JP7207394B2 - 微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラム - Google Patents

微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7207394B2
JP7207394B2 JP2020502874A JP2020502874A JP7207394B2 JP 7207394 B2 JP7207394 B2 JP 7207394B2 JP 2020502874 A JP2020502874 A JP 2020502874A JP 2020502874 A JP2020502874 A JP 2020502874A JP 7207394 B2 JP7207394 B2 JP 7207394B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microparticles
velocity
microparticle
adjustment
suction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020502874A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019167510A1 (ja
Inventor
学治 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Sony Group Corp
Original Assignee
Sony Corp
Sony Group Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp, Sony Group Corp filed Critical Sony Corp
Publication of JPWO2019167510A1 publication Critical patent/JPWO2019167510A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7207394B2 publication Critical patent/JP7207394B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/10Investigating individual particles
    • G01N15/14Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry
    • G01N15/1484Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry microstructural devices
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/10Investigating individual particles
    • G01N15/14Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry
    • G01N15/1404Handling flow, e.g. hydrodynamic focusing
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/10Investigating individual particles
    • G01N15/14Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry
    • G01N15/1456Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry without spatial resolution of the texture or inner structure of the particle, e.g. processing of pulse signals
    • G01N15/1459Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry without spatial resolution of the texture or inner structure of the particle, e.g. processing of pulse signals the analysis being performed on a sample stream
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/10Investigating individual particles
    • G01N15/14Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry
    • G01N15/149Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry specially adapted for sorting particles, e.g. by their size or optical properties
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/10Investigating individual particles
    • G01N2015/1006Investigating individual particles for cytology
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N15/00Investigating characteristics of particles; Investigating permeability, pore-volume or surface-area of porous materials
    • G01N15/10Investigating individual particles
    • G01N15/14Optical investigation techniques, e.g. flow cytometry
    • G01N2015/1486Counting the particles

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Description

本技術は、微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラムに関する。より詳細には、フローサイトメータにおいて用いられる微小粒子分取系において、液滴を形成せずに、マイクロチップ内で目的の微小粒子を閉鎖系で分取する技術での、微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラムに関する。
微小粒子を分取するために、これまで種々の装置が開発されてきている。例えばフローサイトメータにおいて用いられる微小粒子分取系において、フローセル又はマイクロチップに形成されたオリフィスから、細胞を含むサンプル液とシース液とから構成される層流が吐出される。吐出される際に所定の振動が当該層流に与えられて、液滴が形成される。当該形成された液滴の移動方向が、目的の微小粒子を含むか含まないかによって、電気的に制御されて、目的の微小粒子が分取される。
上記のように液滴を形成せずに、マイクロチップ内で目的の微小粒子を分取する技術も開発されている。
例えば、下記特許文献1には、「微小粒子を含むサンプル液が通流するサンプル液導入流路と、該サンプル液導入流路にその両側から合流し、前記サンプル液の周囲にシース液を導入する少なくとも1対のシース液導入流路と、前記サンプル液導入流路及びシース液導入流路に連通し、これらの流路を通流する液体が合流して通流する合流流路と、該合流流路に連通し、回収対象の微小粒子を吸引して引き込む負圧吸引部と、該負圧吸引部の両側に設けられ、前記合流流路に連通する少なくとも1対の廃棄用流路と、を有するマイクロチップ。」(請求項1)が記載されている。当該マイクロチップにおいて、目的の微小粒子は吸引によって負圧吸引部へと回収される。
また、下記特許文献2には、「主流路を通流する液体中の微小粒子を、前記主流路に連通する分岐流路内に負圧を発生させることにより該分岐流路内に取り込む手順を含み、該手順において、前記主流路と前記分岐流路との連通口に、前記分岐流路側から前記主流路側へ向かう液体の流れを形成させておく微小粒子分取方法。」(請求項1)が記載されている。当該分取方法において、当該主流路側へ向かう液体の流れによって、非分取動作時において非目的粒子又はこれを含むサンプル液及びシース液が分取流路に進入するのを抑制する。また、下記特許文献2には、当該微小粒子分取方法を実施可能な微小粒子分取用マイクロチップも記載されている(請求項9)。
このように、マイクロチップ内で目的の微小粒子を分取する技術では、主流路を流れる液体が目的の微小粒子を含まない場合には当該液体は例えば廃棄用流路へと流れ、主流路を流れる液体が目的の微小粒子を含む場合に当該液体が粒子分取流路内に導かれることで、目的の微小粒子が回収される。
特開2012-127922号公報 特開2014-36604号公報
マイクロチップ内で目的の微小粒子を分取する閉鎖系の技術において、例えば負圧によって目的の微小粒子が上記粒子分取流路内に吸引されうる。液体が目的の微小粒子を含まない場合は、吸引は行われない。そこで、微小粒子の分取性能を高める為には、吸引が行われるタイミング及び/又は適用される吸引力の大きさが最適化される必要がある。
そこで、目的の微小粒子を分取する技術において、微小粒子の分取性能を高めるために、吸引が行われるタイミング及び/又は適用される吸引力の大きさを最適化する開発が行われた(特願2017-102694)。
前記特願2017-102694の微小粒子の吸引条件の最適化方法技術は、
微小粒子を含む液体が通流される主流路の所定の位置で、微小粒子が通過する時点を検知し、
微小粒子吸引流路により所定の吸引力で微小粒子を前記主流路から前記微小粒子吸引流路内に吸引し、
前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数をカウントする工程、及び
微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした微小粒子の数とに基づいて、
前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定する工程、
を含む技術である(請求項1)。
しかし、前記技術の開発を更に進め、微小粒子の分取性能をより向上させることが望まれる。
本発明者は、鋭意検討した結果、下記の技術により前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本技術は、
シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、及び
前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程
を含む、微小粒子の吸引条件の最適化方法を提供する。
前記方法において、一定時間での微小粒子の平均速度Vave、個々の微小粒子中の最大速度Vmax及び最低速度Vminの少なくとも一つのデータを取得する工程を含むことができる。
また、前記一定時間での微小粒子の平均速度Vave、個々の微小粒子中の最大速度Vmax及び最低速度Vminの少なくとも一つのデータ及び前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含むことができる。
更に、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含むことができる。
ここで、平均速度Vaveは、一定時間内の微小粒子の速度のハーゲンポアズイユ分布に基づいて計算することができる。
あるいは、V/Vmaxで算出される指標に反比例して、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含むことができる。
また、前記主流路の所定の位置から分取する位置まで微小粒子が通過する時間tに基づいて、前記個々の微小粒子の速度Vのデータを取得することができる。
前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程において、前記圧力はアクチュエータの駆動によることができる。
また、前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略中心部を通流するとき、前記時間tでの個々の微小粒子中の最高速度Vmaxにおける前記圧力室の圧力がVaveのときよりも大きくすることができる。
あるいは、前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略最外部を通流するとき、前記時間tでの個々の微小粒子中の最低速度Vminにおける圧力室の圧力がVaveのときよりも小さくすることができる。
前記微小粒子は、光照射により検出が可能なマイクロビーズとすることができる。なお、マイクロビーズは、下記の調整用微小粒子として使用することができる。
その他、本技術における微小粒子として、細胞、微生物、およびリボゾームなどの生態関連微小粒子などを用いることができる。
また、本技術は、
シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び調整用微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、
前記調整用微小粒子を所定の吸引力で前記主流路から前記圧力室へ吸引する工程、
前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする工程、及び
前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定する工程、
前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知しての個々の調整用微小粒子の速度Vデータと、一定時間での平均速度Vaveのデータを取得する工程、
V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記調整用微小粒子を吸引する圧力室の圧力を制御し、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程
を含む、微小粒子の吸引条件の最適化方法を提供する。
本技術は、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程後に、再度前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする工程を含み、
前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取の実行回数と、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数とを対比し、前記調整用微小粒子の全部を分取していないと判定されるときは、前記圧力室の圧力を大きく及び/又は小さくして、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数が通流した前記調整用微小粒子の全部と略同数となる定数を算出することを含むことができる。
