以下、本発明を適用した二次電池モジュールについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1、2は、本発明を適用した二次電池モジュール1を示す斜視図であり、図3はその側断面図を示している。二次電池モジュール1は、負極集電体11及び負極活物質層12からなる負極2と、正極活物質層14及び正極集電体15からなる正極3とが、セパレータ13を介して積層させた平板上の単電池からなる電池セル20として構成される。即ち、二次電池モジュール1を構成する電池セル20は、負極集電体11、負極活物質層12、セパレータ13、正極活物質層14、正極集電体15が、図3における上方向に向けて積層され、全体として略矩形平板状に形成されている。
なお、図1は、電池セル20を複数段に亘り積層させた例であり、図2は、電池セル20を積層させることなく単一層で構成した例であり、何れも正極側から視認した状態を示す斜視図である。
二次電池モジュール1は、更に電池セル20の周縁に配設される環状の枠部材9を備えている。枠部材9は、セパレータ13の端部が埋め込まれてなることで当該セパレータ13を支持すると共に、枠部材9は、その上面及び下面に正極集電体15及び負極集電体11を面接触させた上でそれぞれ固定している。負極集電体11、正極集電体15及びセパレータ13の周縁部がこの枠部材9を介して固定されることにより、負極活物質層12及び正極活物質層14を外部に漏洩させることなく強固に封止することが可能となる。また、枠部材9は、負極集電体11、セパレータ13、正極集電体15のそれぞれの位置関係を定めることができる。負極集電体11とセパレータ13との間隔、セパレータ13と正極集電体15との間隔は、電池の容量に応じて予め調整されるが、枠部材9を通じてこの調整された間隔を保持できるように負極集電体11、セパレータ13、正極集電体15を固定することができる。
負極集電体11の下側には、負極側電流取出層10が平面状に積層され、正極集電体15の上側には、同じく正極側電流取出層16が平面状に積層されている。
図1に示すように電池セル20を複数段に亘り積層されている場合には、その最外層の少なくとも一面に、正極側電流取出層16、負極側電流取出層10が接していればよい。
なお、以下に説明する負極集電体11、負極活物質層12、セパレータ13、正極活物質層14、正極集電体15からなる蓄電要素は一例であり、例えば、集電体を挟みこむようにして、負極活物質層12、セパレータ13、正極活物質層14が設けられ、その最外層の少なくとも一面に、正極側電流取出層16、負極側電流取出層10が接する場合もある。
正極側電流取出層16は、正極集電体15の上面に形成されてなり、絶縁体で構成されている。正極側電流取出層16は、図1に示すように複数の区画に応じた電流取出部6に分かれている。
この区画は、正極側電流取出層16及び後述する負極側電流取出層10において略均等の形状及び位置に設けられている。ここでいう略均等の形状とは、互いの形状の面における均等を意味するものに加え、面積が均等であると解されるものであってもよい。また各領域は完全なる均等の関係である場合に限定されるものではなく、ほぼ均等(略均等)であればよい。
この電流取出部6には、電池セル20から電流が流れることとなる。この区画は、正極側電流取出層16における裏側において分割されて構成されたものである。電流取出部6は、正極側電流取出層16において完全に物理的に分離されていてもよいが、これに限定されるものでは無く、物理的には分離されていないものの見かけ上の境界が設けられた程度のものであってもよい。ここでいう見かけ上の境界とは、設計上割り当てた単なる境界、即ち設計図面上では境界として区切られたものであるものの、実際には全体として何ら境界の無い一つの正極側電流取出層16として構成されているものであってもよい。また、この区画に応じた電流取出部6は、物理的に明確に区切られて構成されていてもよい。かかる場合には、正極側電流取出層16は、互いに独立した区画となるように絶縁体等により隔てられて構成されている。正極側電流取出層16を複数の区画に物理的に分割する場合、正極側電流取出層16のみならず、電池セル20を構成する負極集電体11、負極活物質層12、セパレータ13、正極活物質層14も同様に絶縁体等を介して隔てられるものであってもよい。
図4(a)は、一の電流取出部6に着目した場合において、この正極側電流取出層16を上面から視認した平面図である。電流取出用端部36a~36dは、正極集電体15に電気的に接続されている。また各電流取出用端部36a~36dから正極合流部26までを電気的に接続するための複数本の正極導電線22a~22dとを備えている。以下、この電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26までを電流取出線ともいう。正極導電線22a~22dにおける電流取出用端部36a~36dから正極合流部26に至るまでの長さは、互いに略同一である。ここでいう略同一とは、完全に長さが同一である場合に限定されるものではない。正極側電流取出層16における電流取出部6は、その上面が互いに略均等な複数の領域32a~32dに分割されている。ここでいう略均等とは、領域32a~32dの形状が完全に対称で、かつ同一面積で構成されている場合を例にとり説明をするが、これに限定されるものでは無く、領域32a~32dの形状が完全な対象からややずれており、しかも領域32a~32d間の面積において誤差が生じていてもよい。
