられた手首ベース28aと、該手首ベース28aに回動可能に設けられた手首フランジ28bとを有する。
ロボット12の各コンポーネント(つまり、ロボットベース20、旋回胴22、下腕部24、上腕部26、及び手首部28)には、複数のサーボモータ30(図2)がそれぞれ設けられている。これらサーボモータ30は、制御装置18からの指令に応じて、ロボット12の各可動コンポーネント(つまり、旋回胴22、下腕部24、上腕部26、手首部28、手首フランジ28b)を駆動軸周りに回動させる。これにより、ロボット12は、ワークWに対してレーザ加工ヘッド14を移動させる。
レーザ加工ヘッド14は、ロボット12の手首フランジ28bに着脱可能に取り付けられ、レーザ発振器16が生成したレーザ光LBを出射する。具体的には、図3に示すように、レーザ加工ヘッド14は、ヘッド本体32、ノズル34、着脱具36、及び把持部38を備える。ヘッド本体32は、中空であって、その内部に、光学レンズ(コリメートレンズ、フォーカスレンズ等)、及び、制御装置18からの指令に応じて該光学レンズを変位させるレンズ駆動部(例えば、サーボモータ)等の光学系コンポーネントを収容している。
ノズル34は、中空であって、ヘッド本体32の先端部に設けられている。ノズル34は、その基端部から先端部へ向かうにつれて断面積が小さくなるような円錐台状の外形を有し、その先端部に出射口34aが形成されている。ヘッド本体32及びノズル34の内部には、空洞のチャンバが形成され、該チャンバ内に、外部に設けられたアシストガス供給装置(図示せず)からアシストガスAGが供給される。レーザ発振器16が生成したレーザ光LBは、該チャンバ内を伝搬し、アシストガスAGとともに出射口34aから光軸Aに沿って出射される。
着脱具36は、ヘッド本体32に設けられ、ロボット12の手首フランジ28bに着脱される。一例として、着脱具36は、ボルト等の締結具を有し、該締結具によって手首フランジ28bに締結されてもよい。他の例として、着脱具36は、手首フランジ28bに形成された被係合部と脱離可能に係合する係合部を有し、該被係合部と該係合部との係合によって、手首フランジ28bに着脱されてもよい。さらに他の例として、着脱具36は、電磁石を有し、該電磁石が発生させる電磁力によって、手首フランジ28bに吸着固定されてもよい。この着脱具36を介して、レーザ加工ヘッド14は、ロボット12の手首フランジ28bに着脱可能に取り付けられる。
把持部38は、オペレータが片手で把持可能となるように、ヘッド本体32の基端部に一体に設けられている。把持部38は、オペレータが片手で把持し易くするために、該片手の指に対応する凹凸部を有してもよい。オペレータは、該把持部38を把持してレーザ加工ヘッド14を手首フランジ28bから取り外すことで、レーザ加工ヘッド14を持ち運ぶことができる。
図1及び図2を参照して、レーザ発振器16は、制御装置18からの指令(レーザパワー指令等)に応じて内部でレーザ発振し、レーザ光LBを生成する。レーザ発振器16は、ファイバレーザ発振器、パルスレーザ発振器、ダイレクトダイオードレーザ(DDL)、CO2レーザ発振器、又は固体レーザ(YAGレーザ)発振器等、如何なるタイプのものであってもよい。レーザ発振器16は、生成したレーザ光LBを、導光路39を介して、レーザ加工ヘッド14に供給する。導光路39は、光ファイバ、空洞、水晶等の導光材、反射鏡、又は、光学レンズ等によって、構成され得る。
制御装置18は、レーザ発振器16を動作させてレーザ加工ヘッド14からレーザ光LBを出射するレーザ出射動作LOと、ロボット12を動作させて、該ロボット12に取り付けられたレーザ加工ヘッド14をワークWに対して移動させる移動動作MOとを制御する。
具体的には、制御装置18は、図2に示すように、プロセッサ40、メモリ42、及びI/Oインターフェース44を有するコンピュータである。プロセッサ40は、CPU又はGPU等を有し、メモリ42及びI/Oインターフェース44とバス46を介して通信可能に接続され、これらコンポーネントと通信しつつ、後述するレーザ加工を実行するための各種演算処理を行う。メモリ42は、RAM又はROM等を有し、プロセッサ40で実行される演算処理で利用される各種データ、及び演算処理の途中で生成される各種データを、一時的又は恒久的に記憶する。
I/Oインターフェース44は、例えば、イーサネット(登録商標)ポート、USBポート、光ファイバコネクタ、又はHDMI(登録商標)端子を有し、プロセッサ40からの指令の下、外部機器との間でデータを有線又は無線で通信する。ロボット12(具体的には、各サーボモータ30)、レーザ加工ヘッド14(具体的には、レンズ駆動部)、及びレーザ発振器16は、I/Oインターフェース44に通信可能に接続されている。
制御装置18には、入力装置48及び表示装置50がさらに設けられている。入力装置48は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等を有し、オペレータからデータの入力を受け付ける。表示装置50は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を有し、各種データを表示する。
入力装置48及び表示装置50は、I/Oインターフェース44に、有線又は無線で通信可能に接続されている。なお、入力装置48及び表示装置50は、制御装置18の筐体に一体に組み込まれてもよいし、又は、例えば1つのコンピュータ(PC等)として、制御装置18の筐体とは別体として設けられてもよい。
レーザ加工システム10は、さらに、モード選択スイッチ52、力センサ54(図2)、測距センサ56、入力装置58、及び接触検知装置60を備える。モード選択スイッチ52は、制御装置18が実行するレーザ加工の運転モードDMを選択するためのものである。本実施形態においては、モード選択スイッチ52は、制御装置18に一体に設けられている。
より具体的には、図4に示すように、モード選択スイッチ52は、運転モードDMを、「AUTO」として表される自動運転モードDM1と、「MANUAL」として表される手動運転モードDM2との間で切り替え可能に構成されている。自動運転モードDM1は、制御装置18のプロセッサ40が、予め作成された加工プログラムPPに従って、レーザ出射動作LO及び移動動作MOを自動で実行する運転モードDMである。
具体的には、プロセッサ40は、後述する自動運転開始指令CM1を受け付けると、加工プログラムPPに従ってレーザ発振器16への指令を順次生成し、該指令に従ってレーザ発振器16を動作させて、レーザ加工ヘッド14からレーザ光LBを出射するレーザ出射動作LOを自動で実行する。
レーザ出射動作LOとともに、プロセッサ40は、加工プログラムPPに従ってロボット12(具体的には、各サーボモータ30)への指令(位置指令、速度指令、トルク指令等)を順次生成し、該指令に従ってロボット12を動作させて、レーザ加工ヘッド14をワークWに対して移動させる移動動作MOを自動で実行する。
この加工プログラムPPは、オペレータによって作成され、メモリ42に予め格納される。なお、加工プログラムPPは、レーザ発振器16の動作を規定する第1の加工プログラムPPAと、ロボット12の動作を規定する第2の加工プログラムPPBとを有してもよい。
一方、手動運転モードDM2は、オペレータがレーザ加工ヘッド14を手で把持して持ち運び、制御装置18にレーザ出射動作LOを手動で実行させて、レーザ加工ヘッド14から出射されるレーザ光LBでワークWを手動でレーザ加工する運転モードDMである。この手動運転モードDM2においては、オペレータは、後述する手動レーザ出射指令CM2を制御装置18に手動で与え、該制御装置18のプロセッサ40は、該手動レーザ出射指令CM2に応じて、レーザ出射動作LOを実行する。
オペレータは、モード選択スイッチ52を操作することによって、運転モードDMを、自動運転モードDM1と手動運転モードDM2との間で切り替えることができる。なお、図4は、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1(「AUTO」)が選択されている状態を示している。
モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が選択されると、モード選択スイッチ52は、自動運転モード移行指令CM3を制御装置18へ供給する。一方、モード選択スイッチ52によって手動運転モードDM2が選択されると、モード選択スイッチ52は、手動運転モード移行指令CM4を制御装置18へ供給する。なお、自動運転モード移行指令CM3及び手動運転モード移行指令CM4は、ON/OFF信号(例えば、自動運転モード移行指令CM3:ON信号又は「1」信号、手動運転モード移行指令CM4:OFF信号又は「0」信号)であってもよい。