更に本技術は、
シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップと、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得部と、
前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御部とを含む、微小粒子分取用装置を提供する。
また更に本技術は、
シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップと、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得装置と、
前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御装置と、
前記圧力を制御するプログラムが組み込まれたコンピュータと
を含む、微小粒子分取用システムを提供する。
また、本技術は、
シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータと、一定時間での微小粒子の平均速度Vaveのデータを取得し、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記圧力室の吸引力を制御すること、
をコンピュータに実行させる、微小粒子分取用プログラムを提供する。
あるいは、シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び調整用微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して調整用微小粒子の速度データを取得すること、
前記圧力室による所定の吸引力で前記調整用微小粒子を前記主流路から前記圧力室へ吸引すること、
前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントすること、及び
前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定すること、
前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータと、一定時間での調整用微小粒子の平均速度Vaveのデータを取得し、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記圧力室の吸引力を制御し、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行すること、
をコンピュータに実行させる、微小粒子分取用プログラムを提供する。
本技術によれば、目的の微小粒子を分取する閉鎖系の技術において、吸引が行われるタイミング及び/又は適用される吸引力の大きさが更に最適化される。その結果、微小粒子の分取性能が更に高められる。
なお、本技術により奏される効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
微小粒子分取技術において用いられるマイクロチップの模式図である。 マイクロチップの分取部の拡大図である。 微小粒子分取用装置の光学系構成を示す図である。 微小粒子分取用装置の光学系構成を示す図である。 微小粒子分取のための動作原理を示す図である。 微小粒子の吸引条件最適化方法のフローチャートである。 微小粒子の通過を検出する位置を示す図である。 所定条件下で吸引を行った場合に微小粒子が微小粒子吸引流路内に吸引される領域を示す図である。 所定条件下で吸引を行った場合に微小粒子が微小粒子吸引流路内に吸引される領域を示す図及び当該条件下でのカウントされた粒子数を示すグラフである。 微小粒子の吸引条件最適化方法のフローチャートである。 所定条件下で吸引を行った場合に微小粒子が微小粒子吸引流路内に吸引される領域を示す図及び当該条件下でのカウントされた粒子数を示すグラフである。 所定条件下で吸引を行った場合に微小粒子が微小粒子吸引流路内に吸引される領域を示す図及び当該条件下でのカウントされた粒子数を示すグラフである。 微小粒子含有サンプル液の流量が少なくサンプルコアのサイズが小さい場合の微小粒子が流れる様子を示す図である。 微小粒子含有サンプル液の流量が多くサンプルコアのサイズが大きい場合の微小粒子が流れる様子を示す図である。 本技術に応用するハーゲンポアズイユ現象を説明する概略図である。 微小粒子の吸引の制御の例を示すフローチャートである。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.関連技術の説明
1-1.微小粒子分取用マイクロチップ
1-2.微小粒子分取用装置
1-3.微小粒子分取のための動作原理
2.微小粒子の吸引条件最適化方法
2-1.基本となる吸引条件最適化方法I
2-2.基本となる吸引条件最適化方法II
2-3.微小粒子の吸引時の現象
2-4.サンプルコアのサイズに対応した吸引条件最適化方法
3.微小粒子吸引制御の実施態様
3-1.実施態様I
3-2.実施態様II
4.微小粒子分取用プログラム
5.微小粒子分取用システム
<1.関連技術の説明>
1-1.微小粒子分取用マイクロチップ
目的の微小粒子を分取する技術を、図1を参照しながら以下に説明する。図1は、微小粒子の分取を行うためのマイクロチップの一例の模式図である。
図1に示されるとおり、マイクロチップ100には、サンプル液インレット101及びシース液インレット103が設けられている。これらインレットからサンプル液及びシース液が、それぞれサンプル液流路102及びシース液流路104に導入される。当該サンプル液に微小粒子が含まれている。
シース液導入流路104を流れるシース液は、サンプル液流路102を流れるサンプル液と合流して、サンプル液の周囲がシース液で囲まれた層流を形成する。当該層流は、主流路105を、分取部107に向かって流れる。
分取部107において、主流路105を流れてきた前記層流は、分岐流路108へと流れる。また、分取部107において、回収されるべき粒子が流れてきた場合にのみ、粒子分取流路109への流れが形成されて、当該粒子が回収される。当該粒子が粒子分取流路109へと吸い込まれる際には、前記層流を構成するサンプル液又は前記層流を構成するサンプル液及びシース液も、粒子分取流路109へと流れる。
回収されるべきでない粒子が粒子分取流路109へと入ることを防ぐために、ゲート流インレット112が備えられていてもよい。当該ゲート流インレット112からシース液が導入され、粒子分取流路109から主流路105への方向の流れが形成されることで、回収されるべきでない粒子が粒子分取流路109へと入ることが防がれる。
このようにして、微小粒子は、分取部107において分取される。
分取部107は、検出領域106を有する。検出領域106において、主流路105を流れる微小粒子に対して光が照射され、照射された結果生じた散乱光及び/又は蛍光によって、微小粒子が回収されるべきであるかどうかが判定される。
分取部107を拡大した図を図2に示す。図2に示されるとおり、主流路105と粒子分取流路109とは、主流路105と同軸上にあるオリフィス部201を介して連通されている。回収されるべき粒子は、オリフィス部201を通って、粒子分取流路109へと流れる。また、回収されるべきでない粒子がオリフィス部201を通って粒子分取流路109へと入ることを防ぐために、オリフィス部201付近にゲート流インレット112が備えられている。なお、ゲート流インレット112は、オリフィス部201内に備えられていてもよい。当該ゲート流インレット112からシース液が導入され、オリフィス部201から主流路105へ向かう流れが形成されることで、回収されるべきでない粒子が粒子分取流路109へと入ることが防がれる。粒子分取流路109に圧力室が連通されていてもよい。当該圧力室は粒子分取流路109に備えられていてもよく、又は、粒子分取流路自体が圧力室として機能してもよい。当該圧力室内の圧力は減少又は増加されうる。当該圧力室内の圧力を減少させることによって、微小粒子を粒子分取流路109内に導き、又は、当該圧力室内の圧力を増加又は維持させることによって、微小粒子の粒子分取流路109内への侵入を防ぐ。このように当該圧力室内の圧力の調節によって、回収されるべき粒子のみの分取が可能となる。
このような流路構造を有するマイクロチップにおいて、粒子が回収される場合に、主流路105からオリフィス部201を通って粒子分取流路109へと進む流れ(以下、「粒子回収時の流れ」ともいう)が形成される。粒子が回収される場合以外においては、当該流れは形成されない。粒子回収時の流れを形成するために、当該圧力室の圧力が減少される。当該圧力の減少によって、ゲート流により生じるオリフィス部から当該主流路への流れよりも強い流れが、主流路105から粒子分取流路109に向かって形成され、その結果、目的の粒子が粒子分取流路109内に分取される。
粒子回収時の流れは、粒子分取流路109を負圧にすることで形成できる。すなわち、粒子分取流路109を負圧にすることで、粒子が粒子分取流路109内に吸引される。粒子の吸引は、検出領域106において検出された光に基づき粒子が回収されるべきであると判定された場合に、検出領域106を粒子が通過したときから所定の時間が経過した時点において行われる。より精度の高い粒子分取のためには、どの程度の時間が経過した時点において吸引が行われるべきかを最適化する必要がある。
また、粒子を粒子分取流路109内に吸引する場合に、粒子と一緒にサンプル液及び/又はシース液が粒子分取流路109内に吸引される。適用される吸引力が大きすぎる場合、粒子と一緒に粒子分取流路109内に吸引されるサンプル液及び/又はシース液の量が多くなり、回収された粒子の密度が下がるため、望ましくない。一方で、適用される吸引力が小さすぎる場合、粒子が回収されない可能性が高まる。そのため、適用される吸引力についても最適化することが望ましい。
1-2.微小粒子分取用装置
本技術に従う微小粒子分取用装置は、本技術の最適化方法を実行する。当該最適化方法は、例えば、前記1-1.微小粒子分取用マイクロチップにおいて行うことができる。すなわち、本技術に従う微小粒子分取用装置は、当該マイクロチップを備えることができるが、これに限定されない。なお、微小粒子分取用マイクロチップは、容易に交換可能でディスポーザブルでもよい。
本技術に用いられる微小粒子分取用装置は、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得部と、
前記速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御部とを含む。
前記微小粒子の検出は、前記微小粒子分取用マイクロチップの主流路及び粒子分取流路内に設定された検出領域で行われる。当該検出領域においては、前記粒子分取流路内に吸引された微小粒子のカウントも行われる。
前記速度データ取得部の具体的な動作としては、前記微小粒子分取用マイクロチップの前記主流路の所定の位置で、微小粒子が通過する時点を検知し、前記粒子分取流路の所定の位置でも、微小粒子が通過する時点を検知し、その微小粒子の数をカウントする工程(粒子数カウント工程)を実行する。
前記粒子数カウント工程で得られたデータは、データ処理部において、前記粒子分取流路へと吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定することに用いられる。
また、前記速度データ取得部は、更に、微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から更に前記粒子分取流路に吸引が行われるまでの時間を変更して、前記粒子数カウント工程を繰り返す繰り返し工程も実行することができる。
更に、前記速度データ取得部は、また更に吸引力を変更して前記粒子数カウント工程及び/又は前記繰り返し工程を繰り返す第2の繰り返し工程を実行してもよい。
前記第2の繰り返し工程においては、吸引力は吸引力Dから所定の割合で段階的に減少され、かつ、前記第2の繰り返し工程は、吸引された微小粒子の数がいずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られるまで行われる。この場合、前記粒子分取流路へと吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定する工程において、前記いずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた場合の吸引力から所定の割合で増加させた吸引力を、微小粒子の吸引に適用されるべき吸引力として、前記データ処理部にて決定する。
微小粒子の吸引に適用されるべき吸引力を決定する工程において、前記粒子数カウント工程及び前記繰り返し工程、並びに、必要に応じて前記第2の繰り返し工程、においてカウントされた微小粒子の数に基づき粒子分取流路への吸引の成功率が算出され、当該成功率に基づき、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を、前記データ処理部にて決定する。
本技術の微小粒子分取用装置はさらに、前記主流路を通流する微小粒子に光を照射する光照射部と、前記微小粒子から発せられた散乱光及び/又は蛍光を検出する検出部と、前記検出部で検出されたデータに基づいて、前記主流路を通流する微小粒子の進行方向を制御する進行方向制御部とを有することができる。以下、当該光照射部、当該検出部、及び当該進行方向制御部について説明する。
本技術において、前記光照射部は、前記主流路を通流する微小粒子に光(励起光)を照射する。当該光照射部は、励起光を出射する光源と、主流路を通流する微小粒子に対して励起光を集光する対物レンズとを含んでもよい。光源は、分析の目的に応じてレーザダイオード、SHGレーザ、固体レーザ、ガスレーザ、及び高輝度LEDなどから適宜選択されうる。光照射部は、光源及び対物レンズに加えて、必要に応じて他の光学素子を含んでもよい。
前記光照射部により、本技術の方法において、主流路上の検出領域内に光が照射されうる。当該光が照射される位置は、前記図1を参照して述べた光の照射位置でよい。前記光照射部により照射される光は、1つであってもよく又は2以上であってもよい。前記光照射部により照射される光は例えば、波長の異なる2つの光であってよく、又は同一の波長の2つの光であってもよい。当該光の照射によって、微小粒子から散乱光及び/又は蛍光が発せられる。当該発せられた散乱光及び/又は蛍光によって、微小粒子が回収されるべきかどうかが判別される。また、当該発せられた散乱光及び/又は蛍光によって、微小粒子の前記所定の位置の通過が検知される。
また、例えば2つの光が照射されることで、当該2つの光の間の距離と当該2つの光の間を微小粒子が通過に要した時間とから、当該微小粒子の流路内での速度が算出される。すなわち、第1及び第2の光照射部、並びに第1及び第2の検出部から速度が算出される。
前記第2の光照射部によって、前記図1を参照して説明した、微小粒子吸引流路内の検出領域(106)に光が照射される。当該光の照射によって、微小粒子から散乱光及び/又は蛍光が発せられる。当該散乱光及び/又は蛍光を検出することで、微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がカウントされる。
また、本技術に用いる微小粒子分取用装置はさらに、分取された微小粒子の検出のための暗視野照明系、及び/又は、分取部を観察するためのカメラ観察系を有してもよい。さらに、本技術に用いる微小粒子分取用装置は、当該カメラ観察系により観察される視野を照明する透過照明系を有してもよい。