なお、上述した実施形態においては、正極導電線22a~22dにおける電流取出用端部36a~36dから正極合流部26までの電気抵抗が互いに略同一であってもよい。電気抵抗が互いに略同一になっていれば、各正極導電線22a~22dが互いに材質や長さ、径が互いに異なるものであってもよい。この電気抵抗が互いに略同一とは、20%以下であれば好ましく、10%以下、或いは5%以下であれば更に好ましい。
この領域32a~32dは、物理的に明確に区切られた領域で構成されている必要はなく、物理的な区切りの無い、見かけ以上区切られた領域であってもよい。ここでいう見かけ上の区切りとは、設計上割り当てた単なる区切り、即ち設計図面上では領域として区切られたものであるものの、実際には全体として何ら区切りの無い一つの正極側電流取出層16として構成されているものであってもよい。また、この領域32a~32dは、物理的に明確に区切られた領域で構成されていてもよい。かかる場合には、正極側電流取出層16は、互いに独立した領域32a~32dとなるように絶縁体等により隔てられて構成されている。正極側電流取出層16を複数の領域32a~32bに物理的に分割する場合、正極側電流取出層16のみならず、電池セル20を構成する負極集電体11、負極活物質層12、セパレータ13、正極活物質層14も同様に絶縁体等を介して隔てられるものであってもよい。
図4(a)の例において領域32a~32dは、平面視で正方形状の正極側電流取出層16を均等に4分割した形状で構成されており、ちょうど平面視で正方形状となる。但し、この領域32a~32dは、このような形状で構成されている場合に限定されるものではなく、仮に正極側電流取出層16が平面視で長方形状とされているのであれば、これを4分割した長方形状で構成されていてもよい。
また図4(a)の例では、正極側電流取出層16を領域32a~32dへと4分割する場合を例に挙げて説明をしたが、これに限定されるものではなく、複数であればいかなる数に分割されて構成されるものであってもよい。かかる場合においても、各領域32は、互いに均等となるように構成されていることが前提となるが、ここでいう均等とは、形状の面における均等を意味するものに加え、面積が均等であると解されるものであってもよい。また各領域は完全なる均等の関係である場合に限定されるものではなく、ほぼ均等(略均等)であればよい。
電流取出用端部36a~36dは、上述した領域32a~32dの略中心に設けられている。また、正極合流部26は、各領域32a~32bからなる正極集電体15の中心にあり、各領域32a~32bの境界が互いに一点で交差する合流点に設けられている。図4(a)の例では、領域32a~32dの略中心に設けられた電流取出用端部36a~36dからこの正極合流部26に向けて正極導電線22a~22dが直線状に伸びている。即ち、正極導電線22a~22dは、互いに均等に設けられている領域32a~32dの略中心に設けられた電流取出用端部36a~36dから正極合流部26に向けて直線状に延長されていることから、幾何的に長さが互いに同一になることは自明である。このようにして、正極導電線22a~22dの長さは互いに同一となるように設計されるが、必ずしも完全に同一である必要はなく、正極導電線22a~22d間において多少の長さのずれがあっても許容される。正極合流部26からは、放電時において電気回路上へ電流を供給するための導電体層からなる導電部8が接続される。即ち、各電流取出部6において正極合流部26に接続される一の導電部8が割り当てられる。この電流を取り出すための導電部8、ひいてはこれを含む電流取出線が、電流取出部6毎に互いに独立して設けられることにより、区画に応じた電流取出部6毎に独立して電流を取り出すことが可能となる。
図4(b)の例では、正極導電線22、正極合流部26の構成を省略した例を示している。つまり、区画に応じた各電流取出部6には、図4(b)に示すように一の電流取出用端部36から伸びる少なくとも1本の導電部8が設けられており、これが電流取出部6外へ延出されるものであってもよい。なお、かかる場合においても、導電部8は、途中で互いに異なる方向に分岐していてもよい。また、この図4(b)に示す例では、領域32の概念を捨象してもよい。
なお、正極合流部26は、各領域32a~32bからなる正極集電体15の中心に形成される点は、必須ではなく、例えば図5に示すように正極集電体15の中心以外に形成されるものであってもよい。
なお、本発明においては、電流取出用端部36a~36d、正極導電線22a~22d、正極合流部26からなる配線は必須ではなく、少なくとも電流取出用端部36が設けられた配線で構成されていればよい。このとき、この電流取出用端部36は、正極側電流取出層16を上端から下端に至るまで貫通する構成とすることにより、正極側電流取出層16の上部に別の回路を接続する場合において利便性を高くすることが可能となる。
負極側電流取出層10は、図6(a)に示すように負極集電体11の下面に形成されてなり、絶縁体で構成されている。負極側電流取出層10中には、換言すれば負極集電体11の下面には導電体としての複数の電流取出用端部35a~35dが接続されている。電流取出用端部35a~35dは、負極集電体11に対して電気的に接続されている。