力センサ54(図2)は、ロボット12に設けられ、該ロボット12に加えられた外力Fを検出する。一例として、力センサ54は、ロボット12の各サーボモータ30に設けられ、該サーボモータ30の出力シャフトに掛かるトルクをそれぞれ検出する複数のトルクセンサ54Aを有する。
他の例として、力センサ54は、ロボット12のコンポーネント(例えば、ロボットベース20、又は手首部28)に設けられ、6軸方向の力を検出可能な6軸力覚センサ54Bを有する。制御装置18のプロセッサ40は、力センサ54の検出データDFに基づいて、ロボット12に加えられた外力Fの大きさ及び方向を求めることができるとともに、該外力Fが加えられたロボット12の部位(例えば、手首部28)を特定できるようになっている。
測距センサ56は、レーザ加工ヘッド14(例えば、出射口34a)とワークWとの距離dを測定する。具体的には、測距センサ56は、例えば、静電容量型、赤外線型、レーザ型、又は音波型(例えば、超音波型)の測距センサである。例えば、静電容量型の場合、測距センサ56は、レーザ加工ヘッド14に最も近い位置に在る対象物との距離を測定するように、ヘッド本体32(又はノズル34)に設けられる。
一方、赤外線型、レーザ型、又は音波型の場合、測距センサ62は、対象物との距離dを測定する測定方向D(換言すれば、赤外線、レーザ又は音波の放射方向)が光軸Aと平行となるように、レーザ加工ヘッド14のヘッド本体32(又はノズル34)に取り付けられている。すなわち、この場合、測距センサ56は、レーザ加工ヘッド14(出射口34a)とワークWとの間の、光軸Aの方向の距離dを測定する。
入力装置58は、制御装置18のプロセッサ40にレーザ出射動作LOを実行させるための手動レーザ出射指令CM2の入力操作を受け付ける。具体的には、入力装置58は、オペレータが手で入力操作可能な押しボタン、スイッチ、又はタッチパネル等を有し、レーザ加工ヘッド14(例えば、ヘッド本体32又は把持部38)に設けられている。入力装置58は、オペレータによる入力操作を受け付けると、手動レーザ出射指令CM2を制御装置18へ供給する。なお、手動レーザ出射指令CM2は、ON信号(又は、「1」信号)であってもよい。
制御装置18のプロセッサ40は、手動運転モードDM2を実行中に手動レーザ出射指令CM2を受け付けると、該手動レーザ出射指令CM2に応じて、レーザ出射動作LOを実行する。こうして、オペレータは、手動運転モードDM1として、レーザ加工ヘッド14を手で持ち運びつつ、該レーザ加工ヘッド14の出射口34aから出射されるレーザ光LBによって、ワークWを手動でレーザ加工することができる。なお、本実施形態においては、入力装置58は、オペレータが把持部38を把持した片手で入力操作可能となるように、該把持部38に隣接して、レーザ加工ヘッド14に設けられている。
接触検知装置60は、レーザ加工ヘッド14とワークWとが接触しているか、又は非接触となっているかを検知する。具体的には、接触検知装置60は、導電ケーブル60a、及び抵抗センサ60b(図2、図5)を有する。導電ケーブル60aは、その一端が、レーザ加工ヘッド14のヘッド本体32に電気的に接続され、その他端が、ワークWに電気的に接続され、これにより、レーザ加工ヘッド14とワークWとを電気的に接続する。
ここで、本実施形態においては、レーザ加工ヘッド14のヘッド本体32及びノズル34は、少なくとも一部が導電材(例えば、金属)から構成されている。また、ワークWは、金属(例えば、鉄又は銅)から構成されている。したがって、仮に、レーザ加工ヘッド14のノズル34の先端がワークWと接触したとき、図5に示すように、ワークW、レーザ加工ヘッド14のヘッド本体32及びノズル34、並びに、導電ケーブル60aによって、閉回路62が形成されることになる。
抵抗センサ60bは、この閉回路62に電圧を印加することで、該閉回路62の抵抗Rを測定する。図5に示すようにレーザ加工ヘッド14とワークWとが接触している場合、抵抗センサ60bが測定する抵抗Rは、極小さな値R0(R0≒0)となる。一方、レーザ加工ヘッド14とワークWとが非接触となった(つまり、ノズル34の先端がワークWから離隔した)場合、抵抗センサ60bが測定する抵抗Rは、極大きな値R1(R1≒∞≫R0)となる。
接触検知装置60は、抵抗センサ60bが測定する抵抗Rに基づいて、レーザ加工ヘッド14とワークWとが接触しているか、又は非接触となっているかを検知することができるようになっている。抵抗センサ60bは、測定した抵抗Rの測定データ、又は、レーザ加工ヘッド14とワークWとの接触又は非接触を示す接触判定データを、検知データDDとして、制御装置18に供給する。
制御装置18のプロセッサ40は、抵抗センサ60bの検知データDDから、レーザ加工ヘッド14とワークWとの接触又は非接触を判定できる。なお、抵抗センサ60bは、ヘッド本体32に内蔵されてもよい。なお、力センサ54、測距センサ56、入力装置58、及び接触検知装置60(抵抗センサ60b)は、制御装置18のI/Oインターフェース44に、無線又は有線で通信可能に接続されてもよい。
次に、図6を参照して、レーザ加工システム10の動作について説明する。制御装置18のプロセッサ40は、例えば、オペレータ、上位コントローラ、又は動作プログラムOPから動作開始指令(例えば、電源ON指令)を受け付けたときに、図6のフローを開始する。
ステップS1において、プロセッサ40は、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が選択されたか否かを判定する。具体的には、プロセッサ40は、モード選択スイッチ52から自動運転モード移行指令CM3を受け付けたか、又は手動運転モード移行指令CM4を受け付けたかを判定する。プロセッサ40は、自動運転モード移行指令CM3を受け付けた場合はYESと判定し、ステップS2へ進む一方、手動運転モード移行指令CM4を受け付けた場合はNOと判定し、ステップS3へ進む。
ステップS2において、プロセッサ40は、動作モードDMを自動運転モードDM1へ移行し、自動運転モードDM1のフローを実行する。自動運転モードDM1への移行後、プロセッサ40は、自動運転開始指令CM1を受け付け可能な状態となる一方、入力装置58から供給される手動レーザ出射指令CM2を拒絶する。以下、図7を参照して、ステップS2の自動運転モードDM1のフローについて説明する。
ステップS11において、プロセッサ40は、自動運転モードDM1での自動運転を開始するための自動運転開始指令CM1を受け付けたか否かを判定する。具体的には、プロセッサ40は、自動運転を開始するためのボタン画像が表示された自動運転開始画像IM1(図示せず)を生成し、表示装置50に表示する。
オペレータは、制御装置18の入力装置48を操作して、自動運転開始画像IM1に表示されたボタン画像を画像上でクリックすることで、自動運転開始指令CM1をプロセッサ40に与えるための入力を行うことができる。プロセッサ40は、自動運転開始指令CM1を受け付けたときはYESと判定し、ステップS14へ進む一方、NOと判定したときはステップS12へ進む。
ステップS12において、プロセッサ40は、例えば、オペレータ、上位コントローラ、又は動作プログラムOPから動作終了指令(例えば、シャットダウン指令)を受け付けたか否かを判定する。プロセッサ40は、動作終了指令を受け付けたときはYESと判定し、図7に示すステップS2のフローを終了し、以って、図6に示すフローを終了する。一方、プロセッサ40は、NOと判定した場合、ステップS13へ進む。
ステップS13において、プロセッサ40は、モード選択スイッチ52によって依然として自動運転モードDM1が選択されているか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS11へ戻る一方、NOと判定した(つまり、モード選択スイッチ52が操作されて手動運転モードDM2に切り替えられた)場合は、図6中のステップS3へ進む。
一方、ステップS11でYESと判定した場合、ステップS14において、プロセッサ40は、ロボット12に加えられた外力Fを取得する動作と、レーザ加工ヘッド14とワークWとの距離dを取得する動作とを、それぞれ開始する。具体的には、プロセッサ40は、力センサ54から検出データDFを連続的(例えば、周期的)に取得し、該検出データDFに基づいて、ロボット12に加えられた外力Fを連続的に求める。また、プロセッサ40は、測距センサ56が測定したレーザ加工ヘッド14とワークWとの距離dを連続的(例えば、周期的)に取得する。こうして、プロセッサ40は、このステップS14の開始後、外力F及び距離dを監視する。
ステップS15において、プロセッサ40は、上述のステップS13と同様に、モード選択スイッチ52によって依然として自動運転モードDM1が選択されているか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS16へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS25へ進む。