本技術において、前記検出部は、前記光照射部による光の照射によって前記微小粒子から発せられた散乱光及び/又は蛍光を検出する。当該検出部は、微小粒子から発生する蛍光及び/又は散乱光を集光する集光レンズと検出器とを含んでもよい。当該検出器として、PMT、フォトダイオード、CCD、及びCMOSなどが用いられうるがこれらに限定されない。当該検出部は、集光レンズ及び検出器に加えて、必要に応じて他の光学素子を含んでもよい。
また、本技術の微小粒子分取用装置は、前記第2の光照射部から照射された光により生じた光を検出するための第2の検出部をさらに含んでもよい。
前記検出部及び前記第2の検出部により検出される蛍光は、微小粒子そのものから発生する蛍光及び微小粒子に標識された物質、例えば蛍光物質など、から発生する蛍光でよいがこれらに限定されない。前記検出部及び前記第2の検出部により検出される散乱光は、前方散乱光、側方散乱光、レイリー散乱、及び/又はミー散乱でよいが、これらに限定されない。
図3に、本技術において用いられる光照射部(蛍光励起系)、第2の光照射部(分取励起系)、検出部(FSC検出系及び蛍光検出系)、及び第2の検出部(分取検出系)の例を示す。
前記光照射部は蛍光励起用の光を、マイクロチップ内を通流する微小粒子に照射する。前記第2の光照射部は、微小粒子が微小粒子分取流路内に分取されたことを検出する為の光を照射する。
前記検出部は、前方散乱光検出系及び蛍光検出系を有する。これら検出系によって、前記光照射部からの微小粒子への光の照射により生じた光の検出が行われる。検出された光に基づき、微小粒子が分取されるべきかの判別が、以下で述べる進行方向制御部により行われる。また、検出された光に基づき、微小粒子の前記所定の位置の通過が、上記制御部によって検出される。また、検出された光に基づき、微小粒子の通過速度の算出が、上記制御部によって行われる。
前記第2の検出部は、前記第2の光照射部から微小粒子への光の照射により生じた光の検出が行われる。当該光の検出によって、微小粒子が微小粒子吸引流路内に吸引されたことが検出される。当該第2の検出部により検出される光は、好ましくは前方散乱光であり、当該前方散乱光は好ましくは蛍光マーカーに依存しないものでよい。
図3に示されるとおり、前記光照射部からのマイクロチップへの光の照射は、対物レンズを通って行われる。当該対物レンズの開口数(NA)は好ましくは0.1~1.5、より好ましくは0.5~1.0である。更に好ましくは、0.7とすることができる。
また、前記光照射部による光の照射により生じた前方散乱光は、対物レンズを通った後に、前方散乱光検出系により検出される。当該対物レンズの開口数(NA)は好ましくは0.05~1.0、より好ましくは0.1~0.5、更に好ましくは0.3とすることができる。
また、これら対物レンズの視野内に、前記光照射位置があってよく、好ましくは前記光照射位置及び分岐部分の両方があってもよい。
このような光学系を配置することにより、前述の波長の異なる2波長による信号検出を行い、その距離および信号検出時間差から粒子通過速度を検出することが可能となる。
図4に、微小粒子分取用マイクロチップの主流路から分取部における光学系構成の一例を示す。
前記第1の光照射部には488nmの光が照射され、前記第2の光照射部には638nmの光が照射される。これらに対応する第1と第2の検出部の間隔は80μmである。第1の検出部における信号検出後、この間を微小粒子が流れ、第2の検出部における信号が検出される。これにより微小粒子が流れる速度を算出することができる。
また、第2の検出部から700μm先を分取部とし、分取部を中心としたΦ350nmの前記調整用カメラ観察視野を設置し、分取部を通過した微小粒子を観察することができる。
なお、微小粒子の分取後に、分取した微小粒子の検出を行うときは、蛍光マーカーに依存しない前方散乱を検出する光学系にすることが好ましい。
本技術に用いる微小粒子分取用装置において、前記進行方向制御部は、前記検出部で検出されたデータに基づいて、前記主流路を通流する微小粒子を分岐流路に進行させるか又は粒子分取流路内に吸い込むかを制御する。前記検出部により検出された蛍光及び散乱光は、電気信号に変換される。すなわち、本技術の微小粒子分取用装置は、電気信号変換部を有する。当該電気信号変換部は、進行方向制御部に含まれていてもよく、進行方向制御部に含まれていなくてもよい。当該進行方向制御部は、当該電気信号を受け取り、当該電気信号に基づいて、微小粒子の光学特性を判定する。当該進行方向制御部は、当該判定の結果に基づき、微小粒子が回収されるべきものである場合は、微小粒子がオリフィス部を通って微小粒子分取流路に進行するように、流路内の流れを変更できる。当該流れの変更は例えば、圧力室内の圧力を減少することにより行われる。また、微小粒子の回収後は、当該進行方向制御部は、流路内の流れを再度変更できる。当該流れの再度の変更は、圧力室内の圧力を増加することにより行われる。すなわち、当該進行方向制御部は、前記検出部で検出されたデータに基づいて、前記オリフィス部に連通された圧力室内の圧力を制御する。また、当該進行方向制御部は、前記オリフィス部から主流路に向かう液体の流れを形成する為に備えられている流路内の液体の流れ、例えばゲート流などを制御するものであってもよい。当該進行方向制御部は、特開2014-036604号公報に記載された駆動部と同様の機能を有してよい。
1-3.微小粒子分取のための動作原理
図5に、本技術における微小粒子分取のための動作原理を示す。
微小粒子含有サンプル液は、前記微小粒子分取用マイクロチップのインレット部よりサンプル流として図5中の矢印方向に流れてゆくが、主流路を流れる微小粒子に対して光が照射された結果生じた散乱光及び/又は蛍光の情報を精度良く読み取るためには、微小粒子を光照射の焦点位置に正確にかつ1個ずつ通過させる必要がある。よって、前述したように、微小粒子含有サンプル液の流れを包み込むシース液を流し、微小粒子含有サンプル液が中心の流れ(以下、中心部分の流れを「サンプルコア」ともいう)を作成する必要がある。
分取動作を行う領域である分取部では、粒子分取流路1本と廃棄流路2本に三分岐されており、ゲート流より微小粒子が入り込まないよう、図5中の分取吸引口の箇所に示す矢印のような微小流れを生じさせることで、分取動作が行われない場合には全ての微小粒子は2つの廃棄流路に分れ廃棄される。
一方で、散乱光及び/又は蛍光の情報により分取対象であると判断された微小粒子は、圧力室をアクチュエータにより高速変形させることで微小な負圧を発生させ、前記分取部(三分岐点)より吸引操作を行い、粒子分取流路に流し込む。
吸引チャンバーの変形量及び流路内の流れ変化に対する影響度が小さいので、分取の為の吸引量(体積)が小さいと高速動作が可能であり、分取処理として高いスループットを稼ぐことが可能である。ただし、吸引量が少な過ぎると、混入防止を担っているゲート流に勝ることが出来ず、分取されるべき微小粒子を吸引することができず、分取動作を達成することができない。
故に、分取処理の高スループットを保ちつつ、ロバスト性を有した分取性能を達成するためには、流れてくる個々の微小粒子の速度(V)を精度良く検知し、個々の細胞に合わせた最適なタイミング(T)、かつ最適な吸引量(D)で分取動作を実行する必要がある。
2.微小粒子の吸引条件最適化方法
2-1.基本となる吸引条件最適化方法I
前述の吸引のタイミング及び/又は吸引力を最適化するべく、前記特願2017-102694の微小粒子の吸引条件の最適化方法技術が開発された。以下に、当該技術について概略を示すが、詳細は、前記特願2017-102694の明細書を参照されたい。
上記方法の実施態様の一例を、以下で図6を参照しながら説明する。図6は、基本となる吸引条件最適化方法のフローチャートを示す。
(1)粒子数カウント工程S301
図6の粒子数カウント工程S301は、微小粒子が前記主流路上の所定の位置を通過したときから所定の時間Tが経過した時点において前記微小粒子吸引流路による吸引を所定の吸引力Dにて行うという条件下で行われる。該条件で微小粒子分取手順を前記マイクロチップにおいて実行し、当該分取手順を実行した結果前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がカウントされる。
粒子数カウント工程S301において、微小粒子を含む液体が通流される主流路の所定の位置で、微小粒子が通過する時点が検知される。前記主流路上の所定の位置は、微小粒子の通過を検知できる位置であればよい。当該所定の位置は、例えば主流路上の検出領域内にあってよく、例えば光の照射位置である。
前記主流路上の所定の位置を、図7を参照して説明する。図7は、分取部107の拡大図である。図7に示されるとおり、検出領域において、粒子の進行方向に対して垂直に、例えば2つの光401及び402が照射される。2つの光401及び402の照射間隔は、例えば20~200μmであり、好ましくは30~150μmであり、より好ましくは40~120μmである。これら2つの光の波長は異なるものであってよく、又は同じものであってもよい。前記所定の位置は、例えば、当該2つの光のうち、微小粒子吸引流路側の光402の照射位置であってよく、又は、他方の光401の照射位置であってもよい。光が照射されている部分を微小粒子が通過するときに、散乱光及び/又は蛍光が発生することで、微小粒子の通過が検知される。
粒子数カウント工程S301において、微小粒子吸引流路により所定の吸引力で、微小粒子が、前記主流路から前記微小粒子吸引流路内に吸引される。当該吸引は、前記所定の位置を通過したときから所定の時間Tが経過したときに行われる。前記所定の位置を通過したときからの所定の時間Tは、当業者によって適宜設定されてよく、例えばマイクロチップのサイズ、特にはマイクロチップの主流路上の光照射領域から前記オリフィス部の入り口までの距離及び/又は粒子の流速を考慮して定めることができる。当該距離は、例えば上記2つの光のうち微小粒子吸引流路側の光照射位置から前記オリフィス部の入り口までの距離とすることができる。当該距離は、例えば300μm~1500μmである。
例えば、当該時間Tは、前記所定の位置を通過した時点から、吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域内のいずれかの位置に到達した時点までの時間である。又は、前記所定の位置を通過した時点から当該領域に到達する前の時点までの時間であってもよい。
当該時間Tを、図8を参照してさらに説明する。図8は、分取部107の拡大図である。図8において、微小粒子吸引流路の入り口から照射領域に向かって楕円状に広がっている領域501が、吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域である。図8において、光照射位置から距離Yだけ進んだ位置に粒子がある。当該粒子は、当該領域内にまだ到達していない。光照射位置を通過した時点から上記距離Yを粒子が進んだ時点までの時間を、時間Tとして採用してもよい。又は、さらに時間が経過すると、粒子は当該領域内に到達する。光照射位置を通過した時点からこの領域内のいずれかの位置に粒子が到達する時点までの時間を、時間Tとして採用してもよい。
時間Tの設定において、粒子の流路内の速度が必要に応じて考慮されうる。当該速度は当業者に既知の手法により適宜測定される。例えば、前記図7に示されたとおり、2つの光照射位置401及び402が設けられている場合、当該2つの照射位置の間の距離と当該2つの照射位置の間を通過するのに要した時間とに基づき、粒子の流路内の速度が算出される。このような算出方法により、より精度よく、粒子の速度が算出される。また、精度よく粒子の速度が算出されることで、吸引条件の最適化がより良く行われる。
また、当該速度と経過時間とから、前記所定の位置からの距離が算出される。本技術の他の実施態様において、時間Tの変わりに、前記所定の位置からの距離Yが、変数として用いられてもよい。すなわち、本技術の他の実施態様において、粒子数カウント工程において、微小粒子が前記主流路上の所定の位置から所定の距離Yだけ前記微小粒子吸引流路に向かって進行したときに前記微小粒子吸引流路による吸引を所定の吸引力Dにて行うという条件下で、微小粒子分取手順が前記マイクロチップにおいて実行され、当該分取手順を実行した結果前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がカウントされる。この実施態様において、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置からの距離が決定される。すなわち、本技術において、吸引が行われるべきタイミングの代わりに、吸引が行われるべき、前記所定の位置からの距離が最適化される。すなわち、時間Tの変わりに、前記所定の位置からの距離Yが、変数として用いられてもよい。
所定の吸引力Dでの微小粒子吸引流路による吸引は、例えば、微小粒子吸引流路内を負圧にすることで行われる。当該負圧にすることは、アクチュエータ、例えばピエゾ素子によって行われる。吸引力Dとピエゾ素子の駆動電圧との間には所定の関係があるので、ピエゾ素子の駆動電圧を調節することで、吸引力Dが調節されうる。ピエゾ素子の駆動電圧の調節は当業者に既知の手段により行われてよい。
粒子数カウント工程S301において、微小粒子分取手順は、例えば上記1.で説明したマイクロチップを搭載した微小粒子分取用装置を用いて実行できる。当該微小粒子分取用装置の構成の詳細については、特願2017-102694の明細書を参照されたい。
微小粒子分取手順においては、既知の数の微小粒子を含むサンプル液を用いることができる。微小粒子の数は、当業者により適宜設定されてよく、例えば10~1000、特には30~500、より特には50~300である。微小粒子分取手順において、既知の数の微小粒子を含むサンプル液が、サンプル液インレット101から導入され、そして、サンプル液流路102中を進み、かつ、シース液が、シース液インレット103から導入され、そして、シース液流路104を進む。当該、サンプル液及びシース液は合流して層流を形成し、そして、層流は主流路105を分取部107に向かって流れる。当該層流に対して、検出領域106において、光が照射される。微小粒子が当該検出領域を通過することで、微小粒子から散乱光及び/又は蛍光が生じる。この散乱光及び/又は蛍光を検出した場合にのみ、当該微小粒子が、前記所定の位置を通過したときから所定の時間Tが経過した時点において、吸引力Dでの吸引が行われる。例えば100の微小粒子を含むサンプル液を用いた微小粒子分取手順では、夫々の微小粒子について吸引が行われ、すなわち100回吸引が行われる。
粒子数カウント工程S301において、前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がカウントされる。例えば、粒子数カウント工程S301において、既知の数の微小粒子に対して前記微小粒子分取手順を行った結果微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がカウントされる。当該カウントは、当業者により既知の手段により行われてもよく、又は、微小粒子吸引流路内に設けられた検出領域において行われてもよい。当該微小粒子の数のカウントは、前記微小粒子吸引流路内の所定の位置で行うことができる。例えば、微小粒子の数は、前記微小粒子吸引流路内の所定の位置の通過を検知することによりカウントされる。微小粒子吸引流路内に設けられた検出領域の例は、例えば図2に示される光照射領域202である。図2に示されるとおり、微小粒子吸引流路内に設けられた光照射領域202を微小粒子が通過することで、当該微小粒子から散乱光及び/又は蛍光が発せられる。当該散乱光及び/又は蛍光を検出することで、微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がカウントされる。