負極側電流取出層10も、正極側電流取出層16と同様に複数の区画に応じた電流取出部6´に分かれている。電流取出部6´には、電池セル20から電流が流れることとなる。この電流取出部6´は、負極側電流取出層10において完全に物理的に分離されていてもよいが、これに限定されるものでは無く、物理的には分離されていないものの見かけ上の境界が設けられた程度のものであってもよい。また、この電流取出部6´は、負極側電流取出層10を物理的に明確に区切られて構成されていてもよい。かかる場合には、負極側電流取出層10は、互いに独立した電流取出部6´となるように絶縁体等により隔てられて構成されている。負極側電流取出層10を複数の区画に応じた電流取出部6´に物理的に分割する場合、負極側電流取出層10のみならず、電池セル20を構成する負極集電体11、負極活物質層12、セパレータ13、正極活物質層14も同様に絶縁体等を介して隔てられるものであってもよい。
各電流取出用端部35a~35dから負極合流部25までを電気的に接続するための複数本の負極導電線21a~21dとを備えている。以下、この電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25を電流取出線ともいう。負極導電線21a~21dにおける電流取出用端部35a~35dから負極合流部25に至るまでの長さは、互いに略同一である。負極側電流取出層10も正極側電流取出層16と同様にその下面が互いに略均等な複数の領域31a~31dに分割されている。この領域31a~31dの詳細は、上述した領域32a~32dと同様である。
かかる場合も負極導電線21a~21dにおける電流取出用端部35a~35dから負極合流部25までの電気抵抗が互いに略同一であってもよい。電気抵抗が互いに略同一になっていれば、各負極導電線21a~21dが互いに材質や長さ、径が互いに異なるものであってもよい。この電気抵抗が互いに略同一とは、20%以下であれば好ましく、10%以下、或いは5%以下であれば更に好ましい。
電流取出用端部35a~35dは、上述した領域31a~31dの略中心に設けられている。また、負極合流部25は、各領域31a~31dからなる負極側電流取出層10の中心にあり、各領域31a~31dの境界が互いに一点で交差する合流点に設けられている。即ち、負極導電線21a~21dは、互いに均等に設けられている領域31a~31dの略中心に設けられた電流取出用端部35a~35dから負極合流部25に向けて直線状に延長されていることから、幾何的に長さが互いに同一になることは自明である。このようにして、負極導電線21a~21dの長さは互いに同一となるように設計されるが、必ずしも完全に同一である必要はなく、負極導電線21a~21d間において多少の長さのずれがあっても許容される。負極合流部25には、放電時において電気回路上から電流が供給される導電体層からなる導電部7が接続される。即ち、各区画に応じた電流取出部6´において負極合流部25に接続される一の導電部7が割り当てられる。この電流を取り出すための導電部7、ひいてはこれを含む電流取出線が区画に応じた電流取出部6´毎に互いに独立して設けられることにより、電流取出部6´毎に独立して電流を供給することが可能となる。
なお、負極合流部25は、各領域31a~31dからなる負極側電流取出層10の中心に形成される点は、必須ではなく、負極側電流取出層10の中心以外に形成されるものであってもよい。
なお、本発明においては、電流取出用端部35a~35d、負極導電線21a~21d、負極合流部25からなる配線は必須ではなく、少なくとも電流取出用端部35が設けられた配線で構成されていればよい。このとき、この電流取出用端部35は、負極側電流取出層10を上端から下端に至るまで貫通する構成とすることにより、負極側電流取出層10の下部に別の回路を接続する場合において利便性を高くすることが可能となる。
図6(b)の例では、負極導電線21、負極合流部25の構成を省略した例を示している。つまり、区画に応じた各電流取出部6´には、図6(b)に示すように一の電流取出用端部35から伸びる少なくとも1本の導電部7が設けられており、これが電流取出部6´外へ延出されるものであってもよい。なお、かかる場合においても、導電部7は、途中で互いに異なる方向に分岐していてもよい。また、この図6(b)に示す例では、領域32の概念を捨象してもよい。
電池セル20は、いわゆるリチウムイオン二次電池で構成される。図7(a)は、リチウムイオン二次電池としての電池セル20の拡大断面図を示しており、負極2を構成する負極活物質層12は、負極活物質41と電解液43とを含み、正極3を構成する正極活物質層14は、正極活物質42と電解液43とを含んでいる。
このような電池セル20をリチウムイオン二次電池として動作させる場合、先ず図示しない充電器の正極端子を正極3側に、充電器の負極端子を負極2側に接続して電流を流す。その結果、リチウム遷移金属複合酸化物等を含む正極活物質42から引き離された電子は、充電器を含む外部回路を流れ、炭素系材料等からなる負極活物質41へと到達する。その間において、プラスに帯電したリチウムイオンは、負極2側へと引き寄せられ、電解液43を流れて負極活物質41へと到達し、これに吸蔵される。正極活物質42中の全てのリチウム原子が負極活物質41へと到達することで、電池セル20が完全に充電された状態となる。
放電時には、図示しない外部の負荷を正極3と負極2との間に接続する。これにより、この負極活物質41に吸蔵されているリチウムイオンは、リチウム遷移金属複合酸化物の一部として安定な状態に戻るため、電解液43を通過し、正極に向かって移動する。また電子も負極2から外部の負荷を通過して正極3側へと流れ込むことでエネルギーが消費される。