ステップS16において、プロセッサ40は、直近に取得したレーザ加工ヘッド14とワークWとの距離dが、予め定めた範囲RG内であるか否かを判定する。例えば、この範囲RGは、d≦dth(例えば、dth=3[mm])の範囲として定められてもよいし、又は、[dth1,dth2](例えば、dth1=0.1[mm]、dth2=3[mm])の範囲(つまり、dth1≦d≦dth2)として定められてもよい。プロセッサ40は、距離dが範囲RG内に在る場合はYESと判定し、ステップS17へ進む一方、距離dが範囲RG外である場合はNOと判定し、ステップS23へ進む。
ステップS17において、プロセッサ40は、自動運転を開始する。具体的には、プロセッサ40は、メモリ42から加工プログラムPPを読み出して実行し、該加工プログラムPPに従って、レーザ発振器16への指令と、ロボット12への指令とを順次生成する。こうして、プロセッサ40は、加工プログラムPPに従ってレーザ出射動作LO及び移動動作MOを自動で実行する自動運転を開始する。
このように、本実施形態においては、プロセッサ40は、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が選択され(ステップS15でYESと判定され)、且つ、測距センサ56が測定した距離dが範囲RG内である(ステップS16でYESと判定された)という条件を満たした場合に、自動運転モードDM1としてレーザ出射動作LO及び移動動作MOを実行する。
ステップS18において、プロセッサ40は、上述のステップS13と同様に、モード選択スイッチ52によって依然として自動運転モードDM1が選択されているか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS19へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS24へ進む。
ステップS19において、プロセッサ40は、上述のステップS16と同様に、直近に取得したレーザ加工ヘッド14とワークWとの距離dが範囲RG内であるか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS20へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS22へ進む。
ステップS20において、プロセッサ40は、直近に取得した外力Fが、予め定めた閾値Fth1を超えた(F>Fth1)か否かを判定する。プロセッサ40は、F>Fth1である場合はYESと判定し、ステップS22へ進む一方、F≦Fth1である場合はNOと判定し、ステップS21へ進む。
なお、プロセッサ40は、力センサ54の検出データDFに基づいて、ロボット12の特定の部位(例えば、上腕部26、又は手首部28)に加えられた外力F1を監視し、このステップS20において、該外力F1が閾値F1th1を超えた(F1>F1th1)場合に、YESと判定してもよい。
ステップS21において、プロセッサ40は、自動運転が終了したか否かを判定する。例えば、プロセッサ40は、実行中の加工プログラムPPから、該加工プログラムPPに規定されているレーザ出射動作LO及び移動動作MOのための命令コードを全て実行したか否かを判定できる。
プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS12へ戻る一方、NOと判定した場合はステップS18へ戻る。こうして、プロセッサ40は、ステップS18又はS19でNOと判定するか、若しくは、ステップS20又はS21でYESと判定するまで、ステップS18~S21のループを繰り返し実行し、自動運転モードDM1としてレーザ出射動作LO及び移動動作MOを継続して実行する。
一方、ステップS19でNOと判定するか、又は、ステップS20でYESと判定した場合、ステップS22において、プロセッサ40は、自動運転モードDM1でのレーザ出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方を停止する。一例として、プロセッサ40は、このステップS22において、レーザ出射動作LO及び移動動作MOの双方を停止する。
具体的には、プロセッサ40は、ロボット12の各サーボモータ30への指令(トルク指令等)を停止することで該サーボモータ30の動作を停止し、以って、移動動作MOを停止する。代替的には、各サーボモータ30の出力シャフトを制動するブレーキ機構が設けられている場合において、プロセッサ40は、各ブレーキ機構を作動することで各サーボモータ30の動作を強制的に停止させ、以って、移動動作MOを停止してもよい。
また、プロセッサ40は、レーザ発振器16のレーザ光生成動作を停止させることで、レーザ出射動作LOを停止する。代替的には、レーザ発振器16に、レーザ光LBの光路を自動で開閉するシャッタ(図示せず)が設けられている場合において、プロセッサ40は、該シャッタによってレーザ光LBを遮蔽することで、レーザ出射動作LOを停止してもよい。
他の例として、プロセッサ40は、ステップS19でNOと判定した後のステップS22では、レーザ出射動作LOを停止する一方で移動動作MOを継続し、ステップS20でYESと判定した後のステップS22では、レーザ出射動作LO及び移動動作MOの双方を停止してもよい。
このように、本実施形態においては、ロボット12は、力センサ54が検出した外力Fに応じて移動動作MOを緊急停止可能な協働ロボットである。このように緊急停止可能な協働ロボットの場合、ステップS19でNOと判定したとしても、レーザ出射動作LOだけを停止させれば、オペレータの安全を確保でき得る。
ステップS23において、プロセッサ40は、警告信号ALを生成する。例えば、ステップS16又はS19でNOと判定した後のステップS23において、プロセッサ40は、「レーザ加工ヘッドに対してワークが適切な位置に設置されていない可能性があります。ワークの設置状態を確認してください。」という画像又は音声の警告信号AL1を生成する。
一方、ステップS20でYESと判定した後のステップS23において、プロセッサ40は、例えば、「ロボットが環境物と干渉した可能性があります。ロボットの周囲を確認してください。」という画像又は音声の警告信号AL2を生成する。プロセッサ40は、生成した警告信号AL1又はAL2を、表示装置50に画像として表示するか、又は、制御装置18に設けられたスピーカ(図示せず)から音声として出力してもよい。ステップS23の後、プロセッサ40は、ステップS12へ戻る。
一方、ステップS18でNOと判定した場合、ステップS24において、プロセッサ40は、上述のステップS22と同様に、レーザ出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方を停止する。例えば、プロセッサ40は、このステップS24において、レーザ出射動作LO及び移動動作MOの双方を停止する。
ステップS25において、プロセッサ40は、警告信号ALを生成する。例えば、プロセッサ40は、「運転モードが変更されたため自動運転を実行できません。」という画像又は音声の警告信号AL3を生成する。プロセッサ40は、生成した警告信号AL3を、表示装置50に画像として表示するか、又はスピーカから音声として出力してもよい。ステップS25の後、プロセッサ40は、図6中のステップS3へ進む。
再度、図6を参照して、ステップS1でNOと判定した場合(若しくは、図7中のステップS13でNOと判定した場合、又は、ステップS25の後)、プロセッサ40は、ステップS3において、動作モードDMを手動運転モードDM2へ移行し、手動運転モードDM2のフローを実行する。
手動運転モードDM2への移行後、プロセッサ40は、入力装置58から供給される手動レーザ出射指令CM2を受け付け可能な状態となる一方、自動運転開始指令CM1を拒絶する。以下、図8を参照して、ステップS3の手動運転モードDM2のフローについて説明する。
ステップS31において、プロセッサ40は、接触検知装置60によってレーザ加工ヘッド14とワークWとの接触又は非接触を検知する動作を開始する。具体的には、プロセッサ40は、抵抗センサ60bに抵抗Rを測定させ、該抵抗センサ60bから検知データDDを連続的(例えば、周期的)に取得する動作を開始する。
ステップS32において、プロセッサ40は、入力装置58から手動レーザ出射指令CM2を受け付けたか否かを判定する。プロセッサ40は、入力装置58から手動レーザ出射指令CM2を受け付けた場合はYESと判定し、ステップS33へ進む一方、NOと判定した場合は、手動運転モードDM2でのレーザ出射動作LOを実行せずに、ステップS41へ進む。仮に、このステップS32の開始時点で、後述のステップS35のレーザ出射動作LOを実行しており、且つ、このステップS32でNOと判定した場合、プロセッサ40は、該レーザ出射動作LOを停止する。