本技術において、微小粒子は当業者により適宜選択されてよい。本技術において、微小粒子には、細胞、微生物、及びリポソームなどの生物学的微小粒子、並びに、ラテックス粒子、ゲル粒子、及び工業用粒子などの合成粒子などが包含されうる。本技術の方法において、好ましくは合成粒子、特には吸引条件最適化のためのビーズが、微小粒子として用いられ、本技術では、調整用微小粒子として使用しうる。当該合成粒子は、生物学的微小粒子よりも入手が容易であるので、本技術の方法にとってより好ましい。
前記生物学的微小粒子には、各種細胞を構成する染色体、リポソーム、ミトコンドリア、オルガネラ(細胞小器官)などが含まれる。前記細胞には、動物細胞(血球系細胞など)および植物細胞が含まれる。前記微生物には、大腸菌などの細菌類、タバコモザイクウイルスなどのウイルス類、イースト菌などの菌類などが含まれる。さらに、前記生物学的微小粒子には、核酸、タンパク質、これらの複合体などの生物学的高分子も包含される。また、前記合成粒子は、例えば有機若しくは無機高分子材料又は金属などからなる粒子でよい。前記有機高分子材料には、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン、及びポリメチルメタクリレートなどが含まれる。前記無機高分子材料には、ガラス、シリカ、及び磁性体材料などが含まる。前記金属には、金コロイド及びアルミなどが含まれる。微小粒子の形状は、一般には球形又は略球形であってよく、又は非球形であってもよい。微小粒子の大きさ及び質量は、マイクロチップの流路のサイズによって当業者により適宜選択される。マイクロチップの流路のサイズは、微小粒子の大きさ及び質量によって適宜選択される。本技術において、微小粒子には、必要に応じて化学的又は生物学的な標識、例えば蛍光色素など、を取り付けられることができる。当該標識によって、当該微小粒子の検出がより容易になる。取り付けられるべき標識は、当業者により適宜選択できる。
本技術の方法において用いられるマイクロチップは、当技術分野で既知の方法により製造される。例えば、本技術の方法において用いられるマイクロチップは、例えば、上記1-1.微小粒子分取用マイクロチップで述べたとおりの流路が形成された2枚の基板を貼り合わせることにより製造することができる。流路は、2枚の基板の両方に形成されていてもよく、又は、一方の基板にのみ形成されていてもよい。基板の貼り合わせ時の位置の調整をより容易にするために、流路は、一方の基板にのみ形成されうる。
本技術において用いられるマイクロチップを形成する材料として、当技術分野で既知の材料を用いることができる。例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン、PDMS(polydimethylsiloxane)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン、ポリスチレン、ガラス、及びシリコンが挙げられるがこれらに限定されない。特に、加工性に優れておりかつ成形装置を使用して安価にマイクロチップを製造することができることから、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリプロピレン等の高分子材料が特に好ましい。
(2)粒子数カウント工程を繰り返す工程S302
図6の繰り返す工程S302では、微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間を変更して前記粒子数カウント工程を繰り返される。例えば、前記Tをより長い及び/又はより短い種々の時間Tに変更したこと以外は同じようにして、前記粒子数カウント工程が繰り返される。時間Tは、例えばマイクロチップのサイズ、所定の吸引力を適用した場合に当該吸引力が及ぶ領域、及び/又は公差などを考慮して、当業者により適宜設定される。繰り返す工程S302において、種々の時間Tのそれぞれについて粒子数カウント工程が行われることで、種々の時間Tのそれぞれについて粒子数カウント結果が得られる。
例えば、種々の時間Tは、前記Tを所定の割合で段階的に増加及び/又は減少させた時間のそれぞれでよい。当該所定の割合は、例えば0.01%~5%、特には0.05~2%、より特には0.1~1%である。前記Tを増加及び/又は減少させる段階の数は、例えば5~50段階、特には7~40段階、より特には10~30段階である。例えば、種々の時間Tが前記Tを0.2%で20段階増加及び減少させたものである場合、種々の時間Tは、(T+T×0.2%)、(T+T×0.2%×2)、(T+T×0.2%×3)、・・・、及び(T+T×0.2%×20)、並びに、(T-T×0.2%)、(T-T×0.2%×2)、(T-T×0.2%×3)、・・・、及び(T-T×0.2%×20)である。この場合、前記Tも含め、合計で41(1+20+20)の経過時間のそれぞれにおいて、微小粒子分取手順が行われうる。
また、前記Tを増加させる段階の数及び前記Tを減少させる段階の数は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。また、種々の時間Tは、前記Tを増加させたものだけであってもよく、又は、前記Tを減少させたものだけであってもよい。前記Tを増加させる段階の数及び前記Tを減少させる段階の数は当業者により適宜設定されうる。また、種々の時間Tのそれぞれについて、粒子数カウント工程が複数回、例えば2~5回、特には2~3回行われてもよい。
前記繰り返す工程S302において行われる粒子数カウント工程は、前記Tをより長い及び/又はより短い種々の時間Tに変更したこと以外は同じである。そのため、粒子数カウント工程についての説明は、上記(1)を参照されたい。
(3)吸引が行われるべき時間を決定する工程S303
図6の吸引が行なわれるべき時間を決定する工程S303では、粒子数カウント工程S301において、又は、粒子数カウント工程S301及び繰り返す工程S302においてカウントされた微小粒子の数に基づいて、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間が決定される。その結果、微小粒子の吸引が行われるべき時点が最適化される。また、当該決定は、所定のプログラムを実行する制御部などによって、自動的に行われる。
決定する工程S303において、例えば粒子数カウント工程S301及び繰り返す工程S302においてカウントされた微小粒子の数が最も多い場合の時間Tが、前記吸引が行われるべき経過時間として決定される。あるいは、微小粒子の数が最も多い場合の時間が複数存在する場合は、それら複数の時間のうちから任意の時間が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてよく、又は、それら複数の時間のうちの中央の値が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてもよい。
前記吸引が行われるべき経過時間について、以下で図9を参照してより詳細に説明する。
図9は、微小粒子が前記主流路上の所定の位置を通過したときから所定の時間Tが経過した時点において前記微小粒子吸引流路による吸引を所定の吸引力Dにて行うという条件下で、微小粒子分取手順を行っている場合の流路内の状況を示す模式図である。図9において、微小粒子吸引流路の入り口から照射領域に向かって楕円状に広がっている領域601が、吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域である。図9において、前記所定の位置は、2つの光照射位置のうち、微小粒子吸引流路からより遠いほうのものである。前記所定の位置を通った微小粒子602は、所定の時間Tが経過することで、前記所定の位置から距離Yだけ進み、図9に示されるとおりの位置にいる。前記所定の位置を通過したときから前記所定の時間Tが経過した時点において前記微小粒子吸引流路による吸引を所定の吸引力Dにて行う場合、微小粒子602は、領域601内にいるので、微小粒子吸引流路内に吸い込まれる。
なお、図9に示されるとおり、微小粒子が前記所定の位置を通過後前記所定の時間Tが経過した時点において、当該微小粒子は理論的には領域601内にいる。しかしながら、例えば形成されている層流の状況、粒子の形状、及び/又は実際の吸引力などの要因によって、微小粒子吸引流路内に吸い込まれない場合もある。
図9において、時間Tを増加させたTにおいて吸引を行う場合、微小粒子は例えば位置603にいる。位置603にいる場合に吸引力Dにて吸引を行っても、微小粒子は領域601の外にいるので、微小粒子吸引流路内に吸い込まれない。
また、図9において、時間Tを減少させたTにおいて吸引を行う場合、微小粒子は例えば位置604にいる。位置604にいる場合に吸引力Dにて吸引を行っても、微小粒子は領域601の外にいるので、微小粒子吸引流路内に吸い込まれない。
なお、図9に示されるとおり、微小粒子が前記所定の位置を通過後前記時間T又はTが経過した時点において、当該微小粒子は理論的には領域601の外にいる。しかしながら、例えば形成されている層流の状況、粒子の形状、及び/又は実際の吸引力などの要因によって、微小粒子吸引流路内に吸い込まれる場合もある。
前記Tを種々の時間に変更し、それぞれの時間においてカウントされた粒子数を時間に対してプロットしたグラフが、図9の右側に示されている。当該グラフに示されるとおり、カウントされる粒子数は、前記経過した時間が所定範囲内にある場合に、最も多くなる。当該所定範囲内のうちの任意の時間が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてよく、又は、当該所定範囲内の中央の値が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてもよい。
本技術に従い、前記決定する工程において、前記粒子数カウント工程及び前記繰り返し工程においてカウントされた微小粒子の数に基づき微小粒子の吸引流路への吸引の成功率が算出され、当該成功率に基づき、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間が決定される。例えば、当該成功率が最も高い場合の経過時間を、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間として決定してもよい。又は、当該成功率が所定の値以上である複数の経過時間のうちから、任意の時間が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてもよく、又は、当該複数の経過時間のうちの中央の値が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてもよい。
2-2.基本となる吸引条件最適化方法II
本技術の微小粒子の吸引条件の最適化方法は、吸引力を変更して前記粒子数カウント工程及び/又は前記繰り返し工程を繰り返す第2の繰り返し工程をさらに含んでもよい。本技術の最適化方法が、当該第2の繰り返し工程を含む場合、前記決定する工程において、前記粒子数カウント工程及び/又は前記繰り返す工程並びに前記第2の繰り返し工程においてカウントされた微小粒子の数に基づき、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を微小粒子が通過したときからの経過時間及び微小粒子の吸引に適用されるべき吸引力が決定される。
当該本技術の最適化方法が当該第2の繰り返し工程を含む場合のフローチャートの一例を図10に示す。図10において、工程S401及びS402は、上記2-1.基本となる吸引条件最適化方法Iで説明した工程S301及びS302と同じである。そのため、これら工程についての説明は省略する。
(1)粒子数カウント工程を繰り返す第2の繰り返し工程S403
図10の第2の繰り返し工程S403では、前記吸引力Dをより大きい及び/又は小さい種々の吸引力Dに変更したこと以外は同じようにして、前記粒子数カウント工程及び/又は前記繰り返す工程が繰り返される。好ましくは、図10の第2の繰り返し工程S403では、前記吸引力Dを小さい種々の吸引力Dに変更したこと以外は同じようにして、粒子数カウント工程S401及び繰り返す工程S402が繰り返される。吸引力Dは、例えば微小粒子吸引流路に設けられる吸引手段の仕様、マイクロチップのサイズ、所定の吸引力を適用した場合に当該吸引力が及ぶ領域、及び/又は公差などの要因を考慮して、当業者により適宜設定される。繰り返す工程S403において、種々の吸引力Dのそれぞれについて粒子数カウント工程が行われることで、種々の吸引力Dのそれぞれについて粒子数カウント結果が得られる。
例えば、種々の吸引力Dは、前記Dを所定の割合で段階的に増加させた又は減少させた吸引力のそれぞれである。当該所定の割合は、例えば0.01~30%、特には0.1%~25%、より特には1~20%、さらにより特には1~10%でありうる。前記Dを増加又は減少させる段階の数は、例えば3~20段階、特には4~15段階、より特には5~10段階である。例えば、種々の吸引力Dが前記Dを20%で4段階減少させたものである場合、種々の吸引力Dは、(D-D×20%)、(D-D×20%×2)、(D-D×20%×3)、及び(T-T×20%×4)である。この場合、前記Dも含め、合計で5つの吸引力のそれぞれにおいて、微小粒子分取手順が行われる。
また、前記Dを増加させる段階の数及び前記Dを減少させる段階の数は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。また、種々の吸引力Dは、前記Dを増加させたものだけであってもよく、又は、前記Dを減少させたものだけであってもよい。前記Dを増加させる段階の数及び前記Dを減少させる段階の数は、前記Dの値によって適宜設定されうる。また、種々の吸引力Dのそれぞれについて、粒子数カウント工程が複数回、例えば2~5回、特には2~3回行われてもよい。
前記第2の繰り返し工程S403において行われる粒子数カウント工程は、前記Dをより小さな吸引力又はより大きな吸引力Dに変更したこと以外は、上記2.で説明した工程S301及びS302と同じである。そのため、粒子数カウント工程についての説明は、上記2-1.基本となる吸引条件最適化方法Iの(1)及び(2)を参照されたい。
(2)吸引が行われるべき時間及び/又は適用されるべき吸引力を決定する工程S404
図10の吸引が行なわれるべき時間及び/又は適用されるべき吸引力を決定する工程S404では、粒子数カウント工程S401、繰り返す工程S402、及び第2の繰り返し工程S403においてカウントされた微小粒子の数に基づいて、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間及び/又は微小粒子の吸引に適用されるべき吸引力が決定される。その結果、微小粒子の吸引が行われるべき時点及び適用されるべき吸引力が最適化される。また、当該決定は、例えば所定のプログラムを実行する制御部などによって、自動的に行われる。
決定する工程S404において、例えば粒子数カウント工程S401、繰り返す工程S402、及び第2の繰り返し工程S403においてカウントされた微小粒子の数が最も多くかつ吸引力が最も小さい場合の時間T及び吸引力Dが、前記吸引が行われるべき経過時間及び適用されるべき吸引力として決定されうる。