負極側電流取出層10及び正極側電流取出層16を構成する材料は、例えばエポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等を始めとする絶縁性の樹脂で構成されていてもよいし、カーボンファイバー等からなる不織布等のような弾性変形可能な弾性材で構成してもよい。この負極側電流取出層10及び正極側電流取出層16を構成する材料について、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)等のいかなる種類の樹脂で構成されていてもよい。
正極側電流取出層16と、この正極側電流取出層16に含まれる電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26とは、いわゆるプリント基板のように機能が分類されていてもよい。つまり、正極側電流取出層16は、プリント基板における絶縁体で構成され、電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26は、プリント基板における配線として構成されるものであってもよい。
負極側電流取出層10と、この負極側電流取出層10に含まれる電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25とは、いわゆるプリント基板のように機能が分類されていてもよい。つまり、負極側電流取出層10は、プリント基板における絶縁体で構成され、電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25は、プリント基板における配線として構成されるものであってもよい。
正極側電流取出層16及び負極側電流取出層10は、プリント基板における絶縁体で構成する場合、その材質としては、紙基材にフェノール樹脂を含侵させた材料、紙基材にエポキシ樹脂を含侵させた材料、ガラス布(ガラス繊維を布状に編んだガラス織布)にエポキシ樹脂を含侵させた材料、紙基材にポリイミド樹脂を含侵させた材料、ガラス布基材にフッ素樹脂を含浸させた材料、ガラス布基材にPPO(Poly Phenylene Oxide)樹脂を含浸させた材料で構成してもよいし、アルミニウムのような金属をベースにした基板、或いはガラスセラミックをベースにした基板で構成してもよい。
このようなプリント基板のような機能分類がなされていることにより、他の図示しない回路やプリント基板に対して直接接続する場合において、その接触抵抗低減を図ることが可能となる。また、実際に硬質のプリント基板で正極側電流取出層16及び負極側電流取出層10を構成することにより、電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25や電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25からなる配線を施す上でその作業の容易性を向上させることができる。その結果、上述した配線を施す上で利便性を高くすることができる。
正極側電流取出層16及び/又は負極側電流取出層10は、フレキシブルプリント基板で構成されていてもよく、そのフレキシブルプリント基板は、両面に回路基板が形成された、いわゆる両面基板で構成されていてもよい。
このようフレキシブルプリント基板を両面基板で構成することにより、配線の自由度を高くすることができ、またデザインが容易なので片側より等長性を上げられるという利点がある。これに加えて、フレキシブルプリント基板を両面基板で構成することにより、表面から裏面までの面間の貫通孔や、面間を貫通する導電部を含むので、電池セル20の熱を電池の外側に逃す能力を高くすることができる利点もある。
勿論、このフレキシブルプリント基板をいわゆる両面基板ではなく、片側のみに回路基板が形成された片面基板で構成してもよい。この片面基板は、配線デザイン性、基板垂直方向の熱伝導性の面において両面基板よりもやや劣る点があるものの、コストパフォーマンスに優れ、また基板の厚みを薄く構成できることから、エネルギー密度の面においても優れる。正極側電流取出層16及び/又は負極側電流取出層10をこのようなフレキシブルプリント基板で構成する場合においても、複数の区画に対応した電流取出部6、6´が構成され、各区画に応じた電流取出部6、6´から独立した電流取出線を有するものとなる。
このように、本実施形態では、電流取出部が電流取出層において複数の区画に分かれ、該区画に独立した電流取出線を有する。公知の積層型電池の構成(例えば、積層型電池の最外層の集電体(電流取出部)に電極タブ(端子)が接続された構成)では、電流取出部の一部において電流が集中するおそれがあるのに対し、本実施形態では、電流取出部が複数の区画に分かれ、当該区画にそれぞれ電流取出線を有するため、電流取出部位が分散される。そのため、公知の積層型電池の構成と比較して、本実施形態では電流取出部のある一部に電流が集中することが抑制されるので、電流が分布することを抑制することができる。電流の分布が抑制されることにより、積層型電池のある一部において深度が高い充放電が繰り返されることが抑えられるので、電池の劣化を抑制することができる。
なお、各区画に設けられる導電部7、8の配線幅や配線厚みは以下に説明する(1)式に基づいて規定されていてもよい。
最大電流/区画数<(配線厚み(oz)/35)×配線幅(mm)・・・・(1)