ステップS33において、プロセッサ40は、上述のステップS1と同様に、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が選択されたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合(つまり、モード選択スイッチ52が自動運転モードDM1に切り替えられた場合)は、ステップS37へ進む。一方、プロセッサ40は、NOと判定した場合(つまり、モード選択スイッチ52によって手動運転モードDM2が依然として選択されている場合)は、ステップS34へ進む。
ステップS34において、プロセッサ40は、レーザ加工ヘッド14とワークWとが接触しているか否かを判定する。具体的には、プロセッサ40は、直近に抵抗センサ60bから取得した検知データDDに基づいて、接触検知装置60がレーザ加工ヘッド14とワークWとの接触を検知しているか、又は非接触を検知しているかを判定する。プロセッサ40は、レーザ加工ヘッド14とワークWとの接触が検知されている場合はYESと判定し、ステップS35へ進む一方、レーザ加工ヘッド14とワークWとの非接触が検知された場合はNOと判定し、ステップS39へ進む。
ステップS35において、プロセッサ40は、入力装置58を通して受け付けた手動レーザ出射指令CM2に応じて、手動運転モードDM2としてレーザ出射動作LOを実行する。ここで、本実施形態においては、手動運転モードDM2でのワークWの加工条件CPと、該手動運転モードDM2のレーザ出射動作LOで出射されるレーザ光LBの出力条件COとを互いに関連付けて格納したデータテーブルDTが、メモリ42に予め格納される。
加工条件CPは、例えば、ワークWの材質(SUS、アルミ等)、厚さ[mm]、及び融点[℃]を含む。一方、出力条件COは、例えば、レーザ光LBのレーザパワー[kW]、デューティ比[%]、及びパルス発振周波数[Hz]を含む。データテーブルDTは、複数の加工条件CP(材質、厚さ、融点)毎に、出力条件CO(レーザパワー、デューティ比、パルス発振周波数)を関連付けて格納している。
プロセッサ40は、データテーブルDTに基づいて、手動運転モードDM2での出力条件COを予め設定する。一例として、オペレータは、加工対象とするワークWの加工条件CP(例えば、材質及び厚さ)に対応する出力条件COを、データテーブルDTの中から手動で選択してもよい。この場合において、プロセッサ40は、データテーブルDTの画像を生成し、表示装置50に表示してもよい。
オペレータは、データテーブルDTの画像を視認しつつ、制御装置18の入力装置48を操作して、加工対象とするワークWの加工条件CPに対応する出力条件COを、データテーブルDTから検索して選択する。プロセッサ40は、入力装置48を通してオペレータの入力を受け付けて、データテーブルDTから選択された出力条件COを、手動運転モードDM2での出力条件として設定する。
他の例として、オペレータは、入力装置48を操作して、加工対象とするワークWの加工条件CPを入力してもよい。この場合、プロセッサ40は、入力装置48を通してオペレータによって入力された加工条件CPに対応する出力条件COを、データテーブルDTから自動で検索し、検索した出力条件COを、手動運転モードDM2での出力条件として設定する。こうして、プロセッサ40は、データテーブルDTに基づいて、手動運転モードDM2での出力条件COを予め設定する。
プロセッサ40は、このステップS35において、手動レーザ出射指令CM2に応じて、予め設定した出力条件COに従ってレーザ発振器16への指令を生成し、出力条件COに規定されたレーザパワー、デューティ比、及びパルス発振周波数を有するレーザ光LBを生成するように、レーザ出射動作LOを実行する。その結果、オペレータは、片手で把持したレーザ加工ヘッド14から、所望の出力条件COのレーザ光LBを出射して、ワークを手動でレーザ加工することができる。
ステップS36において、プロセッサ40は、上述のステップS12と同様に、動作終了指令を受け付けたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合は、図8に示すステップS3のフローを終了し、以って、図6に示すフローを終了する。一方、プロセッサ40は、NOと判定した場合、ステップS32へ戻る。
こうして、プロセッサ40は、ステップS32でYESと判定している間(つまり、入力装置58から手動レーザ出射指令CM2を受信している間)、ステップS33又はS36でYESと判定するか、若しくは、ステップS34でNOと判定するまで、ステップS32~S36のループを繰り返し実行し、手動運転モードDM2としてレーザ出射動作LOを継続して実行する。これにより、オペレータは、手に把持したレーザ加工ヘッド14によってワークWを手動でレーザ加工できる。
一方、ステップS33でYESと判定した場合、ステップS37において、手動運転モードDM2でのレーザ出射動作LOを停止する。例えば、プロセッサ40は、レーザ発振器16のレーザ光生成動作を停止させるか、又は、上述のシャッタによってレーザ光LBを遮蔽することで、レーザ出射動作LOを停止する。
ステップS38において、プロセッサ40は、警告信号ALを生成する。例えば、プロセッサ40は、「運転モードが変更されたため手動運転を実行できません。」という画像又は音声の警告信号AL4を生成する。プロセッサ40は、生成した警告信号AL4を、表示装置50に画像として表示するか、又はスピーカから音声として出力してもよい。ステップS38の後、プロセッサ40は、図6中のステップS2へ進む。
一方、ステップS34でNOと判定した場合、ステップS39において、プロセッサ40は、上述のステップS37と同様に、手動運転モードDM2でのレーザ出射動作LOを停止する。そして、ステップS40において、プロセッサ40は、警告信号ALを生成する。例えば、プロセッサ40は、「レーザ加工ヘッドがワークから離隔している可能性があります。レーザ加工ヘッドをワークに接触させてください。」という画像又は音声の警告信号AL5を生成し、表示装置50に表示するか、又はスピーカから出力してもよい。ステップS40の後、プロセッサ40は、ステップS32へ戻る。
一方、ステップS32でNOと判定した場合、ステップS41において、プロセッサ40は、上述のステップS33と同様に、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が選択されたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合は、図6中のステップS2へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS36へ進む。
以上のように、本実施形態においては、制御装置18(具体的には、プロセッサ40)は、モード選択スイッチ52によって、運転モードDMとして、加工プログラムPPに従ってレーザ出射動作LO及び移動動作MOを自動で実行する自動運転モードDM1が選択され(ステップS15又はS18でYESと判定し)、且つ、測距センサ56が測定した距離dが予め定めた範囲RG内である(ステップS16又はS19でYESと判定した)場合に、該自動運転モードDM1としてレーザ出射動作LO及び移動動作MOを実行する。
すなわち、本実施形態において、制御装置18に自動運転モードDM1でのレーザ出射動作LO及び移動動作MOの自動運転を実行させるためには、オペレータは、モード選択スイッチ52を手動で操作して自動運転モードDM1を選択し、且つ、ワークWをレーザ加工ヘッド14に対し、距離dが範囲RG内となる適切位置に設置するという、2つの条件を満たす必要がある。
この構成によれば、自動運転モードDM1のレーザ出射動作LOが意図せず実行されること、及び、該レーザ出射動作LOでレーザ加工ヘッド14からレーザ光LBが、ワークW以外の意図しない方向(例えば、オペレータの方向)へ出射されることを、確実に回避できる。したがって、レーザ加工システム10の自動運転を安全に実行することができる。
また、本実施形態においては、入力装置58は、制御装置18にレーザ出射動作LOを実行させるための手動レーザ出射指令CM2の入力操作を受け付ける。また、接触検知装置60は、レーザ加工ヘッド14とワークWとの接触又は非接触を検知する。また、モード選択スイッチ52は、運転モードDM1を、自動運転モードDM1と手動運転モードDM2との間で切り替え可能に構成されている。
そして、制御装置18は、モード選択スイッチ52によって手動運転モードDM2が選択され、且つ、接触検知装置60がレーザ加工ヘッド14とワークWとの接触を検知しているときに、入力装置58を通して受け付けた手動レーザ出射指令CM2に応じて、該手動運転モードDM2としてレーザ出射動作LOを実行する。