あるいは、所定の数以上微小粒子がカウントされる場合の時間T及び吸引力Dの組合せのうちから、吸引力が最小となる吸引力Dが適用されるべき吸引力として決定され、かつ、当該決定された吸引力において所定の数以上微小粒子がカウントされる複数の経過時間のうちの中央の値が、吸引が行われるべき経過時間として決定されてもよい。
あるいは、所定の数以上微小粒子がカウントされかつ吸引力が最小となる時間及び吸引力の組合せが2以上ある場合は、これら組合せのうちから任意の時間及び吸引力の組合せを、前記吸引が行われるべき経過時間及び適用されるべき吸引力として決定してもよい。又は、所定の数以上微小粒子がカウントされかつ吸引力が最小となる時間及び吸引力の組合せが2以上ある場合において、当該吸引力の最小値が適用されるべき吸引力として決定され、かつ、複数の時間のうち中央の値が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてもよい。
前記吸引が行われるべき経過時間及び適用されるべき吸引力について、以下で図9及び11を参照してより詳細に説明する。
図9は、上記で説明したとおり、微小粒子分取手順を行っている場合の流路内の状況を示す模式図である。上記でも説明したとおり、前記所定の位置を通過したときから前記所定の時間Tが経過した時点において前記微小粒子吸引流路による吸引を所定の吸引力Dにて行う場合、微小粒子602は、領域601内にいるので、微小粒子吸引流路内に吸い込まれる。
図11は、微小粒子が前記主流路上の所定の位置を通過したときから所定の時間T又はTが経過した時点において前記微小粒子吸引流路による吸引を、吸引力Dよりも小さい吸引力Dにて行うという条件下で、微小粒子分取手順を行っている場合の流路内の状況を示す模式図である。図11において、微小粒子吸引流路の入り口から照射領域に向かって楕円状に広がっている領域801が、吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域である。図11において、前記所定の位置は、2つの光照射位置のうち、微小粒子吸引流路からより遠いほうのものである。
前記所定の位置を通った微小粒子802は、所定の時間Tが経過することで、前記所定の位置から粒子は距離Yだけ進み、図11に示されるとおりの位置にいる。微小粒子802がこの位置にいる時点で図9に示されるとおりの吸引力Dにて吸引が行われた場合は、微小粒子802は、領域601内にいるので、微小粒子吸引流路内に吸い込まれる。しかし、微小粒子802がこの位置にいる時点で図11に示されるとおりの吸引力Dにて吸引が行われた場合は、微小粒子802は、領域801の外にいるので、微小粒子吸引流路内に吸い込まれない。
また、前記所定の位置を通った微小粒子803は、所定の時間Tが経過することで、前記所定の位置から粒子は距離Yだけ進み、図11に示されるとおりの位置にいる。前記所定の位置を通過したときから前記所定の時間Tが経過した時点において前記微小粒子吸引流路による吸引を所定の吸引力Dにて行う場合、微小粒子803は、領域801内にいるので、微小粒子吸引流路内に吸い込まれる。
以上のとおり、吸引力が小さければ小さいほど、吸引力が及ぶ領域がより狭くなる。
前記Tを種々の時間に変更し、それぞれの時間においてカウントされた粒子数を時間に対してプロットしたグラフが、図11の右側に示されている。当該グラフに示されるとおり、カウント数が高くなる時間Tの範囲が、図9の右側に示されるグラフにおける範囲よりも狭い。このように、吸引力が小さければ小さいほど、カウント数が高くなる時間Tの範囲が狭くなる。より狭められた時間Tの範囲のうちから吸引が行われるべき経過時間を採用し、かつ、より小さい吸引力を適用されるべき吸引力として採用することで、微小粒子の吸引が行われるべき経過時間及び適用されるべき吸引力が最適化される。
本技術に従い、前記決定する工程において、前記粒子数カウント工程、前記繰り返し工程、及び前記第2の繰り返し工程においてカウントされた微小粒子の数に基づき微小粒子の吸引流路への吸引の成功率が算出され、当該成功率に基づき、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間及び/又は適用されるべき吸引力が決定される。
例えば、当該成功率が最も高くかつ吸引力が最も小さい場合の時間T及び吸引力Dが、前記吸引が行われるべき経過時間及び適用されるべき吸引力として決定される。
あるいは、所定の率以上の成功率の場合の時間T及び吸引力Dの組合せのうちから、吸引力が最小となる時間T及び吸引力Dを、前記吸引が行われるべき経過時間及び適用されるべき吸引力として決定してもよい。
あるいは、所定の率以上の成功率を達成しかつ吸引力が最小となる時間及び吸引力の組合せが2以上ある場合は、これら組合せのうちから任意の時間及び吸引力の組合せを、前記吸引が行われるべき経過時間及び適用されるべき吸引力として決定してもよい。又は、所定の率以上の成功率を達成しかつ吸引力が最小となる時間及び吸引力の組合せが2以上ある場合において、当該吸引力の最小が適用されるべき吸引力として決定され、かつ、複数の時間のうち中央の値が、前記吸引が行われるべき経過時間として決定されてもよい。
(3)第2の繰り返し工程S404の好ましい実施態様
好ましい実施態様に従い、前記第2の繰り返し工程S404において、吸引力は前記吸引力Dから所定の割合で段階的に減少され、かつ、前記第2の繰り返し工程は、前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がいずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られるまで行われうる。この場合、前記決定する工程において、前記いずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた場合の吸引力から所定の割合で増加させた吸引力が、微小粒子の吸引に適用されるべき吸引力として決定されうる。これにより、吸引力の最適化が自動的に行われうる。
吸引力を前記吸引力Dから減少させた場合の流路内の状況の変化は、図9及び図11を参照して上記で説明したとおりである。前記所定の割合及び前記減少の段階の数は、上記(1)において説明したとおりである。
前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がいずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られる場合の流路内の状況を、図12を参照して、以下で説明する。図12において、流路内の実線及び点線が、微小粒子が通過する位置を示す。図12において、微小粒子吸引流路の入り口から照射領域に向かってわずかに広がっている領域901が、吸引力Dよりもさらに小さい吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域である。図12に示されるとおり、領域901は、微小粒子が通過する位置を示す実線及び点線のいずれとも重なっていない。そのため、いずれの経過時間の場合に吸引が行われても、微小粒子は吸引されない。前記Tを種々の時間に変更し、それぞれの時間においてカウントされた粒子数を時間に対してプロットしたグラフが、図12の右側に示されている。当該グラフに示されるとおり、いずれの経過時間の場合に吸引が行われても、カウント数は0である。
前記第2の繰り返し工程は、前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がいずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られるまで行われる。すなわち、前記第2の繰り返し工程は、前記微小粒子吸引流路内に吸引された微小粒子の数がいずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた場合に終了される。そして、前記決定する工程において、前記いずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた場合の吸引力から所定の割合で増加させた吸引力が、微小粒子の吸引に適用されるべき吸引力として決定される。
前記いずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた場合の吸引力からどれだけ増加させた吸引力を微小粒子の吸引に適用されるべき吸引力として決定するかは、前記第2の繰り返し工程S404における前記吸引力の段階的な減少における前記所定の割合及び吸引力の減少の段階の数、前記工程401において採用されたDの値、及び/又は、流路のサイズなどの要因に基づき、当業者により適宜定めることができる。例えば、Dを1~10%ずつ減少させる場合、いずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた吸引力から、例えば(当該減少割合(すなわち1~10%)×1)~(当該減少割合×5)の値を当該いずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた吸引力に足した値が、適用されるべき吸引力として決定される。例えば、Dを10%ずつ減少させ、吸引力がD-D×80%においていずれの経過時間の場合においても0となる結果が得られた場合、(D-D×80%)+D×20%、すなわちD-D×60%の値が、適用されるべき吸引力として決定される。
2-3.微小粒子の吸引時の現象
前記微小粒子の吸引条件の最適化方法の技術においては、サンプルコアがシース流に対して非常に小さい状態で行うものである。
すなわち、サンプルコア内部に流れる微小粒子の速度は一定であると仮定し、最適な微小粒子分取タイミング、及び微小粒子含有サンプル液の分取吸引量(アクチュエータ駆動力)となるよう吸引を行っている。このように、サンプルコアの微小粒子に速度差を生じない状況であれば、シース流の速度が変化したとしてもその微小粒子の速度に最適な分取タイミングを自動的に算出することが可能となっている。
また、回収されるべき微小粒子を分取する吸引量が大きい場合には、回収されるべき微小粒子の分取を逃すことはなくなるが、吸引するためのアクチュエータの復帰(微小粒子を吸引できる状態に戻すこと)までに時間が掛かるので、微小粒子含有サンプル液の吸引量は最小かつ十分な値に調整されることが、微小粒子分取用マイクロチップにおける最大分取速度を実現させるうえで重要になる。
一方で、微小粒子を最大限に分取するための処理能力(分取速度)を実現させるためには、一定の時間当たりに微小粒子分取用マイクロチップに流入させる、回収されるべき微小粒子が適切である必要があり、微小粒子含有サンプル液の粒子濃度又は微小粒子含有サンプル液の流入量を調整する必要がある。
微小粒子含有サンプル液の濃度調整は、一般的に、後述の微小粒子分取用装置に微小粒子含有サンプル液をセットする前処理として行うので、装置が処理している間には濃度調整を実施せず、サンプル液の送液量で微小粒子が1秒間に通過する数(以下、「サンプルイベントレート」ということがある。)を調整する。そのため、微小粒子分取用マイクロチップの主流路におけるサンプルコアのサイズは、微小粒子含有サンプル液の送液量で決定され、微小粒子濃度が薄いサンプル液であってもサンプルイベントレートを高くする場合には、微小粒子含有サンプル液の送液量を増加させる必要があり、サンプルコアのサイズも大きくなる。
微小粒子含有サンプル液の流量が少なくサンプルコアのサイズが小さい場合を、図13に、微小粒子含有サンプル液の流量が多くサンプルコアのサイズが大きい場合を、図14に示す。
微小粒子の分取は、圧力室を動作させ微小な負圧を発生させることで粒子の吸引を行う方式であるため、サンプルコアのサイズが大きくなった場合、主流路中心に位置するサンプル吸引口から遠い位置を通過する粒子が多く存在し、サンプルコアのサイズが小さい場合の分取吸引量(アクチュエータの駆動力)では安定して吸引することができない。
このような状況においては、分取吸引量が固定のままでは良好な分取性能を実現することができず、微小粒子の通過位置に適応した吸引量の最適制御が求められる。
そこで、本技術では以下のような吸引条件最適化方法を開発した。
2-4.サンプルコアのサイズに対応した吸引条件最適化方法
一般的なマイクロ空間の流体送液において、送液された液体の速度は、流体の粘性と壁面からの影響を受けハーゲンポアズイユ流となることが広く知られている。
本技術において、サンプルコアのサイズが小さい場合には、微小粒子が主流路を通過する領域も小さいので、微小粒子ごとの速度は均一とみなすことができるが、サンプルコアが流れる場所が主流路中心であれば、ハーゲンポアズイユの定義より、各微小粒子は平均流速の2倍の速度となるが、サンプルコアのサイズが大きい場合には、微小粒子が主流路を通過する領域も大きいので微小粒子速度は拡散し、主流路中心からの距離に反比例して微小粒子速度が低下する状態になる。
そこで、ハーゲンポアズイユ現象に着目し、以下のパラメータを定義した。
V:一定時間(例えば1秒間)での一群の微小粒子の個々の速度
ave:前記一群の微小粒子の速度の平均
max:前記一群の微小粒子中における個々の微小粒子のうち、最速となる個の微小粒子速度
min:前記一群の微小粒子中における個々の微小粒子のうち、最低速度となる個の微小粒子速度
ここで、一定時間とは、前記主流路の所定の位置から分取する位置まで微小粒子が通過する時間とすることができる。この時間を時間tとすることができる。
ハーゲンポアズイユ現象においては、時間tでのサンプルコアの中心部(略中心)を通る微小粒子はVmaxの速度を有し、時間tでのサンプルコアの最外部(略最外部)を通過する微小粒子はVminの速度を有することになる。本技術においては、平均速度Vave、個々の微小粒子中の最大速度Vmax及び最低速度Vminの少なくとも一つのデータを取得し、吸引条件最適化方法に適用する。
例えば、平均流速:Vaveを用いての個々の微小粒子速度を正規化(V/Vave)すれば、主流路中心からの距離を指し示す指標とすることが可能である。その際、できるだけ多くの個々の微小粒子の速度Vのデータ、好ましくはおおむね流路の中心付近を通過するすべての微小粒子の速度Vのデータを用いて、個々のV/Vaveを算出することが好ましい。これにより、サンプルコアの中心流速のより好適な近似値を得ることができる。また、前記微小粒子用マイクロチップに由来する乱流や、アクチュエータの駆動に由来する脈流の発生による乱流などが発生しても、従来と比べてサンプルコアの中心流速がより正確に把握できる。
図15を参照しつつ、より具体的に説明する。
前記ハーゲンポアズイユ現象に基づけば、一般的に、通常の流路内の粒子速度は、流路中心からの距離をXとすると、Xの二乗に比例して遅くなり、式1:Y=Vmax-Xで表される。
一方で、図15に示す吸引口(本技術の微小粒子分取用マイクロチップ)からの距離は、流れ方向の距離をZ(固定値)とし、前述のように中心からの距離をXとすると、粒子までの距離は、式2:D=Z+Xで表される。
吸引に必要な圧力が、吸引口からの距離の二乗に比例して必要であると考えると、前記式1及び式2に基づけば、式3:D=Z+(Vmax-Y)となる。ZとVmaxは固定値であるため、最適な吸引力は、式4:固定値-Yで表せることになる。
これを本技術に当てはめると、前記Yは個々の微小粒子の速度Vに対応するので、上記式4に前記個々の微小粒子の速度Vを代入すれば所望の吸引力、即ち所望のアクチュエータの駆動力を算出することができる。
本技術で前記V/Vaveを用いているが、前記個々の微小粒子の計測した速度を前述のようにVaveで正規化しているので、速度によらず同じ係数を使用することができる。