ここでいう最大電流は、負極側電流取出層10、正極側電流取出層16を流れる最大電流である。(1)式の左辺は、この最大電流を区画数で割ることにより得られる、区画当たりの最大電流である。導電部7、8の配線幅や配線厚みは、この区画当たりの最大電流を上回っていればよいことから、(1)式の右辺に示す関係からなる配線厚み(oz)、配線幅(mm)で設計される必要がある。この(1)式の右辺に示す関係の根拠としては、配線厚み35ozで配線幅1mmであるとき1Aまで耐えることができるというのが業界の一般的なルールであり、これに基づくものである。
例えば、最大電流が20Aであり、区画数が36であれば区画当たりの最大電流は0.55Aとなる。かかる場合には、例えば、配線厚み70ozで配線幅0.5mmであれば、(1)式の右辺である0.55Aを上回るため、(1)式を満たすものとなる。
ちなみに、配線厚み70ozに設計するためには、あまりに正極側電流取出層16、負極側電流取出層10、ひいてはこれを構成するプリント基板が薄いと、導電部7、8自体の搭載が困難になる。このため、正極側電流取出層16、負極側電流取出層10、ひいてはこれを構成するプリント基板の厚みは100μ以上であることが望ましい。
また区画数は、電池セル20をいわゆる全樹脂電池で構成する場合、4以上40以下であることが望ましい。この区画数の下限は、単電池としての電池セル20における単電池の電極面積(cm2)/400、区画数の上限は、単電池としての電池セル20の電極面積(cm2)/400で計算されるものであってもよい。
正極側電流取出層16に含まれる電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26、並びに導電部8は、金めっきを施すことにより、電池の電位によるプリント基板の腐食を抑えることができる。同様に、電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25並びに導電部7は、金めっきを施すことにより、電池の電位によるプリント基板の腐食を抑えることができる。
電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26を構成する材料は、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル及びこれらの合金等の金属材料、並びに、焼成炭素、導電性高分子材料、導電性ガラス等が挙げられる。このとき、電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26は、導電性高分子材料からなる樹脂集電体で構成されるものであってもよく、樹脂集電体を構成する導電性高分子材料としては、例えば、導電性高分子や、マトリックス樹脂に対して必要に応じて導電性フィラーからなる導電剤を添加したものを用いるようにしてもよい。電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25を構成する材料も電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26と同様である。
枠部材9を構成する材料としては、負極集電体11及び正極集電体15との接着性を有し、電解液43に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料、特に熱硬化性樹脂が好ましい。枠部材9を構成する材料は、具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフッ化ビニデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
上述した構成からなる単電池からなる電池セル20の製造方法としては、例えば、負極集電体11、負極活物質層12、セパレータ13、正極活物質層14、正極集電体15の順に重ね合わせた後、電解液43を注入し、負極活物質層12、セパレータ13及び正極活物質層14の外周を枠部材9で封止し、更に負極側電流取出層10及び正極側電流取出層16を積層させることで得ることができる。その際には、上述した電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25、並びに電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26も形成していくことになる。負極活物質層12及び正極活物質層14の外周を枠部材9で封止する方法としては、負極活物質層12及び正極活物質層14を一方の枠部材9の上面及び下面に接合して封止し、他方の枠部材9においてセパレータ13を挿入した状態で、一方の枠部材9と他方の枠部材9同士を接着して封止する方法で単電池からなるリチウムイオン二次電池の電池セル20を得ることができる。
なお、上述した形態からなる電池セル20では、液体状の電解液43の代わりに図7(b)に示すような固体電解質46を用いた、いわゆる全固体リチウムイオン電池で構成した電池セル20´に代替させるようにしてもよい。電池セル20´では、セパレータ13の構成を省略し、負極2から正極3に至るまで固体電解質46で満たされた状態となる。負極活物質層12では、この固体電解質46内に負極活物質41が介在された状態となる。正極活物質層14では、この固体電解質46内に正極活物質42が介在された状態となる。この電池セル20´を構成する各構成要素の詳細や材料については、電池セル20を構成する各構成要素と同様であることから、これと同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。