すなわち、本実施形態においては、制御装置18に手動運転モードDM2でのレーザ出射動作LOを実行させるためには、オペレータは、モード選択スイッチ52を手動で操作して手動運転モードDM2を選択し、且つ、レーザ加工ヘッド14をワークWに接触させるという、2つの条件を満たす必要がある。
この構成によれば、手動運転モードDM2のレーザ出射動作LOが意図せず実行されること、及び、該レーザ出射動作LOでレーザ加工ヘッド14からレーザ光LBがワークW以外の方向(例えば、オペレータの方向)へ出射されることを、確実に回避できる。したがって、オペレータは、手動でのレーザ加工を安全に実行することができる。
また、本実施形態においては、接触検知装置60は、レーザ加工ヘッド14とワークWとを電気的に接続する導電ケーブル60aと、ワークW、該ワークWに接触するレーザ加工ヘッド14、及び導電ケーブル60aによって形成される閉回路62の抵抗Rを測定する抵抗センサ60bとを有する。
これにより、接触検知装置60は、抵抗センサ60bが測定する抵抗Rに基づいて、レーザ加工ヘッド14とワークWとの接触又は非接触を検知するように構成されている。この構成によれば、レーザ加工ヘッド14とワークWとの接触又は非接触を、比較的簡単な構成で、迅速且つ確実に検知できる。
また、本実施形態においては、制御装置18は、手動運転モードDM2でレーザ出射動作LOを実行しているときに、モード選択スイッチ52が操作されて手動運転モードDM2が非選択となるか(ステップS33でYESと判定するか)、又は、接触検知装置60が非接触を検知した(ステップS34でNOと判定した)場合、該レーザ出射動作LOを停止する。
この構成によれば、手動運転モードDM2でレーザ出射動作LOを実行しているときに、意図せずにモード選択スイッチ52が別の運転モードDM(具体的には、自動運転モードDM1)に切り替えられた場合に、レーザ加工ヘッド14からのレーザ光LBが、意図しない方向(例えば、オペレータの方向)へ出射されるのを防止できる。
また、手動運転モードDM2でレーザ出射動作LOを実行しているときに、レーザ加工ヘッド14がワークWから離隔して、該レーザ加工ヘッド14からのレーザ光LBが、意図しない方向へ出射されるのも防止できる。これにより、手動運転モードDM1でのオペレータの安全を、より確実に確保できる。
また、本実施形態においては、レーザ加工ヘッド14は、オペレータが片手で把持可能な把持部38を有し、入力装置58は、把持部38を把持した該片手で入力操作可能となるように、把持部38に隣接して、レーザ加工ヘッド14に設けられている。この構成によれば、オペレータは、片手で把持部38を把持してレーザ加工ヘッド14をロボット12から取り外し、該片手で入力装置58を操作することで、手動運転モードDM1でのレーザ出射動作LOを容易に実行できる。
また、本実施形態においては、制御装置18は、自動運転モードDM1を開始するための自動運転開始指令CM1を受け付けた(ステップS11でYESと判定した)ときに、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が非選択となっているか(ステップS15でNOと判定するか)、又は、測距センサ56が測定した距離dが範囲RG外となっている(ステップS16でNOと判定した)場合は、自動運転モードDM1としてレーザ出射動作LO及び移動動作MOの少なくとも一方(例えば、双方)を開始しない。この構成によれば、自動運転を開始するときのオペレータの安全を、確実に確保できる。
なお、プロセッサ40は、自動運転開始指令CM1を受け付けたとき、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が非選択となっているか、又は距離dが範囲RG外となっている場合でも、自動運転モードDM1としてレーザ出射動作LO又は移動動作MOを開始してもよい。
具体的には、ロボット12が上述のように緊急停止可能な協働ロボットである場合、モード選択スイッチ52によって自動運転モードDM1が非選択となっているか、又は距離dが範囲RG外となっている場合でも、自動運転モードDM1として移動動作MOを開始したとしても、オペレータの安全を確保でき得る。代替的には、仮に、オペレータが、ロボット12の動作範囲を取り囲むように作業セルに設置された安全柵(図示せず)の外側に居る場合は、自動運転モードDM1としてレーザ出射動作LOを開始したとしても、オペレータの安全を確保でき得る。
また、本実施形態においては、制御装置18は、自動運転モードDM1としてレーザ出射動作LO及び移動動作MOを実行しているときに、モード選択スイッチ52が操作されて自動運転モードDM1が非選択となるか(ステップS18でNOと判定し)、又は、測距センサ56が測定した距離dが範囲RG外となった(ステップS19でNOと判定した)場合は、レーザ出射動作LO及び移動動作MOのうちの少なくとも一方を停止する(ステップS22、S24)。この構成によれば、自動運転中のオペレータの安全を、確実に確保できる。
なお、レーザ加工システム10から、入力装置58及び接触検知装置60を省略してもよい。また、運転モードDMとして、自動運転モードDM1のみが設定され、モード選択スイッチ52は、自動運転モードDM1と、いずれの運転モードDMも選択しないOFFモードとを選択可能に構成されてもよい。この場合、プロセッサ40は、ステップS2の自動運転モードDM1のフローのみを実行してもよい。
また、ステップS2のフローから、ステップS15及びS16を省略してもよい。代替的には、ステップS2のフローから、ステップS18及びS19を省略してもよい。なお、接触検知装置60は、導電ケーブル60aと抵抗センサ60bとを有する形態に限らず、例えば、レーザ加工ヘッド14とワークWとの接触を検知可能な近接センサ等、如何なるセンサを有してもよい。
なお、プロセッサ40は、手動運転モードDM2の実行中に、オペレータによる手動のレーザ加工を補助するための協働動作をロボット12に実行させる協働動作プログラムCOPを実行してもよい。この協働動作プログラムCOPは、例えば、オペレータが手動でレーザ加工を実行している間に、ワークWを保持して移動(例えば、回転)させるか、又は、ワークWを治具にローディングする協働動作をロボット12に実行させるように構成されてもよい。
この場合において、ロボット12の手首部28に、レーザ加工ヘッド14に加えて(又は、代わりに)、ワークWを保持可能なロボットハンドが取り付けられてもよい。この構成によれば、オペレータは、手動のレーザ加工を、ロボット12と協働して効果的に実行することができる。
次に、図9を参照して、レーザ加工システム10の他の機能について説明する。本実施形態においては、制御装置18は、計時部64をさらに有する。計時部64は、プロセッサ40とバス46を介して通信可能に接続され、該プロセッサ40からの指令に応じて、ある時点からの経過時間tを計時する。なお、計時部64は、制御装置18の筐体に内蔵されてもよい。代替的には、計時部64は、例えば電子時計として、制御装置18の筐体に外付けされ、I/Oインターフェース44に接続されてもよい。
図9に示す制御装置18のプロセッサ40は、図6中のステップS3として、図10のフローを実行する。なお、図10に示すフローにおいて、図8のフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。ここで、本実施形態においては、プロセッサ40は、接触検知装置60によってレーザ加工ヘッド14とワークWとの非接触が検知された(つまり、ステップS34でNOと判定した)時点t0から、ステップS39でレーザ出射動作LOを停止するまでの待機時間tth1を、予め設定する。
例えば、オペレータは、制御装置18の入力装置48を操作して、待機時間tth1を入力する(例えば、tth1=0.3[sec])。プロセッサ40は、入力された待機時間tth1をメモリ42に格納し、待機時間設定情報として登録する。こうして、プロセッサ40は、待機時間tth1を予め設定する。
図10に示すステップS3においては、プロセッサ40は、ステップS34でNOと判定したとき、ステップS42において、経過時間tの計時を開始する。具体的には、プロセッサ40は、計時部64を起動して、ステップS34でNOと判定した時点t0からの経過時間tの計時を開始させる。
ステップS43において、プロセッサ40は、計時部64が計時している経過時間tが、予め設定した待機時間tth1に達した(つまり、t≧tth1)か否かを判定する。プロセッサ40は、t≧tth1となった場合はYESと判定し、ステップS39へ進む一方、t<tth1である場合はNOと判定し、ステップS44へ進む。
ステップS44において、プロセッサ40は、上述のステップS34と同様に、接触検知装置60によってレーザ加工ヘッド14とワークWとの接触が検知されたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS32へ戻る一方、NOと判定した場合(つまり、レーザ加工ヘッド14とワークWとが依然として非接触である場合)は、ステップS43へ戻る。