前記V/Vaveに基づいて、それに反比例するように吸引時のアクチュエータの駆動力を制御すれば、サンプルコアの中心の微小粒子(速度Vmax)は小さい駆動力で、サンプルコアの中心から離れた粒子(速度Vmin)は大きな駆動力で吸引することが可能となり、分取吸引口からの粒子位置に適応した分取吸引力を個別に制御することができる。
そこで、前述した微小粒子の吸引条件の最適化方法において、図6及び図10の微小粒子の分取手順に、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、及び
前記速度データにおいて、前記一定時間での微小粒子の平均速度Vaveとし、V/Vaveで算出される指標に反比例して、アクチュエータの駆動を制御する工程
を含めればよい。
そして、前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略中心部を通流するときは、前記一定時間での微小粒子中の最高速度Vmaxとし、該Vmaxにおける前記アクチュエータの駆動がVaveのときよりも小さくし、圧力室の圧力を大きくすれば、微小粒子に働く吸引力が下がる。V/Vmaxを指標として、反比例するように圧力を制御する。
また、前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略最外部を通流するときは、前記一定時間での微小粒子中の最低速度Vminとし、前記Vaveのときのアクチュエータの駆動がVaveのときよりも大きくし、圧力室の圧力を小さくすれば、微小粒子に働く吸引力が上がる。
本技術の微小粒子の吸引条件の最適化方法を後述の微小粒子分取用システムに適応することで、微小粒子濃度が薄い場合でもサンプル液の流量を増加させて最大分取能力を維持することが可能であり、かつ分取性能の悪化を抑制することができる。
また、回収されるべき粒子の純度を非常に高くすべく、純度を優先する純化処理以外の、濃縮処理(回収されるべき微小粒子の純度は低いが大量の微小粒子を処理する)の場合などのサンプルコアのサイズが大きなソーティング状態においても、良好な微小粒子分取特性を維持することが可能となる。
<3.微小粒子吸引制御の実施態様>
本技術の一実施態様としては、例えば、
シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、アクチュエータの駆動により微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップにおいて、
前記主流路に前記シース液及び調整用微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して調整用微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、
前記調整用微小粒子を所定の吸引力で前記主流路から前記圧力室へ吸引する工程、
前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする粒子数カウント工程、及び
前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定する工程、
前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、及び
一定時間での前記多量のサンプル液の個々の調整用微小粒子の速度Vのデータと、前記一定時間での調整用微小粒子の平均速度Vaveのデータから、V/Vaveで算出された指標に反比例して、圧力室の圧力を制御し、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程
を含む方法で、微小粒子の吸引条件を最適化することができる。
すなわち、前記2-1.基本となる吸引条件最適化方法Iにおける分取手順において、前記微小粒子の速度データ取得工程と前記圧力室の圧力を制御するアクチュエータの駆動制御工程を組み込むことにより、吸引が行われるタイミング及び/又は適用される吸引力の大きさが更に最適化され、微小粒子の分取性能を更に高めることができる。
図6でいえば、工程S301中の分取手段及び/又は工程S302中の分取手順に微小粒子の速度データ取得工程とアクチュエータの駆動制御工程を組み込めばよい。
また、前記微小粒子の吸引条件の最適化方法においては、
前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程後に、前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする粒子数カウント工程を更に含み、
前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取の実行回数と、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数とを対比し、前記調整用微小粒子の全部を分取していないと判定されるときは、前記アクチュエータの駆動を大きく及び/又は小さくして、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数が通流した前記調整用微小粒子の全部と略同数となる定数を算出することを含むようにしてもよい。
すなわち、前記2-2.基本となる吸引条件最適化方法IIにおける分取手順において、下記微小粒子の速度データ取得工程とアクチュエータの駆動制御工程を組み込んでもよい。
図10でいえば、工程S401、S402、S403のいずれかの工程、又は適宜組み合わせた工程、あるいは全ての工程中の分取手順に微小粒子の速度データ取得工程とアクチュエータの駆動制御工程を組み込めばよい。
あるいは、図6の工程S301からS303をまず行い、次に、図10の工程S401、S402、S403のいずれかの工程又は全ての工程中の分取手順に微小粒子の速度データ取得工程とアクチュエータの駆動制御工程を組み込んだ工程S401からS403を行い、最後に工程S404を行ってもよい。
別の例として、図6の工程S301からS303をまず行い、次に、図10の工程S401からS404を行い、更に、S301、S302、S401、S402、S403のいずれかの工程、又は適宜組み合わせた工程、あるいは全ての工程中の分取手順に微小粒子の速度データ取得工程とアクチュエータの駆動制御工程を組み込んでもよい。
3-1.実施態様I
具体例として、本技術の微小粒子の吸引条件の最適化方法の調整手順の例を説明する。
当該例では、本技術の微小粒子吸引の最適化方法において、微小粒子分取用マイクロチップの圧力室に係るアクチュエータの駆動力及び動作を調整するときには、例えば、光照射による散乱光の検出が可能なマイクロビーズを調整用微小粒子として用いる。
そして、散乱光から得られる調整用マイクロビーズの挙動の情報に基づいて、微小粒子の分取タイミングT、及び吸引力Dの最適化を下記調整手順1~15にて実施する。なお、アクチュエータとしてピエゾ素子を用いた。
調整手順1 微小粒子分取用マイクロチップと調整用マイクロビーズを微小粒子分取用装置にセットし、シース液を送液し、自動調整のプログラムを開始する。
調整手順2 シース液にて微小粒子分取用チップおよび微小粒子分取用装置のマイクロ流路を脱気したのち、調整用マイクロビーズを流し(サンプルコアサイズは非常に小さくしておく)、微小粒子からの信号強度(散乱光または蛍光信号)が最大となるようチップの位置調整(X軸、Y軸、Z軸)を行う。
調整手順3 図5に示した光学系によりレーザ検出部および分取後検出部での散乱信号を取得し、レーザ分取部の2つのスポットを通過した時刻差(主流路の所定の位置から分取する位置まで微小粒子が通過する時間t)より、個々の粒子速度:Vを算出する。
調整手順4 分取部までの距離:Yをスイープする変数とし、個々の粒子速度による分取動作時刻:T=Y/Vを算出する。
調整手順5 微小粒子分取の吸引力が最大となるアクチュエータ駆動力:Dとし、光学検出部を通過し検出された時刻に分取動作時刻:T=Y/Vを加算した時刻でアクチュエータ駆動力:Dで動作させ、その際に分取用の流路に導かれた分取済み粒子を分取後検出部にて個数をカウントする。
調整手順6 アクチュエータ駆動力:Dは固定のままで、距離:Yをスイープさせ分取時刻を変化させ、その際の分取済み粒子を検出し、カウント数の分布を得る。取得した粒子カウント数が最大または概ね最大となる中心値である距離Y(分取時刻)を算出し、アクチュエータ駆動力:Dにおける最適な分取距離Y(分取時刻)を記録する。
調整手順7 調整手順5よりも分取吸引量を小さくしたアクチュエータ駆動力:Dにて、調整手順6と同様の検出動作を行い、最適な分取距離Y(分取時刻)を記録する。
調整手順8 分取吸引量を小さくしたアクチュエータ駆動力:Dにて、調整手順6と同様の検出動作を行い、最適な分取距離Y(分取時刻)を記録する。
調整手順9 分取吸引量を更に小さくし、アクチュエータ駆動力:Dにて調整手順6と同様の検出動作にて最適な分取距離Y(分取時刻)を求める場合、分取吸引量が小さくなり過ぎると、距離Y(分取時刻)によらず分取流路への引き込み動作を実現することができなくなる。
調整手順10 分取済み粒子のカウント数が0となったアクチュエータ駆動力:Dより筈かに大きいアクチュエータ駆動力:Dと分取距離Y(分取時刻)を最適な分取パラメータとして採用し、分取動作を実施する。
調整手順11 調整手順2のサンプル送液量に対して、数倍(例えば10倍)となる調整ビーズを送液し、図5の光学系によりレーザ検出部および分取後検出部での散乱信号を取得し、レーザ分取部の2つのスポットを通過した時刻差より、個々の粒子速度:Vを算出する。
調整手順12 一定時間の平均粒子速度(例えば1秒間)をVaveとし、この粒子速度:VをVaveで割り、サンプルコア中心からの粒子位置に反比例した係数とする。
調整手順13 粒子位置に適した分取吸引力を得るため、アクチュエータ駆動力=D÷(V/Vave)*Kとし、分取を行う。(Kは事前検証より得た定数である。)
調整手順14 上記条件で分取施行回数と分取済み粒子のカウント数がほぼ100%であれば、調整を終了するが、100%に未達である場合にはKの値を±にサーチさせ、分取済み粒子のカウントの分布を得る。
調整手順15 分取済み粒子カウントが100%に近い、または100%を得ている分布の中心値のK値を分取条件として採用する。
調整手順16 サンプル送液を停止し、シース液でサンプルが流れる流路及びその他の流路を洗浄し、自動調整を終了する。
以上の調整手順で本技術の微小粒子の吸引条件の最適化を行うことで、回収されるべき微小粒子を分取処理するのに最適な分取タイミング:T、及び吸引量:Dを調整することができる。更に、サンプルコアが大きく微小粒子分取用マイクロチップの主流路内の微小粒子位置が異なる状態においても、微小粒子位置に適した最適な吸引量に自動的に吸引力を制御することが可能となり、サンプル送液量が増減しても、良好な分取性能を維持することが可能となる。よって、後述の微小粒子分取用システムとしても、ロバスト性が高い状態を維持できる。
3-2.実施態様II
更に詳細な具体例として、図16に示すフローチャートにより、本技術の微小粒子の吸引条件の最適化を行うことが挙げられる。
以下、図16の各プロセスを説明する。なお、アクチュエータとしてピエゾ素子を用いた。
プロセス1 後述のプログラムを搭載した微小粒子分取用装置に、シース液及び微小粒子含有サンプル液の送液条件を設定する。この送液条件は、サンプルコアのサイズが最小になるよう、予め規定しておくことができる。
プロセス2 微小粒子分取用マイクロチップと調整用マイクロビーズを微小粒子分取用装置にセットする。
プロセス3 あらかじめ前記プログラムに組み込まれている微小粒子の吸引条件の最適化のための自動調整パラメータを、必要に応じて再設定する。
プロセス4 タッチパネル等のユーザインターフェース(例えばGUI)にて、微小粒子分取用装置の自動調整開始のボタンをクリックする。
プロセス5 シース液を送液し、自動調整のプログラムを開始する。該シース液により、セットした微小粒子分取用マイクロチップの流路等を脱気する。
プロセス6 微小粒子分取用装置に備えられた、微小粒子含有サンプル液を送液するサンプルローダーを加圧状態にし、前記調整用ビーズの送液を開始する。
プロセス7 微小粒子含有サンプル液の送液が安定するまで待つ。例えば、予め、1分待つようにプログラムされていてもよい。そして、微小粒子からの散乱光又は蛍光の信号強度が最大となるよう微小粒子分取用マイクロチップの位置調整(X軸、Y軸、Z軸)を行う。
ここで、微小粒子分取用装置の光学系構成における光照射を行い、図5に示したレーザ検出部及び分取後の微小粒子の検出部での散乱信号を取得する。
プロセス8 図5のレーザ検出部の2つの照射部分(第1の検出部及び第2の検出部)を通過した時刻差より、個々の粒子速度:Vを算出する。初期値として、アクチュエータ駆動電圧:D、微小粒子の分取部までの距離:Yをスイープする変数とし、個々の粒子速度による分取動作時刻:T=Y/Vを算出する。
なお、プロセス8からプロセス13が、ソーティング自動調整シーケンスである。
プロセス9 プロセス8で算出された分取動作タイミング:Tでアクチュエータを駆動する。
プロセス10 分取した調整用マイクロビーズを、例えば散乱光検出系で検出し、分取数を計測する。
プロセス11 前記第1の検出部から分取部までの距離:Yにおける、任意の割合の距離、例えばYの0.2%にあたる距離(Yを1000μmとしたとき、Y=2μm)を1ステップでサーチする。
前記プロセス9からプロセス11を、例えば20回繰り返す。
プロセス12 前記プロセス9からプロセス11を例えば20回繰り返して得られたデータに基づいて、分取された調整用マイクロビーズの数が最大または最大値の中心となった分取タイミング:Tを採用する。
プロセス13 次に、アクチュエータの駆動による吸引力:Dから吸引力を徐々に小さくし、例えばD5%引きである95%の吸引力で分取動作を行いその際に分取された調整用マイクロビーズの数を分取後検出部でカウントし、分取後のカウントが0になるまでサーチを続ける。
なお、プロセス9からプロセス13までを繰り返すようにしてもよい。
プロセス14 分取後カウンターが0になる、つまり吸引が出来なくなる限界の吸引力までサーチしたら、2ステップ前(前記プロセス12)のアクチュエータ駆動電圧、すなわち吸引力:D、分取タイミング:Tを最適値として採用する。
プロセス15 次に、微小粒子含有サンプル液の送液流量を多くし、サンプルコアのサイズを大きくする。
プロセス16 光学検出系により算出された微小粒子の位置に適した吸引力にするため、微小粒子位置に比例した係数:Kとし、アクチュエータ駆動電圧(D÷(V/Vave))に係数Kを乗じる。
プロセス17 分取された調整用マイクロビーズの数をカウントする。
調整用マイクロビーズを全部取得するまで、ステップ16及び17を繰り返すようにしてもよい。
以上のプロセス15から17までが、吸引量補正シーケンスとなる。
プロセス18 調整用マイクロビーズが全部取得できたら、微小粒子含有サンプル液の送液を停止し、微小粒子含有サンプル液が流れたラインの逆流洗浄を行う。
以上で自動調整シーケンスを終了する。
<4.微小粒子分取用プログラム>
本技術は、前記微小粒子の吸引条件の最適化方法を行うために、微小粒子分取用装置を制御する機能をコンピュータに実現させる微小粒子分取用プログラムも提供する。
本技術の微小粒子分取用プログラムは、具体的には、
(A)シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得すること、及び