固体電解質46としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知の固体高分子電解質が挙げられる。固体電解質46中には、イオン伝導性を確保するために支持塩(リチウム塩)が含まれる。支持塩としては、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、またはこれらの混合物等が使用できる。但し、固体電解質46を構成するPEO、PPOのようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2等のリチウム塩をよく溶解し得る特質を備え、両者間で架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現させることができる。
上述した固体電解質46を電解質として用いる電池セル20´によれば、電解質の流動性がないので、電解質の流出を防止するためのシール構造が不要となり、二次電池モジュール1の構成を簡略化することが可能となる。これに加えて、電池セル20´によれば、電解質として固体を用いることで、漏液を防止することが可能となり、リチウムイオン二次電池特有の問題である液絡を防ぎ、信頼性をより向上させることが可能となる。
なお、本発明を適用した二次電池モジュール1は、リチウムイオン二次電池の電池セル20を単電池で構成される場合に限定されるものではない。例えば図1、8に示すように、電池セル20を複数に亘り積層させて接続した組電池50を形成するものであってもよい。
このような組電池50を形成する場合には、複数の電池セル20を直列接続することにより、最上段の電池セル20の正極側電流取出層16に設けられた導電部8と最下段の電池セル20の負極側電流取出層10に設けられた導電部7を介して電流を供給自在に構成するようにしてもよい。かかる場合には、互いに接続する電池セル20の負極側電流取出層10の下面と正極側電流取出層16の上面が隣接するように積層されている。更にこのような組電池50を形成する場合には、複数の電池セル20を並列接続するようにしてもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。このような組電池50を構成することにより、高容量、高出力と得ることができる。これ以外には、個々の電池セル20の負極側電流取出層10及び正極側電流取出層16にそれぞれ接続された導電部7、8から独立に電流を供給自在に構成するようにしてもよい。
次に、本発明を適用した二次電池モジュール1の動作について説明をする。
放電時において二次電池モジュール1を図示しない外部の負荷を正極3と負極2との間に接続した場合には、負極活物質層12から負極集電体11へと到達した電子は、この負極集電体11に接続された電流取出用端部35に集められる。電流取出用端部35は、各領域31a~31dに設けられていることから、各区画に応じた電流取出部6´における各領域31a~31dにおける電子は、その領域31毎に設けられた電流取出用端部35に集まることになる。各電流取出用端部35に集められた電子は負極導電線21を介して負極合流部25へと集められ、導電部7を介して外部回路へと送られる。同様に、正極集電体15上を伝搬しようとする電子は、外部回路から導電部8を介して正極合流部26へと送られる。正極合流部26に送られた電子は、正極導電線22を介して電流取出用端部36へと送られる。電流取出用端部36は、各領域32a~32dに設けられていることから、各領域32a~32dにおける電子は、その領域32を構成する正極集電体15へと伝搬し、その領域32における正極活物質層14へ伝搬することとなる。
上述した動作を電子の流れではなく、電流の流れで説明するのであれば、正極側電流取出層16における各領域32a~32dにおける電流は、それぞれの領域32の中心に設けられた電流取出用端部36により電流取出部6´毎に独立して取り出される。各電流取出用端部36により取り出された電流は、正極導電線22を流れて正極合流部26へと送られ、この正極合流部26から導電部8を介して外部回路を流れる。外部回路からの電流は、各電流取出部6´に設けられた導電部7を介して負極合流部25へ流れ込み、ここから各負極導電線21へ分岐し、電流取出用端部35に到達する。電流取出用端部35は、領域31a~31d毎に設けられていることから当該領域31a~31dに電流を流すことができる。
これに加えて、放電時には、負極活物質41内に吸蔵されたリチウムイオンが正極活物質42へ向けて移動することになる。このリチウムイオンは、正極活物質42に向けて極力最短距離で移動しようとすることは自明であることから、その移動経路は長手方向xに対して垂直方向となる、厚み方向zと平行方向で、かつ直線状となる。
このような電流の流れとリチウムイオンの移動経路の前提の下で、正極側電流取出層16における各領域32a~32dにおける電流は、それぞれの領域32の中心に設けられた電流取出用端部36により取り出される。即ち、各領域32a~32d毎に電流が分散して電流取出用端部36に取り出され、取り出された電流は分散して正極導電線22を流れて正極合流部26へと送られる。同様に負極合流部25へ流れ込んだ電流は分散して各負極導電線21へ分岐し、電流取出用端部35に到達する。
同様に正極側電流取出層16における各電流取出部6における電流は、電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26を介して取り出される。同様に負極に流れ込んだ電流は、各電流取出部6´に分散して各負極導電線21へ分岐し電流取出用端部35に到達する。