以下、ステップS42~S44の技術的意義について、説明する。このステップS42~S44によれば、プロセッサ40は、ステップS35の実行後、レーザ出射動作LOを継続している間(つまり、ステップS32でYESと判定し続けている間)に、ステップS34でNOと判定した場合、該ステップS34でNOと判定した時点t0から待機時間tth1が経過するまで(つまり、ステップS43でYESと判定するまで)は、ステップS39を実行しない(換言すれば、レーザ出射動作LOが継続される)。
そして、プロセッサ40は、待機時間tth1が経過するまでにステップS44で継続的にNOと判定した場合(すなわち、期間tth1に亘ってレーザ加工ヘッド14とワークWとの非接触が継続して検知された場合)に、ステップS39でレーザ出射動作LOを停止することになる。その一方で、待機時間tth1が経過するまでにステップS44でYESと判定した場合は、プロセッサ40は、ステップS39を実行せずに、レーザ出射動作LOを継続することになる。
以上のように、本実施形態においては、制御装置18は、手動運転モードDM1でレーザ出射動作LOを実行しているときに接触検知装置60が非接触を検知した時点t0から該レーザ出射動作LOを停止するまでの待機時間tth1を設定する。そして、制御装置18は、時点t0から待機時間tth1が経過したときに、手動運転モードDM2でのレーザ出射動作LOを停止する。
ここで、オペレータは、手動運転モードDM2において、レーザ加工ヘッド14の先端をワークWに当接させつつ、該レーザ加工ヘッド14を該ワークWに対して移動させながら、該レーザ加工ヘッド14から出射されたレーザ光LBでレーザ加工を実行する場合がある。
この場合において、例えばワークWの表面上の凹凸部によって、レーザ加工ヘッド14が、瞬時的に(例えば、0.1[sec]だけ)、ワークWから離隔し得る。このようにレーザ加工ヘッド14がワークWから瞬時的に離隔しても、レーザ加工ヘッド14からのレーザ光LBがオペレータの方向へ出射される可能性は低く、故に、オペレータの安全を確保でき得る。
本実施形態によれば、ステップS39でレーザ出射動作LOを停止するまでの待機時間tth1を設定することにより、上述のようなワークWからのレーザ加工ヘッド14の瞬時的な離隔が発生したとしても、レーザ出射動作LOを継続できる。その一方で、待機時間tth1が経過しても、依然として、レーザ加工ヘッド14とワークWとの非接触が検知されている場合は、即座にステップS39を実行することで、レーザ出射動作LOを停止できる。したがって、本実施形態によれば、手動運転モードDM2でのレーザ加工の作業を効率的に進めることができるとともに、オペレータの安全を確実に確保できる。
次に、図11を参照して、図9に示す制御装置18が実行するステップS3の他のフローについて説明する。本実施形態においては、プロセッサ40は、上述の待機時間tth1に加えて、ステップS34でNOと判定した時点t0から、ステップS40で警告信号ALを生成するまでの第2の待機時間tth2を、予め設定する。
例えば、オペレータは、制御装置18の入力装置48を操作して、第2の待機時間tth2を、待機時間tth1よりも長い時間tth2(tth2>tth1)として、入力する(例えば、tth2=0.4[sec])。プロセッサ40は、入力された第2の待機時間tth2をメモリ42に格納し、待機時間tth1とともに、待機時間設定情報として登録する。
図11に、本実施形態に係るステップS3のフローを示す。なお、図11に示すフローにおいて、図10のフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。図11のフローにおいては、プロセッサ40は、ステップS39でレーザ出射動作LOを停止した後、ステップS45及びS46をさらに実行する。
具体的には、ステップS45において、プロセッサ40は、計時部64が計時している経過時間tが、予め設定した第2の待機時間tth2に達した(つまり、t≧tth2)か否かを判定する。プロセッサ40は、t≧tth2となった場合はYESと判定し、ステップS40へ進む一方、tth1≦t<tth2である場合はNOと判定し、ステップS46へ進む。
ステップS46において、プロセッサ40は、上述のステップS44と同様に、接触検知装置60によってレーザ加工ヘッド14とワークWとの接触が検知されたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS32へ戻る一方、NOと判定した場合は、ステップS45へ戻る。
このように、本実施形態においては、プロセッサ40は、ステップS39の後、さらに、期間t’=tth2-tth1が経過するまでは、ステップS40を実行しない。この構成によれば、レーザ加工ヘッド14とワークWとの非接触が検知されている期間が長い場合にのみ、警告信号AL5を生成し、オペレータに報知できる。これにより、警告信号AL5が頻繁に発信されるのを回避できる。
次に、図12を参照して、図9に示すレーザ加工システム10の動作フローのさらに他の例について、説明する。本実施形態においては、プロセッサ40は、上述の自動運転モードDM1及び手動運転モードDM2に加えて、ダイレクトティーチモードDM3を実行する。ダイレクトティーチモードDM3は、プロセッサ40が、オペレータによってロボット12に加えられた外力Fに従って該ロボット12を動作させるとともに、オペレータが入力装置58を通して入力した手動レーザ出射指令CM2に応じてレーザ出射動作LOを実行する運転モードDMである。
図13に示すように、本実施形態においては、モード選択スイッチ52は、自動運転モードDM1:「AUTO」と、手動運転モードDM2:「MANUAL」と、「TEACH」として表されるダイレクトティーチモードDM3との間で切り替え可能に構成されている。モード選択スイッチ52によってダイレクトティーチモードDM3が選択されると、モード選択スイッチ52は、ダイレクトティーチモード移行指令CM5を制御装置18へ供給する。
以下、図12を参照して、本実施形態に係るレーザ加工システム10の動作フローについて説明する。なお、図12に示すフローにおいて、図6のフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。図12に示すフローにおいては、ステップS1でNOと判定した場合、ステップS4において、プロセッサ40は、モード選択スイッチ52によって手動運転モードDM2が選択されたか、又は、ダイレクトティーチモードDM3が選択されたか、判定する。
具体的には、プロセッサ40は、モード選択スイッチ52から手動運転モード移行指令CM4を受け付けた場合はYESと判定し、ステップS3へ進む。一方、プロセッサ40は、モード選択スイッチ52からダイレクトティーチモード移行指令CM5を受け付けた場合はNOと判定し、ステップS5へ進む。
図14に、図12中のステップS2のフローを示す。なお、図14に示すフローにおいて、図7のフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。図14に示すフローにおいては、ステップS13でNOと判定したとき、ステップS26において、プロセッサ40は、上述のステップS4と同様に、モード選択スイッチ52によって手動運転モードDM2が選択されたか、又は、ダイレクトティーチモードDM3が選択されたかを判定する。
プロセッサ40は、手動運転モードDM2が選択された場合はYESと判定し、図12中のステップS3へ進む一方、ダイレクトティーチモードDM3が選択された場合はNOと判定し、図12中のステップS5へ進む。また、プロセッサ40は、ステップS25の後、ステップS26へ進む。
図15に、図12中のステップS3のフローを示す。なお、図15に示すフローにおいて、図11のフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。図15に示すフローにおいては、ステップS33でNOと判定したとき、ステップS47において、プロセッサ40は、ダイレクトティーチモードDM3が選択された(つまり、ダイレクトティーチモード移行指令CM5を受け付けた)か否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合はステップS48へ進む一方、NOと判定した場合はステップS34へ進む。
ステップS48において、プロセッサ40は、上述のステップS37と同様に、手動運転モードDM2でのレーザ出射動作LOを停止する。そして、ステップS49において、プロセッサ40は、上述のステップS38と同様に、警告信号AL4を生成した後、図12中のステップS5へ進む。