(F)一定時間での微小粒子の平均速度Vaveのデータを取得し、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記圧力室の吸引力を制御すること
をコンピュータに実行させるプログラムである。
前記プログラムは、前記(A)と(F)の間に、
(B)所定の吸引力で前記調整用微小粒子を前記主流路から前記圧力室へ吸引すること、(C)前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントすること、及び
(D)前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、前記微小粒子吸引流路による吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定すること、及び
(E)前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータを取得すること、
をコンピュータに実行させるプログラムであってもよい。
前記プログラムは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の記録媒体に格納されていてもよく、また、ネットワークを介して配信することもできる。該プログラムはこのような形態をとることにより、コンピュータを前記微小粒子分取用装置に外付けして分析を実行でき、あるいは前記微小粒子分取用装置に内蔵して分析を実行することができる。
<5.微小粒子分取用システム>
本技術は、前記微小粒子の吸引条件の最適化方法を行うことができる微小粒子分取用システムも提供する。
微小粒子分取用システムは、具体的には、
シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップと、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得装置と、
前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御装置と、
前記圧力を制御するプログラムが組み込まれたコンピュータを含む。
コンピュータとして、例えば前記(A)と(F)のプログラムが組み込まれたコンピュータ、前記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)のプログラムが組み込まれたコンピュータを用いればよい。
なお、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
[1] シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、及び
前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程
を含む、微小粒子の吸引条件の最適化方法。
[2] 一定時間での微小粒子の平均速度Vave、個々の微小粒子中の最大速度Vmax及び最低速度Vminの少なくとも一つのデータを取得する工程を含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記一定時間での微小粒子の平均速度Vave、個々の微小粒子中の最大速度Vmax及び最低速度Vminの少なくとも一つのデータ及び前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含む、[2]に記載の方法。
[4] V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含む、[2]又は[3]に記載の方法。
[5] 一定時間内の微小粒子の速度のハーゲンポアズイユ分布に基づいて、平均速度Vaveを計算する、[2]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] V/Vmaxで算出される指標に反比例して、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含む、[2]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 前記主流路の所定の位置から分取する位置まで微小粒子が通過する時間tに基づいて、前記個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程において、前記圧力はアクチュエータの駆動による、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略中心部を通流するとき、前記時間tでの個々の微小粒子中の最高速度Vmaxにおける前記圧力室の圧力がVaveのときよりも大きい、[7]又は[8]に記載の方法。
[10] 前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略最外部を通流するとき、前記時間tでの個々の微小粒子中の最低速度Vminにおける圧力室の圧力がVaveのときよりも小さい、[7]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11] 前記微小粒子が、光照射により検出が可能なマイクロビーズである、[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12] シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び調整用微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、
前記調整用微小粒子を所定の吸引力で前記主流路から前記圧力室へ吸引する工程、
前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする工程、及び
前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定する工程、
前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知しての個々の調整用微小粒子の速度Vデータと、一定時間での平均速度Vaveのデータを取得する工程、
V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記調整用微小粒子を吸引する圧力室の圧力を制御し、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程
を含む、微小粒子の吸引条件の最適化方法。
[13] 前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程後に、再度前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする工程を含み、
前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取の実行回数と、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数とを対比し、前記調整用微小粒子の全部を分取していないと判定されるときは、前記圧力室の圧力を大きく及び/又は小さくして、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数が通流した前記調整用微小粒子の全部と略同数となる定数を算出することを含む、[12]に記載の方法。
[14] シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップと、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得部と、
前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御部とを含む、微小粒子分取用装置。
[15] シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップと、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得装置と、
前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御装置と、
前記圧力を制御するプログラムが組み込まれたコンピュータと
を含む、微小粒子分取用システム。
[16] シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータと、一定時間での微小粒子の平均速度Vaveのデータを取得し、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記圧力室の吸引力を制御すること、
をコンピュータに実行させる、微小粒子分取用プログラム。
[17] シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
前記主流路に前記シース液及び調整用微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して調整用微小粒子の速度データを取得すること、
前記圧力室による所定の吸引力で前記調整用微小粒子を前記主流路から前記圧力室へ吸引すること、
前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントすること、及び
前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したとき
からの経過時間を決定すること、
前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータと、一定時間での調整用微小粒子の平均速度Vaveのデータを取得し、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記圧力室の吸引力を制御し、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行すること、
をコンピュータに実行させる、微小粒子分取用プログラム。
100 マイクロチップ
101 サンプル液インレット
102 サンプル液流路
103 シース液インレット
104 シース液流路
105 主流路
106 検出領域
107 分取部
108 分岐流路(廃棄流路)
109 粒子分取流路
110 分岐流路末端
111 分取流路末端
112 ゲート流インレット
201 オリフィス部
202 光照射領域
601 吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域602 微小粒子
801 吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域802 微小粒子
901 吸引力Dにて吸引した場合に微小粒子吸引流路内に微小粒子が吸引される領域

Claims (15)

  1. シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
    前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する工程
    一定時間での微小粒子の平均速度V ave 、個々の微小粒子の速度Vにおける最大速度V max 及び最低速度V min の少なくとも一つのデータを取得する工程、及び
    前記一定時間での微小粒子の平均速度V ave 、個々の微小粒子の速度Vにおける最大速度V max 及び最低速度V min の少なくとも一つのデータ及び前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程、
    を含む、微小粒子の吸引条件の最適化方法。
  2. V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含む、請求項に記載の方法。
  3. 一定時間内の微小粒子の速度のハーゲンポアズイユ分布に基づいて、平均速度Vaveを計算する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. V/Vmaxで算出される指標に反比例して、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程を含む、請求項に記載の方法。
  5. 前記主流路の所定の位置から分取する位置まで微小粒子が通過する時間tに基づいて、前記個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記微小粒子を吸引する圧力を制御する工程において、前記圧力はアクチュエータの駆動による、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略中心部を通流するとき、前記時間tでの個々の微小粒子の速度Vにおける最高速度Vmax の際の前記圧力室の圧力がVaveのときよりも大きい、請求項に記載の方法。
  8. 前記微小粒子が、微小粒子含有サンプル液の略最外部を通流するとき、前記時間tでの個々の微小粒子の速度Vにおける最低速度Vmin の際の前記圧力室の圧力がVaveのときよりも小さい、請求項に記載の方法。
  9. 前記微小粒子が、光照射により検出が可能なマイクロビーズである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
    前記主流路に前記シース液及び調整用微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータを取得する工程、
    前記調整用微小粒子を所定の吸引力で前記主流路から前記圧力室へ吸引する工程、
    前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする工程、及び
    前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定する工程、
    前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知しての個々の調整用微小粒子の速度Vデータと、一定時間での平均速度Vaveのデータを取得する工程、
    V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記調整用微小粒子を吸引する圧力室の圧力を制御し、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程を含む、微小粒子の吸引条件の最適化方法。
  11. 前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行する工程後に、再度前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントする工程を含み、
    前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取の実行回数と、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数とを対比し、前記調整用微小粒子の全部を分取していないと判定されるときは、前記圧力室の圧力を大きく及び/又は小さくして、分取済みの前記調整用微小粒子の粒子数カウント数が通流した前記調整用微小粒子の全部と略同数となる定数を算出することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップと、