負極においても同様に、外部回路からの電流は、負極合流部25へ流れ込み、ここから各負極導電線21において分散されて電流取出用端部35に到達する。電流取出用端部35は、領域31a~31d毎に設けられていることから当該領域31a~31dに電流を流すことができる。その結果、負極集電体11を流れる電流が一極集中することなく、分散させることができる。
その結果、負極集電体11へ供給する電流、正極集電体15から取り出す電流が負極側電流取出層10及び正極側電流取出層16において一極集中することなく、分散させることができる。その結果、各負極導電線21、各正極導電線22を流れる電流を下げることができ、抵抗を下げることができる。これに加えて、各負極導電線21、各正極導電線22を介して負極側電流取出層10、正極側電流取出層16を流れる電流の経路が何れも伝搬距離が等しくなることから、負極側電流取出層10、正極側電流取出層16内における抵抗の均一化を図ることができる。その結果、本発明によれば、負極側電流取出層10、正極側電流取出層16上に局所的な抵抗分布を発生させることなく、特定領域間において抵抗の均一化を図ることができ、電流を均一に流すことができる。このため、特定領域に対応する経路では、相対的に他の経路に比べて深度が高い充放電が繰り返されることがなくなり、電池の劣化を防止し、電池の高寿命化を実現できる。
このように、正極側において、各電流取出用端部36から正極合流部26までを電気的に接続するための複数本の正極導電線22を備えており、その正極導電線22の電気抵抗は、互いに略同一とされている。特に、正極側電流取出層16において互いに略均等となる位置に電流取出用端部36が設けられている。これにより、正極側電流取出層16において取り出されるべき電流を、複数の電流取出用端部36間でより均等に取り出すことができ、これを複数本の正極導電線22に分散させて流すことができ、電流が局所的に多く流れる部位が生じることが無くなる。このとき、正極側電流取出層16が互いに略均等な複数の領域32に分割され、各電流取出用端部36は、各領域32の略中心に設けられていることで、正極側電流取出層16において取り出されるべき電流を、複数の電流取出用端部36間で更に均等に取り出すことが可能となる。
同様に、負極側において、各電流取出用端部35から負極合流部25までを電気的に接続するための複数本の負極導電線21を備えており、その負極導電線21の電気抵抗は、互いに略同一とされている。特に、負極側電流取出層10において互いに略均等となる位置に電流取出用端部35が設けられている。これにより、負極集電体11に対して供給されるべき電流を、複数の電流取出用端部35間でより均等に供給することができ、この電流取出用端部35に対しては複数本の負極導電線21に分散させて流すことができ、電流が局所的に多く流れる部位が生じることが無くなる。このとき、負極側電流取出層10が互いに略均等な複数の領域31に分割され、各電流取出用端部35は、各領域31の略中心に設けられていることで、負極集電体11に対して供給されるべき電流を、複数の電流取出用端部35間で更に均等に供給することが可能となる。
なお、本発明では、少なくとも正極側又は負極側において、上述したメカニズムに基づいた動作が発現していればよく、常に正極側と負極側の双方においては上述したメカニズムに基づいた動作の発現は必須とはならない。このため、上述した正極側電流取出層16における電流取出用端部36、正極導電線22、正極合流部26の構成、負極側電流取出層10における電流取出用端部35、負極導電線21、負極合流部25の構成は、上述した動作を発現させる方のみに設けられていればよく、動作を発現させない側においては省略するようにしてもよい。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでは無い。図9に示すように、各区画に応じた電流取出部6において、電流取出用端部36、複数の正極導電線22、正極合流部26から構成される電流取出ユニット61を複数に亘り設けるようにしてもよい。かかる場合には、一の電池セル20における正極側電流取出層16上に対して複数の電流取出ユニット61をそれぞれ配設するようにしてもよい。また、図10は、電池セル20を複数に亘り並列に配置することで二次電池モジュールを構成する例である。この図10の例では、並列に配置した4つの電池セル20で共通の正極合流部26を共有する例である。各電池セル20における正極側電流取出層16には、それぞれ一の電流取出用端部36が設けられている。一の正極合流部26を共有する4つの電池セル20の各電流取出用端部36a~36dから同様に正極導電線22a~22dがこの正極合流部26まで延長される構成となる。各正極導電線22a~22dの電気抵抗は互いに略同一となる。
この図9、10の例では、正極全体合流部72が別途設けられる。この正極全体合流部72は、各正極合流部26により取り出された電流を一箇所に集めるための部位である。各正極合流部26は、正極全体合流部72に対してユニット正極導電線92により電気的に接続されている。このユニット正極導電線92は、その材質等については、正極導電線22と同様であり、一端が正極合流部26に、また他端が正極全体合流部72に接続されている。
このとき、各ユニット正極導電線92の長さは、互いに略同一とされている。この正極全体合流部72に対する各正極合流部26の位置は様々であることから、各ユニット正極導電線92の長さを略同一にするために、意図的に迂回をさせたり、ある領域を往復させるような導線形状にする等して調整されることとなる。