一方、ステップS41でNOと判定したとき、ステップS50において、プロセッサ40は、上述のステップS47と同様に、ダイレクトティーチモードDM3が選択されたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合は図12中のステップS5へ進む一方、NOと判定した場合はステップS36へ進む。
再度、図12を参照して、ステップS4でNOと判定された場合(若しくは、図14中のステップS26でNOと判定された場合、図15中のステップS49の後、又は図15中のステップS50でYESと判定された場合)、プロセッサ40は、ステップS5において、動作モードDMをダイレクトティーチモードDM3へ移行し、ダイレクトティーチモードDM3のフローを実行する。
ダイレクトティーチモードDM3への移行後、プロセッサ40は、入力装置58を通した手動レーザ出射指令CM2を受け付け可能な状態となる一方、自動運転開始指令CM1を拒絶する。以下、図16を参照して、ステップS5のダイレクトティーチモードDM3のフローについて説明する。なお、図16に示すフローにおいて、図15のフローと同様のプロセスには同じステップ番号を付し、重複する説明を省略する。
ステップS51において、プロセッサ40は、ロボット12に加えられた外力Fを取得する動作を開始する。具体的には、プロセッサ40は、力センサ54から検出データDFを連続的(例えば、周期的)に取得し、該検出データDFに基づいて、ロボット12に加えられた外力Fの大きさ及び方向と、該外力Fが加えられたロボット12の部位とを、連続的に求める。その後、プロセッサ40は、上述のステップS31を実行する。
ステップS31の後、ステップS52において、プロセッサ40は、直近に取得した外力Fの大きさが、予め定めた閾値Fth2を超えた(F>Fth2)か否かを判定する。この閾値Fth2は、上述のステップS20(図7、図14)で参照する閾値Fth1よりも小さい値(Fth2<Fth1)に設定されてもよい。プロセッサ40は、F>Fth2である場合はYESと判定し、ステップS53へ進む一方、F≦Fth2である場合はNOと判定し、ステップS32へ進む。
ステップS53において、プロセッサ40は、直近に取得した外力Fに従って、ロボット12を動作させる。具体的には、プロセッサ40は、直近に取得した外力Fが加えられたロボット12の部位(例えば、手首部28)を、該外力Fの方向へ移動させるための指令(トルク指令等)を生成し、該指令に従って、ロボット12の各サーボモータ30を駆動する。その結果、ロボット12は、外力Fに従って、該外力Fが加えられた部位を、該外力Fの方向へ移動させることになる。
例えば、オペレータが、レーザ加工ヘッド14の把持部38を把持し、該レーザ加工ヘッド14に外力Fを加えて所望の方向φへ押したとする。このように方向φに加えられた外力Fは、レーザ加工ヘッド14からロボット12の手首フランジ28bに加えられ、力センサ54によって検出されることになる。
この場合、プロセッサ40は、力センサ54が検出した外力Fに従ってロボット12を動作させて、該ロボット12の手首フランジ28b(つまり、レーザ加工ヘッド14)を方向φへ移動させる。こうして、オペレータは、ロボット12を手動で操作して、レーザ加工ヘッド14を所望の方向φへ、ロボット12の動作により移動させることができる。
なお、このステップS53において、プロセッサ40は、外力Fが加えられたロボット12の部位(例えば、手首フランジ28b)を、予め定めた一定の速度Vで、所定の距離δだけ、移動させてもよい。この速度V及び距離δは、ダイレクトティーチモードDM3のための所要値として、オペレータによって予め定められ得る。
ステップS53の後、プロセッサ40は、上述のステップS32及びS33を実行する。ステップS33でNOと判定したとき、ステップS54において、プロセッサ40は、手動運転モードDM2が選択された(つまり、手動運転モード移行指令CM4を受け付けた)か否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合は、上述のステップS48及びS49を順次実行し、図12中のステップS3へ進む。
一方、プロセッサ40は、ステップS54でNOと判定した場合、上述のステップS34~36、S42~S44、S39、S45、S46及びS40を順次実行する。プロセッサ40は、ステップS36でNOと判定した場合、ステップS44若しくはS46でYESと判定した場合、又は、ステップS40を実行した後、ステップS52へ戻る。
一方、ステップS41でNOと判定した場合、ステップS55において、プロセッサ40は、上述のステップS54と同様に、手動運転モードDM2が選択されたか否かを判定する。プロセッサ40は、YESと判定した場合は、図12中のステップS3へ進む一方、NOと判定した場合は、ステップS36へ進む。
こうして、プロセッサ40は、図16に示すステップS5のダイレクトティーチモードDM3において、オペレータが加えた外力Fに従ってロボット12を動作させて(ステップS53)、レーザ加工ヘッド14を方向φへ移動させつつ、オペレータが入力装置58を操作して入力した手動レーザ出射指令CM2に従ってレーザ出射動作LOを実行する(ステップS35)。
これにより、オペレータは、ロボット12を手動で操作して、該ロボット12の動作によってレーザ加工ヘッド14を所望の方向φへ移動させつつ、入力装置58を操作して、レーザ光LBをレーザ加工ヘッド14から手動で出射させて、ワークWをレーザ加工することができる。このとき、ロボット12は、上述したように一定の速度Vでレーザ加工ヘッド14を移動させてもよい。この構成によれば、レーザ加工の仕上がり品質を向上させることができる。
また、このダイレクトティーチモードDM3でレーザ加工を実行している間に、レーザ加工ヘッド14とワークWとが待機時間tth1に亘って非接触となった(ステップS43でYESと判定した)場合は、ステップS39でレーザ出射動作LOを停止できる。したがって、オペレータの安全を確保することもできる。
なお、図16に示すフローから、ステップS45及びS46を省略し、図10のフローと同様に構成してもよい。又は、図16に示すフローから、ステップS42~S46を省略し、図8のフローと同様に構成してもよい。図16に示すフローからステップS42~S46を省略した場合は、計時部64が省略された図2に示す制御装置18が、図16のフローを実行できる。
また、図16に示すステップS5のフローにおいて、ステップS34の代わりに、図14に示すステップS19を適用するとともに、ステップS42~S44、S45、S46及びS40を省略してもよい。この場合、図16のフローからステップS31を省略し、ステップS51において、プロセッサ40は、図14のステップS14と同様に、外力Fと距離dとを取得する動作を開始する。そして、プロセッサ40は、ステップS54でNOと判定したとき、ステップS19を実行し、距離dが範囲RG内であるか否かを判定する。プロセッサ40は、距離dが範囲RG内である場合はYESと判定し、ステップS35へ進む。
一方、プロセッサ40は、距離dが範囲RG外である場合はNOと判定し、ステップS39を実行してレーザ出射動作LOを停止した後、上述のステップS23を実行し、警告信号AL1を生成する。その後、プロセッサ40は、ステップS52へ戻る。すなわち、この場合、プロセッサ40は、ダイレクトティーチモードDM3でのレーザ出射動作LO(ステップS35)を実行中に、レーザ加工ヘッド14とワークWとの距離dが所定の範囲RG外となった場合に、レーザ出射動作LOを停止することになる。
なお、上述のステップS2(自動運転モードDM1のフロー)において、プロセッサ40は、ステップS17で自動運転を開始した後、レーザ加工ヘッド14とワークWとの距離dを、予め定めた目標距離d0に制御するギャップ制御GCを実行してもよい。この目標距離d0は、例えば、ステップS16及びS19で参照する範囲RG内の値(例えば、dth1<d0<dth2)として、オペレータによって定められ得る。
このギャップ制御GCにおいて、プロセッサ40は、測距センサ56から取得した距離dに基づいて、ロボット12の各サーボモータ30をフィードバック制御し、距離dを目標距離d0に一致させるように、ロボット12の動作によってレーザ加工ヘッド14の光軸Aの方向の位置を調整する。
なお、プロセッサ40は、図6のフローと、図7に示すステップS2のフローと、図8、図10又は図11に示すステップS3のフローとを、動作プログラムOPに従って実行してもよい。この動作プログラムOPは、上述の加工プログラムPPとは別のプログラムとして、オペレータによって予め作成され、メモリ42に格納されてもよい。
この場合、プロセッサ40は、動作プログラムOPに従って、図7のステップS2のフローを実行し、ステップS17を開始したときに、加工プログラムPPをメモリ42から読み出して実行することで、レーザ出射動作LO及び移動動作MOの自動運転を開始する。