    前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得部と、
    前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御部と、
    を含み、
    前記速度データ取得部は、一定時間での微小粒子の平均速度V ave 、個々の微小粒子の速度Vにおける最大速度V max 及び最低速度V min の少なくとも一つのデータを取得し、
    前記圧力制御部は、前記一定時間での微小粒子の平均速度V ave 、個々の微小粒子の速度Vにおける最大速度V max 及び最低速度V min の少なくとも一つのデータ及び前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する、微小粒子分取用装置。
  13. シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、前記微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップと、
    前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータを取得する速度データ取得装置と、
    前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する圧力制御装置と、
    前記圧力を制御するプログラムが組み込まれたコンピュータと、
    を含み、
    前記速度データ取得装置は、一定時間での微小粒子の平均速度V ave 、個々の微小粒子の速度Vにおける最大速度V max 及び最低速度V min の少なくとも一つのデータを取得し、
    前記圧力制御装置は、前記一定時間での微小粒子の平均速度V ave 、個々の微小粒子の速度Vにおける最大速度V max 及び最低速度V min の少なくとも一つのデータ及び前記個々の微小粒子の速度Vのデータに基づいて、前記微小粒子を吸引する圧力を制御する、微小粒子分取用システム。
  14. シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
    前記主流路に前記シース液及び前記微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で微小粒子が通過する時点を検知して個々の微小粒子の速度Vのデータと、一定時間での微小粒子の平均速度Vaveのデータを取得し、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記圧力室の吸引力を制御すること、
    をコンピュータに実行させる、微小粒子分取用プログラム。
  15. シース液及び微小粒子含有サンプル液が通流する主流路と、微小粒子を吸引する圧力室とを含む、微小粒子分取用マイクロチップを用いて、
    前記主流路に前記シース液及び調整用微小粒子含有サンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して調整用微小粒子の速度データを取得すること、
    前記圧力室による所定の吸引力で前記調整用微小粒子を前記主流路から前記圧力室へ吸引すること、
    前記圧力室に吸引された前記調整用微小粒子の数をカウントすること、及び
    前記調整用微小粒子が前記主流路の所定の位置を通過した時点から前記吸引が行われるまでの時間と前記カウントした調整用微小粒子の数とに基づいて、吸引が行われるべき、前記所定の位置を通過したときからの経過時間を決定すること、
    前記主流路に前記調整用微小粒子含有サンプル液よりも多量のサンプル液を通流し、前記主流路の所定の位置で前記調整用微小粒子が通過する時点を検知して個々の調整用微小粒子の速度Vのデータと、一定時間での調整用微小粒子の平均速度Vaveのデータを取得し、V/Vaveで算出される指標に反比例して、前記圧力室の吸引力を制御し、前記圧力室への前記調整用微小粒子の分取を実行すること、
    をコンピュータに実行させる、微小粒子分取用プログラム。
JP2020502874A 2018-03-02 2019-01-28 微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラム Active JP7207394B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018037468 2018-03-02
JP2018037468 2018-03-02
PCT/JP2019/002659 WO2019167510A1 (ja) 2018-03-02 2019-01-28 微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019167510A1 JPWO2019167510A1 (ja) 2021-02-18
JP7207394B2 true JP7207394B2 (ja) 2023-01-18

Family

ID=67806015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020502874A Active JP7207394B2 (ja) 2018-03-02 2019-01-28 微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラム

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20210372917A1 (ja)
JP (1) JP7207394B2 (ja)
CN (1) CN111771116B (ja)
DE (1) DE112019001098T5 (ja)
WO (1) WO2019167510A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4019947A4 (en) * 2019-11-06 2023-09-27 Sony Group Corporation OPTICAL MEASURING DEVICE AND INFORMATION PROCESSING SYSTEM
JP6745559B1 (ja) * 2020-03-24 2020-08-26 株式会社Cybo イメージングフローサイトメーター、ソート方法、及びキャリブレーション方法
CN114441269B (zh) * 2022-02-14 2023-08-08 华北电力大学(保定) 一种大气气溶胶的成分与数量检测装置
CN116355725B (zh) * 2023-03-07 2024-04-05 广州市艾贝泰生物科技有限公司 分配器、分配装置及分配方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005524831A (ja) 2002-04-17 2005-08-18 サイトノーム インコーポレーテッド 粒子を選別する方法および装置
WO2011067961A1 (ja) 2009-12-02 2011-06-09 独立行政法人科学技術振興機構 流路デバイス及びそれを含むサンプル処理装置
US20120078531A1 (en) 2009-03-10 2012-03-29 The Regents Of The University Of California Fluidic flow cytometry devices and particle sensing based on signal-encoding
JP2014202573A (ja) 2013-04-04 2014-10-27 ソニー株式会社 粒子分取装置及び粒子分取方法

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6432630B1 (en) * 1996-09-04 2002-08-13 Scandinanian Micro Biodevices A/S Micro-flow system for particle separation and analysis
DE10031200A1 (de) * 2000-06-27 2002-01-17 Emitec Emissionstechnologie Partikelfalle zum Abscheiden von Partikeln aus dem Strom eines Fluids, Verfahren zum Abscheiden von Partikeln aus dem Strom eines Fluids und Verwendung einer Partikelfalle
KR100670590B1 (ko) * 2005-10-05 2007-01-17 주식회사 디지탈바이오테크놀러지 확장된 채널을 가진 마이크로칩 및 이를 이용하는 미세입자 분석 장치
US9063117B2 (en) * 2007-02-21 2015-06-23 Paul L. Gourley Micro-optical cavity with fluidic transport chip for bioparticle analysis
JP2010038866A (ja) * 2008-08-08 2010-02-18 Sony Corp マイクロチップ、微小粒子分取装置及び送流方法
JP2011145185A (ja) * 2010-01-15 2011-07-28 Sony Corp 流路構造、マイクロチップ及び送流方法
EP4191227A1 (en) * 2010-01-15 2023-06-07 On-chip Biotechnologies Co., Ltd. Disposable chip-type flow cell and flow cytometer using the same
WO2014062719A2 (en) * 2012-10-15 2014-04-24 Nanocellect Biomedical, Inc. Systems, apparatus, and methods for sorting particles
US9551645B2 (en) * 2014-07-10 2017-01-24 Kinetic River Corp. Flow cytometry apparatus and methods
KR101662808B1 (ko) * 2014-11-28 2016-10-14 한국과학기술연구원 나선형 분지채널을 이용한 미세유체칩 여과 장치 및 방법
CN108291186B (zh) * 2015-12-01 2021-09-28 株式会社日立高新技术 细胞分析器件、装置及使用了该装置的细胞分析方法
EP4390369A2 (en) * 2016-11-19 2024-06-26 Cytek Biosciences, Inc. Flow cytometry systems with stepper flow control valve
BR112019011460A2 (pt) * 2016-12-09 2019-10-15 Koninklijke Philips Nv módulo sensor a laser, dispositivo de comunicação móvel, método de detecção de partícula e produto de programa de computador
WO2019049944A1 (en) * 2017-09-07 2019-03-14 Sony Corporation PARTICLE CAPTURE CHAMBER, PARTICLE CAPTURE CHIP, PARTICLE CAPTURE METHOD, APPARATUS, AND PARTICLE ANALYSIS SYSTEM

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005524831A (ja) 2002-04-17 2005-08-18 サイトノーム インコーポレーテッド 粒子を選別する方法および装置
US20120078531A1 (en) 2009-03-10 2012-03-29 The Regents Of The University Of California Fluidic flow cytometry devices and particle sensing based on signal-encoding
WO2011067961A1 (ja) 2009-12-02 2011-06-09 独立行政法人科学技術振興機構 流路デバイス及びそれを含むサンプル処理装置
JP2014202573A (ja) 2013-04-04 2014-10-27 ソニー株式会社 粒子分取装置及び粒子分取方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN111771116A (zh) 2020-10-13
CN111771116B (zh) 2024-03-05
DE112019001098T5 (de) 2021-02-04
US20210372917A1 (en) 2021-12-02
WO2019167510A1 (ja) 2019-09-06
JPWO2019167510A1 (ja) 2021-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7367805B2 (ja) 微小粒子の吸引条件の最適化方法及び微小粒子分取装置
JP7338336B2 (ja) 微小粒子分取装置、細胞治療薬製造装置、微小粒子分取方法、及びプログラム
JP7207394B2 (ja) 微小粒子の吸引条件の最適化方法、微小粒子分取用装置、微小粒子分取用システム及び微小粒子分取用プログラム
JP6136843B2 (ja) 粒子分取装置、粒子分取方法及びプログラム
JP4661942B2 (ja) マイクロチップとその流路構造
JP6447506B2 (ja) 粒子分取装置及び粒子分取方法
JP5905317B2 (ja) 微小粒子分取装置におけるキャリブレーション方法及び該装置
US20220184623A1 (en) Microchip and microparticle fractionating device
EP3633347B1 (en) Method for optimizing suction conditions for microparticles, and microparticle separation device
JP6237806B2 (ja) 微小粒子分取装置
JP2011064706A (ja) マイクロチップとその流路構造
JP5098650B2 (ja) 微小粒子の送流方法及び分析方法、並びに微小粒子分析用基板
US20240165621A1 (en) Biological particle sorting device and method for adjusting sorting condition in biological particle sorting device
WO2023153297A1 (ja) 微小粒子分取装置及び微小粒子分取方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221219

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7207394

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151