このように、正極合流部26から正極全体合流部72までを電気的に接続するための複数本のユニット正極導電線92を備えており、そのユニット正極導電線92の長さは、互いに略同一とされている。これにより、正極集電体15において取り出されるべき電流を、複数の正極合流部26間でより均等に取り出すことができ、これを複数本のユニット正極導電線92に分散させて流すことができ、電流が局所的に多く流れる部位が生じることが無くなる。これにより、電流分布の均一化を図ることができることから、電池セル20自体の劣化を抑えることができ、ひいては電池セル20の高寿命化を実現できる。
このとき、各ユニット正極導電線92の正極合流部26から正極全体合流部72までの電気抵抗が互いに略同一になっていれば、互いに材質や長さ、径が互いに異なるものであってもよい。この電気抵抗が互いに略同一とは、20%以下であれば好ましく、10%以下、或いは5%以下であれば更に好ましい。
なお、上述した説明において、ユニット正極導電線92は、正極合流部26を始点とし、正極全体合流部72を終点とする場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものでは無い。
図4(b)に示すように、正極合流部26を設けない例の場合には、各ユニット正極導電線92は、一の電流取出用端部36から伸びる少なくとも1本の導電部8が兼ねるものであってもよい。
かかる場合には、この導電部8も兼ねるユニット正極導電線92の、電流取出用端部36から正極全体合流部72まで電気抵抗が、互いに略同一であればよい。
負極についても同様であり、この図9でいう正極全体合流部72に対応する図示しない負極全体合流部が別途設けられていてもよい。この図示しない負極全体合流部は、複数設けられた各負極合流部25により供給すべき電流を一箇所に集めるための部位である。各負極合流部25は、図示しない負極全体合流部に対して、ユニット正極導電線92に対応する図示しないユニット負極導電線により電気的に接続されている。これにより負極側においても電流分布の均一化を図ることができることから、電池セル20自体の劣化を抑えることができ、ひいては電池セル20の高寿命化を実現できる。
また負極についても同様に、図10に示すように、電池セル20を複数に亘り並列に配置することで二次電池モジュールを構成してもよい。かかる場合には、並列に配置した4つの電池セル20で共通の負極合流部25を共有するようにしてもよい。各電池セル20における負極側電流取出層10には、それぞれ一の電流取出用端部35が設けられている。一の負極合流部25を共有する4つの電池セル20の各電流取出用端部35a~35dから同様に負極導電線21a~21dがこの負極合流部25まで延長される構成となる。各負極導電線21a~21dの長さは互いに略同一となる。 上述した実施形態においては、各ユニット正極導電線92に対応する図示しないユニット負極導電線の、負極合流部25から正極全体合流部72に対応する図示しない負極全体合流部までの長さは、互いに略同一であるのは、各図示しないユニット負極導電線が同一の材質で同一の径で構成されている場合の例である。これにより、各図示しないユニット負極導電線間の電気抵抗は略同一となる。
このとき、各図示しないユニット負極導電線の正極合流部26から正極全体合流部72までの電気抵抗が互いに略同一になっていれば、互いに材質や長さ、径が互いに異なるものであってもよい。
また図6(b)に示すように、負極合流部25を設けない例の場合には、各導電部7が図示しないユニット負極導電線を兼ねることになるが、かかる場合においても、各導電部7における正極全体合流部72までの電気抵抗が互いに略同一になっていれば、互いに材質や長さ、径が互いに異なるものであってもよい。図6(b)に示すように、負極合流部25が形成されていない場合、各図示しないユニット負極導電線は、一の電流取出用端部35から伸びる少なくとも1本の導電部7が兼ねるものであってもよい。かかる場合には、この導電部7も兼ねる図示しないユニット負極導電線の、電流取出用端部35から正極全体合流部72に相当する図示しない負極全体合流部まで電気抵抗が、互いに略同一であればよい。
なお、上述した実施の形態においては、放電時において負極側電流取出層10及び正極側電流取出層16における抵抗を均一化することで局所的な電流の集中を抑制できる点について説明をしたが、充電時においても同様である。充電時には、電流の向きが全て逆になるだけであり、負極側電流取出層10及び正極側電流取出層16における抵抗を均一化するメカニズムは放電時と同様である。このため本発明は、放電時のみならず充電時においても、局所的な電流の集中を抑制でき、電池の寿命を更に伸ばすことが可能となる。
また、正極側電流取出層16について、図11に示すように、上端から下端に至るまで貫通する小孔96が形成された材料で構成する場合、以下に説明する効果を奏することとなる。製造時において、正極側電流取出層16と正極集電体15との間に気泡81が形成される場合には、減圧環境下におくことで気泡81が小孔96を通過し、外部に放出されることで、これを除去することが可能となる。
このようにして気泡81が除去されることで、正極集電体15と正極側電流取出層16との間で密着性が向上することとなる。負極側電流取出層10においても同様に小孔96を形成させておくことにより、気泡81を同様に除去することで密着性を向上させることが可能となる。