また、上述のギャップ制御GCのためのギャップ制御プログラムGPが、さらに用意されてもよい。この場合、プロセッサ40は、ステップS17を開始したときに、加工プログラムPPとともに、ギャップ制御プログラムGPを並行して実行し、自動運転と並行してギャップ制御GCを実行する。
なお、動作プログラムOPは、図6のフローをプロセッサ40に実行させる第1の動作プログラムOP1と、ステップS2のフローをプロセッサ40に実行させる第2の動作プログラムOP2と、ステップS3のフローをプロセッサ40に実行させる第3の動作プログラムOP3とを有してもよい。
同様に、プロセッサ40は、図12のフローと、図14に示すステップS2のフローと、図15に示すステップS3のフローと、図16に示すステップS5のフローとを、動作プログラムOPに従って実行してもよい。この場合において、動作プログラムOPは、図12のフローをプロセッサ40に実行させる第1の動作プログラムOP1と、ステップS2のフローをプロセッサ40に実行させる第2の動作プログラムOP2と、ステップS3のフローをプロセッサ40に実行させる第3の動作プログラムOP3と、ステップS5のフローをプロセッサ40に実行させる第4の動作プログラムOP4とを有してもよい。
なお、入力装置58は、レーザ加工ヘッド14に設けられなくてもよく、例えば、レーザ加工ヘッド14とは別体として、オペレータが持ち運び可能な携帯型ボタン装置、若しくは、オペレータが足で入力操作可能なフットペダル(又はフットスイッチ)として構成されてもよい。また、測距センサ56は、レーザ加工ヘッド14に設けられなくてもよく、例えば、ワークWに隣接して設けられてもよい。
なお、レーザ加工システム10は、ステップS3の手動運転モードDM2においてレーザ加工ヘッド14にアシストガスAGを出射させるためのアシストガス出射指令の入力操作を受け付ける第2の入力装置をさらに備えてもよい。オペレータが手動運転モードDM2の実行時に第2の入力装置を操作すると、プロセッサ40は、第2の入力装置から送信されるアシストガス出射指令に応じて、アシストガス供給装置を動作させ、レーザ加工ヘッド14にアシストガスAGを供給する。この場合において、第2の入力装置は、把持部38を把持した該片手で入力操作可能となるように、把持部38に隣接して、レーザ加工ヘッド14に設けられてもよい。
なお、モード選択スイッチ52は、制御装置18に限らず、如何なるコンポーネントに設けられてもよい。例えば、モード選択スイッチ52は、レーザ加工ヘッド14に設けられてもよいし、又は、制御装置18とは別体として設けられた、オペレータが持ち運び可能な携帯型スイッチとして構成されてもよい。代替的には、モード選択スイッチ52は、制御装置18に通信可能に接続され、ロボット12及びレーザ発振器16に動作を教示するための教示装置(ティーチングペンダント、タブレット型端末装置等)に設けられてもよい。
なお、上述の実施形態においては、モード選択スイッチ52が、物理スイッチとして制御装置18に設けられている場合について述べた。しかしながら、モード選択スイッチ52は、ソフトウェアのスイッチ(又は、仮想スイッチ)として、制御装置18に実装されてもよい。
例えば、制御装置18のプロセッサ40は、運転モードDMを選択するためのモード選択スイッチ画像100を生成し、表示装置50に表示する。図17に、モード選択スイッチ画像100の一例を示す。モード選択スイッチ画像100は、オペレータに運転モードDMを選択可能とするためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)であって、自動運転ボタン画像102、及び手動運転ボタン画像104を含む。
「AUTO」として表される自動運転ボタン画像102は、自動運転モードDM1に対応し、「MANUAL」として表される手動運転ボタン画像104は、手動運転モードDM2に対応している。オペレータは、制御装置18の表示装置50に表示されたモード選択スイッチ画像100を視認しつつ、入力装置48を操作して、自動運転ボタン画像102又は手動運転ボタン画像104を画像上でクリックすることで、自動運転モードDM1又は手動運転モードDM2を選択可能になっている。
プロセッサ40は、入力装置48を通してオペレータから自動運転ボタン画像102を選択する入力(つまり、自動運転モード移行指令CM3)を受け付けると、運転モードDMを、自動運転モードDM1(上述のステップS2)へ移行する。一方、プロセッサ40は、入力装置48を通してオペレータから手動運転ボタン画像104を選択する入力(つまり、手動運転モード移行指令CM4)を受け付けると、運転モードDMを、手動運転モードDM2(上述のステップS3)へ移行する。
このように、自動運転ボタン画像102、及び手動運転ボタン画像104は、ソフトウェアとしてのモード選択スイッチ52を構成し、オペレータは、該モード選択スイッチ52を画像上で操作することにより、運転モードDMを、自動運転モードDM1と手動運転モードDM2との間で切り替え可能になっている。
なお、ソフトウェアとしてのモード選択スイッチ52は、自動運転モードDM1、手動運転モードDM2、又はダイレクトティーチモードDM3を選択するように構成可能であることを理解されよう。また、ソフトウェアとしてのモード選択スイッチ52は、制御装置18に限らず、上述の教示装置、又は、制御装置18に通信可能に接続された他の如何なる通信機器(PC、タブレット端末)に実装されてもよい。
なお、上述の実施形態においては、運転モードDMとして、自動運転モードDM1、手動運転モードDM2、及びダイレクトティーチモードDM3を例示した。しかしながら、運転モードDMは、これに限らず、例えば、ロボット12及びレーザ発振器16に動作を教示するための教示モードDM4等、他の如何なる運転モードDMを含んでもよい。
また、上述の実施形態においては、制御装置18が、ロボット12とレーザ発振器16とを制御する場合について述べた。しかしながら、制御装置18は、ロボット12を制御する第1の制御装置18Aと、レーザ発振器16を制御する第2の制御装置18Bとを有してもよい。このような形態を、図18及び図19に示す。
図18及び図19に示すレーザ加工システム10’においては、制御装置18は、ロボット12の移動動作MOを制御する第1の制御装置18Aと、レーザ発振器16のレーザ光出射動作LOを制御する第2の制御装置18Bとを有する。第1の制御装置18Aは、プロセッサ40A、メモリ42A、I/Oインターフェース44A、及びバス46Aを有するコンピュータである。
第1の制御装置18AのI/Oインターフェース44Aには、ロボット12(サーボモータ30)、レーザ加工ヘッド14(レンズ駆動部)、入力装置48A、表示装置50A、力センサ54、測距センサ56、入力装置58、及び接触検知装置60(抵抗センサ60b)が通信可能に接続されている。また、上述のモード選択スイッチ52は、第1の制御装置18Aに設けられている。
第2の制御装置18Bは、プロセッサ40B、メモリ42B、I/Oインターフェース44B、及びバス46Bを有するコンピュータである。第2の制御装置18BのI/Oインターフェース44Bには、入力装置48B、表示装置50B、レーザ発振器16、及び第1の制御装置18AのI/Oインターフェース44Aが、通信可能に接続されている。
なお、レーザ発振器16、第2の制御装置18B、入力装置48B、及び表示装置50Bは、共通の筐体に一体に組み込むことでユニット化し、単体のレーザ発振装置72を構成してもよい。第1の制御装置18Aのプロセッサ40Aと、第2の制御装置18Bのプロセッサ40Bとは、互いに通信しつつ、図6~図8、図10~図12、図14~図16に示すフローを実行してもよい。
なお、レーザ加工ヘッド14は、例えばレーザスキャナ(又は、ガルバノスキャナ)等、如何なるタイプの加工ヘッドであってもよい。このレーザスキャナは、レーザ発振器16から供給されたレーザ光LBを各々反射する複数のミラーと、該複数のミラーを個別に駆動する複数のミラー駆動部と、該ミラーによって反射されたレーザ光を集光する光学レンズ等を有する。レーザスキャナは、複数のミラーの向きをミラー駆動部によって変化させることで、ワークに照射されるレーザ光の照射点を、ワークWの表面上で高速移動させることができる。
なお、ロボット12は、垂直多関節型ロボットに限らず、例えば、水平多関節型ロボット、又はパラレルリンク型ロボットであってもよいし、ワークWを水平面内で移動させる第1及び第2のボールねじ機構と、レーザ加工ヘッド14を鉛直方向へ移動させる第3のボールねじ機構とを有するように構成されてもよい。また、レーザ加工システム10又は10’から導光路39を省略してもよい。この場合において、レーザ発振器16を、レーザ加工ヘッド14に直接的に連結してもよい。以上、実施形態を通じて本開示を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。